JP3805137B2 - 画像読取装置及び画像読取方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像読取装置及び画像読取方法に係り、特に、写真フィルム等の複数の画像が記録された読取対象原稿の各画像を読み取る画像読取装置及び画像読取方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、写真フィルムに記録されているフィルム画像をR、G、Bの各成分色に分解して読み取り、該読み取りによって得られた画像データに対して各種の補正等の画像処理を行った後に、記録材料への画像の記録やディスプレイへの画像の表示等を行う写真処理方法が提案されている。なお、ここでいう写真フィルムとは、被写体を撮影後、現像処理され、ネガ画像又はポジ画像が可視化されたフィルムをいう。
【0003】
この種の写真処理方法でフィルム画像を読み取る際に用いられる画像読取装置では、画像読み取りの高速化を目的として、比較的高速でかつ低精細に画像を読み取る予備読み取り(以下、プレスキャンという)を行い、プレスキャンにより得られた画像データに基づいて、比較的低速でかつ高精細に画像を読み取る本読み取り(以下、ファインスキャンという)を行う際の読取条件及びファインスキャンにより得られる画像データに対する各種画像処理の処理条件を決定し、決定された読取条件でファインスキャンを行うと共に、ファインスキャンによって得られた画像データに対して上記決定された処理条件による画像処理を行うものがある。
【0004】
このような画像読取装置を実現し得る技術として、特開平9−298657号公報記載の技術では、写真フィルム等に記録されたカラー画像を光電的に読み取って画像データを得て、該画像データに基づいて上記カラー画像をCRT等の表示手段上に表示し、オペレータが個々のカラー画像を観察して顧客の希望等に応じて複数のカラー画像を全体として、色調、階調、濃度等が統一されたカラー画像に再現するように画像処理条件を設定し、該設定内容に基づいてカラー画像を再生していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平9−298657号公報記載の技術では、読取対象原稿に複数の画像が記録されており、該複数の画像を連続して読み取る技術については記載されているものの、複数の画像のうちの一部の画像を指定するための手段がなく、全ての画像を読取対象画像としていたため、特定の画像のみを読取対象としたい場合にも、全ての画像について読み取りを行うことになり、この結果として全体的な処理時間が長くなる、という問題点があった。
【0006】
本発明は上記問題点を解消するために成されたものであり、全体的な処理時間を短縮することができる画像読取装置及び画像読取方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像読取装置は、複数の画像が記録された読取対象原稿を照明する光源と、前記複数の画像の各々が順次所定の読取位置に位置するように前記読取対象原稿を搬送する搬送手段と、前記読取対象原稿に記録された各画像を複数画素に分解して読み取って画像データとして出力する画像センサと、前記複数の画像のうちの読み取り対象とする画像を指定するための指定手段と、前記指定手段によって指定された読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が前記所定の読取位置に位置するまでは前記読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で前記読取対象原稿を搬送し、前記読み取り対象とする画像を読み取る際には前記読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度で前記読取対象原稿を搬送するように前記搬送手段を制御する制御手段と、を備え、前記指定手段によって指定された読み取り対象とする画像が複数であり、かつこれらの画像を連続して読み取るとき、前記制御手段は、隣接する読み取り対象とする画像における後に読み取る画像の読み取り開始までに前記後に読み取る画像の読取条件が設定できない場合には、前記読取条件が設定可能な位置まで前記読取対象原稿の位置を戻すように前記搬送手段を制御するものである。
【0008】
請求項1に記載の画像読取装置によれば、複数の画像が記録された読取対象原稿が光源によって照明され、上記複数の画像の各々が順次所定の読取位置に位置するように読取対象原稿が搬送手段によって搬送され、読取対象原稿に記録された各画像が画像センサによって複数画素に分解されて読み取られて画像データとして出力される。なお、上記読取対象原稿としては、写真フィルム等の透過原稿、及び写真プリント等の反射原稿が含まれる。また、上記画像センサとしては、ラインCCD、エリアCCD、及びCCD以外の光電変換素子が含まれる。
【0009】
また、請求項1に記載の画像読取装置では、読取対象原稿に記録された複数の画像のうちの読み取り対象とする画像が指定手段によって指定され、該指定された読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が所定の読取位置に位置するまでは該読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で読取対象原稿が搬送され、読み取り対象とする画像を読み取る際には読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度で読取対象原稿が搬送されるように搬送手段が制御手段によって制御される。
【0010】
なお、上記指定手段による読み取り対象とする画像の指定には、本発明の画像読取装置に各種情報等を入力するためのキーボード等の入力手段を備えている場合には該入力手段を介してオペレータによって読み取り対象とする画像を予め指定すること、本発明の画像読取装置にハードディスク等の記憶手段を備えている場合やメモリカード、フロッピィディスク等の記録媒体を読み取る読取手段を備えている場合には上記記憶手段や上記記録媒体に予め読み取り対象とする画像を示す情報を記録しておき、該情報を入力することによって指定すること、読取対象原稿が磁気層を備えた写真感光材料(所謂APSフィルム)である場合には上記磁気層に予め読み取り対象とする画像を示す情報を記録しておき、該情報を入力することによって指定すること、読取対象原稿がバーコードを付することができるものである場合には該バーコードとして読み取り対象とする画像を示す情報を予め付しておき、該情報を入力することによって指定すること、等が含まれる。
【0011】
このように、請求項1に記載の画像読取装置によれば、読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が所定の読取位置に位置するまでは該読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で読取対象原稿を搬送しているので、全体的な処理時間を短縮することができる。
【0013】
また、請求項1に記載の画像読取装置によれば、前記指定された読み取り対象とする画像が複数であり、かつこれらの画像を連続して読み取るとき、隣接する読み取り対象とする画像における後に読み取る画像の読み取り開始までに該後に読み取る画像の読取条件が設定できない場合には、制御手段によって、読取条件が設定可能な位置まで読取対象原稿の位置が戻されるように搬送手段が制御される。
【0014】
このように、請求項1に記載の画像読取装置によれば、隣接する読取対象とする画像における後に読み取る画像の読み取り開始までに該後に読み取る画像の読取条件が設定できない場合には、読取条件が設定可能な位置まで読取対象原稿の位置を戻しているので、読み取り対象とする画像毎に確実に読取条件の設定を行うことができる。
【0015】
また、請求項2記載の画像読取装置は、請求項1記載の画像読取装置において、前記読取条件が前記搬送手段による前記読取対象原稿の搬送速度であることを特徴としている。
【0016】
搬送手段による読取対象原稿の搬送速度を所定の速度にする際には、それまでの搬送速度から上記所定の速度に到達するまでの期間が存在する。従って、この期間を後に読み取る画像の読み取り開始までに設けることができないことが、請求項1記載の発明における読取条件が設定できない、ということに相当する。
【0017】
このように、請求項2に記載の画像読取装置によれば、請求項1記載の発明における読取条件を搬送手段による読取対象原稿の搬送速度としているので、読取対象原稿の搬送速度を確実に所望の読取速度に応じた速度とすることができ、高精度な読み取りを行うことができる。
【0018】
更に、請求項3記載の画像読取装置は、請求項1記載の画像読取装置において、前記制御手段は、前記読み取り対象とする画像の読み取り開始位置に基づいて、該読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が前記所定の読取位置に位置するまで前記読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で前記読取対象原稿を搬送した方がよいか否かを判定し、該判定の結果、前記読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で搬送した方がよいと判定された場合にのみ、前記読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が前記所定の読取位置に位置するまで前記読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で前記読取対象原稿を搬送するように前記搬送手段を制御することを特徴としている。
【0019】
請求項3に記載の画像読取装置によれば、請求項1記載の画像読取装置における制御手段によって、読み取り対象とする画像の読み取り開始位置に基づいて、該読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が上記所定の読取位置に位置するまで上記読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で読取対象原稿を搬送した方がよいか否かが判定され、該判定の結果、読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で搬送した方がよいと判定された場合にのみ、読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が上記所定の読取位置に位置するまで読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で読取対象原稿を搬送するように搬送手段が制御される。
【0020】
なお、上記読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で読取対象原稿を搬送した方がよいか否かの判定において、よいと判定される条件としては、次の読み取り対象とする画像の読み取り開始位置が現在の読取位置から当該読み取り対象とする画像の読み取りのための各種設定を行うために十分な時間が確保できる程度に離れている場合や、複数又は1つの同一画像を異なる読み取り条件で同一読み取り開始位置から複数回繰り返して読み取る場合や、読取対象原稿が磁気層を備えた写真感光材料(所謂APSフィルム)である際に次の読み取り対象とする画像の読み取り開始位置が各種情報の磁気層への記録又は磁気層からの読み取りを行うに必要な安定した搬送速度が確保できる位置である場合、の各場合が含まれる。
【0021】
このように、請求項3に記載の画像読取装置によれば、読み取り対象とする画像の読み取り開始位置に基づいて、該読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が所定の読取位置に位置するまで読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で読取対象原稿を搬送した方がよいか否かを判定し、該判定の結果、読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で搬送した方がよいと判定された場合にのみ、読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が上記所定の読取位置に位置するまで読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で読取対象原稿を搬送しているので、より確実に全体的な処理時間を短縮することができる。
