JP3807710B2 - トリミング装置およびトリミング装置の下テーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トリミング装置およびトリミング装置の下テーブルに関し、特に、下型の交換作業を容易に行なうトリミング装置およびトリミング装置の下テーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のトリミング装置は、所定のクランク機構により上下駆動し、樹脂シートに形成された成形品をトリミングする押し切り刃が配設された上型可動テーブルと、この上型可動テーブル上下駆動に伴ない、同上型可動テーブルの略当接を受けつつ支持しトリミングを実施可能にする金型が設置される下型固定テーブルと、この下型固定テーブルの下部に配設されるとともに、上記クランク機構の駆動源となる下部モータと、側面側にて上記下部モータと上記上型可動テーブルとを連接し、同下部モータの駆動を上型可動テーブルに伝達するクランク軸とにより構成され、上記クランク軸は略棒状にて形成されていた。
【0003】
かかる構成においては、下型固定テーブルに金型を設置する金型交換の作業を行なう場合、側面側がクランク軸によって遮られているため、樹脂シートの搬入側あるいは搬出側から金型を下型固定テーブルに搬入して金型を交換し設置していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のトリミング装置においては、樹脂シートの搬入側には本トリミング装置の前工程を実施する装置が配置されるとともに、搬出側には本トリミング装置の後工程を実施する装置が配置される。従って、下型固定テーブルに金型を設置するに際して、これらの装置が金型交換作業に干渉してしまう。すなわち、これらの装置を金型交換作業に干渉しない位置まで移動させてから金型をトリミング装置に搬入して交換し設置しなければならない。
【0005】
かかる場合、トリミング装置の樹脂シート搬入側あるいは搬出側の装置には、金型交換作業に干渉しない位置まで移動させるための構造が必要となり、設備製造コストが上昇してしまうといった課題があった。また、金型交換作業を行なうにあたり、トリミング装置の樹脂シート搬入側あるいは搬出側の装置を移動させなければならないため、金型交換作業が煩雑で重労働になるとともに、作業時間が多大になってしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、トリミング装置の樹脂シート搬入側あるいは搬出側の装置を移動させる必要がなく、設備製造コストを低減させるとともに、金型交換作業を簡易で軽労働にし、作業時間を縮小することが可能なトリミング装置およびトリミング装置の下型固定テーブルの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、上方部位にて上下方向に往復動可能に支持されて上型を固定可能な上テーブルと、上記上テーブルと対面するようにその下方にて固定して支持されて下型を固定可能な下テーブルと、上記下テーブルよりも下方部位に支持されて各テーブルの側面方向に回転駆動軸を配置した駆動モータと、各テーブルの側面方向に配置されて上端にて上記上テーブルに連結されるとともに下端にて上記回転駆動軸に偏心して連結され、かつ、上記上テーブルと上記下テーブルとの間隙部分に対面するように枠形部位が形成されたクランク軸とを具備する構成としてある。
【0008】
上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、トリミング装置を上テーブルと、下テーブルと、駆動モータおよびクランク軸とにて構成する。ここで、上テーブルは、本体フレームの上方部位にて上下方向に往復動可能に支持されて上型を固定可能になっており、下テーブルは本体フレームに上テーブルと対面するように、その下方にて固定して支持されて下型を固定可能にしている。そして、駆動モータは本体フレームにおいて下テーブルよりも下方部位に支持されて各テーブルの側面方向に回転駆動軸を配置している。
【0009】
クランク軸は、各テーブルの側面方向に配置されており、その上端は上テーブルに連結されるとともに、下端は回転駆動軸に偏心して連結されている。さらに、上テーブルと下テーブルとの間隙部分に対面するように枠形部位が形成されている。また、本体フレームは、枠状に形成されて上テーブルと下テーブルと駆動モータとを所定位置にて支持するとともに、クランク軸における枠形部位に対応して側面開口部位が形成されている。かかる構成において、下テーブルに下型を搬入して設置する場合、本体フレームの側面開口部位を介してクランク軸の枠形部位の開口部から下型を下テーブルに搬入し、この下テーブルに下型を載置して固定設置する。すなわち、トリミング装置の側面側から下型の交換作業を行なうことが可能になる。
