JP2003034090A - 平版印刷用原板 - Google Patents

平版印刷用原板

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JP2003034090A
JP2003034090A JP2001221802A JP2001221802A JP2003034090A JP 2003034090 A JP2003034090 A JP 2003034090A JP 2001221802 A JP2001221802 A JP 2001221802A JP 2001221802 A JP2001221802 A JP 2001221802A JP 2003034090 A JP2003034090 A JP 2003034090A
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Kazuo Maemoto
一夫 前本
Hisashi Hotta
久 堀田
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 デジタル信号に基づいた赤外線走査露光後、
処理を行うことなくそのまま印刷機に装着して印刷可能
な平版印刷用原板であって、良好な機上現像性を有し、
感度が高く、かつ高耐刷性を示し、しかもインキ払い性
等、印刷での汚れ難さも良好な感熱性平版印刷用原板を
提供する。 【解決手段】 塩酸を含有する水溶液中で電気化学的粗
面化処理され、熱伝導率が0.05〜0.5W/mKで
ある親水膜を有するアルミニウム基板上に、(a)熱融
着性ポリマー微粒子、(b)熱反応性官能基を有するポ
リマー微粒子、及び(c)熱反応性化合物を内包するマ
イクロカプセルから選ばれた少なくとも2種類の微粒子
を含有する画像記録層を有し、該微粒子の少なくとも1
種の熱による合体により画像形成がなされることを特徴
とする平版印刷用原板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、現像不要のコンピ
ュータ・ツウ・プレート(CTP)システム用の平版印
刷用原板に関する。より詳しくは、デジタル信号に基づ
いた赤外線走査露光による画像記録が可能であり、画像
記録したものは従来のような液体による現像工程を経る
ことなしで、そのまま印刷機に装着して印刷することが
可能な感熱性平版印刷用原板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年進展が目覚ましいCTPシステム用
平版印刷用原板については、多数の研究がなされてい
る。その中で、より一層の工程合理化と廃液処理問題の
解決を目指すものとして、露光後、そのまま印刷機に装
着して印刷可能な平版印刷用原板が研究され、種々の方
法が提案されている。有望な方法の一つは、親水性バイ
ンダーポリマー中に疎水性熱可塑性ポリマー粒子を分散
した層を画像記録層とする感熱性平版印刷用原板であ
る。画像記録層に熱を加えると疎水性熱可塑性ポリマー
粒子が融着合体し、親水性の画像記録層表面が親油性画
像部に変換することを利用した方法である。
【0003】かかる疎水性熱可塑性ポリマー粒子の熱融
着を利用した方式の中で、処理工程をなくす方法の一つ
に、露光済みの印刷用原板を印刷機の版胴に装着し、版
胴を回転しながら湿し水とインキを供給し、さらに印刷
用紙を供給することによって、印刷版用原板の非画像部
を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、
印刷版用原板を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常
の印刷過程の中で非画像部の除去が完了する方式であ
る。
【0004】このような機上現像に適した平版印刷用原
板は、湿し水及びインキ溶剤の少なくともいずれかに可
溶な画像記録層を有し、しかも、明室に置かれた印刷機
上の現像で可視光に曝されてもカブリを生じない特性、
いわゆる明室取り扱い性を有することが必要とされる。
【0005】例えば、特許第2938397号公報に
は、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合
体の微粒子を分散させた感光層(画像記録層)を親水性
基板上に設けた平版印刷用原板が記載されている。この
公報には、該平版印刷用原板において、赤外線レーザー
露光して熱可塑性疎水性重合体の微粒子を熱により合体
させて画像形成した後、印刷機の版胴に版を取付け、湿
し水及び/又はインキを供給することにより機上現像で
きることが記載されている。また、赤外感光性であるた
め、良好な明室取り扱い性を有している。
【0006】しかし、このような平版印刷用原板では、
画像記録層を塗布乾燥する時に樹脂微粒子が融着してカ
ブリ原因となる問題があった。その対策として、塗布乾
燥時の樹脂微粒子の融着を避けるために低温で長時間掛
けて乾燥を行うのでは、生産効率が低下し実用性に欠け
る。また、水溶性樹脂等の粒子付着防止剤を用いる対策
はインク着肉性劣化が起こる問題があった。特開200
0−141933号には、粒径分布が2以上のピークを
有する高分子重合体微粒子を含有する層を有する機上現
像が可能な画像形成材料によって、これらの問題を解決
できることが記載されている。
【0007】特開2000−221667号には、最低
成膜温度が異なる2種以上のポリマー微粒子を含有する
画像形成層を有する機上現像可能な画像形成材料が記載
されていて、従来の機上現像型の平版印刷用原板で問題
であった画像強度、耐刷力の劣化、安定した湿し水供給
を克服でき、結果として安定した印刷品質が得られるこ
とが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような少なくとも2種類のポリマー微粒子を含む画像記
録層を有する平版印刷用原板においてもなお、寸度安定
性の点で望ましい金属基板を用いた場合には、金属基板
に熱が逃げるため感度が低く、微粒子の融着合体が不十
分なため画像強度が弱く、その結果高耐刷性が得られな
かった。金属基板への熱拡散の対策として、有機樹脂を
金属基板上に設ける方法が提案されているが、この方法
は感度は向上するものの、印刷汚れを生じる問題があっ
た。
【0009】本発明の目的は、上記のような先行技術の
欠点を克服した平版印刷用原板を提供することである。
すなわち、良好な機上現像性を有し、感度が高く、かつ
高耐刷性を示し、しかもインキ払い性等、印刷での汚れ
難さも良好な感熱性平版印刷用原板を提供することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討の
結果、粗面化したアルミニウム板を粗面化し、その上に
特定の範囲の熱伝導率もしくは密度などの物性を有する
親水膜を設けた基板を用いることによって、印刷汚れを
良好に保持した上でアルミニウム基板の断熱性を向上で
きることを見出した。その結果、アルミニウム基板への
熱の拡散を抑制して感度を高め、微粒子の熱による合体
の効率を高めて画像強度を上げて耐刷性を確保し、しか
も機上現像性及び印刷での汚れ難さも良好に保持し、上
記目的を達成できた。すなわち、本発明は、以下のとお
りである。
【0011】1.塩酸を含有する水溶液中で電気化学的
粗面化処理され、熱伝導率が0.05〜0.5W/mK
である親水膜を有するアルミニウム基板上に、(a)熱
融着性ポリマー微粒子、(b)熱反応性官能基を有する
ポリマー微粒子、及び(c)熱反応性化合物を内包する
マイクロカプセルから選ばれた少なくとも2種類の微粒
子を含有する画像記録層を有し、該微粒子の少なくとも
1種の熱による合体により画像形成がなされることを特
徴とする平版印刷用原板。
【0012】2.塩酸を含有する水溶液中で電気化学的
粗面化処理され、密度が1000〜3200kg/m3
及び/又は空隙率が20〜70%である親水膜を有する
アルミニウム基板上に、 a)熱融着性ポリマー微粒
子、(b)熱反応性官能基を有するポリマー微粒子、及
び(c)熱反応性化合物を内包するマイクロカプセルか
ら選ばれた少なくとも2種類の微粒子を含有する画像記
録層を有し、該微粒子の少なくとも1種の熱による合体
により画像形成がなされることを特徴とする平版印刷用
原板。
【0013】3.粗面化形状の小ピットの平均開口径が
0.01〜3μm、小ピットの平均深さの平均開口径に
対する比が0.1〜0.5であり、熱伝導率が0.05
〜0.5W/mKである親水膜を有するアルミニウム基
板上に、 a)熱融着性ポリマー微粒子、(b)熱反応
性官能基を有するポリマー微粒子、及び(c)熱反応性
化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた少なく
とも2種類の微粒子を含有する画像記録層を有し、該微
粒子の少なくとも1種の熱による合体により画像形成が
なされることを特徴とする平版印刷用原板。
【0014】4.粗面化形状の小ピットの平均開口径が
0.01〜3μm、小ピットの平均深さの平均開口径に
対する比が0.1〜0.5であり、密度が1000〜3
200kg/m3及び/又は空隙率が20〜70%であ
る親水膜を有するアルミニウム基板上に、 a)熱融着
性ポリマー微粒子、(b)熱反応性官能基を有するポリ
マー微粒子、及び(c)熱反応性化合物を内包するマイ
クロカプセルから選ばれた少なくとも2種類の微粒子を
含有する画像記録層を有し、該微粒子の少なくとも1種
の熱による合体により画像形成がなされることを特徴と
する平版印刷用原板。
【0015】5.アルミニウム基板の大きなうねりの平
均開口径が3〜20μmであることを特徴とする前記1
から前記4のいずれかに記載の平版印刷用原板。
【0016】6.親水膜が陽極酸化皮膜であることを特
徴とする前記1から前記5のいずれかに記載の平版印刷
用原板。
【0017】7.陽極酸化皮膜量が3.2g/m2以上
であることを特徴とする前記6に記載の平版印刷用原
板。
【0018】8.陽極酸化皮膜の表層のポア径が40n
m以下であることを特徴とする前記6又は前記7に記載
の平版印刷用原板。
【0019】9.陽極酸化皮膜が封孔処理されているこ
とを特徴とする前記6から前記8のいずれかに記載の平
版印刷用原板。
【0020】10.陽極酸化皮膜上に平均粒径8〜80
0nmからなる粒子の層を設けたことを特徴とする前記
6から前記9のいずれかに記載の平版印刷用原板。
【0021】11.陽極酸化皮膜が2段階以上の陽極酸
化処理により形成されたことを特徴とする前記6から前
記10のいずれかに記載の平版印刷用原板。
【0022】12.1段階目で硫酸を含有する電解液で
陽極酸化を行い、2段階目以降にリン酸を含有する電解
液で陽極酸化したことを特徴とする前記11に記載の平
版印刷用原板。
【0023】13. 画像記録層が光熱変換剤を含有す
ることを特徴とする前記1から前記12のいずれかに記
載の平版印刷用原板。
【0024】14.光熱変換剤が、(a)熱融着性ポリ
マー微粒子、(b)熱反応性官能基を有するポリマー微
粒子、及び(c)熱反応性化合物を内包するマイクロカ
プセルから選ばれた少なくとも1種の微粒子に含有され
ることを特徴とする前記13に記載の平版印刷用原板。
【0025】15.画像記録層に含有される微粒子が、
熱反応性官能基を有するポリマー微粒子及び熱反応性化
合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた微粒子で
あることを特徴とする前記1から前記14のいづれかに
記載の平版印刷用原板。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。ここで、%は特に断りのない限り質
量%を示す。
【0027】[アルミニウム基板]本発明に用いるアル
ミニウム基板は、塩酸を含有する水溶液を用いて電気化
学的粗面化処理され、特定範囲の熱伝導率の親水膜を有
するアルミニウム基板である。また、本発明に用いるア
ルミニウム基板は、塩酸を含有する水溶液を用いて電気
化学的粗面化処理され、特定範囲の密度又は空隙率の親
水膜を有するアルミニウム基板である。また、本発明に
用いるアルミニウム基板は、粗面化形状の小ピットの平
均開口径及び小ピットの平均深さの平均開口径に対する
比が特定範囲にあるアルミニウム基板である。以下に、
このようなアルミニウム基板について詳細に説明する。
【0028】一般に平版印刷用原板に好適に用いられる
アルミニウム基板の粗面化構造は、平均開口径(平均直
径)が数μm〜数10μmである大波構造と、平均開口
径が0.01〜数μmであるピットとの重畳構造であ
る。本発明においては、大波構造を大きなうねり、内部
に更に小さなピットが存在しないピットを小ピットと呼
ぶ。また、陽極酸化皮膜のマイクロポアを単にポアとも
呼ぶ。
【0029】本発明のアルミニウム基板の原料として用
いられるアルミニウム板は、寸度的に安定なアルミニウ
ムを主成分とする金属であり、アルミニウムまたはアル
ミニウム合金からなる。純アルミニウム板のほか、アル
ミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板や、ア
ルミニウムまたはアルミニウム合金がラミネートされ、
または蒸着されたプラスチックフィルムまたは紙を用い
ることもできる。更に、特公昭48−18327号に記
載されているようなポリエチレンテレフタレートフィル
ム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートを
用いることもできる。
【0030】上記アルミニウム板の製造方法としては、
例えば、DC鋳造法、DC鋳造法から均熱処理および/
または焼鈍処理を省略した方法、および連続鋳造法を挙
げることができる。以下の説明において、上に挙げたア
ルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基板をアル
ミニウム基板と総称して用いる。
【0031】前記アルミニウム合金に含まれる異元素に
は、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロ
ム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等があり、合金
中の異元素の含有量は10%以下である。本発明では純
アルミニウム板を用いるのが好適であるが、完全に純粋
なアルミニウムは精練技術上、製造が困難であるので、
わずかに異元素を含有するものを用いてもよい。このよ
うに本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が
特定されるものではなく、アルミニウムハンドブック第
4版(軽金属協会(1990))に記載の従来より公知
公用の素材のもの、例えば、JIS A 1050、J
IS A 1100、JIS A 3103、JIS
A 3005等を適宜利用することができる。
【0032】本発明に用いられるアルミニウム板の厚み
は、0.1〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機の
大きさ、印刷版の大きさおよびユーザーの希望により適
宜変更することができる。アルミニウム板には、適宜、
以下で述べる表面処理が施される。
【0033】一般に、平版印刷版用アルミニウム基板
は、アルミニウム板に付着している圧延油を除く脱脂工
程、アルミニウム板の表面のスマットを溶解するデスマ
ット処理工程等の粗面化前処理、及びアルミニウム板の
表面を粗面化する粗面化処理工程を経て製造される。
【0034】本発明のアルミニウム基体は、上記の処理
に次いでさらに、特定の熱伝導率の親水膜を設けられ
る。さらに必要に応じて、酸、アルカリ処理工程、封孔
処理工程、親水化処理工程を経て、平版印刷用原板に用
いる基板を形成する。さらに必要に応じて、基板形成
後、下塗り層を設けてもよい。
【0035】本発明の粗面化処理をはじめとする製造方
法は、連続法でも断続法でも良いが、工業的には連続法
を用いるのが好ましい。以下、各表面処理工程について
詳細に説明する。
【0036】<粗面化前処理>アルミニウム板は、強固
な汚れや自然酸化皮膜を除去する等のため、苛性ソーダ
等のアルカリ水溶液を用いて溶解処理が行われ、溶解処
理後の残留アルカリ成分を中和するため、リン酸、硝
酸、硫酸、塩酸、コロム酸等の酸もしくはそれらの混酸
に浸漬して中和処理が行われる。なお、必要により、上
記アルミニウム板表面の油脂、錆、ゴミなどを除去する
ため、トリクレン、シンナー等による溶剤脱脂、ケロシ
ン、トリエタノール等のエマルジョンを用いてエマルジ
