JP3802953B2 - フィーダおよび回路部品供給システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路部品装着装置等の対象装置に回路部品を供給する回路部品供給システム、およびその回路部品供給システムに好適に使用し得るフィーダに関するものであり、特に、回路部品の供給管理の容易化あるいは信頼性の向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
回路部品装着装置等の対象装置に回路部品を供給する回路部品供給システムは既に知られている。特公平7−101793号公報に記載のシステムはその一例である。このシステムは、(i)複数の回路部品が部品収納体に収納されて成り、その部品収納体に、収納されている回路部品に固有の識別マークが付された部品集合体と、(ii)その部品集合体を保持し、部品集合体に収容されている回路部品を供給するとともに、保持した部品集合体の部品残数を記憶する記憶手段を有するフィーダと、(iii)部品集合体の識別マークを読み取る読取手段と、(iv)フィーダの前記記憶手段に対して書込み,読出しを行う書込・読出手段と、(v)回路部品の装着作業に使用されていない各部品集合体の識別コードと部品残数とを、それらを対応付けた状態で読み書き可能に記憶する部品在庫データベースと、(vi)前記読取手段により読み取った識別マークを参酌しつつ、フィーダの記憶手段と部品在庫データベースとの一方に記憶された内容を読み出し、他方に書き込む部品データ処理装置とを含む構成とされている。なお、(vi)の部品データ処理装置において、部品データ処理装置により、フィーダ記憶手段に対する書込み・読出しが行われる際には、(iv)の書込・読出手段が使用される。
【0003】
このシステムは、以下に示す手順の処理によって、回路部品の部品残数を部品在庫データベースにより一元管理する。なお、回路部品の装着作業の開始前に、すべての部品集合体の識別コードと、各部品集合体に収容されている回路部品の部品名および部品残数のデータは、対応付けされた状態で部品在庫データベースに予め記憶されている。
(1) 部品集合体がフィーダにセットされ、そのセットされた部品集合体が有する識別コード(バーコード)が読取手段(バーコードリーダ)により読み取られる。
(2) 手順(1) で読み取られた識別コード(バーコード)に対応する回路部品の部品名と部品残数とが部品在庫データベースから取り出され、フィーダの記憶手段に書込・読出手段により書き込まれる。そのために、フィーダには書込・読出手段との間で送受信を行うための送受信部が設けられている。
以上により、各フィーダは、セットされた回路部品のデータを保持することとなる。続いて、
(3) 各フィーダが、回路部品装着装置の供給部の所定の位置にセットされる。
(4) 回路部品装着装置は、予め与えられた情報に基づいて、各フィーダが予定通りの位置にあるか否かを、フィーダの記憶手段に記憶された部品名に基づいて判定する。セットミスが発見された場合は、作業者により正しい位置にセットされるまで、回路部品装着作業(単に、装着作業と称する)は開始されない。
以上が、装着作業の開始前に行われる準備作業である。手順(4) において、回路部品装着装置は、セットされたフィーダの記憶手段の内容を読み出すのであるが、この読出しは回路部品装着装置の送受信部とフィーダの上記送受信部とを介して行われると記載されている。
【0004】
装着作業中においては、以下の処理が実行される。
(5) フィーダが1個の回路部品を供給するごとに、フィーダの記憶手段に記憶された部品数がディクリメントされる。
(6) 回路部品装着装置は、手順(5) でディクリメントされる部品残数を定期的に監視し、回路基板1枚当たりの装着時間や、個々の回路部品の回路基板1枚当たりの装着数等を参酌して、各フィーダごとに部品切れになるまでの時間を算出し、結果を表示装置に表示する。作業者は、その表示結果に基づいて、必要であればフィーダの交換を行う。なお、交換されるフィーダには、予め、手順(1) および(2) の処理が施されている必要がある。
装着作業が終了した場合は、つぎの処理が行われる。
(7) 前記書込・読出手段により各フィーダの記憶手段の内容が読み出され、その内容に基づいて部品在庫データベースの内容が書き換えられる。このようにして、装着作業中でない部品集合体が収容する回路部品の部品残数が、部品在庫データベースによって一元管理されるのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、部品集合体に固有の識別コードを付け、それに基づいて部品供給を管理すれば、管理が容易になり、また、信頼性も向上するのであるが、管理はさらに容易であることが望まれる。
また、前記手順(4) において、回路部品装着装置(厳密にはその制御部)が、各フィーダが予定通りの位置にあるか否かを判定するためには、各フィーダが供給部のどの位置に装着されたかが判る必要があり、それが如何にして判るかは上記公報には記載されていない。回路部品装着装置の送受信部が、供給部の各フィーダが装着される位置の各々に設けられており、かつ、それら送受信部が制御部に個別に接続されていれば、各フィーダの送受信部と情報交換を行った供給部側の送受信部を制御部で特定でき、各フィーダが供給部のどの位置に装着されたかが判る。しかし、多数の送受信部を制御部に個別に接続することが不可能または望ましくない場合がある。配線本数をできる限り少なくするために、多数の送受信部を並列に制御部に接続する通信ネットワークが一般的に用いられているが、この一般的な通信ネットワークを採用することができなくなり、装置コストが高くなってしまうことがその一例である。
本願発明は、以上の事情を背景として、部品供給の管理を容易にすることを課題としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段,作用および発明の効果】
本発明によれば、各々少なくとも一種類ずつの回路部品を複数個ずつ収容し、各種類ごとに1個ずつ順次供給する複数のフィーダと、その複数のフィーダの各々を1つずつ保持するフィーダ保持部を複数備えたフィーダ保持部材と、前記複数のフィーダの各々による回路部品の供給を管理する供給管理装置とを含む回路部品供給システムであって、前記複数のフィーダの各々が、少なくとも各フィーダに固有のフィーダ識別コードを記憶している識別コード記憶手段と、その識別コード記憶手段から前記フィーダ識別コードを読み出す識別コード読出手段とを内蔵しており、かつ、供給管理装置が、フィーダ識別コードに基づいて回路部品の供給を管理するものであることを特徴とする回路部品供給システムが得られる。
この回路部品供給システムにおいては、複数のフィーダの各々が、固有のフィーダ識別コードを記憶している識別コード記憶手段を内蔵している。フィーダ識別コードは、各フィーダが供給する回路部品の種類に無関係に、各々のフィーダを特定し得る識別コードである。前記公報に記載の回路部品供給システムにおけるように、各フィーダに記憶手段を設け、その記憶手段にそのフィーダが収容している部品集合体の識別コードを記憶させれば、その識別コードに基づいてフィーダを特定することができる。しかし、それはその部品集合体がそのフィーダに収容されている間のみであり、その部品集合体が外されればフィーダの特定は不可能になってしまう。部品の供給を管理する上で、各フィーダが収容している回路部品の種類や部品集合体の識別コードとは無関係に、各フィーダを特定し得ることは便利である。その端的な一例は、フィーダ自体のミスフィード情報やメンテナンス情報の管理が容易になることである。フィーダの種類,製造ロット,製造時期等毎の特性ではなく、個々のフィーダの特性を問題にする場合には、まず個々のフィーダを特定し得ることが不可欠でなのである。
【0007】
フィーダ識別コードの有用性の別の一例は、フィーダを回路部品の供給管理の拠り所とすることが可能になることである。前記公報に記載の発明におけるように、供給される回路部品の識別コードを在庫管理をも含む供給管理の拠り所にすることは有用であるが、それに代えて、あるいはそれと共に、フィーダの識別コードを供給管理の拠り所とすることによって供給管理が容易になる場合があるのである。例えば、後に実施形態の項において詳述するように、供給管理装置が、フィーダ識別コードに基づいて各フィーダを特定することにより、それら各フィーダによって供給される回路部品の種類の特定を間接的に行うことが可能になる。また、特定の工場において使用可能な全フィーダを特定可能とすれば、各フィーダが現在置かれている状況を把握することによって、回路部品の供給状況を把握することが可能となり、それによって供給管理が容易になる場合もある。
