JP3820134B2 - 平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版 - Google Patents

平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版原版に関し、詳しくは、断熱性及び親水性に優れた平版印刷版用支持体を用いた赤外線レーザにより高感度で記録が可能な平版印刷版原版に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピューターを始めとするデジタル技術の革新によって、印刷版の書き込みに用いられる露光方式も、紫外光の全面露光方式から、レーザービームによる、高速走査露光方式が広がってきており、レーザー露光対応のさまざまな平版印刷版が開発されている。これらに用いられる支持体は、従来と同様のアルミニウムに表面処理を施したものか、PETなどの合成樹脂板がほとんどである。
合成樹脂板製の支持体は印刷中に寸法が変化し、画像がずれたり、キズが付きやすく、耐刷性が劣る等の問題がある。アルミニウムに表面処理を施した支持体は、レーザー光を光熱変換材料によって熱に変え、その発生した熱によって記録層の材料物性を変化させ、画像部と非画像部を形成するいわゆる感熱記録層を有する平版印刷版では、発生した熱が支持体に拡散し、支持体近傍でのは熱エネルギーが画像形成に有効に働かず、樹脂などの熱伝導率が低い材料に比べて実質的に感度が低下してしまう問題があった。
【0003】
このような感熱記録層では、ポジ型の場合には、熱が支持体内部に拡散してアルカリ可溶化反応が不十分となると、本来の非画像部分に残膜が発生してしまうという問題があり、ネガ型の場合には、支持体との界面近傍において、記録層の硬化反応が充分に進行せず、画像部の強度が不充分となり、耐刷性の低下を招くといった問題があった。
このようなサーマルポジ或いはネガタイプの平版印刷版原版においては、支持体の断熱性を向上させるため、陽極酸化皮膜の空孔を広げる処理を行ない、空隙率を上げる試みもなされているが、空孔径を広げることにより、陽極酸化皮膜表面の開口部も大きくなり、そこに、大きな分子である赤外線吸収剤が吸着して除去しにくくなったり、開口部内に浸透した記録層成分が現像液で充分に除去されず、非画像部の汚れが発生しやすくなるという問題が生じる懸念がある。
空隙率の大きな陽極酸化皮膜を形成し、表面の空孔のみを封孔することで、断熱性を維持しながら、表面の開口部に起因する問題を解決し得るが、従来の封孔方法、例えば、熱水封孔、リン酸2水素ナトリウムや珪酸ナトリウム水溶液による封孔方法では、微細な空孔には有効であるものの、大きな開口部については、封孔が充分に行なわれなかったり、処理液が空孔内に浸透して開口部を埋めてしまい断熱性が低下するといった問題があった。
【0004】
一方、近年、地球環境への関心が高まるにつれて、湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっており、従来の平版印刷版に於ける製版工程、即ち、露光の後、非画像部をアルカリ現像液などにより溶解除去する、付加的な湿式処理工程を不要化又は簡易化することへの要請は一層強くなっている。
【0005】
この要望に応じた簡易な製版方法の一つとして、印刷版用原版の非画像部の除去を通常の印刷過程の中で行えるような画像感熱記録層を用い、露光後、印刷機上で現像し、最終的な印刷版を得る方法が提案されている。具体的には、露光後の平版印刷版原版を現像液で処理することなく印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転させながらインキおよび/または湿し水を供給することによって、平版印刷版原版の非画像部を除去する、所謂機上現像と呼ばれる方法である。
このような機上現像性に優れた感熱記録層に関する有望な技術の一つとして、親水性バインダーポリマー中に疎水性熱可塑性ポリマー粒子を分散させた親水層を画像形成感熱層とする感熱性平版印刷版原版が挙げられる。この平版印刷版原版は、感熱層に熱を加えると疎水性熱可塑性ポリマー粒子が融着し、親水性感熱層表面が親油性画像部に変換するという原理を利用している。
しかしながら、このような熱による微粒子の合体で画像を形成する平版印刷版原版は、良好な機上現像性を示すものの、アルミニウム支持体への熱拡散により熱エネルギーが画像形成反応に充分使用されず、感度が低いという問題や、微粒子の合体が不十分である場合、感熱層の画像部の強度が弱くなるために、耐刷性が不十分となるという問題があった。
この対策としては、例えば、特開2000−23983号公報には、アルミニウム支持体と感熱層との間に水不溶性有機ポリマーを設ける方法が提案されているが、この態様では感度向上の効果はあるものの、支持体表面の親水性が不充分で、非画像に汚れが生じやすいという問題点があった。
また、断熱性を向上させるための陽極酸化皮膜の表面開口部に画像形成層の材料が入りこみ、機上現像性を損なうといった懸念もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、断熱性に優れ、且つ、表面形状による現像性の低下が抑制され、親水性が良好であり、感熱性の平版印刷版に用いた場合でも、高感度で、高画質の画像形成が可能な平版印刷版用支持体を用いた簡易な印刷機上処理により製版可能であり、且つ、高感度で、汚れのない画像を形成することができ、耐刷性に優れた平版印刷版原版を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、金属基体上に、特定の空隙率を有する皮膜と、珪酸塩化合物および親水性エマルジョン樹脂を含む親水性層とを順次備える支持体を用いることで、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明に係る平版印刷版用支持体は、金属基板上に、(I)空隙率が5〜70%、平均厚みが0.5〜10μmの陽極酸化皮膜、(II)珪酸塩化合物、水系エマルジョン樹脂及び酸化アルミニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化ケイ素粒子からなる群より選択される酸化物粒子を含有する親水性層を、順次備え、該親水性層に含有される水系エマルジョン樹脂及び酸化物微粒子が、陽極酸化被膜の空隙を封孔してなることを特徴とする。
この親水性層は、平均厚みが0.05〜5μmであることが好ましい。また、ここに含まれる酸化物粒子の平均粒径が、陽極酸化皮膜表面の平均開口径をd1(nm)としたとき、〔d1±20(nm)〕の範囲にあることが好ましい。
また、本発明の平版印刷版原版は、前記平版印刷用支持体上に、(i)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー、または、(ii)熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルを含有し、赤外線露光により記録可能な感熱記録層を設けてなることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る平版印刷版用支持体は、金属基板上に、(I)空隙率が5〜70%、平均厚みが0.5〜10μmの陽極酸化皮膜、(II)珪酸塩化合物、水系エマルジョン樹脂及び酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素からなる群より選択される酸化物粒子を含有する親水性層を、順次備えることで、陽極酸化皮膜の空孔が親水性層により効果的に封孔されるため、優れた断熱性を維持しながら、空孔内への記録層成分の浸透が抑制され、高感度化と現像性の低下による残膜の発生が抑制されるものと考えられる。このとき、支持体の最上層となる親水性層は、主成分として珪酸塩化合物を使用することで、高い親水性を達成し得るとともに、水系エマルジョン由来の樹脂微粒子と酸化アルミなどの粒子とを併用することで、これらの粒子が珪酸塩化合物皮膜中の細孔の充填による皮膜の強度向上と、陽極酸化皮膜開口部への進入の抑制による効果的な封孔とを達成する。
詳細には、本発明の構成要件である珪酸塩化合物は親水位が高く、引っ掻き等に対する強度が高いが、単独で使用した場合には、乾燥時にひび割れが発生し、そのひび割れ部分から水が浸透して、解離した水分子のOHによって、Si−O−SiネットワークのSi−Oが切断され、結果的に水に溶解しやすくなる傾向がある。また、親水性が高すぎるので、親水性層上に珪酸塩化合物含有層を形成すると、感熱記録層との密着性がやや劣る傾向にある。そこで、本発明においては、特定の水系エマルジョン樹脂を併用した。水系エマルジョン樹脂との相互作用により、乾燥時のひび割れが抑制され、さらに、水が皮膜内部に浸透し難くなり、大幅に耐水性が向上する。また、層中に含まれるエマルジョン樹脂の機能により、感熱記録層との密着性を大幅に向上することができた。
多孔質の皮膜状に上記親水性層を形成すると、特に、0.5μm以下の薄層で使用する場合に、粘度が低いので、多孔質中に吸い込まれてしまい、結果的に、空隙率が低下してしまう。
そこで、親水性の酸化物微粒子を添加する事で、酸化物微粒子が多孔質表面を物理的に塞ぐので、多孔質体の空隙率を維持したまま、親水性皮膜を形成することが可能になった。
【0009】
また、本発明の平版印刷版原版では、ポリマー中に疎水性熱可塑性ポリマー粒子を分散させてなる感熱記録層を設けることで、充分な親水性を有する支持体表面の機能により、未露光部の親水性バインダーは湿し水などの僅かな水分で容易に除去され、また、支持体表面の微細な空孔への画像形成材料の浸透も生じないことから、機上現像性に優れるとともに、露出した支持体表面の優れた撥インク性により、非画像部に汚れのない良好な画質の画像が形成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の平版印刷版に用いられる支持体の構成について述べる。この支持体は、金属基板上に、特定の空隙率を有する断熱性の高い皮膜と、珪酸塩化合物および親水性エマルジョン樹脂、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素からなる群より選択される酸化物微粒子を含有する親水性層を備えてなる。
【0011】
[平版印刷版用支持体]
<金属基体>
本発明の平版印刷版用支持体に用いられる金属基体は、特に限定されず、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウムが挙げられる。中でも、アルミニウムが好ましい。
アルミニウム基体として用いられるアルミニウム板は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。 純アルミニウム板のほか、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板や、アルミニウムまたはアルミニウム合金がラミネートされまたは蒸着されたプラスチックフィルムまたは紙を用いることもできる。更に、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートを用いることもできる。
【0012】
本発明に用いられるアルミニウム板は、特に限定されないが、純アルミニウム板を用いるのが好適である。完全に純粋なアルミニウムは精練技術上、製造が困難であるので、わずかに異元素を含有するものを用いてもよい。例えば、アルミニウムハンドブック第4版(軽金属協会(1990))に記載の公知の素材のもの、具体的には、JIS1050材、JIS1100材、JIS3003材、JIS3103材、JIS3005材等を用いることができる。また、アルミニウム(Al)の含有率が99.4〜95質量%であって、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、およびチタン(Ti)のうち少なくとも5種以上を後述する範囲内で含む、アルミニウム合金、スクラップアルミ材または二次地金を使用したアルミニウム板を使用することもできる。
【0013】
また、本発明においては、コスト削減効果のある、Alの含有率が95〜99.4質量%のアルミニウム板を用いることもできる。Alの含有率が99.4質量%を超えると、不純物の許容量が少なくなるため、コスト削減効果が減少してしまう場合がある。また、Alの含有率が95質量%未満であると不純物を多く含むこととなり圧延中に割れ等の不具合が発生してしまう場合がある。より好ましいAlの含有率は95〜99質量%であり、特に好ましくは95〜97質量%である。
【0014】
Feの含有率は0.3〜1.0質量%であるのが好ましい。Feは新地金においても0.1〜0.2質量%前後含有される元素で、Al中に固溶する量は少なく、ほとんどが金属間化合物として残存する。Feの含有率が1.0質量%を超えると圧延途中に割れが発生しやすくなり、0.3質量%未満であるとコスト削減効果が減少するため好ましくない。より好ましいFeの含有率は0.5〜1.0質量%である。
【0015】
Siの含有率は0.15〜1.0質量%であるのが好ましい。SiはJIS2000系、4000系、6000系材料のスクラップに多く含まれる元素である。また、Siは新地金においても0.03〜0.1質量%前後含有される元素であり、Al中に固溶した状態で、または、金属間化合物として存在する。アルミニウム板が支持体の製造過程で加熱されると、固溶していたSiが単体Siとして析出することがある。単体SiとFeSi系の金属間化合物は耐苛酷インキ汚れ性に悪影響を与えることが知られている。ここで、「苛酷インキ汚れ」とは、印刷を何度も中断しつつ行った場合に、平版印刷版の非画像部表面部分にインキが付着しやすくなった結果、印刷された紙等に表れる点状または円環状の汚れをいう。Siの含有率が1.0質量%を超えると、例えば、後述する硫酸による処理(デスマット処理)でこれを除去し切れなくなる場合があり、0.15質量%未満であると、コスト削減効果が減少してしまう。より好ましいSiの含有率は0.3〜1.0質量%である。
【0016】
Cuの含有率は0.1〜1.0質量%であるのが好ましい。CuはJIS2000系、4000系材料のスクラップに多く含まれる元素である。Cuは比較的Alに中に固溶しやすい。Cuの含有率が1.0質量%を超えると、例えば、後述する硫酸による処理でこれを除去し切れなくなる場合があり、0.1質量%未満であると、コスト削減効果が減少してしまう。より好ましいCuの含有率は0.3〜1.0質量%である。
【0017】
Mgの含有率は0.1〜1.5質量%であるのが好ましい。MgはJIS2000系、3000系、5000系、7000系材料のスクラップに多く含まれる元素である。特にcan end材に多く含まれるため、スクラップ材に含まれる主要な不純物金属の一つである。Mgは比較的Al中に固溶しやすく、Siと金属間化合物を形成する。Mgの含有率が1.5質量%を超えると、例えば、後述する硫酸による処理でこれを除去し切れなくなる場合があり、0.1質量%未満であると、コスト削減効果が減少してしまう。より好ましいMgの含有率は0.5〜1.5質量%であり、更に好ましくは1.0〜1.5質量%である。
【0018】
Mnの含有率は0.1〜1.5質量%であるのが好ましい。MnはJIS3000系材料のスクラップに多く含まれる元素である。Mnは特にcan body材に多く含まれるため、スクラップ材に含まれる主要な不純物金属の一つである。Mnは比較的Al中に固溶しやすく、Al、FeおよびSiと金属間化合物を形成する。Mnの含有率が1.5質量%を超えると、例えば、後述する硫酸による処理でこれを除去し切れなくなる場合があり、0.1質量%未満であると、コスト削減効果が減少してしまう。より好ましいMnの含有率は0.5〜1.5質量%であり、更に好ましくは1.0〜1.5質量%である。
