JP3808709B2 - 基板処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、処理槽に所定の処理液を供給しつつ、その処理液中に半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等(以下、単に「基板」と称する)を浸漬することによって洗浄処理等の基板処理を行う基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、上記のような基板処理装置は、予め定められた手順に従ってフッ酸、過酸化水素水、アンモニア水、塩酸、オゾン水、水素水等の薬液および純水(以下、薬液および純水を総称して処理液とする)へのロット(バッチ処理を行うときの一組の複数の基板)の浸漬処理を繰り返し、基板表面の汚染物質を除去したり、基板表面の酸化膜をエッチングしたり、レジスト膜を剥離したりする一連の基板処理を達成している。浸漬処理は、処理液を貯留した処理槽に基板を浸漬することによって行われる。
【0003】
このような基板処理装置においては浸漬処理に多量の処理液が必要となり、処理液の消費量を節約するために処理槽から流出した処理液を循環して再利用する場合がある。図17は、従来における処理液循環機構を備えた基板処理装置の概略構成を示す図である。
【0004】
図17の基板処理装置においては、処理槽201に種々の処理液を供給することが可能であり、例えば、純水供給源210から送給された純水中にミキシングバルブ215により塩酸や過酸化水素水等の薬液を混入してSC−1(アンモニア水と過酸化水素水と純水とを混合した洗浄液)やSC−2(塩酸と過酸化水素水と純水とを混合した洗浄液)を供給することができる。また、洗浄液供給源211からオゾン水や水素水を送給して処理槽201に供給することができる。
【0005】
これら種々の処理液の供給は供給ノズル202から処理槽201内に処理液を吐出することによって行われる。吐出された処理液は処理槽201内に貯留され、その貯留された処理液中に基板Wを浸漬することによって基板表面処理が進行する。
【0006】
一方、供給ノズル202から処理槽201内に処理液を吐出し続けると、やがて処理槽201の上端から処理液が溢れ出す。溢れ出た処理液は処理槽201に設けられた回収部203によって回収され、ポンプ220によってフィルタ221を介して元の処理液供給経路に戻される。すなわち、図17の基板処理装置においては、処理槽201から溢れ出た処理液が循環利用されることとなる。なお、処理槽201から溢れ出た処理液の一部は排液として装置外部に排出される。
【0007】
このように、処理槽201から溢れ出た使用済みの処理液を循環利用することにより、基板処理装置全体における処理液消費量を節約することができ、その結果基板処理に要するコストを低減することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような浸漬処理において基板Wの表面処理の均一性を保つためには、供給ノズル202から吐出される処理液の特性(濃度、温度等)を常に一定に保つことが重要である。上記従来の装置においては、洗浄液供給源211等から送給される新たな処理液と循環されている処理液とが混合されて処理槽201に供給されることとなるため、供給ノズル202から吐出される処理液の特性を一定に保つためには、新たに送給される処理液と循環される処理液との双方の特性を絶えず監視し、循環される処理液の特性に応じて新たに送給される処理液の特性を適切に制御する必要があった。例えば、オゾン水による表面処理を行っている場合において、循環されるオゾン水中のオゾン濃度が低下したときには、洗浄液供給源211から送給されるオゾン水のオゾン濃度を高くすることにより、供給ノズル202から吐出されるオゾン水のオゾン濃度を一定に維持する必要があった。
【0009】
しかしながら、循環される処理液の特性は必ずしも一定ではなく、浸漬処理の工程等によって絶えず変動するものであるため、供給ノズル202から吐出される処理液の特性を一定に保つための新たな処理液の特性制御は非常に困難なものであった。しかも、循環される処理液の流量自体も浸漬処理の工程内容によって大きく変動する値であり、その影響を受けて供給ノズル202から吐出される処理液の特性も変動せざるを得なかった。すなわち、従来においては、複雑な制御を行っているにもかかわらず、供給ノズル202から吐出される処理液の特性は不安定なものであり、その結果基板Wの処理の均一性も損なわれるという問題が生じていた。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、処理液の特性制御を容易なものとすることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、均一な基板処理を行うことができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、処理槽に所定の処理液を供給しつつ、その処理液中に基板を浸漬することによって基板処理を行う基板処理装置において、前記処理槽に配置された複数の供給ノズルと、前記処理槽に新たな処理液を供給する新液供給ラインと、前記処理槽から流出した処理液を前記新液供給ラインとは異なる経路にて循環させて前記処理槽に再供給する処理液循環ラインと、前記複数の供給ノズルごとに前記新液供給ラインとの接続と前記処理液循環ラインとの接続とを切り換える切換手段と、を備え、前記複数の供給ノズルのそれぞれを、前記切換手段によって前記新液供給ラインまたは前記処理液循環ラインのいずれかに接続している。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記切換手段に、前記複数の供給ノズルのうちの一部を前記新液供給ラインに接続させるとともに、残部を前記処理液循環ラインに接続させている
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係る基板処理装置において、前記切換手段に、前記複数の供給ノズルのうちの一部を前記新液供給ラインに接続して残部を前記処理液循環ラインに接続した後に、当該一部を前記処理液循環ラインに接続して当該残部を前記新液供給ラインに接続させている
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記処理液循環ラインに、循環される処理液の温度調節を行う温調手段を備えている。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記処理液循環ラインに、循環される処理液に当該処理液の溶質を溶解する溶解手段を備えている
【0017】
また、請求項6の発明は、請求項5の発明に係る基板処理装置において、前記処理液をオゾン水とし、前記溶解手段に、循環されるオゾン水にオゾンガスを溶解させている
【0018】
また、請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記処理槽に貯留された処理液中にて基板を回転する基板回転手段をさらに備えている。
【0019】
また、請求項8の発明は、請求項7の発明に係る基板処理装置において、前記基板回転手段に、前記処理槽に貯留された処理液中にて基板を支持する基板支持手段と、前記基板支持手段を前記処理槽と非接触状態にて保持する非接触保持機構と、前記処理槽外に設けられ、前記基板支持手段を非接触にて回転させる非接触駆動手段と、を含ませている。
【0020】
また、請求項9の発明は、請求項8の発明に係る基板処理装置において、前記非接触保持機構に、磁力により前記基板支持手段を前記処理槽と非接触状態にて保持させ、前記非接触駆動手段に、前記基板支持手段を磁力により非接触にて回転させている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
<1.第1実施形態>
<1−1.基板処理装置の全体構成>
図1は、本発明に係る基板処理装置1の一例の全体構成を示す斜視図である。図示のように、この基板処理装置1は、未処理基板を収納しているカセットCSが投入されるカセット搬入部2と、このカセット搬入部2からのカセットCSが載置され内部から複数の基板(ロット)が同時に取り出される基板取出部3と、カセットCSから取り出された未処理基板が順次浸漬処理される基板処理部5と、浸漬処理後の複数の処理済み基板が同時にカセットCS中に収納される基板収納部7と、処理済み基板を収納しているカセットCSが払い出されるカセット搬出部8とを備える。さらに、装置の前側には、基板取出部3から基板収納部7にわたって基板移載搬送機構9が配置されており、浸漬処理前、浸漬処理中及び浸漬処理後のロットを一箇所から別の箇所に搬送したり移載したりする。