【0010】
クランク軸の枠形部位は下型を下テーブルに対して搬入し固定することができればよく、その形状は特に限定されない。ここで、簡易であるとともに容易に下を搬入可能な枠形形状の一例として、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のトリミング装置において、上記クランク軸の枠形部位は、略四角形状に形成される構成としてある。
上記のように構成した請求項2にかかる発明においては、クランク軸の枠形部位の形状を略四角形状に形成する。従って、本体フレームの側面開口部位からこの略四角に形成された枠形部位に向けて下型を搬入し、下テーブルに設置し固定する。
【0011】
クランク軸の枠形部位の他の形状の一例として、請求項3にかかる発明は、請求項1に記載のトリミング装置において、上記クランク軸の枠形部位は、略三角形状に形成される構成としてある。
上記のように構成した請求項3にかかる発明において、クランク軸の枠形部位を略三角形状に形成する。従って、本体フレームの側面開口部位からこの略三角に形成された枠形部位に向けて下型を搬入し、下テーブルに設置し固定する。
下型を下テーブルに搬入するにあたり、その搬入作業を容易にすることが可能な下テーブルの態様として、請求項1にかかる発明は、上記下テーブルは、上記枠形部位より同下テーブルに下型を搬入するに際して同下型を支持しつつ同下型の搬入方向に回転する搬入補助部材を、同下テーブル上面から着脱可能に形成される。搬入補助部材は、搬入方向に回転する回転軸を備える車輪構造にて形成される。下テーブルは、車輪構造が備える規定軸を挿嵌させることにより車輪構造の回転方向を規定する軸溝を形成する。
上記のように構成した請求項1にかかる発明において、下テーブルに下型を搬入する場合、テーブル上面に備えられた搬入補助部材は、この搬入される下型の底面を支持しつつ、搬入動作に応じて搬入方向に回動し搬入動作を補助する。
【0012】
下型は当接する車輪にて支持されるとともに、搬入動作に対応する車輪の回動によって簡易に下型を下テーブル奥側に搬入し設置固定することが可能になる。
【0013】
この車輪構造を下テーブルに配設する場合、回転方向を規定する所定の軸を所定の溝に係合させるようにすれば、この車輪構造を下テーブルに容易に位置決めして配設することが可能になる。そこで、上記下テーブルは、同下テーブル上面に上記車輪構造の回転方向を規定する規定軸を挿嵌可能な軸溝がシートの搬入方向および搬入方向に対し直行する方向に形成され、かつ、同車輪構造を同テーブル上面から着脱可能に形成される構成としてもよい。
【0014】
上記構成においては、下テーブルのテーブル上面に車輪構造の回転方向を規定する規定軸を挿嵌可能な軸溝を搬入方向および搬入方向に対し直行する方向に形成し、かつ、同車輪構造を同テーブル上面から着脱可能に形成する。すなわち、車輪構造はテーブル上面の軸溝から着脱でき、車輪構造の規定軸を下型をトリミング装置の側面から搬入する方向の軸溝に挿嵌すれば、側面から下型を搬入することができるようになるし、規定軸を前記規定軸方向に直行する軸溝に挿嵌すれば樹脂シートの搬入側あるいは搬出側から下型を搬入することができるようになる。
【0015】
搬入補助部材の他の態様として、上記搬入補助部材は、所定のベアリング構造にて形成されるとともに、同ベアリング構造にて上記下型を搬入可能に支持する構成としてもよい。
上記構成においては、搬入補助部材を所定のベアリング構造にて形成する。すなわち、ベアリング構造の上部に配設されるボール部にて下型を搬入可能に支持しつつ、この搬入動作に伴なうボール部の回動にて下型を下テーブル奥側に容易に搬入可能にする。
【0016】
搬入補助部材は下型を下テーブルに固定させる際に、下テーブルの内部に引き込まれ、下型と下テーブルとが互いに面部にて接すると好適である。そこで、請求項4にかかる発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のトリミング装置において、上記車輪構造は、回動する所定の部位を上記下型を支持するように下テーブルのテーブル上面から突出させるとともに、この突出を解除し同所定の部位を下テーブルの内部に引き込む突出制御機構を備える構成としてある。
上記のように構成した請求項4にかかる発明において、突出制御機構は、下型の搬入時に車輪構造の所定の部位を下型を支持するように下テーブルのテーブル上面から適度に突出させる。そして、搬入が完了して下型を下テーブルにクランプするにあたり、この突出を解除し同所定の部位を下テーブルの内部に引き込む。
【0017】