【0008】
本発明によれば、また、少なくとも一種類の回路部品を複数個ずつ収容し、各種類ごとに1個ずつ順次供給するフィーダであって、そのフィーダに固有のフィーダ識別コードを読み出し可能な状態で記憶している識別コード記憶手段と、その識別コード記憶手段から前記フィーダ識別コードを読み出す識別コード読出手段とを内蔵していることを特徴とするフィーダが得られる。
このフィーダは、固有のフィーダ識別コードを読み出し可能な状態で識別コード記憶手段に記憶しており、このフィーダ識別コードが識別コード読出手段により読み出される。したがって、フィーダ自身によってフィーダ識別コードを取得することができる。識別コード読出手段は、例えば、各フィーダにフィーダ側コントローラが設けられる場合には、そのフィーダ側コントローラに読出手段を設けることができる。このフィーダ側コントローラの読出手段により読み出されたフィーダ識別コードは、例えば、フィーダを保持するフィーダ保持部材に設けられた保持部材側コントローラ等により外部からも読み出しが可能であるのが普通であるが、外部から読み出し可能であることは不可欠ではない。また、各フィーダにフィーダ側コントローラが設けられることも不可欠ではない。いずれにしても、本発明に係るフィーダは上記回路部品供給システムに好適である。
【0009】
【発明の態様】
本発明は以下の種々の態様で実施することができる。実施の態様は、便宜上、請求項と同じ形式の態様項として記載する。ただし、複数の態様項に従属する態様項にさらに従属する態様項は、それら複数の態様項のすべてについて読み得るとは限らず、論理的に矛盾を生じない項のみについて読まれるべきものとする。
(1)少なくとも一種類の回路部品を複数個ずつ収容し、各種類ごとに1個ずつ順次供給するフィーダであって、
そのフィーダに固有のフィーダ識別コードを読み出し可能な状態で記憶している識別コード記憶手段と、その識別コード記憶手段から前記フィーダ識別コードを読み出す識別コード読出手段とを内蔵していることを特徴とするフィーダ(請求項1)。
(2)前記識別コード読出手段と接続された通信部を備え、その通信部が、当該フィーダがフィーダ保持部に保持された状態で、その通信部と対向する状態となる別の通信部との通信により前記フィーダ識別コードをその別の通信部に供給することを特徴とする(1)項に記載のフィーダ。
(3)当該フィーダによる前記回路部品の供給を制御するコントローラを含み、そのコントローラが、そのコントローラ自身の識別コードを記憶している記憶装置を内蔵しており、そのコントローラ自身の識別コードを前記フィーダ識別コードとして読み出し、前記識別コード読出手段として機能することを特徴とする(1)項または(2)項に記載のフィーダ(請求項3)。
(4)各々少なくとも一種類ずつの回路部品を複数個ずつ収容し、各種類ごとに1個ずつ順次供給する複数のフィーダと、その複数のフィーダの各々を1つずつ保持するフィーダ保持部を複数備えたフィーダ保持部材と、前記複数のフィーダの各々による回路部品の供給を管理する供給管理装置とを含む回路部品供給システムであって、
前記複数のフィーダの各々が、少なくとも各フィーダに固有のフィーダ識別コードを記憶している識別コード記憶手段と、その識別コード記憶手段から前記フィーダ識別コードを読み出す識別コード読出手段とを内蔵しており、かつ、前記供給管理装置が、前記フィーダ識別コードに基づいて前記回路部品の供給を管理するものであることを特徴とする回路部品供給システム(請求項4)。
(5)前記供給管理装置が、前記複数のフィーダの各々の前記回路部品の供給ミスに関する情報であるミスフィード情報と前記複数のフィーダの各々のメンテナンスに関する情報であるメンテナンス情報との少なくとも一方を各フィーダの前記フィーダ識別コードと関連付けて管理する部分を含むことを特徴とする(4)項に記載の回路部品供給システム(請求項5)。
(6)前記供給管理装置が、前記フィーダ識別コードを拠り所として前記回路部品の在庫管理を行う部分を含むことを特徴とする(4)項または(5)項に記載の回路部品供給システム(請求項6)。
(7)前記供給管理装置が、前記フィーダ識別コードに基づいて前記複数のフィーダの各々を特定することにより、それら各フィーダによって供給される回路部品の種類の特定を間接的に行う部分を含むことを特徴とする(4)項ないし(6)項のいずれかに記載の回路部品供給システム(請求項7)。
【0010】
(8)前記複数のフィーダの各々が、フィーダ側コントローラを備え、かつ、供給管理装置が、(i)フィーダ保持部材側に設けられる保持部材側コントローラと、(ii)複数のフィーダ保持部の各々に保持されたフィーダのフィーダ側コントローラを、保持部材側コントローラに並列に接続する第1通信ネットワークと、(iii)複数のフィーダ保持部の各々に保持されたフィーダのフィーダ側コントローラの各々を、前記保持部材側コントローラにそれぞれ独立に接続する第2通信ネットワークと、(iv)各フィーダ側コントローラと保持部材側コントローラとのいずれか一方から、第1通信ネットワークに、各フィーダ側コントローラを備えるフィーダに固有のフィーダ識別コードを含む信号を発信させるとともに、各フィーダ側コントローラと保持部材側コントローラとの一方から、第2通信ネットワークへ信号を発信させ、他方にその信号を受信させることにより、目的とするフィーダが保持されているフィーダ保持部を特定する特定制御手段とを含む(4) 項ないし (7) 項のいずれかに記載の回路部品供給システム。
本項に係る発明は、 (4) 項ないし (7) 項の回路部品供給システムにおいて、フィーダ識別コードを利用することにより、複数のフィーダが、フィーダ保持部材の複数のフィーダ保持部のいずれに保持されているかを特定可能とすることを課題としてなされたものである。
本発明に係る回路部品供給システムは、第1通信ネットワークを備えているので、各フィーダに備えられるフィーダ側コントローラと、フィーダ保持部材に備えられる保持部材側コントローラとの間で、情報交換を行うことができる。あるフィーダがフィーダ保持部材に保持されれば、そのフィーダのフィーダ側コントローラは、第1通信ネットワークによって、保持部材側コントローラに並列に接続される。つまり、第1通信ネットワーク上の信号は、保持部材側コントローラとそれに接続されているすべてのフィーダ側コントローラとによって同時に受信され得る。第1通信ネットワークは、具体的には、例えば、主として、両端が抵抗により終端された1組のツイストペア線や、1本の同軸ケーブル等からなる単純な構成のものとすることができ、供給管理装置の構成を簡略化できる。このような通信ネットワークに接続されたコントローラが信号を受信する際に、信号の送信先のコントローラを特定する機能や、複数のコントローラから同時に送信が行われて、通信ネットワーク上の信号が乱れてしまうことを防ぐ機能等を実現する通信方式が、既に知られている。それらのうち、CSMA/CD,トークンパッシング,ポーリング等が用いられることが多い。このような通信ネットワークおよび通信方式を用いた通信においては、一般に、各コントローラは、それぞれに固有のアドレス情報を持つ。前記フィーダ識別コードは、そのアドレス情報として利用することができる。ただし、第1通信ネットワークによる通信だけでは、目的とするフィーダが保持されているフィーダ保持部の位置を特定することはできない。そこで、本発明における供給管理装置は、さらに、第2通信ネットワークを含むように構成される。第2通信ネットワークは、フィーダ保持部に保持されたフィーダのフィーダ側コントローラを保持部材側コントローラにそれぞれ独立に接続する。つまり、保持部材側コントローラは、各フィーダ側コントローラを含むフィーダが保持されているフィーダ保持部の位置を常に特定しつつ、第2通信ネットワークを介しての信号の授受を行うことができる。
これら第1通信ネットワークと第2通信ネットワークとを用いた通信あるいは信号の授受を行うことにより、特定制御手段は目的とするフィーダ識別コードを保持するフィーダが保持されているフィーダ保持部を特定することができる。そのための手順は1つに限られるものではなく、例えば、以下に示す手順を採用することができる。
手順1:
