JP2001171252A - 感熱孔版用マスタ - Google Patents

感熱孔版用マスタ

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JP2001171252A
JP2001171252A JP2000308892A JP2000308892A JP2001171252A JP 2001171252 A JP2001171252 A JP 2001171252A JP 2000308892 A JP2000308892 A JP 2000308892A JP 2000308892 A JP2000308892 A JP 2000308892A JP 2001171252 A JP2001171252 A JP 2001171252A
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Yuji Natori
裕二 名取
Fumiaki Arai
文明 新井
Masanori Toshimoto
正則 利元
Tetsuo Tanaka
哲夫 田中
Hiroshi Tateishi
比呂志 立石
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Tohoku Ricoh Co Ltd
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Ricoh Co Ltd
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コシが強く、フィルムとの接着性が大きく、
しかも優れた画質の印刷画像が得られ、かつ裏汚れの少
ない感熱孔版印刷用マスタの提供。 【解決手段】 熱可塑性樹脂フィルムの面上に多孔性樹
脂膜を有し、かつ該多孔性樹脂膜のフィルム側の面に、
前記多孔性樹脂膜の樹脂成分を含む薄層が前記熱可塑性
樹脂フィルム上に密着して形成されたものであることを
特徴とする感熱孔版印刷用マスタ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感熱孔版印刷用マス
タに関する。
【0002】
【従来の技術】感熱孔版印刷用マスタとして、従来から
樹脂フィルムにインキ透過性支持体として多孔性薄葉紙
などを接着剤で貼り合わせたもの、さらに樹脂フィルム
の多孔性薄葉紙とは反対側の表面上にサーマルヘッドと
のスティック防止のためのスティック防止層を設けたも
のが広く知られている。該多孔性薄葉紙としては麻繊
維、合成繊維、木材繊維などを混抄した用いられてい
る。
【0003】しかしこのような従来からある感熱孔版印
刷用マスタには次のような問題点があった。 (1)繊維の重なった部分とフィルムが接する部分に接
着剤が大量に、鳥の水掻き状に集積し、その部分のサー
マルヘッドによる穿孔が行われにくくなる。またその部
分がインクの通過を妨げ、印刷ムラが発生する。 (2)繊維自体がインクの通過を妨げ、印刷ムラが発生
する。 (3)多孔性薄葉紙などが高価であり、またラミネート
加工によるロスも大きく、マスタが高価となる。 (4)印刷された紙が重なると、インクがその上にかさ
なった紙の裏面に付着する、裏移りが発生する。
【0004】このような問題点の解決策として種々の提
案がなされている。例えば、特開昭62−198459
号公報には、(1)、(3)の問題の解決策として、フ
ィルム上に実質的に閉じた形状の、耐熱性樹脂パターン
を、グラビア、オフセット、フレキソ等の印刷法を用い
て形成する方法が開示されている。さらに、特開平3−
193445号公報には、繊度1デニール以下の極細繊
維を用いたインキ透過性支持体が開示されている。これ
によれば前記(2)、(4)の問題点は解決されるが
(1)、(3)の問題点は残されている。
【0005】しかし現状の印刷技術ではパターンの線巾
が50μm以下の印刷は困難であり、たとえ出来たとし
ても生産性が悪く高価である。しかも一般的には線巾が
30μm以上では耐熱性樹脂がサーマルヘッドによる穿
孔を妨げ、印刷ムラが発生する。また、特開平4−71
98号公報には、水分散性ポリマとコロイダルシリカの
ような微粒子の混合液をフィルム表面に塗布、乾燥して
多孔質層を設けた感熱孔版印刷用マスタを製造し、理想
科学工業社製の孔版製版機(プリントゴッコ製版機)を
用いて製版し、EPSON社製のインクジェット記録用
インク(HG−4800インク)を用いて印刷する方法
が開示されているが、この方法により得られる多孔質層
は従来の感熱孔版印刷用インクの通りが悪く、従がって
印刷時に充分な濃度が得られず実用的でない。
【0006】特開昭54−33117号公報には、支持
体を用いない、実質上フィルムのみからなるマスタが開
示されており、これによれば前記(1)、(2)、
(3)の問題は解決されるが、その一方で新たな問題を
生じさせている。その一つは、実質上フィルムのみから
なる感熱孔版印刷用マスタを構成するフィルムが10μ
m以下の厚さの場合、その「コシ」(Stiffnes
s)が弱くなって、搬送が困難になることである。この
解決方法として、例えば特公平5−70595号公報で
は、孔版印刷機の版胴周壁部にフィルムが切断されるこ
となく長尺状のまま巻装され、印刷時には版胴の回転と
ともにフィルム全体も回転させる考えが示されている。
しかしこの方法ではフィルム及び着排版ユニットが印刷
時には版胴の回転とともに回転するため、回転のモーメ
ントが大きくなり、また重力中心の回転軸からの変異が
大きく、これらの解決のために印刷機は重く、大きくし
