JP3822126B2 - 輸送管理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、予め決められた経路に沿って定期的に運行される輸送車両によって輸送対象を前記経路上の一定点から他定点に輸送する輸送システムにおいて前記輸送対象の輸送状態を管理するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から通学時に学童・園児を送迎するシステムとしてスクールバス送迎システムがある。スクールバスシステムでは、学校・幼稚園と通学区域との間において予め決められた経路に沿って朝夕の登下校時間に定期的にスクールバスを運行させている。そして、運行させたスクールバスによって学童・園児を送迎している。
【0003】
スクールバス送迎システムでは、スクールバスに乗車した学童・園児の安全を確保することはできる。しかしながら、自宅からスクールバス乗車地点までの通学通路上における学童・園児の安全を確保することはできない。そこで、学童・園児が通学通路上において事故や事件に巻き込まれたか否かは、次のようにして判断せざるを得ない。すなわち、まず、各学童・園児の乗車地点と乗車時間とをスクールバスの搭乗員(運転者を含む)が記憶しておく。そして、記憶している乗車地点と乗車時間に学童・園児が予定通りに乗車するか否かをバス搭乗員が監視する。予定通りに乗車しない場合には、バス搭乗員は、その学童・園児が事故や事件に巻き込まれた可能性もあると判断して、そのことを学校・幼稚園に通報する。学校・幼稚園では、通報対象の学童・園児の家族に対して電話等により連絡を行って学童・園児の安否を確認する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような安否確認は、バス搭乗者の記憶と判断に基づいて実施されるものであって、記憶違いや判断ミスが生じる可能性が高く、精度の高いものとはいえなかった。
【0005】
したがって、本発明の主たる目的は、輸送途中における輸送対象の輸送状況を精度高く判断して迅速に通報することができるシステムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するためには、本発明は、予め決められた経路に沿って定期的に運行される輸送車両によって輸送対象を前記経路上の一定点から他定点に輸送する輸送システムにおいて前記輸送対象の輸送状態を管理するシステムを次のように構成している。
【0007】
すなわち、このシステムは、前記輸送対象が人員であり、前記輸送車両に設けられた管理端末装置と、前記輸送対象の輸送状態を遠隔管理する管理本体装置とを備えている。前記管理端末装置は、前記輸送車両の現在位置を検知する位置検知手段と、前記輸送車両に対する前記輸送対象の搬入出を検知する乗降検知手段と、前記輸送車両の現在位置情報と前記輸送対象の搬入出情報とを含む輸送情報を前記管理本体装置に向けて送信する輸送情報送信手段と、前記管理本体装置からの判断結果情報を受信する判断結果受信手段と、受信した前記判断結果情報を報知する報知手段とを有している。前記管理本体装置は、前記管理端末装置が送信する輸送情報を受信する輸送情報受信手段と、前記輸送対象毎に予め定められた輸送道程情報を記憶する道程記憶手段と、受信した前記輸送情報を前記輸送道程情報に照合する照合手段と、前記照合手段の照合結果に基づいて、前記輸送対象の輸送状態を判断する判断手段と、前記判断手段が下した判断結果情報を前記管理端末装置に向けて送信する第1判断結果送信手段とを有している。
【0008】
このシステムによれば、判断手段は、予め設定しておいた輸送道程通りに輸送対象が輸送されたか否かを照合手段の照合結果に基づいて正確に判断することができる。
【0010】
また、輸送車両の搭乗員は、報知手段の報知行為によって輸送対象の輸送状態を認知することができる。
【0011】
なお、前記管理本体装置は、前記輸送対象の輸送管理者に対する通信時の連絡先情報を記憶する連絡先情報記憶手段と、前記判断手段が前記判断結果を下した前記輸送対象の輸送管理者の連絡先情報を前記連絡先情報記憶手段から読み出し、読み出した連絡先情報に基づいて前記輸送管理者に前記判断結果情報を送信する第2判断結果送信手段とをさらに有しているのが好ましい。そうすれば、輸送管理者は、第2判断結果送信手段から送信された判断結果情報に基づいて輸送対象の輸送状態を認知することができる。
【0012】
なお、輸送管理者にとって必要な情報は輸送不良であって、輸送が正常に推移している情報は特に必要としない場合が多い。そのため、前記第2輸送結果送信手段は、前記判断手段が輸送不良の判断結果を下した場合にその判断結果を前記輸送管理者に送信するものであるのが好ましい。
【0013】
