JP3810120B2 - 空気除振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、顕微鏡のステージ等の振動を除去する空気除振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
LCD製造ラインにおいて検査用に用いられる顕微鏡では、一般に高倍率による観察が行なわれている。そして、この種の顕微鏡では周辺装置等の影響による振動を除去するため、除振装置により除振を行なう必要がある。
【0003】
またLCD基板は、通常カセットに収納され各装置間を搬送される。そして、顕微鏡とカセットとの間でのLCD基板の搬送には、通常搬送用のロボットアームが用いられる。この顕微鏡とカセットとの間でのLCD基板の受け渡しを確実に行なうためには、その受け渡し動作をミリ単位の精度に抑える必要がある。しかし、その受け渡しの際に除振台の作用により顕微鏡が揺れると、これが前述した精度の確保にとって障害になる。そのため、LCD基板の受け渡しの際に強制的に除振台を下降させ、かつ顕微鏡を固定することで、受け渡し精度を確保している。
【0004】
図3の(a)は、従来の空気除振装置の構成を示す図である。なお、この空気除振装置はLCD基板検査用顕微鏡に適用されている。図3の(a)に示すLCD基板検査用顕微鏡1における11はステージを保持する除振台である。また、15,16は空気ばねであり、これら空気ばね15,16は三方弁8を介して補助タンク3に接続されている。さらに補助タンク3は、弁9およびレギュレータ4を介してコンプレッサ5に接続されている。
【0005】
図3の(b)および(c)は、除振台11が可動するとき(ON)としないとき(OFF)の各弁の状態を示す図であり、(b)は三方弁8の状態を示す図、(c)は弁9の状態を示す図である。
【0006】
除振台11が可動するとき、弁9が開けられ、三方弁8の第1ポート(空気ばね15,16側)81−第2ポート(補助タンク3側)82間が開けられるとともに、第1ポート81−第3ポート(開放側)83間が閉じられる。これにより、コンプレッサ5からの圧縮空気が補助タンク3等を介して空気ばね15,16を加圧し、除振台11の揺れを防ぐことができる。
【0007】
一方、除振台11が可動しないときは、弁9が閉じられ、三方弁8の第1ポート81−第2ポート82間が閉じられるとともに、第1ポート81−第3ポート83間が開けられる。これにより、補助タンク3から空気ばね15,16への空気の流れが遮断されるとともに、空気ばね15,16から補助タンク3へ流れていた空気は三方弁8の第3ポート83から排気される。よって、空気ばね15,16が減圧され、除振台11が下降する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の空気除振装置では、LCD基板の受け渡しの際前述したように空気ばね15,16を減圧し、除振台11を下降させる。その後、受け取ったLCD基板の検査を行なうため再び空気ばね15,16を加圧し、除振台11を上昇させるが、その際上昇に係る所要時間は短い程望ましい。しかしながら従来の空気除振装置では、除振台11が下降した後長時間経つと、補助タンク3内の空気の圧力が自然リークにより低下する。このため、除振台11を上昇させる際に補助タンク3内の空気の加圧に時間を要してしまい、除振台11を速やかに上昇させることができない、という問題がある。
本発明の目的は、除振台を短時間で上昇させることができる空気除振装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し目的を達成するために、本発明の空気除振装置は以下の如く構成されている。
