JP3809500B2 - 近接場光露光マスク及びその製造方法並びに近接場光露光装置及び近接場光露光方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光を用いたパターン転写に利用し、近接場光を用いて光の波長の回折限界を越えた微細なパターン転写をするための近接場光露光マスク及びその製造方法と近接場光露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、LSIの集積化に伴って発展してきた光を用いたパターン転写の技術は、パターンの大きさがナノメータ程度の領域では、光の回折による原理的な壁に直面して精度の高いパターンの作製が容易でない。さらに1ミクロン以下の細かいパターンを作製する技術として、波長の短いX線や電子ビームを用いたサブミクロン技術が利用されるようになってきているが、これらのパターン転写技術では、光を用いたパターン転写技術に比べてマスクパターンの形成が難しく、装置も大がかりになるという解決すべき課題がある。
【0003】
一方、光を用いたサブミクロン技術として、例えば、特開平8−179493公報に開示された提案がある。この技術では、遮光膜(原画パターン)のないマスク基板にマスク基板と同じかあるいは近い屈折率を持つプリズムを設置し、レーザ光をプリズムの一斜面から入射して原画パターン面で大気中に取り出すように構成した光照明系を持ち、さらに、このマスクの原画パターン側に試料の感光材(レジスト)を密着し、エバネッセント波だけを試料の感光材に伝搬させて、0.2μm以下の微小パターンを転写できるようにしたものである。
この例では基板上にプリズムを設置し、しかもこのプリズムの一面にレーザ光を照射する構成であるため、割合構成も製造工程も複雑であり、そのため製造工程を簡略又は容易にして精度よく形成できる微細な構造にするべく改善の余地がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は以上のようなサブミクロン技術における課題を解決するものであり、光を用いたパターン転写に関して光の回折の影響を避けるとともに近接場光をできるだけ局在させ、より微細なパターンを転写する近接場光露光マスク及びその製造方法並びに近接場光露光装置及び近接場光露光方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の近接場光露光マスクのうち請求項1記載の発明は、マスク基板と、偏光層と、光の波長よりも小さな幅の開口パターンを有するマスクと、マスクと偏光層とを結合する透明な結合層とを集積化した積層構造を備え、偏光層が、マスクの開口パターンのライン方向に対して平行方向に光を偏光するグリッド偏光子を、マスクの開口パターンのそれぞれのライン方向に対応して複数集積して成る構成とした。
請求項2記載の発明は、マスク基板がマスクに対応したダイヤフラムを有していることを特徴とするものである。
請求項3記載の発明は、マスクの厚さが開口パターンの幅の2倍以下であることを特徴とする。
【0006】
このような構成により、本発明の近接場光露光マスクでは偏光した光がマスクに垂直に入射すると、マスクの開口パターンから局在したエバネッセント光がしみだして、例えばシリコン基板上に塗布した感光剤を露光する。
したがって、本発明の近接場光露光マスクでは、光の回折の影響を避け、より局在したエバネッセント光を発生させて露光するので、光によるサブミクロンリソグラフィができる。
またダイヤフラムを有する近接場光露光マスクでは、例えば感光剤を塗布したシリコン基板に、いっそう密着させることができる。
【0007】
さらに請求項4記載の発明は、マスク基板と、偏光層と、光の波長よりも小さな幅の開口パターンを有するマスクと、マスクと偏光層とを結合する透明な結合層とを集積化した積層構造を備える近接場光露光マスクの製造方法であって、偏光層として、マスクの開口パターンのライン方向に対して平行方向に光を偏光するグリッド偏光子を、マスクの開口パターンのそれぞれのライン方向に対応するよう複数マスク基板上に形成する工程と、偏光層上に結合層を形成する工程と、結合層上に光の波長よりも小さな幅の上記開口パターンを有するマスクを形成する工程と、を備える構成とした。
請求項5記載の発明は、マスク基板と、偏光層と、光の波長よりも小さな幅の開口パターンを有するマスクと、マスクと偏光層とを結合する透明な結合層とを集積化した積層構造を備える近接場光露光マスクの製造方法であって、マスク基板にレジストを塗布してパターニングする第1の工程と、レジストをマスクとしてグレーティングを形成し金属を斜めに蒸着してグリッド偏光子を形成する第2の工程と、グリッド偏光子を覆った透明な結合層を形成する第3の工程と、結合層上に光の波長よりも小さな幅のレジストをパターニング後このレジストをマスクとして金属膜を形成してからレジストを除去して光の波長よりも小さな幅の金属膜微少開口を形成する第4の工程と、を備える構成とした。