なお、輸送対象者の居住地と前記経路上の一定点とを結ぶ通路上に、前記輸送対象者の通過の有無を認識してその認識結果情報を前記管理本体装置に送信する通過認識装置を配置するのが好ましい。さらに、前記管理本体装置は、前記認識結果情報を受信する認識結果情報受信手段をさらに有しており、かつ、前記判断手段は、受信した認識結果情報と前記照合手段の照合結果とに基づいて輸送対象者の輸送状態を判断するものであるのが好ましい。そうすれば、輸送対象者の在所と経路上の一定点とを結ぶ通路上における輸送対象者の安否を認知して管理することが可能となる。
【0014】
なお、前記通過認識装置は、この通過認識装置を輸送対象者が通過する際における移動方向を判断するものであるのが好ましい。そうすれば、通路上における輸送対象者移動方向を把握することができ、通路上における輸送対象者の安否の認知精度がさらに高まる。
【0015】
なお、前記管理本体装置は、外部の通信端末装置からの要求に応じて、前記輸送対象の輸送状態情報を出力する輸送状態出力手段をさらに有するのが好ましい。そうすれば、管理本体装置は、外部に対して輸送対象の輸送状態を認証する機能を発揮することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態の輸送管理システムの概要を示す図であり、図2は輸送管理システムを構成する各装置の構成を示す図である。
【0017】
この輸送管理システム1は、通学時に学童・園児を送迎するスクールバス送迎システムにおいてその輸送(送迎)管理を行うシステムである。輸送管理システム1は管理本体装置2と、管理端末装置3と、通過認識装置4とを備えている。
【0018】
管理本体装置2は、学童・園児の送迎状態を集中管理する装置であって、学校、幼稚園、もしくは送迎管理業務を学校・幼稚園から移管された組織の建物等に設置されている。
【0019】
管理本体装置2は、通信器5と、データベース6と、照合器7と、判断器8と、メモリ9と、制御器10とを備えている。
【0020】
通信器5は管理端末装置3や通過認識装置4との間で無線回線や有線回線(本実施形態では携帯電話回線(インターネット通信網を含む))を介して各種の信号の送受信を実施している。
【0021】
データベース6は、輸送(送迎)対象である学童・園児の識別情報(本実施形態ではID番号)と、送迎スケジュールとを互いに関連付けた記録テーブルにして記憶している。具体的には、データベース6は送迎登録テーブル11Aと乗降車地点登録テーブル11Bと連絡先登録テーブル11Cとを含んでいる。
【0022】
送迎登録テーブル11Aは、図3に示すように、各学童・園児A、B、Cについて、名称とID番号と登校乗車地点と登校乗車時刻と下校降車地点(通常は登校乗車地点と同じ)と下校降車時刻とを互いに対応付けてテーブル化したデータベースである。乗降車地点登録テーブル11Bは、図4に示すように、各乗降車地点の名称とその位置特定情報(ここではその一例として緯度経度情報)とを互いに対応付けてテーブル化したデータベースである。連絡先登録テーブル11Cは、図5に示すように、各学童・園児A、B、Cの名称とその保護者の連絡先情報とを対向付けてテーブル化したデータベースである。なお、本実施形態では、連絡先情報として電話番号情報としているが、連絡先情報はこの他、eメール(携帯電話メールを含む)のメールアドレス情報であってもよい。
【0023】
照合器7は、通信器5を介して管理端末装置3や通過認識装置4から入力される学童・園児の送迎情報とデータベース6の登録内容とを照合して判断器8に出力する。判断器8は照合器7から入力される照合結果に基づいて各学童・園児の送迎状態を総合的に判断する。メモリ9は判断器8の判断結果等を記憶する。制御器10は管理端末装置2全体の動作の制御を司る。
【0024】
管理端末装置3は、学童・園児を輸送(送迎)する車両(以下、スクールバスという)20に設置されている。
【0025】
管理端末装置3は、位置検出器12と接触/非接触通信器13と輸送情報生成器15と通信器16と報知器17と制御器18とを備えている。
【0026】
位置検出器12はGPS(グローバルポジショニングシステム)を用いた位置検出器である。GPSについては既存のものを用いることができる。そのため、GPSについての詳細な説明は省略する。
【0027】
接触/非接触通信器13は学童・園児が携帯するIDカード19との間で接触/非接触の通信を行う装置である。接触/非接触通信器13は通信器本体13aと、乗降検知部13bと、乗降者認識部13cとを備えている。通信器本体13は上述した接触/非接触通信を実行する。乗降者検知部13bは、IDカード19を検知することで、IDカード19を所持した学童・園児A、B、Cがスクールバス20を乗降したことを検知する。乗降者認識部13cはスクールバス20を乗降する学童・園児A、B、Cの認識を上述したIDカード19との接触/非接触の通信を通じてIDカード19を所持している学童・園児A、B、Cの個別認識を実施する。このような個別認識を実施できるように、IDカード19には、学童・園児に対して個別に設定されたID番号を予め記録しておく。乗降者認識部13cはIDカード19のID番号を読み取って乗降者(学童・園児)の認識を行う。
