JP3815898B2 - シート状記録媒体の走査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート状記録媒体、例えば、蓄積性蛍光体シートに坦持された被写体の放射線画像情報を読み取るためのシート状記録媒体の走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)を利用して、人体等の被写体の放射線画像情報を一旦記録し、この放射線画像情報を写真フイルム等の写真感光材料等に再生し、あるいはCRT等に可視像として出力させるシステムが知られている。
【0003】
蓄積性蛍光体は、放射線(X線、α線、γ線、電子線、紫外線等)の照射によりこの放射線エネルギの一部を蓄積し、後に可視光等の励起光の照射によって、蓄積されたエネルギに応じて輝尽発光を示す蛍光体をいう。この蓄積性蛍光体は、取り扱いの容易性等から、通常、シート状である蓄積性蛍光体シート(シート状記録媒体)として使用されている。
【0004】
上記システムでは、例えば、蓄積性蛍光体シートに被写体の放射線画像情報を一旦記録する撮影部と、前記放射線画像情報が記録された前記蓄積性蛍光体シートに励起光を照射して前記放射線画像情報を光電的に読み取る読取部と、読み取り後に前記蓄積性蛍光体シートに残存する放射線画像情報を消去する消去部とを一体的に組み込み、該蓄積性蛍光体シートを装置内で循環または往復させる、所謂、ビルトイン方式の放射線画像情報読取装置が採用されている。
【0005】
図7は、一般的な放射線画像情報読取装置1の内部構成図である。放射線画像情報読取装置1は、蓄積性蛍光体シートSに被写体の放射線画像情報を一旦記録する撮影部2と、この蓄積性蛍光体シートSに励起光としてレーザ光Lを照射して前記放射線画像情報を光電的に読み取る読取部3と、読み取り後に前記蓄積性蛍光体シートSに残存する放射線画像情報を消去する消去搬送部4と、前記蓄積性蛍光体シートSを循環させる循環搬送系5と、前記蓄積性蛍光体シートSを収容するマガジン6が配置されるスタッカ部7とを備えている。
【0006】
読取部3は、蓄積性蛍光体シートSを副走査方向(矢印A方向)に搬送する副走査搬送系8と、副走査方向に搬送されている前記蓄積性蛍光体シートSに主走査方向(副走査方向に略直交する方向)にレーザ光Lを照射する光学系9と、このレーザ光Lの照射によって前記蓄積性蛍光体シートSから生ずる輝尽発光光を光電的に読み取る集光系10とを有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の読取部3では、蓄積性蛍光体シートSが水平方向(矢印A方向)に副走査搬送されるため、前記読取部3が水平方向に対して相当に長尺化してしまう。これにより、放射線画像情報読取装置1は、全体として奥行き方向(矢印D方向)に相当に大型化している。
【0008】
本発明はこの種の装置において、簡単な構成で、一層の小型化を図るとともに、高品質な読み取り作業が容易に遂行可能なシート状記録媒体の走査装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るシート状記録媒体の走査装置では、鉛直方向に互いに所定間隔離間して配置された第1および第2ローラ対でシート状記録媒体を狭持して鉛直方向に副走査搬送しながら、このシート状記録媒体に対し略水平方向に走査光を照射して該シート状記録媒体における第1ローラ対と第2ローラ対との間の所定の照射位置での主走査を行う。これにより、走査装置は縦置き構造となり、従来の横置き構造に比べて奥行き方向の寸法が一挙に短尺化され、走査装置全体の小型化が確実に図られる。
【0010】
しかも、走査装置は、第1ローラ対と第2ローラ対との間の走査光の照射位置近傍でシート状記録媒体の両面を保持して前記シート状記録媒体のぶれを阻止するシート保持手段を備えている。従って、シート状記録媒体は、鉛直方向に副走査搬送される際にばたつくことがなく、このシート状記録媒体のばたつきに起因するムラの発生を阻止して高品質な画像情報の読み取り作業が遂行可能になる。
【0011】