上述した突出制御機構の好適な一態様として、請求項5にかかる発明は、請求項4に記載のトリミング装置において、上記突出制御機構は、所定の付勢部材にて構成され、同付勢部材は、上記所定の部位が下テーブルのテーブル上面から適度に突出するように付勢するとともに、下型の下テーブルへの設置に伴ない、収縮し同所定の部位を下テーブルの内部に引き込む構成としてある。
上記のように構成した請求項5にかかる発明においては、突出制御機構を所定の付勢部材にて構成する。そして、付勢部材は下型の搬入時に上記所定の部位が下テーブルのテーブル上面から突出するように付勢する。一方、下型の下テーブルへの設置に伴なう下型の下テーブルへのクランプ作用によって付勢部材は収縮し同所定の部位が下テーブルの内部に引き込まれる。
【0018】
この付勢部材を構成する好適な具体例として、請求項6にかかる発明は、請求項5に記載のトリミング装置において、上記付勢部材は、所定のバネ構造にて形成される構成としてある。
上記のように構成した請求項6にかかる発明においては、付勢部材を所定のバネ構造にて形成する。すなわち、バネの付勢力によって上記所定の部位を突出させるとともに、このバネを所定のバネ定数にて形成することによりクランプの作用によってバネが押し込まれ、下テーブル内部に上記所定の部位が引き込まれるようにする。
【0019】
また、付勢部材を構成する他の具体的な一例として、請求項7にかかる発明は、請求項5に記載のトリミング装置において、上記付勢部材は、所定の流体を利用した流体圧構造にて形成する構成としてある。
上記のように構成した請求項7にかかる発明においては、付勢部材を所定の流体を利用した流体圧構造にて形成する。
【0020】
ここで、上述してきたトリミング装置の下テーブルはトリミング装置の一構成品としても取引対象となり、単独で発明を具現化されることは明らかである。そこで、請求項8にかかる発明は、上下方向に往復動する上テーブルに固定された上型と当接することにより、外部から搬送される成形シートに対するトリミングを可能とする下型を設置するトリミング装置の下テーブルであって、上記成形シートの搬送方向に対する側面方向から上記下型を搬入するに際して同下型を支持しつつ同下型の搬入方向に回転する車輪構造を、同下テーブルの上面から着脱可能に形成されるとともに、同車輪構造が備える規定軸を挿嵌させることにより車輪構造の回転方向を規定する軸溝を形成する構成としてある。
【0022】
さらに、請求項9にかかる発明は、請求項8に記載のトリミング装置の下テーブルにおいて、上記車輪構造は、回動する所定の部位を上記下型を支持するように下テーブルのテーブル上面から突出させるとともに、この突出を解除し同所定の部位を下テーブルの内部に引き込む突出制御機構を備える構成としてある。
【0023】
さらに、請求項10にかかる発明は、請求項9に記載のトリミング装置の下テーブルにおいて、上記突出制御機構は、所定の付勢部材にて構成され、同付勢部材は、上記所定の部位が下テーブルのテーブル上面から適度に突出するように付勢するとともに、下型の下テーブルへの設置に伴ない、収縮し同所定の部位を下テーブルの内部に引き込む構成としてある。
さらに、請求項11にかかる発明は、請求項10に記載のトリミング装置の下テーブルにおいて、上記付勢部材は、所定のバネ構造にて形成される構成としてある。
さらに、請求項12にかかる発明は、請求項10に記載のトリミング装置の下テーブルにおいて、上記付勢部材は、所定の流体を利用した流体圧構造にて形成される構成としてある。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、クランク軸に金型を搬入可能な開口形状を形成することによりトリミング装置の側面側からの金型交換作業を可能にすることによって、樹脂シート搬入側あるいは搬出側の装置を移動させる必要がなく、設備製造コストを低減させるとともに、金型交換作業を簡易で軽労働にし、作業時間を縮小することが可能なトリミング装置を提供することができる。さらに、金型交換作業に際して、金型の下型固定テーブルへの搬入をスムーズに行なうことができる。
また、請求項2にかかる発明によれば、金型交換作業に好適な開口形状の一態様を示すことができる。
さらに、請求項3にかかる発明によれば、金型交換作業に好適な開口形状の他の一態様を示すことができる。
さらに、簡易な構成で実現できる搬入補助部材の一態様を示すことができる。
【0025】
さらに、車輪構造の回転方向を規定する規定軸を軸溝に対して入れ替えることによって、側面側からでも樹脂シートの搬入側あるいは搬出側からでも金型を搬入することが可能になる。
さらに、請求項4にかかる発明によれば、搬入補助部材のテーブル上面に対する突出を制御することにより、簡易に金型の設置を行なうことが可能になる。
さらに、請求項5にかかる発明によれば、簡易な手法により突出機構を形成することが可能になる。
さらに、請求項6にかかる発明によれば、簡易な構成で付勢部材を形成することが可能になる。
