JP2000017423A - 高靱性硬質積層皮膜被覆工具 - Google Patents

高靱性硬質積層皮膜被覆工具

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JP2000017423A
JP2000017423A JP19011498A JP19011498A JP2000017423A JP 2000017423 A JP2000017423 A JP 2000017423A JP 19011498 A JP19011498 A JP 19011498A JP 19011498 A JP19011498 A JP 19011498A JP 2000017423 A JP2000017423 A JP 2000017423A
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thickness
film
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high toughness
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JP19011498A
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Masatoshi Sakurai
正俊 櫻井
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OSG Corp
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  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬質皮膜の耐磨耗性を損なうことなく靱性を
向上させ、且つ耐熱性が維持された高靱性硬質積層皮膜
被覆工具を提供する。 【解決手段】 基体32の表面に、平均層厚が0.01〜0.
40μm のTi( NX 1- X ) ( 但し、0.50≦X≦1.00)
の組成で示される内側層34と、平均層厚が0.01〜0.40
μm の (AlY Ti1-Y ) (NZ 1-Z ) ( 但し、0.20
≦Y≦0.80、0.50≦Z≦1.00) の組成で示される外側層
36とを、交互に繰り返し積層して高靱性硬質積層皮膜
38を設けるとともに、その積層皮膜38の全体の平均
膜厚D1 を0.50〜10.0μm とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速度工具鋼、超
硬合金、サーメットまたはCBN焼結体などを母材の材
質とする工具に高靱性の硬質積層皮膜コーティングを施
した高靱性硬質積層皮膜被覆工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高速度工具鋼、超硬合金、サーメ
ット、CBN焼結体などを使った工具の耐磨耗性向上な
どを目的として、工具基材表面にTi、Cr、Hf、Z
rなどの窒化物、炭化物、及び炭窒化物の硬質皮膜を物
理蒸着法(PVD法)や化学蒸着法(CVD法)などを
用いて、0.50〜10.0μm の平均膜厚で被覆することが行
われていた。また、近年、切削速度の高速化に伴い、硬
質皮膜の耐酸化性の向上を目的として、超硬合金にAl
TiNやAlTiCNなどの硬質皮膜をPVD法で被覆
した工具が使われるようになり、例えば、特公平4−5
3642号公報には、AlとTiの複合炭化物固溶体、
複合窒化物固溶体、及び複合炭窒化物固溶体を0.50〜1
0.0μm の厚さで形成することが記載されている。ま
た、特公平5−67705号公報には、皮膜の耐熱性を
