JP3804341B2 - インバータ制御電動機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ブレーキ付電動機をインバータ駆動するためのインバータ制御電動機に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば特開昭63−290179号公報に記載のように、インバータ制御装置に回生エネルギー吸収用の放電抵抗を接続して回生制御を行うインバータ制御装置は公知であり、図4に示す。
【0003】
図4において、11はブレーキ付電動機、12はそのブレーキコイル、13はインバータ装置である。インバータ装置13の主回路構成は、電源14からの交流電源を整流器15により整流してコンデンサ16にて平滑化し、スイッチング素子17にて交流に逆変換する一般的な構成である。
【0004】
一方、制御回路の構成は、直流電源回路18、演算回路19、保護回路20、マイクロプロセッサー21およびベースドライバー22を備えてスイッチング素子17を制御する構成である。演算回路19は端子23を介してリレースイッチ24からフリーラン停止信号を受け、これに基づきマイクロプロセッサー21からベースドライバ22に増幅器25を介してベースブロック信号が出力され、これにてスイッチング素子17が動作停止状態にされる。
【0005】
上記構成において、ブレーキが無励磁形である場合には、切換スイッチ31は反転増幅器26側に切換えられる。ここで、リレースイッチ24が閉成して、フリーラン停止指令が与えられたとする。すると、マイクロプロセッサー21から増幅器25を介してベースドライバー22にベースブロック信号が出力され、ベースドライバー22によりスイッチング素子17の動作が停止されてインバータ装置13の出力がオフとなる。これと共に、反転増幅器26の出力端子がローレベルに転じてトランジスタ28がオフするため、ブレーキコイル12が断電されてブレーキが作動する。また過電流等により保護回路20が動作してもマイクロプロセッサー21からベースブロック信号が出力されたときにも、主回路のスイッチング素子17が動作状態になると共にトランジスタ28がオフしてブレーキが作動する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の構成では、直流電源回路18の接続方法による遅れが生じると共に、マイクロプロセッサー21がベースブロック信号を出力中にブレーキ動作を変更できないことや、電動機の回生状態における内部母線電流の改善ができないなどの問題があった。
【0007】
この発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、ブレーキの作動状態を制御部に制御させ、ブレーキ作動タイミングをソフト上で処理すると共に、インバータ駆動誘導電動機の回生時の保護動作を緩和できるインバータ制御電動機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わるインバータ制御電動機は、交流電源を直流に変換するコンバータ部と、このコンバータ部からの出力電圧を平滑するコンデンサ部と、平滑された直流電圧を三相交流に変換するインバータ部と、このインバータ部を駆動制御するとともに上記インバータ部の母線電圧を検出する制御部と、変換された三相交流電圧により駆動される誘導電動機と、この誘導電動機のブレーキおよびこのブレーキ用のブレーキコイルとを備えたインバータ制御電動機において、上記ブレーキコイルと上記制御部に接続された半導体スイッチング素子との直列体を上記コンデンサ部に並列に接続し、上記制御部は上記母線電圧に基づき上記半導体スイッチング素子に信号を出力したものである。
【0009】
また、制御部は、母線電圧が上昇したとき、定格電圧より高い電圧をブレーキコイルに付加するための信号を半導体スイッチング素子に出力するものである。
【0010】
また、制御部は、母線電圧が所定値を越えて上昇したとき、ブレーキコイルへの電圧の付加を停止するための信号を半導体スイッチング素子に出力するものである。
【0011】
また、制御部は、母線電圧より低く設定されたベース信号に基づき、半導体スイッチング素子を駆動するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態を図に基づき説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるインバータ制御電動機を示す構成図である。11はブレーキ付電動機、12はそのブレーキコイル、13はインバータ装置である。インバータ装置13の主回路構成は、電源14からの交流電力を整流器(コンバータ部)15により整流してコンデンサ(コンデンサ部)16に平滑し、スイッチング素子(インバータ部)17にて交流に逆変換する一般的な構成である。
【0013】
一方、制御回路(制御部)の構成は、保護回路20、マイクロプロセッサー21およびベースドライバ22を備えてスイッチング素子17を制御する構成である。28はインバータ装置13内に設けられた半導体スイッチング素子(例えばNPN形トランジスタ)であり、このトランジスタ28のコレクタは端子29を介してブレーキ付電動機11のブレーキコイル12の一端に接続され、エミッタは母線負極側に接続されている。
【0014】
上記構成において、ブレーキコイル12を無励磁形とすると、マイクロプロセッサー21は、インバータ装置13に運転信号が入力された場合ベースブロック信号出力のタイミングにあわせトランジスタ28にもブロック信号を出力し、ブレーキコイル12にブロック信号から出力される電圧が出力される。ブレーキコイル12はブレーキ内可動鉄心(図示せず)を吸引し、電動機をフリー状態にする。
【0015】