【0028】
なお、接触/無接触通信に用いるIDカード19は、磁気カードやICカード等の既存のカードを用いることができる。また、IDカード19を用いた接触/無接触通信の構成については既存のものを用いることができる。そのため、IDカード19や接触/無接触通信の詳細な構成についてはその説明を省略する。
【0029】
輸送情報生成器15は計時器15aを備えており、位置検出器12の出力と乗降者認識部13cの出力と、乗降検知部13bの出力と、計時器15aによる時刻情報とを重畳してなる輸送情報を生成する。通信器16は、管理本体装置2の通信器5との間で各種の信号の受発信を行う。
【0030】
通信器16は管理本体装置2との間で無線回線や有線回線(本実施形態では携帯電話回線(インターネット通信網を含む))を介して各種の信号の送受信を実施する。
【0031】
報知器17は、表示装置と発声装置とから構成されており、通信器16を介して受信した管理本体装置2からの情報を表示したり発声したりしてスクールバス20の搭乗員(運転者を含む)に前記情報を報知する。
【0032】
なお、符号12aは、GPS衛星SGの発信電波を受信して位置検出器12に供給するGPSアンテナである。符号5a、16aは、通信器5、16に設けられた通信アンテナである。
【0033】
通過認識装置4は、各学童・園児の居住地(自宅)とスクールバス20の乗降車地点とを結ぶ通路上にそれぞれ設置されている。通過認識装置4はこの装置4の前を通過する学童・園児を検知して個別認識する装置である。通過認識装置4は、学童・園児が所持するIDカード19との間で接触/非接触通信を実施することで、学童・園児を検知して個別認識する。通過認識装置4は上述した乗降検知部13bと乗降者認識部13cとの機能と同等の機能を併せ持つ装置として構成されている。通過認識装置4は、認識した学童・園児の通過情報信号を、管理本体装置2に送信する。
【0034】
なお、自宅から登校する直後や自宅に帰宅する直前の学童・園児を認識するために、通過認識装置4は各学童・園児の居住地の直近位置に配置するのが好ましい。
【0035】
本実施形態では、次のものから請求項における各要素は構成されている。すなわち、位置検出器12と制御器18とから位置検出手段が構成されている。乗降検知器13と制御器18とから乗降検知手段が構成されている。輸送情報生成器15と通信器16と制御器18とから輸送情報送信手段が構成されている。通信器5と制御器10とから輸送情報受信手段が構成されている。データベース6(送迎登録テーブル10Aおよび乗降車地点登録テーブル10B)と制御器10とから道程記憶手段が構成されている。照合器7と制御器10とから照合手段が構成されている。判断器8と制御器10とから判断手段が構成されている。乗降者認識部13cと制御器18とから認識手段が構成されている。通信器5と制御器10とから第1判断結果送信手段が構成されている。通信器16と制御器18とから判断結果受信手段が構成されている。報知器17と制御器18とから報知手段が構成されている。データベース6(連絡先登録テーブル10C)と制御器10とから連絡先情報記憶手段が構成されている。通信器5と制御器10とから第2判断結果送信手段が構成されている。通信器5と制御器10とから認識結果情報受信手段が構成されている。
【0036】
以下、この輸送管理システム1の動作を、図6の輸送状態説明図と、図7、図8のフローチャートとに基づいて説明する。図7、図8は管理本体装置2の動作中心にしてこの輸送管理システムの動作を示したフローチャートである。
【0037】
ここでは、図6に示すように、学校・幼稚園100と通学圏との間に設定した巡回経路21に沿ってスクールバス20を運行させて学童・園児A、B、Cを登下校させるスクールバス運行システムを例にして説明する。このスクールバス運行システムでは、運行経路21上に順次α、β、γの乗降車地点を設定している。これらの乗降車地点α、β、γの位置特定情報は図4に示す乗降車地点登録テーブル11Bに記憶されている。乗降車地点αでは学童・園児Aが乗降車するように登録されている。乗降車地点βでは学童・園児Bが乗降車するように登録されている。乗降車地点γでは学童・園児Cが乗降車するように登録されている。これらの乗降車情報はそれぞれの乗降車時刻と対応付けた状態で図3に示す送迎登録テーブル11Aに記憶されている。
【0038】
以下の説明では、説明を簡略化するために、交通渋滞といったスクールバス20の運行に対する支障が生じない状態を前提にして説明する。
【0039】
