JPH11216601A - 硬質積層皮膜被覆工具 - Google Patents

硬質積層皮膜被覆工具

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JPH11216601A
JPH11216601A JP2299798A JP2299798A JPH11216601A JP H11216601 A JPH11216601 A JP H11216601A JP 2299798 A JP2299798 A JP 2299798A JP 2299798 A JP2299798 A JP 2299798A JP H11216601 A JPH11216601 A JP H11216601A
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layer
film
thickness
composition
coating
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JP2299798A
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Masatoshi Sakurai
正俊 櫻井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐磨耗性を損なうことなく靱性を向上させ、
且つ耐熱性が維持された硬質積層皮膜被覆工具を提供す
る。 【解決手段】 基体12の表面に、平均層厚が0.01〜0.
50μm の (AlX Ti1- x ) (Ny 1-y ) (但し、0.
05≦x≦0.50、0.50≦y≦1.00) の組成で示される内側
層14と、平均層厚が0.01〜0.50μm の (AlZ Ti
1-Z )(Nt 1-t )( 但し、0.50<z≦0.80、0.50≦t
≦1.00) の組成で示される外側層16とを交互に繰り返
し積層して硬質積層皮膜18を設けるとともに、その硬
質積層皮膜18全体の組成が化学量論的にアルミニウム
リッチなるものとし、且つ全体の平均膜厚D1 を0.50〜
10.0μm とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速度工具鋼、超
硬合金、サーメットまたはCBN焼結体などを母材の材
質とする工具に硬質積層皮膜コーティングを施した硬質
積層皮膜被覆工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高速度工具鋼、超硬合金、サーメ
ット、CBN焼結体などを使った工具の耐磨耗性向上な
どを目的として、工具基材表面にTi、Cr、Hf、Z
rなどの窒化物、炭化物、及び炭窒化物の硬質皮膜を物
理蒸着法(PVD法)や化学蒸着法(CVD法)などを
用いて、0.50〜10.0μm の平均膜厚で被覆することが行
われていた。また、近年、切削速度の高速化に伴い、硬
質皮膜の耐酸化性の向上を目的として、超硬合金にAl
TiNやAlTiCNなどの硬質皮膜をPVD法で被覆
した工具が使われるようになり、例えば、特公平4−5
3642号公報には、AlとTiの複合炭化物固溶体、
複合窒化物固溶体、及び複合炭窒化物固溶体を0.50〜1
0.0μm の厚さで形成することが記載されている。ま
た、特公平5−67705号公報には、皮膜の耐熱性を
更に高める目的で、Alの存在割合が56% 以上、75% 以
下の化学組成から成る耐磨耗性皮膜を、0.80〜10.0μm
の膜厚で形成することが記載されている。更に、特開平
7−97679号公報には、チタンリッチとアルミニウ
ムリッチのAlTiN超薄膜を、0.50〜20.0nmの繰り返
し周期で積層し、積層体の全体組成として化学量論的に
アルミニウムリッチなるものとし、全体の膜厚を0.50〜
10.0μm とした高硬度の超薄膜積層体を形成することが
記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、切削
加工は高速化され、被削材も高硬度化が進んでいるが、
このような用途で硬質皮膜被覆工具を使用すると、皮膜
は磨耗せずに微小に欠けることが多かった。特に、アル
ミニウムリッチなるAlTiN皮膜の場合、皮膜硬さが
2600Hv以上となるので、非常に欠け易い。このた
め、本来の耐磨耗性が発揮されなかった。これは、皮膜
が単層や複層、更に前述の超薄膜積層体であっても同様
であり、皮膜が硬くなればなるほど、切削中に皮膜に微
小な欠けが発生し本来の耐磨耗性が発揮できなかった。
【0004】本発明は以上のような事情を背景として為
されたものであり、その目的とするところは、耐磨耗性
を損なうことなく靱性を向上させ、且つ耐熱性が維持さ
れた硬質積層皮膜被覆工具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1発明は、平均層厚が0.01〜0.50μm の (Al X
Ti1-x ) (Ny 1-y ) ( 但し、0.05≦x≦0.50、0.
