JP3660375B2 - ポリウレタン発泡体の製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、密度が0.2〜0.8g/cm3の微小なセルを有するポリウレタン発泡体を、反応射出成形法によって、短時間で、効率よく製造する方法に関するものであり、かかる微小なセルを有するポリウレタン発泡体は、自動車のバンパー、アームレスト、ハンドルなどに用いられる。
さらに、この発泡体は、自動車の内装トリム、例えばドアトリム、コンソールのバックアップ材などにも用いられる。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン発泡体は、ポリイソシアネート、NCO基と反応性の水素を少なくとも2個含有する化合物(以下、ポリオールという。)、触媒などに、フロン系炭化水素あるいはポリイソシアネートと反応して炭酸ガスを発生する水などを発泡剤として加え、これを密閉できる型に導入することによって製造される。
原料は、型内で泡化膨張後硬化して、ポリウレタン発泡体として取出される。型は、反応温度を制御するため、熱伝導性の高い素材で作られ、一般には、金属製の型(以下、金型という。)や樹脂製の型が用いられる。
得られる発泡体の密度は、その体積と型に導入されるポリウレタン原料の量によって決まるが、発泡体が均一な表面と均一な密度分布を持つためには、オープン状態で発泡したとき(以下、フリー発泡という。)の密度が、成形品密度の約1/2以下になるように発泡剤が加えられる。
【0003】
従来、発泡剤としては、クロロフルオロカーボン(以下、CFCという。)、なかでもトリクロロフルオロメタン(CFC−11)が主として使われてきたが、近年、CFCが大気中のオゾン層を破壊することが判り、その使用の制限、禁止が進められている。
大気中のオゾン層を破壊する可能性の低いフロン系発泡剤としてハイドロクロロフルオロカーボン(以下、HCFCという。)、例えばジクロロトリフルオロエタン(HCFC−123)やクロロジフルオロメタン(HCFC−22)あるいはオゾン層を破壊しないフロン系発泡剤としてハイドロフルオロカーボン(以下、HFCという。)、例えばテトラフルオロエタン(HFC−134a)の使用が検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、オゾン層を破壊しないフロン系発泡剤であるHFC−134aは、沸点が−26.3℃で、常温での取扱いが困難であるのみならず、コストを含めた供給問題も残されている。
コストおよび環境問題の両面からは、水を使って発泡させる水発泡が有利と考えられ、この検討が広く行なわれている(特開平5−339338号公報)。
【0005】
ところで、0.1g/cm3以下の低密度の軟質ポリウレタン発泡体の製造には、水発泡が主として行なわれてきた(ポリウレタン樹脂ハンドブック/岩田敬治編/日刊工業新聞社/178〜185頁参照)が、密度が0.2〜0.8g/cm3の微小なセルを有するポリウレタン発泡体を水発泡で製造する場合、水とポリイソシアネートから炭酸ガスを発生する泡化反応とポリイソシアネートとポリオールが反応する高分子化反応のバランスを確実に調整する必要があり、ともすれば、発泡体表面にピンホールが発生したり、発泡体の部位による密度差が大きくなる傾向がある。
【0006】
発泡体表面を改良するため、水の量を増加すると、泡化時に発泡圧力が高くなり、発泡体を型から取出した後に、発泡体が膨らんだり、内部にワレが生じたり、発泡体中のエアーボイドが発泡体表面の変形を引起したりする。
【0007】
これらの問題を避けるためには泡化から脱型までの時間を延ばさざるを得ないが、生産性の高さが求められる反応射出成形法によるポリウレタン発泡体の製造にとって大きな問題である。
また、カルボン酸とポリイソシアネートは反応して炭酸ガスを発生することから、カルボン酸、とくに蟻酸を用いることも考えられる(特開昭58−29837号公報、特開平3−64312号公報、特開平3−134036号公報、特開平4−126732号公報)が、多量の蟻酸の使用は、精度の高い成形機を使う反応射出成形法にとって、とくに重要な金属腐食の問題が生じ、必ずしも充分な製造法とはいえない。