なければならないという問題があった。他の一つは実質
上フィルムのみからなる感熱孔版印刷用マスタを構成す
るフィルムが5μm以上の厚さの場合、その熱感度が小
さくなり、サーマルヘッドによる穿孔が行われにくくな
ることである。
【0007】実質上フィルムのみからなる感熱孔版印刷
用マスタが有するこれらの問題の解決手段として、本発
明者等は特開平10−24667号公報に開示されるよ
うに、樹脂とその良溶媒と貧溶媒を含む混合液を樹脂フ
ィルムに塗布し乾燥することによって、樹脂フィルム上
に多孔性樹脂膜を設けた感熱孔版印刷用マスタを提案し
た。この多孔性樹脂膜は主として三次元の網状構造体で
あって、樹脂フィルム上に塗布された混合液が乾燥して
いくにしたがい、その良溶媒が蒸発し相対的に貧溶媒が
増加して液が濃縮し、それに伴い樹脂が次第に析出して
形成されるものである。この多孔性樹脂膜を樹脂フィル
ム上に設けた感熱孔版印刷用マスタは、前述の問題は解
決され、インクが均一に転写されて、得られる印刷画像
は裏移りの少ない質の高いものとなり、それまで知られ
たマスタよりはるかに優れたものである。しかしなが
ら、この感熱孔版印刷用マスタを用いて大量の印刷を行
った後、人為的にマスタを版胴上でジャムさせた後に、
版胴から引き剥がすと、時にはマスタを構成するフィル
ムと多孔性樹脂膜とが剥離して、後者が版胴に残ってし
まうという新たな問題が発生することが判った。また、
例えば葉書や封筒のような、特に厚さの大きい印刷用紙
に印刷する場合、葉書や封筒の縁に当たる多孔性樹脂膜
部分が特に大きな衝撃を受けて、フィルムから剥離する
ことがあった。さらに、この感熱孔版印刷用マスタを高
湿度の環境下に置くと、コシ(Stiffness)が
わずかながら低下して、やはり搬送を妨げる場合がある
ことが判明した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に上記の
ような多孔性樹脂膜を樹脂フィルム上に設けた感熱孔版
印刷用マスタの実状に鑑みてなされたもので、該マスタ
が有する優れた特徴を維持しつつ、樹脂フィルムと多孔
性樹脂膜との接着強度強くて剥離しにくく、かつコシ
(Stiffness)の大きな新規な感熱孔版印刷用
マスタを提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、この課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、樹脂フィルム
と多孔性樹脂膜の間に樹脂薄層を設けることによって、
この課題を解決できることを見出した。すなわち本発明
の第1の発明は、樹脂フィルム上に多孔性樹脂膜を有す
る感熱孔版印刷用マスタであって、該樹脂フィルムと該
多孔性樹脂膜の間に樹脂薄層を設けたことを特徴とする
感熱孔版印刷用マスタである。本発明の第2の発明は、
樹脂フィルムが熱可塑性であることを特徴とする、第1
の発明の感熱孔版印刷用マスタである。本発明の第3の
発明は、樹脂薄層を構成する少なくとも一つの樹脂成分
は、多孔性樹脂膜を構成する樹脂成分と同一であること
を特徴とする、第1または2の発明の感熱孔版印刷用マ
スタである。本発明の第4の発明は、前記樹脂薄層を構
成する樹脂成分は、前記多孔性樹脂膜を構成する樹脂成
分と異なることを特徴とする、第1または2の発明の感
熱孔版印刷用マスタである。本発明の第5の発明は、前
記樹脂薄層と前記多孔性樹脂膜とが一体物であることを
特徴とする、第1乃至4の発明の感熱孔版印刷用マスタ
である。本発明の第6の発明は、前記多孔性樹脂膜の前
記樹脂フィルム側と反対側の表面上に多孔性支持体層を
設けてなることを特徴とする、第1乃至5の発明の感熱
孔版印刷用マスタである。本発明の第7の発明は、曲げ
剛度が20〜40mNであることを特徴とする、第1乃
至6の発明の感熱孔版印刷用マスタである。本発明の第
8の発明は、管状の芯体にロール状に巻き付けてなるこ
とを特徴とする、第1乃至7の発明の感熱孔版印刷用マ
スタである。本発明の第9の発明は、画像状の穿孔を有
することを特徴とする、第1乃至8の発明の感熱孔版印
刷用マスタである。本発明の第10の発明は、前記樹脂
フイルムを開口面積率20%以上に穿孔した場合に、通
気度が2.0cm3/cm2・秒〜160cm3/cm2
秒であることことを特徴とする、第9の発明の感熱孔版
印刷用マスタである。本発明の第11の発明は、前記穿
孔は加熱印画手段によって形成されたことを特徴とす
る、第9又は10の発明の感熱孔版印刷用マスタであ
る。本発明の第12の発明は、第9又は10の発明の感
熱孔版印刷用マスタを装着した製版印刷機である。本発
明の第13の発明は、前記樹脂薄層と前記多孔性樹脂膜
を構成する樹脂と少なくとも2種類の溶媒からなり、該
溶媒の一方が前記樹脂に対し良溶媒で他方が貧溶媒であ
る塗布液を樹脂フィルムに塗布した後、乾燥することを
特徴とする、第1乃至8の発明の感熱孔版印刷用マスタ
の製造方法である。本発明の第14の発明は、良溶媒を
貧溶媒に対し多量に使用することを特徴とする、第13
の発明の感熱孔版印刷用マスタの製造方法である。本発
明の第15の発明は、樹脂薄層形成用塗布液を樹脂フィ
ルム面上に塗布乾燥して樹脂フイルム上に樹脂薄層を形
成した後、該樹脂薄層上に多孔質樹脂膜形成用塗布液を
塗布乾燥して多孔性樹脂膜を形成することを特徴とす
る、第1乃至9の発明の感熱孔版印刷用マスタの製造方
法である。本発明の第16の発明は、多孔性樹脂膜と樹
脂薄層とからなる感熱孔版印刷用マスタ用樹脂積層材料
である。本発明の第17の発明は、第17の発明の樹脂
積層材料と樹脂フイルムとからなる感熱孔版印刷用マス