50≦y≦1.00) の組成で示される第1皮膜層と、平均層
厚が0.01〜0.50μm の (AlZ Ti1-Z )(Nt1-t )
( 但し、0.50<z≦0.80、0.50≦t≦1.00) の組成で示
される第2皮膜層とが、基体の表面に交互に繰り返して
積層された硬質積層皮膜被覆工具であって、積層皮膜全
体の組成が化学量論的にアルミニウムリッチで且つ全体
の平均膜厚が0.50〜10.0μm であることを特徴とする。
【0006】ここで、積層皮膜全体の組成が化学量論的
にアルミニウムリッチであるとは、次式(1) を満たすこ
とをいう。尚、x、zは各皮膜層におけるアルミニウム
の混合割合を示し、l1 は第1皮膜層の平均層厚、l2
は第2皮膜層の平均層厚を示している。 (xl1 +zl2 )/(l1 +l2 )>0.5 ・・・(1)
【0007】また、第2発明は、平均層厚が0.01〜0.50
μm の (AlX Ti1-x ) (Ny 1-y ) (但し、0.05
≦x≦0.50、0.50≦y≦1.00) の組成で示される第1皮
膜層と、平均層厚が0.01〜0.50μm の (AlZ
1-Z )(Nt 1-t ) ( 但し、0.50<z≦0.80、0.50≦
t≦1.00) の組成で示される第2皮膜層と、その第1皮
膜層と第2皮膜層との間に介在させられる平均層厚が0.
01〜0.50μm の (Alu Ti 1-u )(Nv 1-v ) ( 但
し、x<u<z、0.50≦v≦1.00) の組成で示される中
間皮膜層とが、基体の表面に繰り返して積層された硬質
積層皮膜被覆工具であって、積層皮膜全体の組成が化学
量論的にアルミニウムリッチで且つ全体の平均膜厚が0.
50〜10.0μm であることを特徴とする。
【0008】ここで、積層皮膜全体の組成が化学量論的
にアルミニウムリッチであるとは、次式(2) を満たすこ
とをいう。尚、x、z、uは各皮膜におけるアルミニウ
ムの混合割合を示し、l1 は第1皮膜層の平均層厚、l
2 は第2皮膜層の平均層厚、l3 は中間皮膜層の平均層
厚を示している。 (xl1 +zl2 +2ul3 )/(l1 +l2 +2l3 )>0.5 ・・・(2)
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の硬質積層皮膜は、イオン
プレーティング法やスパッタリング法等に代表される物
理蒸着法(PVD法)や、プラズマCVD、熱CVD等
に代表される化学蒸着法(CVD法)によって形成され
る。これらのうち、イオンプレーティング法によって行
う場合について説明すると、処理炉内でイオン化した金
属成分をN2 雰囲気またはCH4 雰囲気中で反応させ
る。カソードとしては、目的組成そのものから成るAl
x Ti1-x およびAlz Ti1-z 、またはAlx Ti
1-x、Alz Ti1-z 、およびAlu Ti1-u をターゲ
ットとし、それらを交互に使用することによって、硬質
積層皮膜が得られる。
【0010】基体材料としては、高速度工具鋼、超硬合
金、サーメット、CBN焼結体など、種々の工具材料を
採用できる。第1皮膜層および第2皮膜層は、チタンリ
ッチの第1皮膜層を内側すなわち基体側とし、アルミニ
ウムリッチの第2皮膜層を外側として、交互に積層する
ことが望ましい。
【0011】ここで、積層する皮膜の層厚を0.01〜0.50
μm に制限したのは、他の層よりアルミニウムが少ない
ため硬さが低くなるチタンリッチの第1皮膜層について
は、0.01μm 未満では切削加工時に皮膜が受ける衝撃を
吸収できず、0.50μm を超えると、皮膜の耐磨耗性およ
び耐熱性が低下する。また、他の層よりアルミニウムが
多いため硬さが高くなるアルミニウムリッチの第2皮膜
層については、0.01μm 未満では十分な耐磨耗性が得ら
れず、0.50μm を超えると、上下に衝撃を吸収する層が
あっても皮膜の欠けが避けられないからである。
【0012】また、連続して積層する皮膜層の成分が違
い過ぎると、皮膜層同士の界面で欠けが発生して衝撃を
吸収できなくなるので、第2発明のように中間の成分の
中間皮膜を介在させると皮膜全体の靱性が向上する。中
間皮膜層の成分は上下の層の中間であるため、膜厚が0.
