JP4067261B2 - 機上現像型平版印刷用原板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はネガ型の平版印刷用原版に関する。より詳しくは、ディジタル信号に基づいた走査露光による製版が可能であり、高感度且つ高耐刷性で、汚れのない印刷物を与えることが可能な平版印刷用原版であり、現像することなしにそのまま印刷機に装着し印刷することが可能な平版印刷用原版に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年進展が目覚ましいコンピュータ・ツウ・プレートシステム用刷版については、多数の研究がなされている。その中で、より一層の工程合理化と廃液処理問題の解決を目指すものとして、露光後、現像処理することなしに印刷機に架けられる現像不要な平版印刷用原板が研究され、種々の方法が提案されている。
【0003】
処理工程をなくす方法の一つに、露光済みの印刷用原版を印刷機のシリンダーに装着し、該シリンダーを回転しながら湿し水やインキを供給することにより、印刷用原版の非画像部を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、印刷用原版の露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷初期過程の中で処理が完了する方式である。
このような機上現像に適した平版印刷用原板は、湿し水やインキ溶剤に可溶な感光層を有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるのに適した明室取り扱い性を有することが必要とされる。
【0004】
例えば、日本特許2938397号公報には、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体の微粒子を分散させた感光層を親水性支持体上に設けた平版印刷用原板が開示されている。この公報には、該平版印刷用原板において、赤外線レーザー露光して熱可塑性疎水性重合体の微粒子を熱により合体させて画像形成した後、印刷機シリンダー上に版を取付け、湿し水および/またはインキにより機上現像できることが記載されている。
しかしながら、このように単に熱による合体で画像を作る方法では、良好な機上現像性を示すものの、画像強度が弱いために耐刷性が不十分となる。また、アルミニウム基板上に直接感熱層を設けた場合、発生した熱がアルミニウム基板により奪われるために基板・感熱層界面上では熱による合体が起こらず、耐刷性が不十分となってしまう。
【0005】
特開平9−127683号公報およびWO99/10186号公報にも熱可塑性微粒子を熱による合体後、機上現像により印刷版を作製することが記載されているが、前記同様に画像強度が弱く、耐刷性が不十分という問題がある。
【0006】
また、特開平8−48020号公報には、親油性感熱性層を多孔質親水性支持体上に設けて、赤外線レーザーで露光し、熱により親油性感熱性層を基板に固着する方法が記載されている。しかし、親油性の皮膜では機上現像性が悪く、インキローラーあるいは印刷物へ親油性感熱層のかすが付着する問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような先行技術の欠点を克服した平版印刷用原板を提供することである。すなわち、機上現像性が良好であり、感度が高く、かつ高耐刷性を示す平版印刷用原板を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、支持体上に、レーザー照射した際に発生する熱により感熱層と親水層を化学反応によって接着させることにより、上記目的を達成できた。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0009】
1.支持体上に、親水層、さらにその上に感熱層を有する平版印刷用原板であって、親水層が熱反応性化合物を含有し、感熱層が、該熱反応性化合物の反応相手化合物を内包するマイクロカプセルを含有することを特徴とする機上現像型平版印刷用原板。
【0011】
2.親水層が、光熱変換剤を含有することを特徴とする上記1記載の機上現像型平版印刷用原板。
3.光熱変換剤が、金属微粒子または水溶性の赤外線吸収染料であることを特徴とする上記2記載の機上現像型平版印刷用原板。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明に用いる支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙またはプラスチックフィルムなどが挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルムまたはアルミニウム板が挙げられる。
【0013】
本発明に用いるアルミニウム板は、純アルミニウム板あるいはアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板である。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。また、DC鋳造法を用いたアルミニウム鋳塊からのアルミニウム板でも、連続鋳造法による鋳塊からのアルミニウム板であっても良い。しかし、本発明に適用されるアルミニウム板は、従来より公知公用の素材のアルミニウム板をも適宜に利用することができる。
【0014】
本発明で用いられる上記基板の厚みは0.05〜0.6mm、好ましくは0.1〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
【0015】
アルミニウム板を使用するに先立ち、表面を粗面化することが好ましい。粗面化により表面積を増大させ、上層との接着性を向上できる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。化学的方法としては、特開昭54−31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適している。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸などの酸を含む電解液中で交流または直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように混合酸を用いた電解粗面化方法も利用することができる。
【0016】
粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じて水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの水溶液によるアルカリエッチング処理をされ、さらに中和処理された後、陽極酸化処理が施される。
【0017】
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。形成される酸化皮膜量は、1.0g/m2以上が好ましく、より好ましくは2.0〜6.0g/m2である。
【0018】
