JP3806212B2 - 塗装用マスク治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シール脚を備えた自動車用灯具のレンズの一部に塗装を施すときに用いられる塗装用マスク治具であって、塗装用マスク治具とレンズとの間の間隙を縫って塗料がレンズ面に付着しないようにすることができる塗装用マスク治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用灯具のレンズには、灯具ボディの開口周縁に形成されたレンズ据付溝に嵌合するシール脚が形成されたものがある。
【0003】
そして、このようなシール脚付レンズは、これを灯具ボディに取着したときにレンズ周縁の内側を隠すため、或いは、自動車の車体との一体感を持たせるためなどの理由により、レンズの内面であってシール脚の外側の部分(以下、「レンズ内面周縁部」という。)に塗装を施すことがある。
【0004】
図4乃至図6はこのような自動車用灯具用のレンズaのレンズ内面周縁部を塗装するときに用いられる塗装用マスク治具b一例を示すものである。
【0005】
レンズaは、レンズ本体cの内面であってその周縁からやや内側に寄った位置に、後方へ突出する環状のシール脚dがレンズ本体cと一体に形成されている。そして、このようなレンズaを灯具ボディ(図示は省略する。)に取着するときは、灯具ボディの開口周縁に形成されたレンズ取付溝に上記シール脚dを嵌合するようになっている。
【0006】
また、レンズaのレンズ内面周縁部には塗装が施されている。このようなレンズaのレンズ内面周縁部への塗装は、該レンズ内面周縁部(塗装予定部位)以外の部分を塗装用マスク治具bで覆い、スプレーガンにより塗料を吹き付けることにより行なう。
【0007】
すなわち、塗装用マスク治具bは、レンズaの内面より一回り小さな大きさを有し、その周縁部にレンズaのシール脚dを嵌合する溝eが形成されている。
【0008】
そして、このような塗装用マスク治具bをレンズaの内面側から、その溝eがレンズaのシール脚dに外嵌するように位置させて、レンズaの内面をシール脚dとともに覆う。
【0009】
この状態で、レンズaのレンズ内面周縁部にスプレーガンにより塗料の吹き付けを行い、該部分に塗装を施すようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような塗装用マスク治具bは、これがレンズ内面に直接接触するとレンズ面を傷つけることから、レンズ内面をマスクした状態で両者間に間隙が形成されるようにする必要があり、塗装用マスク治具bをレンズ面からやや浮いた状態に保持して塗装が行われる。
【0011】
また、このような塗装用マスク治具bは同一形状の多数のレンズaの塗装に用いられるため、レンズaの寸法誤差を考慮して、上記溝eの形状はレンズaのシール脚dよりも大きく形成しておく必要がある。
【0012】
そして、このような塗装用マスク治具bでレンズaの内側面を覆った状態でレンズaのレンズ内面周縁部に塗料を吹き付けると、レンズaと塗装用マスク治具bとの間の間隙から霧状の塗料がレンズaの内面まで廻りこんでしまい、予期せぬ部分に塗料が付着してしまうという問題があった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明塗装用マスク治具は、上記した課題を解決するために、レンズのシール脚を覆うシール脚覆部とレンズ面を覆うレンズ面覆部とから成り、シール脚覆部が、シール脚の断面形状よりも一回り大きい断面形状をした凹部を備え、該凹部の奥部にシール脚の端面に当接する緩衝材を設け、シール脚覆部の凹部の奥部に緩衝材の抜け止め用の段部を形成したものである。
【0014】
従って、本発明塗装用マスク治具によれば、塗装用マスク治具を直接レンズ面に接触させることなく、かつ、スプレーによる塗装を施したときに塗料がレンズ面に廻りこむことはなく、塗装の不要な部分に塗料が付着することがない。また、緩衝材は段部に引っ掛かって凹部から容易に離脱しないので、シール脚覆部の凹部の奥部に緩衝材を接着剤を使用せずに取着することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明塗装用マスク治具の詳細を、図1に示す基本的構成例と共に説明する。
【0016】