【0023】
カセット搬入部2は、水平移動、昇降移動及び垂直軸回りの回転が可能なカセット移載ロボットCR1を備え、カセットステージ2a上の所定位置に載置された一対のカセットCSを基板取出部3に移載する。
【0024】
基板取出部3は、昇降移動する一対のホルダ3a、3bを備える。そして、各ホルダ3a、3bの上面にはガイド溝が刻設されており、カセットCS中の未処理基板を垂直かつ互いに平行に支持することを可能にする。したがって、ホルダ3a、3bが上昇すると、カセットCS中から基板が押し上げられる。カセットCS上方に押し上げられた基板は、基板移載搬送機構9に設けられた搬送ロボットTRに受け渡され、水平移動後に基板処理部5に投入される。
【0025】
基板処理部5は、フッ酸等の薬液を貯留して薬液処理を行う薬液槽CBを備える薬液処理部52と、純水を貯留して水洗処理を行う水洗槽WBを有する水洗処理部54と、薬液または純水を貯留して単一槽内で各種の薬液処理や水洗処理を行う多機能槽MBを有する多機能処理部56とを備える。なお、本明細書においては、基板に何らかの処理を行う薬液槽CB、水洗槽WB、多機能槽MBを総称して処理槽とする。
【0026】
基板処理部5において、薬液処理部52および水洗処理部54の後方側には、第1基板浸漬機構55が配置されており、これに設けた上下動及び横行可能なリフターLH1によって、搬送ロボットTRから受け取った基板を薬液処理部52の薬液槽CBに浸漬したり、水洗処理部54の水洗槽WBに浸漬したりする。リフターLH1は、薬液槽CBと水洗槽WBとの間で基板を搬送することが可能であるとともに、それら処理槽に対して基板を昇降させることによって当該基板を処理槽に貯留された処理液中に浸漬しまたはその処理液から離脱させることができる。
【0027】
また、多機能処理部56の後方側には、第2基板浸漬機構57が配置されており、これに設けた上下動可能なリフターLH2によって、搬送ロボットTRから受け取った基板を多機能処理部56の多機能槽MB内に支持する。リフターLH2は、基板を保持して多機能槽MBに当該基板を搬入するとともに多機能槽MBから当該基板を搬出する役割を担っている。なお、52a、56aはリフターLH1、LH2にそれぞれ設けられた基板を支持するための基板受部を示す。
【0028】
また、多機能処理部56には、蓋58が設けられている。蓋58は、その下部に駆動機構(図示省略)を有しており、当該駆動機構によって多機能槽MBの上端部を開閉する開閉動作を行うことができる。蓋58は、多機能槽MBの上端部を閉鎖することにより、多機能槽MBに貯留された処理液への汚染物質の流入を防止するとともに、多機能槽MB内の雰囲気が外部に漏洩するのを防ぐ役割を有している。
【0029】
基板収納部7は、基板取出部3と同様の構造を有し、昇降可能な一対のホルダ7a、7bによって、搬送ロボットTRに把持された処理済み基板を受け取ってカセットCS中に収納する。
【0030】
また、カセット搬出部8は、カセット搬入部2と同様の構造を有し、移動自在のカセット移載ロボットCR2を備え、基板収納部7上に載置された一対のカセットCSをカセットステージ8a上の所定位置に移載する。
【0031】
基板移載搬送機構9は、水平移動及び昇降移動が可能な搬送ロボットTRを備える。そして、この搬送ロボットTRに設けた一対の回転可能なハンド91、92よってロットを把持することにより、基板取出部3のホルダ3a、3bに支持された基板を基板処理部5の第1基板浸漬機構55に設けたリフターLH1側に移載したり、このリフターLH1側から隣りの第2基板浸漬機構57に設けたリフターLH2側に基板を移載したり、このリフターLH2側から基板収納部7のホルダ7a、7bに基板を移載したりする。
【0032】
<1−2.基板処理装置の制御機構>
次に、上記基板処理装置1の制御機構について説明する。図2は、図1の基板処理装置1の制御機構を説明するための機能ブロック図である。この基板処理装置1には、卓上型コンピュータ等からなる制御部30が組み込まれており、オペレータは制御部30を介して装置に指令を与えたり、処理パターンや処理条件の設定を行ったりできる。
【0033】
制御部30は、その本体部であるCPU31と、読み出し専用メモリーであるROM32と、読み書き自在のメモリーであるRAM33と、制御用ソフトウェアやレシピ(処理手順を既述したファイル)などを記憶しておく磁気ディスク34と、付随する入出力機器とのインターフェイスである入出力ポート35と、基板処理装置1を直接制御する装置とのインターフェイスであるネットワークポート36と、基板処理装置1外部に設けられているホストコンピュータなどと通信を行う通信ポート37とを備えている。また、制御部30には、入出力ポート35を介してディスプレイ38とキーボード39とが付随して設けられており、オペレータはディスプレイ38の表示を確認しつつ、キーボード39からコマンドやパラメータを入力することができる。
【0034】
制御部30に入力された指令は、処理用のソフトウェアに基づいて処理され、必要に応じて制御部30からネットワークポート36を介してマスターコントローラ40および槽コントローラ50などに伝達される。マスターコントローラ40は、搬送ロボットTR(図1参照)の動作を制御する。また、槽コントローラ50は、各処理槽に付随して設けられている各種バルブや後述の加熱ヒータ12、溶解モジュール15等を制御するとともに、温度センサ13や濃度センサ16を管理する。なお、制御部30からの指示に基づいた槽コントローラ50による制御内容ついてはさらに後述する。
【0035】
<1−3.処理槽および処理液供給機構>
次に、基板処理装置1の処理槽およびその処理槽に処理液を供給する機構について説明する。ここでは、上述の多機能槽MBを処理槽の例として説明する。
【0036】
図3は、多機能槽MBおよび多機能槽MBに処理液を供給する機構を示す図である。多機能槽MBの内部には、リフターLH2(図1参照)によって基板Wが支持されている。そして、多機能槽MBの内部壁面には4本の供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4が配置されている。それぞれの供給ノズルNZ1(NZ2、NZ3、NZ4)は円筒形状の供給管であり、その円筒表面に処理液を吐出するための複数の吐出孔が設けられている。それぞれの供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4に形成された複数の吐出孔から多機能槽MBに処理液を吐出することによって、多機能槽MB内に処理液が貯留し、その処理液中にリフターLH2によって基板Wが支持されることにより、基板Wの表面処理が行われる。
【0037】
また、多機能槽MBの上端部外壁面には回収部20が設けられている。回収部20は、多機能槽MBの上端から溢れ出た処理液を回収する機能を有する。
【0038】
基板処理装置1においては、多機能槽MBに処理液を供給するための供給ラインが2系統設けられている。一方の系統は多機能槽MBに新たな処理液を供給する新液供給ラインNLであり、他方の系統は多機能槽MBから流出した処理液を新液供給ラインNLとは異なる経路にて循環させて多機能槽MBに再供給する処理液循環ラインCLである。
【0039】
新液供給ラインNLは、新たな処理液(以下、単に「新液」と称する場合もある)を供給することが可能であり、主として複数の液供給源とバルブとを備えている。バルブ75およびバルブ49を開放することによって純水供給源77から新たな純水を供給することができる。純水の供給量はレギュレータ74によって調節される。また、バルブ72およびバルブ49を開放することによって洗浄液供給源73からオゾン水、水素水等の洗浄液を供給することができる。流量計71は、そこを通過する純水または洗浄液の流量を計測する。
【0040】
バルブ41を開放することによって塩酸供給源45から塩酸(HCl)を、バルブ42を開放することによってアンモニア水供給源46からアンモニア水(NH4OH)を、バルブ43を開放することによってフッ酸供給源47からフッ酸(HF)を、バルブ44を開放することによって過酸化水素水供給源48から過酸化水素水(H22)をそれぞれ供給することができる。塩酸、アンモニア水、フッ酸、過酸化水素水のそれぞれは、流量調整弁78,79,80,81によってその供給量を調整することができる。なお、通常バルブ41,42,43,44およびバルブ49は一体のミキシングバルブとして構成されている。
【0041】
