JP3813916B2 - 防蟻工法及び防蟻構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、白蟻から住宅等の建物を守る防蟻工法及び防蟻構造に関する。
【0002】
【背景技術】
従来から、住宅等の建物において、土台、床材等の木材の白蟻による被害を防止すべく、基礎が設けられた土壌に白蟻が忌避する薬剤を散布したり、建物の一階床部の下面に白蟻が忌避する薬剤が含浸された防蟻シートを取り付けたりする防蟻処理が行われている(特許文献1参照)。
【特許文献1】
特開平10−88683号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者のような防蟻処理は、土壌に薬剤を散布しているため、薬剤の蒸発による薬効の低下が起こりやすく、十分な防蟻効果を発揮することができないことがある。これに対し、防蟻シートを用いて床面全体を覆えば、このような問題は解決できるものの、在来工法においては、土台、根太を配設しながら、防蟻シートの取り付けを行うため、施工が煩雑であるという問題が生じる。また、パネル工法の床部では、パネル下面に予め防蟻シートを貼り付けておくことができるが、パネル間のジョイント部分に防蟻処理が必要となるため、施工が煩雑となる。
【0004】
本発明の目的は、建築現場における施工性を向上することができ、十分な防蟻効果を確保することができる防蟻工法及び防蟻構造を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明は以下の構成を採用して前記目的を達成しようとするものである。
請求項1記載の発明は、建物2,2Bの基礎上に形成される床部22の防蟻を行う防蟻工法であって、前記基礎の立ち上がり部211の側面間の寸法よりも大きい長さ寸法を有する防蟻シート11,11Aを前記側面間に跨るように前記立ち上がり部の上面に仮止めする工程と、前記防蟻シートが仮止めされている前記立ち上がり部の上面に前記床部を設ける工程と、前記床部上に外壁部23を設置する工程と、前記基礎のうち前記建物の外周部に配置される基礎21の屋外側にはみ出した前記防蟻シートの屋外側端部111,111Aを立ち上げて前記外壁部に固定する工程と、前記防蟻シートの屋内側端部112を前記床部の下面に固定する工程と、前記防蟻シートの屋外側端部を前記外壁部に固定する工程の後、前記外壁部に取り付けられる防水性のシート231により、前記防蟻シートの屋外側端部上端を覆う工程と、前記防蟻シートの屋外側端部上端よりも下方の前記防蟻シート上に、防蟻用返し122が形成された水切り12を取り付ける工程とを備えていることを特徴とする。
【0006】
ここで、防蟻シートは防蟻用の薬剤が含浸されたものであり、薬剤としては、例えば、植物抽出成分であるフィトンチッド等を使用したものや、シラフルオフェンを主成分するものがある。
また、防蟻シートの屋外側端部の外壁部への固定は、具体的にはサイディング材等の外壁仕上げ材と、この外壁仕上げ材を取り付ける外壁下地材との間に防蟻シートの屋外側端部を挿入し、外壁下地材にくぎ等で固定することが可能である。
さらに、ここで床部とは、床材と根太のみあるいは床パネルのみを意味するのではなく、土台や半土台をも含むものである。
また、防水性のシートとしては、外装通気工法等で用いられる透湿性防水シート等を採用することが考えられる。
【0007】
この構成の本発明では、防蟻シートを立ち上がり部の上面に仮止めした後に、床部を設けているため、土台、根太を基礎上に配設しながら防蟻シートを取り付ける必要がなく、防蟻シートの取り付けに手間を要しない。また、防蟻シートの屋外側端部を外壁部に固定することにより、外壁部の下端部及び床部の側面を防蟻シートで覆うことができるので、床部への白蟻の侵入を確実に防止することができ、床部が保護される。
さらに、防蟻シートの屋外側端部を外壁部、例えば、外壁下地材に固定し、外壁仕上げ材を設けることで、防蟻シートに直接雨水があたることがなくなるため、防蟻シートに含浸された薬剤が溶出することがなく、防蟻シートの効果の持続時間をより長く保つことができる。
【0008】