請求項6に記載の発明は、上記構成に加え、第1の工程と第2の工程を繰り返してグリッド偏光子を複数領域に形成する工程を備えていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、第4の工程に代えて、結合層上に金属膜を形成し走査型プローブ顕微鏡の探針を走査して光の波長よりも小さな幅の金属膜微少開口を形成する工程を備えていることを特徴とする。
【0008】
このような構成により、本発明の近接場光露光マスクの製造方法では、マスクの開口パターンに対応した光を入射する偏光子を集積化した近接場光露光マスクが製造できる。
【0009】
請求項8に記載の発明は、マスク基板、マスク基板に形成した偏光層、光の波長よりも小さな幅の開口パターンを有するマスク、及びマスクと偏光層とを結合する透明な結合層を集積化した積層構造を有し、かつ偏光層が、マスクの開口パターンのライン方向に対して平行方向に光を偏光するグリッド偏光子を、マスクの開口パターンのそれぞれのライン方向に対応して複数集積して成る近接場光露光マスクと、感光剤を塗布した基板とを備え、感光剤を塗布した基板と近接場光露光マスクとの周端を密閉する上部フランジとベースフランジとを有しており、感光剤を塗布した基板と近接場光露光マスクとの隙間を真空にすることにより密着して露光する構成とした。
請求項9記載の発明は、上記構成に加え、近接場光露光マスクがダイヤフラム状であって、感光剤を塗布した基板と近接場光露光マスクとの隙間を真空にすることにより、大気で上記ダイヤフラムが押され、感光剤を塗布した基板と近接場光露光マスクとが密着することを特徴とするものである。
【0010】
このような構成により、本発明の近接場光露光装置では、感光剤を塗布した基板と近接場光露光マスクとを確実に密着させて露光することができるので、より微細なパターンを転写することができる。
【0011】
また本発明の近接場光露光方法は、マスク基板と、偏光層と、光の波長よりも小さな幅の開口パターンを有するマスクと、マスクと偏光層とを結合する透明な結合層とを集積化した積層構造を備え、偏光層が、マスクの開口パターンのライン方向に対して平行方向に光を偏光するグリッド偏光子を、マスクの開口パターンのそれぞれのライン方向に対応して複数集積して成る近接場光露光マスクを用い、マスクに、グリッド偏光子を介して開口パターンのライン方向に対して平行方向に偏光した光を入射して露光する構成とした。
このような構成により、本発明の近接場光露光方法では光の回折を避け、局在したエバネッセント光を発光させて露光することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示した実施形態に基づいて、実質的に同一又は対応する部材には同一符号を用いて、本発明を詳細に説明する。
図1の(a)は近接場光露光マスクの実施形態のパターン転写時の概略断面図であり、(b)は近接場光露光マスクの一部詳細概念図である。
図1(a)に示すように、本実施形態の近接場光露光マスク1は、ガラスなどのマスク基板2と、グリッドの線幅が100nm以上である金属などの導体で形成された偏光層4と、光透過性が良く光の反射を防止する例えばシリコン酸化膜で形成された結合層6と、光の波長よりも小さな最小寸法を持つ金属開口パターンの開口部8aを形成したマスク8とを集積化した積層構造を備えている。このマスク8の厚さは金属開口幅の2倍以下に形成されており、薄いほどよい。
【0013】
さらに図1(b)に示すように、偏光層4は、マスク8の開口パターンのライン方向のそれぞれに対応して振動する電場ベクトルEを持つ直線偏光Sを入射させるようにスリットが形成されたグリッド偏光子5,7を複数個有するものであり、偏光層4とマスク8とは光透過性のよい結合層6で結合されている。なお、図1(b)中、Lは入射光を、Eはグリッド偏光子のスリットと垂直な方向に振動する電場ベクトルを、Sはグリッド偏光子を透過した直線偏光であるS偏光を示す。またグリッド偏光子5とグリッド偏光子7とはスリットの方向が異なり、図1(b)に示す例の場合、スリットの方向が直交方向に形成されている。
【0014】