(i)各フィーダが第1通信ネットワーク上にフィーダ識別コードを送信する。保持部材側コントローラがこれを受信する。(ii)保持部材側コントローラが、受信したフィーダ識別コードを添えて、第2通信ネットワーク上に信号を発信すべき旨の命令を第1通信ネットワークに送信する。すべてのフィーダがこの命令を第1通信ネットワークから受信する。(iii)各フィーダのフィーダ側コントローラは、受信した命令に添えられているフィーダ識別コードと自分自身のフィーダ識別コードとを比較し、一致した場合は第2通信ネットワーク上に信号を発信する。(iv)保持部材側コントローラは、第2通信ネットワーク上へ信号が発信されたフィーダ保持部の位置を特定する。
手順2:
(i)各フィーダが第1通信ネットワーク上にフィーダ識別コードを送信する。保持部材側コントローラがこれを受信する。(ii)保持部材側コントローラは、つぎの命令を、第1通信ネットワーク上に送信する。この命令は、すべてのフィーダ側コントローラに宛てて送信され、その内容は、第2通信ネットワークから信号を受信した場合に、受信を確認した旨の情報に、自分自身のフィーダ識別コードを添えて第1通信ネットワークに送信せよというものである。(iii)その後、保持部材側コントローラは、各フィーダ保持部に対応する第2通信ネットワーク上に順次信号を発信し、それに答える第1通信ネットワーク上の信号を受信し、その内容と、各フィーダ保持部の位置とに基づいて、最初に第1通信ネットワーク上にフィーダ識別コードを送信したフィーダがが保持されているフィーダ保持部の位置を特定する。
手順3:
(i)保持部材側コントローラが、フィーダ保持部材に保持される可能性があるフィーダのフィーダ識別コードを、第1通信ネットワーク上に順次送信する。すべてのフィーダ側コントローラが、そのフィーダ識別コードを受信する。(ii)受信したフィーダ識別コードと自分のフィーダ識別コードとが一致するフィーダ側コントローラは、第2通信ネットワーク上に信号を発信する。(iii)保持部材側コントローラは、第2通信ネットワークから信号を受信した場合、その直前に第1通信ネットワークに送信したフィーダ識別コードを保持するフィーダが、第2通信ネットワークからの受信信号に基づいて特定されるフィーダ保持部に保持されていると特定する。
手順4:
(i)保持部材側コントローラが、すべてのフィーダ保持部に対応する第2通信ネットワーク上へ信号を順次発信する。(ii)各フィーダ保持部に保持されているフィーダのフィーダ側コントローラは、第2通信ネットワークから信号を受信した場合に、自分のフィーダ識別コードを第1通信ネットワーク上に送信する。(iii)保持部材側コントローラは、第1通信ネットワーク上にフィーダ識別コードが送信されれば、そのフィーダ識別コードを保持するフィーダが、直前に信号を発信した第2通信ネットワークに対応するフィーダ保持部に保持されていると特定する。 なお、特定制御手段が第1通信ネットワークと第2通信ネットワークとを用いてフィーダ保持部を特定する手順は、以上の4つに限られるわけではなく、その他にも存在する。本発明の回路部品供給システムにおいては、そのような手順のいずれかが用いられればよいのである。
以上の説明から明らかなように、本発明は、一般的な情報交換を行う第1通信ネットワークは複数のフィーダ側コントローラを並列に保持部材側コントローラに接続するものとして、通常の通信ネットワークの採用を可能としつつ、単純な通信を行う第2通信ネットワークとフィーダ識別コードとの利用により、複数のフィーダが、フィーダ保持部材の複数のフィーダ保持部のどこに保持されているかを特定可能としたものなのである。
また、本発明の回路部品供給システムにおいては、各フィーダがどのフィーダ保持部に保持されても、それらフィーダが保持されているフィーダ保持部を特定できる。そのため、作業者によるフィーダの装着位置に誤りがあった場合に、その誤りの内容を表示装置に表示するなどして作業者に知らせ、装着ミスの訂正作業を容易にすることができる。さらに、回路部品の供給プログラムが、フィーダ保持部の位置に基づいてではなく、フィーダ識別コードに基づいて作成されるようにすれば、作業者によるフィーダの装着位置に誤りがあっても、そのままで部品供給作業を支障なく行うことができ、装着位置の訂正自体が不可欠ではなくなる。
【0011】
(9)前記(i)の保持部材側コントローラ,(ii)の第1通信ネットワーク,(iii)の第2通信ネットワークおよび(iv)の特定制御手段に加えて、(v)複数のフィーダ各々に固有のフィーダ識別コードと、それら各フィーダに収容された回路部品の種類の各々に固有の部品識別コードとを対応付けて記憶する部品/フィーダ記憶手段と、(vi)その部品/フィーダ記憶手段に記憶されている情報と、特定制御手段によって特定されたフィーダ保持部に保持されたフィーダのフィーダ識別コードとに基づいて、各フィーダ保持部に対応する回路部品の種類を決定する回路部品決定手段とを含む(8) 項に記載の部品供給システム。
本項に係る発明は上記 (8) 項の回路部品供給システムにおいて、フィーダ識別コードの利用により、複数種類の回路部品の各々が、部品保持部材の複数の部品保持部のいずれに保持されたフィーダから供給されるかを特定し得るようにすることを課題としてなされたものである。
本発明の回路部品供給システムにおいては、回路部品決定手段が、次の2つの対応関係に基づいて、目的とする回路部品を収容しているフィーダが保持されているフィーダ保持部を特定する。第1の対応関係は、特定制御手段によって特定された、フィーダ保持部の位置とそのフィーダ保持部に保持されたフィーダのフィーダ識別コードとの対応関係である。また、第2の対応関係は、部品/フィーダ記憶手段に記憶されている部品識別コードとフィーダ識別コードとの対応関係であり、これは予め部品/フィーダ記憶手段に記憶される。例えば、後に実施形態の項において詳述するように、回路部品がフィーダに収容される際に、その回路部品の部品識別コードを表すバーコードがバーコードリーダにより読み取られるとともに、その回路部品を収容するフィーダのフィーダ識別コードが書込・読出手段により読み出され、部品/フィーダ記憶手段に格納されるのである。回路部品決定手段は、フィーダ識別コードを媒介としてフィーダ保持部に対応する回路部品の種類を特定するのである。上記部品識別コードとフィーダ識別コードとの対応付けは、フィーダがフィーダ保持部材から外された状態で予め行っておくことができる。フィーダ保持部材の各フィーダ保持部にフィーダ保持部の識別コードを表すバーコードを付けておき、フィーダをフィーダ保持部材に保持させる際にフィーダ保持部のバーコードをバーコードリーダにより読みとって、フィーダ保持部識別コードとフィーダ識別コードとを対応付けることも可能であるが、その場合には、フィーダをフィーダ保持部材に装着する際に作業者が対応付け作業を行うことが不可欠であり、準備作業の自由度が低くなることを避け得ない。本発明によればこの不便を解消することができるのである。
【0012】
(10)(i)各々少なくとも一種類ずつの回路部品を複数個ずつ収容し、各種類ごとに1個ずつ順次供給するとともに、フィーダ側接続部を備えた複数のフィーダと、(ii)それらフィーダの各々に設けられ、フィーダ側接続部に接続されたフィーダ側コントローラと、(iii)複数個のフィーダを複数のフィーダ保持部の各々において保持するフィーダ保持部材と、(iv)そのフィーダ保持部材の各フィーダ保持部に対応して設けられ、互いに並列に接続された複数の保持部材側接続部を備え、それら保持部材側接続部の各々において複数のフィーダの各々のフィーダ側接続部と信号の授受を行い得るが、保持部材側接続部の特定手段を有しない通信ネットワークと、(v)複数のフィーダの各々が保持されたフィーダ保持部を特定するフィーダ保持部特定手段と、(vi)フィーダ保持部材側に設けられ、通信ネットワークに接続された保持部材側コントローラとを含む回路部品供給システム。
本項に係る発明は、一般的な情報交換を行う第1通信ネットワークは複数のフィーダ側 コントローラを並列に保持部材側コントローラに接続するものとして通常の通信ネットワークの採用を可能としつつ、複数のフィーダが、フィーダ保持部材の複数のフィーダ保持部のどこに保持されているかを特定し得る回路部品供給システムを得ることを課題としてなされたものである。