また、防蟻シートの屋内側端部を床部の下面に固定することで、床部の端縁が防蟻シートで覆われ、白蟻が屋内側の地面から基礎の立ち上がり部をつたって床部へ至る経路を遮断することができ、床部を白蟻から守ることができる。
また、床部の側面及び床部の下面の一部を直接防蟻シートで覆うこととなるため、床部が確実に保護される。
【0009】
また、防蟻シートの屋外側端部は防水性のシートで覆われているため、この端部と外壁部との隙間から雨水が浸入することがない。
また、防蟻用返しが形成されている水切りを取り付けるため、基礎の立ち上がり部をつたって床部へ侵入しようとする白蟻は、この防蟻用折り返しを越えて侵入することができず、床部をより確実に白蟻から保護することができる。
【0010】
請求項記載の発明は、建物2の基礎上に形成される床部22の防蟻を行う防蟻構造1,1A,1B,1C,1Dであって、前記床部と前記基礎の立ち上がり部211との間には、立ち上がり部の側面間の寸法よりも大きい長さ寸法を有する防蟻シート11,11Aが設けられ、前記基礎のうち前記建物の外周部に配置される基礎の屋外側にはみ出した前記防蟻シートの屋外側端部111,111Aは、前記床部の上面に設けられた外壁部23に固定され、前記防蟻シートの屋内側端部112は前記床部の下面に固定され、前記外壁部には、前記防蟻シートの屋外側端部上端を覆う防水性のシート231が設けられ、前記防蟻シートの屋外側端部上端よりも下方の前記防蟻シート上には、防蟻用返し122が形成された水切り12が設けられていることを特徴とする。
【0011】
この構成の発明では、防蟻シートの屋外側端部を前記外壁部に固定しているため、外壁の下端部及び床部の側面を防蟻シートで覆うことができるので、床部への白蟻の侵入を確実に防止することができ、床部が保護される。
さらに、防蟻シートの屋外側端部を外壁部、例えば、外壁下地材に固定し、外壁仕上げ材を設けることで、防蟻シートに直接雨水があたることがなくなるため、防蟻シートに含浸された薬剤が溶出することがなく、防蟻シートの効果の持続時間をより長く保つことができる。
【0012】
また、防蟻シートの屋内側端部を床部の下面に固定することで、床部の端縁が防蟻シートで覆われ、白蟻が屋内側の地面から基礎の立ち上がり部をつたって床部へ至る経路を遮断することができ、床部を白蟻から守ることができる。
また、床部の側面及び床部の下面の一部を直接防蟻シートで覆うこととなるため、床部が確実に保護される。
【0015】
また、防蟻シートの屋外側端部は防水性のシートで覆われているため、この端部と外壁部との隙間から雨水が浸入することがない。
また、水切りに防蟻用返しが形成されているため、基礎の立ち上がり部をつたって床部へ侵入しようとする白蟻は、この防蟻用折り返しを越えて侵入することができず、床部をより確実に白蟻から保護することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第一実施形態を図1から図4に基づいて説明する。
図1には、建物2の外周部に配置される基礎21及び床部22が示されている。
建物2は床、壁、屋根等をパネルを用いて施工するパネル工法で構築されたものであり、各パネルは桟材を枠組みすることにより枠体を形成し、この枠体の少なくとも一方の面に合板等の面材を貼設することにより形成されたものである。
【0017】
建物2の基礎21は、地盤に埋め込まれるフーチング部212と、このフーチング部212から上方に突出する立ち上がり部211とを有している。
立ち上がり部211内部には、その上部が立ち上がり部211の上面から突出するアンカーボルト213が埋設されている。また、立ち上がり部211には、通気孔215が形成されており、立ち上がり部211上の床部22の下方の空間の通気が可能な構造となっている。
【0018】
基礎21上の立ち上がり部211の上面に台輪214が載せられたうえで、立ち上がり部211の上面の屋内側半分には、床パネル220が載置され、屋外側半分には、半土台24が載置されている。なお、床パネル220は、枠体224と面材225とを含んで構成されている。これにより床部22が形成される。
半土台24及び床パネル220には、その接合面に横断面半円状の切り欠きが形成されており、床パネル220と半土台24とを接合した際に前記切り欠きによって形成される孔にアンカーボルト213が挿通されている(図2参照)。