図1は本発明塗装用マスク治具の基本的構成例を示すものであり、図中1はレンズであり、該レンズ1はそのレンズ本体2の内面であってその周縁からやや内側に寄った位置に、後方へ突出する環状のシール脚3がレンズ本体2と一体に形成されている。尚、本発明の基本的構成例や実施例において用いるレンズは上記従来例で示したものと同じものであり、図面には、その一部を断面として示す。
【0017】
そして、レンズ1のうちその内面のシール脚3よりも外側の部分4(レンズ内面周縁部)に塗装が施される部分である。
【0018】
5は塗装用マスク治具であり、レンズ1の内面より一回り小さな大きさを為したレンズ面覆部6と該レンズ面覆部6の周縁にレンズ面に直交する方向に開口する断面コ字状のシール脚覆部7が一体に形成されて成り、該シール脚覆部7の凹部8にレンズ1のシール脚3が余裕をもって嵌合するようになっている。尚、このような塗装用マスク治具5は、例えば、レンズ1よりも一回り大きな模型に金属(例えば、ニッケル)を電気鋳造法により電着させて形成される。
【0019】
また、塗装用マスク治具5の周縁に形成したシール脚覆部7の凹部8の奥面には、例えば、シリコーン樹脂から成る緩衝材9が接着剤により貼着されており、当該塗装用マスク治具5でレンズ1を覆ったときに、緩衝材9の表面がレンズ1のシール脚3の端面に当接するようになっている。かかる当接はシール脚3の端面の全周に亘って為されるようになっており、そのためには、レンズ1の寸法誤差を考慮して、当接したときに緩衝材9がやや潰れるような大きさにしておくことが好ましい。
【0020】
尚、緩衝材9はシリコーン樹脂に限らず、ウレタン樹脂、ゴム等で形成しても良く、要は、シール脚3の後端面により押圧されたときに、やや圧潰されるものであればよい。また、スポンジのような多孔質なものでも塗料を吹き付けたときに、霧(ガス)状の塗料を通さないものであれば良い。ただし、塗装用マスク治具5に付着した塗料を洗浄するために、例えば、メタレンクロレイドを使用する場合には、シリコーン樹脂やウレタン樹脂で形成するのが好ましい。
【0021】
しかして、塗装用マスク治具5を、その凹部8にレンズ1のシール脚3が嵌合するように位置させると、レンズ1のレンズ面はレンズ覆部6により覆われ、シール脚3はシール脚覆部7に覆われて、レンズ1の内面側がマスクされる。このとき、凹部8の奥面に貼着された緩衝材9はシール脚3の端面にその全周に亘って当接される。
【0022】
この状態で、レンズ1のシール脚3のレンズ内面周縁部4に塗料をスプレーにより吹き付ける。このとき、霧(ガス)状の塗料はレンズ内面周縁部4のみならず、シール脚3の外周面にも塗料が廻りこんで付着することになるが、上記緩衝材9によりそれ以上レンズ1の内面側には侵入することはなく、よって、レンズ1のレンズ面の内側に塗料が付着することはない。
【0023】
図2は本発明塗装用マスク治具の第1の実施例を示すものである。
【0024】
この第1の実施例が前記基本的構成例と比較して相違する点は、塗装用マスク治具のシール脚覆部の凹部の断面形状及び該凹部の奥部に取着された緩衝材の断面形状のみであるので、図面には要部のみを示し、また、その説明は上記相違点についてのみ行い、他の部分については図面の各部に前記基本的構成例に係る塗装用マスク治具における同様の部分に付した符号と同じ符号を付することによりその説明を省略する。
【0025】
10は塗装用マスク治具であり、その周縁のシール脚覆部11に形成された凹部12はその奥部において、内側の周壁13が奥に行くに従い外側の周壁14から離れた方向に変位するように傾斜面13aに形成されている(図2参照)。
【0026】
上記凹部12に取着される緩衝材15は、その断面形状が上記凹部12の奥部の断面形状とほゞ同じ形状をしており、該緩衝材15は凹部12の奥部にほゞぴったり嵌合される。
【0027】
そして、このような塗装用マスク治具10にあっても、上記基本的構成例で示した塗装用マスク治具5と同様な効果を奏するほか、緩衝材15は凹部12の傾斜した内側の周壁13の傾斜面13aに引っ掛かって該凹部12から容易に離脱しないという効果を奏し、緩衝材15を凹部12の奥面に接着する必要がない。
【0028】
図3は本発明塗装用マスク治具の第2の実施例を示すものである。
【0029】
この第2の実施例が前記基本的構成例と比較して相違する点は、塗装用マスク治具のシール脚覆部の断面形状のみであるので、図面には要部のみを示し、また、その説明は上記相違点についてのみ行い、他の部分については図面の各部に前記基本的構成例に係る塗装用マスク治具における同様の部分に付した符号と同じ符号を付することによりその説明を省略する。
