JP3807635B2 - 高周波硬化型樹脂組成物及びこれを用いて形成した高周波硬化型接着性シート - Google Patents

高周波硬化型樹脂組成物及びこれを用いて形成した高周波硬化型接着性シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する利用分野】
本発明は、電気・電子分野或いは産業用資材分野において特に好適に用いられる構造用の高周波硬化型樹脂組成物及びこれを用いて形成した高周波硬化型接着性シートに関し、具体的には、特に、例えばICカードの構造接着、電子部品の実装及びチップ部品工程の自動化・組立、或いはハニカムボード、メーターパネル、合わせガラス、合板、アクリルケーシング品、プラスチック、セラミック、木材等の非金属の構造接着に好適に用いられる高周波硬化型樹脂組成物及びこれを用いて形成した高周波硬化型接着性シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
接着剤には、熱硬化性樹脂を用いるものと熱可塑性樹脂を用いるものとがある。
【0003】
上記熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂又はアルキッド樹脂等が挙げらるのであり、又、嫌気性硬化型樹脂としてはシアノアクリレート樹脂等が挙げられる。
【0004】
一方、上記熱可塑性樹脂としては粘着型のゴム系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂又はポリサルファイド樹脂等を用いるものと、ホットメルト型のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体等を用いるものが挙げられる。
【0005】
そして、これらのうち、接着剤として最も信頼性の高いものとして熱硬化性樹脂があり、その代表としてエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0006】
ところで、最近、プリプレグと金属箔との積層物を高周波誘電加熱によって接着することが提案されている。
【0007】
即ち、金属箔張り積層板の製法として、長尺のプリプレグを連続的に送りつつ所定枚数のプリプレグを重ね合わせると共にその最外層の外面に長尺の金属箔を重ね、これを上下のベルト間に連続して送り込むことによって上下のベルト間で加熱加圧を行って金属箔張り積層板を得るにあたって、上記プリプレグと金属箔との積層物を誘電加熱してプリプレグに含浸した樹脂を溶融状態にしたのちに上下のベルト間に送り込むようにするものが提案されている(特開昭60−189439号公報)。
【0008】
この場合、最も好適な例を示す、実施例1においては、エポキシ当量520のブロム化エポキシ520gに対しジシアンジアミドを9g、2−エチル−4−メチルイミダゾールを0.5g配合し、これを溶剤に溶解して得たエポキシ樹脂ワニスを用いたものであり、又、実施例2においては、実施例1において、2−エチル−4−メチルイミダゾールを1.5gとした以外は実施例1と同様にして得たエポキシ樹脂ワニスを用いたものである。
【0009】
一方、熱可塑性樹脂においては、高周波誘電加工や超音波加工等の溶着技術を採用し、同種の熱可塑性樹脂を融着することが採用されている。具体的には、例えば誘電体損失によって発生した熱を利用してポリ塩化ビニル等の溶着が行われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱硬化性樹脂を用いる場合、硬化温度及び硬化時間の制約が強く、大量生産に伴う市場の省エネルギー化、工程の短縮化、自動化の要望に充分に応えることができない。
【0011】
事実、特開昭60−189439号公報に記載の実施例1では、得られたワニスのゲル化時間は160℃に於て10分であり、又、このワニスを205g/mのガラス布に含浸、乾燥させて樹脂含量45%、160℃でのゲルタイム180秒のプリプレグを得ている。又、このプリプレグにあって、実験室における試験の結果、層間接着性が実用に耐える積層板を得るには、170℃以上で20分間以上の加熱が必要であり、硬化温度及び硬化時間の制約が強く、大量生産に伴う市場の省エネルギー化、工程の短縮化、自動化の要望に充分に応えることができないのである。
【0012】
ところで、このプリプレグ8枚と12μ厚の電解銅箔を重ね合わせ、発振周波数13.5MHzの高周波誘電加熱装置を用いて積層物の中央部の温度が120〜125℃になる迄加熱し、樹脂を溶融状態にしているが、その高周波誘電加熱時間が不明である。
【0013】
しかしながら、0.1m/分で回転しているダブルベルトのブレスにこの積層物を導き、圧力25kg/cm、温度175℃の条件で成型を行う場合、ダブルベルト内での加圧・加熱時間は20分と極めて長時間を要するのである。
【0014】
又、同公報の実施例2においても、そのワニスを205g/mのガラス布に含浸、乾燥させて樹脂含量45%、160℃でのゲルタイム30秒のプリプレグを得ている。又、このプリプレグにあって、実験室における試験の結果、層間接着性が実用に耐える積層板を得るには175℃で4分以上の加熱が必要であり、硬化温度及び硬化時間の制約が強く、大量生産に伴う市場の省エネルギー化、工程の短縮化、自動化の要望に充分に応えることができない。
【0015】
更に、熱硬化性樹脂を用いる場合、硬化に必要な温度或いは硬化時間中の熱によってプラスチック材料等の熱変形及び接合による歪み、溶融が起こり易くなっている。
【0016】
一方、熱可塑性樹脂を用いる場合、その多くは低エネルギーで秒単位の接合も可能であるが、被着体の熱による変形も発生しないが、接着強度、耐熱信頼性等の問題点が数多く挙げられる。
【0017】
また、従来技術として、熱可塑性樹脂が高周波誘電加工装置と組み合わせて使用されているが、接合強度及び耐熱信頼性において、熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂と到底比較できるものではない。
【0018】