タである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示
し、本発明をさらに詳細に説明する。本発明の感熱孔版
印刷用マスタは、樹脂フィルム面上に樹脂薄層と多孔性
樹脂膜とをこの順に設けたものである。該樹脂薄層と
は、多孔性樹脂膜側の樹脂フィルム上全面に亘って密着
して存在するもので、通常孔が実質上ないが、樹脂フィ
ルムの穿孔時に樹脂フイルムと共に孔が形成されるもの
である。本発明の感熱孔版印刷用マスタとしては、後述
する製造方法で明らかなように、樹脂フィルム面上に樹
脂薄層と多孔性樹脂膜とが連続した一体物として形成さ
れる場合と、樹脂フィルム面上に樹脂薄層と多孔性樹脂
膜とが順次別体として形成される場合とが包含される。
従がって、樹脂薄層と多孔性樹脂膜との境界がある場合
とない場合があり、その間で剥離が起きない状態である
ことが重要である。剥離を起こさないという意味では、
樹脂薄層と多孔性樹脂膜とが一体物、特に同じあるいは
同種類の材料で構成される一体物であった方が好ましい
と言える。このような状況から、樹脂薄層と多孔性樹脂
膜とが一体物である感熱孔版印刷用マスタについては、
樹脂フィルム面上に多孔性樹脂膜を設けたものであっ
て、樹脂フィルム表面に密着する多孔性樹脂膜部分が全
面に亘って孔が実質上存在しないものと言い換えること
もできる。本発明のマスタとしては、上記構造に加え
て、熱可塑性樹脂フィルムを開口面積率20%以上に穿
孔した場合に通気度が2.0〜160cm3/cm2・秒
であるような特性を有するものが好ましい。図1に本発
明を構成するマスタ(下記実施例1のマスタ)の樹脂フ
ィルムを樹脂薄層から剥離した薄層表面部分のSEM
(日立製作所製走査型電子顕微鏡S−2400)による
写真の一例を示す。図1(a)及び(b)はそれぞれ倍
率200倍及び500倍である。樹脂薄層を通して樹脂
薄層の反対側の多孔膜が見える。又、樹脂薄層の1部に
は故意に小孔があけられているため多孔膜が観察され
る。図2は図1のマスタの多孔膜表面のSEMによる一
例の写真である。図2(a)〜(c)はそれぞれ倍率2
00倍、500倍及び1000倍である。
【0011】上述のように、本発明の感熱孔版印刷用マ
スタを構成する樹脂薄層は、常態では孔が存在しないも
のであるが、サーマルヘッドのような加熱印画手段によ
って樹脂フィルムを穿孔する際に、同時に樹脂フィルム
と共に破壊され、インクの通過する孔が形成される。孔
が形成されるメカニズムは明らかではないが、熱穿孔時
にフィルムがその歪みにより孔を拡大していく過程で、
樹脂フィルムに接着している樹脂薄層もともに孔を形成
するものと推定される。従って樹脂薄層を構成する樹脂
は硬すぎると熱感度を低下し、熱穿孔が行われにくくな
る傾向があり、また逆に柔らかすぎる樹脂は感熱孔版印
刷用マスタのコシを小さくする傾向があるため、選択に
は注意が必要である。また、樹脂薄層の厚さは大きすぎ
ると、熱穿孔を障害となり、熱感度が低下させることに
もなる。樹脂フィルムの熱感度とか加熱印画手段の余裕
度にもよるが、多孔性樹脂膜の樹脂薄層の厚さは、即ち
多孔膜の樹脂フィルムの厚さを越えないことが望まし
い。しかし薄すぎると多孔膜とフィルムの接着向上、お
よびマスタのコシに対する寄与が小さくなるので、好ま
しくは樹脂フィルムの厚さの1%以上であることが望ま
しい。このような状況から、樹脂薄層の厚さは、0.0
01μmから10μmの範囲が好ましい。
【0012】本発明の感熱孔版印刷用マスタの多孔性樹
脂膜と樹脂薄層を構成する材料としては、特に限定され
ず、その種類も同種であって異種であっても、さらに単
独のみならず2種以上を混合して用いてもよい。その例
として次のようなものを挙げることが出来る。ポリ酢酸
ビニル、ポリビニルブチラール、塩化ビニル−酢酸ビニ
ルコポリマー、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマ
ー、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー、スチレ
ン−アクリロニトリルコポリマー等のようなビニル系樹
脂、ポリブチレン、ナイロン等のポリアミド、ポリフェ
ニレンオキサイド、(メタ)アクリル酸エステル、ポリ
カーボネート、アセチルセルロース、アセチルブチルセ
ルロース、アセチルプロピルセルロース等のセルロース
誘導体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂。
【0013】本発明の感熱孔版印刷用マスタでは、多孔
性樹脂膜は樹脂薄層を介して樹脂フィルムの全面と接す
る構造を有しているため、前述の従来公知の樹脂フイル
ム上に多孔性樹脂膜を直接設けた樹脂薄層を有しない感
熱孔版印刷用マスタに比較して、多孔性樹脂膜と樹脂フ
ィルムが大きな接着強度で接着している。従がって、樹
脂フィルムを樹脂薄層と共に加熱印画手段で穿孔した後
でも、樹脂薄層と樹脂フィルムとの強固な接着力は変わ
らず、たとえ印刷途中で感熱孔版印刷用マスタが破れて
も多孔性樹脂膜だけを印刷機の版胴に残すことなく取り
除くことができる。これは、多孔性樹脂膜が樹脂フィル
ムと限られた面積でのみ接する従来の多孔性樹脂膜を設
けた感熱孔版印刷用マスタとは全く異なる構造であっ
て、しかも本発明の感熱孔版印刷用マスタの樹脂薄層が
熱感度にほとんど影響を及ぼさないためであると考えら
れる。このような樹脂薄層と樹脂フィルムとの強固な接
着力の点から、多孔性樹脂膜と樹脂薄層を構成する樹脂
としては、その組成成分の少なくとも一部を共有してい
ることが特に好ましい。