ョン脱脂処理を行っても良い。中和処理に使用する酸の
種類及び組成は、次工程の電気化学的粗面化処理に使用
する酸のそれに合わせることが特に好ましい。
【0037】<粗面化処理>本発明は、塩酸を含有する
水溶液を電解液とする電気化学的な処理によって粗面化
した基板を使用することを特徴とする。電解液には、必
要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド
類、リン酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、シュウ酸等を加
えることができるが、中でも特に酢酸が好ましい。
【0038】電気化学的粗面化処理において、印可され
る電圧は1〜50Vが好ましく、5〜30Vがさらに好
ましい。電流密度(ピーク値)は5〜200A/dm2
が好ましく、20〜150A/dm2がさらに好まし
い。電気量は、全処理工程を合計して10〜2000C
/dm2が好ましく、200〜1000C/dm2がさら
に好ましい。温度は10〜60℃が好ましく、15〜4
5℃がさらに好ましい。周波数は10〜200Hzが好
ましく、40〜150Hzがさらに好ましい。
【0039】塩酸濃度は0.1〜5%が好ましく、電解
に使用する電流波形は、正弦波、矩形波、台形波、鋸歯
状歯等、求める粗面化形状により適宜選択されるが、特
に矩形波が好ましい。
【0040】電気化学的粗面化処理されたアルミニウム
板は、表面のスマット等を除去したり、粗面ピット形状
をコントロールする等のために、酸またはアルカリの水
溶液に浸漬して表面エッチング処理が行われる。上記酸
としては、例えば硫酸、過硫酸、フッ酸、リン酸、硝
酸、塩酸などが含まれ、上記アルカリとしては、例えば
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が含まれる。これ
らの中でも、アルカリ水溶液を用いるのが好ましく、該
アルカリの0.05〜40%水溶液を用いて、20〜9
0℃の液温で5秒〜5分処理するのが良く、該アルカリ
水溶液で該アルカリ水溶液で表面エッチングした後に、
リン酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、もしくはそれら
の混酸に浸漬して中和処理が行われる。
【0041】上記粗面化処理工程で用いる電解装置とし
ては、縦型、フラット型、ラジアル型等の公知の電解装
置を用いることができるが、特開平5−195300号
に記載のようなラジアル型電解装置が特に好ましい。
【0042】図1は、本発明で好適に用いられるラジア
ル型電解装置の概略図である。図1において、ラジアル
型電解装置は、アルミニウム板11が主電解槽21中に
配置されたラジアルドラムローラ12に巻装され、搬送
過程で交流電源20に接続された主極13aおよび13
bによって電解処理される。酸性水溶液14は、溶液供
給口15からスリット16を通じてラジアルドラムロー
ラ12と主極13aおよび13bとの間にある溶液通路
17に供給される。
【0043】ついで、主電解槽21で処理されたアルミ
ニウム板11は、補助陽極槽22で電解処理される。こ
の補助陽極槽22には補助陽極18がアルミニウム板1
1と対向配置されており、酸性水溶液14は、補助陽極
18とアルミニウム板11との間を流れるように供給さ
れる。なお、補助電極に流す電流は、サイリスタ19a
および19bにより制御される。
【0044】主極13aおよび13bは、カーボン、白
金、チタン、ニオブ、ジルコニウム、ステンレス、燃料
電池用陰極に用いる電極等から選定することができる
が、カーボンが特に好ましい。カーボンとしては、一般
に市販されている化学装置用不浸透性黒鉛や、樹脂含芯
黒鉛等を用いることができる。補助陽極18は、フェラ
イト、酸化イリジウム、白金、または、白金をチタン、
ニオブ、ジルコニウム等のバルブ金属にクラッドもしく
はメッキしたもの等公知の酸素発生用電極から選定する
ことができる。
【0045】主電解槽21および補助陽極槽22内を通
過する塩酸含有水溶液の供給方向はアルミニウム板11
の進行とパラレルでもカウンターでもよい。アルミニウ
ム板に対する塩酸含有水溶液の相対流速は、10〜10
00cm/secであるのが好ましい。
【0046】一つの電解装置には1個以上の交流電源を
接続することができる。また、2個以上の電解装置を使
用してもよく、各装置における電解条件は同一であって
もよいし異なっていてもよい。また、電解処理が終了し
た後には、処理液を次工程に持ち出さないためにニップ
ローラによる液切りとスプレーによる水洗とを行うのが
好ましい。
【0047】さらに、上記粗面化処理においては、電解
装置中のアルミニウム板がアノード反応する塩酸含有水
溶液の通電量に比例して、例えば、(i)塩酸含有水溶
液の導電率と(ii)超音波の伝搬速度と(iii)温
度とから求めた塩酸およびアルミニウムイオン濃度をも
とに、塩酸と水の添加量を調節しながら添加し、塩酸と
水の添加容積と同量の塩酸含有水溶液を逐次電解装置か
らオーバーフローさせて排出することで、上記塩酸含有
水溶液の濃度を一定に保つのが好ましい。
【0048】さらに、本発明では該塩酸含有電解液中で
の電気化学的粗面化処理の過程で、0.2〜10秒の休
止時間を設け、かつ1回の電気化学的粗面化処理の電気
量を100C/dm2以下とすることが好ましい。上記
のように電気化学的粗面化処理を複数回に分けて行う場
合は、上記休止時間0.2秒未満で、かつ電気化学的粗
面化処理の電気量が100C/dm2を越えると、開口
径が20μmより大きい粗大ピットの生成を抑制するこ
とができず、また、上記休止時間が10秒を越えるとア
ルミニウム基板の製造に時間がかかり過ぎて生産性が悪
くなる。
【0049】上記の塩酸含有水溶液を電解液とする電気
化学的粗面化処理は、機械的粗面化処理や異なる条件の
電気化学的粗面化処理と組み合わせて用いることもでき
る。
【0050】機械的粗面化処理は電気化学的粗面化処理
の前、前記アルカリ水溶液を用いた溶解処理に先だって
行うのが好ましい。機械的粗面化処理の方法は特に限定
されないが、ブラシ研磨、ホーニング研磨が好ましい。
ブラシ研磨では、例えば毛径0.2〜1mmのブラシ毛
を植毛した円筒状ブラシを回転し、研磨材を水に分散さ
せたスラリーを接触面に供給しながらアルミニウム板表
面に押しつけて粗面化処理を行う。ホーニング研磨で
は、研磨材を水に分散させたスラリーをノズルより圧力
をかけて射出し、アルミニウム板表面に斜めから衝突さ
せて粗面化処理を行う。さらに、予め粗面化処理された
シートをアルミニウム板表面に張り合わせ、圧力をかけ
て粗面パターンを転写することにより機械的粗面化処理
を行うこともできる。
【0051】なお、上記機械的粗面化処理を行う場合
は、前記の溶剤脱脂処理またはエマルジョン脱脂処理を
省略することができる。
【0052】異なる条件の電気化学的粗面化処理として
は、硝酸を主体とする電気化学的な粗面化処理を挙げる
ことができる。
【0053】硝酸を主体とする酸性水溶液は、通常の直
流電流または交流電流を用いた電気化学的粗面化処理に
用いられるものでよい。例えば、硝酸アルミニウム、硝
酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸化合物のうち
一つ以上を、0.01g/lから飽和に達するまでの濃
度で、硝酸濃度5〜15g/lの硝酸水溶液に添加して
使用することができる。硝酸を主体とする酸性水溶液中
には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシ
ウム、ケイ素等のアルミニウム合金中に含まれる金属等
が溶解されていてもよい。
【0054】硝酸を主体とする酸性水溶液としては、中
でも、硝酸と、アルミニウム塩と、硝酸塩とを含有し、
かつ、アルミニウムイオンが1〜15g/l、好ましく
は1〜10g/l、アンモニウムイオンが10〜300
ppmとなるように、硝酸濃度5〜15g/lの硝酸水
溶液中に硝酸アルミニウムおよび硝酸アンモニウムを添
加して得られたものを用いることが好ましい。なお、上
記アルミニウムイオンおよびアンモニウムイオンは、電
気化学的粗面化処理を行っている間に自然発生的に増加
していくものである。また、この際の液温は10〜95
℃であるのが好ましく、40〜80℃であるのがより好
ましい。
【0055】上記の粗面化処理を施された本発明の平版
印刷用原板は、粗面化形状の小ピットの平均開口径が
0.01〜3μmが好ましい。より好ましくは0.05
〜2μmで、特に好ましくは0.05〜1.0μmであ
る。0.01μm未満では満足な印刷での汚れ難さや耐
刷性が確保できない。一方、3μmを越えると耐刷性が
劣化する。
【0056】また、小ピットの平均深さの平均開口径に
対する比は、0.1〜0.5が好ましい。より好ましく
は0.1〜0.3、特に好ましくは0.15〜0.2で
ある。0.1未満では印刷での汚れ難さや耐刷性が劣化
し、一方、0.5を越えると汚れ難さが劣化する問題が
生じる。
【0057】粗面化形状の大きなうねりの平均開口径は
3〜20μmが好ましい。より好ましくは3〜17μm
で、特に好ましくは4〜10μmである。3μm未満で
は印刷での汚れ難さや耐刷性が劣化する。一方、20μ
mを越えると汚れ性が劣化する問題が生じる。
【0058】<親水膜の形成>本発明のアルミニウム基
板は、上記のように粗面化処理され、必要に応じて他の
処理を施されたアルミニウム板に、熱伝導率が0.05
〜0.5W/mKの親水膜を設けることを特徴とする。
【0059】親水膜は、膜厚方向の熱伝導率が0.05
W/(m・K)以上であり、好ましくは0.08W/
(m・K)以上であり、また、0.5W/(m・K)以
下であり、好ましくは0.3W/(m・K)以下であ
り、より好ましくは0.2W/(m・K)以下である。
膜厚方向の熱伝導率を0.05〜0.5W/(m・K)
とすると、レーザー光の露光により記録層に発生する熱
が基板に拡散することを抑制することができる。その結
果、感度が高くなり、微粒子の熱による合体の効率を高
めて画像強度を向上させて耐刷性を向上できる。
【0060】以下、本発明で規定する親水膜の膜厚方向
の熱伝導率について説明する。薄膜の熱伝導率測定方法
としては種々の方法がこれまでに報告されている。19
86年にはONOらがサーモグラフを用いて薄膜の平面
方向の熱伝導率を報告している。また、薄膜の熱物性の
測定に交流加熱方法を応用する試みも報告されている。
交流加熱法はその起源を1863年の報告にまでさかの
ぼることができるが、近年においては、レーザーによる
加熱方法の開発やフーリエ変換との組み合わせにより様
々な測定法が提案されている。レーザーオングストロー
ム法を用いた装置は実際に市販もされている。これらの
方法はいずれも薄膜の平面方向(面内方向)の熱伝導率
を求めるものである。
【0061】しかし、薄膜の熱伝導を考える際にはむし
ろ深さ方向への熱拡散が重要な因子である。種々報告さ
れているように薄膜の熱伝導率は等方的でないといわれ
ており、特に本発明のような場合には直接、膜厚方向の
熱伝導率を計測することが極めて重要である。このよう
な観点から薄膜の膜厚方向の熱物性を測定する試みとし
てサーモコンパレータを用いた方法がLambropo
ulosらの論文(J.Appl.Phys.,66
(9)(1 November 1989))およびH
enagerらの論文(APPLIED OPTIC
S,Vol.32,No.1(1 January 1
993))で報告されている。更に、近年、ポリマー薄
膜の熱拡散率をフーリエ解析を適用した温度波熱分析に
より測定する方法が橋本らによって報告されている(N
etsu Sokutei,27(3)(200
0))。
【0062】本発明で規定する親水膜の膜厚方向の熱伝
導率は、上記サーモコンパレータを用いる方法で測定さ
れる。以下、上記方法を具体的に説明するが、上記方法
の基本的な原理については、上述したLambropo
ulosらの論文およびHenagerらの論文に詳細
に記載されている。また、上記方法に用いられる装置
は、以下の装置に限定されるものではない。
【0063】図2は、本発明の平版印刷用原板の親水膜
の膜厚方向の熱伝導率の測定に用いることができるサー
モコンパレータ30の概略図である。サーモコンパレー
タを用いる方法では、薄膜との接触面積および接触面の
状態(粗さ)の影響を大きく受ける。そのため、サーモ
コンパレータ30が薄膜と接触する先端をできる限り微
小なものとすることが重要である。例えば、無酸素銅製
の半径r1=0.2mmの微小な先端を有するチップ
(線材)31を用いる。
【0064】このチップ31をコンスタンタン製のリザ
ーバ32の中心に固定し、そのリザーバ32の周囲に、
電熱ヒーター33を有する無酸素銅製の加熱用ジャケッ
ト34を固定する。この加熱用ジャケット34を電熱ヒ
ーター33で加熱し、リザーバ32内部に取り付けた熱
電対35の出力をフィードバックさせながらリザーバ3
を60±1℃になるよう制御すると、チップ31が60
±1℃に加熱される。一方、半径10cm、厚み10m
mの無酸素銅製のヒートシンク36を用意し、測定対象
の皮膜37を有する金属基体38をヒートシンク36上
に設置する。ヒートシンク36の表面の温度は接触式温
度計39を用いて測定する。
【0065】このようにサーモコンパレータ30を設定
した後、皮膜37の表面に加熱したチップ31の先端を
密着するように接触させる。サーモコンパレータ30
は、例えば、ダイナミック微小硬度計の先端に圧子の変
わりに取り付けて上下に駆動させるようにし、皮膜37
の表面にチップ31が当たって0.5mNの負荷がかか
るまで押し付けることができるようにする。これにより
測定対象である皮膜37とチップ31の接触面積のバラ
ツキを最低限とすることができる。
【0066】加熱したチップ31を皮膜37に接触させ
るとチップ31の先端温度は下がるが、ある一定温度で
定常状態に達する。これは電熱ヒーター33から加熱用
ジャケット34およびリザーバ32を通じてチップ31
に与えられる熱量と、チップ31から金属基体38を通
じてヒートシンク36へ拡散する熱量とが平衡するため
である。このときのチップ先端温度、ヒートシンク温度
およびリザーバ温度をそれぞれチップ先端温度記録計4
0、ヒートシンク温度記録計41およびリザーバ温度記
録計42を用いて記録する。
【0067】上記各温度と皮膜の熱伝導率の関係は、下
記式(1)のようになる。
【0068】
【数1】
【0069】ただし、上記式(1)中の符号は、以下の
通りである。 Tt :チップ先端温度、Tb :ヒートシンク温度、T
r :リザーバ温度、Kt f:皮膜熱伝導率、K1 :リザ
ーバ熱伝導率、K2 :チップ熱伝導率(無酸素銅の場
合、400W/(m・K))、K4 :(皮膜を設けない
場合の)金属基体熱伝導率、r1 :チップ先端曲率半
径、A2 :リザーバとチップとの接触面積、A3 :チッ
プと皮膜との接触面積、t:膜厚、t2 :接触厚み(≒
0)
【0070】膜厚(t)を変化させて各温度(Tt 、T
b およびTr )を測定しプロットすることにより、上記
式(1)の傾きを求め、皮膜熱伝導率(Kt f)を求め
ることができる。即ち、この傾きは上記式(1)から明
らかなように、リザーバ熱伝導率(K1 )、チップ先端
の曲率半径(r1 )、皮膜熱伝導率(Kt f)およびチ
ップと皮膜との接触面積(A3 )によって決まる値であ
り、K1 、r1 およびA3 は、既知の値であるから、傾
きからKt fの値を求めることができる。
【0071】本発明者らは、上記の測定方法を用いてア
ルミニウム基板状に設けた陽極酸化皮膜(Al23)の
熱伝導率を求めた。膜厚を変えて温度を測定し、その結
果のグラフの傾きから求められたAl23の熱伝導率
は、0.69W/(m・K)であった。これは、上述し
たLambropoulosらの論文の結果とよい一致
を示している。そして、この結果は、薄膜の熱物性値が
バルクの熱物性値(バルクのAl23の熱伝導率は、2
8W/(m・K))とは異なることも示している。
【0072】本発明の平版印刷用原板の親水膜の膜厚方
向の熱伝導率の測定に上記方法を用いると、チップ先端
を微小なものにし、かつ、押し付け荷重を一定に保つこ
とにより、平版印刷版用に粗面化された表面についても
バラツキのない結果を得ることができるので好ましい。
熱伝導率の値は、試料上の異なる複数の点、例えば、5
点で測定し、その平均値として求めるのが好ましい。
【0073】親水膜の膜厚は、傷付きにくさおよび耐刷
性の点で、0.1μm以上であるのが好ましく、0.3
μm以上であるのがより好ましく、0.6μm以上であ