さらに、請求項7にかかる発明によれば、付勢部材の他の一態様を示すことが可能になる。
【0026】
さらに、請求項8にかかる発明によれば、トリミング装置の側面側からの金型交換作業を可能にすることが可能になるとともに、金型交換作業に際して、金型の下型固定テーブルへの搬入をスムーズに行なうことができるトリミング装置の下型固定テーブルを提供することができる。
【0027】
さらに、請求項9にかかる発明によれば、搬入補助部材のテーブル上面に対する突出を制御することにより、簡易に金型の設置を行なうことが可能になる。
さらに、請求項10にかかる発明によれば、簡易な手法により突出機構を形成することが可能になる。
さらに、請求項11にかかる発明によれば、簡易な構成で付勢部材を形成することが可能になる。
さらに、請求項12にかかる発明によれば、付勢部材の他の一態様を示すことが可能になる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明にかかるトリミング装置をラインに組み込んだ熱成形ラインの概略構成を示した概略構成図である。
同図において、熱成形ライン10は、概略、成形品を成形する前の樹脂の素材シートを熱成形ライン10に供給する巻き出しロール11と、巻き出しロール11から所定のライン速度に対応して順次、素材シートを巻き出すピンチロール12と、ピンチロール12より巻き出された素材シートに対して所定の熱処理を施し素材シートを可塑化させる加熱装置13と、可塑化された素材シートに所定のタクトタイムにより成形型を略当接させ成形品が成形された成形シートを生成する成形装置14と、この成形シートの成形品に対して、所定の穴開けやミシン目などを形成する中間トリミング処理を実施する中間トリミング装置15と、中間トリミング処理された成形シートから成形品の外周を切断することにより成形シートをトリミングする外周トリミング装置16と、トリミングされた成形品を製品として回収する製品回収エリア17とを備えている。また、トリミングする成形品の製品として態様によって、中間トリミング装置15は利用されたり、利用されなかったりする。
【0029】
本実施形態においてはこの中間トリミング装置15について詳述しない。従って、成形装置14の後工程として外周トリミング装置16を有する熱成形ライン10について説明する。
図2は熱成形ラインの成形装置14の後方に外周トリミング装置16を設置した場合を示した構成図である。
同図において、巻き出しロール11から巻き出され、加熱装置13での加熱処理にて可塑化された素材シートは、成形装置14にて所定の成形型によって成形され成形シートとなる。そして、成形装置14の出側ピンチロール14aにて排出されるとともに、成形装置14と外周トリミング装置16との機械速度の違い、すなわち、成形型14bの上昇下降動作による成形タクトタイムと外周トリミング装置でのダイなど所定の切断工具の上昇下降動作によるトリミングタクトタイムのタイミングのずれを吸収する緩衝ループ18に排出される。
【0030】
ここで、外周トリミング装置16は、入側ピンチロール16aにてこの緩衝ループ18から成形シートを投入され、上述した所定の切断工具によって成形シートから成形品のトリミングを実施する。ここで、外周トリミング装置16には後述するクランク機構を採用することによりトリミング動作を高速化し、成形装置14と所定のタイミングにて同期運転を実施可能にする。
【0031】
図3は、本熱成形ライン10にて適用される外周トリミング装置16の概略外観図を示している。
同図において、外周トリミング装置16は、概略、成形シートをトリミングするトリミング部16aと、このトリミング部16aを動作させるトリミング駆動部16bと、トリミング駆動部16bに動力を供給する電動機部16cとを備えている。
【0032】
かかる構成においては、電動機部16cの回動軸16c1に接続された所定の誘導モータの回転動作を受けてこの回動軸16c1が回転する。そして、回動軸16c1に配設したタイミングベルト16c2によりトリミング駆動部16bに回転駆動が伝達され、この回転駆動はトリミング駆動部16bの内部に設置されているクランク機構16b1により往復直線運動に変換される。この往復直線運動はトリミング部16aに伝達され、トリミング部16aの上昇下降運動を実現可能にする。そして、このトリミング部16aの上昇下降運動によって成形シートから成形品をトリミングすることになる。
【0033】
図4は、トリミング駆動部16bのクランク機構16b1の概略構成を示した構成図である。