【0019】
Znの含有率は0.1〜0.5質量%であるのが好ましい。Znは特にJIS7000系のスクラップに多く含まれる元素である。Znは比較的Al中に固溶しやすい。Znの含有率が0.5質量%を超えると、例えば、後述する硫酸による処理でこれを除去し切れなくなる場合があり、0.1質量%未満であると、コスト削減効果が減少してしまう。より好ましいZnの含有率は0.3〜0.5質量%である。
【0020】
Crの含有率は0.01〜0.1質量%であるのが好ましい。CrはJIS A5000系、6000系、7000系のスクラップに少量含まれる不純物金属である。Crの含有率が0.1質量%を超えると、例えば、後述する硫酸による処理でこれを除去し切れなくなる場合があり、0.01質量%未満であると、コスト削減効果が減少してしまう。より好ましいCrの含有率は0.05〜0.1質量%である。
【0021】
Tiの含有率は0.03〜0.5質量%であるのが好ましい。Tiは通常結晶微細化材として0.01〜0.04質量%添加される元素である。JIS5000系、6000系、7000系のスクラップには不純物金属として比較的多めに含まれる。Tiの含有率が0.5質量%を超えると、例えば、後述する硫酸による処理でこれを除去し切れなくなる場合があり、0.03質量%未満であると、コスト削減効果が減少してしまう。より好ましいTiの含有率は0.05〜0.5質量%である。
【0022】
本発明に用いられるアルミニウム板は、上記原材料を用いて常法で鋳造したものに、適宜圧延処理や熱処理を施し、厚さを例えば、0.1〜0.7mmとし、必要に応じて平面性矯正処理を施して製造される。この厚さは、印刷機の大きさ、印刷板の大きさおよびユーザーの希望により、適宜変更することができる。
なお、上記アルミニウム板の製造方法としては、例えば、DC鋳造法、DC鋳造法から均熱処理および/または焼鈍処理を省略した方法、ならびに、連続鋳造法を用いることができる。
【0023】
本発明の平版印刷版用支持体は、上記金属基体に粗面化処理を施し、更に、特定の熱的特性を有する皮膜及び親水性層を形成して得られるが、本発明の平版印刷版用支持体の製造工程には、粗面化処理および二層の皮膜の形成以外の各種の工程が含まれていてもよい。以下、金属基体としてアルミニウム板を用いる場合を例に挙げて、本発明の平版印刷版用支持体について説明する。
【0024】
上記アルミニウム板は、付着している圧延油を除く脱脂工程、アルミニウム板の表面のスマットを溶解するデスマット処理工程、アルミニウム板の表面を粗面化する粗面化処理工程、アルミニウム板の表面を酸化皮膜で覆う陽極酸化処理工程等を経て、支持体とされるのが好ましい。
本発明の平版印刷版用支持体の製造工程は、酸性水溶液中で交流電流を用いてアルミニウム板を電気化学的に粗面化する粗面化処理(電気化学的粗面化処理)を含むのが好ましい。
また、本発明の平版印刷版用支持体の製造工程は、上記電気化学的粗面化処理の他に、機械的粗面化処理、酸またはアルカリ水溶液中での化学的エッチング処理等を組み合わせたアルミニウム板の表面処理工程を含んでもよい。本発明の平版印刷版用支持体の粗面化処理等の製造工程は、連続法でも断続法でもよいが、工業的には連続法を用いるのが好ましい。
本発明の平版印刷版用支持体においては、金属基体上に特定の熱伝導率を有する親水性皮膜及び後述する親水性層が設けられる。更に、必要に応じて、ポアワイド処理(酸処理またはアルカリ処理)などを経て、支持体が形成される。更に、必要に応じて支持体形成後に、下塗層を設けてもよい。
【0025】
<粗面化処理(砂目立て処理)>
まず、粗面化処理について説明する。
上記アルミニウム板は、より好ましい形状に砂目立て処理される。砂目立て処理方法は、特開昭56−28893号公報に記載されているような機械的砂目立て(機械的粗面化処理)、化学的エッチング、電解グレイン等がある。更に、塩酸電解液中または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的砂目立て法(電気化学的粗面化処理、電解粗面化処理)や、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法等の機械的砂目立て法(機械的粗面化処理)を用いることができる。これらの砂目立て法は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。例えば、ナイロンブラシと研磨剤とによる機械的粗面化処理と、塩酸電解液または硝酸電解液による電解粗面化処理との組み合わせや、複数の電解粗面化処理の組み合わせが挙げられる。中でも、電気化学的粗面化処理が好ましい。また、機械的粗面化処理と電気化学的粗面化処理とを組み合わせて行うのも好ましく、特に、機械的粗面化処理の後に電気化学的粗面化処理を行うのが好ましい。
【0026】
機械的粗面化処理は、ブラシ等を使用してアルミニウム板表面を機械的に粗面化する処理であり、上述した電気化学的粗面化処理の前に行われるのが好ましい。
好適な機械的粗面化処理においては、毛径が0.07〜0.57mmである回転するナイロンブラシロールと、アルミニウム板表面に供給される研磨剤のスラリー液とで処理する。
【0027】
ナイロンブラシは吸水率が低いものが好ましく、例えば、東レ社製のナイロンブリッスル200T(6,10−ナイロン、軟化点:180℃、融点:212〜214℃、比重:1.08〜1.09、水分率:20℃・相対湿度65%において1.4〜1.8、20℃・相対湿度100%において2.2〜2.8、乾引っ張り強度:4.5〜6g/d、乾引っ張り伸度:20〜35%、沸騰水収縮率:1〜4%、乾引っ張り抵抗度:39〜45g/d、ヤング率(乾):380〜440kg/mm2 )が好ましい。
【0028】
研磨剤としては公知のものを用いることができるが、特開平6−135175号公報および特公昭50−40047号公報に記載されているケイ砂、石英、水酸化アルミニウム、またはこれらの混合物を用いるのが好ましい。
【0029】
スラリー液としては、比重が1.05〜1.3の範囲内にあるものが好ましい。スラリー液をアルミニウム板表面に供給する方法としては、例えば、スラリー液を吹き付ける方法、ワイヤーブラシを用いる方法、凹凸を付けた圧延ロールの表面形状をアルミニウム板に転写する方法が挙げられる。また、特開昭55−074898号公報、同61−162351号公報、同63−104889号公報に記載されている方法を用いてもよい。更に、特表平9−509108号公報に記載されているように、アルミナおよび石英からなる粒子の混合物を95:5〜5:95の範囲の質量比で含んでなる水性スラリー中で、アルミニウム板表面をブラシ研磨する方法を用いることもできる。このときの上記混合物の平均粒子径は、1〜40μm、特に1〜20μmの範囲内であるのが好ましい。
【0030】
電気化学的粗面化処理は、酸性水溶液中で、アルミニウム板を電極として交流電流を通じ、該アルミニウム板の表面を電気化学的に粗面化する工程であり、後述の機械的粗面化処理とは異なる。
本発明においては、上記電気化学的粗面化処理において、アルミニウム板が陰極となるときにおける電気量、即ち、陰極時電気量QC と、陽極となるときにおける電気量、即ち、陽極時電気量QA との比QC /QA を、例えば、0.95〜2.5の範囲内とすることで、アルミニウム板の表面に均一なハニカムピットを生成することができる。QC /QA が0.95未満であると、不均一なハニカムピットとなりやすく、また、2.5を超えても、不均一なハニカムピットとなりやすい。QC /QA は、1.5〜2.0の範囲内とするのが好ましい。
【0031】
電気化学的粗面化処理に用いられる交流電流の波形としては、サイン波、矩形波、三角波、台形波等が挙げられる。中でも、矩形波または台形波が好ましい。また、交流電流の周波数は、電源装置を製作するコストの観点から、30〜200Hzであるのが好ましく、40〜120Hzであるのがより好ましい。
本発明に好適に用いられる台形波の一例を図1に示す。図1において、縦軸は電流値、横軸は時間を示す。また、taはアノード反応時間、tcはカソード反応時間、tpおよびtp´はそれぞれ電流値が0からピークに達するまでの時間、Iaはアノードサイクル側のピーク時の電流、Icはカソードサイクル側のピーク時の電流を示す。交流電流の波形として台形波を用いる場合、電流が0からピークに達するまでの時間tpおよびtp´はそれぞれ0.1〜2msecであるのが好ましく、0.3〜1.5msecであるのがより好ましい。tpおよびtp´が0.1msec未満であると、電源回路のインピーダンスが影響し、電流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が必要となり、電源の設備コストが高くなる場合がある。また、tpおよびtp´が2msecを超えると、酸性水溶液中の微量成分の影響が大きくなり、均一な粗面化処理が行われにくくなる場合がある。
【0032】
また、電気化学的粗面化処理に用いられる交流電流のdutyは、アルミニウム板表面を均一に粗面化する点から0.25〜0.5の範囲内とするのが好ましく、0.3〜0.4の範囲内とするのがより好ましい。本発明でいうdutyとは、交流電流の周期Tにおいて、アルミニウム板の陽極反応が持続している時間(アノード反応時間)をtaとしたときのta/Tをいう。特に、カソード反応時のアルミニウム板表面には、水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の生成に加え、酸化皮膜の溶解や破壊が発生し、次のアルミニウム板のアノード反応時におけるピッティング反応の開始点となるため、交流電流のdutyの選択は均一な粗面化に与える効果が大きい。
【0033】
交流電流の電流密度は、台形波または矩形波の場合、アノードサイクル側のピーク時の電流密度Iapおよびカソードサイクル側のピーク時の電流密度Icpがそれぞれ10〜200A/dm2となるのが好ましい。また、Icp/Iapは、0.9〜1.5の範囲内にあるのが好ましい。
電気化学的粗面化処理において、電気化学的粗面化処理が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応に用いた電気量の総和は、50〜1000C/dm2であるのが好ましい。電気化学的粗面化処理の時間は、1秒〜30分であるのが好ましい。
【0034】
電気化学的粗面化処理に用いられる酸性水溶液としては、通常の直流電流または交流電流を用いた電機化学的粗面化処理に用いるものを用いることができ、その中でも硝酸を主体とする酸性水溶液または塩酸を主体とする酸性水溶液を用いることが好ましい。ここで、「主体とする」とは、水溶液中に主体となる成分が、成分全体に対して、30質量%以上、好ましくは50質量%以上含まれていることをいう。以下、他の成分においても同様である。
【0035】
硝酸を主体とする酸性水溶液としては、上述したように、通常の直流電流または交流電流を用いた電気化学的粗面化処理に用いるものを用いることができる。例えば、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸化合物のうち一つ以上を、0.01g/Lから飽和に達するまでの濃度で、硝酸濃度5〜15g/Lの硝酸水溶液に添加して使用することができる。硝酸を主体とする酸性水溶液中には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、ケイ素等のアルミニウム合金中に含まれる金属等が溶解されていてもよい。
【0036】
硝酸を主体とする酸性水溶液としては、中でも、硝酸と、アルミニウム塩と、硝酸塩とを含有し、かつ、アルミニウムイオンが1〜15g/L、好ましくは1〜10g/L、アンモニウムイオンが10〜300ppmとなるように、硝酸濃度5〜15g/Lの硝酸水溶液中に硝酸アルミニウムおよび硝酸アンモニウムを添加して得られたものを用いることが好ましい。なお、上記アルミニウムイオンおよびアンモニウムイオンは、電気化学的粗面化処理を行っている間に自然発生的に増加していくものである。また、この際の液温は10〜95℃であるのが好ましく、20〜90℃であるのがより好ましく、40〜80℃であるのが特に好ましい。
【0037】
電気化学的粗面化処理においては、縦型、フラット型、ラジアル型等の公知の電解装置を用いることができるが、特開平5−195300号公報に記載されているようなラジアル型電解装置が特に好ましい。
図2は、本発明に好適に用いられるラジアル型電解装置の概略図である。図2において、ラジアル型電解装置は、アルミニウム板11が主電解槽21中に配置されたラジアルドラムローラ12に巻装され、搬送過程で交流電源20に接続された主極13aおよび13bによって電解処理される。酸性水溶液14は、溶液供給口15からスリット16を通じてラジアルドラムローラ12と主極13aおよび13bとの間にある溶液通路17に供給される。
ついで、主電解槽21で処理されたアルミニウム板11は、補助陽極槽22で電解処理される。この補助陽極槽22には補助陽極18がアルミニウム板11と対向配置されており、酸性水溶液14は、補助陽極18とアルミニウム板11との間を流れるように供給される。なお、補助電極に流す電流は、サイリスタ19aおよび19bにより制御される。
【0038】
主極13aおよび13bは、カーボン、白金、チタン、ニオブ、ジルコニウム、ステンレス、燃料電池用陰極に用いる電極等から選定することができるが、カーボンが特に好ましい。カーボンとしては、一般に市販されている化学装置用不浸透性黒鉛や、樹脂含芯黒鉛等を用いることができる。
補助陽極18は、フェライト、酸化イリジウム、白金、または、白金をチタン、ニオブ、ジルコニウム等のバルブ金属にクラッドもしくはメッキしたもの等公知の酸素発生用電極から選定することができる。
【0039】
主電解槽21および補助陽極槽22内を通過する酸性水溶液の供給方向はアルミニウム板11の進行とパラレルでもカウンターでもよい。アルミニウム板に対する酸性水溶液の相対流速は、10〜1000cm/secであるのが好ましい。
一つの電解装置には1個以上の交流電源を接続することができる。また、2個以上の電解装置を使用してもよく、各装置における電解条件は同一であってもよいし異なっていてもよい。
また、電解処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち出さないためにニップローラによる液切りとスプレーによる水洗とを行うのが好ましい。
【0040】
上記電解装置を用いる場合においては、電解装置中のアルミニウム板がアノード反応する酸性水溶液の通電量に比例して、例えば、(i)酸性水溶液の導電率と(ii)超音波の伝搬速度と(iii)温度とから求めた硝酸およびアルミニウムイオン濃度をもとに、硝酸と水の添加量を調節しながら添加し、硝酸と水の添加容積と同量の酸性水溶液を逐次電解装置からオーバーフローさせて排出することで、上記酸性水溶液の濃度を一定に保つのが好ましい。
【0041】
つぎに、酸性水溶液中またはアルカリ水溶液中での化学的エッチング処理、デスマット処理等の表面処理について順を追って説明する。上記表面処理は、それぞれ上記電気化学的粗面化処理の前、または、上記電気化学的粗面化処理の後であって後述する陽極酸化処理の前において行われる。ただし、以下の各表面処理の説明は例示であり、本発明は、以下の各表面処理の内容に限定されるものではない。また、上記表面処理を初めとする以下の各処理は任意で施される。
【0042】
<アルカリエッチング処理>