更に、高周波加熱による同種の熱可塑性樹脂を溶着する場合、誘電体損失によって発生した熱を利用してポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂の溶着が行われているが、被着体の溶着による変形は避けることができない上、異種の熱可塑性樹脂の融着は殆ど不可能となり、用途が極めて限定される。
【0019】
本発明は、高周波加熱によって極めて短時間で硬化反応が終了し、しかも内部加熱方式であるため材料変形は殆ど発生せず、また硬化温度及び硬化時間の制約が殆ど無く、大量生産に伴う市場の省エネルギー化、工程の短縮化、自動化の要望に充分に応えることができる上、エポキシ樹脂をベースポリマーとしているから、耐湿熱性、接合強度及び耐熱信頼性が極めて優れる結果、種々の広範な産業分野で好適に使用できる高周波硬化型樹脂組成物及びこれを用いて形成した高周波硬化型接着性シートを提供することを目的とする。
【0020】
ところで、高周波加熱とは、誘電体に高周波電界を加えた場合、その中に誘電体損失を生じて発熱したり、また誘電体の近くで高周波電流を流して、その中に誘導磁界をつくると、うず電流が発生して発熱するが、このような高周波電磁界に基づく発熱作用を用いて物体を加熱することをいい、前者を誘電加熱、後者を誘導加熱と言われている。また、高周波加熱は被加熱物自体が発熱体となり、その熱で温度が上昇することになるので内部加熱とも言われている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る高周波硬化型樹脂組成物(以下、本発明物という。)は、上記目的を達成するために、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)シアノグアニジン、(C)液状のイミダゾール或いはその誘導体及び(D)液状3級アミンを必須成分とすることを特徴とする。
【0022】
即ち、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂に、(B)シアノグアニジンと(C)液状のイミダゾール或いはその誘導体を配合すると透明で、しかも接合強度及び耐熱信頼性の高い硬化物が得られるのであり、又、更に(D)液状3級アミンを配合すると、高周波に対する感応性が至極高くなり、従って、高周波加熱によって極めて短時間で硬化反応が終了するため材料変形は殆ど発生せず、また硬化温度及び硬化時間の制約が殆ど無く、大量生産に伴う市場の省エネルギー化、工程の短縮化、自動化の要望に充分に応えることができるのである。
【0023】
以下、まず、本発明物について詳細に説明する。
本発明物で好適に用いられる(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとをアルカリの存在下で反応させて得られるものであれば特に限定されるものではない。
【0024】
上記(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品の例としては、例えばシェル化学社製のEpon825、Epon828、Epon1001、Epon1002、Epon1004、Epon1007又はEpon1009、油化シェルエポキシ社製のエピコート815、エピコート827、エピコート828、エピコート834、エピコート1055、エピコート872−X−75、エピコート1001−B−80、エピコート1001−X−70、エピコート1001−X−75、エピコート1001、エピコート1002、エピコート1004、エピコート1007又はエピコート1009、旭化成社製のAER334、AER330、AER331、AER337、AER661、AER664、AER667又はAER669、旭電化社製のアデカレジンEP−4200、アデカレジンEP−4300、アデカレジンEP−4100、アデカレジンEP−4340、アデカレジンEP−5100、アデカレジンEP−5200、アデカレジンEP−5400、アデカレジンEP−5700又はアデカレジンEP−5900、住友化学社製のスミエポキシELA−115、スミエポキシELA−127、スミエポキシELA−128、スミエポキシELA−134、スミエポキシESA−011、スミエポキシESA−012、スミエポキシESA−014、スミエポキシESA−017又はスミエポキシESA−019、大日本インキ社製のエピクロン855、840、850、860、1050、エピクロン2050、エピクロン4050、エピクロン7050又はエピクロン9050、ダウ・ケミカル(日本)社製のDER330、DER331、DER661、DER662、DER664、DER667又はDER669、大日本色材社製のプリエボーPEB−10、プリエボーPE−09、プリエボーPE−10、プリエボーPE−25、プリエポーPE−70、プリエポーPE−80、プリエポーPE−100、プリエポーPE−120又はプリエポーPE−150、東都化成社製のエポトートYD−115、エポトートYD−127、エポトートYD−128、エポトートYD−134、エポトートYD−011、エポトートYD−012、エポトートYD−014、エポトートYD−017又はエポトートYD−019、日本チバガイギー社製のアラルダイトGY−250、アラルダイトGY−261、アラルダイトGY−30、アラルダイト6071、アラルダイト6084、アラルダイト6097又はアラルダイト6099、三井石化エポキシ社製のエポミックR−130、エポミックR−139、エポミックR−140、エポミックR−144、エポミックR−301、エポミックR−302、エポミックR−304、エポミックR−307又はエポミックR−309等が挙げられる。
【0025】
上記(A)ビスフェノーA型エポキシ樹脂としては、所望により複数種のものを混合して用いても良く、又、ポットライフやシートライフ更に剪断接着力に悪影響を与えない範囲で、他のエポキシ樹脂、例えばウレタン変成エポキシ樹脂やニトリルゴム変成エポキシ樹脂等を混合しても良いのである。
【0026】
又、本発明物で用いられる(B)シアノグアニジンとしては、下記構造式、