るのが特に好ましく、また、製造コストの観点から、厚
い皮膜を設けるためには多大なエネルギーを必要とする
ことを鑑みると、5μm以下であるのが好ましく、3μ
m以下であるのがより好ましく、2μm以下であるのが
特に好ましい。
【0074】本発明の親水膜は、断熱性への効果及び皮
膜強度、印刷での汚れ難さの観点から、密度が1000
〜3200kg/m3であることが好ましい。
【0075】密度の測定法としては、例えば、メイソン
法(クロム酸/リン酸混合液溶解による陽極酸化皮膜重
量法)による重量測定と、断面をSEMで観察して求め
た膜厚から、以下の式によって算出することができる。
【0076】密度(kg/m3)=(単位面積あたりの
親水膜重量/膜厚)
【0077】形成された親水膜密度が1000kg/m
3未満では皮膜強度が低くなり、画像形成性や耐刷性な
どに悪影響を及ぼす可能性があり、また、印刷での汚れ
にくさも劣化する。3200kg/m3を越えると充分
な断熱性が得られず、感度向上効果が低下する。
【0078】本発明においては、親水膜の空隙率が20
〜70%であるのが好ましく、30〜60%であるのが
より好ましく、40〜50%であるのが特に好ましい。
親水膜の空隙率が20%未満では、アルミニウム基板へ
の熱拡散の抑制が十分には得られず、高感度化及び耐刷
向上の効果が不十分となる。空隙率が70%を越える
と、非画像部に汚れが発生する問題が生じやすくなる。
【0079】親水膜を設ける方法としては、特に限定さ
れず、陽極酸化法、蒸着法、CVD法、ゾルゲル法、ス
パッタリング法、イオンプレーティング法、拡散法等を
適宜用いることができる。また、親水性樹脂またはゾル
ゲル液に中空粒子を混合した溶液を塗布する方法を用い
ることもできる。
【0080】中でも、陽極酸化法により酸化物を作成す
る処理、即ち、陽極酸化処理を用いるのが最も好適であ
る。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で
行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム
酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等
の単独のまたは2種以上を組み合わせた水溶液または非
水溶液の中で、アルミニウム板に直流または交流を流す
と、アルミニウム板の表面に、親水膜である陽極酸化皮
膜を形成することができる。
【0081】陽極酸化処理の条件は、使用される電解液
によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一
般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、
電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜200V、
電解時間1〜1000秒であるのが適当である。
【0082】これらの陽極酸化処理の中でも、英国特許
第1,412,768号に記載されている、硫酸電解液
中で高電流密度で陽極酸化処理する方法、および、米国
特許第3,511,661号に記載されている、リン酸
を電解浴として陽極酸化処理する方法が好ましい。ま
た、硫酸中で陽極酸化処理し、更にリン酸中で陽極酸化
処理するなどの多段陽極酸化処理を施すこともできる。
【0083】本発明においては、陽極酸化皮膜は、感度
および耐刷性の点で、3.2g/m 2以上であるのが好
ましく、4.0g/m2以上であるのがより好ましく、
5g/m2以上であるのが特に好ましく、また、厚い皮
膜を設けるためには多大なエネルギーを必要とすること
を鑑みると、50g/m2以下であるのが好ましく、3
0g/m2以下であるのがより好ましく、20g/m2
下であるのが特に好ましい。
【0084】陽極酸化皮膜には、その表面にマイクロポ
アと呼ばれる微細な凹部が一様に分布して形成されてい
る。陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの径密度は、
処理条件を適宜選択することによって調整することがで
きる。マイクロポアの径密度を高くすることにより、陽
極酸化皮膜の膜厚方向の熱伝導率を0.05〜0.5W
/(m・K)とすることができる。
【0085】また、陽極酸化皮膜のマイクロポア径密度
を高くすることにより、密度を1000〜3200kg
/m3とすることができる。
【0086】本発明においては、熱伝導率や密度を下げ
たり空隙率を上げる目的で、陽極酸化処理の後、マイク
ロポアのポア径を拡げるポアワイド処理を行うことが好
ましい。このポアワイド処理は、陽極酸化皮膜が形成さ
れたアルミニウム基板を酸水溶液またはアルカリ水溶液
に浸漬することにより、陽極酸化皮膜を溶解し、マイク
ロポアのポア径を拡大するものである。ポアワイド処理
は、陽極酸化皮膜の溶解量が、好ましくは0.01〜2
0g/m2、より好ましくは0.1〜5g/m2、特に好
ましくは0.2〜4g/m2となる範囲で行われる。
【0087】マイクロポアのポア径は、印刷汚れ、機上
現像性の観点から、0〜40nmが好ましい。より好ま
しくは15nm以下、特に好ましくは7nm以下となる
ように行われる。この範囲内で、良好な印刷汚れと機上
現像性が得られる。また、感度と耐刷性の観点から、表
面から0.4μm下部の位置でのポア径は7〜200n
mが好ましい。より好ましくは15〜100nm、特に
好ましくは30〜100nmである。この範囲内で良好
な断熱性が得られ、感度と耐刷性の向上効果が得られ
る。
【0088】ポアワイド処理に酸水溶液を用いる場合
は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれら
の混合物の水溶液を用いることが好ましい。酸水溶液の
濃度は10〜1000g/lであるのが好ましく、20
〜500g/lであるのがより好ましい。酸水溶液の温
度は、10〜90℃であるのが好ましく、30〜70℃
であるのがより好ましい。酸水溶液への浸漬時間は、1
〜300秒であるのが好ましく、2〜100秒であるの
がより好ましい。
【0089】一方、ポアワイド処理にアルカリ水溶液を
用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよ
び水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一
つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカ
リ水溶液のpHは、10〜13であるのが好ましく、1
1.5〜13.0であるのがより好ましい。アルカリ水
溶液の温度は、10〜90℃であるのが好ましく、30
〜50℃であるのがより好ましい。アルカリ水溶液への
浸漬時間は、1〜500秒であるのが好ましく、2〜1
00秒であるのがより好ましい。
【0090】また、親水膜は、上述した陽極酸化皮膜の
ほかに、スパッタリング法、CVD法等により設けられ
る無機皮膜であってもよい。無機皮膜を構成する化合物
としては、例えば、酸化物、チッ化物、ケイ化物、ホウ
化物、炭化物が挙げられる。また、無機皮膜は、化合物
の単体のみから構成されていてもよく、化合物の混合物
により構成されていてもよい。
【0091】無機皮膜を構成する化合物としては、具体
的には、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、
酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化バナジウム、
酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化タン
グステン、酸化クロム;チッ化アルミニウム、チッ化ケ
イ素、チッ化チタン、チッ化ジルコニウム、チッ化ハフ
ニウム、チッ化バナジウム、チッ化ニオブ、チッ化タン
タル、チッ化モリブデン、チッ化タングステン、チッ化
クロム、チッ化ケイ素、チッ化ホウ素;ケイ化チタン、
ケイ化ジルコニウム、ケイ化ハフニウム、ケイ化バナジ
ウム、ケイ化ニオブ、ケイ化タンタル、ケイ化モリブデ
ン、ケイ化タングステン、ケイ化クロム;ホウ化チタ
ン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化バ
ナジウム、ホウ化ニオブ、ホウ化タンタル、ホウ化モリ
ブデン、ホウ化タングステン、ホウ化クロム;炭化アル
ミニウム、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ジルコニウ
ム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭
化タンタル、炭化モリブデン、炭化タングステン、炭化
クロムが挙げられる。
【0092】<封孔処理>本発明においては、上述した
ようにして親水膜を設けて得られた本発明の平版印刷版
用基板に、汚れ難さ及び機上現像性を向上させるため
に、封孔処理を行ってもよい。本発明に用いられる封孔
処理は、従来公知の方法を用いることができるが、感
度、耐刷性と汚れ難さ、機上現像性を両立させるために
は、封孔処理皮膜の微細孔の開口径が、表層で0〜40
nm、表層から0.4μm下部の位置で7〜200nm
にすることが好ましい。
【0093】本発明に用いられる封孔処理としては、特
開平4−176690号公報および特願平10−106
819号明細書(特開平11−301135号公報)に
記載の加圧水蒸気や熱水による陽極酸化皮膜の封孔処理
が挙げられる。また、ケイ酸塩処理、重クロム酸塩水溶
液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム塩処理、電着
封孔処理、トリエタノールアミン処理、炭酸バリウム塩
処理、極微量のリン酸塩を含む熱水処理等の公知の方法
を用いて行うこともできる。中でも特に好ましいのは、
特願2001−9871号記載の平均粒径8〜800n
mの粒子を用いた封孔処理が挙げられる。
【0094】粒子を用いた封孔処理は、平均粒径8〜8
00nm、好ましくは平均粒径10〜500nm、より
好ましくは平均粒径10〜150nmの粒子によって行
われる。この範囲内で、親水膜に存在するマイクロポア
の内部に粒子が入り込んでしまうおそれが少なく、高感
度化の効果が十分得られ、また、画像記録層との密着性
が十分となり、耐刷性が優れたものとなる。粒子層の厚
さは、8〜800nmであるのが好ましく、10〜50
0nmであるのがより好ましい。
【0095】本発明に用いられる粒子は、熱伝導率が6
0W/(m・K)以下であるのが好ましく、40W/
(m・K)以下であるのがより好ましく、0.3〜10
W/(m・K)以下であるのが特に好ましい。熱伝導率
が60W/(m・K)以下であると、アルミニウム基板
への熱拡散の抑制が十分となり、高感度化の効果が十分
に得られる。
【0096】粒子層を設ける方法としては、例えば、溶
液による浸漬処理、スプレー処理、コーティング処理、
電解処理、蒸着処理、スパッタリング、イオンプレーテ
ィング、溶射、鍍金等が挙げられるが、特に限定される
ものではない。
【0097】電解処理は、直流または交流を用いること
ができる。上記電解処理に用いられる交流電流の波形と
しては、サイン波、矩形波、三角波、台形波等が挙げら
れる。また、交流電流の周波数は、電源装置を製作する
コストの観点から、30〜200Hzであるのが好まし
く、40〜120Hzであるのがより好ましい。交流電
流の波形として台形波を用いる場合、電流が0からピー
クに達するまでの時間tpはそれぞれ0.1〜2mse
cであるのが好ましく、0.3〜1.5msecである
のがより好ましい。上記tpが0.1msec未満であ
ると、電源回路のインピーダンスが影響し、電流波形の
立ち上がり時に大きな電源電圧が必要となり、電源の設
備コストが高くなる場合がある。
【0098】親水性粒子としては、Al23、Ti
2、SiO2およびZrO2を単独でまたは2種以上を
組み合わせて用いるのが好ましい。電解液は、例えば、
前記親水性粒子を含有量が全体の0.01〜20%とな
るように、水等に懸濁させて得られる。電解液は、電荷
をプラスまたはマイナスに帯電させるために、例えば、
硫酸を添加するなどして、pHを調整することもでき
る。電解処理は、例えば、直流を用い、アルミニウム板
を陰極として、上記電解液を用い、電圧10〜200V
で1〜600秒間の条件で行う。この方法によれば、容
易に、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの内部に空
隙を残しつつ、その口をふさぐことができる。
【0099】別の封孔処理の方法として、カルボキシメ
チルセルロース;デキストリン;アラビアガム;2−ア
ミノエチルホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸
類;置換基を有していてもよいフェニルホスホン酸、ナ
フチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホス
ホン酸、メチレンジホスホン酸、エチレンジホスホン酸
等の有機ホスホン酸;置換基を有していてもよいフェニ
ルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸、グリセロ
リン酸等の有機リン酸エステル;置換基を有していても
よいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、ア
ルキルホスフィン酸、グリセロホスフィン酸等の有機ホ
スフィン酸;グリシン、β−アラニン等のアミノ酸類;
トリエタノールアミンの塩酸塩等のヒドロキシ基を有す
るアミンの塩酸塩等から選ばれる化合物の層を設ける方
法も挙げられる。
【0100】さらに封孔処理には、不飽和基を有するシ
ランカップリング剤を塗設処理してもよい。シランカッ
プリング剤としては、例えば、N−3−(アクリロキシ
−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリ
エトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)ジメチ
ルメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチ
ルジメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)ト
リメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピル
トリメトキシシラン、アリルジメトキシシラン、アリル
トリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−
ブテニルトリエトキシシラン、2−(クロロメチル)ア
リルトリメトキシシラン、メタクリルアミドプロピルト
リエトキシシラン、N−(3−メタクリロキシ−2−ヒ
ドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、(メタクリロキシメチル)ジメチルエトキシシ
ラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタ
クリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシ
プロピルジメチルエトキシシラン、メタクリロキシプロ
ピルジメチルメトキシシラン、メタクリロキシプロピル
メチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチ
ルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルト
リエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルトリ
メトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリス(メト
キシエトキシ)シラン、メトキシジメチルビニルシラ
ン、1−メトキシ−3−(トリメチルシロキシ)ブタジ
エン、スチリルエチルトリメトキシシラン、3−(N−
スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)−プロピル
トリメトキシシラン塩酸塩、ビニルジメチルエトキシシ
ラン、ビニルジフェニルエトキシシラン、ビニルメチル
ジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、O