アルカリエッチング処理は、アルカリ水溶液中でアルミニウム板表面を化学的にエッチングする処理であり、上記電気化学的粗面化処理の前と後のそれぞれにおいて行うのが好ましい。また、電気化学的粗面化処理の前に機械的粗面化処理を行う場合には、機械的粗面化処理の後に行うのが好ましい。アルカリエッチング処理は、短時間で微細構造を破壊することができるので、後述する酸性エッチング処理よりも有利である。
アルカリエッチング処理に用いられるアルカリ水溶液としては、カセイソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の1種または2種以上を含有する水溶液が挙げられる。特に、水酸化ナトリウム(カセイソーダ)を主体とする水溶液が好ましい。アルカリ水溶液は、アルミニウムはもちろん、アルミニウム板中に含有される合金成分を0.5〜10質量%を含有していてもよい。
アルカリ水溶液の濃度は、1〜50質量%であるのが好ましく、1〜30質量%であるのがより好ましい。
【0043】
アルカリエッチング処理は、アルカリ水溶液の液温を20〜100℃、好ましくは40〜80℃の間とし、1〜120秒間、好ましくは2〜60秒間処理することにより行うのが好ましい。アルミニウムの溶解量は、機械的粗面化処理の後に行う場合は5〜20g/m2であるのが好ましく、電気化学的粗面化処理の後に行う場合は0.01〜20g/m2であるのが好ましい。最初にアルカリ水溶液中で化学的なエッチング液をミキシングするときには、液体水酸化ナトリウム(カセイソーダ)とアルミン酸ナトリウム(アルミン酸ソーダ)とを用いて処理液を調製することが好ましい。
また、アルカリエッチング処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち出さないために、ニップローラによる液切りとスプレーによる水洗とを行うのが好ましい。
【0044】
アルカリエッチング処理を電気化学的粗面化処理の後に行う場合、電気化学的粗面化処理により生じたスマットを除去することができる。このようなアルカリエッチング処理としては、例えば、特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法および特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が好適に挙げられる。
【0045】
<酸性エッチング処理>
酸性エッチング処理は、酸性水溶液中でアルミニウム板を化学的にエッチングする処理であり、上記電気化学的粗面化処理の後に行うのが好ましい。また、上記電気化学的粗面化処理の前および/または後に上記アルカリエッチング処理を行う場合は、アルカリエッチング処理の後に酸性エッチング処理を行うのも好ましい。
アルミニウム板に上記アルカリエッチング処理を施した後に、上記酸性エッチング処理を施すと、アルミニウム板表面のシリカを含む金属間化合物または単体Siを除去することができ、その後の陽極酸化処理において生成する陽極酸化皮膜の欠陥をなくすことができる。その結果、印刷時にチリ状汚れと称される非画像部に点状のインクが付着するトラブルを防止することができる。
【0046】
酸性エッチング処理に用いられる酸性水溶液としては、リン酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、またはこれらの2種以上の混酸を含有する水溶液が挙げられる。中でも、硫酸水溶液が好ましい。酸性水溶液の濃度は、50〜500g/Lであるのが好ましい。酸性水溶液は、アルミニウムはもちろん、アルミニウム板中に含有される合金成分を含有していてもよい。
【0047】
酸性エッチング処理は、液温を60〜90℃、好ましくは70〜80℃とし、1〜10秒間処理することにより行うのが好ましい。このときのアルミニウム板の溶解量は0.001〜0.2g/m2であるのが好ましい。また、酸濃度、例えば、硫酸濃度とアルミニウムイオン濃度は、常温で晶出しない範囲から選択することが好ましい。好ましいアルミニウムイオン濃度は0.1〜50g/Lであり、特に好ましくは5〜15g/Lである。
また、酸性エッチング処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち出さないために、ニップローラによる液切りとスプレーによる水洗とを行うのが好ましい。
【0048】
<デスマット処理>
上記電気化学的粗面化処理の前および/または後に上記アルカリエッチング処理を行う場合は、アルカリエッチング処理により、一般にアルミニウム板の表面にスマットが生成するので、リン酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸、またはこれらの2種以上の混酸を含有する酸性溶液中で上記スマットを溶解する、いわゆるデスマット処理をアルカリエッチング処理の後に行うのが好ましい。なお、アルカリエッチング処理の後には、酸性エッチング処理およびデスマット処理のうち、いずれか一方を行えば十分である。
【0049】
酸性溶液の濃度は、1〜500g/Lであるのが好ましい。酸性溶液中にはアルミニウムはもちろん、アルミニウム板中に含有される合金成分が0.001〜50g/L溶解していてもよい。
酸性溶液の液温は、20℃〜95℃であるのが好ましく、30〜70℃であるのがより好ましい。また、処理時間は1〜120秒であるのが好ましく、2〜60秒であるのがより好ましい。
また、デスマット処理液(酸性溶液)としては、上記電気化学的粗面化処理で用いた酸性水溶液の廃液を用いるのが、廃液量削減の上で好ましい。
デスマット処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち出さないためにニップローラによる液切りとスプレーによる水洗とを行うのが好ましい。
【0050】
これらの表面処理の組み合わせとして、好ましい態様を以下に示す。
まず、機械的粗面化処理および/またはアルカリエッチング処理を行い、その後、デスマット処理を行う。つぎに、電気化学的粗面化処理を行い、その後、▲1▼酸性エッチング処理、▲2▼アルカリエッチング処理およびそれに引き続くデスマット処理、▲3▼アルカリエッチング処理およびそれに引き続く酸性エッチング処理のいずれかを行う。
【0051】
<親水性皮膜の形成>
以上のようにして粗面化処理および必要に応じて他の処理を施されたアルミニウム板に、低熱伝導率の親水性皮膜を設けるための処理を施す。
【0052】
親水性皮膜を設ける方法としては、特に限定されず、陽極酸化法、蒸着法、CVD法、ゾルゲル法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、拡散法等を適宜用いることができる。また、親水性樹脂またはゾルゲル液に中空粒子を混合した溶液を塗布する方法を用いることもできる。
【0053】
中でも、陽極酸化法により酸化物を作成する処理、即ち、陽極酸化処理を用いるのが最も好適である。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等の単独のまたは2種以上を組み合わせた水溶液または非水溶液の中で、アルミニウム板に直流または交流を流すと、アルミニウム板の表面に、親水性皮膜である陽極酸化皮膜を形成することができる。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜200V、電解時間1〜1000秒であるのが適当である。
これらの陽極酸化処理の中でも、英国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸電解液中で高電流密度で陽極酸化処理する方法、および、米国特許第3,511,661号明細書に記載されている、リン酸を電解浴として陽極酸化処理する方法が好ましい。また、硫酸中で陽極酸化処理し、更にリン酸中で陽極酸化処理するなどの多段陽極酸化処理を施すこともできる。
【0054】
本発明においては、陽極酸化皮膜は、傷付きにくさおよび耐刷性の点で、0.1g/m2以上であるのが好ましく、0.3g/m2以上であるのがより好ましく、2g/m2以上であるのが特に好ましく、また、厚い皮膜を設けるためには多大なエネルギーを必要とすることを鑑みると、100g/m2以下であるのが好ましく、40g/m2以下であるのがより好ましく、20g/m2以下であるのが特に好ましい。
【0055】
陽極酸化皮膜には、その表面にマイクロポアと呼ばれる微細な凹部が一様に分布して形成されている。陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの密度は、処理条件を適宜選択することによって調整することができる。マイクロポアの密度を調整したり、後述する空孔の開口径を広げるポアワイド処理を行なうことで、空隙率を5〜70%とすることにより、好ましい断熱性が達成できる。空隙率は30%〜65%が好ましく、さらに望ましくは40%〜65%の範囲である。空隙率が5%未満であると充分な断熱性が得られず、70%を超えると皮膜強度が低下する虞があり、いずれも好ましくない。本発明において陽極酸化皮膜の空隙率は、以下の方法により測定したものを採用している。
【0056】
空隙率測定方法
空隙率は空気の比重を無視することで、簡便に下記式1から求められる。多層構造のものは、各層ごとに、単独皮膜を形成して各層の空隙率を算出した。
【0057】
Figure 0003820134
【0058】
▲1▼皮膜比重の選択方法
皮膜比重はデータブック「伝熱ハンドブック(日本機械学会)」等公知の出版物から近い材料を選択した。例えば、アルミの陽極酸化皮膜の組成はセラミックアルミナに近いと考えられるため、密度3.97g/cm3を選択した。同様に、酸化チタンは密度4.17g/cm3、酸化珪素は密度2.66g/cm3、珪酸塩化合物はソーダガラスに近いと考えられるため密度2.52g/cm3を採用した。また水の密度は1g/cm3として、上記密度値をそのまま皮膜比重として使用した。
【0059】
▲2▼皮膜重量の測定方法
JIS−H8680−7(皮膜重量法)に詳細が記載されている様にクロム酸水溶液などの劇薬を沸騰させて、酸化皮膜を除去させ、除去前後の重量変化を精密天秤で計測して皮膜重量を求める。
また、他の方法として85wt%リン酸溶液に浸漬して皮膜を除去させ、除去前後の重量変化を精密天秤で計測して皮膜重量を求めても良い。
【0060】
▲3▼皮膜厚みの測定方法
親水化層の厚みの測定は超高分解能型SEM(日立S−900)を使用した。12Vという比較的低加速電圧で、導電性を付与する蒸着処理等を施す事無しに観察をおこなった。基板を折り曲げて、折り曲げた際に発生したひび割れ部分の側面(通称破断面)を超高分解能型SEM(日立S−900)を使用し、観察した。10箇所を無作為抽出して平均値を平均膜厚とした。標準偏差誤差は±10%以下であった。
【0061】
このような好ましい空隙率を有する陽極酸化皮膜は膜厚方向の熱伝導率が0.05〜0.5W/(m・K)となり、サーマルタイプの画像形成層を有する平版印刷版用の支持体として充分な断熱性とすることができる。
【0062】
本発明においては、熱伝導率をさらに下げる目的で、陽極酸化処理の後、マイクロポアのポア径を拡げるポアワイド処理を行うことが好ましい。このポアワイド処理は、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基板を酸水溶液またはアルカリ水溶液に浸せきすることにより、陽極酸化皮膜を溶解し、マイクロポアのポア径を拡大するものである。ポアワイド処理は、陽極酸化皮膜の溶解量が、好ましくは0.01〜20g/m2、より好ましくは0.1〜5g/m2、特に好ましくは0.2〜4g/m2となる範囲で行われる。
【0063】
ポアワイド処理に酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。酸水溶液の濃度は10〜1000g/Lであるのが好ましく、20〜500g/Lであるのがより好ましい。酸水溶液の温度は、10〜90℃であるのが好ましく、30〜70℃であるのがより好ましい。酸水溶液への浸せき時間は、1〜300秒であるのが好ましく、2〜100秒であるのがより好ましい。
一方、ポアワイド処理にアルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液のpHは、10〜13であるのが好ましく、11.5〜13.0であるのがより好ましい。アルカリ水溶液の温度は、10〜90℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。アルカリ水溶液への浸せき時間は、1〜500秒であるのが好ましく、2〜100秒であるのがより好ましい。
このようなポアワイド処理を行なって、空孔の開口径を20nm以上とすることで、優れた断熱性を達成し得る。本発明においては、空孔の開口径は20nm以上であることが好ましく、さらに好ましくは、30nm〜200nmの範囲である。
【0064】
また、空隙率の大きい陽極酸化皮膜を形成する他の方法として、本発明者が先に提案した特願2000−387210号明細書に記載の表面開口径が小さく、深部の空孔径の大きな空隙を有する陽極酸化皮膜の形成方法なども好ましく挙げられる。
電解液の種類が同じであれば、電解によって生成するポアのポア径は電解電圧に比例する事が知られている。その性質を利用して陽極酸化皮膜を形成する際に印加する電解電圧を徐々に上昇させていく事で、開口径が小さく、底部分の拡がったポアが生成する。
また、電解液の種類を変えると大きくポア径が変化する事が知られていて、たとえば、電解液については、大まかに言えば、硫酸電解液でのポア径<シュウ酸電解液でのポア径<リン酸電解液でのポア径である。従って、電解液を交換して、2回処理したり、また、処理装置を2連、3連に繋げて、2、3段に連続して処理を行って、陽極酸化皮膜を形成すると、順次形成されるポアの開口径を制御して所望の構造の空隙率を得ることが可能である。
具体的には、たとえば、リン酸電解液を使用して、電解電圧を徐々に上げていく方法、2段階で陽極酸化処理を連続して行ない、1段目の電解液を硫酸、2段目の電解液をリン酸にする方法などが挙げられ、これらの手段によって、陽極酸化皮膜の表面口部のポア径を維持したまま、底部のポアが大きい皮膜を得ることもできる。
【0065】
陽極酸化皮膜の膜厚は、傷付きにくさおよび耐刷性の点で、0.5μm以上であるのことを要し、0.7μm以上であるのがより好ましく、1.0μm以上であるのが特に好ましく、また、製造コストの観点から、厚い皮膜を設けるためには多大なエネルギーを必要とすることを鑑みると、10μm以下であるのが好ましく、5μm以下であるのがより好ましく、2μm以下であるのが特に好ましい。
【0066】
このようにして形成された所定の空隙率を有する陽極酸化皮膜は、膜厚方向の熱伝導率が0.05W/(m・K)以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.08W/(m・K)以上であり、また、0.5W/(m・K)以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.3W/(m・K)以下であり、より好ましくは0.2W/(m・K)以下である。膜厚方向の熱伝導率を0.05〜0.5W/(m・K)とすると、レーザー光の露光により記録層に発生する熱が支持体に拡散することを抑制することができる。その結果、本発明の平版印刷版原版を機上現像タイプとして用いる場合には、感度が高くなり、従来のサーマルポジタイプとして用いる場合には、感度が高く、残膜の発生がなくなり、従来のサーマルネガタイプとして用いる場合には、画像が十分に形成できないなどの問題がない。