【0030】
16は塗装用マスク治具であり、その周縁のシール脚覆部17に形成された凹部18はその奥部19において横幅が広くなるように形成され、これによって、該奥部とその余の部分との間に段部20、21が形成されている(図3参照)。
【0031】
上記凹部18に取着される緩衝材22は、その断面形状が上記凹部18の奥部の内部空間19の断面形状とほゞ同じ形状をしており、該緩衝材22は該内部空間19にほゞぴったり嵌合される。
【0032】
そして、このような塗装用マスク治具16にあっても、上記基本的構成例で示した塗装用マスク治具5と同様な効果を奏するほか、緩衝材22は段部20、21に引っ掛かって凹部18から容易に離脱しないという効果を奏し、緩衝材22を凹部18の奥面に接着する必要がない。
【0033】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、本発明によれば、塗装用マスク治具を直接レンズ面に接触させることなく、かつ、スプレーによる塗装を施したときに塗料がレンズ面に廻りこむことがなく、塗装の不要な部分に塗料が付着することがない。また、緩衝材は段部に引っ掛かって凹部から容易に離脱しないので、シール脚覆部の凹部の奥部に緩衝材を接着剤を使用せずに取着することができる。
【0035】
尚、前記した各実施例等において示した各部の具体的な形状乃至構造は、本発明を実施するに当たっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明塗装用マスク治具の基本的構成例を示す要部の拡大断面図である。
【図2】 本発明塗装用マスク治具の第1の実施例を示す要部の拡大断面図である。
【図3】 本発明塗装用マスク治具の第2の実施例を示す要部の拡大断面図である。
【図4】 図5及び図6と共に、従来の塗装用マスク治具の一例を示すものであり、本図はレンズを塗装用マスク治具で覆う前の状態を示す斜視図である。
【図5】 レンズを塗装用マスク治具で覆った状態を示す斜視図である。
【図6】 レンズを塗装用マスク治具で覆った状態の断面図である。
【符号の説明】
1…レンズ、3…シール脚、4…外側基部周縁、6…レンズ面覆部、10…塗装用マスク治具、11…シール脚覆部、12…凹部、13a…段部(傾斜面)、15…緩衝材、16…塗装用マスク治具、17…シール脚覆部、18…凹部、20…段部、21…段部、22…緩衝材
Claims (1)
- ランプボディのレンズ据付溝に嵌合するシール脚を備えた自動車用灯具のレンズの内面であって上記シール脚より外側の部分に塗装を施すときに用いられる塗装用マスク治具であって、
レンズのシール脚を覆うシール脚覆部と該シール脚に囲まれたレンズ面を覆うレンズ面覆部とから成り、
シール脚覆部は、シール脚の断面形状よりも一回り大きい断面形状をした凹部を有しており、
該凹部の奥部にシール脚の端面に当接する緩衝材が設けられ、
シール脚覆部の凹部の奥部に上記緩衝材の抜け止め用の段部が形成された
ことを特徴とする塗装用マスク治具。
Priority Applications (1)
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JP00851797A JP3806212B2 (ja) | 1997-01-21 | 1997-01-21 | 塗装用マスク治具 |
Applications Claiming Priority (1)
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JPH10202155A JPH10202155A (ja) | 1998-08-04 |
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CN106111470A (zh) * | 2016-08-30 | 2016-11-16 | 丹阳市荣飞自动化设备有限公司 | 一种前雾灯四工位转台 |
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1997
- 1997-01-21 JP JP00851797A patent/JP3806212B2/ja not_active Expired - Fee Related
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