本発明の空気除振装置は、空気ばねにより除振台を支持し、前記空気ばねを加圧することにより前記除振台を上昇させて除振台に伝達する振動を除振する空気除振装置において、前記空気ばねに接続され、前記空気ばねの加圧に要する圧縮空気を蓄積するタンクと、このタンクに接続され、圧縮空気を前記タンク内に供給するコンプレッサと、前記タンクと前記コンプレッサとの間に切換え可能に設けられた除振用レギュレータと、前記タンクと前記コンプレッサとの間に切換え可能に設けられ前記除振用レギュレータより低い設定圧力に設定された上昇用レギュレータと、前記空気ばねの加圧時に前記タンクと前記空気ばねとの間の流路を開放し、前記空気ばねの減圧時に前記タンクと前記空気ばねとの間の流路を遮断するとともに前記空気ばねを大気に開放する流路切換え弁と、前記空気ばねの減圧時に、前記タンクと前記空気ばねとの間の流路が遮断され前記空気ばねの流路が大気に開放されると共に、前記コンプレッサから前記上昇用レギュレータを介して前記タンク内に圧縮空気が供給されるように、前記流路切換え弁を制御する制御手段と、から構成されている。
【0010】
本発明によれば、空気ばねの減圧時に、コンプレッサからタンクに圧縮空気を供給しタンク内を所定圧に保持することにより、タンク内の空気がリークしてもタンク内を所定圧力の加圧状態に維持することができるため、空気ばねを短時間で再加圧し除振台を速やかに可動させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
図1の(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る空気除振装置の構成を示す図である。この空気除振装置はLCD基板検査用顕微鏡に適用されており、LCD基板検査用顕微鏡1内には顕微鏡1と当該空気除振装置との動作を制御するシステムコンピュータが内蔵されている。なお、図1の(a)において図3の(a)と同一な部分には同一符号を付してある。
【0012】
顕微鏡1において、101は接眼レンズ、102は鏡筒、103はフレーム、104はXステージ、105はYステージであり、11はフレーム103およびステージを保持する除振台である。除振台11の側面下部には、除振台11が下降する際にその下降範囲を規制するための規制部材12,13が設けられている。除振台11が下降する際、これら規制部材12,13が固定台14に当付くことで、除振台11のそれ以上の下降が抑止され、かつ顕微鏡1が固定台14に固定される。また、15,16は空気ばねであり、これら空気ばね15,16は固定台14に固着されているとともに、それぞれ支持部17,18を介して除振台11と連結している。
【0013】
空気ばね15,16は、三方弁2を介して補助タンク3に接続されており、補助タンク3はレギュレータ4を介してコンプレッサ5に接続されている。なお、三方弁2の第1ポート21が空気ばね15,16に、第2ポート22が補助タンク3に各々接続され、第3ポート23は開放されている。
【0014】
図1の(b)は、除振台11が可動するとき(ON)としないとき(OFF)の、三方弁2の状態を示す図である。以下、図1の(a)および(b)を基に当該空気除振装置の動作手順を説明する。
【0015】
除振台11が可動するとき、すなわち空気ばね15,16の加圧時は、前記システムコンピュータからの指令により、三方弁2の第1ポート(空気ばね15,16側)21−第2ポート(補助タンク3側)22間が開けられるとともに、第1ポート21−第3ポート(開放側)23間が閉じられる。
【0016】
そして、前記システムコンピューターからの指令により、コンプレッサ5からの圧縮空気がレギュレータ4で除振に最適な圧力に調整された後、補助タンク3および三方弁2を伝わり、空気ばね15,16を加圧する。これにより除振台11が可動され、ステージの除振が成され揺れを防ぐことができる。
【0017】
一方、防振台11が可動しないとき、すなわち空気ばね15,16の減圧時は、前記システムコンピュータからの指令により、三方弁2の第1ポート21−第2ポート22間が閉じられるとともに、第1ポート21−第3ポート23間が開けられる。
【0018】
これにより、三方弁2において補助タンク3から空気ばね15,16への空気の流れが遮断されるとともに、空気ばね15,16から補助タンク3へ流れていた空気は三方弁2の第3ポート23から排気される。この一連の動作により、空気ばね15,16は減圧され防振台11が下降するとともに、補助タンク3内の空気はコンプレッサ5からレギュレータ4を介して供給される空気により加圧された状態のまま蓄積され、その圧力を保持することになる。
【0019】
