JP3581499B2 - 除振装置及びその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密機器搭載用の除振台の所定位置への円滑な位置制御動作を実現する除振装置及びその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子顕微鏡、半導体露光装置等の精密機器の高精度化に伴い、これらを搭載する精密除振装置の高性能化が求められている。特に、半導体露光装置においては、適切かつ迅速な露光を行うために、床などの装置設置基礎からの振動を始めとする外部からの振動を極力除去した除振台が必要である。これは露光に悪影響を及ぼす振動が、露光用ステージに発生しないようにしなければならないためである。
【0003】
また、ステップ・アンド・リピートという間欠動作を特徴とする半導体露光装置では、露光用XYステージの繰り返しステップ動作が除振台の振動を励起する。従って、除振台には床などの装置設置基礎からの振動を始めとする外部振動に対する除振性能と、除振台に搭載された機器の動作によって発生する振動に対する制振機能とをバランス良く実現することが求められる。
【0004】
ステップ・アンド・リピートに代る方式として、スキャン露光方式を採用した半導体露光装置もあるが、この装置においても装置設置基礎からの振動等、外部から伝達する振動を極力除去すると共に、露光用ステージのスキャン動作により励起される除振台の振動を瞬時に制振する必要がある。特に、スキャン露光装置では、露光用ステージがスキャン動作をしている状態で露光を行うため、外部振動に対する除振性能や、除振台に搭載された機器の動作によって発生する振動に対する制振性能への要求は厳しく、一段と高性能な除振装置が不可欠なものとなっている。
【0005】
このような要求に対して、近年では除振台の振動やその基準位置に対する変位量をセンサで検出し、その出力信号を補償して除振台に制御力を加えるアクチュエータにフィードバックすることにより、能動的に除振台の振動及び位置制御を行う除振装置が実用化されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これらの除振装置においては、除振台を支持する防振支持機構、及び除振台に制御力を加えるアクチュエータとして空気ばねがよく用いられる。しかし、空気ばねは通常ではそれ自身では空気ばねが収縮する方向の力を制御できず、外部から空気ばねの収縮方向に力を加える構造が必要である。
【0007】
鉛直方向に作用する空気ばねについては、精密機器等を搭載した除振台の自重が空気ばねの収縮方向の力として作用するため、空気ばねの内部圧力の調整によって上昇、下降の双方向の力を制御できる。しかし、水平方向に作用する空気ばねを用いて、水平方向の押し、引き双方の推力を制御するためには、何らかの構造的工夫が不可欠である。
【0008】
空気ばねを用いて水平方向の防振支持を行う場合には、対向方向に作用する一対の空気ばねを用いた機構や、コイルばねなどで空気ばねの収縮方向に予め力を加える構造が屡々用いられる。しかし、このような空気ばね式除振装置で除振台を目標位置に浮上制御する場合、つまり空気ばねの内部圧力を調整して除振台を所定の位置に制御する場合には、水平方向に作用する空気ばねに空気が十分に充填されて、それらがアクチュエータとして機能するまでは、除振台の水平方向の位置を制御できないという状況が発生する。
【0009】
例えば、対向方向に作用する一対の空気ばねを用いた機構では、除振台が着地している状態から浮上動作を開始したときに、水平方向に作用する空気ばねに空気が十分充填されていないと、水平方向の推力を任意に制御できないという状況が発生する。また、コイルばねなどで空気ばねの収縮方向に力を加える構造を用いた場合に、空気ばねに空気が十分に充填され、空気ばねの発生する推力がコイルばねの発生力とバランスするまでは、コイルばねなどの予圧手段によって制御できない水平推力が除振台に作用する。
【0010】
このように、空気ばねを用いた除振装置を浮上制御する際に、除振台に作用する水平方向の推力を制御できない状態で除振台が鉛直方向に浮上する、つまり除振台が着地している位置から浮き上がると、除振台が水平方向に大きく変位する危険がある。
【0011】
除振台は所定の目標位置まで、所望の経路に従って浮上することが望ましい。除振台に搭載される機器には、除振台が直上の目標位置に直線的に浮上することを前提としているものが多く含まれているために、多くの適用例において除振台はその着地位置の直上の所定目標位置まで直線的に浮上することが求められる。また、除振台に搭載されていない外部の機器との干渉を防ぐためにも、浮上動作時の水平変位量を小さく抑える必要がある。更に、除振台に搭載された精密機器の動作状態によっては、除振台に搭載されていない外部機器との相互作用や、機器・部品等の受け渡しのために、円滑かつフレキシブルに除振台の位置制御を行うことが求められる。