ここで、シート保持手段は、シート状記録媒体の両面にそれぞれ全幅にわたって接する第1および第2ガイド部材を備えるとともに、前記第2ガイド部材は、弾性体を介して前記第1ガイド部材に対して進退自在であり、かつ、駆動手段により揺動するクランク部材によって弾性体の弾発力に抗して第1ガイド部材側から離間する方向に付勢される。これにより、簡単な構成で、シート状記録媒体のぶれを確実に阻止することができる。その際、第1および第2ガイド部材には、シート状記録媒体に接する表面に緩衝部材が設けられており、前記シート状記録媒体に傷や汚れ等が発生することが回避され、該シート状記録媒体の耐久性を有効に確保することが可能になる。
【0012】
また、走査光の照射位置下流側には、シート状記録媒体の少なくとも一面に接するガイド手段が備えられている。従って、シート状記録媒体が、読み取り処理を行いながら湾曲搬送される際、このシート状記録媒体にばたつきが発生することを阻止することができる。
【0013】
さらにまた、照射位置下流側には、シート状記録媒体を湾曲搬送するための湾曲搬送路が備えられ、この湾曲搬送路に、互いに2mm以下の間隔を有して離間する第1および第2湾曲ガイド板が設けられている。このため、シート状記録媒体、特に蓄積性蛍光体シートは、湾曲搬送路に沿って円滑に湾曲搬送されるとともに、搬送時のばたつきの発生を確実に防止することが可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係るシート状記録媒体の走査装置が組み込まれる放射線画像情報読取装置20の概略斜視説明図であり、図2は、前記放射線画像情報読取装置20の内部構成説明図である。
【0015】
放射線画像情報読取装置20は、基台22から上方に設けられる昇降部24を備え、この昇降部24には、装置本体26がボールねじやシリンダ等の図示しないアクチュエータを介して昇降自在に支持される。放射線画像情報読取装置20は、装置本体26内で2枚の蓄積性蛍光体シート(シート状記録媒体)Sを循環させ、被写体の放射線画像情報の記録および読み取り作業を繰り返し行うように機能する。
【0016】
図2に示すように、装置本体26内には、蓄積性蛍光体シートSに被写体の放射線画像情報を一旦記録する撮影部30と、前記放射線画像情報が記録された前記蓄積性蛍光体シートSに励起光であるレーザ光Lを照射して前記放射線画像情報を光電的に読み取る読取部(走査装置)32と、読み取り後に前記蓄積性蛍光体シートSに残存する放射線画像情報を消去する消去部34と、2枚の前記蓄積性蛍光体シートSを循環させる循環搬送系36とが組み込まれる。
【0017】
撮影部30は、装置本体26の前面側に装着される撮影カバー38を備え、この撮影カバー38には、図示しない被写体側からフォトタイマ40およびグリット42が、順次、配置されるとともに、このグリット42側には、蓄積性蛍光体シートSを撮影位置に保持するための揺動自在な押さえ板44が装着される。
【0018】
読取部32は、撮影部30と略平行に配設されており、蓄積性蛍光体シートSを鉛直下方向(矢印X方向)に副走査搬送する副走査搬送手段46と、副走査搬送されている前記蓄積性蛍光体シートSに対し励起光としてレーザ光Lを略水平方向(矢印Y方向)に照射して主走査するレーザ光照射手段(励起光照射手段)48と、前記蓄積性蛍光体シートSから発せられる輝尽発光光を集光し、前記蓄積性蛍光体シートSに担持されている放射線画像情報を光電的に読み取る読取手段50と、前記レーザ光Lの照射位置近傍で前記蓄積性蛍光体シートSの両面を保持し、前記照射位置での該蓄積性蛍光体シートSのぶれを阻止するシート保持手段52とを備える。
【0019】
レーザ光照射手段48は、レーザ光Lを一旦鉛直下方向に導出した後、略水平方向に屈曲させてこのレーザ光Lを蓄積性蛍光体シートSに照射するための光学系51を設けている。蓄積性蛍光体シートSのレーザ光Lの照射位置近傍には、このレーザ光Lの照射によって前記蓄積性蛍光体シートSから発せられる輝尽発光光を集光する集光ガイド53が配置されている。この集光ガイド53には、図示しないフォトマルチプライヤが接続されて読取手段50が構成されている。
【0020】
副走査搬送手段46は、鉛直方向(矢印X方向)に互いに所定間隔離間して配置されている第1および第2ローラ対54、56を備える。第1および第2ローラ対54、56は、モータ58に連結されるベルト・プーリ手段等の伝動手段(図示せず)を介して同期的に回転駆動される。第1および第2ローラ対54、56は、それぞれ蓄積性蛍光体シートSの放射線画像情報の記録および読み取りを行わない両側部(以下、耳部という)を挟持して搬送するように構成される。
【0021】