本発明の回路部品供給システムにおいては、複数のフィーダの各々が、フィーダ側コントローラとフィーダ側接続部とをそれぞれ備えている。また、フィーダ保持部材側には、保持部材側コントローラが設けられるとともに、各フィーダ保持部に対応してそれぞれ保持部材側接続部が設けられ、それらが並列に保持部材側コントローラに接続されている。複数の保持部材側接続部を並列に備えた通信ネットワークは保持部材側接続部の特定手段を有せず、したがって、各フィーダが複数のフィーダ保持部のいずれに保持されているかを特定することはできないが、フィーダ側接続部と保持部材側接続部とを介して、各フィーダ側コントローラと保持部材側コントローラとの通信(情報交換)を司ることができる。そして、各フィーダが保持されているフィーダ保持部は、フィーダ保持部特定手段により特定されるため、保持部材側コントローラは、通信ネットワークを介して通信を行っているフィーダ側コントローラが、どのフィーダ保持部に保持されているフィーダに含まれるものかを知ることができる。したがって、本発明における通信ネットワークは、前記(8) 項における第1通信ネットワークと同様に簡単な構成により実現でき、回路部品供給システムの構成が簡略化される。
【0013】
(11)前記フィーダ保持部特定手段が、(a) 複数のフィーダの各々に設けられ、フィーダ側コントローラに接続された、第1フィーダ側接続部としての前記フィーダ側接続部とは別の第2フィーダ側接続部と、(b) フィーダ保持部の各々に、第1保持部材側接続部としての前記保持部材側接続部とは別に、第2フィーダ側接続部の各々に対応して設けられ、それぞれ独立に保持部側コントローラに接続された第2保持部材側接続部と、(c) それら第2フィーダ側接続部と第2保持部材側接続部との一方より信号を発信させ、他方にその信号を受信させることにより、目的とするフィーダが保持されているフィーダ保持部を特定する特定制御手段とを含む(10) 項に記載の回路部品供給システム。
本項に係る発明は、上記 (10) 項の回路部品供給システムにおけるフィーダ保持部特定手段として好適なものを得ることを課題としてなされたものである。
この回路部品供給システムにおいて、特定制御手段は、各フィーダの第2フィーダ側接続部と、その第2フィーダ側接続部に対応して各フィーダ保持部に設けられる第2保持部材側接続部との間で授受される信号に基づいて、目的とするフィーダを保持しているフィーダ保持部を特定する。
第2フィーダ側接続部から信号が発せられる場合は、その信号が、その信号を発した第2フィーダ側接続部に対応して設けられた第2保持部材側接続部により受信される。各第2保持部材側接続部は保持部材側コントローラにそれぞれ独立に接続されているので、保持部材側コントーラは、信号を発したフィーダが保持されているフィーダ保持部を特定できる。特定制御手段は、この手順をすべての第2フィーダ側接続部に対して行えば、すべてのフィーダが保持されているフィーダ保持部を特定できる。
また、第2保持部材側接続部から信号が発せられる場合は、各第2保持部材側接続部のいずれか1つから信号が発せられるようにされる。その信号は、その信号を発した第2保持部材側接続部に対応する第2フィーダ側接続部により受信される。信号を受信した第2フィーダ側接続部を備えたフィーダのフィーダ側ントローラは、通信ネットワークを介して保持部材側コントローラにデータを送信する。この場合は、各フィーダ側コントローラは、第2フィーダ側接続部からの信号の受信に応じて通信ネットワーク上にデータを送信するようにされる。したがって、保持部材側コントローラは、通信ネットワーク上の信号を受信する際には、どのフィーダ保持部に保持されているフィーダから送信されたデータであるかを既に知っていることになる。
いずれにしても、第2保持部材側接続部はそれぞれ独立に保持部材側コントローラに接続されており、かつ、第2保持部材側接続部と第2フィーダ側接続部との間で授受される信号は、例えば1個のパルス信号のように単純な信号でよいため、この信号授受の制御は簡単なもので済み、市販の通信ネットワークを使用しなくても回路部品供給システムのコストアップは僅かで済む。
【0014】
(12)前記フィーダ保持部特定手段が、(a) フィーダ保持部材の前記複数のフィーダ保持部の各々に対応して設けられた各フィーダ保持部に特有の標識と、(b) 複数のフィーダの各々に設けられ、各フィーダ保持部の標識を認識する標識認識手段とを含む(10) 項に記載の回路部品供給システム。
本項に係る発明は、上記 (11) 項に係る発明とは別なフィーダ保持部特定手段を得ることを課題としてなされたものである。
この回路部品供給システムにおいては、各フィーダが標識認識手段によりフィーダ保持部の標識を認識することによって、自分がどのフィーダ保持部に保持されているかを知ることができる。したがって、保持部材側コントローラは、前記通信ネットワークを用いた各フィーダ側コントローラとの通信によって、各フィーダが保持されているフィーダ保持部を特定することができる。
フィーダ保持部に設けられる標識としては、例えば、バーコードやカルラコード等の1次元または2次元のパターン認識処理により認識されるパターン、電磁気的結合(光学的結合を含む)により認識されるIDチップ、および、フィーダに設けられる係合認識装置との機械的な係合によって認識される、大きさや形状が異なる複数の係合部材等を用いることができる。
(13)前記特定制御手段が、
前記フィーダ側コントローラに設けられ、自身が属するフィーダの識別コードを前記第1通信ネットワークに送信するフィーダ識別コード送信手段と、
前記保持部材側コントローラに設けられ、フィーダ識別コード送信手段により送信されたフィーダ識別コードを付して前記第1通信ネットワークに命令を発信し、その命令が、その付されたフィーダ識別コードを有するフィーダに属するフィーダ側コントローラに、応答信号を前記第2通信ネットワークへ発することを命令する応答命令である応答命令手段と、
前記フィーダ側コントローラに設けられ、前記応答命令に応じて前記第2通信ネットワークへ応答信号を発する応答手段と、
前記保持部材側コントローラに設けられ、前記応答信号に基づいて前記フィーダ識別コードを有するフィーダが装着されたフィーダ保持部を特定する保持部特定手段と
を含む(8) 項または (9) 項に記載の回路部品供給システム。
(14)前記フィーダ保持部材側に、そのフィーダ保持部材に前記フィーダが装着された状態でフィーダに電力を供給する電力供給手段が設けられており、かつ、前記フィーダ識別コード送信手段が、その電力供給手段による電力供給開始に応じて前記フィーダ識別コードを送信するものである(13) 項に記載の回路部品供給システム。
(15)前記特定制御手段が、
前記保持部材側コントローラに設けられ、自身が属するフィーダ保持部材に装着される可能性のある複数のフィーダのフィーダ識別コードの各々を順次付して、各フィーダ識別コードを有するフィーダのフィーダ側コントローラに応答信号を発することを命令する応答命令を前記第1通信ネットワークへ発信する応答命令手段と、
前記フィーダ側コントローラに設けられ、自身が属するフィーダの識別コードと前記応答命令に付されていたフィーダ識別コードとが一致する場合にその応答命令に応じて応答信号を前記第2通信ネットワークへ発する応答手段と、
前記保持部材側コントローラに設けられ、前記応答信号に基づいて前記フィーダが装着されたフィーダ保持部を特定する保持部特定手段と
を含む(8) 項または (9) 項に記載の回路部品供給システム。
(16)前記フィーダ保持部特定手段が、
前記フィーダの各々に設けられ、各フィーダに固有のフィーダ識別コードを読み出し可能な状態で記憶しているフィーダ識別コード記憶手段と、
前記フィーダ保持部材の前記複数のフィーダ保持部の各々に対応して設けられ、各フィーダ保持部に固有の保持部識別コードを読み出し可能な状態で記憶している保持部識別コード記憶手段と、
前記複数のフィーダ保持部の各々と前記複数のフィーダの各々とのいずれか一方に設けられ、フィーダ保持部の各々の識別コードとフィーダの各々の識別コードとを読み出して互いに対応付ける識別コード対応付け手段と
を含む(10)項に記載の回路部品供給システム。
(17)前記標識認識手段が前記標識を非接触で認識する非接触式標識認識手段である(12) 項に記載の回路部品供給システム。
(18)前記標識認識手段が前記標識に接触することによりその標識を認識する接触式標識認識手段である(12) 項に記載の回路部品供給システム。
【0015】
(19) (8) 項または (9) 項に記載の回路部品供給システムと、その回路部品供給システムにより供給される回路部品を回路基材に装着する回路部品装着装置とを含む回路部品装着システムであって、
前記回路部品装着装置が前記フィーダ保持部材の合体位置を複数備え、かつ、前記供給管理装置が、
前記回路部品装着装置側に設けられた装着装置側コントローラと、
前記複数のフィーダ保持部材の各々に設けられた複数の保持部材側コントローラと、
それら保持部材側コントローラを、前記装着装置側コントローラに並列に接続する第3通信ネットワークと、
前記複数の保持部材側コントローラの各々を、前記装着装置側コントローラにそれぞれ独立に接続する第4通信ネットワークと、
