JP3814910B2 - 単結晶シリコン基板の溝形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶面方位が(110)の単結晶シリコン基板に水酸化カリウムを含むエッチング液を用いて異方性エッチングを施すことにより当該単結晶シリコン基板に所定形状および深さの溝を形成する溝形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
単結晶シリコンにおいては、周知のごとく、水酸化カリウム水溶液等のアルカリでエッチングする場合、その結晶面によるエッチング速度の差が大きいので、異方性エッチングが可能である。この単結晶シリコンの異方性エッチングは、例えば、特開平6−71882号公報に開示されているように、インクジェットヘッド構成用の単結晶シリコン基板上に多数のインクキャビティ等の溝を形成する場合に応用されている。この公開公報に開示の異方性エッチングにおいては、結晶面方位が(110)の単結晶シリコン基板の表面を、耐エッチング材であるSiO2 からなるマスクパターンで覆い、この状態で水酸化カリウム等のエッチング液を用いて単結晶シリコン基板にエッチングを施し、インクキャビティとなる溝を形成している。すなわち、各インクノズルにそれぞれ連通している個別インク室と、これらの個別インク室に連通している共通インク室とを形成している。個別インク室は、その底面を薄くして振動板として機能させるために深溝としてあり、共通インク室はこれらの個別インク室に供給可能な多量のインクを貯留可能ために広幅の溝としてある。使用するマスクパターンは、仕上がり時の溝形状に対応する開口部を備えた構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
結晶面方位が(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液を用いてエッチングすることにより所定形状の溝を形成する方法においては次のような解決すべき課題がある。
【0004】
形成すべき溝が狭い場合には、溝の内周側面部分と中央部分とのエッチング速度にそれ程の差は無いので、形成された溝の底面は実質的に平坦な面になる。しかし、図6に示すように、シリコン基板100に形成すべき溝101の幅が広い場合には、エッチング速度の違いに起因して、すなわち、溝底面の隅部分102のエッチング速度に対して溝底面の中央部分103のエッチング速度が遅いので、当該溝底面の中央部分103には盛り上がりができてしまい、溝底面の平坦度が悪化し、目標とする均一な深さの溝が得られない。
【0005】
本発明者等の知見によれば、図7のグラフから分かるように、溝幅が200ミクロン以上の場合に、このような弊害が現れる。しかしながら、従来においてはこの点に着目されておらず、従って、その解決策も何ら講じられていない。
【0006】
ここで、ドライエッチング法を採用すれば、溝幅の広狭に関わりなく平坦な底面形状の溝を形成可能である。しかし、ドライエッチング法は上記のようなウエットエッチング法に比べてコストが高いので、実用的でない場合がある。
【0007】
本発明の課題は、この点に鑑みて、広幅の溝をエッチングする場合にも平坦な底面形状の溝を形成可能な単結晶シリコン基板の溝形成方法を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、結晶方位が(110)のシリコン基板を水酸化カリウムを含むエッチング水溶液を用いてエッチングすることにより当該シリコン基板に幅および深さの異なる少なくとも第1および第2の溝を形成する単結晶シリコン基板の溝形成方法において、
開口部を連続状態および不連続状態のうち少なくとも一方の状態で形成し、薄膜部分を連続状態および不連続状態のうち少なくとも一方の状態で形成した溝形成用のマスクパターンを用いて前記シリコン基板の表面を覆い、濃度の異なる2種類の水酸化カリウム水溶液のうち濃度の高い第1の水酸化カリウム水溶液を用いて、前記シリコン基板の表面のエッチングを行うことで、横方向より深さ方向のエッチング量を大きくし、次に、濃度の低い第2の水酸化カリウム水溶液を用いて前記シリコン基板の表面のエッチングを行うことで、深さ方向より横方向のエッチング量を大きくすることを特徴とする。
【0009】
このように濃度の異なる水酸化カリウム水溶液を用いれば、幅および深さの異なる溝を、底面の平坦度の良い状態で形成できる。
【0010】
