JP3809037B2 - 不純物の少ないマレイン酸塩水溶液とその用途 - Google Patents

不純物の少ないマレイン酸塩水溶液とその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度なマレイン酸塩水溶液該水溶液を用いて得られるマレイン酸系共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、多くのカルボキシル基を有するマレイン酸系共重合体は、優れたカルシウムイオン捕捉作用およびクレイ分散作用を示すことが知られており、洗剤組成物、分散剤、凝集剤、スケール防止剤、キレート剤、繊維処理剤等の広範囲の用途に使用されている。
【0003】
マレイン酸系重合体の製造方法としては、特開平5−247143、特公平3−2167、特公平3−14046、特許第2574144号等種々開示されており、前記作用を向上させる工夫がなされている。
然るに、マレイン酸系共重合体を製造するためには、そのモノマー水溶液であるマレイン酸塩水溶液の製造が必須となるが、その製造方法については何ら検討がなされていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
発明者等は、マレイン酸塩水溶液の製造方法が特に重要と考え検討を行い、その結果、特定の製造方法により、リンゴ酸等の不純物の生成が少ない高純度のマレイン酸塩水溶液が得られることを見出した。また、このリンゴ酸等の不純物の生成が少ない高純度のマレイン酸塩水溶液を用いることにより得られる重合体であるが、その重合体においてもリンゴ酸等の不純物が少なく、よって、高いカルシウムイオン捕捉作用や、高いクレイ分散作用を示す重合体であることが見出された。
【0005】
従って、本発明の一つ目の課題はリンゴ酸等の不純物の生成が少ない高純度のマレイン酸塩水溶液を提供することにある。また二つ目の課題は、該水溶液を用いることにより得られる、そのため重合体においてもリンゴ酸等の不純物が少ない、高いカルシウムイオン捕捉作用および高いクレイ分散作用を示す重合体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を提供する。
(1) 塩基性物質が存在しないかマレイン酸塩水溶液を製造するための必要量の50%以下しか存在しない反応器に、反応温度の最高値が80℃以上となるように、マレイン酸(塩)および/または無水マレイン酸と、前記必要量に達する量の塩基性物質とを投入することにより得られる、生成リンゴ酸量5000ppm以下のマレイン酸塩水溶液。
【0007】
(2) 共重合体を得るのに用いられる単量体成分が30〜70mol%のマレイン酸(塩)と70〜30mol%のアクリル酸(塩)とからなり、前記マレイン酸(塩)の供給源として請求項1に記載のマレイン酸塩水溶液が用いられてなる、カルシウムイオン捕捉能が400mgCaCO/g以上、クレイ分散能が0.6以上であり且つリンゴ酸含有量が重合体固形分中9%以下であって重量平均分子量2000〜50000のマレイン酸/アクリル酸系共重合体(塩)。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明にかかるマレイン酸塩水溶液を、該マレイン酸塩水溶液を得るための製造方法に基づき、詳細に説明する。
のマレイン酸塩水溶液の製造方法は、塩基性物質が存在しないかマレイン酸塩水溶液を製造するための必要量の50%以下しか存在しない反応器に、反応温度の最高値が80℃以上となるように、マレイン酸(塩)および/または無水マレイン酸と、前記必要量に達する量の塩基性物質とを投入することにより、生成リンゴ酸量5000ppm以下の高純度なマレイン酸塩水溶液を得るというものである。
【0009】
上記マレイン酸塩水溶液の製造方法に用いられる塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア水等が挙げられ、これらを1種または2種以上の混合物として用いても良い。好ましくはアルカリ金属塩、最も好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0010】
これら塩基性物質は、初期は、反応釜に、仕込まれていないかマレイン酸塩水溶液を製造するための必要量の50%以下しか仕込まれていない。必要量の0%を越える量の塩基性物質を初期に仕込んでおくとリンゴ酸が多く生成し好ましくない。
前記マレイン酸塩水溶液の製造方法に用いられるマレイン酸(塩)及び/または無水マレイン酸としては、無水マレイン酸溶融物、無水マレイン酸粉末或はタブレット状等の固形物、マレイン酸(いわゆる有水マレイン酸)溶融物、マレイン酸(同上)粉末或はタブレット状等の固形物、マレイン酸(無水、有水問わず)水溶液何れの形態でも良く、1種又は2種以上の混合物でも良い。好ましくは無水マレイン酸の溶融物である。
【0011】
これらマレイン酸は、マレイン酸塩水溶液を製造するための必要量の80%以下、好ましくは60%以下、最も好ましくは50%以下の量が初期に反応釜に仕込まれる。必要量の80%を超える量を初期に仕込むとフマル酸の生成量が著しく増大し好ましくない。フマル酸はマレイン酸の異性体であり重合により消費されるが、マレイン酸に比べ重合性が著しく悪いため、分子量及び分子量分布の制御が非常に困難となり、またモノマー残存量も多くなることから好ましくない。
【0012】