【0019】
床部22の床パネル220及び半土台24の上部には、外壁部23が設けられている。外壁部23は、外壁下地材となる外壁パネル230と、外壁パネル230に固定され、外装仕上げ材となるサイディング材232とを有する。
サイディング材232は、外壁パネル230上に所定ピッチで設けられた縦桟の上に取り付けられており、外装通気工法が採用されている。また、外壁パネル230と縦桟との間には透湿防水性のシート231が設けられている。
外壁部23の外壁パネル230の下部の芯材233にアンカーボルト213が挿通され、ナットを螺合して締め付けることで外壁パネル230、床パネル220及び半土台24が固定される。
【0020】
このような建物2の基礎21及び床部22には、床部22を白蟻の被害から防止すべく防蟻シート11を用いた防蟻構造1が設けられている。
防蟻シート11は防蟻用の薬剤をフェルト、不織布等のシートに含浸させたものであり、薬剤としては、例えば、植物抽出成分であるフィトンチッド等を使用したものや、シラフルオフェンを主成分するものが好ましい。
【0021】
この防蟻シート11は、立ち上がり部211上面に設けられた台輪214と床部22の下面との間に設置されており、基礎21の立ち上がり部211の側面側に位置する防蟻シート11の端縁間の長さ寸法は、立ち上がり部211の側面間の寸法よりも大きい長さ寸法、例えば、100cm程度の長さ寸法となっている。また、この防蟻シート11は基礎21の全長にわたって配置されている。
【0022】
基礎21の立ち上がり部211の屋外側にはみ出した防蟻シート11の屋外側端部111は、外壁部23の外壁パネル230に貼り付けられ、くぎにより固定されている。また、防蟻シート11の屋内側端部112は床部22の面材225下面に貼り付けられ、固定されている。
【0023】
なお、図示しないが、防蟻シート11は建物2の外周部に配置される基礎21だけでなく、他の部分に配置される基礎にも取り付けられており、この他の部分に配置される基礎に取り付けられた防蟻シート11の両端部は、床パネル220の面材225下面に貼り付けられ、固定されている。
【0024】
外壁部23の外壁パネル230に貼り付けられた防蟻シート11の屋外側端部111の上端は、外壁パネル230に取り付けられる透湿防水性のシート231により覆われている。
また、防蟻シート11の屋外側端部111の上端よりも下方の防蟻シート11上には、断面L字形の水切り部121と、その端部を下方に折り曲げた防蟻用返し122とから構成される水切り12が取り付けられている。
さらに、防蟻シート11の屋外側端部111は前述した外壁部23のサイディング材232によって覆われている。
【0025】
次に、図2から図4を用いて、防蟻構造1の施工方法について説明する。
まず、予め基礎21の立ち上がり部211に台輪214を載置しておき、防蟻シート11にアンカーボルト213を貫通させ、立ち上がり部211の上面に防蟻シート11を仮止めする。次に、立ち上がり部211の屋外側半分に半土台24を設置する(図2(A))。
さらに、立ち上がり部211の上面の屋内側半分に床パネル220を設置し、床部22を形成する(図2(B))。
【0026】
外壁部23の外壁パネル230の芯材233にアンカーボルト213を貫通させ、外壁パネル230を床部22の上部に設置する(図3(C))。
アンカーボルト213にナットを螺合して締め付け、外壁パネル230、床パネル220及び半土台24を固定する。防蟻シート11の屋外側端部111を立ち上げて外壁部23に固定し釘打ちする。防蟻シート11の屋内側端部112を立ち上げて床部22の面材225下面に貼り付ける(図3(D))。
【0027】
外壁パネル230に防水透湿性のシート231を貼り付け、防蟻シート11の屋外側端部111の上端を覆う(図4(E))。
さらに、防蟻シート11の屋外側端部111の上端より下方に水切り12を取り付ける。また、縦桟を防水透湿性のシート231を介して外壁パネル230に取り付け、最後に、この縦桟にサイディング材232を固定する(図4(F))。
【0028】