また、本発明は、前記第2の水酸化カリウム水溶液を用いるエッチングに先立って、前記シリコン基板の裏面にエッチストップ層を形成しておくことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記マスクパターンは、前記第1の溝に対応する部分に前記開口部を備え、前記第2の溝に対応する部分に前記薄膜部分を備えており、前記第1の水酸化カリウム水溶液によるエッチングは2回に分けて行うものであり、1回目の前記第1の水酸化カリウム水溶液を用いたエッチングを行った後、前記マスクパターンの前記薄膜部分をエッチング除去し、その後、2回目の前記第1の水酸化カリウム水溶液を用いたエッチングを行うことで、前記第2の溝のエッチングを開始すると共に、前記第1の水酸化カリウム水溶液のエッチングによって途中まで形成されていた前記第1の溝のエッチングを再開し、その後、前記第2の水酸化カリウム水溶液を用いたエッチングを行うことで、前記第1の溝および前記第2の溝の形成を完了することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記開口部は幅が200ミクロン以下であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記シリコン基板は、前記第2の溝によって形成される共通インク室と前記第1の溝によって形成される個別インク室とを備えたインクジェットヘッドを構成するための基板であることを特徴とする。
【0025】
このような本発明の方法は、特に、幅が狭くて深い溝の個別インク室と、幅が広くで浅い溝の共通インク室を備えたインクジェットヘッドを構成するためのシリコン基板のエッチングに適用すれば、これらの個別インク室および共通インク室を精度良く形成できるので好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明による単結晶シリコン基板の溝形成方法について説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
図1には、本発明を適用したマスクパターンおよび当該マスクパターンで表面が覆われた結晶面方位が(110)の単結晶シリコン基板を示してある。この図に示すように、結晶面方位が(110)の単結晶シリコン基板1の表面には、耐エッチング材であるSiO2 の膜からなるマスクパターン2が形成されている。このマスクパターン2は、SiO2 膜の上に、形成すべき溝形状に対応するフォトレジストパターン(図示せず)を形成し、フッ酸系エッチング液を用いてフォロレジストパターンから露出しているSiO2 膜の部分を除去することによって得られたものである。
【0028】
図示のマスクパターン2は、縦横の寸法が1〜2mm×2〜3mmの溝を単結晶シリコン基板1に形成するためのものである。このマスクパターン2は、溝形成領域の外延に沿った大きさに形成された開口部20の中に、所定の間隔で横方向に向けて、5本の一定幅で縦に延びるダミーのマスキング部分21〜25が形成された構成となっている。これらのダミーのマスキング部分21〜25を形成することにより、開口部20は、溝形成領域の外延に沿った枠状の外周側開口部20aと、この外周側開口部20aに両端が連続している4本の開口部20b〜20eとに区分されている。これらの各開口部20a〜20eの開口幅は、いずれの部分においても200ミクロン以下の値とされている。
【0029】
このようなマスクパターン2が形成された単結晶シリコン基板1をエッチング液である水酸化カルシウム水溶液の中に浸漬してエッチングを行った。図2には、シリコンのエッチング除去の状態を模式的に示してある。この図は、図1(A)におけるII−II線に沿って切断した断面部分である。先ず、図2(A)に示す状態からエッチングが開始され、マスクパターン2の開口部20a〜20eから露出しているシリコン表面からエッチングが進行する。これらの開口部20a〜20eの幅は200ミクロン以下であるので、このような狭い幅の複数の溝部分11がシリコン基板表面から徐々に形成される。
【0030】
狭い幅の溝部分がそれらの深さ方向に形成されるのと同時に、これらの溝部分の間に位置しているシリコンのエッチングも行われる。図2(B)、(C)にはこの状態を示してある。このような横方向のエッチング速度は、深さ方向に比べて遅い。このように横方向へのエッチングも進行するので、狭い幅の溝部分の間の仕切り壁の部分12の厚さが徐々に薄くなっていく。
【0031】
最終的には、図2(D)に示すように、狭い幅の溝部分11の間の仕切り壁の部分12が完全にエッチング除去され、また、この部分の表面を覆っていたマスキング部分22もエッチング除去されて、狭い幅の溝が相互に繋がった広幅の長方形の溝13が形成される。
【0032】
このようにして広幅の溝13を形成した場合には、最初から広い幅の溝に対向する形状のマスクパターンを用いてエッチングを行う場合に比べて、溝底面の中心付近の盛り上がりを少なくすることができる。図2(D)においては最初から広幅の溝を形成した場合の底面の形状を破線で示し、本発明により形成された底面の形状を実線で示し、それらの盛り上がりの違いを模式的に示してある。
【0033】
