JP2004232713A - 気体ばね式除振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】空気ばね式除振台Aにおいて空気ばね10による床振動の除振性能をできるだけ損なうことなく、搭載機器の動作に起因する搭載盤3の揺れを効果的に抑える。
【課題手段】搭載盤3上の機器が、該搭載盤3に対して比較的大きな反力の加わるような所定の動作をするとき、その動作が開始する前に該機器からの信号によってコントローラ45によりエアシリンダ30を進出作動させ、ストッパ部35を搭載盤3の下面ぎりぎりに位置付けて、その変位を規制する。ストッパ部35の上端と搭載盤3の下面との間には、床振動による搭載盤3の微小変位を妨げることなく、且つ、機器の所定動作による搭載盤3の変位を適切に規制できるような微小間隔hを設定する。
【選択図】 図2
【課題手段】搭載盤3上の機器が、該搭載盤3に対して比較的大きな反力の加わるような所定の動作をするとき、その動作が開始する前に該機器からの信号によってコントローラ45によりエアシリンダ30を進出作動させ、ストッパ部35を搭載盤3の下面ぎりぎりに位置付けて、その変位を規制する。ストッパ部35の上端と搭載盤3の下面との間には、床振動による搭載盤3の微小変位を妨げることなく、且つ、機器の所定動作による搭載盤3の変位を適切に規制できるような微小間隔hを設定する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば半導体製造装置や精密計測装置等の機器を床振動から略絶縁した状態で設置するために、それらを複数の気体ばねを介して支持するようにした除振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、精密機器等を搭載する除振装置としては、ばね定数が小さくて固有振動数が低い空気ばねを利用したものが広く用いられている。例えば特許文献1には、機器等の搭載される上架台(搭載盤)を空気ばねにより略水平に支持するとともに、その上架台の高さの変化に応じて空気ばねに対し圧縮空気を給排することにより、上架台の高さ(水平レベル)を略一定に保つ自動レベリング装置を備えたものが開示されている。このものでは、前記圧縮空気の給排に伴い所定の空気弁が開放されると、この空気弁を介して圧縮空気の供給を受けて作動するブレーキ板を備えており、上架台の急激な振動等の異常事態が発生した場合には、そのブレーキ板が自動的に上架台の側部を拘束するようになっている。
【0003】
また、特許文献2には、搭載盤(機器搭載用ベンチ)を複数個の空気ばねによって支持するようにした除振台において、共振等に起因する搭載盤の大きな揺れを防止するための技術が開示されている。すなわち、搭載盤の位置や角度の変化を感知するセンサと、その位置や角度を調整するためのアクチュエータとを設けて、当該搭載盤の位置及び角度が一定値以上、大きく変化したときにはアクチュエータを作動させて、強制的に搭載盤の位置等を復元するようにしている。
【0004】
尚、例えば特許文献3、4等には、搭載盤上の精密機器に対して作業者がワークの交換等の特定の作業を容易に行えるように、一時的に搭載盤を固定するための拘束機構を備えた除振台が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭61−10133号公報
【特許文献2】
特許第3062547号公報
【特許文献3】
実公平3−42316号公報
【特許文献4】
実用新案登録第2552681号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、半導体製造の分野における微細加工レベルの進歩等に伴い、除振装置の性能に対する要求は一層、厳しくなっており、その一方でタクトタイムの短縮やワークの大型化が図られる結果、機器の動作によって引き起こされる揺れが大きくなる傾向にある。すなわち、除振台に搭載される機器において例えば水平移動ステージが作動すると、その反力によって搭載盤には主にローリング方向の変位を生じるが、この変位の大きさはステージの加減速中に最大となり、ステージの停止後には振動しながら徐々に収束に向かう。このときに、空気ばねが柔らかいほど、また、ステージ等の慣性質量や加減速度が大きいほど、搭載盤の初期変位が大きくなって揺れが大きくなり、その揺れが収束するまでの時間も長くなってしまう。
【0007】
斯かる問題点に関し、前記1番目や2番目の従来例に開示される除振台は、搭載盤の変位が異常に大きくなったときにブレーキやアクチュエータを作動させるようにしているだけで、そうなる前の上述の如き搭載盤の揺れを抑えることのできるものではない。また、2番目の従来例のようにセンサやアクチュエータが多数、必要な複雑な構造のものでは、装置のコストが著しく増大することは避けられない。
【0008】
すなわち、本願発明の目的は、気体ばね式の除振装置において搭載機器の動作によって揺れを生じるメカニズムに着目して、気体ばねによる床振動の除振性能を損なうことなく、機器の動作に起因する搭載盤の揺れを効果的に抑制することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本願の第1の発明では、搭載盤上の機器が、搭載盤に対しある程度以上、大きな反力が加わるような所定の動作をするときに、その機器からの信号に応じて一時的に搭載盤の変位を規制するようにした。
【0010】
具体的に、請求項1の発明は、機器の搭載された搭載盤を複数の気体ばねにより基台に対して支持してなる気体ばね式除振装置を前提として、前記搭載盤に対し進退作動可能に設けられ、進出状態で該搭載盤の揺れを規制する規制手段と、前記搭載盤上の機器が所定の動作をするときに、その機器からの信号を受けて前記規制手段を進出状態になるように作動させる制御手段とを備える構成とする。
【0011】
前記の構成により、まず、複数の気体ばねにより基台に対して支持された搭載盤上の機器は、それら気体ばねの非常に柔らかなばね特性によって、床からの振動の伝達が非常に小さい状態(除振状態)になる。この際、各気体ばねに対応して設けられた規制手段は基台に対する搭載盤の微小変位を規制することはなく、従って前記の気体ばねによる除振性能が損なわれることはない。
【0012】
そして、前記搭載機器が、搭載盤に対して比較的大きな反力の加わるような所定の動作をするときには、その機器からの信号を受けた制御手段により前記規制手段が進出状態となるように作動されて、前記反力による搭載盤の変位を規制する。このことで、機器の動作中にその反力による搭載盤の変位を抑えることができ、これにより、機器の停止後の揺れが小さくなるとともに、速やかに収束するようになる。
【0013】
請求項2の発明では、前記制御手段を、機器の所定動作が始まる前に規制手段を作動させるものとする。また、進出状態にある前記規制手段の先端部と略静止している搭載盤との間には微小間隔が空くようにし、且つその間隔を、前記機器の所定動作の反力による搭載盤の変位によって該搭載盤が規制手段に接触するように設定するものとする。
【0014】
このことで、規制手段は、搭載盤上の機器の動作が始まる前に作動して進出状態になるが、このときには該規制手段の先端部が搭載盤に接触しないので、搭載盤の揺れを誘発することはない。そして、機器からの反力を受けた搭載盤が規制手段との間の微小間隔を越えて変位しようとすると、この搭載盤が進出状態の規制手段に接触してその変位が規制される。
【0015】
次に、本願の第2の発明では、気体ばねの作動中、常に搭載盤の揺れを規制するとともに、その際に気体ばねによる除振性能が損なわれることのないよう、規制手段の先端部を搭載盤から僅かに離すようにしたものである。
【0016】
具体的に、請求項3の発明では、機器の搭載された搭載盤の下面を複数の気体ばねにより基台に対して支持してなる気体ばね式除振装置を前提として、前記搭載盤の下面に対し進退作動可能に設けられ、進出状態で該搭載盤の揺れを規制する規制手段と、前記各気体ばねに対し気体圧を給排して、前記搭載盤の高さが設定位置に保たれるように該各気体ばねを作動させる給排手段と、該給排手段に連動して、前記各気体ばねの作動中には前記規制手段を進出状態になるように作動させる制御手段とを備えるとともに、進出状態にある前記規制手段の先端部と略静止している搭載盤との間には微小間隔が空くようにし、且つその間隔を、前記機器の所定動作の反力による搭載盤の変位によって該搭載盤が規制手段に接触するように設定するものとする。