【0014】本発明のマスタの多孔性樹脂膜の形成、強
度、孔径の大きさ、コシを調節するために、多孔性樹脂
膜中に必要に応じてフィラーなどの添加剤を添加するこ
とができる。ここにおいてフィラーとは顔料、粉体や繊
維状物質も含まれる概念である。その中で特に針状、板
状、もしくは繊維状のフィラーが好ましい。その具体例
としては、ケイ酸マグネシウム、セピオライト、チタン
酸カリウム、ウオラストナイト、ゾノライト、石膏繊
維、等の鉱物系針状フィラー、非酸化物系針状ウィス
カ、酸化物系ウィスカ、複酸化物系ウィスカ等の人工鉱
物系針状フィラー、マイカ、ガラスフレーク、タルク等
の板状フィラー、カーボンファイバー、ポリエステル繊
維、ガラス繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維、アクリ
ル繊維等の天然又は合成の繊維状フィラーがあげられ
る。顔料は酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル
酸メチル等の有機ポリマー粒子、カーボンブラック、酸
化亜鉛、二酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ等の無
機顔料である。これらの添加剤の添加量は、好ましくは
多孔性樹脂膜、樹脂薄層を構成する樹脂に対して5〜2
00重量%である。5重量%以下ではカールが発生し易
くなり、200重量%以上では多孔性樹脂膜の強度が低
下することがある。更に、本発明の多孔性樹脂膜、樹脂
薄層には、本発明の効果を阻害しない範囲で帯電防止
剤、スティック防止剤、界面活性剤、防腐剤、消泡剤な
どを併用することができる。
【0015】本発明の感熱孔版印刷用マスタを構成する
樹脂フィルムとして用いられるものは、加熱して穿孔す
るものであれば特に限定されないが、特に熱可塑性であ
るものが好ましく、また樹脂薄層を構成する樹脂と同じ
あるいは同種類のものを少なくとも含む樹脂を用いるこ
とが好ましい。樹脂フィルムの厚さは、0.5〜10μ
mである。0.5μm未満では薄すぎて樹脂液の塗布が
困難であり、10μmを越えるとサーマルヘッドでの穿
孔が困難となる。マスタ全体のコシを高めるために、樹
脂フィルム自体厚いものを用いれば良いが、それでは穿
孔感度が落ちることになる。樹脂フィルム自体の厚さと
しては、0.5〜7μmのものが特に好ましい。
【0016】熱可塑性樹脂フィルムとしては、次のよう
なものを挙げることができる。塩化ビニル、塩化ビニル
−塩化ビニリデンコポリマー、ポリプロピレン、ポリエ
ステル等の従来より感熱孔版印刷用マスタに使用されて
いるフィルム、特に二軸延伸したポリエステルが好適に
使用できる。熱可塑性樹脂フィルムについてさらに詳細
に説明する。押し出し法や流延法等で形成される一般的
熱可塑性樹脂フィルムの製法で良く、ポリエステル系、
ナイロン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、塩化
ビニル系、アクリル酸誘導体系、エチレン−ビニルアル
コール系、ポリカーボネート系等の単一重合体又は共重
合体が好ましい原料である。これらのうち特に好適なの
はポリエステル系共重合体であり、異種のポリカルボン
酸及び/又は異種のポリオールが成分中に存在する各種
ポリエステルが良い。また、ナイロン系重合体でも2種
以上のホモナイロンを共重合させた共重合ナイロンが特
に好ましい。
【0017】原版に使用される好ましい樹脂フィルムと
しては、高穿孔感度のフィルムであり、そのためフィル
ム材料の熱可塑性樹脂は結晶化度15%以下のものが良
く、より好ましいのは実質的に非晶質なレベルの熱可塑
性樹脂である。前記したように、ポリエステル系やナイ
ロン系重合体として異種化合物を含む共重合体系が好ま
しい理由の1つも、共重合体系の方が結晶化し難いから
である。熱可塑性樹脂フィルムとして、延伸されている
もの、特に二軸延伸されていることが好ましい。一般的
な延伸方法として加熱ロールにより縦延伸しテンター等
により横延伸することにより製造される。
【0018】樹脂フィルムには必要に応じて、難燃剤、
熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔
料、染料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤ある
いはポリシロキサン等の消泡剤等を配合する事ができ
る。さらには必要に応じて易滑性を付与する事もでき
る。易滑性付与方法としては特に制限はないが、例え
ば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カ
オリン、タルク、湿式あるいは乾式シリカなどの無機粒
子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒
子等を配合する方法、内部粒子による方法、界面活性剤
を塗布する方法等がある。また、本発明の感熱孔版印刷
用マスタにおいては、多孔性樹脂膜及び樹脂薄層を形成
した「樹脂フィルム」の反対面にサーマルヘッドとのス
ティック防止等のためのスティック防止層を設けること
ができる。この場合、使用されるスティック防止剤とし
ては、従来の感熱孔版印刷用マスタで一般に使用されて
いるシリコーン系離型剤、フッソ系離型剤、リン酸エス
テル系界面活性剤等が使用できる。
【0019】感熱孔版印刷用マスタの樹脂薄層と樹脂フ
ィルムの接着強度は、本発明の目的を達成するには、あ
る程度の大きさが必要であり、好ましくは1.0kg/