【0022】
また、請求項4記載の画像読取方法は、複数の画像が記録された読取対象原稿を照明し、かつ前記複数の画像の各々が順次所定の読取位置に位置するように前記読取対象原稿を搬送すると共に、画像センサによって前記読取対象原稿に記録された各画像を複数画素に分解して読み取って画像データとして出力する画像読取方法であって、前記読取対象原稿のうちの指定された読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が前記所定の読取位置に位置するまでは前記読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で前記読取対象原稿を搬送し、前記読み取り対象とする画像を読み取る際には前記読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度で前記読取対象原稿を搬送するように制御すると共に、前記指定された読み取り対象とする画像が複数であり、かつこれらの画像を連続して読み取るとき、隣接する読み取り対象とする画像における後に読み取る画像の読み取り開始までに前記後に読み取る画像の読取条件が設定できない場合には、前記読取条件が設定可能な位置まで前記読取対象原稿の位置を戻すように制御することを特徴としたものである。
【0023】
従って、請求項4に記載の画像読取方法によれば、上記請求項1記載の画像読取装置と同様に、読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が所定の読取位置に位置するまでは該読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で読取対象原稿を搬送しているので、全体的な処理時間を短縮することができる。また、請求項1に記載の画像読取方法によれば、隣接する読取対象とする画像における後に読み取る画像の読み取り開始までに該後に読み取る画像の読取条件が設定できない場合には、読取条件が設定可能な位置まで読取対象原稿の位置を戻しているので、読み取り対象とする画像毎に確実に読取条件の設定を行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
〔第1実施形態〕
図1に示すように、本実施の形態に係る画像読取装置はラインCCDスキャナ14を備えており、ラインCCDスキャナ14は、画像処理部16、マウス20、2種類のキーボード12A、12B、及びディスプレイ18が設けられた作業テーブル27に備えられている。
【0026】
一方のキーボード12Aは作業テーブル27の作業面27U内に埋設されている。他方のキーボード12Bは、不使用時は、作業テーブル27の引出し24内に収納され、使用時は、引出し24から取り出し、一方のキーボード12A上に重ねる。このとき、キーボード12Bのコードを、画像処理部16に接続されたジャック110に接続する。
【0027】
マウス20のコードは作業テーブル27に設けられた孔108を介して画像処理部16に接続されている。マウス20は、不使用時はマウスホルダ20Aに収納され、使用時はマウスホルダ20Aから取り出し、作業面27U上に載置する。
【0028】
画像処理部16は、作業テーブル27に設けられた収納部16Aに収納され、開閉扉25によって密閉されている。なお、開閉扉25を開放することにより、画像処理部16を取り出すことができるようになっている。
【0029】
ラインCCDスキャナ14は、ネガフィルムやリバーサルフィルム(ポジフィルム)等の写真フィルムに記録されているフィルム画像を読み取るためのものであり、例えば135サイズの写真フィルム、110サイズの写真フィルム、及び透明な磁気層が形成された写真フィルム(240サイズの写真フィルム:所謂APSフィルム)、120サイズ及び220サイズ(ブローニサイズ)の写真フィルムのフィルム画像を読取対象とすることができる。ラインCCDスキャナ14は、上記の読取対象のフィルム画像をラインCCDで読み取り、画像データを出力する。
【0030】
画像処理部16は、ラインCCDスキャナ14から出力された画像データが入力されると共に、入力された画像データに対して各種の補正等の画像処理を行って、記録用画像データとして、図示しないレーザプリンタ部へ出力する。
【0031】
図2及び図3に示すように、ラインCCDスキャナ14の光学系は、作業テーブル27の下方に配置された光源部30、作業テーブル27に支持された拡散ボックス40、作業テーブル27にセットされるフィルムキャリア38、及び作業テーブル27を挟んで光源部30の反対側に配置された読取部43を備えている。
【0032】
光源部30は金属製のケーシング31内に収容されており、ケーシング31内部には、ハロゲンランプやメタルハライドランプ等から成るランプ32が配置されている。なお、ランプ32は、写真フィルム22の長手方向(搬送方向)及び写真フィルム22の幅方向の2方向に移動可能とされた図示しないX−Yステージに保持されており、該X−Yステージの位置を移動することによってランプ32の位置を微調整することが可能とされている。
【0033】
ランプ32の周囲にはリフレクタ33が設けられており、ランプ32から射出された光の一部はリフレクタ33によって反射され、一定の方向へ射出される。リフレクタ33の側方には、複数のファン34が設けられている。ファン34はランプ32が点灯している間作動され、ケーシング31の内部が過熱状態となることを防止する。
【0034】
リフレクタ33の光射出側には、リフレクタ33からの射出光の光軸Lに沿って、紫外域及び赤外域の波長の光をカットすることで写真フィルム22の化学変化を防止すると共に温度上昇を防止して読取精度を向上させるUV/IRカットフィルタ35、ランプ32からの光及びリフレクタ33からの射出光の光量を調整する絞り39、及び、写真フィルム22及び読取部43に到達する光の色成分を、写真フィルムの種類(ネガフィルム/リバーサルフィルム)に応じて適切に設定するネガフィルム用のバランスフィルタ36N及びリバーサルフィルム用のバランスフィルタ36Pが嵌め込まれているターレット36(図4(B)も参照)が順に設けられている。
【0035】
絞り39は光軸Lを挟んで配置された一対の板材から成り、一対の板材が接近離間するようにスライド移動可能とされている。図4(A)に示すように、絞り39の一対の板材は、スライド方向に沿った一端側から他端側に向けて、スライド方向に直交する方向に沿った断面積が連続的に変化するように、一端側に切り欠き39Aが各々形成されており、切り欠き39Aが形成されている側が対向するように配置されている。
【0036】
上記構成では、所望の光成分の光となるように、写真フィルムの種類に応じたフィルタ(36N、36P)の何れかが光軸L上に位置し、絞り39の位置によって絞り39を通過する光の光量を所望の光量に調整する。
【0037】
拡散ボックス40は、上部になるに従って、即ち、写真フィルム22に近づくに従って、フィルムキャリア38によって搬送される写真フィルム22の搬送方向の長さが狭くなり(図2参照)、該搬送方向に直交する方向(写真フィルム22の幅方向)の長さが広がる(図3参照)形状とされている。また、拡散ボックス40の光入射側及び光射出側には光拡散板(図示せず)が各々取付けられている。なお、上記の拡散ボックス40は、135サイズの写真フィルム用であるが、他の写真フィルムに応じた形状の拡散ボックス(図示せず)も用意されている。
【0038】
拡散ボックス40に入射された光は、フィルムキャリア38(すなわち写真フィルム22)に向けて、写真フィルム22の幅方向を長手方向とするスリット光とされ、また、光拡散板によって拡散光とされて射出される。このように、拡散ボックス40から射出される光が拡散光とされることにより、写真フィルム22に照射される光の光量むらが低減され、フィルム画像に均一な光量のスリット光が照射されると共に、フィルム画像に傷が付いていたとしても、この傷が目立ちにくくなる。
【0039】
フィルムキャリア38及び拡散ボックス40は、写真フィルム22の種類毎に用意されており、写真フィルム22に応じて選択される。
【0040】
フィルムキャリア38の上面及び下面における光軸Lに対応する位置には、写真フィルム22の幅方向に写真フィルム22の幅より長い細長い開口(図示しない)が設けられている。拡散ボックス40からのスリット光は、フィルムキャリア38の下面に設けられた該開口を介して写真フィルム22に照射され、写真フィルム22の透過光が、フィルムキャリア38の上面に設けられた該開口を介して、読取部43に到達する。
【0041】
ところで、フィルムキャリア38は、拡散ボックス40からのスリット光が照射される位置(読取位置)で湾曲するように、写真フィルム22をガイドする図示しないガイドが設けられている。これにより、読取位置での写真フィルム22の平面性が確保される。
【0042】
また、拡散ボックス40は、上面が上記読取位置に接近するように支持されている。よって、フィルムキャリア38の装填時にフィルムキャリア38と拡散ボックス40が干渉しないように、フィルムキャリア38の下面には、切り欠け部が設けられている。
【0043】
なお、フィルムキャリアは、プレスキャン時や、ファインスキャン時におけるこれからファインスキャンするフィルム画像の濃度等に応じた複数の速度で写真フィルム22を搬送可能なように構成されている。
【0044】
読取部43は、ケーシング44内部に収容された状態で配置されている。ケーシング44の内部には、上面にラインCCD116が取付けられた載置台47が設けられており、載置台47からはレンズ筒49が垂下されている。レンズ筒49の内部には、縮小・拡大等の変倍のために作業テーブル27と接近離間する方向Aにスライド移動可能にレンズユニット50が支持されている。作業テーブル27には支持フレーム45が立設されている。載置台47は、支持フレーム45に取り付けられたガイドレール42に、上記変倍やオートフォーカス時に共役長を確保するために作業テーブル27と接近離間する方向Bにスライド移動可能に支持されている。
【0045】
レンズユニット50は複数枚のレンズから成り、複数枚のレンズの間にはレンズ絞り51が設けられている。図4(C)に示すように、レンズ絞り51は略C字状に成形された絞り板51Aを複数枚備えている。各絞り板51Aは光軸Lの周囲に均等に配置され一端部がピンに軸支されており、ピンを中心として回動可能とされている。複数枚の絞り板51Aは図示しないリンクを介して連結されており、レンズ絞り駆動モータ(後述)の駆動力が伝達されると同一の方向に回動する。この絞り板51Aの回動に伴って、光軸Lを中心として絞り板51Aにより遮光されていない部分(図4(C)における略星型の部分)の面積が変化し、レンズ絞り51を通過する光の光量が変化する。
【0046】
ラインCCD116は、CCDセル又はフォトダイオード等の光電変換素子が、写真フィルム22の幅方向に一列に多数配置され、かつ電子シャッタ機構が設けられたセンシング部が、間隔を空けて互いに平行に3ライン設けられており、各センシング部の光入射側にR、G、Bの色分解フィルタの何れかが各々取付けられて構成されている(所謂3ラインカラーCCD)。また、各センシング部の近傍には、多数の転送部が各センシング部に対応して各々設けられており、各センシング部の各CCDセルに蓄積された電荷は、対応する転送部を介して順に転送される。
【0047】
またラインCCD116の光入射側には、CCDシャッタ52が設けられている。なお、図4(D)に示すように、このCCDシャッタ52にはNDフィルタ52NDが嵌め込まれている。CCDシャッタ52は、矢印u方向に回転して、暗補正やラインCCD116に設けられた色分解フィルタの保護のためにラインCCD116に入射される光を遮光する全閉状態(NDフィルタ52NDが嵌め込まれていない部分52B等が、光軸Lを含む位置52Cに位置する)、通常の読み取りや明補正のためにラインCCD116に光を入射させる全開状態(図4(D)の位置)、リニアリティ補正のためにラインCCD116に入射される光をNDフィルタ52NDによって減光する減光状態(NDフィルタ52NDが位置52Cに位置する)の何れかの状態に切り替わる。
【0048】
ラインCCD116に設けられたR、G、B各色の色分解フィルタは、光が照射されることによって徐々に退色する。ここで、図5に示すように、退色前のR、G、B各色の色分解フィルタの各々の分光透過率を120R、120G、120Bとした場合、例えば、G及びBの色分解フィルタに対して集中的に光が照射され、G及びBの色分解フィルタの退色が進んだ際には、G及びBの色分解フィルタの各々の分光透過率は120G’及び120B’となり、各々退色前の分光透過率120G及び120Bに比較して全体的に上昇する。この場合、退色後の分光透過率120G’及び120B’の重なり部分(図5の斜線部分)の面積は、退色前に比較して広くなるため、Gの分解光とBの分解光の分離が困難となり、この結果として最終的に得られる画像の品質が低下する。