【0027】
【化1】
Figure 0003807635
【0028】
を有する化合物である。
【0029】
上記(B)シアノグアニジンの市販品の例としては、例えばエイ・シー・アイ・ジャパン・リミテッド社製のDICY CG シリーズであるCG−NA、CG、CG−325、CG−1200、CG−1400、DICYANEX−200、DICYANEX−325及びDICYANEX−1200等が挙げられる。
【0030】
更に、本発明物で用いられる(C)液状のイミダゾール或いはその誘導体としては液状のものであれば特に限定されるものではなく、その市販品の例としては、例えば四国化成社製のキュアゾールORシリーズである2E4MZ、1B2MZ、同社製のキュアゾールCNシリーズである2MZ−CN、2E4MZ−CN、同社製のキュアゾールHZシリーズである2PHZ−CNの他、同社製の1M2EZ、1B2EZ等が挙げられる。
【0031】
本発明物で用いられる(D)液状3級アミンとしては液状の3級アミンであれば特に限定されるものではなく、その市販品の例としては、例えばエアープロダクツ社製のアンカミンシリーズであるK−54、1110、K−61B等が挙げられる。
【0032】
本発明物は、上記(A)〜(D)を必須成分とするものであるが、所要のポットライフ、優れた高周波硬化性、接合強度、耐熱信頼性、シートライフ、剪断接着力及び耐湿接着性が得られ、柔軟で、割れの防止やベタツキの減少等の観点から、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部に対し、(B)シアノグアニジン3〜25重量部、好ましくは5〜20重量部(C)液状のイミダゾール或いはその誘導体0.1〜3重量部、好ましくは0.2〜2重量部及び(D)液状3級アミンを0.1〜2重量部、好ましくは0.15〜1.5重量部の範囲とするのが望ましい。
【0033】
又、本発明物においては、上記(A)〜(D)の成分に、更に、(E)ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂、(F)フェノールノボラック型エポキシ樹脂及び(G)芳香族ポリアミンを含有させて、高周波硬化特性、ポットライフ及び耐熱性を一層向上させるうえ、更に強靭性や接着性を一層向上しても良いのである。
【0034】
この場合、その配合割合は、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂10〜50重量部と(F)フェノールノボラック型エポキシ樹脂50〜90部からなり、しかもこの(A)と(F)の合計重量が100重量部に対し、(B)シアノグアニジン3〜25重量部、好ましくは5〜20重量部(C)液状のイミダゾール或いはその誘導体0.1〜3重量部、好ましくは0.2〜2重量部(D)液状3級アミンを0.1〜2重量部、好ましくは0.15〜1.5重量部、(E)ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂1〜20重量部、好ましくは3.5〜15重量部及び(G)芳香族ポリアミン0.5〜20重量部、好ましくは5〜15重量部の範囲とするのが望ましく、この範囲以外では成分全体のバランスが崩れ、所要の特性やポットライフやシートライフを悪化させる虞れがあるから好ましくない。
【0035】
上記(E)ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂としてはビスフェノールA骨格を有し、且つ硬化物が弾性を有するエポキシ樹脂であり、その市販品の例としては、例えば新日本理化社製のリカレジンBEO−60E、旭電化社製のアデカレジンEP 4000、油化シェルエポキシ社製のエピコート871、東都化成社製のエポトートYD−171等が挙げられる。
【0036】
上記(F)フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させてグリシジルエーテル化させた樹脂をいい、下記一般式で示されるものである。
【0037】
【化2】
Figure 0003807635
【0038】
上記(F)フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品の例としては、油化シェルエポキシ社製のエピコート157S65、大日本インキ社製のエピクロンN−800、ダウ化学社製のDEN438、油化シェル社製エピコート152、エピコート154、ダウ・ケミカル社製DEN−431、DEN−438、DEN−439、DEN−485、チバガイギー社製アラルダイトEPN−1138、アラルダイトEPN−1139、DIC社製エピクロンN−730、N−738、N−740等が挙げられる。
【0039】
上記(G)芳香族ポリアミンとしては特に限定されるものではないが、具体的には、例えばジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン及びトルエンジアミン等が挙げられる。
【0040】
更に、本発明物においては、上記(A)〜(G)の成分に、更に、(H)ニトリルゴムを含有させて、特に、柔軟性や可撓性を一層改善しても良いのである。
【0041】
この場合、その配合割合は、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂10〜50重量部と(F)フェノールノボラック型エポキシ樹脂50〜90部からなり、しかもこの(A)と(F)の合計重量が100重量部に対し、(B)シアノグアニジン3〜25重量部、好ましくは5〜20重量部(C)液状のイミダゾール或いはその誘導体0.1〜3重量部、好ましくは0.2〜2重量部(D)液状3級アミンを0.1〜2重量部、好ましくは0.15〜1.5重量部、(E)ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂1〜20重量部、好ましくは3.5〜15重量部、(G)芳香族ポリアミン0.5〜20重量部、好ましくは5〜15重量部の範囲及び(H)ニトリルゴム5〜100重量部、好ましくは10〜50重量部とするのが望ましく、この範囲以外では成分全体のバランスが崩れ、逆に所要の諸特性やポットライフやシートライフが得られなくなることがあるから好ましくない。