ここで、たとえば電動機の回転中にインバータの設定周波数を下げて減速するとき、モータ巻線に発生する逆起電力がインバータ内で整流されて、インバータ直流回路の母線電圧を上昇させてしまう。逆起電力による母線電圧の上昇は、母線に接続された整流器15やスイッチング素子17の定格を超えるとこれらの電圧破壊を生じる恐れがある。逆起電力により母線電圧が上昇し、規定電圧を上昇した場合、半導体スイッチング素子28に出力するベースブロック信号を変え、ブレーキコイル12に流れる電圧を上昇させブレーキで消費する電力を増やすことができ、母線電圧の上昇を抑制することができる。また、母線電圧が上昇した場合に、半導体スイッチング素子28のベースブロック信号を停止し、ブレーキをオフとして制動をかけ、母線電圧の上昇を抑制することもできる。
【0016】
減速時、逆起電力により母線電圧が上昇する。この時母線電圧を検出し、規定電圧に到達した場合、マイクロプロセッサー21により半導体スイッチング素子28のベースブロック信号を変え、ブレーキコイル12に流れる電流を上昇させブレーキで消費する電力を増やし、母線電圧の上昇を抑制する。母線電圧が上昇を停止したときには、ブレーキコイル12に流れる電流を元に戻す制御を行う。図2はインバータ出力周波数と母線電圧、ブレーキ消費電力を示した図であり、母線電圧の上昇時、規定電圧に達した時点より、ブレーキコイルの電力消費を増加させ母線電圧の上昇を抑制している。規定電圧以上に達した場合、ブレーキ動作をオフにし、ブレーキを制動させることで母線電流を下げる。
【0017】
以上により、ブレーキのオン/オフ制御が内部母線電圧の変化に対応可能となり、また、ブレーキの制動およびブレーキ通電電流を制御部を介して一括して行うことができ、インバータ内部素子の破損防止、ブレーキ電流制御による省エネ運転、母線電圧の過電圧保護防止などの効果が得られる。
【0018】
なお、一般的に使用するAC入力のブレーキは、整流器により半波または全波整流されている。たとえばAC200V入力の一般的な仕様は整流器(半波整流)出力でDC90Vとなる。ブレーキコイル出力用トランジスタたる半導体スイッチング素子28のベースブロック信号は母線電圧をスイッチングにより低減された電圧とできるため、接続されたブレーキコイル12の定格は、任意の定格を使用することができる。(図4)
上記ブレーキコイル12は初期吸引しブレーキ動作となる電圧(電流)に比べブレーキオフとなる保持電圧(電流)は一般的に低く、初期吸引のみベースブロック信号により出力電圧を上げ、その後保持可能電圧まで出力電圧を下げることができる。
【0019】
【発明の効果】
以上に説明のとおり、この発明によれば、交流電源を直流に変換するコンバータ部と、このコンバータ部からの出力電圧を平滑するコンデンサ部と、平滑された直流電圧を三相交流に変換するインバータ部と、このインバータ部を駆動制御するとともに上記インバータ部の母線電圧を検出する制御部と、変換された三相交流電圧により駆動される誘導電動機と、この誘導電動機のブレーキおよびこのブレーキ用のブレーキコイルとを備えたインバータ制御電動機において、ブレーキコイルと上記制御部に接続された半導体スイッチング素子との直列体を上記コンデンサ部に並列に接続し、上記制御部は上記母線電圧に基づき上記半導体スイッチング素子に信号を出力したことにより、ブレーキのオン/オフ制御が内部母線電圧の変化に対応可能となり、また、ブレーキの制動およびブレーキ通電電流を制御部を介して一括して行うことができ、インバータ内部素子の破損防止、ブレーキ電流制御による省エネ運転、母線電圧の過電圧保護防止などの効果が得られる。
【0020】
また、母線電圧を検出し、誘導電動機の回生により母線電圧が上昇したとき、制御部は定格電圧より高い電圧をブレーキコイルに付加し、誘導電動機機の回生状態を抑制する制御を行うことにより、インバータ内部素子の破損防止、母線電圧の過電圧保護防止などの効果が得られる。
【0021】
また、母線電圧を検出し、誘導電動機の回生により、母線電圧が所定値を越えて上昇したとき制御部はブレーキを制動させることにより、母線電流を下げることができる。
【0022】
また、制御部は、母線電圧より低く設定されたベース信号に基づき、半導体スイッチング素子を駆動することにより、ブレーキコイルの定格は、任意の定格のものを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるインバータ制御電動機を示す構成図である。
【図2】 図1のインバータ制御電動機における信号のタイミングを示す説明図である。
【図3】 図1のインバータ制御電動機におけるブレーキ機能を信号のタイミングで示す説明図である。
【図4】 従来のインバータ制御装置の構成図である。
【符号の説明】
11 ブレーキ付電動機、12 ブレーキコイル、13 インバータ装置、
14 交流電源、15 整流器、16 コンデンサ、
17 スイッチング素子、20 保護回路、21 マイクロプロセッサー、
22 ベースドライバー、28 半導体スイッチング素子、29端子。
Claims (4)
- 交流電源を直流に変換するコンバータ部と、このコンバータ部からの出力電圧を平滑するコンデンサ部と、平滑された直流電圧を三相交流に変換するインバータ部と、このインバータ部を駆動制御するとともに上記インバータ部の母線電圧を検出する制御部と、変換された三相交流電圧により駆動される誘導電動機と、この誘導電動機のブレーキおよびこのブレーキ用のブレーキコイルとを備えたインバータ制御電動機において、上記ブレーキコイルと上記制御部に接続された半導体スイッチング素子との直列体を上記コンデンサ部に並列に接続し、上記制御部は上記母線電圧に基づき上記半導体スイッチング素子に信号を出力することを特徴とするインバータ制御電動機。
- 制御部は、母線電圧が上昇したとき、定格電圧より高い電圧をブレーキコイルに付加するための信号を半導体スイッチング素子に出力することを特徴とする請求項1記載のインバータ制御電動機。
- 制御部は、母線電圧が所定値を越えて上昇したとき、ブレーキコイルへの電圧の付加を停止するための信号を半導体スイッチング素子に出力することを特徴とする請求項1記載のインバータ制御電動機。
- 制御部は、母線電圧より低く設定されたベース信号に基づき、半導体スイッチング素子を駆動することを特徴とする請求項1記載のインバータ制御電動機。
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