図3および図4に示すように、シート保持手段52は、第1および第2ローラ対54、56間にあって前記第1ローラ対54側に近接して配置されており、蓄積性蛍光体シートSの撮影面(一方の面)に全幅にわたって接する板状の第1ガイド部材60と、前記蓄積性蛍光体シートSの裏面側(他方の面)に全幅にわたって接するとともに、スプリング(弾性体)62を介して前記第1ガイド部材60に対して進退自在な略円筒状の第2ガイド部材64とを備える。
【0022】
第1ガイド部材60は、固定フレーム66に固定されるとともに、第2ガイド部材64内に配置されている小径なロッド67の両端に一対の軸体68が固着される。軸体68は、固定フレーム66を貫通して配置されており、前記軸体68に固定されている支持板70と前記固定フレーム66との間にスプリング62が介装されている。
【0023】
第2ガイド部材64は、スプリング62の弾性力を介して第1ガイド部材60側に付勢されており、軸体68には、前記第2ガイド部材64を前記第1ガイド部材60から離間する方向に押圧する駆動手段72が係合する。第2ガイド部材64がスプリング62を介して蓄積性蛍光体シートSを押さえる力は、この蓄積性蛍光体シートSの剛性よりも強い力に設定されている。
【0024】
駆動手段72は、駆動モータ74を備え、この駆動モータ74にベルト・プーリ手段76を介してクランク部材78が係合する。クランク部材78に設けられた偏心ピン80に長尺な第1リンク82の一端が連結され、この第1リンク82の他端に短尺な第2リンク84の一端が揺動自在に連結される。第2リンク84には、第3リンク86を介して棒状の押圧部材88が係合し、この押圧部材88が一対の軸体68に接離可能である。
【0025】
第1および第2ガイド部材60、64には、少なくとも蓄積性蛍光体シートSに接する表面に緩衝材60a、64aが設けられる。緩衝材60a、64aは、例えば、ポリエステル性の布材で構成されており、前記第1および第2ガイド部材60、64を構成するSUS材の表面に貼り付けられている。
【0026】
レーザ光Lの照射位置下流側には、蓄積性蛍光体シートSの少なくとも一面、例えば、撮影面に接するガイド手段90が配置される。ガイド手段90は、第2ローラ対56の上方に近接して配置されており、蓄積性蛍光体シートSの全幅にわたって延在する板状に構成され、その表面には緩衝材92が設けられている。
【0027】
図4に示すように、レーザ光Lの照射位置である走査線Mからシート保持手段52を構成する第2ガイド部材64までの距離H1が6mmに設定される一方、前記走査線Mからガイド手段90までの距離H2が15mmに設定されている。
【0028】
第2ローラ対56の下流側には、蓄積性蛍光体シートSを湾曲搬送するための湾曲搬送路100が設けられる。この湾曲搬送路100は、互いに所定の距離H3を有して離間する第1および第2湾曲ガイド板102、104を設けている。ここで、湾曲搬送路100の曲率半径Rが70mmであり、蓄積性蛍光体シートSの厚さが0.8mmであり、第1および第2湾曲ガイド板102、104の離間距離H3が2mm以下に設定されている。
【0029】
図2に示すように、消去部34は、撮影部30および読取部32と略平行に配設され、鉛直方向に延在して複数の消去用光源110を備えている。なお、消去用光源110は、水平方向に延在して配置されていてもよい。
【0030】
循環搬送系36は、撮影部30と読取部32との間に配置され、蓄積性蛍光体シートSを180゜旋回させて前記撮影部30から前記読取部32に搬送する旋回搬送手段112を備える。この旋回搬送手段112は、撮影部30のシート出入口近傍に配置されるローラ対114と読取部32の上方に配置されるローラ対116との間に設けられ、湾曲形成された湾曲ガイド板118、120と、前記湾曲ガイド板118、120の下方に配置された複数のガイドローラ122とを備えている。湾曲ガイド板118、120は、蓄積性蛍光体シートSの耳部を案内するために幅狭に構成されている。ローラ対114、116は、モータ124を介して回転駆動される。
【0031】
ローラ対116の下方には、蓄積性蛍光体シートSの耳部両面を案内する一対のガイド板126が読取部32に向かって設けられるとともに、この読取部32の出口側には、前記蓄積性蛍光体シートSを湾曲搬送路100から鉛直上方向に案内するための耳部案内用の湾曲ガイド板130が配置される。湾曲ガイド板130の端部は、鉛直上方向に直線状に延在している。