【0042】
上記(H)ニトリルゴムとしては特に限定されるものではなく、その市販品の例としては、例えば日本合成ゴム社製のEXR−91、日本ゼオン社製のNipolシリーズであるNipol DN002、Nipol DN003、Nipol DN009、Nipol DN101、Nipol DN101L、Nipol DN103、Nipol DN115、Nipol DN200、NipolDN201、Nipol DN202、Nipol DN202H、NipolDN206、Nipol DN207、Nipol DN211、Nipol DN212、Nipol DN215、Nipol DN219、Nipol DN223、Nipol DN225、Nipol DN300、Nipol DN302、Nipol DN302H、Nipol DN306、Nipol DN315、Nipol DN401、Nipol DN401L、Nipol DN401LL、Nipol DN402、Nipol DN406、Nipol DN601、Nipol DN214、Nipol DN631、Nipol DN1201、Nipol DN1201L、Nipol DN224、Nipol DN1105、Nipol DN1205、Nipol DN1305、NipolFN3703、Nipol FN4002、Nipol 1041、Nipol1041L、Nipol 1031、Nipol 1001、Nipol 1042、Nipol 1042AL、Nipol 1052J、Nipol 1032、Nipol 1043、Nipol 1312、Nipol 1432J、Nipol 1411、Nipol 1422、Nipol 1072J、HF01又はHF21等が挙げられる。
【0043】
本発明物においては、上記(A)〜(H)の成分に、更に、(I)シランカップリング剤を含有させて、特に、耐湿接着性、接着力更に電気特性を一層改善しても良いのである。
【0044】
この場合、その配合割合は、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂10〜50重量部と(F)フェノールノボラック型エポキシ樹脂50〜90部からなり、しかもこの(A)と(F)の合計重量が100重量部に対し、(B)シアノグアニジン3〜25重量部、好ましくは5〜20重量部(C)液状のイミダゾール或いはその誘導体0.1〜3重量部、好ましくは0.2〜2重量部(D)液状3級アミンを0.1〜2重量部、好ましくは0.15〜1.5重量部、(E)ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂1〜20重量部、好ましくは3.5〜15重量部、(G)芳香族ポリアミン0.5〜20重量部、好ましくは5〜15重量部の範囲、(H)ニトリルゴム5〜100重量部、好ましくは10〜50重量部及び(I)シランカップリング剤0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部とするのが望ましく、シランカップリング剤の配合割合が、0.05重量部未満と少な過ぎると効果が乏しく配合する意味が無く、一方、5重量部を超えると効果に限界が生じる上、不経済であり、しかも成分全体のバランスが崩れ、逆に特性が悪化する虞れが有るから望ましくない。
【0045】
上記(I)シランカップリング剤としてはシラン系のカップリング剤であれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルーγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン又はγ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0046】
本発明物には、所望により、有機溶媒が配合されるが、この有機溶媒としては、ケトン系有機溶媒の他、ベンゼン、トルエン、パラキシレン等が挙げられる。
【0047】
このケトン系有機溶媒としては、ケトン基を有する有機溶媒であり、具体的には、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、イソプロピルメチルケトン、ブチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、ピナコロン、ジエチルケトン(プロピオン)、プチロン又はジイソプロピルケトン等の脂肪族飽和ケトン、メチルビニルケトン、メシチルオキシド又はメチルヘプテノン等の不飽和ケトン、シクロブタノン、シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等の脂環式ケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、バレロフェノン、ベンゾフェノン、ジベンジルケトン又は2−アセトナフトン等の芳香族ケトン、アセトチエノン又は2−アセトフロン等の複素環式ケトン等が挙げられる。
【0048】
本発明物を上記溶媒に溶解ないし分散させるにあたり、その配合割合は特に限定されるものではなく、取扱性や塗膜形成性等を配慮して任意に選択、決定できるが、本発明物100重量部に対し、50〜1000重量部の範囲、特に100〜750重量部の範囲である。
【0049】
本発明に係る高周波硬化型接着性シート(以下、本発明シートと略称する。)においては、上記目的を達成するために、本発明物の溶液をBステージ状態に硬化させてなることを特徴とする。
【0050】
即ち、本発明シートにおいては、本発明物の溶液を離形性の支持体上に塗工し、これを加熱してBステージ状態に硬化させても良く、この場合、この塗工方法としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えばフローコート、ヘッドコート、ローラーブラシ、ナイフコート、ロールコート、スピンコート、パイプドクターノズル方式(PDN方式)、キスコート、アプリケート又はコーティング等が挙げられる。
