JP3822655B2 - 耐摩耗性に優れた硬質皮膜および硬質皮膜被覆部材 - Google Patents

耐摩耗性に優れた硬質皮膜および硬質皮膜被覆部材 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、フライス加工,切削加工,穿孔加工等の加工に使用される切削工具の表面被覆材、或は金型,軸受け,ダイス,ロールなど高硬度が要求される耐摩耗部材の表面被覆材、もしくは成形機用スクリューやシリンダ等の耐熱・耐食部材の表面被覆材として有用な硬質皮膜に関し、更には該硬質皮膜を被覆することによって優れた耐摩耗性を発揮する硬質皮膜被覆部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高速度工具や超硬合金工具など高い耐摩耗性が要求される切削工具は、工具の基材表面にTiNやTiC等の硬質皮膜を形成することにより耐摩耗性の向上が図られている。
【0003】
上記TiNとTiCの耐摩耗性を比較すると、TiNは高温域における耐酸化性の点でTiCより優れており、切削時の加工熱や摩擦熱によって生じる工具すくい面のクレータ摩耗に対して良好な耐摩耗性を発揮する。しかもTiNは母材との密着性にも優れている。一方TiCはTiNより硬度が高く、被削材と接する逃げ面のフランク摩耗に対して高い耐久性を有している。
【0004】
しかしながら耐酸化性に優れたTiNであっても酸化開始温度はせいぜい600℃程度であり、また高い硬度を有するTiCであってもそのビッカース硬さはせいぜい2000程度であり、いずれについても耐摩耗性の一層の改善が望まれていた。
【0005】
そこで例えば特開平2−194159には、TiNやTiCの耐酸化性や硬度の向上を目的として、Tiの一部をAlに置換したAlとTiの複合窒化物や複合炭窒化物[以下(Al,Ti)(C,N)と示す]が開示されており、酸化開始温度は約800℃、ビッカース硬さは2500程度まで改善されている。
【0006】
また本発明者らはAlおよびTiとNとの化合物をベースとして、一部の元素を他の元素と置換することにより、高い硬度と良好な耐酸化性を有して優れた耐摩耗性を発揮する硬質皮膜を開発して先に出願を済ませている。例えば(Al,Ti,Si)(C,N)膜(特願平6−100154)は、酸化開始温度は約1000℃であり、ビッカース硬さは3100程度である。
【0007】
さらに特開平4−120265号公報には、Hv3500以上という高い硬度を有するcBN(立方晶窒化ホウ素)を、耐摩耗性基材に密着性よく形成することは困難であるという問題点を解決する技術として、基材とcBN皮膜の間にTiNなどの中間層を形成することによってcBN皮膜を密着性よく被覆する発明が開示されている。確かにTiNなどからなる中間層は基材との密着性に優れており、更に上記中間層とcBN皮膜の密着性も高いので、cBN皮膜が容易に剥離することはない。しかしながら、cBN皮膜はHv3500以上という高い硬度を有しているにもかかわらず、TiNなどの中間層の上に形成される場合には中間層の硬度が低いことからcBN皮膜に期待される程の高い硬度は得られず、しかも耐酸化性も不充分であった。
【0008】
この様な状況のもと、一層の高能率化が要求されている切削加工などの分野では、より優れた耐摩耗性を有する硬質皮膜の開発が期待される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこうした事情に着目してなされたものであって、これまでに開発してきた硬質皮膜の優れた特性を生かしつつ、一段と優れた耐摩耗性を発揮する硬質皮膜を提供することを目的としており、更には高い耐摩耗性が要求される部材に上記硬質皮膜を被覆した硬質皮膜被覆部材を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成した本発明に係る硬質皮膜とは、基材表面に形成される硬質皮膜であって、第1層および第2層を有し、上記第1層は基材側に形成されて、