パターンを転写するには、図1(a)に示すように、近接場光露光マスク1をレジストなどの感光材12を塗布した基板14に密着し、例えば水銀ランプ光により偏光層4を通してグリッド偏光子5,7のスリットの方向に対して垂直な電場ベクトルを持つ紫外光のみをマスク8に垂直に入射し、このマスク8の開口部8aからしみ出した近接場光10により感光材12を露光する。なお、光としてレーザー光を使用すれば効果的である。
【0015】
この近接場光10はエバネッセント光と呼ばれ、不均質で非放射な電磁場として存在し、微少開口近傍に局在している。光は集光させても必ず波長で決まる広がりをもち、最小のスポットサイズdは、波長λ、媒体の屈折率n及び光が入射する角度θに対して、d=1.22λ/(n・sinθ)で与えられる。このスポットサイズはほぼ光の波長程度であるが、近接場光はこの波長の壁を越えて局在した光であり、元の光の波長に依存しない。
【0016】
したがって、本発明の近接場光露光マスクではグリッド偏光子を用いてパターンを転写しているので、光の回折による影響を減らして近接場を局在させることができ、近接場光の露光によりナノスケールのパターン転写ができる。
なお、本実施形態では、グリッド偏光子を近接場光露光マスク上に集積化したが、ガラス上に光の波長よりも小さな最小寸法を持つ金属開口パターンを形成しただけでもよく、その場合、近接場光露光マスクにはマスクの開口パターンのライン方向に対応して偏光させた光を照射すれば光の回折の影響を避け、より局在した近接場光を発生させることができる。
【0017】
次に、グリッド偏光子について説明する。
図2は近接場光とグリッド偏光子の関係を示す概念図であり、(a)はグリッド偏光子に光が入射する外観図、(b)はグリッド偏光子のスリットに対して平行な光の電場ベクトルと近接場光との関係、(c)はスリットに対して垂直な光の電場ベクトルと近接場光との関係を示す概念図である。
図2に示すように、電場ベクトルEをもつ光がグリッド偏光子に垂直に入射すると、近接場において、スリット9からしみ出したエバネッセント光10は、光の電場ベクトルEがスリット9に対して平行なときは電場ベクトルEが垂直なときと比べて局所的に発生する。
したがって、露光の際、光の偏光を用いることで光の回折を避け、より局在したエバネッセント光を発生させることができ、マスクに偏光した光を照射するか又はマスク上に偏光子を集積化して光の波長の限界を越えた微少なパターンが転写できる。
【0018】
図3はグリッド偏光子のグリッドの周期Dが200nmにおけるグリッドの線幅と偏光度の関係図である。
図3において、Tp はP偏光透過率、Ts はS偏光透過率、Pは偏光度を示しており、P=(Ts −Tp )/(Ts +Tp )の関係がある。
このようなTs 及びTp を求める文献として『Infrared Transmission Polarizers by Photolithography』(Appl.Opt,6,6.1023(1967))を挙げることができる。なお、図3は、λ=436nm(水銀灯g線の波長)、D=200nm(グリッドの周期)、n=1.481(パイレックスガラスの屈折率)で偏光度を計算したものである。
図3から明らかなように、偏光度Pが1に近くなるのはグリッド偏光子のグリッドの線幅が100nm以上であり、したがって本発明にかかるグリッド偏光子はこのような条件を満たすように形成されている。なお、グリッド偏光子の格子、つまりスリットに対して平行な偏光成分をP偏光といい、グリッド偏光子の格子、つまりスリットに対して垂直な偏光成分をS偏光という。
【0019】
次に近接場光露光マスクの製造方法について説明する。
図4、図5及び図6は近接場光露光マスクの製造方法を示すプロセスフローチャートである。
近接場光露光マスクの製造方法は、前段階として図4(a)に示す構造の厚さ625μmのSIMOX(Separation by ion IMplantation of OXygen)ウエハの(100)面を有するものを用意する。これは酸素をシリコン基板に光エネルギーで注入することでSiの活性層とSiO2 の埋込酸化層とSi基板とを層構造に形成したもので、SOI(Silicon On Insulator)基板の一種である。図4(a)に示すようにSi活性層が60nm、SiO2 の埋込酸化層が115nmである。なお、基板両面のSiO2 はSIMOXの保護膜である。
線幅の小さい構造体を作るためには、SOI膜のSi活性層28が60nmと薄い方が好ましい。
【0020】
図4、図5及び図6を参照すると、先ず図4(b)に示すようにSIMOXウエハから、例えばフッ酸液に30秒程度浸けて、SiO2 膜22,22をエッチングにより除去する。
次に図4(c)に示すように、陽極接合によりガラス20を貼り合わせる。この貼り合わせるガラス20は、そりの影響が少なくなるように厚さ1mm程度のものが望ましい。