まず、予め、学童・園児A、B、Cには、個別のIDカード19が配布されている。学童・園児A、B、Cは配布されたIDカード19を携帯して登下校する。登下校時、学童・園児A、B、Cが彼(彼女)の通学通路上に設置された通過認識装置4を通過すると、通過認識装置4は、学童・園児A、B、Cが所持しているIDカード19との間で接触/非接触通信を実施する。これにより、通過認識装置4は、学童・園児A、B、Cが彼(彼女)の通学通路を通過したことを認知する。通過認識装置4は、このような通過認識を完了すると、その学童・園児A、B、CのID番号と通過完了とを組み合わせた通過情報信号を生成する。そして、生成した通過情報信号を通過認識装置4は管理本体装置2に向けて送信する。なお、通過認識装置4として、学童・園児A、B、Cの通過方向を検知する機能を有するものを設置すれば、通過方向(登校方向or下校方向)を検知して通過方向も含んだ通過情報信号を管理本体装置2に送信することができる。
【0040】
通信器5を介して通過情報信号を受信した管理本体装置2はその通過情報信号をメモリ9に記録する。
【0041】
なお、IDカード19と通過認識装置4との間の接触/非接触通信は、IDカード19を所持した学童・園児A、B、Cが通過認識装置4の前を通過するだけでも実施することができる。
【0042】
一方、登校時(下校時)において、スクールバス20は、学校・幼稚園を07:30(15:15)に出発する。そして、乗降車地点αには07:45(15:30)に到達し、乗降車地点βには7:50(15:35)に到達し、乗降車地点γには07:55(15:40)に到達したのち、学校・幼稚園100に8:10(15:55)に帰り着くという運行スケジュールに沿って移動する。
【0043】
そして、運行中、乗降車地点α、β、γそれぞれにおいてスクールバス20は一次停車する。その間にスクールバス20の搭乗員はその乗降車地点α、β、γで乗降車登録している学童・園児A、B、Cの乗降車を実施する。スクールバス20は学童・園児A、B、Cの乗降車が終了すると、次の乗降車地点α、β、γに向けて運行経路21上を移動する。
【0044】
乗降車時において学童・園児A、B、Cは、携帯しているIDカード19を用いて管理端末装置3との間で接触/非接触通信を行う。具体的には、IDカード19と接触/非接触通信器13の通信器本体13aとの間で接触/非接触通信を行う。IDカード19と通信器本体13aとの間の接触/非接触通信は、IDカード19を所持した学童・園児A、B、Cが通信器本体13aの前を通過するだけでも実施することができる。
【0045】
このような接触/非接触通信が実行されると、乗降検知部13bは、学童・園児A、B、Cの乗降車を検知する。同時に、乗降者認識部13cはIDカード19に記録されているID番号を読み出す。そして、乗降検知部13bは乗降検知情報を輸送情報生成部15に出力する。乗降者認識部13cは検出したIDカード19のID番号情報を輸送情報生成部15に出力する。
【0046】
輸送情報生成部15では、乗降検知情報とID番号情報とが入力されると、その時点でのスクールバス20の現在位置情報(この位置情報は乗降車位置情報を示すため、以下乗降車位置情報という)を位置検出器12から読み出す。そして、読み出した乗降車位置情報と乗降検知情報とID番号情報と乗降車時刻情報(計時器15aから読み出す)とを重畳してなる輸送情報を生成する。そして、生成した輸送情報を通信器16に出力する。通信器16では、入力される輸送情報を管理本体装置2に向けて送信する。
【0047】
以上が管理端末装置3の動作である。次に管理本体装置2の動作を説明する。管理本体装置2の動作は図7、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0048】
管理本体装置2の通信器5は、管理端末装置3が送信した輸送情報を受信するか否かを監視する(S701)。そして、輸送情報を受信すると、通信器5は受信した輸送情報を照合器7に出力する。照合器7は、輸送情報7を受け取ると、データベース6の記録内容を読み出して両者を照合する(S702)。
【0049】
照合器5は、照合作業を具体的には次のように実施する。すなわち、まず、輸送情報からID番号を取り出す。そして、取り出したID番号を、送迎登録テーブル11Aに照合することで、そのID番号に対応する学童・園児A、B、Cを特定する。次に、輸送情報から乗降車位置情報と乗降車時刻情報とを取り出す。そして、取り出した乗降車位置情報と乗降車時刻情報とを、特定した学童・園児A、B、Cの送迎登録テーブル11Aの登録内容に照合する。具体的には、送迎登録テーブル11Aにおける登校乗車地点情報や下校降車地点情報と、輸送情報における乗降車位置情報とを照合する。さらには、送迎登録テーブル11Aにおける登校乗車時刻情報や下校降車時刻情報と、輸送情報における乗降車時刻情報とを照合する。