【0051】
又、本発明シートにおいては、基材に本発明物の溶液を含浸、吹き付け或いは塗工等によって当該基材に本発明物を担持させ、これを加熱して、Bステージ状態に硬化しても良いのである。
【0052】
ところで、上記の加熱、硬化条件としては、用いられる(A)〜(D)成分又は(A)〜(G)成分或いは(A)〜(H)成分更に(A)〜(I)成分の種類や比率によっても異なるが、一般に、温度100〜150℃で30秒〜10分間行うことによって、Bステージ状態の本発明シートが得られる。
【0053】
本発明シートの厚さとしては用途によって大きく異なり特に限定されるものではないが、一般には5〜1000μm、好ましくは20〜600μmに形成される。
【0054】
この基材としては、多孔質のシート状のものが挙げられるが、特に有機質繊維或いは無機質繊維で形成された繊維基材、又は有機質繊維と無機質繊維の組み合わせにより混抄された繊維基材が好ましい。
【0055】
この繊維基材の具体例としてはポリエステル繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維等の織布あるいは不織布、更にこれらの繊維の組み合わせにより混抄された不織布又は織布等が挙げられる。
【0056】
本発明シートに高周波を照射して当該シートを完全に硬化させるにあたり、精電舎電子工業社製の高周波誘電加熱装置KV−4000TAを用い、6〜80MHz、例えば41.16MHzの高周波を照射し、完全に硬化させる場合、この高周波誘電装置による電磁波照射として、開始陽極電流値160mA、陽極電流増加量70mA/秒、平衡陽極電流値170mA(自動同調装置により制御)の条件下、数秒〜15秒程度で完全に硬化するのである。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0058】
実施例1
ビスフェノールA型エポキシとして東都化成社製エポトートYD−011(エポキシ当量:450〜500g/eq、軟化点60〜74℃)及び油化シェルエポキシ社製エピコート828(エポキシ当量:180〜200g/eq)をそれぞれ50重量部用い、これにメチルエチルケトン100重量部、トルエン15重量部を投入し、高速ディスパ(1,200〜2,000rpm)で10〜30分間撹拌することにより、上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂を完全に溶解した。
【0059】
次に、得られたビスフェノールA型エポキシ溶解液に、シランカップリング剤であるβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製KBM303)0.2重量部を投入し、高速ディスパ(1,200〜2,000rpm)で5〜15分間撹拌することにより、上記ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂、シランカップリング剤を完全に溶解した。
【0060】
この混合溶液に、シアノグアニジン(パシフィックアンカーケミカル社製ジシアンジアミド)7重量部とイミダゾールである1−メチル−2−エチルイミダゾール(四国化成社製キュアゾール1M2EZ)0.4重量部及び液状3級アミンであるトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール・トリ(2−エチルヘキソート)(エアープロダクツ社製アンカミンK−61B)0.4重量部を投入し、高速ディスパ(1,200〜2,000rpm)で10〜30分間撹拌し、本発明物の配合液(固形分50重量%)を得た。
【0061】
実施例2
ビスフェノールA型エポキシとして東都化成社製エポトートYD−011(エポキシ当量:450〜500g/eq、軟化点60〜74℃)及び油化シェルエポキシ社製エピコート828(エポキシ当量:180〜200g/eq)をそれぞれ50重量部用い、これにメチルエチルケトン100重量部、トルエン15重量部を投入し、高速ディスパ(1,200〜2,000rpm)で10〜30分間撹拌することにより、上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂を完全に溶解した。
【0062】
次に、得られたビスフェノールA型エポキシ溶解液に、ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂(新日本理化製リカレジンBEO−60E エポキシ当量:355〜375g/eq)6重量部とシランカップリング剤であるβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製KBM303)0.2重量部を投入し、高速ディスパ(1,200〜2,000rpm)で5〜15分間撹拌することにより、上記ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂、シランカップリング剤を完全に溶解した。
【0063】
この混合溶液に、シアノグアニジン(パシフィックアンカーケミカル社製ジシアンジアミド)7重量部とイミダゾールである1−メチル−2−エチルイミダゾール(四国化成社製キュアゾール1M2EZ)0.4重量部及び液状3級アミンであるトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール・トリ(2−エチルヘキソート)(エアープロダクツ社製アンカミンK−61B)0.4重量部を投入し、高速ディスパ(1,200〜2,000rpm)で10〜30分間撹拌し、本発明物の配合液(固形分50重量%)を得た。
【0064】
実施例3
