JP3791673B2 - 近接場光露光装置 - Google Patents

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  • General Physics & Mathematics (AREA)
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトレジスト等の感光材料に微細パターンを露光する近接場光露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光リソグラフィ技術の発展は、主に縮小投影露光技術とレジスト技術の進歩によって支えられてきた。縮小投影露光技術の性能は、主に解像度RPと焦点深度DOPの2つの基本量で決定される。投影光学系の露光波長をλ、投影レンズの開口数をNAとすると、上記2つの基本量は、RP=kλ/NA、DOP=kλ/NA (k、kは係数)で表される。リソグラフィの解像度を上げるためには、波長λを小さくすることと、投影レンズの開口数NAを大きくすることが重要である。ところが、NAを大きくすると解像度は上がるが、焦点深度がNAの2乗に反比例して小さくなるため、微細化の流れとしては、波長λを小さくすることが求められるようになった。そこで露光光は、波長436nmのg線から波長365nmのi線へと短波長化され、さらに現在では波長248nm、193nmのエキシマレーザ光が主流となっている。
【0003】
しかし、光を用いるリソグラフィでは露光光の回折限界が解像度の限界となるため、レンズ列光学系を用いた場合は、波長248nm、193nmのエキシマレーザ光を用いても、線幅100nmの微細化が限界と言われている。さらにその先のナノメートルオーダーの解像度を求めようとすると、電子線やX線(特にSOR光:シンクロトロン放射光)リソグラフィ技術を用いる必要がある。
【0004】
電子線リソグラフィは、ナノメートルオーダーのパターンを高精度に制御して形成でき、光学系を用いるリソグラフィに比べてかなり深い焦点深度を持っている。また、ウエハ上にマスク無しで直接描画が可能であるという利点もあるが、スループットが低く、コストも高いことから、量産レベルにはほど遠いという欠点がある。
【0005】
一方、X線リソグラフィは、1対1マスクの等倍露光の場合にも、反射型結像X線光学系を用いた場合にも、エキシマレーザ露光と比べて1桁程度高い解像度および精度を実現できる。しかしこのX線リソグラフィは、マスクの作成が難しくて実現が困難であり、また使用する装置のコストが高いという問題もある。
【0006】
上述のような問題を解決する方法として、近時、露光光の波長よりも小さい開口からなるパターンを有する露光マスクに露光光を照射し、そのとき露光マスクの開口からしみ出す近接場光によってフォトレジスト等の感光材料を露光する方法が提案されている。この方法によれば、露光光の波長に拘わらず、上記開口の大きさ程度の微細パターンを形成可能となる。なお特開平2000−112116号公報には、この近接場光を用いる露光装置の一例が示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の近接場光を用いてフォトレジスト等の感光材料に露光マスクの微細パターンを露光する際、その微細パターンが例えば回折格子のように一方向に延びる直線の集合からなるものである場合には、それらの直線の向きと同じ方向に直線偏光した露光光を用いると、感光材料に露光されるパターンの線幅が太ることを防止して、より微細なパターンを露光できることが知られている。
【0008】
このような知見に基づいて上記特開平2000−112116号公報には、マスク基板の上に、露光光の波長よりも小さい開口パターンと、この開口パターンのライン方向と平行に光を偏光させるグリッド偏光子とを集積してなる近接場光露光マスクが提案されている。
【0009】
しかし、このように1つの露光マスク毎に偏光子を作成すると、当然その露光マスクは高価なものとなり、ひいては微細パターンの露光に要するコストが高くついてしまう。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、近接場光を用いてフォトレジスト等の感光材料に線幅の小さい直線状の微細パターンを露光可能で、しかもその露光に要するコストを低く抑えることができる近接場光露光装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の近接場光露光装置は、
非偏光状態の露光光を発する光源と、
この露光光の波長よりも小さい開口からなるパターンを有し、該露光光が照射される位置に配される露光マスクと、
前記露光光に感光する感光材料を、前記露光マスクの開口からしみ出した近接場光が届く位置に保持する露光台とを備えてなる近接場光露光装置において、
前記露光光を直線偏光化する偏光板と、