図3に示す如き構成によって、新液供給ラインNLは、複数種類の新たな処理液を多機能槽MBに供給することが可能である。例えば、新液供給ラインNLからSC−1を供給するときには、バルブ42、バルブ44、バルブ75およびバルブ49を開放し、純水にアンモニア水と過酸化水素水とを混合して多機能槽MBに送給する。純水、アンモニア水、過酸化水素水のそれぞれの流量はレギュレータ74、流量調整弁79、流量調整弁81によって調整される。
【0042】
また、新液供給ラインNLからSC−2を供給するときには、バルブ41、バルブ44、バルブ75およびバルブ49を開放し、純水に塩酸と過酸化水素水とを混合して多機能槽MBに送給する。純水、塩酸、過酸化水素水のそれぞれの流量はレギュレータ74、流量調整弁78、流量調整弁81によって調整される。なお、SC−1やSC−2を供給するときには、加熱ヒータ76によって純水を加熱・昇温した状態にて薬液を混合する場合が多い。
【0043】
また、新液供給ラインNLは、オゾン水や水素水等の機能水を供給することもできる。洗浄液供給源73は、純水中にオゾン等を溶解して所定濃度のオゾン水等を生成する機能を有しており、バルブ72を開放することによってその生成したオゾン水等を多機能槽MBに送給することができる。オゾン水等の流量は流量計71によって計測され、バルブ72の開閉によって調整される。
【0044】
一方、処理液循環ラインCLは、多機能槽MBから流出した使用済みの処理液を循環して多機能槽MBに再供給するためのラインであり、ポンプ10、加熱ヒータ12、温度センサ13、フィルタ14、溶解モジュール15、濃度センサ16、バルブ17および流量計18を備えている。多機能槽MBの上端から溢れ出た処理液は回収部20によって回収され、ポンプ10によって処理液循環ラインCLに沿って循環され多機能槽MBに再供給される。なお、処理液循環ラインCLに流入した処理液の一部は排液バルブ11を開放することによって装置外部に排出される。
【0045】
処理液循環ラインCLには加熱ヒータ12が設けられており、循環する処理液(以下、単に「循環液」と称する場合もある)を加熱ヒータ12によって加熱することができる。また、溶解モジュール15には図示を省略するガス供給ラインが接続されており、循環する処理液中に当該処理液の溶質を溶解することができる。加熱ヒータ12による処理液の加熱および溶解モジュール15による溶質の溶解は、それぞれ温度センサ13による測温結果および濃度センサ16による濃度測定結果に基づいて槽コントローラ50が制御する。また、フィルタ14は循環する処理液中のパーティクル等を除去する。
【0046】
本実施形態において、新液供給ラインNLは、供給バルブ22、24、26、28を介して供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4のぞれぞれと接続されている。一方、処理液循環ラインCLは、供給バルブ21、23、25、27を介して供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4のそれぞれと接続されている。ここで、例えば、供給ノズルNZ1に繋がる供給バルブ21と供給バルブ22とはいずれか一方が択一的に開放され、他方は閉鎖されるものである。供給バルブ21が開放されるとともに供給バルブ22が閉鎖されているときには、供給ノズルNZ1からは循環液のみが多機能槽MBに吐出される。逆に、供給バルブ21が閉鎖されるとともに供給バルブ22が開放されているときには、供給ノズルNZ1からは新液のみが多機能槽MBに吐出される。
【0047】
同様に、供給ノズルNZ2に繋がる供給バルブ23と供給バルブ24とはいずれか一方が択一的に開放され、他方は閉鎖される。供給ノズルNZ3に繋がる供給バルブ25と供給バルブ26もいずれか一方が択一的に開放され、他方は閉鎖される。供給ノズルNZ4に繋がる供給バルブ27と供給バルブ28もいずれか一方が択一的に開放され、他方は閉鎖される。すなわち、供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4のそれぞれは、新液供給ラインNLまたは処理液循環ラインCLのいずれかに接続されるのである。
【0048】
従って、本実施形態においては、多機能槽MBに処理液を供給するための供給ラインとしての新液供給ラインNLおよび処理液循環ラインCLは、相互に独立した機構として設けられており、供給バルブ21〜28は供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4ごとに新液供給ラインNLとの接続と処理液循環ラインCLとの接続とを切り換える切換手段としての役割を果たしている。
【0049】
<1−4.処理液供給態様>
次に、図3に示した新液供給ラインNLおよび処理液循環ラインCLから多機能槽MBへの処理液供給態様について説明する。上述のように、新液供給ラインNLは、種々の新液を多機能槽MBに供給することができる。処理液循環ラインCLは、多機能槽MBから流出した処理液を循環して再供給するためのラインであるため、その循環液の種類は新液供給ラインNLによって供給される処理液と同じである。
【0050】
多機能槽MBにおける一般的な処理内容は、処理液中にリフターLH2によって基板Wを浸漬して処理液を置換または処理液を置換した後基板Wを浸漬し、新液供給ラインNLおよび処理液循環ラインCLの双方から同時に多機能槽MBに処理液を供給して基板Wの表面処理を行うというものである。
【0051】
図4は、多機能槽MBへの新液および循環液の供給態様の一例を示す図である。処理液の種類にかかわらず、供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4のそれぞれからは新液または循環液が択一的に吐出される。図4の例では、供給バルブ24、28が開放されて、供給ノズルNZ2、NZ4からは図中矢印AR2、AR4にて示す如く新液が吐出されると同時に、供給バルブ21、25が開放されて、供給ノズルNZ1、NZ3からは図中矢印AR1、AR3にて示す如く循環液が吐出される。このときに、供給バルブ23、27が閉鎖されて供給ノズルNZ2、NZ4からの循環液吐出が停止されるとともに、供給バルブ22、26も閉鎖されて供給ノズルNZ1、NZ3からの新液吐出も停止されている。すなわち、新液供給ラインNLと処理液循環ラインCLとが相互に独立して設けられていることにより、新液および循環液は相互に相手の影響を受けることなく多機能槽MBに供給される。
【0052】
従って、供給ノズルNZ2、NZ4からの新液供給に際して、循環液による外乱を排除することができ、新液供給ラインNLにおける新液の特性を一定に保っておけば、基板Wのうちの供給ノズルNZ2、NZ4に近い部分の表面処理は均一でかつ安定したものとなる。さらに述べると、循環液による外乱をうけないために、新液供給ラインNLにおける新液の特性制御が容易になり、しかも新液の特性を安定させることができ、その結果基板Wのうちの供給ノズルNZ2、NZ4に近い部分の表面処理を均一でかつ安定したものとすることができるのである。そして、供給ノズルNZ1、NZ3からは循環液が供給されるため、多機能槽MBへの処理液供給量は豊富なものとなり、多機能槽MB内の処理液停滞部が排除されて反応速度を増加させることができるとともに、新液消費量を低減することができる。
【0053】
また、供給ノズルNZ1、NZ3から循環液を供給することによって多機能槽MB内を撹拌することができる。これによって、多機能槽MB内の処理液の特性を均一にすることができるとともに、反応速度をさらに高めることができる。
【0054】
また、供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4のそれぞれから新液または循環液のいずれを吐出するかについては槽コントローラ50が供給バルブ21〜28の開閉を制御することによって適宜切り換えることができる。図5は、供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4のそれぞれからの新液または循環液の吐出態様の一例を示すタイミングチャートである。
【0055】
図5の例では、時刻t0から時刻t1までの間は、図4にて示したように、供給ノズルNZ2、NZ4から新液が吐出されると同時に、供給ノズルNZ1、NZ3から循環液が吐出される。その後、時刻t1において供給バルブ22を開放するとともに、供給バルブ27を開放する(供給バルブ21および供給バルブ28は閉鎖する)ことにより、時刻t1から時刻t2までの間は、供給ノズルNZ1、NZ2から新液が吐出され、供給ノズルNZ3、NZ4から循環液が吐出される。
【0056】