【0012】
しかし従来の除振装置では、このような要求を満足する除振台の円滑な位置制御は殆ど重視されていなかった。
【0013】
本発明の目的は、このような課題を解決するために、除振台に搭載されていない外部機器との相互作用、外部機器との干渉などを考慮して、除振台の位置制御をより円滑に行うことができる除振装置及びその制御方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る除振装置は、除振台と、空気ばねを有し除振台を防振支持する複数の支持機構と、前記除振台に制御力を加えるアクチュエータと、前記除振台の基準位置に対する変位量を検出する変位検出手段と、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値と前記変位検出手段の出力信号の差信号を補償して前記アクチュエータにフィードバックする補償器と、前記除振台を上昇又は下降させる際に前記除振台の基準位置に対する水平方向の変位量を制限する水平変位制限機構と、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値を前記水平変位制限機構が作用する範囲内で段階的に設定する設定手段と、該設定手段により設定される前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値を切換える切換手段とを備えたことを特徴とする。
また、本願発明に係る除振装置は、除振台と、空気ばねを有し除振台を防振支持する複数の支持機構と、前記除振台に制御力を加えるアクチュエータと、前記除振台の基準位置に対する変位量を検出する変位検出手段と、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値と前記変位検出手段の出力信号の差信号を補償して前記アクチュエータにフィードバックする補償器と、テーパ状の噛み合わせ部を有し前記除振台の基準位置に対する水平方向の変位量を機械的に制限する水平変位制限機構と、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値を前記テーパ状の噛み合わせ部の形状に基づいて段階的に設定する設定手段と、該設定手段により設定される前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値を切換える切換手段とを備えたことを特徴とする。
本願発明に係る除振装置は、除振台と、空気ばねを有し除振台を防振支持する複数の支持機構と、該支持機構にそれぞれ備え前記除振台に制御力を加える複数のアクチュエータと、前記除振台の基準位置に対する変位量を検出する変位検出手段と、前記除振台の並進、回転の各運動モードの変位量の目標値と前記変位検出手段の出力信号から抽出した前記除振台の並進、回転の各運動モードの偏差信号を補償して得られた各運動モードの補償信号を複数の前記アクチュエータに分配してフィードバックする補償器と、前記除振台の基準位置に対する水平方向の変位量を制限する水平変位制限機構と、前記除振台の並進、回転の各運動モードの目標値を段階的に設定する設定手段と、該設定手段により設定される前記除振台の並進、回転の各運動モードの目標値を切換える切換手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る除振装置は、除振台と、空気ばねを有し除振台を防振支持する複数の支持機構と、前記除振台に制御力を加えるアクチュエータと、前記除振台の基準位置に対する変位量を検出する変位検出手段と、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値と前記変位検出手段の出力信号の差信号を補償して前記アクチュエータにフィードバックする補償器と、前記除振台を上昇又は下降させる際に前記除振台の基準位置に対する水平方向の変位量を制限する水平変位制限機構と、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値を前記水平変位制限機構が作用する範囲内で連続的に変化させる設定手段とを備えたことを特徴とする。
本願発明に係る除振装置は、除振台と、空気ばねを有し除振台を防振支持する複数の支持機構と、前記除振台に制御力を加えるアクチュエータと、前記除振台の基準位置に対する変位量を検出する変位検出手段と、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値と前記変位検出手段の出力信号の差信号を補償して前記アクチュエータにフィードバックする補償器と、テーパ状の噛み合わせ部を有し前記除振台の基準位置に対する水平方向の変位量を機械的に制限する水平変位制限機構と、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値を前記テーパ状の噛み合わせ部の形状に基づいて連続的に変化させる設定手段とを備えたことを特徴とする。