更に高める目的で、Alの存在割合が56%以上、75%以
下の化学組成から成る耐磨耗性皮膜を、0.80〜10.0μm
の膜厚で形成することが記載されている。更に、特開平
7−97679号公報には、チタンリッチとアルミニウ
ムリッチのAlTiN超薄膜を、0.50〜20.0nmの繰り返
し周期で積層し、積層体の全体組成として化学量論的に
アルミニウムリッチなるものとし、全体の膜厚を0.50〜
10.0μm とした高硬度の超薄膜積層体を形成することが
記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、切削
加工は高速化され、被削材も高硬度化が進んでいるが、
このような用途で硬質皮膜被覆工具を使用すると、皮膜
は磨耗せずに微小に欠けることが多かった。特に、アル
ミニウムリッチなるAlTiN皮膜の場合、皮膜硬さが
2600Hv以上となるので非常に欠け易い。このた
め、本来の耐磨耗性が発揮されなかった。これは、皮膜
が単層や複層、更に前述の超薄膜積層体であっても同様
であり、皮膜が硬くなればなるほど、切削中に皮膜に微
小な欠けが発生し本来の耐磨耗性が発揮できなかった。
【0004】本発明は以上のような事情を背景として為
されたもので、その目的とするところは、硬質皮膜の耐
磨耗性を損なうことなく靱性を向上させ、且つ耐熱性が
維持された高靱性硬質積層皮膜被覆工具を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1発明は、平均層厚が0.01〜0.40μm のTi(N
X 1-X ) ( 但し、0.50≦X≦1.00) の組成で示される
第1皮膜層と、平均層厚が0.01〜0.40μm の (AlY
1-Y ) (NZ 1-Z ) ( 但し、0.20≦Y≦0.80、0.50
≦Z≦1.00) の組成で示される第2皮膜層とが、基体の
表面に交互に繰り返して積層された高靱性硬質積層皮膜
被覆工具であって、積層皮膜全体の平均膜厚が0.50〜1
0.0μm であることを特徴とする。
【0006】第2発明は、平均層厚が0.01〜0.40μm の
Ti( NS 1-S ) ( 但し、0.50≦S≦1.00) の組成で
示される第1皮膜層と、平均層厚が0.01〜0.20μm の
(Al T Ti1-T )(NU 1-U ) ( 但し、0.20≦T<0.5
0、0.50≦U≦1.00) の組成で示される中間皮膜層と、
平均層厚が0.01〜0.40μm の (AlV Ti1-V ) (NW
1-W ) (但し、0.50<V≦0.80、0.50≦W≦1.00) の
組成で示される第2皮膜層とが、基体の表面に繰り返し
て積層された高靱性硬質積層皮膜被覆工具であって、前
記第1皮膜層と前記第2皮膜層との間には常に前記中間
皮膜層が介在するように積層されているとともに、積層
皮膜全体の平均膜厚が0.50〜10.0μm であることを特徴
とする。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の高靱性硬質積層皮膜は、
イオンプレーティング法やスパッタリング法等に代表さ
れる物理蒸着法(PVD法)や、プラズマCVD、熱C
VD等に代表される化学蒸着法(CVD法)によって形
成される。これらのうち、イオンプレーティング法によ
って行う場合について説明すると、処理炉内でイオン化
した金属成分をN2 雰囲気またはN2 +CH4 雰囲気中
で反応させる。カソードとしては、目的組成そのものか
ら成るAlY Ti1-Y およびTi(第1発明)、または
AlT Ti1-T 、AlV Ti1-V およびTi(第2発
明)をターゲットとし、それらの2種類または3種類の
ターゲットを交互に使用することによって、高靱性硬質