【0008】
かかる課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、発泡剤として少量の蟻酸を用い、かつ水分含量の低い原科を用いることによって、高い生産性で、表面状態の優れた低密度のポリウレタン発泡体を製造することができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
本発明は、ポリイソシアネートと、ポリオール、触媒、発泡剤、必要に応じて、架橋剤、内部離型剤、補強剤およびその他の助剤の混合物(以下、ポリオール混合物という。)から、反応射出成形法によって、密度が0.2〜0.8g/cm3の微小なセルを有するポリウレタン発泡体を製造する方法において、発泡剤が、ポリオール混合物100重量部当り0.4〜2重量部の蟻酸であり、ポリオール混合物の水分含量が0.4重量%以下であるポリウレタン発泡体の製造法に関するものである。
本発明は、ポリイソシアネートと、ポリオール、触媒、発泡剤、必要に応じて、架橋剤、内部離型剤、補強剤およびその他の助剤からなるポリオール混合物とから、反応射出成形法によって、密度が0.2〜0.8g/cm3の微小なセルを有するポリウレタン発泡体を製造する方法において、
(1)発泡剤が、ポリオール混合物100重量部当り0.4〜2重量部の蟻酸であり、
(2)ポリオール混合物が、水を実質的に含有せず、
(3)触媒が、第3級アミンであり、さらに、活性水素を含有する弱塩基を中和剤として使用し、ポリオール混合物のpHを5以上にする
(4)ポリオールが、活性水素を含有する弱塩基を除くポリオールである
ことを特徴とするポリウレタン発泡体の製造法を提供する。
【0010】
本発明で用いられるポリイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートとその多核体との混合物、トルエンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートとその多核体との混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、これらのポリイソシアネートをウレタン変性したりカルボジイミド変性した変性イソシアネート、これらの混合物などがある。
【0011】
ポリオールとしては、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、蔗糖などの水酸基含有化合物に、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加した分子中に2〜6個の水酸基を含有し、平均水酸基当量が100〜3000のポリエーテルポリオールあるいはこれらのポリエーテルポリオールにビニル化合物を重合したポリマーポリオールなどが用いられる。
また、ポリカルボン酸と低分子量の水酸基含有化合物を反応して得られるポリエステルポリオール、カプロラクトンを開環重合して得たポリカーボネートポリオール、ポリエーテルボリオールの水酸基をアミノ化し、あるいはポリエーテルポリオールのイソシアネートプレポリマーを加水分解して得られるポリエーテルポリアミンであって、平均活性水素当量が100〜3000のものであってもよい。
【0012】
触媒としては、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7、ジメチルアミノエタノール、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルなどの第3級アミンや蟻酸、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸の第3級アミン塩やジブチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、ジブチル錫ジアセテートなどの有機金属化合物が用いられる。
トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7などの比較的強い第3級アミン触媒が好ましい。
【0013】