従って、第一実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)防蟻シート11にアンカーボルト213を貫通し、立ち上がり部211の上面に仮止めした後に、床部22を設置しているため、床部22を設置した後に基礎21や床部22の下面に防蟻シート11を取り付ける場合に比べ、防蟻シート11の取り付けに手間を要さず、防蟻構造1の施工性を向上させることができる。
【0029】
(2)床部22と基礎21の立ち上がり部211の上部の台輪214との間には防蟻シート11が設けられ、この防蟻シート11の屋外側端部111は外壁部23の外壁パネル230に固定されているため、外壁パネル230の下端、床部22の半土台24、床パネル220の台輪214との当接面を防蟻シート11で覆うことができるので、床部22への白蟻の侵入を確実に防止することができ、床部22が保護される。
【0030】
(3)防蟻シート11の屋外側端部111を外壁部23の外壁パネル230に固定しており、この外壁パネル230には、サイディング材232が固定されるため、防蟻シート11に直接雨水があたることがなく、防蟻シート11に含浸された薬剤が溶出することがなくなり、防蟻シート11の効果の持続時間をより長く保つことができる。
【0031】
(4)防蟻シート11の屋内側端部112を床パネル220の面材225下面に固定することで、白蟻が屋内側の地面から基礎21の立ち上がり部211をつたい床パネル220へ至る経路を遮断することができ、床部22を白蟻から守ることができる。
【0032】
(5)防蟻シート11の屋外側端部111の上端は外壁パネル230に貼り付けられる防水透湿性のシート231で覆われており、この端部111と外壁パネル230との隙間から雨水が浸入することがなく、床部22や外壁パネル230を雨水から保護することができる。
【0033】
(6)水切り12に防蟻用返し122が形成されているため、基礎21の立ち上がり部211をつたって床部22へ侵入しようとする白蟻はこの防蟻用折り返し122を越えて侵入することができず、床部22を確実に白蟻から保護することができる。
【0034】
(7)防蟻シート11の屋外側端部111及び屋内側端部112を外壁パネル230または床パネル220に固定したため、立ち上がり部211に形成された通気孔215をふさいでしまうことがなく、床部22の下方の空間の通気を損なうことがない。白蟻は湿っている木材を特に好んで加害するため、床部22下方の空間の通気を確保することは防蟻において重要である。
【0035】
次に、本発明の第二実施形態を図5から図8に基づいて説明する。ここで本実施形態中、第一実施形態と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略もしくは簡単にする。
本実施形態に係る防蟻構造1Cは、図5に示すように、基礎21の立ち上がり部211の屋外側にはみ出した防蟻シート11の屋内側端部112が、床パネル220の枠体224下面に貼り付けられている点が、第一実施形態と異なる。
【0036】
次に、図6から図8を用いて、本実施形態における防蟻構造1Cの施工方法について説明する。
まず、第一実施形態と同様に、予め基礎21の立ち上がり部211に台輪214を載置しておき、防蟻シート11にアンカーボルト213を貫通させ、立ち上がり部211の上面に防蟻シート11を仮止めする。次に、立ち上がり部211の屋外側半分に半土台24を設置する(図6(A))。
さらに、立ち上がり部211の上面の屋内側半分に床パネル220を設置し、床部22を形成する(図6(B))。
【0037】
外壁部23の外壁パネル230の芯材233にアンカーボルト213を貫通させ、外壁パネル230を床部22の上部に設置する(図7(C))。
アンカーボルト213にナットを螺合して締め付け、外壁パネル230、床パネル220及び半土台24を固定する。防蟻シート11の屋外側端部111を立ち上げて外壁部23に固定し釘打ちする。防蟻シート11の屋内側端部112を立ち上げて床部22の枠体224下面に貼り付ける(図7(D))。
【0038】
外壁パネル230に防水透湿性のシート231を貼り付け、防蟻シート11の屋外側端部111の上端を覆う(図8(E))。