【0017】
前記の構成により、機器の動作しないときやその動作の反力が非常に小さいときには搭載盤と規制手段とが接触することはなく、気体ばねによる除振性能を維持することができる一方、機器が比較的大きな動作や比較的速い動作をして、その反力を受けた搭載盤が規制手段との間の微小間隔を越えて変位しようとすると、この搭載盤が規制手段に接触してその変位が規制される。このことで、請求項1の発明と同様の作用効果が得られる。
【0018】
請求項4の発明では、前記請求項3の発明の規制手段を、気体シリンダによって作動するものとし、また、前記給排手段を、搭載盤の上下動に連動して気体ばねに対し気体圧を給排する機械式切換弁を有するものとする。そして、前記制御手段は、前記切換弁を介して前記気体シリンダにも気体圧を供給する気体圧制御回路からなるものとする。
【0019】
このことで、気体ばねの作動時には、当該気体ばねへ気体圧を供給する気体圧制御回路から切換弁を介して気体シリンダにも気体圧が供給されることになり、これにより自動的に規制手段が進出状態とされる。つまり、簡単な構造でもって規制手段を適切に作動させて、請求項3の発明の作用効果を得ることができる。
【0020】
請求項5の発明では、請求項1〜4のいずれか1つの発明において、搭載盤と接触する規制手段の先端部には高減衰ゴムからなる緩衝部を設けるものとする。こうすることで、機器の動作反力を受けて変位する搭載盤が規制手段に接触する瞬間の僅かな衝撃をも緩和して、この際の揺れの発生を回避することができる。
【0021】
請求項6の発明では、請求項5の発明における規制手段の先端部を、搭載盤から後退した状態では気体ばねが非作動状態であっても搭載盤に接触しないように位置付ける。こうすることで、気体ばねの非作動状態でも搭載盤や機器の荷重が規制手段先端の高減衰ゴムに加わることがなくなり、ゴムの変形を防止することができる。このことは、前記規制手段の先端部と搭載盤との間の微小間隔を一定に維持する上で極めて重要である。
【0022】
請求項7の発明では、請求項1〜4のいずれか1つの除振装置において、微小間隔を略0.1mm以上、且つ略1mm以下に設定する。こうすれば、通常の床振動によって搭載盤と規制手段とが接触することはなく、従って床振動の除振性能を十分に確保することができるとともに、機器の動作による搭載盤の初期変位が過度に大きくなることを阻止できる。つまり、請求項1〜4の発明の作用効果を十分に得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0024】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る気体ばね式除振装置Aの一例を示し、この除振装置Aは、例えば、図示しない半導体検査装置や電子顕微鏡、光学式計測装置等の精密機器をできるだけ床の振動から絶縁した状態(除振状態)で設置するためのものである。この精密防振台の概略構成は図示の如くであり、床面に設置される基台としての下側構造部1と、その下側構造部1の上面の4隅にそれぞれ配設された空気ばね式のアイソレータ2,2,…と、該4つのアイソレータ2,2,…の上部に搭載された搭載盤3とからなる。
【0025】
前記下側構造部1は、鋼製角パイプの構造部材を概ね直方体形状となるように櫓組みしたものであり、それぞれ上下方向に延びる4本の脚部4,4,…と、その脚部4,4,…のうちの隣接するもの同士を下端側で連結するように水平方向に延びる下梁部5,5,…と、それら4本の脚部4,4,…の上端側外周を囲んで、平面視で略矩形の枠状となるように配置された上梁部6,6,…とからなる。この各上梁部6,6,…の内側面は脚部4,4,…の外側面に接合されるとともに、各上梁部6,6,…の上面は脚部4,4,…の上端面と同一平面上に位置付けられている。そして、前記各脚部4の上端面からその外側を囲む上梁部6,6の上面に亘って、水平板7,7,…が配設されていて、この各水平板7上にそれぞれアイソレータ2が配設されている。また、下側構造部1の長手方向に延びる2つの下梁部5,5の下面には、それぞれ移動用のキャスター8,8,…が2つずつ配設されるとともに、各脚部4の下端面にはそれぞれ高さ調整用のレベラー9,9,…が配設されている。
【0026】
前記アイソレータ2は、図2〜5に拡大して示すように、円板状トッププレート11に加わる搭載盤3等の荷重を支持する空気ばね10(気体ばね)と、その搭載盤3の上下動に連動して前記空気ばね10に対し圧縮空気を給排するための機械式レベリングバルブ20(切換弁)と、搭載盤3の下面に対向して進退作動するように設けられたエアシリンダ30(規制手段)とを備えている。前記空気ばね10は、全体として四角柱状のケース12の上壁に設けた円形の開口部に円筒状ピストン13を内挿するとともに、このピストン13の外周からケース12の開口部周縁までを閉塞するようにゴム弾性膜からなる環状のダイヤフラム(図示せず)を配設して、このダイヤフラムによりピストン13を保持しつつ、ケース12の内部に空気室14を区画したものである。
【0027】
そして、前記空気室14に充填された空気の圧力によってピストン13が弾性的に支持され、さらにそのピストン13に対してロッド15(図4にのみ示す)を介して支持されたトッププレート11が搭載盤3及び機器の荷重を受けることにより、その搭載盤3及び機器を上下方向の振動から略遮断した状態で支承するようになっている。また、詳しくは図示しないが、この実施形態では、前記ピストン13は全体として上下方向に長い円筒形状とされ、その底部においてロッド15の下端部を揺動自在に支持する、いわゆるジンバルピストンである。このことで、トッププレート11はピストン13に対して水平方向に揺動自在とされており、これにより空気ばね10の水平方向のばね特性が上下方向と同様に非常に柔らかなものとなる。尚、空気ばね10の構造は上述のものに限らず、より一般的な構造のダイヤフラム形空気ばねや或いはベローズ等であってもよい。
【0028】
前記レベリングバルブ20は、主に図4に示すように、上下方向に回動可能に設けられ、搭載盤3の下面に先端部を接触させてその位置を検出するセンサアーム21と、空気ばね10との間で空気の給排を行う給排口22と、圧縮空気の供給を受ける供給口23と、排気口24とを備えている。前記給排口22にはU字状チューブ25の一端部が接続されていて、このチューブ25の他端部は空気ばね10のケース12側壁を貫通して空気室14に連通している。また、前記供給口23には、空気ポンプやリザーバタンク等の空気圧源26から弁27を介して圧縮空気を供給する供給管28の端部が接続されている。
【0029】
そして、搭載盤3の高さが予め設定した高さよりも低くなって、前記センサアーム21が基準となる位置よりも下方に回動すると、レベリングバルブ20の弁体(図示せず)が給気位置に切り替わって供給口23と給排口22とが連通され、前記空気圧源26から空気ばね10の空気室14に圧縮空気を供給する。一方、搭載盤3が前記設定高さよりも高くなってセンサアーム21が上方に回動すれば、レベリングバルブ20の弁体は排気位置に切り替わって給排口22と排気口24とが連通され、空気ばね10の空気室14から大気中に空気を漏出させる。このことで、搭載盤3の上下動に応じて前記空気ばね10の空気圧が増減されて、該搭載盤3の高さが略設定高さに維持されることになる。尚、搭載盤3が略設定高さにあってセンサアーム21が概ね基準位置にあるときには、レベリングバルブ20の弁体は停止位置にあって吸気も排気も行わない。
【0030】
前記エアシリンダ30は、主に図2に示すように、空気ばね10のケース12の側方にてシリンダ本体31が上下方向に延びるように、該ケース12のベースプレートに対してブラケットにより取り付けられていて、該シリンダ本体31の側部上側及び下側にそれぞれ設けられた上側及び下側給排気口32,33のいずれかに圧縮空気が供給されるのに応じて、図示しないピストンに連結されたピストンロッド34が上下方向に進退作動するようになっている。詳しくは、ピストンロッド34の上端(先端部)には、上すぼまりの円錐台状に形成された高減衰ゴム(例えばフッ素ゴム等)からなるストッパ部35(緩衝部)が取り付けられており、その下方にはロッド34に対して略垂直に拡がる鍔部34aが設けられている。一方、シリンダ本体31の上部には板部材36が固定され、その上方に所定間隔を隔てて別の板部材37が略平行に配置されていて、それら2つの板部材36,37同士が4隅に配置された連結部材38,38,…によって連結されている。また、上側の板部材37にはストッパ部35の挿通される断面円形の開口部37aが形成されている。