この偏光板を、前記光源と露光マスクとの間の露光光の光路に入った位置と、この光路から外れた位置との間で移動自在に保持する偏光板保持手段とが設けられたことを特徴とするものである。
【0012】
なお上記の偏光板保持手段は、前記偏光板から出射する直線偏光の向きが変化する方向に該偏光板を回転自在に保持するものであることが望ましい。
【0013】
またこの第1の近接場光露光装置においては、前記偏光板から出射する直線偏光の向きを示す表示手段が設けられることが望ましい。そのような表示手段として具体的には、偏光板に書き込まれる矢印の表示等が挙げられる。
【0014】
一方、本発明による第2の近接場光露光装置は、
直線偏光した露光光を発する光源と、
この露光光の波長よりも小さい開口からなるパターンを有し、該露光光が照射される位置に配される露光マスクと、
前記露光光に感光する感光材料を、前記露光マスクの開口からしみ出した近接場光が届く位置に保持する露光台とを備えてなる近接場光露光装置において、
前記露光光を円偏光あるいは楕円偏光化する位相板と、
この位相板を、前記光源と露光マスクとの間の露光光の光路に入った位置と、この光路から外れた位置との間で移動自在に保持する位相板保持手段とが設けられたことを特徴とするものである。
【0015】
なお本発明による近接場光露光装置では、露光マスクに到達する露光光において、所望の直線偏光成分に対する、それと垂直な方向に直線偏光している成分の比率が25%以下、さらに好ましくは15%以下になっていることが望ましい。
【0016】
【発明の効果】
本発明による第1の近接場光露光装置においては、非偏光状態の露光光を直線偏光化する偏光板を、光源と露光マスクとの間の露光光の光路に入った位置と、この光路から外れた位置との間で移動自在に保持する偏光板保持手段が設けられているので、露光マスクの前の光路に偏光板を選択的に挿入させることができる。前述したように、露光マスクの微細パターンが一方向に延びる直線の集合からなるものである場合には、それらの直線の向きと同じ方向に直線偏光した露光光を用いると、感光材料に露光されるパターンの線幅が太ることを防止できる。そこでこの場合には、上記光路に偏光板を挿入させて露光光を直線偏光とし、その直線偏光方向と露光マスクのパターンの直線の向きとを一致させることにより、感光材料に線幅の小さい直線状の微細パターンを露光可能となる。
【0017】
なお、露光マスクのパターンの直線の向きと直線偏光方向とを一致させるには、例えば、感光材料を保持している露光台の向きを変化させたり、露光台に保持させる感光材料の向きを調整したりすればよい。あるいは、偏光板保持手段が特に前述のように偏光板を回転自在に保持するものである場合は、この偏光板を回転させることにより、露光マスクのパターンの直線の向きと直線偏光方向とを簡単に一致させることができる。
【0018】
そして、偏光板から出射する直線偏光の向きを示す表示手段が設けられていれば、上記露光マスクのパターンの直線の向きと直線偏光方向とを一致させる際に、直線偏光方向を目視で確認することができるので、それら両者を一致させる作業が容易化される。
【0019】
なお本発明者の研究によると、露光マスクが円形の開口パターンを有する場合、該露光マスクに直線偏光している露光光を照射すると、感光材料に露光されたパターンが楕円形に歪みやすいことが判明した。そこで、そのような露光マスクを用いる場合は、偏光板を光源と露光マスクとの間の露光光の光路から外れた位置に設定して、非偏光状態の露光光を露光マスクに照射すれば、露光マスクの開口パターンと同じように正確な円形となっているパターンを感光材料に露光可能となる。
【0020】
他方、本発明による第2の近接場光露光装置においては、直線偏光の露光光を円偏光あるいは楕円偏光化する位相板を、光源と露光マスクとの間の露光光の光路に入った位置と、この光路から外れた位置との間で移動自在に保持する位相板保持手段が設けられているので、露光マスクの前の光路に位相板を選択的に挿入させることができる。
【0021】
そこで、露光マスクの微細パターンが一方向に延びる直線の集合からなるものである場合には、上記光路から位相板を外して露光光を直線偏光とし、その直線偏光方向と露光マスクのパターンの直線の向きとを一致させることにより、線幅の小さい直線状の微細パターンを露光可能となる。
【0022】
なお、露光マスクのパターンの直線の向きと直線偏光方向とを一致させるには、この場合も例えば、感光材料を保持している露光台の向きを変化させたり、露光台に保持させる感光材料の向きを調整したりすればよい。
【0023】
そして、光源から出射する直線偏光の向きを示す表示手段が設けられていれば、上記露光マスクのパターンの直線の向きと直線偏光方向とを一致させる際に、直線偏光方向を目視で確認することができるので、それら両者を一致させる作業が容易化される。
【0024】