前記各保持部材側コントローラと前記装着装置側コントローラとのいずれか一方から、前記第3通信ネットワークに、各保持部材側コントローラを備える保持部材に固有の保持部材識別コードを含む信号を発信させるとともに、前記各保持部材側コントローラと前記装着装置側コントローラとの一方から、前記第4通信ネットワークへ信号を発信させ、他方にその信号を受信させることにより、目的とするフィーダ保持部材の合体位置を特定する合体位置特定制御手段と
を含む回路部品装着システム。
(20)前記合体位置特定制御手段が、
前記保持部材側コントローラに設けられ、自身が属するフィーダ保持部材の識別コードを前記第3通信ネットワークに送信する保持部材識別コード送信手段と、
前記装着装置側コントローラに設けられ、保持部材識別コード送信手段により送信された保持部材識別コードを付して前記第3通信ネットワークに命令を発信し、その命令が、その付された保持部材識別コードを有するフィーダ保持部材に属する保持部材側コントローラに、応答信号を前記第4通信ネットワークへ発することを命令する応答命令である応答命令手段と、
前記保持部材側コントローラに設けられ、前記応答命令に応じて前記第4通信ネットワークへ応答信号を発する応答手段と、
前記装着装置側コントローラに設けられ、前記応答信号に基づいて前記保持部材識別コードを有するフィーダ保持部材が合体させられた合体位置を特定する合体位置特定手段と
を含む(19) 項に記載の回路部品供給システム。
(21)前記回路部品装着装置側に、その回路部品装着装置に前記フィーダ保持部材が合体させられた状態でフィーダ保持部材に電力を供給する電力供給手段が設けられており、かつ、前記保持部材識別コード送信手段が、その電力供給手段による電力供給開始に応じて前記保持部材識別コードを送信するものである(20) 項に記載の回路部品装着システム。
(22)前記合体位置特定制御手段が、
前記装着装置側コントローラに設けられ、前記回路部品装着装置に合体させられる可能性のあるフィーダ保持部材の保持部材識別コードの各々を順次付して、各保持部材識別コードを有するフィーダ保持部材の保持部材側コントローラに応答信号を発することを命令する応答命令を前記第3通信ネットワークへ発信する応答命令手段と、
前記保持部材側コントローラに設けられ、自身が属するフィーダ保持部材の識別コードと前記応答命令に付されていた保持部材識別コードとが一致する場合にその応答命令に応じて応答信号を前記第4通信ネットワークへ発する応答手段と、
前記装着装置側コントローラに設けられ、前記応答信号に基づいて前記フィーダ保持部材が合体させられた合体位置を特定する合体位置特定手段と
を含む(19) 項に記載の回路部品装着システム。
【0016】
(23)各々少なくとも一種類ずつの回路部品を複数個収容し、各種類ごとに1個ずつ順次供給する複数のフィーダを含む回路部品供給装置による回路部品の供給を管理する回路部品供給管理方法であって、複数のフィーダの各々にそれら各フィーダに固有のフィーダ識別コードを読み出し可能な状態で記憶している識別コード記憶手段と、その識別コード記憶手段から前記フィーダ識別コードを読み出す識別コード読出手段とを内蔵させ、その識別コード読出手段により読み出されるフィーダ識別コードに基づいて回路部品の供給を管理することを特徴とする回路部品供給管理方法。
各フィーダにフィーダ識別コードを付け、そのフィーダ識別コードに基づいて回路部品の供給を管理すれば、管理が容易になることが多い。
(24)前記複数のフィーダの各々に固有のフィーダ識別コードと、各フィーダに収容された回路部品の種類に固有の部品識別コードとを対応付けるとともに、各フィーダ識別コードと、それら各フィーダ識別コードに対応するフィーダが保持されているフィーダ保持部とを対応付けることにより、それら各フィーダ保持部に対応する回路部品の種類を決定する工程を含む(23) 項に記載の回路部品供給管理方法。
この回路部品供給管理方法においては、各フィーダ保持部と、それぞれのフィーダ保持部に保持されるフィーダのフィーダ識別コードとが対応付けられる。このことにより、各フィーダが、複数のフィーダ保持部のいずれに保持されているかが特定される。また、目的とする回路部品が、どのフィーダによって供給されるかが、フィーダ識別コードと部品識別コードとを対応付けることにより決定される。各部品識別コードに対応する回路部品に対応するフィーダ保持部がどれであるかが、フィーダ識別コードをキーとして対応付けされるのである。
なお付言すれば、本発明の回路部品供給管理方法においては、各フィーダがどのフィーダ保持部に保持されても、目的とする回路部品が供給されるフィーダが保持されているフィーダ保持部を特定できる。そのため、作業者によるフィーダの装着位置に誤りがあった場合に、装着ミスの訂正作業を容易にすることができ、さらに、回路部品の供給プログラムが回路部品の種類に基づいて作成されるようにすることによって、作業者によるフィーダの装着位置の誤りの訂正自体を不可欠ではないようにすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態であるフィーダおよびそれを含む回路部品供給システムと、回路部品を回路基板たるプリント基板に装着する回路部品装着装置とを主たる構成要素とする回路部品装着システムを、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の回路部品供給システムの回路部品供給装置8と、その回路部品供給装置8が供給する回路部品をプリント基板に装着する回路部品装着装置10とが合体した状態を示す正面図である。本回路部品装着装置10は、ベースフレーム12上に設けられた基板搬送装置14により搬送され、予め定められた位置に位置決め保持されるプリント基板16に、回路部品を装着機18によって装着するものである。装着機18は、回路部品を負の空気圧によって吸着する吸着ノズル20を、上下方向(Z軸方向とする)およびZ軸回り方向(θ方向とする)の2方向に移動させるZθ移動装置22と、そのZθ移動装置22が取り付けられ、Zθ移動装置22をプリント基板16の搬送方向(図1の紙面に対して垂直方向。X軸方向とする)とそれに直交する水平方向(Y軸方向とする)とに移動させるXY移動装置24とを含んでいる。これらZθ移動装置22とXY移動装置24とからなる装置を、XYZθ移動装置26と総称する。
【0018】
回路部品装着装置10は、装着装置側コントローラとして、図8および図9に示すM/Cコントローラ516を備えている。そのM/Cコントローラ516は、吸着ノズル20に供給される空気圧,基板搬送装置14の作動およびXYZθ移動装置26の作動を制御することにより、回路部品をプリント基板16に装着させる。また、M/Cコントローラ516は、回路部品を吸着ノズル20に吸着させた状態で、吸着ノズル20をカメラ32の上方の定位置に移動させ、カメラ32から回路部品の像を撮像して、その回路部品の吸着ノズル20に対する位置および方位(θ方向位置)を計測する像計測機能を有している。M/Cコントローラ516は、像計測機能により計測された回路部品の位置および方位を参酌して、回路部品をプリント基板16の正しい位置に装着することができる。なお、計測の対象とされる像は、吸着ノズル20がカメラ32の上方に移動させられた状態で撮像され、照明装置38から放射されて吸着ノズル20に固定の反射板36によって反射される光によって形成される。つまり、カメラ32は、回路部品のシルエットを撮像するのである。
【0019】
本実施形態の回路部品供給システム50は、回路部品供給装置8の本体部としての回路部品供給台車52(以下、台車52と略称する)と、台車52に保持されてそれと共に回路部品供給装置8を構成する複数のフィーダ54と、回路部品と各フィーダ54との対応関係を記憶する部品/フィーダ記憶手段を備えた管理端末とを含んでいる。なお、本実施形態においては、管理端末は、ラップトップ型のパーソナルコンピュータにより構成される(後述)。
【0020】
図2は回路部品供給装置8の正面図である。本図において、フィーダ54は、想像線(二点鎖線)で示されている。後述の、図3および図4においても同様である。台車52は、ベース60と、ハンドル61と、ベース60に支持されたフレーム62と、そのフレーム62に取り付けられたフレームプレート63と、フレーム62上に設けられたフィーダ保持装置64と、フレーム62に設けられた2つの係合部66とを主たる構成要素としている。図3は回路部品供給装置8の左側面図であり、図4はその右側面図である。図3に示すように、係合部66は2箇所に設けられている。なお、図4においては、ハンドル61は図示を省略されている。