本発明で用いらる支持体としては、上記のような表面処理をされ酸化皮膜を有する基板そのままでも良いが、その表面に塗布される層との接着性を向上させるため、酸化皮膜を有する基板を沸騰水処理、水蒸気処理、ケイ酸ナトリウムなどのアルカリケイ酸塩水溶液に浸す処理などの封孔処理、あるいは酸化皮膜を有する基板にポリビニルホスホン酸、ポリアクリル酸、スルホン酸基を側鎖に有するポリマーまたはコポリマーあるいは特開平11−231509号公報に記載の(a)アミノ基、および(b)ホスフィン基、ホスホン基およびリン酸基から選択された基を有する有機化合物またはその塩などを含む溶液に浸す処理あるいは該溶液を下塗りする処理など、公知の表面処理を、必要に応じて行うことができる。
【0019】
平版印刷版用支持体として好ましい特性としては、中心線平均粗さで0.10〜1.2μmである。0.10μmより低いと感光層と密着性が低下し、著しい耐刷の低下を生じてしまう。
【0020】
本発明の平版印刷用原板の親水層は、熱反応性化合物を含有する。この熱反応性化合物と、感熱層が含有する反応相手化合物との間で、熱が加わった時に反応が起こって化学結合が形成され、その結果、親水層と感熱層とが強固に接着し、良好な機上現像性をもちつつ、良好な感度と耐刷性を有する平版印刷用原板が得られる。
【0021】
かかる熱による反応としては、エチレン性不飽和基による重合反応、イソシアナート基あるいはそれのブロック体と活性水素原子を有する化合物(例えばアミン、アルコール、カルボン酸など)による付加反応、エポキシ基とアミノ基・カルボキシル基・ヒドロキシル基との付加反応、カルボキシル基とヒドロキシル基あるいはアミノ基との縮合反応、酸無水物とアミノ基あるいはヒドロキシル基との開環付加反応などを挙げることができる。
従って、熱反応性化合物と反応相手化合物と関係は、例えば、化学結合を形成する反応が重合反応の場合は、熱反応性化合物と反応相手化合物とは、どちらもエチレン性不飽和基を有する化合物であり、イソシアナートとアミンの反応の場合は、熱反応性化合物がイソシアナートであれば、反応相手化合物はアミンであり、熱反応性化合物がアミンなら、反応相手化合物はイソシアナートとなる。
しかし、親水層と感熱層を接着させるという目的からは、どのような化学反応による化学結合でもよい。
【0022】
本発明の親水層に含有される熱反応性化合物としては、重合性不飽和基、ヒドロキシル基、カルボキシル基あるいはカルボキシレート基あるいは酸無水物、アミノ基、エポキシ基、および、イソシアナート基あるいはそのブロック体から選ばれた少なくとも一個の熱反応性官能基を有する化合物を挙げることができる。
【0023】
重合性不飽和基を有する化合物としては、エチレン性不飽和結合、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基などを少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく、この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、化学的形態としては、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物、あるいはそれらの共重合体である。
【0024】
例として、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)、そのエステルおよびアミドが挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルおよび不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミンとのアミドが挙げられる。
また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたは不飽和カルボン酸アミドと、単官能もしくは多官能イソシアネートまたはエポキシドとの付加反応物、および、単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
また、イソシアナート基やエポキシ基などの親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多官能のアルコール、アミンおよびチオールとの付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多官能アルコール、アミンおよびチオールとの置換反応物も好適である。
また、別の好適な例として、上記の不飽和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸あるいはクロロメチルスチレンに置き換えた化合物を挙げることができる。
【0025】
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルである重合性化合物の具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリス(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等を挙げることができる。
【0026】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等を挙げることができる。
【0027】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等を挙げることができる。
【0028】
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等を挙げることができる。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等を挙げることができる。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等を挙げることができる。
【0029】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等を挙げることができる。
【0030】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等を挙げることができる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0031】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(I)で示される水酸基を有する不飽和モノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性不飽和基を含有するウレタン化合物等が挙げられる。
【0032】
一般式(I)
CH2=C(R1)COOCH2CH(R2)OH
(ただし、R1およびR2は、HまたはCH3を示す。)
【0033】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレートや、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物も好適なものとして挙げることができる。