本願発明に係る除振装置は、除振台と、空気ばねを有し除振台を防振支持する複数の支持機構と、該支持機構にそれぞれ備え前記除振台に制御力を加える複数のアクチュエータと、前記除振台の基準位置に対する変位量を検出する変位検出手段と、前記除振台の並進、回転の各運動モードの変位量の目標値と前記変位検出手段の出力信号から抽出した前記除振台の並進、回転の各運動モードの偏差信号を補償して得られた各運動モードの補償信号を複数の前記アクチュエータに分配してフィードバックする補償器と、前記除振台の基準位置に対する水平方向の変位量を制限する水平変位制限機構と、前記除振台の並進、回転の各運動モードの目標値を連続的に変化させる設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
更に、本発明に係る除振装置の制御方法は、空気ばねを有する複数の支持機構により防振支持し、基準位置に対する水平方向の変位量を制限する水平変位制限機構を備えた除振台の基準位置に対する変位量を変位検出手段により検出し、補償器により前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値と前記変位検出手段の出力信号の差信号を補償し、得られた補償信号を前記除振台に制御力を加えるアクチュエータにフィードバックする除振装置の制御方法であって、前記除振台を上昇又は下降させる際に前記除振台の基準位置に対する水平方向の変位量を前記水平変位制限機構により制限し、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値を前記水平変位制限機構が作用する範囲内で段階的に切換え又は連続的に変化させて与えることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は第1の実施例の構成図である。除振台1は床等の装置設置基礎2上に、除振台1を防振支持すると共に除振台1に鉛直、水平方向の制御力を加える複数個の除振マウント3を介して載置されている。除振台1には、その基準位置に対する鉛直方向の変位量を検出する鉛直変位検出手段4、除振台1の基準位置に対する水平方向の変位量を検出する水平変位検出手段5が取り付けられている。なお、除振台1と装置設置基礎2間には、基準位置に対する水平方向の変位量を制限する水平変位制限機構6が設けられている。
【0018】
変位検出手段4、5の出力は補償演算手段7に接続され、補償演算手段7の出力は除振マウント3に接続されている。また、補償演算手段7には浮上目標値1、2、・・・、nを有する浮上目標値設定手段8の出力が接続され、補償演算手段7の出力の一部は浮上目標値切換手段9を介して浮上目標値設定手段8に接続されている。
【0019】
図2は除振マウント3の一例を示し、除振マウント3は除振台1に鉛直方向の制御力を加える鉛直アクチュエータ11、除振台1に水平方向の制御力を加える水平アクチュエータ12、除振台1を鉛直方向に防振支持する鉛直支持手段13、除振台1を水平方向に防振支持する水平支持手段14から構成されている。
【0020】
鉛直アクチュエータ11、水平アクチュエータ12には、空気ばねの内部圧力をそれへの空気の給排気を調整するバルブによって制御する空気圧駆動式アクチュエータが用いられている。また、鉛直アクチュエータ11、水平アクチュエータ12は、鉛直支持手段13、水平支持手段14として兼用することもできる。
【0021】
水平変位制限機構6は図3に示すように、テーパ状部材の嵌合による機械的制限機構により除振台1の水平方向の変位を制限するものとされ、除振台1に設けられた除振台側部材21、装置設置基礎2側の部材等に設けられた装置設置基礎側部材22から成り、除振台側部材21にテーパ状の凸部23が形成され、装置設置基礎側部材22には対応する凹部24が形成され、凸部23と凹部24が相互に干渉することによって、除振台1の水平方向の変位量を制限するようになっている。
【0022】
この第1の実施例では、精密機器を搭載する除振台1を装置設置基礎2から振動絶縁すべく所定位置まで浮上させるために、除振台1の基準位置に対する鉛直方向及び水平方向の変位量を、鉛直変位検出手段4及び水平変位検出手段5によりそれぞれ検出し、除振台1の基準位置に対する変位量の目標値と、鉛直変位検出手段4及び水平変位検出手段5の検出信号との差信号を補償演算手段7により補償し、除振マウント3のアクチュエータ11、12にフィードバックする。
【0023】