(Alx Ti1-x-y Siy )(Cz1-z
但し、0.05≦x≦0.75
0.01≦y≦0.1
0≦z≦0.4
で示される化学組成からなり、前記第2層は表面側に積層されたBNであることを要旨とするものである。尚、上記の変数x,y,zはいずれも、原子量比である。
【0011】
上記硬質皮膜の厚さは、第1層および第2層共に0.1〜20μmにすることが好ましく、上記硬質皮膜を基材表面に形成すれば耐摩耗性に優れた硬質皮膜被覆部材を得ることができる。
【0012】
【作用】
本発明者らは上記(Al,Ti,Si)(C,N)系皮膜の耐摩耗性をより一層向上させることを目的として検討を重ねた結果、上記(Al,Ti,Si)(C,N)系皮膜の表面にBN膜を保護層として密着性よく形成することによって、硬質皮膜全体としての硬度および耐酸化性を高めることができ、硬質皮膜の耐摩耗性を大幅に向上できることを突き止めた。
【0013】
本発明の硬質皮膜が従来の硬質皮膜に比べて優れた耐摩耗性を発揮できる様になった理由は十分に解明されたわけではないが、以下の様に考えられる。即ち、硬度が高く且つ耐酸化性に優れしかも摩擦係数が小さいBN膜を、(Al,Ti,Si)(C,N)系皮膜上に表面層として密着性よく形成することによって、皮膜全体のビッカース硬さを4000以上と高硬度にすることができると共に、その下層の(Al,Ti,Si)(C,N)系皮膜表面に形成されAl酸化物からなる保護皮膜を著しく緻密化するためであると考えられる。
【0014】
尚、BN皮膜は、(Al,Ti,Si)(C,N)系皮膜と優れた親和性および反応性を有しているので、下地の(Al,Ti,Si)(C,N)系皮膜に密着性良く形成することができ、しかも(Al,Ti,Si)(C,N)系皮膜と基材との密着性を損なうこともないので、切削工具やその他の耐摩耗部材の表面に適用した場合であっても、各界面における剥離の問題を生ずることが少なく、硬質皮膜の優れた耐摩耗性を十分に発揮する硬質皮膜被覆部材を得ることができる。
【0015】
本発明におけるBN皮膜が下地(Al,Ti,Si)(C,N)系皮膜に密着性良く形成することができる理由については、未解明の部分を残しているが、例えばJOURNAL OF HARD MATERIALS(Vol.2,No.3-4,1991,P233〜243)によると、cBN−TiAlN複合材料の界面には、AlN,TiN,TiB2 等の反応層が形成される様であり、本発明の場合においても(Al,Ti,Si)(C,N)とBNの界面に同様の反応層が形成され、これによって密着性が著しく高まるものであると考えている。
【0016】
本発明に係る硬質皮膜において、基材上に形成される第1層は下記の化学組成からなることが必要である。
(Alx Ti1-x-y Siy )(Cz1-z
但し、0.05≦x≦0.75
0.01≦y≦0.1
0≦z≦0.4
【0017】
(Alx Ti1-x-y Siy )(Cz1-z )が優れた耐摩耗性を発揮するには、金属元素の成分組成Alx Ti1-x-y Siy においてx,yの値は夫々0.05≦x≦0.75,0.01≦y≦0.1という条件を満足することが必要である。xの値が0.05未満であるか、またはyの値が0.01未満では十分な耐酸化性の向上効果を得ることができない。またxの値が0.75を超えるか、またはyの値が0.1を超えると皮膜の結晶構造が立方晶から六方晶へ変化してしまい、皮膜硬さが低下して十分な耐摩耗性が得られない。なお、xの下限値としては0.25が好ましく、0.56以上であることがより望ましい。xの上限値としては0.7が好ましい。yの好ましい下限値は0.02であり、一方yの上限値としては0.08が好ましく、0.05以下であることがより望ましい。
【0018】