同図において、クランク機構16b1は、概略、クランク16b1aと、クランク軸16b1bと、クロスヘッド16b1kとから構成され、クランク軸16b1bには所定の開口形状16b1cが形成されている。ここで、クランク16b1aにはクランク回転軸16b1dが挿嵌されており、クランク回転軸16b1dは電動機部16cの回動軸16c1とタイミングベルト16c2および所定の減速ギアとを介して接続されている。
【0034】
従って、電動機部16cの回転軸16c1の回転動作に伴って、クランク回転軸16b1dが所定の速度によって回転運動可能になっている。そして、クランク回転軸16b1dが回転運動することによりクランク16b1aが回動する。
かかる場合、このクランク16b1aの他端に接続されているクランク軸16b1bはクランク16b1aとの接続部位が遊動し、この接続部位がクランク回転軸16b1dの回転動作に同期して回転動作する。この回転動作はクランク軸16b1bによって往復直線運動に変換される。従って、このクランク軸16b1bの他端に遊動可能に接続されたクロスヘッド16b1kは往復直線運動することになる。
【0035】
図5は、クランク機構16b1の他の実施例を示した図である。
同図において、円板16b1eに輪状の凹みぞ16b1fがあり、これにクランク軸16b1gの一端の丸ピン16b1hが係合している。従って、電動機部16cの回転軸16c1の回転運動が円板16b1eを回転させ、この円板16b1eの回転運動に伴って丸ピン16b1hが回動し、この回動がクランク軸16b1gによって往復直線運動に変換されることによって、クロスヘッド16b1iが往復直線運動する。従って、クランク機構16b1は、クロスヘッド16b1k,16b1iを機械的に往復直線運動させることができればよく、その態様は適宜変更可能であることが分る。また、かかる実施例においても、クランク軸16b1gには所定の開口形状16b1jが形成される。
【0036】
図6はトリミング部16aの概略を示した図である。
同図において、トリミング部16aは、所定の少なくとも1つ以上のスチールルールダイ16a1と、スチールルールダイ16a1を配設する上型可動テーブル16a2と、緩衝ループ18より供給される成形シートを載置するとともに、スチールルールダイ16a1の刃先が当接し、この当接によって成形シートを押し切り成形品をトリミング可能にする金型16a3と、上述したスチールルールダイ16a1の押し切り動作を支持する下型固定テーブル16a4と、金型16a3を載置する金型台16a5とを備えている。
【0037】
ここで、上型可動テーブル16a2は、クランク機構16b1のクロスヘッド16b1cに接続されており、クロスヘッド16b1cが往復直線運動をすると、この往復直線運動に伴って上昇下降動作するようになっている。このクロスヘッド16b1cの往復直線運動のストロークがスチールルールダイ16a1の刃先と金型16b3との距離に略対応しており、スチールルールダイ16a1の下降動作によって、金型16a3に載置された成形シートは、スチールルールダイ16a1の刃先と金型16a3に挟まれるようになり成形品が切断されトリミングされる。
【0038】
本実施形態においては、金型16a3を下型固定テーブル16a4に設置する金型交換作業を行なうにあたり、外周トリミング装置16においてクランク軸16b1bが配設される側面側よりこの金型16a3を搬入可能にするためクランク軸16b1b,16b1gに上述した開口形状16b1cあるいは16b1jを形成している。この開口形状は図4および5に示すように略四角形状に形成してもよいし、この略四角形状を略三角形状にて形成してもよい。すなわち、この開口形状の開口部から金型16b3を搬入することができればよく、その開口形状は特に限定されるものではない。
【0039】
図7は、上述したようにクランク軸16b1bに開口形状16b1cが形成されている外周トリミング装置16において実施される金型交換作業を、本外周トリミング装置16のトリミングされた成形シートの搬出側から観た図である。
同図において、金型交換作業者Mは、金型16a3を載置された台車Dを外周トリミング装置16の側面側に持ってくる。そして、金型16a3が開口形状16b1cを介して金型台16a5に搬入可能な位置に台車Dの金型載置台D1を上昇あるいは下降させて位置決めする。そして、この位置決めが完了すると、図に示した矢印方向に金型16a3を外周トリミング装置16に向かって搬入する。ここで、外周トリミング装置16の各構成部を支持する本体フレームについても、開口形状16b1cに対応して側面開口部位が形成されることは言うまでもない。
【0040】
このように開口形状16b1cが外周トリミング装置16の側面に金型16a3を挿入し金型台16a5に搬入可能に形成されているため、金型交換作業者Mは、この外周トリミング装置16のライン前後方向に配置され、金型交換作業において干渉する装置を移動させることなく、簡易に側面からの金型交換作業を実施することが可能になる。
【0041】