発泡剤は、蟻酸であり、その使用量は、ポリオール混合物100重量部当り、0.4〜2重量部である。0.4重量部より少ないと、発泡が不充分となり、2重量部より多いと、ポリオール混合物の反応性が遅くなり、脱型後に発泡体が膨らんだりする。
低沸点の炭化水素、フロン系発泡剤、窒素ガス、空気などを発泡剤として部分的に併用してもよい。
【0014】
しかし、水を発泡剤として併用することは、好ましくない。蟻酸発泡に対する水発泡の度合が増えるに従い、発泡圧力が上昇し、短時間の脱型に悪影響を及ぼす。
けれども、補強剤の添加など原料の取扱い上、水の混入は避け難い。また蟻酸も、10%程度の水を含んだもののほうが容易に取扱えることから、水の混入を否定することはできないが、その量は、ポリオール混合物の0.2重量%以下でなければならない。0.2重量%より多いと金属腐食が助長され、成形機の補修、部品の交換などが多くなり、ポリウレタン発泡体の生産性がその分低下する。オリオール混合物における水の量は0.2重量%よりも低い必要があり、ポリオール混合物は水を実質的に含有しない。
【0015】
架橋剤としては、分子量が62〜1000の多価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールや多価アミン、例えばジエチルトルエンジアミン、t−ブチルトルエンジアミン、ジエチルジアミノベンゼン、トリエチルジアミノベンゼン、テトラエチルジアミノジフェニルメタンなどが必要に応じて用いられ、これらにアルキレンオキシドを付加しポリエーテルポリオールなども用いられ、特公昭54−17359号公報、特公平1−34527号公報、特開昭57−74325号公報、特公昭63−47726号公報などに記載されている。
【0016】
内部離型剤としては、カルボン酸の金属塩とアミンの混合物(特公昭63−52056号公報)、ポリシロキサンとイソシアネートの反応物(特公昭58−1139号公報)、アミンと脂肪族カルボン酸の塩とカルボン酸エステルの混合物(特公昭55−42091号公報)、硬化ヒマシ油(特公平4−20925号公報)、脂肪酸ポリエステルと低級アルキルアセトアセテートのエステル交換生成物(特開平5−155969号公報)などが必要に応じて用いられる。
【0017】
補強剤は、ガラス質、無機質、鉱物質などのファイバー、例えばミルドグラスファイバー、ワラストナイトファイバー、プロセストミネラルファイバーあるいはフレーク、例えばマイカ、ガラスフレークなどであり、必要に応じて用いられる。またガラスマット、ガラスクロスなどをあらかじめ型内にセットしておき、その上でポリウレタン原料を導入して発泡体を得ることも可能である。
【0018】
その他、助剤として、気泡安定剤、例えばシリコーン系整泡剤、界面活性剤、耐候剤、例えば酸化防止剤、UV吸収剤、安定剤、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス[メチレン 3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、着色剤などが必要に応じて用いられる。
【0019】
反応射出成形法によるポリウレタン発泡体の製造には、Hennecke社製の高圧発泡機、ポリウレタンエンジニアリング製のR−RIM用高圧発泡機などの反応射出成形機が用いられるが、発泡剤として、多量の蟻酸を用いると、金属、とくに軟鉄や構造用鋼に対する金属腐食が問題になる。
【0020】
成形機の寿命を延ばし、成形機中に貯蔵される原料の安定性を増すために、触媒として用いる第3級アミンの使用量を増したり、モノエタノールアミン(以下、MELAという。)、ジエタノールアミン(以下、DELAという。)、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミンなどのアルカノールアミン、これらのアルカノールアミンあるいはエチレンジアミン、ジエチレントリアミンにエチレンオキシドやプロピレンオキシドを付加したポリエーテルポリオールなどの活性水素を含有する弱塩基を、中和剤として使用するのが好ましい。