また本発明に係る硬質皮膜の第1層は、上記金属元素の窒化物であっても炭・窒化物であっても優れた耐摩耗性を発揮する。但し、Cz1-z においてzの値が0.4を超えると皮膜の耐酸化性が低下してしまうので、0≦z≦0.4を満足することが望ましい。尚、zの値が0.2以下であると耐酸化性がより良好となる。
【0019】
本発明は第2層として形成するBN皮膜の組成または結晶構造を限定するものではないが、硬度がHv3500以上であるcBNや硬質BNを第1層に積層すれば、高い耐摩耗性が得られるので好ましい。
【0020】
次に本発明に係る硬質皮膜の厚さとしては、第1層および第2層共に、0.1μm以上20μm以下であることが望まれる。0.1μm未満であると耐摩耗性が十分発揮できず、一方20μmを超えると衝撃力によって硬質皮膜にクラックが入ることがあるからである。
【0021】
なお、本発明に係る硬質皮膜を切削工具に被覆する場合には、工具基材本来の切れ刃の特性を生かしつつ、同時に硬質皮膜の優れた耐摩耗性を発揮させることが望まれる。このような観点から本発明に係る硬質皮膜の厚さは、第1層および第2層共に、1μm以上とすることが好ましく、2μm以上がより好ましい。また上限については12μm以下とすることが好ましく、8μm以下がより望ましい。
【0022】
また、本発明は硬質皮膜を被覆する基材の材質を限定するものではないが、基材表面に密着性よく被覆して優れた耐摩耗性を発揮させるためには、超硬合金,高速度工具鋼,ダイス鋼,サーメットまたはセラミック等の硬質物質が適している。
【0023】
尚、本発明に係る硬質皮膜を基材表面に被覆するにあたって、まず第1層の形成方法としては、イオンプレーティング法やスパッタリング法等に代表されるPVD法が挙げられるが、例えばアーク放電式イオンプレーティング法を採用する場合には以下に例示する方法を用いればよい。即ち、アーク放電により蒸発源であるカソードから金属成分(Al,Ti,Si)をイオン化させ、N2 雰囲気および/またはCH4 雰囲気中でイオンプレーティングすることによって窒化物および/または炭化物を基材上に形成することができる。更に、目的とする皮膜組成と同一の金属組成のターゲットを用いれば、組成のずれを生じることが少なく安定した組成の皮膜を得ることが容易となる。また基材にバイアス電位を印加しながらイオンプレーティングを行えば、皮膜の密着性を一段と高めることができるので好ましい。
【0024】
さらに本発明はイオンプレーティング時のガス圧も特に限定するものではないが、1×10-3〜5×10-2Torr程度が好ましく、ガス圧をこの範囲内に設定すれば耐摩耗性の一段と優れた高結晶性の緻密な硬質皮膜が得られ易い。
【0025】
また本発明はBN皮膜を形成する方法を限定するものでもなく、前述のイオンプレーティング法やイオンアシストデポジション法等を用いればよい。イオンプレーティング法を採用する場合には、Bからなるターゲットを用い、イオン化させたBをN2 雰囲気中で反応させることによって基材上にBN皮膜を形成することができる。またイオンアシストデポジション法を採用する場合には、坩堝に入れたBに電子ビームを同時に照射してBを蒸発させ窒素イオンを反応させることにより、基材上にBNを被覆することができる。このとき、基材にバイアス電位を印加すると、皮膜の密着性を一段と高めることができるので好ましい。
【0026】
以下実施例について説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではなく、前・後記の趣旨に徴して適宜変更することは本発明の技術的範囲に含まれる。
【0027】
【実施例】
実施例1
まず、寸法10mm×25mmの白金箔からなる基材をイオンプレーティング装置に装着し、以下の方法により第1層を形成した。上記基材を400℃に加熱した後、第1層を構成する元素のうちN以外の元素を組成成分とするカソードを蒸発させると共に、反応ガスとしてN2 ガスを導入して、7×10-3Torrの雰囲気とし、且つ上記基材に−150Vの電位を印加することによって表1に示す種々の組成の第1層皮膜を5μm被覆した試験片を製作した。なお、皮膜の組成は誘導結合型アルゴンプラズマ発光分析法およびオージェ電子分光法により確認した。