【0034】
さらに、特開昭63−277653,特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物を好適なものとして挙げることができる。
【0035】
その他の好適なものの例としては、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、同52−30490号公報の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号公報、特公平1−40337号公報、同1−40336号公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報に記載のビニルホスホン酸系化合物等も好適なものとして挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する化合物も好適に使用される。さらに日本接着協会誌、20巻7号、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも好適に使用することができる。
【0036】
好適なエポキシ化合物としては、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノール類あるいはポリフェノール類もしくはそれらの水素添加物のポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0037】
好適なイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、あるいは、それらをアルコールあるいはアミンでブロックした化合物を挙げることができる。
【0038】
好適なアミン化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
【0039】
好適なヒドロキシル基を有する化合物としては、末端メチロール基を有する化合物、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール、ビスフェノール・ポリフェノール類などを挙げることができる。
好ましカルボキシル基を有する化合物としては、ピロメリット酸、トリメリット酸、フタル酸などの芳香族多価カルボン酸、アジピン酸などの脂肪族多価カルボン酸などが挙げられる。
好適な酸無水物としては、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などが挙げられる。
【0040】
エチレン状不飽和化合物の共重合体の好適なものとして、アリルメタクリレートの共重合体を挙げることができる。例えば、アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、アリルメタクリレート/エチルメタクリレート共重合体、アリルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体などを挙げることができる。
【0041】
上記の熱反応性化合物(以後、A群化合物と呼ぶ)は、親水層に添加される場合、好ましくは、これらの化合物を内包物とするマイクロカプセルとして添加される。
マイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許2800457号、同2800458号にみられるコアセルベーションを利用した方法、英国特許990443号、米国特許3287154号、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−711号にみられる界面重合法による方法、米国特許3418250号、同3660304号にみられるポリマーの析出による方法、米国特許3796669号に見られるイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許3914511号に見られるイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許4001140号、同4087376号、同4089802号にみられる尿素―ホルムアルデヒド系あるいは尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許4025445号にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許930422号米国特許3111407号にみられるスプレードライング法、英国特許952807号、同967074号にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。マイクロカプセル壁に熱反応性官能基を有する化合物を導入しても良い。
【0043】
本発明のマイクロカプセルに内包された熱反応性化合物は、塗布乾燥後の層中では、少なくとも一部がマイクロカプセル外に拡散して存在し、それが感熱層の反応相手化合物との反応に寄与していると推定される。この熱反応性化合物の拡散を促進するために、内包物が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤を添加マイクロカプセル分散媒中に添加することができる。
このような溶剤としては、マイクロカプセル分散溶剤、マイクロカプセル壁の材質、壁厚および内包物に依存するが、多くの市販されている溶剤から容易に選択することができる。例えば架橋ポリウレア、ポリウレタン壁からなる水分散性マイクロカプセルの場合、アルコール類、エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン類、多価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類などが好ましい。
【0044】
具体的化合物としては、メタノール、エタノール、第3ブタノール、n−プロパノール、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどがあるが、これらに限られない。またこれらの溶剤を2種以上用いても良い。
【0045】
マイクロカプセル分散液には溶解しないが、前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いることができる。添加量は、素材の組み合わせにより決まるものであるが、適性値より少ない場合は、画像形成が不十分となり、多い場合は分散液の安定性が劣化する。通常、塗布液の5〜95重量%が有効であり好ましい範囲は、10〜90重量%、より好ましい範囲は15〜85重量%である。
【0046】
上記のA群化合物を内包しているマイクロカプセルとしては、平均粒径は0.01〜20μmが好ましいが、その中でも0.05〜2.0μmがさらに好ましく、特に0.10〜1.0μmが最適である。平均粒径が大き過ぎると解像度が悪く、また小さ過ぎると経時安定性が悪くなってしまう。