積層皮膜が得られる。
【0008】基体材料としては、高速度工具鋼、超硬合
金、サーメット、CBN焼結体など種々の工具材料を採
用できる。第1発明では、第1皮膜層および第2皮膜層
は、アルミニウムを含む第2皮膜層を外側とし、アルミ
ニウムを含まない第1皮膜層を内側すなわち基体側とし
て、交互に積層することが望ましい。また、第2発明で
は、アルミニウムを含む第2および中間皮膜層を外側と
し、アルミニウムを含まない第1皮膜層を内側すなわち
基体側として、繰り返して積層することが望ましい。
【0009】ここで、第1皮膜層および第2皮膜層の層
厚を0.01〜0.40μm に制限したのは、アルミニウムを含
まないため硬さが低くなる第1皮膜層の層厚が0.01μm
未満では切削加工時に積層皮膜が受ける衝撃を吸収でき
ず、0.40μm を超えると、積層皮膜全体の耐磨耗性およ
び耐熱性が低下する。アルミニウムを含むため硬さが高
くなる第2皮膜層の層厚が0.01μm 未満では十分な耐磨
耗性および耐熱性が得られず、0.40μm を超えると、上
下に衝撃を吸収する層があっても皮膜層の欠けが避けら
れないからである。
【0010】また、連続して積層する皮膜層の成分が違
い過ぎると、皮膜層同士の界面で欠けが発生して衝撃を
吸収できなくなるので、第2発明のようにアルミニウム
の含有量が少ない中間皮膜層を介在させると積層皮膜全
体の靱性が向上する。中間皮膜層の硬さは上下の層の中
間となるため、膜厚が0.01μm 未満では衝撃を吸収でき
ず、膜厚が0.20μm を超えると皮膜の耐磨耗性および耐
熱性が低下する。なお、連続して積層される中間皮膜
層、第2皮膜層、および中間皮膜層の合計の平均層厚
は、欠けを防止する上で0.50μm 程度以下であることが
望ましい。
【0011】また、第1発明において積層する第2皮膜
層のAl成分(アルミニウムの混合割合Y)を0.20≦Y
≦0.80に制限したのは、Al成分が20%未満では十分な
耐熱性と硬さが得られず、80%を超えても十分な硬さが
得られないためである。第2発明において、第2皮膜層
のAl成分(アルミニウムの混合割合V)を0.50<V≦
0.80に制限したのは、Al成分が50%以下では十分な耐
熱性と硬さが得られず、80%を超えても十分な硬さが得
られないためである。第2発明の中間皮膜層のAl成分
(アルミニウムの混合割合T)を0.20≦T<0.50に制限
したのは、Al成分が20%未満では十分な耐熱性と硬さ
が得られず、50%以上では皮膜の硬さが硬すぎ、十分な
衝撃吸収効果が得られないためである。
【0012】第1発明および第2発明の各皮膜層におけ
るNCのC成分は、工具の用途によって皮膜の耐磨耗性
を上げたい時に増加させるが、50%を超えると皮膜が硬
すぎ、十分な衝撃吸収効果が得られない。
【0013】図1は、第1発明の高靱性硬質積層皮膜被
覆工具の一例を説明する断面図で、基体32の表面上に
は、内側層34と外側層36とを交互に同数だけ積層し
た高靱性硬質積層皮膜38が設けられている。内側層3
4は第1皮膜層に相当するもので、平均層厚は0.01〜0.
40μm の範囲内で、組成はTi(NX 1-X ) (但し、
0.50≦X≦1.00)である。外側層36は第2皮膜層に相
当するもので、平均層厚は0.01〜0.40μm の範囲内で、
組成は (AlY Ti1-Y )(NZ 1-Z ) (但し、0.20≦
Y≦0.80、0.50≦Z≦1.00) である。また、高靱性硬質
積層皮膜38全体の平均膜厚D1 は0.50〜10.0μm の範
囲内であり、後述の実施例1〜4は、このように内側層
34および外側層36が互いに接する状態で交互に積層
した高靱性硬質積層皮膜被覆工具の具体例である。