01μm 未満では衝撃を吸収できず、膜厚が0.50μm を超
えると皮膜が欠けやすくなる。
【0013】図1は、第1発明の硬質積層皮膜被覆工具
の一例を説明する断面図で、基体12の表面上には、内
側層14と外側層16とを交互に同数だけ積層した硬質
積層皮膜18が設けられている。内側層14は第1皮膜
層に相当するもので、基体12側に設けられており、そ
の平均層厚は0.01〜0.50μm の範囲内で、組成は (Al
x Ti1-x )(Ny 1-y ) (但し、0.05≦x≦0.50、0.
50≦y≦1.00) である一方、外側層16は第2皮膜層に
相当するもので、平均層厚は0.01〜0.50μm の範囲内
で、組成は (Alz Ti1-z )(Nt 1-t ) (但し、0.
50<z≦0.80、0.50≦t≦1.00) である。また、硬質積
層皮膜18全体の組成は化学量論的にアルミニウムリッ
チで、前記(1) 式を満足するように、上記内側層14お
よび外側層16の層厚や混合割合x、zは定められてお
り、且つその全体の平均膜厚D1 は0.50〜10.0μm の範
囲内である。後述の実施例1〜5は、このように内側層
14および外側層16が互いに接する状態で交互に積層
した硬質積層皮膜被覆工具の具体例である。
【0014】図2は、第2発明の硬質積層皮膜被覆工具
の一例を説明する断面図で、前記図1の硬質積層皮膜被
覆工具に比較して、内側層14と外側層16との間に中
間層22を介在させた点が異なる。中間層22は中間皮
膜層に相当するもので、平均層厚は0.01〜0.50μm の範
囲内で、組成は (Alu Ti1-u )(Nv 1-v ) (但
し、x<u<z、0.50≦v≦1.00) である。また、硬質
積層皮膜24全体の組成は、化学量論的にアルミニウム
リッチで、前記(2) 式を満足するように、内側層14、
外側層16、および中間層22の層厚や混合割合x、
z、uは定められており、且つその全体の平均膜厚D2
は0.50〜10.0μm の範囲内である。後述の実施例6およ
び7は、このような中間層22を有する硬質積層皮膜被
覆工具の具体例である。
【0015】なお、必要に応じて上記硬質積層皮膜1
8、24と基体12との間にTiN等の界面層を形成し
て母材との密着性を高めたり、硬質積層皮膜18、24
の最表面上に更にアルミニウムリッチのAlTiN等か
ら成る表面層を設けたりすることも可能である。
【0016】以下、これらの硬質積層皮膜被覆工具の具
体例を説明する。 (実施例1)Al0.4 Ti0.6 合金のターゲットとAl
0.7 Ti0.3 合金のターゲットをカソード電極とするア
ーク方式イオンプレーティング装置の基板ホルダーに、
直径10.0mm、刃長25.0mm、全長80.0mm、刃数6枚の超硬
合金製エンドミル(WC−10Coを主成分としJIS
Z10相当)を取り付けた。基板ホルダーは自転させる
とともに基板加熱用のヒーターを設置した。次に、装置
内を6.70×10-3Paまで排気し、ヒーターでエンドミルの
温度を 400℃まで加熱した。その後、エンドミルに-100
0Vの電位をかけ、アーク放電を開始してエンドミルの表
面を十分に洗浄した後、電位を-200V まで落とすととも
にN2 ガスを1000cc/minの割合で流して、全体の膜厚3.