この際に、除振台1の基準位置に対する変位量の目標値を多段階に切換えて設定する。つまり、浮上目標値設定手段8で多段階に設定された除振台1の基準位置に対する変位量の目標値を、浮上目標値切換手段9により切換えて制御を行う。なお、ここでは、基準位置に対する変位量の目標値を、便宜上、浮上目標値と呼ぶ。除振台1を浮上させる際には、この浮上目標値を所定の値、つまり除振台1を定常的に浮上させる位置の値まで、段階的に上昇させて制御を行う。
【0024】
次に、本実施例について除振台1の浮上目標位置を2段階に切換えて設定する場合を例に説明する。先ず、除振台1の浮上目標位置を除振台1を定常的に使用する浮上位置よりも低く、かつそのときの除振台1の水平方向の変位量が水平変位制限機構6によって制限される位置、例えば定常浮上位置の1/2以下の高さの値として、鉛直、水平同時に浮上動作を開始する。ここで、水平方向の浮上目標位置は、機構的な干渉などの不都合がなければ、定常的な浮上位置、例えば除振台1が着地していた位置の直上に設定してもよい。
【0025】
図4(a) はこのときの水平変位制限機構6の作用説明図である。なお、このときの鉛直方向の浮上量をここでは1段階目の浮上量として図示している。鉛直方向の浮上量が小さい場合には、図4(a) に示すように水平方向の変位は、このテーパ状部材に制限された比較的小さい範囲内におさまる。例えば、凸部23の円錐角度が45°であるとすると、除振台1の水平方向の変位は、最大でもこの段階での鉛直方向の浮上量の2倍の変位量の範囲内に制限される。従って、除振台1の浮上動作開始直後に制御できない水平発生力が除振台1に作用しても、除振台1はこの制限機構6に制限された比較的小さい範囲以内にしか変位しない。
【0026】
次に、鉛直、水平変位共に最初に設定した浮上目標位置に達し、或いは一定時間経過した等の予め設定した条件を満たした時点で、浮上目標位置を定常的な浮上位置に切換える。例えば、鉛直水平変位共に最初に設定した浮上目標位置に達した時点で浮上目標値を切換える場合に、補償演算手段7は除振台の浮上目標位置に対する鉛直、水平方向の位置偏差が所定のトレランスに入ると浮上目標値切換手段9に信号を送り、浮上目標値切換手段9はこの信号をトリガとして浮上目標値を切換える。この段階では、水平アクチュエータ12の駆動力は任意に制御され、水平位置制御が十分に機能しているので、図4(b) に示すように、大きな水平変位を発生することなく、円滑な浮上動作を実現することができる。
【0027】
このような装置構成及び手順で除振台1の浮上動作を行うと、除振台1が浮上した直後に発生する過渡的な水平変位量を抑制することができ、所望の経路から大きく外れることなく除振台1の浮上動作を行うことができる。
【0028】
なお、ここでは除振台1の浮上目標位置を2段階で設定する場合の手順を例示したが、勿論、浮上目標値は3段階以上の多段階に切換えて設定してもよい。また、除振台1を着地させる場合も、同様の手順、考え方で浮上目標値を段階的に下降させながら設定すればよい。
【0029】
なお、浮上目標値設定手段8、浮上目標値切換手段9を用いれば、除振台1に搭載されていない外部機器との相互作用や、機器・部品等の受け渡しのために、円滑かつフレキシブルに除振台1の位置を切換えて制御を行うことも可能である。
【0030】
また、除振台1の振動を検出する振動検出手段を備え、その検出信号を補償して、除振マウント3に備えられた除振台1に制御力を加えるアクチュエータ11、12にフィードバックする手段を有するものであってよい。
【0031】
図5は除振台1の基準位置に対する変位量の目標値を連続的な値に変化させる手段を用いた第2の実施例の構成図である。この装置の構成及び動作は、基本的には第1の実施例と同様である。この第2の実施例と第1の実施例の異なる点は、除振台1の基準位置に対する変位量の目標値の与え方である。つまり、補償演算手段7には時間対浮上目標値の関数を連続的に出力する浮上目標値設定手段8’が接続されている。なお、浮上目標値設定手段8’の浮上目標値は、時定数の大きいローパスフィルタ等を用いて設定することができる。
【0032】
第2の実施例においては、除振台1を所定位置まで浮上させるために、除振台1の鉛直方向の浮上目標値を、浮上目標値設定手段8’により除振台1の着座位置の値から除振台1を定常的に使用する位置の値まで、連続的に上昇させる。このとき、水平方向の浮上目標位置は、機構的な干渉等の不都合がなければ、定常的な浮上位置、例えば除振台1の着地していた位置の直上に設定してもよいし、勿論、除振台1を定常的に使用する浮上位置まで連続的に変化させながら与えてもよい。
【0033】