(第2の実施の形態)
図3には、上記とは異なるマスクパターンおよび当該マスクパターンで表面が覆われた結晶面方位が(110)の単結晶シリコン基板を示してある。この図に示すマスクパターン3も長方形の溝を単結晶シリコン基板に形成するためのものである。このマスクパターン3は、形成すべき長方形の溝形状に一致した開口部30の中に、縦方向に延びる3本のダミーのマスキング部分31〜33が一定の間隔で平行に配置さている。これらのダミーのマスキング部分31〜33によって、開口部30は、幅が200ミクロン以下の独立した不連続状態の4本の開口部30a〜30dに仕切られている。
【0034】
図4を参照して、この構成のマスクパターン3を用いた単結晶シリコン基板1のエッチングについて説明する。この図は図3におけるIV−IV線で切断した部分を示すものである。まず、図4(A)に示す一定の膜厚のマスクパターン3におけるダミーのマスキング部分31〜33のみにハーフエッチングを施して、他のマスキング部分34に対して膜厚が半分の薄膜状のマスキング部分31a〜33aとする。この状態を図4(B)に示してある。この状態で、前述した場合と同様に、単結晶シリコン基板1をエッチング液である水酸化カリウム水溶液に浸漬して、単結晶シリコン基板1の露出面のエッチングを行う。この結果、図4(C)に示すように、幅が200ミクロン以下の4本の狭い溝41〜44が所定の深さに形成される。この後は、シリコン基板1のエッチングを中断して、図4(D)に示すように、薄膜状のマスキング部分31a〜33aをシリコン基板表面から完全にエッチング除去する。しかる後に、シリコン基板1のエッチングを再開して、狭い溝の間の仕切り壁の部分51〜53もエッチングして、各溝が連続した広い幅の溝60を形成する。
【0035】
ここで、このエッチング時間等を調整することにより、広い幅の溝60の底面61には、最初に形成された狭い溝41〜44の間に所定の高さに盛り上がった隆起部71〜73を残すことができる。このような隆起部71〜73を形成した場合には、例えば、広い幅で深い溝を形成した場合に、その底壁の部分60aが薄くなり破損しやすくなるが、当該隆起部分71〜73が補強部分として機能するので、底壁60aの面外剛性が高まり、破損等がしにくくなるので好ましい。勿論、このような隆起部が不要な場合には、エッチング時間を延ばす等して、溝の底面が平らになるまでエッチングを行えばよい。
【0036】
(第3の実施の形態)
図5は本発明を適用した単結晶シリコン基板の溝形成方法を示す工程図である。本例の方法は、厚さが180ミクロンの単結晶シリコン基板11の表面に、2種類のエッチング液を用いて、幅および深さの異なる2種類の溝を形成するためのものである。一方の溝は幅が狭い深溝であり、例えば、特開平6−71882号公報に開示のインクジェットヘッドの個別インク室(吐出室)を構成するためのものであり、その底板は薄肉の振動板として機能するものである。他方の溝は幅が広くて浅溝であり、例えば、上記公開公報に開示のインクジェットヘッドの共通インク室を構成するものである。深溝は、例えば、幅108ミクロン×長さ3.6ミリメートル×深さ178ミクロンであり、浅溝は、例えば、幅1.5ミリメートル×長さ3.0ミリメートル×深さ150ミクロンである。
【0037】
このような形状の深溝および浅溝を形成するために次のように単結晶シリコン基板のエッチングを行った。
【0038】
まず、図5(A)に示すように、シリコン基板11の裏面に、ボロンのドーピングを高濃度で均一に行い、2〜3ミクロンの厚さのエッチストップ層12を形成した。また、シリコン基板11の表面にSiO2 膜13を形成した。
【0039】
次に、図5(B)に示すように、SiO2 膜13に所定のマスキングを施した状態でフッ酸を用いて当該SiO2 膜13のエッチングを行い、深溝14となる部分を除去して開口部15を形成し、浅溝16となる部分にはハーフエッチングを施して幅が200ミクロン以下のSiO2 の薄膜部分17を複数形成した。
【0040】
このようにしてマスクパターンを形成した後は、濃度35%、温度80°Cの水酸化カリウム水溶液で約20〜30分間エッチングを行った。この結果、図5(C)に示すように、深溝14の形成部分のみが約80〜90ミクロン程度エッチングされた。
【0041】
この後は、再び基板全体をフッ酸によりエッチングして、SiO2 の薄膜部分17を除去した。この結果、他のSiO2 膜13の部分も全体的に薄くなる。この状態を図5(D)に示してある。
【0042】
しかる後に、再び、濃度35%、温度80°Cの水酸化カリウム水溶液を用いて約20〜30分間エッチングを行った。この結果、図5(E)に示すように、深溝14の形成部分は約165〜170ミクロン程度エッチングされ、浅溝16の形成部分は約80〜90ミクロン程度エッチングされた。
【0043】