【0049】
そこで、本実施形態に係る画像読取装置では、画像読取時以外等のラインCCD116への光の入射が不要な場合は、CCDシャッタ52を全閉位置として、ラインCCD116の色分解フィルタの退色を防止している。
【0050】
図3に示すように、作業テーブル27には、写真フィルム22を冷却するための冷却風を生成するコンプレッサ94が配置されている。コンプレッサ94により生成された冷却風は、案内管95によりフィルムキャリア38の図示しない読取部に案内されて、供給される。これにより、写真フィルム22の読取部に位置する領域を冷却することができる。なお、案内管95は、冷却風の流量を検出する流量センサ96を貫通している。
【0051】
なお、本実施形態に係るフィルムキャリア38及び拡散ボックス40は、上述したように、原則的には写真フィルム22の種類に応じて選択して用いられるが、紛失、破損等の何らかの原因で読取対象とする写真フィルムの種類に応じた拡散ボックスを用いることができなく、かつそれ以外の使用可能な拡散ボックスがある場合、本実施形態の画像読取装置では次のように対処している。
【0052】
すなわち、本実施形態の画像読取装置では、写真フィルムの種類に応じて予め用意された拡散ボックス毎に各拡散ボックスからの射出光の光量に関する情報を予め記憶しておき、読取対象とする写真フィルム用の拡散ボックスと、実際に使用する拡散ボックスとの光量差を求めて、該光量差に応じてラインCCD116の電荷蓄積時間を変更することにより、読取対象とする写真フィルム用以外の拡散ボックスを使用可能としている。
【0053】
具体的には、例えば、135サイズの写真フィルムを120サイズの写真フィルム用の拡散ボックスを用いて読み取る場合、120サイズの写真フィルム用の拡散ボックスと、135サイズの写真フィルム用の拡散ボックスとの各々の射出光の光量差を求める。120サイズの写真フィルム用の拡散ボックスの射出光の光量は135サイズの写真フィルム用の拡散ボックスに比較して少ないので、この場合は、上記光量差に応じてラインCCD116の電荷蓄積時間を通常より長くすることで、この光量の減少分を補うようにする。
【0054】
このように、本実施形態の画像読取装置では、1つの拡散ボックスを複数種類の写真フィルムの読み取りに使用可能としている。
【0055】
次に、図6に示したラインCCDスキャナ14の光学系の主要部を参照しながら、ラインCCDスキャナ14及び画像処理部16の電気系の概略構成を、図7を用いて説明する。
【0056】
ラインCCDスキャナ14は、ラインCCDスキャナ14全体の制御を司るマイクロプロセッサ46を備えている。マイクロプロセッサ46には、バス66を介してRAM68(例えばSRAM)、ROM70(例えば記憶内容を書換え可能なROM)が接続されていると共に、ランプドライバ53、コンプレッサ94、流量センサ96、及びモータドライバ48が接続されている。ランプドライバ53は、マイクロプロセッサ46からの指示に応じてランプ32を点消灯させる。また、写真フィルム22のフィルム画像の読み取りの際、写真フィルム22に冷却風を供給するために、マイクロプロセッサ46は、コンプレッサ94を稼働させる。なお、流量センサ96により冷却風の流量が検出され、マイクロプロセッサ46は、異常を検知する。
【0057】
また、モータドライバ48には、ターレット36のネガフィルム用のバランスフィルタ36N及びリバーサルフィルム用のバランスフィルタ36Pの何れかが光軸Lに位置するようにターレット36を図4(B)矢印t方向に回転駆動するターレット駆動モータ54、ターレット36の基準位置(図示しない切り欠け)を検出するターレット位置センサ55(図4(B)も参照)が接続されている。モータドライバ48には、更に、絞り39をスライド移動させる絞り駆動モータ56、絞り39の位置を検出する絞り位置センサ57、載置台47(即ち、ラインCCD116及びレンズユニット50)をガイドレール42に沿ってスライド移動させる読取部駆動モータ58、載置台47の位置を検出する読取部位置センサ59、レンズユニット50をレンズ筒49に沿ってスライド移動させるレンズ駆動モータ60、レンズユニット50の位置を検出するレンズ位置センサ61、レンズ絞り51の絞り板51Aを回動させるレンズ絞り駆動モータ62、レンズ絞り51の位置(絞り板51Aの位置)を検出するレンズ絞り位置センサ63、CCDシャッタ52を全閉状態、全開状態及び減光状態の何れかの状態に切り換えるシャッタ駆動モータ64、シャッタ位置を検出するシャッタ位置センサ65、ファン34を駆動するファン駆動モータ37が接続されている。
【0058】
マイクロプロセッサ46は、ラインCCD116によるプレスキャン(予備読み取り)及びファインスキャン(本読み取り)を行う際に、ターレット位置センサ55及び絞り位置センサ57によって検出されるターレット36及び絞り39の位置に基づき、ターレット駆動モータ54によってターレット36を回転駆動させると共に、絞り駆動モータ56によって絞り39をスライド移動させ、フィルム画像に照射される光を調節する。
【0059】
またマイクロプロセッサ46は、フィルム画像のサイズやトリミングを行うか否か等に応じてズーム倍率を決定し、フィルム画像が前記決定したズーム倍率でラインCCD116によって読み取られるように、読取部位置センサ59によって検出される載置台47の位置に基づき読取部駆動モータ58によって載置台47をスライド移動させると共に、レンズ位置センサ61によって検出されるレンズユニット50の位置に基づきレンズ駆動モータ60によってレンズユニット50をスライド移動させる。
【0060】
なお、ラインCCD116の受光面をレンズユニット50によるフィルム画像の結像位置に一致させる合焦制御(オートフォーカス制御)を行う場合、マイクロプロセッサ46は、読取部駆動モータ58により載置台47のみをスライド移動させる。この合焦制御は、一例としてラインCCD116によって読み取られたフィルム画像のコントラストが最大となるように行う(所謂画像コントラスト法)ことができるが、これに代えて写真フィルム22とレンズユニット50(又はラインCCD116)との距離を赤外線等により測定する距離センサを設け、フィルム画像のデータに代えて距離センサによって検出された距離に基づいて行うようにしてもよい。
【0061】
一方、ラインCCD116にはタイミングジェネレータ74が接続されている。タイミングジェネレータ74は、ラインCCD116や後述するA/D変換器82等を動作させるための各種のタイミング信号(クロック信号)を発生する。ラインCCD116の信号出力端は、増幅器76を介してA/D変換器82に接続されており、ラインCCD116から出力された信号は、増幅器76で増幅されA/D変換器82でディジタルデータに変換される。
【0062】
A/D変換器82の出力端は、相関二重サンプリング回路(CDS)88、インタフェース(I/F)回路90を順に介して画像処理部16に接続されている。CDS88では、フィードスルー信号のレベルを表すフィードスルーデータ及び画素信号のレベルを表す画素データを各々サンプリングし、各画素毎に画素データからフィードスルーデータを減算する。そして、演算結果(各CCDセルでの蓄積電荷量に正確に対応する画素データ)を、I/F回路90を介してスキャン画像データとして画像処理部16へ順次出力する。
【0063】
なお、ラインCCD116からはR、G、Bの測光信号が並列に出力されるので、増幅器76、A/D変換器82、CDS88から成る信号処理系も3系統設けられており、I/F回路90からは、スキャン画像データとしてR、G、Bの画像データが並列に、画像処理部16に入力される。
【0064】
更に、画像処理部16には、ディスプレイ18、キーボード12A、12B、マウス20、及びフィルムキャリア38が接続されている。
【0065】
画像処理部16では、ラインCCDスキャナ14から並列に入力されるR、G、Bの画像データに対して、暗補正及び明補正を行う。
【0066】
暗補正は、ラインCCD116の光入射側に光を入射しない状態においてラインCCD116内を流れる電流である暗電流をキャンセルするものであり、ラインCCD116の光入射側がCCDシャッタ52により遮光されている状態でラインCCDスキャナ14から入力されたデータ(ラインCCD116のセンシング部の各セルの暗出力レベルを表すデータ)を各セル毎に記憶しておき、ラインCCD116が写真フィルム22を読み取ることによってラインCCDスキャナ14から入力された画像データから、各画素毎に対応するセルの暗出力レベルを減ずることによって補正する。
【0067】
また、明補正は、ラインCCD116の光電変換特性の各セル単位でのばらつきを補正するものであり、ラインCCDスキャナ14に画面全体が一定濃度の調整用のフィルム画像がセットされている状態で、ラインCCD116で前記調整用のフィルム画像を読み取ることによりラインCCDスキャナ14から入力された調整用のフィルム画像の画像データ(この画像データが表す各画素毎の濃度のばらつきは各セルの光電変換特性のばらつきに起因する)に基づいて各セル毎にゲイン(明補正データ)を定めておき、ラインCCDスキャナ14から入力された読取対象のフィルム画像の画像データを、各セル毎に定めたゲインに応じて各画素毎に補正する。
【0068】
また、画像処理部16では、階調変換、色変換、画像の超低周波輝度成分の階調を圧縮するハイパートーン処理、粒状を抑制しながらシャープネスを強調するハイパーシャープネス処理等の各種の画像処理を行う。
【0069】
なお、キーボード12A、12B及びマウス20が本発明の指定手段に、写真フィルム22が本発明の読取対象原稿に、ランプ32が本発明の光源に、フィルムキャリア38が本発明の搬送手段に、マイクロプロセッサ46が本発明の制御手段に、ラインCCD116が本発明の画像センサに、各々相当する。
【0070】
次に、本実施形態の作用として、ラインCCDスキャナ14のマイクロプロセッサ46によって実行される写真フィルム22の画像読取時の処理について、図8を参照して説明する。なお、図8は、写真フィルム22の画像読取時にマイクロプロセッサ46で実行される画像読取処理のフローチャートである。また、ラインCCDスキャナ14は、写真フィルム読取時のモードとして、「プレスキャンモード」、及び「ファインスキャンモード」の各モードが予め定められていると共に、各モードにおけるラインCCDスキャナ14の各部の状態も予め定められている。さらに、本実施形態では、写真フィルム22が1本のネガフィルムである場合について説明する。
【0071】
図8のステップ200では、「プレスキャンモード」に移行し、写真フィルム22に対するプレスキャンが所定の読取条件で行われるように、「プレスキャンモード」として予め定められている各部の状態に従って各部の作動を制御する。
【0072】
すなわち、ランプドライバ53によってランプ32を点灯させ、絞り駆動モータ56によって絞り39をプレスキャン時の位置に移動させ、ターレット駆動モータ54によってターレット36をネガフィルム位置(ネガフィルム用のバランスフィルタ36Nが光軸L上に位置する位置)へ回転させ、レンズユニット50によるズーム倍率が1.0倍となるように読取部駆動モータ58、レンズ駆動モータ60によって載置台47及びレンズユニット50をスライド移動させ、レンズ絞り駆動モータ62によってレンズ絞り51を全開位置に移動させ、シャッタ駆動モータ64によってCCDシャッタ52を全開位置に移動させる。また、タイミングジェネレータ74に対し、ラインCCD116の電子シャッタの作動時間(ラインCCD116によるライン単位の読取周期(電荷蓄積時間))として最短値であるtを設定し、フィルムキャリア38に対し、写真フィルム22の搬送速度として最速値である5×v(通常のフィルム画像のファインスキャン時における搬送速度をvとした場合の5倍の搬送速度)を設定する。従って、写真フィルム22に対するプレスキャンは比較的粗い解像度で高速に行われ、短時間で処理が完了する。
【0073】
次のステップ202では、フィルムキャリア38に対し、所定方向(図2の矢印C方向)への写真フィルム22の搬送を指示し、最速の搬送速度(5×v)で搬送される写真フィルム22をラインCCD116によって最短の読取周期(t)で読み取り、ラインCCD116から出力された信号に対して順次A/D変換を行ってプレスキャンデータとして画像処理部16へ順次出力するプレスキャンを開始する。