00μm 、Al0.4 Ti0.6 合金をターゲットとする内側
層(第1皮膜層)の平均層厚0.10μm 、Al0.7 Ti
0.3 合金をターゲットとする外側層(第2皮膜層)の平
均層厚0.10μm 、積層周期0.20μm で積層皮膜を形成し
た。厚み寸法は、エンドミルを切断して断面を走査形電
子顕微鏡で観察して測定した。また、オージェ電子分光
法により各皮膜層の組成の定量を行った結果、膜組成は
それぞれAl0.37Ti0.63Nと、Al0.69Ti0.31
で、カソード成分と殆ど同じであった。積層皮膜全体の
アルミニウムの混合割合は、 (0.37+0.69) ÷2=0.53
である。
【0017】(実施例2)内側層成膜時のターゲットと
してAl0.4 Ti0.6 合金を用い、外側層成膜時のター
ゲットとしてAl0.8 Ti0.2 合金を用いた以外は、実
施例1と同じ条件で成膜した。膜組成はそれぞれAl
0.39Ti0.61NとAl0.78Ti0.22Nで、積層皮膜全体
のアルミニウムの混合割合は、 (0.39+0.78) ÷2 ≒0.
59である。
【0018】(実施例3)内側層成膜時のターゲットと
してAl0.3 Ti0.7 合金を用い、外側層成膜時のター
ゲットとしてAl0.7 Ti0.3 合金を用いるとともに、
積層皮膜の内側層の平均層厚を0.10μm 、外側層の平均
層厚を0.20μm として積層周期を0.30μmとした以外
は、実施例1と同じ条件で成膜した。膜組成はそれぞれ
Al0.29Ti 0.71NとAl0.68Ti0.32Nで、積層皮膜
全体のアルミニウムの混合割合は、 (0.29+0.68×2)÷
3 =0.55である。
【0019】(実施例4)内側層成膜時のターゲットと
してAl0.3 Ti0.7 合金を用い、外側層成膜時のター
ゲットとしてAl0.8 Ti0.2 合金を用いるとともに、
Tiのターゲットを用いて基体表面と積層皮膜との間に
TiNから成る層厚0.10μm の界面層を形成して母材と
の密着性をさらに高め、積層皮膜の内側層の平均層厚0.
10μm 、外側層の平均層厚0.20μm 、積層周期を0.30μ
m 、積層皮膜の膜厚を3.00μm とし、全体の膜厚を3.10
μm とした以外は、実施例1と同じ条件で成膜した。積
層皮膜全体のアルミニウムの混合割合は、 (0.30+0.80
×2)÷3 ≒0.63である。
【0020】(実施例5)内側層成膜時のターゲットと
してAl0.3 Ti0.7 合金を用い、外側層成膜時のター
ゲットとしてAl0.7 Ti0.3 合金を用いるとともに、
Tiのターゲットを用いて基体表面と積層皮膜との間に
TiNから成る層厚0.10μm の界面層を形成して母材と
の密着性をさらに高め、積層皮膜の内側層の平均層厚0.