【0014】図2は、第2発明の高靱性硬質積層皮膜被
覆工具の一例を説明する断面図で、基体32の表面上に
は、内側層40と外側層44とそれ等の間に常に介在さ
せられる中間層42とを交互に繰り返し積層した高靱性
硬質積層皮膜46が設けられている。内側層40は第1
皮膜層に相当するもので、平均層厚は0.01〜0.40μmの
範囲内で、組成はTi( NS 1-S ) ( 但し、0.50≦S
≦1.00) である。中間層42は中間皮膜層に相当するも
ので、平均層厚は0.01〜0.20μm の範囲内で、組成は
(AlT Ti1-T )(NU 1-U ) ( 但し、0.20≦T<0.5
0、0.50≦U≦1.00) である。外側層44は第2皮膜層
に相当するもので、平均層厚は0.01〜0.40μm の範囲内
で、組成は (AlV Ti1-V ) (NW 1-W ) (但し、
0.50<V≦0.80、0.50≦W≦1.00) である。また、高靱
性硬質積層皮膜46全体の平均膜厚D2 は0.50〜10.0μ
m の範囲内であり、後述の実施例5〜7は、このように
内側層40、中間層42、および外側層44を積層した
高靱性硬質積層皮膜被覆工具の具体例である。
【0015】なお、必要に応じて上記高靱性硬質積層皮
膜38、46と基体32との間にTiN等の界面層を形
成して母材との密着性を高めたり、高靱性硬質積層皮膜
38、46の最表面上に更にアルミニウムリッチのAl
TiN等から成る表面層を設けたりすることも可能であ
る。
【0016】表1の実施例1〜7は、上記高靱性硬質積
層皮膜被覆工具の具体例で、以下、それ等の実施例につ
いて具体的に説明する。
【表1】
【0017】(実施例1)Al0.7 Ti0.3 合金のター
ゲットとTiのターゲットをカソード電極とするアーク
方式イオンプレーティング装置の基板ホルダーに、直径
10.0mm、刃長25.0mm、全長80.0mm、刃数6枚の超硬合金
製エンドミル(WC−10Coを主成分としJISZ1
0相当)を取り付けた。基板ホルダーは自転させるとと
もに基板加熱用のヒーターを設置した。次に、装置内を
6.70×10-3Paまで排気し、ヒーターでエンドミルの温度
を 500℃まで加熱した。その後、エンドミルに-1000Vの
電位をかけ、アーク放電を開始してエンドミルの表面を
十分に洗浄した後、電位を-200V まで落とすとともにN
2 ガスを1000cc/minの割合で流して、全体の膜厚(=高
靱性硬質積層皮膜の膜厚)3.20μm 、Tiをターゲット
とする内側層(第1皮膜層)の平均層厚0.10μm 、Al
0.7 Ti0.3 合金をターゲットとする外側層(第2皮膜
層)の平均層厚0.10μm 、それ等の内側層および外側層
の積層周期0.20μm (=内側層厚0.1 +外側層厚0.1)で
高靱性硬質積層皮膜を形成した。厚み寸法は、エンドミ
ルを切断して断面を走査形電子顕微鏡で観察して測定し
た。また、オージェ電子分光法により外側層の組成の定
量を行った結果、外側層の膜組成はAl0.69Ti0.31
でカソード成分と殆ど同じであった。
【0018】(実施例2)高靱性硬質積層皮膜の外側層
の平均層厚を0.20μm とし、内側層および外側層の積層
周期を0.30μm (=内側層厚0.1 +外側層厚0.2)とし、
全体の膜厚(=高靱性硬質積層皮膜の膜厚)を3.00μm
とした以外は実施例1と同じ条件で成膜した。外側層の
膜組成はAl0.68Ti0.32Nであった。
【0019】(実施例3)N2 ガスを流しながらTiを
ターゲットとして基体表面に0.10μm のTiN皮膜を設
け、高靱性硬質積層皮膜と母材との密着性を高める一
方、高靱性硬質積層皮膜の外側層の平均層厚を0.30μm
としてアルミニウムの含有量を更に高め、積層周期を0.