このようなマイクロカプセルは、カプセル同志が熱により合体してもよいし、合体しなくとも良い。要は、マイクロカプセル内包物のうち、塗布時にカプセル表面に滲み出したもの、あるいはマイクロカプセル壁に浸入したものが、熱により化学反応を起こせば良い。従って、熱によってマイクロカプセル同志が合体することは画像形成上好ましいことであるが、必須ではない。
【0047】
本発明の親水層に含有される好適な熱反応性化合物としては、マイクロカプセルに内包されるA群化合物のほかに、前記の熱反応性官能基を有する、親水性樹脂および微粒子ポリマーを挙げることができる。
【0048】
熱反応性官能基を有する親水性樹脂の具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそれらのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、無水マレイン酸のホモポリマーおよびコポリマー、ポリアクリル酸およびそれらの塩、ポリメタクリル酸およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、アリルメタクリレートと水溶性モノマー、例えばヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸およびその塩、2−アクリルアミドー2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩などとのコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、加水分解度が少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも80重量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、N−メチロールアクリルアミドあるいはN−メチロールメタクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー等を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して用いることもできる。
【0049】
特に好ましい親水性樹脂としては、ヒドロキシエチルメタクリレートの単独重合体、共重合体、およびヒドロキシエチルアクリレートの単独重合体または共重合体を挙げることができる。
【0050】
本発明の親水層に用いる、熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーとしては、アクリロイル基、メタクリルロイル基、ビニル基、アリル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基、酸無水物およびそれらを保護した基を有するものを挙げることができる。これらの官能基のポリマー粒子への導入は、重合時に行ってもよいし、重合後に高分子反応を利用して行ってもよい。
【0051】
重合時に導入する場合は、これらの官能基を有するモノマーを乳化重合あるいは懸濁重合することが好ましい。
そのような官能基を有するモノマーの具体例として、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−イソシアネートエチルメタクリレートあるいはそのアルコールなどによるブロックイソシアナート、2−イソシアネートエチルアクリレートあるいはそのアルコールなどによるブロックイソシアナート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、2官能アクリレート、2官能メタクリレートなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
これらのモノマーと共重合可能な、熱により化学結合する官能基をもたないモノマーとしては、例えば、スチレン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニルなどを挙げることができるが、官能基を有していないモノマーであればこれらに限定されない。
熱により化学結合する官能基の導入を重合後に行う場合に用いる高分子反応としては、例えば、WO96−34316号公報に記載されている高分子反応を挙げることができる。
【0052】
上記の微粒子ポリマーの中で、微粒子ポリマー同志が熱により合体するものが好ましく、その表面は親水性で、水に分散するものが、特に好ましい。微粒子ポリマーのみを塗布し、凝固温度よりも低い温度で乾燥して作製した時の皮膜の接触角(空中水滴)が、凝固温度よりも高い温度で乾燥して作製した時の皮膜の接触角(空中水滴)よりも低くなることが好ましい。このように微粒子ポリマー表面を親水性にするには、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの親水性ポリマーあるいはオリゴマー、または親水性低分子化合物を微粒子ポリマー表面に吸着させてやれば良いが、その方法はこれらに限定されるものではない。
【0053】
これらの熱により化学結合する官能基を有し、熱により合体する微粒子ポリマーの凝固温度は70℃以上が好ましいが、経時安定性を考えると100℃以上がさらに好ましい。
【0054】
上記の微粒子ポリマーの平均粒径は、0.01〜20μmが好ましいが、その中でも0.05〜2.0μmがさらに好ましく、特に0.1〜1.0μmが最適である。平均粒径が大き過ぎると解像度が悪く、また小さ過ぎると経時安定性が悪くなってしまう。
【0055】
本発明の親水層固形分に対する、熱反応性化合物の添加割合は、マイクロカプセルと微粒子ポリマーの場合は固形分換算で、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは15〜40重量%である。熱反応性官能基を有する親水性樹脂の場合は、親水性樹脂が水溶性の場合は、1〜40重量%が好ましく、1〜30重量%がさらに好ましい。親水性樹脂が水溶性でない場合は、1〜20重量%が好ましく、1〜15重量%がさらに好ましい。この範囲内で、良好な機上現像性と同時に、良好な感度および耐刷性が得られる
【0056】
本発明の親水層は、金属酸化物または金属水酸化物のコロイドを含有することができる。かかるコロイドとして、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモンおよび遷移金属から選択される少なくとも一つの元素の酸化物または水酸化物のコロイドを、好適なものとして挙げることができる。
これらの中で、特に好ましいコロイドとしては、アルミニウム、珪素、チタンおよびジルコニウムから選ばれた少なくとも一つの元素の酸化物または水酸化物のコロイドを挙げることができる。
【0057】
本発明に用いられるコロイドの粒径は、シリカの場合5〜100nmの球形のものが本発明では好適である。10〜50nmの球状粒子が50〜400nmの長さに連なったパールネックレス状のコロイドも用いることができる。アルミニウムの酸化物または水酸化物のコロイドのように100nm×10nmのような羽毛状のものも有効である。
【0058】