一方、円形の開口パターンを有する露光マスクを用いる場合は、位相板を光源と露光マスクとの間の露光光の光路に挿入して、円偏光あるいは楕円偏光状態の露光光を露光マスクに照射すれば、露光マスクの開口パターンと同様に円形となっているパターンを感光材料に露光可能となる。
【0025】
なお本発明による近接場光露光装置では、前記露光マスクに到達する露光光において、所望の直線偏光成分(上記露光マスクのパターンの直線の向きと一致する方向に直線偏光した成分)に対する、それと垂直な方向に直線偏光している成分の比率が25%以下になっていると、露光された線幅の太り(マスクパターンの線幅を超える分の、マスクパターン線幅に対する比)が、ラインアンドスペース比が1:1のときに隣接パターンが重なってしまうことを防止できる数値である50%以下程度に抑えられる。また、この比率が15%以下になっていれば、露光された線幅の太りが、極めて微細なパターンを得る上で望ましいと言われている数値である30%以下程度に抑えられる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施の形態による近接場光露光装置の側面形状を一部破断して示すものである。同示の通りこの露光装置は、その表面10aにフォトレジスト11が塗布された基板10を、裏面10b側から密着保持する概略円柱形の露光台12と、この露光台12を内部に収容するように配置された概略円筒形のフォトマスク保持部材13と、このフォトマスク保持部材13上に保持されたフォトマスク(露光マスク)14を介して上記フォトレジスト11に露光光15を照射する露光光源16とを備えている。
【0028】
上記露光光源16としては、例えばg線(波長436nm)等、波長が概ね400nm以上である非偏光の露光光15を発するものが用いられている。またフォトマスク14は図3に平面形状を示すように、露光光15の波長よりも幅の小さい開口14aからなるパターンを有して、露光光15が照射されたとき該開口から近接場光をしみ出させる近接場光露光用フォトマスクである。特に本例のフォトマスク14は、フォトレジスト11に複数の回折格子パターンを露光するためのものである。つまり、上記開口14aは全て図3中の矢印A方向に直線状に延び、これらの直線状開口14aの集合によって回折格子パターンが構成されている。このフォトマスク14は図1において、上記矢印A方向が紙面に対して垂直となる向きにして、フォトマスク保持部材13上に保持される。
【0029】
露光台12の上面は、基板10を密着保持する基板保持面12aとされている。またこの露光台12には、該露光台12を上下に貫通して、基板保持面12aの周縁部の複数位置および中央位置で開口する複数の排気通路12bが形成されている。
【0030】
この露光台12とフォトマスク保持部材13との間には露光台12の全周に亘ってシール部材17が介設され、露光台12とフォトマスク保持部材13との間の空間はこのシール部材17の上と下とに分けられている。そしてフォトマスク保持部材13には、上記シール部材17よりも上の位置において該フォトマスク保持部材13を横方向に貫通する排気通路13bが形成されている。
【0031】
上記排気通路13b並びに露光台12の複数の排気通路12bは、配管18を介して例えば真空ポンプ等の空気吸引手段19に連通されている。この空気吸引手段19は上記配管18およびフォトマスク保持部材13とともに、露光台12に保持された基板10上のフォトレジスト11にフォトマスク14を押し当てて密着させる手段を構成している。
【0032】
また露光光源16とフォトマスク14との間の露光光15の光路には、円形の偏光板20が適宜挿入されるようになっている。すなわちこの偏光板20は、回動軸21の周りを回動可能とされて図中実線で示す位置と破線で示す位置のいずれかをとる偏光板保持手段22に保持されており、該偏光板保持手段22が実線位置に設定されると、上記光路に挿入される。
【0033】
なお円形の偏光板20は、その中心軸20aの周りを回転可能な状態にして偏光板保持手段22に保持されている。またこの偏光板20の上表面の周辺部には、そこを通過した光の直線偏光方向を示す、例えば矢印等からなる表示23が設けられている。
【0034】
次に、この露光装置の作用について説明する。表面10aにフォトレジスト11が塗布された基板10は、裏面10bが基板保持面12aに接する状態にして、露光台12の上に載置される。そしてフォトマスク保持部材13の上には、前述の通りの開口パターンを有するフォトマスク14が載置される。このとき偏光板20は、露光光15の光路に挿入される。図1は、以上の状態を示している。
【0035】
その後空気吸引手段19が駆動されると、露光台12の複数の排気通路12bから空気が吸引されてその中が真空排気され、それにより基板10は、図2に示すように露光台12の基板保持面12aに密着保持される。またそれとともに、フォトマスク保持部材13の排気通路13bから空気が吸引されて、フォトマスク14の下側において該フォトマスク保持部材13内に画成されている空間も真空排気されるので、フォトマスク14は下側に撓んで基板10のフォトレジスト11に密着する。