以後、同様に供給バルブ21〜28の開閉を切り換えて、時刻t2から時刻t3までの間は、供給ノズルNZ1、NZ3から新液が吐出されると同時に、供給ノズルNZ2、NZ4から循環液が吐出される。時刻t3から時刻t4までの間は、供給ノズルNZ3、NZ4から新液が吐出されると同時に、供給ノズルNZ1、NZ2から循環液が吐出される。そして、時刻t4から時刻t5までの間は、時刻t0から時刻t1までと同様に、供給ノズルNZ2、NZ4から新液が吐出されると同時に、供給ノズルNZ1、NZ3から循環液が吐出され、以降同様の工程が繰り返される。すなわち、時刻t0から時刻t4までを1サイクルとして、これが複数サイクル繰り返されるのである。
【0057】
このようにすれば、特性の安定した新液を基板Wの各部分に順次に均一に供給することができるため、全体としての基板処理の均一性を確保することができる。
【0058】
また、処理液循環ラインCLには、加熱ヒータ12や溶解モジュール15が設けられており、これらによって循環液の特性を調整することにより、上述した処理液供給量確保以外の循環液供給による付加的な効果を得ることができる。加熱ヒータ12や溶解モジュール15の使用は処理液の種類によって異なるものであり、以下処理液の典型例としてオゾン水である場合およびSC−1である場合について述べる。
【0059】
<1−4−1.オゾン水>
オゾン水は、基板Wの表面に付着した有機物等を分解するために使用される。オゾン水を処理液とするときには、新液供給ラインNLにおけるバルブ49およびバルブ72を開放することによって洗浄液供給源73にて生成されたオゾン水を多機能槽MBに送給する。なお、オゾン水使用時には、バルブ41,42,43,44,75は閉鎖しておく。一方、処理液循環ラインCLによる処理液循環も同時に行う。
【0060】
供給バルブ21〜28の開閉の態様、すなわち供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4のそれぞれから新液または循環液のいずれを吐出するかについては上述と同じである。そして、新液供給ラインNLから供給するオゾン水の温度、濃度等の特性は一定にしておく。また、新液供給ラインNLからのオゾン水供給量も一定にしておく。従って、新液供給ラインNLにおける制御は、循環液による影響を受けない状況下にて新たなオゾン水の特性を一定に保つような制御のみで良いため、非常に容易なものとなる。そして、基板処理の均一性が確保できることは既述した通りである。さらに、処理液循環ラインCLによるオゾン水循環によって、豊富なオゾン水供給量を確保することができ、反応速度を高くすることができることも既述した通りである。
【0061】
ところで、オゾン水はそのオゾン濃度および温度が高いほど、有機物の分解速度が向上する。従って、多機能槽MBにオゾン濃度の高いオゾン水または温度の高いオゾン水を供給すれば、基板Wの表面処理に要する時間を短縮することができる。しかしながら、オゾン水の温度が高くなるとオゾンの溶解度が低下するため、オゾン濃度を低下させることなく新液供給ラインNLからの新たなオゾン水の温度を高くすることは困難である。そこで、処理液循環ラインCLの加熱ヒータ12によって循環されるオゾン水を加熱すれば、多機能槽MB内のオゾン水のオゾン濃度を低下させることなく、その温度を高くすることができ、その結果反応速度が増加して処理時間を短縮することができる。このときに、新液供給ラインNLから供給するオゾン水の特性は変化させないものとし、新液供給ラインNLにおける制御は容易なものとしている。
【0062】
また、オゾン水によって基板Wの表面洗浄処理を行うと、有機物の分解時にオゾンが消費され、多機能槽MBから処理液循環ラインCLに流出したオゾン水中のオゾン濃度は低下している。そこで、溶解モジュール15によって循環されるオゾン水にオゾンガスを再溶解すると、消費されたオゾンを補うことができる。その結果、多機能槽MB中のオゾン水のオゾン濃度を維持することができ、反応速度を速めて処理時間を短縮することができる。このときも、新液供給ラインNLから供給するオゾン水の特性は変化させないものとし、新液供給ラインNLにおける制御は容易なものとしている。
【0063】
以上のように、処理液循環ラインCLの加熱ヒータ12や溶解モジュール15を用いて循環されるオゾン水の特性を調整することにより、新液供給ラインNLと処理液循環ラインCLとを分離したことによる上述の効果に加えて、多機能槽MB内のオゾン濃度の調整や処理時間を短縮等の付加的な効果を得ることもできる。なお、処理液として水素水を用いる場合もオゾン水の場合とほぼ同じ態様となる。
【0064】
<1−4−2.SC−1>
SC−1は、半導体基板の洗浄に常用される洗浄液であり、80℃程度にまで昇温して使用することも多い。SC−1を処理液とするときには、新液供給ラインNLにおけるバルブ49およびバルブ75を開放するとともに、バルブ42およびバルブ44を開放することによって純水中にアンモニア水と過酸化水素水とを混合して多機能槽MBに送給する。このときに、加熱ヒータ76によって純水を加熱し、昇温されたSC−1を送給している。なお、SC−1使用時には、バルブ41,43,72は閉鎖しておく。一方、処理液循環ラインCLによる処理液循環も同時に行う。
【0065】
供給バルブ21〜28の開閉の態様、すなわち供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4のそれぞれから新液または循環液のいずれを吐出するかについては上述と同じである。そして、新液供給ラインNLから供給するSC−1の温度、濃度等の特性は一定にしておく。また、新液供給ラインNLからのSC−1供給量も一定にしておく。従って、新液供給ラインNLにおける制御は、循環液による影響を受けない状況下にて新たなSC−1の特性を一定に保つような制御のみで良いため、非常に容易なものとなる。そして、基板処理の均一性が確保できることは既述した通りである。さらに、処理液循環ラインCLによるSC−1循環によって、豊富なSC−1供給量を確保することができ、反応速度を高くすることができることも既述した通りである。
【0066】
ところで、多機能槽MBに供給されたSC−1の温度は徐々に低下し、多機能槽MBから処理液循環ラインCLに流出したSC−1の温度は新液供給ラインNLから供給されるSC−1の温度よりも低くなっている。そこで、処理液循環ラインCLの加熱ヒータ12によって循環されるSC−1を再加熱すれば、多機能槽MB内のSC−1の温度を維持することができ、その結果反応速度の低下を防止することができる。このときに、新液供給ラインNLから供給するSC−1の特性は変化させないものとし、新液供給ラインNLにおける制御は容易なものとしている。
【0067】
以上のように、処理液循環ラインCLの加熱ヒータ12を用いて循環されるSC−1の温度を調整することにより、新液供給ラインNLと処理液循環ラインCLとを分離したことによる上述の効果に加えて、反応速度の低下防止という付加的な効果を得ることもできる。なお、処理液としてSC−2を用いる場合もSC−1の場合とほぼ同じ態様となる。
【0068】
<2.第2実施形態>
<2−1.多機能槽MBの構成>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態の基板処理装置の構成を示す図である。図3と対比すると明らかなように、第2実施形態の基板処理装置が第1実施形態と相違するのは、多機能槽MBの内部に基板Wを回転させるための2本のローラ140a,140bを設けている点および基板Wを回転させるのに必要な機構を設けている点である。残余の点、例えば装置の全体構成や処理液供給機構については第1実施形態と同じであるため、同一の符号を付してその説明については省略する。
【0069】
図7は第2実施形態の多機能槽MBを正面から見た断面図であり、図8は多機能槽MBを上面から見た平面図であり、図9は多機能槽MBの側面図である。なお、図7および以降の各図にはそれらの方向関係を明確にするため必要に応じてZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を付している。
【0070】
第2実施形態においては、多機能槽MBの内部に4本の供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4の他、2本の転倒防止部130a,130bおよび2本のローラ140a,140bを備えるとともに、多機能槽MBの外部にローラ140a,140bを回転駆動させるローラ駆動部150を備えている。
【0071】