これらのコロイドは、上記元素のハロゲン化物やアルコキシ化合物の加水分解あるいは水酸化物の縮合など種々の公知の方法で作ることができる。これらのコロイドの分散媒としては、水の他、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトンなどの有機溶媒も有用である。
これらのコロイドの分散液は、日産化学工業(株)などの市販品を購入することもできる。
【0059】
これらのコロイドの親水層への添加割合は、親水層固形分に対するコロイド固形分として、好ましくは30〜95重量%、さらに好ましくは40〜90重量%である。この範囲で、耐刷性を損なわずに、良好な親水性が得られる。
【0060】
本発明の親水層に用いる光熱変換剤としては、700nm以上の光を吸収する物質であればよく、種々の顔料、染料および金属微粒子を用いる事ができる。
顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
【0061】
顔料の種類としては、黒色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
【0062】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方法には親水性樹脂や親油性樹脂を表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シリカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤やエポキシ化合物、イソシアネート化合物等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。これらの顔料中、赤外線を吸収するものが、赤外線を発光するレーザでの利用に適する点で好ましい。かかる赤外線を吸収する顔料としてはカーボンブラックが好ましく、水溶性あるいは親水性の樹脂と分散しやすく、かつ親水性を損わないように親水性樹脂やシリカゾルで表面がコートされたカーボンブラックが特に好ましい。
顔料の粒径は0.01μm〜1μmの範囲にあることが好ましく、0.01μm〜0.5μmの範囲にあることが更に好ましい。
【0063】
染料としては、市販の染料および文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。これらの染料中、赤外線を吸収するものが、赤外線を発光するレーザでの利用に適する点で特に好ましい。
【0064】
赤外線を吸収する染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、 特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム染料、英国特許434,875号記載のシアニン染料や米国特許第4,756,993号記載の染料、米国特許第4,973,572号記載のシアニン染料、特開平10−268512号記載の染料を挙げることができる。
【0065】
また、染料として米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン染料、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物、エポリン社製EpolightIII−178、EpolightIII−130、EpolightIII−125等も好ましく用いられる。
これらの中で、特に好ましい染料は水溶性染料で、以下に具体例を構造式で列挙する。
【0066】
【化1】
【0067】
【化2】
【0068】
上記の有機系の光熱変換剤は、親水層中に30重量%まで添加することができる。好ましくは5〜25重量%であり、特に好ましくは7〜20重量%である。この範囲内で、親水性を損なわないで、良好な感度が得られる。
【0069】
本発明の親水層には光熱変換剤として金属微粒子も用いられる。金属微粒子の多くは光熱変換性であって、かつ自己発熱性であるが、好ましい金属微粒子として、Si,Al,Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、Ag、Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、W、Te,Pb、Ge,Re、Sbの単体または合金、あるいはそれらの酸化物または硫化物の微粒子が挙げられる。
これらの金属微粒子を構成する金属の中でも好ましい金属は、光照射時に熱による合体をし易い、融点がおよそ1000℃以下で赤外、可視または紫外線領域に吸収をもつ金属、例えばRe,Sb,Te,Au,Ag,Cu、Ge,PbおよびSnである。
また、特に好ましいのは、融点も比較的低く、赤外線に対する吸光度も比較的高い金属の微粒子、例えばAg,Au,Cu,Sb,GeおよびPbで、特に好ましい元素はAg,AuおよびCuが挙げられる。
【0070】
また、例えばRe,Sb,Te,Au,Ag,Cu、Ge,Pb、Snなどの低融点金属の微粒子とTi、Cr、Fe、Co、Ni、W、Geなどの自己発熱性金属の微粒子を混合使用するなど、2種以上の光熱変換物質で構成されていてもよい。また、Ag、Pt、Pdなど微小片としたときに光吸収が特に大きい金属種の微小片と他の金属微小片を組み合わせて用いることも好ましい。
【0071】
これらの粒子の粒径は、10μm以下、好ましくは、0.003〜5μm、さらに好ましくは、0.01〜3μmである。微小であるほど、凝固温度は低下する、つまりヒートモードの光感度が高くなって好都合であるが、粒子の分散が難しく、10μm以上では、印刷物の解像度が悪くなる。
【0072】
以上に述べた金属単体及び合金の微粒子は、表面を親水性化処理することによって、本発明の効果がより発揮される。表面親水性化の手段は、親水性でかつ粒子への吸着性を有する化合物、例えば界面活性剤で表面処理したり、粒子の構成物質と反応する親水性基をもつ物質で表面処理したり、保護コロイド性の親水性高分子皮膜を設けるなどの方法を用いることができる。特に好ましいのは、表面シリケート処理であり、例えば鉄微粒子の場合は、70℃の珪酸ナトリウム3%水溶液に30秒浸漬する方法によって表面を十分に親水性化することができる。他の金属微粒子も同様の方法で表面シリケート処理を行うことができる。
【0073】
本発明において、これらの金属微粒子を光熱変換剤として用いる場合、その添加量は、親水層全固形分の10重量%以上であり、好ましくは20重量%以上、特に好ましくは30重量%以上で用いられる。10重量%未満では感度が低くなってしまう。
【0074】
本発明の親水層には、熱反応性官能基をもたない親水性樹脂を添加することもできる。そのような親水性樹脂の具体例として、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、ポリビニルピロリドン、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸あるいはその塩のポリマーあるいはコポリマーなどを挙げることができる。
【0075】
本発明の親水層には、コロイドの架橋を促進する架橋剤を添加しても良い。その様なコロイドの架橋剤としては、テトラアルコキシシランの初期加水分解縮合物、トリアルコキシシリルプロピル−N,N,N−トリアルキルアンモニウムハライドまたはアミノプロピルトリアルコキシシランが好ましい。その添加割合は親水層の全固形分の5重量%以下であることが好ましい。