続いて、除振台11を再び可動するとき、すなわち空気ばね15,16の再加圧時前には、前記システムコンピュータよりの指令により、三方弁2が元の状態に戻る。すなわち、再び三方弁2の第1ポート21−第2ポート22間が開けられるとともに、第1ポート21−第3ポート23間が閉じられる。
【0020】
このとき、補助タンク3内の空気は前述したように既に加圧された状態にあるので、空気ばね15,16を短時間で再加圧し除振台11を上昇させることができる。よって、除振台11が速やかに可動され、ステージの除振効果が得られる。なお、三方弁2の駆動には、空気、手動、電気等による手段を用いることができる。
【0021】
(第2の実施の形態)
図2の(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る空気除振装置の構成を示す図である。なお、図2の(a)において図1の(a)と同一な部分には同一符号を付している。
【0022】
図2の(a)に示す空気ばね15,16は、三方弁6を介して補助タンク3に接続されている。補助タンク3は三方弁7を介して除振用レギュレータ41と上昇用レギュレータ42に接続されており、これらレギュレータ41,42は各々コンプレッサ5に接続されている。なお、三方弁6の第1ポート61が空気ばね15,16に、第2ポート62が補助タンク3に各々接続され、第3ポート63は開放されている。また、三方弁7の第1ポート71が補助タンク3に、第2ポート72が除振用レギュレータ41に、第3ポート73が上昇用レギュレータ42に各々接続されている。
【0023】
図2の(b)および(c)は、除振台11が可動するとき(ON)としないとき(OFF)の三方弁の状態を示す図であり、(b)は三方弁6の状態を示す図、(c)は三方弁7の状態を示す図である。以下、図2の(a)〜(c)を基に当該空気除振装置の動作手順を説明する。
【0024】
除振台11が可動するとき、すなわち空気ばね15,16の加圧時は、上記システムコンピュータからの指令により、三方弁7の第1ポート(補助タンク3側)71−第2ポート(除振用レギュレータ41側)72間が開けられるとともに、第1ポート71−第3ポート(上昇用レギュレータ42側)73間が閉じられる。また、三方弁6の第1ポート(空気ばね15,16側)61−第2ポート(補助タンク3側)62間が開けられるとともに、第1ポート61−第3ポート(開放側)63間が閉じられる。
【0025】
そして、前記システムコンピューターからの指令により、コンプレッサ5からの圧縮空気が除振用レギュレータ41で除振に最適な圧力に調整された後、三方弁7、補助タンク3および三方弁6を伝わり、空気ばね15,16を加圧する。これにより除振台11が可動され、ステージの除振が成されることで揺れを防ぐことができる。
【0026】
一方、防振台11が可動しないとき、すなわち空気ばね15,16の減圧時は、前記システムコンピュータからの指令により、三方弁7の第1ポート71−第2ポート72間が閉じられるとともに、第1ポート71−第3ポート73間が開けられる。また、三方弁6の第1ポート61−第2ポート62間が閉じられるとともに、第1ポート61−第3ポート63間が開けられる。
【0027】
これによりコンプレッサ5からの圧縮空気が、上昇用レギュレータ42により防振台11のスムーズな上昇を可能とする最適な圧力に調整された後、三方弁7を介して補助タンク3に伝わる。また三方弁6において、補助タンク3から空気ばね15,16への空気の流れが遮断される。それとともに、空気ばね15,16から補助タンク3へ流れていた空気は三方弁6の第3ポート63から排気される。
【0028】
なお、上昇用レギュレータ42の設定圧力は除振用レギュレータ41の設定圧力より低く設定されている。これは、除振台11の上昇時の設定圧力が除振時と同じであると、上昇する速度が速すぎてしまい、除振台11が正規の位置より上がり過ぎてしまう場合があるためである。
【0029】
この一連の動作により、空気ばね15,16は減圧され除振台11が下降するとともに、補助タンク3内には、上昇用レギュレータ42により除振台11のスムーズな上昇を可能にする最適な圧力に調整された空気が蓄積され、その圧力が保持されることになる。
【0030】