第1実施形態と同様に、多機能槽MBには4本の供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4から処理液が供給され貯留される。このときの処理液供給態様は第1実施形態と全く同じである。すなわち、新液供給ラインNLと処理液循環ラインCLとが相互に独立して設けられていることにより、新液および循環液は相互に相手の影響を受けることなく多機能槽MBに供給される。なお、図示の便宜上、図8および図9では供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4の記載を省略している。
【0072】
リフターLH2の基板受部56a(図1参照)は、3本の保持棒125a,125b,125cによって構成されている。そして、リフターLH2がその3本の保持棒125a,125b,125cに1組の複数の基板W(ロット)を保持させつつ昇降することによって、それら複数の基板Wを多機能槽MB内の処理液中に浸漬したり、処理液から引き揚げたりすることができる。
【0073】
より具体的には、リフターLH2の3本の保持棒125a、125b、125cのそれぞれには基板Wの外縁部がはまり込んで基板Wを起立姿勢にて保持する複数の保持溝が所定間隔に配列して刻設されている。複数の基板Wを多機能槽MBの処理液中に浸漬するときには、まず3本の保持棒125a、125b、125cの保持溝に各基板Wの端縁部がはまり込み、それぞれの主面が鉛直方向に沿って相互に所定の間隔を隔てて積層された状態にて複数の基板Wが3本の保持棒125a、125b、125cに保持される(図7の一点鎖線の状態)。その状態からリフターLH2が降下すると、3本の保持棒125a、125b、125cに保持された複数の基板Wも降下してやがて多機能槽MB内の処理液中に浸かる。さらに、リフターLH2が降下を続けると、複数の基板Wの全体が処理液中に浸漬され、3本の保持棒125a、125b、125cから2本のローラ140a,140bに複数の基板Wが渡されるとともに、3本の保持棒125a、125b、125cが基板Wから離れて若干下方に降下した位置にて停止する(図7の実線の状態)。
【0074】
逆に、複数の基板Wを多機能槽MBの処理液から引き揚げるときには、図7の実線の状態からリフターLH2が上昇し、ローラ140a,140bに支持されている複数の基板Wに3本の保持棒125a、125b、125cが当接し、その保持溝に各基板Wの端縁部がはまり込む。そして、リフターLH2がさらに上昇すると、ローラ140a,140bから3本の保持棒125a、125b、125cに複数の基板Wが受け渡され、やがて複数の基板Wが3本の保持棒125a、125b、125cに相互に所定の間隔を隔てて積層保持された状態にて処理液から引き揚げられ、図7の一点鎖線の状態に戻る。
【0075】
2本のローラ140a,140bは、多機能槽MBに貯留された処理液中にて複数の基板Wを支持するとともに、それら基板WをX方向を軸として回転させる機能を有する。2本のローラ140a,140bは、それぞれ多機能槽MBの底面と平行に配置され、複数の基板Wの主面を鉛直方向(Z軸方向)に沿わせた状態にてその端縁部を支持する円柱状体である。複数の基板Wの支持を容易にするため、各ローラ140a,140bの表面には所定間隔にて凹凸を形成するようにしても良い。各凹部に複数の基板Wの端縁部がそれぞれはまり込むことにより、各基板Wが所定の間隔を隔てて主面を鉛直方向に沿わせた状態にて2本のローラ140a,140bに保持されることとなる。
【0076】
洗浄処理や薬液処理を行うときには、図7に示すように、複数の基板Wは2本のローラ140a,140bのみによって支持されており、リフターLH2の保持棒125a、125b、125cが基板Wから離間している。すなわち、リフターLH2は処理の前後に単に基板Wを多機能槽MBの内外で昇降させるだけの機能を有しているのである。そして、洗浄処理や薬液処理を行うときには、図7中矢印AR7にて示すように、2本のローラ140a,140bがそれらの長手方向(X軸方向)を軸としてそれぞれ回転し、これに伴ってローラ140a,140bに支持された複数の基板Wが図7中矢印AR8にて示すようにX軸方向を軸として回転する。
【0077】
ここで第2実施形態では、2本のローラ140a,140bがローラ駆動部150から非接触にて回転駆動力を受け、多機能槽MBとは非接触にて回転するのであるが、この機構の詳細についてはさらに後述する。
【0078】
2本の転倒防止部130a,130bは、ローラ140a,140bによって支持された複数の基板Wの転倒を防止するための部材である。2本の転倒防止部130a,130bは、それぞれ固定部材135a,135bを介して多機能槽MBの内壁面に固設されている(図8参照)。図9に示すように、2本の転倒防止部130a,130bのそれぞれには凹部131と凸部132とが所定のピッチにて形成されている。凹部131および凸部132が形成されるピッチは、2本のローラ140a,140bによって複数の基板Wが支持される配列間隔と同じである。
【0079】
ローラ140a,140bによって支持され回転される基板Wは、2本の転倒防止部130a,130bによっては支持されていない。図10は、ローラ140a,140bによって支持された基板Wと転倒防止部130a,130bとの位置関係を示す図である。ローラ140a,140bによって支持された基板Wの端縁部は、転倒防止部130a(130b)の凹部131には接触していない。すなわち、転倒防止部130a,130bには基板Wの荷重が作用することはないのである。
【0080】
一方、転倒防止部130a(130b)の相互に隣接する凸部132は、ローラ140a,140bによって支持された基板Wの端縁部を非接触にて挟む位置に形成されている。この凸部132は、ローラ140a,140bによって基板Wが鉛直方向に沿って正確に支持されているときはその端縁部に接触するものではないが、何らかの原因によって基板WがX方向に倒れかけたときにその端縁部に接触して転倒を防止する。つまり、2本の転倒防止部130a,130bは、ローラ140a,140bによって支持された基板Wの荷重を支持するものではないが、その端縁部を非接触にて挟む位置に設けられて基板Wの転倒を防止する役割を果たしている。この目的のためには、ローラ140a,140bによって支持された基板Wの可能な限り上方側端縁部を挟む位置に2本の転倒防止部130a,130bを設けるのが好ましい。
【0081】
ローラ駆動部150は、多機能槽MBの外部に設けられるとともに、主としてモータ152と駆動力伝達シャフト151a,151bとを備えている。図11は、ローラ駆動部150を示す図であって、多機能槽MBを背面から((−X)向きに)見た図である。駆動力伝達シャフト151a,151bは、ローラ140a,140bの長手方向(X方向)を軸として回転自在に設けられたシャフトであり、モータ152の回転駆動力をそれぞれ2本のローラ140a,140bに伝達するものであるが、後述の如く各ローラ140a,140bとは直接接触していない。2本の駆動力伝達シャフト151a,151bには、それぞれプーリ155a,155bが固設されている。モータ152のモータ軸153とプーリ155aとにはベルト154aが巻き掛けられるとともに、モータ軸153とプーリ155bとにはベルト154bが巻き掛けられる。
【0082】
このような構成により、モータ152がモータ軸153を回転させると、その回転駆動力はベルト154a,154bを介してプーリ155a,155bに伝達され、駆動力伝達シャフト151a,151bが回転することとなる。なお、プーリ155a,155bの径は全く同一である。従って、モータ軸153の回転数にかかわらず、2本の駆動力伝達シャフト151a,151bの回転数は相互に同一である。
【0083】
<2−2.ローラの保持機構および回転機構>
上述したように、2本のローラ140a,140bはローラ駆動部150から非接触にて回転駆動力を受け、多機能槽MBと非接触にて回転するものであり、以下これを実現するための機構について説明する。第2実施形態では、かかる機構として磁力によりローラ140a,140bを多機能槽MBと非接触状態にて保持する非接触保持機構と、磁力により非接触にて回転させる非接触回転機構とを備えている。さらに、非接触保持機構はローラ140a,140bをその径方向について多機能槽MBと非接触状態とする径方向接触防止機構およびローラ140a,140bをその長手方向について多機能槽MBと非接触状態とする長手方向接触防止機構により構成されている。なお、以下においてはローラ140aについて説明するが、ローラ140bについても全く同様である。
【0084】
図12は、ローラ140aの保持機構および回転機構を示す図である。図13は、図12の左側部分を拡大した図であり、ローラ140aにおけるローラ駆動部150から遠い側の部分を示す図である。また、図14は、図12の右側部分を拡大した図であり、ローラ140aにおけるローラ駆動部150に近い側の部分を示す図である。