【0032】
湾曲ガイド板130の近傍には、モータ132により回転駆動されるローラ対134が配置されている。ローラ対134の近傍から集光ガイド53側に向かって水平方向にガイド板136が延在し、このガイド板136の端部には、湾曲ガイド板138を介して鉛直方向に延在するガイド板140が設けられる。このガイド板140は、消去部34に沿って延在してその上部側に湾曲ガイド板142が設けられ、この湾曲ガイド板142の端部が湾曲ガイド板118に対応して配置される。ガイド板140の下方および上方には、それぞれモータ144、146の作用下に回転駆動されるローラ対148、150が配設される。
【0033】
このように構成される放射線画像情報読取装置20の動作について、以下に説明する。
【0034】
装置本体26内には、2枚の蓄積性蛍光体シートSが収容されており、一方の前記蓄積性蛍光体シートSが撮影部30に配置される際、他方の前記蓄積性蛍光体シートSが消去部34に待機されている(図2参照)。撮影部30では、押さえ板44が図示しない被写体側に揺動され、この押さえ板44を介して蓄積性蛍光体シートSが撮影位置に保持された状態で、前記被写体の放射線画像情報の記録(撮影)が行われる。
【0035】
撮影処理後の蓄積性蛍光体シートSは、押さえ板44と一体的に内方に揺動した後、ローラ対114側に送り出される。ローラ対114は、モータ124を介して回転駆動されており、このローラ対114の回転作用下に蓄積性蛍光体シートSが旋回搬送手段112に送られる。この旋回搬送手段112では、湾曲ガイド板118、120および複数のガイドローラ122の案内作用下に蓄積性蛍光体シートSの撮影面が他の部材と接触することなく、この蓄積性蛍光体シートSが180゜旋回されてローラ対116に送られた後、このローラ対116の回転作用下に鉛直方向に配置されているガイド板126に受けわたされる。蓄積性蛍光体シートSは、耳部をガイド板126に案内されて読取部32を構成する副走査搬送手段46に送られる。
【0036】
副走査搬送手段46では、モータ58の駆動作用下にそれぞれ上下に配置されている第1および第2ローラ対54、56が回転駆動されている。このため、蓄積性蛍光体シートSは、先ず、第1ローラ対54に耳部を挟持されて矢印X方向(鉛直下方向)に副走査搬送される。
【0037】
その際、シート保持手段52では、駆動手段72の作用下に押圧部材88が軸体68をスプリング62の弾性力に抗して押圧し、第2ガイド部材64が第1ガイド部材60から離間する位置に保持されている(図5参照)。次いで、第1ローラ対54に挟持されて矢印X方向に副走査搬送される蓄積性蛍光体シートSの先端部が、第1および第2ガイド部材60、64間に進入すると、駆動手段72を構成する駆動モータ74が駆動される。
【0038】
このため、図3および図4に示すように、ベルト・プーリ手段76を介してクランク部材78が回転し、偏心ピン80の揺動作用下に第1および第2リンク82、84を介して押圧部材88が軸体68から離間する方向に揺動する。従って、第2ガイド部材64は、スプリング62の弾性力を介して第1ガイド部材60側に付勢され、前記第1および第2ガイド部材60、64が蓄積性蛍光体シートSの両面を全幅にわたって保持する(図6参照)。
【0039】
蓄積性蛍光体シートSは、第1および第2ガイド部材60、64に保持された状態で、その先端側の耳部が第2ローラ対56に挟持され、第1および第2ローラ対54、56を介して矢印X方向に副走査搬送される。ここで、レーザ光照射手段48からレーザ光Lが導出され、このレーザ光Lが一旦鉛直下方向に進んだ後、光学系51を介して略水平方向に指向し、前記蓄積性蛍光体シートSの撮影面に照射されて主走査が行われる。レーザ光Lの照射により蓄積性蛍光体シートSの撮影面から輝尽発光光が生じ、この輝尽発光光が集光ガイド53を介して集光されて図示しないフォトマルチプライヤにより光電的に読み取られる。
【0040】
ここで、第1および第2ローラ対54、56は、蓄積性蛍光体シートSをその耳部のみを挟持して鉛直下方向に副走査搬送している。このため、蓄積性蛍光体シートSが副走査搬送中にばたつくおそれがあり、搬送のぶれによる放射線画像情報の読み取り不良が生じ易い。
【0041】
