JP2004098386A - 平版印刷版用支持体の製造方法および平版印刷版用支持体 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱を効率よく画像形成に利用することができ、高感度で耐刷性に優れ、かつ、親水性、払い枚数が優れ非画像部の汚れの発生が抑制された平版印刷版用原版に用いられる平版印刷版用支持体の製造方法および平版印刷版用支持体を提供する。
【解決手段】アルミニウム板2を粗面化し陽極酸化皮膜3を設けてなる支持体上に、該陽極酸化皮膜のポア4径よりも大きい長径を有する無機化合物粒子6の層を設け、さらに無機化合物粒子6を溶解し得る処理液で処理して無機化合物粒子6同志を融着させることを特徴とし、無機化合物層におけるポア径と陽極酸化皮膜3におけるポア4径の比が1.5以上であり、かつ無機化合物層におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度と陽極酸化皮膜3におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度の比が2以上であることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】アルミニウム板2を粗面化し陽極酸化皮膜3を設けてなる支持体上に、該陽極酸化皮膜のポア4径よりも大きい長径を有する無機化合物粒子6の層を設け、さらに無機化合物粒子6を溶解し得る処理液で処理して無機化合物粒子6同志を融着させることを特徴とし、無機化合物層におけるポア径と陽極酸化皮膜3におけるポア4径の比が1.5以上であり、かつ無機化合物層におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度と陽極酸化皮膜3におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度の比が2以上であることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版用支持体の製造方法および平版印刷版用支持体に関し、詳しくは、コンピュータ等のディジタル信号に基づいた赤外線走査露光による画像記録が可能であり、直接製版できるいわゆるダイレクト製版用の赤外線レーザ用平版印刷版用原版に用いられる平版印刷版用支持体の製造方法および平版印刷版用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像形成技術の発展に伴い、細くビームを絞ったレーザー光をその版面上に走査させ、文字原稿、画像原稿等を直接版面上に形成させ、フィルム原稿を用いず直接製版する技術が注目されている。
このような画像形成材料としては、感熱層中に存在する赤外線吸収剤がその光熱変換作用を発現し露光により発熱し、その熱により感熱層の露光部分がアルカリ可溶化しポジ画像を形成するいわゆるサーマルタイプのポジ型平版印刷版原版や、その熱によりラジカル発生剤や酸発生剤がラジカルや酸を発生させ、それによりラジカル重合反応や酸架橋反応が進行して不溶化しネガ型画像を形成するサーマルタイプのネガ型平版印刷版原版が挙げられる。即ち、このようなサーマルタイプの画像形成においては、レーザー光照射によって感熱層中で光熱変換物質により熱が発生してその熱が画像形成反応を引き起こすのである。
【0003】
しかしながら、粗面化され陽極酸化皮膜を形成されたアルミニウム支持体では、支持体の熱伝導率が感熱層に比べ極めて高いため、感熱層と支持体との界面付近で発生した熱は、画像形成に十分使用されないうちに支持体内部に拡散してしまい、その結果、感熱層と支持体の界面では次のようなことが起こる。
【0004】
まず、ポジ型感熱層においては、熱が支持体内部に拡散してアルカリ可溶化反応が不十分となると、本来の非画像部分に残膜が発生してしまうという低感度の問題があり、これはポジ型感熱層の本質的問題となっている。
また、このようなサーマルポジタイプの平版印刷版用原版においては、光熱変換機能を有する赤外線吸収剤が必須であるが、これらは分子量が比較的大きいため溶解性が低く、また、陽極酸化により生じたミクロな開口部に吸着して除去しにくいため、アルカリ現像液による現像工程において、残膜が発生しやすいという問題もある。
【0005】
一方、ネガ型感熱層においては、熱が支持体内部に拡散して感熱層支持体界面付近での感熱層の現像液不溶化が不十分になると、本来画像部となるべき部分で画像が十分にできずに現像時に流れてしまったり、たとえ画像様に形成できたとしても印刷時に容易に画像がはく離してしまったりするという問題がある。
【0006】
また、近年、露光後、そのまま印刷機に装着して印刷することができる平版印刷版原版について、多数の研究がなされ、種々の提案がなされている。例えば、熱による微粒子の合体で画像を形成する平版印刷版用原版が提案されている。
しかしながら、そのような平版印刷版用原版においては、アルミニウム支持体に熱が逃げるため感度が低いという問題や、微粒子の合体が不十分である場合、感熱層の画像部の強度が弱くなるために、耐刷性が不十分となるという問題があった。
【0007】
これらの問題に対処するため、感熱層で発生した熱がアルミニウム支持体に拡散することを抑制する観点から、陽極酸化皮膜のマイクロポアを大きくする試みがなされている。
また、同様の観点から、アルミニウム板に陽極酸化皮膜を設けてなるアルミニウム支持体を、熱水または無機塩もしくは有機塩を含む熱水溶液へ浸せきする方法、水蒸気浴に曝す方法等によって、マイクロポアを封孔する試みがなされている(例えば、特許文献1、2参照。)。
しかしながら、陽極酸化皮膜のマイクロポアを大きくする方法では、感度および耐刷性は向上するが、耐汚れ性が劣化してしまう。ここで、耐汚れ性とは、印刷途中で印刷を中断し、平版印刷版を印刷機上で放置した状態から印刷を再開した場合に、非画像部に汚れが発生しにくい性質をいう。一方、マイクロポアを封孔する方法では、耐汚れ性は向上するが、感度および耐刷性が劣化してしまう。したがって、いずれにおいても、十分満足のいくレベルには到達できていない。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−116548号公報(第8頁)
【特許文献2】
特開2002−116549号公報(第2頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、上記従来の技術の欠点を克服し、熱を効率よく画像形成に利用することができ、高感度で耐刷性に優れ、かつ、親水性、払い枚数が優れ非画像部の汚れの発生が抑制された平版印刷版用原版に用いられる平版印刷版用支持体の製造方法および平版印刷版用支持体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の製造方法による平版印刷版用支持体を採用することにより、上記課題が解決されることを見出した。
即ち、本発明は、以下の通りである。
(1)アルミニウム板を粗面化し陽極酸化皮膜を設けてなる支持体上に、該陽極酸化皮膜のポア径よりも大きい長径を有する無機化合物粒子の層を設け、さらに該無機化合物粒子を溶解し得る処理液で処理して該無機化合物粒子同志を融着させることを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
(2)前記処理液がフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかを含有するものであることを特徴とする前記(1)記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
(3)アルミニウム板を粗面化し陽極酸化皮膜を設けてなる支持体であって、該陽極酸化皮膜の上に無機化合物層を有し、該無機化合物層におけるポア径と該陽極酸化皮膜におけるポア径の比が1.5以上であり、かつ無機化合物層におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度と陽極酸化皮膜におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度の比が2以上であることを特徴とする平版印刷版用支持体。
【0011】
図1は、本発明の平版印刷版用支持体の断面模式図である。図1に示すように、本発明の平版印刷版用支持体1は、アルミニウム板2に陽極酸化皮膜層3を設けてなる支持体表面上に、陽極酸化皮膜層3中のマイクロポア4の内径5よりも大きい長径を有する無機化合物粒子6からなる無機化合物粒子層7を有する。陽極酸化皮膜3に存在するマイクロポア4の開口部は後述の無機化合物粒子層7によりふさがれているが、内部に空隙を有している。従来行われている封孔処理の場合には、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアはその内部までベーマイト処理による反応が進みその生成物により充填され、ほとんど空隙がなくなってしまう。本発明はマイクロポアの開口部のみを封孔し内部に空隙が残存している点で従来の封孔処理とは大きく異なる。
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法および平版印刷版用支持体は、上記のように、サーマルタイプの平版印刷版用原版用として、陽極酸化皮膜のマイクロポア上に、特定の粒子層を設け、更に該無機化合物粒子を溶解し得る処理液で処理して該無機化合物粒子同志を融着させることにより、粒子層による断熱効果とマイクロポアの空隙による断熱効果とを併有することができるため、感熱層からアルミニウム支持体への熱拡散が十分に抑制され、熱が効率よく画像形成に利用される。したがって、本発明によれば、高感度で耐刷性に優れ、かつ、非画像部の汚れの発生が抑制された平版印刷版原版用原版に好適に用いることができる平版印刷版原版用支持体を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0013】
[無機化合物粒子層]
<無機化合物粒子層の形成>
アルミニウム板を粗面化し陽極酸化皮膜を設けてなる支持体上に設ける無機化合物粒子層に用いられる無機化合物粒子としては、該陽極酸化皮膜のポア径よりも大きい長径を有するものであれば、特に限定されないが、平均粒径8〜800nm、好ましくは平均粒径10〜500nm、より好ましくは平均粒径10〜150nmのものが好ましい。該粒子の平均粒径が8nm以上であると、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの内部に粒子が入り込んでしまうおそれが少なく、高感度化の効果が十分に得られる。粒子の平均粒径が800nm以下であると、感熱層との密着性が十分となり、耐刷性が優れたものとなる。粒子層の厚さは、8〜800nmであるのが好ましく、10〜500nmであるのがより好ましい。
【0014】
本発明に用いられる無機化合物粒子は、熱伝導率が60W/(m・K)以下であるのが好ましく、40W/(m・K)以下であるのがより好ましく、0.3〜10W/(m・K)以下であるのが特に好ましい。熱伝導率が60W/(m・K)以下であると、アルミニウム支持体への熱拡散の抑制が十分となり、高感度化の効果が十分に得られる。
【0015】
無機化合物粒子層を設ける方法は、特に限定されないが、最も簡便な方法は塗布による方法である。該無機化合物粒子を含有する水溶液または有機溶媒溶液をホイラー塗布方式、バー塗布方式等の塗布方法により支持体表面に塗設後、乾燥してやることで容易に無機化合物粒子層を形成できる。
また、アルミニウム支持体を該無機化合物粒子を含有する電解液を用い、直流または交流を用いて電解処理する方法が好ましい。上記電解処理に用いられる交流電流の波形としては、サイン波、矩形波、三角波、台形波等が挙げられる。また、交流電流の周波数は、電源装置を製作するコストの観点から、30〜200Hzであるのが好ましく、40〜120Hzであるのがより好ましい。交流電流の波形として台形波を用いる場合、電流が0からピークに達するまでの時間tpはそれぞれ0.1〜2msecであるのが好ましく、0.3〜1.5msecであるのがより好ましい。上記tpが0.1msec未満であると、電源回路のインピーダンスが影響し、電流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が必要となり、電源の設備コストが高くなる場合がある。
無機化合物粒子としては、Al2 O3 、TiO2 、SiO2 およびZrO2 を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。電解液は、例えば、前記無機化合物粒子を含有量が全体の0.01〜20質量%となるように、水等に懸濁させて得られる。電解液は、電荷をプラスまたはマイナスに帯電させるために、例えば、硫酸を添加するなどして、pHを調整することもできる。電解処理は、例えば、直流を用い、アルミニウム支持体を陰極として、上記電解液を用い、電圧10〜200Vで1〜600秒間の条件で行う。
この方法によれば、容易に、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの内部に空隙を残しつつ、その口を塞ぐことができる。
【0016】
<無機化合物粒子層封孔処理>
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法においては、無機化合物粒子層を設けた後、該粒子層の封孔処理を行う。
粒子層封孔処理とは前記無機化合物粒子を溶解し得る処理液(以下単に封孔処理液ともいう)を用い、該処理液で処理して該無機化合物粒子同志を融着させるものである。
前記無機化合物粒子を溶解し得る処理液としては、特に限定されないが、フッ素化合物及びケイ酸化合物のうちの少なくともいずれかを含有する水溶液が好ましい。これにより、平版印刷版としたときに、耐汚れ性に優れる平版印刷版用支持体が得られる。
本発明に用いられるフッ素化合物としては、金属フッ化物が好適に挙げられる。
具体的には、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ヘキサフルオロジルコニウムナトリウム、ヘキサフルオロジルコニウムカリウム、ヘキサフルオロチタン酸ナトリウム、ヘキサフルオロチタン酸カリウム、ヘキサフルオロジルコニウム水素酸、ヘキサフルオロチタン水素酸、ヘキサフルオロジルコニウムアンモニウム、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、ヘキサフルオロケイ酸、フッ化ニッケル、フッ化鉄、フッ化リン酸、フッ化リン酸アンモニウムが挙げられる。
【0017】
また、本発明に用いられるケイ酸化合物としては、ケイ酸、ケイ酸塩が挙げられるが、中でもアルカリ金属ケイ酸塩が好適に挙げられる。
具体的には、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。中でも、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムが好ましい。
ケイ酸ナトリウムは、例えば、3号ケイ酸ナトリウム、2号ケイ酸ナトリウム、1号ケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムが挙げられる。ケイ酸カリウムは、例えば1号ケイ酸カリウムが挙げられる。又、アルミニウムを含むアルミノケイ酸塩、ホウ酸を含むホウケイ酸塩を用いることもできる。
ケイ酸は、オルトケイ酸、メタケイ酸、メタ二ケイ酸、メタ三ケイ酸、メタ四ケイ酸が挙げられる。
【0018】
前記封孔処理液中の各化合物の濃度は、フッ素化合物については、陽極酸化皮膜の封孔の点で、0.01質量%以上であるのが好ましく、0.05質量%以上であるのがより好ましく、0.1質量%以上であるのが特に好ましく、また、汚れ性の点で、10質量%以下であるのが好ましく、1質量%以下であるのがより好ましく、0.5質量%以下であるのが特に好ましい。
また、ケイ酸化合物については、汚れ性の点で、0.01質量%以上であるのが好ましく、0.1質量%以上であるのがより好ましく、1質量%以上であるのが特に好ましく、また、耐刷性の点で、10質量%以下であるのが好ましく、7質量%以下であるのがより好ましく、5質量%以下であるのが特に好ましい。
前記封孔処理液がフッ素化合物とケイ酸化合物の双方を含む場合、該封孔処理液中の各化合物との割合は、特に限定されないが、フッ素化合物とケイ酸化合物の質量比が、5:95〜95:5であるのが好ましく、20:80〜80:20であるのがより好ましい。
【0019】
また、フッ素化合物及びケイ酸化合物のうちの少なくともいずれかを含有する水溶液は、pHを高くするために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化物を適当量含有してもよい。中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
また、フッ素化合物とケイ酸化合物とを含有する水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第IVB族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩等の水溶性塩が挙げられる。4族(第IVB族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属塩および4族(第IVB族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0020】
また、前記封孔処理液の温度は、10℃以上であるのが好ましく、20℃以上であるのがより好ましく、また、100℃以下であるのが好ましく、80℃以下であるのがより好ましい。
また、前記封孔処理液は、pH8以上であるのが好ましく、pH10以上であるのがより好ましく、また、pH13以下であるのが好ましく、pH12以下であるのがより好ましい。
【0021】
フッ素化合物及びケイ酸化合物のうちの少なくともいずれかを含有する水溶液での処理の方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。これらは単独で1回または複数回用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、浸せき法が好ましい。浸せき法を用いて処理する場合、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、3秒以上であるのがより好ましく、また、600秒以下であるのが好ましく、120秒以下であるのがより好ましい。
【0022】
上記のように、本発明の平版印刷版用支持体の製造方法および平版印刷版用支持体は、アルミニウム板を粗面化し陽極酸化皮膜を設けてなる支持体を用い、該陽極酸化皮膜の上に無機化合物粒子層を設け、更に該無機化合物粒子を溶解し得る処理液で処理して該無機化合物粒子同志を融着させることにより、無機化合物層による断熱効果とマイクロポアの空隙による断熱効果とを併有することができる。
好ましい態様としては、該無機化合物層におけるポア径と該陽極酸化皮膜におけるポア径の比が1.5以上であり、かつ無機化合物層におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度と陽極酸化皮膜におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度の比が2以上である平版印刷版用支持体である。
無機化合物層におけるポア径と該陽極酸化皮膜におけるポア径の比が1.5以下では封孔の効果が不十分となり、感光層成分が陽極酸化皮膜内のポア中に滲入し現像処理後も残膜と呼ばれる感光層の残存が発生し、地汚れなどの原因となる。同時に無機化合物粒子層を蜜着させるための封孔処理液が陽極酸化皮膜ポア内へも滲入し反応してしまうために高感度化に繋がる高空隙を維持できなくなってしまう。また無機化合物層におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度と陽極酸化皮膜におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度の比が2以下では陽極酸化皮膜ポア内へも封孔処理剤が滲入してしまっているために高感度化に繋がる高空隙を維持できなきない。
【0023】
[アルミニウム支持体]
<アルミニウム板(圧延アルミ)>
本発明に用いられるアルミニウム板は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属、即ち、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。 純アルミニウム板のほか、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板や、アルミニウムまたはアルミニウム合金がラミネートされまたは蒸着されたプラスチックフィルムまたは紙を用いることもできる。更に、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートを用いることもできる。
【0024】
以下の説明において、上記に挙げたアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる各種の基板またはアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる層を有する各種の基板をアルミニウム板と総称して用いる。 前記アルミニウム合金に含まれてもよい異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等があり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。
【0025】
本発明においては、純アルミニウム板を用いるのが好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に用いられるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材もの、例えば、JIS A1050、JIS A1100、JIS A3005、国際登録合金 3103A等のアルミニウム合金板を適宜利用することができる。 また、本発明に用いられるアルミニウム板の厚みは、0. 1mm〜0. 6mm程度である。 この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさおよびユーザーの希望により適宜変更することができる。
【0026】
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法および平版印刷版用支持体に用いられるアルミニウム支持体は、上記アルミニウム板に陽極酸化皮膜を設けて得られるが、このアルミニウム支持体の製造工程には、陽極酸化処理以外の各種の工程が含まれていてもよい。
【0027】
<粗面化処理(砂目立て処理)>
上記アルミニウム板は、より好ましい形状に砂目立て処理される。砂目立て処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的砂目立て(機械的粗面化)、化学的エッチング、電解グレイン等がある。更に、塩酸電解液中または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的砂目立て法(電気化学的粗面化)や、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法等の機械的砂目立て法を用いることができる。これらの砂目立て法は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。
【0028】