【0021】
そして図4(d)に示すように、例えばヒドラジンで90℃、6時間あまりかけて異方性エッチングによりSi基板27を除去する。この異方性エッチングはSi単結晶の(111)面のエッチング速度が遅く、Si単結晶の(100)面のエッチング速度が早いという特徴を利用したものである。なお、このヒドラジンに代えてKOH、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドライド)又はEPW(エチレンジアミンパイロカテコール)等のシリコンのアルカリエッチング液を使用してもよい。
さらに図4(e)に示すように、フッ酸液に15秒程度浸けて、SiO2 膜26をエッチングにより除去すると、ガラス20上にSi活性層28が残る。
【0022】
次に図5(f)に示すように、スパッタにより堆積した例えば40nm程度のクロム薄膜32を走査型プローブ顕微鏡(以下、「SPM」と記す)を用いてリソグラフィを行う。
ここで、走査型プローブ顕微鏡(以下、「SPM」と記す)は、走査型トンネル顕微鏡(以下、「STM」と記す)や原子間力顕微鏡(以下、「AFM」と記す)などの探針を用いて試料表面を変化させる加工手段としたものである。本実施形態ではSTMを用い、クロム薄膜32とSTMのプローブ間にパルスバイアスの7.0Vを印加し、トンネル電流が0.4nA(ナノアンペア)のとき最適の描画条件である。
【0023】
以上のプロセスは、できるだけ小さなパターンを形成するためにSIMOXウエハを用いた場合であり、例えばSTMでは単結晶シリコンを描画してパターニングするのが容易である。
このような図4の(a)から(e)までのプロセスを省略し、もっと小さなパターンが作製できる電子ビーム描画装置を用いてリソグラフィを行ってもよい。この場合、電子ビーム用のレジストを基板に塗布し、露光後現像するとパターンができ、図5に示す(f)の工程から開始する。
【0024】
次に、図5(g)に示すようにクロム薄膜をマスクとして、あるいは電子ビーム描画装置によるリソグラフィの場合はレジストをマスクとして、Si層28をエッチングし、Siグレーティング34を形成する。そして水晶振動子などの膜厚計で膜厚をモニターしながら、図5(h)に示すようにアルミニウム36を斜め蒸着し、導体グレーティング36を形成する。ここで蒸着する金属は使用する光の波長域で高い反射率を持ち、化学的に安定なものが望ましく、例えばアルミニウムの他に銀、金、銅などの金属でもよい。
【0025】
図7は図5(h)の工程におけるアルミニウム斜め蒸着の詳細断面図であり、図7に示すように導体グレーティングの形成には段切れを起こすように蒸着するため、45度の角度で蒸着を行う。図7に示す例では、Siグレーティングの底辺が90nm、グレーティングの周期が200nm、導体グレーティングの幅が150nmで、スリットの幅が50nmに形成されている。なお、図7中の矢印はAlの蒸着方向を示し、この蒸着する角度はSiグレーティングの大きさと形成するスリットの幅により決定する。
【0026】
さらに図6(i)に示すように、透明な結合層となるSiO2 膜38をスパッタにより堆積し、図6(j)に示すように電子ビーム描画装置により電子ビーム用レジスト42をパターニングをする。このパターニングは導体グレーティング36に対応した位置決めに基づいて行う。
次いで図6(k)に示すようにクロム薄膜44をスパッタにより40nm程度堆積し、最後に図6(l)に示すようにリフトオフによりレジスト42を除去して金属微少開口45を形成する。
このような製造方法では、金属の微少開口やスリットを精度よく形成できるので、近接場光を用いた露光マスクが製造できる。
【0027】
なお、近接場光露光マスクとしてグリッド偏光子を有するものを示したが、近接場光露光マスクとしては、グリッド偏光子を有していない構造でも可能であり、例えばガラス基板上に微少開口を有する金属マスクを形成した構造でもよい。このような近接場光露光マスクの製造方法は、例えばガラス基板上に電子ビーム描画装置によりレジストパターンを作製した後、クロム薄膜を40nm程度スパッタにより堆積し、リフトオフにより微少開口を形成することにより、近接場光露光マスクが完成する。なお、電子ビーム描画の後、O2 アッシングによりレジストを細くしてからクロム薄膜をスパッタにより堆積すれば、最小線幅15nm程度の微少開口を有する近接場光露光マスクになる。
【0028】
また金属微少開口を形成する方法として、SPMを利用することができる。
図8は原子間力顕微鏡を用いた微少金属開口形成の概略外観図である。
