JP2004066737A - 感熱孔版印刷用原紙及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】600dpi等の繊細な印刷においてもベタ均一性に優れ、更に生産性を向上させることができる感熱孔版印刷用原紙及びその製造方法の提供。
【解決手段】(1)熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多孔性樹脂層を有し、更にその多孔性樹脂層の表面に多孔性繊維膜が積層されている感熱孔版印刷用原紙において、該多孔性繊維膜がバインダー繊維を含み、更に該多孔性繊維膜の一方の面が前記多孔性樹脂層に直接固着されている感熱孔版印刷用原紙。
(2)熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に、多孔性樹脂層形成用の塗布液を塗布し乾燥して多孔性樹脂層を形成し、これとは別にバインダー繊維を含有する多孔性繊維膜の少なくとも一方の面を加熱してバインダー繊維を軟化・溶融させ、次いで該軟化・溶融面と前記多孔性樹脂層とを積層・圧着してラミネートを完了する感熱孔版印刷用原紙の製造方法。
【選択図】 図6
【解決手段】(1)熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多孔性樹脂層を有し、更にその多孔性樹脂層の表面に多孔性繊維膜が積層されている感熱孔版印刷用原紙において、該多孔性繊維膜がバインダー繊維を含み、更に該多孔性繊維膜の一方の面が前記多孔性樹脂層に直接固着されている感熱孔版印刷用原紙。
(2)熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に、多孔性樹脂層形成用の塗布液を塗布し乾燥して多孔性樹脂層を形成し、これとは別にバインダー繊維を含有する多孔性繊維膜の少なくとも一方の面を加熱してバインダー繊維を軟化・溶融させ、次いで該軟化・溶融面と前記多孔性樹脂層とを積層・圧着してラミネートを完了する感熱孔版印刷用原紙の製造方法。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュバルブなどによる閃光照射、赤外線照射、レーザー光線等のパルス的照射、或いはサーマルヘッド等によって穿孔製版される感熱孔版印刷用原紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱可塑性フィルムに、インキ通過性の支持体として、天然繊維、合成繊維の単独又は混抄した多孔性薄葉紙を接着剤で貼り合わせた感熱孔版原紙が用いられている。しかし、こうした繊維から成る多孔性薄葉紙を支持体として用いた感熱孔版印刷用原紙には、次のような問題点がある。
(1)接着剤を用いて多孔性薄葉紙とフィルムを貼り合わせるため、接着剤が多孔性薄葉紙の繊維間に鳥の水掻きのように集積し、その部分はサーマルヘッドによる穿孔が行われ難くなりインキの通過が妨げられ印刷ムラが発生し易くなる。
(2)多孔性薄葉紙の繊維自体がインキの通過を妨げ、印刷ムラが発生し易くなる。
(3)多孔性薄葉紙の繊維目によりフィルム面の平滑性が低下しサーマルヘッドとの密着が悪くなり未穿孔部ができるため印刷ムラが発生する。
【0003】
こうした問題を改善するために幾つかの提案がなされているが、未だ満足できるものは得られていない。
例えば、特開平3−193445号公報には、多孔性支持体として、繊度1デニール以下の合成繊維から成る薄葉紙を用いることが開示されているが、前記の問題解決には充分とは言えない。また、特開昭62−198459号公報には、熱可塑性フィルムに対し、実質的に閉じた形状の放射線硬化型樹脂パターンをグラビア、オフセット、フレキソ等により印刷して多孔性支持体を形成する方法が開示されている。しかし、この方法では樹脂パターンの線幅を50μm以下にすることは困難であり、印刷部が穿孔できず、印刷ムラとなる。
また、特許第3171211号には、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体を接着剤を介することなく熱により接着する方法が開示されているが、この方法では、熱可塑性樹脂フィルム及び支持体を加熱して貼り合せる為に、該熱可塑性樹脂フィルムの熱収縮率を高める事ができず、穿孔感度が低く、サーマルヘッドによる穿孔に際し過大なエネルギーが必要となるという問題がある。また支持体は従来の薄葉紙からなっており、特に600dpi等の繊細な印刷を行おうとすると、充分なベタ均一性が得られないという問題がある。
【0004】
また、特開平3―240596号公報には、水分散性ポリマーとコロイダルシリカから成る分散液を熱可塑性フィルムの表面に塗布、乾燥して多孔性支持体を設け、粘度の低いインキジェット用インキで印刷する方法が開示されている。
しかし、この方法では多孔性支持体の開孔径が小さく、従来用いられている孔版用印刷インキではインキの通過が悪く、十分な印刷濃度が得られない。
一方、特開昭54−33117号公報には、多孔性支持体を用いない実質的に熱可塑性フィルムのみから成る感熱孔版印刷用原紙が開示されている。この発明は、熱収縮率が高く、フィルム厚み3μm以下のフィルムではサーマルヘッドによる穿孔性も良好で印刷品質は優れているが、腰が弱く印刷機での搬送ができないという問題がある。また搬送を良くするため厚いフィルムを使用するとサーマルヘッドによる穿孔性が低下し、印刷ムラが発生する。
また、特開平9−52469号公報には、穿孔性を改善するため微多孔性樹脂を含む接着層を設けることが開示されている。しかし、接着層として微多孔性層を塗布したのち直ちに多孔性支持体とウエットラミネート法により貼り合わされるため、微多孔層ができ難く、しかも印刷時に、ベタ画像に多孔性支持体の繊維による白抜けが発生し易いという問題点がある。
【0005】
本発明者は、先に熱可塑性フィルムの片面に多孔性樹脂膜を設けた感熱孔版原紙を提案した(特開平8−332785号公報、特開平10−24667号公報、特開平11−235885号公報参照)。
しかしながら、多孔性樹脂膜のみでコシ(Stiffness)を強くすることは困難であり、印刷機上で搬送時にシワが入る等の問題があった。
その後、本発明者は、この問題を解決すべく、特開平10−147075号公報、特開平10−236011号公報において、熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多孔性樹脂層を有し、更にその表面に繊維状物質からなる多孔性繊維膜を積層してなる感熱孔版印刷用原紙を提案した。
この感熱孔版印刷用原紙は、従来の感熱孔版印刷用原紙の多孔性支持体部分の機能分離をするという考えから発案されたもので、多孔性樹脂層でインキ制御を行ない、多孔性繊維膜で搬送性や耐刷性に必要なコシ・強度を補強するというものである。
【0006】
しかしながら特開平10−236011号公報に開示されている、多孔性樹脂層の多孔層形成過程で多孔性繊維膜を重ね合せ、該多孔性樹脂層を接着剤として用いるという方法では、多孔性膜の形成を妨げてしまい、目的とする多孔層が得られないという問題があった。
また、特開平10−147075号公報に開示されている、接着剤を用いて多孔性樹脂層と多孔性繊維膜を貼り合せる方法によれば、高粘度の接着剤を使用することで多孔性樹脂層の開口部をできる限り埋めることなく貼り合せることは可能となったが、限界があるため、接着剤によるインキ通過性の阻害が完全には解消されず、特に600dpi等の繊細な印刷を行う場合には白抜けとなって画像上に現れるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多孔性樹脂層を有し、更にその表面に繊維状物質からなる多孔性繊維膜を積層してなる感熱孔版印刷用原紙において、600dpi等の繊細な印刷においてもベタ均一性に優れ、更に生産性を向上させることができる感熱孔版印刷用原紙及びその製造方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、次の1)〜7)の発明(以下、本発明1〜7という)によって解決される。
1) 熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多孔性樹脂層を有し、更にその多孔性樹脂層の表面に多孔性繊維膜が積層されている感熱孔版印刷用原紙において、該多孔性繊維膜がバインダー繊維を含み、更に該多孔性繊維膜の一方の面が前記多孔性樹脂層に直接固着されている事を特徴とする感熱孔版印刷用原紙。
2) 多孔性繊維膜中のバインダー繊維含有量が40〜100重量%であることを特徴とする1)記載の感熱孔版印刷用原紙。
3) 多孔性繊維膜を構成するバインダー繊維が90〜120℃の温度でバインダー効果を発現することを特徴とする1)又は2)記載の感熱孔版印刷用原紙。
4) バインダー繊維が芯鞘構造の複合型繊維からなり、該鞘部を構成する樹脂部が90〜120℃の温度でバインダー効果を発現することを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
5) 該鞘部を構成する樹脂部がポリエステル系樹脂からなることを特徴とする4)記載の感熱孔版印刷用原紙。
6) 多孔性樹脂層の厚みが5〜50μmの範囲にある事を特徴とする1)〜5)の何れかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
7) 熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に、多孔性樹脂層形成用の塗布液を塗布し乾燥して多孔性樹脂層を形成し、これとは別にバインダー繊維を含有する多孔性繊維膜の少なくとも一方の面を加熱してバインダー繊維を軟化・溶融させ、次いで該軟化・溶融面と前記多孔性樹脂層とを積層・圧着してラミネートを完了することを特徴とする1)〜6)の何れかに記載の感熱孔版印刷用原紙の製造方法。
【0009】
以下、上記本発明について詳細に説明する。
本発明で言う「多孔性樹脂層」とは、溶剤に溶かした樹脂を析出させる等の方法により形成する多孔性の膜で、フィルム上に、図1に示すような多数の天井のあるセルの集合体、図2に示すようなハニカム状のセルの集合体、図3に示すような連泡状セルの集合体からなる泡状皮膜、図4に示すような粒形状の樹脂がくっ付き合って出来ている集合体状皮膜などが形成された膜からなる層を意味している。
上記した多孔性樹脂層の平均開孔径は、従来の繊維よりなる多孔性支持体に比べて小さくすることが可能であり、特に5〜20μmの範囲においては、一般に孔版印刷用として用いられるW/O型エマルジョンインキの分散性に優れ、高画質、特にベタ埋りの優れた印刷物を得る事ができる。
また、多孔性樹脂層の一つ一つの孔は厚み方向には連続しているがヨコ方向への繋がりは少なく、インキの回り込みを少なくできるので、従来の繊維よりなる多孔性支持体と同じ平均開孔径であっても過剰なインキ通過を抑制でき、裏移りに対して効果がある。
【0010】
また、多孔性樹脂層の形状としては、インキ分散性の点でハニカム状のセルの集合体が最も好ましいが、製法面からするとW/O型エマルジョンを主体とする流動体を熱可塑性樹脂フィルム上に塗布、乾燥して形成する方法が塗工安定性の面で好ましい。但し、この方法によると形状が泡状皮膜となってしまうが、ハニカム状に限りなく近づける事が可能であるから問題はない。
また、本発明で言う「多孔性繊維膜」とは、図5に示すような繊維状物質が多数重なり合うことにより形成される多孔性の膜を意味している。
この多孔性繊維膜は従来の孔版印刷用原紙の多孔性支持体と同じ構造であり、多孔性樹脂層に比べ機械的な強度が得られ易いという特徴がある。