中でも、本発明に好適に用いられる砂目表面を作る方法は、塩酸電解液中または硝酸電解液中で化学的に砂目立てする電気化学的方法である。好ましい電気量は、陽極時電気量50〜400C/dm2 である。更に具体的には、例えば、0.1〜50質量%の塩酸または硝酸を含む電解液中で、温度20〜100℃、時間1秒〜30分、電流密度10〜100A/dm2 の条件で直流または交流を用いて行われる。電気化学的粗面化によれば、表面に微細な凹凸を付与することが容易であるため、感熱層と基板との密着性を向上させる上でも好適である。
【0029】
この粗面化により、平均直径約0.5〜20μmのクレーター状またはハニカム状のピットをアルミニウム板の表面に30〜100%の面積率で生成することができる。設けられたピットは、印刷版の非画像部の汚れ難さおよび耐刷力を向上する作用を有する。電気化学的処理では、十分なピットを表面に設けるために必要なだけの電気量、即ち、電流と電流を流した時間との積が、電気化学的粗面化における重要な条件となる。より少ない電気量で十分なピットを形成できることは、省エネの観点からも望ましい。粗面化処理後の表面粗さは、JIS B0601−1994に準拠してカットオフ値0.8mm、評価長さ3.0mmで測定した算術平均粗さ(Ra)が、0.2〜0.7μmであるのが好ましい。上
記電気化学的粗面化は、異なる条件の電気化学的粗面化や、機械的粗面化と組み合わせて用いることもできる。
【0030】
<エッチング処理>
このように砂目立て処理されたアルミニウム板は、酸またはアルカリにより化学的にエッチングされる。
酸をエッチング剤として用いる場合は、微細構造を破壊するのに時間がかかり、工業的に本発明を適用するに際しては不利であるが、アルカリをエッチング剤として用いることによりこの問題点を改善できる。
本発明において好適に用いられるアルカリ剤は、特に限定されないが、例えば、カセイソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウムが挙げられる。
アルカリエッチング処理の条件は、特に限定されないが、アルカリの濃度は1〜50質量%であるのが好ましく、アルカリの温度は20〜100℃であるのが好ましく、アルミニウムの溶解量は0.01〜20g/m2 であるのが好ましく、0.1〜5g/m2 であるのがより好ましい。
【0031】
エッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。特に、電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法および特公昭48−28123号公報に記載されているようにアルカリエッチングする方法が挙げられる。
【0032】
<陽極酸化処理>
以上のように処理されたアルミニウム板には、更に、陽極酸化処理が施される。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等の単独のまたは2種以上を組み合わせた水溶液または非水溶液の中で、アルミニウム板に直流または交流を流すとアルミニウム板の表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。
【0033】
この際、少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分が電解液中に含まれていても構わない。更には、第2、第3の成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、第3の成分としては、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオン;アンモニウムイオン等の陽イオン;硝酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、リン酸イオン、フッ化物イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオン等の陰イオンが挙げられ、0〜10000ppm程度の濃度で含まれていてもよい。
【0034】
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間10〜200秒であるのが適当である。
これらの陽極酸化処理の中でも、英国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸電解液中で高電流密度で陽極酸化する方法、米国特許第3,511,661号明細書に記載されている、リン酸を電解浴として陽極酸化する方法が特に好ましい。
【0035】
本発明においては、陽極酸化皮膜の量は1〜10g/m2 であるのが好ましい。1g/m2 未満であると版に傷が入りやすくなり、一方、10g/m2 を超えると製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利となる。陽極酸化皮膜の量は、1.5〜7g/m2 であるのがより好ましく、2〜5g/m2 であるのが特に好ましい。
【0036】
<ポアワイド処理>
以上のようにして陽極酸化皮膜を設けてなるアルミニウム支持体は、必要に応じて、陽極酸化皮膜の空隙率を好適範囲に調整する目的で、ポアワイド(PW)処理を行ってもよい。
この処理は、陽極酸化皮膜のマイクロポアの径を、例えば、8〜500nm、好ましくは10〜150nmに調整するために、酸水溶液またはアルカリ水溶液に浸せきすることによって行われる。
酸水溶液としては、硫酸、リン酸またはこれらの混合物の水溶液が好ましい。酸水溶液の濃度は10〜500g/Lであるのが好ましく、20〜100g/Lであるのがより好ましい。酸水溶液の温度は、10〜90℃であるのが好ましく、40〜70℃であるのがより好ましい。酸水溶液への浸せき時間は、10〜300秒であるのが好ましく、30〜120秒であるのがより好ましい。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムまたはこれらの混合物の水溶液が好ましい。アルカリ水溶液のpHは11〜14であるのが好ましく、11.5〜13.5であるのがより好ましい。アルカリ水溶液の温度は、10〜90℃であるのが好ましく、20〜60℃であるのがより好ましい。アルカリ水溶液への浸せき時間は、5〜300秒であるのが好ましく、10〜60秒であるのがより好ましい。
【0037】
本発明の平版印刷版用支持体においては、陽極酸化皮膜の空隙率が、20〜70%であるのが好ましく、30〜60%であるのがより好ましく、40〜50%であるのが特に好ましい。陽極酸化皮膜の空隙率が20%以上であると、アルミニウム支持体への熱拡散の抑制が十分となり、高感度化の効果が十分に得られる。陽極酸化皮膜の空隙率が70%以下であると、非画像部に汚れが発生する問題がより起こり難くなる。
【0038】
<親水性表面処理>
本発明においては、アルミニウム支持体に、無機化合物粒子層を設け、該粒子層封孔処理を行った後、更に1種以上の親水性化合物を含有する水溶液へ浸せきすることにより、親水性表面処理を行ってもよい。親水性化合物としては、例えば、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を有する化合物、糖類化合物、ケイ酸塩化合物が好適に挙げられる。中でもポリビニルホスホン酸、ケイ酸塩化合物が好適である。ケイ酸塩化合物が最も好適に挙げられる。
【0039】
スルホン酸基を有する化合物には、芳香族スルホン酸、そのホルムアルデヒド縮合物、それらの誘導体、およびそれらの塩が含まれる。
芳香族スルホン酸としては、例えば、フェノールスルホン酸、カテコールスルホン酸、レゾルシノールスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、リグニンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アセナフテン−5−スルホン酸、フェナントレン−2−スルホン酸、ベンズアルデヒド−2(または3)−スルホン酸、ベンズアルデヒド−2,4(または3,5)−ジスルホン酸、オキシベンジルスルホン酸類、スルホ安息香酸、スルファニル酸、ナフチオン酸、タウリンが挙げられる。中でも、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、リグニンスルホン酸が好ましい。また、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、リグニンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物も好ましい。
更に、これらは、スルホン酸塩として使用してもよい。例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が挙げられる。中でも、ナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。
スルホン酸基を有する化合物を含有する水溶液のpHは、4〜6.5であるのが好ましく、硫酸、水酸化ナトリウム、アンモニア等を用いて上記pH範囲に調整することができる。
【0040】
糖類化合物には、単糖類およびその糖アルコール、オリゴ糖類、多糖類、ならびに、配糖体が含まれる。
単糖類およびその糖アルコールとしては、例えば、グリセロール等のトリオース類およびその糖アルコール類;トレオース、エリトリトール等のテトロースおよびその糖アルコール類;アラビノース、アラビトール等のペントースおよびその糖アルコール類;グルコース、ソルビトール等のヘキソースおよびその糖アルコール類;D−グリセロ−D−ガラクトヘプトース、D−グリセロ−D−ガラクトヘプチトール等のヘプトースおよびその糖アルコール類;D−エリトロ−D−ガラクトオクチトール等のオクトースおよびその糖アルコール類;D−エリトロ−L−グルコ−ノヌロース等のノノースおよびその糖アルコール類が挙げられる。
オリゴ糖類としては、例えば、サッカロース、トレハロース、ラクトース等の二糖類;ラフィノース等の三糖類が挙げられる。
多糖類としては、例えば、アミロース、アラビナン、シクロデキストリン、アルギン酸セルロースが挙げられる。
【0041】
本発明において、「配糖体」とは、糖部分と非糖部分がエーテル結合等を介して結合している化合物をいう。
配糖体は非糖部分により分類することができる。例えば、アルキル配糖体、フェノール配糖体、クマリン配糖体、オキシクマリン配糖体、フラボノイド配糖体、アントラキノン配糖体、トリテルペン配糖体、ステロイド配糖体、からし油配糖体が挙げられる。
糖部分としては、上述した単糖類およびその糖アルコール;オリゴ糖類;多糖類が挙げられる。中でも、単糖類、オリゴ糖類が好ましく、単糖類、二糖類がより好ましい。
好ましい配糖体の例として、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
【0042】
【化1】
【0043】
上記式(I)中、Rは、炭素原子数1〜20の直鎖のまたは分枝を有する、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を表す。
炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル基が挙げられ、これらは直鎖であっても、分枝を有していてもよく、また、環状アルキル基であってもよい。
炭素原子数1〜20のアルケニル基としては、例えば、アリル、2−ブテニル基が挙げられ、これらは直鎖であっても、分枝を有していてもよく、また、環状アルケニル基であってもよい。
炭素原子数1〜20のアルキニル基としては、例えば、1−ペンチニル基が挙げられ、これらは直鎖であっても、分枝を有していてもよく、また、環状アルキニル基であってもよい。
【0044】
上記式(I)で表される具体的な化合物としては、例えば、メチルグルコシド、エチルグルコシド、プロピルグルコシド、イソプロピルグルコシド、ブチルグルコシド、イソブチルグルコシド、n−ヘキシルグルコシド、オクチルグルコシド、カプリルグルコシド、デシルグルコシド、2−エチルヘキシルグルコシド、2−ペンチルノニルグルコシド、2−ヘキシルデシルグルコシド、ラウリルグルコシド、ミリスチルグルコシド、ステアリルグルコシド、シクロヘキシルグルコシド、2−ブチニルグルコシドが挙げられる。これらの化合物は、配糖体の一種であるグルコシドで、ブドウ糖のヘミアセタールヒドロキシル基が他の化合物をエーテル状に結合したものであり、例えば、グルコースとアルコール類とを反応させる公知の方法により得ることができる。これらのアルキルグルコシドの一部は、ドイツHenkel社により商品名グルコポン(GLUCOPON)として市販されており、本発明ではそれを用いることができる。
【0045】
好ましい配糖体の別の例としては、サポニン類、ルチントリハイドレート、ヘスペリジンメチルカルコン、ヘスペリジン、ナリジンハイドレート、フェノール−β−D−グルコピラノシド、サリシン、3´,5,7−メトキシ−7−ルチノシドが挙げられる。
【0046】
糖類化合物を含有する水溶液のpHは、8〜11であるのが好ましく、水酸化カリウム、硫酸、炭酸、炭酸ナトリウム、リン酸、リン酸ナトリウム等を用いて上記pH範囲に調整することができる。
【0047】
ポリビニルホスホン酸の水溶液は、濃度が0.1〜5質量%であるのが好ましく、0.2〜2.5%であるのがより好ましい。浸せき温度は10〜70℃であるのが好ましく、30〜60℃であるのがより好ましい。浸せき時間は1〜20秒であるのが好ましい。
また、スルホン酸基を有する化合物の水溶液は、濃度が0.02〜0.2質量%であるのが好ましい。浸せき温度は60〜100℃であるのが好ましい。浸せき時間は1〜300秒であるのが好ましく、10〜100秒であるのがより好ましい。
更に、糖類化合物の水溶液は、濃度が0.5〜10質量%であるのが好ましい。浸せき温度は40〜70℃であるのが好ましい。浸せき時間は2〜300秒であるのが好ましく、5〜30秒であるのがより好ましい。
【0048】
本発明では、親水性化合物を含有する水溶液として、上述したような有機化合物の水溶液のほかに、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液、フッ化ジルコニウムカリウム(K2 ZrF6 )水溶液、リン酸塩/無機フッ素化合物を含む水溶液等の無機化合物水溶液も好適に用いられる。
【0049】
アルカリ金属ケイ酸塩水溶液処理は、好ましくは濃度が0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜10質量%であり、25℃でのpHが好ましくは10〜13であるアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に、支持体を、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜90℃で、好ましくは0.5〜40秒間、より好ましくは1〜20秒間浸せきすることにより行う。
【0050】
親水性表面処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩は、例えば、上述したフッ素化合物及びケイ酸化合物のうちの少なくともいずれかを含有する封孔処理液に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩として列挙したものが挙げられる。
アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、pHを高くするために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化物を適当量含有してもよい。中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第IVB族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、上述したフッ素化合物及びケイ酸化合物のうちの少なくともいずれかを含有する封孔処理液が含有してもよいアルカリ土類金属塩として列挙したものが挙げられる。アルカリ土類金属塩および4族(第IVB族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0051】
フッ化ジルコニウムカリウム水溶液処理は、好ましくは濃度が0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜2質量%のフッ化ジルコニウムカリウムの水溶液に、支持体を、好ましくは30〜80℃で、好ましくは60〜180秒間浸せきすることにより行う。
【0052】
リン酸塩/無機フッ素化合物処理は、好ましくはリン酸塩化合物濃度が5〜20質量%、無機フッ素化合物濃度が0.01〜1質量%であり、好ましくはpHが3〜5の水溶液に、支持体を、好ましくは20〜100℃、より好ましくは40〜80℃で、好ましくは2〜300秒間、より好ましくは5〜30秒間浸せきすることにより行う。
【0053】
本発明に用いられるリン酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属のリン酸塩が挙げられる。
具体的には、例えば、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸一カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸鉛、リン酸二アンモニウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸リチウム、リンタングステン酸、リンタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸ナトリウム、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸ナトリウム;亜リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムが挙げられる。中でも、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムが好ましい。
【0054】
また、親水性表面処理に用いられる無機フッ素化合物としては、金属フッ化物が好適に挙げられる。
具体的には、例えば、上述したフッ素化合物及びケイ酸化合物のうちの少なくともいずれかを含有する封孔処理液に用いられるフッ素化合物として列挙したものが挙げられる。
リン酸塩/無機フッ素化合物処理に用いられる水溶液は、リン酸塩および無機フッ素化合物をそれぞれ1種または2種以上含有することができる。
支持体は、これらの親水性化合物を含有する水溶液へ浸せきした後には、水等によって洗浄され、乾燥される。
【0055】
[下塗層]
上記のようにして得られた本発明のアルミニウム支持体(基板)上に、赤外線レーザー露光により書き込み可能な記録層(以下、感熱層ともいう)を設ける前に、必要に応じて、例えば、ホウ酸亜鉛等の水溶性金属塩のような無機下塗層や、有機下塗層を設けてもよい。
【0056】
有機下塗層に用いられる有機化合物としては、例えば、カルボキシメチルセルロース;デキストリン;アラビアガム;スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体;ポリアクリル酸;2−アミノエチルホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類;置換基を有していてもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸、エチレンジホスホン酸等の有機ホスホン酸;置換基を有していてもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸、グリセロリン酸等の有機リン酸;置換基を有していてもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸、グリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸;グリシン、β−アラニン等のアミノ酸類;トリエタノールアミンの塩酸塩等のヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩;黄色染料が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0057】
有機下塗層は、以下のような方法で設けることができる。即ち、水もしくはメタノール、エタノール、メチルエチルケトン等の有機溶媒、またはそれらの混合溶剤に、上記有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム支持体上に塗布し乾燥して有機下塗層を設ける方法、水もしくはメタノール、エタノール、メチルエチルケトン等の有機溶媒、またはそれらの混合溶剤に、上記有機化合物を溶解させた溶液にアルミニウム支持体を浸せきさせて上記有機化合物を吸着させ、しかる後、水等によって洗浄し乾燥して有機下塗層を設ける方法によることができる。
【0058】
前者の方法では、上記有機化合物を溶解させた溶液の濃度は、0.005〜10質量%であるのが好ましい。塗布の方法は、特に限定されず、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布等のいずれの方法も用いることができる。また、後者の方法では、上記有機化合物を溶解させた溶液の濃度は、0.01〜20質量%であるのが好ましく、0.05〜5質量%であるのがより好ましく、浸せき温度は、20〜90℃であるのが好ましく、25〜50℃であるのがより好ましく、浸せき時間は、0.1秒〜20分であるのが好ましく、2秒〜1分であるのがより好ましい。これらの方法に用いられる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウム等の塩基性物質や、塩酸、リン酸等の酸性物質によりpHを調節し、pH1〜12の範囲として使用することもできる。
【0059】
有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/m2 であるのが好ましく、5〜100mg/m2 であるのがより好ましい。上記範囲であると、耐刷性がより良好になる。
また、特開平11−109637号公報に記載されている酸基とオニウム基とを有する高分子化合物の中間層を下塗層として用いることもできる。
【0060】
[感熱層]
本発明の平版印刷版用支持体を用いる平版印刷版用原版は、上記のようにしてアルミニウム支持体上に設けられた無機化合物層または必要に応じて設けられた下塗層の上に、以下の感熱層が形成されてなる。
本発明の平版印刷版用支持体を用いる感熱層は、赤外線レーザー露光により画像形成することができる感熱層であれば、特に限定されない。例えば、熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーまたは熱反応性官能基を有する化合物を内包したマイクロカプセルを含有する感熱層や、赤外線吸収剤と水に不溶でありアルカリ水溶液に可溶である高分子化合物とを含有し、赤外線レーザー露光によりアルカリ現像液に対する可溶性が変化し、赤外線レーザーの照射により書き込みすることができる感熱層が挙げられる。
以下、本発明の平版印刷版用支持体を用いる平版印刷版用原版について、熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーまたは熱反応性官能基を有する化合物を内包したマイクロカプセルを含有する感熱層を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0061】
本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版用原版の感熱層が、 熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーまたは熱反応性官能基を有する化合物を内包したマイクロカプセルを含有するのは好ましい態様の一つである。
【0062】