そこで、本実施形態では、走査線Mの近傍にシート保持手段52を配設し、このシート保持手段52を構成する第1および第2ガイド部材60、64により蓄積性蛍光体シートSの両面を全幅にわたって保持している。これにより、鉛直下方向に副走査搬送される蓄積性蛍光体シートSにばたつきが発生することを確実に阻止し、この蓄積性蛍光体シートSを常時鉛直姿勢に維持して副走査搬送することができ、該蓄積性蛍光体シートSに担持されている放射線画像情報の読み取り作業が高精度に遂行されるという効果が得られる。
【0042】
しかも、第1および第2ガイド部材60、64の表面には、緩衝材60a、64aが設けられており、蓄積性蛍光体シートSに損傷や汚れ等が発生することを防止することができる。このため、蓄積性蛍光体シートSの耐久性を有効に確保することが可能になる。
【0043】
さらに、走査線Mの下流側には、湾曲搬送路100による湾曲方向とは反対側の面、すなわち、蓄積性蛍光体シートSの撮影面側にガイド手段90が配設されている。従って、蓄積性蛍光体シートSは、その撮影面を全幅方向にわたって延在するガイド手段90に保持された状態で、湾曲搬送路100に沿って湾曲しながら放射線画像情報の読み取りが行われる。これにより、蓄積性蛍光体シートSのばたつきの発生を有効に阻止して、高品質な読み取り作業を遂行することが可能になる。また、ガイド手段90には、緩衝材92が設けられており、蓄積性蛍光体シートSの撮影面側の損傷等を阻止することができる。
【0044】
さらにまた、湾曲搬送路100が、互いに2mm以下の間隔を有して離間する第1および第2湾曲ガイド板102、104を備えている。このため、この湾曲搬送路100に沿って湾曲搬送される蓄積性蛍光体シートSにばたつきが発生することを確実に阻止することが可能になる。
【0045】
次いで、蓄積性蛍光体シートSの読み取り先端側は、湾曲ガイド板130に案内されてローラ対134の回転作用下に鉛直上方向に向かって搬送される。そして、蓄積性蛍光体シートS全体の読み取り作業が終了した後、この蓄積性蛍光体シートSの読み取り後端側がローラ対134の近傍まで送り出された状態で、前記ローラ対134がモータ132の作用下に逆方向に回転される。
【0046】
このため、蓄積性蛍光体シートSは、その撮影面を下側にしてガイド板136に沿って一旦水平方向に搬送された後、湾曲ガイド板138を介して鉛直上方向に向かって搬送される。ここで、モータ144の作用下にローラ対148が回転駆動され、蓄積性蛍光体シートSがガイド板140の案内作用下に鉛直上方向に搬送される。そして、消去部34を構成する消去用光源110が付勢され、蓄積性蛍光体シートSに残存する放射線画像情報の消去が行われる。消去後の蓄積性蛍光体シートSは、消去部34に対応して待機されている。
【0047】
一方、撮影部30で蓄積性蛍光体シートSに放射線画像情報の記録を行っている際に、消去部34に待機されている別の蓄積性蛍光体シートSは、上記のように、撮影後の蓄積性蛍光体シートSが読取部32で読み取り処理が行われている間、モータ146により回転駆動されるローラ対150に挟持されて湾曲ガイド板142の案内作用下に湾曲ガイド板118に送られる。さらに、ローラ対114が前記とは逆方向に回転されることによって、前記別の蓄積性蛍光体シートSが撮影部30に送り込まれる。この別の蓄積性蛍光体シートSは、押さえ板44の揺動作用下に撮影部30に対して位置決め保持された状態で、図示しない被写体の放射線画像情報の記録(撮影)処理が遂行される。
【0048】
この場合、蓄積性蛍光体シートSに記録された放射線画像情報を光電的に読み取る読取部32が、この蓄積性蛍光体シートSを鉛直下方向(矢印X方向)に副走査搬送しながら前記蓄積性蛍光体シートSに対し略水平方向にレーザ光Lを照射するように構成されている。このため、蓄積性蛍光体シートSを水平方向に副走査搬送しながら主走査を行う従来の読取部に比べ、水平方向の寸法が大幅に短尺化される。これにより、装置本体26は、奥行き方向(矢印D方向)の寸法が一挙に短尺化されるという効果が得られる。
【0049】
なお、本実施形態では、シート保持手段52が、板状の第1ガイド部材60と円筒状の第2ガイド部材64とを備えているが、これに限定されるものではなく、第1および第2ガイド部材60、64を共に平板状あるいは円筒状に構成してもよい。また、蓄積性蛍光体シートSの撮影面側に配設される第1ガイド部材60を回転可能な円筒状に構成すれば、この撮影面の損傷を一層確実に阻止することができる。さらにまた、ガイド手段90は板状を有しているが、シート保持手段52と同様に構成してもよい。これにより、蓄積性蛍光体シートSのばたつき防止効果が一層向上することになる。