【0031】
そして、シリンダ本体31の下側給排気口33に圧縮空気の供給を受けてエアシリンダ30が進出作動し、ピストンロッド34が上方に進出したときには、その上端のストッパ部35が上側板部材37の開口部37aを通過して上方に突出するとともに、該板部材37の下面にピストンロッド34の鍔部34aの上面が当接して、それ以上の進出が阻止される。これにより、エアシリンダ30は進出状態になり、このときにピストンロッド34のストッパ部35上端は搭載盤3の下面との間に微小間隔hを空けて位置付けられる。この微小間隔hの意義については後述するが、この間隔は、前記上側の板部材37と連結部材38,…との連結位置を調整することによって、微調整できるようになっている。
【0032】
一方、前記エアシリンダ30の上側給排気口32に圧縮空気の供給を受けるとピストンロッド34は下方に後退し、図5に示すように該ピストンロッド34が完全に後退した状態(後退状態)では、ストッパ部35の上端は上側板部材37の上面よりも下方に位置して、仮に空気ばね10が圧縮空気の供給を受けない非作動状態であっても、搭載盤3の下面には接触しないようになる。
【0033】
前記エアシリンダ30の上側及び下側給排気口32,33は、それぞれ、吸排気管40,41により電磁作動式切換弁42に接続され、この切換弁42の切換え作動によって、前記空気圧源26に接続されて圧縮空気の供給を受ける状態と大気開放される状態とに切換えられるようになっている。すなわち、切換弁42はコントローラ45からの信号に応じて作動し、図2に模式的に示すように、前記下側給排気口33に空気圧源26からの圧縮空気を供給してエアシリンダ30を進出作動させる進出駆動位置と、反対に上側給排気口32に圧縮空気を供給してエアシリンダ30を後退作動させる後退駆動位置(図5参照)と、それらの中間で上側及び下側給排気口32,33の両方を閉止する中立位置とに切換えられるようになっている。
【0034】
また、前記コントローラ45には、図示しないが、搭載盤3上の機器からその動作に関する信号が入力されるようになっており、この信号の入力を受けたコントローラ45から前記切換弁42のソレノイドに対して制御電流が供給される。すなわち、この実施形態では、搭載機器が予め決定した所定の動作を行うときには、その動作の開始前に当該機器からコントローラ45に対して動作開始信号が出力され、この信号を受けたコントローラ45が切換弁42を進出駆動位置に切換えて、エアシリンダ30を進出作動させる。これにより、該エアシリンダ30のピストンロッド34上端のストッパ部35が搭載盤3の下面にぎりぎり接触しないように微小間隔hを空けて位置付けられ、前記機器の所定動作による搭載盤3の揺れを規制するようになる。そして、機器の動作が終了すれば、この機器からコントローラ45に対して動作終了信号が出力され、この信号を受けたコントローラ45により切換弁42が後退駆動位置に切換えられて、エアシリンダ30が後退作動するものである。
【0035】
ここで、前記搭載機器の所定の動作と、エアシリンダ30のストッパ部35及び搭載盤3の間の微小間隔hとの関係について詳しく説明すると、一般的に、除振台Aに搭載される機器において例えば水平移動ステージが作動した場合、その反力によって搭載盤3は水平方向に移動しながら、移動する側に沈み込むとともに、反対側が浮き上がって、全体としては主にローリング方向の変位を生じる。この変位の大きさはステージの動作開始から加速終了までの間、一定の向きに増大することになるが、ステージ等の慣性質量や加減速度の絶対値が大きいときほど、搭載盤3の初期変位は大きくなり、その初期変位が大きいときほど、ステージ停止後の搭載盤3の揺れが収束するまでに長い時間を必要とする。
【0036】
そのような搭載盤3の揺れを効果的に抑えるために、この実施形態の除振台Aでは、上述の如く搭載機器がある程度以上、大きく或いは速く動作して、比較的大きな反力が搭載盤3に作用する場合に、エアシリンダ30を進出作動させて一時的に搭載盤3の揺れを規制するようにしたものである。その際、搭載盤3の揺れが小さければエアシリンダ30によって搭載盤3を拘束することなく、空気ばね10により支持するのが好ましいから、進出状態のエアシリンダ30のストッパ部35と搭載盤3の下面との間の微小間隔hは、例えば、略0.1mm以上で且つ略1mm以下に設定すればよい。こうすれば、通常の床振動や搭載機器の非常に小さな動作によっては搭載盤3とストッパ部35とが接触することはなく、従って空気ばね10による床振動の除振性能を十分に確保することができるとともに、搭載機器の動作に起因する搭載盤3の初期変位は各アイソレータ2の近傍でせいぜい1mm程度に抑えることができ、これにより、該搭載盤3の揺れを速やかに収束させることができる。尚、例えば、元来、床振動のレベルが非常に小さい設置場所であれば、微小間隔hを略0.5mm以下としてもよく、こうすれば、機器の動作による搭載盤3の揺れをさらに小さく抑えることができる。
【0037】
以上、述べたように、この実施形態に係る気体ばね式除振装置Aによると、搭載盤3を複数の気体ばね式アイソレータ2,2,…により弾性的に支持してなる除振台Aにおいて、その搭載盤3上の機器が該搭載盤3に対して大きな反力を加えるような所定の動作をするときに、その動作の始まる前にエアシリンダ30を進出作動させて、搭載盤3の下面ぎりぎりに位置付けたストッパ部35により一時的に搭載盤3の変位を規制するようにしたことで、機器の動作中にその反力による搭載盤3の変位を小さく抑えて、その後の搭載盤3の揺れを小さくし、速やかに収束させることができる。
【0038】
その際、進出状態にあるエアシリンダ30のストッパ部35と搭載盤3との間に微小間隔hが設けられているので、搭載盤3が実際に反力を受けるまでの間、さらに、搭載盤3の揺れがある程度収まった後では、前記ストッパ部35が搭載盤3の変位を規制することはなく、このことで、空気ばね10,10,…により非常に柔らかく支持されている搭載盤3の除振性能を十分に維持することができる。
【0039】
また、エアシリンダ30は、前記の如く機器が動作する前に進出作動されるので、搭載盤3に向かって進出したストッパ部35が該搭載盤3の揺れを引き起こすこともない。しかも、そのストッパ部35を高減衰ゴムからなるものとしているので、機器の動作反力によって変位した搭載盤3がストッパ部35に接触するときの僅かな衝撃も十分に緩和することができる。
【0040】
さらに、前記エアシリンダ30は、搭載盤3上の機器が所定の動作をするときにのみ進出作動され、その機器の動作が終了すれば後退作動されて、ストッパ部35が搭載盤3に接触しないように位置付けられるので、搭載機器が動作しないときには搭載盤3に接触する虞れはない。従って、仮にエアシリンダ30の故障によってその進出量等が変化したとしても、少なくとも搭載機器が動作しないときにエアシリンダ30が空気ばね10,10,…の除振性能を害する虞れはなく、この点で除振台Aのメンテナンスが容易なものとなる。
【0041】
(実施形態2)
図6及び図7は、本発明の実施形態2に係る気体ばね式除振装置Aのアイソレータ2の構成を示す。このアイソレータ2の全体的な構造は上述した実施形態1のものと同じなので、同一部材には同一の符号を付してその説明は省略する。そして、実施形態2のアイソレータ2では、前記実施形態1のようなコントローラ45や電磁式切換弁42を用いずに、極めて簡単な構成でもってエアシリンダ30を進退作動させるようにしたことを特徴とする。
【0042】
すなわち、この実施形態2のアイソレータ2は、前記実施形態1と同様の空気ばね10、レベリングバルブ20及びエアシリンダ30を備えているとともに、そのレベリングバルブ20と連動させてエアシリンダ30に空気圧を供給するようにした空気圧回路50を備えている。詳しくは、主に図7に示すように、レベリングバルブ20の給排口22にはJ字状のチューブ51の一端部が接続され、このチューブ51の他端部は分岐管52を介して2つの分岐チューブ53,54に接続されている。このうちの一方の分岐チューブ53は実施形態1と同様に空気ばね10に接続されており、また、他方の分岐チューブ54の端部はエアシリンダ30の下側給排気口33に接続されている。尚、図6にも示すように、エアシリンダ30の上側給排気口32は、大気開放されている。