上記熱反応性官能基としては、例えば、重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基)、付加反応を行うイソシアネート基またはそのブロック体およびその反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基)、同じく付加反応を行うエポキシ基およびその反応相手であるアミノ基、カルボキシル基またはヒドロキシル基、縮合反応を行うカルボキシル基とヒドロキシル基またはアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物とアミノ基またはヒドロキシル基、熱分解してヒドロキシル基などと反応するジアゾニウム基が挙げられる。本発明に用いられる熱反応性官能基は、これらに限定されず、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよい。
【0063】
上記微粒子ポリマーに好適な熱反応性官能基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリルロイル基、ビニル基、アリル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基、酸無水物基およびそれらを保護した基が挙げられる。熱反応性官能基のポリマー粒子への導入は、ポリマーの重合時に行ってもよいし、重合後に高分子反応を利用して行ってもよい。
【0064】
熱反応性官能基をポリマーの重合時に導入する場合は、熱反応性官能基を有するモノマーを用いて乳化重合または懸濁重合を行うのが好ましい。必要に応じて、熱反応性官能基を有しないモノマーを共重合成分として加えることもできる。
熱反応性官能基を有するモノマーの具体例としては、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−イソシアネートエチルメタクリレートまたはそのアルコールなどによるブロックイソシアネート、2−イソシアネートエチルアクリレートまたはそのアルコールなどによるブロックイソシアネート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、二官能アクリレート、二官能メタクリレートが挙げられる。本発明に用いられる熱反応性官能基を有するモノマーは、これらに限定されない。
これらのモノマーと共重合可能な、熱反応性官能基を有しないモノマーとしては、例えば、スチレン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニルが挙げられる。本発明に用いられる熱反応性官能基を有しないモノマーは、これらに限定されない。
【0065】
熱反応性官能基をポリマーの重合後に導入する場合に用いられる高分子反応としては、例えば、国際公開第96/34316号パンフレットに記載されている高分子反応が挙げられる。
【0066】
上記微粒子ポリマーの中でも、微粒子ポリマー同士が熱により合体するものが好ましく、その表面が親水性で水に分散するものがより好ましい。また、微粒子ポリマーのみを塗布し、凝固温度よりも低い温度で乾燥して作製したときの皮膜の接触角(空中水滴)が、凝固温度よりも高い温度で乾燥して作製したときの皮膜の接触角(空中水滴)よりも低くなることが好ましい。
このように微粒子ポリマーの表面を親水性にするには、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の親水性ポリマーもしくはオリゴマー、または親水性低分子化合物を微粒子ポリマーの表面に吸着させればよいが、これらに限定されるものではない。
【0067】
上記微粒子ポリマーの凝固温度は、70℃以上であるのが好ましいが、経時安定性を考えると100℃以上であるのがより好ましい。
上記微粒子ポリマーの平均粒径は、0.01〜20μmであるのが好ましいが、その中でも0.05〜2.0μmであるのがより好ましく、0.1〜1.0μmであるのが好ましい。平均粒径が大きすぎると解像度が悪くなる場合があり、小さすぎると経時安定性が悪くなる場合がある。
上記微粒子ポリマーの添加量は、感熱層固形分の50質量%以上であるのが好ましく、60質量%以上であるのがより好ましい。
【0068】
上記マイクロカプセルに好適な熱反応性官能基としては、例えば、重合性不飽和基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、イソシアネートブロック体が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0069】
重合性不飽和基を有する化合物としては、エチレン性不飽和結合、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物であるのが好ましい。そのような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定されずに用いることができる。これらは、化学的形態としては、モノマー、プレポリマー、即ち、二量体、三量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物、およびそれらの共重合体である。
【0070】
具体的には、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸)、そのエステルおよびアミドが挙げられる。中でも、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルおよび不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミンとのアミドが好ましい。
また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたは不飽和カルボン酸アミドと単官能もしくは多官能のイソシアネートまたはエポキシドとの付加反応物、および、単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に用いられる。
また、イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多官能のアルコール、アミンまたはチオールとの付加反応物、および、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多官能アルコール、アミンまたはチオールとの置換反応物も好適である。
また、別の好適な例として、上記の不飽和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸またはクロロメチルスチレンに置き換えた化合物が挙げられる。
【0071】
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルである重合性化合物のうち、アクリル酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリス(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマーが挙げられる。
【0072】
メタクリル酸エステルとしては、例えば、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタンが挙げられる。
【0073】
イタコン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネートが挙げられる。
【0074】
クロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネートが挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレートが挙げられる。
【0075】
その他のエステルとしては、例えば、特公昭46−27926号公報、同51−47334号公報、特開昭57−196231号公報に記載されている脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、同59−5241号公報、特開平2−226149号公報に記載されている芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載されているアミノ基を含有するものが挙げられる。
【0076】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミドが挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーとしては、例えば、特公昭54−21726号公報に記載されているシクロへキシレン構造を有するものが挙げられる。
【0077】
また、イソシアネートとヒドロキシル基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、具体的には、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(II)で示されるヒドロキシル基を有する不飽和モノマーを付加させて得られる、1分子中に2個以上の重合性不飽和基を含有するウレタン化合物が挙げられる。
【0078】
CH2 =C(R1 )COOCH2 CH(R2 )OH (II)
(ただし、R1 およびR2 は、それぞれHまたはCH3 を表す。)
【0079】
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、同2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレートや、特公昭58−49860号公報、同56−17654号公報、同62−39417号公報、同62−39418号公報に記載されているエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物も好適なものとして挙げられる。
【0080】
更に、特開昭63−277653号公報、同63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載されている、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物も好適なものとして挙げられる。
【0081】
その他の好適なものの例としては、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、同52−30490号公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートが挙げられる。また、特公昭46−43946号公報、特公平1−40337号公報、同1−40336号公報に記載されている特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報に記載されているビニルホスホン酸系化合物等も好適なものとして挙げられる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報に記載されているペルフルオロアルキル基を含有する化合物も好適に挙げられる。更に、日本接着協会誌、20巻7号、p.300〜308(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも好適に例示される。
【0082】
好適なエポキシ化合物としては、例えば、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノール類もしくはポリフェノール類またはそれらの水素添加物のポリグリシジルエーテルが挙げられる。
【0083】
好適なイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、または、それらをアルコールもしくはアミンでブロックした化合物が挙げられる。
【0084】
好適なアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポリエチレンイミンが挙げられる。
【0085】
好適なヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、末端メチロール基を有する化合物、ペンタエリスリトール等の多価アルコール、ビスフェノール・ポリフェノール類が挙げられる。
好適なカルボキシル基を有する化合物としては、例えば、ピロメリット酸、トリメリット酸、フタル酸等の芳香族多価カルボン酸、アジピン酸等の脂肪族多価カルボン酸が挙げられる。
ヒドロキシル基やカルボキシル基を有する好適な化合物としては、上記のほかに、例えば、特公昭54−19773号公報、同55−34929号公報、同57−43890号公報に記載されている、公知のPS版のバインダーとして知られている化合物も挙げられる。
好適な酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物が挙げられる。
【0086】
エチレン状不飽和化合物の共重合体の好適なものとしては、例えば、アリルメタクリレートの共重合体が挙げられる。具体的には、例えば、アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、アリルメタクリレート/エチルメタクリレート共重合体、アリルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0087】
ジアゾ樹脂としては、ジアゾジフェニルアミン・ホルマリン縮合樹脂の六フッ化リン酸塩や芳香族スルホン酸塩などが好適である。
【0088】
マイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えば、マイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2,800,457号明細書、同第2,800,458号明細書に記載されているコアセルベーションを利用した方法、英国特許第99,0443号明細書、米国特許第3,287,154号明細書、特公昭38−19574号公報、同42−446号公報、同42−711号公報に記載されている界面重合法による方法、米国特許第3,418,250号明細書、同第3,660,304号明細書に記載されているポリマーの析出による方法、米国特許第3,796,669号明細書に記載されているイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3,914,511号明細書に記載されているイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4,001,140号明細書、同第4,087,376号明細書、同第4,089,802号明細書に記載されている尿素−ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4,025,445号明細書に記載されているメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号公報、同51−9079号公報に記載されているモノマー重合によるin situ法、英国特許第930,422号明細書、米国特許第3,111,407号明細書に記載されているスプレードライング法、英国特許第952,807号明細書、同第967,074号明細書に記載されている電解分散冷却法が挙げられる。
【0089】
上記マイクロカプセルに好適に用いられるマイクロカプセル壁は、三次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、またはこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に熱反応性官能基を有する化合物を導入してもよい。
【0090】
上記マイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜20μmであるのが好ましく、0.05〜2.0μmであるのがより好ましく、0.10〜1.0μmであるのが特に好ましい。平均粒径が大きすぎると解像度が悪く、また小さすぎると経時安定性が悪くなってしまう。
【0091】
上記マイクロカプセルは、カプセル同士が熱により合体してもよいし、合体しなくてもよい。要は、マイクロカプセル内包物のうち、塗布時にカプセル表面もしくはマイクロカプセル外ににじみ出したもの、または、マイクロカプセル壁に浸入したものが、熱により化学反応を起こせばよい。添加された親水性樹脂、または、添加された低分子化合物と反応してもよい。また、2種以上のマイクロカプセルに、それぞれ異なる官能基で互いに熱反応するような官能基をもたせることによって、マイクロカプセル同士を反応させてもよい。
したがって、熱によってマイクロカプセル同士が、熱で溶融合体することは画像形成上好ましいことであるが、必須ではない。
【0092】
上記マイクロカプセルの感熱層への添加量は、固形分換算で、10〜60質量%であるのが好ましく、15〜40質量%であるのがより好ましい。上記範囲であると、良好な機上現像性と同時に、良好な感度および耐刷性が得られる。
【0093】
上記マイクロカプセルを感熱層に添加する場合、内包物が溶解し、かつ、壁材が膨潤する溶剤をマイクロカプセル分散媒中に添加することができる。このような溶剤によって、内包された熱反応性官能基を有する化合物の、マイクロカプセル外への拡散が促進される。
このような溶剤は、マイクロカプセル分散媒、マイクロカプセル壁の材質、壁厚および内包物に依存するが、多くの市販されている溶剤から容易に選択することができる。例えば、架橋ポリウレア、ポリウレタン壁からなる水分散性マイクロカプセルの場合、アルコール類、エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン類、多価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類等が好ましい。
【0094】
具体的には、例えば、メタノール、エタノール、第三ブタノール、n−プロパノール、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。また、これらの溶剤を2種以上併用してもよい。
【0095】
マイクロカプセル分散液には溶解しないが、上記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いることができる。添加量は、素材の組み合わせにより決まるものであるが、通常、塗布液の5〜95質量%であるのが好ましく、10〜90質量%であるのがより好ましく、15〜85質量%であるのが特に好ましい。
【0096】
このように、感熱層に熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー、または、熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルを用いる場合には、必要に応じてこれらの反応を開始しまたは促進する化合物を添加してもよい。反応を開始しまたは促進する化合物としては、例えば、熱によりラジカルまたはカチオンを発生するような化合物が挙げられる。具体的には、例えば、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合物、過酸化物、アゾ化合物、ジアゾニウム塩またはジフェニルヨードニウム塩などを含んだオニウム塩、アシルホスフィン、イミドスルホナートが挙げられる。
これらの化合物は、感熱層固形分の1〜20質量%の範囲で添加するのが好ましく、3〜10質量%の範囲であるのがより好ましい。上記範囲内であると、機上現像性を損なわず、良好な反応開始効果または反応促進効果が得られる。
【0097】
このような感熱層には親水性樹脂を添加してもよい。親水性樹脂を添加することにより機上現像性が良好となるばかりか、感熱層自体の皮膜強度も向上する。
親水性樹脂としては、ヒドロキシル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、カルボキシル基、カルボキシラト基、スルホ基、スルホナト基、リン酸基等の親水基を有するものが好ましい。
【0098】
親水性樹脂の具体例としては、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0099】
親水性樹脂の感熱層への添加量は、感熱層固形分の5〜40質量%であるのが好ましく、10〜30質量%であるのがより好ましい。上記範囲内であると、良好な機上現像性と皮膜強度が得られる。
【0100】
このような感熱層には、更に必要に応じて上記以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、耐刷力を一層向上させるために多官能モノマーを感熱層マトリックス中に添加することができる。そのような多官能モノマーとしては、マイクロカプセル中に入れられるモノマーとして例示したものを用いることができる。特に好ましいモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられる。
【0101】
また、このような感熱層には、画像形成後、画像部と非画像部との区別をつけやすくするため、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業社製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)、特開昭62−293247号公報に記載されている染料が挙げられる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。添加量は、感熱層塗布液全固形分に対し0.01〜10質量%であるのが好ましい。
【0102】
また、感熱層塗布液の調製中または保存中においてエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。適当な熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01〜5質量%であるのが好ましい。
【0103】
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸やその誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感熱層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸やその誘導体の添加量は、感熱層固形分の約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
【0104】
更に、このような感熱層には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加えることができる。可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリルが挙げられる。
【0105】
このような感熱層は、必要な上記各成分を溶剤に溶かして塗布液を調製し、支持体上に塗布される。ここで使用する溶剤としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独でまたは混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
【0106】
また、塗布し乾燥した後に得られる支持体上の感熱層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.5〜5.0g/m2 であるのが好ましい。上記範囲より塗布量が少なくなると、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす感熱層の皮膜特性は低下する。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布が挙げられる。
【0107】