【0076】
さらに、本発明の親水層には、印刷時の耐刷力を増加させる目的で親水性樹脂の架橋剤を添加してもよい。この様な親水性樹脂の架橋剤としては、ホルムアルデヒド、グリオキザール、ポリイソシアネート、テトラアルコキシシランの初期加水分解・縮合物、ジメチロール尿素及びヘキサメチロールメラミンを挙げることができる。
【0077】
本発明においては、親水層で発生した熱が支持体に拡散し、感熱層への熱の伝達効率を低下させ、低感度となるのを防止するために、支持体と親水層の間に水に不溶の有機ポリマー層(断熱層)を設けることができる。この断熱層により感熱層と親水層との接着性を一層上げることができる。
断熱層に含まれる有機ポリマーとしては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、クレゾール樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ビニル樹脂など通常使用される有機ポリマーであれば問題なく使用することができる。断熱層の乾燥塗布量は、0.1〜5.0g/m2であることが好ましい。この範囲内で、良好な断熱効果および耐刷性が得られる。
【0078】
本発明の感熱層は、親水層に含まれる熱反応性化合物と化学結合を形成する反応相手化合物を内包するマイクロカプセルを含有する。感熱層に用いる反応相手化合物としては、親水層に用いられるA群化合物を挙げることができる。
【0079】
マイクロカプセルの平均粒径は0.01〜20μmが好ましいが、その中でも0.05〜2.0μmがさらに好ましく、特に0.10〜1.0μmが最適である。平均粒径が大き過ぎると解像度がわるく、また小さ過ぎると経時安定性が悪くなってしまう。
熱により反応する化合物の、感熱層固形分に対する含有割合は、マイクロカプセルの場合は固形分換算で、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは15〜40重量%である。この範囲内で、良好な機上現像性と同時に、良好な感度および耐刷性が得られる
【0080】
このマイクロカプセルは、官能基を介してマイクロカプセル同士で反応してもよいし、添加された親水性樹脂あるいは添加された低分子化合物と反応してもよい。また2種類以上のマイクロカプセルに、互いに熱反応するような官能基を持たせてマイクロカプセル同士を反応させてもよい。
【0081】
本発明の感熱層には、必要に応じて、熱による反応を開始あるいは促進する化合物を添加してもよい。反応を開始あるいは促進する化合物としては、熱によりラジカルあるいはカチオンを発生するような化合物を挙げることができる。例えば、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合物、過酸化物、アゾ化合物、ジアゾニウム塩あるいはジフェニルヨードニウム塩などを含んだオニウム塩、アシルホスフィン、イミドスルホナートなどを挙げることができる。
これらの化合物は、感熱層固形分の1〜20重量%の範囲で添加することができる。好ましくは3〜10重量%の範囲である。この範囲で、機上現像性を損なわず、良好な反応開始あるいは促進効果が得られる。
【0082】
本発明の感熱層には、熱反応性官能基をもたない親水性樹脂を含有させることができる。このような親水性樹脂としては、本発明の親水層の説明に記載したものと同じものを、好適に用いうる。このような熱反応性官能基をもたない親水性樹脂を添加することにより機上現像性が良好となると同時に、感熱層自体の皮膜強度も向上する。
熱反応性官能基をもたない親水性樹脂の感熱層への添加量は、感光層固形分の5〜40重量%が好ましく、10〜30重量%がさらに好ましい。この範囲内で、耐刷性を損なわないで、良好な機上現像性と皮膜強度が得られる。
【0083】
本発明の感熱層には、光を熱に変換する光熱変換剤を添加することができる。好適な光熱変換剤としては、親水層の説明に記載した光熱変換剤を挙げることができる。光熱変換剤の感熱層への添加量は、有機系光熱変換剤では感熱層全固形分の30重量%まで添加することができる。好ましくは5〜25重量%であり、特に好ましくは7〜20重量%である。金属微粒子系光熱変換剤の場合は、感熱層全固形分の10重量%以上であり、好ましくは20重量%以上、特に好ましくは30重量%以上で用いられる。この範囲内で、良好な感度が得られる。
【0084】
本発明の感熱層には、さらに必要に応じて種々の化合物を添加してもよい。例えば、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすくするため、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、及び特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができる。添加量は、感熱層塗布液全固形分に対し、0.01〜10重量%の割合である。
【0085】
また、本発明においては、感熱層塗布液の調製中あるいは保存中においてラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.01〜5重量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感熱層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.1〜約10重量%が好ましい。
【0086】
さらに、本発明に係る感熱層塗布液中には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
【0087】
本発明の感熱層は、必要な上記各成分を溶媒に溶かして塗布液を調製し、親水層上に塗布される。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50重量%である。
【0088】
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感熱層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。この範囲より塗布量が少なくなると、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす感熱層の皮膜特性は低下する。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
【0089】
本発明に用いられる感熱層塗布液には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、感熱層全固形分の0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0090】