この後は、エッチング液として、濃度2〜5%で温度が80°Cの水酸化カリウム水溶液を用いて約40〜50分間エッチングを行った。この結果、図5(F)に示すように深溝14の形成部分では、シリコン基板裏面側に形成したエッチストップ層12に到る深さの溝が形成され、他方の浅溝16の形成部分では、横方向にもエッチングが進み、幅広の溝が形成された。
【0044】
本例の方法においては、このように濃度の異なる2種類のエッチング液を使用している。濃度の高低による単結晶シリコン基板のエッチングへの影響は次の通りである。
【0045】
(1)濃度が高いものを使用した方が、結晶異方性に従ってエッチングが行われる。すなわち、深さ方向のエッチング速度と、横方向のエッチング速度の差が大きくなるので、濃度が高いものを使用した方が、マスクパターンに従って、より忠実に深さ方向にエッチングが行われる。これに対して、濃度が低くなると、これらの速度差が小さくなるので、相対的に横方向のエッチング量が増加する。この結果、濃度が低いもの程、エッチング後の溝底面の中央の盛り上がりが大きくなる。
【0046】
(2)濃度の高いものは、ボロンをドーピングしたエッチストップ層もエッチングしてしまう性質が高い。従って、板厚を高精度に形成することが要求されるインクジェットヘッドの個別インク室の底壁である振動板を、濃度の高いもので精度良くエッチングすることは極めて困難である。これに対して、2〜5%程度の濃度の低いエッチング液は、エッチング速度がエッチストップ層の界面(ボロン濃度が急激に上昇する界面部分)に達すると著しく低下する性状を示すので、振動板の部分を精度良くエッチングにより形成できる。
【0047】
ここで、上記の(2)の点に鑑みれば、エッチストップ層を用いてエッチングを行う場合、濃度の低い水酸化カリウム水溶液を使用する必要があるが、前述の(1)の点に鑑みれば、200ミクロン以上の幅の溝である共通インク室を形成する場合には、濃度の低い水酸化カリウム水溶液を用いると、形成された溝の中央部分に大きな盛り上がりができてしまう。
【0048】
しかしながら、本例の方法では、本発明によるマスキングパターンを用いると共に、エッチングの前半に濃度の高い水酸化カリウム水溶液を用いて忠実に深さ方向にエッチングを施して複数の溝を形成し、しかる後に、後半には濃度の低い水酸化カリウム水溶液を用いて横方向にエッチングを進めて、溝間の壁を除いて広い幅の溝を形成している。
【0049】
従って、本例の方法によれば、溝幅が2〜3ミリメートルの広い溝であっても、その底面の中央の盛り上がりを抑制できる。例えば、中央部分の盛り上がりを30ミクロン以下に抑制できる。従来の方法では、この盛り上がりは80〜100ミクロンにもなってしまう。
【0050】
また、本例では、エッチングの前半では高濃度のエッチング液を使用しているので、最初から濃度の低いエッチング液を使用する場合に比べて、マスクパターンに忠実に厚さ方向にエッチングを行うことができ、また、エッチング時間を短縮することができる。
【0051】
従って、本例の方法は、幅および深さの異なる共通インク室および個別インク室を備えたインクジェットヘッド構成用の単結晶シリコン基板の溝形成方法として採用するのに適している。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の単結晶シリコン基板の溝形成方法においては、広い幅の溝を水酸化カリウム水溶液を用いた異方性エッチングにより形成するに当たり、当該広い幅の溝を形成するための溝形成用のマスクパターンとして、200ミクロン以下の開口幅の連続した開口部あるいは不連続な開口部を備えたものを採用し、エッチングに際しては、先ず、200ミクロン以下の狭い幅の溝を複数形成し、次に、これらの狭い幅の溝の間のシリコンを除去することにより狭い幅の溝を相互に連続させ、この結果として目標とする広い幅の溝を形成している。従って、本発明の方法によれば、得られた広い幅の溝の底面は全体的に平坦になるので、最初から広い幅の溝をエッチングする場合のように溝の底面の周辺部分に対して中心部分が盛り上がるために当該溝底面の平坦度が低下してしまうという弊害を除去あるいは抑制できる。
【0053】
特に、エッチング液として濃度が40%以下、好ましくは25%以下の水酸化カリウム水溶液を用いた場合には、広い幅の溝の底面の平坦化するのに有効であることが確認された。
【0054】
また、広い幅の溝をエッチングにより形成する場合、その深さが10ミクロンを越えると、従来のように最初から広い幅の溝をエッチングにより形成した場合には底面の平坦度の悪化が激しいが、本発明の方法を適用すれば、溝の深さが10ミクロンを越える場合においても平坦度に優れた広い幅でしかも深い溝を形成できることが確認された。
【0055】
一方、本発明の方法によれば、広い幅の溝の底面に隆起部を形成可能であり、このような隆起部を形成した場合には、当該溝の底面部分を補強できるという利点が得られる。