感熱層塗布液には、塗布性を向上させるための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。添加量は、感熱層全固形分の0.01〜1質量%であるのが好ましく、0.05〜0.5質量%であるのがより好ましい。
【0108】
[オーバーコート層]
本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版用原版においては、親油性物質による感熱層表面の汚染防止のため、上記感熱層上に、水溶性オーバーコート層を設けることができる。
水溶性オーバーコート層は、印刷時に容易に除去することができるものであり、水溶性の有機高分子化合物から選ばれる樹脂を含有する。水溶性の有機高分子化合物は、塗布乾燥によってできた被膜がフィルム形成能を有するものであり、具体的には、例えば、ポリ酢酸ビニル(ただし、加水分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリルアミドおよびその共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドンおよびその共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、アラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ)およびその変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリンが挙げられる。また、目的に応じて、これらの樹脂を二種以上混合して用いることもできる。
【0109】
また、オーバーコート層には、水溶性または水分散性の光熱変換剤を添加してもよい。更に、水溶液塗布の場合には、塗布の均一性を確保する目的で、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル等の非イオン系界面活性剤をオーバーコート層に添加することができる。
オーバーコート層の乾燥塗布量は、0.1〜2.0g/m2であるのが好ましい。上記範囲であると、機上現像性を損なわず、指紋付着汚れ等の親油性物質による感熱層表面の汚染を良好に防止することができる。
【0110】
本発明においては、感熱層が、熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーまたは熱反応性官能基を有する化合物を内包したマイクロカプセルを含有する感熱層である場合には、感熱層、オーバーコート層および下塗層のうち少なくとも一つの層が、赤外線を吸収して発熱する光熱変換剤を含有することが好ましい。光熱変換剤を含有することによって、赤外線吸収効率を高め、感度を向上させることができる。
光熱変換剤は、700〜1200nmの少なくとも一部に吸収帯を有する光吸収物質であればよく、種々の顔料、染料および金属微粒子を用いることができる。
【0111】
顔料としては、市販の顔料、ならびに、カラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)および「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている赤外吸収性の顔料を用いることができる。
【0112】
これらの顔料は、添加される層に対する分散性を向上させるため、必要に応じて公知の表面処理を施して用いることができる。表面処理の方法としては、例えば、親水性樹脂や親油性樹脂を表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シリカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤、エポキシ化合物、イソシアネート化合物)を顔料表面に結合させる方法が挙げられる。
オーバーコート層に添加する顔料は、水溶性の樹脂と分散しやすく、かつ、親水性を損わないように、親水性樹脂やシリカゾルで表面がコートされたものが好ましい。顔料の粒径は、0. 01〜1μmの範囲にあるのが好ましく、0.01〜0.5μmの範囲にあるのがより好ましい。顔料を分散する方法としては、インク製造、トナー製造等に用いられる公知の分散技術を用いることができる。
特に好ましい顔料としては、カーボンブラックが挙げられる。
【0113】
染料としては、市販の染料および、文献(例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)、「化学工業」1986年5月号p.45〜51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」(CMC出版、1990年刊)第2章2.3項、各種特許文献)に記載されている公知の染料を用いることができる。
具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、ポリメチン染料、シアニン染料等の赤外線吸収染料が好ましい。
【0114】
更に、例えば、特開昭58−125246号公報、同59−84356号公報、同60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号公報、同58−181690号公報、同58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号公報、同58−224793号公報、同59−48187号公報、同59−73996号公報、同60−52940号公報、同60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム染料、英国特許第434,875号明細書に記載されているシアニン染料、米国特許第4,756,993号明細書に記載されている染料、米国特許第4,973,572号明細書に記載されているシアニン染料、特開平10−268512号公報に記載されている染料が挙げられる。
【0115】
また、染料として米国特許第5,156,938号明細書に記載されている近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書に記載されている置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号に記載されているトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号公報、同58−220143号公報、同59−41363号公報、同59−84248号公報、同59−84249号公報、同59−146063号公報、同59−146061号公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記載されているシアニン染料、米国特許第4,283,475号明細書に記載されているペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号公報、同5−19702号公報に記載されているピリリウム化合物、エポリン社製のエポライトIII−178、エポライトIII−130、エポライトIII−125等も好適に用いられる。
これらの中でも、オーバーコート層、感熱層のバインダーポリマーまたは下塗層に添加するのに好ましい染料は水溶性染料である。以下に具体例を示す。
【0116】
【化2】
【0117】
【化3】
【0118】
感熱層のマイクロカプセルの親油性の熱反応性官能基を有する化合物とともに用いられる光熱変換剤としては、前記の赤外線吸収染料を用いることもできるが、親油性の染料を用いるのがより好ましい。具体例として、以下のシアニン染料が挙げられる。
【0119】
【化4】
【0120】
感熱層には、光熱変換剤として金属微粒子も用いることができる。金属微粒子の多くは光熱変換性であって、かつ、自己発熱性である。好ましい金属微粒子として、例えば、Si、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、Ag、Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、W、Te、Pb、Ge、Re、Sbの単体もしくは合金、または、それらの酸化物もしくは硫化物の微粒子が挙げられる。
これらの金属微粒子を構成する金属の中でも好ましい金属は、光照射時に熱による合体をしやすい、融点が約1000℃以下で赤外、可視または紫外線領域に吸収をもつ金属、例えば、Re、Sb、Te、Au、Ag、Cu、Ge、Pb、Snである。
また、特に好ましいのは、融点も比較的低く、赤外線に対する吸光度も比較的高い金属の微粒子、例えば、Ag、Au、Cu、Sb、Ge、Pbで、最も好ましい元素としては、Ag、Au、Cuが挙げられる。
【0121】
また、例えば、Re、Sb、Te、Au、Ag、Cu、Ge、Pb、Sn等の低融点金属の微粒子と、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、W、Ge等の自己発熱性金属の微粒子とを混合使用するなど、2種以上の光熱変換物質で構成されていてもよい。また、Ag、Pt、Pd等の、微小片としたときに光吸収が特に大きい金属種の微小片と他の金属微小片とを組み合わせて用いることも好ましい。
【0122】
これらの粒子の粒径は、10μm以下であるのが好ましく、0.003〜5μmであるのがより好ましく、0.01〜3μmであるのが特に好ましい。微小であるほど、凝固温度は低下する。即ち、ヒートモードの光感度が高くなって好都合であるが、粒子の分散が難しい。一方、10μm以上であると、印刷物の解像度が悪くなる場合がある。
【0123】
顔料系および染料系の光熱変換剤の場合、その添加割合は、感熱層中に30質量%までの範囲で添加するのが好ましく、5〜25質量%の範囲であるのがより好ましく、7〜20質量%の範囲であるのが特に好ましい。オーバーコート層に添加する場合は、オーバーコート層固形分の1〜70質量%であるのが好ましく、2〜50質量%であるのがより好ましい。
上記範囲であると、良好な感度が得られるが、オーバーコート層に光熱変換剤を添加する場合は、その添加量に応じて、感熱層および下塗層の光熱変換剤の添加量を減少させたり、無添加にしたりすることができる。
【0124】
これらの金属微粒子を光熱変換剤として用いる場合、その添加量は、感熱層固形分の10質量%以上であるのが好ましく、20質量%以上であるのがより好ましく、30質量%以上であるのが特に好ましい。10質量%未満であると、感度が低くなってしまう場合がある。
【0125】
本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版用原板は、熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯等の高照度フラッシュ露光、赤外線ランプ露光等を用いることができるが、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザー、YAGレーザー等の固体高出力赤外線レーザーによる露光が好適である。
本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷用原板は、水または適当な水溶液を現像液とする現像をした後、印刷に用いることもできる。
また、感熱層として、熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーまたは熱反応性官能基を有する化合物を内包したマイクロカプセルを含有する感熱層を用いる場合には、それ以上の処理なしに印刷機に装着し、インキと湿し水を用いて通常の手順で印刷することができる。その場合には、特許第2938398号明細書に記載されているように、印刷機シリンダー上に取り付けた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、その後に湿し水および/またはインクをつけて機上現像することもできる。
【0126】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
(実施例1)
1.平版印刷版用支持体の調製
板厚0.24mmのJIS A1050に規定されるアルミニウム板を用い、以下の処理を順次施してアルミニウム支持体を作製した。
【0127】
(a)アルカリ剤によるエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2 溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(b)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
【0128】
(c)電気化学的な粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、温度50℃であった。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は図3に示すものを2個使用した。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で270C/dm2 であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0129】
(d)エッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を0.2g/m2 溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行い、乾燥して基板1を得た。
【0130】
(f)陽極酸化処理
硫酸濃度170g/Lの水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%を含む。)を陽極酸化溶液として用いて、直流電圧を用い、電流密度5A/dm2 、温度43℃、33秒の条件でアルミニウム板の陽極酸化処理を行い、陽極酸化皮膜を形成した。陽極酸化処理液の濃度は、あらかじめ硫酸濃度とアルミニウムイオン濃度と温度と比重と液の導電率との関係から作成したテーブルを参照して、温度、比重および導電率から液濃度を求め、フィードバック制御によって水と50質量%硫酸とを添加して、一定に保った。その後、スプレーによって水洗を行った。
陽極酸化皮膜量は3g/m2であった。
(g)ポアワイド処理
陽極酸化処理後の基板1をpH13の水酸化ナトリウム水溶液に、温度50℃で30秒間浸せきし、その後、水洗を行い、乾燥してポアワイド処理を行った。
【0131】
(h)無機化合物粒子層の形成
ポアワイド処理後の基板1を陰極として、粒径10〜100nmのコロイダルアルミナ 粒子(日産化学製、AS200,熱伝導率36W/(m・K))を0.5質量%含有する水懸濁液をバーコーターを用いて乾燥後の塗布量が0.05g/m2になるように塗布し、オーブンを用いて100℃で2分間乾燥し無機化合物粒子層を形成した。
(i)封孔処理
無機化合物粒子層形成後の基板1を3号ケイ酸ナトリウムの10質量%水溶液中に連続的に浸せきすることで封孔処理を行った。処理液温度は70℃、浸せき処理時間は14秒であった。その後、スプレーによる水洗を行い、乾燥して、陽極酸化皮膜上に無機化合物層を設けてなる平版印刷版用支持体を得た。
【0132】
(j)感熱層の形成
以下に示すように、上記で得られた平版印刷版用支持体に感熱層塗布液を塗布し、乾燥して平版印刷版用原版を得た。
下記組成の感熱層塗布液を調製し、上記で得られた平版印刷版用支持体に、この感熱層塗布液1をバーコーターを用いて、乾燥後の塗布量(感熱層塗布量)が0.7g/m2 になるよう塗布し、オーブンを用いて100℃で60秒間乾燥して感熱層を形成させ、平版印刷版用原版を得た。
【0133】
<感熱層塗布液組成>
・後述するマイクロカプセル液 25g(固形分5g)
・トリメチロールプロパントリアクリレート 3g
・本明細書記載の赤外線吸収染料(IR−11) 0.3g
・水 60g
・1−メトキシ−2−プロパノール 1g
【0134】
<マイクロカプセル>
キシレンジイソシアネート40g、トリメチロールプロパンジアクリレート10g、アリルメタクリレートとブチルメタクリレートの共重合体(モル比7/3)10gおよび界面活性剤(パイオニンA41C、竹本油脂社製)0.1gを酢酸エチル60gに溶解させて、油相成分とした。一方、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ社製)の4%水溶液を120g調製し、水相成分とした。油相成分および水相成分をホモジナイザーに投入し、10000rpmで10分間で乳化させた。その後、水を40g添加し、室温で30分攪拌し、更に40℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は20質量%であり、マイクロカプセルの平均粒径は0.5μmであった。
【0135】
(実施例2)
上記(i)封孔処理において、上述した3号ケイ酸ナトリウムの10質量%水溶液よる処理の代わりに、NaF(4.5g)/Na2HPO4(585g)/水(3910g)の水溶液(pH4.3)に60℃で10秒間浸漬し、次いで(k)親水化処理として、3号ケイ酸ナトリウムの1質量%水溶液に30℃で60秒間浸漬し、その後、スプレーによる水洗、乾燥を行うことにより、前記のシリケート処理を行った以外は、実施例1と同様の方法により、平版印刷版用原版を得た。
【0136】
(比較例1)
下記表1に示すように、上記(f)陽極酸化処理において陽極酸化皮膜ポア径を10nmとし、上記(g)ポアワイド(PW)処理、(h)無機化合物粒子層の形成及び(i)の封孔処理の工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により、平版印刷版用原版を得た。
【0137】
(比較例2)
下記表1に示すように、上記(h)無機化合物粒子層の形成及び(i)の封孔処理の工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により、平版印刷版用原版を得た。
【0138】
(比較例3〜7)
下記表1に示すように、上記(h)無機化合物粒子層の形成及び(i)封孔処理において、異なった無機化合物粒子層を設けたこと、封孔処理の有無、及び封孔処理液の種類を変化させた以外は、実施例1及び2と同様の方法により、平版印刷版用原版を得た。
【0139】
(比較例8〜9)
下記表1に示すように、上記(i)封孔処理を行わなかったこと及び親水化処理液の種類が異なる以外は、実施例1及び2と同様の方法により、平版印刷版用原版を得た。
【0140】
(比較例10)
下記表1に示すように、上記(i)封孔処理において、上述した3号ケイ酸ナトリウムの10質量%水溶液よる処理の代わりに、H2SO4 の300g/リットル水溶液に30℃で60秒間浸せきし、その後、スプレーによる水洗、乾燥を行い、次いで(k)親水化処理として、前記のシリケート処理を行った以外は、実施例1及び2と同様の方法により、平版印刷版用原版を得た。
【0141】
1.平版印刷版用支持体の陽極酸化皮膜と無機化合物層のマイクロポア径
各平版印刷版用原版について、現像処理後の非画像部の支持体表面のマイクロポア径を、走査型電子顕微鏡(S−900、日立製作所社製)によって、加速電圧12kV、蒸着なしの条件で、倍率15万倍で観察したSEM写真から求めた。無作為に選んだ50個のマイクロポアについての平均値をマイクロポア径として、表1に示した。
【0142】
2.F及びSiの濃度の評価法
作成した陽極酸化皮膜層(無機化合物層を含む)についてマイクロオージェ測定装置(日本アルバックファイ製オージェ分析装置;SAM−Model 680)を用いて表層から少しづつAr+を用い加速電圧3kV、エッチングレート30nm/min(SiO2換算)でエッチングし、30秒おきに測定を行いながらF(フッ素)及びSi(ケイ素)の深さ方向分布を測定し、陽極酸化皮膜中心部での両元素の量と表層部分(無機化合物層)の量の比率を求めた。
【0143】
3.平版印刷版用原版の感度
各平版印刷版用原版をCREO社製プレートセッターTrendsetter3244F(192チャンネルのマルチビーム搭載)で、各種パラメーター(Sr、Sd、bmslopeおよびbmcurve)の調整を行った後、2400dpiで画像露光した。露光は、ドラム回転数および出力を段階的に変化させて行った。露光後、印刷機上で現像処理し、1%の網点を形成することができたエネルギー量を平版印刷版用原版の感度とした。結果は第1表に示した。
【0144】
4.親水性(接触角)測定
協和界面科学製接触角測定装置(CA−X)を用いて、支持体サンプルを油(スワゾール)中に浸漬し、水を滴下したときの支持体表面と水滴との接触角を測定し親水性を評価した。接触角が小さい方が親水性が高いことを意味する。
【0145】
5.耐刷性および払い枚数
露光した各平版印刷版用原版について、印刷機に取り付け、湿し水を供給した後、インキを供給することにより印刷機上で現像処理を行い、引き続いて印刷を行った。ここで、印刷機としては小森印刷機社製の印刷機スプリントを用い、インキとしては大日本インキ化学工業社製のGeos墨を用い、湿し水としては富士写真フイルム(株)製の湿し水EU−3の水希釈液(1:100)90vol%とイソプロパノール10vol%との混合物を用い、印刷する紙としては上質紙を用いた。
上記条件で印刷を行い、画像部にインキが着肉しなくなった枚数を測定して耐刷性の評価とした。結果は第1表に示した。
【0146】
また、平版印刷版を印刷機に取り付け、湿し水の供給とインキの供給と紙の供給とを同時に開始し、印刷物の非画像部に対応する領域におけるインキの付着がなくなり、汚れのない非画像部を形成するまでの損紙の枚数を測定して、払い枚数の評価とした。損紙の枚数が少ないほど優れる。結果は第1表に示した。
【0147】
第1表から明らかなように、本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版用原版(実施例1及び2)は、感度、親水性、払い枚数および耐刷性のすべてに優れる。
これに対して、無機化合物粒子層がない場合(比較例1および2)、粒子層はあるが、粒子の平均粒径が小さすぎまたは封孔処理無しの場合(比較例3,4、5、6、7、8および9)、封孔処理液が硫酸を用いて封孔処理がされている場合(比較例10)は、いずれも感度、親水性、払い枚数および耐刷性のうち少なくとも一つの性質において不満足なものであった。
【0148】
【表1】
【0149】
【発明の効果】
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法および平版印刷版用支持体は、上記のように、サーマルタイプの平版印刷版用原版用として、陽極酸化皮膜のマイクロポア上に、特定の無機化合物粒子層を設け、更に該無機化合物粒子を溶解し得る処理液で処理して該無機化合物粒子同志を融着させることにより、該無機化合物層による断熱効果とマイクロポアの空隙による断熱効果とを併有することができるため、感熱層からアルミニウム支持体への熱拡散が十分に抑制され、熱が効率よく画像形成に利用される。したがって、本発明によれば、高感度で耐刷性に優れ、かつ、非画像部の汚れの発生が抑制されているため、サーマルポジタイプおよびサーマルネガタイプのいずれの平版印刷版原版用原版にも好適に用いることができ、更には、機上現像タイプの平版印刷版原版用原版にも好適に用いることができる平版印刷版原版用支持体を得ることができ、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平版印刷版用支持体の断面模式図である。
【図2】本発明の平版印刷版用支持体に用いられるアルミニウム支持体の作成における電気化学的粗面化処理に用いられる交番波形電流波形図の一例を示すグラフである。
【図3】本発明の平版印刷版用支持体に用いられるアルミニウム支持体の作成における交流を用いた電気化学的粗面化処理におけるラジアル型セルの一例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 平版印刷版用支持体
2 アルミニウム板
3 陽極酸化皮膜層
4 陽極酸化皮膜層中のマイクロポア
5 マイクロポアの内径