【0074】
次のステップ204では写真フィルム22の後端までプレスキャンを行ったか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。
【0075】
このプレスキャンの間、画像処理部16では、ラインCCDスキャナ14から入力される画像データを図示しない記憶部に順次記憶すると共に、複数コマ画像分の画像データが記憶された時点で、該記憶された画像データに基づき、写真フィルム22に記録されているフィルム画像の写真フィルム22の搬送方向に沿った両端(上流側及び下流側)のエッジ位置を各々判定する。
【0076】
エッジ位置の判定は、例えば、本願出願人が特開平8−304932号公報、特開平8−304933号公報、特開平8−304934号公報、特開平8−304935号公報で提案しているように、プレスキャンデータが表す各画素毎の濃度値に基づき、各画素毎にフィルム長手方向に沿った濃度変化値を各々演算し、各画素のフィルム長手方向に沿った濃度変化値をフィルム幅方向に沿ったライン単位で積算し、各ライン毎の積算値を比較することで行うことができる。また、写真フィルム22がAPSフィルムであれば、パーフォレーションが穿設されている位置からエッジが存在している可能性がある領域を探索範囲として設定し、該探索範囲内でエッジを探索することで、エッジ位置の判定に要する時間を短縮することも可能である。
【0077】
また、画像処理部16では、このようにして判定したエッジ位置に基づき、パーフォレーションの位置等と対応付けてフィルム画像のコマ位置を判定し、判定したコマ位置を上記図示しない記憶部に記憶すると共に、該コマ位置に基づいて、それまでに記憶した画像データからフィルム画像が記録されている領域の画像データを切り出して上記図示しない記憶部に記憶する。
【0078】
写真フィルム22の後端までプレスキャンが終了すると(図8のステップ204の判定が肯定されると)、ステップ206では、プレスキャン時に画像処理部16によって上記図示しない記憶部に記憶されたプレスキャン画像データからフィルム画像の所定の画像特徴量を演算する。なお、所定の画像特徴量には、フィルム画像の色バランス値(詳しくは、フィルム画像の各成分色毎の最小濃度値(最大輝度値)の比率)も含まれる。
【0079】
また、ステップ206では、演算した画像特徴量に基づいて、フィルム画像の種別(サイズ、濃度種別)及びファインスキャン画像データに対する画像処理の処理条件を演算により設定する。
【0080】
なお、読取対象の写真フィルム22が135サイズの写真フィルムであれば、フィルム画像のサイズ(この場合はフィルム画像のフレームサイズ)は、例えば標準サイズのフィルム画像では画像記録範囲内となり、パノラマサイズ等の非標準サイズのフィルム画像では画像記録範囲外となる所定部分の濃度や色味が、未露光部(ネガフィルムであれば素抜け)に相当する濃度や色味であるか否かに基づいて判定することができる。
【0081】
また、特開平8−304932号公報、特開平8−304933号公報、特開平8−304934号公報、特開平8−304935号公報のように、プレスキャン時の画像データが表す各画素毎の濃度値に基づき、各画素毎にフィルム幅方向に沿った濃度変化値を各々演算し、各画素のフィルム幅方向に沿った濃度変化値をフィルム長手方向に沿ったライン単位で積算し、各ライン毎の積算値を比較することでフィルム画像のサイズ(アスペクト比)を判定したり、濃度ヒストグラムから閾値を定めて画像を二値化し、画像中の各領域における画像の存在率に基づいて判定したり、前述の所定部分における濃度変化値の分散及び平均値に基づいて判定したり、上記の手法を組み合わせて判定するようにしてもよい。
【0082】
また、読取対象の写真フィルム22がAPSフィルムであれば、フィルム画像のサイズ(この場合はプリントサイズ)は、APSフィルムの磁気層にデータとして磁気記録されているプリントサイズを読み取ることで判定できる。
【0083】
フィルム画像の濃度種別については、例えば平均濃度、最大濃度、最小濃度等を予め定められた所定値と比較することで、低濃度/通常濃度/高濃度/超高濃度等に分類することができる。また、画像処理の処理条件としては、例えば画像の拡大縮小率、ハイパートーンやハイパーシャープネス等の画像処理の処理条件(具体的には、画像の超低周波輝度成分に対する階調の圧縮度、画像の高周波成分や中周波成分に対するゲイン(強調度))、階調変換条件等が演算される。
【0084】
上記のようにして全てのコマ画像について、種別、及び画像処理の処理条件の設定が終了すると、次のステップ208では画像検定処理を実行する。この画像検定処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0085】
まず、ステップ300では、画像処理部16から、所定数のフィルム画像のプレスキャン画像データ及び画像処理の処理条件を取り込む。
【0086】
次のステップ302では、先に取り込んだ所定数のフィルム画像のプレスキャン画像データ及び画像処理の処理条件から、何れか1つのフィルム画像のプレスキャン画像データ及び画像処理の処理条件を取り出し、取り出したプレスキャン画像データに対し、取り出した処理条件に従って所定の画像処理(画像の拡大縮小、階調変換、ハイパートーン処理、ハイパーシャープネス処理等)を行う。この所定の画像処理は、ファインスキャン画像データに対して画像処理部16で行われる画像処理と等価な画像処理であるが、プレスキャンはファインスキャンよりも低解像度でフィルム画像を読み取るものであり、プレスキャン画像データはファインスキャン画像データよりもデータ量が少ないので、ステップ302における画像処理は比較的短時間で完了する。
【0087】
次のステップ304では、画像処理を行った画像データに対し、該画像データをディスプレイ18に表示した場合の状態(見え具合)が図示しないレーザプリンタ部によるプリント結果と略同様となるようにディスプレイ18の特性に応じて画像データを補正し、補正後のデータ(シミュレーション画像データ)をRAM68に一旦記憶する。
【0088】
次のステップ306では、所定数のフィルム画像に対して上記の処理を行ったか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ302に戻り、ステップ300でプレスキャン画像データ及び処理条件を取り込んだ所定数の画像のうち、画像処理を未実行のフィルム画像に対してステップ302、304の処理を繰り返す。
【0089】
ステップ306の判定が肯定されるとステップ308へ移行し、所定数のフィルム画像のシミュレーション画像データに基づいて、例として図10に示すように、前記所定数のフィルム画像の画像データに対し、画像処理部16で設定された処理条件で各々画像処理を行った結果を表す所定数(図10では6)のシミュレーション画像120をディスプレイ18に表示する。
【0090】
次のステップ310では、ディスプレイ18に表示されているシミュレーション画像120のうちの処理対象画像のオペレータによる指定が終了しているか否かを判定し、終了している場合はステップ318へ移行し、終了していない場合はステップ312へ移行する。なお、本実施形態における処理対象画像とは、実際にファインスキャンを行うフィルム画像を示している。すなわち、本実施形態では、本画像読取処理が同時プリント時に実行されている場合は、焦点が大きくずれた、所謂ピンボケのフィルム画像や、超アンダー露光又は超オーバー露光等により画像の内容が識別できない程度のフィルム画像等の、プリントしても意味がない画像以外の画像が処理対象画像となり、本画像読取処理が焼き増し時に実行されている場合は、焼き増しする画像が処理対象画像となる。
【0091】
ステップ312では、オペレータに処理対象画像の指定を要請するメッセージをディスプレイ18に表示する等により、オペレータに処理対象画像の指定を要請する。
【0092】
これにより、オペレータはディスプレイ18に表示されているシミュレーション画像120(図10も参照)のうちの、処理対象とする画像の指定をキーボード12A、12B、及びマウス20の何れかを用いて行う。すなわち、キーボード12A又はキーボード12Bを用いる場合は、例えば、ディスプレイ18に表示されたシミュレーション画像120のうちの任意の1つに対して枠で囲むように該枠を予め表示しておき、当該キーボードに設けられた図示しない矢印キーの何れかを押下することによって、上記枠の位置を押下された矢印キーの指し示す方向に位置するシミュレーション画像を囲むように移動し、処理対象とするシミュレーション画像が上記枠で囲まれた時点で当該キーボードのエンターキー等の所定のキーを押下することにより処理対象画像の指定を行うことができる。一方、マウス20を用いる場合は、ディスプレイ18上に表示されているシミュレーション画像120のうちの処理対象とする画像をマウス20によってポインティング指定することによって行うことができる。
【0093】
なお、本画像読取処理が同時プリント時に実行されている場合は、上述したように、プリント対象とするフィルム画像が処理対象画像となるが、この場合、一般的にプリント対象とする画像の方がそれ以外の画像より多いので、省力化のためオペレータは処理対象画像以外の画像を指定し、指定された画像以外の画像が処理対象画像であるものとマイクロプロセッサ46によって判断する形態とすることが好ましい。この形態は、本画像読取処理が焼き増し時に実行されている場合であっても、焼き増しする画像の数が焼き増ししない画像の数より少ない場合にも省力化の点で有効である。また、本画像読取処理が焼き増し時に実行されている場合は、オペレータは処理対象画像の各々の焼き増し枚数をこの時点で入力する。
【0094】
更にオペレータは、全ての処理対象とする画像の指定が終了した時点で、該指定が終了した旨を入力する。この入力は、処理対象画像の指定をキーボードを用いて行っている場合は、例えば当該キーボードのスペースキー等の所定のキー(少なくとも上記矢印キー以外のキー)を押下することにより行うことができ、処理対象画像の指定をマウス20を用いて行っている場合は、例えばディスプレイ18上のシミュレーション画像120の領域以外の所定領域をマウス20によりポインティング指定することによって行うことができる。
【0095】
従って、次のステップ314では、上述したオペレータからの処理対象とする画像の指定が終了した旨の入力待ちを行うことによって、処理対象画像の指定の終了待ちを行った後、ステップ316へ移行して、オペレータから指定された全ての処理対象画像の位置(本実施形態では処理対象画像のコマ番号)をRAM68の所定領域に記憶する。また、本画像読取処理が焼き増し時に実行されている場合は、オペレータから入力された処理対象画像毎の焼き増し枚数を各処理対象画像に対応付けて記憶する。
【0096】
次のステップ318では、上記ステップ312〜ステップ316によってオペレータから指定されて記憶された処理対象とするフィルム画像の位置に対応するシミュレーション画像を強調表示する。
【0097】
この強調表示の方法としては、例えば、図11(A)に示すように、指定されたシミュレーション画像の明るさを指定されなかったシミュレーション画像の明るさに比較して相対的に明るく表示する方法(図11(A)では指定されなかったシミュレーション画像を暗く(斜線で表現)表示している)、図11(B)に示すように、指定されたシミュレーション画像のみ周囲を枠で囲む方法、図11(C)に示すように、指定されたシミュレーション画像のみ、当該シミュレーション画像の写真フィルム上のコマ番号を表示する方法、図11(D)に示すように、指定されたシミュレーション画像のみを表示する方法、等を適用することができる。このような強調表示を行うことによって、処理対象画像を明確化することができる。
【0098】
次のステップ320では、オペレータにシミュレーション画像の検定を要請するメッセージをディスプレイ18に表示する等により、オペレータにシミュレーション画像の検定を要請する。
【0099】
これにより、オペレータはディスプレイ18に表示されているシミュレーション画像のうち、ステップ318により強調表示された画像を目視で確認し、各種の判定を行って判定結果を入力する検定作業を行う。すなわち、まず画像処理部16で判定されたフィルム画像のコマ位置が適正か否かを判定する。コマ位置が適正であると判断した場合にシミュレーション画像の画質が適正か否か(すなわち画像処理部16で演算された処理条件が適正か否か)を判定し、画質(処理条件)が適正でないと判定した場合には処理条件をどのように修正すべきかを判断する。
【0100】