−(ビニロキシエチル)−N−(トリエトキシシリルプ
ロピル)ウレタン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラ
ン、ビニルトリイソプロポキシシシラン、ビニルトリフ
ェノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキ
シ)シラン、ジアリルアミノプロピルメトキシシランが
挙げられる。中でも、不飽和基の反応性が速いメタクリ
ロイル基、アクリロイル基を有するシランカップリング
剤が好ましい。
【0101】その他にも、特開平5−50779号公報
に記載されているゾルゲルコーティング処理、特開平5
−246171号公報に記載されているホスホン酸類の
コーティング処理、特開平6−234284号公報、特
開平6−191173号公報および特開平6−2305
63号公報に記載されているバックコート用素材をコー
ティングにより処理する方法、特開平6−262872
号公報に記載されているホスホン酸類の処理、特開平6
−297875号公報に記載されているコーティング処
理、特開平10−109480号公報に記載されている
陽極酸化処理する方法、特願平10−252078号明
細書(特開2000−81704号公報)および特願平
10−253411号明細書(特開2000−8946
6号公報)に記載されている浸漬処理方法等が挙げら
れ、いずれの方法を用いてもよい。
【0102】<親水性表面処理>本発明においては、上
述したようにして親水膜を設けて得られた本発明の平版
印刷版用基板を、更に1種以上の親水性化合物を含有す
る水溶液へ浸漬することにより、親水性表面処理を行う
ことが好ましい。
【0103】米国特許第2,714,066号明細書お
よび同第3,181,461号明細書に記載されている
アルカリ金属シリケート(アルカリ金属ケイ酸塩)で処
理する方法、特公昭36−22063号公報に記載され
ているフッ化ジルコニウム酸カリウムで処理する方法、
米国特許第4,153,461号明細書に記載されてい
るポリビニルホスホン酸で処理する方法、特開平9−2
44227号公報に記載されているリン酸塩と無機フッ
素化合物とを含有する水溶液で処理する方法、特開平1
0−252078号公報および特開平10−26341
1号公報に記載されているチタンとフッ素とを含有する
水溶液で処理する方法が挙げられる。中でも、アルカリ
金属ケイ酸塩で処理する方法、ポリビニルホスホン酸で
処理する方法が好ましい。
【0104】アルカリ金属ケイ酸塩で処理する方法に用
いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、ケイ
酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げ
られる。
【0105】アルカリ金属ケイ酸塩で処理する方法は、
例えば、アルカリ金属ケイ酸塩濃度が0.01〜30質
量%、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましく
は0.05〜3質量%で、25℃でのpHが10〜13
であるアルカリ金属ケイ酸塩水溶液に、上記粒子層が設
けられたアルミニウム基板を4〜80℃で、好ましくは
0.5〜120秒間、より好ましくは2〜30秒間浸漬
する方法が挙げられる。上記のアルカリ金属ケイ酸塩濃
度、pH、温度、処理時間等の処理条件は、適宜選択す
ることができる。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHが
10より低いと、液はゲル化しやすく、また、pHが1
3より高いと粒子層および陽極酸化皮膜が溶解されるお
それがあるので、この点に注意を要する。
【0106】上記親水化処理においては、必要に応じ、
アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを高く調整するため
に、水酸化物を配合することができる。水酸化物として
は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化リチウムが挙げられる。
【0107】また、必要に応じ、アルカリ金属ケイ酸塩
水溶液にアルカリ土類金属塩および/または4族(第I
VA族)金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩
としては、例えば、アルカリ土類金属の硝酸塩(例え
ば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネ
シウム、硝酸バリウム)、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、
酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩等の水溶性の塩が挙げら
れる。4族(第IVA族)金属塩としては、例えば、四
塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シ
ュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、
塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩
化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。ア
ルカリ土類金属塩および4族(第IVA族)金属塩は、
単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても
よい。これらの金属塩の使用量は、好ましくは0.01
〜10質量%であり、より好ましくは0.05〜5.0
質量%である。
【0108】ポリビニルホスホン酸で処理する方法に用
いられる水溶液は、例えば、ポリビニルホスホン酸濃度
が0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量
%、より好ましくは0.2〜2.5質量%、温度が10
℃〜70℃、好ましくは30℃〜60℃である。親水化
処理は、上記粒子層が設けられたアルミニウム基板を上
記水溶液に、例えば、0.5秒〜10分、好ましくは1
秒〜30秒浸漬することにより行うことができる。
【0109】フッ化ジルコニウムカリウム水溶液処理
は、好ましくは濃度が0.1〜10質量%、より好まし
くは0.5〜2質量%のフッ化ジルコニウムカリウムの
水溶液に、基板を、好ましくは30〜80℃で、好まし
くは60〜180秒間浸漬することにより行う。
【0110】リン酸塩/無機フッ素化合物処理は、好ま
しくはリン酸塩化合物濃度が5〜20質量%、無機フッ
素化合物濃度が0.01〜1質量%であり、好ましくは
pHが3〜5の水溶液に、アルミニウム基板を、好まし
くは20〜100℃、より好ましくは40〜80℃で、
好ましくは2〜300秒間、より好ましくは5〜30秒
間浸漬することにより行う。
【0111】本発明に用いられるリン酸塩としては、例
えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属のリン
酸塩が挙げられる。具体的には、例えば、リン酸亜鉛、
リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素
二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一
アンモニウム、リン酸一カリウム、リン酸一ナトリウ
ム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リ
ン酸カルシウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、
リン酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸
第一鉄、リン酸第二鉄、リン酸二水素ナトリウム、リン
酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸鉛、リ
ン酸二アンモニウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸
リチウム、リンタングステン酸、リンタングステン酸ア
ンモニウム、リンタングステン酸ナトリウム、リンモリ
ブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸ナトリウム;
亜リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロ
リン酸ナトリウムが挙げられる。中でも、リン酸二水素
ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カ
リウム、リン酸水素二カリウムが好ましい。
【0112】また、本発明に用いられる無機フッ素化合
物としては、金属フッ化物が好適に挙げられる。具体的
には、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フ
ッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ヘキサフルオロ
ジルコニウムナトリウム、ヘキサフルオロジルコニウム
カリウム、ヘキサフルオロチタン酸ナトリウム、ヘキサ
フルオロチタン酸カリウム、ヘキサフルオロジルコニウ
ム水素酸、ヘキサフルオロチタン水素酸、ヘキサフルオ
ロジルコニウムアンモニウム、ヘキサフルオロチタン酸
アンモニウム、ヘキサフルオロケイ酸、フッ化ニッケ
ル、フッ化鉄、フッ化リン酸、フッ化リン酸アンモニウ
ムが挙げられる。
【0113】リン酸塩/無機フッ素化合物処理に用いら
れる水溶液は、リン酸塩および無機フッ素化合物をそれ
ぞれ1種または2種以上含有することができる。
【0114】本発明では、上述のような水溶液の他に、
スルホン酸基を有する化合物、糖類化合物が好適なもの
として挙げられる。
【0115】スルホン酸基を有する化合物には、芳香族
スルホン酸、そのホルムアルデヒド縮合物、それらの誘
導体、およびそれらの塩が含まれる。
【0116】芳香族スルホン酸としては、例えば、フェ
ノールスルホン酸、カテコールスルホン酸、レゾルシノ
ールスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホ
ン酸、リグニンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ア
セナフテン−5−スルホン酸、フェナントレン−2−ス
ルホン酸、ベンズアルデヒド−2(または3)−スルホ
ン酸、ベンズアルデヒド−2,4(または3,5)−ジ
スルホン酸、オキシベンジルスルホン酸類、スルホ安息
香酸、スルファニル酸、ナフチオン酸、タウリンが挙げ
られる。中でも、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスル
ホン酸、リグニンスルホン酸が好ましい。また、ベンゼ
ンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、リグニンスルホ
ン酸のホルムアルデヒド縮合物も好ましい。更に、これ
らは、スルホン酸塩として使用してもよい。例えば、ナ
トリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、
マグネシウム塩が挙げられる。中でも、ナトリウム塩、
カリウム塩が好ましい。
【0117】スルホン酸基を有する化合物を含有する水
溶液のpHは、4〜6.5であるのが好ましく、硫酸、
水酸化ナトリウム、アンモニア等を用いて上記pH範囲
に調整することができる。
【0118】糖類化合物には、単糖類およびその糖アル
コール、オリゴ糖類、多糖類、ならびに、配糖体が含ま
れる。
【0119】単糖類およびその糖アルコールとしては、
例えば、グリセロール等のトリオース類およびその糖ア
ルコール類;トレオース、エリトリトール等のテトロー
スおよびその糖アルコール類;アラビノース、アラビト
ール等のペントースおよびその糖アルコール類;グルコ
ース、ソルビトール等のヘキソースおよびその糖アルコ
ール類;D−グリセロ−D−ガラクトヘプトース、D−
グリセロ−D−ガラクトヘプチトール等のヘプトースお
よびその糖アルコール類;D−エリトロ−D−ガラクト
オクチトール等のオクトースおよびその糖アルコール
類;D−エリトロ−L−グルコ−ノヌロース等のノノー
スおよびその糖アルコール類が挙げられる。
【0120】オリゴ糖類としては、例えば、サッカロー
ス、トレハロース、ラクトース等の二糖類;ラフィノー
ス等の三糖類が挙げられる。
【0121】多糖類としては、例えば、アミロース、ア
ラビナン、シクロデキストリン、アルギン酸セルロース
が挙げられる。
【0122】本発明において、「配糖体」とは、糖部分
と非糖部分がエーテル結合等を介して結合している化合
物をいう。配糖体は非糖部分により分類することができ
る。例えば、アルキル配糖体、フェノール配糖体、クマ
リン配糖体、オキシクマリン配糖体、フラボノイド配糖
体、アントラキノン配糖体、トリテルペン配糖体、ステ
ロイド配糖体、からし油配糖体が挙げられる。
【0123】糖部分としては、上述した単糖類およびそ
の糖アルコール;オリゴ糖類;多糖類が挙げられる。中
でも、単糖類、オリゴ糖類が好ましく、単糖類、二糖類
がより好ましい。
【0124】好ましい配糖体の例として、下記式(I)
で表される化合物が挙げられる。
【0125】
【化1】
【0126】上記式(I)中、Rは、炭素原子数1〜2
0の直鎖のまたは分枝を有する、アルキル基、アルケニ
ル基またはアルキニル基を表す。
【0127】炭素原子数1〜20のアルキル基として
は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、
トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキ
サデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデ
シル基、エイコシル基が挙げられ、これらは直鎖であっ
ても、分枝を有していてもよく、また、環状アルキル基
であってもよい。
【0128】炭素原子数1〜20のアルケニル基として
は、例えば、アリル基、2−ブテニル基が挙げられ、こ
れらは直鎖であっても、分枝を有していてもよく、ま
た、環状アルケニル基であってもよい。
【0129】炭素原子数1〜20のアルキニル基として
は、例えば、1−ペンチニル基が挙げられ、これらは直
鎖であっても、分枝を有していてもよく、また、環状ア
ルキニル基であってもよい。
【0130】上記式(I)で表される具体的な化合物と
しては、例えば、メチルグルコシド、エチルグルコシ
ド、プロピルグルコシド、イソプロピルグルコシド、ブ
チルグルコシド、イソブチルグルコシド、n−ヘキシル
グルコシド、オクチルグルコシド、カプリルグルコシ
ド、デシルグルコシド、2−エチルヘキシルグルコシ
ド、2−ペンチルノニルグルコシド、2−ヘキシルデシ
ルグルコシド、ラウリルグルコシド、ミリスチルグルコ
シド、ステアリルグルコシド、シクロヘキシルグルコシ
ド、2−ブチニルグルコシドが挙げられる。これらの化
合物は、配糖体の一種であるグルコシドで、ブドウ糖の
ヘミアセタールヒドロキシル基が他の化合物をエーテル
状に結合したものであり、例えば、グルコースとアルコ
ール類とを反応させる公知の方法により得ることができ
る。これらのアルキルグルコシドの一部は、ドイツHe
nkel社により商品名グルコポン(GLUCOPO
N)として市販されており、本発明ではそれを用いるこ
とができる。
【0131】好ましい配糖体の別の例としては、サポニ
ン類、ルチントリハイドレート、ヘスペリジンメチルカ
ルコン、ヘスペリジン、ナリジンハイドレート、フェノ
ール−β−D−グルコピラノシド、サリシン、3´,
5,7−メトキシ−7−ルチノシドが挙げられる。
【0132】糖類化合物を含有する水溶液のpHは、8
〜11であるのが好ましく、水酸化カリウム、硫酸、炭
酸、炭酸ナトリウム、リン酸、リン酸ナトリウム等を用
いて上記pH範囲に調整することができる。
【0133】スルホン酸基を有する化合物の水溶液は、
濃度が0.02〜0.2質量%であるのが好ましい。浸
漬温度は60〜100℃であるのが好ましい。浸漬時間
は1〜300秒であるのが好ましく、10〜100秒で
あるのがより好ましい。
【0134】更に、糖類化合物の水溶液は、濃度が0.