6 無機化合物粒子
7 無機化合物粒子層
8 無機化合物粒子間のポア
11 アルミニウム板
12 ラジアルドラムローラ
13a、13b 主極
14 電解処理液
15 電解液供給口
16 スリット
17 電解液通路
18 補助陽極
19a、19b サイリスタ
20 交流電源
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版用支持体の製造方法および平版印刷版用支持体に関し、詳しくは、コンピュータ等のディジタル信号に基づいた赤外線走査露光による画像記録が可能であり、直接製版できるいわゆるダイレクト製版用の赤外線レーザ用平版印刷版用原版に用いられる平版印刷版用支持体の製造方法および平版印刷版用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像形成技術の発展に伴い、細くビームを絞ったレーザー光をその版面上に走査させ、文字原稿、画像原稿等を直接版面上に形成させ、フィルム原稿を用いず直接製版する技術が注目されている。
このような画像形成材料としては、感熱層中に存在する赤外線吸収剤がその光熱変換作用を発現し露光により発熱し、その熱により感熱層の露光部分がアルカリ可溶化しポジ画像を形成するいわゆるサーマルタイプのポジ型平版印刷版原版や、その熱によりラジカル発生剤や酸発生剤がラジカルや酸を発生させ、それによりラジカル重合反応や酸架橋反応が進行して不溶化しネガ型画像を形成するサーマルタイプのネガ型平版印刷版原版が挙げられる。即ち、このようなサーマルタイプの画像形成においては、レーザー光照射によって感熱層中で光熱変換物質により熱が発生してその熱が画像形成反応を引き起こすのである。
【0003】
しかしながら、粗面化され陽極酸化皮膜を形成されたアルミニウム支持体では、支持体の熱伝導率が感熱層に比べ極めて高いため、感熱層と支持体との界面付近で発生した熱は、画像形成に十分使用されないうちに支持体内部に拡散してしまい、その結果、感熱層と支持体の界面では次のようなことが起こる。
【0004】
まず、ポジ型感熱層においては、熱が支持体内部に拡散してアルカリ可溶化反応が不十分となると、本来の非画像部分に残膜が発生してしまうという低感度の問題があり、これはポジ型感熱層の本質的問題となっている。
また、このようなサーマルポジタイプの平版印刷版用原版においては、光熱変換機能を有する赤外線吸収剤が必須であるが、これらは分子量が比較的大きいため溶解性が低く、また、陽極酸化により生じたミクロな開口部に吸着して除去しにくいため、アルカリ現像液による現像工程において、残膜が発生しやすいという問題もある。
【0005】
一方、ネガ型感熱層においては、熱が支持体内部に拡散して感熱層支持体界面付近での感熱層の現像液不溶化が不十分になると、本来画像部となるべき部分で画像が十分にできずに現像時に流れてしまったり、たとえ画像様に形成できたとしても印刷時に容易に画像がはく離してしまったりするという問題がある。
【0006】
また、近年、露光後、そのまま印刷機に装着して印刷することができる平版印刷版原版について、多数の研究がなされ、種々の提案がなされている。例えば、熱による微粒子の合体で画像を形成する平版印刷版用原版が提案されている。
しかしながら、そのような平版印刷版用原版においては、アルミニウム支持体に熱が逃げるため感度が低いという問題や、微粒子の合体が不十分である場合、感熱層の画像部の強度が弱くなるために、耐刷性が不十分となるという問題があった。
【0007】
これらの問題に対処するため、感熱層で発生した熱がアルミニウム支持体に拡散することを抑制する観点から、陽極酸化皮膜のマイクロポアを大きくする試みがなされている。
また、同様の観点から、アルミニウム板に陽極酸化皮膜を設けてなるアルミニウム支持体を、熱水または無機塩もしくは有機塩を含む熱水溶液へ浸せきする方法、水蒸気浴に曝す方法等によって、マイクロポアを封孔する試みがなされている(例えば、特許文献1、2参照。)。
しかしながら、陽極酸化皮膜のマイクロポアを大きくする方法では、感度および耐刷性は向上するが、耐汚れ性が劣化してしまう。ここで、耐汚れ性とは、印刷途中で印刷を中断し、平版印刷版を印刷機上で放置した状態から印刷を再開した場合に、非画像部に汚れが発生しにくい性質をいう。一方、マイクロポアを封孔する方法では、耐汚れ性は向上するが、感度および耐刷性が劣化してしまう。したがって、いずれにおいても、十分満足のいくレベルには到達できていない。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−116548号公報(第8頁)
【特許文献2】
特開2002−116549号公報(第2頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、上記従来の技術の欠点を克服し、熱を効率よく画像形成に利用することができ、高感度で耐刷性に優れ、かつ、親水性、払い枚数が優れ非画像部の汚れの発生が抑制された平版印刷版用原版に用いられる平版印刷版用支持体の製造方法および平版印刷版用支持体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の製造方法による平版印刷版用支持体を採用することにより、上記課題が解決されることを見出した。
即ち、本発明は、以下の通りである。
(1)アルミニウム板を粗面化し陽極酸化皮膜を設けてなる支持体上に、該陽極酸化皮膜のポア径よりも大きい長径を有する無機化合物粒子の層を設け、さらに該無機化合物粒子を溶解し得る処理液で処理して該無機化合物粒子同志を融着させることを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
(2)前記処理液がフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかを含有するものであることを特徴とする前記(1)記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
(3)アルミニウム板を粗面化し陽極酸化皮膜を設けてなる支持体であって、該陽極酸化皮膜の上に無機化合物層を有し、該無機化合物層におけるポア径と該陽極酸化皮膜におけるポア径の比が1.5以上であり、かつ無機化合物層におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度と陽極酸化皮膜におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度の比が2以上であることを特徴とする平版印刷版用支持体。
【0011】
図1は、本発明の平版印刷版用支持体の断面模式図である。図1に示すように、本発明の平版印刷版用支持体1は、アルミニウム板2に陽極酸化皮膜層3を設けてなる支持体表面上に、陽極酸化皮膜層3中のマイクロポア4の内径5よりも大きい長径を有する無機化合物粒子6からなる無機化合物粒子層7を有する。陽極酸化皮膜3に存在するマイクロポア4の開口部は後述の無機化合物粒子層7によりふさがれているが、内部に空隙を有している。従来行われている封孔処理の場合には、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアはその内部までベーマイト処理による反応が進みその生成物により充填され、ほとんど空隙がなくなってしまう。本発明はマイクロポアの開口部のみを封孔し内部に空隙が残存している点で従来の封孔処理とは大きく異なる。
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法および平版印刷版用支持体は、上記のように、サーマルタイプの平版印刷版用原版用として、陽極酸化皮膜のマイクロポア上に、特定の粒子層を設け、更に該無機化合物粒子を溶解し得る処理液で処理して該無機化合物粒子同志を融着させることにより、粒子層による断熱効果とマイクロポアの空隙による断熱効果とを併有することができるため、感熱層からアルミニウム支持体への熱拡散が十分に抑制され、熱が効率よく画像形成に利用される。したがって、本発明によれば、高感度で耐刷性に優れ、かつ、非画像部の汚れの発生が抑制された平版印刷版原版用原版に好適に用いることができる平版印刷版原版用支持体を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0013】
[無機化合物粒子層]
<無機化合物粒子層の形成>
アルミニウム板を粗面化し陽極酸化皮膜を設けてなる支持体上に設ける無機化合物粒子層に用いられる無機化合物粒子としては、該陽極酸化皮膜のポア径よりも大きい長径を有するものであれば、特に限定されないが、平均粒径8〜800nm、好ましくは平均粒径10〜500nm、より好ましくは平均粒径10〜150nmのものが好ましい。該粒子の平均粒径が8nm以上であると、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの内部に粒子が入り込んでしまうおそれが少なく、高感度化の効果が十分に得られる。粒子の平均粒径が800nm以下であると、感熱層との密着性が十分となり、耐刷性が優れたものとなる。粒子層の厚さは、8〜800nmであるのが好ましく、10〜500nmであるのがより好ましい。
【0014】
本発明に用いられる無機化合物粒子は、熱伝導率が60W/(m・K)以下であるのが好ましく、40W/(m・K)以下であるのがより好ましく、0.3〜10W/(m・K)以下であるのが特に好ましい。熱伝導率が60W/(m・K)以下であると、アルミニウム支持体への熱拡散の抑制が十分となり、高感度化の効果が十分に得られる。
【0015】
無機化合物粒子層を設ける方法は、特に限定されないが、最も簡便な方法は塗布による方法である。該無機化合物粒子を含有する水溶液または有機溶媒溶液をホイラー塗布方式、バー塗布方式等の塗布方法により支持体表面に塗設後、乾燥してやることで容易に無機化合物粒子層を形成できる。
また、アルミニウム支持体を該無機化合物粒子を含有する電解液を用い、直流または交流を用いて電解処理する方法が好ましい。上記電解処理に用いられる交流電流の波形としては、サイン波、矩形波、三角波、台形波等が挙げられる。また、交流電流の周波数は、電源装置を製作するコストの観点から、30〜200Hzであるのが好ましく、40〜120Hzであるのがより好ましい。交流電流の波形として台形波を用いる場合、電流が0からピークに達するまでの時間tpはそれぞれ0.1〜2msecであるのが好ましく、0.3〜1.5msecであるのがより好ましい。上記tpが0.1msec未満であると、電源回路のインピーダンスが影響し、電流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が必要となり、電源の設備コストが高くなる場合がある。
無機化合物粒子としては、Al2 O3 、TiO2 、SiO2 およびZrO2 を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。電解液は、例えば、前記無機化合物粒子を含有量が全体の0.01〜20質量%となるように、水等に懸濁させて得られる。電解液は、電荷をプラスまたはマイナスに帯電させるために、例えば、硫酸を添加するなどして、pHを調整することもできる。電解処理は、例えば、直流を用い、アルミニウム支持体を陰極として、上記電解液を用い、電圧10〜200Vで1〜600秒間の条件で行う。
この方法によれば、容易に、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの内部に空隙を残しつつ、その口を塞ぐことができる。
【0016】
<無機化合物粒子層封孔処理>
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法においては、無機化合物粒子層を設けた後、該粒子層の封孔処理を行う。
粒子層封孔処理とは前記無機化合物粒子を溶解し得る処理液(以下単に封孔処理液ともいう)を用い、該処理液で処理して該無機化合物粒子同志を融着させるものである。
前記無機化合物粒子を溶解し得る処理液としては、特に限定されないが、フッ素化合物及びケイ酸化合物のうちの少なくともいずれかを含有する水溶液が好ましい。これにより、平版印刷版としたときに、耐汚れ性に優れる平版印刷版用支持体が得られる。
本発明に用いられるフッ素化合物としては、金属フッ化物が好適に挙げられる。
具体的には、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ヘキサフルオロジルコニウムナトリウム、ヘキサフルオロジルコニウムカリウム、ヘキサフルオロチタン酸ナトリウム、ヘキサフルオロチタン酸カリウム、ヘキサフルオロジルコニウム水素酸、ヘキサフルオロチタン水素酸、ヘキサフルオロジルコニウムアンモニウム、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、ヘキサフルオロケイ酸、フッ化ニッケル、フッ化鉄、フッ化リン酸、フッ化リン酸アンモニウムが挙げられる。
【0017】
また、本発明に用いられるケイ酸化合物としては、ケイ酸、ケイ酸塩が挙げられるが、中でもアルカリ金属ケイ酸塩が好適に挙げられる。
具体的には、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。中でも、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムが好ましい。
ケイ酸ナトリウムは、例えば、3号ケイ酸ナトリウム、2号ケイ酸ナトリウム、1号ケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムが挙げられる。ケイ酸カリウムは、例えば1号ケイ酸カリウムが挙げられる。又、アルミニウムを含むアルミノケイ酸塩、ホウ酸を含むホウケイ酸塩を用いることもできる。
ケイ酸は、オルトケイ酸、メタケイ酸、メタ二ケイ酸、メタ三ケイ酸、メタ四ケイ酸が挙げられる。
【0018】
前記封孔処理液中の各化合物の濃度は、フッ素化合物については、陽極酸化皮膜の封孔の点で、0.01質量%以上であるのが好ましく、0.05質量%以上であるのがより好ましく、0.1質量%以上であるのが特に好ましく、また、汚れ性の点で、10質量%以下であるのが好ましく、1質量%以下であるのがより好ましく、0.5質量%以下であるのが特に好ましい。
また、ケイ酸化合物については、汚れ性の点で、0.01質量%以上であるのが好ましく、0.1質量%以上であるのがより好ましく、1質量%以上であるのが特に好ましく、また、耐刷性の点で、10質量%以下であるのが好ましく、7質量%以下であるのがより好ましく、5質量%以下であるのが特に好ましい。
前記封孔処理液がフッ素化合物とケイ酸化合物の双方を含む場合、該封孔処理液中の各化合物との割合は、特に限定されないが、フッ素化合物とケイ酸化合物の質量比が、5:95〜95:5であるのが好ましく、20:80〜80:20であるのがより好ましい。
【0019】
また、フッ素化合物及びケイ酸化合物のうちの少なくともいずれかを含有する水溶液は、pHを高くするために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化物を適当量含有してもよい。中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
また、フッ素化合物とケイ酸化合物とを含有する水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第IVB族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩等の水溶性塩が挙げられる。4族(第IVB族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属塩および4族(第IVB族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0020】
また、前記封孔処理液の温度は、10℃以上であるのが好ましく、20℃以上であるのがより好ましく、また、100℃以下であるのが好ましく、80℃以下であるのがより好ましい。
また、前記封孔処理液は、pH8以上であるのが好ましく、pH10以上であるのがより好ましく、また、pH13以下であるのが好ましく、pH12以下であるのがより好ましい。
【0021】
フッ素化合物及びケイ酸化合物のうちの少なくともいずれかを含有する水溶液での処理の方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。これらは単独で1回または複数回用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、浸せき法が好ましい。浸せき法を用いて処理する場合、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、3秒以上であるのがより好ましく、また、600秒以下であるのが好ましく、120秒以下であるのがより好ましい。
【0022】
上記のように、本発明の平版印刷版用支持体の製造方法および平版印刷版用支持体は、アルミニウム板を粗面化し陽極酸化皮膜を設けてなる支持体を用い、該陽極酸化皮膜の上に無機化合物粒子層を設け、更に該無機化合物粒子を溶解し得る処理液で処理して該無機化合物粒子同志を融着させることにより、無機化合物層による断熱効果とマイクロポアの空隙による断熱効果とを併有することができる。
好ましい態様としては、該無機化合物層におけるポア径と該陽極酸化皮膜におけるポア径の比が1.5以上であり、かつ無機化合物層におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度と陽極酸化皮膜におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度の比が2以上である平版印刷版用支持体である。
無機化合物層におけるポア径と該陽極酸化皮膜におけるポア径の比が1.5以下では封孔の効果が不十分となり、感光層成分が陽極酸化皮膜内のポア中に滲入し現像処理後も残膜と呼ばれる感光層の残存が発生し、地汚れなどの原因となる。同時に無機化合物粒子層を蜜着させるための封孔処理液が陽極酸化皮膜ポア内へも滲入し反応してしまうために高感度化に繋がる高空隙を維持できなくなってしまう。また無機化合物層におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度と陽極酸化皮膜におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度の比が2以下では陽極酸化皮膜ポア内へも封孔処理剤が滲入してしまっているために高感度化に繋がる高空隙を維持できなきない。
【0023】
[アルミニウム支持体]
<アルミニウム板(圧延アルミ)>
本発明に用いられるアルミニウム板は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属、即ち、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。 純アルミニウム板のほか、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板や、アルミニウムまたはアルミニウム合金がラミネートされまたは蒸着されたプラスチックフィルムまたは紙を用いることもできる。更に、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートを用いることもできる。
【0024】
以下の説明において、上記に挙げたアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる各種の基板またはアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる層を有する各種の基板をアルミニウム板と総称して用いる。 前記アルミニウム合金に含まれてもよい異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等があり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。
【0025】
本発明においては、純アルミニウム板を用いるのが好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に用いられるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材もの、例えば、JIS A1050、JIS A1100、JIS A3005、国際登録合金 3103A等のアルミニウム合金板を適宜利用することができる。 また、本発明に用いられるアルミニウム板の厚みは、0. 1mm〜0. 6mm程度である。 この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさおよびユーザーの希望により適宜変更することができる。
【0026】
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法および平版印刷版用支持体に用いられるアルミニウム支持体は、上記アルミニウム板に陽極酸化皮膜を設けて得られるが、このアルミニウム支持体の製造工程には、陽極酸化処理以外の各種の工程が含まれていてもよい。
【0027】
<粗面化処理(砂目立て処理)>
上記アルミニウム板は、より好ましい形状に砂目立て処理される。砂目立て処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的砂目立て(機械的粗面化)、化学的エッチング、電解グレイン等がある。更に、塩酸電解液中または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的砂目立て法(電気化学的粗面化)や、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法等の機械的砂目立て法を用いることができる。これらの砂目立て法は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。
【0028】
中でも、本発明に好適に用いられる砂目表面を作る方法は、塩酸電解液中または硝酸電解液中で化学的に砂目立てする電気化学的方法である。好ましい電気量は、陽極時電気量50〜400C/dm2 である。更に具体的には、例えば、0.1〜50質量%の塩酸または硝酸を含む電解液中で、温度20〜100℃、時間1秒〜30分、電流密度10〜100A/dm2 の条件で直流または交流を用いて行われる。電気化学的粗面化によれば、表面に微細な凹凸を付与することが容易であるため、感熱層と基板との密着性を向上させる上でも好適である。
【0029】
この粗面化により、平均直径約0.5〜20μmのクレーター状またはハニカム状のピットをアルミニウム板の表面に30〜100%の面積率で生成することができる。設けられたピットは、印刷版の非画像部の汚れ難さおよび耐刷力を向上する作用を有する。電気化学的処理では、十分なピットを表面に設けるために必要なだけの電気量、即ち、電流と電流を流した時間との積が、電気化学的粗面化における重要な条件となる。より少ない電気量で十分なピットを形成できることは、省エネの観点からも望ましい。粗面化処理後の表面粗さは、JIS B0601−1994に準拠してカットオフ値0.8mm、評価長さ3.0mmで測定した算術平均粗さ(Ra)が、0.2〜0.7μmであるのが好ましい。上
記電気化学的粗面化は、異なる条件の電気化学的粗面化や、機械的粗面化と組み合わせて用いることもできる。
【0030】
<エッチング処理>
このように砂目立て処理されたアルミニウム板は、酸またはアルカリにより化学的にエッチングされる。
酸をエッチング剤として用いる場合は、微細構造を破壊するのに時間がかかり、工業的に本発明を適用するに際しては不利であるが、アルカリをエッチング剤として用いることによりこの問題点を改善できる。