【0067】
以下に、本発明の陽極酸化皮膜の好ましい膜厚方向の熱伝導率について説明する。
薄膜の熱伝導率測定方法としては種々の方法がこれまでに報告されている。1986年にはONOらがサーモグラフを用いて薄膜の平面方向の熱伝導率を報告している。また、薄膜の熱物性の測定に交流加熱方法を応用する試みも報告されている。交流加熱法はその起源を1863年の報告にまでさかのぼることができるが、近年においては、レーザーによる加熱方法の開発やフーリエ変換との組み合わせにより様々な測定法が提案されている。レーザーオングストローム法を用いた装置は実際に市販もされている。これらの方法はいずれも薄膜の平面方向(面内方向)の熱伝導率を求めるものである。
【0068】
しかし、薄膜の熱伝導を考える際にはむしろ深さ方向への熱拡散が重要な因子である。種々報告されているように薄膜の熱伝導率は等方的でないといわれており、特に本発明のような場合には直接、膜厚方向の熱伝導率を計測することが極めて重要である。このような観点から薄膜の膜厚方向の熱物性を測定する試みとしてサーモコンパレータを用いた方法がLambropoulosらの論文(J.Appl.Phys.,66(9)(1 November 1989))およびHenagerらの論文(APPLIED OPTICS,Vol.32, No.1(1 January 1993))で報告されている。更に、近年、ポリマー薄膜の熱拡散率をフーリエ解析を適用した温度波熱分析により測定する方法が橋本らによって報告されている(Netsu Sokutei,27(3)(2000))。
本発明で規定する親水性皮膜の膜厚方向の熱伝導率は、上記サーモコンパレータを用いる方法で測定される。上記方法の基本的な原理については、上述したLambropoulosらの論文およびHenagerらの論文に詳細に記載されている。
【0069】
本発明者らは、上記の測定方法を用いてアルミニウム基板状に設けた陽極酸化皮膜(Al23)の熱伝導率を求めた。膜厚を変えて温度を測定し、その結果のグラフの傾きから求められたAl23の熱伝導率は、0. 69W/(m・K)であった。これは、上述したLambropoulosらの論文の結果とよい一致を示している。そして、この結果は、薄膜の熱物性値がバルクの熱物性値(バルクのAl23の熱伝導率は、28W/(m・K))とは異なることも示している。
熱伝導率の値は、試料上の異なる複数の点、例えば、5点で測定し、その平均値として求めるのが好ましい。
【0070】
[親水性層]
本発明においては、上述した手段により、特定の空隙率を有する陽極酸化皮膜を設けた後、該皮膜表面に、親水性層を形成して、平版印刷版用支持体とする。この親水性層は、前記皮膜上に、さらに後述する親水性組成物からなる親水性皮膜を形成することで作成できる。
親水性層の厚みは、所望の親水性や強度などの特性により適宜決定できるが、一般的には0.05μm〜0.5μmの範囲にあることが好ましく、この範囲内で、珪酸塩化合物中にエマルジョン樹脂が、ほぼ均一に分散した優れた特性の親水性皮膜が形成可能となる。皮膜厚みが0.05μm未満ではエマルジョン樹脂成分が表面に露出して、親水性が低くなってしまう傾向があり、厚みが0.5μmを超えると、印刷等の際の少しの湾曲で、親水性皮膜が剥離したり、割れやすくなり、また、機械的粗面化処理や電気化学的粗面化処理で形成した砂目形状における凹凸の影響が表面形状に反映され難くなるので、好ましくない。特に、本発明の支持体を、光熱変換を用いる感熱記録層を設けた平版印刷版原版に用いる場合には、前記陽極酸化皮膜と親水性層とを併せた厚みを1μm以上とすることが好ましい。なお、親水性層の厚みを5μmを超えて厚くしても支持体に必要な断熱性はそれ以上改良されず、製造コストのみ高価となってしまう。
この親水性層中に用いられる酸化アルミニウム粒子などの酸化物粒子の役割は主に、陽極酸化皮膜表面の開口部を塞ぎ、且つ、内部の空隙を確保することにあるため、粒径は酸化皮膜平均開口径と同一かやや大きめの粒子を選択することが望ましい。
【0071】
親水性層の最適な被覆量は、金属基板上に形成された陽極酸化皮膜の厚み、封孔を要する空隙の開口径、ポア密度、感熱記録層中に含まれる光熱変換剤の量や分布、感熱記録層の厚み、使用する露光装置のレーザー走査速度、レーザー出力、露光ビーム形状等によって異なるが、0.05μm〜0.5μmの範囲で、最適被覆量を実験的に決めることが可能である。親水性層の皮膜量や、皮膜が均一に封孔されているかどうかは、高倍率の電子顕微鏡により観察することができる。
【0072】
本発明の親水性層に好ましく使用される珪酸塩化合物としては、珪酸ナトリウムや珪酸カリウム、リチウムシリケート等の珪酸アルカリ系水ガラスが好適である。珪酸塩化合物の含有量は、共に使用される親水性樹脂の種類にもよるが、一般的には、親水性層を構成する全固形分中、SiO2として30〜45質量%、Na2Oとして30〜45質量%の範囲であることが好ましい。
これらのアルカリ系水ガラスを用いる場合、キャスやPC−500等の(共に日産化学工業(株)製)珪酸アルカリ用硬化剤を添加剤を適量加えても良い。
水ガラスは特に親水性が高いので、親水化剤としての役割を主とする。しかし、水ガラスだけでは、乾燥過程で、脱水収縮の為、微細なひび割れが発生する上、皮膜が不均一になってしまう等皮膜形成性が悪いので、単独で使用すると耐刷性能が悪化する。また1〜100nm程度の微細な細孔が有るので、毛管現象によって水が浸透し、以下に示す様な2段階の反応によってSi−O−Siのネットワークが切断し、水に溶解すると言われている。
【0073】
【化1】
Figure 0003820134
【0074】
そこで、本発明に係る親水性層では、珪酸アルカリ系水ガラスに以下に説明する水系エマルジョン由来の親水性樹脂粒子や特定酸化物粒子を併用することで、この皮膜中に存在する1〜100nm程度の微細な孔を充填させ、親水性を低下させずに耐水性を向上させるものである。併用する親水性樹脂の柔軟性により、珪酸塩化合物の乾燥過程で発生する内部応力を緩和し、皮膜形成時のひび割れの発生を抑制すると共に、これらの粒子による断熱性の向上も達成できる。
【0075】
(水系エマルジョン樹脂)
本発明において、好ましく使用される水系エマルジョン樹脂としては、乳化分散される樹脂が、アクリル酸などの親水性樹脂やカルボキシル基などの親水性の官能基を構造内に有する樹脂であることが好ましい。好ましい樹脂の具体的な態様としては、オレフィン系重合体(A)とアクリル系重合体(B)を同一粒子内に含有する樹脂粒子が水に分散したエマルジョン組成物等の、アクリル系重合体(B)を含むものであって、且つ、併用されるオレフィン系重合体(A)が、カルボキシル基を有するか、又は、オレフィン系重合体(A)が、オレフィン系単量体(a−1)と、カルボキシル基を有する単量体(a−2)を重合してなる得られたエマルジョン組成物が挙げられる。
このようなエマルジョン樹脂は、乳化分散物として存在するため、樹脂粒子の粒径は1〜200nmと小さく、しかもアクリル酸やカルボキシル基を含む親水性が高い樹脂でありながら、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂に比較すれば水溶性が低く、珪酸塩化合物と併用しても、水溶性樹脂の如く親水性層皮膜の耐水性を低下させることはない。
【0076】
本発明の水系エマルジョン樹脂として、前記オレフィン系単量体(a−1)と、カルボキシル基を有する単量体(a−2)を重合してなるオレフィン系重合体(A)を用いる場合、オレフィン系重合体(A)を構成するオレフィン系単量体(a−1)は、特に限定されるものではなく、公知のものを使用できる。本発明において用いられるオレフィン系単量体(a−1)の具体例を挙げれば、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−デセン、1−ドデセン等のα−オレフィン;ブタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン等の共役ジエン、非共役ジエンが挙げられ、これらの単量体は、単独で、又は、2種以上組み合わせて選択することができる。
【0077】
また、オレフィン系重合体(A)を構成するカルボキシル基含有単量体(a−2)としては、オレフィン系単量体(a−1)と共重合可能な単量体であれば、任意に選択して使用することができ、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸を挙げることができ、これらの少なくとも1種又は2種以上を選択することができる。
本発明においては、オレフィン系重合体(A)を構成するオレフィン系単量体(a−1)とカルボキシル基を有する単量体の構成比率としては、これらの合計重量を100質量%として、オレフィン系単量体(a−1)99〜60質量%、カルボキシル基を有する単量体(a−2)1〜40質量%であることが好ましく、。さらにはオレフィン系単量体(a−1)95〜70質量%、カルボン酸含有単量体(a−2)5〜30質量%の構成比率であることがより好ましい。オレフィン系単量体(a−1)が60質量%未満であると、樹脂の耐水性が低下し、水溶性樹脂のように溶解するという問題があり、オレフィン系単量体(a−1)が99質量%を超えると、エマルジョン組成物の粒子径が大きくなり、珪酸塩化合物皮膜の耐水性向上効果が低下する問題がある。
本発明において、オレフィン系重合体(A)としては、アイオノマーと呼ばれるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、例えば、エチレン・(メタ)アクリル酸、及び、そのカルボキシル基がアンモニア、アミン類等の塩基性有機物、およびナトリウム、カリウム、亜鉛等の金属塩で中和されている共重合体等も公的に用いることができる。
樹脂の耐水性を向上させるという意味から、中和剤としては塩基性有機物が好ましい。
【0078】
本発明に係る水系エマルジョン樹脂に用いられるアクリル系重合体(B)としては、グリシジル基を有するアクリル系単量体(b−1)を用いて得られたものが好ましい。グリシジル基を有するアクリル系単量体(b−1)を用いることで、オレフィン系重合体(A)に対するアクリル系重合体(B)の割合が多い領域においても、非常に微細な粒子径のエマルジョン組成物が得られる。その理由については、必ずしも、明確ではないが、例えば、次のような考察がされる。すなわち、本来、相容性に乏しい(A)(B)の両重合体が、オレフィン系重合体(A)中のカルボキシル基と、アクリル系重合体(B)中のグリシジル基が一部グラフト反応することで、相容性が向上し、そのために、微粒子のエマルジョンが安定に製造できると考察される。
【0079】
ここで用いられるグリシジル基を有するアクリル系単量体(b−1)は、特に限定されるものではない。本発明において、グリシジル基を有するアクリル系単量体(b−1)の具体例としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。なお、以下、本発明では、「アクリレート、メタクリレート」、「アクリル酸、メタクリル酸」の双方を指す場合、それぞれ「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」と表記することがある。
【0080】
アクリル系重合体(B)を構成するグリシジル基を有するアクリル系単量体(b−1)とグリシジル基を有さないアクリル系単量体(b−2)との混合比についていえば、両者の合計重量を100質量%とした場合、グリシジル基を有するアクリル系単量体(b−1)0.5〜40質量%、グリシジル基を有さないアクリル系単量体(b−2)60〜99.5質量%であることが好ましく、さらには、グリシジル基を有するアクリル系単量体(b−1)2〜30質量%、グリシジル基を有さないアクリル系単量体(b−2)70〜98質量%がより好ましく、最も好ましくは、グリシジル基を有するアクリル系単量体(b−1)5〜20質量%、グリシジル基を有さないアクリル系単量体(b−2)80〜95質量%である。
グリシジル基を有する単量体(b−1)が0.5質量%以下では、通常、エマルジョン組成物の粒子径が大きくなり、珪酸塩化合物皮膜の耐水性向上効果が低下する問題がある。また、40質量%を超えると、エマルジョン組成物の製造中に粒子同士が凝集し、安定に製造することが不可能となる。
【0081】
本発明において用いられるグリシジル基を有さないアクリル系単量体(b−2)は、特に制限されるものではない。本発明においては、グリシジル基を有さないアクリル系単量体(b−2)の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、特に炭素原子数1〜12のアルキルエステルが好ましいが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ラウリル等;芳香族系単量体として、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等、極性基含有単量体として、水酸基を有するヒドロキエチルアクリレート、ヒドロキプロピルアクリレート、ヒドロキエチルメタクリレート、ヒドロキプロピルメタクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート類;カルボキシル基を有するアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等;その他の極性基を有する単量体としてアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられ、これらの1種、又は、2種以上を選択することができる。
【0082】
グリシジル基を有さないアクリル系単量体(b−2)の少なくとも1種以上は、水溶解性が0.5%以下であることが好ましい。グリシジル基を有さないアクリル系単量体(b−2)の全てに水溶解性が0.5%を超える単量体を使用すると、オレフィン系重合体(A)の粒子内にアクリル系重合体(B)を生成させることが困難となるためである。水溶解性が0.5%以下であるアクリル系単量体の具体例としては、例えば、スチレン、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。
また、グリシジル基を有さないアクリル系単量体(b−2)としてカルボキシル基を有する単量体を使用する場合、その使用量は、グリシジル基を有するアクリル系単量体(b−1)と、グリシジル基を有さないアクリル系単量体(b−2)の全量を100質量%とした場合に、5質量%以下が好ましく、3質量%未満がさらに好ましく、全く使用しないことが最も好ましい。カルボキシル基を有する単量体の量が5質量%を超えると、オレフィン系重合体(A)の粒子内にアクリル系重合体(B)を生成させることが困難となる。アクリル系重合体(B)の理論的ガラス転移温度に特段の制限はない
【0083】
本発明に係る水系エマルジョン樹脂組成物は、オレフィン系単量体(a−1)とカルボキシル基を有する(a−2)を重合してなるオレフィン系重合体(A)の粒子が、水に分散したオレフィン系エマルジョンの存在下で、グリシジル基を有するアクリル系単量体(b−1)及びグリシジル基を有さないアクリル系単量体(b−2)を重合することによって製造される。
この際に使用されるオレフィン系エマルジョン(オレフィン系重合体(A)の粒子が水に分散したオレフィン系エマルジョン)は、乳化剤や分散剤を使用して水中にオレフィン系重合体(A)を分散させたもので、その製造方法は、例えば、特公平7−008933号、特公平5−039975号、特公平4−030970号、特公昭42−000275号、特公昭42−023085号、特公昭45−029909号、特開昭51−062890号等に開示されている。