【0050】
照合器7は照合結果を判断器8に出力する。判断器8では、入力される照合結果に基づいて次のような判断を行う。すなわち、まず、照合結果において、乗降車位置が登録通りであるか否かを判断する(S703)。次に、照合結果において、乗降車時刻が登録通りであるか否かを判断する(S704)。
【0051】
S703、704で乗降車位置と乗降車時刻とが登録通りであると判断器8が判断する場合には、そのID番号に対応する学童・園児A、B、Cが正常にスクールバス20に乗降車したことを判断器8はメモリ9に記録する(S705)。
【0052】
さらに、そのID番号に対応する学童・園児A、B、Cが正常にスクールバス20に乗降車したことを示す正常乗降車信号を判断器8は作成する。そして、作成した正常乗降車信号を通信器5に出力する。通信器5は入力された正常乗降車信号を管理端末装置3に向けて送信する(S706)。
【0053】
正常乗降車信号を受信した管理端末装置3の通信器16はその信号を報知器17に出力する。報知器17では、正常乗降車信号を解読して図示しない表示手段に表示することでスクールバス20の搭乗員に報知する。
【0054】
具体的には、乗降者認識部13cで読み取ったID番号に対応する学童・園児A、B、Cが正常にスクールバス20に乗降車したことを示す表示動作や発声動作を報知器17は実施する。
【0055】
一方、S703、704で乗降車位置と乗降車時刻とが登録通りでないと判断器8が判断する場合には、そのID番号に対応する学童・園児A、B、Cが正常にスクールバス20に乗車もしくは降車していないことを判断器8はメモリ9に記録する(S707)。
【0056】
非正常な乗降車としては、学童・園児A、B、Cが登録された乗降車地点とは異なる乗降車地点で乗降車する場合や、学童・園児A、B、Cが登録された乗降車時刻とは異なる時間に乗降車する場合が考えられる。異なる時刻に乗降車する場合として次のような場合が考えられる。すなわち、スクールバス20が運行経路21を複数回にわたって巡回する場合において、登録されている巡回時間とは異なる巡回時間のスクールバス20に学童・園児A、B、Cが乗車した場合である。
【0057】
判断器8は非正常乗降車の記録を実施したのち、さらにそのID番号に対応する学童・園児A、B、Cが正常にスクールバス20に乗降車しなかったことを示す非正常乗降車信号を作成する。そして、作成した非正常乗降車信号を通信器5に出力する。通信器5は入力される非正常乗降車信号を管理端末装置3に向けて送信する(S708)。
【0058】
非正常乗降車信号を受信した管理端末装置3の通信器16はその信号を報知器17に出力する。報知器17では、非正常乗降車信号を解読して図示しない表示手段に表示することでスクールバス20の搭乗員に報知する。
【0059】
具体的には、乗降者認識部13cで読み取ったID番号に対応する学童・園児A、B、Cはスクールバス20に乗車もしくはスクールバス20から登録してある通りに乗降車したものではないことを示す表示動作を報知器17は実施する。
【0060】
管理端末装置3に対して上述した非正常乗降車信号を発信したのち、管理本体装置2は、正常でない乗降車を行った学童・園児A、B、Cの保護者の連絡先情報を、データベース6の連絡先登録テーブル11Cから読み出す。そして、読み出した保護者の連絡先(電話、携帯電話、パーソナルコンピュータ)に対して、学童・園児A、B、Cが非正常乗降車を行ったことを示す音声(合成音声や記録音声)やテキストデータを自動発信する(S709)。
【0061】
これにより、保護者、学校、幼稚園は学童・園児A、B、Cが異なる乗降車地点α、β、γや異なる乗降車時刻に乗降車したことを認知する。そのため、保護者、学校、幼稚園は学童・園児A、B、Cの消息の確認を迅速かつ正確に実施することができる。
【0062】
以上、図7を参照して説明した処理は、学童・園児A、B、Cが異なる乗降車地点α、β、γや異なる乗降車時刻に乗降車することを検出して報知する処理である。次に、所定の乗降車地点α、β、γに対して乗降車時刻を登録した学童・園児A、B、Cが登録時刻に登録地点に全く乗降車しないことを検出して報知する処理を図8のフローチャートを参照して説明する。
【0063】
運行中、各乗降車地点α、β、γに到達したスクールバス20は、学童・園児A、B、Cの乗降車が終了するまでの所定の時間待機する。管理本体装置2の判断器8は、待機期間中、メモリ9に記録した乗降車完了データと、データベース6に記録した送迎登録テーブル11Aのデータとをそれぞれ読み出して、その乗降車地点α、β、γにおいて乗降車登録されている学童・園児A、B、Cが全て乗降車を終了したか否かを判断する(S801)。
【0064】