多孔性繊維膜の平均開孔径は使用する繊維の太さ、坪量等により影響を受けるが、上記した多孔性樹脂層より大きく、通常25〜60μm程度である。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記の様に本発明1は、熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多孔性樹脂層を有し、更にその多孔性樹脂層の表面に多孔性繊維膜を積層してなる感熱孔版印刷用原紙において、該多孔性繊維膜がバインダー繊維を含み、更に該多孔性繊維膜の一方の面が前記多孔性樹脂層に直接固着してなる事を特徴とする感熱孔版印刷用原紙である。
本発明1において「多孔性繊維膜の一方の面が前記多孔性樹脂層に直接固着してなる」とは、多孔性樹脂層と多孔性繊維膜との接着が接着剤等により行われるのではなく、多孔性繊維膜に含まれるバインダー繊維のバインダー効果により行われていることを意味する。
本発明1によれば、多孔性樹脂層と多孔性繊維膜の間に接着剤が介在しない為、特に従来問題となっていた600dpi等の繊細な印刷においてもインキの通過性が優れ、ベタ均一性の優れた印刷物を得る事が可能となる。
【0012】
本発明2によれば、多孔性繊維膜中のバインダー繊維の含有量は40〜100重量%であり、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは60重量%以上である。含有量が40重量%より少ないと多孔性繊維膜と多孔性樹脂層の充分な接着力が得られない。
本発明で言う「バインダー繊維」とは、加熱により少なくとも一部が軟化して接着性を生じる繊維を意味し、本発明3のように、そのバインダー効果が生じる好ましい温度は90〜120℃であり、更に好ましくは90〜110℃である。バインダー効果が90℃未満で生じる場合には通常の保管においてブロッキング等の不具合が生じる恐れがあり、また製版時のサーマルヘッドの熱で変形してしまう恐れがある。120℃よりも高い温度でバインダー効果が生じる場合には、120℃よりも高い温度に多孔性繊維膜を加熱し多孔性樹脂層と重ね合わせる必要があるため、貼り合せ時の熱により熱可塑性樹脂フィルムの収縮が発生する恐れがある。
【0013】
上記温度範囲においてバインダー効果を発現する樹脂成分は、上記温度範囲で軟化ないし溶融する非結晶性の重合体又は共重合体である。
このようなものとしては、例えば、共重合ポリエステル(低融点PET)等のポリエステル系樹脂;変性ポリエチレン(低融点PE)、ポリエチレン(PE)、変性ポリプロピレン(低融点PP)等のポリオレフィン系樹脂;エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、共重合ナイロン、熱水溶融によるポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。
バインダー繊維には、複合型繊維と単一型繊維がある。複合型繊維は、高融点成分と低融点成分とからなる。この複合型には、サイドバイサイド型とシースコア型(芯鞘型)がある。サイドバイサイド型には、PET/低融点PET繊維、PP/PE繊維等がある。シースコア型には、PET/低融点PET繊維、PET/PE繊維、PET/低融点PP、PP/低融点PE繊維、PP/PE繊維、PET/低融点PP繊維、ナイロン66/ナイロン6繊維、PP/EVA繊維等がある。単一型には低融点PET(共重合ポリエステル)繊維、低融点PP繊維、PE繊維、PVA繊維等が挙げられる。
本発明においては、前記した温度でバインダー効果を発現するものである限り、バインダー繊維として用いることができる。
【0014】
本発明4〜5のように、バインダー繊維が芯鞘構造の複合型繊維からなる場合の、該鞘部を構成する樹脂部は、90〜120℃の温度でバインダー効果を発現することが望ましい。
特に、PET/低融点PET繊維で芯鞘構造のポリエステル複合繊維が、繊維強度及びバインダー効果を発現する温度範囲の点から好ましい。
この芯鞘構造の複合繊維中の鞘部分である共重合ポリエステルとしては、明確な融点を示さないが前記温度範囲内において軟化ないし溶融を生じるものを用いる。この軟化ないし溶融を生じる温度は、顕微鏡下の目視観察によって、繊維の交点で繊維表面の溶融を生じる温度として確認する事ができ、熱溶融温度や接着温度(binding temperature)とも称されている。
【0015】
バインダー繊維としては、各種のものが市販されており、本発明ではこれらの市販品を用いることができる。このようなものとしては、例えば芯成分としての高融点成分と鞘成分としての低融点成分からなるシースコア型複合繊維として、PET/低融点PET繊維では、(株)クラレ製ソフィット(R)N720、ソフィット(R)N720H、ユニチカ(株)製メルティ(R)4080、テイジン(株)製TJ04CNが、PET/PE繊維では、(株)クラレ製ソフィット(R)N716N、ユニチカ(株)製メルティ(R)6080、テイジン(株)製TJ04EN、ダイワボウ(株)製NBF(SH)、チッソ(株)製ETCが、PET/変性PP繊維では、ダイワボウ(株)製NBF(SP)が、PP/低融点PE繊維では、チッソ(株)製EACが、PP/PE繊維では、ダイワボウ(株)製NBF(H)、チッソ(株)製ESCが、PP/低融点PP繊維では、ダイワボウ(株)製NBF(P)、チッソ(株)製EPCが、PP/EVA繊維では、ダイワボウ(株)製NBF(E)が挙げられる。
高融点成分と低融点成分とからなるサイドバイサイド型複合繊維として、PET/低融点PET繊維では、(株)クラレ製ソフィット(R)N784が、PP/低融点PE繊維では、チッソ(株)製EAが、PP/PE繊維では、チッソ(株)製ESが挙げられる。
低融点繊維のみからなる単一型バインダー繊維としては、ユニチカ(株)製メルティ(R)4000が挙げられる。
PVA繊維としては、(株)クラレ製VPB101、VPB105−1、VPB105−2、ユニチカ(株)製SMM、SML、SMSが挙げられる。
【0016】
本発明に用いられる多孔性繊維膜は、上記したバインダー繊維単独で形成してもよいし、次のa)〜g)などとの混抄による薄葉紙でもよい。
a)ガラス、セピオライト、各種金属などの鉱物繊維
b)羊毛、絹などの動物繊維
c)綿、マニラ麻、コウゾ、ミツマタ、パルプ等の天然繊維
d)スフ、レーヨンなどの再生繊維
e)ポリエステル、ポリビニルアルコール、アクリルなどの合成繊維
f)カーボンファイバなどの半合成繊維
g)ウィスカ構造を有する無機繊維
【0017】
バインダー繊維としては、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔直径や厚さなどに応じて適当な太さのものを選択する必要があるが、直径20μm以下、好ましくは1〜10μmのものがよい。直径が1μmより小さいと引張り強度が弱く、20μmより大きいとインキ通過が妨げられて画像にいわゆる繊維による白抜けが現われたりする。また、繊維状物質の長さは0.1〜10mm程度が好ましく、更に好ましくは1〜6mm程度である。0.1mmより短いと引張り強度が弱くなり、10mmより長いと分散が均一に行いづらくなる。
本発明における多孔性繊維膜の坪量は1〜20g/m2の範囲内であれば搬送性・耐刷性に必要なコシ・強度及び優れたインキ通過性が得られ、2〜15g/m2ではインキ通過性が更に向上する。また、3〜10g/m2の範囲では加えてインクの付着ムラが少なくなり画像上のベタ均一性が向上する。しかしながら坪量が15g/m2を超えるとインキの通過性が低下して画像鮮明性が低下する。また、坪量が1g/m2より少ないと支持体として十分な強度を得られない場合がある。
本発明における多孔性繊維膜の厚みは、搬送性、耐刷性に必要なコシ・強度が得られれば、できる限り薄い方がインキ通過性の面から好ましく、10μm以上であれば充分な強度を得る事ができ、20μm以上であれば搬送性に必要なコシも満足できる。また、60μm以下であれば優れたインキ通過性が得られ、50μm以下であれば印刷開始一枚目から優れた画像を得ることができる。
【0018】
次に、本発明における多孔性樹脂層について説明する。
本発明における多孔性樹脂層は、膜の内部及び表面に多数の空隙を持つ構造を有するものであれば良く、該空隙がインキの通過性の点から多孔性樹脂層内において厚さ方向に連続構造であるものが望ましい。
本発明において、多孔性樹脂層の平均開孔径は一般に1〜50μm、好ましくは3〜30μm、更に好ましくは5〜20μmである。平均開孔径が1μmに満たない場合にはインキ通過性が悪い。そこで十分なインキ通過量を得るために低粘度インキを用いると、画像滲みや印刷中に印刷ドラムの側部や巻装されている原紙の後端から印刷インキがしみ出す現象が発生する。また、多孔性樹脂層内の空隙率が低くなることが多く、サーマルヘッドによる穿孔を阻害し易くなる。一方、平均開孔径が50μmを超える場合には、多孔性樹脂層によるインキの抑制効果が低くなり、印刷時に印刷ドラムとフィルムの間のインキが過剰に押し出され、裏汚れや滲み等の不具合が発生する。即ち、平均開孔径は小さ過ぎても大き過ぎても良好な印刷品質が得られない。
【0019】
特に、多孔性樹脂層内の空隙の平均開孔径が20μm以下である場合、多孔性樹脂層が厚いほど印刷インキが通り難くなるので、この層の厚みによってインキの印刷用紙への転写量を制御することができる。そして、層の厚さが不均一であると印刷むらを生じることがあるので、厚みは均一であることが望ましい。
本発明の多孔性樹脂層の厚みは、5〜50μm、望ましくは10〜30μmである。5μmに満たない場合は、サーマルヘッドによる穿孔後に穿孔部の背後に多孔性樹脂層が残り難く、インキ転写量が制御されずに印刷物の裏汚れが発生し易い。また、加熱されたバインダー繊維を含有する多孔性繊維膜と積層する際、厚みが5μmに満たないと充分な空隙体積が得られず、熱可塑性樹脂フィルムに対する断熱効果が不充分となり熱可塑性樹脂フィルムの収縮を発生させてしまう。
また、多孔性樹脂層のインキ転写量抑制効果は膜が厚いほど大きく、印刷時の紙へのインキ転写量は多孔性樹脂層の厚みによって調節できるが、厚みが50μmを超えるとインキの通過性が悪くなり、特に印刷開始時の立上りが悪化する。
【0020】
多孔性樹脂層の密度は、通常0.01〜0.50g/cm3で、望ましくは0.10〜0.30g/cm3である。密度が0.01g/cm3未満では膜の強度が不足し、膜が壊れ易い。また密度が0.50g/cm3を超えるとインキ通過性が悪化する。
多孔性樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー等のようなビニル系樹脂、ポリブチレン、ナイロン等のポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、(メタ)アクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、アセチルプロピルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。各樹脂は2種以上を混合して用いても良い。
本発明に用いられる上記の樹脂は、一方の面を加熱した多孔性繊維膜と積層するに際し、熱による変形を防ぐ為にTg(ガラス転移温度)が90℃以上のものが望ましく、一方、穿孔性の面からはTgが150℃以下のものが好ましい。
【0021】
なお、多孔性樹脂層の形成、強度、開孔径の大きさ等を調節するために、多孔性樹脂層中に必要に応じてフィラーなどの添加剤を添加することが望ましい。
ここにおいてフィラーとは、顔料、粉体や繊維状物質も含まれる概念である。その中で特に針状のフィラーが好ましい。
その具体例としては、ケイ酸マグネシウム、セピオライト、チタン酸カリウム、ウオラストナイト、ゾノトライト、石膏繊維等の鉱物系針状フィラー;非酸化物系針状ウイスカ、酸化物系ウイスカ、複酸化物系ウイスカ等の人工鉱物系針状フィラー;マイカ、ガラスフレーク、タルク等の板状フィラーが挙げられる。