市販されているオレフィン系エマルジョンの具体例としては、三井化学株式会社製のケミパールS100、S650、S75N等、東邦化学工業株式会社製のハイテックS3121、S8512等を挙げることができる。
【0084】
アクリル系重合体(B)の重合時に使用される開始剤は、特に制限されるものではない。アクリル系重合体(B)の重合時に使用される開始剤の具体例としては、例えば、一般に乳化重合に使用されるものであれば全て使用することができる。代表的なものを挙げると、過酸化水素;過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;あるいはこれらと鉄イオン等の金属イオン及びナトリウムスルホキシレート、ホルムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、ロンガリット等の還元剤との組み合わせによるレドックス開始剤等が挙げられる。
アクリル系重合体(B)の重合時に使用される開始剤の使用量は、一般的には、単量体の総重量を基準として、0.1〜5質量%である。また、必要に応じてt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、アリルスルフォン酸、メタアリルスルフォン酸及びこれ等のソーダ塩等のアリル化合物などを分子量調節剤として使用することも可能である。
【0085】
さらに、オレフィン系エマルジョン存在下でアクリル系単量体(b−1)、(b−2)を重合する際に、粒子の安定性を向上させるため、通常の乳化重合に使用される界面活性剤を用いることも可能である。かかる界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、その他反応性界面活性剤などが挙げられ、これらの1種もしくは2種以上を併用することができる。
非イオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、tert−オクチルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポリエトキシエタノール等が挙げられる。
【0086】
アニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、tert−オクチルフェノキシエトキシポリエトキシエチル硫酸ナトリウム塩等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0087】
界面活性剤量が多くなると、親水性層上に形成される感熱層との密着性が低下する。またアクリル系重合体(B)のみからなる粒子が生成しやすくなるため、オレフィン系重合体(A)の粒子内にアクリル系重合体(B)を生成させることが困難となる場合がある。したがって、本発明に係るエマルジョン組成物中の界面活性剤量は、オレフィン系重合体(A)とアクリル系重合体(B)の全重量を100質量%とした場合に、5質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、最も好ましくは0.5質量%以下である。
前記した各種の単量体はこれを一括して、もしくは分割して、あるいは連続的に滴下して加え、前記した開始剤存在下に0〜100℃、実用的には30〜90℃の温度で重合される。
【0088】
本発明に用いる水系エマルジョン樹脂における樹脂粒子の重量平均粒子径は、150nm以下が好ましく、より好ましくは10〜100nmの範囲、さらに好ましくは30〜80nmの範囲である。粒子径が150nmを超えると、珪酸塩化合物皮膜の耐水性向上効果が減少する。粒子径は小さいほど良いが、あまり小さくなりすぎると、エマルジョン樹脂表面にある、界面活性剤の吸着が不十分となり、凝集、沈殿などの現象が発生し易く、不安定な状態となり、粒子の均一分散性が低下するなどの懸念がある。
本発明で用いる水系エマルジョン樹脂組成物には、例えば、各種添加剤、例えば硬化剤、架橋剤、造膜助剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、減水剤、凍結防止剤、収縮低減剤などを添加することも可能である。
本発明においては、市販の水系エマルジョン樹脂を用いることもできる。このような市販品としては、アルマテックスEタイプ、Kタイプ(三井化学(株)製)、NIPOL LXタイプ(日本ゼオン(株)製)等が挙げられる。
【0089】
(酸化アルミニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化ケイ素粒子からなる群より選択される酸化物粒子)
本発明に係る親水性層中には、酸化アルミニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化ケイ素粒子からなる群より選択される酸化物粒子(以下、適宜、酸化物粒子と称する)を混合することにより、親水性層の硬度の向上、断熱性の向上、封孔効果の向上、白色度、光沢度等の光学特性の改善、表面積が増えることによる基板や感熱記録層との密着力向上効果が得られる。
【0090】
使用し得る酸化物粒子としては、酸化アルミニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化ケイ素粒子のいずれでもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0091】
酸化物粒子の形状としては、球形、円柱形、フレーク状粉体、中空粒子、多孔質粒子、不定形微粒子のいずれでもよいが、親水性、感度向上効果などの観点から、フレーク状粉体、中空粒子、多孔質粒子が最も好適である。
微粒子の大きさは、親水性層の所望される特性や封孔する陽極酸化皮膜の開口径により適宜決定されるが、陽極酸化皮膜の表面における平均開口径をd1(nm)としたとき、〔d1±20(nm)〕の範囲にあることが好ましい。粒径が大きすぎると均一な皮膜が得難く、また、親水性層から微粒子が脱落しやすくなり、小さすぎると陽極酸化皮膜の空孔の封孔効果が低下し、断熱性向上効果が得難くなる。なお、本発明における好ましい開口径(d1)は、前述のとおり30nm〜200nmの範囲であるが、開口径が50nmよりも小さい場合には、この酸化物粒子の粒径が小さすぎると空孔内に進入して断熱性を低下させる可能性がでてくるため、d1<50nmの場合、粒径d2はd1≦d2<d1+20(nm)の範囲であることが好ましい。
【0092】
酸化物粒子の含有量は、配合する目的により適宜選択されるが、一般的には、以下のように決定される。
即ち、陽極酸化皮膜の表面開口面積率をS1[%]とすると、珪酸塩化合物の密度Ds[g/cm3]、酸化物の密度Do[g/cm3]、酸化物粒子の混合率X1の間には、下記式2で示されるような関係が成り立つ。
S1/100=(X1/Do)/〔(100−X1)/Ds〕・・・・式2
また、前記式2から、X1即ち、酸化物粒子の混合率〔%〕を表す式3を得る。
X1=100/{〔S1*Do/(100*Ds)〕+1}・・・・・・式3
陽極酸化皮膜の開口率は、前述の開口径が小さく、底部分の拡がった特殊な形状のポアにおける以外の通常の陽極酸化皮膜においては、ほぼ空隙率と同じであるので、その場合には式2の表面開口面積率S1[%]に空隙率を代入して酸化物の混合率X1[wt%]を算出してもよい。このようにして得られる、酸化物粒子の含有量は概ね、10%〜60%の範囲となり、好ましい範囲も同様である。
配合量が多すぎると皮膜強度が低下する傾向にあり、少なすぎると添加したときに得られる効果が不充分となる。
これらの酸化物粒子は単独のみならず、複数種類混合して使用することもできる。複数の異なる種類の無機成分からなる粉体を混合して使用してもよく、また、先に述べたように大きさ(粒径)の異なる複数の粒子を組合せて用いることもできる。
【0093】
親水性層を構成する親水性組成物には、ハンドリング性や皮膜特性を向上させる目的で、本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、界面活性剤、溶剤などの添加剤を併用することができる。特に、親水性樹脂として汎用のポリビニルアルコール(PVA)などを用いる場合には、その耐水性を向上する目的で、エテストロンBN−69(第一工業製薬(株)製)等の熱反応型架橋剤を適量添加することが望ましい。
陽極酸化皮膜表面に親水性層を形成する方法としては、前記成分や所望により併用される添加剤を配合してなる親水性組成物を、スプレー法、バー塗布法などによって基材表面に塗布して液膜を形成し、100℃〜180℃の熱風によって乾燥させ、固化させる方法をとればよい。
【0094】
基材上に上記のように空隙率の高い陽極酸化皮膜及び親水性層を形成することで本発明の平版印刷版用支持体が得られる。この支持体は、親水性層の特性による優れた表面親水性と、二つの層の組合せによる高い断熱性とを発現し、さらに皮膜特性が良好で感熱記録層や基材との密着性に優れている。このため、この支持体を用いて平版印刷版を作成すると、赤外線レーザ中で発生した熱が効率よく画像形成に使用され、表面親水性に優れた非画像部は撥インク性に優れ、また、残膜の発生も抑制されて、汚れの発生もなく、耐刷性も良好な平版印刷版を形成しうる。
【0095】
陽極酸化皮膜を有するアルミ基板などの金属基板を感熱記録層を有する平版印刷版の支持体として使用する場合には、感度は支持体の断熱性によって大きく影響を受けるが、支持体の断熱性は陽極酸化皮膜の空隙率と厚みでほぼ決定する。従って、空隙率が高く、厚い陽極酸化皮膜にすることが断熱性向上のためには有効であるが、陽極酸化皮膜形成後にアルカリに浸漬して空隙率を上げたり、時間をかけて陽極酸化し、厚い皮膜を形成するような手段をとると、陽極酸化皮膜が溶解して陽極酸化表面の空隙の開口径が拡大する傾向にある。この陽極酸化表面の空隙の開口径が概ね14nm以上になると、感熱記録層の成分が陽極酸化皮膜の空隙内部に浸透して、機上現像性、汚れ性が悪化する可能性がでてくる。
本発明においては、このような高空隙型の陽極酸化層に親水性層を設けることで適当な封孔処理を行うことで、高い断熱性を保持しながら、空隙への画像記録層材料の浸入を抑制し、高感度化と共に、高い機上現像性、優れた汚れ性を実現しようとするものである。
【0096】
上記陽極酸化皮膜と親水性層とを有する支持体上に、感熱記録層を設けることで、本発明の平版印刷版原版を得ることができる。本発明の構成によれば、書込みに使用されるレーザ光が効率よく画像形成必要な熱エネルギーとして利用される、高感度、高解像度の画像形成が可能で、印刷適性に優れる平版印刷版原版を得る。
[感熱記録層]
本発明の平版印刷版原版に用いられる感熱記録層は、(i)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー、または、(ii)熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルを含有する感熱層であることを特徴とする。この感熱記録層を用いることで、優れた機上現像性を有する赤外線領域の放射線で記録可能な平版印刷版原版を得ることができる。
【0097】
上記(i)および(ii)に共通の熱反応性官能基としては、例えば、重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基)、付加反応を行うイソシアネート基またはそのブロック体、その反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基)、同じく付加反応を行うエポキシ基、その反応相手であるアミノ基、カルボキシル基またはヒドロキシル基、縮合反応を行うカルボキシル基とヒドロキシル基またはアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物とアミノ基またはヒドロキシル基が挙げられる。本発明に用いられる熱反応性官能基は、これらに限定されず、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよい。
【0098】
まず、(i)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーについて説明する。
(i)微粒子ポリマーに好適な熱反応性官能基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリルロイル基、ビニル基、アリル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基、酸無水物基およびそれらを保護した基が挙げられる。熱反応性官能基のポリマー微粒子への導入は、ポリマーの重合時に行ってもよいし、重合後に高分子反応を利用して行ってもよい。
【0099】
熱反応性官能基をポリマーの重合時に導入する場合は、熱反応性官能基を有するモノマーを用いて乳化重合または懸濁重合を行うのが好ましい。
熱反応性官能基を有するモノマーの具体例としては、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−イソシアネートエチルメタクリレート、そのアルコールなどによるブロックイソシアネート、2−イソシアネートエチルアクリレート、そのアルコールなどによるブロックイソシアネート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、二官能アクリレート、二官能メタクリレートが挙げられる。本発明に用いられる熱反応性官能基を有するモノマーは、これらに限定されない。
これらのモノマーと共重合可能な、熱反応性官能基を有しないモノマーとしては、例えば、スチレン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニルが挙げられる。本発明に用いられる熱反応性官能基を有しないモノマーは、これらに限定されない。
【0100】
熱反応性官能基をポリマーの重合後に導入する場合に用いられる高分子反応としては、例えば、国際公開第96/34316号パンフレットに記載されている高分子反応が挙げられる。
【0101】
上記(i)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーの中でも、画像形成性の観点からは、微粒子ポリマー同志が熱により容易に融着、合体するものが好ましく、また、機上現像性の観点から、その表面が親水性で、水に分散するものが、特に好ましい。また、微粒子ポリマーのみを塗布し、凝固温度よりも低い温度で乾燥して作製したときの皮膜の接触角(空中水滴)が、凝固温度よりも高い温度で乾燥して作製したときの皮膜の接触角(空中水滴)よりも低くなることが好ましい。
微粒子ポリマー表面の親水性をこのような好ましい状態にするには、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの親水性ポリマーあるいはオリゴマー、または親水性低分子化合物を微粒子ポリマー表面に吸着させてやればよいが、微粒子の表面親水化方法はこれらに限定されるものではなく、公知の種々の表面親水化方法を適用することができる。
【0102】
(i)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーの熱融着温度は、70℃以上であることが好ましいが、経時安定性を考えると80℃以上がさらに好ましい。ただし、あまり熱融着温度が高いと感度の観点からは好ましくないので、80〜250℃の範囲が好ましく、100〜150℃の範囲であることがさらに好ましい。