cm 2以上、より好ましくは2.0kg/cm2以上であ
る。この樹脂薄層と樹脂フィルムの接着強度は次のよう
に測定される。感熱孔版印刷用マスタの両表面(多孔性
樹脂膜表面と樹脂フィルム表面)に両面テープ(NIT
TO TAPE社製、商品名:両面テープ NITTO
巾5mm))を貼り、これを1cm×1cmの大きさ
に切り、樹脂フィルム面を下にして台に粘着させる。次
に、バネ計りにプラスチックスの板を取り付け、板の一
方の面を多孔膜面の粘着テープに粘着させる。バネ計り
を引き上げ、多孔膜(薄層)とフィルムが剥がれたとき
の目盛りを読んで測定する。
【0020】本発明の感熱孔版印刷用マスタとしては、
前述のように、樹脂薄層と多孔質樹脂膜とを一体で形成
したものを樹脂フィルム面上設けたものと、樹脂薄層と
多孔質樹脂膜とを樹脂フィルム面上に順次設けたものと
に大別できる。以下にこれらの製造法について説明する
が、これらの製造法に限定されないことは言うまでもな
い。第一に、樹脂薄層と多孔質樹脂膜との一体物を樹脂
フィルム面上設けたものを製造すること、言い換えれば
樹脂薄層と多孔質樹脂膜とを同時に一度の加工工程で樹
脂フィルム面上に形成することについて述べる。この製
造方法には、析出法と乳化法があるが、前者で形成した
ものの方が本発明の目的により有効であり、以後析出法
について説明する。析出法によって樹脂薄層と多孔質樹
脂膜とを同時に一体物状に形成する基本的な方法は、
「少なくとも部分的には混合可能な溶剤AとB及びAに
可溶でBには実質的に不溶な樹脂Rを少なくとも含む
(すなわち樹脂Rに対して、Aが良溶媒でBが貧溶媒で
ある)塗布液」を樹脂フィルムに塗布した後、乾燥する
ことである。
【0021】この方法は、樹脂R、良溶媒Aおよび貧溶
媒Bの特性と配合割合、樹脂フィルム表面の特性、塗布
時点の温湿度、塗布速度及び乾燥条件などに左右され
る。特に樹脂薄層が形成するための条件として、良溶媒
Aと貧溶媒Bの使用割合が重要であり、良溶媒Aは貧溶
媒Bに対し多量に使用することが好ましいが、その使用
割合が大きすぎると多孔性樹脂膜の孔が形成し難くなる
場合があり、使用割合が小さすぎると孔は大きくなりす
ぎて場合が出てきて多孔性樹脂膜の機能が損なわれるこ
とがあるため、良溶媒Aは貧溶媒Bに対し重量比で13
/1〜20/1程度の比率になるように多量に使用する
ことが特に好ましい。樹脂薄層が形成するための他の条
件としては、良溶媒Aは樹脂Rへの溶解性がより大きく
かつ貧溶媒Bが樹脂Rへの溶解性がより小さいほど好ま
しく、また良溶媒Aは樹脂フィルムとの親和性が大きい
ほど好ましく、さらに良溶媒Aの沸点は貧溶媒Bのそれ
より15〜40℃ほど低いことが望ましいこと等を挙げ
ることができる。これらの樹脂薄層を形成するための条
件は、多孔性樹脂膜の孔の大きさ、分布等に影響するの
で注意深く選定する必要がある。良溶媒A、貧溶媒B及
び樹脂Rの具体例としては、例えば特開平10−246
67号公報に開示されるものが挙げられる。なお、塗布
にはブレード、トランスファーロール、ワイヤバー、リ
バースロール、グラビア、ダイ等の各種方式のコーター
が用いられる。
【0022】析出法によって、多孔性樹脂膜及び樹脂薄
層が一度の加工工程で形成されるメカニズムは明らかで
ないが、塗布表面から良溶媒Aが蒸発するにしたがっ
て、表面部分の貧溶媒Bの割合が大きくなり、樹脂が核
を中心に析出しはじめ、それが連結して次第に不定形な
多孔性樹脂膜が形成されていき、この過程で樹脂フィル
ムとの境界が塗布表面から離れているために良溶媒Aが
蒸発せずに比較的高濃度で存在し、その結果樹脂が析出
せずに孔を有しない樹脂薄層が形成されるものと考えら
れる。
【0023】本発明の感熱孔版印刷用マスタのうちの、
第二の樹脂薄層と多孔質樹脂膜とを樹脂フィルム面上に
順次設けるものについては、樹脂薄層形成用塗布液と多
孔質樹脂膜形成用塗布液を別途準備して、樹脂フィルム
面上順次塗布乾燥して製造する。多孔質樹脂膜は、例え
ば特開平10−24667号公報に開示される方法によ
って形成可能である。
【0024】さらに、本発明においては、樹脂薄層と多
孔質樹脂膜とからなる材料(感熱孔版印刷用マスタ用樹
脂積層材料という。)を別途準備し、それを樹脂フイル
ムと貼り合わせるなどして、本発明の感熱孔版印刷用マ
スタとすることもできる。該感熱孔版印刷用マスタ用樹
脂積層材料は、例えば前記の析出法あるいは乳化法によ
って樹脂薄層と多孔質樹脂膜とを同時に樹脂フィルム面
上に形成する方法、又は樹脂薄層と多孔質樹脂膜とを順
次樹脂フィルム面上に形成する方法において、樹脂フィ
ルムの代りに、フッ素系樹脂シートのような表面の接触
角が高く接着性の比較的低いシートを用い、乾燥後剥離
して形成することができる。
【0025】多孔性樹脂膜と樹脂薄層の合計の厚さは、
好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは6〜50
μmである。印刷時の紙へのインク転写量は多孔性樹脂
膜と樹脂薄層の合計の厚みによって調節でき、その厚さ
が5μmに満たない場合は、サーマルヘッドによる穿孔
後に穿孔部の背後に多孔性樹脂膜が残りにくく、従って
インク転写量が制御されずに印刷物の裏移りが悪くなり
易い傾向にある。一方、多孔性樹脂膜と樹脂薄層の合計
の厚みが100μmを越える場合には、インクの通過を
阻害して画像ムラの原因となる傾向がある。なお、多孔
性樹脂膜と樹脂薄層の厚さの測定はSEMによる断面写
真によって行う。多孔性樹脂膜と樹脂薄層の合計の付着
量は、0.5g/m2〜25g/m2が好ましく、2g/
2〜15g/m2がより好ましく、3g/m2〜10g