そして、S801で学童・園児A、B、Cが全て乗降車を終了したと判断する場合には、判断部8は、その乗降車地点α、β、γにおける学童・園児A、B、Cの乗降車が正常に終了したことを示す情報をメモリ9に記録する(S802)。
【0065】
さらに、判断部8はその乗降車地点α、β、γにおいて乗降車登録した学童・園児A、B、C全員の乗降車が正常に終了したことを示す正常乗降車完了信号を作成する。そして、作成した正常乗降車完了信号を通信器5に出力する。通信器5は、入力される正常乗降車完了信号を管理端末装置3に向けて送信する(S803)。
【0066】
正常乗降車完了信号を受信した管理端末装置3の通信器16はその信号を報知器17に出力する。報知器17では、正常乗降車完了信号を解読して図示しない表示手段に表示することでスクールバス20の搭乗員に報知する。
【0067】
具体的には、その乗降車地点α、β、γで乗降者登録した学童・園児A、B、C全員の乗降車が正常に完了したことを示す表示動作や発声動作を報知器17は実施する。
【0068】
一方、S801において、待機時間を終了しても、その乗降車地点α、β、γで乗降車登録している学童・園児A、B、C全員の乗降車が完了しないと判断器8が判断する場合には、判断器8は、まず、乗降車を完了しない学童・園児A、B、Cを特定する(S804)。
【0069】
そして、特定した学童・園児A、B、Cの通学通路上に設置した通過認識装置4から送信された通過情報信号を判断器8は参照する。通過認識装置4から送信された通過情報信号は、通信器5で受信したのち、メモリ9に予め記録されている。通過情報信号は、前述したように、学童・園児A、B、Cによる通学通路通過を通過認識装置4で検知したことを示す信号である。そのため、判断器8は通過情報信号を参照すれば、S804で特定した学童・園児A、B、Cが彼(彼女)の通学通路を通過しているのか否かを検知することができる。そこで、判断部8は、通過情報信号を参照することで、特定した学童・園児A、B、Cが彼(彼女)の通学通路を通過したか否かを検知する(S805)。
【0070】
なお、登校時にスクールバス20に乗車する際には、学童・園児A、B、Cは彼(彼女)の通学通路を既に通過完了しているはずである。そのため、登校時のスクールバス乗車時に実施するS805の操作(通過情報信号の読み出しと検証)は、スクールバス乗車時間と同時間帯に実施することができる。
【0071】
これに対して下校時にスクールバス20を降車する際には、学童・園児A、B、Cは彼(彼女)の通学通路をまだ通過完了していないはずである。そのため、下校時におけるスクールバス降車時に実施するS805の操作(通過情報信号の読み出しと検証)は、スクールバス降車時間と同時間帯ではなく、少し遅れた時間に実施する必要がある。
【0072】
S805で通過を検知した場合には、特定した学童・園児A、B、Cは次のような状態であると判断器8は判断する。すなわち、この場合、彼(彼女)は、スクールバス20を予定通り乗降車しなかったものの通学通路は通過していると判断器8は判断する。このような判断を下した判断器8は、この判断結果からなる非正常乗降車情報を作成してメモリ9に記録する(S806)。
【0073】
さらに、判断器8は、そのID番号に対応する学童・園児A、B、Cが予定のスクールバス20に乗降車しなかったものの通学通路は通過していることを示す非正常乗降車信号を作成する。そして、作成した非正常乗降車信号を通信器5に出力する。通信器5は入力された非正常乗降車信号を管理端末装置3に向けて送信する(S807)。
【0074】
このような非正常乗降車信号を受信した管理端末装置3の通信器16はその信号を報知器17に出力する。報知器17では、非正常乗降車信号を解読して図示しない表示手段に表示することでスクールバス20の搭乗員に報知する。
【0075】
具体的には、乗降車予定の学童・園児A、B、Cが予定通りにスクールバス20に乗降車しなかったものの彼(彼女)の通学通路は通過していることを示す表示動作や発声動作を報知器17は実施する。
【0076】
管理端末装置3に対して上述した非正常乗降車信号を発信したのち、管理本体装置2の制御器10は、乗降車していない学童・園児A、B、Cの保護者の連絡先情報を、データベース6の連絡先登録テーブル11Cから読み出す。そして、制御器10は、読み出した保護者の連絡先(電話、携帯電話、パーソナルコンピュータ)に対して、学童・園児A、B、Cが上述した状態でもって乗降車をしていないことを示す音声(合成音声や記録記録音声)やテキストデータを通信器5を介して自動発信する(S808)。
【0077】
これにより、保護者は学童・園児A、B、Cが通学通路を通過したものの予定の乗降車時刻にスクールバス20に乗降車していないことを認知する。そのため、保護者は学童・園児A、B、Cの消息の確認を迅速かつ正確に実施することができる。
【0078】