鉛直浮上目標位置を定常的な浮上位置まで緩やかに上昇させてゆくと、浮上開始直後の鉛直方向の浮上量が小さい状態では、除振台1の水平方向の変位量は水平変位制限機構6により制限された比較的小さい範囲内に制限される。鉛直方向の浮上目標値は緩やかに上昇しているので、除振台1の水平変位量が制限機構6に制限されているうちに、水平位置制御が十分に機能し、除振台1は所定の水平目標位置に制御されるようになる。水平位置制御が機能している状態では、除振台1は所定の水平目標位置に対する偏差を大きく発生させることなく、円滑に位置制御動作が行うことができる。
【0034】
このようにして、除振台1の浮上動作を行うと、第1の実施例と同様に除振台1が浮上した直後に発生する過渡的な水平変位量を抑制することができ、所望の経路から大きく外れることなく除振台1の浮上動作を行うことができる。除振台1を着地させる場合も、同様の手順、考え方で浮上目標値を連続的に下降させながら与えればよい。
【0035】
第1、第2の実施例における除振台1の基準位置に対する変位量の目標値と、鉛直及び水平方向の変位検出手段4、5の出力信号の差信号を補償してアクチュエータ11、12にフィードバックする補償演算手段7における補償は、除振台1の並進、回転等の各運動モードの偏差信号を抽出し、この偏差信号を適切に補償し、それによって得られた各運動モードの補償信号を複数の除振マウント3に備えられたアクチュエータ11、12に分配する構成であってもよい。この場合に、除振台1の基準位置に対する変位量の目標値は、除振台1の並進、回転等の各運動モードの目標値として、多段階又は連続的な値に変化するものとして与えられる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る除振装置は、除振台の基準位置に対する変位量の目標値と除振台の基準位置に対する変位量の差信号を補償し、その補償信号を空気式のアクチュエータにフィードバックして除振台を所定の位置に制御する際に、除振台の基準位置に対する変位量の目標値を段階的に切換え又は連続的に変化させて与えることにより、除振台の所定位置への制御を良好に行う。
【0037】
また、本発明に係る除振装置の制御方法は、除振台の浮上制御を行う際に、浮上開始時の鉛直方向の浮上目標値を、除振台の水平方向の変位量が水平変位制限機構により所定範囲内に制限される位置に設定することによって、除振台が浮上した直後に発生する過渡的な水平方向の変位量を抑制し、鉛直、水平共に十分に位置制御が機能した後に、所定の位置まで除振台を浮上させるため、所望の経路から大きく外れることなく、良好な状態で除振台を浮上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の構成図である。
【図2】除振マウントの構成図である。
【図3】水平変位制限機構の構成図である。
【図4】作用説明図である。
【図5】第2の実施例の構成図である。
【符号の説明】
1 除振台
2 装置設置基礎
3 除振マウント
4 鉛直変位検出手段
5 水平変位検出手段
6 水平変位制限機構
7 補償演算手段
8、8’ 浮上目標値設定手段
9 浮上目標値切換手段
Claims (11)
- 除振台と、空気ばねを有し除振台を防振支持する複数の支持機構と、前記除振台に制御力を加えるアクチュエータと、前記除振台の基準位置に対する変位量を検出する変位検出手段と、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値と前記変位検出手段の出力信号の差信号を補償して前記アクチュエータにフィードバックする補償器と、前記除振台を上昇又は下降させる際に前記除振台の基準位置に対する水平方向の変位量を制限する水平変位制限機構と、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値を前記水平変位制限機構が作用する範囲内で段階的に設定する設定手段と、該設定手段により設定される前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値を切換える切換手段とを備えたことを特徴とする除振装置。
- 前記アクチュエータは前記空気ばねの内部圧力を空気の給排気を調整するバルブによって制御する空気圧駆動式とした請求項1に記載の除振装置。
- 前記除振台の振動を検出する振動検出手段と、該振動検出手段による検出信号を補償して前記アクチュエータにフィードバックする第2の補償器とを有する請求項1又は2に記載の除振装置。
- 除振台と、空気ばねを有し除振台を防振支持する複数の支持機構と、前記除振台に制御力を加えるアクチュエータと、前記除振台の基準位置に対する変位量を検出する変位検出手段と、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値と前記変位検出手段の出力信号の差信号を補償して前記アクチュエータにフィードバックする補償器と、テーパ状の噛み合わせ部を有し前記除振台の基準位置に対する水平方向の変位量を機械的に制限する水平変位制限機構と、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値を前記テーパ状の噛み合わせ部の形状に基づいて段階的に設定する設定手段と、該設定手段により設定される前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値を切換える切換手段とを備えたことを特徴とする除振装置。