図8を参照して、ガラス基板2上にクロム薄膜を40nm程度スパッタで形成後、導電性のシリコンでできたAFMプローブ46に一定の力が働くように、例えば20μm/秒で走査しながら、クロム薄膜とAFMプローブ間にパルス幅が10m秒の2Vのパルス電圧を印加して、微少金属開口を形成する。
このようなAFMを用いた方法では、金属の微少開口やスリットを50nm程度に形成できる。
【0029】
次に、近接場光露光装置の実施形態について説明する。
上述した近接場光露光マスクを用いてパターンを転写する場合、近接場光のしみだしはおよそ開口幅の2倍程度であるため、微少なパターンを形成するには、近接場光露光マスクとレジストを塗布した基板とを十分に密着させることが必要である。
図9は近接場光露光装置の要部断面図である。
図9を参照して、本発明の近接場光露光装置は、ベースフランジ56と、このベースフランジ56に底面がシール部材の例えばOリング53によりシールされて設置されるレジスト12が塗布された基板14と、設置された基板14に密着させた近接場光露光マスク1と、この近接場光露光マスク1の上面をOリング55でシールして固定する上部フランジ52とを備え、近接場光露光マスク1と基板14との側部空間がベースフランジ56と上部フランジ52とで密閉構造として形成されており、ベースフランジ56の側部に設けられた排気口57から真空ポンプ58(図示せず)により真空にされるようになっている。
【0030】
さらに近接場光露光マスク1は、図9に示すようにマスクに対応した箇所がダイヤフラム17として形成されている。なお、この実施形態では近接場光露光マスク側がダイヤフラム状に形成されているが、レジストが塗布される基板側がダイヤフラム状に形成されていてもよい。
【0031】
このような近接場光露光装置では、密閉構造を真空にすることにより大気圧がダイヤフラム17を押し、レジストを塗布した基板と近接場光露光マスクとが密着する。
したがって近接場光露光マスクと基板との密着を格段に高めることができる。なお、本実施形態ではダイヤフラムが形成されているが、ダイヤフラムが形成されていなくても、マスクと基板との隙間を真空にひくことでより密着させることができる。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明の近接場光露光マスクでは、光の回折の影響を避け、より局在したエバネッセント光を発生させて露光することができるという効果を有する。
またダイヤフラムを有する近接場光露光マスクでは、例えば感光剤を塗布したシリコン基板に、いっそう密着させることができるという効果を有する。
さらに本発明の近接場光露光マスクの製造方法では、マスクの開口パターンに対応した光を入射する偏光子を集積化した近接場光露光マスクが製造できる。
また本発明の近接場光露光装置では、感光剤を塗布した基板と近接場光露光マスクとを確実に密着させて露光することができるので、より微細なパターンを転写することができる。
また本発明の近接場光露光方法では、光の回折を避け、局在したエバネッセント光を発生させて露光できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る近接場光露光マスクの概略図であり、(a)は近接場光露光マスクの実施形態のパターン転写時の概略断面図であり、(b)は近接場光露光マスクの一部概念図である。
【図2】近接場光とグリッド偏光子の関係を示す概念図であり、(a)はグリッド偏光子に光が入射する外観図、(b)はグリッド偏光子のスリットに対して平行な光の電場ベクトルと近接場光との関係を示す概念図、(c)はスリットに対して垂直な光の電解ベクトルと近接場光との関係を示す概念図である。
【図3】グリッド偏光子のグリッドの周期Dが200nmにおけるグリッドの線幅と偏光度の関係図である。
【図4】近接場光露光マスクの製造方法を示すプロセスフローチャートであり、工程中の(a)〜(e)を示す。
【図5】近接場光露光マスクの製造方法を示すプロセスフローチャートであり、工程中の(f)〜(h)を示す。
【図6】近接場光露光マスクの製造方法を示すプロセスフローチャートであり、工程中の(i)〜(l)を示す。
【図7】図5(h)の工程におけるアルミニウム斜め蒸着の詳細断面図である。
【図8】原子間力顕微鏡を用いた微少金属開口形成の概略外観図である。
【図9】本発明の近接場光露光装置の要部断面図である。
【符号の説明】
1 近接場光露光マスク
2 マスク基板
4 偏光層
5,7 グリッド偏光子
6 結合層
8 マスク
9 スリット
10 近接場光
12 レジスト
14 基板
17 ダイヤフラム
20 ガラス
22 SiO2 膜
27 Si基板
28 Si活性層