一方、S805において、特定した学童・園児A、B、Cによる通過認識装置4の通過を検知できなかった場合には、その学童・園児A、B、Cは次のような状態であると判断器8は判断する。すなわち、この場合、彼(彼女)は、スクールバス20を予定通り乗降車しなかったうえに通学通路も通過していないと判断部8は判断する。このような判断を下した判断器8は、この判断結果からなる非正常乗降車情報を作成してメモリ9に記録する(S809)。
【0079】
さらに、そのID番号に対応する学童・園児A、B、Cが予定のスクールバス20に乗降車しないうえに通学通路も通過していないことを示す非正常乗降車信号を作成する。そして、作成した非正常乗降車信号を通信器5に出力する。通信器5は入力された非正常乗降車信号を管理端末装置3に向けて送信する(S810)。
【0080】
このような非正常乗降車信号を受信した管理端末装置3の通信器16はその信号を報知器17に出力する。報知器17では、非正常乗降車信号を解読して図示しない表示手段に表示することでスクールバス20の搭乗員に報知する。
【0081】
具体的には、乗降車予定の学童・園児A、B、Cがスクールバス20を予定と通りに乗降車しないうえに彼(彼女)の通学通路も通過していないことを示す表示動作や発声動作を報知器17は実施する。
【0082】
管理端末装置3に対して上述した非正常乗降車信号を発信したのち、管理本体装置2の制御器10は、乗降車していない学童・園児A、B、Cの保護者の連絡先情報を、データベース6の連絡先登録テーブル11Cから読み出す。そして、制御器10は、読み出した保護者の連絡先(電話、携帯電話、パーソナルコンピュータ)に対して、学童・園児A、B、Cが上述した状態でもって乗降車をしていないことを示す音声(合成音声や記録記録音声)やテキストデータを通信器5を介して自動発信する(S811)。
【0083】
これにより、保護者は学童・園児A、B、Cが予定の乗降車時刻にスクールバス20に乗降車していないうえに通学通路も通過していないことを認知する。そのため、保護者は学童・園児A、B、Cの消息の確認を迅速かつ正確に実施することができる。
【0084】
なお、通過認識装置4が学童・園児A、B、Cの通過方向も認識できるものとすれば、学童・園児A、B、Cの消息の確認がさらにやりやすくなり精度が上がる。
【0085】
以上説明した実施の形態では、学校・幼稚園において学童・園児の通学用として運営されているスクールバスシステムにおいて本発明を実施した。しかしながら、本発明はこのようなシステムに限定されるものではない。例えば、予め決められた経路に沿って定期的に運行される通勤バスによって通勤者を前記経路上の一定点(通勤会社の最寄の駅)と他点(通勤会社)との間で輸送する巡回通勤バスシステムにおいても同様に実施することができる。
【0086】
また、上述した実施の形態において、次のような新たに構成を追加することも可能である。すなわち、保険会社の通信端末装置等の外部の通信端末装置からの要求に応じて、メモリ9に記憶されている輸送対象(学童・園児や通勤者)の輸送状態情報(輸送履歴等)を、確かなものとして認証したうえで出力提供することもできる。この場合、具体的に次のような実施の形態が考えられる。
【0087】
通学、通勤時において、輸送車両等において事故が発生した場合を想定する。このようなとき、輸送対象(学童・園児、通勤者ないしはその保護者)は保険会社に対して保険金を請求する場合がある。この場合、保険会社は保険金の支払いのために次の証明を必要とする。すなわち、その事故が確かにその時刻にその輸送車両において発生したものあり、しかも、保険請求人(輸送対象)がその事故車両に乗り合わせていたことを公認認証機関が証明することを必要とする。
【0088】
管理本体装置2はこのような認証を発行する公認認証機関として機能することが可能となる。この場合、メモリ9と通信器5と制御器10とにより請求項における輸送状態出力手段が構成される。
【0089】
また、上述した輸送管理システムにおいては、輸送対象(学童・園児や通勤者)の保護者は、輸送対象の輸送状況をリアルタイムに把握して輸送時に事故等の不測の事態が生じた時に迅速に対処することが可能となる。そのためこのようなサービスを提供することができる本発明の輸送管理システムでは、上記保護者に対して課金を課すことが可能である。
【0090】
課金方法は、定期的に一定のサービス提供料を銀行自動振り落とし等により課金徴収する方法と、非正常乗降車情報を発信した回数に応じて、銀行自動振り落とし等により課金徴収する方法等が考えられる。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、輸送途中における輸送対象の輸送状況を精度高く判断して迅速に通報することができるシステムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の輸送管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】 実施の形態の輸送管理システムの構成を示すブロック図である。