顔料は無機のみならず有機の顔料でもよい。
ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸メチル等の有機ポリマー粒子、或いは酸化亜鉛、二酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカでもよい。
松本油脂製薬株式会社のマイクロカプセル、マツモトマイクロスフィアーも有効に利用できる。
これらフィラーの添加量としては、好ましくは樹脂に対して5〜200重量%である。5%重量未満では、添加剤を加えることによる曲げ剛度が高くならない。逆に200重量%を超えると、フィルムとの接着性が悪くなる。
本発明の多孔性樹脂層には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、帯電防止剤、スティック防止剤、界面活性剤、防腐剤、消泡剤等を含有させることができる。
【0022】
次に、本発明の感熱孔版印刷用原紙の多孔性樹脂層の形成方法について説明する。
第1の多孔性樹脂層の形成方法は、樹脂を良溶媒と貧溶媒との混合溶媒中に溶解及び/又は分散して得た塗工液を塗布し乾燥過程で多孔質膜を形成するものである。このとき、良溶媒は相対的に貧溶媒より低温で蒸発し易い組み合わせが必要である。良溶媒と貧溶媒をそれぞれ一種ずつ用いる場合には、良溶媒の沸点は相対的に貧溶媒の沸点より低くなければならない。良溶媒と貧溶媒の選定は任意であるが、一般には沸点差が15〜40℃である場合に所望の特性を持つ多孔性樹脂層が形成され易い。沸点差が10℃未満の場合には、両溶媒の蒸発時間差が小さく、形成される膜が多孔性構造になリ難い。貧溶媒の沸点が高すぎる場合には、乾燥に時間がかかり生産性に劣るため、貧溶媒の沸点は150℃以下であることが望ましい。
【0023】
塗布液中の樹脂濃度は使用する材料によって異なるが通常5〜30%程度である。5%未満では開孔径が大きくなり過ぎたり、多孔性樹脂層の厚みのむらが生じ易い。逆に、30%を超えると多孔性樹脂層が形成され難く、或いは形成されても開孔径が小さくなり所望の特性は得られ難い。
多孔性樹脂層の平均開孔径の大きさは雰囲気中の貧溶媒の影響を受け、一般にその良溶媒に対する割合が高いほど凝結量が多くなり、平均開孔径は大きくなる。
貧溶媒の添加比率は樹脂や溶媒の種類により異なるので実験により適宜決定する必要がある。一般的に貧溶媒の添加量が多くなるに従い多孔性樹脂層の開孔径が大きくなる。貧溶媒の添加量が多すぎると樹脂が析出し塗布液が不安定になる。
【0024】
第2の多孔性樹脂層の形成方法としては、特開平11−235885号公報にて開示されている、W/O型エマルジョンを主体とする流動体を薄層上に塗布、乾燥して形成されるものであり、主として水の部分が、乾燥後にインキが通過する孔となり、溶剤中の樹脂(フィラー、乳化剤等の添加物が含まれていてもよい)が構造体となる方法である。この方法においても多孔膜の形成、強度、開孔径の大きさ、コシ等を調節するために、多孔膜中に必要に応じて前記フィラーなどの添加剤を添加することができる。
W/O型エマルジョンの形成には、比較的親油性の強い、HLB(Hydrophile−lipophile balance)が4〜6程度の界面活性剤が有効であるが、水相にもHLBが8〜20程度の界面活性剤を使用するとより安定で均一なW/Oエマルジョンが得られる。
【0025】
高分子界面活性剤の使用も、より安定で均一なエマルジョンを得る方法の一つである。また、水相にはヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等の増粘剤を添加するとエマルジョンの安定化に有効である。
しかし、本発明の多孔性樹脂層の形成方法は上記に例示した方法に限定されるものではない。
本発明の多孔性樹脂層形成用塗布液の熱可塑性樹脂フィルムへの塗布方式としては、ブレード、トランスファーロール、ワイヤーバー、リバースロール、グラビア、ダイ等の従来一般的に用いられている塗布方式を使用できるが、溶剤の揮発等を防ぐため密閉系のダイコーティングが好ましい。
【0026】
次に、本発明7の感熱孔版印刷用原紙の製造方法について説明する。
本発明7においては、バインダー繊維を有する多孔性繊維膜の一方の面又は両面を、熱ロール等により該バインダー繊維のバインダー効果が発現する温度以上に加熱した後、多孔性樹脂層面と積層・圧着することでラミネートが完了する。この場合、熱可塑性樹脂フィルムは90〜120℃近辺で収縮性を有する事から、熱可塑性樹脂フィルムの表面を冷却した状態で積層するのが好ましい。
また、加熱温度は、バインダー繊維のバインダー効果が発現する温度と該温度よりも30℃高い温度の間、更に好ましくは該温度よりも20℃高い温度の間とする。バインダー効果が発現する温度よりも30℃以上高い温度で加熱した場合、バインダー繊維が溶融し扁平になり、インキ通過性を妨げる原因となる。
【0027】
また、多孔性繊維膜の表面を加熱した後、該多孔性繊維膜中のバインダー繊維のバインダー効果が発現している状態で多孔性樹脂層と積層する必要があり、その為には図6に示す加熱圧着装置等によりラミネートを行う事が好ましい。しかし、この装置に限定されるものではない。
図6において、ロール1は熱可塑性樹脂フィルムの収縮防止の為に10〜30℃程度に冷却されており、ロール3はバインダー効果の発現する温度以上に加熱されており、ロール2はそのバインダー効果を多孔性樹脂層と接触させるまで保つのに必要な温度に加熱されている。また、ロール1とロール2、ロール2とロール3はそれぞれ任意の圧力に加圧できるようにする。
【0028】
本発明において基材となる熱可塑性樹脂フィルムは、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン又はその共重合体など従来公知のものが用いられるが、穿孔感度の点からポリエステルフィルムが特に好ましく用いられる。
ポリエステルフィルムの材料に用いられる好ましいポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートとシクロヘキサンジメチレンテレフタレートの共重合体等を挙げることができる。
穿孔感度を向上するために特に好ましいのは、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートとシクロヘキサンジメチレンテレフタレートの共重合体等である。
【0029】
本発明における熱可塑性樹脂フィルムには必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤、ポリシロキサン等の消泡剤などを配合することができる。
更には、必要に応じて易滑性を付与することもできる。易滑性付与方法は特に限定されず、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式又は乾式シリカ等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒子等を配合する方法、内部粒子による方法、界面活性剤を塗布する方法等が挙げられる。
本発明における熱可塑性樹脂フィルムの厚さは、通常0.1〜5.0μmであり、好ましくは0.1〜3.0μmである。厚さが5.0μmを超えると穿孔性が低下する場合があり、0.1μmより薄いと製膜安定性が悪化したり、耐刷性が低下する場合がある。
【0030】
また、本発明における熱可塑性樹脂フィルムは穿孔性の面から熱収縮性を有している必要があり、その為に二軸配向フィルムが好ましく用いられる。
本発明では、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性繊維膜との貼り合せは熱接着によるが、熱収縮性を有する熱可塑性樹脂フィルムと多孔性繊維膜の間に多孔性樹脂層を有する為、従来と同程度の熱収縮率を有する熱可塑性樹脂フィルムを用いることができ、該熱収縮率が100℃×3分間において3%以上、好ましくは5%以上、更に好ましくは8%以上のものを用いることができる。
【0031】
本発明の感熱孔版印刷用原紙は、フィルムのサーマルヘッドに接触すべき片面に、穿孔時の融着を防止するため、シリコーンオイル、シリコーン系樹脂、フッソ系樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、耐熱剤、酸化防止剤、有機粒子、無機粒子、顔料、分散助剤、防腐剤、消泡剤等からなる薄層を設けることが望ましい。
該融着防止の薄層の厚みは、好ましくは0.005〜0.4μm、より好ましくは0.01〜0.4μmである。
本発明の感熱孔版印刷用原紙において、融着防止の薄層を設ける方法は特に限定されないが、水、溶剤等に希釈した溶液をロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、バーコーター等を用いて塗布し、乾燥するのが好ましい。
【0032】
【実施例】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の「部」は全て重量部である。
また、作成した感熱孔版印刷用原紙の評価は次のようにして行った。
<画像性評価方法>
作成した感熱孔版印刷用原紙を、(株)リコー製プリポートN800(600dpi機)に供給して、黒ベタと4ポイント英文字を有するチャートを原稿として製版し、100枚の印刷を行った。100枚目の画像について、黒ベタ部分の均一性、英文字のカケを目視観察し、次のように判定した。なお、比較例3の「画像性」の欄の「−」は、ラミネートできなかったために測定不能であることを示す。
「◎」:黒ベタ部に白抜け欠点が全く発生しなかったもの
「○」:黒ベタ部に殆ど気にならない程度の白抜けが発生したもの
「△」:黒ベタ部に白抜けはあるが、文字カケが無く実使用上問題ない
レベルのもの
「×」:白抜け欠点が多く、英文字もカケが多く読み取れない程のもの
【0033】
実施例1
≪熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体の作成≫
<処方A>
アセタール樹脂(積水化学社製 KS−1) 2.5部
タルク 0.8部
界面活性剤(日光ケミカル社製 SO15U) 0.1部
界面活性剤(信越化学社製 KF6012) 0.1部
界面活性剤(ジョンソン社製 J711) 0.2部
酢酸エチル 43.0部
上記材料を混合して溶解、分散し、これにヒドロキシエチルセルロース(HEC)1%水溶液25.0部を撹拌しながらゆっくり添加して白濁したエマルジョン塗布液を得た。
この塗布液を、ダイコーティング方式により、二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ2.0μm、100℃×3分間の熱収縮率タテ/ヨコ=11%/12%)上に、付着量が3.0g/m2となるように塗布・乾燥して熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体を得た。
多孔性樹脂層の厚みは16μm、平均開孔径は18.6μmであった。
なお、多孔性樹脂層の平均開孔径の測定は、次のようにして行った。
即ち、多孔性樹脂層の任意の10箇所について電子顕微鏡を用いて倍率100倍で10枚の写真撮影を行い、スキャナーを用いてPC(パーソナルコンピューター)に画像情報を取り込んだ後、画像解析ソフト(フリーウェア:ScionImage)で2値化し、開孔部の面積から円換算を行って開孔径を求めた。そして、一枚の写真からランダムに1000個の開孔径を抽出し、10枚の平均値を平均開孔径とした。
【0034】
≪多孔性繊維膜の作成≫
繊度0.2デシテックス、繊維長3mmの未延伸ポリエステル繊維