40μm (=内側層厚0.1 +外側層厚0.3)とし、高靱性硬
質積層皮膜の膜厚を2.8 μm 、全体の膜厚を2.90μm と
した以外は実施例1と同じ条件で成膜した。アルミニウ
ムを含む外側層の膜組成はAl0.68Ti0.32Nであっ
た。
【0020】(実施例4)高靱性硬質積層皮膜の外側層
の平均層厚を0.20μm とし、積層周期を0.30μm(=内
側層厚0.1 +外側層厚0.2)とし、高靱性硬質積層皮膜の
膜厚を2.70μm とする一方、N2 ガスを流しながらAl
0.7 Ti0.3 合金をターゲットとして最表面にAl0.7
Ti0.3 Nから成る層厚0.50μm の表面層を形成し、皮
膜全体のアルミニウム含有量を更に高め、全体の膜厚を
3.30μm とした以外は実施例3と同じ条件で成膜した。
表面層の膜組成はターゲットと略同じである。
【0021】(実施例5)N2 ガスを流しながら内側層
(第1皮膜層)成膜時のターゲットとしてTiを用い、
中間層(中間皮膜層)成膜時のターゲットとしてAl
0.3 Ti0.7 合金を用い、外側層(第2皮膜層)成膜時
のターゲットとしてAl0.8 Ti0.2 合金を用いること
により、高靱性硬質積層皮膜の内側層の平均層厚0.1 μ
m 、中間層の平均層厚0.1 μm 、外側層の平均層厚0.20
μm で、外側層と内側層との間に常に中間層を介在させ
て積層周期0.50μm (=内側層厚0.1 +中間層厚0.1 +
外側層厚0.2 +中間層厚0.1 )で積層し、全体の膜厚
(=高靱性硬質積層皮膜の膜厚)を2.90μm (0.5μm ×
6 周期で最上部の中間層0.10μm は無し) とした以外は
実施例1と同じ条件で成膜した。内側層と外側層の硬さ
の差が大き過ぎると皮膜の靱性が損なわれるため、中間
層を採用して硬さの差から生じる機械的性質の差を緩和
した。中間層および外側層の膜組成はそれぞれターゲッ
トと略同じである。
【0022】(実施例6)N2 ガスを流しながらTiを
ターゲットとして基体表面に0.10μm のTiN皮膜を設
け、高靱性硬質積層皮膜と母材との密着性を高める一
方、高靱性硬質積層皮膜の中間層成膜時のターゲットと
してAl0.4 Ti0.6 合金を用い、全体の膜厚を3.00μ
m とした点を除いて実施例5と同じ条件で成膜した。中
間層の膜組成はAl0.41Ti0.59Nで、外側層の膜組成
はAl0.81Ti0.19Nであった。
【0023】(実施例7)高靱性硬質積層皮膜の中間層
のターゲットとしてAl0.5 Ti0.5 合金を用い、内側
層の平均層厚を0.20μm 、外側層の平均層厚を0.30μm
、積層周期を0.70μm (=内側層厚0.2 +中間層厚0.1
+外側層厚0.3 +中間層厚0.1 )、高靱性硬質積層皮
膜の膜厚を2.80μm (0.7μm ×4 周期) とする一方、N
2 ガスを流しながらAl0.8 Ti0.2 合金をターゲット
として最表面にAl0.8 Ti0.2 Nから成る層厚0.50μ
m の表面層を形成し、皮膜全体のアルミニウム含有量を
高め、全体の膜厚を3.40μm とした以外は実施例6と同
じ条件で成膜した。表面層の膜組成はAl0.78Ti0.22
Nであった。
【0024】一方、上記実施例1〜7と比較するため、
高靱性硬質積層皮膜を備えていない比較例1〜3(表1
参照)を作製した。
【0025】(比較例1)Al0.5 Ti0.5 合金のター
ゲットを用いた以外は実施例1と同じ条件で、基体表面
にAl0.5 Ti0.5 Nから成る層厚3.2 μm の表面層を
形成した。表面層の膜組成はAl0.49Ti0.51Nであっ
た。
【0026】(比較例2)Al0.7 Ti0.3 合金のター
ゲットとTiのターゲットを用いた以外は実施例1と同
じ条件で、基体表面にTiNから成る層厚0.10μm の界
面層を形成するとともに、その界面層の上にAl0.7
0.3 Nから成る層厚3.20μm の表面層を成膜した。表
面層の膜組成は、Al0.68Ti0.32Nであった。
【0027】(比較例3)Al0.8 Ti0.2 合金のター
ゲットとTiのターゲットを用いた以外は実施例1と同
じ条件で、基体表面にTiNから成る層厚0.10μm の界
面層を形成するとともに、その界面層の上にAl0.8
0.2 Nから成る層厚3.00μm の表面層を成膜した。表
面層の膜組成は、Al0.68Ti0.32であった。