【0028】
第2層としてBN皮膜を積層するにあたっては、第1層の皮膜を形成した後、上記イオンプレーティング装置内の電子ビーム銃を起動し、坩堝に入れたBに電子ビームを照射してBを蒸発させ、装置内の真空度が5×10-4TorrになるようにしてBの蒸気に500eVの出力で窒素イオンビームをあて反応させると共に、基材に−150Vの電位を印加することによって3μmの厚さのBN皮膜を形成した。なお、皮膜の組成は電子プルーブX線マイクロアナリシスおよびオージェ電子分光法により確認した。
【0029】
この様にして得られた試験片を用いて下記条件の酸化試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。
(酸化試験の条件)
温度範囲:室温〜1300℃
昇温速度:10°/min
雰囲気 :乾燥空気、大気圧
空気流量:150cc/min
【0030】
【表1】
Figure 0003822655
【0031】
第2層としてBN膜が形成されていない従来例(No.1)と該従来例の皮膜に第2層としてBN膜が形成された実施例(No.5)とを比較すると、本発明に係る硬質皮膜は酸化開始温度が1段と高くなっていることから耐酸化性が向上していることが分かる。
【0032】
No.2は、(Al,Ti,Si)(C,N)系皮膜を第1層として形成することなく、BN皮膜が形成された比較例である。基材との密着性が乏しいことからBN皮膜本来の特性を発揮できず、酸化開始温度が低い。
【0033】
No.3,4は、TiNまたは(Al,Ti)Nを第1層として、BNを第2層として形成した従来例であり、本発明に係る硬質皮膜に比べると耐酸化性に劣ることが分かる。
【0034】
実施例2
基材として超硬チップを用い、皮膜の厚みを各々10μmにする以外は、実施例1と同じ方法で試験片を製作した。これらの皮膜のマイクロビッカース硬さを荷重100gで測定したところ、前記表1に併記する結果が得られた。
表1から明らかな様に、従来例(No.1)と該従来例の皮膜に第2層としてBN膜が形成された実施例(No.5)とを夫々比較すると、本発明に係る硬質皮膜はマイクロビッカース硬さが1000以上も高くなっていることから硬度が著しく高くなっていることが分かる。
【0035】
No.2は、(Al,Ti,Si)(C,N)系皮膜を第1層として形成することなく、BN皮膜が形成された比較例である。基材との密着性が乏しいことからBN皮膜本来の特性を発揮できず、マイクロビッカース硬さが低い。
No.3,4は、TiNまたは(Al,Ti)Nを第1層として、BNを第2層として形成した従来例であり、本発明に係る硬質皮膜に比べると硬度が低いことが分かる。
【0036】
実施例3
超硬合金を基材として用いて、外径10mmの2枚刃エンドミルを製作し、夫々のエンドミルの刃部表面に基材と皮膜厚さ以外は実施例1と同じ方法で表2に示す硬質皮膜を形成した。この場合、皮膜厚さは第1層および第2層を形成する場合は夫々4μmおよび2μmとし、第1層または第2層のみ形成する場合は6μmとした。
【0037】
得られた表面被覆エンドミルを用いて、下記の条件により切削試験を行ないエンドミル切れ刃逃げ面の摩耗量を測定したところ、表2に併記する結果を得た。
(切削条件)
切削方法:側面切削ダウンカット
被削材 :SKD11(硬さHB219)
切込み :Rd 1mm×Ad 10mm
切削速度:60m/min
送り :0.07mm/tooth(270mm/min)
切削油 :エアーブロー
切削長 :50m
【0038】
【表2】
Figure 0003822655
【0039】
表2からも明らかな様に、本発明に係る硬質皮膜被覆エンドミル(No.5)は、従来例(No.1〜4)と比べて逃げ面摩耗量が小さく耐摩耗性に優れていることが分かる。