【0085】
<2−2−1.径方向接触防止機構>
ローラ140aの径方向接触防止機構は、円柱磁石141,144およびリング状磁石142,145によって構成されており、磁力により円柱状体のローラ140aをその径方向について多機能槽MBと非接触状態とする。
【0086】
円柱磁石141は、その中心軸がローラ140aの長手方向(X軸方向)に沿った円柱形状の磁石であって、ローラ受け部149に内蔵されている。ローラ受け部149は、多機能槽MBに固設された部材であって、径の異なる2つの円柱162,163をX軸方向に沿って2段に積み重ねた形状を有している。円柱磁石141は、それらのうちの径の小さい方の円柱163に内蔵されている。円柱磁石141の(+X)側にはN極が形成され、(−X)側にはS極が形成されている(図13参照)。
【0087】
リング状磁石142は、その中心軸がローラ140aの長手方向(X軸方向)に一致する円環形状の磁石であって、ローラ140aの一端側((−X)側端部)に内蔵されている。ローラ140aの上記一端側には円柱形状の凹部161が形成されており、リング状磁石142はその凹部161の周囲を囲むようにしてローラ140a内に配置されている。リング状磁石142の(+X)側にはN極が形成され、(−X)側にはS極が形成されている。なお、凹部161の内径は円柱163の径よりも大きく、凹部161の深さ(X軸方向長さ)は円柱163の高さ(X軸方向長さ)と等しい。
【0088】
一方、円柱磁石144は、その中心軸がローラ140aの長手方向(X軸方向)に一致する円柱形状の磁石であって、ローラ140aの他端側((+X)側端部)に内蔵されている。ローラ140aの上記他端側には円柱形状の凸部164が形成されており、円柱磁石144はその凸部164内に配置されている。円柱磁石144の(+X)側にはN極が形成され、(−X)側にはS極が形成されている(図14参照)。
【0089】
リング状磁石145は、その中心軸がローラ140aの長手方向(X軸方向)に沿った円環形状の磁石であって、多機能槽MBの槽壁内に内蔵されている。多機能槽MBの槽壁の一部には中空円筒形状の凸部115が形成されており、リング状磁石145はその凸部115内に配置されている。リング状磁石145の(+X)側にはN極が形成され、(−X)側にはS極が形成されている。なお、多機能槽MBの凸部115の内径はローラ140aの凸部164の径よりも大きく、凸部115の長さ(X軸方向長さ)は凸部164の長さ(X軸方向長さ)と等しい。
【0090】
ローラ140aの上記一端側の凹部161にはローラ受け部149の径の小さい方の円柱163が遊嵌されるとともに(図13)、上記他端側の凸部164は多機能槽MBの中空円筒形状の凸部115に遊嵌されている(図14)。これにより、円柱磁石141がリング状磁石142の内側に位置するとともに、円柱磁石144がリング状磁石145の内側に位置する。その結果、円柱磁石141のN極およびS極がそれぞれリング状磁石142のN極およびS極と対向することとなり、円柱磁石141とリング状磁石142との間には磁力による斥力が作用する。リング状磁石142は円柱磁石141の周囲を覆うように配置されているものであり、両者の間に斥力が作用するとリング状磁石142の中心に円柱磁石141が位置するように、より正確には円柱磁石141の中心軸とリング状磁石142の中心軸とが一致するように双方の位置が規制される。
【0091】
その結果、ローラ140aの凹部161とローラ受け部149の円柱163との間には円柱163の周方向の全体にわたって一定間隔の隙間が生じ、ローラ140aの一端側ではその径方向について、すなわちYZ平面に関して多機能槽MBと非接触状態となる。
【0092】
同様に、円柱磁石144がリング状磁石145の内側に位置すると、円柱磁石144のN極およびS極がそれぞれリング状磁石145のN極およびS極と対向することとなり、円柱磁石144とリング状磁石145との間には磁力による斥力が作用する。リング状磁石145は円柱磁石144の周囲を覆うように配置されているものであり、両者の間に斥力が作用するとリング状磁石145の中心に円柱磁石144が位置するように、より正確には円柱磁石144の中心軸とリング状磁石145の中心軸とが一致するように双方の位置が規制される。
【0093】
その結果、ローラ140aの凸部164と多機能槽MBの凸部115内側との間には凸部164の周方向の全体にわたって一定間隔の隙間が生じ、ローラ140aの他端側ではその径方向について、すなわちYZ平面に関して多機能槽MBと非接触状態となる。
【0094】
以上のようにして、ローラ140aの両端において磁力によりその径方向について多機能槽MBと非接触状態となり、いわばローラ140aが中空に浮遊した状態となる。
【0095】
<2−2−2.長手方向接触防止機構>
上述した径方向接触防止機構のみではローラ140aが中空に浮遊したとしても、X軸方向に滑動して多機能槽MBと接触する可能性がある。これを防止するために、ローラ140aのX軸方向の移動を規制するのが長手方向接触防止機構である。ローラ140aの長手方向接触防止機構は、リング状磁石142,145およびリング状磁石143,146によって構成されており、磁力により円柱状体のローラ140aをその長手方向について多機能槽MBと非接触状態とする。なお、リング状磁石142,145については、径方向接触防止機構と長手方向接触防止機構との双方の役割を担っている。
【0096】
リング状磁石142,145については、上述した通りである。リング状磁石143は、その中心軸がローラ140aの長手方向(X軸方向)に沿った円環形状の磁石であって、ローラ受け部149の径の大きい方の円柱162に内蔵されている。リング状磁石143の中心軸は、円柱磁石141の中心軸と一致している。また、リング状磁石143は、リング状磁石142と等しい径を有している。リング状磁石143の(+X)側にはS極が形成され、(−X)側にはN極が形成されている。
【0097】
リング状磁石146は、その中心軸がローラ140aの長手方向(X軸方向)に一致する円環形状の磁石であって、ローラ140aの本体部の他端側((+X)側端部)に内蔵されている。リング状磁石146の中心軸は、円柱磁石144の中心軸と一致している。また、リング状磁石146は、リング状磁石145と等しい径を有している。リング状磁石146の(+X)側にはS極が形成され、(−X)側にはN極が形成されている。
【0098】
上述したように、ローラ140aの一端側の凹部161にはローラ受け部49の径の小さい方の円柱163が遊嵌されるとともに、他端側の凸部164は多機能槽MBの中空円筒形状の凸部115に遊嵌される。これにより、リング状磁石142のS極とリング状磁石143のS極とが対向するとともに、リング状磁石145のS極とリング状磁石146のS極とが対向することとなる。その結果、リング状磁石142とリング状磁石143との間に磁力による斥力が作用するとともに、リング状磁石146とリング状磁石145との間にも磁力による斥力が作用する。
【0099】
従って、ローラ140aはリング状磁石143およびリング状磁石145によって両側から押圧されることとなり、ローラ140aの一端側とローラ受け部149との間およびローラ140aの他端側と多機能槽MBの凸部115との間のそれぞれにはX軸方向についての一定間隔の隙間が生じる。すなわち、ローラ140aはその長手方向について多機能槽MBと非接触状態となる。
【0100】
以上説明したように、径方向接触防止機構および長手方向接触防止機構の双方によって、ローラ140aの位置はXYZの全方向について規制されることとなり、ローラ140aは多機能槽MBと非接触状態にて保持されることとなる。なお、基板処理中においては、ローラ140aと多機能槽MBとの間に生じた隙間には処理液が満たされる。
【0101】
<2−2−3.非接触回転機構>
非接触回転機構は、円柱状駆動磁石147とリング状駆動磁石148とによって構成されており、ローラ駆動部150からの回転駆動力を非接触にてローラ140aに伝達する。
【0102】
円柱状駆動磁石147は、その中心軸がローラ140aの長手方向(X軸方向)に一致する円柱形状の磁石であって、ローラ140aの凸部164に内蔵されている。図15は、円柱状駆動磁石147をその中心軸方向(X軸方向)から見た平面図である。円柱状駆動磁石147はその周方向に8つの領域に分割されている。8つの領域のそれぞれはN極またはS極の極性を交互に有している。換言すれば、4本のN極の扇形柱と4本のS極の扇形柱とを交互に組み合わせて円柱状駆動磁石147を構成している。
【0103】
