JP3808006B2 - 意匠面に使用されるインストルメントパネル用インテグラルスキンポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔かい触感と優れた外観が要求される自動車用インストルメントパネルの意匠面に使用されるインテグラルスキンポリウレタンフォームに関するものである。インテグラルスキンポリウレタンフォームとは、型による成形時に表面付近のみフォーム密度をあげてスキン層を形成させた表皮スキン付きポリウレタンフォームをいう。ポリウレタンインテグラルスキンフォームは、表皮スキン層とフォーム層が同時に成形されることから、触感を要求される意匠部品、例えばステアリングホイール、コンソールボックス及びアームレスト等の自動車部品に用いられる。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、意匠面に使用されるインストルメントパネル用ポリウレタンインテグラルスキンフォームは成形品密度=0.2〜0.5g/cm3で、発泡剤として、クロロフルオロカーボン、なかでもトリクロロフルオロメタン(CFC −11 )が主として使用されていたが、大気中のオゾン層を破壊することが判り、使用が禁止されている。近年、コストおよび環境の面から、水を使って発泡させる水発泡が主として使われている。
【0003】
ところが、水発泡で密度が0 .2 〜0 .8g /cm3のポリウレタン発泡体を成形する場合インテグラルスキンを形成することは、非常に困難である(Urethane Technology p32:Oct./Nov.1994 )。水とイソシアネートの反応をコントロールするために水を水和塩の形で加える技術(特開平6 −1820 号公報他)、反応原料の粘度を高くした上で触媒や架橋剤を多量に用いて、反応性を高める技術(特開平5 −59146 号公報他)などが報告されている。ところが、反応性を高めることで流れ性が低下し、密度が高くなりすぎたり、肉厚部にふくれが生じ脱型時間を長くする必要があるなど、未だに満足できる状況に至っていない。
【0004】
そしてインストルメントパネルは従来のインテグラルスキンポリウレタンフォームを使用した部品(ステアリングホイール、コンソールボックス及びアームレスト等)と較べると大型であり、外観不良がない成形品を得るためには高密度にならざるを得なかった。そのため大型部品の低密度成形品で意匠性を満たす触感が良好なインテグラルスキンポリウレタンフォームが求められていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの問題を解決するために、発泡剤としてクロロフルオロカーボンを使用しないインテグラルスキンポリウレタンフォームを得る方法について鋭意検討した結果、密度が0.2〜0.5g/cm3で生産性及び成形性に優れた触感良好な成形品を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、(I)(1)ポリオール、(2)鎖延長剤、(3)発泡剤、(4)触媒からなるポリオール混合物と、(II)ポリイソシアネート化合物とを用いて、反応射出成形法でインテグラルスキンポリウレタンフォームを製造する方法であって、
発泡剤(3)がギ酸、ギ酸の誘導体、又はアミン化合物の炭酸塩から選ばれた少なくとも1種をであり、
ポリイソシアネート化合物(II)が、ポリイソシアネートをポリオールでウレタン変性した変性イソシアネートであり、
ポリウレタンフォームの密度が0.2〜0.5g/cm3であり、
ポリウレタンフォームの表面硬度が、アスカーC硬度計で測定して、70以下でであることを特徴とする意匠面に使用されるインストルメントパネル用インテグラルスキンポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【0007】
ポリオール(1)は、少なくとも2個の水酸基を有する化合物である。ポリオール(1)の例は、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、蔗糖などの水酸基含有化合物、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミノ基や水酸基を含有する化合物、あるいはエチレンジアミン、ジアミノトルエンなどのアミノ基含有化合物にエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加した分子中に2 〜8 個の水酸基を含有し、平均水酸基当量が100〜5000 のポリエーテルポリオールなどが用いられる。
【0008】
また、ポリオール(1)として、ポリカルボン酸と低分子量の水酸基含有化合物から得られるポリエステルポリオール、カプロラクトンを開環重合して得られるポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールの水酸基をアミノ化し、あるいはポリエーテルポリオールのイソシアネートプレポリマーを加水分解して得られるポリエーテルポリアミンであって、平均活性水素当量が100 〜5000のものも併用できる。