(i)微粒子ポリマーの平均粒径は、0.01〜20μmであるのが好ましいが、その中でも0.05〜2.0μmであるのがより好ましく、0.1〜1.0μmであるのが好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。(i)微粒子ポリマーの添加量は、感熱記録層固形分の50〜98質量%が好ましく、60〜95質量%がさらに好ましい。
【0103】
次に、(ii)熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルについて説明する。
(ii)マイクロカプセルに好適な熱反応性官能基としては、先に(i)、(ii)に共通のものとして挙げた官能基の他、例えば、重合性不飽和基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、イソシアネートブロック体などが挙げられる。
【0104】
重合性不飽和基を有する化合物としては、エチレン性不飽和結合、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物であるのが好ましい。そのような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定されずに用いることができる。これらは、化学的形態としては、モノマー、プレポリマー、即ち、二量体、三量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物、およびそれらの共重合体である。
【0105】
具体的には、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸)、そのエステル、不飽和カルボン酸アミドが挙げられる。中でも、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルおよび不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミンとのアミドが好ましい。
また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたは不飽和カルボン酸アミドと単官能もしくは多官能のイソシアネートまたはエポキシドとの付加反応物、および、単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に用いられる。
また、イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多官能のアルコール、アミンまたはチオールとの付加反応物、および、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多官能アルコール、アミンまたはチオールとの置換反応物も好適である。
また、別の好適な例として、上記の不飽和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸またはクロロメチルスチレンに置き換えた化合物が挙げられる。
【0106】
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルである重合性化合物のうち、アクリル酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリス(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマーが挙げられる。
【0107】
メタクリル酸エステルとしては、例えば、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタンが挙げられる。
【0108】
イタコン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネートが挙げられる。
【0109】
クロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネートが挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネートが挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレートが挙げられる。
【0110】
その他のエステルとしては、例えば、特公昭46−27926号公報、同51−47334号公報、同57−196231号公報に記載されている脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、同59−5241号公報、特開平2−226149号公報に記載されている芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載されているアミノ基を含有するものが挙げられる。
【0111】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミドが挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーとしては、例えば、特公昭54−21726号公報に記載されているシクロへキシレン構造を有するものが挙げられる。
【0112】
また、イソシアネートとヒドロキシル基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、具体的には、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(II)で示されるヒドロキシル基を有する不飽和モノマーを付加させて得られる、1分子中に2個以上の重合性不飽和基を含有するウレタン化合物が挙げられる。
【0113】
CH2=C(R1)COOCH2CH(R2)OH (II)
(ただし、R1およびR2は、それぞれHまたはCH3を表す。)
【0114】
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、同2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレートや、特公昭58−49860号公報、同56−17654号公報、同62−39417号公報、同62−39418号公報に記載されているエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物も好適なものとして挙げられる。
【0115】
更に、特開昭63−277653号公報、同63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載されている、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物も好適なものとして挙げられる。
【0116】
その他の好適なものの例としては、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、同52−30490号公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートが挙げられる。また、特公昭46−43946号公報、特公平1−40337号公報、同1−40336号公報に記載されている特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報に記載されているビニルホスホン酸系化合物等も好適なものとして挙げられる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報に記載されているペルフルオロアルキル基を含有する化合物も好適に挙げられる。更に、日本接着協会誌、20巻7号、p.300〜308(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも好適に例示される。
【0117】
好適なエポキシ化合物としては、例えば、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノール類もしくはポリフェノール類またはそれらの水素添加物のポリグリシジルエーテルが挙げられる。
【0118】
好適なイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、または、それらをアルコールもしくはアミンでブロックした化合物が挙げられる。
【0119】
好適なアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポリエチレンイミンが挙げられる。
【0120】
好適なヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、末端メチロール基を有する化合物、ペンタエリスリトール等の多価アルコール、ビスフェノール・ポリフェノール類が挙げられる。
好適なカルボキシル基を有する化合物としては、例えば、ピロメリット酸、トリメリット酸、フタル酸等の芳香族多価カルボン酸、アジピン酸等の脂肪族多価カルボン酸が挙げられる。
好適な酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物が挙げられる。
【0121】
エチレン状不飽和化合物の共重合体の好適なものとしては、例えば、アリルメタクリレートの共重合体が挙げられる。具体的には、例えば、アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、アリルメタクリレート/エチルメタクリレート共重合体、アリルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0122】
マイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えば、マイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2,800,457号明細書、同第2,800,458号明細書に記載されているコアセルベーションを利用した方法、英国特許第99,0443号明細書、米国特許第3,287,154号明細書、特公昭38−19574号公報、同42−446号公報、同42−711号公報に記載されている界面重合法による方法、米国特許第3,418,250号明細書、同第3,660,304号明細書に記載されているポリマーの析出による方法、米国特許第3,796,669号明細書に記載されているイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3,914,511号明細書に記載されているイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4,001,140号明細書、同第4,087,376号明細書、同第4,089,802号明細書に記載されている尿素−ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4,025,445号明細書に記載されているメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号公報、同51−9079号公報に記載されているモノマー重合によるin situ法、英国特許第930,422号明細書、米国特許第3,111,407号明細書に記載されているスプレードライング法、英国特許第952,807号明細書、同第967,074号明細書に記載されている電解分散冷却法が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0123】
(ii)マイクロカプセルに好適に用いられるマイクロカプセル壁は、三次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、またはこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に熱反応性官能基を有する化合物を導入してもよい。
【0124】
(ii)マイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜20μmであるのが好ましく、0.05〜2.0μmであるのがより好ましく、0.10〜1.0μmであるのが特に好ましい。上記範囲内であると、良好な解像度と経時安定性が得られる。
【0125】
(ii)熱反応性官能基を有するマイクロカプセルを用いた画像形成機構では、マイクロカプセル材料、そこに内包物された化合物、さらには、マイクロカプセルが分散された感熱層中に存在する他の任意成分などが、反応し、画像部領域即ち疎水性領域(親インク領域)を形成するものであればよく、例えば、前記したようなマイクロカプセル同士が熱により融着するタイプ、マイクロカプセル内包物のうち、塗布時にカプセル表面あるいはマイクロカプセル外に滲み出した化合物、あるいは、マイクロカプセル壁に外部から浸入した化合物が、熱により化学反応を起こすタイプ、あるいは、それらのマイクロカプセル材料や内包された化合物が添加された親水性樹脂、あるいは、添加された低分子化合物と反応するタイプ、2種類以上のマイクロカプセル壁材あるいはその内包物に、それぞれ異なる官能基で互いに熱反応するような官能基をもたせるものを用いることによって、マイクロカプセル同士を反応させるタイプなどが挙げられる。
従って、熱によってマイクロカプセル同志が、溶融合体することは画像形成上好ましいことであるが、必須ではない。
【0126】
(ii)マイクロカプセルの感熱層への添加量は、固形分換算で、10〜60質量%であるのが好ましく、15〜40質量%であるのがより好ましい。上記範囲であると、良好な機上現像性と同時に、良好な感度および耐刷性が得られる。
【0127】
(ii)マイクロカプセルを感熱層に添加する場合、内包物が溶解し、かつ、壁材が膨潤する溶剤をマイクロカプセル分散媒中に添加することができる。このような溶剤によって、内包された熱反応性官能基を有する化合物の、マイクロカプセル外への拡散が促進される。
このような溶剤は、マイクロカプセル分散媒、マイクロカプセル壁の材質、壁厚および内包物に依存するが、多くの市販されている溶剤から容易に選択することができる。例えば、架橋ポリウレア、ポリウレタン壁からなる水分散性マイクロカプセルの場合、アルコール類、エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン類、多価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類等が好ましい。
【0128】
具体的には、例えば、メタノール、エタノール、第三ブタノール、n−プロパノール、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。また、これらの溶剤を2種以上併用してもよい。
【0129】
マイクロカプセル分散液には溶解しないが、前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いることができる。添加量は、素材の組み合わせにより決まるものであるが、適性値より少ない場合は、画像形成が不十分となり、多い場合は分散液の安定性が劣化する。通常、塗布液の5〜95質量%であるのが好ましく、10〜90質量%であるのがより好ましく、15〜85質量%であるのが特に好ましい。
【0130】
〔その他の成分〕
本発明に係る感熱層には、前記画像形成性を有する(i)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー、または、(ii)熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルのほか、目的に応じて種々の添加剤を併用することができる。
