JP4764892B2 - 平版印刷版の製版方法 - Google Patents
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Description
なお、本発明は、親水性支持体上に、熱により合体する微粒子状のポリマーを含有する感熱層を設けた平版印刷版用原版から平版印刷版を製版する方法であって、上記親水性支持体が粗面化処理を行ない、陽極酸化処理を行なった後、シリケート処理を行なったアルミニウム基板であり、上記感熱層中の熱により合体する微粒子状のポリマーが不飽和基を有する平版印刷版用原版を、赤外線により画像露光した後、処理することなく印刷機のシリンダーに取付け、湿し水およびインクを供給することにより現像することを特徴とする平版印刷版の製版方法に関するものであるが、本明細書には、参考のためその他の事項についても記載した。
〔画像形成時の熱により合体する微粒子状ポリマー〕
本発明の平版印刷版用原版の感熱層に含有される、画像形成時の熱により合体する微粒子状ポリマー(以下、単に微粒子状ポリマーともいう)としては、他の微粒子状ポリマー中に存在する不飽和基、もしくはさらに感熱層中に含有されるラジカル重合性化合物中に存在するエチレン性不飽和二重結合、と反応しうる不飽和基を有するものであれば特に限定されないが、これらの不飽和基を含有するラテックスなどを挙げることができる。これらの粒子の平均粒径は0.01μm〜20μmが好ましいが、その中でも0.05μm〜2.0μmが更に好ましく、特に0.10μm〜1.0μmが最適である。平均粒径が大き過ぎると解像度が悪く、また小さ過ぎると経時安定性が悪くなってしまう。
なお、本発明の範囲外であるが、イソシアナート基あるいはそれのブロック体と活性水素原子を有する化合物(例えばアミン、アルコール、カルボン酸など)による付加反応、エポキシ基とアミノ基・カルボキシル基・ヒドロキシル基との付加反応、カルボキシル基とヒドロキシル基あるいはアミノ基との縮合反応、酸無水物とアミノ基あるいはヒドロキシル基との開環付加反応などでも微粒子状ポリマーについて同様のことが可能である。
また本発明の平版印刷版用原版は、その感熱層内またはそれに隣接する層内に光熱変換材料を含有させることにより、レーザー光照射等により画像書き込みを行うことができる。その光熱変換材料としては、カーボンブラック・金属微粒子および色素など光源の波長を吸収するものであれば特に限定されないが特に赤外線を吸収し熱に変換する化合物が好ましい。
本発明の平版印刷版用原版の感熱層中には親水性樹脂を添加しても良い。親水性樹脂を添加することで機上現像性が良好となるばかりか、感熱層自体の皮膜強度も上がる。親水性樹脂としては、例えばヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、アミノ、アミノエチル、アミノプロピル、カルボキシメチルなどの親水基を有するものが好ましい。具体的な親水性樹脂として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース及びそれらのNa塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも80重量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマー及びポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩のホモポリマー及びコポリマー等を挙げることができる。
本発明の平版印刷版用原版の感熱層には、上記の反応性基を有する熱可塑性微粒子を用いるので、必要に応じてこれらの反応を開始あるいは促進するような化合物を添加してもよい。たとえば熱によりラジカルあるいはカチオンを発生するような化合物を挙げることができ、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合物、過酸化物、アゾ化合物、ジアゾニウム塩あるいはジフェニルヨードニウム塩などを含んだオニウム塩、アシルホスフィン、イミドスルホナートなどが挙げられる。これらの化合物は感熱層において1重量%〜20重量%の範囲で添加することができる。好ましくは3重量%〜10重量%の範囲である。これより多いと機上現像性が悪くなり、これより少ないと反応開始あるいは促進効果が弱くなり耐刷性が劣化する。
本発明の平版印刷版用原版の感熱層には、さらに、上記微粒子状ポリマー中の不飽和基と反応することができるエチレン性不飽和二重結合を少なくとも2個以上有するラジカル重合性化合物を含有することができる。ラジカル重合性化合物の添加量は、感熱層中5重量%〜40重量%が好ましく、特に5重量%〜20重量%が好ましい。これより少ないと架橋効果が少なく耐刷性が不十分となり、これより多いと経時後の機上現像性が悪くなってしまう。以下これらに使用可能な化合物について述べる。
CH2=C(R41)COOCH2CH(R42)OH
(ただし、R41およびR42は、HまたはCH3を示す。)