次に、前条件の下で初期仕込みがなされて、塩基性物質が存在しないかマレイン酸塩水溶液を製造するための必要量の50%以下しか存在しない反応器に、マレイン酸(塩)及び/または無水マレイン酸と、前記必要量に達する量の塩基性物質とを投入する。その際、反応温度は最高値が80℃以上となるようにすることが必要であり、好ましくは100℃以上、最も好ましくは沸点還流下状態である。反応温度が80℃未満では、中和に要する時間が非常に長くなり好ましくない。
【0013】
また、反応温度が100℃以上である場合、その時間の90%以上の時間において、反応系内でのマレイン酸(塩)及び/または無水マレイン酸と塩基性物質のモル比は1:4〜4:1に維持される。この比率は1:3〜3:1に維持されるのがより好ましく、1:2〜2:1に維持されるのが最も好ましい。特に110℃以上の温度である場合においては、前記比率が1:3〜3:1に維持され、より好ましくは1:2〜2:1に維持される。塩基性物質のモル比がこの範囲を超えるとリンゴ酸の生成量が著しく増大し好ましくない。マレイン酸(塩)及び/または無水マレイン酸のモル比がこの範囲を超えるとフマル酸の生成量が著しく増大し、前記記載の理由で好ましくない。
【0014】
さらに、これら初期仕込及び滴下により製造されるマレイン酸塩水溶液は、反応終了時の固形分濃度は40%以上であり、好ましくは45%以上、最も好ましくは50%以上である。固形分濃度が40%未満では、これらマレイン酸塩水溶液を重合に用いる場合において、重合固形分濃度が低下し、生産性が著しく低下する、或はマレイン酸の重合性が著しく悪化する等の理由から好ましくない。また、固形分濃度は高いほど生産性が良く好ましいが、75%を越えると得られるマレイン酸水溶液の水溶性、安定性が悪くなり好ましくない。
【0015】
このようにして、不純物として生成するリンゴ酸量が10000ppm以下の高純度なマレイン酸塩水溶液を得ることができる。ここで、不純物としてリンゴ酸を選んだ理由としては、リンゴ酸はマレイン酸の水付加物であり、中和中に副生成物、即ち不純物として生成しやすいことが推定され、実際、最も多く生成しているためである。この高純度なマレイン酸塩水溶液のリンゴ酸の含有量は、好ましくは7000ppm以下であり、より好ましくは5000ppm以下、さらに好ましくは4000ppm以下、最も好ましくは2000ppm以下である。
【0016】
次に、この高純度なマレイン酸塩水溶液を用いて得られるマレイン酸系共重合体について説明するが、本発明のマレイン酸塩水溶液の用途はこれに限らない。本発明のマレイン酸系共重合体は、カルシウムイオン捕捉能が400mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能が0.6以上であり且つリンゴ酸含有量が重合体固形分中9%以下であって、マレイン酸30〜70mol%、アクリル酸70〜30mol%である重量平均分子量2000〜50000のマレイン酸/アクリル酸系共重合体(塩)である。
【0017】
カルシウムイオン捕捉能は、重合体1gが捕捉するカルシウムイオンを炭酸カルシウムで換算したmg数として定義され、マレイン酸系共重合体が水中のカルシウムイオンをどれだけ多く捕捉するかを示す指標である。界面活性剤は、水中のカルシウムイオンと結合すると不溶化する。しかし、界面活性剤と共にカルシウムイオン捕捉能が高いマレイン酸系共重合体を用いると、界面活性剤の不溶化が防止され、洗浄力向上の効果が大きくなる。本発明の共重合体のカルシウムイオン捕捉能は400mgCaCO3 /g以上であり、好ましくは420mgCaCO3 /g以上である。カルシウムイオン捕捉能が高いほど、マレイン酸系共重合体の洗剤ビルダーとしての能力が高まり好ましいが、490mgCaCO3 /gを超える共重合体を得るには生産効率が低下したり、高コストになる恐れがある。
【0018】
クレイ分散能は、洗濯時に泥汚れ等を引きはがして、均一に分散させ、クレイの沈殿をしにくくするという効果を見る指標である。この効果を十分に得るために、本発明の共重合体のクレイ分散能は0.6以上であり、好ましくは0.8以上である。クレイ分散能が高いほど、マレイン酸系共重合体の洗剤ビルダーとしての能力が高まり好ましいが、1.5を超える共重合体を得るには生産効率が低下したり、高コストになる恐れがある。
【0019】
重合体固形分中のリンゴ酸含有量は、マレイン酸系共重合体に、どれだけ不純物である低分子量物が含まれているかを表わす指標である。ここで、不純物としてリンゴ酸を選んだ理由は、前記中和時の記載に加え、マレイン酸を水溶液中で重合すること、及び特に重合開始剤として過酸化水素を使用する場合にはリンゴ酸が生成しやすいことが推定され、実際、最も多く生成しているためである。
【0020】
本発明の共重合体固形分中のリンゴ酸含有量は、9%以下であり、好ましくは7%以下、より好ましくは5%以下である。リンゴ酸含有量が少ないほど、マレイン酸系共重合体の洗剤ビルダーとしての能力が高まり好ましいが、重合開始剤として過酸化水素を後述する条件で用いる場合において、リンゴ酸含有量が3%以下である共重合体を得るには生産効率が低下したり、高コストになる恐れがある。
【0021】