図8は、このような本実施形態での側面からの金型交換作業に適用される金型台16a5の一態様を示した概略斜視図である。
同図において、金型台16a5の上面には図9に示す略円筒形状に形成される車輪構造20を挿嵌する略円筒形状の車輪構造挿嵌孔21が形成されている。
本実施形態においては車輪構造挿嵌孔21が金型台16a5の上面に6個形成されているが、むろん、これは一実施例を示したものであって、その数は適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0042】
ここで、図9に示すように車輪構造20は、略円筒形状の車輪構造挿嵌孔21の内壁に略密接して挿着可能な略円筒形状を有しており、その略円筒形状の側面には車輪構造20の挿嵌方向を規定する規定軸22が形成されている。この車輪構造20を金型台16a5に挿着する際は、車輪構造挿嵌孔21に、この規定軸溝23に位置決めして挿嵌することになる。
また、車輪構造20の上面には金型16a3が搬入される際に、搬入方向に対する搬入動作を補助する車輪24が、ぞの上部を適度に突出されるように配設されている。
【0043】
図10は、車輪構造20の概略を透視した概略透視図を示している。
同図において、車輪構造20は、内部に車輪24を支持しつつ、車輪24の上部が適度に金型台16a5の上面から突出し金型16a3の搬入を補助可能にするとともに、所定の状況にてこの突出を引き込む突出制御機構が25が収容されている。
本実施形態においては、この突出制御機構25をバネ構造25aにて構成している。すなわち、バネ構造25aの付勢力によって車輪24が適度に金型台16a5の上面から突出するようになっているとともに、所定の押し下げ力にて車輪24の上部突出部分を車輪構造20の内部に収容されるようにする。
【0044】
ここで、図11は、車輪構造20を金型台16a5に挿嵌した状態の概略断面を示す概略断面図である。
同図において、バネ構造25aにて突出された車輪24が金型台16a5から突出し、搬入される金型16a3を支持しつつ、搬入動作に伴なって搬入方向に回動し搬入を補助することが可能なことが分る。また、上述したように規定軸22は規定軸溝23に挿嵌されることによって、車輪構造20は位置決めされるとともに、この係合によって車輪構造20に搬入方向以外の外力が発生しても、ずれることがなくなり、安定して金型16a3の搬入を補助することが可能になることが分る。
【0045】
図12は、側面からの金型交換作業に適用される金型台16a5の他の一態様を示した概略斜視図である。
同図において、金型台16a5の上面には図13に示すベアリング構造30を挿嵌する略円筒形状のベアリング構造挿嵌孔31が形成されている。本実施形態においてはベアリング構造挿嵌孔31が金型台16a5の上面に6個形成されているが、むろん、これは一実施例を示したものであって、その数は適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0046】
このベアリング構造30は、上述した車輪構造20と異なり、回動部分が車輪ではなくボールにて形成されるボールベアリングタイプを採用している。このため、回転方向に制限はなく、車輪構造20のように挿嵌方向を規定する規定軸22を配設する必要がない。
従って、このベアリング構造20を金型台16a5に挿着する際は、車輪構造挿嵌孔21に形成された規定軸溝23に位置決めして挿嵌することが必要なため、それぞれ規定軸および規定軸溝を形成する必要がなく構造を簡素化することが可能になる。
また、図13に示すようにベアリング構造30は、略円筒形状のベアリング構造挿嵌孔31の内壁に略密接して挿着可能な略円筒形状を有している。そして、上面には金型16a3が搬入される際に、搬入方向に対する搬入動作を補助するボール32が配設されている。
【0047】
図14は、ベアリング構造30の概略を透視した概略透視図を示している。
同図において、ベアリング構造30は、内部にボール32を支持しつつ、このボール32の上部が適度に金型台16a5の上面から突出し金型16a3の搬入を補助可能にするとともに、所定の状況においてこの突出をベアリング構造30の内部に収容する突出制御機構33が収容されている。本実施形態においては、この突出制御機構33をバネ構造33aにて構成している。すなわち、バネ構造33aの付勢力によって球体32が適度に金型台16a5の上面から突出するとともに、ボール32にベアリング構造30の下方に向かう所定の押し下げ力が発生すると、ボール部32をベアリング構造30の内部に収容するようになっている。
【0048】
ここで、図15は、ベアリング構造30を金型台16a5に挿嵌した状態の概略断面を示す概略断面図である。