【0036】
そして、この状態で露光光源16が駆動されることにより、フォトマスク14を介してフォトレジスト11に露光光15が照射されて、フォトレジスト11が近接場光によって露光される。つまり、露光光15の波長よりも幅の小さい開口14a(図3参照)から近接場光がしみ出し、これらの開口14aからなる微細な回折格子パターンがフォトレジスト11に転写露光される。
【0037】
フォトレジスト11は、近接場光の照射を受けた部分のみが所定の現像溶液に可溶となるポジ型レジスト、あるいは近接場光の非照射部分のみが所定の現像溶液に可溶となるネガ型レジストのいずれであってもよい。そして露光後に、そのようなフォトレジスト11を現像処理し、残ったフォトレジスト11を用いて基板10に適宜のエッチング処理を施すことにより、該基板10に複数の回折格子が形成される。
【0038】
フォトレジスト11を露光する際、前述のように回動し得る偏光板保持手段22を手動で操作して、偏光板20が露光光15の光路に挿入される。それによりフォトマスク14には、偏光板20を通過して直線偏光となった露光光15が照射される。そしてこの際、中心軸20aの周りを回転可能である偏光板20は、前述の表示23を参考にする等して、露光光15の直線偏光方向がフォトマスク14の開口14aの直線の向きと一致する回転位置に設定される。
【0039】
それによりフォトマスク14には、そのパターンの直線の向きと同じ方向に直線偏光した露光光15が照射されるので、フォトレジスト11に露光されるパターンの線幅が太ることを防止して、線幅の小さい微細な回折格子パターンを露光可能となる。
【0040】
なお、このときフォトマスク14に到達する露光光15において、回折格子パターンの直線の向きと同じ方向に直線偏光した成分に対する、それと垂直な方向に直線偏光している成分の比率は25%以下、より好ましくは15%以下になっていることが望ましい。その理由は、先に述べた通りである。
【0041】
また上記フォトレジスト11としては、1つの層からなる通常のフォトレジストの他、例えば特開2001−15427号に示されている2層レジストを用いることもできる。
【0042】
本実施の形態の近接場光露光装置は、上述の回折格子パターンが形成されたフォトマスク14以外の別のフォトマスクを用いて、フォトレジスト11に所定のパターンを露光することも勿論可能である。その別のフォトマスクの開口パターンが、一方向に延びる直線からなるものではなく、円形のパターンや、複数の相異なる方向に延びる直線からなるようなパターンである場合、偏光板20は露光光15の光路から外れた位置に設定される。それによりフォトマスクには、非偏光状態の露光光15が照射されることになる。
【0043】
円形のパターンを持つフォトマスクに直線偏光の露光光を照射すると、フォトレジスト11に露光されるパターンが楕円形になってしまうことがある。また、複数の相異なる方向に延びる直線からなるパターンを持つフォトマスクに直線偏光の露光光を照射すると、フォトレジスト11に露光されるパターンが、直線の方向に応じて線幅の太りが異なるものになってしまうことがある。そこで、これらのパターンを持つフォトマスクを用いる際に、該フォトマスクに照射される露光光15を上述のようにして非偏光としておけば、上記不具合の発生を防止して、精緻なパターンを露光可能となる。
【0044】
なお、偏光板保持手段22は手動で回動操作する他、各種アクチュエータによって回動操作するようにしてもよい。これは、偏光板20の回転についても同様である。
【0045】
次に図を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。なおこの図において、図1中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。
【0046】
この第2の実施の形態の近接場光露光装置は、図1に示した近接場光露光装置と比べると、基本的に、露光光源16に代えて直線偏光の露光光35を発するレーザ等からなる露光光源36が用いられた点、および、偏光板20に代えて位相板の一つであるλ/4板30が用いられた点が異なるものである。
【0047】
上記λ/4板30は、露光光源36とフォトマスク14との間の露光光35の光路に適宜挿入されるようになっている。すなわちこのλ/4板30は、回動軸31の周りを回動可能とされて図中実線で示す位置と破線で示す位置のいずれかをとる位相板保持手段32に保持されており、該位相板保持手段32が実線位置に設定されると、上記光路に挿入される。
【0048】