本発明では、さらに必要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、及び特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができる。
本発明の平版印刷版用原版は、親油性物質による感熱層表面の汚染防止のため、感熱層上に、水溶性オーバーコート層を設けることができる。本発明に使用される水溶性オーバーコート層は印刷時容易に除去できるものであり、水溶性の有機高分子化合物から選ばれた樹脂を含有する。ここで用いる水溶性の有機高分子化合物としては、塗布乾燥によってできた被膜がフィルム形成能を有するもので、具体的には、ポリ酢酸ビニル(但し加水分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩あるいはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリルアミドおよびその共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン及びその共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体およびそのアルカリ金属塩あるいはアミン塩、アラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ等)およびその変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等を挙げることができる。また、目的に応じて、これらの樹脂を二種以上混合して用いることもできる。
本発明の平版印刷版用原版において前記感熱層を塗布可能な親水性支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられる。
(1)JIS 1050材に関しては、下記の技術が開示されている。特開昭59−153861号、特開昭61−51395、特開昭62−146694、特開昭60−215725、特開昭60−215726、特開昭60−215727、特開昭60−215728、特開昭61−272357、特開昭58−11759、特開昭58−42493、特開昭58−221254、特開昭62−148295、特開平4−254545、特開平4−165041、特公平3−68939、特開平3−234594、特公平1−47545、特開昭62−140894号公報など。また、特公平1−35910、特公昭55−28874等も知られている。
(5)Al−Mn−Mg系合金に関しては、下記の技術が開示されている。特開昭62−86143、特開平3−222796、特公昭63−60824、特開昭60−63346、特開昭60−63347、EP223737、特開平1−283350、US4818300、BR1222777等が知られている。
(7)Al−Mg−Si系合金に関しては、BR1421710等が知られている。
(1)印刷版に湿し水を供給し、機上で現像した後に更にインクを供給して印刷を開始する方法、(2)印刷版に湿し水およびインクを供給し、機上で現像した後に印刷を開始する方法、(3)インクを版に供給し、湿し水を供給すると同時に紙を供給し印刷を開始する方法などがある。またこれらのプレートは特許第2938398号に記載されているように、印刷機シリンダー上に取り付けた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、その後に湿し水及び/またはインクをつけて機上現像することも可能であり、好ましくは水又は水溶液によって現像可能な、あるいは現像することなしにそのまま印刷機に装着し印刷することが可能なものである。
参考実施例1〜3、実施例4〜6 比較例1〜3
支持体(1)の作成(アルミニウム基板の作成)
99.5%以上のアルミニウムと、Fe0.30%、Si0.10%、Ti0.02%、Cu0.013%を含むJIS A1050合金の溶湯を清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板圧0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
この後印刷版非画像部としての親水性を確保するため、シリケート処理を行った。処理は3号ケイ酸ソーダ1.5%水溶液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒となるよう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量は10mg/m2であった。以上により作成した支持体のRa(中心線表面粗さ)は0.25μmであった。(アルミニウム基板C)