【0043】
このような空気圧回路50の構成により、この実施形態の除振台Aでは、アイソレータ2,2,…の空気ばね10,10,…に圧縮空気を供給して、それらを作動させると、これと同時にレベリングバルブ20を介してエアシリンダ30にも圧縮空気が供給されて、そのエアシリンダ30のピストンロッド34が上方に向かい進出作動する。すなわち、各アイソレータ2の空気ばね10の作動によって搭載盤3が浮上するのとともに、エアシリンダ3のピストンロッド34も上昇し、そのピストンロッド34先端のストッパ部35は、レベリングバルブ20の機能によって設定高さに位置する搭載盤3の下面に対して、微小間隔hを空けて位置付けられる。
【0044】
そのような空気ばね10,10,…の作動状態では、搭載盤3上の機器が所定の動作を行わなければ、搭載盤3の下面がストッパ部35上端に接触することはなく、各空気ばね10による除振性能が維持されるとともに、搭載機器が所定の動作をしてその反力が搭載盤3に作用すれば、この搭載盤3の下面がストッパ部35に接触することによって変位が規制され、これにより、該搭載盤3の揺れを速やかに収束させることができる。
【0045】
また、前記空気ばね10,10,…の非作動状態では、エアシリンダ30が後退状態になってピストンロッド34が下降するが、このときには、前記実施形態1のものと同じく、ピストンロッド34のストッパ部35上端が搭載盤3の下面に接触しないように位置付けられていて、そこに搭載盤3や機器の荷重が加わることはない。このため、経年変化等によるストッパ部35のゴムの変形を防止して、該ストッパ部35上端と搭載盤3下面との間の微小間隔hを一定に維持することができる。
【0046】
したがって、実施形態2に係る除振台Aによると、各アイソレータ2毎に設けたエアシリンダ30の働きによって前記実施形態1と同様の作用効果が得られる上に、そのエアシリンダ30の適切な進退作動を簡単な構成の空気圧回路50により適切に制御することができ、実施形態1のものに比べて低コストのものとすることができる。
【0047】
(他の実施形態)
尚、本願発明の構成は、前記実施形態1、2のものに限定されず、その他の種々の構成を包含するものである。例えば、前記各実施形態の除振台Aでは、エアシリンダ30を進出作動させたときに、そのピストンロッド34のストッパ部35先端を略静止している搭載盤3の下面から微小間隔hだけ離して位置付けるようにしているが、実施形態1のものに関しては必ずしも間隔を空ける必要はなく、ストッパ部35の先端を搭載盤3の下面に当接させるようにしてもよい。
【0048】
また、前記実施形態1においては、搭載盤3上の機器が所定動作を始める前にエアシリンダ30を進出作動させるようにしているが、これに限らず、搭載機器の動作に同期してエアシリンダ30を作動させるようにしてもよい。
【0049】
さらに、前記各実施形態では、エアシリンダ30を各アイソレータ2毎に設けているが、これに限るものではない。すなわち、前記実施形態のように搭載盤3を4つのアイソレータ2,2,…で支持するようにしたものにおいて、例えば、平面視で同一直線上に並ばないように(即ち三角形の各頂点となるように)3つのエアシリンダ30,30,…を配設するようにしてもよいし、これとは別に5つ以上(例えば6つ)のアイソレータ2,2,…で搭載盤3を支持するようにしたものにおいて、その搭載盤3の4隅に対応付けて4つのエアシリンダ30,30,…を配設するようにしてもよい。
【0050】
さらにまた、搭載機器の動作の方向や速度が一つの方向に偏っていて、その方向についてのみ搭載盤の変位を規制すればよいのであれば、エアシリンダ30はその方向に離して2つ配置するのみであってもよい。また、例えば、その方向のうち一方の向きについてのみ搭載機器の動作が速く、他方については動作が遅いような場合には、該搭載機器の動作が速いときの搭載盤3の変位のみを規制するようにエアシリンダ30を1つ配置するだけでもよい場合がある。
【0051】
また、前記各実施形態では、エアシリンダのストッパ部35を例えばフッ素ゴム等の高減衰ゴムからなるものとしているが、この他、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、ウレタンゴム等、種々の弾性体を用いることが可能である。
【0052】
また、前記各実施形態のアイソレータ2,2,…は、何れも空気ばね10を備えるものであるが、これに限らず、例えば空気の代わりに窒素ガス等を充填した気体ばねを用いることもできる。
【0053】
さらに、前記各実施形態では本願発明を中型の除振台に適用しているが、これに限らず、小型でより簡易な構成を有するデスクトップ型のものに適用してもよいし、反対に、例えば、半導体製造装置等の防振支持のために、それらの装置の寸法、形状等に合わせて専用に設計する大型の除振装置等に適用することもできる。
【0054】
【発明の効果】
以上、説明したように、本願の請求項1の発明に係る気体ばね式除振装置によると、搭載盤上の機器が、該搭載盤に対して比較的大きな反力の加わるような所定の動作をするときに、その機器からの信号に応じて一時的に搭載盤の変位を規制するようにしたので、搭載機器の動作に起因する搭載盤の初期変位を抑えて、その揺れを速やかに収束させることができる。
【0055】
請求項2の発明によると、前記搭載機器の動作が始まる前に規制手段を進出作動させるとともに、その規制手段の先端部と搭載盤との間に微小間隔を空けるようにしたので、該規制手段によって搭載盤の揺れを誘発することなく、空気ばねによる除振性能を維持しながら、搭載機器の動作に起因する揺れを抑えることができる。
【0056】
また、本願の請求項3の発明に係る気体ばね式除振台によると、前記請求項1、2の発明と同様の効果を得ることができ、さらに請求項4の発明によれば、簡単な構造で装置の低コスト化が図られる。
【0057】
請求項5の発明によると、規制手段の先端部に高減衰ゴムの緩衝部を設けたことで、搭載盤が規制手段に接触する際の僅かなショックをも十分に緩和することができる。
【0058】
請求項6の発明によると、後退状態の規制手段の先端部に搭載盤や機器の荷重が加わることがないので、ゴムの緩衝部の変形を防止して搭載盤下面までの微小間隔を一定に維持することができる。
【0059】
請求項7の発明によると、微小間隔を略0.1mm以上且つ略1mm以下に設定することで、前記請求項1〜4の発明の効果を十分に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る除振台の全体構成を示す斜視図である。
【図2】実施形態1に係るアイソレータの構成を示す正面図である。
【図3】アイソレータの構成を示す上面図である。
【図4】アイソレータの構成を示す右側面図である。
【図5】エアシリンダが後退状態にあるときの図2相当図である。
【図6】実施形態2に係る図2相当図である。
【図7】実施形態2に係る図4相当図である。
【符号の説明】
A 除振台(気体ばね式除振装置)
h 微小間隔
1 下側構造部(基台)
2 アイソレータ
3 搭載盤
10 空気ばね(気体ばね)
20 レベリングバルブ(切換弁)
26 空気圧源(給排手段)
28 供給管(給排手段)
30 エアシリンダ30(規制手段)
34 ピストンロッド
35 ストッパ部(緩衝部)
45 コントローラ(制御手段)
50 空気圧回路(気体圧制御回路)
51 チューブ(給排手段)
52 分岐管(給排手段)
53,54 分岐チューブ(給排手段)
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば半導体製造装置や精密計測装置等の機器を床振動から略絶縁した状態で設置するために、それらを複数の気体ばねを介して支持するようにした除振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、精密機器等を搭載する除振装置としては、ばね定数が小さくて固有振動数が低い空気ばねを利用したものが広く用いられている。例えば特許文献1には、機器等の搭載される上架台(搭載盤)を空気ばねにより略水平に支持するとともに、その上架台の高さの変化に応じて空気ばねに対し圧縮空気を給排することにより、上架台の高さ(水平レベル)を略一定に保つ自動レベリング装置を備えたものが開示されている。このものでは、前記圧縮空気の給排に伴い所定の空気弁が開放されると、この空気弁を介して圧縮空気の供給を受けて作動するブレーキ板を備えており、上架台の急激な振動等の異常事態が発生した場合には、そのブレーキ板が自動的に上架台の側部を拘束するようになっている。