【0021】
2つの係合部66は、図1に示すように、回路部品装着装置10のベースフレーム12に設けられた2つの係合装置68に係合させられることにより、回路部品装着装置10と台車52とを機械的に合体させる。各係合装置68は、回路部品装着装置10と台車52とが並ぶ方向(図1において左右方向)に平行移動し、かつ、その移動方向に平行な軸を回転軸とする回転移動が可能な花弁型の係合突起70を備えている。上記平行移動は、係合装置68に内蔵された複動のエアシリンダによって行われる。また、この平行移動の過程で、係合突起70は、図示しないカム機構によって、その移動方向に平行な軸回りに一定角度(例えば、90度)回転させられるようになっている。回路部品装着装置10と台車52とが合体していない状態では、係合突起70は、突出状態にあり、かつ、係合部66と軸方向に嵌合可能な回転位相にある。係合部66は丸穴部71とその丸穴部71から互いに逆向きに延びた一対の切欠72(それらは、水平方向に対峙する)とを有する開口を備えており、回路部品装着装置10と台車52とが合体のために接近させられると、係合突起70は係合部66の切欠72を通過する。その状態で、エアシリンダの一方の圧力室にエアが供給され、他方の圧力室からのエアの流出が許容されると、当初は係合突起70が正方向に回転させられつつ引っ込まされ、係合突起70が係合部66と軸方向に離脱不能に係合する。係合突起70は、回転を停止した後も一定距離引っ込まされ、それによって台車52が回路部品装着装置10に強く引きつけられる。エアの供給状態が逆転させられると、当初は係合突起70が回転することなく突出させられ、台車52が回路部品装着装置10から離間することが許容され、その後、係合突起70が突出させられつつ回転させられ、係合部66から軸方向に離脱可能な状態となる。
【0022】
回路部品装着装置10のベースフレーム12には、ガイドテーパスリーブ74が設けられている。ガイドテーパスリーブ74は、係合突起70と係合部66との係合を妨げない位置において係合部66に嵌合させられる。具体的には、丸穴部71と嵌合させられるのであるが、係合突起70は、ガイドテーパスリーブ74よりも図1において台車52側に位置しているので、係合突起70と係合部66との係合は妨げられない。2組のガイドテーパスリーブ74と丸穴部71との嵌合により、台車52の回路部品装着装置10に対する垂直面に平行な方向の位置決めが正確に行われる。
【0023】
図2に示すように、回路部品装着装置10と台車52とには、ガイド機構80が設けられている。ガイド機構80は、回路部品装着装置10のベースフレーム12に取り付けられる2つのガイド部材82と、台車52のベース60に取り付けられる2つのローラ84とにより構成されている。なお、図2に示すガイド部材82と台車52との相対位置は、回路部品装着装置10と台車52とが合体させられた後の状態における位置が示されている。この状態では、ベース60にそれぞれ2つずつ設けられている固定車輪86と回動可能車輪88とが床から離れた状態となる。また、ローラ84もガイド部材82からわずかではあるが離間した状態となる。回路部品装着装置10と台車52とが合体していない状態では、各2つずつの固定車輪86と回動可能車輪88とが共に床に支持されており、台車52は容易に移動させることができる。
【0024】
合体のために回路部品装着装置10に台車52が接近させられると、ローラ84が、ガイド部材82に形成されている斜面90上を転がり上がり、その過程で固定車輪86が床から離間させられる。回路部品装着装置10と台車52とがさらに接近させられると、ガイド部材82に形成されたガイドレール92上をローラ84が転がる。ガイドレール92は、ローラ84との係合によって、回路部品装着装置10と台車52との水平方向(図2の紙面に直交する方向)の相対位置を、合体が容易に成され得る位置に調整する機能を果たす。このことにより、丸穴部71とガイドテーパスリーブ74との嵌合が容易に開始できるようにされているのである。回路部品装着装置10には、図示しない検出装置が設けられている。丸穴部71とガイドテーパスリーブ74とが嵌合し、当接部94が回路部品装着装置10のベースフレーム12に形成される図示しない突起に当接させられた状態で、上記図示しない検出装置により、台車52に設けられた合体検出用突起95(図3参照)が検出されるようになっている。そして、前記検出装置により合体検出用突起95が検出されると、係合装置68のエアシリンダが作動させられ、前述のように、係合突起70が係合部66に軸方向に離脱不能に係合し、台車52を回路部品装着装置10に向かって引き付けて固定する。
【0025】
図1に示すように、台車52は、係合部66において回路部品装着装置10に引き付けられ、係合部66の当接面96が係合装置68側の当接面97に当接するとともに、前記当接部94において回路部品装着装置10のベースフレーム12に形成される図示しない突起に当接させられることにより、台車52の合体方向の位置決めが正確に行われる。当接面97と上記図示しない突起の当接面とによって規定される平面(図示の例では垂直面)が合体面であり、その合体面に直角な方向が合体方向である。なお、係合装置68が係合突起70を回路部品装着装置10側に引き付ける際の引付力は、回動可能車輪88を床から、ローラ84をガイドレール92からそれぞれ離れさせるために必要な力よりもさらに大きくされており、台車52と回路部品装着装置10との合体が強固になされる(例えば、各係合装置68ごとに約250kgf≒2450N程度の大きさとされる)。
【0026】
フィーダ54は、フィーダ保持装置64に設けられる複数のフィーダ保持ユニット100により、各々1つずつ保持される。本実施形態の台車52においては、フィーダ保持装置64の本体部材(後述のベースプレート106)によりフィーダ保持部材が構成され、フィーダ保持ユニット100によりフィーダ保持部が構成されているのである。本フィーダ保持装置64は、図4(右側面図)に示すように、隣接する6つのフィーダ保持ユニット100からなるフィーダ保持ユニット群102を4つ備えている。したがって、本フィーダ保持装置64は、最大24個のフィーダ54を保持することができる。以下の説明において、4つのフィーダ保持ユニット群102のそれぞれに番号を付して、第1ないし第4フィーダ保持ユニット群102と称する。
【0027】
図2に示すように、フィーダ保持ユニット100は、ベースプレート106と、そのベースプレート106に支持された係合部材108およびガイドプレート110と、フィーダ54に圧縮空気を供給する空気供給部112と、フィーダ54に各種の電力を供給する電力供給部114と、フィーダ54と台車52との通信に使用されるインターフェイスであるS/F通信部116とにより構成されている。なお、“S/F通信部”の“S”は、台車52を意味し、“F”は、フィーダ54を意味している。また、“S/F”は、台車52に設けられ、フィーダ54との関係において使用されるものを示している(したがって、フィーダ54には、S/F通信部116に対応して後述のF/S通信部270が設けられる)。ベースプレート106とガイドプレート110とは、すべてのフィーダ保持ユニット100に共有され、係合部材108は、各フィーダ保持ユニット群102を構成する6つのフィーダ保持ユニット100に共有される。
【0028】
ベースプレート106には、複数の係合溝120が、各フィーダ保持ユニット100に対応して設けられている(図4参照)。各フィーダ54は、その係合溝120と係合部材108とに係合可能な係合突起122を備えている。各フィーダ54がフィーダ保ユニット100に保持される際には、図2において、右から左へ平行移動させられて、最終的に図2に示す位置に保持される。フィーダ保持ユニット100に保持されたフィーダ54は、自身の係合突起122とベースプレート106の係合溝120との係合により、図2の紙面と直交する方向の相対移動が禁止される。また、複数の支柱124によりベースプレート106に取り付けられたガイドプレート110によって、図2の紙面と平行な平面内における上下方向の移動はわずかな量に限定される。このことにより、フィーダ保持ユニット100への着脱の際の、係合突起122と係合部材108との係合・離脱は、滑らかに行われ得る。そして、図2に示す状態では、係合部材108と係合突起122との係合によって、フィーダ54がベースプレート106に対して垂直方向に移動することが禁じられる。
【0029】