〔テイジン(株)製テピルスTK08PN〕40重量%と、繊度1.5デシテックス、繊維長5mmのポリエステルバインダー繊維〔鞘成分:低融点PET、熱溶融温度110℃、芯成分:PET/ユニチカ(株)製メルティ4080〕60重量%とを混合し、円網抄紙機により多孔性繊維膜を得た。
該多孔性繊維膜の坪量は、7.5g/m2、厚みは28μmであった。
≪感熱孔版印刷用原紙の作成≫
図6に示すラミネート装置を用い、ロール1の温度を25℃、ロール2の温度を80℃、ロール3の温度を、バインダー繊維のバインダー効果の発現する温度よりも10℃高い120℃に設定し、上記のようにして作成した熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体に多孔性繊維膜をラミネートして積層体を得た。次いで、熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂層と反対側の面に、水溶性シリコーンオイル・FZ2101(日本ユニカー社製)1重量%水溶液をワイヤーバーコーティング方式により塗布・乾燥し本発明の感熱孔版印刷用原紙を得た。
評価結果を表1に示す。
【0035】
実施例2
≪熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体の作成≫
多孔性樹脂層の乾燥後付着量を1.4g/m2となるように塗布・乾燥した点以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体を得た。多孔性樹脂層の厚みは7μm、平均開孔径は15.7μmであった。
≪感熱孔版印刷用原紙の作成≫
実施例1で用いた熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体に代えて、上記のようにして作成した積層体を用いた点以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱孔版印刷用原紙を得た。評価結果を表1に示す。
【0036】
実施例3
≪熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体の作成≫
多孔性樹脂層の乾燥後付着量を9.3g/m2となるように塗布・乾燥した点以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体を得た。多孔性樹脂層の厚みは48μm、平均開孔径は21.7μmであった。
≪多孔性繊維膜の作成≫
繊度1.1デシテックス、繊維長3mmのポリエステルバインダー繊維〔鞘成分:低融点PET、熱溶融温度110℃、芯成分:PET/ユニチカ(株)製メルティ4080〕45重量%と、マニラ麻繊維55重量%とを混合し、円網抄紙機により多孔性繊維膜を得た。
該多孔性繊維膜の坪量は、10.0g/m2、厚みは45μmであった
≪熱孔版印刷用原紙の作成≫
図6に示すラミネート装置を用い、ロール1の温度を25℃、ロール2の温度を80℃、ロール3の温度を、バインダー繊維のバインダー効果が発現する温度よりも20℃高い130℃に設定し、上記のようにして作成した熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体に多孔性繊維膜をラミネートして積層体を得た。
次いで、熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂層と反対側の面に、水溶性シリコーンオイル・FZ2101(日本ユニカー社製)1重量%水溶液をワイヤーバーコーティング方式により塗布・乾燥し本発明の感熱孔版印刷用原紙を得た。
評価結果を表1に示す。
【0037】
実施例4
≪熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体の作成≫
熱可塑性樹脂フィルムとして二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ1.5μm、100℃×3分間の熱収縮率タテ/ヨコ=16%/17%)を用いた点以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体を得た。
多孔性樹脂層の厚みは15μm、平均開孔径は18.8μmであった。
≪多孔性繊維膜の作成≫
繊度1.1デシテックス、繊維長3mmのポリエステルバインダー繊維〔鞘成分:低融点PET、熱溶融温度110℃、芯成分:PET/ユニチカ(株)製メルティ4080〕50重量%と、繊度1.5デシテックス、繊維長5mmのポリエステルバインダー繊維〔鞘成分:低融点PET、熱溶融温度110℃、芯成分:PET/ユニチカ(株)製メルティ4080〕50重量%とを混合し、円網抄紙機により多孔性繊維膜を得た。該多孔性繊維膜の坪量は、8.0g/m2、厚みは32μmであった
≪感熱孔版印刷用原紙の作成≫
図6に示すラミネート装置を用い、ロール1の温度を25℃、ロール2の温度を80℃、ロール3の温度を、バインダー繊維のバインダー効果の発現する温度よりも10℃高い120℃に設定し、上記のようにして作成した熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体に多孔性繊維膜をラミネートして積層体を得た。
次いで、熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂層と反対側の面に、水溶性シリコーンオイル・FZ2101(日本ユニカー社製)1重量%水溶液をワイヤーバーコーティング方式により塗布・乾燥し本発明の感熱孔版印刷用原紙を得た。
評価結果を表1に示す。
【0038】
実施例5
≪熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体の作成≫
<処方B>
ポリビニルブチラール(積水化学社製、BHS) 2.0部
酢酸エチル 18.6部
ソルビタンモノオレエート(東邦化学社製、ソルボンS80)0.15部
タルク 0.5部
上記材料を混合して溶解、分散し、これにヒドロキシエチルセルロース(HEC)1%水溶液20.0部を撹拌しながらゆっくり添加して白濁したエマルジョン塗布液を得た。
この塗布液を、ダイコーティング方式により、二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ1.5μm、100℃×3分間の熱収縮率タテ/ヨコ=16%/17%)上に、付着量が2.5g/m2となるように塗布・乾燥して熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体を得た。
多孔性樹脂層の厚みは13μm、平均開孔径は13.8μmであった。
≪感熱孔版印刷用原紙の作成≫
上記のようにして作成した熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層との積層体を用いた点以外は、実施例4と同様にして本発明の感熱孔版印刷用原紙を得た。
評価結果を表1に示す。
【0039】
比較例1
多孔性樹脂層の乾燥後の付着量を0.8g/m2とした点以外は、実施例1と同様にして、比較用の感熱孔版印刷用原紙を得た。
多孔性樹脂層の厚みは4μm、平均開孔径は12.3μmであった。
結果を表1に示す。
【0040】
比較例2
ロール3の温度を150℃にした点以外は、実施例4と同様にして比較用の感熱孔版印刷用原紙を得た。結果を表1に示す。
【0041】
比較例3
≪多孔性繊維膜の作成≫
繊度0.2デシテックス、繊維長3mmの未延伸ポリエステル繊維〔テイジン(株)製テピルスTK08PN〕70重量%と、繊度1.5デシテックス、繊維長5mmのポリエステルバインダー繊維〔鞘成分:低融点PET、熱溶融温度110℃、芯成分:PET/ユニチカ(株)製メルティ4080〕30重量%とを混合し、円網抄紙機により多孔性繊維膜を得た。
該多孔性繊維膜の坪量は、7.5g/m2、厚みは24μmであった。
≪感熱孔版印刷用原紙の作成≫
図6に示すラミネート装置を用い、ロール1の温度を25℃、ロール2の温度を80℃、ロール3の温度を、バインダー繊維のバインダー効果の発現する温度よりも20℃高い130℃に設定し、実施例1において作成した熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体に、上記のようにして作成した多孔性繊維膜をラミネートして積層体を得た。
次いで、熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂層と反対側の面に、水溶性シリコーンオイル・FZ2101(日本ユニカー社製)1重量%水溶液をワイヤーバーコーティング方式により塗布・乾燥し比較用の感熱孔版印刷用原紙を得た。
評価結果を表1に示す。
【0042】
比較例4
≪感熱孔版印刷用原紙の作成≫
実施例1において作成した多孔性繊維膜の一方の面上に、100℃に加温したロールコーターを用いて、一液型ウレタン接着剤(武田薬品工業社製 タケネートA260)を、塗布量が0.7g/m2となるように塗布し、実施例1において作成した熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体と重ね合わせ、次いで熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂層と反対側の面に水溶性シリコーンオイル・FZ2101(日本ユニカー社製)1重量%水溶液をワイヤーバーコーティング方式により塗布・乾燥しロール状に巻き取った。
これを30℃で2日間キュアし比較用の感熱孔版印刷用原紙を得た。
【0043】
比較例5
≪感熱孔版印刷用原紙の作成≫
図6に示すラミネート装置を用い、ロール1の温度を25℃、ロール2の温度を80℃、ロール3の温度を、バインダー繊維のバインダー効果の発現する温度よりも10℃高い120℃に設定し、熱可塑性樹脂フィルムとして二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ2.0μm、100℃×3分間の熱収縮率タテ/ヨコ=11%/12%)をロール1側に通紙し、実施例4で作成した多孔性繊維膜とラミネートを行い積層体を得た。
次いで、熱可塑性樹脂フィルムの多孔性繊維膜と反対側の面に、水溶性シリコーンオイル・FZ2101(日本ユニカー社製)1重量%水溶液をワイヤーバーコーティング方式により塗布・乾燥し比較用の感熱孔版印刷用原紙を得た。
評価結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
本発明1〜7によれば、接着剤を用いることなく多孔性樹脂層と多孔性繊維膜をラミネートできる感熱孔版印刷用原紙とその製造方法を提供できる。その結果、600dpi機における繊細な印刷においても白抜けが無く良好な印刷物を得る事ができると共に、接着剤を塗布する工程が省ける為、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感熱孔版印刷用原紙の一例の断面図である。
【図2】本発明の感熱孔版印刷用原紙を構成する多孔性樹脂層の一例の斜視図である。
【図3】本発明の感熱孔版印刷用原紙の他の一例の断面図である。
【図4】本発明の感熱孔版印刷用原紙の他の一例の断面図である。
【図5】本発明の感熱孔版印刷用原紙を構成する多孔性繊維膜の一例の平面図である。
【図6】本発明における多孔性樹脂層と多孔性繊維膜のラミネートを行う装置の説明図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂フィルム
2 多孔性樹脂層
2a 多孔性樹脂層を構成する構成要素
2b 多孔性樹脂層を構成する空隙部分
3 多孔性繊維膜
3a 多孔性繊維膜を構成する繊維状物質
3b 多孔性繊維膜の空隙部分