【図3】 実施の形態の輸送管理システムにおける送迎登録テーブルの一例を示す図である。
【図4】 実施の形態の輸送管理システムにおける乗降車地点登録テーブルの一例を示す図である。
【図5】 実施の形態の輸送管理システムにおける連絡先登録テーブルの一例を示す図である。
【図6】 実施の形態の輸送管理システムを実施する輸送システムの輸送形態の一例を示す図である。
【図7】 実施の形態の輸送管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図8】 実施の形態の輸送管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 輸送管理システム 2 管理本体装置 3 管理端末装置
4 通過認識装置 5 通信器 5a 通信アンテナ
6 データベース 7 照合器 8 判断器
9 メモリ 10 制御器
11A 送迎登録テーブル
11B 乗降車地点登録テーブル
11C 連絡先登録テーブル 12 位置検出器
12a GPSアンテナ 13 接触/非接触通信器
13a 通信器本体部 13b 乗降検知部 13c 乗降者認識部
15 輸送情報生成器 15a計時器 16 通信器
16a 通信アンテナ 17 報知器 18 制御器
19 IDカード 20 スクールバス 21 運行経路
Claims (6)
- 予め決められた経路に沿って定期的に運行される輸送車両によって輸送対象を前記経路上の一定点から他定点に輸送する輸送システムにおいて前記輸送対象の輸送状態を管理するシステムであって、
前記輸送対象は人員であり、前記輸送車両に設けられた管理端末装置と、前記輸送対象の輸送状態を遠隔管理する管理本体装置とを備え、
前記管理端末装置は、
前記輸送車両の現在位置を検知する位置検知手段と、
前記輸送車両に対する前記輸送対象の搬入出を検知する乗降検知手段と、
前記輸送車両の現在位置情報と前記輸送対象の搬入出情報とを含む輸送情報を前記管理本体装置に向けて送信する輸送情報送信手段と、
前記管理本体装置からの判断結果情報を受信する判断結果受信手段と、
受信した前記判断結果情報を報知する報知手段と、
を有しており、
前記管理本体装置は、
前記管理端末装置が送信する輸送情報を受信する輸送情報受信手段と、
前記輸送対象毎に予め定められた輸送道程情報を記憶する道程記憶手段と、
受信した前記輸送情報を前記輸送道程情報に照合する照合手段と、
前記照合手段の照合結果に基づいて、前記輸送対象の輸送状態を判断する判断手段と、
前記判断手段が下した判断結果情報を前記管理端末装置に向けて送信する第1判断結果送信手段と、
を有することを特徴とする輸送管理システム。 - 請求項1に記載の輸送管理システムにおいて、
前記管理本体装置は、前記輸送対象の輸送管理者に対する通信時の連絡先情報を記憶する連絡先情報記憶手段と、
前記判断手段が前記判断結果を下した前記輸送対象の輸送管理者の連絡先情報を前記連絡先情報記憶手段から読み出し、読み出した連絡先情報に基づいて前記輸送管理者に前記判断結果情報を送信する第2判断結果送信手段と、
をさらに有することを特徴とする輸送管理システム。 - 請求項2に記載の輸送管理システムにおいて、
前記第2判断結果送信手段は、前記判断手段が輸送不良の判断結果を下した場合にその判断結果情報を前記輸送管理者に送信するものである、
ことを特徴とする輸送管理システム。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の輸送管理システムにおいて、
輸送対象者の居住地と前記経路上の一定点とを結ぶ通路上に、前記輸送対象者の通過の有無を認識してその認識結果情報を前記管理本体装置に送信する通過認識装置を配置し、
前記管理本体装置は、前記認識結果情報を受信する認識結果情報受信手段をさらに有しており、かつ、前記判断手段は、受信した認識結果情報と前記照合手段の照合結果とに基づいて輸送対象者の輸送状態を判断するものである、
ことを特徴とする輸送管理システム。 - 請求項4に記載の輸送管理システムにおいて、
前記通過認識装置は、この通過認識装置を輸送対象者が通過する際における移動方向を判断するものである、
ことを特徴とする輸送管理システム。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の輸送管理システムにおいて、
前記管理本体装置は、外部の通信端末装置からの要求に応じて、前記輸送対象の輸送状態情報を出力する輸送状態出力手段をさらに有する、
ことを特徴とする輸送管理システム。
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