続いて、除振台11を再び可動するとき、すなわち空気ばね15,16の再加圧時前には、前記システムコンピュータよりの指令により、三方弁6および7が元の状態に戻る。すなわち、再び三方弁7の第1ポート71−第2ポート72間が開けられるとともに、第1ポート71−第3ポート73間が閉じられる。また、三方弁6の第1ポート61−第2ポート62間が開けられるとともに、第1ポート61−第3ポート63間が閉じられる。
【0031】
このとき、前述した空気ばね15,16の減圧時において、補助タンク3内の空気の圧力は既に除振台11のスムーズな上昇を可能にする最適な圧力に調整され、コンプレッサ5から上昇用レギュレータ42を介して供給される空気により、常に加圧された状態にある。このため、長時間放置した場合、すなわち除振台11を下降したままの状態が長時間続いた場合でも、補助タンク3内の空気の圧力が減少することはなく、空気ばね15,16を短時間で再加圧し除振台11を上昇させることができる。
【0032】
よって、除振台11を速やかに可動でき、ステージの除振効果が得られる。なお、三方弁6および7の駆動には、空気、手動、電気等による手段を用いることができる。
なお、本発明は上記各実施の形態のみに限定されず、要旨を変更しない範囲で適時変形して実施できる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、除振台を短時間で上昇させることができる空気除振装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る図であり、(a)は空気除振装置の構成を示す図、(b)は三方弁の状態を示す図。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る図であり、(a)は空気除振装置の構成を示す図、(b)および(c)は三方弁の状態を示す図。
【図3】従来例に係る図であり、(a)は空気除振装置の構成を示す図、(b)は三方弁の状態を示す図、(c)は弁の状態を示す図。
【符号の説明】
1…LCD基板検査用顕微鏡
11…除振台(ステージ)
12…下降範囲規制部材
13…下降範囲規制部材
14…固定台
15…空気ばね
16…空気ばね
2…三方弁
21…第1ポート
22…第2ポート
23…第3ポート
3…補助タンク
4…レギュレータ
41…除振用レギュレータ
42…上昇用レギュレータ
5…コンプレッサ
6…三方弁
61…第1ポート
62…第2ポート
63…第3ポート
7…三方弁
71…第1ポート
72…第2ポート
73…第3ポート
8…三方弁
81…第1ポート
82…第2ポート
83…第3ポート
9…弁
101…接眼レンズ
102…鏡筒
103…フレーム
104…Xステージ
105…Yステージ

Claims (2)

  1. 空気ばねにより除振台を支持し、前記空気ばねを加圧することにより前記除振台を上昇させて除振台に伝達する振動を除振する空気除振装置において、
    前記空気ばねに接続され、前記空気ばねの加圧に要する圧縮空気を蓄積するタンクと、
    このタンクに接続され、圧縮空気を前記タンク内に供給するコンプレッサと、
    前記タンクと前記コンプレッサとの間に切換え可能に設けられた除振用レギュレータと、
    前記タンクと前記コンプレッサとの間に切換え可能に設けられ前記除振用レギュレータより低い設定圧力に設定された上昇用レギュレータと、
    前記空気ばねの加圧時に前記タンクと前記空気ばねとの間の流路を開放し、前記空気ばねの減圧時に前記タンクと前記空気ばねとの間の流路を遮断するとともに前記空気ばねを大気に開放する流路切換え弁と、
    前記空気ばねの減圧時に、前記タンクと前記空気ばねとの間の流路が遮断され前記空気ばねの流路が大気に開放されると共に、前記コンプレッサから前記上昇用レギュレータを介して前記タンク内に圧縮空気が供給されるように、前記流路切換え弁を制御する制御手段と、
    を具備したことを特徴とする空気除振装置。
  2. 前記除振台は、前記空気ばねの減圧時に除振台の下降範囲を規制する規制部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の空気除振装置。
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