ビスフェノールA型エポキシとして東都化成社製エポトートYD−011(エポキシ当量:450〜500g/eq、軟化点60〜74℃)30重量部とフェノールノボラック型エポキシとしてチバガイギー社製アラルダイトEPN−1138(エポキシ当量:176〜181g/eq)70重量部とをそれぞれ用い、これにメチルエチルケトン100重量部、トルエン29.5重量部を投入し、高速ディスパ(1,200〜2,000rpm)で10〜30分間撹拌することにより、上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂とフェノールノボラック型エポキシを完全に溶解した。
【0065】
次に、得られたエポキシ溶解液に、ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂(新日本理化製リカレジンBEO−60E エポキシ当量:355〜375g/eq)6重量部とシランカップリング剤であるβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製KBM303)0.2重量部を投入し、高速ディスパ(1,200〜2,000rpm)で5〜15分間撹拌することにより、上記ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂、シランカップリング剤を完全に溶解した。
【0066】
この混合溶液に、シアノグアニジン(パシフィックアンカーケミカル社製ジシアンジアミド)7重量部と芳香族ポリアミンとして4−4’ジアミノジフェニルスルホン(住友化学社製スミキュア−S)5重量部、イミダゾールである1−メチル−2−エチルイミダゾール(四国化成社製キュアゾール1M2EZ)0.4重量部及び液状3級アミンであるトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール・トリ(2−エチルヘキソート)(エアープロダクツ社製アンカミンK−61B)0.4重量部を投入し、高速ディスパ(1,200〜2,000rpm)で10〜30分間撹拌し、本発明物の配合液(固形分50重量%)を得た。
【0067】
実施例4
ビスフェノールA型エポキシとして東都化成社製エポトートYD−011(エポキシ当量:450〜500g/eq、軟化点60〜74℃)30重量部とフェノールノボラック型エポキシとしてチバガイギー社製アラルダイトEPN−1138(エポキシ当量:176〜181g/eq)70重量部とをそれぞれ用い、これにメチルエチルケトン150重量部、トルエン29.5重量部を投入し、高速ディスパ(1,200〜2,000rpm)で10〜30分間撹拌することにより、上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂とフェノールソボラック型エポキシを完全に溶解した。
【0068】
次に、得られたエポキシ溶解液に、ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂(新日本理化製リカレジンBEO−60E エポキシ当量:355〜375g/eq)6重量部とニトリルゴムである(日本合成ゴム社製XER−91カルボキシル変成ニトリルゴム)8重量部、シランカップリング剤であるβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製KBM303)0.2重量部を投入し、高速ディスパ(1,200〜2,000rpm)で60〜150分間撹拌することにより、上記ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂、ニトリルゴム、シランカップリング剤を完全に溶解した。
【0069】
この混合溶液に、シアノグアニジン(パシフィックアンカーケミカル社製ジシアンジアミド)7重量部と芳香族ポリアミンとして4−4’ジアミノジフェニルスルホン(住友化学社製スミキュア−S)5重量部、イミダゾールである1−メチル−2−エチルイミダゾール(四国化成社製キュアゾール1M2EZ)0.4重量部及び液状3級アミンであるトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール・トリ(2−エチルヘキソート)(エアープロダクツ社製アンカミンK−61B)0.4重量部を投入し、高速ディスパ(1,200〜2,000rpm)で10〜30分間撹拌し、本発明物の配合液(固形分50重量%)を得た。
【0070】
実施例5
実施例2において、シランカップリング剤を用いない以外は、実施例2と同様の方法で製造したものを用いた。
【0071】
実施例6
実施例3において、シランカップリング剤を用いない以外は、実施例3と同様の方法で製造したものを用いた。
【0072】
実施例7
実施例4において、シランカップリング剤を用いない以外は、実施例4と同様の方法で製造したものを用いた。
【0073】
比較例1
実施例2において、シアノグアニジンを用いない以外は、実施例2と同様の方法で製造したものを用いた。
【0074】
比較例2
実施例2において、液状イミダゾールを用いない以外は、実施例2と同様の方法で製造したものを用いた。
【0075】
比較例3
実施例2において、液状3級アミンを用いない以外は、実施例2と同様の方法で製造したものを用いた。
【0076】
表1に実施例1〜7の樹脂組成を示す。
【0077】
【表1】
Figure 0003807635
【0078】
表2に比較例1〜3の樹脂組成を示す。
【0079】
【表2】
Figure 0003807635
【0080】
日本バイリーン社製ポリエステル不織布OL−140N(厚さ0.1mm、秤量50g/m)を用い、この不織布に各実施例及び各比較例のものを含浸し、温度100〜130℃で10分間乾燥して、表3に示すBステージ状態の接着性シートを得た。
【0081】
東レ社製ポリエステルフィルムS−10(厚さ0.05mm、秤量70g/m)を用い、このポリエステルフィルムに各実施例及び各比較例のものを両面塗布し、温度100〜130℃で10分間乾燥して、表3に示すBステージの接着性シートを得た。
【0082】
旭シュエーベル社製ガラスクロスAS216(厚さ0.1mm、秤量105g/m)を用い、このガラスクロスに各実施例及び各比較例のものを両面塗布し、温度100〜130℃で10分間乾燥して、表3に示すBステージの接着性シートを得た。