そして、強調表示されている全てのシミュレーション画像のコマ位置及び画質を適正と判定した場合には、検定結果として「検定OK」を表す情報をキーボード12A等を介して入力し、特定のシミュレーション画像のコマ位置が適正でないと判定した場合には、検定結果として、前記特定のシミュレーション画像のコマ位置をどのように修正するかを指示する情報をキーボード12A等を介して入力し、特定のシミュレーション画像の画質が適正でないと判定した場合には、検定結果として、前記特定のシミュレーション画像に対応する特定のフィルム画像に対して処理条件の修正を指示する情報をキーボード12A等を介して入力する。
【0101】
例えば、ストロボを用いて撮影したフィルム画像や逆光のシーンを撮影したフィルム画像はコントラストが過剰に高く、シミュレーション画像上で主要被写体に対して背景のとび、又はつぶれが発生する。このような場合、オペレータは画像中の背景に相当する領域についてのみ階調が圧縮されるように、すなわちハイパートーン処理による画像の超低周波明るさ成分(画像から抽出した超低周波輝度成分の画像における高輝度の領域)の階調の圧縮度合いが高くなるように、処理条件の修正を指示する情報として画像の超低周波輝度成分のうち高輝度のデータに対する強調度の修正を指示する情報を入力する。
【0102】
また、例えばシミュレーション画像上でシャープネスが不足している場合、オペレータはシャープネスが強調されるように、処理条件の修正を指示する情報として画像の高周波成分等に対する強調度の修正を指示する情報を入力する。また、例えばアンダ露光やオーバ露光のフィルム画像は、シミュレーション画像の濃度が全体的に高濃度側又は低濃度側に偏倚したり、シミュレーション画像のコントラストが過剰に低くなる。このような場合、オペレータは、全体的な濃度やコントラストが適正となるように、処理条件の修正を指示する情報として階調変換条件の変換カーブの修正を指示する情報を入力する。
【0103】
次のステップ322では、キーボード12A等を介してオペレータから検定結果が入力されたか否か判定し、検定結果が入力される迄待機する。検定結果が入力されるとステップ324へ移行し、検定結果として入力された情報の内容を判定する。検定結果として、特定のシミュレーション画像に対応する特定のフィルム画像に対し、コマ位置の修正又は処理条件の修正を指示する情報が入力された場合にはステップ326へ移行し、入力された特定のフィルム画像に対するコマ位置又は処理条件の修正内容を画像処理部16において得られているコマ位置又は処理条件に対して反映させる。
【0104】
すなわち、入力された修正指示が特定のフィルム画像のコマ位置を修正する指示であった場合には、特定のフィルム画像のコマ位置を前記修正指示に応じて修正した後に、先に説明したステップ206と同様に、修正したコマ位置に従ってプレスキャンデータからプレスキャン画像データを再度切り出し、切り出したプレスキャン画像データから所定の画像特徴量を演算し、前記特定のフィルム画像の種別及び画像処理の処理条件を演算により再度設定する。上記のようにコマ位置を修正することで、ファインスキャン時に写真フィルム22上の画像部を確実に読み取ることができる。
【0105】
また、入力された修正指示が特定のフィルム画像の処理条件を修正する指示であった場合には、前記特定のフィルム画像の処理条件の修正のみを行う。例えば処理条件の修正指示が、特定の周波数成分に対する強調度を修正する指示であれば、画像処理の処理条件のうち、該当する周波数成分に対する強調度を修正し、処理条件の修正指示が、階調変換条件の変換カーブを修正する指示であれば、画像処理の処理条件のうち、階調変換条件が表す変換カーブを、修正指示に応じて全体的又は部分的に修正する。これにより、各フィルム画像に対して適切な処理条件を確実に設定することができる。
【0106】
上記のようにしてコマ位置又は処理条件の修正内容の反映が終了するとステップ328へ移行し、コマ位置又は処理条件の修正が行われた特定のフィルム画像のプレスキャン画像データ及び処理条件を画像処理部16から取り込み、ステップ302に戻る。
【0107】
これにより、コマ位置又は処理条件の修正が行われた特定のフィルム画像について、ステップ302、304の処理が再度行われ、特定のフィルム画像のシミュレーション画像がディスプレイ18に再表示されることになる。そして、再表示された特定のフィルム画像のシミュレーション画像をオペレータが目視で確認することにより、先に入力した修正指示の内容が適正か否かをオペレータが容易に判断することが可能となる。なお、この際、処理対象画像の指定は既に終了しているので、ステップ310の判定は肯定判定となってステップ312〜ステップ316の処理を行うことなくステップ318に移行し、RAM68に既に記憶されている処理対象画像の位置に対応するシミュレーション画像の強調表示が行われる。
【0108】
ステップ302〜328の処理は、オペレータにより、ディスプレイ18に強調表示されている全てのシミュレーション画像のコマ位置及び画質が各々適正と判定され、検定結果として「検定OK」を表す情報が入力される迄(ステップ324の判定が否定される迄)繰り返され、強調表示されているシミュレーション画像に対応する各フィルム画像のコマ位置や処理条件がオペレータからの指示に応じて修正される。そして、オペレータからキーボード12A等を介して「検定OK」を表す情報が入力され、ステップ324の判定が否定されると、ステップ330へ移行して、読取対象の写真フィルム22に記録されている全てのフィルム画像に対して画像検定処理を行ったか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ300に戻り、ステップ300以降の処理を繰り返す。これにより、読取対象の写真フィルム22に記録されているフィルム画像のうちの処理対象とする画像(本実施形態ではファインスキャンすべき画像)の指定が行われると共に、処理対象とする画像に対する画像検定処理が行われ、画像処理部16で判定されたコマ位置や演算された処理条件が適正か否かが判定されると共に、必要に応じてコマ位置や処理条件が修正されることになる。
【0109】
以上の画像検定処理が終了すると(ステップ330の判定が肯定されると)、図8のステップ210では、フィルム画像のファインスキャンを行うための準備として、フィルムキャリア38に対して、写真フィルム22の搬送方向を上記所定方向と逆の方向(図2矢印C方向の逆方向)とするように指示し、次のステップ212では、ファインスキャン処理を行う。なお、本実施形態におけるファインスキャン処理では、処理対象とするフィルム画像の読み取りに関する期間以外の期間においては、写真フィルム22をフィルムキャリア38によってフィルムキャリア38の最高速度(5×v)で搬送することによりファインスキャンの全体的な処理時間を短縮している。次に図12のフローチャートを参照して、ファインスキャン処理について説明する。
【0110】
まず、ステップ400では、これからファインスキャンを行うフィルム画像(この場合は所定方向と逆の方向への写真フィルム22の搬送で最初に読取位置に到達する処理対象とするフィルム画像)の種別を取り込み、前記フィルム画像の種別が何であるかを判定し、該種別に応じた読取条件を設定可能な時点に読取位置に位置する写真フィルム22上の位置(以下、設定可能位置と称する。)を算出する。
【0111】
すなわち、本実施形態における画像読取装置のファインスキャンでは、フィルム画像の種別に応じてフィルム画像毎にラインCCDスキャナ14の各部の状態を設定するが、この設定には設定内容等に応じた長さの期間を要するため、次に読み取るフィルム画像の搬送方向先端が読取位置に到達した時点から各部の状態の設定を開始したのでは前記フィルム画像の読み取りを行うことができない。そこでステップ400では、次に読み取るフィルム画像の種別に応じた各部の状態の設定を当該フィルム画像の読み取りに先立って終了することができる写真フィルム上の位置がどこであるのかを求めている。
【0112】
具体的には、本実施形態では、フィルムキャリア38による写真フィルム22の搬送速度をファインスキャン時の搬送速度(v)で一定とすると共に、これから読み取るフィルム画像の種別に応じて、ランプ32による光量を絞り39により調整しかつラインCCD116の電荷蓄積時間をラインCCD116に備えられた電子シャッタによって調整する形態とされており、ステップ400では、これらの調整が終了可能な期間に写真フィルム22が搬送される距離を、これからファインスキャンするフィルム画像の搬送方向先端から溯った写真フィルム22上の位置を算出する。
【0113】
なお、写真フィルム22の搬送速度は、読取対象とするフィルム画像の濃度等に応じて切替える形態としてもよい。
【0114】
次のステップ402では、ステップ400で算出した、これからファインスキャンするフィルム画像の上記設定可能位置が読取位置に対して写真フィルム22の搬送方向下流側に位置しているか否かを判定し、下流側に位置している場合はステップ404に移行して写真フィルム22の高速搬送を開始した後にステップ412へ移行する。なお、この際の搬送速度は、上述したプレスキャン時の搬送速度と同様の5×v、すなわち、フィルムキャリア38の最高速度とする。
【0115】
一方、上記ステップ402の判定の結果、下流側に位置していないと判定された場合にはステップ406へ移行して、設定可能位置が読取位置に対して写真フィルム22の搬送方向上流側に位置しているか否かを判定し、上流側に位置している場合はステップ408へ移行して写真フィルム22の搬送方向の逆転をフィルムキャリア38に指示し、次のステップ410で写真フィルム22の通常速度(v)による搬送を開始した後にステップ412へ移行する。すなわち、この場合の写真フィルム22の搬送方向は、プレスキャン時と同様の図2矢印C方向となる。
【0116】
ステップ412では、上記ステップ400で算出した設定可能位置の読取位置への到達待ちを行い、その後ステップ414へ移行して写真フィルム22の搬送を停止する。一方、上記ステップ406の判定の結果、設定可能位置が搬送方向上流側に位置していない場合は、設定可能位置が読取位置に位置していると見做してステップ414へ移行して写真フィルム22の搬送を停止する。
【0117】
すなわち、上記ステップ400〜ステップ414の処理によって、これからファインスキャンするフィルム画像の設定可能位置が読取位置に対してファインスキャン時の写真フィルム22の搬送方向下流側に位置している場合は、設定可能位置が読取位置に到達するまでフィルムキャリア38の最高速度で写真フィルム22を搬送し、同じく上流側に位置している場合には、設定可能位置が読取位置に位置されるように写真フィルム22を戻している。
【0118】
次のステップ416では、フィルムキャリア38による写真フィルム22の搬送速度を、これからファインスキャンするフィルム画像の種別に応じた速度に切替えた後に写真フィルム22の搬送を開始する。ここで、この時点の写真フィルム22の搬送方向がファインスキャン時の搬送方向となっていない場合、すなわち上記ステップ408によって写真フィルム22の搬送方向が図2矢印C方向とされている場合には、搬送方向の逆転をフィルムキャリア38に指示した後に搬送を開始する。
【0119】
次のステップ418では、これからファインスキャンを行うフィルム画像の種別に適した読取条件で処理対象とするフィルム画像に対するファインスキャンが行われるように、ラインCCDスキャナ14の各部の作動を制御する。すなわち、これからファインスキャンを行うフィルム画像の種別に応じたファインスキャンモードの設定を行う。なお、ステップ400〜ステップ414の処理によって、写真フィルム22は、これからファインスキャンを行うフィルム画像の種別に適した各部の設定が可能な位置に位置されているので、本ステップ418による設定は、当該フィルム画像の読み取り開始までに確実に完了することができる。
【0120】
次のステップ420では、画像処理部16の図示しない記憶部に記憶されたコマ位置に基づき、これからファインスキャンを行うフィルム画像のエッジがラインCCD116の読取位置(光軸位置)に到達したか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。
【0121】
ステップ420の判定が肯定されるとステップ422へ移行し、読取位置に到達したフィルム画像をラインCCD116によって読み取り、ラインCCD116から出力された信号に対して順次A/D変換を行ってファインスキャン画像データとして画像処理部16へ順次出力するファインスキャンを行う。これにより、フィルム画像の種別毎に最適な読取条件で前記フィルム画像のファインスキャンが行われることになる。
【0122】