さらに、防蟻シート11の屋外側端部111の上端より下方に水切り12を取り付ける。また、縦桟を防水透湿性のシート231を介して外壁パネル230に取り付け、最後に、この縦桟にサイディング材232を固定する(図8(F))。
従って、第二実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0039】
次に、本発明の参考例を図9に示す。ここで本参考例中、第一実施形態と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略もしくは簡単にする。
この防蟻構造1Aは、防蟻シート11Aの屋外側端部111Aが外壁部23の外壁パネル230に固定されており、第一実施形態の防蟻構造1と略同じ構造となっているが、防蟻シート11Aの屋内側端部112Aが床部22の下面に固定されていない点で防蟻構造1と異なっている。
【0040】
防蟻構造1Aの防蟻シート11Aは、その屋内側端部112Aが立ち上がり部211の側面に密着しない程度の可撓性を有しており、立ち上がり部211の側面と屋内側端部112Aとの間には隙間が形成されている。
【0041】
従って、参考例によれば、第一実施形態の(1)から(3)、(5)、(6)の効果を奏することができるほか、以下の効果を奏することができる。
(8)防蟻シート11Aを立ち上がり部211の側面に密着しない程度の可撓性を有するものとしたため、屋内側端部112Aを床部22の下面に固定しなくても通気孔215を完全にふさいでしまうことがなく、床部22下方の空間の通気を損ねることがない。
【0042】
(9)防蟻シート11の屋内側端部112Aを床部22に固定する作業が不要となるので、防蟻構造1Aの施工に手間がかからない。
【0043】
(10)防蟻シート11の屋内側端部112Aは固定されていないため、風等のわずかな力が加わると屋内側端部112Aは揺れ動く。白蟻は不安定に動きやすい箇所を通過することをさける習性があるので床部22を白蟻から確実に守ることができる。
【0044】
次に、本発明の第実施形態を図10に示す。ここで本実施形態中、第一実施形態と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略もしくは簡単にする。
防蟻構造1Bは、第一実施形態の防蟻構造1と同様であるが、在来工法で構築された建物2Bに適用されている点で異なっている。
【0045】
この建物2Bは基礎21の立ち上がり部211の上に床部22を構成する土台24Bが設けられ、土台24Bの上部に柱234及び間柱235が設置されている。柱234及び間柱235の屋外側の面にはシート231が貼り付けられ、このシート231の外側にはサイディング材232が設置されており、これにより外壁部23が形成されている。
柱234には根太掛け221が設けられており、その上面に根太222及び床材223が配置される。従って、床部22は土台24B、根太222、床材223とを備えていることとなる。
防蟻シート11は土台24Bと基礎21の立ち上がり部211との間に設置されており、屋外側端部111は柱234及び間柱235に貼り付けられ、固定されている。屋内側端部112は根太222の下面に固定されている。
【0046】
次に、防蟻構造1Bの施工方法について説明する。
まず、基礎21の立ち上がり部211に防蟻シート11を仮止めする。次いで、土台24Bを設置し、その上面に柱234及び間柱235を設ける。根太222を配置し、防蟻シート11の屋内側端部112を固定する。
また、柱234及び間柱235に防蟻シート11の屋外側端部111を固定する。最後に、防水透湿性のシート231及び水切り12、さらにはサイディング材232を取り付ける。
従って、第実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果を奏することができるほか、以下の効果を奏することができる。
(11)防蟻シート11は土台24Bに仮止めした後に、柱234や根太222を設けるため、土台24B、根太222を基礎21上に配設しながら防蟻シート11を取り付ける必要がなく、在来工法により、建物を施工する場合においても防蟻シート11の取り付けに手間を要しない。
【0047】