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュバルブなどによる閃光照射、赤外線照射、レーザー光線等のパルス的照射、或いはサーマルヘッド等によって穿孔製版される感熱孔版印刷用原紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱可塑性フィルムに、インキ通過性の支持体として、天然繊維、合成繊維の単独又は混抄した多孔性薄葉紙を接着剤で貼り合わせた感熱孔版原紙が用いられている。しかし、こうした繊維から成る多孔性薄葉紙を支持体として用いた感熱孔版印刷用原紙には、次のような問題点がある。
(1)接着剤を用いて多孔性薄葉紙とフィルムを貼り合わせるため、接着剤が多孔性薄葉紙の繊維間に鳥の水掻きのように集積し、その部分はサーマルヘッドによる穿孔が行われ難くなりインキの通過が妨げられ印刷ムラが発生し易くなる。
(2)多孔性薄葉紙の繊維自体がインキの通過を妨げ、印刷ムラが発生し易くなる。
(3)多孔性薄葉紙の繊維目によりフィルム面の平滑性が低下しサーマルヘッドとの密着が悪くなり未穿孔部ができるため印刷ムラが発生する。
【0003】
こうした問題を改善するために幾つかの提案がなされているが、未だ満足できるものは得られていない。
例えば、特開平3−193445号公報には、多孔性支持体として、繊度1デニール以下の合成繊維から成る薄葉紙を用いることが開示されているが、前記の問題解決には充分とは言えない。また、特開昭62−198459号公報には、熱可塑性フィルムに対し、実質的に閉じた形状の放射線硬化型樹脂パターンをグラビア、オフセット、フレキソ等により印刷して多孔性支持体を形成する方法が開示されている。しかし、この方法では樹脂パターンの線幅を50μm以下にすることは困難であり、印刷部が穿孔できず、印刷ムラとなる。
また、特許第3171211号には、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体を接着剤を介することなく熱により接着する方法が開示されているが、この方法では、熱可塑性樹脂フィルム及び支持体を加熱して貼り合せる為に、該熱可塑性樹脂フィルムの熱収縮率を高める事ができず、穿孔感度が低く、サーマルヘッドによる穿孔に際し過大なエネルギーが必要となるという問題がある。また支持体は従来の薄葉紙からなっており、特に600dpi等の繊細な印刷を行おうとすると、充分なベタ均一性が得られないという問題がある。
【0004】
また、特開平3―240596号公報には、水分散性ポリマーとコロイダルシリカから成る分散液を熱可塑性フィルムの表面に塗布、乾燥して多孔性支持体を設け、粘度の低いインキジェット用インキで印刷する方法が開示されている。
しかし、この方法では多孔性支持体の開孔径が小さく、従来用いられている孔版用印刷インキではインキの通過が悪く、十分な印刷濃度が得られない。
一方、特開昭54−33117号公報には、多孔性支持体を用いない実質的に熱可塑性フィルムのみから成る感熱孔版印刷用原紙が開示されている。この発明は、熱収縮率が高く、フィルム厚み3μm以下のフィルムではサーマルヘッドによる穿孔性も良好で印刷品質は優れているが、腰が弱く印刷機での搬送ができないという問題がある。また搬送を良くするため厚いフィルムを使用するとサーマルヘッドによる穿孔性が低下し、印刷ムラが発生する。
また、特開平9−52469号公報には、穿孔性を改善するため微多孔性樹脂を含む接着層を設けることが開示されている。しかし、接着層として微多孔性層を塗布したのち直ちに多孔性支持体とウエットラミネート法により貼り合わされるため、微多孔層ができ難く、しかも印刷時に、ベタ画像に多孔性支持体の繊維による白抜けが発生し易いという問題点がある。
【0005】
本発明者は、先に熱可塑性フィルムの片面に多孔性樹脂膜を設けた感熱孔版原紙を提案した(特開平8−332785号公報、特開平10−24667号公報、特開平11−235885号公報参照)。
しかしながら、多孔性樹脂膜のみでコシ(Stiffness)を強くすることは困難であり、印刷機上で搬送時にシワが入る等の問題があった。
その後、本発明者は、この問題を解決すべく、特開平10−147075号公報、特開平10−236011号公報において、熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多孔性樹脂層を有し、更にその表面に繊維状物質からなる多孔性繊維膜を積層してなる感熱孔版印刷用原紙を提案した。
この感熱孔版印刷用原紙は、従来の感熱孔版印刷用原紙の多孔性支持体部分の機能分離をするという考えから発案されたもので、多孔性樹脂層でインキ制御を行ない、多孔性繊維膜で搬送性や耐刷性に必要なコシ・強度を補強するというものである。
【0006】
しかしながら特開平10−236011号公報に開示されている、多孔性樹脂層の多孔層形成過程で多孔性繊維膜を重ね合せ、該多孔性樹脂層を接着剤として用いるという方法では、多孔性膜の形成を妨げてしまい、目的とする多孔層が得られないという問題があった。
また、特開平10−147075号公報に開示されている、接着剤を用いて多孔性樹脂層と多孔性繊維膜を貼り合せる方法によれば、高粘度の接着剤を使用することで多孔性樹脂層の開口部をできる限り埋めることなく貼り合せることは可能となったが、限界があるため、接着剤によるインキ通過性の阻害が完全には解消されず、特に600dpi等の繊細な印刷を行う場合には白抜けとなって画像上に現れるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多孔性樹脂層を有し、更にその表面に繊維状物質からなる多孔性繊維膜を積層してなる感熱孔版印刷用原紙において、600dpi等の繊細な印刷においてもベタ均一性に優れ、更に生産性を向上させることができる感熱孔版印刷用原紙及びその製造方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、次の1)〜7)の発明(以下、本発明1〜7という)によって解決される。
1) 熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多孔性樹脂層を有し、更にその多孔性樹脂層の表面に多孔性繊維膜が積層されている感熱孔版印刷用原紙において、該多孔性繊維膜がバインダー繊維を含み、更に該多孔性繊維膜の一方の面が前記多孔性樹脂層に直接固着されている事を特徴とする感熱孔版印刷用原紙。
2) 多孔性繊維膜中のバインダー繊維含有量が40〜100重量%であることを特徴とする1)記載の感熱孔版印刷用原紙。
3) 多孔性繊維膜を構成するバインダー繊維が90〜120℃の温度でバインダー効果を発現することを特徴とする1)又は2)記載の感熱孔版印刷用原紙。
4) バインダー繊維が芯鞘構造の複合型繊維からなり、該鞘部を構成する樹脂部が90〜120℃の温度でバインダー効果を発現することを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
5) 該鞘部を構成する樹脂部がポリエステル系樹脂からなることを特徴とする4)記載の感熱孔版印刷用原紙。
6) 多孔性樹脂層の厚みが5〜50μmの範囲にある事を特徴とする1)〜5)の何れかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
7) 熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に、多孔性樹脂層形成用の塗布液を塗布し乾燥して多孔性樹脂層を形成し、これとは別にバインダー繊維を含有する多孔性繊維膜の少なくとも一方の面を加熱してバインダー繊維を軟化・溶融させ、次いで該軟化・溶融面と前記多孔性樹脂層とを積層・圧着してラミネートを完了することを特徴とする1)〜6)の何れかに記載の感熱孔版印刷用原紙の製造方法。
【0009】
以下、上記本発明について詳細に説明する。
本発明で言う「多孔性樹脂層」とは、溶剤に溶かした樹脂を析出させる等の方法により形成する多孔性の膜で、フィルム上に、図1に示すような多数の天井のあるセルの集合体、図2に示すようなハニカム状のセルの集合体、図3に示すような連泡状セルの集合体からなる泡状皮膜、図4に示すような粒形状の樹脂がくっ付き合って出来ている集合体状皮膜などが形成された膜からなる層を意味している。
上記した多孔性樹脂層の平均開孔径は、従来の繊維よりなる多孔性支持体に比べて小さくすることが可能であり、特に5〜20μmの範囲においては、一般に孔版印刷用として用いられるW/O型エマルジョンインキの分散性に優れ、高画質、特にベタ埋りの優れた印刷物を得る事ができる。
また、多孔性樹脂層の一つ一つの孔は厚み方向には連続しているがヨコ方向への繋がりは少なく、インキの回り込みを少なくできるので、従来の繊維よりなる多孔性支持体と同じ平均開孔径であっても過剰なインキ通過を抑制でき、裏移りに対して効果がある。
【0010】
また、多孔性樹脂層の形状としては、インキ分散性の点でハニカム状のセルの集合体が最も好ましいが、製法面からするとW/O型エマルジョンを主体とする流動体を熱可塑性樹脂フィルム上に塗布、乾燥して形成する方法が塗工安定性の面で好ましい。但し、この方法によると形状が泡状皮膜となってしまうが、ハニカム状に限りなく近づける事が可能であるから問題はない。
また、本発明で言う「多孔性繊維膜」とは、図5に示すような繊維状物質が多数重なり合うことにより形成される多孔性の膜を意味している。
この多孔性繊維膜は従来の孔版印刷用原紙の多孔性支持体と同じ構造であり、多孔性樹脂層に比べ機械的な強度が得られ易いという特徴がある。
多孔性繊維膜の平均開孔径は使用する繊維の太さ、坪量等により影響を受けるが、上記した多孔性樹脂層より大きく、通常25〜60μm程度である。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記の様に本発明1は、熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多孔性樹脂層を有し、更にその多孔性樹脂層の表面に多孔性繊維膜を積層してなる感熱孔版印刷用原紙において、該多孔性繊維膜がバインダー繊維を含み、更に該多孔性繊維膜の一方の面が前記多孔性樹脂層に直接固着してなる事を特徴とする感熱孔版印刷用原紙である。
本発明1において「多孔性繊維膜の一方の面が前記多孔性樹脂層に直接固着してなる」とは、多孔性樹脂層と多孔性繊維膜との接着が接着剤等により行われるのではなく、多孔性繊維膜に含まれるバインダー繊維のバインダー効果により行われていることを意味する。
本発明1によれば、多孔性樹脂層と多孔性繊維膜の間に接着剤が介在しない為、特に従来問題となっていた600dpi等の繊細な印刷においてもインキの通過性が優れ、ベタ均一性の優れた印刷物を得る事が可能となる。
【0012】
本発明2によれば、多孔性繊維膜中のバインダー繊維の含有量は40〜100重量%であり、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは60重量%以上である。含有量が40重量%より少ないと多孔性繊維膜と多孔性樹脂層の充分な接着力が得られない。
本発明で言う「バインダー繊維」とは、加熱により少なくとも一部が軟化して接着性を生じる繊維を意味し、本発明3のように、そのバインダー効果が生じる好ましい温度は90〜120℃であり、更に好ましくは90〜110℃である。バインダー効果が90℃未満で生じる場合には通常の保管においてブロッキング等の不具合が生じる恐れがあり、また製版時のサーマルヘッドの熱で変形してしまう恐れがある。120℃よりも高い温度でバインダー効果が生じる場合には、120℃よりも高い温度に多孔性繊維膜を加熱し多孔性樹脂層と重ね合わせる必要があるため、貼り合せ時の熱により熱可塑性樹脂フィルムの収縮が発生する恐れがある。
【0013】