(反応開始剤、反応促進剤)
本発明係る感熱層においては、必要に応じてこれらの反応を開始しまたは促進する化合物を添加してもよい。反応を開始しまたは促進する化合物としては、例えば、熱によりラジカルまたはカチオンを発生するような化合物が挙げられる。具体的には、例えば、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合物、過酸化物、アゾ化合物、ジアゾニウム塩またはジフェニルヨードニウム塩などを含んだオニウム塩、アシルホスフィン、イミドスルホナートが挙げられる。
これらの化合物は、感熱層固形分の1〜20質量%の範囲で添加するのが好ましく、3〜10質量%の範囲であるのがより好ましい。上記範囲内であると、機上現像性を損なわず、良好な反応開始効果または反応促進効果が得られる。
【0131】
(親水性樹脂)
本発明の感熱層には親水性樹脂を添加しても良い。親水性樹脂を添加することにより機上現像性が良好となるばかりか、感熱層自体の皮膜強度も向上する。
親水性樹脂としては、例えばヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、アミノ、アミノエチル、アミノプロピル、カルボキシメチルなどの親水基を有するものが好ましい。
【0132】
親水性樹脂の具体的として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー等を挙げることができる。
親水性樹脂の感熱層への添加量は、感光層固形分の5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。この範囲内で、良好な機上現像性と皮膜強度が得られる。
【0133】
(光熱変換剤)
本発明の平版印刷版用原版を、レーザー光の走査露光等により画像形成する場合には、平版印刷版用原版に光エネルギーを熱エネルギーに変換するための光熱変換剤を含有させておくことが好ましい。
本発明の平版印刷版用原版において、含有させてもよい光熱変換剤としては、紫外線、可視光線、赤外線、白色光線等の光を吸収して熱に変換し得る物質ならば全て使用でき、例えば、カーボンブラック、カーボングラファイト、顔料、フタロシアニン系顔料、金属粉、金属化合物粉等が挙げられる。特に、好ましいのは、波長760nmから1200nmの赤外線を有効に吸収する染料、顔料、または金属粉、金属化合物粉である。
【0134】
本発明において光熱変換剤として使用しうる顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
【0135】
顔料は表面処理を施さずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法としては、例えば、親水性樹脂や親油性樹脂を表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シリカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤やエポキシ化合物、イソシアネート化合物)を顔料表面に結合させる方法が挙げられる。上記表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。これらの顔料中、赤外線を吸収するものが、赤外線を発光するレーザでの利用に適する点で好ましい。かかる赤外線を吸収する顔料としてはカーボンブラックが好ましい。顔料の粒径は0. 01〜1μmの範囲にあるのが好ましく、0.01〜0.5μmの範囲にあるのがより好ましい。
【0136】
染料としては、市販の染料および、文献(例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)、「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシー)または特許に記載されている公知の染料が利用できる。
具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、ポリメチン染料、シアニン染料等の赤外線吸収染料が好ましい。
【0137】
更に、例えば、特開昭58−125246号公報、同59−84356号公報、同60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号公報、同58−181690号公報、同58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号公報、同58−224793号公報、同59−48187号公報、同59−73996号公報、同60−52940号公報、同60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム染料、英国特許第434,875号明細書に記載されているシアニン染料、米国特許第4,756,993号明細書に記載されている染料、米国特許第4,973,572号明細書に記載されているシアニン染料、特開平10−268512号公報に記載されている染料、同11−235883号公報に記載されているフタロシアニン化合物が挙げられる。
【0138】
また、染料として米国特許第5,156,938号明細書に記載されている近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書に記載されている置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号に記載されているトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号公報、同58−220143号公報、同59−41363号公報、同59−84248号公報、同59−84249号公報、同59−146063号公報、同59−146061号公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記載されているシアニン染料、米国特許第4,283,475号明細書に記載されているペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号公報、同5−19702号公報に記載されているピリリウム化合物、エポリン社製のエポライトIII−178、エポライトIII−130、エポライトIII−125等も好適に用いられる。
以下にいくつかの具体例を示す。
【0139】
【化2】
Figure 0003820134
【0140】
【化3】
Figure 0003820134
【0141】
光熱変換剤の感熱層への添加量は、顔料、又は染料の場合、感熱層全固形分の30質量%まで添加することができる。好ましくは1〜25質量%であり、特に好ましくは7〜20質量%である。
【0142】
本発明に係る感熱層には、光熱変換剤として金属微粒子を用いることもできる。金属微粒子の多くは光熱変換性であって、かつ自己発熱性である。好ましい金属微粒子として、例えば、Si、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、Ag、Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、W、Te、Pb、Ge、Re、Sbの単体もしくは合金、または、それらの酸化物もしくは硫化物の微粒子が挙げられる。
これらの金属微粒子を構成する金属の中でも好ましい金属は、光照射時に熱による合体をしやすい、融点が約1000℃以下で赤外、可視または紫外線領域に吸収をもつ金属、例えば、Re、Sb、Te、Au、Ag、Cu、Ge、Pb、Snである。
また、特に好ましいのは、融点も比較的低く、赤外線に対する吸光度も比較的高い金属の微粒子、例えば、Ag、Au、Cu、Sb、Ge、Pbで、最も好ましい元素としては、Ag、Au、Cuが挙げられる。
【0143】
また、例えば、Re、Sb、Te、Au、Ag、Cu、Ge、Pb、Sn等の低融点金属の微粒子と、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、W、Ge等の自己発熱性金属の微粒子とを混合使用するなど、2種以上の光熱変換物質で構成されていてもよい。また、Ag、Pt、Pd等の、微小片としたときに光吸収が特に大きい金属種の微小片と他の金属微小片とを組み合わせて用いることも好ましい。
【0144】
本発明に用いうる金属微粒子の平均経は、好ましくは1〜500nm、より好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜50nmである。その分散度は多分散でよいが、変動係数が30%以下の単分散の方が好ましい。
【0145】
これらの粒子の粒径は、10μm以下であるのが好ましく、0.003〜5μmであるのがより好ましく、0.01〜3μmであるのが特に好ましい。上記範囲内であると、良好な感度と解像力が得られる。
【0146】
本発明において、これらの金属微粒子を光熱変換剤として用いる場合、その添加量は、感熱層固形分の10〜50質量%であるのが好ましく、20〜45質量%であるのがより好ましく、30〜40質量%の範囲であるのが特に好ましい。上記範囲内であると、高い感度が得られる。
【0147】
光熱変換剤は、必ずしも感熱層に含まれなくても、例えば、感熱記録層の隣接層である下塗層や、後述する水溶性オーバーコート層が含有してもよい。感熱層、下塗層およびオーバーコート層のうち少なくとも一つの層が光熱変換剤を含有することにより、赤外線吸収効率が高まり、感度を向上させることができる。
【0148】
(その他の添加剤)
本発明の感熱層には、さらに必要に応じて上記以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、耐刷力を一層向上させるために多官能モノマーを感熱層マトリックス中に添加することができる。この多官能モノマーとしては、マイクロカプセル中に内包することができるモノマーとして例示したものを用いることができる。特に好ましいモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられる。
【0149】
また、本発明の感熱層には、画像形成後、画像部と非画像部の区別をつきやすくするため、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができる。添加量は、感熱層塗布液全固形分に対し、0.01〜10質量%の割合である。
【0150】
また、本発明においては、感熱層塗布液の調製中または保存中においてエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。適当な熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01〜5質量%であるのが好ましい。
【0151】
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸やその誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感熱層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸やその誘導体の添加量は、感熱層固形分の約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
【0152】
更に、感熱層には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加えることができる。可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリルが挙げられる。
【0153】
(感熱層の形成)
本発明の感熱層は、必要な上記各成分を溶剤に溶解、もしくは分散し、塗布液を調製し、前記支持体の親水性表面上に塗布される。
ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
【0154】
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感熱層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。この範囲より塗布量が少なくなると、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす感熱層の皮膜特性は低下する。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
【0155】
感熱層塗布液には、塗布性を向上させるための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。添加量は、感熱層全固形分の0.01〜1質量%であるのが好ましく、0.05〜0.5質量%であるのがより好ましい。
【0156】
〔その他の構成要素〕
[オーバーコート層]
本発明の平版印刷版原版においては、親油性物質による感熱層表面の汚染防止のため、感熱層上に、水溶性オーバーコート層を設けることができる。本発明に使用される水溶性オーバーコート層は印刷時容易に除去できるものが好ましく、水溶性の有機高分子化合物から選ばれた樹脂を含有する。
ここで用いる水溶性の有機高分子化合物としては、塗布乾燥によってできた皮膜がフィルム形成能を有するもので、具体的には、ポリ酢酸ビニル(但し、加水分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩あるいはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリルアミドおよびその共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドンおよびその共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体およびそのアルカリ金属塩あるいはアミン塩、アラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ等)およびその変性体 、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等を挙げることができる。また、目的に応じて、これらの樹脂を二種以上混合して用いることもできる。
【0157】
また、オーバーコート層には、前記光熱変換剤のうち水溶性のものを添加しても良い。さらに、オーバーコート層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテルなどの非イオン系界面活性剤を添加することができる。
オーバーコート層の乾燥塗布量は、0.1〜2.0g/m2が好ましい。この範囲内で、機上現像性を損なわず、指紋付着汚れなどの親油性物質による感熱層表面の良好な汚染防止ができる。
【0158】
[製版および印刷]
上記のようにして作製された本発明の平版印刷版原版は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などを用いることができるが、波長700〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザー、半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