次に、本発明の第実施形態を図11に示す。ここで本実施形態中、第実施形態と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略もしくは簡単にする。
防蟻構造1Dは、第実施形態の防蟻構造1Bと同様であるが、在来工法で構築された建物2Cの構造が異なっている。すなわち、根太掛け221は、土台24Bとともに、基礎21の立ち上がり部211の上に配置されている。
従って、第実施形態によれば、第実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0048】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、防蟻シート11、11Aの端縁間の長さ寸法は100cm程度としたが、基礎21の立ち上がり部211の側面間の寸法よりも大きい長さ寸法を有するものであればよく、第一、第二、第、第実施形態のように防蟻シート11の屋内側端部112を床パネル220や根太222の下面に固定する場合は、固定可能な長さ寸法を有していればよい。
【0049】
また、防蟻シート11、11Aの屋外側端部111,111Aはシート231で覆われているとしたが、この端部と外壁部23の外壁パネル230との間に隙間が形成されないよう防蟻シートを貼り付けることができれば、この端部が覆われていなくてもよい。
【0050】
さらに、水切り12には防蟻用返し122が形成されているとしたが、防蟻用返し122が形成されていなくてもよい。ただし、防蟻用返し122が形成された水切り12を取り付ければ、白蟻の侵入を確実に防止することができる。
また、水切りとは別体の防蟻用返しを取り付けてもよい。ただし、前記実施形態のように水切りに防蟻用返しを形成すれば部材点数の削減を図ることができ、施工作業にも手間を要しない。
【0051】
前記実施形態では、防蟻シート11,11Aにアンカーボルト213を貫通させることで防蟻シート11,11Aを立ち上がり部211に仮止めするとしたが、他の方法、例えば、立ち上がり部211の上面に接着剤等で固定することにより仮止めを行ってもよい。
【0052】
第一、第二実施形態および参考例では、立ち上がり部211の上部に台輪214を設置し、この上面と床部22との間に防蟻シート11,11Aを設けたが、台輪214を設置せず、立ち上がり部211の上面に直接防蟻シートを設けてもよい。
【0053】
【発明の効果】
このような請求項1記載の発明によれば、防蟻シートを立ち上がり部の上面に仮止めした後に、床部を設けているため、土台、根太を基礎上に配設しながら防蟻シートを取り付ける必要がなく、防蟻シートの取り付けに手間を要しない。また、防蟻シートの屋外側端部を外壁部に固定することにより、外壁部の下端部及び床部の側面を防蟻シートで覆うことができるので、床部への白蟻の侵入を確実に防止することができ、床部が保護される。
さらに、防蟻シートの屋外側端部を外壁部、例えば、外壁下地材に固定し、外壁仕上げ材を設けることで、防蟻シートに直接雨水があたることがなくなるため、防蟻シートに含浸された薬剤が溶出することがなく、防蟻シートの効果の持続時間をより長く保つことができる。
【0054】
また、防蟻シートの屋内側端部を床部の下面に固定することで、床部の端縁が防蟻シートで覆われ、白蟻が屋内側の地面から基礎の立ち上がり部をつたって床部へ至る経路を遮断することができ、床部を白蟻から守ることができる。
また、床部の側面及び床部の下面の一部を直接防蟻シートで覆うこととなるため、床部が確実に保護される。
【0055】
また、防蟻シートの屋外側端部は防水性のシートで覆われているため、この端部と外壁部との隙間から雨水が浸入することがない。
また、防蟻用返しが形成されている水切りを取り付けるため、基礎の立ち上がり部をつたって床部へ侵入しようとする白蟻は、この防蟻用折り返しを越えて侵入することができず、床部をより確実に白蟻から保護することができる。
【0056】
請求項記載の発明によれば、防蟻シートの屋外側端部を前記外壁部に固定しているため、外壁の下端部及び床部の側面を防蟻シートで覆うことができるので、床部への白蟻の侵入を確実に防止することができ、床部が保護される。