同図において、バネ構造33aにて突出された球体32が金型台16a5から突出し、搬入される金型16a3を支持しつつ、搬入動作に伴なって搬入方向に回動し搬入を補助することが可能なことが分る。
【0049】
図16は、上述した突出制御機構として他の態様を適用した車輪構造20を概略透視した概略透視図である。
同図において、車輪構造40は上述したのと同様に車輪44と、規定軸42とを備えるとともに、本態様においては、圧縮空気タンク43と、圧縮空気調整弁47と、シリンダ45と、圧縮空気開放弁46とを備えている。すなわち、金型16a3を搬入するに際して、車輪44を金型台16a5から適度に突出することが可能な圧力を発生させるように圧縮空気調整弁47を制御して、圧縮空気タンク43から所定の圧力がシリンダ45に印加されるようにする。そして、金型16a3の搬入が完了すると、圧縮空気開放弁46を開放してシリンダ45と車輪構造40の外周筐体にて形成されている小部屋Rの圧縮空気を抜き出す。すると、シリンダ45を支持していた空気圧力が低下し、シリンダ45は下降する。これによって、車輪44は車輪構造40の内部に収容されることになる。
【0050】
このように、圧縮空気の印加および開放を制御することによって、車輪構造においては車輪を、ベアリング構造においては球体部分を金型台16a5の上面から適度に突出させたり、金型16a3の搬入が完了したときに金型台16a5の上面より突出した部分をそれぞれの構造の内部に収容することが可能になる。
【0051】
一方、このように突出制御機構による車輪24あるいはボール32の上昇下降の制御を圧縮空気によって実施すると、圧縮空気タンク43や圧縮空気調整弁47あるいは圧縮空気開放弁46が必要となり、装置が大きくなったり、設備製造コストが上昇してしまうことがある。
図17は、突出制御機構の他の実施態様を示した図である。
同図において、下型固定テーブル16a4の側面にクランプ機構50を配設する。そして、このクランプ機構50を動作させると、搬入された金型16a3の上面に作用してこの金型16a3を下方に押し下げる。すると、この金型16a3の押し下げ動作に伴ない、上述したバネ構造25,33により金型台16a5より適度に突出させられた車輪24あるいはボール32は押し下げられ、それぞれ車輪構造20あるいはベアリング構造30の内部に収容されることになる。そして、図18に示すように、クランプ機構50の押し下げ力によって金型16a3が金型台16a5に略密接させられることにより、金型16a3は金型台16a5に固定されることになる。
【0052】
このように、クランク軸16b1bの上型可動テーブル16a2と下型固定テーブル16a4あるいは金型台16a5とに対面する部位に金型16a3を挿入可能な所定の開口形状16b1cを形成することによって、図7に示すように金型交換作業者Mは、金型交換作業を行なうにあたり、外周トリミング装置16の側面から金型16a3を外周トリミング装置16の金型台16a5に対して搬入することが可能になる。
【0053】
従って、金型交換作業において干渉する外周トリミング装置16のライン方向前後に配置される装置を干渉しない位置まで移動させる必要がないため、金型交換作業者Mは容易に短時間で金型交換作業を実施することが可能になる。また、上述したように外周トリミング装置16にライン方向前後に配置される装置を移動刷る必要がないため、この移動のために必要となる構造を削除することができるため、設備構成を小さくすることができるとともに、設備製造コストを低減させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるトリミング装置をラインに組み込んだ熱成形ラインの概略構成を示した概略構成図である。
【図2】熱成形ラインの成形装置14の後方に外周トリミング装置16を設置した場合を示した構成図である。
【図3】本熱成形ライン10にて適用される外周トリミング装置16の概略外観図である。
【図4】トリミング駆動部16bのクランク機構16b1の概略構成を示した構成図である。
【図5】クランク機構16b1の他の実施例を示した図である。
【図6】トリミング部16aの概略を示した図である。
【図7】クランク軸16b1bに開口形状16b1cが形成されている外周トリミング装置16において実施される金型交換作業を、本外周トリミング装置16のトリミングされた成形シートの搬出側から観た図である。
【図8】側面からの金型交換作業に適用される金型台16a5の一態様を示した概略斜視図である。
【図9】車輪構造20の外観を斜視した外観斜視図である。
【図10】車輪構造20の概略を透視した概略透視図である。
【図11】車輪構造20を金型台16a5に挿嵌した状態の概略断面を示す概略断面図である。
【図12】側面からの金型交換作業に適用される金型台16a5の他の一態様を示した概略斜視図である。
【図13】ベアリング構造30の外観を斜視した外観斜視図である。