本発明の平版印刷用原板は、親油性物質による感熱層表面の汚染防止のため、感熱層上に、水溶性オーバーコート層を設けることができる。本発明に使用される水溶性オーバーコート層は印刷時容易に除去できるものであり、水溶性の有機高分子化合物から選ばれた樹脂を含有する。ここで用いる水溶性の有機高分子化合物としては、塗布乾燥によってできた被膜がフィルム形成能を有するもので、具体的には、ポリ酢酸ビニル(但し加水分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩あるいはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリルアミドおよびその共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン及びその共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体およびそのアルカリ金属塩あるいはアミン塩、アラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ等)およびその変性体 、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等を挙げることができる。また、目的に応じて、これらの樹脂を二種以上混合して用いることもできる。
【0091】
また、オーバーコート層には、前記の水溶性光熱変換剤を添加しても良い。さらに、オーバーコート層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテルなどの非イオン系界面活性剤を添加することができる。
オーバーコート層の乾燥塗布量は、0.1〜2.0g/m2が好ましい。それより少ないと、指紋付着汚れを起こし、それより多いと、機上現像性が悪くなる。
【0092】
本発明の平版印刷用原板は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
画像露光された本発明の平版印刷用原板は、それ以上の処理なしに印刷機に装着し、インキと湿し水を用いて通常の手順で印刷することができる。
また、これらの平版印刷用原板は、日本特許2938398号に記載されているように、印刷機シリンダー上に取りつけた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、その後に湿し水および/またはインクをつけて機上現像することも可能である。
また、これらの平版印刷用原板は、水または適当な水溶液を現像液とする現像処理をした後、印刷に用いることもできる。
【0093】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例1〜5及び7は、それぞれ、参考例1〜5及び7と読み替えるものとする。
[微粒子ポリマーの合成]
(熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー(1)の合成)
グリシジルメタクリレート7.5g、ブチルメタクリレート7.5g、ポリオキシエチレンノニルフェノール水溶液(濃度9.84×10-3moll-1)200mlを加え、250rpmでかき混ぜながら、系内を窒素ガスで置換する。この液を25℃にした後、セリウム(IV)アンモニウム塩水溶液(濃度0.984×10-3moll-1)10ml添加する。この際、硝酸アンモニウム水溶液(濃度58.8×10-3moll-1)を加え、PHを1.3〜1.4に調整する。その後8時間これを攪拌した。このようにして得られた液の固形分濃度は9.5%であり、平均粒径は0.4μmであった。
【0094】
(熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー(2)の合成)
アリルメタクリレート7.5g、スチレン7.5gを同様にして重合させた。このようにして得られた液の固形分濃度は9.5%であり、平均粒径は0.4μmであった。
【0095】
(熱反応性官能基をもたない微粒子ポリマー(3)の合成)
スチレン15gを同様にして重合させた。このようにして得られた液の固形分濃度は9.0%であり、平均粒径は0.3μmであった。
【0096】
[マイクロカプセルの調製]
(マイクロカプセル(1)の調製)
油相成分として、キシレンジイソシアネート40g、トリメチロールプロパンジアクリレート10g、アリルメタクリレートとブチルメタクリレートの共重合体(モル比7/3)10g、パイオニンA41C(竹本油脂製)0.1gを酢酸エチル60gに溶解した。水相成分として、PVA205(クラレ製)の4%水溶液を120g作製した。油相成分および水相成分をホモジナイザーを用いて10000rpmで乳化した。その後、水を40g添加し、室温で30分、さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は20%であり、平均粒径は0.5μmであった。
【0097】
(マイクロカプセル(2)の調製)
油相成分としてイソホロンジイソシアネート30g、ヘキサメチレンジイソシアネート10g、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル20g、パイオニンA41C(竹本油脂製)0.1gを酢酸エチル60gに溶解した。水相成分としてPVA205(クラレ製)の4%水溶液120gを作成した。油相成分および水相成分をホモジナイザーを用いて10000rpmで乳化した。その後、水を40g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は20%であり、平均粒径は0.7μmであった。
【0098】
(マイクロカプセル(3)の調製)
油相成分としてD−110N(武田薬品工業製)40g、トリメチロールプロパンジアクリレート10g、アリルメタクリレートとブチルメタクリレートの10共重合体(モル比60/40)10g、パイオニンA41C(竹本油脂製)0.1gを酢酸エチル60gに溶解した。水相成分としてPVA205(クラレ製)の4%水溶液120gを作成した。油相成分および水相成分をホモジナイザーを用いて10000rpmで乳化した。その後、水を40g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は20%であり、平均粒径は0.5μmであった。
【0099】
[支持体の作製]
(アルミニウム支持体(1)の作製)
アルミニウム板(材質JISA1050、厚さ0.24mm)を公知の方法を用いて、硝酸浴で電解砂目立て、硫酸浴で陽極酸化した後、ケイ酸塩水溶液による処理を行った。支持体のRa(中心線表面粗さ)は0.25μm、陽極酸化皮膜量は2.5g/m2、Si付着量は10mg/m2だった。
【0100】
[親水層の形成]
(親水層(1):アルミニウム基板上に親水層を設ける)
メタノール240gに、メタノールシリカゾル(日産化学製:10〜20nmのシリカ粒子を30重量%含有するメタノール溶液からなるコロイド)45.2g、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート1.0g、ポリアクリル酸0.52gを溶解分散した液を、先に作製したアルミニウム基板上にバー塗布した。オーブンを用いて100℃30秒の条件で乾燥させて、親水層を設けた。乾燥塗布量は1.0g/m2であった。