【0040】
実施例4
基材としてJIS規格SKH51相当の高速度鋼を用いて、外径10mmのJIS規格ドリルを製作し、これらを基材として用いる以外は実施例3と同じ方法で、夫々のドリル刃部表面に表3に示す硬質皮膜を形成した。
【0041】
得られた表面被覆ドリルを用いて、下記の条件により切削試験を行ない切削寿命を調べたところ、表3に併記する結果を得た。
(切削条件)
切削方法:穴あけ加工、各5本切削
被削材 :S55C(硬さHB220)
切削速度:30m/min
送り :0.2mm/rev
切削長さ:25mm(貫通穴)
切削油 :水溶性エマルジョン型切削油
【0042】
【表3】
Figure 0003822655
【0043】
表3からも明らかな様に、本発明に係る硬質皮膜被覆ドリル(No.5)は、従来例(No.1〜4)と比べて平均穴あけ個数が多く切削寿命が長いことが分かる。
【0044】
実施例5
JIS規格SKD61相当の金型材を用いて、寸法40×20×5mmの基材を製作し、第1層および第2層の合計の皮膜厚さを10μmとする以外は実施例4と同じ方法で表4に示す硬質皮膜を形成して試験片とした。
【0045】
得られた試験片を用いて、下記の条件で熱サイクル試験を行ない耐久性を調査したところ、表4に併記する結果を得た。
(熱サイクル試験条件)
高温槽温度、保持時間:800℃、150秒
低温槽温度、保持時間:水冷、10秒
【0046】
【表4】
Figure 0003822655
【0047】
表4からも明らかな様に、本発明に係る硬質皮膜を被覆した試験片(No.3)は、従来例(No.1,2)と比べてクラック発生までのサイクル数が大きく改善されており、優れた耐熱サイクル性を示している。
【0048】
実施例6
超硬チップを基材として用いて、基材の種類が異なること以外は実施例3と同じ方法で、夫々のチップの刃部表面に表5に示す硬質皮膜を形成した。
得られた表面被覆チップを用いて、下記の条件により切削試験を行ないチップ切れ刃逃げ面の摩耗量を測定したところ、表5に併記する結果を得た。
(切削条件)
被削材 :S45C
切削速度:200m/min
送り速度:0.3mm/rev
切込み :2mm
切削油 :乾式
切削時間:40min
【0049】
【表5】
Figure 0003822655
【0050】
表5からも明らかな様に、本発明に係る硬質皮膜被覆チップ(No.5)は、従来例(No.1〜4)と比べて逃げ面摩耗量が小さく耐摩耗性が優れていることが分かる。
【0051】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されているので、これまでに開発してきた硬質皮膜の優れた特性を生かしつつ、一段と優れた耐摩耗性を発揮する硬質皮膜を提供することが可能となり、更には高い耐摩耗性が要求される部材に上記硬質皮膜を被覆した硬質皮膜被覆部材が提供できることとなった。

Claims (4)

  1. 基材表面に形成される硬質皮膜であって、
    第1層および第2層を有し、
    上記第1層は基材側に形成されて、
    (Alx Ti1-x-y Siy )(Cz1-z
    但し、0.05≦x≦0.75
    0.01≦y≦0.1
    0≦z≦0.4
    で示される化学組成からなり、
    前記第2層は表面側に積層されたBNであることを特徴とする耐摩耗性に優れた硬質皮膜。
  2. 前記第1層の厚さが、0.1〜20μmである請求項1に記載の硬質皮膜。
  3. 前記第2層の厚さが、0.1〜20μmである請求項1または2に記載の硬質皮膜。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の硬質皮膜を、基材表面に形成してなることを特徴とする耐摩耗性に優れた硬質皮膜被覆部材。
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