画像露光された本発明の平版印刷版原版は、特段の現像処理を行なうことなしに、印刷機に装着し、インキと湿し水を用いて通常の手順で印刷することができる。即ち、露光後の平版印刷版原版の未露光部は、印刷工程の初期の段階で、湿し水等に含まれる水性成分により容易に除去されて非画像部が形成される。
【0159】
また、これらの平版印刷版原版は、日本特許2938398号に記載されているように、印刷機シリンダー上に取りつけた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、その後に湿し水および/またはインクをつけて機上現像することも可能である。
また、これらの平版印刷版原版は、水または適当な水溶液を現像液とする現像処理を行なった後、印刷に用いることもできる。
【0160】
また、本発明の平版印刷版原版は、充分な断熱性を有し、表面に、親水性及び基板との密着性に優れる親水性層を有する支持体上に感熱記録層を設けているため、高感度で記録可能であり、支持体近傍におけるも画像形成性に優れることから、露光後、特段の現像処理を経ることなく印刷機にそのまま装着して印刷を行ない、印刷に用いられる湿し水などの親水性成分により非画像部が除去される、いわゆる機上現像に適するものである。
【0161】
【実施例】
以下、本発明を、実施例に従って説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
【0162】
〔1.陽極酸化皮膜の形成〕
金属基板として0.24mmの厚みのアルカリ脱脂処理済みのAl板を使用し以下の処理を順に処理して陽極酸化皮膜を形成した。
1−1.機械的粗面化処理方法
回転数150rpmの0.9号ナイロンブラシにてスラリー状の研磨剤(平均粒径15μm程度のパミス、シラスまたは珪砂)を供給しながら、研磨をおこなった。
【0163】
1−2.化学的溶解処理方法(i)
苛性ソーダの濃度20wt%一定とし、温度40℃で処理時間はRaが0.3μmになるように調整した。その後、10秒流水にて水洗後、硫酸濃度120g/リットル、液温50℃、10秒間浸漬し、デスマット処理をおこなった。Raの計測値は、0.3±0.05μm(標準偏差)であった。
1−3.電気化学的粗面化処理方法
特開平3−79799号の電源波形を使い、硝酸濃度12g/リットル、Al濃度を6g/リットルの濃度に設定し、液温60℃として陽極側の電流密度をピット個数が2.4〜180個/mm2の範囲になるように設定した。その後水洗した。ピット個数はSEM観察の結果140±20個/mm2であった。
【0164】
1−4.化学的溶解処理方法(ii)
苛性ソーダの濃度20wt%一定とし、温度40℃で処理時間は1.3g/m2になるように調整した。その後、10秒流水にて水洗後、硫酸濃度120g/リットル、液温50℃、15秒間浸漬し、デスマット処理をおこなった。(基板[A])
【0165】
1−5.陽極酸化処理方法
リン酸濃度49g/リットル、液温25℃にて、特開平8−264118号の図4記載の装置で、電流密度0.3A/dm2となるように定電流の直流電源を用いて電気を供給し、900秒間かけて皮膜を生成させ、水洗した。形成された空孔の開口径は28nm、最大径は280nmであった。
1−6.陽極酸化皮膜量の決定方法
超高分解能型SEM(日立S−900)によって破断面を観察したところ、膜厚は1μmであった。(基板[1])
【0166】
前記(1−5.陽極酸化処理方法)における処理条件を下記表1に示すように変え、所望により以下の条件でポアワイド処理を行なった他は前記と同様にして金属基板上に陽極酸化皮膜を形成してなる基板[2]〜基板[14]を作製した。
1−7.ポアワイド処理
陽極酸化処理後のアルミニウム板をpH13のNaOH水溶液に30℃又は50℃で50〜450秒(条件は下記表1に記載の通り)浸せきして、ポアワイド処理を行った。
得られた陽極酸化皮膜の膜厚、形成された空孔の開口径、開口率、空隙率も表1に記載する。
【0167】
【表1】
Figure 0003820134
【0168】
〔2.親水性層の形成〕
前記基板[3]に以下のようにして親水性層を形成し、平版印刷版用支持体基板1を得た。
3号珪酸ソーダ(Na2O:SiO2=1:3)(珪酸ソーダ3号:商品名、日本化学工業(株)製)19.8g,エマルジョン樹脂としてアルマテックスE269(三井化学(株)製)0.2g、酸化物粒子としてコロイダルシリカ(SK、日産化学工業(株)製、平均粒径12nm) 0.2g、純水1000.0gの理量で混合し、親水性層形成溶塗布液Aを得た。この塗布液を乾燥後の膜厚が0.05μmとなるように基板[3]に塗布し、120℃3分間乾燥させ、親水性層を形成した。
(親水化層の厚みの測定方法)
親水化層の厚みの測定は超高分解能型SEM(日立S−900)を使用した。電圧は12V(比較的低加速電圧である)で、導電性を付与する蒸着処理等を施すことなく、観察、測定を行った。基板を折り曲げて、折り曲げた際に発生したひび割れ部分の側面(通称破断面)を超高分解能型SEM(日立S−900)を使用し、膜厚を測定した。10箇所を無作為抽出して測定し、その平均値を平均膜厚とした。標準偏差誤差は±10%以下であった。
【0169】
(実施例1)
〔平版印刷版の作製〕
(3.感熱記録層の形成)
(3−a.微粒子ポリマーの合成およびマイクロカプセルの調製)
(3−a−1)微粒子ポリマーの合成
アリルメタクリレート7.5g、ブチルメタクリレート7.5g、ポリオキシエチレンノニルフェノール水溶液(濃度9.84×10-3mol/L)200mlを加え、250rpmでかくはんしながら、系内を窒素ガスで置換した。この液を25℃にした後、セリウム(IV)アンモニウム塩水溶液(濃度0.984×10-3mol/L)10mlを添加した。この際、硝酸アンモニウム水溶液(濃度58.8×10-3mol/L)を加え、pHを1.3〜1.4に調整した。その後、8時間かくはんして、微粒子ポリマーを含有する液を得た。得られた液の固形分濃度は9.5%であり、微粒子ポリマーの平均粒径は0.2μmであった。
【0170】
(3−a−2)マイクロカプセルの調製
キシレンジイソシアネート40g、トリメチロールプロパンジアクリレート10g、アリルメタクリレートとブチルメタクリレートの共重合体(モル比7/3)10gおよび界面活性剤(パイオニンA41C、竹本油脂社製)0.1gを酢酸エチル60gに溶解させて、油相成分とした。一方、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ社製)の4%水溶液を120g調製し、水相成分とした。油相成分および水相成分をホモジナイザーに投入し、10000rpmで用いて乳化させた。その後、水を40g添加し、室温で30分かくはんし、更に40℃で3時間かくはんし、マイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は20質量%であり、マイクロカプセルの平均粒径は0.2μmであった。
【0171】
(3−b)感熱層の塗布
上記で得られた平版印刷版用支持体1に、下記組成の感熱層(1)塗布液を塗布し、オーブンにて60℃で150秒間乾燥して、実施例1の平版印刷版原版を得た。感熱層(1)の乾燥塗布量は0.5g/m2であった。
【0172】
<感熱層(1)塗布液組成>
・上記で合成した微粒子ポリマーを含有する液
(ポリマー固形分換算で) 5g
・ポリヒドロキシエチルアクリレート
(重量平均分子量2.5万) 0.5g
・光熱変換剤(本明細書記載のIR−11) 0.3g
・水 100g
【0173】
(実施例2〜28、比較例1〜3)
実施例1の支持体の親水性層において、用いる基板(基板[1]〜[14])、親水性層形成溶塗布液Aにおいて、酸化物粒子の種類、及び、酸化物粒子と水との添加量をそれぞれ下記表2に記載したものに代えた他は、同様にして陽極酸化皮膜上に親水性層を形成し、感熱層を形成して実施例2〜28の平版印刷版原版を得た。また、陽極酸化皮膜上に親水性層を設けず、直接感熱層(1)を設けたものを比較例1、陽極酸化皮膜上に形成した親水性層の厚みを0.03μm、0.70μmとした他は実施例1と同様にしたものをそれぞれ比較例2、比較例3の平版印刷版原版とした。詳細を表3に示す。
【0174】
なお、表2に記載の酸化物粒子の詳細は以下の通りである。
コロイダルシリカ:(SK、平均粒子径12nm、日産化学工業(株)製、実施例1で用いたもの)
シリカゾル:(AEROSIL50、平均粒子径30nm、日本アエロジル社製)
二酸化チタン:(MT600B、平均粒子径60nm、テイカ(株)製)
アルミナゾル:(AZ200、羽毛状、日産化学工業(株)製)
アルミナ:(AKP−G015、平均粒子径100nm、住友化学工業(株)製)
アルミナ:(AKP−50、平均粒子径200nm、住友化学工業(株)製)
アルミナ:(AKP−30、平均粒子径300nm、住友化学工業(株)製)
アルミナゾル:(AZ520、平均粒子径10〜20nm、日産化学工業(株)製)
コロイダルシリカ:(XS、平均粒子径4〜6nm、日産化学工業(株)製)
コロイダルシリカ:(コロイダルシリカ(スノーテックスST−N、日産化学工業社製、平均粒子径10〜20nm)
コロイダルシリカ:(ST−20、平均粒子径10〜20nm、日産化学工業社製)
コロイダルシリカ:(CL、平均粒子径12nm、グレースジャパン(株)デビソン事業部製)
コロイダルシリカ:(CL−P、平均粒子径22nm、グレースジャパン(株)デビソン事業部製)
【0175】
【表2】
Figure 0003820134
【0176】
【表3】
Figure 0003820134
【0177】
〔3.画像形成〕
(感度の測定)
実施例1〜28、比較例1〜3の平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したクレオ社製トレンドセッター3244VFSを用いて、解像度2400dpiの条件で出力して露光した。この際、外面ドラム回転数を変化させることにより版面エネルギを変化させて、画像形成できる最低露光量により感度を評価した。結果を表2に示した。
【0178】
(印刷適性評価)
前記のようにレーザー照射により画像形成した平版印刷版を、現像などの後処理せずに印刷機のシリンダーに取り付け、湿し水を供給した後、インキを供給し、更に紙を供給して印刷をおこなった。印刷機としては、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mを用いた。各平版印刷版原版のすべてにおいて、問題なく機上現像をすることができ、そのまま印刷することが可能であった。
【0179】
(印刷試験)
(1)汚れ性
印刷機を一時停止させて、印刷機のブランケット部分のインキを日東電工製PETテープにて写し取り、非画像部のインキによる汚れて具合を目視にて、以下の基準により評価した。
汚れ性 ◎:汚れの発生が目視でまったく観察されない。
○:汚れの発生が目視でほとんど観察されない。
△:汚れの発生が目視で観察される。
×:汚れの発生が著しい。
××:汚れの発生が非画像部の全面にわたっている。
【0180】
(2)耐刷性
同様の条件で、残色、残膜、汚れのない印刷物が何枚得られるかを計測した。即ち、残色、残膜、汚れのいずれかの評価が△以下となった時点で、刷了とし、その時点の枚数を印刷枚数を刷了枚数とした。
耐刷性 ○:刷了枚数10000枚以上
△:9999〜3000枚
×:3000枚以下
【0181】
表2から、本発明の平版印刷版平版印刷版原版(実施例1〜28)は、いずれも機上現像可能であり、感度、汚れ性に優れ、且つ、耐刷力に優れることが分かる。空隙率とこれらの効果との関連で言えば、実施例中でも、陽極酸化皮膜の空隙率が高い基板[3]を用いた実施例1〜4などは、断熱性が高いので、特に感度が高いが、実施例のなかでも比較的空隙率が低い基板[4]を用いた実施例5〜8などは比較例1より高感度化されているものの、その改良効果は著しいとはいえないが、表面開口部の未封孔部分の残存が残り難いため、特に汚れ性に優れているという傾向がある。
一方、親水性層を形成しない支持体を用いた比較例1は、陽極酸化層が形成されていても、同様の画像形成層を有する各実施例に比較して感度に劣っていた。また、親水性層が薄すぎる比較例2は感度は良好であるが、印刷時の汚れ性に劣り、親水性層が厚すぎる比較例3は、耐刷性に問題があることがわかった。
【0182】
(実施例29〜57)
上記実施例1〜28で用いたのと同じ本発明の平版印刷版用支持体に、下記組成の感熱層(2)塗布液を塗布し、オーブンにて60℃で150秒間乾燥して、実施例29〜57の平版印刷版原版を得た。感熱層(2)の乾燥塗布量は0.7g/m2であった。
【0183】
<感熱層(2)塗布液組成>
・上記で合成したマイクロカプセル液
(ポリマー固形分換算で) 5g
・トリメチロールプロパントリアクリレート 3g
・光熱変換剤(本明細書記載のIR−11) 0.3g
・水 60g
・1−メトキシ−2−プロパノール 40g
【0184】
実施例29〜56の平版印刷版原版を、前記実施例1〜28と同様に評価した。結果を表4に示した。
【0185】
【表4】
Figure 0003820134
【0186】
表4から、本発明の平版印刷版原版(実施例29〜56)は、いずれも機上現像可能であり、感度、汚れ性に優れ、且つ、耐刷力に優れることが分かり、感熱層にマイクロカプセルを用いた場合でも、感熱層に微粒子ポリマーを用いた場合と同様の傾向が見られた。
【0187】
【発明の効果】
本発明の平版印刷版用支持体は、断熱性及び表面親水性に優れ、感熱性の平版印刷版としても好適に使用し得る。また、本発明の平版印刷版原版は、簡易な印刷機上処理により製版可能であり、書込みに使用されるレーザ光を効率よく画像形成必要な熱エネルギーとして利用することができ、高感度で、汚れのない画像を形成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電気化学的粗面化処理に用いられる好ましい交流電流の台形波の一例を示すグラフである。
【図2】 本発明に好適に用いられるラジアル型電解装置の概略図である。

Claims (4)

  1. 金属基板上に、(I)空隙率が5〜70%、平均厚みが0.5〜10μmの陽極酸化皮膜、(II)珪酸塩化合物、水系エマルジョン樹脂及び酸化アルミニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化ケイ素粒子からなる群より選択される酸化物粒子を含有する親水性層を、順次備え、該親水性層に含有される水系エマルジョン樹脂及び酸化物微粒子が、陽極酸化被膜の空隙を封孔してなる平版印刷版用支持体上に、
    (i)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー、または、( ii )熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルを含有し、赤外線露光により記録可能な感熱記録層を設けてなる平版印刷版原版。
  2. 前記親水性層の平均厚みが0.05〜5μmであることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. 前記酸化物粒子の平均粒径が、前記陽極酸化皮膜表面の平均開口径をd1(nm)としたとき、〔d1±20(nm)〕の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
  4. 前記感熱記録層が、赤外線露光後、現像液で処理することなく印刷工程において非画像部が除去可能な感熱記録層であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
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