【0003】
また、特許文献2には、搭載盤(機器搭載用ベンチ)を複数個の空気ばねによって支持するようにした除振台において、共振等に起因する搭載盤の大きな揺れを防止するための技術が開示されている。すなわち、搭載盤の位置や角度の変化を感知するセンサと、その位置や角度を調整するためのアクチュエータとを設けて、当該搭載盤の位置及び角度が一定値以上、大きく変化したときにはアクチュエータを作動させて、強制的に搭載盤の位置等を復元するようにしている。
【0004】
尚、例えば特許文献3、4等には、搭載盤上の精密機器に対して作業者がワークの交換等の特定の作業を容易に行えるように、一時的に搭載盤を固定するための拘束機構を備えた除振台が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭61−10133号公報
【特許文献2】
特許第3062547号公報
【特許文献3】
実公平3−42316号公報
【特許文献4】
実用新案登録第2552681号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、半導体製造の分野における微細加工レベルの進歩等に伴い、除振装置の性能に対する要求は一層、厳しくなっており、その一方でタクトタイムの短縮やワークの大型化が図られる結果、機器の動作によって引き起こされる揺れが大きくなる傾向にある。すなわち、除振台に搭載される機器において例えば水平移動ステージが作動すると、その反力によって搭載盤には主にローリング方向の変位を生じるが、この変位の大きさはステージの加減速中に最大となり、ステージの停止後には振動しながら徐々に収束に向かう。このときに、空気ばねが柔らかいほど、また、ステージ等の慣性質量や加減速度が大きいほど、搭載盤の初期変位が大きくなって揺れが大きくなり、その揺れが収束するまでの時間も長くなってしまう。
【0007】
斯かる問題点に関し、前記1番目や2番目の従来例に開示される除振台は、搭載盤の変位が異常に大きくなったときにブレーキやアクチュエータを作動させるようにしているだけで、そうなる前の上述の如き搭載盤の揺れを抑えることのできるものではない。また、2番目の従来例のようにセンサやアクチュエータが多数、必要な複雑な構造のものでは、装置のコストが著しく増大することは避けられない。
【0008】
すなわち、本願発明の目的は、気体ばね式の除振装置において搭載機器の動作によって揺れを生じるメカニズムに着目して、気体ばねによる床振動の除振性能を損なうことなく、機器の動作に起因する搭載盤の揺れを効果的に抑制することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本願の第1の発明では、搭載盤上の機器が、搭載盤に対しある程度以上、大きな反力が加わるような所定の動作をするときに、その機器からの信号に応じて一時的に搭載盤の変位を規制するようにした。
【0010】
具体的に、請求項1の発明は、機器の搭載された搭載盤を複数の気体ばねにより基台に対して支持してなる気体ばね式除振装置を前提として、前記搭載盤に対し進退作動可能に設けられ、進出状態で該搭載盤の揺れを規制する規制手段と、前記搭載盤上の機器が所定の動作をするときに、その機器からの信号を受けて前記規制手段を進出状態になるように作動させる制御手段とを備える構成とする。
【0011】
前記の構成により、まず、複数の気体ばねにより基台に対して支持された搭載盤上の機器は、それら気体ばねの非常に柔らかなばね特性によって、床からの振動の伝達が非常に小さい状態(除振状態)になる。この際、各気体ばねに対応して設けられた規制手段は基台に対する搭載盤の微小変位を規制することはなく、従って前記の気体ばねによる除振性能が損なわれることはない。
【0012】
そして、前記搭載機器が、搭載盤に対して比較的大きな反力の加わるような所定の動作をするときには、その機器からの信号を受けた制御手段により前記規制手段が進出状態となるように作動されて、前記反力による搭載盤の変位を規制する。このことで、機器の動作中にその反力による搭載盤の変位を抑えることができ、これにより、機器の停止後の揺れが小さくなるとともに、速やかに収束するようになる。
【0013】
請求項2の発明では、前記制御手段を、機器の所定動作が始まる前に規制手段を作動させるものとする。また、進出状態にある前記規制手段の先端部と略静止している搭載盤との間には微小間隔が空くようにし、且つその間隔を、前記機器の所定動作の反力による搭載盤の変位によって該搭載盤が規制手段に接触するように設定するものとする。
【0014】
このことで、規制手段は、搭載盤上の機器の動作が始まる前に作動して進出状態になるが、このときには該規制手段の先端部が搭載盤に接触しないので、搭載盤の揺れを誘発することはない。そして、機器からの反力を受けた搭載盤が規制手段との間の微小間隔を越えて変位しようとすると、この搭載盤が進出状態の規制手段に接触してその変位が規制される。
【0015】
次に、本願の第2の発明では、気体ばねの作動中、常に搭載盤の揺れを規制するとともに、その際に気体ばねによる除振性能が損なわれることのないよう、規制手段の先端部を搭載盤から僅かに離すようにしたものである。
【0016】
具体的に、請求項3の発明では、機器の搭載された搭載盤の下面を複数の気体ばねにより基台に対して支持してなる気体ばね式除振装置を前提として、前記搭載盤の下面に対し進退作動可能に設けられ、進出状態で該搭載盤の揺れを規制する規制手段と、前記各気体ばねに対し気体圧を給排して、前記搭載盤の高さが設定位置に保たれるように該各気体ばねを作動させる給排手段と、該給排手段に連動して、前記各気体ばねの作動中には前記規制手段を進出状態になるように作動させる制御手段とを備えるとともに、進出状態にある前記規制手段の先端部と略静止している搭載盤との間には微小間隔が空くようにし、且つその間隔を、前記機器の所定動作の反力による搭載盤の変位によって該搭載盤が規制手段に接触するように設定するものとする。
【0017】
前記の構成により、機器の動作しないときやその動作の反力が非常に小さいときには搭載盤と規制手段とが接触することはなく、気体ばねによる除振性能を維持することができる一方、機器が比較的大きな動作や比較的速い動作をして、その反力を受けた搭載盤が規制手段との間の微小間隔を越えて変位しようとすると、この搭載盤が規制手段に接触してその変位が規制される。このことで、請求項1の発明と同様の作用効果が得られる。
【0018】
請求項4の発明では、前記請求項3の発明の規制手段を、気体シリンダによって作動するものとし、また、前記給排手段を、搭載盤の上下動に連動して気体ばねに対し気体圧を給排する機械式切換弁を有するものとする。そして、前記制御手段は、前記切換弁を介して前記気体シリンダにも気体圧を供給する気体圧制御回路からなるものとする。
【0019】
このことで、気体ばねの作動時には、当該気体ばねへ気体圧を供給する気体圧制御回路から切換弁を介して気体シリンダにも気体圧が供給されることになり、これにより自動的に規制手段が進出状態とされる。つまり、簡単な構造でもって規制手段を適切に作動させて、請求項3の発明の作用効果を得ることができる。
【0020】
請求項5の発明では、請求項1〜4のいずれか1つの発明において、搭載盤と接触する規制手段の先端部には高減衰ゴムからなる緩衝部を設けるものとする。こうすることで、機器の動作反力を受けて変位する搭載盤が規制手段に接触する瞬間の僅かな衝撃をも緩和して、この際の揺れの発生を回避することができる。
【0021】
請求項6の発明では、請求項5の発明における規制手段の先端部を、搭載盤から後退した状態では気体ばねが非作動状態であっても搭載盤に接触しないように位置付ける。こうすることで、気体ばねの非作動状態でも搭載盤や機器の荷重が規制手段先端の高減衰ゴムに加わることがなくなり、ゴムの変形を防止することができる。このことは、前記規制手段の先端部と搭載盤との間の微小間隔を一定に維持する上で極めて重要である。
【0022】