メタノール240gにメタノールシリカゾル(日産化学(株)製:10nm〜20nmのシリカ粒子を30重量%含有するメタノール溶液からなるコロイド)45.2g、ポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.52g赤外線吸収染料(I−32)3.2gを溶解し、先に得られたアルミニウム基板C上にバー塗布を行った。オーブンを用いて100度30秒の条件で乾燥させた。塗布量は1.0g/m2であった。
断熱性層の塗布
メチルエチルケトン100g乳酸メチル90gにポリビニルブチラール樹脂10gを溶解し、先に得られたアルミニウム基板C上にバー塗布を行った。オーブンを用い100℃、1分の条件で乾燥した。塗布量は0.5g/m2であった。
発熱性親水性層の塗布
メタノール240gにメタノールシリカゾル45.2g、ポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.52g、赤外線吸収染料(I−32)3.2gを溶解し、先に得られた断熱層上にバー塗布を行った。オーブンを用いて100度30秒の条件で乾燥させた。塗布量は1.0g/m2であった。
微粒子状ポリマーの合成(1)
グリシジルメタクリレート2.0g、メチルメタクリレート13.0g、ポリオキシエチレンフェノール水溶液(濃度9.8×10-3mol/リットル)200mlを加え、250rpmでかき混ぜながら、系内を窒素ガスで置換する。この液を25℃にした後、セリウム(IV)アンモニウム塩水溶液(濃度0.984×10-3mol/リットル)10ml添加する。この際硝酸アンモニウム水溶液(濃度58.8×10-3mol/リットル)を加え、pH1.3〜1.4に調整する。その後8時間これを攪拌した。このようにして得られた液の固形分濃度は9.5%であり、平均粒径は0.4μmであった。
アリルメタクリレート7.5g、スチレン7.5gを同様にして重合させた。このようにして得られた液の固形分濃度は9.5%であり、平均粒径は0.4μmであった。
微粒子状ポリマーの合成(3)(比較例)(反応基を持たない)
スチレン15gを同様にして重合させた。このようにして得られた液の固形分濃度は9.0%であり、平均粒径は0.3μmであった。
以上のように作成した支持体(1)、(2)、(3)上に、合成例(1)〜(3)の熱融着性の微粒子状ポリマーを含有する以下の組成よりなる塗布液を作成し、感熱層の塗布を行った。
水 100 g
合成した微粒子状ポリマー(1)、(2)、(3)(固形分換算で) 5 g
ポリヒドロキシエチルアクリレート(重量平均分子量25000) 0.5g
赤外線吸収染料(I−32) 0.3g
支持体(3)の上に下記よりなる感熱性層塗布液を塗布した。
合成した微粒子状ポリマー(2)(固形分換算で) 5 g
ポリアクリル酸(重量平均分子量25000) 0.5g
ソルビトールトリアクリレート 1.0g
赤外線吸収染料(I−31) 0.3g
支持体(3)の上に下記よりなる感熱性層塗布液を塗布した。
合成した微粒子状ポリマー(1)(固形分換算で) 5 g
ポリアクリル酸(重量平均分子量25000) 0.5g
ジエチレントリアミン 1.0g
赤外線吸収染料(I−31) 0.3g
前記支持体(1)の作成工程によって得られるアルミニウム基板A〜Cを用いた以外は、実施例1と同様に、平版印刷版用原版の作成、画像露光、印刷を行い、その機上現像性を評価した。なお、機上現像性は、印刷開始から100枚目の印刷物における150線/インチの網点のシャドー部が、何%まで再現できるかを観察し、その値が高いほど良好なものとした。結果を下記表−2に示す。
Claims (5)
- 親水性支持体上に、熱により合体する微粒子状のポリマーを含有する感熱層を設けた平版印刷版用原版から平版印刷版を製版する方法であって、上記親水性支持体が粗面化処理を行ない、陽極酸化処理を行なった後、シリケート処理を行なったアルミニウム基板であり、上記感熱層中の熱により合体する微粒子状のポリマーが不飽和基を有する平版印刷版用原版を、赤外線により画像露光した後、処理することなく印刷機のシリンダーに取付け、湿し水およびインクを供給することにより現像することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
- 前記感熱層に親水性樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の製版方法。
- 前記感熱層中に、さらに、少なくとも2個以上のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の平版印刷版の製版方法。
- 前記親水性支持体が、シリケート処理を行なったアルミニウム基板上にさらに発熱性親水層を設けたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版の製版方法。
- 前記親水性支持体が、シリケート処理を行なったアルミニウム基板上に断熱性層を設けさらに発熱性親水層を設けたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版の製版方法。
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