第3級アミンの増量や中和剤の使用によって、成形機中に貯蔵される原料、とくに蟻酸を含むポリオール混合物のpHを5以上、好ましくは7以上にしておけば、金属腐食の問題は解決され、成形機の寿命が延びるとともに、原料の貯蔵安定性が向上する。
【0021】
これらのポリイソシアネートとポリオール混合物を、反応射出成形法によって、型に導入すれば、原料は、型内で泡化膨張後硬化して、ポリウレタン発泡体を取出すことができる。
【0022】
実施例と比較例で、本発明を具体的に説明する。なお、部は重量部である。
【0023】
参考例1
グリセリンにプロピレンオキシドとエチレンオキシドとを付加したOH価28mgKOH/gのポリエーテルポリオール(以下、ポリオールAという。)93部、エチレングリコール(以下、架橋剤Aという。)4部に、水0.3部、98%蟻酸0.6部およびトリエチレンジアミンの33%ジプロピレングリコール溶液(以下、触媒Aという。)1.5部をよく混合したポリオール混合物と、10%の多核体を含むジフェニルメタンジイソシアネートをグリセリンにプロピレンオキシドとエチレンオキシドとを付加したOH価28mgKOH/gのポリエーテルポリオールでウレタン変性したNCO基含有量17%の変性イソシアネート(以下、イソシアネートAという。)とをそれぞれ20kgづつ準備した。
【0024】
ポリオール混合物100gとイソシアネートA64.8gを、20℃に調整した紙コップに入れ、2000rpmのラボミキサーで10秒間撹拌し、反応性とフリー発泡密度を調べた。
【0025】
残りの原料を、高圧発泡機(Hennecke社製:HK−100)のタンクに投入し、ポリオール混合物とイソシアネートAを、混合比率(重量比)100:64.8、吐出量200g/秒、混合圧力180kg/cm2、注入時間6.4秒で、50℃に調整した幅30cm、長さ30cm、厚さ35mmの鉄製の金型に、注入した。
【0026】
4分後に型から発泡体を取出し、2日後にその物性を測定した。結果を第1表と第2表に示す。
【0027】
実施例1
50℃に調整した乗用車のステアリングホイールの金型に、参考例1と同じ高圧発泡機を取付け、ポリオールA93部、架橋剤A7.5部、98%蟻酸0.45部、触媒A1.5部およびジブチル錫ジラウレート(以下、触媒Cという。)0.05部をよく混合したポリオール混合物20kgを準備した。
次に15%の多核体を含むジフェニルメタンジイソシアネートと28%のウレトンイミンを含むジフェニルメタンジイソシアネートを80:20で混合し、これをグリセリンにプロピレンオキシドとエチレンオキシドとを付加したOH価28mgKOH/gのポリエーテルポリオールでウレタン変性したNCO基含有量22.5%の変性イソシアネート(以下、イソシアネートBという。)を20kg準備した。
【0028】
混合比率(重量比)が100:61.9である以外は参考例1と同様にして、ハンドミキシングにより反応性をチェックした後、残りの原料を、参考例1と同じ高圧発泡機のタンクに投入した。
金型に鉄製の心材をセットした後、ポリオール混合物とイソシアネートBの混合比率(重量比)を100:61.9とした以外は参考例1と同様にして、注入時間3.5秒で発泡体を製造した。
【0029】
30秒後に型を開け、660gの発泡体を取出した。発泡体には、流れ端部も含めなんら異常はみられなかった。発泡体をナイフで切出し、密度を測定したところ、0.6g/cm3であった。
その後、注入時間を3秒に短縮し、同じく30秒で脱型して570gの発泡体を得た。発泡体には、流れ端部も含めなんら異常はみられなかった。
結果を第5表と第6表に示す。
【0030】
実施例2
ポリオールA93部、架橋剤A7部、DELA0.75部、98%蟻酸0.55部、触媒A1.5部および触媒C0.05部をよく混合したポリオール混合物20kgを準備した。
混合比率(重量比)が100:62.2である以外は参考例1と同様にして、ハンドミキシングにより反応性をチェックした後、残りの原料を、参考例1と同じ高圧発泡機のタンクに投入した。
ついで、ポリオール混合物とイソシアネートBの混合比率(重量比)を100:62.2とした以外は実施例1と同様にして、注入時間3.5秒で発泡体を製造した。
【0031】