また本発明のマレイン酸系共重合体の単量体成分としては、マレイン酸(塩)30〜70mol%、アクリル酸(塩)70〜30mol%であり、必要に応じて5mol%以下の量で他の水溶性モノエチレン性単量体を含むことができる。マレイン酸(塩)としては、前記記載のマレイン酸塩水溶液を用いるのが好ましく、場合により、適宜マレイン酸、及び/または無水マレイン酸を追加しても良い。マレイン酸(塩)が30mol%未満では、カルシウムイオン捕捉能が高い共重合体を得ることが極めて困難となり、また70mol%を超えると、重合性が著しく悪くなり、また得られた共重合体もクレイ分散能が著しく低下する傾向にあるので好ましくない。
【0022】
アクリル酸(塩)としては、アクリル酸、アクリル酸塩いずれでも良く、これら混合物でも良い。アクリル酸塩としては、前記記載の塩基性物質との中和により得られる。アクリル酸(塩)が30mol%未満では、重合性が著しく悪くなり、また得られた共重合体もクレイ分散能が著しく低下する傾向にあり、70mol%を超えると、カルシウムイオン捕捉能が高い共重合体を得ることが極めて困難となるので好ましくない。
【0023】
必要に応じて5mol%以下の量で他の水溶性モノエチレン性単量体としては、例えば、メタクリル酸、α−ヒドロキシアクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体およびそれらの塩;フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等の不飽和多カルボン酸系単量体およびそれらの塩;酢酸ビニル;3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)、3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)およびこれら単量体1モルに対してエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを1〜100モル付加した単量体等の不飽和水酸基含有単量体;グリセロールモノアリルエーテルおよびこれら単量体1モルに対してエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを1〜100モル付加した単量体等の不飽和(メタ)アリルエーテル系単量体;3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシスルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド等の不飽和スルホン酸基含有単量体およびそれらの塩;炭素数1〜20のアルキルアルコールにエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを0〜100モル付加したアルコールと(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体とのモノエステルまたは、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等の不飽和多カルボン酸系単量体とのモノエステルあるいは、それらの塩、またはジエステル等の末端アルキル基含有エステル系不飽和単量体;(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体1モルに対して、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを1〜100モル付加したモノエステル系単量体、または、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等の不飽和多カルボン酸系単量体1モルに対して、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを1〜100モル付加したモノエステルあるいはそれらの塩、または、ジエステル系単量体等のエステル系不飽和単量体を挙げることができる。
【0024】
さらに本発明の共重合体の重量平均分子量は2000〜50000であり、好ましくは5000〜15000である。重量平均分子量が2000未満ではカルシウムイオン捕捉能が、また50000を超える範囲ではクレイ分散能がそれぞれ著しく悪化し好ましくない。
次に、本発明のマレイン酸系共重合体の製造方法について説明する。本発明の共重合体は任意の製造方法により得られるが、以下に記載する方法により製造するのが特に好ましい。
【0025】
マレイン酸(塩)は使用量の50重量%以上、好ましくは70重量%以上、最も好ましくは全量を反応前の反応容器に仕込まれているのが好ましい。反応前の仕込量が50重量%未満であると、重合終了後の残存マレイン酸(塩)が増加する恐れがあり好ましくない。また、重合開始時のマレイン酸(塩)濃度は、40重量%以上、好ましくは45重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上である。仕込濃度が40重量%未満では、重合終了後の残存マレイン酸(塩)が増加する恐れがあり好ましくない。
【0026】
アクリル酸(塩)は使用量の50重量%以上、好ましくは70重量%以上、最も好ましくは全量を重合開始後滴下により反応器に供給するのが好ましい。反応前に仕込50重量%を超える量を仕込むと、マレイン酸に比べ非常に重合性が高いため、分子量、分子量分布の制御が著しく困難となるため好ましくない。滴下時間は反応開始後30〜300分、好ましくは60〜180分である。これらの時間で滴下すると、得られるマレイン酸系共重合体の分子量分布が狭くなり、カルシウムイオン捕捉能、クレイ分散性能が向上するため好ましい。生産性を向上させるためにも、短時間で滴下するのがよいが、30分未満の滴下では、重合終了後の残存マレイン酸量の増加したり、多量の反応熱が短時間に放出され、除熱が困難になる可能性があり好ましくない。また300分を超える滴下では、生産性が著しく落ちることとなり、コスト的に不利となり好ましくない。