【0083】
表3に実施例1〜7及び比較例1〜3の接着性シートの厚さと秤量を示す。
【0084】
【表3】
Figure 0003807635
【0085】
表3において、剪断接着力は厚さ1.0mm、幅10mm、長さ100mmのエポキシガラスクロス積層板(NEMA規格:G−10グレード、樹脂含有率40%)を2枚用い、これらが互いに対抗する方向に、しかもその互いの積層板の一端部10mm間に10mm角の上記各接着性シートを挟んで積層し、更に、その積層した試料の積層部に2kg/cmの荷重をかけた状態で精電舎電子工業社製 高周波誘電加熱装置KV−4000TAを用い41.16MHzの周波数の電磁波を試料積層部に照射し、硬化させた。
【0086】
この高周波誘電装置による電磁波照射は、開始陽極電流値160mA、陽極電流増加量70mA/秒、平衡陽極電流値170mA(自動同調装置により制御)の条件下、照射時間5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0秒で行った(照射時間誤差はプラスマイナス0.1秒の範囲である。)。
【0087】
得られた長尺状の試料において、上側のエポキシガラスクロス積層板の下側端部に10mm角のエポキシガラスクロス積層板を、また、下側のエポキシガラスクロス積層板の上側端部に10mm角のエポキシガラスクロス積層板を、それぞれシアノアクリレート系樹脂で接着し、長尺状の試料の両端部に段部を形成した。
【0088】
即ち、上記の各実施例及び各比較例の接着性シート(10mm角)で2枚のエポキシガラスクロス積層板が、長尺でかつ直線状になるように、その端部(10mm角)を接着し、この積層・接着部と反対側の端部に10mm角のエポキシガラスクロス積層板を接着し、長尺状の試料の両端部に段部を形成した。
【0089】
次いで、上記長尺状における試料の両端段部をそれぞれチャックで固定し垂直に5mm/分で上記積層・接着部が破断するまで下方に引っ張った。
【0090】
表3に実施例1〜7及び比較例1〜3の電磁波照射時間別の剪断接着力を示す。
【0091】
表3に示す電磁波照射時間別の剪断接着力において、基材としてフィルムを用いた場合、剪断接着力が電磁波照射初期に低く、電磁波照射に伴い著しく向上することが認められるが、これは、以下に述べる理由が挙げられる。
【0092】
即ち、電磁波はその特性上中央に電荷が集中し易い結果、フィルムを基材とした場合、当然に中央がフィルム(基材)で、高周波硬化型のエポキシ樹脂組成物が存在しないから電磁波照射初期ではフィルム表面の樹脂硬化が不十分となって剪断接着力が弱くなる。
【0093】
しかしながら、更に僅かの時間をかけるとフィルム(基材)表面に存在する高周波硬化型のエポキシ樹脂組成物の完全硬化が進行するため剪断接着力が著しく向上するものと判断される。
【0094】
表4の構成を有し、且つ市場にて販売されている低温硬化型エポキシ系接着シートを用い、上記実施例と同条件で電磁波を照射して硬化した硬化試料の試験結果を表5示す。
この場合、試料の作成及び試料の評価方法は上記と同様の方法で行った。
【0095】
【表4】
Figure 0003807635
【0096】
【表5】
Figure 0003807635
【0097】
表6において、実施例1〜4の剪断接着力の温度依存性を示す。
上記方法で電磁波を照射して試料を作成し、この試料を23℃、80℃、100℃、120℃、150℃、180℃の雰囲気に置き、試料温度が安定してから更に10〜15分間放置し、その雰囲気の温度条件下で、上記方法と同様に剪断接着力を測定した。
【0098】
【表6】
Figure 0003807635
【0099】
表7において、煮沸100時間後の剪断接着力は厚さ1.0mm、幅10mm、長さ100mmのエポキシガラスクロス積層板(NEMA規格:G−10グレード、樹脂含有率40%)を2枚用い、これらが互いに対抗する方向に、しかもその互いの積層板の一端部10mm間に10mm角の上記の実施例1〜4及び比較例1〜3の各接着性シートを挟んで積層し、更に、その積層した試料の積層部に2kg/cmの荷重をかけた状態で精電舎電子工業社製 高周波誘電加熱装置KV−4000TAを用い41.16MHzの周波数の電磁波を試料積層部に照射し、硬化させた。
【0100】
この高周波誘電装置による電磁波照射は、開始陽極電流値160mA、陽極電流増加量70mA/秒、平衡陽極電流値170mA(自動同調装置により制御)の条件下、照射時間7.0秒(実施例2)及び10.0秒(実施例1、実施例3、実施例4及び比較例1〜3)で行った(照射時間誤差はプラスマイナス0.1秒の範囲である。)。
【0101】
得られた長尺状の試料において、上側のエポキシガラスクロス積層板の下側端部に10mm角のエポキシガラスクロス積層板を、また、下側のエポキシガラスクロス積層板の上側端部に10mm角のエポキシガラスクロス積層板を、それぞれシアノアクリレート系樹脂で接着し、長尺状の試料の両端部に段部を形成した。
【0102】
実施例1〜7の各試料を精製水中で100時間煮沸し、次いで、この試料の温度が室温になった後、その剪断接着力を上記方法で測定した。
【0103】
【表7】
Figure 0003807635
【0104】
又、比較例1〜3の各試料を、上記各実施例の場合と同様に、精製水中で100時間煮沸し、次いで、この試料の温度が室温になった後、その剪断接着力を上記方法で測定したところ、45Kg/cm(比較例1)、32Kg/cm(比較例2)及び55Kg/cm(比較例3)であった。
【0105】
以上の結果より、本発明シートは各比較例及び市場にて低温短時間硬化を標傍しているエポキシ系接着シートと比べて、高周波による硬化性が著しく優れていることにより、際立った接着強度が得られることが認められる。
【0106】
又、本発明物は高周波硬化性が著しく優れることが認められる。
【0107】