10μm 、外側層の平均層厚0.20μm 、積層周期を0.30μ
m 、積層皮膜の膜厚を3.00μm とし、最表面にAl0.7
Ti0.3 Nから成る層厚0.50μm の表面層を形成して皮
膜全体のアルミニウム含有量をさらに高め、全体の膜厚
を3.60μm とした以外は、実施例1と同じ条件で成膜し
た。表面層の膜組成は、Al0.66Ti0.34Nであった。
表面層を除く積層皮膜全体のアルミニウムの混合割合は
(実施例3)と同じである。
【0021】(実施例6)Al0.2 Ti0.8 合金のター
ゲット、Al0.5 Ti0.5 合金のターゲット、及びAl
0.8 Ti0.2 合金のターゲットを用いて、積層皮膜の内
側層、中間層及び外側層をそれぞれ成膜するとともに、
それらの平均層厚をそれぞれ0.10μm 、0.10μm 、及び
0.20μm とし、積層周期を0.40μm として、全体の膜厚
を3.20μmとした以外は、実施例1と同じ条件で成膜し
た。膜組成はそれぞれAl0.21Ti 0.79N、Al0.48
0.52N、及びAl0.78Ti0.22Nであった。ここで
は、母材との密着性を高めるため、内側層を低アルミニ
ウム含有量とし、皮膜全体のアルミニウム含有量を高め
るため、外側層を高アルミニウム含有量とした。内側層
と外側層のアルミニウム含有量の差が大き過ぎると皮膜
の靱性が損なわれるため、中間層を採用してアルミニウ
ム含有量の差から生じる機械的性質の差を緩和した。こ
れらの内側層、中間層、外側層から成る積層皮膜全体の
アルミニウムの混合割合は、 (0.21+0.78×2 +0.48×
2)÷5 =0.546 である。
【0022】(実施例7)内側層成膜時のターゲットと
してAl0.2 Ti0.8 合金を用い、中間層成膜時のター
ゲットとしてAl0.5 Ti0.5 合金を用い、外側層成膜
時のターゲットとしてAl0.8 Ti0.2 合金を用いると
ともに、Tiのターゲットを用いて基体表面と積層皮膜
との間にTiNから成る層厚0.10μm の界面層を形成
し、積層皮膜の内側層、中間層、及び外側層の平均層厚
をそれぞれ0.10μm 、0.10μm 、及び0.20μm とし、積
層周期を0.40μm 、積層皮膜の膜厚を3.20μm として、
最表面にAl0.8 Ti0.2 Nから成る層厚0.50μm の表
面層を形成し、全体の膜厚を3.80μm とした以外は、実
施例1と同じ条件で成膜した。表面層の膜組成は、Al
0.78Ti0.22Nであった。
【0023】次に、実施例1〜7の硬質積層皮膜と従来
の皮膜とを比較するため、次の試料を作製した。
【0024】(比較例1)Al0.5 Ti0.5 合金のター
ゲットとTiのターゲットを用いた以外は、実施例1と
同じ条件で、基体界面にTiNから成る層厚0.10μm の
界面層、表面にAl0.5 Ti0.5 Nから成る層厚3.50μ
m の表面層を成膜した。表面層の膜組成は、Al0.49
0.51であった。
【0025】(比較例2)Al0.7 Ti0.3 合金のター
ゲットとTiのターゲットを用いた以外は、実施例1と
同じ条件で、基体界面にTiNから成る層厚0.10μm の
界面層、表面にAl0.7 Ti0.3 Nから成る層厚3.70μ
m の表面層を成膜した。表面層の膜組成は、Al0.68
0.32であった。
【0026】(比較例3)Al0.8 Ti0.2 合金のター
ゲットとTiのターゲットを用いた以外は、実施例1と
同じ条件で、基体界面にTiNから成る層厚0.10μm の
界面層、表面にAl0.8 Ti0.2 Nから成る層厚3.70μ
m の表面層を成膜した。表面層の膜組成は、Al0.67
0.33であった。
【0027】実施例1〜7と比較例1〜3の試料を以下
の切削条件で側面切削を行い、エンドミル外周刃の逃げ
面の磨耗幅が0.10mmに達するまでの切削長さを測定し、
その結果を表1に示した。 (切削条件) 被削材:SKD11(硬さ:60HRC) 切削速度:150m/min 送り量:0.10mm/刃 切込み量:AD(Axial depth )=10.0mm、RD(Radi
us depth)=0.50mm 切削油:乾式
【0028】
【表1】
【0029】表1から分かるように、本発明が適用され
たエンドミル(実施例1〜7)は、従来のエンドミル
(比較例1〜3)と比較して優れた耐磨耗性を示した。
すなわち、本発明の硬質積層皮膜被覆工具は、従来の工
具と比べて、外側層(第2皮膜層)のAl含有量を増加
して皮膜の硬さや耐熱性を向上させても、皮膜に微小な
欠けが発生し難く、その外側層のAlの含有量や層厚が
増加するのに伴って耐久性も増加し、優れた耐久性を示
すのである。また、中間層(中間皮膜層)を有する実施