【0027】
また、他の水溶性モノエチレン性単量体はその重合性に応じて、初期仕込量及び滴下量を任意に決めれば良い。滴下時間も任意であるが、アクリル酸(塩)の滴下より早く終了することが好ましい。
重合溶媒としては、水性溶媒を用いる。好ましくは水が80重量%以上であり、最も好ましくは水100重量%である。水性溶媒として水と併用しても良い親水性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、ジエチルホルムアミド等のアミド類、ジエチルエーテル等のエーテル類等の1種または2種以上の混合物が挙げられる。
【0028】
本発明においては、水溶性重合開始剤として過酸化水素を用いるのが好ましい。過酸化水素の使用量は単量体成分1molに対して2〜8gであることが好ましく、より好ましくは3〜5gである。過酸化水素の使用量が2g未満では、残存マレイン酸が増加し、得られるポリマーの分子量が高くなり過ぎクレイ分散能が低下するため好ましくない。また8gを超える量を使用すると、重合終了時の残存過酸化水素が多量となり過ぎ好ましくない。
【0029】
生産設備の簡素化、低コスト化、重合終了時の残存過酸化水素の低減効果の観点から、過酸化水素の滴下はアクリル酸(塩)の滴下終了より20分以上早く終了させることが好ましい。上記の製造条件により、重合終了後に残存する過酸化水素の濃度を反応液全量に対して2重量%以下、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5 重量%以下とすることができる。また、重合終了後の残存マレイン酸量を反応液全量に対して3重量%以下、より好ましくは1重量%以下とすることができる。残存マレイン酸量が3重量%を超えると、冬季寒冷地でマレイン酸の結晶が析出するといった問題が起きる可能性があり好ましくない。
本発明の製造方法では、さらに必要に応じて他の水溶性重合性開始剤を併用しても良い。例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;2,2' −アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、4,4' −アゾビス−(4−シアノバレリン酸)、アゾビスイソブチロニトリル、2,2' −アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、過コハク酸、ジ第3級ブチルパーオキサイド、第3級ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。これらの群から選ばれる2種以上の混合物を使用することもできる。中でも、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩が好ましい。なお、これら水溶性重合性開始剤は、好ましくは全量滴下により反応容器に供給される。滴下の開始時間、終了時間は任意であるが、好ましくはアクリル酸(塩)滴下終了後10〜20分後に終了するのが好ましい。これにより、残存アクリル酸量を非常に低減できる。
【0030】
また、前記開始剤の効率を上げるため、必要に応じて多価金属を使用しても良い。使用できる有効な多価金属イオンとしては、鉄イオン、バナジウム原子含有イオン、銅イオンが挙げられる。中でも、多価金属イオンとしては、Fe3+、Fe2+、Cu+ 、Cu2+、V2+,V3+、VO2+が好ましく、Fe3+、Cu2+、VO2+がより好ましい。これらの多価金属イオンは1種または2種以上を使用することができる。多価金属イオンの濃度としては、反応液全量に対して0.1〜100ppmが好ましい。0.1ppm未満では効果がほとんど見られず、100ppmを超えて使用した場合は、得られたマレイン酸系共重合体の着色が大きく、洗剤組成物として使用できないことがある。
【0031】
多価金属イオンの供給形態については特に制限はなく、重合反応系内でイオン化するものであれば、どのような金属化合物、金属であってもよい。このような金属化合物、金属としては、例えば、オキシ三塩化バナジウム、三塩化バナジウム、シュウ酸バナジウム、硫酸バナジウム、無水バナジン酸、メタバナジン酸アンモニウム、硫酸アンモニウムハイポバナダス[(NH4)2SO4 ・VSO4・6H2O]、硫酸アンモニウムバナダス[(NH4)V(SO4)2・12H2O ]、酢酸銅(II)、臭化銅(II)、銅(II)アセチルアセテート、塩化第二銅、塩化銅アンモニウム、炭酸銅、塩化銅(II)、クエン酸銅(II)、ギ酸銅(II)、水酸化銅(II)、硝酸銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅(II)、マレイン酸銅、リン酸銅、硫酸銅(II)、塩化第1銅、シアン化銅(I)、ヨウ化銅、酸化銅(I)、チオシアン酸銅、鉄アセチルアセトナート、クエン酸鉄アンモニウム、シュウ酸第二鉄アンモニウム、硫酸第一鉄アンモニウム、硫酸第二鉄アンモニウム、クエン酸鉄、フマル酸鉄、マレイン酸鉄、乳酸第一鉄、硝酸第二鉄、鉄ペンタカルボニル、リン酸第二鉄、ピロリン酸第二鉄等の水溶性金属塩;五酸化バナジウム、酸化銅(II)、酸化第一鉄、酸化第二鉄などの金属酸化物;硫化銅(II)、硫化鉄などの金属硫化物;その他銅粉末、鉄粉末を挙げることができる。このような金属化合物、金属を反応容器に仕込むのは、反応が終了するまでであればいつでもよいが、好ましくは反応開始前に反応容器に仕込まれる。