/m2がさらに好ましい。
【0026】本発明の感熱孔版印刷用マスタのコシは、
薄層の存在しない公知のものに比較して優れたものであ
るが、印刷機上での搬送性を考慮すると、ローレンツエ
ンステイフネステスタによる曲げ剛度が10mN以上で
あることが好ましく、特に15〜55mNであることが
より好ましい。曲げ剛度の調整は、例えば多孔性樹脂膜
の厚さ、密度の調整、フィラー等の添加により行うこと
ができる。
【0027】さらに本発明の感熱孔版印刷用マスタにお
いては、印刷機上における搬送性を向上させるために、
多孔性樹脂膜の樹脂薄層側でない表面上に、多孔性薄葉
紙、多孔質の合成繊維抄造紙、各種織布、不織布などの
ような多孔性支持体を貼りつけるなどして設けて、その
コシを補強することができる。多孔性薄葉紙としては、
こうぞ、みつまた、亜麻などの天然繊維、さらにこれら
にビニロン、ポリエステルなど合成樹脂を混合したもの
が用いられる。特に坪量1〜12グラム/m2、密度
0.1〜0.8グラム/ml、透気度0.5〜12秒/
96枚(測定はいずれもJIS法による)の特性をもつ
多孔性薄葉紙が好ましい。この多孔性支持体を多孔性樹
脂膜に接着するには、例えばマルチロールコーティン
グ、リバースロールコーティング、等のような公知の手
段によって接着剤を多孔性支持体の表面に塗布した後、
多孔性樹脂膜面と圧着して、接着剤を乾燥あるいは硬化
させて行われる。接着剤としては、例えば、ウレタン系
樹脂、ジイソシアネートとポリエーテルジオールとの反
応プレポリマー、活性水素含有樹脂とポリイソシアネー
トとの混合接着剤、紫外線、電子線硬化接着剤などがあ
る。接着剤の塗布量としては0.03〜5.0g/
2、好ましくは0.05〜1.5g/m2、さらに好ま
しくは0.1〜1.0g/m2である。
【0028】本発明の感熱孔版印刷用マスタは、支持体
である樹脂フイルムが通常長尺のものを用いて製造さ
れ、製品としては該樹脂フイルム上に樹脂薄層と多孔性
樹脂膜を前記方法によって設けた長尺のマスタが管状体
を芯としてロール状に巻き付けられた形態のものが多
い。管状体としては、筒状でも棒状でも良く、材質が紙
製あるいはプラスチック製等があり、長さが10から2
00mm好ましくは、180mmから330mmで、径
が0.5〜6インチφ、好ましくは1.5〜3.0イン
チφのものを用いることができる。
【0029】さらに、感熱孔版印刷用マスタに画像状に
穿孔する方法として公知のものが適用可能であり、例え
ば次のような方法を挙げることができる。 赤外線方式;樹脂フィルム面に原稿の画像面を密着さ
せ、樹脂フィルム側からハロゲンランプまたはキセノン
ランプのような赤外線(ハロゲンランプまたはキセノン
ランプを使用)を照射して穿孔する方式。 サーマルヘッド方式;デジタル的な電気信号を与えた
サーマルヘッドを樹脂フィルム面に押し当ててその部分
を画像状に加熱溶融してする穿孔する方式。 レーザービーム方式;のサーマルヘッドの代りにレ
ーザービームを用い、樹脂フィルム面に照射して画像状
に穿孔する方式。
【0030】
【実施例】次に、本発明のマスタについて実施例に基づ
いて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。なお、以下に示す部はいずれも重量基準で
ある。
【0031】実施例1 ポリビニルブチラール(電気化学工業社製、PVB40
00−1)4.0部をメタノール33.6に溶解した。
この溶液に水2.2部を撹拌しながらゆっくり添加して
かすかに白濁した塗布液を得た。樹脂フイルムとして厚
さ2.0μmの2軸延伸ポリエステルフィルムを用い、
この上に前記塗布液を、20℃50%RHの雰囲気中で
ワイヤバーにて乾燥後付着量が7.0g/m2となるよ
うに均一塗布し、50℃の乾燥ボックスで3分間乾燥
し、連続一体化した樹脂薄層及び多孔性樹脂膜を形成し
た。多孔性樹脂膜の表面にセロファンテープを貼り付
け、多孔性樹脂膜を樹脂フィルムからはがし、セロファ
ンテープからはみ出した多孔性樹脂膜を紙に乗せ、多孔
性樹脂膜にインクを付けたところ、インクは紙に付か
ず、樹脂薄層が形成されていることが確認された。SE
Mの写真から測定した樹脂薄層の厚さは約0.4μmで
あった。樹脂フイルムの多孔性樹脂膜が形成された面と
は反対面に、シリコンとカチオン系帯電防止剤[第一工
業製薬(株)製DSKエレノンNo.19M]の混合物
を、乾燥後の付着量が0.05g/m2になるように塗
布して、熱溶融したフィルムがサーマルヘッドにスティ
ックするのを防止するため、及び帯電防止を目的として
スティック防止層を設けて本発明の感熱孔版印刷用マス
タを得た。
【0032】実施例2 ポリビニルブチラール(電気化学工業社製、PVB40
00−1)4.0部、メタノール33.6部およびチタ
ン酸カリウム系ウィスカ(大塚化学社製、トフィカY)
0.8部からなる混合液を、ボールミルにて分散混合
し、水2.3部をゆっくり撹拌しながら添加して白濁し
た塗布液を得た。この塗布液を用いること以外は、実施
例1と同様にして、樹脂フイルム上に樹脂薄層と多孔性
樹脂膜を形成し、かつスティック防止層が設けて、本発
明の感熱孔版印刷用マスタを得た。実施例1と同様にし
て、樹脂薄層が形成されていることを確認し、その厚さ
を測定したところ約0.4μmであった。
【0033】実施例3 樹脂フイルムとしての厚さ2.0μmの2軸延伸ポリエ
ステルフィルム(三菱化学ポリエステルフイルム社製)
上に、ポリイソシアネート(コロネートL.日本ポリウ
レタン社製)と酢酸ビニル樹脂(バイロン50S.東洋
紡社製)を固形分比率が1対1の割合で酢酸エチルを溶