【0050】
さらにまた、シート状記録媒体として、蓄積性蛍光体シートSに代替して画像が記録された写真フイルムを使用してもよく、この場合、この写真フイルムの走査を行う走査装置を採用すればよい。
【0051】
【発明の効果】
本発明に係るシート状記録媒体の走査装置では、シート状記録媒体を鉛直方向に副走査搬送しながら、略水平方向に走査光を照射するため、前記シート状記録媒体を水平方向に副走査搬送する従来の横置き型の構造に比べ、装置本体の奥行き寸法を一挙に短尺化することができる。しかも、走査光の照射位置近傍には、シート状記録媒体の両面を保持して該シート状記録媒体のぶれを阻止するシート保持手段が備られている。これにより、鉛直方向に搬送されるシート状記録媒体にばたつきが発生することがなく、読み取り画像にムラが発生することを阻止して、高品質な画像情報の読み取り作業が遂行可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る走査装置が組み込まれる放射線画像情報読取装置の概略斜視説明図である。
【図2】前記放射線画像情報読取装置の内部構成説明図である。
【図3】前記走査装置の要部斜視説明図である。
【図4】前記走査装置の正面説明図である。
【図5】前記走査装置を構成するシート保持手段の離間状態を説明する図である。
【図6】前記シート保持手段により蓄積性蛍光体シートを保持した状態の説明図である。
【図7】従来技術に係る放射線画像情報読取装置の内部構成説明図である。
【符号の説明】
20…放射線画像情報読取装置 26…装置本体
30…撮影部 32…読取部
34…消去部 36…循環搬送系
46…副走査搬送手段 48…レーザ光照射手段
50…読取手段 52…シート保持手段
54、56…ローラ対 60、64…ガイド部材
60a、64a、92…緩衝材 62…スプリング
72…駆動手段 78…クランク部材
82、84、86…リンク 88…押圧部材
90…ガイド手段 100…湾曲搬送路
102、104…湾曲ガイド板
Claims (5)
- 鉛直方向に互いに所定間隔離間して配置された第1および第2ローラ対でシート状記録媒体を狭持して前記鉛直方向に副走査搬送する副走査搬送手段と、
走査光を前記シート状記録媒体に対し略水平方向に照射して該シート状記録媒体における前記第1ローラ対と前記第2ローラ対との間の所定の照射位置を主走査する走査光照射手段と、
前記第1ローラ対と前記第2ローラ対との間の前記照射位置近傍で前記シート状記録媒体の両面を保持し、前記照射位置での該シート状記録媒体のぶれを阻止するシート保持手段と、
を備え、
前記シート保持手段は、前記シート状記録媒体の一方の面に全幅にわたって接する第1ガイド部材と、前記シート状記録媒体の他方の面に全幅にわたって接するとともに、弾性体を介して前記第1ガイド部材に対して進退自在な第2ガイド部材とを有し、
前記第2ガイド部材は、駆動手段により揺動するクランク部材によって前記弾性体の弾発力に抗して前記第1ガイド部材側から離間する方向に付勢される
ことを特徴とするシート状記録媒体の走査装置。 - 請求項1記載の装置において、前記第1および第2ガイド部材には、少なくとも前記シート状記録媒体に接する表面に緩衝材が設けられることを特徴とするシート状記録媒体の走査装置。
- 請求項1記載の装置において、前記走査光の照射位置下流側で前記シート状記録媒体の少なくとも一面に接するガイド手段を備え、
前記ガイド手段の表面に緩衝材が設けられることを特徴とするシート状記録媒体の走査装置。 - 請求項1記載の装置において、前記走査光の照射位置下流側で前記シート状記録媒体を湾曲搬送する湾曲搬送路を備え、
前記湾曲搬送路は、互いに2mm以下の間隙を有して離間する第1および第2湾曲ガイド板を設けることを特徴とするシート状記録媒体の走査装置。 - 請求項1記載の装置において、前記シート状記録媒体は蓄積性蛍光体シートであり、
前記蓄積性蛍光体シートから発せられる輝尽発光光を集光し、前記蓄積性蛍光体シートに坦持されている放射線画像情報を光電的に読み取る読取手段を備えることを特徴とするシート状記録媒体の走査装置。
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