【0032】
重合反応時のpHは任意の値を選ぶことができるが、マレイン酸の重合性の上げるため、好ましくは重合開始時のpHが5〜13で、重合の進行に従いpHが低下するのが好ましい。重合中のpH調整に用いる中和用塩基性化合物としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の水酸化物や炭酸塩;アンモニア;モノメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、第2級ブタノールアミン等のアルカノールアミン類;ピリジンを挙げることができる。これらの群から選ばれる2種以上の混合物を使用することもできる。
【0033】
本発明においては、前記単量体成分、重合開始剤、水性溶媒及び必要に応じて用いられるその他の原材料を、重合終了後の理論固形分濃度が40%以上となるような使用量で用いる必要がある。理論固形分濃度が40%未満では、分子量が低下し、分子量分布が広くなるので、カルシウムイオン捕捉能、クレイ分散能に悪影響を及ぼし好ましくない。
【0034】
その他の重合条件としては、反応温度は80℃以上が好ましく、より好ましくは重合溶媒の沸点近傍である。反応温度が80℃未満では、残存マレイン酸量が著しく増大し好ましくない。また、圧力は特に限定されず、常圧(大気圧)、加圧、減圧のいずれでも良い。
以上の製造方法で、本発明のマレイン酸系共重合体が得られる。
【0035】
次に、本発明のマレイン酸系共重合体の用途について説明する。本発明の共重合体は、洗剤組成物、無機顔料分散剤、水処理剤、繊維処理剤等に使用される。洗剤組成物としては、本発明共重合体と界面活性剤からなる。洗剤組成物中の共重合体の配合量は0.1〜20重量%であり、界面活性剤の配合量は5〜70重量%であるのが好ましい。共重合体の配合量は0.5〜15重量%であり、界面活性剤の配合量は20〜60重量%であるのがさらに好ましい。
【0036】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤およびカチオン界面活性剤いずれも使用可能である。
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和または不飽和脂肪酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルまたはアルケニルリン酸エステルまたはその塩を挙げることができる。
【0037】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
【0038】
両性界面活性剤としては、カルボキシ型またはスルホベタイン型両性界面活性剤を挙げることができ、カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩を挙げることができる。
本発明の共重合体を含む洗剤組成物に必要に応じて酵素を配合しても良い。配合される酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等を使用することができる。特に、アルカリ洗浄液中で活性が高いプロテアーゼ、アルカリリパーゼおよびアルカリセルラーゼが好ましい。酵素の配合量は、洗剤組成物全量に対し0.01〜5重量%が好ましい。この範囲を外れると、界面活性剤とのバランスがくずれ、洗浄力を向上させることができない。さらに本発明の重合体を含む洗剤組成物には、必要に応じて、公知のアルカリビルダー、キレートビルダー、再付着防止剤、蛍光剤、漂白剤、香料等の洗剤組成物に常用される成分を配合してもよい。また、ゼオライトを配合してもよい。アルカリビルダーとしては、珪酸塩、炭酸塩、硫酸塩等を用いることができる。キレートビルダーとしては、ジグリコール酸、オキシカルボン酸塩、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン六酢酸)、クエン酸等を必要に応じて使用することができる。
【0039】
無機顔料分散剤としては、本発明の共重合体のみからなっていてもよいし、他の配合剤として、重合リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、ポリビニルアルコールを用いてもよい。いずれの場合でも、紙コーティングに用いられる重質ないしは軽質炭酸カルシウム、クレイの無機顔料の分散剤として良好な性能を発揮する。本発明の共重合体を含む無機顔料分散剤を無機顔料に少量添加して水中に分散することにより、低粘度でしかも高流動性を有し、かつ、それらの性能の経日安定性が良好な、たとえば、高濃度炭酸カルシウムスラリーのような、高濃度無機顔料スラリーを製造することができる。無機顔料分散剤の使用量は、無機顔料100重量部に対して0.05〜2.0重量部の割合が好ましい。
【0040】
水処理剤として本発明に共重合体を単独で水処理剤として使用しても良いし、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤を配合した組成物とすることもできる。いずれの場合でも、冷却水循環系、ボイラー水循環系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等でのスケール防止に有用である。