本発明において好適に用いられるアルカリ剤は、特に限定されないが、例えば、カセイソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウムが挙げられる。
アルカリエッチング処理の条件は、特に限定されないが、アルカリの濃度は1〜50質量%であるのが好ましく、アルカリの温度は20〜100℃であるのが好ましく、アルミニウムの溶解量は0.01〜20g/m2 であるのが好ましく、0.1〜5g/m2 であるのがより好ましい。
【0031】
エッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。特に、電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法および特公昭48−28123号公報に記載されているようにアルカリエッチングする方法が挙げられる。
【0032】
<陽極酸化処理>
以上のように処理されたアルミニウム板には、更に、陽極酸化処理が施される。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等の単独のまたは2種以上を組み合わせた水溶液または非水溶液の中で、アルミニウム板に直流または交流を流すとアルミニウム板の表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。
【0033】
この際、少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分が電解液中に含まれていても構わない。更には、第2、第3の成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、第3の成分としては、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオン;アンモニウムイオン等の陽イオン;硝酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、リン酸イオン、フッ化物イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオン等の陰イオンが挙げられ、0〜10000ppm程度の濃度で含まれていてもよい。
【0034】
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間10〜200秒であるのが適当である。
これらの陽極酸化処理の中でも、英国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸電解液中で高電流密度で陽極酸化する方法、米国特許第3,511,661号明細書に記載されている、リン酸を電解浴として陽極酸化する方法が特に好ましい。
【0035】
本発明においては、陽極酸化皮膜の量は1〜10g/m2 であるのが好ましい。1g/m2 未満であると版に傷が入りやすくなり、一方、10g/m2 を超えると製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利となる。陽極酸化皮膜の量は、1.5〜7g/m2 であるのがより好ましく、2〜5g/m2 であるのが特に好ましい。
【0036】
<ポアワイド処理>
以上のようにして陽極酸化皮膜を設けてなるアルミニウム支持体は、必要に応じて、陽極酸化皮膜の空隙率を好適範囲に調整する目的で、ポアワイド(PW)処理を行ってもよい。
この処理は、陽極酸化皮膜のマイクロポアの径を、例えば、8〜500nm、好ましくは10〜150nmに調整するために、酸水溶液またはアルカリ水溶液に浸せきすることによって行われる。
酸水溶液としては、硫酸、リン酸またはこれらの混合物の水溶液が好ましい。酸水溶液の濃度は10〜500g/Lであるのが好ましく、20〜100g/Lであるのがより好ましい。酸水溶液の温度は、10〜90℃であるのが好ましく、40〜70℃であるのがより好ましい。酸水溶液への浸せき時間は、10〜300秒であるのが好ましく、30〜120秒であるのがより好ましい。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムまたはこれらの混合物の水溶液が好ましい。アルカリ水溶液のpHは11〜14であるのが好ましく、11.5〜13.5であるのがより好ましい。アルカリ水溶液の温度は、10〜90℃であるのが好ましく、20〜60℃であるのがより好ましい。アルカリ水溶液への浸せき時間は、5〜300秒であるのが好ましく、10〜60秒であるのがより好ましい。
【0037】
本発明の平版印刷版用支持体においては、陽極酸化皮膜の空隙率が、20〜70%であるのが好ましく、30〜60%であるのがより好ましく、40〜50%であるのが特に好ましい。陽極酸化皮膜の空隙率が20%以上であると、アルミニウム支持体への熱拡散の抑制が十分となり、高感度化の効果が十分に得られる。陽極酸化皮膜の空隙率が70%以下であると、非画像部に汚れが発生する問題がより起こり難くなる。
【0038】
<親水性表面処理>
本発明においては、アルミニウム支持体に、無機化合物粒子層を設け、該粒子層封孔処理を行った後、更に1種以上の親水性化合物を含有する水溶液へ浸せきすることにより、親水性表面処理を行ってもよい。親水性化合物としては、例えば、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を有する化合物、糖類化合物、ケイ酸塩化合物が好適に挙げられる。中でもポリビニルホスホン酸、ケイ酸塩化合物が好適である。ケイ酸塩化合物が最も好適に挙げられる。
【0039】
スルホン酸基を有する化合物には、芳香族スルホン酸、そのホルムアルデヒド縮合物、それらの誘導体、およびそれらの塩が含まれる。
芳香族スルホン酸としては、例えば、フェノールスルホン酸、カテコールスルホン酸、レゾルシノールスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、リグニンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アセナフテン−5−スルホン酸、フェナントレン−2−スルホン酸、ベンズアルデヒド−2(または3)−スルホン酸、ベンズアルデヒド−2,4(または3,5)−ジスルホン酸、オキシベンジルスルホン酸類、スルホ安息香酸、スルファニル酸、ナフチオン酸、タウリンが挙げられる。中でも、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、リグニンスルホン酸が好ましい。また、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、リグニンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物も好ましい。
更に、これらは、スルホン酸塩として使用してもよい。例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が挙げられる。中でも、ナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。
スルホン酸基を有する化合物を含有する水溶液のpHは、4〜6.5であるのが好ましく、硫酸、水酸化ナトリウム、アンモニア等を用いて上記pH範囲に調整することができる。
【0040】
糖類化合物には、単糖類およびその糖アルコール、オリゴ糖類、多糖類、ならびに、配糖体が含まれる。
単糖類およびその糖アルコールとしては、例えば、グリセロール等のトリオース類およびその糖アルコール類;トレオース、エリトリトール等のテトロースおよびその糖アルコール類;アラビノース、アラビトール等のペントースおよびその糖アルコール類;グルコース、ソルビトール等のヘキソースおよびその糖アルコール類;D−グリセロ−D−ガラクトヘプトース、D−グリセロ−D−ガラクトヘプチトール等のヘプトースおよびその糖アルコール類;D−エリトロ−D−ガラクトオクチトール等のオクトースおよびその糖アルコール類;D−エリトロ−L−グルコ−ノヌロース等のノノースおよびその糖アルコール類が挙げられる。
オリゴ糖類としては、例えば、サッカロース、トレハロース、ラクトース等の二糖類;ラフィノース等の三糖類が挙げられる。
多糖類としては、例えば、アミロース、アラビナン、シクロデキストリン、アルギン酸セルロースが挙げられる。
【0041】
本発明において、「配糖体」とは、糖部分と非糖部分がエーテル結合等を介して結合している化合物をいう。
配糖体は非糖部分により分類することができる。例えば、アルキル配糖体、フェノール配糖体、クマリン配糖体、オキシクマリン配糖体、フラボノイド配糖体、アントラキノン配糖体、トリテルペン配糖体、ステロイド配糖体、からし油配糖体が挙げられる。
糖部分としては、上述した単糖類およびその糖アルコール;オリゴ糖類;多糖類が挙げられる。中でも、単糖類、オリゴ糖類が好ましく、単糖類、二糖類がより好ましい。
好ましい配糖体の例として、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
【0042】
【化1】
【0043】
上記式(I)中、Rは、炭素原子数1〜20の直鎖のまたは分枝を有する、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を表す。
炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル基が挙げられ、これらは直鎖であっても、分枝を有していてもよく、また、環状アルキル基であってもよい。
炭素原子数1〜20のアルケニル基としては、例えば、アリル、2−ブテニル基が挙げられ、これらは直鎖であっても、分枝を有していてもよく、また、環状アルケニル基であってもよい。
炭素原子数1〜20のアルキニル基としては、例えば、1−ペンチニル基が挙げられ、これらは直鎖であっても、分枝を有していてもよく、また、環状アルキニル基であってもよい。
【0044】
上記式(I)で表される具体的な化合物としては、例えば、メチルグルコシド、エチルグルコシド、プロピルグルコシド、イソプロピルグルコシド、ブチルグルコシド、イソブチルグルコシド、n−ヘキシルグルコシド、オクチルグルコシド、カプリルグルコシド、デシルグルコシド、2−エチルヘキシルグルコシド、2−ペンチルノニルグルコシド、2−ヘキシルデシルグルコシド、ラウリルグルコシド、ミリスチルグルコシド、ステアリルグルコシド、シクロヘキシルグルコシド、2−ブチニルグルコシドが挙げられる。これらの化合物は、配糖体の一種であるグルコシドで、ブドウ糖のヘミアセタールヒドロキシル基が他の化合物をエーテル状に結合したものであり、例えば、グルコースとアルコール類とを反応させる公知の方法により得ることができる。これらのアルキルグルコシドの一部は、ドイツHenkel社により商品名グルコポン(GLUCOPON)として市販されており、本発明ではそれを用いることができる。
【0045】
好ましい配糖体の別の例としては、サポニン類、ルチントリハイドレート、ヘスペリジンメチルカルコン、ヘスペリジン、ナリジンハイドレート、フェノール−β−D−グルコピラノシド、サリシン、3´,5,7−メトキシ−7−ルチノシドが挙げられる。
【0046】
糖類化合物を含有する水溶液のpHは、8〜11であるのが好ましく、水酸化カリウム、硫酸、炭酸、炭酸ナトリウム、リン酸、リン酸ナトリウム等を用いて上記pH範囲に調整することができる。
【0047】
ポリビニルホスホン酸の水溶液は、濃度が0.1〜5質量%であるのが好ましく、0.2〜2.5%であるのがより好ましい。浸せき温度は10〜70℃であるのが好ましく、30〜60℃であるのがより好ましい。浸せき時間は1〜20秒であるのが好ましい。
また、スルホン酸基を有する化合物の水溶液は、濃度が0.02〜0.2質量%であるのが好ましい。浸せき温度は60〜100℃であるのが好ましい。浸せき時間は1〜300秒であるのが好ましく、10〜100秒であるのがより好ましい。
更に、糖類化合物の水溶液は、濃度が0.5〜10質量%であるのが好ましい。浸せき温度は40〜70℃であるのが好ましい。浸せき時間は2〜300秒であるのが好ましく、5〜30秒であるのがより好ましい。
【0048】
本発明では、親水性化合物を含有する水溶液として、上述したような有機化合物の水溶液のほかに、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液、フッ化ジルコニウムカリウム(K2 ZrF6 )水溶液、リン酸塩/無機フッ素化合物を含む水溶液等の無機化合物水溶液も好適に用いられる。
【0049】
アルカリ金属ケイ酸塩水溶液処理は、好ましくは濃度が0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜10質量%であり、25℃でのpHが好ましくは10〜13であるアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に、支持体を、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜90℃で、好ましくは0.5〜40秒間、より好ましくは1〜20秒間浸せきすることにより行う。
【0050】
親水性表面処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩は、例えば、上述したフッ素化合物及びケイ酸化合物のうちの少なくともいずれかを含有する封孔処理液に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩として列挙したものが挙げられる。
アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、pHを高くするために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化物を適当量含有してもよい。中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第IVB族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、上述したフッ素化合物及びケイ酸化合物のうちの少なくともいずれかを含有する封孔処理液が含有してもよいアルカリ土類金属塩として列挙したものが挙げられる。アルカリ土類金属塩および4族(第IVB族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0051】
フッ化ジルコニウムカリウム水溶液処理は、好ましくは濃度が0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜2質量%のフッ化ジルコニウムカリウムの水溶液に、支持体を、好ましくは30〜80℃で、好ましくは60〜180秒間浸せきすることにより行う。
【0052】
リン酸塩/無機フッ素化合物処理は、好ましくはリン酸塩化合物濃度が5〜20質量%、無機フッ素化合物濃度が0.01〜1質量%であり、好ましくはpHが3〜5の水溶液に、支持体を、好ましくは20〜100℃、より好ましくは40〜80℃で、好ましくは2〜300秒間、より好ましくは5〜30秒間浸せきすることにより行う。
【0053】
本発明に用いられるリン酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属のリン酸塩が挙げられる。
具体的には、例えば、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸一カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸鉛、リン酸二アンモニウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸リチウム、リンタングステン酸、リンタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸ナトリウム、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸ナトリウム;亜リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムが挙げられる。中でも、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムが好ましい。
【0054】
また、親水性表面処理に用いられる無機フッ素化合物としては、金属フッ化物が好適に挙げられる。
具体的には、例えば、上述したフッ素化合物及びケイ酸化合物のうちの少なくともいずれかを含有する封孔処理液に用いられるフッ素化合物として列挙したものが挙げられる。
リン酸塩/無機フッ素化合物処理に用いられる水溶液は、リン酸塩および無機フッ素化合物をそれぞれ1種または2種以上含有することができる。
支持体は、これらの親水性化合物を含有する水溶液へ浸せきした後には、水等によって洗浄され、乾燥される。
【0055】
[下塗層]
上記のようにして得られた本発明のアルミニウム支持体(基板)上に、赤外線レーザー露光により書き込み可能な記録層(以下、感熱層ともいう)を設ける前に、必要に応じて、例えば、ホウ酸亜鉛等の水溶性金属塩のような無機下塗層や、有機下塗層を設けてもよい。
【0056】
有機下塗層に用いられる有機化合物としては、例えば、カルボキシメチルセルロース;デキストリン;アラビアガム;スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体;ポリアクリル酸;2−アミノエチルホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類;置換基を有していてもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸、エチレンジホスホン酸等の有機ホスホン酸;置換基を有していてもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸、グリセロリン酸等の有機リン酸;置換基を有していてもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸、グリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸;グリシン、β−アラニン等のアミノ酸類;トリエタノールアミンの塩酸塩等のヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩;黄色染料が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0057】
有機下塗層は、以下のような方法で設けることができる。即ち、水もしくはメタノール、エタノール、メチルエチルケトン等の有機溶媒、またはそれらの混合溶剤に、上記有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム支持体上に塗布し乾燥して有機下塗層を設ける方法、水もしくはメタノール、エタノール、メチルエチルケトン等の有機溶媒、またはそれらの混合溶剤に、上記有機化合物を溶解させた溶液にアルミニウム支持体を浸せきさせて上記有機化合物を吸着させ、しかる後、水等によって洗浄し乾燥して有機下塗層を設ける方法によることができる。
【0058】
前者の方法では、上記有機化合物を溶解させた溶液の濃度は、0.005〜10質量%であるのが好ましい。塗布の方法は、特に限定されず、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布等のいずれの方法も用いることができる。また、後者の方法では、上記有機化合物を溶解させた溶液の濃度は、0.01〜20質量%であるのが好ましく、0.05〜5質量%であるのがより好ましく、浸せき温度は、20〜90℃であるのが好ましく、25〜50℃であるのがより好ましく、浸せき時間は、0.1秒〜20分であるのが好ましく、2秒〜1分であるのがより好ましい。これらの方法に用いられる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウム等の塩基性物質や、塩酸、リン酸等の酸性物質によりpHを調節し、pH1〜12の範囲として使用することもできる。
【0059】
有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/m2 であるのが好ましく、5〜100mg/m2 であるのがより好ましい。上記範囲であると、耐刷性がより良好になる。
また、特開平11−109637号公報に記載されている酸基とオニウム基とを有する高分子化合物の中間層を下塗層として用いることもできる。
【0060】
[感熱層]
本発明の平版印刷版用支持体を用いる平版印刷版用原版は、上記のようにしてアルミニウム支持体上に設けられた無機化合物層または必要に応じて設けられた下塗層の上に、以下の感熱層が形成されてなる。
本発明の平版印刷版用支持体を用いる感熱層は、赤外線レーザー露光により画像形成することができる感熱層であれば、特に限定されない。例えば、熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーまたは熱反応性官能基を有する化合物を内包したマイクロカプセルを含有する感熱層や、赤外線吸収剤と水に不溶でありアルカリ水溶液に可溶である高分子化合物とを含有し、赤外線レーザー露光によりアルカリ現像液に対する可溶性が変化し、赤外線レーザーの照射により書き込みすることができる感熱層が挙げられる。
以下、本発明の平版印刷版用支持体を用いる平版印刷版用原版について、熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーまたは熱反応性官能基を有する化合物を内包したマイクロカプセルを含有する感熱層を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0061】
本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版用原版の感熱層が、 熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーまたは熱反応性官能基を有する化合物を内包したマイクロカプセルを含有するのは好ましい態様の一つである。
【0062】
上記熱反応性官能基としては、例えば、重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基)、付加反応を行うイソシアネート基またはそのブロック体およびその反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基)、同じく付加反応を行うエポキシ基およびその反応相手であるアミノ基、カルボキシル基またはヒドロキシル基、縮合反応を行うカルボキシル基とヒドロキシル基またはアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物とアミノ基またはヒドロキシル基、熱分解してヒドロキシル基などと反応するジアゾニウム基が挙げられる。本発明に用いられる熱反応性官能基は、これらに限定されず、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよい。
【0063】
上記微粒子ポリマーに好適な熱反応性官能基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリルロイル基、ビニル基、アリル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基、酸無水物基およびそれらを保護した基が挙げられる。熱反応性官能基のポリマー粒子への導入は、ポリマーの重合時に行ってもよいし、重合後に高分子反応を利用して行ってもよい。
【0064】
熱反応性官能基をポリマーの重合時に導入する場合は、熱反応性官能基を有するモノマーを用いて乳化重合または懸濁重合を行うのが好ましい。必要に応じて、熱反応性官能基を有しないモノマーを共重合成分として加えることもできる。