5〜10質量%であるのが好ましい。浸漬温度は40〜
70℃であるのが好ましい。浸漬時間は2〜300秒で
あるのが好ましく、5〜30秒であるのがより好まし
い。
【0135】基板は、これらの親水性化合物を含有する
水溶液へ浸漬した後には、水等によって洗浄され、乾燥
される。
【0136】上述した親水性表面処理により、陽極酸化
処理後のポアワイド処理により向上した感度(ネガタイ
プの感光層の場合は耐刷性の向上)と引き替えに発生す
るインキ払い性劣化等の印刷汚れの問題が解消される。
即ち、ポア径が拡大したことにより、印刷時、特に印刷
機が停止し、平版印刷版が印刷機上で放置された後の印
刷再スタート時に、インキが取れにくくなる現象(イン
キ払い性劣化)が起こりやすくなる問題があるが、親水
性表面処理が施されていると、上記問題が軽減される。
【0137】<下塗層>本発明においては、このように
して得られた本発明の平版印刷版用基板上に、赤外線レ
ーザー露光により書き込み可能な記録層を設ける前に、
必要に応じて、例えば、ホウ酸亜鉛等の水溶性金属塩や
特開昭62−19494号公報に記載されているリン酸
塩のような無機下塗層や、下記の有機下塗層を設けても
よい。
【0138】有機下塗り層としては、例えば、特開昭6
0−149491号公報に記載されている、少なくとも
1個のアミノ基と、カルボキシル基およびその塩の基な
らびにスルホ基およびその塩の基からなる群から選ばれ
た少なくとも1個の基とを有する化合物からなる層、特
開昭60−232998号公報に記載されている、少な
くとも1個のアミノ基と少なくとも1個のヒドロキシ基
を有する化合物およびその塩から選ばれた化合物からな
る層、特開昭59−101651号公報に記載されてい
るスルホ基を有するモノマー単位の少なくとも1種を繰
り返し単位として分子中に有する高分子化合物からなる
層等が挙げられる。
【0139】有機下塗層に用いられる具体的な有機化合
物としては、例えば、グリシン、p−ヒドロキシフェニ
ルグリシン、ジヒドロキシエチルグリシン、β−アラニ
ン、リジン、アスパラギン酸等のアミノ酸及びこれらの
ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等の塩、ス
ルファミン酸、シクロヘキシルスルファミン酸等の脂肪
族アミノスルホン酸及びこれらのナトリウム塩、カリウ
ム塩、アンモニウム塩等の塩、モノエタノールアミン、
ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロ
パノールアミン等のヒドロキシル基を有するアミン及び
これらの塩酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩等の塩、p−ス
チレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホ
ン酸、エチレンスルホン酸もしくはこれらの塩をモノマ
ー単位として含有する重合体又は共重合体、さらには、
カルボキシメチルセルロース;デキストリン;アラビア
ガム; ポリアクリル酸;2−アミノエチルホスホン酸
等のアミノ基を有するホスホン酸類;置換基を有してい
てもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、ア
ルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホ
スホン酸、エチレンジホスホン酸等の有機ホスホン酸;
置換基を有していてもよいフェニルリン酸、ナフチルリ
ン酸、アルキルリン酸、グリセロリン酸等の有機リン
酸;置換基を有していてもよいフェニルホスフィン酸、
ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸、グリセ
ロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸等を挙げることが
できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合
して用いてもよい。
【0140】有機下塗層は、水もしくはメタノール、エ
タノール、メチルエチルケトン等の有機溶媒、またはそ
れらの混合溶剤に、上記有機化合物を溶解させた溶液を
アルミニウム板上に塗布し乾燥することにより設けられ
る。上記有機化合物を溶解させた溶液の濃度は、0.0
05〜10質量%であるのが好ましい。塗布の方法は、
特に限定されず、バーコーター塗布、回転塗布、スプレ
ー塗布、カーテン塗布等のいずれの方法も用いることが
できる。
【0141】有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜20
0mg/m2であるのが好ましく、5〜100mg/m2
であるのがより好ましい。上記範囲であると、耐刷性が
より良好になる。
【0142】<バックコート層>上述したようにして得
られるアルミニウム基板には、平版印刷用原板としたと
きに、重ねても記録層が傷付かないように、裏面(記録
層が設けられない側の面)に、有機高分子化合物からな
る被覆層(以下「バックコート層」ともいう。)を必要
に応じて設けてもよい。
【0143】バックコート層の主成分としては、ガラス
転移点が20℃以上の、飽和共重合ポリエステル樹脂、
フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂および塩化
ビニリデン共重合樹脂からなる群から選ばれる少なくと
も1種の樹脂を用いるのが好ましい。
【0144】飽和共重合ポリエステル樹脂は、ジカルボ
ン酸ユニットとジオールユニットとからなる。ジカルボ
ン酸ユニットとしては、例えば、フタル酸、テレフタル
酸、イソフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロ
ルフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼ
ライン酸、コハク酸、シュウ酸、スベリン酸、セバチン
酸、マロン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等
の飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
【0145】バックコート層は、更に、着色のための染
料や顔料、基板との密着性を向上させるためのシランカ
ップリング剤、ジアゾニウム塩からなるジアゾ樹脂、有
機ホスホン酸、有機リン酸、カチオン性ポリマー、滑り
剤として通常用いられるワックス、高級脂肪酸、高級脂
肪酸アミド、ジメチルシロキサンからなるシリコーン化
合物、変性ジメチルシロキサン、ポリエチレン粉末等を
適宜含有することができる。
【0146】バックコート層の厚さは、基本的には合紙
がなくても、後述する記録層を傷付けにくい程度であれ
ばよく、0.01〜8μmであるのが好ましい。厚さが
0.01μm未満であると、平版印刷用原板を重ねて取
り扱った場合の記録層の擦れ傷を防ぐことが困難であ
る。また、厚さが8μmを超えると、印刷中、平版印刷
版周辺で用いられる薬品によってバックコート層が膨潤
して厚みが変動し、印圧が変化して印刷特性を劣化させ
ることがある。
【0147】バックコート層をアルミニウム基板の裏面
に設ける方法としては、種々の方法を用いることができ
る。例えば、上記バックコート層用成分を適当な溶媒に
溶解し溶液にして塗布し、または、乳化分散液して塗布
し、乾燥する方法;あらかじめフィルム状に成形したも
のを接着剤や熱での基板に貼り合わせる方法;溶融押出
機で溶融被膜を形成し、基板に貼り合わせる方法が挙げ
られる。好適な厚さを確保するうえで最も好ましいの
は、バックコート層用成分を適当な溶媒に溶解し溶液に
して塗布し、乾燥する方法である。この方法において
は、特開昭62−251739号公報に記載されている
ような有機溶剤を単独でまたは混合して、溶媒として用
いることができる。
【0148】平版印刷用原板の製造においては、裏面の
バックコート層と表面の記録層のどちらを先に基板上に
設けてもよく、また、両者を同時に設けてもよい。
【0149】[画像記録層]本発明の画像記録層は、
(a)熱融着性ポリマー微粒子、(b)熱反応性官能基
を有するポリマー微粒子、及び(c)熱反応性化合物を
内包するマイクロカプセルから選ばれた少なくとも2種
類の微粒子を含有する。そして、該微粒子の少なくとも
1種の熱による合体によって親水性画像記録層を疎水性
に変換して画像形成がなされる。熱による微粒子の合体
は、熱が加わったときに、微粒子の軟化もしくは溶融、
熱反応性官能基の反応のいずれか又は両方によって起こ
る。
【0150】本発明の画像記録層が含有する少なくとも
2種類の微粒子とは、上記の(a)、(b)、(c)の
分類うち異なる分類から選ばれた少なくとも2種類の微
粒子であっても良いし、同じ分類に属する少なくとも2
種類の微粒子であっても良い。
【0151】本発明の画像記録層に用いられる熱融着性
ポリマー微粒子は、好適には35℃以上の、そしてより
好適には50℃以上の凝固温度を有する熱融着性ポリマ
ー微粒子である。該熱融着性ポリマー微粒子の凝固温度
には特別な上限はないが、この温度はポリマー微粒子の
分解点より十分低くなくてはならない。該ポリマー微粒
子を凝固温度より上の温度に上げると、それらは溶融合
体して画像記録層中で疎水性集塊を生成する。そのため
これらの部分では水または水性液体に不溶性となり、イ
ンキ受容性となる。
【0152】本発明の画像記録層に用いられる熱融着性
ポリマー微粒子を形成する疎水性ポリマーの具体例とし
て、例えば、エチレン、スチレン、塩化ビニル、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、塩
化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール
などのモノマーからのホモポリマーまたはコポリマーあ
るいはそれらの混合物を挙げることができる。その中で
特に好適なものとして、ポリスチレン、ポリメタクリル
酸メチルを挙げることができる。
【0153】本発明の熱融着性ポリマー微粒子を構成す
るポリマーの重量平均分子量は5,000〜1,000,
000が好ましく、熱融着性ポリマー微粒子の粒径は
0.01〜50μmが好ましく、0.05〜10μmが
より好ましく、そして0.05〜2μmが最も好適であ
る。
【0154】本発明の熱反応性官能基を有するポリマー
微粒子および熱反応性官能基を有する化合物を内包した
マイクロカプセルにおける熱反応性官能基としては、重
合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイ
ル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、
付加反応を行うイソシアナート基あるいはそのブロック
体およびその反応相手である活性水素原子を有する官能
基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル
基など)、同じく付加反応を行うエポキシ基およびその
反応相手であるアミノ基、カルボキシル基あるいはヒド
ロキシル基、縮合反応を行うカルボキシル基とヒドロキ
シル基あるいはアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物
とアミノ基あるいはヒドロキシル基、熱分解してヒドロ
キシル基などと反応するジアゾニウム基などを挙げるこ
とができる。しかし、化学結合が形成されるならば、ど
のような反応を行う官能基でも良い。
【0155】本発明の画像記録層に用られる熱反応性官
能基を有するポリマー微粒子としては、アクリロイル
基、メタクリルロイル基、ビニル基、アリル基、エポキ
シ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イ
ソシアネート基、酸無水物およびそれらを保護した基を
有するものを挙げることができる。これらの官能基のポ
リマー微粒子への導入は、重合時に行ってもよいし、重
合後に高分子反応を利用して行ってもよい。
【0156】重合時に導入する場合は、これらの熱反応
性官能基を有するモノマーを乳化重合あるいは懸濁重合
することが好ましい。必要に応じて、熱反応性官能基を
もたないモノマーを共重合成分として加えてもかまわな
い。
【0157】そのような官能基を有するモノマーの具体
例として、アリルメタクリレート、アリルアクリレー
ト、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、グリ
シジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−
イソシアネートエチルメタクリレートあるいはそのアル
コールなどによるブロックイソシアネート、2−イソシ
アネートエチルアクリレートあるいはそのアルコールな
どによるブロックイソシアネート、2−アミノエチルメ
タクリレート、2−アミノエチルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル
アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイ
ン酸、2官能アクリレート、2官能メタクリレートなど
を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0158】これらのモノマーと共重合可能な、熱反応
性官能基をもたないモノマーとしては、例えば、スチレ
ン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、
アクリロニトリル、酢酸ビニルなどを挙げることができ
るが、熱反応性官能基をもたないモノマーであれば、こ
れらに限定されない。
【0159】熱反応性官能基の導入を重合後に行う場合
に用いる高分子反応としては、例えば、WO96−34
316号公報に記載されている高分子反応を挙げること
ができる。
【0160】上記の熱反応性官能基を有するポリマー微
粒子の中で、ポリマー微粒子同志が熱により合体するも
のが好ましく、その表面は親水性で、水に分散するもの
が、特に好ましい。ポリマー微粒子のみを塗布し、凝固
温度よりも低い温度で乾燥して作製した時の皮膜の接触
角(空中水滴)が、凝固温度よりも高い温度で乾燥して
作製した時の皮膜の接触角(空中水滴)よりも低くなる
ことが好ましい。このようにポリマー微粒子表面を親水
性にするには、ポリビニルアルコール、ポリエチレング
リコールなどの親水性ポリマーあるいはオリゴマー、ま
たは親水性低分子化合物をポリマー微粒子表面に吸着さ
せてやれば良いが、その方法はこれらに限定されるもの
ではない。
【0161】これらの熱反応性官能基を有するポリマー
微粒子の凝固温度は、70℃以上が好ましいが、経時安
定性を考えると100℃以上がさらに好ましい。このポ
リマー微粒子の平均粒径は、0.01〜20μmが好ま
しいが、その中でも0.05〜2.0μmがさらに好ま
しく、特に0.1〜1.0μmが最適である。平均粒径
が大き過ぎると解像度が悪く、また小さ過ぎると経時安
定性が悪くなってしまう。
【0162】本発明に用いられるマイクロカプセルは、
熱反応性官能基を有する化合物を内包している。この熱
反応性官能基を有する化合物としては、重合性不飽和
基、ヒドロキシル基、カルボキシル基あるいはカルボキ
シラト基あるいは酸無水物、アミノ基、エポキシ基、お
よび、イソシアネート基あるいはそのブロック体から選
ばれた少なくとも一個の官能基を有する化合物を挙げる
ことができる。
【0163】重合性不飽和基を有する化合物としては、
エチレン性不飽和結合、例えばアクリロイル基、メタク
リロイル基、ビニル基、アリル基などを少なくとも1
個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく、この
様な化合物群は当該産業分野において広く知られるもの
であり、本発明においては、これらを特に限定なく用い
ることができる。これらは、化学的形態としては、モノ
マー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオ
リゴマー、またはそれらの混合物、あるいはそれらの共
重合体である。
【0164】例として、不飽和カルボン酸(例えば、ア
クリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イ
ソクロトン酸、マレイン酸など)、そのエステルおよび
アミドが挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂
肪族多価アルコールとのエステルおよび不飽和カルボン
酸と脂肪族多価アミンとのアミドが挙げられる。また、
ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置
換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたは不飽和カ
ルボン酸アミドと、単官能もしくは多官能イソシアネー
トまたはエポキシドとの付加反応物、および、単官能も
しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適
に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基な
どの親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル
またはアミドと、単官能もしくは多官能のアルコール、
アミンおよびチオールとの付加反応物、さらに、ハロゲ
ン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和
カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多
官能アルコール、アミンおよびチオールとの置換反応物
も好適である。また、別の好適な例として、上記の不飽
和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸あるいはクロロメチ
ルスチレンに置き換えた化合物を挙げることができる。
【0165】不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール
とのエステルである重合性化合物の具体例としては、ア
クリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリ
レート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,
3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレング
リコールジアクリレート、プロピレングリコールジアク
リレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ト
リメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、トリメチロールプロパント
リス(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメ
チロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジ
アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアク
リレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、
ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
アクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトール
トリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、
ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサ
アクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イ
ソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー
等を挙げることができる。
【0166】メタクリル酸エステルとしては、テトラメ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタ
エリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジ
メタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタク
リレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビト
ールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリ
ロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕
ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリロイルオキシ
エトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等を挙げることが
できる。
【0167】イタコン酸エステルとしては、エチレング
リコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタ
コネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、
1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレ
ングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジ
イタコネート、ソルビトールテトライタコネート等を挙
げることができる。
【0168】クロトン酸エステルとしては、エチレング
リコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジ
クロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、
ソルビトールテトラジクロトネート等を挙げることがで
きる。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリ
コールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイ
ソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート
等を挙げることができる。マレイン酸エステルとして
は、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリ
コールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、
ソルビトールテトラマレート等を挙げることができる。