【0041】
繊維処理剤としては、本発明の共重合体と染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つとを含んでなる。繊維処理における精錬、染色、漂白、ソーピングの工程で使用することができる。染色剤、過酸化物および界面活性剤としては繊維処理剤に通常使用されるものが挙げられる。共重合体と、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つとの比率は、たとえば、繊維の白色度、色むら、染色けんろう度の向上のためには、共重合体1重量部に対して、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つを0.1〜100重量部という割合で配合される。使用できる繊維は特に限定されないが、たとえば、木綿、麻等のセルロース系繊維;ナイロン、ポリエステル等の化学繊維;羊毛、絹糸等の動物性繊維;人絹等の半合成繊維およびこれらの織物および混紡品が挙げられる。精錬工程に適用する場合は、本発明の共重合体と、アルカリ剤および界面活性剤とを配合することが好ましい。漂白工程に適用する場合では、本発明の共重合体と、過酸化物と、アルカリ性漂白剤の分解抑制剤としての珪酸ナトリウム等の珪酸系薬剤とを配合するのが好ましい。
【0042】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、「%」および「部」は、それぞれ「重量%」および「重量部」を示す。
【0043】
【実施例】
(物性測定方法)
<リンゴ酸、フマル酸含有量の測定方法>
GPCにて測定した。
・カラム;G3000PWXL(東ソー製)
・カラム温度;35℃
・移動相;0.1%リン酸水溶液
・流量;1.0ml/min
・検出器;UV 200nm(日立製、モデル:L−6000)
・検量線:リンゴ酸、フマル酸(何れも試薬特級)を用いて調整、含有量は何れも
ナトリウム塩換算として計算。
【0044】
<重量平均分子量(以下Mw)>
GPCにより測定した。
・カラム;GF−7MHQ (昭和電工製)
・カラム温度;35℃
・移動相;リン酸水素二ナトリウム12水和物34.5g及びリン酸二水素ナトリウム2水和物46.2g(何れも試薬特級、以下測定に用いる試薬は全て特級を使用)に純水を加えて全量を5,000gとし、その後0.45ミクロンのメンブランフィルターで濾過した水溶液
・検出器;UV 214nm(日本ウォーターズ(株)製、モデル481型)
・流量;0.5ml/min
・検量線;ポリアクリル酸ナトリウム標準サンプル(創和科学製)。
【0045】
<残存マレイン酸量、残存アクリル酸量>
リンゴ酸、フマル酸含有量の測定方法と同一の方法で測定し、検量線はそれぞれ使用した無水マレイン酸、80%アクリル酸水溶液を用いて作成し、ナトリウム塩換算で残存マレイン酸量、残存アクリル酸量を求めた。
<カルシウムイオン捕捉能>
(1) まず、カルシウムイオン標準水溶液(検量線用水溶液)を次のように調整し即ち、塩化カルシウム・2水和物を用いて、Ca2+イオンが0.01mol/l、0.001mol/l、0.0001mol/lの水溶液を各々50ccづつ調整し、4.8%の水酸化ナトリウム水溶液でpH9〜11に調整した後、塩化カリウムの4mol/l水溶液を1ml加えた。
【0046】
(2) 次に、測定サンプルの水溶液を調整した。即ち、固形分換算で10gの重合体(pH7に調整)を100ccのビーカーに秤量し、塩化ナトリウム・2水和物を用いて調整した0.001mol/lのカルシウムイオン水溶液を50cc加え、スターラーで均一に攪拌した後、4.8%の水酸化ナトリウム水溶液でpH9〜11に調整し、塩化カリウムの4mol/l水溶液を1ml加えた。
【0047】
(3) 測定は、オリオン社製イオンアナライザーEA920を用いて、オリオン社製カルシウムイオン電極93−20により行った。
(4) 検量線及びサンプル(重合体)の測定値から、サンプルが捕捉したカルシウムイオン量を求め、重合体固形分1g当りの捕捉量を炭酸カルシウム換算のmg数で表わし、その値をカルシウムイオン捕捉能値とした。
【0048】
<クレイ分散能>
(1) まず、グリシン67.56g、塩化ナトリウム52.6g、1N−NaOH60mlにイオン交換水を加えて600gとしたグリシン緩衝溶液を調整した。
(2) 塩化カルシウム・2水和物を0.0817g、(1) の調整液60gを取って、イオン交換水を加えて1000gとし、分散液を調整した。
【0049】
(3) 次に重合体(pH7に調整)の固形分換算で0.1%の水溶液を調整した。
(4) 試験管に、JIS試験用粉体I,8種(関東ローム,微粒:日本粉体工業技術協会)のクレ0.3gを入れ、(2) の調整液27g、(3) の調整液3gを添加する。この時、試験液のカルシウム濃度は炭酸カルシウム換算で50ppmとなっている。
【0050】
(5) 試験管をパラフィルムで密封した後、クレが全体に分散するように軽く振った後、さらに、上下に20回振った。
(6) この試験管を直射日光の当たらないところに20時間静置し、その後分散液の上澄みをホールピペットで5ml採取した。
(7) この液をUV分光器を用いて、波長380nm、1cmのセルで吸光度(ABS)を測定し、この値クレイ分散能とした。