媒とする塗布液(固形分濃度5%)を、乾燥付着量で
0.01g/m2になるように均一塗布し、樹脂薄層を
形成した。樹脂薄層の膜厚は、約0.3μmであった。
次にポリビニルブチラール(電気化学工業社製、PVB
4000−1)4.0部をメタノール33.6部に溶解
した液に、水2.8部を撹拌しながらゆっくり添加して
白濁塗布液を得た。これを20℃50%RHの雰囲気中
で、ワイヤバーにて乾燥後付着量が7.0g/m2とな
るように上記薄層上に均一塗布した後、50℃の乾燥ボ
ックスで3分間乾燥し、多孔性樹脂膜を形成した。さら
に、樹脂フイルムの多孔性樹脂膜が形成された面と反対
面に、実施例1と同様にしてスティック防止層を設け、
本発明の感熱孔版印刷用マスタを得た。
【0034】実施例4 ポリビニルブチラール(電気化学工業社製、PVB40
00−1)4.0部、メタノール33.6部およびチタ
ン酸カリウム系ウィスカ(大塚化学社製、トフィカY)
0.8部からなる混合液をボールミルにて分散混合し、
さらに水2.3部をゆっくり撹拌しながら添加して白濁
塗布液を得た。この塗布液を用いること以外は、実施例
1と同じ条件で、樹脂フイルム上に多孔性樹脂膜を形成
した。実施例1と同様にして、樹脂薄層が形成されてい
ることを確認し、その厚さを測定したところ約0.5μ
mであった。次に多孔性樹脂膜上に、坪量7.5g/m
2のポリエステル繊維を主体とした多孔性支持体(旭化
成社製)をウレタン系系接着材(ウレタンエマルジョン
接着剤:アデカボンタイターHUX−401 5wt%
水溶液)を用いて張り合わせた。さらに、実施例1と同
じ条件でスティック防止層を設け、本発明の感熱孔版印
刷用マスタを得た。
【0035】比較例1 実施例1において水の量を2.8部とした以外は、実施
例1と同様にして多孔性樹脂膜を形成し、その後開口面
積率サンプルを作成した。実施例1と同様にして薄層の
有無をテストしたがインクは紙に付着し薄層は認められ
なかった。
【0036】こうして得られた感熱孔版印刷用マスタの
各種特性を以下に示すようにして評価した。その結果を
表1に示す。 1.開口面積率 開口面積率は、マスタのフィルム面での貫通孔の合計面
積の全体の面積に占める割合を示す。同一マスタについ
て10cm×10cmの大きさのもの3枚を準備し、そ
れぞれの開口面積率が20%、50%、80%程度にな
るように穿孔する。本発明のマスタの場合には、樹脂薄
層も同時に穿孔することは言うまでもない。なお、開口
面積率を20%以上として、以下の通気度を測定すると
した理由は、20%より小さいと多孔膜の通気度は十分
であるとしても、印刷に供した場合にフィルムによって
インクの通過が妨げられるためである。このような所望
の開口面積率を得るために、穿孔装置としてはPRIP
ORTVT 3820(リコー社製:東芝社製サーマル
ヘッド搭載)を用い、サーマルヘッドに印加するエネル
ギー及び/又はサーマルヘッドの発熱体サイズを任意に
変えて行なう。次に、光学顕微鏡にて、穿孔されたマス
タの拡大写真を撮影し(倍率100倍)、次いで普通紙
複写機(リコー社製:イマジオ530)にて拡大コピー
する。OHPフィルムに開口部をマーキングする。その
OHPフィルムをスキャナ(300DPI・256階
調)にて読み取り、画像レタッチソフト・Adobe
Photoshop 2.5Jを用い、2値化する。そ
の後、画像解析ソフトでマーキングした開口部の面積率
を測定する。
【0037】2.通気度 通気度は、マスタを印刷に供した場合に優れた印刷特性
を得るための、インク通過性を示すものである。通気度
が、2.0cm3/cm2〜160cm3/cm2・秒であ
れば、所望のインク通過性を示すものである。マスタの
通気度は小さすぎても大きすぎても良好な印刷品質が得
られない。通気度が2.0cm3/cm2・秒に満たない
場合はインクの通過を妨げることになり易く、160c
3/cm2・秒を越えるとインクが過剰に押出され、裏
移りや滲み等の不具合が発生するからである。前記1に
おいて所望の開口面積率を得られたサンプルについて、
Permeameter(通気度試験器、東洋精機製作
所社製)を用いて通気度を測定する。
【0038】(以下の各種試験は、PRIPORT V
T 3820(リコー社製:東芝社製サーマルヘッド搭
載)システムを用いて行なった。 3.穿孔感度 マスタのフィルム部分がサーマルヘッドによって、全く
正常に穿孔されるものを◎、穿孔されるが部分的に穿孔
径が小さくなるものを○、部分的に穿孔されない物を
△、で示す。1.印刷濃度 印刷用紙としてNBSリコー社製NBSぺーパーを用
い、印刷速度3速で20枚目をマクベス濃度計で測定し
た。 4.印刷むら 印刷画像を肉眼で観察し、にじみやカスレ、濃度むらが
いずれも現行マスタ(リコー社製、VT−2マスタ)よ
りも非常に優れる物を◎、現行マスタよりも若干優れる
物を○、現行マスタと同等であるものを×、で示す。 5.裏移り 印刷物を肉眼で観察し、現行マスタ(リコー社製、VT
−2マスタ)よりも非常に優れる物を◎、現行マスタよ
りも若干優れる物を○、現行マスタと同等であるものを
×、で示す。
【0039】
【表1】 全ての実施例のサンプルはPRIPORT VT 38
20システムを用いて200枚印刷後、版胴上で故意に
破ってその残さを版胴上から手で取り除いたが、フィル
ムと多孔膜がはがれることはなかった。一方、比較例1
のサンプルはフィルムと多孔膜がはがれてしまった。さ
らに全ての実施例のサンプルはコシも大きく、テストの
印刷機による搬送も満足できるものであった。
【0040】
【発明の効果】本発明により、すぐれた画質、少ない裏