例6および7では、中間層が無い実施例1〜5に比較し
てより優れた耐磨耗性が得られる。
【0030】なお、ここでは超硬合金製エンドミルにつ
いて具体的に説明したが、他の種々の材料製の切削工具
にも本発明は適用され得るし、炭窒化物の固溶体を含む
AlTiの硬質積層皮膜を設けることもできるなど、本
発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加え
た態様で実施することができる。
【0031】
【発明の効果】このように本発明の硬質積層皮膜被覆工
具によれば、第2皮膜層のAl含有量を増加して皮膜の
硬さや耐熱性を向上させても欠けが発生し難く、優れた
耐磨耗性が得られて工具寿命が大幅に向上する。特に、
第1皮膜層と第2皮膜層との間に中間皮膜層を有する第
2発明の場合、一層優れた耐磨耗性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明の一実施例を説明する断面図である。
【図2】第2発明の一実施例を説明する断面図である。
【符号の説明】
12:基体 14:内側層(第1皮膜層) 16:外側層(第2皮膜層) 18、24:硬質積層皮膜 22:中間皮膜層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年2月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】ここで、積層皮膜全体の組成が化学量論的
にアルミニウムリッチであるとは、次式(2) を満たすこ
とをいう。尚、x、z、uは各皮膜におけるアルミニ
ウムの混合割合を示し、l1 は第1皮膜層の平均層厚、
2 は第2皮膜層の平均層厚、l3 は中間皮膜層の平均
層厚を示している。 (xl1 +zl2 +2ul3 )/(l1 +l2 +2l3 )>0.5 ・・・(2)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】表1から分かるように、本発明が適用され
たエンドミル(実施例1〜7)は、従来のエンドミル
(比較例1〜3)と比較して優れた耐磨耗性を示した。
すなわち、本発明の硬質積層皮膜被覆工具は、従来の工
具と比べて、外側層(第2皮膜層)のAl含有量を増加
して皮膜の硬さや耐熱性を向上させても、アルミニウム
が少ないため硬さが低くなるチタンリッチの内側層(第
1皮膜層)によって衝撃が吸収されるため、皮膜に微小
な欠けが発生し難く、その外側層のAlの含有量や層厚
が増加するのに伴って耐久性も増加し、優れた耐久性を
示すのである。また、中間層(中間皮膜層)を有する実
施例6および7では、中間層が無い実施例1〜5に比較
してより優れた耐磨耗性が得られる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均層厚が0.01〜0.50μm の (AlX
    1-x ) (Ny 1-y )( 但し、0.05≦x≦0.50、0.50
    ≦y≦1.00) の組成で示される第1皮膜層と、平均層厚
    が0.01〜0.50μm の (AlZ Ti1-Z )(Nt 1-t ) (
    但し、0.50<z≦0.80、0.50≦t≦1.00) の組成で示さ
    れる第2皮膜層とが、基体の表面に交互に繰り返して積
    層された硬質積層皮膜被覆工具であって、積層皮膜全体
    の組成が化学量論的にアルミニウムリッチで且つ全体の
    平均膜厚が0.50〜10.0μm であることを特徴とする硬質
    積層皮膜被覆工具。
  2. 【請求項2】 平均層厚が0.01〜0.50μm の (AlX
    1-x ) (Ny 1-y )(但し、0.05≦x≦0.50、0.50≦
    y≦1.00) の組成で示される第1皮膜層と、平均層厚が
    0.01〜0.50μm の (AlZ Ti1-Z )(Nt 1-t ) ( 但
    し、0.50<z≦0.80、0.50≦t≦1.00) の組成で示され
    る第2皮膜層と、該第1皮膜層と該第2皮膜層との間に
    介在させられる平均層厚が0.01〜0.50μm の (Alu
    1-u )(Nv 1-v ) ( 但し、x<u<z、0.50≦v≦
    1.00) の組成で示される中間皮膜層とが、基体の表面に
    繰り返して積層された硬質積層皮膜被覆工具であって、
    積層皮膜全体の組成が化学量論的にアルミニウムリッチ
    で且つ全体の平均膜厚が0.50〜10.0μm であることを特
    徴とする硬質積層皮膜被覆工具。
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