【0051】
<マグネシウムイオン捕捉能>(洗剤用ビルダー、水処理剤としての評価)
(1) 以下の濃度の検量線用マグネシウム標準液を調製する。
0.01M:塩化マグネシウム6水和物2.033gを超純水1kgに溶解し
たもの。
0.001M:上記0.01Mマグネシウム標準液100gに超純水を加えて
1kgにしたもの。
【0052】
0.0001M:上記0.001Mマグネシウム標準液10gに超純水を加え
て100gにしたもの。
(2) 重合体を固形分換算で10mg取り、これに上記0.001Mマグネシウム標準液50gを加える。
(3) 上記(1) で得られた各マグネシウム標準液50gと、上記(2) で得られた液とをマグネチックスターラーで攪拌する。
【0053】
(4) これに、pHが9〜11になるように4.8wt%NaOH水溶液を加える。
(5) さらに、4M−KCl水溶液1mlを加える。
(6) 得られた液を自動滴定装置で、電極を2価陽イオン電極に変えて測定する。
(7) 検量線から、アクリル酸−マレイン酸系共重合体(塩)により捕捉されたマグネシウムイオン量を測定する。
【0054】
(8) アクリル酸−マレイン酸系共重合体(塩)1gにより捕捉されたマグネシウムイオン量を水酸化マグネシウム(mg)に換算してマグネシウムイオン捕捉能(mgMg(OH)/g)とする。
<マグネシウムイオン存在下でのクレ分散能>
(1) グリシン67.56g、塩化ナトリウム52.6gおよび1N−NaOH水溶液60ml(または水酸化ナトリウム2.4g)に純水を加えて600gにすることにより、グリシンバッファーを調製する。
【0055】
(2) 塩化マグネシウム6水和物0.1937gおよび上記で得られたグリシンバッファー60gに純水を加えて1,000gにすることにより、バッファーを調製する。
(3) 0.1wt%(固形分換算)重合体水溶液を約10g作る。
(4) 上記で得られた0.1wt%重合体水溶液4gに、上記(2) で得られたバッファー36gを加え、攪拌することにより、分散液を調製する。
【0056】
(5) 試験管にJIS試験用粉体I、8種(関東ローム、微粒:日本粉体工業技術協会)のクレ0.3gを入れた後、上記(4) で得られた分散液30gを入れ、パラフィルムで密封する(クレ濃度10,000ppm、アクリル酸−マレイン酸系共重合体(塩)濃度100ppm)。
(6) 試験管を振り、試験管の底にクレの塊がなくなったのを確認してから、試験管を上下に20回振る。
【0057】
(7) 試験管を直射日光のあたらない所に20時間静置する。
(8) 20時間後、分散液の上澄み5gを20mlのスクリュー管に取る。
(9) 予め立ち上げておいたUV分光器で吸光度(%)を測定する(1cmセル、波長380nm)。
<水酸化マグネシウムスケール防止能>(洗剤用ビルダー、水処理剤としての評価)
(試験条件):マヨネーズ瓶(200cc処方)
温度:90℃
重合体濃度:5ppm
Mg2+濃度:100ppm
(1) 塩化マグネシウム6水和物0.881gおよび無水炭酸ナトリウム0.459gを取り、超純水を加えて1,000gにすることにより、溶液を調製する。
【0058】
(2)225mlマヨネーズ瓶に、上記(1)で得られた溶液190gを入れる。
(3)さらに0.1wt%(固形分換算)重合体水溶液1gを加える。
(4)4.8wt%水酸化ナトリウム水溶液を用い、pHを10±0.2に調整する。
(5)超純水を加えて全量が200gになるように調整する。
【0059】
(6)90℃に設定しておいた熱風乾燥機中に20時間静置する。
(7)流水下で冷却後、0.1μメンブランフィルターで濾過する。
(8)濾液をICPで分析してMg2+濃度を測定する。
(9)重合体なしの場合をブランクとして測定しておく。
(10)下式に従って、水酸化マグネシウムスケール抑制率を計算する。
【0060】
スケール抑制率(%)=〔(Z−Y)/(X−Y)〕×100
ただし、X:試験前の液中のMg2+濃度(ppm)すなわち100ppm
Y:重合体無添加濾液中のMg2+濃度(ppm)(ブランク)
Z:試料の試験後濾液中のMg2+濃度(ppm)
なお、検量線用Mg標準液は下記の要領で調製する。
【0061】
a)上記(1)で得られた溶液190gに超純水10gを加え、これを100%とする。
b)上記a)を2倍に希釈し、これを50%とする。
c)超純水を0%とする。
(実施例1)
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、イオン交換水332gを仕込み、攪拌下60℃まで昇温した。その後、攪拌下、無水マレイン酸の溶融物588g(6mol)、及び水酸化ナトリウムの48%水溶液(12mol)を別々の滴下口から60分間に渡って滴下した。途中、滴下開始から8分後に反応水溶液は還流状態(110℃以上)となり、この還流状態は滴下終了まで続いた。
【0062】
滴下終了後、即ち反応は終了し、固形分濃度50%の100%中和のマレイン酸ナトリウム水溶液が得られた。得られた水溶液のリンゴ酸、フマル酸生成量はそれぞれ1800ppm、330ppmであった。
(実施例2〜13、比較例1、2
実施例1と同様の方法で、表に示した通りの初期仕込量、滴下量で行った。なお、初期仕込に水酸化ナトリウムの48%水溶液があるものは、イオン交換水を加え、水酸化ナトリウムの48%水溶液を加えた後、60℃まで昇温して、中和反応を行ったと言うことである。
【0063】