40秒後に型を開け、660gの発泡体を取出した。発泡体には、流れ端部も含めなんら異常はみられなかった。発泡体をナイフで切出し、密度を測定したところ、0.65g/cm3であった。
結果を第5表と第6表に示す。
【0032】
実施例3
DELA0.75部を同量のMELAにした以外は実施例2と同様にして、ポリオール混合物20kgを準備した。
混合比率(重量比)が100:64.4である以外は参考例1と同様にして、ハンドミキシングにより反応性をチェックした後、残りの原料を、参考例1と同じ高圧発泡機のタンクに投入した。
ついで、ポリオール混合物とイソシアネートBの混合比率(重量比)を100:64.4とした以外は実施例1と同様にして、注入時間3.5秒で発泡体を製造した。
【0033】
40秒後に型を開け、660gの発泡体を取出した。発泡体には、流れ端部も含めなんら異常はみられなかった。発泡体をナイフで切出し、密度を測定したところ、0.65g/cm3であった。
結果を第7表と第8表に示す。
【0034】
実施例4
グリセリンにプロピレンオキシドとエチレンオキシドとを付加したOH価35mgKOH/gのポリエーテルポリオール(以下、ポリオールBという。)40部、トリメチロールプロパンにプロピレンオキシドとエチレンオキシドとを付加したOH価880mgKOH/gのポリエーテルポリオール(以下、架橋剤Bという。)60部、98%蟻酸1部、触媒A1.5部および触媒C0.05部をよく混合し、これに日東紡績社製ミルドガラスファイバーFESS−010−0413を43.3部加えて撹拌したポリオール混合物と40%の多核体を含むNCO基含有量31%のジフェニルメタンジイソシアネート(以下、イソシアネートCという。)とをそれぞれ30kgづつ準備した。
【0035】
この原料を、R−RIM用高圧発泡機(ポリウレタンエンジニアリング社製:MC−104R)のタンクに投入し、混合比率(重量比)100対98、吐出量200g/秒、混合圧力180kg/cm2、注入時間2.8秒で、80℃に調整した幅30cm、長さ120cm、厚さ3mmの型に、注入した。この際に、注入口から5cmの部位に取付けられた圧力変換器で発泡時の型内圧力を測定した。発泡圧力は、注入15秒後に最高値4.5kg/cm2になった。
45秒後に型から発泡体を取出し、2日後にその物性を測定した。結果を第9表と第10表に示す。
【0036】
比較例1
発泡剤として水0.8部を用い、蟻酸を用いない以外は参考例1と同じ原料を用いて、発泡体を製造した。
ハンドミキシングによる反応性チェックの後、残りの原料を、参考例1と同じ高圧発泡機を使って、参考例1と同じ条件で発泡体を製造した。
水を増量したにも拘らず、フリー発泡時の密度は同じであった。逆に、型の端部に設けたエアー抜きから抜ける原料の量は減った。
4分後に型を開けると、一部充填不足のセル荒れが見られ、また、発泡体中央部にワレが生じた。さらに、発泡体を得るためには、脱型時間を5分まで延長する必要があった。結果を第1表と第2表に示す。
【0037】
比較例2
発泡剤として水0.7部を用い、触媒Aを0.9部に減量し、かつ東ソー社製の水発泡用の触媒Toyocat F22(以下、触媒Bという。)0.5部を加えた以外は、参考例1と同じ原料を用いて、発泡体を製造した。
ハンドミキシングによる反応性チェックの後、残りの原料を、参考例1と同じ高圧発泡機を使って、参考例1と同じ条件で発泡体を製造した。
反応性が上がり、フリー発泡時の密度は高くなった。型の端部に設けたエアー抜きから抜ける原料の量は減った。
4分後に型を開けると、発泡体が膨らみ、型からはみ出し、また発泡体中央部にワレが生じた。さらに、発泡体を得るためには、脱型時間を7分まで延長する必要があった。結果を第3表と第4表に示す。
【0038】
比較例3
発泡剤として水0.6部を用い、触媒として触媒A1部を用いた以外は、参考例1と同じ原料を用いて、発泡体を製造した。
ハンドミキシングによる反応性チェックの後、残りの原料を、参考例1と同じ高圧発泡機を使って、参考例1と同じ条件で発泡体を製造した。
4分後に型を開けると、一部充填不足のセル荒れが見られ、参考例1の場合より明らかに流れ性が劣っていたにも拘らず、発泡体中央部にワレが生じた。さらに、発泡体を得るためには、脱型時間を5分まで延長する必要があった。結果を第3表と第4表に示す。