熱反応性官能基を有するモノマーの具体例としては、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−イソシアネートエチルメタクリレートまたはそのアルコールなどによるブロックイソシアネート、2−イソシアネートエチルアクリレートまたはそのアルコールなどによるブロックイソシアネート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、二官能アクリレート、二官能メタクリレートが挙げられる。本発明に用いられる熱反応性官能基を有するモノマーは、これらに限定されない。
これらのモノマーと共重合可能な、熱反応性官能基を有しないモノマーとしては、例えば、スチレン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニルが挙げられる。本発明に用いられる熱反応性官能基を有しないモノマーは、これらに限定されない。
【0065】
熱反応性官能基をポリマーの重合後に導入する場合に用いられる高分子反応としては、例えば、国際公開第96/34316号パンフレットに記載されている高分子反応が挙げられる。
【0066】
上記微粒子ポリマーの中でも、微粒子ポリマー同士が熱により合体するものが好ましく、その表面が親水性で水に分散するものがより好ましい。また、微粒子ポリマーのみを塗布し、凝固温度よりも低い温度で乾燥して作製したときの皮膜の接触角(空中水滴)が、凝固温度よりも高い温度で乾燥して作製したときの皮膜の接触角(空中水滴)よりも低くなることが好ましい。
このように微粒子ポリマーの表面を親水性にするには、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の親水性ポリマーもしくはオリゴマー、または親水性低分子化合物を微粒子ポリマーの表面に吸着させればよいが、これらに限定されるものではない。
【0067】
上記微粒子ポリマーの凝固温度は、70℃以上であるのが好ましいが、経時安定性を考えると100℃以上であるのがより好ましい。
上記微粒子ポリマーの平均粒径は、0.01〜20μmであるのが好ましいが、その中でも0.05〜2.0μmであるのがより好ましく、0.1〜1.0μmであるのが好ましい。平均粒径が大きすぎると解像度が悪くなる場合があり、小さすぎると経時安定性が悪くなる場合がある。
上記微粒子ポリマーの添加量は、感熱層固形分の50質量%以上であるのが好ましく、60質量%以上であるのがより好ましい。
【0068】
上記マイクロカプセルに好適な熱反応性官能基としては、例えば、重合性不飽和基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、イソシアネートブロック体が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0069】
重合性不飽和基を有する化合物としては、エチレン性不飽和結合、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物であるのが好ましい。そのような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定されずに用いることができる。これらは、化学的形態としては、モノマー、プレポリマー、即ち、二量体、三量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物、およびそれらの共重合体である。
【0070】
具体的には、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸)、そのエステルおよびアミドが挙げられる。中でも、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルおよび不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミンとのアミドが好ましい。
また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたは不飽和カルボン酸アミドと単官能もしくは多官能のイソシアネートまたはエポキシドとの付加反応物、および、単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に用いられる。
また、イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多官能のアルコール、アミンまたはチオールとの付加反応物、および、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多官能アルコール、アミンまたはチオールとの置換反応物も好適である。
また、別の好適な例として、上記の不飽和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸またはクロロメチルスチレンに置き換えた化合物が挙げられる。
【0071】
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルである重合性化合物のうち、アクリル酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリス(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマーが挙げられる。
【0072】
メタクリル酸エステルとしては、例えば、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタンが挙げられる。
【0073】
イタコン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネートが挙げられる。
【0074】
クロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネートが挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレートが挙げられる。
【0075】
その他のエステルとしては、例えば、特公昭46−27926号公報、同51−47334号公報、特開昭57−196231号公報に記載されている脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、同59−5241号公報、特開平2−226149号公報に記載されている芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載されているアミノ基を含有するものが挙げられる。
【0076】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミドが挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーとしては、例えば、特公昭54−21726号公報に記載されているシクロへキシレン構造を有するものが挙げられる。
【0077】
また、イソシアネートとヒドロキシル基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、具体的には、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(II)で示されるヒドロキシル基を有する不飽和モノマーを付加させて得られる、1分子中に2個以上の重合性不飽和基を含有するウレタン化合物が挙げられる。
【0078】
CH2 =C(R1 )COOCH2 CH(R2 )OH (II)
(ただし、R1 およびR2 は、それぞれHまたはCH3 を表す。)
【0079】
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、同2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレートや、特公昭58−49860号公報、同56−17654号公報、同62−39417号公報、同62−39418号公報に記載されているエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物も好適なものとして挙げられる。
【0080】
更に、特開昭63−277653号公報、同63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載されている、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物も好適なものとして挙げられる。
【0081】
その他の好適なものの例としては、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、同52−30490号公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートが挙げられる。また、特公昭46−43946号公報、特公平1−40337号公報、同1−40336号公報に記載されている特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報に記載されているビニルホスホン酸系化合物等も好適なものとして挙げられる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報に記載されているペルフルオロアルキル基を含有する化合物も好適に挙げられる。更に、日本接着協会誌、20巻7号、p.300〜308(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも好適に例示される。
【0082】
好適なエポキシ化合物としては、例えば、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノール類もしくはポリフェノール類またはそれらの水素添加物のポリグリシジルエーテルが挙げられる。
【0083】
好適なイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、または、それらをアルコールもしくはアミンでブロックした化合物が挙げられる。
【0084】
好適なアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポリエチレンイミンが挙げられる。
【0085】
好適なヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、末端メチロール基を有する化合物、ペンタエリスリトール等の多価アルコール、ビスフェノール・ポリフェノール類が挙げられる。
好適なカルボキシル基を有する化合物としては、例えば、ピロメリット酸、トリメリット酸、フタル酸等の芳香族多価カルボン酸、アジピン酸等の脂肪族多価カルボン酸が挙げられる。
ヒドロキシル基やカルボキシル基を有する好適な化合物としては、上記のほかに、例えば、特公昭54−19773号公報、同55−34929号公報、同57−43890号公報に記載されている、公知のPS版のバインダーとして知られている化合物も挙げられる。
好適な酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物が挙げられる。
【0086】
エチレン状不飽和化合物の共重合体の好適なものとしては、例えば、アリルメタクリレートの共重合体が挙げられる。具体的には、例えば、アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、アリルメタクリレート/エチルメタクリレート共重合体、アリルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0087】
ジアゾ樹脂としては、ジアゾジフェニルアミン・ホルマリン縮合樹脂の六フッ化リン酸塩や芳香族スルホン酸塩などが好適である。
【0088】
マイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えば、マイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2,800,457号明細書、同第2,800,458号明細書に記載されているコアセルベーションを利用した方法、英国特許第99,0443号明細書、米国特許第3,287,154号明細書、特公昭38−19574号公報、同42−446号公報、同42−711号公報に記載されている界面重合法による方法、米国特許第3,418,250号明細書、同第3,660,304号明細書に記載されているポリマーの析出による方法、米国特許第3,796,669号明細書に記載されているイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3,914,511号明細書に記載されているイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4,001,140号明細書、同第4,087,376号明細書、同第4,089,802号明細書に記載されている尿素−ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4,025,445号明細書に記載されているメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号公報、同51−9079号公報に記載されているモノマー重合によるin situ法、英国特許第930,422号明細書、米国特許第3,111,407号明細書に記載されているスプレードライング法、英国特許第952,807号明細書、同第967,074号明細書に記載されている電解分散冷却法が挙げられる。
【0089】
上記マイクロカプセルに好適に用いられるマイクロカプセル壁は、三次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、またはこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に熱反応性官能基を有する化合物を導入してもよい。
【0090】
上記マイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜20μmであるのが好ましく、0.05〜2.0μmであるのがより好ましく、0.10〜1.0μmであるのが特に好ましい。平均粒径が大きすぎると解像度が悪く、また小さすぎると経時安定性が悪くなってしまう。
【0091】
上記マイクロカプセルは、カプセル同士が熱により合体してもよいし、合体しなくてもよい。要は、マイクロカプセル内包物のうち、塗布時にカプセル表面もしくはマイクロカプセル外ににじみ出したもの、または、マイクロカプセル壁に浸入したものが、熱により化学反応を起こせばよい。添加された親水性樹脂、または、添加された低分子化合物と反応してもよい。また、2種以上のマイクロカプセルに、それぞれ異なる官能基で互いに熱反応するような官能基をもたせることによって、マイクロカプセル同士を反応させてもよい。
したがって、熱によってマイクロカプセル同士が、熱で溶融合体することは画像形成上好ましいことであるが、必須ではない。
【0092】
上記マイクロカプセルの感熱層への添加量は、固形分換算で、10〜60質量%であるのが好ましく、15〜40質量%であるのがより好ましい。上記範囲であると、良好な機上現像性と同時に、良好な感度および耐刷性が得られる。
【0093】
上記マイクロカプセルを感熱層に添加する場合、内包物が溶解し、かつ、壁材が膨潤する溶剤をマイクロカプセル分散媒中に添加することができる。このような溶剤によって、内包された熱反応性官能基を有する化合物の、マイクロカプセル外への拡散が促進される。
このような溶剤は、マイクロカプセル分散媒、マイクロカプセル壁の材質、壁厚および内包物に依存するが、多くの市販されている溶剤から容易に選択することができる。例えば、架橋ポリウレア、ポリウレタン壁からなる水分散性マイクロカプセルの場合、アルコール類、エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン類、多価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類等が好ましい。
【0094】
具体的には、例えば、メタノール、エタノール、第三ブタノール、n−プロパノール、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。また、これらの溶剤を2種以上併用してもよい。
【0095】
マイクロカプセル分散液には溶解しないが、上記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いることができる。添加量は、素材の組み合わせにより決まるものであるが、通常、塗布液の5〜95質量%であるのが好ましく、10〜90質量%であるのがより好ましく、15〜85質量%であるのが特に好ましい。
【0096】
このように、感熱層に熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー、または、熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルを用いる場合には、必要に応じてこれらの反応を開始しまたは促進する化合物を添加してもよい。反応を開始しまたは促進する化合物としては、例えば、熱によりラジカルまたはカチオンを発生するような化合物が挙げられる。具体的には、例えば、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合物、過酸化物、アゾ化合物、ジアゾニウム塩またはジフェニルヨードニウム塩などを含んだオニウム塩、アシルホスフィン、イミドスルホナートが挙げられる。
これらの化合物は、感熱層固形分の1〜20質量%の範囲で添加するのが好ましく、3〜10質量%の範囲であるのがより好ましい。上記範囲内であると、機上現像性を損なわず、良好な反応開始効果または反応促進効果が得られる。
【0097】
このような感熱層には親水性樹脂を添加してもよい。親水性樹脂を添加することにより機上現像性が良好となるばかりか、感熱層自体の皮膜強度も向上する。
親水性樹脂としては、ヒドロキシル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、カルボキシル基、カルボキシラト基、スルホ基、スルホナト基、リン酸基等の親水基を有するものが好ましい。
【0098】
親水性樹脂の具体例としては、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0099】
親水性樹脂の感熱層への添加量は、感熱層固形分の5〜40質量%であるのが好ましく、10〜30質量%であるのがより好ましい。上記範囲内であると、良好な機上現像性と皮膜強度が得られる。
【0100】
このような感熱層には、更に必要に応じて上記以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、耐刷力を一層向上させるために多官能モノマーを感熱層マトリックス中に添加することができる。そのような多官能モノマーとしては、マイクロカプセル中に入れられるモノマーとして例示したものを用いることができる。特に好ましいモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられる。
【0101】
また、このような感熱層には、画像形成後、画像部と非画像部との区別をつけやすくするため、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業社製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)、特開昭62−293247号公報に記載されている染料が挙げられる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。添加量は、感熱層塗布液全固形分に対し0.01〜10質量%であるのが好ましい。
【0102】
また、感熱層塗布液の調製中または保存中においてエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。適当な熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01〜5質量%であるのが好ましい。
【0103】
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸やその誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感熱層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸やその誘導体の添加量は、感熱層固形分の約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
【0104】
更に、このような感熱層には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加えることができる。可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリルが挙げられる。
【0105】
このような感熱層は、必要な上記各成分を溶剤に溶かして塗布液を調製し、支持体上に塗布される。ここで使用する溶剤としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独でまたは混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
【0106】
また、塗布し乾燥した後に得られる支持体上の感熱層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.5〜5.0g/m2 であるのが好ましい。上記範囲より塗布量が少なくなると、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす感熱層の皮膜特性は低下する。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布が挙げられる。
【0107】
感熱層塗布液には、塗布性を向上させるための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。添加量は、感熱層全固形分の0.01〜1質量%であるのが好ましく、0.05〜0.5質量%であるのがより好ましい。
【0108】
[オーバーコート層]
本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版用原版においては、親油性物質による感熱層表面の汚染防止のため、上記感熱層上に、水溶性オーバーコート層を設けることができる。
水溶性オーバーコート層は、印刷時に容易に除去することができるものであり、水溶性の有機高分子化合物から選ばれる樹脂を含有する。水溶性の有機高分子化合物は、塗布乾燥によってできた被膜がフィルム形成能を有するものであり、具体的には、例えば、ポリ酢酸ビニル(ただし、加水分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリルアミドおよびその共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドンおよびその共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、アラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ)およびその変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリンが挙げられる。また、目的に応じて、これらの樹脂を二種以上混合して用いることもできる。
【0109】