【図14】ベアリング構造30の概略を透視した概略透視図である。
【図15】ベアリング構造30を金型台16a5に挿嵌した状態の概略断面を示す概略断面図である。
【図16】突出機構として他の態様を適用した車輪構造20を概略透視した概略透視図である。
【図17】突出機構の他の実施態様を示した図である。
【図18】突出機構の他の実施態様を示した図である。
【符号の説明】
16a1…押し切り刃
16a2…上型可動テーブル
16a3…金型
16a4…下型固定テーブル
16a5…金型台
16b1a…クランク
16b1b…クランク軸
16b1c…開口形状
16b1d…クランク回転軸
D…台車
D1…金型載置台
M…金型交換作業者
Claims (12)
- 上方部位にて上下方向に往復動可能に支持されて上型を固定可能な上テーブルと、
上記上テーブルと対面するようにその下方にて固定して支持されて下型を固定可能な下テーブルと、
上記下テーブルよりも下方部位に支持されて各テーブルの側面方向に回転駆動軸を配置した駆動モータと、
各テーブルの側面方向に配置されて上端にて上記上テーブルに連結されるとともに下端にて上記回転駆動軸に偏心して連結され、かつ、上記上テーブルと上記下テーブルとの間隙部分に対面するように枠形部位が形成されたクランク軸とを具備し、
上記下テーブルは、上記枠形部位より同下テーブルに下型を搬入するに際して同下型を支持しつつ同下型の搬入方向に回転する車輪構造を、同下テーブル上面から着脱可能に形成されるとともに、同車輪構造が備える規定軸を挿嵌させることにより車輪構造の回転方向を規定する軸溝を形成することを特徴とするトリミング装置。 - 上記請求項1に記載のトリミング装置において、上記クランク軸の枠形部位は、略四角形状に形成されることを特徴とするトリミング装置。
- 上記請求項1に記載のトリミング装置において、上記クランク軸の枠形部位は、略三角形状に形成されることを特徴とするトリミング装置。
- 上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載のトリミング装置において、上記車輪構造は、回動する所定の部位を上記下型を支持するように下テーブルのテーブル上面から突出させるとともに、この突出を解除し同所定の部位を下テーブルの内部に引き込む突出制御機構を備えることを特徴とするトリミング装置。
- 上記請求項4に記載のトリミング装置において、上記突出制御機構は、所定の付勢部材にて構成され、同付勢部材は、上記所定の部位が下テーブルのテーブル上面から適度に突出するように付勢するとともに、下型の下テーブルへの設置に伴ない、収縮し同所定の部位を下テーブルの内部に引き込むことを特徴とするトリミング装置。
- 上記請求項5に記載のトリミング装置において、上記付勢部材は、所定のバネ構造にて形成されることを特徴とするトリミング装置。
- 上記請求項5に記載のトリミング装置において、上記付勢部材は、所定の流体を利用した流体圧構造にて形成されることを特徴とするトリミング装置。
- 上下方向に往復動する上テーブルに固定された上型と当接することにより、外部から搬送される成形シートに対するトリミングを可能とする下型を設置するトリミング装置の下テーブルであって、
上記成形シートの搬送方向に対する側面方向から上記下型を搬入するに際して同下型を支持しつつ同下型の搬入方向に回転する車輪構造を、同下テーブルの上面から着脱可能に形成されるとともに、同車輪構造が備える規定軸を挿嵌させることにより車輪構造の回転方向を規定する軸溝を形成することを特徴とするトリミング装置の下テーブル。 - 上記請求項8に記載のトリミング装置の下テーブルにおいて、上記車輪構造は、回動する所定の部位を上記下型を支持するように下テーブルのテーブル上面から突出させるとともに、この突出を解除し同所定の部位を下テーブルの内部に引き込む突出制御機構を備えることを特徴とするトリミング装置の下テーブル。
- 上記請求項9に記載のトリミング装置の下テーブルにおいて、上記突出制御機構は、所定の付勢部材にて構成され、同付勢部材は、上記所定の部位が下テーブルのテーブル上面から適度に突出するように付勢するとともに、下型の下テーブルへの設置に伴ない、収縮し同所定の部位を下テーブルの内部に引き込むことを特徴とするトリミング装置の下テーブル。
- 上記請求項10に記載のトリミング装置の下テーブルにおいて、上記付勢部材は、所定のバネ構造にて形成されることを特徴とするトリミング装置の下テーブル。
- 上記請求項10に記載のトリミング装置の下テーブルにおいて、上記付勢部材は、所定の流体を利用した流体圧構造にて形成されることを特徴とするトリミング装置の下テーブル。
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