【0169】その他のエステルの例として、例えば、特
公昭46−27926号、特公昭51−47334号、
特開昭57−196231号記載の脂肪族アルコール系
エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−
5241号、特開平2−226149号記載の芳香族系
骨格を有するもの、特開平1−165613号記載のア
ミノ基を含有するもの等を挙げることができる。
【0170】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等を挙げることができる。その他の好ましいアミド系
モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報
記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることが
できる。
【0171】また、イソシアネートと水酸基の付加反応
を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適
であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭4
8−41708号公報中に記載されている1分子に2個
以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化
合物に、下記式(II)で示される水酸基を有する不飽和
モノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性不飽
和基を含有するウレタン化合物等が挙げられる。
【0172】一般式(II) CH2=C(R1)COOCH2CH(R2)OH (ただし、R1およびR2は、それぞれHまたはCH3
示す。)
【0173】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号、特公平2−16765号に記載され
ているようなウレタンアクリレートや、特公昭58−4
9860号、特公昭56−17654号、特公昭62−
39417、特公昭62−39418号記載のエチレン
オキサイド系骨格を有するウレタン化合物も好適なもの
として挙げることができる。
【0174】さらに、特開昭63−277653号,特
開昭63−260909号、特開平1−105238号
に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を
有するラジカル重合性化合物を好適なものとして挙げる
ことができる。
【0175】その他の好適なものの例としては、特開昭
48−64183号公報、特公昭49−43191号公
報、同52−30490号公報の各公報に記載されてい
るようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と
(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート
類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げる
ことができる。また、特公昭46−43946号公報、
特公平1−40337号公報、同1−40336号公報
記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号
公報に記載のビニルホスホン酸系化合物等も好適なもの
として挙げることができる。また、ある場合には、特開
昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル
基を含有する化合物も好適に使用される。さらに日本接
着協会誌、20巻7号、300〜308ページ(198
4年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介
されているものも好適に使用することができる。
【0176】好適なエポキシ化合物としては、グリセリ
ンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジ
グリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシジルエー
テル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテ
ル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノ
ール類あるいはポリフェノール類もしくはそれらの水素
添加物のポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0177】好適なイソシアネート化合物としては、ト
リレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシア
ネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシ
アネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、ある
いは、それらをアルコールあるいはアミンでブロックし
た化合物を挙げることができる。
【0178】好適なアミン化合物としては、エチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポ
リエチレンイミンなどが挙げられる。
【0179】好適なヒドロキシル基を有する化合物とし
ては、末端メチロール基を有する化合物、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコー
ル、ビスフェノール、ポリフェノール類などを挙げるこ
とができる。
【0180】好ましいカルボキシル基を有する化合物と
しては、ピロメリット酸、トリメリット酸、フタル酸な
どの芳香族多価カルボン酸、アジピン酸などの脂肪族多
価カルボン酸などが挙げられる。
【0181】ヒドロキシル基やカルボキシル基を有する
好適な化合物としては、上記の外に、例えば特公昭54
−19773号、同55−34929号、同57−43
890号公報に記載の既存のPS版のバインダーとして
知られている化合物を用いることもできる。
【0182】好適な酸無水物としては、ピロメリット酸
無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などが
挙げられる。
【0183】エチレン性不飽和化合物の共重合体の好適
なものとして、アリルメタクリレートの共重合体を挙げ
ることができる。例えば、アリルメタクリレート/メタ
クリル酸共重合体、アリルメタクリレート/エチルメタ
クリレート共重合体、アリルメタクリレート/ブチルメ
タクリレート共重合体などを挙げることができる。
【0184】ジアゾ樹脂としては、ジアゾジフェニルア
ミン・ホルマリン縮合樹脂の六フッ化リン酸塩や芳香族
スルホン酸塩などが好適である。
【0185】マイクロカプセル化する方法としては、公
知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造
方法としては、米国特許2800457号、同2800
458号にみられるコアセルベーションを利用した方
法、英国特許990443号、米国特許3287154
号、特公昭38−19574号、同42−446号、同
42−711号にみられる界面重合法による方法、米国
特許3418250号、同3660304号にみられる
ポリマーの析出による方法、米国特許3796669号
に見られるイソシアネートポリオール壁材料を用いる方
法、米国特許3914511号に見られるイソシアネー
ト壁材料を用いる方法、米国特許4001140号、同
4087376号、同4089802号にみられる尿素
―ホルムアルデヒド系あるいは尿素ホルムアルデヒド−
レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許4
025445号にみられるメラミン−ホルムアルデヒド
樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特
公昭36−9163号、同51−9079号にみられる
モノマー重合によるin situ法、英国特許930
422号米国特許3111407号にみられるスプレー
ドライング法、英国特許952807号、同96707
4号にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに
限定されるものではない。
【0186】本発明に用いられる好ましいマイクロカプ
セル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性
質を有するものである。このような観点から、マイクロ
カプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエ
ステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれら
の混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレ
タンが好ましい。マイクロカプセル壁に熱反応性官能基
を有する化合物を導入しても良い。
【0187】上記のマイクロカプセルの平均粒径は、
0.01〜20μmが好ましいが、中でも0.05〜
2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが
特に好ましい。平均粒径が大き過ぎると解像度が悪く、
また小さ過ぎると経時安定性が悪くなってしまう。
【0188】このようなマイクロカプセルは、カプセル
同志が熱により合体してもよいし、合体しなくとも良
い。要は、マイクロカプセル内包物のうち、塗布時にカ
プセル表面あるいはマイクロカプセル外に滲み出したも
の、あるいは、マイクロカプセル壁に浸入したものが、
熱により化学反応を起こせば良い。添加された親水性樹
脂、あるいは、添加された低分子化合物と反応してもよ
い。また2種類以上のマイクロカプセルに、それぞれ異
なる官能基で互いに熱反応するような官能基をもたせる
ことによって、マイクロカプセル同士を反応させてもよ
い。従って、熱によってマイクロカプセル同志が、熱で
溶融合体することは画像形成上好ましいことであるが、
必須ではない。
【0189】上記の熱融着性ポリマー微粒子、熱反応性
官能基を有するポリマー微粒子、及びマイクロカプセル
の画像記録層への添加量は、いずれにおいても固形分換
算で、画像記録層固形分の50%以上が好ましく、60
%以上がさらに好ましい。この範囲内で、良好な画像形
成ができ、良好な耐刷性が得られる。
【0190】本発明の画像記録層には、感度を高めるた
め、光を熱に変換させる機能の光熱変換剤を含有させる
ことができる。光熱変換剤としては、700nm以上の
光を吸収する物質であればよく、種々の顔料や染料を用
いることができる。
【0191】顔料の種類としては、黒色顔料、褐色顔
料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔
料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられ
る。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮
合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔
料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔
料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキ
サジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン
系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔
料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カー
ボンブラック等が使用できる。中でも、このような赤外
線を吸収する顔料としてカーボンブラックが特に好まし
い。
【0192】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方
法には親水性樹脂や親油性樹脂を表面コートする方法、
界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シ
リカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤やエポ
キシ化合物、イソシアネート化合物等)を顔料表面に結
合させる方法等の公知の方法が用いられる。
【0193】本発明の画像記録層の如き親水性の層に添
加する場合は、水溶性又は親水性の樹脂と分散しやす
く、かつ親水性を損わないように親水性樹脂やシリカゾ
ルで表面がコートされたカーボンブラックが有用であ
る。
【0194】顔料の粒径は0.01μm〜1μmの範囲
にあることが好ましく、0.01μm〜0.5μmの範
囲にあることが更に好ましい。顔料を分散する方法とし
ては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分
散技術が使用できる。
【0195】染料としては、市販の染料及び文献(例え
ば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、
「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤
外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動
向」第2章2.3項(1990)シーエムシー)又は特
許に記載されている公知の染料が利用できる。具体的に
は、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染
料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボ
ニウム染料、キノンイミン染料、ポリメチン染料、シア
ニン染料などの赤外線吸収染料が好ましい。
【0196】例えば、特開昭58−125246号、特
開昭59−84356号、特開昭60−78787号、
特開昭58−173696号、特開昭58−19459
5号、特開昭59−216146号、英国特許434,
875号、米国特許第4,973,572号等に記載さ
れているシアニン染料、米国特許第4,756,993
号記載のシアニン染料やアゾメチン染料、特開昭58−
181690号等に記載されているメチン染料、特開昭
58−112793号、特開昭58−224793号、
特開昭59−48187号、特開昭59−73996
号、特開昭60−52940号、特開昭60−6374
4号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58
−112792号等に記載されているスクワリリウム染
料、特開平11−235883号記載のフタロシアニン
化合物や特開平10−268512号記載の各種の染料
を挙げることができる。
【0197】また、染料として米国特許第5,156,
938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、ま
た、米国特許第3,881,924号記載の置換された
アリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−1
42645号記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開
昭58−181051号、特開昭58−220143
号、特開昭59−41363号、特開昭59−8424
8号、特開昭59−84249号、特開昭59−146
063号、特開昭59−146061号、特公平5−1
3514号、特公平5−19702号に記載されている
ピリリウム系化合物、米国特許第4,283,475号
に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や、エポリン
社製エポライトIII−178、エポライトIII−130、
エポライトIII−125等も好ましく用いられる。
【0198】これらの中で、画像記録層に添加するのに
特に好ましい染料は水溶性基を有する染料で、以下に具
体例を構造式で列挙する。
【0199】
【化2】
【0200】
【化3】
【0201】光熱変換剤をポリマー微粒子やマイクロカ
プセル内など親油性物質に添加して用いる場合は、前記
の赤外線吸収顔料または染料でも良いが、より親油性の
ものが好ましい。好適なものとして以下に例示する染料
を挙げることができる。
【0202】
【化4】
【0203】
【化5】
【0204】光熱変換剤の画像記録層への添加割合は、
画像記録層固形分の0.1〜50重量%が好ましく、3
〜25%がさらに好ましい。この範囲内で、画像記録層
の膜強度を損なうことなく、良好な感度が得られる。
【0205】本発明の画像記録層には親水性樹脂を添加
しても良い。親水性樹脂を添加することにより機上現像
性が良好となるばかりか、画像記録層自体の皮膜強度も
向上する。
【0206】親水性樹脂としては、例えばヒドロキシル
基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミ
ノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、カルボキシ
ル基、カルボキシラト基、スルホ基、スルホナト基、リ
ン酸基などの親水基を有するものが好ましい。
【0207】親水性樹脂の具体例として、アラビアゴ
ム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチ
ルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセ
テート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン
酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、
ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸
類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレート
のホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルア
クリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキ
シプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリ
マー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー
およびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートの
ホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアク
リレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレ
ングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポ
リビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくと
も60%、好ましくは少なくとも80%の加水分解ポリ
ビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニル
ブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドの
ホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホ
モポリマーおよびコポリマー、N−メチロールアクリル
アミドのホモポリマーおよびコポリマー等を挙げること
ができる。
【0208】親水性樹脂の画像記録層への添加量は、画
像記録層固形分の5〜40%が好ましく、10〜30%
がさらに好ましい。この範囲内で、良好な機上現像性と
皮膜強度が得られる。
【0209】本発明の画像記録層には、さらに必要に応
じて上記以外に種々の化合物を添加してもよい。例え
ば、耐刷力を一層向上させるために多官能モノマーを画
像記録層中に添加することができる。この多官能モノマ
ーとしては、マイクロカプセル中に入れられるモノマー
として例示したものを用いることができる。特に好まし
いモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアク
リレートを挙げることができる。
【0210】本発明の画像記録層は、必要に応じて、架
橋剤を含んでも良い。好適な架橋剤としては、メチロー
ル基を有する低分子化合物、例えばメラミン−ホルムア
ルデヒド樹脂、ヒダントイン−ホルムアルデヒド樹脂、
チオ尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン−
ホルムアルデヒド樹脂を挙げることができる。
【0211】また、本発明の画像記録層には、画像露光
後、画像部と非画像部とを識別可能とするため、熱によ
って酸又はラジカルを発生する化合物と酸又はラジカル
によって変色する染料とを含有させることができる。
【0212】熱によって酸又はラジカルを発生する化合
物としては、例えば、米国特許3,729,313号、
同4,058,400号、同4,058,401号、同
4,460,154号、同4,921,827号に記載
のジアリルヨードニウム塩、やトリアリルホスホニウム
塩、米国特許3,987,037号、同4,476,2
15号、同4,826,753号、同4,619,99
8号、同4,696,888号、同4,772,534
号、同4,189,323号、同4,837,128
号、同5,364,734号、同4,212,970号
等に記載のハロメチル−1−3−5−トリアジン化合物
やハロメチルオキサジアゾール化合物等が挙げられる。
【0213】酸又はラジカルによって変色する染料とし
ては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン
系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンス
ラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等
の各種染料が有効に用いられる。
【0214】具体例としては、ブリリアントグリーン、
エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイ
オレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2
B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエ
ロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブル
ー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレ
ッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナ
イルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレッ
ト、マラカイドグリーン、パラフクシン、ビクトリアピ
ュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブ
ルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイル
ピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイ
ルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイル
スカーレット#308[オリエント化学工業(株)
製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)
製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)
製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業
(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ
谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレ
ゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホ
ローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフ
ェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−
4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、
2−カルボステアリルアミノ−4−p−ジヒドロオキシ
エチルアミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェ
ニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイ
ミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジ
エチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料
やp,p′,p″ヘキサメチルトリアミノトリフェニル
メタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascrip
t Blue SRB[チバガイギー社製]等のロイコ染料が挙
げられる。
【0215】酸又はラジカルを発生する化合物と酸又は
ラジカルによって変色する染料の好適な添加量は、それ
ぞれ、画像記録層固形分に対して0.01〜10%の割
合である。
【0216】また、本発明においてエチレン性不飽和化
合物を用いる場合は、画像記録層塗布液の調製中あるい
は保存中の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重
合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止
剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、
ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−
ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス
(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′
−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン
アルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量
は、全組成物の重量に対して約0.01〜5%が好まし
い。
【0217】また必要に応じて、酸素による重合阻害を
防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級
脂肪酸やその誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程
で画像記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸や
その誘導体の添加量は、画像記録層固形分の約0.1〜
約10%が好ましい。
【0218】本発明の画像記録層には無機微粒子を添加
してもよく、無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、
酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、ア
ルギン酸カルシウムもしくはこれらの混合物などが好適
な例として挙げられ、これらは光熱変換性でなくても皮
膜の強化や表面粗面化による界面接着性の強化などに用
いることができる。
【0219】無機微粒子の平均粒径は5nm〜10μm
のものが好ましく、より好ましくは10nm〜1μmで
ある。粒径がこの範囲内で、樹脂微粒子や光熱変換剤の
金属微粒子とも親水性樹脂内に安定に分散し、画像記録
層の膜強度を充分に保持し、印刷汚れを生じにくい親水
性に優れた非画像部を形成できる。
【0220】このような無機微粒子は、コロイダルシリ
カ分散物などの市販品として容易に入手できる。無機微
粒子の画像記録層への含有量は、画像記録層の全固形分
の1.0〜70%が好ましく、より好ましくは5.0〜
50%である。
【0221】さらに、本発明の画像記録層には、必要に
応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加える
ことができる。例えば、ポリエチレングリコール、クエ
ン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチ
ル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸
トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチ
ル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられ
る。
【0222】マイクロカプセルを画像記録層に添加する
場合は、内包物が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤をマ
イクロカプセル分散媒中に添加することができる。この
ような溶剤によって、内包された熱反応性官能基を有す
る化合物の、マイクロカプセル外への拡散が促進され
る。
【0223】このような溶剤としては、マイクロカプセ
ル分散媒、マイクロカプセル壁の材質、壁厚および内包
物に依存するが、多くの市販されている溶剤から容易に
選択することができる。例えば架橋ポリウレア、ポリウ
レタン壁からなる水分散性マイクロカプセルの場合、ア
ルコール類、エーテル類、アセタール類、エステル類、
ケトン類、多価アルコール類、アミド類、アミン類、脂
肪酸類などが好ましい。
【0224】具体的化合物としては、メタノール、エタ
ノール、t−ブタノール、n−プロパノール、テトラヒ
ドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケ
トン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチ
レングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール
モノメチルエーテル、γ−ブチロラクトン、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドな
どがあるが、これらに限られない。またこれらの溶剤を
2種以上用いてもよい。
【0225】マイクロカプセル分散液には溶解しない
が、前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いることが
できる。添加量は、素材の組み合わせにより決まるもの
であるが、適性値より少ない場合は、画像形成が不十分
となり、多い場合は分散液の安定性が劣化する。通常、
塗布液の5〜95%が有効であり好ましい範囲は、10
〜90%、より好ましい範囲は15〜85%である。
【0226】本発明の画像記録層に、熱反応性官能基を
有するポリマー微粒子あるいはマイクロカプセルを用い
る場合は、必要に応じてこれらの反応を開始あるいは促
進する化合物を添加してもよい。反応を開始あるいは促
進する化合物としては、熱によりラジカルあるいはカチ
オンを発生するような化合物を挙げることができ、例え
ば、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合物、過酸化
物、アゾ化合物、ジアゾニウム塩あるいはジフェニルヨ
ードニウム塩などを含んだオニウム塩、アシルホスフィ
ン、イミドスルホナートなどが挙げられる。
【0227】これらの化合物は、画像記録層固形分の1
〜20%の範囲で添加することができる。好ましくは3
〜10%の範囲である。この範囲内で、機上現像性を損
なわず、良好な反応開始あるいは促進効果が得られる。
【0228】本発明の画像記録層は、必要な上記各成分
を溶剤に溶かして塗布液を調製し、画像記録層上に塗布
される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロ
ライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコー
ルモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノー
ル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2
−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチ
ル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,
N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−
メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラ
ン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げること
ができるが、これに限定されるものではない。これらの
溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形
分濃度は、好ましくは1〜50%である。
【0229】また塗布、乾燥後に得られる基板上の画像
記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一
般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。この範囲よ
り塗布量が少なくなると、見かけの感度は大になるが、
画像記録の機能を果たす画像記録層の皮膜特性は低下す
る。塗布する方法としては、種々の方法を用いることが
できる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレ
ー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗
布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
【0230】本発明にかかわる画像記録層塗布液には、
塗布性を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭6
2−170950号に記載されているようなフッ素系界
面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、
画像記録層全固形分の0.01〜1%、さらに好ましく
は0.05〜0.5%である。
【0231】[オーバーコート層]本発明の平版印刷用
原板は、保存時や取り扱い時に画像記録層表面が親油性
物質によって、例えば指紋状に汚染されたりするのを防
止するため、画像記録層上に、水溶性オーバーコート層
を設けることができる。本発明に使用される水溶性オー
バーコート層は印刷時容易に除去できるものであり、水
溶性の有機高分子化合物から選ばれた樹脂を含有する。
【0232】ここで用いる水溶性の有機高分子化合物と
しては、塗布乾燥によってできた被膜がフィルム形成能
を有するもので、具体的には、ポリ酢酸ビニル(但し加
水分解率65%以上のもの)、アクリル酸単独重合体も
しくは共重合体およびそのアルカリ金属塩あるいはアミ
ン塩、メタクリル酸単独重合体もしくは共重合体および
そのアルカリ金属塩あるいはアミン塩、アクリルアミド
単独重合体および共重合体、ポリヒドロキシエチルアク
リレート、N−ビニルピロリドン単独重合体および共重
合体、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテ
ル/無水マレイン酸共重合体、2−アクリルアミド−2
−メチル−1−プロパンスルホン酸の単独重合体もしく
は共重合体およびそのアルカリ金属塩もしくはアミン
塩、アラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシ
メチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチ
ルセルローズ等)およびその変性体、ホワイトデキスト
リン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等を
挙げることができる。また、目的に応じて、これらの樹
脂を二種以上混合して用いることもできる。
【0233】また、オーバーコート層には、前記の光熱
変換剤を添加しても良い。特に水溶性基を有する赤外線
吸収染料が好適である。さらに、オーバーコート層には
塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合に
は、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリ
オキシエチレンドデシルエーテルなどの非イオン系界面
活性剤を添加することができる。
【0234】オーバーコート層の乾燥塗布量は、0.1
〜2.0g/m2が好ましい。この範囲内で、機上現像
性を損なわず、指紋状汚れなどの親油性物質による画像
記録層表面の良好な汚染防止ができる。
【0235】[製版及び印刷]本発明の平版印刷用原板
は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド
等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露
光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外
線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜120
0nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ
等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
【0236】画像露光された本発明の平版印刷用原板
は、それ以上の処理なしに印刷機に装着し、インキと湿
し水を用いて通常の手順で印刷することができる。ま
た、これらの平版印刷用原板は、日本特許293839
8号に記載されているように、印刷機の版胴上に取りつ
けた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、
その後に湿し水および/またはインクをつけて機上現像
することも可能である。また、これらの平版印刷用原板
は、水または適当な水溶液を現像液とする現像をした
後、印刷に用いることもできる。
【0237】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0238】アルミニウム基板の製造例 厚さ0.24mmのJIS1050のアルミニウム板を
用い、前処理、粗面化処理、親水膜生成処理、必要に応
じて後処理をこの順に行って、実施例の平版印刷用原板
に用いるアルミニウム基板を作製した。粗面化処理まで
は下記A〜Iのいずれかで行い、親水膜生成処理及び後
処理は、各基板の製造例に記載した方法で行った。
【0239】<粗面化処理A,B及びC>アルミニウム
板を50℃に保たれた1%水酸化ナトリウム水溶液に浸
漬して、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行
った。水洗後、次に行う電気化学的粗面化処理で使用す
る電解液と同組成の水溶液に10秒間浸漬して中和処理
し、次いで水洗した。
【0240】次にこのアルミニウム基板材料を、電流密
度50A/dm2、正弦波交流を用い、休止時間を挟み
複数回に分けた電気化学的粗面化処理を行った。表1
に、電解液組成、1回当たりの処理電気量、電解処理回
数、休止時間を示した。該電気化学的粗面化処理後は、
50℃に保たれた1%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し
て、溶解量が2g/m2になるようにアルカリ溶解処理
し、水洗した後、25℃に保たれた10%硫酸水溶液中
に10秒間浸漬して中和処理し、次いで水洗した。
【0241】
【表1】
【0242】<粗面化処理D>アルミニウム板を50℃
の10%水酸化ナトリウム水溶液に20秒間浸漬して、
脱脂及びエッチングした後、流水で水洗し、次いで25
%硫酸水溶液で20秒間中和処理し、水洗した。その
後、1%塩酸水溶液(アルミニウムイオンを0.5%含
む)を用い、電流値が0からピークに達する間での時間
(TP)が2msecの周波数60Hz、duty比
1:1の台形の矩形波を用い、カーボン電極を対極とし
てアルミニウム陽極時平均電流密度27A/dm2(ア
ルミニウムの陽極時と陰極時の電流密度の比1:0.9
5)、アルミニウム陽極時平均電気量350C/dm2
となるように、20℃で電気化学的粗面化処理をした。
次いで、水酸化ナトリウム26%、アルミニウムイオン
6.5%水溶液を用い、液温45℃でスマットを含む全
エッチング量が0.7g/m2となるようにスプレーに
よるエッチング処理を行った。続いて25%硝酸水溶液
(アルミニウムイオンを0.3%含む)で60℃10秒
間スプレー処理によるデスマット処理を行った。
【0243】<粗面化処理E>アルミニウム板表面を毛
径0.72mm、毛長80mmのナイロンブラシと平均
粒径約15〜35μmのパミストンの水懸濁液を用いて
粗面化した後、よく水で洗浄した。次に、10%水酸化
ナトリウム水溶液に70℃で30秒間浸漬してエッチン
グし、流水で水洗後、さらに20%硝酸水溶液で中和洗
浄し、水洗した。このように機械的に粗面化したアルミ
ニウム板に、さらに下記のような電気化学的粗面化を施
した。
【0244】塩酸濃度が7.5g/lであり、アルミニ
ウムイオンの濃度が5g/lになるように塩酸に塩化ア
ルミニウムを添加して調製した塩酸水溶液中で、液温3
5℃で前記の機械的粗面化をしたアルミニウム板に、図
1に示したラジアルセルを用いて、交流を印加して交流
電気分解を行った。交流としては、周波数が60Hzの
商用交流を、誘導電圧調整器及び変圧器を用いて電流・
電圧調整することにより発生させたサイン波を用いた。
アルミニウム板が陽極時の電気量の総和は50C/dm
2であり、前記交流の1周期におけるQc/Qaは0.
95であった。
【0245】上記塩酸水溶液の塩酸及びアルミニウムイ
オンの濃度については、温度、導電率、及び超音波伝播
速度と、塩酸及びアルミニウムイオン濃度との関係を求
め、前記塩酸水溶液の温度、導電率、及び超音波伝播速
度が所定の値になるように、濃度35%の濃塩酸と水と
を循環タンクから電解槽本体内部に添加し、余剰の塩酸
水溶液をオーバーフローさせることにより、一定に保持
した。次に、処理液として、水酸化ナトリウム及びアル
ミニウムイオンをそれぞれ5%及び0.5%含有し、液
温が45℃のアルカリ溶液を用い、前記アルミニウム板
における粗面化面の溶解量が0.1g/m2であり、前
記面とは反対側の面の溶解量0.05g/m2となるよ
うに、エッチング処理を施した。
【0246】エッチング処理を施したアルミニウム板の
両面に、硫酸及びアルミニウムイオンをそれぞれ300
g/l及び5g/l含有する液温50℃の硫酸水溶液を
噴霧してデスマット処理を行った。
【0247】<粗面化処理F>粗面化処理Aの後、更
に、下記の硝酸水溶液中での電気化学的粗面化処理を行
った。
【0248】1%硝酸水溶液(アルミニウムイオンを
0.5%含む)を用い、電流値が0からピークに達する
間での時間(TP)が2msecの周波数60Hz、d
uty比1:1の台形の矩形波を用い、カーボン電極を
対極としてアルミニウム陽極時平均電流密度27A/d
2(アルミニウムの陽極時と陰極時の電流密度の比
1:0.95)、アルミニウム陽極時平均電気量350
C/dm2となるように、50℃で、図1に示したラジ
アルセルを用いて電気化学的粗面化処理をした。次い
で、水酸化ナトリウム26%、アルミニウムイオン6.
5%水溶液を用い、液温45℃でスマットを含む全エッ
チング量が0.2g/m2となるようにスプレーによる
エッチング処理を行った。続いて25%硝酸水溶液(ア
ルミニウムイオンを0.3%含む)で60℃10秒間ス
プレー処理によるデスマット処理を行った。
【0249】<粗面化処理G>粗面化処理Eのうち、電
気化学的粗面化処理及びそれ以降の処理を省いた処理
(機械的粗面化、アルカリエッチング、中和、水洗)を
粗面化処理Gとした。
【0250】<粗面化処理H>アルミニウム板を50℃
に保たれた1%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して、溶
解量が2g/m2になるように溶解処理を行った。水洗
後、次に行う電気化学的粗面化処理で使用する電解液と
同組成の水溶液に10秒間浸漬して中和処理し、次いで
水洗した。
【0251】次にこのアルミニウム基板材料を、1%硝
酸水溶液(アルミニウムイオンを0.5%含む)、電流
密度50A/dm2、正弦波交流を用い、休止時間を1
回0.5秒間設け、1回当たり250C/dm2、合計
500C/dm2の電気量で、電気化学的粗面化処理を
行った後、水洗した。該電気化学的粗面化処理後は、5
0℃に保たれた1%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し
て、溶解量が5g/m2になるようにアルカリ溶解処理