また、オーバーコート層には、水溶性または水分散性の光熱変換剤を添加してもよい。更に、水溶液塗布の場合には、塗布の均一性を確保する目的で、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル等の非イオン系界面活性剤をオーバーコート層に添加することができる。
オーバーコート層の乾燥塗布量は、0.1〜2.0g/m2であるのが好ましい。上記範囲であると、機上現像性を損なわず、指紋付着汚れ等の親油性物質による感熱層表面の汚染を良好に防止することができる。
【0110】
本発明においては、感熱層が、熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーまたは熱反応性官能基を有する化合物を内包したマイクロカプセルを含有する感熱層である場合には、感熱層、オーバーコート層および下塗層のうち少なくとも一つの層が、赤外線を吸収して発熱する光熱変換剤を含有することが好ましい。光熱変換剤を含有することによって、赤外線吸収効率を高め、感度を向上させることができる。
光熱変換剤は、700〜1200nmの少なくとも一部に吸収帯を有する光吸収物質であればよく、種々の顔料、染料および金属微粒子を用いることができる。
【0111】
顔料としては、市販の顔料、ならびに、カラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)および「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている赤外吸収性の顔料を用いることができる。
【0112】
これらの顔料は、添加される層に対する分散性を向上させるため、必要に応じて公知の表面処理を施して用いることができる。表面処理の方法としては、例えば、親水性樹脂や親油性樹脂を表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シリカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤、エポキシ化合物、イソシアネート化合物)を顔料表面に結合させる方法が挙げられる。
オーバーコート層に添加する顔料は、水溶性の樹脂と分散しやすく、かつ、親水性を損わないように、親水性樹脂やシリカゾルで表面がコートされたものが好ましい。顔料の粒径は、0. 01〜1μmの範囲にあるのが好ましく、0.01〜0.5μmの範囲にあるのがより好ましい。顔料を分散する方法としては、インク製造、トナー製造等に用いられる公知の分散技術を用いることができる。
特に好ましい顔料としては、カーボンブラックが挙げられる。
【0113】
染料としては、市販の染料および、文献(例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)、「化学工業」1986年5月号p.45〜51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」(CMC出版、1990年刊)第2章2.3項、各種特許文献)に記載されている公知の染料を用いることができる。
具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、ポリメチン染料、シアニン染料等の赤外線吸収染料が好ましい。
【0114】
更に、例えば、特開昭58−125246号公報、同59−84356号公報、同60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号公報、同58−181690号公報、同58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号公報、同58−224793号公報、同59−48187号公報、同59−73996号公報、同60−52940号公報、同60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム染料、英国特許第434,875号明細書に記載されているシアニン染料、米国特許第4,756,993号明細書に記載されている染料、米国特許第4,973,572号明細書に記載されているシアニン染料、特開平10−268512号公報に記載されている染料が挙げられる。
【0115】
また、染料として米国特許第5,156,938号明細書に記載されている近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書に記載されている置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号に記載されているトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号公報、同58−220143号公報、同59−41363号公報、同59−84248号公報、同59−84249号公報、同59−146063号公報、同59−146061号公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記載されているシアニン染料、米国特許第4,283,475号明細書に記載されているペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号公報、同5−19702号公報に記載されているピリリウム化合物、エポリン社製のエポライトIII−178、エポライトIII−130、エポライトIII−125等も好適に用いられる。
これらの中でも、オーバーコート層、感熱層のバインダーポリマーまたは下塗層に添加するのに好ましい染料は水溶性染料である。以下に具体例を示す。
【0116】
【化2】
【0117】
【化3】
【0118】
感熱層のマイクロカプセルの親油性の熱反応性官能基を有する化合物とともに用いられる光熱変換剤としては、前記の赤外線吸収染料を用いることもできるが、親油性の染料を用いるのがより好ましい。具体例として、以下のシアニン染料が挙げられる。
【0119】
【化4】
【0120】
感熱層には、光熱変換剤として金属微粒子も用いることができる。金属微粒子の多くは光熱変換性であって、かつ、自己発熱性である。好ましい金属微粒子として、例えば、Si、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、Ag、Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、W、Te、Pb、Ge、Re、Sbの単体もしくは合金、または、それらの酸化物もしくは硫化物の微粒子が挙げられる。
これらの金属微粒子を構成する金属の中でも好ましい金属は、光照射時に熱による合体をしやすい、融点が約1000℃以下で赤外、可視または紫外線領域に吸収をもつ金属、例えば、Re、Sb、Te、Au、Ag、Cu、Ge、Pb、Snである。
また、特に好ましいのは、融点も比較的低く、赤外線に対する吸光度も比較的高い金属の微粒子、例えば、Ag、Au、Cu、Sb、Ge、Pbで、最も好ましい元素としては、Ag、Au、Cuが挙げられる。
【0121】
また、例えば、Re、Sb、Te、Au、Ag、Cu、Ge、Pb、Sn等の低融点金属の微粒子と、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、W、Ge等の自己発熱性金属の微粒子とを混合使用するなど、2種以上の光熱変換物質で構成されていてもよい。また、Ag、Pt、Pd等の、微小片としたときに光吸収が特に大きい金属種の微小片と他の金属微小片とを組み合わせて用いることも好ましい。
【0122】
これらの粒子の粒径は、10μm以下であるのが好ましく、0.003〜5μmであるのがより好ましく、0.01〜3μmであるのが特に好ましい。微小であるほど、凝固温度は低下する。即ち、ヒートモードの光感度が高くなって好都合であるが、粒子の分散が難しい。一方、10μm以上であると、印刷物の解像度が悪くなる場合がある。
【0123】
顔料系および染料系の光熱変換剤の場合、その添加割合は、感熱層中に30質量%までの範囲で添加するのが好ましく、5〜25質量%の範囲であるのがより好ましく、7〜20質量%の範囲であるのが特に好ましい。オーバーコート層に添加する場合は、オーバーコート層固形分の1〜70質量%であるのが好ましく、2〜50質量%であるのがより好ましい。
上記範囲であると、良好な感度が得られるが、オーバーコート層に光熱変換剤を添加する場合は、その添加量に応じて、感熱層および下塗層の光熱変換剤の添加量を減少させたり、無添加にしたりすることができる。
【0124】
これらの金属微粒子を光熱変換剤として用いる場合、その添加量は、感熱層固形分の10質量%以上であるのが好ましく、20質量%以上であるのがより好ましく、30質量%以上であるのが特に好ましい。10質量%未満であると、感度が低くなってしまう場合がある。
【0125】
本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版用原板は、熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯等の高照度フラッシュ露光、赤外線ランプ露光等を用いることができるが、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザー、YAGレーザー等の固体高出力赤外線レーザーによる露光が好適である。
本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷用原板は、水または適当な水溶液を現像液とする現像をした後、印刷に用いることもできる。
また、感熱層として、熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーまたは熱反応性官能基を有する化合物を内包したマイクロカプセルを含有する感熱層を用いる場合には、それ以上の処理なしに印刷機に装着し、インキと湿し水を用いて通常の手順で印刷することができる。その場合には、特許第2938398号明細書に記載されているように、印刷機シリンダー上に取り付けた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、その後に湿し水および/またはインクをつけて機上現像することもできる。
【0126】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
(実施例1)
1.平版印刷版用支持体の調製
板厚0.24mmのJIS A1050に規定されるアルミニウム板を用い、以下の処理を順次施してアルミニウム支持体を作製した。
【0127】
(a)アルカリ剤によるエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2 溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(b)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
【0128】
(c)電気化学的な粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、温度50℃であった。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は図3に示すものを2個使用した。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で270C/dm2 であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0129】
(d)エッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を0.2g/m2 溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行い、乾燥して基板1を得た。
【0130】
(f)陽極酸化処理
硫酸濃度170g/Lの水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%を含む。)を陽極酸化溶液として用いて、直流電圧を用い、電流密度5A/dm2 、温度43℃、33秒の条件でアルミニウム板の陽極酸化処理を行い、陽極酸化皮膜を形成した。陽極酸化処理液の濃度は、あらかじめ硫酸濃度とアルミニウムイオン濃度と温度と比重と液の導電率との関係から作成したテーブルを参照して、温度、比重および導電率から液濃度を求め、フィードバック制御によって水と50質量%硫酸とを添加して、一定に保った。その後、スプレーによって水洗を行った。
陽極酸化皮膜量は3g/m2であった。
(g)ポアワイド処理
陽極酸化処理後の基板1をpH13の水酸化ナトリウム水溶液に、温度50℃で30秒間浸せきし、その後、水洗を行い、乾燥してポアワイド処理を行った。
【0131】
(h)無機化合物粒子層の形成
ポアワイド処理後の基板1を陰極として、粒径10〜100nmのコロイダルアルミナ 粒子(日産化学製、AS200,熱伝導率36W/(m・K))を0.5質量%含有する水懸濁液をバーコーターを用いて乾燥後の塗布量が0.05g/m2になるように塗布し、オーブンを用いて100℃で2分間乾燥し無機化合物粒子層を形成した。
(i)封孔処理
無機化合物粒子層形成後の基板1を3号ケイ酸ナトリウムの10質量%水溶液中に連続的に浸せきすることで封孔処理を行った。処理液温度は70℃、浸せき処理時間は14秒であった。その後、スプレーによる水洗を行い、乾燥して、陽極酸化皮膜上に無機化合物層を設けてなる平版印刷版用支持体を得た。
【0132】
(j)感熱層の形成
以下に示すように、上記で得られた平版印刷版用支持体に感熱層塗布液を塗布し、乾燥して平版印刷版用原版を得た。
下記組成の感熱層塗布液を調製し、上記で得られた平版印刷版用支持体に、この感熱層塗布液1をバーコーターを用いて、乾燥後の塗布量(感熱層塗布量)が0.7g/m2 になるよう塗布し、オーブンを用いて100℃で60秒間乾燥して感熱層を形成させ、平版印刷版用原版を得た。
【0133】
<感熱層塗布液組成>
・後述するマイクロカプセル液 25g(固形分5g)
・トリメチロールプロパントリアクリレート 3g
・本明細書記載の赤外線吸収染料(IR−11) 0.3g
・水 60g
・1−メトキシ−2−プロパノール 1g
【0134】
<マイクロカプセル>
キシレンジイソシアネート40g、トリメチロールプロパンジアクリレート10g、アリルメタクリレートとブチルメタクリレートの共重合体(モル比7/3)10gおよび界面活性剤(パイオニンA41C、竹本油脂社製)0.1gを酢酸エチル60gに溶解させて、油相成分とした。一方、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ社製)の4%水溶液を120g調製し、水相成分とした。油相成分および水相成分をホモジナイザーに投入し、10000rpmで10分間で乳化させた。その後、水を40g添加し、室温で30分攪拌し、更に40℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は20質量%であり、マイクロカプセルの平均粒径は0.5μmであった。
【0135】
(実施例2)
上記(i)封孔処理において、上述した3号ケイ酸ナトリウムの10質量%水溶液よる処理の代わりに、NaF(4.5g)/Na2HPO4(585g)/水(3910g)の水溶液(pH4.3)に60℃で10秒間浸漬し、次いで(k)親水化処理として、3号ケイ酸ナトリウムの1質量%水溶液に30℃で60秒間浸漬し、その後、スプレーによる水洗、乾燥を行うことにより、前記のシリケート処理を行った以外は、実施例1と同様の方法により、平版印刷版用原版を得た。
【0136】
(比較例1)
下記表1に示すように、上記(f)陽極酸化処理において陽極酸化皮膜ポア径を10nmとし、上記(g)ポアワイド(PW)処理、(h)無機化合物粒子層の形成及び(i)の封孔処理の工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により、平版印刷版用原版を得た。
【0137】
(比較例2)
下記表1に示すように、上記(h)無機化合物粒子層の形成及び(i)の封孔処理の工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により、平版印刷版用原版を得た。
【0138】
(比較例3〜7)
下記表1に示すように、上記(h)無機化合物粒子層の形成及び(i)封孔処理において、異なった無機化合物粒子層を設けたこと、封孔処理の有無、及び封孔処理液の種類を変化させた以外は、実施例1及び2と同様の方法により、平版印刷版用原版を得た。
【0139】
(比較例8〜9)
下記表1に示すように、上記(i)封孔処理を行わなかったこと及び親水化処理液の種類が異なる以外は、実施例1及び2と同様の方法により、平版印刷版用原版を得た。
【0140】
(比較例10)
下記表1に示すように、上記(i)封孔処理において、上述した3号ケイ酸ナトリウムの10質量%水溶液よる処理の代わりに、H2SO4 の300g/リットル水溶液に30℃で60秒間浸せきし、その後、スプレーによる水洗、乾燥を行い、次いで(k)親水化処理として、前記のシリケート処理を行った以外は、実施例1及び2と同様の方法により、平版印刷版用原版を得た。
【0141】
1.平版印刷版用支持体の陽極酸化皮膜と無機化合物層のマイクロポア径
各平版印刷版用原版について、現像処理後の非画像部の支持体表面のマイクロポア径を、走査型電子顕微鏡(S−900、日立製作所社製)によって、加速電圧12kV、蒸着なしの条件で、倍率15万倍で観察したSEM写真から求めた。無作為に選んだ50個のマイクロポアについての平均値をマイクロポア径として、表1に示した。
【0142】
2.F及びSiの濃度の評価法
作成した陽極酸化皮膜層(無機化合物層を含む)についてマイクロオージェ測定装置(日本アルバックファイ製オージェ分析装置;SAM−Model 680)を用いて表層から少しづつAr+を用い加速電圧3kV、エッチングレート30nm/min(SiO2換算)でエッチングし、30秒おきに測定を行いながらF(フッ素)及びSi(ケイ素)の深さ方向分布を測定し、陽極酸化皮膜中心部での両元素の量と表層部分(無機化合物層)の量の比率を求めた。
【0143】
3.平版印刷版用原版の感度
各平版印刷版用原版をCREO社製プレートセッターTrendsetter3244F(192チャンネルのマルチビーム搭載)で、各種パラメーター(Sr、Sd、bmslopeおよびbmcurve)の調整を行った後、2400dpiで画像露光した。露光は、ドラム回転数および出力を段階的に変化させて行った。露光後、印刷機上で現像処理し、1%の網点を形成することができたエネルギー量を平版印刷版用原版の感度とした。結果は第1表に示した。
【0144】
4.親水性(接触角)測定
協和界面科学製接触角測定装置(CA−X)を用いて、支持体サンプルを油(スワゾール)中に浸漬し、水を滴下したときの支持体表面と水滴との接触角を測定し親水性を評価した。接触角が小さい方が親水性が高いことを意味する。
【0145】
5.耐刷性および払い枚数
露光した各平版印刷版用原版について、印刷機に取り付け、湿し水を供給した後、インキを供給することにより印刷機上で現像処理を行い、引き続いて印刷を行った。ここで、印刷機としては小森印刷機社製の印刷機スプリントを用い、インキとしては大日本インキ化学工業社製のGeos墨を用い、湿し水としては富士写真フイルム(株)製の湿し水EU−3の水希釈液(1:100)90vol%とイソプロパノール10vol%との混合物を用い、印刷する紙としては上質紙を用いた。
上記条件で印刷を行い、画像部にインキが着肉しなくなった枚数を測定して耐刷性の評価とした。結果は第1表に示した。
【0146】
また、平版印刷版を印刷機に取り付け、湿し水の供給とインキの供給と紙の供給とを同時に開始し、印刷物の非画像部に対応する領域におけるインキの付着がなくなり、汚れのない非画像部を形成するまでの損紙の枚数を測定して、払い枚数の評価とした。損紙の枚数が少ないほど優れる。結果は第1表に示した。
【0147】
第1表から明らかなように、本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版用原版(実施例1及び2)は、感度、親水性、払い枚数および耐刷性のすべてに優れる。
これに対して、無機化合物粒子層がない場合(比較例1および2)、粒子層はあるが、粒子の平均粒径が小さすぎまたは封孔処理無しの場合(比較例3,4、5、6、7、8および9)、封孔処理液が硫酸を用いて封孔処理がされている場合(比較例10)は、いずれも感度、親水性、払い枚数および耐刷性のうち少なくとも一つの性質において不満足なものであった。
【0148】
【表1】
【0149】
【発明の効果】
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法および平版印刷版用支持体は、上記のように、サーマルタイプの平版印刷版用原版用として、陽極酸化皮膜のマイクロポア上に、特定の無機化合物粒子層を設け、更に該無機化合物粒子を溶解し得る処理液で処理して該無機化合物粒子同志を融着させることにより、該無機化合物層による断熱効果とマイクロポアの空隙による断熱効果とを併有することができるため、感熱層からアルミニウム支持体への熱拡散が十分に抑制され、熱が効率よく画像形成に利用される。したがって、本発明によれば、高感度で耐刷性に優れ、かつ、非画像部の汚れの発生が抑制されているため、サーマルポジタイプおよびサーマルネガタイプのいずれの平版印刷版原版用原版にも好適に用いることができ、更には、機上現像タイプの平版印刷版原版用原版にも好適に用いることができる平版印刷版原版用支持体を得ることができ、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平版印刷版用支持体の断面模式図である。
【図2】本発明の平版印刷版用支持体に用いられるアルミニウム支持体の作成における電気化学的粗面化処理に用いられる交番波形電流波形図の一例を示すグラフである。
【図3】本発明の平版印刷版用支持体に用いられるアルミニウム支持体の作成における交流を用いた電気化学的粗面化処理におけるラジアル型セルの一例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 平版印刷版用支持体
2 アルミニウム板
3 陽極酸化皮膜層
4 陽極酸化皮膜層中のマイクロポア
5 マイクロポアの内径
6 無機化合物粒子
7 無機化合物粒子層
8 無機化合物粒子間のポア
11 アルミニウム板
12 ラジアルドラムローラ
13a、13b 主極
14 電解処理液
15 電解液供給口
16 スリット
17 電解液通路
18 補助陽極
19a、19b サイリスタ
20 交流電源
Claims (3)
- アルミニウム板を粗面化し陽極酸化皮膜を設けてなる支持体上に、該陽極酸化皮膜のポア径よりも大きい長径を有する無機化合物粒子の層を設け、さらに該無機化合物粒子を溶解し得る処理液で処理して該無機化合物粒子同志を融着させることを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
- 前記処理液がフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかを含有するものであることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
- アルミニウム板を粗面化し陽極酸化皮膜を設けてなる支持体であって、該陽極酸化皮膜の上に無機化合物層を有し、該無機化合物層におけるポア径と該陽極酸化皮膜におけるポア径の比が1.5以上であり、かつ無機化合物層におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度と陽極酸化皮膜におけるフッ素及びケイ素のうちの少なくともいずれかの濃度の比が2以上であることを特徴とする平版印刷版用支持体。
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