【0101】
(親水層(2):アルミニウム基板上に断熱層を設け更に親水層を設ける)
メチルエチルケトン100g、乳酸メチル90g、にポリビニルブチラール樹脂10gを溶解した液を、先に作製したアルミニウム基板上にバー塗布した。オーブンを用い100℃1分の条件で乾燥し、乾燥塗布量は0.5g/m2での断熱層を有するアルミニウム基板を得た。
次に、メタノール240gにメタノールシリカゾル45.2g、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.0gポリアクリル酸0.52gを溶解し、先に得られた断熱層上にバー塗布を行った。オーブンを用いて100℃30秒の条件で乾燥させた。乾燥塗布量は1.0g/m2であった。
【0102】
(親水層(3):アルミニウム基板上に光熱変換剤含有の親水層を設ける)
メタノール240gにメタノールシリカゾル45.2g、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート1.0g、ポリアクリル酸0.52g、赤外線吸収染料(IR−11)3.2gを溶解し、先に作製したアルミニウム基板の上にバー塗布を行った。オーブンを用いて100℃30秒の条件で乾燥させた。乾燥塗布量は1.0g/m2であった。
【0103】
(親水層(4):断熱層のある基板上に光熱変換剤含有の親水層を設ける)
メタノール240gにメタノールシリカゾル45.2g、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.0g、ポリアクリル酸0.52g、赤外線吸収染料(IR−11)3.2gを溶解し、先に得られた断熱層上にバー塗布を行った。オーブンを用いて100℃30秒の条件で乾燥させた。乾燥塗布量は1.0g/m2であった。
【0104】
(親水層(5):アルミニウム基板上に金属微粒子含有の親水層を設ける)
メタノール100g、にメタノールシリカゾル(親水層(1)と同じもの)45.2g、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート1.0g、ポリアクリル酸0.52g、銀コロイド6%溶液250gを、先に作製したアルミニウム基板上にバー塗布した。オーブンを用いて100℃30秒の条件で乾燥させた。乾燥塗布量は1.0g/m2であった。ここで、上記の銀コロイド6%溶液は、いわゆるCarey Leaの銀ゾルであって、Susanne M.H.等の報文(J.Colloid and Interface Sci.,vol.93,545(1983))に記載の方法で作製した平均粒径20nmのものを用いた。
【0105】
(親水性層(6)〜(8):アルミニウム基板上に微粒子ポリマーまたはマイクロカプセルと光熱変換剤を含有する親水層を設ける)
メタノール240gにメタノールシリカゾル45.2g、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.52g、赤外線吸収染料(IR−11)3.2g、表−1に示した微粒子ポリマーまたはマイクロカプセル6.2g(固体換算)を溶解、分散し、先に作製したアルミニウム基板上にバー塗布を行った。オーブンを用いて100℃30秒の条件で乾燥させた。乾燥塗布量は1.0g/m2であった。
【0106】
【表1】
【0107】
実施例1〜10および比較例1〜7
以上のように作成した支持体(1)および親水層(1)〜(8)上に、表−2に示す親水層と感熱層の組み合わせで平版印刷用原板を作製した。感熱層は、下記組成の感熱層塗布液(1)を親水層上にバー塗布した後、オーブンで100℃60秒間乾燥して設けた。乾燥塗布量0.5g/m2であった。
【0108】
(感熱層塗布液(1))
水 100g
微粒子ポリマーまたはマイクロカプセル(固形分換算) 5g
ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g
(重量平均分子量25,000)
赤外線吸収染料(IR−11) 0.3g
【0109】
このようにして得られた機上現像可能な平版印刷版を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したクレオ社製トレンドセッター3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した後、処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取付け、湿し水を供給した後、インキを供給し、さらに紙を供給して印刷を行った。全ての印刷版について問題なく機上現像することができ、印刷可能であった。各印刷版で得られた印刷物の枚数を表2に記載した。この結果から、親水層と感熱層の両方に、熱反応性化合物を含有させることにより、高耐刷が得られることが分かった。
また、比較例1および2の原板の露光エネルギー量を4倍の400mJ/m2にした場合は、印刷可能枚数は、それぞれ、約1000枚および3000枚に上昇した。このことから、低エネルギー量の露光で高耐刷の得られる本発明の平版印刷用原板は、高感度であることも明らかとなった。
【0110】
【表2】
【0111】
註:ここで親水層と感熱層間の反応は、実施例1〜6においてはカルボキシル基とエポキシ基との反応であり、実施例7〜10ではエチレン状不飽和基とエチレン状不飽和基との反応である。比較例においては、親水層と感熱層間の反応は起こらない。
【0112】
実施例11
親水層(6)の上に下記組成の感熱性層塗布液(2)を塗布して平版印刷用原板を作製した。
(感熱性層塗布液(2))
水 100g
合成した微粒子ポリマー(2) 固形分換算5g
ポリアクリル酸(重量平均分子量25000) 0.5g
ソルビトールトリアクリレート 1.0g
赤外線吸収染料(IR−11) 0.3g
このようにして得られた印刷版を、マルチチャンネルレーザヘッドを搭載した富士写真フイルム(株)製Luxel T−9000CTPにて、ビーム1本当たりの出力250mW、外面ドラム回転数800rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。実施例1〜6と同様に印刷したところ30000枚の正常な印刷を行うことができた。
【0113】
【発明の効果】
本発明によれば、露光後そのまま印刷機に装着して印刷することが可能な機上現像型平版印刷用原板において、先行技術の欠点を克服した、機上現像性が良好であり、高感度で、かつ高耐刷性である平版印刷用原板が得られる。
Claims (3)
- 支持体上に、親水層、さらにその上に感熱層を有する平版印刷用原板であって、親水層が熱反応性化合物を含有し、感熱層が、該熱反応性化合物の反応相手化合物を内包するマイクロカプセルを含有することを特徴とする機上現像型平版印刷用原板。
- 親水層が、光熱変換剤を含有することを特徴とする請求項1記載の機上現像型平版印刷用原板。
- 光熱変換剤が、金属微粒子または水溶性の赤外線吸収染料であることを特徴とする請求項2記載の機上現像型平版印刷用原板。
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