さらに、防蟻シートの屋外側端部を外壁部、例えば、外壁下地材に固定し、外壁仕上げ材を設けることで、防蟻シートに直接雨水があたることがなくなるため、防蟻シートに含浸された薬剤が溶出することがなく、防蟻シートの効果の持続時間をより長く保つことができる。
【0057】
また、防蟻シートの屋内側端部を床部の下面に固定することで、床部の端縁が防蟻シートで覆われ、白蟻が屋内側の地面から基礎の立ち上がり部をつたって床部へ至る経路を遮断することができ、床部を白蟻から守ることができる。
また、床部の側面及び床部の下面の一部を直接防蟻シートで覆うこととなるため、床部が確実に保護される。
【0059】
また、防蟻シートの屋外側端部は防水性のシートで覆われているため、この端部と外壁部との隙間から雨水が浸入することがない。
また、水切りに防蟻用返しが形成されているため、基礎の立ち上がり部をつたって床部へ侵入しようとする白蟻はこの防蟻用折り返しを越えて侵入することができず、床部をより確実に白蟻から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明第一実施形態にかかる防蟻構造を示す断面図である。
【図2】 前記実施形態にかかる防蟻構造の防蟻工法を示す断面図である。
【図3】 前記実施形態にかかる防蟻構造の防蟻工法を示す断面図である。
【図4】 前記実施形態にかかる防蟻構造の防蟻工法を示す断面図である。
【図5】 本発明第二実施形態にかかる防蟻構造を示す断面図である。
【図6】 前記実施形態にかかる防蟻構造の防蟻工法を示す断面図である。
【図7】 前記実施形態にかかる防蟻構造の防蟻工法を示す断面図である。
【図8】 前記実施形態にかかる防蟻構造の防蟻工法を示す断面図である。
【図9】 本発明の参考例にかかる防蟻構造を示す断面図である。
【図10】 本発明の第実施形態にかかる防蟻構造を示す断面図である。
【図11】 本発明の第実施形態にかかる防蟻構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B 防蟻構造
11,11A 防蟻シート
111,111A 屋外側端部
112,112A 屋内側端部
12 水切り
122 防蟻用返し
2,2B 建物
21 基礎
211 立ち上がり部
22 床部
23 外壁部
231 シート

Claims (2)

  1. 建物の基礎上に形成される床部の防蟻を行う防蟻工法であって、
    前記基礎の立ち上がり部の側面間の寸法よりも大きい長さ寸法を有する防蟻シートを前記側面間に跨るように前記立ち上がり部の上面に仮止めする工程と、
    前記防蟻シートが仮止めされている前記立ち上がり部の上面に前記床部を設ける工程と、
    前記床部上に外壁部を設置する工程と、
    前記基礎のうち前記建物の外周部に配置される基礎の屋外側にはみ出した前記防蟻シートの屋外側端部を立ち上げて前記外壁部に固定する工程と
    前記防蟻シートの屋内側端部を前記床部の下面に固定する工程と、
    前記防蟻シートの屋外側端部を前記外壁部に固定する工程の後、前記外壁部に取り付けられる防水性のシートにより、前記防蟻シートの屋外側端部上端を覆う工程と、
    前記防蟻シートの屋外側端部上端よりも下方の前記防蟻シート上に、防蟻用返しが形成された水切りを取り付ける工程とを備えていることを特徴とする防蟻工法。
  2. 建物の基礎上に形成される床部の防蟻を行う防蟻構造であって、
    前記床部と前記基礎の立ち上がり部との間には、立ち上がり部の側面間の寸法よりも大きい長さ寸法を有する防蟻シートが設けられ、
    前記基礎のうち前記建物の外周部に配置される基礎の屋外側にはみ出した前記防蟻シートの屋外側端部は、前記床部の上面に設けられた外壁部に固定され
    前記防蟻シートの屋内側端部は前記床部の下面に固定され、
    前記外壁部には、前記防蟻シートの屋外側端部上端を覆う防水性のシートが設けられ、
    前記防蟻シートの屋外側端部上端よりも下方の前記防蟻シート上には、防蟻用返しが形成された水切りが設けられていることを特徴とする防蟻構造。
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