し、水洗した後、25℃に保たれた10%硫酸水溶液中
に10秒間浸漬して中和処理し、次いで水洗した。
【0252】<粗面化処理I>電気化学的粗面化処理後
のアルカリ溶解処理を行わなかったこと以外は粗面化処
理Hと同様の粗面化処理を行った。
【0253】基板1〜6の製造 粗面化処理したA〜Fの基板をそれぞれ陽極酸化装置を
使って硫酸濃度170g/l(アルミニウムイオンを
0.5%含む)、液温40℃、電流密度30A/dm2
にて20秒間陽極酸化処理を行い、水洗した。次に、液
温30℃のpH13の水酸化ナトリウム水溶液に70秒
間浸漬した後、水洗した。次に、コロイダルシリカ(日
産化学工業(株)製スノーテックスST−N、粒径約2
0nm)1%水溶液に70℃で14秒間浸漬してから水
洗を行った。次に、2.5%3号ケイ酸ナトリウムに7
0℃で14秒間浸漬後、水洗し、基板1〜6を製造し
た。
【0254】基板7の製造 粗面化処理Eを施したアルミニウム板を30℃のシュウ
酸50g/l溶液中で、電流密度12A/dm2で2分
間陽極酸化を行い、水洗することによって、4g/m2
の陽極酸化皮膜を作製した。次にpH13、液温50℃
の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬してから、水洗
した。次に、2.5%3号珪酸ナトリウムに70℃で1
4秒間浸漬後、水洗を行い、基板7を製造した。
【0255】基板8の製造 粗面化処理Eを施したアルミニウム板を硫酸濃度170
g/l(アルミニウムイオンを0.5%含む)、液温3
0℃、電流密度5A/dm2にて70秒間陽極酸化処理
を行い、水洗した。次にpH13、液温30℃の水酸化
ナトリウム水溶液に30秒間浸漬してから、水洗した。
次に、製造例7と同様にケイ酸ナトリウム処理を行い水
洗して基板8を製造した。
【0256】基板9〜13の製造 粗面化処理Eを施した基板を用いた製造例5の陽極酸化
処理時間を、12秒、16秒、24秒、44秒、90秒
にした以外は、製造例5と同様にして、それぞれ基板9
〜13を製造した。
【0257】基板14の製造 コロイダルシリカ水溶液の浸漬処理を行わなかった以外
は基板の製造例5と同様にして基板14を製造した。
【0258】基板15の製造 粗面化処理Eを施した基板に硫酸濃度100g/l、ア
ルミニウムイオン濃度5g/lの電解液を用いて、液温
51℃、電流密度30A/dm2で陽極酸化処理を行
い、水洗し、2g/m2の陽極酸化皮膜を作製した。次
に、硫酸濃度170g/l、アルミニウムイオン濃度5
g/lの電解液を用いて、液温40℃、電流密度30A
/dm2で陽極酸化を、合計の酸化皮膜量が4.0g/
2になるように調整して行い、水洗して、陽極酸化皮
膜を作製した。次に、2.5%の3号ケイ酸ナトリウム
水溶液に、液温70℃で14秒間浸漬後、水洗して基板
15を製造した。
【0259】基板16の製造 粗面化処理Eを施した基板に硫酸濃度170g/l、ア
ルミニウムイオン濃度5g/lの電解液を用いて、液温
43℃、電流密度30A/dm2で陽極酸化処理を行
い、水洗し、2g/m2の陽極酸化皮膜を作製した。次
に、リン酸120g/l、アルミニウムイオン濃度5g
/lの電解液を用いて、液温40℃、電流密度18A/
dm2で陽極酸化を行い、水洗した。次に、2.5%の
3号ケイ酸ナトリウム水溶液に、液温70℃で14秒間
浸漬後、水洗して基板16を製造した。
【0260】比較例用基板(比1〜比3)の製造 粗面化処理G、H、Iをそれぞれ施した基板を、製造例
14の粗面化処理した基板の代わりに用いた以外は製造
例14と同様にして比較例用基板1〜3を製造した。
【0261】比較例用基板(比4)の製造 製造例7の水酸化ナトリウムの処理時間を3分にした以
外は製造例7と同様にして比較例用基板4を製造した
【0262】比較例用基板(比5)の製造 粗面化処理Aを施した基板を、硫酸濃度200g/l、
アルミニウムイオン濃度5g/lの電解液を用いて、液
温45℃、約10Vの電圧及び1.5A/dm 2の電流
密度で約300秒間陽極酸化を行い、3g/m2の陽極
酸化皮膜を作製し、水洗した。次に、炭酸水素ナトリウ
ム20g/l含有水溶液で、液温40℃で30秒間後処
理し、引き続き既20℃の水で120秒間すすぎ、そし
て乾燥した。次いで、上記で得られた基板を5%クエン
酸水溶液中に60秒間浸漬し、水洗し、40℃で乾燥
し、比較例用基板5を製造した。
【0263】上記製造例で得られたアルミニウム基板の
粗面化形状及び親水膜の物性値等を表2に示した。各物
性値の測定法は、以下の通りである。なお、密度の測定
法は前述の方法で行った。
【0264】<大きなうねりの平均開口径、小ピットの
平均開口径及び小ピットの平均深さと小ピットの平均開
口径との比の測定法>いずれの値もアルミニウム基板表
面のSEM写真を撮影して測定した。大きなうねりの平
均開口径d2(μm)については、1000倍のSEM
写真を用い、輪郭が明確に判別できるうねり1個ずつの
長径と短径とを測定してその平均をうねりの開口径と
し、該SEM写真中で測定した大きなうねりの開口径の
和を、測定した大きなうねり数50ヶで割って求めた。
SEMは日本電子(株)製T−20を用いた。
【0265】小ピットの平均開口径d1(μm)の測定
には、30000倍のSEM写真を用い、大きなうねり
の開口径の場合と同様の手法で行った。この場合に用い
たSEMは日立製作所製S−900であった。
【0266】小ピットの平均深さh(μm)と小ピット
の平均開口径d1(μm)との比h/d1には、断面の3
0000倍のSEM写真を用いて測定し、測定した50
ヶ所の平均値を用いた。
【0267】<親水膜の膜厚方向の熱伝導率の測定法>
初めに、本発明のアルミニウム基板1〜16ならびに比
較例用基板1〜5に加えて、これらと親水膜の膜厚のみ
が異なるアルミニウム基板を、それぞれ2種類ずつ作製
した。膜厚のみが異なるアルミニウム基板は、それぞれ
陽極酸化時間を0.5倍及び2倍にし、それ以外は製造
例で示したアルミニウム基板と同様の方法により作製し
た。
【0268】次に、膜厚のみが異なる3種類のアルミニ
ウム基板を、図2に示した装置による測定に供し、前記
数式(1)により親水膜の膜厚方向の熱伝導率を算出し
た。なお、測定は試料上の異なる5点で行い、その平均
値を用いた。
【0269】ここで親水膜の膜厚は、日本電子(株)製
SEM T−20を用いて親水膜断面を観察し、50ヶ
所の膜厚を実測し、その平均値を用いた。
【0270】<陽極酸化皮膜マイクロポアのポア径の測
定方法>陽極酸化皮膜マイクロポアのポア径は、表層の
ポア径と表層から深さ0.4μm地点のポア径について
測定した。表層ポア径の場合は陽極酸化皮膜表面を、そ
して表層から0.4μmのポア径の場合は、陽極酸化処
理済みのアルミニウム基板を折り曲げて、折り曲げた際
に発生したひび割れ部分の側面(通常破断面)を、超高
分解能SEM(日立S−900)を使用して観察した。
観察は、12Vという比較的低加速電圧で、導電性を付
与する蒸着処理などを施すことなしに、15万倍の倍率
で行った。どちらのポア径も、50個のポアを無作為抽
出し手得た測定値の平均値を使用した。標準偏差誤差
は、どちらも±10%以下であった。
【0271】<空隙率の測定法>陽極酸化皮膜の空隙率
は次式より求めた。 空隙率(%)={1−(酸化皮膜密度/3.98)}x
100 ここで、3.98は化学便覧による酸化アルミニウムの
密度(g/cm3)である。
【0272】
【表2】
【0273】微粒子の製造例 (製造例1:熱融着性ポリマー微粒子(1))1000
mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、滴下ロート、
窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入して脱
酸素を行いつつ蒸留水350mlを加えて内温が80℃
となるまで加熱した。分散剤としてドデシル硫酸ナトリ
ウム1.0gとポリビニルアルコール(日本合成化学
(株)製KL05)1.5gを添加し、更に開始剤とし
て過硫化アンモニウム0.45gを添加し、次いでスチ
レン90gを滴下ロートで約1時間かけて滴下した。滴
下終了後5時間そのまま反応を続けた後、水蒸気蒸留で
未反応単量体を除去した。その後冷却しアンモニア水で
pH6に調整し、最後に不揮発分が15重量%となるよ
うに純水を添加して熱融着性ポリマー微粒子(1)の水
分散液を得た。熱融着性ポリマー微粒子(1)の粒径分
布は、粒子径220nmに極大値を有した。
【0274】ここで、粒径分布は、ポリマー微粒子の電
子顕微鏡写真を撮影し、写真上で微粒子の粒径を総計で
5000個測定し、得られた粒径測定値の最大値から0
の間を対数目盛で50分割して各粒径の出現頻度をプロ
ットして求めた。なお非球形粒子については写真上の粒
子面積と同一の粒子面積を持つ球形粒子の粒径値を粒径
とした。
【0275】(製造例2:熱融着性ポリマー微粒子
(2))製造例1のスチレン90.0gを、スチレン6
0g、ブチルアクリレート25g、メタアクリル酸5g
に変更し、ドデシル硫酸ナトリウムの添加量を3.0g
にした以外は製造例1と同様にして製造した。前記方法
により測定した熱融着性ポリマー微粒子(2)の粒径分
布は、粒子径50nmに極大値を有した。
【0276】(製造例3:熱融着性ポリマー微粒子
(3))油相成分として重量平均分子量5000のクレ
ゾール樹脂(メタ/パラ比60/40)7.0g、光熱
変換剤(本明細書記載のIR−24)1.5g、アニオ
ン系界面活性剤パイオニンA−41C(竹本油脂製)
0.1gを酢酸エチル18.0gに溶解した。また水相
成分としてポリビニルアルコール(クラレ製PVA20
5)4%水溶液25.4gに純水9.6gを加えた液を
作成した。油相成分および水相成分をホモジナイザーを
用いて15000rpmで乳化した。その後、水を20
g添加し、室温で30分、さらに40℃で3時間攪拌し
酢酸エチルを蒸発させた。このようにして得られた液の
固形分濃度は15.0%であり、粒子径200nmに極
大値を有した。
【0277】(製造例4:熱反応性官能基を有するポリ
マー微粒子)製造例1のスチレン90.0gをグリシジ
ルメタクリレート45.0g、スチレン45.0gに代
えた以外は同様にして、熱反応性官能基を有するポリマ
ー微粒子を得た。固形分濃度は15.0%であり、粒子
径は80nmに極大値を有した。
【0278】(製造例5:マイクロカプセル(1))油
相成分としてトリメチロールプロパンとキシリレンジイ
ソシアナートとの付加体(武田薬品工業製D−110
N)30g、エピコート1001(油化シェルエポキシ
(株)製)30g、光熱変換剤(本明細書記載のIR−
26)8g、クリスタルバイオレットラクトン0.5
g、アニオン系界面活性剤パイオニンA41C(竹本油
脂製)0.5gを酢酸エチル90gに溶解した。水相成
分としてはPVA205(クラレ製)の4%水溶液18
0gを調製した。油相成分および水相成分をホモジナイ
ザーを用いて10000rpmで乳化した。その後水を
120g添加し、室温で30分、さらに40℃で3時間
攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液
の固形分濃度は18%であり、平均粒径は200nmで
あった。
【0279】(製造例6:マイクロカプセル(2))製
造例5のエピコート1001の代わりにヒドロキノンビ
ス(2−ヒドロキシエチル)エーテル25g、ビスフェ
ノールA 5gを用いた以外は同様にして、マイクロカ
プセル(2)の水分散液を得た。このマイクロカプセル
液の固形分濃度は18%であり、平均粒径は200nm
であった。
【0280】実施例1〜16及び比較例1〜5 製造例で得たアルミニウム基板上に、粒径分布の異なる
ポリマー微粒子を含有する下記の画像記録層塗布液1を
バー塗布した後、オーブンで70℃120秒で乾燥し、
乾燥塗布量0.8g/m2の平版印刷用原板を作製し
た。各実施例で用いたアルミニウム基板は表3に示し
た。
【0281】 (画像記録層塗布液1) 熱融着性ポリマー微粒子(1) 5.0g(固形分換算) 熱融着性ポリマー微粒子(2) 5.0g(固形分換算) 光熱変換剤(本明細書記載のIR−10) 1.0g ポリアクリル酸(重量平均分子量) 1.0g 水 50.0g
【0282】このようにして得られた平版印刷用原板
を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したクレオ
社製トレンドセッター3244VFSにて、出力9W、
外面ドラム回転数105rpm、版面エネルギー200
mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した
後、処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SO
R−Mの版胴に取付け、湿し水を供給したのち、インキ
を供給し印刷を行った。その結果、問題なく機上現像す
ることができ、汚れのない良好な印刷物が得られた。表
3に、各印刷版の印刷結果を記載した。
【0283】
【表3】
【0284】ここで、機上現像枚数は、完全に機上現像
されるまでに要した印刷用紙の枚数であり、機上現像性
の難易を表す。放置払い枚数は、印刷機を停止し、印刷
版を版胴に付けたまま室温で1時間放置した後、印刷を
再開した時に、汚れのない良好な印刷物が得られるまで
に要した印刷用紙の枚数であり、印刷版の汚れ難さを示
す。
【0285】実施例17〜32及び比較例6〜10 実施例1〜16及び比較例1〜5で用いた画像記録層塗
布液1の代わりに、下記の画像記録層塗布液2を用いた
以外は、実施例1〜16及び比較例1〜5と同様に塗
布、乾燥して、平版印刷用原板を作製した。露光、印刷
も同様に行い、結果を表4に示した。
【0286】 (画像記録層塗布液2) 熱融着性ポリマー微粒子(2) 5.0g(固形分換算) 熱融着性ポリマー微粒子(3) 5.0g(固形分換算) ポリアクリル酸(重量平均分子量) 1.0g 水 50.0g
【0287】
【表4】
【0288】実施例33〜48及び比較例11〜15 実施例1〜16及び比較例1〜5で用いた画像記録層塗
布液1の代わりに下記の画像記録層塗布液3を用いた以
外は、実施例1〜16及び比較例1〜5と同様に塗布、
乾燥して、平版印刷用原板を作製した。露光、印刷も同
様に行い、結果を表5に示した。
【0289】 (画像記録層塗布液3) 熱融着性ポリマー微粒子(2) 5.0g(固形分換算) 反応性基を有するポリマー微粒子 5.0g(固形分換算) 光熱変換剤(本明細書記載のIR−10) 1.0g ポリアクリル酸(重量平均分子量) 1.0g 水 50.0g
【0290】
【表5】
【0291】実施例49〜64及び比較例16〜20 実施例1〜16及び比較例1〜5で用いた画像記録層塗
布液1の代わりに下記の画像記録層塗布液4を用いた以
外は、実施例1〜16及び比較例1〜5と同様に塗布、
乾燥して、平版印刷用原板を作製した。露光、印刷も同
様に行い、結果を表6に示した。
【0292】 (画像記録層塗布液4) 熱融着性ポリマー微粒子(2) 5.0g(固形分換算) マイクロカプセル(1) 5.0g(固形分換算) 光熱変換剤(本明細書記載のIR−10) 1.0g ポリアクリル酸(重量平均分子量) 1.0g 水 50.0g
【0293】
【表6】
【0294】実施例65〜80及び比較例21〜25 実施例1〜16及び比較例1〜5で用いた画像記録層塗
布液1の代わりに下記の画像記録層塗布液5を用いた以
外は、実施例1〜16及び比較例1〜5と同様に塗布、
乾燥して、平版印刷用原板を作製した。露光、印刷も同
様に行い、結果を表7に示した。
【0295】 (感熱層塗布液5) マイクロカプセル1 5g(固形分換算) マイクロカプセル2 5g(固形分換算) p−ジアゾジフェニルアミン硫酸塩 0.2g
【0296】
【表7】
【0297】
【発明の効果】本発明によれば、デジタル信号に基づい
た赤外線走査露光後、処理を行うことなくそのまま印刷
機に装着して印刷可能な平版印刷用原板であって、良好
な機上現像性を有し、高感度、かつ高耐刷性であり、し
かもインキ払い性等、印刷での汚れ難さも良好な感熱性
の平版印刷用原板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の平版印刷用原板のアルミニウム基板
の製造に好適に用いられる電気化学的粗面化処理用ラジ
アル型セルの一例を示す側面図である。
【図2】 本発明の平版印刷用原板の親水膜の膜厚方向
の熱伝導率の測定に用いることができるサーモコンパレ
ータの概略図である。
【符号の説明】
11 アルミニウム板 12 ラジアルドラムローラ 13a、13b 主極 14 酸性水溶液 15 溶液供給口 16 スリット 17 溶液通路 18 補助陽極 19a、19b サイリスタ 20 交流電源 21 主電解槽 22 補助陽極槽 30 サーモコンパレータ 31 チップ 32 リザーバ 33 電熱ヒーター 34 加熱用ジャケット 35 熱電対 36 ヒートシンク 37 皮膜 38 金属基体 39 接触式温度計 40 チップ先端温度記録計 41 ヒートシンク温度記録計 42 リザーバ温度記録計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 11/18 C25D 11/18 A 301 301A C25F 3/04 C25F 3/04 A G03F 7/00 503 G03F 7/00 503 7/004 514 7/004 514 521 521 7/09 501 7/09 501 Fターム(参考) 2H025 AA01 AA12 AB03 AC08 AD01 BH03 BJ03 CC11 DA20 FA10 2H096 AA06 BA20 EA04 EA23 2H114 AA04 AA11 AA14 AA22 AA24 AA27 BA01 BA10 DA74 EA01 EA02 FA07 FA10 FA16 GA07 GA08 GA09

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩酸を含有する水溶液中で電気化学的粗
    面化処理され、熱伝導率が0.05〜0.5W/mKで
    ある親水膜を有するアルミニウム基板上に、(a)熱融
    着性ポリマー微粒子、(b)熱反応性官能基を有するポ
    リマー微粒子、及び(c)熱反応性化合物を内包するマ
    イクロカプセルから選ばれた少なくとも2種類の微粒子
    を含有する画像記録層を有し、該微粒子の少なくとも1
    種の熱による合体により画像形成がなされることを特徴
    とする平版印刷用原板。
  2. 【請求項2】 塩酸を含有する水溶液中で電気化学的粗
    面化処理され、密度が1000〜3200kg/m3
    び/又は空隙率が20〜70%である親水膜を有するア
    ルミニウム基板上に、(a)熱融着性ポリマー微粒子、
    (b)熱反応性官能基を有するポリマー微粒子、及び
    (c)熱反応性化合物を内包するマイクロカプセルから
    選ばれた少なくとも2種類の微粒子を含有する画像記録
    層を有し、該微粒子の少なくとも1種の熱による合体に
    より画像形成がなされることを特徴とする平版印刷用原
    板。
  3. 【請求項3】 粗面化形状の小ピットの平均開口径が
    0.01〜3μm、小ピットの平均深さの平均開口径に
    対する比が0.1〜0.5であり、熱伝導率が0.05
    〜0.5W/mKである親水膜を有するアルミニウム基
    板上に、(a)熱融着性ポリマー微粒子、(b)熱反応
    性官能基を有するポリマー微粒子、及び(c)熱反応性
    化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた少なく
    とも2種類の微粒子を含有する画像記録層を有し、該微
    粒子の少なくとも1種の熱による合体により画像形成が
    なされることを特徴とする平版印刷用原板。
  4. 【請求項4】 粗面化形状の小ピットの平均開口径が
    0.01〜3μm、小ピットの平均深さの平均開口径に
    対する比が0.1〜0.5であり、密度が1000〜3
    200kg/m3及び/又は空隙率が20〜70%であ
    る親水膜を有するアルミニウム基板上に、(a)熱融着
    性ポリマー微粒子、(b)熱反応性官能基を有するポリ
    マー微粒子、及び(c)熱反応性化合物を内包するマイ
    クロカプセルから選ばれた少なくとも2種類の微粒子を
    含有する画像記録層を有し、該微粒子の少なくとも1種
    の熱による合体により画像形成がなされることを特徴と
    する平版印刷用原板。
  5. 【請求項5】 アルミニウム基板の大きなうねりの平均
    開口径が3〜20μmであることを特徴とする請求項1
    から請求項4のいずれかに記載の平版印刷用原板。
  6. 【請求項6】 親水膜が陽極酸化皮膜であることを特徴
    とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の平版印
    刷用原板。
  7. 【請求項7】 陽極酸化皮膜量が3.2g/m2以上で
    あることを特徴とする請求項6に記載の平版印刷用原
    板。
  8. 【請求項8】 陽極酸化皮膜の表層のポア径が40nm
    以下であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記
    載の平版印刷用原板。
  9. 【請求項9】 陽極酸化皮膜が封孔処理されていること
    を特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の
    平版印刷用原板。
  10. 【請求項10】 陽極酸化皮膜上に平均粒径8〜800
    nmからなる粒子の層を設けたことを特徴とする請求項
    6から請求項9のいずれかに記載の平版印刷用原板。
  11. 【請求項11】 陽極酸化皮膜が2段階以上の陽極酸化
    処理により形成されたことを特徴とする請求項6から請
    求項10のいずれかに記載の平版印刷用原板。
  12. 【請求項12】 1段階目で硫酸を含有する電解液で陽
    極酸化を行い、2段階目以降にリン酸を含有する電解液
    で陽極酸化したことを特徴とする請求項11に記載の平
    版印刷用原板。
  13. 【請求項13】 画像記録層が光熱変換剤を含有するこ
    とを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記
    載の平版印刷用原板。
  14. 【請求項14】 光熱変換剤が、(a)熱融着性ポリマ
    ー微粒子、(b)熱反応性官能基を有するポリマー微粒
    子、及び(c)熱反応性化合物を内包するマイクロカプ
    セルから選ばれた少なくとも1種の微粒子に含有される
    ことを特徴とする請求項13に記載の平版印刷用原板。
  15. 【請求項15】 画像記録層に含有される微粒子が、熱
    反応性官能基を有するポリマー微粒子及び熱反応性化合
    物を内包するマイクロカプセルから選ばれた微粒子であ
    ることを特徴とする請求項1から請求項14のいづれか
    に記載の平版印刷用原板。
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