なお、ラインCCDスキャナ14から画像処理部16に出力されたファインスキャン画像データは、先に記憶された処理条件で画像処理部16において画像処理が行われ、図示しないレーザプリンタ部へ出力されてプリントされる。また、本画像読取処理が焼き増し時に実行されている場合は、画像検定処理時にオペレータによって入力された処理対象画像毎の焼き増し枚数をレーザプリンタ部へ出力することにより、処理対象画像毎に指定された枚数分プリントされるようにする。
【0123】
単一のフィルム画像に対するファインスキャンを完了するとステップ424へ移行し、上記画像検定処理においてオペレータから指定された処理対象とする全てのフィルム画像に対するファインスキャンを終了したか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ400に戻り、ステップ400〜424を繰り返す。このステップ400〜424により、上記画像検定処理においてオペレータから指定された処理対象とする各フィルム画像の種別に応じた最適な読取条件で、各フィルム画像のファインスキャンが各々行われる。そして、ステップ424の判定が肯定されるとステップ426へ移行して、写真フィルム22の高速搬送(本実施形態では5×v)をフィルムキャリア38に対して指示することにより写真フィルム22を高速に排出した後に、本ファインスキャン処理を終了し、図8に示した画像読取処理を終了する。
【0124】
次に、図13を参照して、処理対象画像(ファインスキャンするフィルム画像)が1画像である場合と、処理対象画像が隣接した2画像でかつ後に読み取る画像に適した各部の設定が通常では間に合わない場合の画像読取処理の状態について説明する。なお、図13は、写真フィルムに対する読取位置の相対的な位置の移動を「開始」から「終了」に至る矢印で示した概念図である。
【0125】
処理対象画像が1画像である場合は、図13(A)に示すように、予め定められたプレスキャン時の速度(本実施形態では5×v)で搬送されている写真フィルム22の全てのフィルム画像124のプレスキャンが行われた後に、図9に示した画像検定処理によって処理対象とするフィルム画像(図13(A)ではフィルム画像124S)の指定及び指定されたフィルム画像124Sの検定が行われる。
【0126】
その後、写真フィルム22の搬送方向が逆転されて写真フィルム22の搬送が開始され、写真フィルム22は処理対象画像124Sの読み取り開始位置130Aから処理対象画像124Sの種別に適した各部の設定が可能な設定可能期間に相当する設定可能区間128に相当する距離を溯った位置に至る高速搬送区間126Aの間は高速(本実施形態では5×v)に搬送される。
【0127】
その後、写真フィルム22の搬送速度が処理対象画像124Sの種別に適した速度(図13(A)ではファインスキャン速度と表現)に切替えられると共に、処理対象画像124Sの種別に適した各部の設定が行われた後に、読み取り開始位置130Aから読み取り終了位置130Bまでの間に処理対象画像124Sの読み取りが行われ、その後、写真フィルム22は高速搬送区間126Bにおいて高速(本実施形態では5×v)に搬送されてフィルムキャリア38から排出される。
【0128】
一方、処理対象画像が隣接する2画像でかつ後に読み取る画像に適した各部の設定が通常では間に合わない場合は、図13(B)に示すように、プレスキャン時の速度(本実施形態では5×v)で搬送されている写真フィルム22の全てのフィルム画像124のプレスキャンが行われた後に、図9に示した画像検定処理によって処理対象とするフィルム画像(図13(B)ではフィルム画像124S及び124S’)の指定及び指定されたフィルム画像124S及び124S’の検定が行われる。
【0129】
その後、写真フィルム22の搬送方向が逆転されて写真フィルム22の搬送が開始され、写真フィルム22は処理対象画像124Sの読み取り開始位置130Aから処理対象画像124Sの種別に適した各部の設定が可能な設定可能期間に相当する設定可能区間128に相当する距離を溯った位置に至る高速搬送区間126Aの間は高速(本実施形態では5×v)に搬送される。
【0130】
その後、写真フィルム22の搬送速度が処理対象画像124Sの種別に適した速度(図13(B)ではファインスキャン速度と表現)に切替えられると共に、処理対象画像124Sの種別に適した各部の設定が行われた後に、読み取り開始位置130Aから読み取り終了位置130Bの間に処理対象画像124Sの読み取りが行われる。
【0131】
処理対象画像124Sの読み取りが終了すると、通常は次の処理対象画像124S’の読み取りに関する期間に至るまで写真フィルム22は高速に搬送されるが、ここでは、図13(B)に示したように、次の処理対象画像124S’が処理対象画像124Sに隣接している等のために、処理対象画像124Sの読み取り終了位置130Bから処理対象画像124S’の読み取り開始位置130A’までの間に処理対象画像124S’の種別に適した各部の設定ができないため、処理対象画像124S’の設定可能期間に相当する設定可能区間128’に相当する距離を溯った位置まで写真フィルム22が逆方向に搬送される。
【0132】
その後、写真フィルム22の搬送方向がファインスキャン時の搬送方向に再度切替えられて処理対象画像124S’の種別に適したファインスキャン速度の写真フィルム22の搬送が開始されると共に処理対象画像124S’の種別に適した各部の設定が行われた後に、読み取り開始位置130A’から読み取り終了位置130B’までの間に処理対象画像124S’の読み取りが行われ、その後、写真フィルム22は高速搬送区間126Bにおいて高速(本実施形態では5×v)に搬送されてフィルムキャリア38から排出される。
【0133】
以上詳細に説明したように、本第1実施形態に係る画像読取装置では、ファインスキャン時において、次にファインスキャンを行う処理対象画像(読取対象画像)の読み取り開始位置の近傍に至るまで写真フィルムを高速に搬送しているので、画像読取処理の全体的な処理時間を短縮することができる。
【0134】
また、本第1実施形態に係る画像読取装置では、隣接する処理対象とするフィルム画像における後に処理を行うフィルム画像の読み取り開始までに該後に処理を行うフィルム画像の読取条件が設定できない場合には読取条件が設定可能な位置まで写真フィルムを戻しているので、処理対象とするフィルム画像毎に確実に読取条件の設定を行うことができる。
【0135】
更に、本第1実施形態に係る画像読取装置では、全ての処理対象画像のファインスキャンが終了した時点で、高速に写真フィルムを排出しているので、画像読取処理の全体的な処理時間をより短縮することができる。
【0136】
なお、本第1実施形態では、高速搬送区間における搬送速度をプレスキャン時と同一の搬送速度とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フィルムキャリアをプレスキャンの画像読み取り時における搬送速度(5×v)より高速搬送可能に構成し、この搬送速度で上記高速搬送区間において写真フィルムを搬送する形態としてもよい。この場合、本実施形態に比較して、画像読取処理の全体的な処理時間を、より短縮することができる。
【0137】
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態では処理対象とする画像を画像検定処理時にキーボード等を介してオペレータが指定する一形態について説明したが、本第2実施形態では読取対象原稿がAPSフィルムであり、該APSフィルムに設けられた磁気層に対して予め処理対象とするフィルム画像を示す情報を記録しておき、該情報を読み取ることによって処理対象画像を指定する場合の一形態について説明する。
【0138】
まず、図14及び図15を参照して、本第2実施形態に係る画像読取装置の構成を説明する。なお、図14及び図15における各々図6及び図7と同様の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0139】
図14に示すように、本第2実施形態に係る画像読取装置は、上記第1実施形態に係る画像読取装置に対して、フィルムキャリア38に写真フィルム22(本第2実施形態ではAPSフィルム)の磁気層に記録された情報を読み取る磁気読取部71、及び写真フィルム22の磁気層に各種の情報を記録する磁気記録部72を備えている点のみが相違している。なお、磁気読取部71は同図紙面手前側に位置され、磁気記録部72は同図紙面奥手側に位置されている。
【0140】
図15に示すように、磁気読取部71及び磁気記録部72はラインCCDスキャナ14のマイクロプロセッサ46に接続されている。従って、本第2実施形態に係る画像読取装置では、マイクロプロセッサ46によって写真フィルム22の磁気層からの各種情報の読み取りや、写真フィルム22の磁気層への各種情報の記録を行うことができる。
【0141】
次に、本第2実施形態の作用として、ラインCCDスキャナ14のマイクロプロセッサ46によって実行される写真フィルム22の画像読取時の処理について、図16を参照して説明する。なお、図16は、写真フィルム22の画像読取時にマイクロプロセッサ46で実行される画像読取処理のフローチャートであり、同図における図8と同様の処理を行うステップについては図8と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。また、本処理の実行に先立って、写真フィルム22の磁気層には、処理対象とするフィルム画像を示す情報が予め記録されている。
【0142】
同図のステップ203では、磁気読取部71によってプレスキャン中の写真フィルム22の磁気層から処理対象とするフィルム画像を示す情報を読み取り、処理対象とするフィルム画像に対応するコマ番号をRAM68の所定領域に記憶する。
【0143】
ステップ208’では、図17に示す画像検定処理2を実行する。なお、同図における図9と同様の処理を行うステップについては図9と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【0144】
図17に示すように、本第2実施形態における画像検定処理2では、上記第1実施形態における画像検定処理の処理対象画像の指定に関する部分(ステップ310乃至ステップ316)が無い点が上記第1実施形態と大きく相違している。すなわち、上記第1実施形態では、処理対象とする画像をオペレータによってキーボード12A、12B、及びマウス20の何れかを介して入力する形態であったが、本第2実施形態では、上述したように写真フィルム22の磁気層に処理対象とするフィルム画像を示す情報を予め記憶しておき、該磁気層をプレスキャン時に読み取ることによって処理対象とするフィルム画像のコマ番号を取得しているので、オペレータによる処理対象とするフィルム画像の指定を行う必要がないのである。
【0145】
従って、図17に示すステップ318’では、図16におけるステップ203においてRAM68の所定領域に記憶しておいたコマ番号を読み出し、該コマ番号に対応するフィルム画像が指定されたフィルム画像であると見なして強調表示を行う。
【0146】
以上の画像検定処理2が終了した後に上記第1実施形態と同様にファインスキャンを行う。
【0147】
以上詳細に説明したように、本第2実施形態に係る画像読取装置では、上記第1実施形態に係る画像読取装置と同様の効果を奏することができると共に、処理対象とするフィルム画像を示す情報を写真フィルムの磁気層に対して予め記録しておき、該情報を読み取ることによって処理対象とするフィルム画像のコマ番号を指定しているので、オペレータによって画像検定処理時等に指定する場合に比較して、オペレータの負担を軽減することができる。
【0148】
なお、本第2実施形態では、写真フィルム22が磁気層を備えた所謂APSフィルムである場合において、上記磁気層に予め処理対象とするフィルム画像のコマ番号を示す情報を記録しておき、該情報を読み取ることによって処理対象とするフィルム画像を指定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、写真フィルム22に予め処理対象とするフィルム画像のコマ番号を示す情報をバーコードとして記録しておき、該バーコードを読み取ることによって処理対象とするフィルム画像を指定する形態とすることもできる。また、本実施形態に係る画像読取装置にハードディスク等の記憶手段やメモリカード、フロッピィディスク等の記録媒体を読み取る読取手段を備えておき、上記記憶手段や上記記録媒体に予め読み取り対象とするフィルム画像を示す情報を記録しておいて、該情報を入力することによって指定する形態とすることもできる。
【0149】
〔第3実施形態〕