フィーダ54には、ベースプレート106に設けられる係合溝125との係合により、フィーダ54自身をフレーム62に向かう向き(図2において左向き)に付勢するU字形の係合部材126が設けられている。この係合部材126は、レバー128が操作されなければ、図2に示すようにフィーダ54の外部に突出させられているが、レバー128が操作されている間は、フィーダ54の内部に収納される。係合部材126をフィーダ54内へ収納する機構は、図6を用いて後に説明する。フィーダ54がフィーダ保持ユニット100に保持される過程においては、係合部材126はフィーダ54内に格納されるように、レバー128が操作されるが、レバー128の操作を解除すれば、フィーダ54がフィーダ保持ユニット100に強固に保持されることになる。フィーダ54をフィーダ保持ユニット100から取り外すためには、レバー128を操作して、係合部材126をフィーダ54の内側に収納した後に、フィーダ54を図2において右方向に平行移動させればよい。
【0030】
台車52は、供給装置側コントローラあるいは保持部材側コントローラとして、SFUコントローラ530(後述。図8参照)を備えている。SFUコントローラ530は前述のM/Cコントローラ516との情報交換を、図3に示すS/M通信部130を経て行い得るようにされている。なお、“S”は、上述のS/F通信部116の場合と同様に台車52を意味し、“M”は回路部品装着装置10を意味する。S/M通信部130は、回路部品装着装置10に設けられた後述のM/S通信部552(図8参照)に対応して設けられている。M/S通信部552はM/Cコントローラ516に接続されている。また、SFUコントローラ530は、すべてのフィーダ保持ユニット100のS/F通信部116に接続されている。M/Cコントローラ516と各SFUコントローラ530との相互の関係については後述する。
また、台車52には、回路部品装着装置10から各種の電力の供給を受けるための電力被供給部132と、圧縮空気の供給を受けるための空気被供給部134とが設けられている。
【0031】
図2に示すように、フィーダ54は、同一種類の回路部品を複数個収容する部品収容リール150を、2つまで装着できる。部品収容リール150には、回路部品を収容するテープ状収容容器152と、そのテープ状収容容器152内の回路部品が脱落しないようにテープ状収容容器152に接着されるカバーフィルム154とからなる部品収容テープ156が巻き付けられている。テープ状収容容器152に接着されているカバーフィルム154は、吸着ノズル20により回路部品が吸着される位置(図1において吸着ノズル20が示されている位置)よりもわずかに部品収容リール150側(図2において右側)においてテープ状収容容器152から剥がされる。回路部品の供給を終えたテープ状収容容器152は、回路部品装着装置10側(図2において左側)に送られる。この送りのピッチは、テープ状収容容器152の長手方向における回路部品の保持ピッチと一致させられる。回路部品の供給を終えたテープ状収容容器152は、テープガイド160によりテープを切断する切断手段たる切断機162に導かれる。これらテープガイド160と切断機162とは、フレーム62に取り付けられている。切断機162は、テープ状収容容器152を切断し、切断されたテープ状収容容器152の切断片は、フレーム62の下部に取り付けられら切断片収容器164に収容される。なお、テープ状収容容器152から剥がされたカバーフィルム154の処理については後述する。テープガイド160と切断機162とは、図2および図3において、想像線(二点鎖線)により表されている。
【0032】
つぎに、本実施形態の回路部品供給システム50に使用されるフィーダ54の構成を説明する。
図5はフィーダ54の正面図である。フィーダ54は、同一種類の回路部品を複数個収容する部品収容リール150を、上述のように2つまで装着できる。フィーダ54は、SFUコントローラ530からの供給命令(後述)に基づいて、1つまたは2つの部品収容リール150に収容されている1種類または2種類の回路部品を、1つずつ独立に供給できる。2つの部品収容リール150の回路部品を同時に供給することも可能である。ただし、回路部品装着装置10の吸着ノズル20は1つだけであり、本実施形態においては、回路部品を同時に供給する要求は通常は発生しない。したがって、複数のフィーダ54が同時に供給命令を受け取ることもない。
【0033】
図6は、フィーダ54の一部を拡大して示す正面図である。なお、図6は、第1カバー192,第2カバー194,第3カバー196(図5参照)が取り外された状態を示している。フィーダ54は、2つまでの部品収容リール150に巻き付けられた部品収容テープ156に収容された回路部品を供給するために、側板198に取り付けられた2つの駆動装置200,201を備えている。一方の駆動装置200は、モータ202と、そのモータ202の回転軸に取り付けられる駆動ギヤ204と、その駆動ギヤ204と噛み合わされる駆動ギヤ204よりも歯数が多い被駆動ギヤ206と、その被駆動ギヤ206と一体的に形成される駆動プーリ208と、その駆動プーリ208の回転力を伝達する駆動ベルト210と、その駆動ベルト210により駆動される被駆動プーリ212と、その被駆動プーリ212と一体的に形成されるスプロケット214とを備えている。また、駆動プーリ208の回転を伝達する駆動ベルト216と、その駆動ベルト216により駆動される被駆動プーリ218と、その被駆動プーリ218と一体的に形成される駆動側のピンチローラ220と、ピンチローラ220の外周面に予め設定された接触圧で接触させられる遊動側のピンチローラ222とを含んでいる。つまり、モータ202の回転は、スプロケット214と、ピンチローラ220およびピンチローラ222とに伝達される。
【0034】
駆動ベルト210は、複数のガイドローラ224により、通過経路を規定されている。また、モータ202はパルスモータであるので、スプロケット214の回転角度は、モータ202に与えられるパルスの数によって制御可能である。このパルスは、フィーダ側コントローラであるF/Dコントローラ540(後述。図8参照)により供給される。なお、モータ202とスプロケット214との回転角度は、駆動ギヤ204と被駆動ギヤ206とのギヤ比と、駆動プーリ208と被駆動プーリ212との半径の比との積と同じ比率で異なる。テープ状収容容器152には、その長手方向に一定間隔で連なる係合穴が形成されており、スプロケット214の外周上に等間隔に形成される突起と係合させられる。その係合を確実にするために、テープ状収容容器152のスプロケット214からの浮上がりがカバー225によって防止されている。
【0035】
スプロケット214が回転すると、部品収容リール150が回転させられる際の摩擦抵抗やガイドローラ224の回転摩擦等に起因する張力が、部品収容テープ156に発生する。本フィーダ54においては、モータ202に与えるパルスの数を変更することにより、そのような外乱要因の大小に係わらず、容易に任意の送り量で部品収容テープ156を送ることができる。したがって、部品収容テープ156において回路部品が収容されているピッチが変わっても、容易に対処できる。ピンチローラ220と222とは、予め設定された接触圧で接触しており、図5に示すように、それらの間に部品収容テープ156から剥がされたカバーフィルム154が挟み込まれる。ピンチローラ220と222とは、部品収容テープ156がスプロケット214によって送られる際に、カバーフィルム154の既に剥がされている部分を部品収容リール150側に送ることによって、部品収容テープ156に接着されているカバーフィルム154を、順次剥がす機能を果たすのである。このカバーフィルム154の送り量は、スプロケット214による部品収容テープ156の送り量より大きくなるようにされている。そして、カバーフィルム154の部品収容テープ156からの剥離位置は、カバー225に形成されたカバーフィルム154の引出しスリットにより規定されているため、カバーフィルム154の送り量の過大分は、ピンチローラ220,222のカバーフィルム154に対するすべりにより吸収され、カバー225とピンチローラ220,222との間のカバーフィルム154は常に緊張状態に保たれる。
【0036】