請求項7の発明では、請求項1〜4のいずれか1つの除振装置において、微小間隔を略0.1mm以上、且つ略1mm以下に設定する。こうすれば、通常の床振動によって搭載盤と規制手段とが接触することはなく、従って床振動の除振性能を十分に確保することができるとともに、機器の動作による搭載盤の初期変位が過度に大きくなることを阻止できる。つまり、請求項1〜4の発明の作用効果を十分に得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0024】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る気体ばね式除振装置Aの一例を示し、この除振装置Aは、例えば、図示しない半導体検査装置や電子顕微鏡、光学式計測装置等の精密機器をできるだけ床の振動から絶縁した状態(除振状態)で設置するためのものである。この精密防振台の概略構成は図示の如くであり、床面に設置される基台としての下側構造部1と、その下側構造部1の上面の4隅にそれぞれ配設された空気ばね式のアイソレータ2,2,…と、該4つのアイソレータ2,2,…の上部に搭載された搭載盤3とからなる。
【0025】
前記下側構造部1は、鋼製角パイプの構造部材を概ね直方体形状となるように櫓組みしたものであり、それぞれ上下方向に延びる4本の脚部4,4,…と、その脚部4,4,…のうちの隣接するもの同士を下端側で連結するように水平方向に延びる下梁部5,5,…と、それら4本の脚部4,4,…の上端側外周を囲んで、平面視で略矩形の枠状となるように配置された上梁部6,6,…とからなる。この各上梁部6,6,…の内側面は脚部4,4,…の外側面に接合されるとともに、各上梁部6,6,…の上面は脚部4,4,…の上端面と同一平面上に位置付けられている。そして、前記各脚部4の上端面からその外側を囲む上梁部6,6の上面に亘って、水平板7,7,…が配設されていて、この各水平板7上にそれぞれアイソレータ2が配設されている。また、下側構造部1の長手方向に延びる2つの下梁部5,5の下面には、それぞれ移動用のキャスター8,8,…が2つずつ配設されるとともに、各脚部4の下端面にはそれぞれ高さ調整用のレベラー9,9,…が配設されている。
【0026】
前記アイソレータ2は、図2〜5に拡大して示すように、円板状トッププレート11に加わる搭載盤3等の荷重を支持する空気ばね10(気体ばね)と、その搭載盤3の上下動に連動して前記空気ばね10に対し圧縮空気を給排するための機械式レベリングバルブ20(切換弁)と、搭載盤3の下面に対向して進退作動するように設けられたエアシリンダ30(規制手段)とを備えている。前記空気ばね10は、全体として四角柱状のケース12の上壁に設けた円形の開口部に円筒状ピストン13を内挿するとともに、このピストン13の外周からケース12の開口部周縁までを閉塞するようにゴム弾性膜からなる環状のダイヤフラム(図示せず)を配設して、このダイヤフラムによりピストン13を保持しつつ、ケース12の内部に空気室14を区画したものである。
【0027】
そして、前記空気室14に充填された空気の圧力によってピストン13が弾性的に支持され、さらにそのピストン13に対してロッド15(図4にのみ示す)を介して支持されたトッププレート11が搭載盤3及び機器の荷重を受けることにより、その搭載盤3及び機器を上下方向の振動から略遮断した状態で支承するようになっている。また、詳しくは図示しないが、この実施形態では、前記ピストン13は全体として上下方向に長い円筒形状とされ、その底部においてロッド15の下端部を揺動自在に支持する、いわゆるジンバルピストンである。このことで、トッププレート11はピストン13に対して水平方向に揺動自在とされており、これにより空気ばね10の水平方向のばね特性が上下方向と同様に非常に柔らかなものとなる。尚、空気ばね10の構造は上述のものに限らず、より一般的な構造のダイヤフラム形空気ばねや或いはベローズ等であってもよい。
【0028】
前記レベリングバルブ20は、主に図4に示すように、上下方向に回動可能に設けられ、搭載盤3の下面に先端部を接触させてその位置を検出するセンサアーム21と、空気ばね10との間で空気の給排を行う給排口22と、圧縮空気の供給を受ける供給口23と、排気口24とを備えている。前記給排口22にはU字状チューブ25の一端部が接続されていて、このチューブ25の他端部は空気ばね10のケース12側壁を貫通して空気室14に連通している。また、前記供給口23には、空気ポンプやリザーバタンク等の空気圧源26から弁27を介して圧縮空気を供給する供給管28の端部が接続されている。
【0029】
そして、搭載盤3の高さが予め設定した高さよりも低くなって、前記センサアーム21が基準となる位置よりも下方に回動すると、レベリングバルブ20の弁体(図示せず)が給気位置に切り替わって供給口23と給排口22とが連通され、前記空気圧源26から空気ばね10の空気室14に圧縮空気を供給する。一方、搭載盤3が前記設定高さよりも高くなってセンサアーム21が上方に回動すれば、レベリングバルブ20の弁体は排気位置に切り替わって給排口22と排気口24とが連通され、空気ばね10の空気室14から大気中に空気を漏出させる。このことで、搭載盤3の上下動に応じて前記空気ばね10の空気圧が増減されて、該搭載盤3の高さが略設定高さに維持されることになる。尚、搭載盤3が略設定高さにあってセンサアーム21が概ね基準位置にあるときには、レベリングバルブ20の弁体は停止位置にあって吸気も排気も行わない。
【0030】
前記エアシリンダ30は、主に図2に示すように、空気ばね10のケース12の側方にてシリンダ本体31が上下方向に延びるように、該ケース12のベースプレートに対してブラケットにより取り付けられていて、該シリンダ本体31の側部上側及び下側にそれぞれ設けられた上側及び下側給排気口32,33のいずれかに圧縮空気が供給されるのに応じて、図示しないピストンに連結されたピストンロッド34が上下方向に進退作動するようになっている。詳しくは、ピストンロッド34の上端(先端部)には、上すぼまりの円錐台状に形成された高減衰ゴム(例えばフッ素ゴム等)からなるストッパ部35(緩衝部)が取り付けられており、その下方にはロッド34に対して略垂直に拡がる鍔部34aが設けられている。一方、シリンダ本体31の上部には板部材36が固定され、その上方に所定間隔を隔てて別の板部材37が略平行に配置されていて、それら2つの板部材36,37同士が4隅に配置された連結部材38,38,…によって連結されている。また、上側の板部材37にはストッパ部35の挿通される断面円形の開口部37aが形成されている。
【0031】
そして、シリンダ本体31の下側給排気口33に圧縮空気の供給を受けてエアシリンダ30が進出作動し、ピストンロッド34が上方に進出したときには、その上端のストッパ部35が上側板部材37の開口部37aを通過して上方に突出するとともに、該板部材37の下面にピストンロッド34の鍔部34aの上面が当接して、それ以上の進出が阻止される。これにより、エアシリンダ30は進出状態になり、このときにピストンロッド34のストッパ部35上端は搭載盤3の下面との間に微小間隔hを空けて位置付けられる。この微小間隔hの意義については後述するが、この間隔は、前記上側の板部材37と連結部材38,…との連結位置を調整することによって、微調整できるようになっている。
【0032】
一方、前記エアシリンダ30の上側給排気口32に圧縮空気の供給を受けるとピストンロッド34は下方に後退し、図5に示すように該ピストンロッド34が完全に後退した状態(後退状態)では、ストッパ部35の上端は上側板部材37の上面よりも下方に位置して、仮に空気ばね10が圧縮空気の供給を受けない非作動状態であっても、搭載盤3の下面には接触しないようになる。
【0033】
前記エアシリンダ30の上側及び下側給排気口32,33は、それぞれ、吸排気管40,41により電磁作動式切換弁42に接続され、この切換弁42の切換え作動によって、前記空気圧源26に接続されて圧縮空気の供給を受ける状態と大気開放される状態とに切換えられるようになっている。すなわち、切換弁42はコントローラ45からの信号に応じて作動し、図2に模式的に示すように、前記下側給排気口33に空気圧源26からの圧縮空気を供給してエアシリンダ30を進出作動させる進出駆動位置と、反対に上側給排気口32に圧縮空気を供給してエアシリンダ30を後退作動させる後退駆動位置(図5参照)と、それらの中間で上側及び下側給排気口32,33の両方を閉止する中立位置とに切換えられるようになっている。
【0034】