【0009】
鎖延長剤(2)の例は、分子量が62 〜300の2 価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールや、2 価アミン、例えばジエチルトルエンジアミン、t −ブチルトルエンジアミン、ジエチルジアミノベンゼン、トリエチルジアミノベンゼン、テトラエチルジアミノジフェニルメタンなどが必要に応じて用いられ、これらにアルキレンオキシドを付加したポリエーテルポリオールなどであってもよい。
【0010】
鎖延長剤(2)の例は、特公昭54 −17359号公報、特開昭57 −74325 号公報、特公昭63 −47726 号公報、特公平1 −34527 号公報などに記載されている。
鎖延長剤(2)の量は、ポリオール100 重量部に対して、1 〜10重量部が好ましい。
【0011】
鎖延長剤(2)がジエタノールアミンである場合は、ジエタノールアミンの量は、ポリオール(1)100重量部に対して1〜5重量部が好ましい。1〜5重量部であることによって、反応速度が充分に早くなり、脆くならないように適切な架橋度が得られる。鎖延長剤(2)がエチレングリコールである場合は、エチレングリコールの量は2〜5重量部が好ましい。2〜5重量部であることによって、より適切な硬度が得られる。鎖延長剤(2)がエチレンジアミンに酸化プロピレンを付加重合した水酸基価450〜800の化合物である場合は、0.5〜5重量部が好ましい。0.5〜5重量部であることによって、反応速度が充分に早くなり、脆くならないように適切な架橋度が得られる。
【0012】
鎖延長剤(2)はポリオール(1)100 重量部に対して、ジエタノールアミンは1〜5重量部、エチレングリコールは2〜5重量部、エチレンジアミンに酸化プロピレンを付加重合して、水酸基価が450〜800の化合物は0.5〜5重量部でこれらの使用範囲で混合して、混合した鎖延長剤の総量がポリオール(1)100 重量部に対して、4〜8重量部で使用することが特に好ましい。
【0013】
発泡剤(3)は、ギ酸、ギ酸の誘導体、又はアミン化合物の炭酸塩である。発泡剤(3)の例は、ギ酸、ギ酸と公知のインテグラルスキンフォーム成形用に用いられる第3級アミン(例えば、トリエチレンジアミン)との塩、ギ酸と水酸基含有アミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びN−メチルエタノールアミン)との塩や水酸基含有アミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びN−メチルエタノールアミン)の炭酸塩などである。
【0014】
発泡剤(3)としてギ酸及び/又はギ酸の誘導体を使用する場合に、ギ酸及び/又はギ酸の誘導体の量は、ポリオール(1)100重量部に対して0.4〜2重量部であることが好ましい。0.4〜2重量部であることによって、脱型後に発泡体が膨らんだりすることがないように反応速度が充分に早くなり、充分な発泡が得られる。
【0015】
発泡剤(3)としてアミン化合物の炭酸塩を使用する場合、アミン化合物の炭酸塩の量はポリオール(1)100重量部に対して1〜5重量部であることが好ましい。
アミン化合物の炭酸塩を、ギ酸及び又はその化合物と混合して使用することが特に好ましい。アミン化合物の炭酸塩使用量が1〜5重量部であることによって、流れ性が低下しないように適切な反応速度が得られ、充分な発泡が得られる。この場合には原料の型への射出から成形品を脱型するまでの時間を70秒以下に短縮することができる。
【0016】
水を発泡剤(3)として使用するとフォームが硬くなり脱型時の変形が大きくなるため、ポリオール100重量部に対して水分量は0.4重量部以下にすることが望ましい。低沸点の炭化水素、窒素ガス、空気などを発泡剤として部分的に使用してもよい。
【0017】
触媒(4)の例は、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、1 ,8 ジアザビシクロ−5 ,4 ,0 −ウンデセン−7 、ジメチルアミノエタノール、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2 −ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N'− ジメチルアミノプロピルアミン、N,N'−ジメチルエタノールアミン、1−イソブチル−2−メチルイミダゾールなどの第3 級アミンやジブチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、ジブチル錫ジアセテートなどの有機金属化合物などで単独又は混合して使用してもよい。
触媒(4)の量は、ポリオール(1)100重量部に対して0.5〜5重量部が好ましい。
【0018】