移り特性を保持しつつ、コシが強く、大きな接着強度を
持つ感熱孔版印刷用マスタが得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を構成するマスタのフィルムを薄層から
剥離した薄層表面部分のSEMによる写真の一例を示す
図である。 (a)200倍 (b)500倍
【図2】本発明を構成するマスタの多孔膜表面のSEM
による写真の一例を示す図である。 (a)500倍 (b)500倍 (c)1000倍
フロントページの続き (72)発明者 新井 文明 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 利元 正則 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 田中 哲夫 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 立石 比呂志 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂フィルム上に多孔性樹脂膜を有する
    感熱孔版印刷用マスタであって、該樹脂フィルムと該多
    孔性樹脂膜の間に樹脂薄層を設けたことを特徴とする感
    熱孔版印刷用マスタ。
  2. 【請求項2】 前記樹脂フィルムが熱可塑性であること
    を特徴とする、請求項1に記載の感熱孔版印刷用マス
    タ。
  3. 【請求項3】 前記樹脂薄層を構成する少なくとも一つ
    の樹脂成分は、前記多孔性樹脂膜を構成する樹脂成分と
    同一であることを特徴とする、請求項1または2に記載
    の感熱孔版印刷用マスタ。
  4. 【請求項4】 前記樹脂薄層を構成する樹脂成分は、前
    記多孔性樹脂膜を構成する樹脂成分と異なることを特徴
    とする、請求項1または2に記載の感熱孔版印刷用マス
    タ。
  5. 【請求項5】 前記樹脂薄層と前記多孔性樹脂膜とが一
    体物であることを特徴とする、請求項1乃至4に記載の
    感熱孔版印刷用マスタ。
  6. 【請求項6】 前記多孔性樹脂膜の前記樹脂フィルム側
    と反対側の表面上に多孔性支持体層を設けてなることを
    特徴とする、請求項1乃至5に記載の感熱孔版印刷用マ
    スタ。
  7. 【請求項7】 曲げ剛度が20〜40mNであることを
    特徴とする、請求項1乃至6に記載の感熱孔版印刷用マ
    スタ。
  8. 【請求項8】 管状の芯体にロール状に巻き付けてなる
    ことを特徴とする、請求項1乃至7に記載の感熱孔版印
    刷用マスタ。
  9. 【請求項9】 画像状の穿孔を有することを特徴とす
    る、請求項1乃至9に記載の感熱孔版印刷用マスタ。
  10. 【請求項10】 前記樹脂フイルムを開口面積率20%
    以上に穿孔した場合に、通気度が2.0cm3/cm2
    秒〜160cm3/cm2・秒であることことを特徴とす
    る、請求項9に記載の感熱孔版印刷用マスタ。
  11. 【請求項11】 前記穿孔は加熱印画手段によって形成
    されたことを特徴とする、請求項9又は10に記載の感
    熱孔版印刷用マスタの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項9又は10に記載の感熱孔版印
    刷用マスタを装着した製版印刷機。
  13. 【請求項13】 前記樹脂薄層と前記多孔性樹脂膜を構
    成する樹脂と少なくとも2種類の溶媒からなり、該溶媒
    の一方が前記樹脂に対し良溶媒で他方が貧溶媒である塗
    布液を樹脂フィルムに塗布した後、乾燥することを特徴
    とする、請求項1乃至8に記載の感熱孔版印刷用マスタ
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 良溶媒を貧溶媒に対し多量に使用する
    ことを特徴とする、請求項13に記載の感熱孔版印刷用
    マスタの製造方法。
  15. 【請求項15】 樹脂薄層形成用塗布液を樹脂フィルム
    面上に塗布乾燥して樹脂フイルム上に樹脂薄層を形成し
    た後、該樹脂薄層上に多孔質樹脂膜形成用塗布液を塗布
    乾燥して多孔性樹脂膜を形成することを特徴とする、請
    求項1乃至9に記載の感熱孔版印刷用マスタの製造方
    法。
  16. 【請求項16】 多孔性樹脂膜と樹脂薄層とからなる感
    熱孔版印刷用マスタ用樹脂積層材料。
  17. 【請求項17】 請求項17に記載の樹脂積層材料と樹
    脂フイルムとからなる感熱孔版印刷用マスタ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002200856A (ja) * 2000-10-27 2002-07-16 Tohoku Ricoh Co Ltd 感熱孔版印刷用マスタ、感熱孔版印刷装置及び感熱孔版印刷方法
JP2003011540A (ja) * 2001-06-29 2003-01-15 Ricoh Co Ltd 感熱孔版印刷用原紙
US6595129B2 (en) 2001-07-31 2003-07-22 Tohoku Ricoh Co., Ltd. Heat-sensitive stencil, process of preparing stencil printing master and stencil printer

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