上記温度範囲においてバインダー効果を発現する樹脂成分は、上記温度範囲で軟化ないし溶融する非結晶性の重合体又は共重合体である。
このようなものとしては、例えば、共重合ポリエステル(低融点PET)等のポリエステル系樹脂;変性ポリエチレン(低融点PE)、ポリエチレン(PE)、変性ポリプロピレン(低融点PP)等のポリオレフィン系樹脂;エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、共重合ナイロン、熱水溶融によるポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。
バインダー繊維には、複合型繊維と単一型繊維がある。複合型繊維は、高融点成分と低融点成分とからなる。この複合型には、サイドバイサイド型とシースコア型(芯鞘型)がある。サイドバイサイド型には、PET/低融点PET繊維、PP/PE繊維等がある。シースコア型には、PET/低融点PET繊維、PET/PE繊維、PET/低融点PP、PP/低融点PE繊維、PP/PE繊維、PET/低融点PP繊維、ナイロン66/ナイロン6繊維、PP/EVA繊維等がある。単一型には低融点PET(共重合ポリエステル)繊維、低融点PP繊維、PE繊維、PVA繊維等が挙げられる。
本発明においては、前記した温度でバインダー効果を発現するものである限り、バインダー繊維として用いることができる。
【0014】
本発明4〜5のように、バインダー繊維が芯鞘構造の複合型繊維からなる場合の、該鞘部を構成する樹脂部は、90〜120℃の温度でバインダー効果を発現することが望ましい。
特に、PET/低融点PET繊維で芯鞘構造のポリエステル複合繊維が、繊維強度及びバインダー効果を発現する温度範囲の点から好ましい。
この芯鞘構造の複合繊維中の鞘部分である共重合ポリエステルとしては、明確な融点を示さないが前記温度範囲内において軟化ないし溶融を生じるものを用いる。この軟化ないし溶融を生じる温度は、顕微鏡下の目視観察によって、繊維の交点で繊維表面の溶融を生じる温度として確認する事ができ、熱溶融温度や接着温度(binding temperature)とも称されている。
【0015】
バインダー繊維としては、各種のものが市販されており、本発明ではこれらの市販品を用いることができる。このようなものとしては、例えば芯成分としての高融点成分と鞘成分としての低融点成分からなるシースコア型複合繊維として、PET/低融点PET繊維では、(株)クラレ製ソフィット(R)N720、ソフィット(R)N720H、ユニチカ(株)製メルティ(R)4080、テイジン(株)製TJ04CNが、PET/PE繊維では、(株)クラレ製ソフィット(R)N716N、ユニチカ(株)製メルティ(R)6080、テイジン(株)製TJ04EN、ダイワボウ(株)製NBF(SH)、チッソ(株)製ETCが、PET/変性PP繊維では、ダイワボウ(株)製NBF(SP)が、PP/低融点PE繊維では、チッソ(株)製EACが、PP/PE繊維では、ダイワボウ(株)製NBF(H)、チッソ(株)製ESCが、PP/低融点PP繊維では、ダイワボウ(株)製NBF(P)、チッソ(株)製EPCが、PP/EVA繊維では、ダイワボウ(株)製NBF(E)が挙げられる。
高融点成分と低融点成分とからなるサイドバイサイド型複合繊維として、PET/低融点PET繊維では、(株)クラレ製ソフィット(R)N784が、PP/低融点PE繊維では、チッソ(株)製EAが、PP/PE繊維では、チッソ(株)製ESが挙げられる。
低融点繊維のみからなる単一型バインダー繊維としては、ユニチカ(株)製メルティ(R)4000が挙げられる。
PVA繊維としては、(株)クラレ製VPB101、VPB105−1、VPB105−2、ユニチカ(株)製SMM、SML、SMSが挙げられる。
【0016】
本発明に用いられる多孔性繊維膜は、上記したバインダー繊維単独で形成してもよいし、次のa)〜g)などとの混抄による薄葉紙でもよい。
a)ガラス、セピオライト、各種金属などの鉱物繊維
b)羊毛、絹などの動物繊維
c)綿、マニラ麻、コウゾ、ミツマタ、パルプ等の天然繊維
d)スフ、レーヨンなどの再生繊維
e)ポリエステル、ポリビニルアルコール、アクリルなどの合成繊維
f)カーボンファイバなどの半合成繊維
g)ウィスカ構造を有する無機繊維
【0017】
バインダー繊維としては、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔直径や厚さなどに応じて適当な太さのものを選択する必要があるが、直径20μm以下、好ましくは1〜10μmのものがよい。直径が1μmより小さいと引張り強度が弱く、20μmより大きいとインキ通過が妨げられて画像にいわゆる繊維による白抜けが現われたりする。また、繊維状物質の長さは0.1〜10mm程度が好ましく、更に好ましくは1〜6mm程度である。0.1mmより短いと引張り強度が弱くなり、10mmより長いと分散が均一に行いづらくなる。
本発明における多孔性繊維膜の坪量は1〜20g/m2の範囲内であれば搬送性・耐刷性に必要なコシ・強度及び優れたインキ通過性が得られ、2〜15g/m2ではインキ通過性が更に向上する。また、3〜10g/m2の範囲では加えてインクの付着ムラが少なくなり画像上のベタ均一性が向上する。しかしながら坪量が15g/m2を超えるとインキの通過性が低下して画像鮮明性が低下する。また、坪量が1g/m2より少ないと支持体として十分な強度を得られない場合がある。
本発明における多孔性繊維膜の厚みは、搬送性、耐刷性に必要なコシ・強度が得られれば、できる限り薄い方がインキ通過性の面から好ましく、10μm以上であれば充分な強度を得る事ができ、20μm以上であれば搬送性に必要なコシも満足できる。また、60μm以下であれば優れたインキ通過性が得られ、50μm以下であれば印刷開始一枚目から優れた画像を得ることができる。
【0018】
次に、本発明における多孔性樹脂層について説明する。
本発明における多孔性樹脂層は、膜の内部及び表面に多数の空隙を持つ構造を有するものであれば良く、該空隙がインキの通過性の点から多孔性樹脂層内において厚さ方向に連続構造であるものが望ましい。
本発明において、多孔性樹脂層の平均開孔径は一般に1〜50μm、好ましくは3〜30μm、更に好ましくは5〜20μmである。平均開孔径が1μmに満たない場合にはインキ通過性が悪い。そこで十分なインキ通過量を得るために低粘度インキを用いると、画像滲みや印刷中に印刷ドラムの側部や巻装されている原紙の後端から印刷インキがしみ出す現象が発生する。また、多孔性樹脂層内の空隙率が低くなることが多く、サーマルヘッドによる穿孔を阻害し易くなる。一方、平均開孔径が50μmを超える場合には、多孔性樹脂層によるインキの抑制効果が低くなり、印刷時に印刷ドラムとフィルムの間のインキが過剰に押し出され、裏汚れや滲み等の不具合が発生する。即ち、平均開孔径は小さ過ぎても大き過ぎても良好な印刷品質が得られない。
【0019】
特に、多孔性樹脂層内の空隙の平均開孔径が20μm以下である場合、多孔性樹脂層が厚いほど印刷インキが通り難くなるので、この層の厚みによってインキの印刷用紙への転写量を制御することができる。そして、層の厚さが不均一であると印刷むらを生じることがあるので、厚みは均一であることが望ましい。
本発明の多孔性樹脂層の厚みは、5〜50μm、望ましくは10〜30μmである。5μmに満たない場合は、サーマルヘッドによる穿孔後に穿孔部の背後に多孔性樹脂層が残り難く、インキ転写量が制御されずに印刷物の裏汚れが発生し易い。また、加熱されたバインダー繊維を含有する多孔性繊維膜と積層する際、厚みが5μmに満たないと充分な空隙体積が得られず、熱可塑性樹脂フィルムに対する断熱効果が不充分となり熱可塑性樹脂フィルムの収縮を発生させてしまう。
また、多孔性樹脂層のインキ転写量抑制効果は膜が厚いほど大きく、印刷時の紙へのインキ転写量は多孔性樹脂層の厚みによって調節できるが、厚みが50μmを超えるとインキの通過性が悪くなり、特に印刷開始時の立上りが悪化する。
【0020】
多孔性樹脂層の密度は、通常0.01〜0.50g/cm3で、望ましくは0.10〜0.30g/cm3である。密度が0.01g/cm3未満では膜の強度が不足し、膜が壊れ易い。また密度が0.50g/cm3を超えるとインキ通過性が悪化する。
多孔性樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー等のようなビニル系樹脂、ポリブチレン、ナイロン等のポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、(メタ)アクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、アセチルプロピルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。各樹脂は2種以上を混合して用いても良い。
本発明に用いられる上記の樹脂は、一方の面を加熱した多孔性繊維膜と積層するに際し、熱による変形を防ぐ為にTg(ガラス転移温度)が90℃以上のものが望ましく、一方、穿孔性の面からはTgが150℃以下のものが好ましい。
【0021】
なお、多孔性樹脂層の形成、強度、開孔径の大きさ等を調節するために、多孔性樹脂層中に必要に応じてフィラーなどの添加剤を添加することが望ましい。
ここにおいてフィラーとは、顔料、粉体や繊維状物質も含まれる概念である。その中で特に針状のフィラーが好ましい。
その具体例としては、ケイ酸マグネシウム、セピオライト、チタン酸カリウム、ウオラストナイト、ゾノトライト、石膏繊維等の鉱物系針状フィラー;非酸化物系針状ウイスカ、酸化物系ウイスカ、複酸化物系ウイスカ等の人工鉱物系針状フィラー;マイカ、ガラスフレーク、タルク等の板状フィラーが挙げられる。
顔料は無機のみならず有機の顔料でもよい。
ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸メチル等の有機ポリマー粒子、或いは酸化亜鉛、二酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカでもよい。
松本油脂製薬株式会社のマイクロカプセル、マツモトマイクロスフィアーも有効に利用できる。
これらフィラーの添加量としては、好ましくは樹脂に対して5〜200重量%である。5%重量未満では、添加剤を加えることによる曲げ剛度が高くならない。逆に200重量%を超えると、フィルムとの接着性が悪くなる。
本発明の多孔性樹脂層には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、帯電防止剤、スティック防止剤、界面活性剤、防腐剤、消泡剤等を含有させることができる。
【0022】
次に、本発明の感熱孔版印刷用原紙の多孔性樹脂層の形成方法について説明する。
第1の多孔性樹脂層の形成方法は、樹脂を良溶媒と貧溶媒との混合溶媒中に溶解及び/又は分散して得た塗工液を塗布し乾燥過程で多孔質膜を形成するものである。このとき、良溶媒は相対的に貧溶媒より低温で蒸発し易い組み合わせが必要である。良溶媒と貧溶媒をそれぞれ一種ずつ用いる場合には、良溶媒の沸点は相対的に貧溶媒の沸点より低くなければならない。良溶媒と貧溶媒の選定は任意であるが、一般には沸点差が15〜40℃である場合に所望の特性を持つ多孔性樹脂層が形成され易い。沸点差が10℃未満の場合には、両溶媒の蒸発時間差が小さく、形成される膜が多孔性構造になリ難い。貧溶媒の沸点が高すぎる場合には、乾燥に時間がかかり生産性に劣るため、貧溶媒の沸点は150℃以下であることが望ましい。
【0023】
塗布液中の樹脂濃度は使用する材料によって異なるが通常5〜30%程度である。5%未満では開孔径が大きくなり過ぎたり、多孔性樹脂層の厚みのむらが生じ易い。逆に、30%を超えると多孔性樹脂層が形成され難く、或いは形成されても開孔径が小さくなり所望の特性は得られ難い。