【0039】
比較例4
ポリオールA93部、架橋剤A7.5部、水0.5部、触媒A1.5部、触媒C0.005部、東ソー社製の水発泡用の触媒Toyocat ET(以下、触媒Dという。)0.5部をよく混合したポリオール混合物と、イソシアネートBとをそれぞれ20kgづつ準備した。
実施例1と同じ条件で発泡体の製造を試みたが、30秒後に型を開けると、一部発泡体が膨らみ、心材から発泡体が剥がれた。60秒後に型を開けても、一部発泡体が型からはみ出し、型のパーティングが当たった部分の表面に筋がつき、また肉厚部が膨らんだため、表面状態が優れた発泡体は得られなかった。さらに、発泡体を得るためには、脱型時間を1分30秒まで延長する必要があった。結果を第6表と第7表に示す。
【0040】
比較例5
発泡剤として水1.8部を用い、触媒Cを0.08部に増量し、さらに水発泡用触媒の触媒D1.2部を追加した以外は、実施例4と同じ原料をよく混合し、これに、フィラー含有量が実施例4と同じになるように、日東紡績社製ミルドガラスファイバーFESS−010−0413を48.6部加えて撹拌したポリオール混合物とイソシアネートCとをそれぞれ30kgづつ準備した。
この原料を、混合比率(重量比)を100:112とした以外は、実施例4と同様にして、実施例4と同じR−RIM用高圧発泡機で発泡体を製造した。発泡圧力は、注入20秒後に最高値7.2kg/cm2になった。
45秒後に型から発泡体を取出し、2日後にその物性を測定した。結果を第9表と第10表に示す。
実施例4に比べ、発泡体中での密度差が大きく、原科の流れ性が劣っていた。
【0041】
参考例2
ガラス瓶に、実施例に示したポリオール混合物をそれぞれ入れ、さらに軟鉄SS41、構造用鋼S45Cおよびステンレス鋼SUS304の切片を入れて、60℃で7日間貯蔵して、金属腐食を調べた。結果を第2表、第6表、第8表および第10表に示す。
SUS304は、どの瓶でも、ほとんど変化が見られなかったが、SS41とS45Cは、錆が生じる場合があり、とくにSS41を入れたポリオール混合物は、蟻酸を増量すると、茶色に変色することがあった。
しかし、DELAを添加した実施例2およびMELAを添加した実施例3については、SS41ですら、なんら変化を示さなかった。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】
【表8】
【0050】
【表9】
【0051】
【表10】
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、a)蟻酸が、非常に有効な発泡剤であり、b)少量の蟻酸を含む原料は、非常に優れた流れ性を示し、c)トリエチレンジアミンなどの比較的強い第3級アミン触媒で反応を進めても、蟻酸による反応性低下はほとんどみられず、d)通常90〜300秒の脱型時間が必要な水発泡に比べ、脱型時間を大きく短縮でき、原料の注入から1分以内に脱型しても膨れが生ずることなく、場合によっては、30秒で脱型しても優れた発泡体が得られることが見出された。さらに、e)この短時間脱型は、蟻酸を水発泡の補助的な発泡剤とした場合は不可能であり、蟻酸が主たる発泡剤である場合に初めて可能であることも見出された。
Claims (1)
- ポリイソシアネートと、ポリオール、触媒、発泡剤、必要に応じて、架橋剤、内部離型剤、補強剤およびその他の助剤からなるポリオール混合物とから、反応射出成形法によって、密度が0.2〜0.8g/cm3の微小なセルを有するポリウレタン発泡体を製造する方法において、
(1)発泡剤が、ポリオール混合物100重量部当り0.4〜2重量部の蟻酸であり、
(2)ポリオール混合物が、水を実質的に含有せず、
(3)触媒が、第3級アミンであり、さらに、活性水素を含有する弱塩基を中和剤として使用し、ポリオール混合物のpHを5以上にする
(4)ポリオールが、活性水素を含有する弱塩基を除くポリオールである
ことを特徴とするポリウレタン発泡体の製造法。
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