【0056】
次に、本発明の方法では、濃度の異なる2種類のエッチング液を用いてエッチングを行っているので、精度良く、しかも短時間で溝のエッチングを行うことができると共に、深溝の底面の厚さを精度良く形成することができる。従って、この方法は、特に、幅および深さの異なる個別インク室および共通インク室を形成するための溝を単一の単結晶シリコン基板に形成する必要のあるインクジェットヘッド用のシリコン基板の溝形成方法に適用するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明によるマスクパターンを示す部分平面図、(B)および(C)は当該マスクパターンにより表面が覆われた単結晶シリコン基板の断面図および一部を破断面の状態で示す部分斜視図である。
【図2】図1のマスクパターンで覆われた単結晶シリコン基板への広幅の溝の形成工程を示す工程図である。
【図3】(A)は本発明による別のマスクパターンを示す部分平面図、(B)および(C)は当該マスクパターンにより表面が覆われた単結晶シリコン基板の断面図および一部を破断面の状態で示す部分斜視図である。
【図4】図3のマスクパターンで覆われた単結晶シリコン基板への広幅の溝の形成工程を示す工程図である。
【図5】2種類のエッチング液を用いて寸法の異なる溝を単結晶シリコン基板に形成する場合における本発明による溝形成工程を説明する工程図である。
【図6】従来の単結晶シリコン基板の溝形成法の弊害を説明するための説明図である。
【図7】従来の単結晶シリコン基板の溝形成法における溝幅と溝底面の中心部分の盛り上がり量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 単結晶シリコン基板
2 マスクパターン
20 開口部
20a〜20e 幅が200ミクロン以下の開口部
21〜24 ダミーのマスキング部分
3 マスクパターン
30 開口部
30a〜30e 幅が200ミクロン以下の開口部
31〜33 ダミーのマスキング部
31a〜33a 薄膜とされたダミーのマスキング部
11、41〜44 狭い幅の溝
12、51〜53 狭い幅の溝の間の仕切り壁部分
13、60 広い幅の溝
71〜73 溝底面の隆起部
Claims (5)
- 結晶方位が(110)のシリコン基板を水酸化カリウムを含むエッチング水溶液を用いてエッチングすることにより当該シリコン基板に幅および深さの異なる少なくとも第1および第2の溝を形成する単結晶シリコン基板の溝形成方法において、
開口部を連続状態および不連続状態のうち少なくとも一方の状態で形成し、薄膜部分を連続状態および不連続状態のうち少なくとも一方の状態で形成した溝形成用のマスクパターンを用いて前記シリコン基板の表面を覆い、濃度の異なる2種類の水酸化カリウム水溶液のうち濃度の高い第1の水酸化カリウム水溶液を用いて、前記シリコン基板の表面のエッチングを行うことで、横方向より深さ方向のエッチング量を大きくし、次に、濃度の低い第2の水酸化カリウム水溶液を用いて前記シリコン基板の表面のエッチングを行うことで、深さ方向より横方向のエッチング量を大きくすることを特徴とする単結晶シリコン基板の溝形成方法。 - 前記第2の水酸化カリウム水溶液を用いるエッチングに先立って、前記シリコン基板の裏面にエッチストップ層を形成しておくことを特徴とする請求項1記載の単結晶シリコン基板の溝形成方法。
- 前記マスクパターンは、前記第1の溝に対応する部分に前記開口部を備え、前記第2の溝に対応する部分に前記薄膜部分を備えており、前記第1の水酸化カリウム水溶液によるエッチングは2回に分けて行うものであり、1回目の前記第1の水酸化カリウム水溶液を用いたエッチングを行った後、前記マスクパターンの前記薄膜部分をエッチング除去し、その後、2回目の前記第1の水酸化カリウム水溶液を用いたエッチングを行うことで、前記第2の溝のエッチングを開始すると共に、前記第1の水酸化カリウム水溶液のエッチングによって途中まで形成されていた前記第1の溝のエッチングを再開し、その後、前記第2の水酸化カリウム水溶液を用いたエッチングを行うことで、前記第1の溝および前記第2の溝の形成を完了することを特徴とする請求項1ないし2の何れかの項に記載の単結晶シリコン基板の溝形成方法。
- 前記開口部は幅が200ミクロン以下であることを特徴とする請求項1ないし3の何れかの項に記載の単結晶シリコン基板の溝形成方法。
- 前記シリコン基板は、前記第2の溝によって形成される共通インク室と前記第1の溝によって形成される個別インク室とを備えたインクジェットヘッドを構成するための基板であることを特徴とする請求項1ないし4の何れかの項に記載の単結晶シリコン基板の溝形成方法。
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