リング状駆動磁石148は、その中心軸がローラ140aの長手方向(X軸方向)に沿ったリング形状の磁石であって、駆動力伝達シャフト151aの先端に内蔵されている。リング状駆動磁石148は、ローラ140aの他端側の凸部164が多機能槽MBの中空円筒形状の凸部115に遊嵌された状態において、円柱状駆動磁石147の周囲に多機能槽MBの壁を挟み込んで配置されることとなる(図14参照)。
【0104】
図16は、リング状駆動磁石148をその中心軸方向(X軸方向)から見た平面図である。円柱状駆動磁石147と同様に、リング状駆動磁石148はその周方向に8つの領域に分割されている。8つの領域のそれぞれはN極またはS極の極性を交互に有している。
【0105】
円柱状駆動磁石147の周囲に多機能槽MBの壁を挟み込んでリング状駆動磁石148が配置されると、円柱状駆動磁石147のS極とリング状駆動磁石148のN極との間に磁力による引力が作用するとともに、円柱状駆動磁石147のN極とリング状駆動磁石148のS極との間にも磁力による引力が作用する。この状態にて、ローラ駆動部150のモータ152が駆動力伝達シャフト151aを回転させると、駆動力伝達シャフト151aに内蔵されたリング状駆動磁石148も回転する。そして、リング状駆動磁石148と円柱状駆動磁石147との間に作用する引力によって、モータ152の回転駆動力がローラ140aに伝達され、ローラ140aが回転することとなる。
【0106】
以上のようにして、ローラ140aにはローラ駆動部150から非接触にて回転駆動力が伝達され、ローラ140aはローラ駆動部150によって磁力により非接触にて回転される。なお、ローラ140bの構成についてもローラ140aの構成と同一である。
【0107】
<2−3.回転処理内容>
次に、上記構成を有する第2実施形態の基板処理装置における処理内容について説明する。ここでは処理の一例としてオゾン水による基板Wの洗浄処理を行うものとする。
【0108】
多機能槽MBへの処理液供給態様については上記の第1実施形態と同じである。すなわち、供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4のそれぞれから新液または循環液が順次に切り換えられて供給される。そして、新液供給ラインNLから供給するオゾン水の温度、濃度等の特性は一定にするとともに、処理液循環ラインCLの加熱ヒータ12や溶解モジュール15を用いて循環されるオゾン水の特性を調整する。
【0109】
一方、オゾン水による洗浄処理中においては2本のローラ140a,140bによって基板Wが所定の間隔を隔てて主面を鉛直方向に沿わせた状態にて支持され、3本の保持棒125a、125b、125cは基板Wから離間している。この状態にて、ローラ駆動部150が2本のローラ140a,140bを回転させることによってそれらに支持された複数の基板Wを一斉に回転させる。このようにしてオゾン水による複数の基板Wに対する洗浄処理が進行する。
【0110】
やがて、所定の処理時間が経過して基板洗浄処理が終了した時点で、ローラ140a,140bによる基板Wの回転が停止し、リフターLH2が上昇して複数の基板Wを多機能槽MBから引き揚げる。
【0111】
以上のようにすれば、第1実施形態と同様の効果が得られるのに加えて、ローラ140a,140bが基板Wを回転させるため、より均一な基板処理を行うことができる。
【0112】
また、ローラ駆動部150が多機能槽MBの外部に設けられ、ローラ140a,140bを磁力によって非接触にて回転させるため、ローラ駆動部150が発塵したとしても、それがパーティクルとして多機能槽MB内に混入することは防止される。すなわち、パーティクル発生源たるローラ駆動部150と多機能槽MB内部とが完全に分離されることとなり、多機能槽MB内でのパーティクル発生が防止されるのである。
【0113】
また、径方向接触防止機構および長手方向接触防止機構の双方によって、ローラ140a,140bは多機能槽MBと非接触状態にて保持されることとなるため、ローラ駆動部150によってローラ140a,140bが回転したとしても、ローラ140a,140bと多機能槽MBとの摺動による発塵が防止されることとなる。
【0114】
さらに、特性の安定した新液を基板Wの各部分に順次に均一に供給することに加えて、ローラ140a,140bが基板Wを回転させることにより、全体としての基板処理の均一性をがより一層確実なものとなる。
【0115】
すなわち、本実施形態の基板処理装置においては、パーティクルを発生させることなく処理液中にて基板Wを回転させることができ、清浄な環境中にて均一な基板処理を行うことができるのである。その結果、処理時間の短縮、高スループットを実現することができるとともに、コスト低減を図ることができる。
【0116】
また、基板Wの回転数によっては、基板W上の反応を支配している境膜の膜厚を薄くできるため、反応速度を大きくすることができる。
【0117】
また、ローラ140a,140bが多機能槽MBと非接触状態にて保持されているため、ローラ140a,140bの回転に摩擦が生じず、ローラ駆動部150はローラ140a,140bを容易に回転させることができる。
【0118】
さらに、転倒防止部130a,130bが各基板Wの転倒を防止しているため、ローラ140a,140bが複数の基板Wを回転させたとしても、それらが転倒して破損することが防止される。
【0119】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記の例に限定されるものではない。例えば、上記各実施形態においては、4本の供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4のそれぞれから新液または循環液を択一的に吐出するようにしていたが、新液および循環液のための専用供給ノズルを少なくとも1本ずつ設けておけば、他の供給ノズルについては新液および循環液を混合して吐出するようにしても良い。具体的には、例えば供給ノズルNZ1から新液および循環液を混合して吐出する場合には、供給バルブ21および供給バルブ22の双方を開放する。このようにすれば上記実施形態における効果に加えて、混合して吐出する供給ノズルからの流速が増加し、多機能槽MB内における処理液置換効率が高まる。
【0120】
また、上記各実施形態においては、4本の供給ノズルNZ1、NZ2、NZ3、NZ4を設けていたが、供給ノズルは2本以上設けてあれば良い。
【0121】
また、上記各実施形態においては、処理液循環ラインCLに加熱ヒータ12を設けていたが、加熱ヒータ12に代えてまたは加熱ヒータ12と併せて冷却機能を有する冷却装置を設けるようにしても良い。すなわち、処理液循環ラインCLに循環液の温調手段を設けて循環液の温調を行うことにより、新液供給ラインNLと処理液循環ラインCLとを分離したことによる上述の効果に加えて、多機能槽MB内の処理液の温度を調整することができるという付加的な効果を得ることができる。なお、処理液循環ラインCLにおける加熱ヒータ12および溶解モジュール15は必須のものではなく、処理液の種類等の必要に応じて適宜設ければ良いものである。
【0122】
また、第2実施形態においては、モータ152がリング状駆動磁石148を回転させることにより円柱状駆動磁石147に非接触にて回転駆動力を伝達してローラ140a,140bを回転させていたが、これに限定されるものではなく、円柱状駆動磁石147の周囲に多機能槽MBの壁を挟み込んでリング状に配置された電磁石をローラ駆動部150としても良い。より具体的には、円柱状駆動磁石147の周囲に多機能槽MBの壁を挟み込んで8個の電磁石をリング状に配置する。各電磁石には同一の所定周波数の交流電流を通電するとともに、隣接する電磁石に通電する交流の位相は相互に半周期だけ異なるようにする。このようにしても、第2実施形態と同じように電磁石の磁力によって円柱状駆動磁石147に非接触にて回転駆動力を伝達することができ、通電する交流の周波数に応じた回転数にてローラ140a,140bを非接触にて回転させることができる。
【0123】
また、電磁石を用いれば機械的な摩擦や摺動を生じることがないため、多機能槽MBの外部においてもパーティクルの発生を抑制することができ、より清浄度の高い環境を実現することができる。
【0124】
また、第2実施形態における各磁石の極性を全て逆転させるようにしても良いことは勿論である。
【0125】
また、第2実施形態においては、円柱状駆動磁石147およびリング状駆動磁石148を8分割するようにしていたが、これに限定されるものではなく、双方の間に磁力による引力を作用させることができる形態であれば例えば4分割とするようにしても良い。
【0126】