多孔性樹脂層の平均開孔径の大きさは雰囲気中の貧溶媒の影響を受け、一般にその良溶媒に対する割合が高いほど凝結量が多くなり、平均開孔径は大きくなる。
貧溶媒の添加比率は樹脂や溶媒の種類により異なるので実験により適宜決定する必要がある。一般的に貧溶媒の添加量が多くなるに従い多孔性樹脂層の開孔径が大きくなる。貧溶媒の添加量が多すぎると樹脂が析出し塗布液が不安定になる。
【0024】
第2の多孔性樹脂層の形成方法としては、特開平11−235885号公報にて開示されている、W/O型エマルジョンを主体とする流動体を薄層上に塗布、乾燥して形成されるものであり、主として水の部分が、乾燥後にインキが通過する孔となり、溶剤中の樹脂(フィラー、乳化剤等の添加物が含まれていてもよい)が構造体となる方法である。この方法においても多孔膜の形成、強度、開孔径の大きさ、コシ等を調節するために、多孔膜中に必要に応じて前記フィラーなどの添加剤を添加することができる。
W/O型エマルジョンの形成には、比較的親油性の強い、HLB(Hydrophile−lipophile balance)が4〜6程度の界面活性剤が有効であるが、水相にもHLBが8〜20程度の界面活性剤を使用するとより安定で均一なW/Oエマルジョンが得られる。
【0025】
高分子界面活性剤の使用も、より安定で均一なエマルジョンを得る方法の一つである。また、水相にはヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等の増粘剤を添加するとエマルジョンの安定化に有効である。
しかし、本発明の多孔性樹脂層の形成方法は上記に例示した方法に限定されるものではない。
本発明の多孔性樹脂層形成用塗布液の熱可塑性樹脂フィルムへの塗布方式としては、ブレード、トランスファーロール、ワイヤーバー、リバースロール、グラビア、ダイ等の従来一般的に用いられている塗布方式を使用できるが、溶剤の揮発等を防ぐため密閉系のダイコーティングが好ましい。
【0026】
次に、本発明7の感熱孔版印刷用原紙の製造方法について説明する。
本発明7においては、バインダー繊維を有する多孔性繊維膜の一方の面又は両面を、熱ロール等により該バインダー繊維のバインダー効果が発現する温度以上に加熱した後、多孔性樹脂層面と積層・圧着することでラミネートが完了する。この場合、熱可塑性樹脂フィルムは90〜120℃近辺で収縮性を有する事から、熱可塑性樹脂フィルムの表面を冷却した状態で積層するのが好ましい。
また、加熱温度は、バインダー繊維のバインダー効果が発現する温度と該温度よりも30℃高い温度の間、更に好ましくは該温度よりも20℃高い温度の間とする。バインダー効果が発現する温度よりも30℃以上高い温度で加熱した場合、バインダー繊維が溶融し扁平になり、インキ通過性を妨げる原因となる。
【0027】
また、多孔性繊維膜の表面を加熱した後、該多孔性繊維膜中のバインダー繊維のバインダー効果が発現している状態で多孔性樹脂層と積層する必要があり、その為には図6に示す加熱圧着装置等によりラミネートを行う事が好ましい。しかし、この装置に限定されるものではない。
図6において、ロール1は熱可塑性樹脂フィルムの収縮防止の為に10〜30℃程度に冷却されており、ロール3はバインダー効果の発現する温度以上に加熱されており、ロール2はそのバインダー効果を多孔性樹脂層と接触させるまで保つのに必要な温度に加熱されている。また、ロール1とロール2、ロール2とロール3はそれぞれ任意の圧力に加圧できるようにする。
【0028】
本発明において基材となる熱可塑性樹脂フィルムは、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン又はその共重合体など従来公知のものが用いられるが、穿孔感度の点からポリエステルフィルムが特に好ましく用いられる。
ポリエステルフィルムの材料に用いられる好ましいポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートとシクロヘキサンジメチレンテレフタレートの共重合体等を挙げることができる。
穿孔感度を向上するために特に好ましいのは、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートとシクロヘキサンジメチレンテレフタレートの共重合体等である。
【0029】
本発明における熱可塑性樹脂フィルムには必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤、ポリシロキサン等の消泡剤などを配合することができる。
更には、必要に応じて易滑性を付与することもできる。易滑性付与方法は特に限定されず、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式又は乾式シリカ等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒子等を配合する方法、内部粒子による方法、界面活性剤を塗布する方法等が挙げられる。
本発明における熱可塑性樹脂フィルムの厚さは、通常0.1〜5.0μmであり、好ましくは0.1〜3.0μmである。厚さが5.0μmを超えると穿孔性が低下する場合があり、0.1μmより薄いと製膜安定性が悪化したり、耐刷性が低下する場合がある。
【0030】
また、本発明における熱可塑性樹脂フィルムは穿孔性の面から熱収縮性を有している必要があり、その為に二軸配向フィルムが好ましく用いられる。
本発明では、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性繊維膜との貼り合せは熱接着によるが、熱収縮性を有する熱可塑性樹脂フィルムと多孔性繊維膜の間に多孔性樹脂層を有する為、従来と同程度の熱収縮率を有する熱可塑性樹脂フィルムを用いることができ、該熱収縮率が100℃×3分間において3%以上、好ましくは5%以上、更に好ましくは8%以上のものを用いることができる。
【0031】
本発明の感熱孔版印刷用原紙は、フィルムのサーマルヘッドに接触すべき片面に、穿孔時の融着を防止するため、シリコーンオイル、シリコーン系樹脂、フッソ系樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、耐熱剤、酸化防止剤、有機粒子、無機粒子、顔料、分散助剤、防腐剤、消泡剤等からなる薄層を設けることが望ましい。
該融着防止の薄層の厚みは、好ましくは0.005〜0.4μm、より好ましくは0.01〜0.4μmである。
本発明の感熱孔版印刷用原紙において、融着防止の薄層を設ける方法は特に限定されないが、水、溶剤等に希釈した溶液をロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、バーコーター等を用いて塗布し、乾燥するのが好ましい。
【0032】
【実施例】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の「部」は全て重量部である。
また、作成した感熱孔版印刷用原紙の評価は次のようにして行った。
<画像性評価方法>
作成した感熱孔版印刷用原紙を、(株)リコー製プリポートN800(600dpi機)に供給して、黒ベタと4ポイント英文字を有するチャートを原稿として製版し、100枚の印刷を行った。100枚目の画像について、黒ベタ部分の均一性、英文字のカケを目視観察し、次のように判定した。なお、比較例3の「画像性」の欄の「−」は、ラミネートできなかったために測定不能であることを示す。
「◎」:黒ベタ部に白抜け欠点が全く発生しなかったもの
「○」:黒ベタ部に殆ど気にならない程度の白抜けが発生したもの
「△」:黒ベタ部に白抜けはあるが、文字カケが無く実使用上問題ない
レベルのもの
「×」:白抜け欠点が多く、英文字もカケが多く読み取れない程のもの
【0033】
実施例1
≪熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体の作成≫
<処方A>
アセタール樹脂(積水化学社製 KS−1) 2.5部
タルク 0.8部
界面活性剤(日光ケミカル社製 SO15U) 0.1部
界面活性剤(信越化学社製 KF6012) 0.1部
界面活性剤(ジョンソン社製 J711) 0.2部
酢酸エチル 43.0部
上記材料を混合して溶解、分散し、これにヒドロキシエチルセルロース(HEC)1%水溶液25.0部を撹拌しながらゆっくり添加して白濁したエマルジョン塗布液を得た。
この塗布液を、ダイコーティング方式により、二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ2.0μm、100℃×3分間の熱収縮率タテ/ヨコ=11%/12%)上に、付着量が3.0g/m2となるように塗布・乾燥して熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体を得た。
多孔性樹脂層の厚みは16μm、平均開孔径は18.6μmであった。
なお、多孔性樹脂層の平均開孔径の測定は、次のようにして行った。
即ち、多孔性樹脂層の任意の10箇所について電子顕微鏡を用いて倍率100倍で10枚の写真撮影を行い、スキャナーを用いてPC(パーソナルコンピューター)に画像情報を取り込んだ後、画像解析ソフト(フリーウェア:ScionImage)で2値化し、開孔部の面積から円換算を行って開孔径を求めた。そして、一枚の写真からランダムに1000個の開孔径を抽出し、10枚の平均値を平均開孔径とした。
【0034】
≪多孔性繊維膜の作成≫
繊度0.2デシテックス、繊維長3mmの未延伸ポリエステル繊維
〔テイジン(株)製テピルスTK08PN〕40重量%と、繊度1.5デシテックス、繊維長5mmのポリエステルバインダー繊維〔鞘成分:低融点PET、熱溶融温度110℃、芯成分:PET/ユニチカ(株)製メルティ4080〕60重量%とを混合し、円網抄紙機により多孔性繊維膜を得た。
該多孔性繊維膜の坪量は、7.5g/m2、厚みは28μmであった。
≪感熱孔版印刷用原紙の作成≫
図6に示すラミネート装置を用い、ロール1の温度を25℃、ロール2の温度を80℃、ロール3の温度を、バインダー繊維のバインダー効果の発現する温度よりも10℃高い120℃に設定し、上記のようにして作成した熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体に多孔性繊維膜をラミネートして積層体を得た。次いで、熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂層と反対側の面に、水溶性シリコーンオイル・FZ2101(日本ユニカー社製)1重量%水溶液をワイヤーバーコーティング方式により塗布・乾燥し本発明の感熱孔版印刷用原紙を得た。
評価結果を表1に示す。
【0035】
実施例2
≪熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体の作成≫
多孔性樹脂層の乾燥後付着量を1.4g/m2となるように塗布・乾燥した点以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体を得た。多孔性樹脂層の厚みは7μm、平均開孔径は15.7μmであった。
≪感熱孔版印刷用原紙の作成≫
実施例1で用いた熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体に代えて、上記のようにして作成した積層体を用いた点以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱孔版印刷用原紙を得た。評価結果を表1に示す。
【0036】
実施例3
≪熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体の作成≫