【0028】実施例1〜7および比較例1〜3の試料
(エンドミル)を用いて以下の切削条件で側面切削を行
い、エンドミル外周刃の逃げ面の磨耗幅が0.10mmに達す
るまでの切削長さを測定し、その結果を前記表1に併せ
て示した。 (切削条件) 被削材:SKD11(硬さ:60HRC) 切削速度:150m/min 送り量:0.10mm/刃 切込み量:AD(Axial depth )=10mm、RD(Radius
depth)=0.3 mm 切削油:乾式
【0029】前記表1から分かるように、本発明が適用
されたエンドミル(実施例1〜7)は、従来のエンドミ
ル(比較例1〜3)と比較して優れた耐磨耗性を示し
た。すなわち、本発明の高靱性硬質積層皮膜被覆工具
は、従来の工具と比べて、外側層(第2皮膜層)のAl
含有量を増加して皮膜の硬さや耐熱性を向上させても、
皮膜に微小な欠けが発生し難く、その外側層のAlの含
有量や層厚が増加するのに伴って耐久性も増加し、優れ
た耐久性を示すのである。また、中間層(中間皮膜層)
を有する実施例5〜7では、中間層が無い実施例1〜4
に比較してより優れた耐磨耗性が得られる。
【0030】なお、ここでは超硬合金製エンドミルにつ
いて具体的に説明したが、他の種々の材料製の切削工具
にも本発明は適用され得るし、炭窒化物の固溶体を含む
AlTiの高靱性硬質積層皮膜を設けることもできるな
ど、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良
を加えた態様で実施することができる。
【0031】
【発明の効果】このように本発明の高靱性硬質積層皮膜
被覆工具によれば、第2皮膜層のAl含有量を増加して
皮膜の硬さや耐熱性を向上させても欠けが発生し難く、
優れた耐磨耗性が得られて工具寿命が大幅に向上する。
特に、第1皮膜層と第2皮膜層との間に中間皮膜層を有
する第2発明の場合、一層優れた耐磨耗性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明の一実施例を説明する断面図である。
【図2】第2発明の一実施例を説明する断面図である。
【符号の説明】
32:基体 34、40:内側層(第1皮膜層) 36、44:外側層(第2皮膜層) 38、46:高靱性硬質積層皮膜 42:中間層(中間皮膜層) D1 、D2 :積層皮膜全体の平均膜厚
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Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均層厚が0.01〜0.40μm のTi( NX
    1-X ) ( 但し、0.50≦X≦1.00) の組成で示される第
    1皮膜層と、平均層厚が0.01〜0.40μm の (AlY Ti
    1-Y ) (NZ 1-Z ) ( 但し、0.20≦Y≦0.80、0.50≦
    Z≦1.00) の組成で示される第2皮膜層とが、基体の表
    面に交互に繰り返して積層された高靱性硬質積層皮膜被
    覆工具であって、積層皮膜全体の平均膜厚が0.50〜10.0
    μm であることを特徴とする高靱性硬質積層皮膜被覆工
    具。
  2. 【請求項2】 平均層厚が0.01〜0.40μm のTi( NS
    1-S ) ( 但し、0.50≦S≦1.00) の組成で示される第
    1皮膜層と、平均層厚が0.01〜0.20μm の (AlT Ti
    1-T )(NU 1-U ) ( 但し、0.20≦T<0.50、0.50≦U
    ≦1.00) の組成で示される中間皮膜層と、平均層厚が0.
    01〜0.40μm の (AlV Ti1-V ) (N W 1-W ) (但
    し、0.50<V≦0.80、0.50≦W≦1.00) の組成で示され
    る第2皮膜層とが、基体の表面に繰り返して積層された
    高靱性硬質積層皮膜被覆工具であって、前記第1皮膜層
    と前記第2皮膜層との間には常に前記中間皮膜層が介在
    するように積層されているとともに、積層皮膜全体の平
    均膜厚が0.50〜10.0μm であることを特徴とする高靱性
    硬質積層皮膜被覆工具。
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