また、例えば、第2実施形態におけるローラ140aの一端側((−X)側端部)に凸部を形成するようにし、その凸部に内蔵した円柱磁石をリング状磁石143の内側に配置するようにしても良い。すなわち、磁力によってローラ140aの位置をXYZの全方向について規制し、ローラ140aを処理槽10と非接触状態にて保持できる形態であれば種々の変更が可能である。
【0127】
さらに、上記各実施形態においては、多機能槽MBを処理槽の例として説明したが、薬液槽CBや水洗槽WBについても本発明に係る技術を適用することができる。
【0128】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1の発明によれば、複数の供給部のそれぞれが新液供給ラインまたは処理液循環ラインのいずれかに接続されるため、新液供給ラインと処理液循環ラインとは互いに独立したものとなり、処理液の循環によって豊富な処理液供給量を確保しつつも、新液供給ラインに対する循環液による影響を排除することができ、処理液の特性制御を容易なものとすることができる。また、供給管ごとに適当なタイミングにて新液供給と循環液供給とを切り換えることにより、全体としての基板処理の均一性を確保することができる。
【0129】
また、請求項2の発明によれば、複数の供給ノズルのうちの一部を新液供給ラインに接続するとともに、残部を処理液循環ラインに接続しているため、処理槽への処理液供給量を豊富なものとすることができ、新液消費量を低減することもできる
【0130】
また、請求項3の発明によれば、複数の供給ノズルのうちの一部を新液供給ラインに接続して残部を処理液循環ラインに接続した後に、当該一部を処理液循環ラインに接続して当該残部を新液供給ラインに接続しているため、全体としての基板処理の均一性を確保することができる
【0131】
また、請求項4の発明によれば、循環される処理液の温度調節を行う温調手段を処理液循環ラインに備えているため、新液の特性を変化させることなく、循環液を温調することによって処理槽内の処理液の温度を調整することができる
【0132】
また、請求項5の発明によれば、循環される処理液に当該処理液の溶質を溶解する溶解手段を処理液循環ラインに備えているため、新液の特性を変化させることなく、循環液に溶質を再溶解することによって処理槽内の処理液の濃度を調整することができる
【0133】
また、請求項6の発明によれば、処理液をオゾン水とし、循環されるオゾン水にオゾンガスを溶解するため、新液の特性を変化させることなく、処理槽内のオゾン水のオゾン濃度を調整することができる
【0134】
また、請求項7の発明によれば、処理槽に貯留された処理液中にて基板を回転するため、均一な基板処理を行うことができる。
【0135】
また、請求項8の発明によれば、基板回転手段が、処理槽に貯留された処理液中にて基板を支持する基板支持手段と、基板支持手段を処理槽と非接触状態にて保持する非接触保持機構と、処理槽外に設けられ、基板支持手段を非接触にて回転させる非接触駆動手段と、を含むため、処理槽内における発塵が防止され、パーティクルを発生させることなく処理液中にて基板を回転させて均一な基板処理を行うことができる。
【0136】
また、請求項9の発明によれば、非接触保持機構が磁力により基板支持手段を処理槽と非接触状態にて保持し、非接触駆動手段が基板支持手段を磁力により非接触にて回転させるため、請求項8の発明による効果を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板処理装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1の基板処理装置の制御機構を説明するための機能ブロック図である。
【図3】図1の基板処理装置の多機能槽およびその多機能槽に処理液を供給する機構を示す図である。
【図4】多機能槽への新液および循環液の供給態様の一例を示す図である。
【図5】供給ノズルのそれぞれからの新液または循環液の吐出態様の一例を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態の基板処理装置の構成を示す図である。
【図7】第2実施形態の多機能槽を正面から見た断面図である。
【図8】多機能槽を上面から見た平面図である。
【図9】多機能槽の側面図である。
【図10】ローラによって支持された基板と転倒防止部との位置関係を示す図である。
【図11】ローラ駆動部を示す図である。
【図12】ローラの保持機構および回転機構を示す図である。
【図13】図12の左側部分を拡大した図である。
【図14】図12の右側部分を拡大した図である。
【図15】円柱状駆動磁石をその中心軸方向から見た平面図である。
【図16】リング状駆動磁石をその中心軸方向から見た平面図である。
【図17】従来における処理液循環機構を備えた基板処理装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
12 加熱ヒータ
15 溶解モジュール
21,22,23,24,25,26,27,28 供給バルブ
130a,130b 転倒防止部
140a,140b ローラ
141,144 円柱磁石
142,143,145,146 リング状磁石
147 円柱状駆動磁石
148 リング状駆動磁石
150 ローラ駆動部
152 モータ
CL 処理液循環ライン
MB 多機能槽
NL 新液供給ライン
NZ1,NZ2,NZ3,NZ4 供給ノズル
W 基板

Claims (9)

  1. 処理槽に所定の処理液を供給しつつ、その処理液中に基板を浸漬することによって基板処理を行う基板処理装置であって、
    前記処理槽に配置された複数の供給ノズルと、
    前記処理槽に新たな処理液を供給する新液供給ラインと、
    前記処理槽から流出した処理液を前記新液供給ラインとは異なる経路にて循環させて前記処理槽に再供給する処理液循環ラインと、
    前記複数の供給ノズルごとに前記新液供給ラインとの接続と前記処理液循環ラインとの接続とを切り換える切換手段と、
    を備え、
    前記複数の供給ノズルのそれぞれは、前記切換手段によって前記新液供給ラインまたは前記処理液循環ラインのいずれかに接続されることを特徴とする基板処理装置。
  2. 請求項1記載の基板処理装置において、
    前記切換手段は、前記複数の供給ノズルのうちの一部を前記新液供給ラインに接続するとともに、残部を前記処理液循環ラインに接続することを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項2記載の基板処理装置において、
    前記切換手段は、前記複数の供給ノズルのうちの一部を前記新液供給ラインに接続して残部を前記処理液循環ラインに接続した後に、当該一部を前記処理液循環ラインに接続して当該残部を前記新液供給ラインに接続することを特徴とする基板処理装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の基板処理装置において、
    前記処理液循環ラインは、循環される処理液の温度調節を行う温調手段を備えることを特徴とする基板処理装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の基板処理装置において、
    前記処理液循環ラインは、循環される処理液に当該処理液の溶質を溶解する溶解手段を備えることを特徴とする基板処理装置。
  6. 請求項5記載の基板処理装置において、
    前記処理液はオゾン水であり、
    前記溶解手段は、循環されるオゾン水にオゾンガスを溶解することを特徴とする基板処理装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の基板処理装置において、
    前記処理槽に貯留された処理液中にて基板を回転する基板回転手段をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
  8. 請求項7記載の基板処理装置において、
    前記基板回転手段は、
    前記処理槽に貯留された処理液中にて基板を支持する基板支持手段と、
    前記基板支持手段を前記処理槽と非接触状態にて保持する非接触保持機構と、
    前記処理槽外に設けられ、前記基板支持手段を非接触にて回転させる非接触駆動手段と、
    を含むことを特徴とする基板処理装置。
  9. 請求項8記載の基板処理装置において、
    前記非接触保持機構は、磁力により前記基板支持手段を前記処理槽と非接触状態にて保持し、
    前記非接触駆動手段は、前記基板支持手段を磁力により非接触にて回転させることを特徴とする基板処理装置。
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