32, 44 クロム薄膜
34 Siグレーティング
36 導体グレーティング
38 SiO2 膜
42 電子ビーム用レジスト
45 金属微少開口
46 AFM用プローブ
52 上部フランジ
53,54,55 Oリング
56 ベースフランジ
58 真空ポンプ
Claims (10)
- マスク基板と、偏光層と、光の波長よりも小さな幅の開口パターンを有するマスクと、このマスクと上記偏光層とを結合する透明な結合層とを集積化した積層構造を備え、
上記偏光層が、上記マスクの開口パターンのライン方向に対して平行方向に光を偏光するグリッド偏光子を、上記マスクの開口パターンのそれぞれのライン方向に対応して複数集積して成る、近接場光露光マスク。 - 前記マスク基板が前記マスクに対応したダイヤフラムを有していることを特徴とする、請求項1に記載の近接場光露光マスク。
- 前記マスクの厚さが前記開口パターンの幅の2倍以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の近接場光露光マスク。
- マスク基板と、偏光層と、光の波長よりも小さな幅の開口パターンを有するマスクと、このマスクと上記偏光層とを結合する透明な結合層とを集積化した積層構造を備える近接場光露光マスクの製造方法であって、
上記偏光層として、上記マスクの開口パターンのライン方向に対して平行方向に光を偏光するグリッド偏光子を、上記マスクの開口パターンのそれぞれのライン方向に対応するよう複数上記マスク基板上に形成する工程と、
上記偏光層上に上記結合層を形成する工程と、
上記結合層上に光の波長よりも小さな幅の上記開口パターンを有するマスクを形成する工程と、
を備える、近接場光露光マスクの製造方法。 - マスク基板と、偏光層と、光の波長よりも小さな幅の開口パターンを有するマスクと、このマスクと上記偏光層とを結合する透明な結合層とを集積化した積層構造を備える近接場光露光マスクの製造方法であって、
マスク基板にレジストを塗布してパターニングする第1の工程と、このレジストをマスクとしてグレーティングを形成し金属を斜めに蒸着してグリッド偏光子を形成する第2の工程と、このグリッド偏光子を覆った透明な結合層を形成する第3の工程と、この結合層上に光の波長よりも小さな幅のレジストをパターニング後このレジストをマスクとして金属膜を形成してからレジストを除去して光の波長よりも小さな幅の金属膜微少開口を形成する第4の工程と、を備える、近接場光露光マスクの製造方法。 - 前記第1の工程と前記第2の工程を繰り返して前記グリッド偏光子を複数領域に形成する工程を備えていることを特徴とする、請求項5に記載の近接場光露光マスクの製造方法。
- 前記第4の工程に代えて、前記結合層上に金属膜を形成し走査型プローブ顕微鏡の探針を走査して光の波長よりも小さな幅の金属膜微少開口を形成する工程を備えていることを特徴とする、請求項5に記載の近接場光露光マスクの製造方法。
- マスク基板、このマスク基板に形成した偏光層、光の波長よりも小さな幅の開口パターンを有するマスク、及びこのマスクと上記偏光層とを結合する透明な結合層を集積化した積層構造を有し、かつ上記偏光層が、上記マスクの開口パターンのライン方向に対して平行方向に光を偏光するグリッド偏光子を、上記マスクの開口パターンのそれぞれのライン方向に対応して複数集積して成る近接場光露光マスクと、感光剤を塗布した基板とを備え、
上記感光剤を塗布した基板と上記近接場光露光マスクとの周端を密閉する上部フランジとベースフランジとを有しており、上記感光剤を塗布した基板と上記近接場光露光マスクとの隙間を真空にすることにより密着して露光する、近接場光露光装置。 - 前記近接場光露光マスクがダイヤフラム状であって、前記感光剤を塗布した基板と前記近接場光露光マスクとの隙間を真空にすることにより、大気で上記ダイヤフラムが押され、前記感光剤を塗布した基板と上記近接場光露光マスクとが密着することを特徴とする、請求項8に記載の近接場光露光装置。
- マスク基板と、偏光層と、光の波長よりも小さな幅の開口パターン を有するマスクと、このマスクと上記偏光層とを結合する透明な結合層とを集積化した積層構造を備え、上記偏光層が、上記マスクの開口パターンのライン方向に対して平行方向に光を偏光するグリッド偏光子を、上記マスクの開口パターンのそれぞれのライン方向に対応して複数集積して成る近接場光露光マスクを用い、
上記マスクに、上記グリッド偏光子を介して上記開口パターンのライン方向に対して平行方向に偏光した光を入射して露光する、近接場光露光方法。
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