また、前記コントローラ45には、図示しないが、搭載盤3上の機器からその動作に関する信号が入力されるようになっており、この信号の入力を受けたコントローラ45から前記切換弁42のソレノイドに対して制御電流が供給される。すなわち、この実施形態では、搭載機器が予め決定した所定の動作を行うときには、その動作の開始前に当該機器からコントローラ45に対して動作開始信号が出力され、この信号を受けたコントローラ45が切換弁42を進出駆動位置に切換えて、エアシリンダ30を進出作動させる。これにより、該エアシリンダ30のピストンロッド34上端のストッパ部35が搭載盤3の下面にぎりぎり接触しないように微小間隔hを空けて位置付けられ、前記機器の所定動作による搭載盤3の揺れを規制するようになる。そして、機器の動作が終了すれば、この機器からコントローラ45に対して動作終了信号が出力され、この信号を受けたコントローラ45により切換弁42が後退駆動位置に切換えられて、エアシリンダ30が後退作動するものである。
【0035】
ここで、前記搭載機器の所定の動作と、エアシリンダ30のストッパ部35及び搭載盤3の間の微小間隔hとの関係について詳しく説明すると、一般的に、除振台Aに搭載される機器において例えば水平移動ステージが作動した場合、その反力によって搭載盤3は水平方向に移動しながら、移動する側に沈み込むとともに、反対側が浮き上がって、全体としては主にローリング方向の変位を生じる。この変位の大きさはステージの動作開始から加速終了までの間、一定の向きに増大することになるが、ステージ等の慣性質量や加減速度の絶対値が大きいときほど、搭載盤3の初期変位は大きくなり、その初期変位が大きいときほど、ステージ停止後の搭載盤3の揺れが収束するまでに長い時間を必要とする。
【0036】
そのような搭載盤3の揺れを効果的に抑えるために、この実施形態の除振台Aでは、上述の如く搭載機器がある程度以上、大きく或いは速く動作して、比較的大きな反力が搭載盤3に作用する場合に、エアシリンダ30を進出作動させて一時的に搭載盤3の揺れを規制するようにしたものである。その際、搭載盤3の揺れが小さければエアシリンダ30によって搭載盤3を拘束することなく、空気ばね10により支持するのが好ましいから、進出状態のエアシリンダ30のストッパ部35と搭載盤3の下面との間の微小間隔hは、例えば、略0.1mm以上で且つ略1mm以下に設定すればよい。こうすれば、通常の床振動や搭載機器の非常に小さな動作によっては搭載盤3とストッパ部35とが接触することはなく、従って空気ばね10による床振動の除振性能を十分に確保することができるとともに、搭載機器の動作に起因する搭載盤3の初期変位は各アイソレータ2の近傍でせいぜい1mm程度に抑えることができ、これにより、該搭載盤3の揺れを速やかに収束させることができる。尚、例えば、元来、床振動のレベルが非常に小さい設置場所であれば、微小間隔hを略0.5mm以下としてもよく、こうすれば、機器の動作による搭載盤3の揺れをさらに小さく抑えることができる。
【0037】
以上、述べたように、この実施形態に係る気体ばね式除振装置Aによると、搭載盤3を複数の気体ばね式アイソレータ2,2,…により弾性的に支持してなる除振台Aにおいて、その搭載盤3上の機器が該搭載盤3に対して大きな反力を加えるような所定の動作をするときに、その動作の始まる前にエアシリンダ30を進出作動させて、搭載盤3の下面ぎりぎりに位置付けたストッパ部35により一時的に搭載盤3の変位を規制するようにしたことで、機器の動作中にその反力による搭載盤3の変位を小さく抑えて、その後の搭載盤3の揺れを小さくし、速やかに収束させることができる。
【0038】
その際、進出状態にあるエアシリンダ30のストッパ部35と搭載盤3との間に微小間隔hが設けられているので、搭載盤3が実際に反力を受けるまでの間、さらに、搭載盤3の揺れがある程度収まった後では、前記ストッパ部35が搭載盤3の変位を規制することはなく、このことで、空気ばね10,10,…により非常に柔らかく支持されている搭載盤3の除振性能を十分に維持することができる。
【0039】
また、エアシリンダ30は、前記の如く機器が動作する前に進出作動されるので、搭載盤3に向かって進出したストッパ部35が該搭載盤3の揺れを引き起こすこともない。しかも、そのストッパ部35を高減衰ゴムからなるものとしているので、機器の動作反力によって変位した搭載盤3がストッパ部35に接触するときの僅かな衝撃も十分に緩和することができる。
【0040】
さらに、前記エアシリンダ30は、搭載盤3上の機器が所定の動作をするときにのみ進出作動され、その機器の動作が終了すれば後退作動されて、ストッパ部35が搭載盤3に接触しないように位置付けられるので、搭載機器が動作しないときには搭載盤3に接触する虞れはない。従って、仮にエアシリンダ30の故障によってその進出量等が変化したとしても、少なくとも搭載機器が動作しないときにエアシリンダ30が空気ばね10,10,…の除振性能を害する虞れはなく、この点で除振台Aのメンテナンスが容易なものとなる。
【0041】
(実施形態2)
図6及び図7は、本発明の実施形態2に係る気体ばね式除振装置Aのアイソレータ2の構成を示す。このアイソレータ2の全体的な構造は上述した実施形態1のものと同じなので、同一部材には同一の符号を付してその説明は省略する。そして、実施形態2のアイソレータ2では、前記実施形態1のようなコントローラ45や電磁式切換弁42を用いずに、極めて簡単な構成でもってエアシリンダ30を進退作動させるようにしたことを特徴とする。
【0042】
すなわち、この実施形態2のアイソレータ2は、前記実施形態1と同様の空気ばね10、レベリングバルブ20及びエアシリンダ30を備えているとともに、そのレベリングバルブ20と連動させてエアシリンダ30に空気圧を供給するようにした空気圧回路50を備えている。詳しくは、主に図7に示すように、レベリングバルブ20の給排口22にはJ字状のチューブ51の一端部が接続され、このチューブ51の他端部は分岐管52を介して2つの分岐チューブ53,54に接続されている。このうちの一方の分岐チューブ53は実施形態1と同様に空気ばね10に接続されており、また、他方の分岐チューブ54の端部はエアシリンダ30の下側給排気口33に接続されている。尚、図6にも示すように、エアシリンダ30の上側給排気口32は、大気開放されている。
【0043】
このような空気圧回路50の構成により、この実施形態の除振台Aでは、アイソレータ2,2,…の空気ばね10,10,…に圧縮空気を供給して、それらを作動させると、これと同時にレベリングバルブ20を介してエアシリンダ30にも圧縮空気が供給されて、そのエアシリンダ30のピストンロッド34が上方に向かい進出作動する。すなわち、各アイソレータ2の空気ばね10の作動によって搭載盤3が浮上するのとともに、エアシリンダ3のピストンロッド34も上昇し、そのピストンロッド34先端のストッパ部35は、レベリングバルブ20の機能によって設定高さに位置する搭載盤3の下面に対して、微小間隔hを空けて位置付けられる。
【0044】
そのような空気ばね10,10,…の作動状態では、搭載盤3上の機器が所定の動作を行わなければ、搭載盤3の下面がストッパ部35上端に接触することはなく、各空気ばね10による除振性能が維持されるとともに、搭載機器が所定の動作をしてその反力が搭載盤3に作用すれば、この搭載盤3の下面がストッパ部35に接触することによって変位が規制され、これにより、該搭載盤3の揺れを速やかに収束させることができる。
【0045】
また、前記空気ばね10,10,…の非作動状態では、エアシリンダ30が後退状態になってピストンロッド34が下降するが、このときには、前記実施形態1のものと同じく、ピストンロッド34のストッパ部35上端が搭載盤3の下面に接触しないように位置付けられていて、そこに搭載盤3や機器の荷重が加わることはない。このため、経年変化等によるストッパ部35のゴムの変形を防止して、該ストッパ部35上端と搭載盤3下面との間の微小間隔hを一定に維持することができる。
【0046】
したがって、実施形態2に係る除振台Aによると、各アイソレータ2毎に設けたエアシリンダ30の働きによって前記実施形態1と同様の作用効果が得られる上に、そのエアシリンダ30の適切な進退作動を簡単な構成の空気圧回路50により適切に制御することができ、実施形態1のものに比べて低コストのものとすることができる。
【0047】
(他の実施形態)