必要に応じて、助剤を使用できる。助剤の例は、気泡安定剤、例えばシリコーン系整泡剤、界面活性剤、耐候剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、例えば2 ,6 −ジ−t−ブチル−4 −メチルフェノール、テトラキス[メチレン−3 −(3 ’,5 ’−ジ−t −ブチル−4 −ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、着色剤などである。本発明においては、反応混合液の初期の泡を安定に保つ為に気泡安定剤を使用する事が望ましい。
【0019】
ポリイソシアネート化合物(II)は、ポリイソシアネートをポリオールでウレタン変性した変性イソシアネートである。変性されるポリイソシアネートの例は、ジフェニルメタンジイソシアネート及びポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートである。ポリオールの例は、上記のポリオール(1)と同様のものである。ポリイソシアネート化合物(II)のNCO基含有量は、例えば、15〜30重量%であってよい。
【0020】
本発明において、イソシアネートインデックス[(ポリイソシアネート化合物(II)のイソシアネート基の当量とポリオール混合物中の活性水素の当量との比)×100 ]は、80 〜130 、特に100 〜110 であってよい。
【0021】
本発明によって、発泡剤としてクロロフルオロカーボンを用いることなく、密度0 .2 〜0 .5g /cm3、例えば0 .3 〜0 .4g /cm3の自動車用インストルメントパネルのインテグラルスキンポリウレタンフォームを製造することができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚。実施例において、「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
【0023】
評価は自動車用インスツルメントパネルの実型を用いて、反応射出成形法によりできた成形品の最短脱型時間、表面状態、表面硬度、密度を比較して行った。成形機はクラウスマッファイ社ランスタイプ大型注入機を使用し、吐出量1500〜1800g/秒、混合圧力18MPa、注入時間1.9〜2.7秒であり、50℃に調整した樹脂型を使用した。樹脂型は容積7800mL、肉厚6〜17mmであった。
【0024】
実施例1〜4及び比較例1
使用したポリオール(A)及び鎖延長剤(B)の分子量、出発物質、プロピレンオキシド(PO)とエチレンオキシド(EO)の含有量、水酸基価(mgKOH/g)、及びその他の鎖延長剤、発泡剤、触媒、イソシアネート化合物の内容を表1に示す。
【0025】
表1に示した原料を表2に示した処方でポリオール混合物とポリイソシアネート化合物を反応射出成形機(クラウスマッファイ社ランスタイプ大型注入機)のそれぞれのタンクに投入し液温を35〜40℃に調整し、表2に示した配合比で射出成形した。
【0026】
得られた成形品の密度、最短脱型時間、3日後の表面硬度(アスカーC)、脱型直後のフクレ、外観を表2に示した。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、ギ酸、ギ酸の誘導体及びアミン化合物の炭酸塩から選ばれた少なくとも1種の発泡剤を使用することでトリエチレンジアミンなどの比較的強い第3級アミン触媒で反応を進めても、流動性能を落とすことなく、反応射出成形が可能となり、脱型時間=60秒で(a)成形品密度=0.2〜0.5g/cm3(b)成形品の表面硬度=70以下(アスカーC硬度計)で意匠面に使用されるインストルメントパネル用インテグラルスキンポリウレタンフォームが得られる。
Claims (3)
- (I)(1)ポリオール、(2)鎖延長剤、(3)発泡剤、(4)触媒からなるポリオール混合物と、(II)ポリイソシアネート化合物とを用いて、反応射出成形法でインテグラルスキンポリウレタンフォームを製造する方法であって、
鎖延長剤(2)がエチレンジアミンに酸化プロピレンを付加重合した水酸基価450〜800の化合物を含んでなる混合物であり、
発泡剤(3)が、ギ酸又はギ酸の誘導体から選ばれた少なくとも1種とアミン化合物の炭酸塩との混合物であり、
ポリイソシアネート化合物(II)が、ポリイソシアネートをポリオールでウレタン変性した変性イソシアネートであり、
ポリウレタンフォームの密度が0.2〜0.5g/cm3であり、
ポリウレタンフォームの表面硬度が、アスカーC硬度計で測定して、70以下であることを特徴とする意匠面に使用されるインストルメントパネル用インテグラルスキンポリウレタンフォームの製造方法。 - 発泡剤(3)に使用されるアミン化合物の炭酸塩の量が、ポリオール(1)100重量部に対して1〜5重量部であり、原料の型への射出から成形品を脱型するまでの時間が70秒以下であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 鎖延長剤(2)におけるエチレンジアミンに酸化プロピレンを付加重合した化合物の量がポリオール(1)100重量部に対して0.5〜5重量部である請求項1または請求項2に記載の方法。
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