上記第1実施形態では、図12に示すファインスキャン処理において設定可能位置が搬送方向下流側に位置している場合(ステップ402が肯定判定である場合)には無条件に写真フィルム22を高速搬送する場合の一形態について説明したが、本第3実施形態では高速搬送した方がよい場合である所定の条件を満足している場合にのみ高速搬送する一形態、すなわち請求項3記載の発明の一実施形態について説明する。なお、本第3実施形態に係る画像読取装置の構成は上記第1実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0150】
次に、本第3実施形態の作用として、ラインCCDスキャナ14のマイクロプロセッサ46によって実行される写真フィルム22の画像読取時の処理について、図18を参照して説明する。なお、図18は、写真フィルム22の画像読取時にマイクロプロセッサ46で実行される画像読取処理のフローチャートであり、同図における図8と同様の処理を行うステップについては図8と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【0151】
同図に示すように、本第3実施形態に係る画像読取時の処理では、上記1実施形態におけるステップ212のファインスキャン処理が、所定の条件に応じて高速搬送制御を行うファインスキャン処理2(ステップ212’)とされている点のみが上記第1実施形態と相違している。
【0152】
次に、図19を参照してファインスキャン処理2について説明する。なお、同図における図12と同様の処理を行うステップについては図12と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【0153】
同図におけるステップ403では、所定の条件に基づいて、設定可能位置が読取位置に到達するまで高速搬送した方がよいか否かを判定し、高速搬送した方がよいと判定された場合(肯定判定の場合)はステップ404へ移行して写真フィルム22の高速搬送を開始した後にステップ412へ移行し、高速搬送した方がよくはないと判定された場合(否定判定の場合)にはステップ405へ移行して写真フィルム22の通常速度(v)による搬送を開始した後にステップ412へ移行する。
【0154】
なお、本第3実施形態における上記所定の条件は、現在の読取位置から次に読み取るフィルム画像の読み取り開始位置までの距離が2フィルム画像分以上離れているか否かであり、2フィルム画像分以上離れている場合にのみ高速搬送するものとする。すなわち、読み取り対象とするフィルム画像を高精度に読み取るためには写真フィルム22が当該フィルム画像の濃度等に応じた所定の搬送速度で安定して搬送されていることが要求されるが、高速搬送した後に上記所定の搬送速度に移行するためには減速、一旦停止、加速等のための所定の時間が必要であり、本実施形態に係る画像読取装置では、次に読み取るフィルム画像の読み取り開始位置までの距離が少なくとも2フィルム画像分離れていないと結果的に全体的な処理時間を短縮することができないのである。そこで、本実施形態では、上記所定の条件を次に読み取るフィルム画像の読み取り開始位置までの距離が2フィルム画像分以上離れていることとしている。
【0155】
すなわち、図20に示すように、例えば処理対象画像(ファインスキャンするフィルム画像)が2フィルム画像分以上離れたフィルム画像124S及びフィルム画像124S’の2画像である場合には、プレスキャン時の速度(本実施形態では5×v)で搬送されている写真フィルム22の全てのフィルム画像124のプレスキャンが行われた後に、図9に示した画像検定処理によって処理対象とするフィルム画像124S及び124S’の指定及び指定されたフィルム画像124S及び124S’の検定が行われる。
【0156】
その後、写真フィルム22の搬送方向が逆転されて写真フィルム22の搬送が開始され、写真フィルム22はフィルム画像124Sの読み取り開始位置130Aからフィルム画像124Sの種別に適した各部の設定が可能な設定可能期間に相当する設定可能区間128に相当する距離を溯った位置に至る高速搬送区間126Aの間は高速(本実施形態では5×v)に搬送される。
【0157】
その後、写真フィルム22の搬送速度がフィルム画像124Sの種別に適した速度(図20ではファインスキャン速度と表現)に切替えられると共に、フィルム画像124Sの種別に適した各部の設定が行われた後に、読み取り開始位置130Aから読み取り終了位置130Bの間にフィルム画像124Sの読み取りが行われる。
【0158】
フィルム画像124Sの読み取りが終了すると、次のフィルム画像124’はフィルム画像124Sから2フィルム画像分以上離れているために高速搬送した方がよいと判定され、写真フィルム22はフィルム画像124S’の読み取り開始位置130A’からフィルム画像124S’の種別に適した各部の設定が可能な設定可能期間に相当する設定可能区間128Bに相当する距離を溯った位置に至る高速搬送区間126Bの間を高速(本実施形態では5×v)に搬送される。
【0159】
その後、写真フィルム22の搬送速度がフィルム画像124S’の種別に適した速度(ファインスキャン速度)に切替えられると共に、フィルム画像124S’の種別に適した各部の設定が行われた後に、読み取り開始位置130A’から読み取り終了位置130B’の間にフィルム画像124S’の読み取りが行われ、その後に写真フィルム22は高速搬送区間126Cにおいて高速に搬送されてフィルムキャリア38から排出される。
【0160】
以上詳細に説明したように、本第3実施形態に係る画像読取装置では、所定の条件に基づいて写真フィルムを高速搬送した方がよいか否かを判定し、高速搬送した方がよい場合にのみ高速搬送しているので、確実に全体的な処理時間を短縮することができる。
【0161】
なお、本第3実施形態では、高速搬送した方がよいことを示す所定の条件を、現在の読取位置から次に読み取るフィルム画像の読み取り開始位置までの距離が2フィルム画像分以上離れていることとした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記所定の条件としては、複数又は1つの同一フィルム画像を異なる読み取り条件で同一読み取り開始位置から複数回繰り返して読み取ること、読取対象原稿が磁気層を備えた写真感光材料(所謂APSフィルム)である際に次の読み取り対象とするフィルム画像の読み取り開始位置が各種情報の磁気層への記録又は磁気層からの読み取りを行うに必要な安定した搬送速度が確保できる位置であること、等を適用することができる。
【0162】
〔第4実施形態〕
上記各実施形態では、ファインスキャン時にのみ高速搬送を行なう場合の形態について説明したが、本第4実施形態ではプレスキャン時においても高速搬送を行なう場合の実施形態について説明する。
【0163】
まず、図21を参照して、本第4実施形態に係る画像読取装置の構成を説明する。なお、図21における図6と同様の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0164】
図21に示すように、本第4実施形態に係る画像読取装置は、上記第1実施形態に係る画像読取装置に対して、フィルムキャリア38が写真フィルム22の搬送速度の最速値が7×v(通常のフィルム画像のファインスキャン時における搬送速度をvとした場合の7倍の搬送速度)とされたフィルムキャリア38’とされている点のみが相違している。すなわち、本第4実施形態に係る画像読取装置におけるフィルムキャリア38’の搬送速度の最速値は、第1実施形態に係る画像読取装置のフィルムキャリア38の最速値(5×v)に比較して、より高速とされている。
【0165】
次に、本第4実施形態の作用として、ラインCCDスキャナ14のマイクロプロセッサ46によって実行される写真フィルム22の画像読取時の処理について、図22を参照して説明する。なお、図22は、写真フィルム22の画像読取時にマイクロプロセッサ46で実行される画像読取処理のフローチャートであり、同図における図8と同様の処理を行うステップについては図8と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【0166】
同図に示すように、本第4実施形態に係る画像読取時の処理では、上記第1実施形態におけるステップ200の処理の次に読み取り対象とするフィルム画像を示す情報を設定するステップ201が追加されていると共に、ステップ202のプレスキャン開始の処理が読み取り対象とするフィルム画像のみのプレスキャンを開始する処理(ステップ202’)とされ、かつステップ204のプレスキャン終了の判定処理が読み取り対象とするフィルム画像のみを対象とした判定処理(ステップ204’)とされており、更にステップ208の画像検定処理が上記第2実施形態で説明した画像検定処理2(ステップ208’)とされている点が上記第1実施形態と相違している。
【0167】
すなわち、図22におけるステップ201では、読み取り対象とするフィルム画像を示す情報、本実施形態では読み取り対象とするフィルム画像の位置を示す情報を設定する。なお、本設定は上述した第2実施形態と同様に、写真フィルム22が磁気層を有したAPSフィルムである場合には該磁気層に読み取り対象とするフィルム画像の位置を示す情報を予め記録しておき、該情報を読み取ることによって設定する形態、写真フィルム22に予め読み取り対象とするフィルム画像の位置を示す情報をバーコードとして記録しておき、該バーコードを読み取ることによって読み取り対象とするフィルム画像を設定する形態、本実施形態に係る画像読取装置にハードディスク等の記憶手段やメモリカード、フロッピィディスク等の記録媒体を読み取る読取手段を備えておき、上記記憶手段や上記記録媒体に予め読み取り対象とするフィルム画像を示す情報を記録しておいて、該情報を入力することによって設定する形態等を適用することができる。
【0168】
読み取り対象とするフィルム画像を示す情報の設定が終了すると、次のステップ202’では、フィルムキャリア38’に対し、所定方向(図2の矢印C方向)への写真フィルム22の搬送を指示し、プレスキャンにおける画像読み取り時の搬送速度(5×v)で搬送される写真フィルム22をラインCCD116によって最短の読取周期(t)で読み取り、ラインCCD116から出力された信号に対して順次A/D変換を行ってプレスキャンデータとして画像処理部16へ順次出力するプレスキャンを開始する。なお、本第4実施形態では、上記ステップ201において設定した読み取り対象とするフィルム画像を示す情報に基づいて該読み取り対象とするフィルム画像の読み取り開始位置からプレスキャンにおける画像読み取り時の搬送速度(本実施形態では5×v)への移行が可能な期間に相当する距離を遡った位置までは写真フィルム22をフィルムキャリア38’の最速値(本実施形態では7×v)で搬送し、読み取り対象とするフィルム画像の読み取り時にはプレスキャンにおける画像読み取り時の搬送速度で搬送する。
【0169】
次のステップ204’では、写真フィルム22の搬送方向における最後の読み取り対象とするフィルム画像のプレスキャンが終了したか否か判定し、判定が肯定される迄待機した後にステップ206へ移行する。
【0170】
その後、ステップ208’では、上記第2実施形態で説明した画像検定処理2、すなわち、処理対象とするフィルム画像の指定を行なわない画像検定処理を実施する。
【0171】
以上詳細に説明したように、本第4実施形態に係る画像読取装置では、フィルムキャリアの搬送速度の最速値をプレスキャンの画像読み取り時における搬送速度より速い速度とし、かつプレスキャンに先立って読み取り対象とするフィルム画像を示す情報を設定すると共に、ファインスキャンのみならずプレスキャンにおいても画像読み取りに関わる期間以外の期間についてはプレスキャンの画像読み取り時における搬送速度より速く写真フィルムを搬送しているので、より画像読取処理の全体的な処理時間を短縮することができる。
【0172】
また、本第4実施形態に係る画像読取装置では、読み取り対象とするフィルム画像のプレスキャンを終了した時点で写真フィルムの搬送方向を逆転してファインスキャンに移行しているので、プレスキャンにおいて写真フィルムの後端まで写真フィルムを搬送した後にファインスキャンに移行する場合に比較して、より画像読取処理の全体的な処理時間を短縮することができる。
【0173】
なお、上記各実施形態では、ファインスキャン時に処理対象画像毎にラインCCDスキャナ14の各部の設定を行う形態に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ファインスキャン開始前に1回のみ読み取り対象とする写真フィルムに適した各部の設定を行い、ファインスキャンは全ての処理対象画像に対して同一の設定状態で行う形態に本発明を適用してもよい。この場合は、処理対象画像の読み取り開始位置に至るまで写真フィルムを高速搬送する形態とすることにより、本実施形態に比較して、より処理時間を短縮することができる。