尚、本願発明の構成は、前記実施形態1、2のものに限定されず、その他の種々の構成を包含するものである。例えば、前記各実施形態の除振台Aでは、エアシリンダ30を進出作動させたときに、そのピストンロッド34のストッパ部35先端を略静止している搭載盤3の下面から微小間隔hだけ離して位置付けるようにしているが、実施形態1のものに関しては必ずしも間隔を空ける必要はなく、ストッパ部35の先端を搭載盤3の下面に当接させるようにしてもよい。
【0048】
また、前記実施形態1においては、搭載盤3上の機器が所定動作を始める前にエアシリンダ30を進出作動させるようにしているが、これに限らず、搭載機器の動作に同期してエアシリンダ30を作動させるようにしてもよい。
【0049】
さらに、前記各実施形態では、エアシリンダ30を各アイソレータ2毎に設けているが、これに限るものではない。すなわち、前記実施形態のように搭載盤3を4つのアイソレータ2,2,…で支持するようにしたものにおいて、例えば、平面視で同一直線上に並ばないように(即ち三角形の各頂点となるように)3つのエアシリンダ30,30,…を配設するようにしてもよいし、これとは別に5つ以上(例えば6つ)のアイソレータ2,2,…で搭載盤3を支持するようにしたものにおいて、その搭載盤3の4隅に対応付けて4つのエアシリンダ30,30,…を配設するようにしてもよい。
【0050】
さらにまた、搭載機器の動作の方向や速度が一つの方向に偏っていて、その方向についてのみ搭載盤の変位を規制すればよいのであれば、エアシリンダ30はその方向に離して2つ配置するのみであってもよい。また、例えば、その方向のうち一方の向きについてのみ搭載機器の動作が速く、他方については動作が遅いような場合には、該搭載機器の動作が速いときの搭載盤3の変位のみを規制するようにエアシリンダ30を1つ配置するだけでもよい場合がある。
【0051】
また、前記各実施形態では、エアシリンダのストッパ部35を例えばフッ素ゴム等の高減衰ゴムからなるものとしているが、この他、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、ウレタンゴム等、種々の弾性体を用いることが可能である。
【0052】
また、前記各実施形態のアイソレータ2,2,…は、何れも空気ばね10を備えるものであるが、これに限らず、例えば空気の代わりに窒素ガス等を充填した気体ばねを用いることもできる。
【0053】
さらに、前記各実施形態では本願発明を中型の除振台に適用しているが、これに限らず、小型でより簡易な構成を有するデスクトップ型のものに適用してもよいし、反対に、例えば、半導体製造装置等の防振支持のために、それらの装置の寸法、形状等に合わせて専用に設計する大型の除振装置等に適用することもできる。
【0054】
【発明の効果】
以上、説明したように、本願の請求項1の発明に係る気体ばね式除振装置によると、搭載盤上の機器が、該搭載盤に対して比較的大きな反力の加わるような所定の動作をするときに、その機器からの信号に応じて一時的に搭載盤の変位を規制するようにしたので、搭載機器の動作に起因する搭載盤の初期変位を抑えて、その揺れを速やかに収束させることができる。
【0055】
請求項2の発明によると、前記搭載機器の動作が始まる前に規制手段を進出作動させるとともに、その規制手段の先端部と搭載盤との間に微小間隔を空けるようにしたので、該規制手段によって搭載盤の揺れを誘発することなく、空気ばねによる除振性能を維持しながら、搭載機器の動作に起因する揺れを抑えることができる。
【0056】
また、本願の請求項3の発明に係る気体ばね式除振台によると、前記請求項1、2の発明と同様の効果を得ることができ、さらに請求項4の発明によれば、簡単な構造で装置の低コスト化が図られる。
【0057】
請求項5の発明によると、規制手段の先端部に高減衰ゴムの緩衝部を設けたことで、搭載盤が規制手段に接触する際の僅かなショックをも十分に緩和することができる。
【0058】
請求項6の発明によると、後退状態の規制手段の先端部に搭載盤や機器の荷重が加わることがないので、ゴムの緩衝部の変形を防止して搭載盤下面までの微小間隔を一定に維持することができる。
【0059】
請求項7の発明によると、微小間隔を略0.1mm以上且つ略1mm以下に設定することで、前記請求項1〜4の発明の効果を十分に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る除振台の全体構成を示す斜視図である。
【図2】実施形態1に係るアイソレータの構成を示す正面図である。
【図3】アイソレータの構成を示す上面図である。
【図4】アイソレータの構成を示す右側面図である。
【図5】エアシリンダが後退状態にあるときの図2相当図である。
【図6】実施形態2に係る図2相当図である。
【図7】実施形態2に係る図4相当図である。
【符号の説明】
A 除振台(気体ばね式除振装置)
h 微小間隔
1 下側構造部(基台)
2 アイソレータ
3 搭載盤
10 空気ばね(気体ばね)
20 レベリングバルブ(切換弁)
26 空気圧源(給排手段)
28 供給管(給排手段)
30 エアシリンダ30(規制手段)
34 ピストンロッド
35 ストッパ部(緩衝部)
45 コントローラ(制御手段)
50 空気圧回路(気体圧制御回路)
51 チューブ(給排手段)
52 分岐管(給排手段)
53,54 分岐チューブ(給排手段)
Claims (7)
- 機器の搭載された搭載盤を複数の気体ばねにより基台に対して支持してなる気体ばね式除振装置において、
前記搭載盤に対し進退作動可能に設けられ、進出状態で該搭載盤の揺れを規制する規制手段と、
前記搭載盤上の機器が所定の動作をするときに、その機器からの信号を受けて前記規制手段を進出状態になるように作動させる制御手段と、を備えていることを特徴とする気体ばね式除振装置。 - 請求項1の除振装置において、
前記制御手段は、機器の所定動作が始まる前に規制手段を作動させるものであり、
進出状態にある前記規制手段の先端部と略静止している搭載盤との間には微小間隔が空けられていて、この間隔が、前記機器の所定動作の反力による搭載盤の変位によって該搭載盤が規制手段に接触するように設定されていることを特徴とする気体ばね式除振装置。 - 機器の搭載された搭載盤の下面を複数の気体ばねにより基台に対して支持してなる気体ばね式除振装置において、
前記搭載盤の下面に対し進退作動可能に設けられ、進出状態で該搭載盤の揺れを規制する規制手段と、
前記各気体ばねに対し気体圧を給排して、前記搭載盤の高さが設定位置に保たれるように該各気体ばねを作動させる給排手段と、
前記給排手段に連動して、前記各気体ばねの作動中には前記規制手段を進出状態になるように作動させる制御手段とを備え、
進出状態にある前記規制手段の先端部と略静止している搭載盤との間には微小間隔が空けられていて、この間隔が、前記機器の所定動作の反力による搭載盤の変位によって該搭載盤が規制手段に接触するように設定されていることを特徴とする気体ばね式除振装置。 - 請求項3の除振装置において、
前記規制手段は、気体シリンダによって作動するものであり、
前記給排手段は、搭載盤の上下動に連動して気体ばねに対し気体圧を給排する機械式切換弁を有し、
前記制御手段は、前記切換弁を介して前記気体シリンダにも気体圧を供給するように構成された気体圧制御回路であることを特徴とする気体ばね式除振装置。 - 請求項1〜4のいずれか1つの除振装置において、
搭載盤と接触する規制手段の先端部には高減衰ゴムからなる緩衝部が設けられていることを特徴とする気体ばね式除振装置。 - 請求項5の除振装置において、
前記規制手段の先端部は、搭載盤から後退した状態では気体ばねが非作動状態であっても搭載盤に接触しないように位置付けられていることを特徴とする気体ばね式除振装置。 - 請求項1〜4のいずれか1つの除振装置において、
微小間隔は、略0.1mm以上であって且つ略1mm以下であることを特徴とする気体ばね式除振装置。
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JP2003021316A Pending JP2004232713A (ja) | 2003-01-30 | 2003-01-30 | 気体ばね式除振装置 |
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- 2003-01-30 JP JP2003021316A patent/JP2004232713A/ja active Pending
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