多孔性樹脂層の乾燥後付着量を9.3g/m2となるように塗布・乾燥した点以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体を得た。多孔性樹脂層の厚みは48μm、平均開孔径は21.7μmであった。
≪多孔性繊維膜の作成≫
繊度1.1デシテックス、繊維長3mmのポリエステルバインダー繊維〔鞘成分:低融点PET、熱溶融温度110℃、芯成分:PET/ユニチカ(株)製メルティ4080〕45重量%と、マニラ麻繊維55重量%とを混合し、円網抄紙機により多孔性繊維膜を得た。
該多孔性繊維膜の坪量は、10.0g/m2、厚みは45μmであった
≪熱孔版印刷用原紙の作成≫
図6に示すラミネート装置を用い、ロール1の温度を25℃、ロール2の温度を80℃、ロール3の温度を、バインダー繊維のバインダー効果が発現する温度よりも20℃高い130℃に設定し、上記のようにして作成した熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体に多孔性繊維膜をラミネートして積層体を得た。
次いで、熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂層と反対側の面に、水溶性シリコーンオイル・FZ2101(日本ユニカー社製)1重量%水溶液をワイヤーバーコーティング方式により塗布・乾燥し本発明の感熱孔版印刷用原紙を得た。
評価結果を表1に示す。
【0037】
実施例4
≪熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体の作成≫
熱可塑性樹脂フィルムとして二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ1.5μm、100℃×3分間の熱収縮率タテ/ヨコ=16%/17%)を用いた点以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体を得た。
多孔性樹脂層の厚みは15μm、平均開孔径は18.8μmであった。
≪多孔性繊維膜の作成≫
繊度1.1デシテックス、繊維長3mmのポリエステルバインダー繊維〔鞘成分:低融点PET、熱溶融温度110℃、芯成分:PET/ユニチカ(株)製メルティ4080〕50重量%と、繊度1.5デシテックス、繊維長5mmのポリエステルバインダー繊維〔鞘成分:低融点PET、熱溶融温度110℃、芯成分:PET/ユニチカ(株)製メルティ4080〕50重量%とを混合し、円網抄紙機により多孔性繊維膜を得た。該多孔性繊維膜の坪量は、8.0g/m2、厚みは32μmであった
≪感熱孔版印刷用原紙の作成≫
図6に示すラミネート装置を用い、ロール1の温度を25℃、ロール2の温度を80℃、ロール3の温度を、バインダー繊維のバインダー効果の発現する温度よりも10℃高い120℃に設定し、上記のようにして作成した熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体に多孔性繊維膜をラミネートして積層体を得た。
次いで、熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂層と反対側の面に、水溶性シリコーンオイル・FZ2101(日本ユニカー社製)1重量%水溶液をワイヤーバーコーティング方式により塗布・乾燥し本発明の感熱孔版印刷用原紙を得た。
評価結果を表1に示す。
【0038】
実施例5
≪熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体の作成≫
<処方B>
ポリビニルブチラール(積水化学社製、BHS) 2.0部
酢酸エチル 18.6部
ソルビタンモノオレエート(東邦化学社製、ソルボンS80)0.15部
タルク 0.5部
上記材料を混合して溶解、分散し、これにヒドロキシエチルセルロース(HEC)1%水溶液20.0部を撹拌しながらゆっくり添加して白濁したエマルジョン塗布液を得た。
この塗布液を、ダイコーティング方式により、二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ1.5μm、100℃×3分間の熱収縮率タテ/ヨコ=16%/17%)上に、付着量が2.5g/m2となるように塗布・乾燥して熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体を得た。
多孔性樹脂層の厚みは13μm、平均開孔径は13.8μmであった。
≪感熱孔版印刷用原紙の作成≫
上記のようにして作成した熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層との積層体を用いた点以外は、実施例4と同様にして本発明の感熱孔版印刷用原紙を得た。
評価結果を表1に示す。
【0039】
比較例1
多孔性樹脂層の乾燥後の付着量を0.8g/m2とした点以外は、実施例1と同様にして、比較用の感熱孔版印刷用原紙を得た。
多孔性樹脂層の厚みは4μm、平均開孔径は12.3μmであった。
結果を表1に示す。
【0040】
比較例2
ロール3の温度を150℃にした点以外は、実施例4と同様にして比較用の感熱孔版印刷用原紙を得た。結果を表1に示す。
【0041】
比較例3
≪多孔性繊維膜の作成≫
繊度0.2デシテックス、繊維長3mmの未延伸ポリエステル繊維〔テイジン(株)製テピルスTK08PN〕70重量%と、繊度1.5デシテックス、繊維長5mmのポリエステルバインダー繊維〔鞘成分:低融点PET、熱溶融温度110℃、芯成分:PET/ユニチカ(株)製メルティ4080〕30重量%とを混合し、円網抄紙機により多孔性繊維膜を得た。
該多孔性繊維膜の坪量は、7.5g/m2、厚みは24μmであった。
≪感熱孔版印刷用原紙の作成≫
図6に示すラミネート装置を用い、ロール1の温度を25℃、ロール2の温度を80℃、ロール3の温度を、バインダー繊維のバインダー効果の発現する温度よりも20℃高い130℃に設定し、実施例1において作成した熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体に、上記のようにして作成した多孔性繊維膜をラミネートして積層体を得た。
次いで、熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂層と反対側の面に、水溶性シリコーンオイル・FZ2101(日本ユニカー社製)1重量%水溶液をワイヤーバーコーティング方式により塗布・乾燥し比較用の感熱孔版印刷用原紙を得た。
評価結果を表1に示す。
【0042】
比較例4
≪感熱孔版印刷用原紙の作成≫
実施例1において作成した多孔性繊維膜の一方の面上に、100℃に加温したロールコーターを用いて、一液型ウレタン接着剤(武田薬品工業社製 タケネートA260)を、塗布量が0.7g/m2となるように塗布し、実施例1において作成した熱可塑性樹脂フィルムと多孔性樹脂層の積層体と重ね合わせ、次いで熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂層と反対側の面に水溶性シリコーンオイル・FZ2101(日本ユニカー社製)1重量%水溶液をワイヤーバーコーティング方式により塗布・乾燥しロール状に巻き取った。
これを30℃で2日間キュアし比較用の感熱孔版印刷用原紙を得た。
【0043】
比較例5
≪感熱孔版印刷用原紙の作成≫
図6に示すラミネート装置を用い、ロール1の温度を25℃、ロール2の温度を80℃、ロール3の温度を、バインダー繊維のバインダー効果の発現する温度よりも10℃高い120℃に設定し、熱可塑性樹脂フィルムとして二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ2.0μm、100℃×3分間の熱収縮率タテ/ヨコ=11%/12%)をロール1側に通紙し、実施例4で作成した多孔性繊維膜とラミネートを行い積層体を得た。
次いで、熱可塑性樹脂フィルムの多孔性繊維膜と反対側の面に、水溶性シリコーンオイル・FZ2101(日本ユニカー社製)1重量%水溶液をワイヤーバーコーティング方式により塗布・乾燥し比較用の感熱孔版印刷用原紙を得た。
評価結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
本発明1〜7によれば、接着剤を用いることなく多孔性樹脂層と多孔性繊維膜をラミネートできる感熱孔版印刷用原紙とその製造方法を提供できる。その結果、600dpi機における繊細な印刷においても白抜けが無く良好な印刷物を得る事ができると共に、接着剤を塗布する工程が省ける為、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感熱孔版印刷用原紙の一例の断面図である。
【図2】本発明の感熱孔版印刷用原紙を構成する多孔性樹脂層の一例の斜視図である。
【図3】本発明の感熱孔版印刷用原紙の他の一例の断面図である。
【図4】本発明の感熱孔版印刷用原紙の他の一例の断面図である。
【図5】本発明の感熱孔版印刷用原紙を構成する多孔性繊維膜の一例の平面図である。
【図6】本発明における多孔性樹脂層と多孔性繊維膜のラミネートを行う装置の説明図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂フィルム
2 多孔性樹脂層
2a 多孔性樹脂層を構成する構成要素
2b 多孔性樹脂層を構成する空隙部分
3 多孔性繊維膜
3a 多孔性繊維膜を構成する繊維状物質
3b 多孔性繊維膜の空隙部分
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多孔性樹脂層を有し、更にその多孔性樹脂層の表面に多孔性繊維膜が積層されている感熱孔版印刷用原紙において、該多孔性繊維膜がバインダー繊維を含み、更に該多孔性繊維膜の一方の面が前記多孔性樹脂層に直接固着されている事を特徴とする感熱孔版印刷用原紙。
- 多孔性繊維膜中のバインダー繊維含有量が40〜100重量%であることを特徴とする請求項1記載の感熱孔版印刷用原紙。
- 多孔性繊維膜を構成するバインダー繊維が90〜120℃の温度でバインダー効果を発現することを特徴とする請求項1又は2記載の感熱孔版印刷用原紙。
- バインダー繊維が芯鞘構造の複合型繊維からなり、該鞘部を構成する樹脂部が90〜120℃の温度でバインダー効果を発現することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
- 該鞘部を構成する樹脂部がポリエステル系樹脂からなることを特徴とする請求項4記載の感熱孔版印刷用原紙。
- 多孔性樹脂層の厚みが5〜50μmの範囲にある事を特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
- 熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に、多孔性樹脂層形成用の塗布液を塗布し乾燥して多孔性樹脂層を形成し、これとは別にバインダー繊維を含有する多孔性繊維膜の少なくとも一方の面を加熱してバインダー繊維を軟化・溶融させ、次いで該軟化・溶融面と前記多孔性樹脂層とを積層・圧着してラミネートを完了することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の感熱孔版印刷用原紙の製造方法。
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-
2002
- 2002-08-08 JP JP2002231723A patent/JP2004066737A/ja active Pending
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