【0174】
また、上記第1実施形態及び第3実施形態では、オペレータが処理対象とする画像をキーボードを用いて指定する場合、当該キーボードの矢印キーを用いて指定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばディスプレイ18に表示された各シミュレーション画像に対して、各々のシミュレーション画像に対応する写真フィルム22上のコマ番号を予め当該シミュレーション画像の近傍に表示しておき、キーボードに設けられた図示しないテンキーを用いて処理対象とする画像のコマ番号を入力する形態としてもよい。
【0175】
また、上記各実施形態では、処理対象とする画像を強調表示する形態として、図11(A)〜(D)に示した形態を適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば処理対象とする画像に対応するシミュレーション画像及び処理対象としない画像に対応するシミュレーション画像の何れか一方のみをブリンク表示する、処理対象としない画像に対応するシミュレーション画像をリバース表示する等の形態を適用してもよい。
【0176】
また、上記各実施形態では、ラインCCD116に設けられた色分解フィルタの退色を防止するために、CCDシャッタ52によりラインCCD116への光を遮光する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、絞り39を用いて遮光する形態としてもよい。
【0177】
また、上記各実施形態では、写真フィルム22がネガフィルムである場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、リバーサルフィルム(ポジフィルム)の読み取りに対しても本発明は適用できることはいうまでもない。
【0178】
また、上記各実施形態では、本発明の画像センサとしてラインCCD116を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、エリアCCDを適用する形態としてもよく、CCD以外の光電変換素子を適用する形態としてもよい。
【0179】
さらに、以上説明したターレット(図4(B)参照)に限定されず、図23に示すように、赤光を吸収するシアンフィルタ用のターレット36C、緑光を吸収するマゼンタフィルタ用のターレット36M、及び青紫光を吸収するイエローフィルタ用のターレット36Yにより構成してもよい。ターレット36Cは、濃度の異なる複数のシアンフィルタ36C1、36C2、36C3が嵌め込まれている。なお、シアンフィルタ36C1、36C2、36C3の順に濃度が濃くなっている。その他のターレット36M、36Yも同様の構成となっている。そして、各ターレット36C、36M、36Yは、各ターレットの選択されたフィルタ各々が光軸L上で重なるように、回転可能に支持されている。
【0180】
【発明の効果】
請求項1記載の画像読取装置及び請求項4記載の画像読取方法によれば、読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が所定の読取位置に位置するまでは該読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で読取対象原稿を搬送しているので、全体的な処理時間を短縮することができる、という効果が得られる。
【0182】
また、請求項2記載の画像読取装置によれば、請求項1記載の発明における読取条件を搬送手段による読取対象原稿の搬送速度としているので、読取対象原稿の搬送速度を確実に所望の読取速度に応じた速度とすることができ、高精度な読み取りを行うことができる、という効果が得られる。
【0183】
さらに、請求項3記載の画像読取装置によれば、読み取り対象とする画像の読み取り開始位置に基づいて、該読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が所定の読取位置に位置するまで読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で読取対象原稿を搬送した方がよいか否かを判定し、該判定の結果、読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で搬送した方がよいと判定された場合にのみ、読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が上記所定の読取位置に位置するまで読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で読取対象原稿を搬送しているので、より確実に全体的な処理時間を短縮することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る画像読取装置の外観図である。
【図2】実施形態に係る画像読取装置の光学系の正面断面図である。
【図3】実施形態に係る画像読取装置の光学系の側面断面図である。
【図4】(A)は絞り、(B)はターレット、(C)はレンズ絞り、(D)はCCDシャッタの一例を各々示す平面図である。
【図5】ラインCCDに設けられた色分解フィルタの退色による各色分解フィルタの分光透過率の変化を示すグラフである。
【図6】第1実施形態及び第3実施形態に係る画像読取装置の光学系の主要部のみを示した概略図である。
【図7】第1、第3、及び第4実施形態に係る画像読取装置のラインCCDスキャナ及び画像処理部の電気系の概略構成を示すブロック図である。
【図8】第1実施形態においてラインCCDスキャナのマイクロプロセッサで実行される画像読取処理のフローチャートである。
【図9】図8の画像読取処理の実行途中で実行される画像検定処理のフローチャートである。
【図10】実施形態における画像検定処理実行時のディスプレイの表示状態の一例を示す概略図である。
【図11】オペレータによって指定された処理対象とするフィルム画像に対応するシミュレーション画像の強調表示の例を示す概略図である。
【図12】図8の画像読取処理の実行途中で実行されるファインスキャン処理のフローチャートである。
【図13】画像読取処理時における写真フィルムに対するラインCCDの相対的な位置関係を示す概念図であり、(A)は処理対象画像が1画像である場合の状態を示す図、(B)は処理対象画像が隣接しており、後に読み取る側の画像の条件設定が通常では間に合わない場合の状態を示す図である。
【図14】第2実施形態に係る画像読取装置の光学系の主要部のみを示した概略図である。
【図15】第2実施形態に係る画像読取装置のラインCCDスキャナ及び画像処理部の電気系の概略構成を示すブロック図である。
【図16】第2実施形態においてラインCCDスキャナのマイクロプロセッサで実行される画像読取処理のフローチャートである。
【図17】図16の画像読取処理の実行途中で実行される画像検定処理2のフローチャートである。
【図18】第3実施形態においてラインCCDスキャナのマイクロプロセッサで実行される画像読取処理のフローチャートである。
【図19】図18の画像読取処理の実行途中で実行されるファインスキャン処理2のフローチャートである。
【図20】第3実施形態における画像読取処理時の写真フィルムに対するラインCCDの相対的な位置関係を示す概念図であり、処理対象画像が2フィルム画像分以上離れた2画像である場合の状態を示す図である。
【図21】第4実施形態に係る画像読取装置の光学系の主要部のみを示した概略図である。
【図22】第4実施形態においてラインCCDスキャナのマイクロプロセッサで実行される画像読取処理のフローチャートである。
【図23】ターレットの変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
12A、12B キーボード(指定手段)
14 ラインCCDスキャナ
16 画像処理部
18 ディスプレイ
20 マウス(指定手段)
22 写真フィルム(読取対象原稿)
32 ランプ(光源)
35 UV/IRカットフィルタ
36 ターレット
38 フィルムキャリア(搬送手段)
39 絞り
40 拡散ボックス
43 読取部
46 マイクロプロセッサ(制御手段)
47 載置台
50 レンズユニット
52 CCDシャッタ
52ND NDフィルタ
71 磁気読取部
72 磁気記録部
116 ラインCCD(画像センサ)
Claims (4)
- 複数の画像が記録された読取対象原稿を照明する光源と、
前記複数の画像の各々が順次所定の読取位置に位置するように前記読取対象原稿を搬送する搬送手段と、
前記読取対象原稿に記録された各画像を複数画素に分解して読み取って画像データとして出力する画像センサと、
前記複数の画像のうちの読み取り対象とする画像を指定するための指定手段と、
前記指定手段によって指定された読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が前記所定の読取位置に位置するまでは前記読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で前記読取対象原稿を搬送し、前記読み取り対象とする画像を読み取る際には前記読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度で前記読取対象原稿を搬送するように前記搬送手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記指定手段によって指定された読み取り対象とする画像が複数であり、かつこれらの画像を連続して読み取るとき、前記制御手段は、隣接する読み取り対象とする画像における後に読み取る画像の読み取り開始までに前記後に読み取る画像の読取条件が設定できない場合には、前記読取条件が設定可能な位置まで前記読取対象原稿の位置を戻すように前記搬送手段を制御する
画像読取装置。 - 前記読取条件が前記搬送手段による前記読取対象原稿の搬送速度であることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
- 前記制御手段は、前記読み取り対象とする画像の読み取り開始位置に基づいて、該読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が前記所定の読取位置に位置するまで前記読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で前記読取対象原稿を搬送した方がよいか否かを判定し、該判定の結果、前記読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で搬送した方がよいと判定された場合にのみ、前記読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が前記所定の読取位置に位置するまで前記読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で前記読取対象原稿を搬送するように前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
- 複数の画像が記録された読取対象原稿を照明し、かつ前記複数の画像の各々が順次所定の読取位置に位置するように前記読取対象原稿を搬送すると共に、画像センサによって前記読取対象原稿に記録された各画像を複数画素に分解して読み取って画像データとして出力する画像読取方法であって、
前記読取対象原稿のうちの指定された読み取り対象とする画像の読み取り開始位置又はその近傍が前記所定の読取位置に位置するまでは前記読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度より速い速度で前記読取対象原稿を搬送し、前記読み取り対象とする画像を読み取る際には前記読み取り対象とする画像の読み取り速度に応じた搬送速度で前記読取対象原稿を搬送するように制御すると共に、前記指定された読み取り対象とする画像が複数であり、かつこれらの画像を連続して読み取るとき、隣接する読み取り対象とする画像における後に読み取る画像の読み取り開始までに前記後に読み取る画像の読取条件が設定できない場合には、前記読取条件が設定可能な位置まで前記読取対象原稿の位置を戻すように制御する
ことを特徴とする画像読取方法。
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