フォトマスク14が、図3に示すように直線状の開口14aからなるパターンを有するものである場合、上記位相板保持手段32を操作することにより、λ/4板30は、上記露光光源36とフォトマスク14との間の露光光35の光路から外れた位置に設定される。それによりフォトマスク14には、直線偏光状態の露光光35が照射される。そしてこの際、フォトマスク14の保持位置を調整する等により、露光光35の直線偏光方向がフォトマスク14の開口14aの直線の向きに合わせられる。それによりこの場合も、フォトレジスト11に露光されるパターンの線幅が太ることを防止して、線幅の小さい微細な回折格子パターンを露光可能となる。
【0049】
この近接場光露光装置も、上記フォトマスク14以外の別のフォトマスクを用いて、フォトレジスト11に所定のパターンを露光することが可能である。その別のフォトマスクの開口パターンが、一方向に延びる直線からなるものではなく、円形のパターンや、複数の相異なる方向に延びる直線からなるようなパターンである場合、λ/4板30は露光光源36と上記別のフォトマスクとの間の露光光35の光路に挿入される。それにより該フォトマスクには、円偏光状態の露光光35が照射されることになる。
【0050】
円形の開口パターンや、複数の相異なる方向に延びる直線からなる開口パターンを持つフォトマスクに直線偏光の露光光を照射すると、先に説明した通り、フォトレジスト11に露光される円形パターンが楕円形になったり、フォトレジスト11に露光される直線からなるパターンが、直線の方向に応じて線幅の太りが異なるものになってしまうという不具合が生じることがある。そこで、これらのパターンを持つフォトマスクを用いる際に、該フォトマスクに照射される露光光35を上述のようにして円偏光としておけば、上記不具合の発生を防止して、精緻なパターンを露光可能となる。
【0051】
なお、上記λ/4板30の代わりに、そこに入射した直線偏光状態の露光光35を楕円偏光化する位相板を用いても、上記実施の形態におけるのと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による近接場光露光装置を示す一部破断側面図
【図2】図1の露光装置の別の状態を示す一部破断側面図
【図3】図1の露光装置に用いられたフォトマスクを示す平面図
【図4】本発明の第2の実施の形態による近接場光露光装置を示す一部破断側面図
【符号の説明】
10 基板
11 フォトレジスト
12 露光台
12a 露光台の基板保持面
13 フォトマスク保持部材
14 フォトマスク
15、35 露光光
16、36 露光光源
17 シール部材
18 配管
19 空気吸引手段
20 偏光板
21 回動軸
22 偏光板保持手段
23 直線偏光方向を示す表示
30 λ/4板
31 回動軸
32 位相板保持手段

Claims (7)

  1. 非偏光状態の露光光を発する光源と、
    この露光光の波長よりも小さい開口からなるパターンを有し、該露光光が照射される位置に配される露光マスクと、
    前記露光光に感光する感光材料を、前記露光マスクの開口からしみ出した近接場光が届く位置に保持する露光台とを備えてなる近接場光露光装置において、
    前記露光光を直線偏光化する偏光板と、
    この偏光板を、前記光源と露光マスクとの間の露光光の光路に入った位置と、この光路から外れた位置との間で移動自在に保持する偏光板保持手段とが設けられたことを特徴とする近接場光露光装置。
  2. 前記偏光板保持手段が、前記偏光板から出射する直線偏光の向きが変化する方向に該偏光板を回転自在に保持するものであることを特徴とする請求項1記載の近接場光露光装置。
  3. 前記偏光板から出射する直線偏光の向きを示す表示手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の近接場光露光装置。
  4. 直線偏光した露光光を発する光源と、
    この露光光の波長よりも小さい開口からなるパターンを有し、該露光光が照射される位置に配される露光マスクと、
    前記露光光に感光する感光材料を、前記露光マスクの開口からしみ出した近接場光が届く位置に保持する露光台とを備えてなる近接場光露光装置において、
    前記露光光を円偏光あるいは楕円偏光化する位相板と、
    この位相板を、前記光源と露光マスクとの間の露光光の光路に入った位置と、この光路から外れた位置との間で移動自在に保持する位相板保持手段とが設けられたことを特徴とする近接場光露光装置。
  5. 前記光源から出射する直線偏光の向きを示す表示手段を有することを特徴とする請求項4記載の近接場光露光装置。
  6. 前記露光マスクに到達する露光光において、所望の直線偏光成分に対する、それと垂直な方向に直線偏光している成分の比率が25%以下になっていることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の近接場光露光装置。
  7. 前記比率が15%以下になっていることを特徴とする請求項6記載の近接場光露光装置。
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