- 除振台と、空気ばねを有し除振台を防振支持する複数の支持機構と、該支持機構にそれぞれ備え前記除振台に制御力を加える複数のアクチュ エータと、前記除振台の基準位置に対する変位量を検出する変位検出手段と、前記除振台の並進、回転の各運動モードの変位量の目標値と前記変位検出手段の出力信号から抽出した前記除振台の並進、回転の各運動モードの偏差信号を補償して得られた各運動モードの補償信号を複数の前記アクチュエータに分配してフィードバックする補償器と、前記除振台の基準位置に対する水平方向の変位量を制限する水平変位制限機構と、前記除振台の並進、回転の各運動モードの目標値を段階的に設定する設定手段と、該設定手段により設定される前記除振台の並進 、 回転の各運動モードの目標値を切換える切換手段とを備えたことを特徴とする除振装置。
- 除振台と、空気ばねを有し除振台を防振支持する複数の支持機構と、前記除振台に制御力を加えるアクチュエータと、前記除振台の基準位置に対する変位量を検出する変位検出手段と、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値と前記変位検出手段の出力信号の差信号を補償して前記アクチュエータにフィードバックする補償器と、前記除振台を上昇又は下降させる際に前記除振台の基準位置に対する水平方向の変位量を制限する水平変位制限機構と、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値を前記水平変位制限機構が作用する範囲内で連続的に変化させる設定手段とを備えたことを特徴とする除振装置。
- 前記アクチュエータは前記空気ばねの内部圧力を空気の給排気を調整するバルブによって制御する空気圧駆動式とした請求項6に記載の除振装置。
- 前記除振台の振動を検出する振動検出手段と、該振動検出手段による検出信号を補償して前記アクチュエータにフィードバックする第2の補償器とを有する請求項6又は7に記載の除振装置。
- 除振台と、空気ばねを有し除振台を防振支持する複数の支持機構と、前記除振台に制御力を加えるアクチュエータと、前記除振台の基準位置に対する変位量を検出する変位検出手段と、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値と前記変位検出手段の出力信号の差信号を補償して前記アクチュエータにフィードバックする補償器と、テーパ状の噛み合わせ部を有し前記除振台の基準位置に対する水平方向の変位量を機械的に制限する水平変位制限機構と、前 記除振台の基準位置に対する変位量の目標値を前記テーパ状の噛み合わせ部の形状に基づいて連続的に変化させる設定手段とを備えたことを特徴とする除振装置。
- 除振台と、空気ばねを有し除振台を防振支持する複数の支持機構と、該支持機構にそれぞれ備え前記除振台に制御力を加える複数のアクチュエータと、前記除振台の基準位置に対する変位量を検出する変位検出手段と、前記除振台の並進、回転の各運動モードの変位量の目標値と前記変位検出手段の出力信号から抽出した前記除振台の並進、回転の各運動モードの偏差信号を補償して得られた各運動モードの補償信号を複数の前記アクチュエータに分配してフィードバックする補償器と、前記除振台の基準位置に対する水平方向の変位量を制限する水平変位制限機構と、前記除振台の並進、回転の各運動モードの目標値を連続的に変化させる設定手段とを備えたことを特徴とする除振装置。
- 空気ばねを有する複数の支持機構により防振支持し、基準位置に対する水平方向の変位量を制限する水平変位制限機構を備えた除振台の基準位置に対する変位量を変位検出手段により検出し、補償器により前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値と前記変位検出手段の出力信号の差信号を補償し、得られた補償信号を前記除振台に制御力を加えるアクチュエータにフィードバックする除振装置の制御方法であって、前記除振台を上昇又は下降させる際に前記除振台の基準位置に対する水平方向の変位量を前記水平変位制限機構により制限し、前記除振台の基準位置に対する変位量の目標値を前記水平変位制限機構が作用する範囲内で段階的に切換え又は連続的に変化させて与えることを特徴とする除振装置の制御方法。
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