更に、本発明シートは、本発明物をBステージ状態に硬化したものであり、シートライフが著しく長く、柔軟で割れの発生がなく、また高周波加熱によって極めて短時間で硬化反応が終了し、しかも内部加熱方式であるため材料変形は殆ど発生せず、また硬化温度及び硬化時間の制約が殆ど無く、エポキシ樹脂をベースポリマーとしているから、耐湿熱性、接合強度及び耐熱信頼性において極めて優れ、信頼性が著しく高くなることが認められた。
【0108】
【発明の効果】
本発明の高周波硬化型樹脂組成物は(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)シアノグアニジン、(C)液状のイミダゾール或いはその誘導体及び(D)液状3級アミンを必須成分としているから、ポットライフが著しく長い上、取り扱い易く、しかも優れた本発明シートが得られる効果を有するのである。
【0109】
本発明の高周波硬化型接着性シートは、本発明物をBステージ状態に硬化したものであり、シートライフが著しく長く、柔軟で割れの発生がなく、また高周波加熱によって極めて短時間で硬化反応が終了し、しかも内部加熱方式であるため材料変形は殆ど発生せず、また硬化温度及び硬化時間の制約が殆ど無く、大量生産に伴う市場の省エネルギー化、工程の短縮化、自動化の要望に充分に応えることができる上、エポキシ樹脂をベースポリマーとしているから、耐湿熱性、接合強度及び耐熱信頼性において極めて優れる結果、種々の広範な産業分野で好適に使用できる効果を有するのである。

Claims (9)

  1. (A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)シアノグアニジン、(C)液状のイミダゾール或いはその誘導体及び(D)液状3級アミンを必須成分とすることを特徴とする高周波硬化型接着性樹脂組成物。
  2. (A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部に対し、(B)シアノグアニジン3〜25重量部、(C)液状のイミダゾール或いはその誘導体0.1〜3重量部及び(D)液状3級アミンを0.1〜2重量部からなる高周波硬化型接着性樹脂組成物。
  3. (A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)シアノグアニジン、(C)液状のイミダゾール或いはその誘導体、(D)液状3級アミン、(E)ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂、(F)フェノールノボラック型エポキシ樹脂及び(G)芳香族ポリアミンを必須成分とすることを特徴とする高周波硬化型接着性樹脂組成物。
  4. (A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂10〜50重量部と(F)フェノールノボラック型エポキシ樹脂50〜90部からなり、しかもこの(A)と(F)の合計重量が100重量部に対し、(B)シアノグアニジン3〜25重量部、(C)液状のイミダゾール或いはその誘導体0.1〜3重量部、(D)液状3級アミンを0.1〜2重量部、(E)ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂1〜20重量部及び(G)芳香族ポリアミン0.5〜20重量部からなる高周波硬化型接着性樹脂組成物。
  5. (A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)シアノグアニジン、(C)液状のイミダゾール或いはその誘導体、(D)液状3級アミン、(E)ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂、(F)フェノールノボラック型エポキシ樹脂、(G)芳香族ポリアミン及び(H)ニトリルゴムを必須成分とすることを特徴とする高周波硬化型接着性樹脂組成物。
  6. (A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂10〜50重量部と(F)フェノールノボラック型エポキシ樹脂50〜90部からなり、しかもこの(A)と(F)の合計重量が100重量部に対し、(B)シアノグアニジン3〜25重量部、(C)液状のイミダゾール或いはその誘導体0.1〜3重量部、(D)液状3級アミンを0.1〜2重量部、(E)ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂1〜20重量部、(G)芳香族ポリアミン0.5〜20重量部及び(H)ニトリルゴム5〜100重量部からなる高周波硬化型接着性樹脂組成物。
  7. (A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(B)シアノグアニジン、(C)液状のイミダゾール或いはその誘導体、(D)液状3級アミン、(E)ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂、(F)フェノールノボラック型エポキシ樹脂、(G)芳香族ポリアミン、(H)ニトリルゴム及び(I)シランカップリング剤を必須成分とすることを特徴とする高周波硬化型接着性樹脂組成物。
  8. (A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂10〜50重量部と(F)フェノールノボラック型エポキシ樹脂50〜90部からなり、しかもこの(A)と(F)の合計重量が100重量部に対し、(B)シアノグアニジン3〜25重量部、(C)液状のイミダゾール或いはその誘導体0.1〜3重量部、(D)液状3級アミンを0.1〜2重量部、(E)ビスフェノールA型弾性エポキシ樹脂1〜20重量部、(G)芳香族ポリアミン0.5〜20重量部、(H)ニトリルゴム5〜100重量部及び(I)シランカップリング剤0.05〜5重量部からなる高周波硬化型接着性樹脂組成物。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の高周波硬化型接着性樹脂組成物をBステージ状態に硬化させてなることを特徴とする高周波硬化型接着性シート。
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