その結果、同じく表に示した通りの、固形分、中和度のマレイン酸ナトリウム水溶液が得られ、表に示した通りの、リンゴ酸、フマル酸生成量であった。
(比較例3、4
同じく表に示した通りの初期仕込量、滴下量で、実施例1と同様にして行った。比較例ではイオン交換水を加え、無水マレイン酸のタブレット物を加えた後、昇温して中和反応を行った。
【0064】
結果を表に示したが、比較例1〜3ではリンゴ酸量が、比較例ではフマル酸量が増大していることは明白である。
(実施例14
実施例6で得られたマレイン酸ナトリウム水溶液の1600g(5mol)を還流冷却器、攪拌機を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコに直ちに取出し、攪拌下再度昇温し、沸点還流下状態とした後、沸点還流状態を維持しつつ、アクリル酸の80%水溶液を450g(5mol)、過酸化水素の35%水溶液を120gを別々のノズルから、同時に滴下し始め、アクリル酸の80%水溶液については120分間に渡って、過酸化水素の35%水溶液については50分間に渡って連続的に均一に滴下した。さらに別々のノズルから、アクリル酸の80%水溶液の滴下開始から50分後、即ち過酸化水素の35%水溶液滴下終了後から80分間に渡って、従ってアクリル酸の80%水溶液の滴下終了から10分後まで、過硫酸ナトリウムの15%水溶液を160g、イオン交換水を350gをそれぞれ連続的に均一に滴下した。全ての滴下終了後さらに20分間沸点還流状態を維持して重合を完了せしめた。
【0065】
重合終了後放冷し、48%の水酸化ナトリウム水溶液を229.2g(2.75mol)添加し、さらに希釈して固形分濃度45%、pH7.5のマレイン酸系共重合体水溶液を得た。
前記記載の方法で物性測定を行った結果、得られた重合体の重量平均分子量は9800、カルシウムイオン捕捉能は455、クレイ分散能は0.82、含有リンゴ酸量は重合固形分中7.6%、残存マレイン酸量は820ppm、残存アクリル酸量は80ppmであった。また、マグネシウムイオン捕捉能は240mgMg(OH)/g、マグネシウムイオン存在下でのクレ分散能は75%、水酸化マグネシウムスケール防止能は34%であった。
(実施例15
実施例1で得られたマレイン酸ナトリウム水溶液を用いて、実施例14と同様の方法で重合を行い、同様にして固形分濃度45%、pH7.5のマレイン酸系重合体水溶液を得た。
【0066】
得られた重合体の重量平均分子量は9500、カルシウムイオン捕捉能は460、クレイ分散能は0.86、含有リンゴ酸重量は重合固形分中4.1%、残存マレイン酸量は1500ppm、残存アクリル酸量は1200ppmであった。また、マグネシウムイオン捕捉能は245mgMg(OH)/g、マグネシウムイオン存在下でのクレ分散能は80%、水酸化マグネシウムスケール防止能は37%であった。
(比較例
実施例14で実施例6のマレイン酸ナトリウム水溶液を用いたのを、比較例で得られたマレイン酸ナトリウム水溶液を用いた以外は、実施例14と同様の方法で重合体を得た。同様に物性測定を行った結果、得られた重合体の重量平均分子量は9600、カルシウムイオン捕捉能は415、クレイ分散能は0.62、含有リンゴ酸量は重合固形分中12.9%、残存マレイン酸量は780ppm、残存アクリル酸量は80ppmであった。また、マグネシウムイオン捕捉能は210mgMg(OH)/g、マグネシウムイオン存在下でのクレ分散能は60%、水酸化マグネシウムスケール防止能は24%であった。
【0067】
従って、同一の重合体製造方法で、重量平均分子量、残存マレイン酸量、残存アクリル酸量はほぼ同一であるが、含有リンゴ酸量が実施例14に比べ著しく増大し、そのためカルシウムイオン捕捉能が大幅に低下し、クレイ分散能も低下しているのは明白である。以上の結果を表1と表2にまとめて示した。
【0068】
【表1】
Figure 0003809037
【0069】
【表2】
Figure 0003809037
【0070】
【発明の効果】
本発明によると、リンゴ酸等の不純物の生成が少ない高純度のマレイン酸塩水溶液の製造方法を提供できる。また本発明の水溶液を用いることにより得られる重合体においてもリンゴ酸等の不純物が少なく、よって、高いカルシウムイオン捕捉作用や、高いクレイ分散作用を示す重合体を提供することができる。従って、これら共重合体を、例えば、洗剤組成物、無機顔料分散剤、水処理剤、繊維処理剤等に用いた場合、非常に優れた性能を発揮する。

Claims (2)

  1. 塩基性物質が存在しないかマレイン酸塩水溶液を製造するための必要量の50%以下しか存在しない反応器に、反応温度の最高値が80℃以上となるように、マレイン酸(塩)および/または無水マレイン酸と、前記必要量に達する量の塩基性物質とを投入することにより得られる、生成リンゴ酸量5000ppm以下のマレイン酸塩水溶液。
  2. 共重合体を得るのに用いられる単量体成分が30〜70mol%のマレイン酸(塩)と70〜30mol%のアクリル酸(塩)とからなり、前記マレイン酸(塩)の供給源として請求項1に記載のマレイン酸塩水溶液が用いられてなる、カルシウムイオン捕捉能が400mgCaCO/g以上、クレイ分散能が0.6以上であり且つリンゴ酸含有量が重合体固形分中9%以下であって重量平均分子量2000〜50000のマレイン酸/アクリル酸系共重合体(塩)。
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