他方の駆動装置201も同様に、モータ226,駆動ギヤ228,被駆動ギヤ230,駆動プーリ232,駆動ベルト234,236,被駆動プーリ238,ピンチローラ240,242,ガイドローラ244等により構成されている。なお、本駆動装置201にも、上述のスプロケット214および被駆動プーリ212と同様のものが、図6においてそれらに重なりあう位置に設けられている。ピンチローラ220,222と、ピンチローラ240,242とによってそれぞれ送られるカバーフィルム154は、図5に示すように、軸方向が図5において上下方向とされた状態で取り付けられるパイプ246内を通過して下方に落とされる。したがって、フィーダ54がフィーダ保持ユニット100に保持されている状態では、廃棄されるべきカバーフィルム154が、台車52のベース60上に溜められることとなる。また、パイプ246内におけるカバーフィルム154の通過を滑らかにするために、空気ノズル248が設けられており、モータ202とモータ226との少なくとも一方が回転させられる際に、圧縮空気がパイプ246内に上方から下方に向けて吹き込まれるようにされている。空気ノズル248への圧縮空気の供給は、ソレノイドバルブ250が開かれることによってなされる。ソレノイドバルブ250は、F/Dコントローラ540によって制御される。
【0037】
フィーダ54には、F/Dコントローラ540に接続される図示しないいくつかの操作スイッチが設けられている。これらの操作スイッチには、モータ202とモータ226とをそれぞれ独立に正逆両方向に回転させるためのもの、回路部品の供給の際の各モータの回転速度を決定するためのもの、回路部品を1つ供給するごとの各モータの回転角度を決定するためのもの、駆動装置200および201をそれぞれ作動させるか否かを決定するためのもの等が含まれている。これらの操作スイッチの状態に基づいて、F/Dコントローラ540はフィーダ54各部の制御を行うことができる。
【0038】
フィーダ54のレバー128は、図6に示すように、付勢部材たるスプリング252により、支点254を中心に図6において左回りに回動する向きに付勢されている。この付勢力は、リンク機構256により係合部材126に伝達され、レバー128が操作されていない状態では、係合部材126がフィーダ54の外部に突出させられる。係合部材126をフィーダ54の内部に収納させるには、レバー128を支点254を回転中心として、図6において右回りに回動させる。
【0039】
図7は、フィーダ保持ユニット100にフィーダ54が保持されている状態の拡大して示す要部正面図である。フィーダ54は、F/S通信部270においてフィーダ保持ユニット100のS/F通信部116に光学的に接続され、この接続部を介してSFUコントローラ530とF/Dコントローラ540との間の通信が行われる。また、フィーダ54は、フィーダ保持ユニット100の空気供給部112と嵌合して、前述のソレノイドバルブ250に圧縮空気を供給するための空気被供給部272を備えている。さらに、電力供給部114と電気的に接続されて、F/Dコントローラ540,モータ202等に電力を供給するための電力被供給部274も備えている。なお、フィーダ54には、F/Dコントローラ540に使用される電力(例えば、電圧がDC5ボルトである電力)と、モータ202,226およびソレノイドバルブ250を作動させるためにに使用される電力(例えば、電圧がDC24ボルトである電力)との、2系統の電力が供給される。これらの電力は、回路部品装着装置10から、台車52に供給される。なお、台車52と回路部品装着装置10とが合体していない場合に、電力の供給を受けるための図示しない第2の電力被供給部が、台車52に設けられている。回路部品の装着作業に先立って行われる準備作業において、回路部品装着装置10と台車52とが合体されていない状態では、この第2の電力被供給部から供給される電力が使用される。
【0040】
F/S通信部270は、発光素子280,282,284と、受光素子286とを含んでいる。また、S/F通信部116は、F/S通信部270の発光素子280,282,284から発せられる光をそれぞれ受光する受光素子290,292,294と、F/S通信部270の受光素子286に光を発する発光素子296とを含んでいる。F/S通信部270の発光素子282と、S/F通信部116の受光素子292との組は、F/Dコントローラ540からSFUコントローラ530に信号を送信する際に使用され、発光素子284と受光素子294との組は、その情報送信の際に補助的に使用される。具体的には、S/F通信部116の受光素子294が光を受光している状態においてのみ、受光素子292が受光する光が通信信号として認識されるようになっている。これは、フィーダ54が保持されていない場合に、外乱光を誤って通信信号であると認識することを防止するための措置である。この措置を、単に誤通信防止措置と称する。また、F/S通信部270の受光素子286と、S/F通信部116の発光素子296との組は、SFUコントローラ530からF/Dコントローラ540に信号を送信する際に使用される。
なお、本実施形態においては、第1保持部材側接続部が、前記S/F通信部116の受光素子292,294および発光素子296により構成され、第2保持部材側接続部が、受光素子290により構成されている。また、第1フィーダ側接続部が、前記F/S通信部270の発光素子282,284および受光素子286により構成され、第2フィーダ側接続部が発光素子280により構成されている。
【0041】
つぎに、前述のM/Cコントローラ516,SFUコントローラ530およびF/Dコントローラ540の相互の関係について説明する。
図8は、本実施形態の回路部品装着システム500の電気的制御部の構成を示す系統図である。本回路部品装着システム500は、回路部品装着装置10と、その回路部品装着装置10に合体させられる2つの台車52と、各台車52に保持される複数のフィーダ54と、前述の管理端末としてのラップトップコンピュータ502(以下、LTコンピュータ502と略称する)と、ホストコンピュータ504とを備えている。
ホストコンピュータ504は、回路部品装着装置10の管理を行うとともに、回路部品に関する情報である回路部品情報を含む回路部品データベースを記憶している。回路部品データベースの内容は、回路部品情報と、その回路部品が収容されている部品供給テープ156に付けられている部品識別コードの内容とが、対応付けられたものである。なお、部品識別コードはバーコード化され、そのバーコードを印刷した部品バーコードシール506が、部品収容リール150に張り付けられている(図5参照)。また、回路部品情報には、部品収容テープ156内における回路部品の収容位置(例えば回路部品の基準点のテープ状収容容器152に対する相対位置)を表す部品収容位置、部品収容ピッチ、部品残数等の情報が含まれている。なお、その他の情報として、部品種別,部品型式,部品製造年月日,部品製造メーカ,部品在庫量,部品使用予定量,部品使用予定時期等の情報が含まれるものとしてもよい。本実施形態の回路部品は、部品収容リール150に収容された状態で在庫管理されるものとする。
【0042】
本実施形態の回路部品装着システム500の回路部品装着装置10には、2つの台車52を合体できる。つまり、回路部品装着装置10は、係合装置68,M/S通信部552等からなる装置(合体装置と総称する)を2組備えている。そして、各台車52は、2つの合体装置のいずれにおいても合体させられ得る。同様に、フィーダ54は、2つの台車52の複数のフィーダ保持ユニット100のいずれにおいても保持され得る。したがって、各台車52が回路部品装着装置10に合体させられる位置と、各フィーダ54が台車52に保持される位置とは変更され得る。
一方、回路部品装着装置10のM/Cコントローラ516は、装着すべき回路部品を吸着ノズル20に保持し、プリント基板16に装着させる際に、目的とする回路部品が供給される位置を知る必要がある。この位置がわからないと、XYZθ移動装置26を制御できないからである。したがって、各台車52が回路部品装着装置10に合体させられる位置と、各フィーダ54が台車52に保持される位置とが、本来の正しい位置とは異なる位置に変更されてしまうと、回路部品が本来装着されるべきでない位置に装着されてしまうことになる。本回路部品装着システム500は、以下に示すように、このような誤装着を未然に防ぐことができるシステムである。
【0043】
図8に示すように、ホストコンピュータ504と回路部品装着装置10とは、ホストネットワーク510によって接続されている。ホストネットワーク510は、例えば、バス型,ループ型等のネットワーク構造を持つLAN(Local Area Network)によって実現される。これらは、多くの場合に、1本の通信線を用いてシリアルデータを伝送するネットワークとされるが、VMEバス,PCIバス等、コンピュータの内部バスとして使用される形態のバスでもよく、以下の説明においては、ホストネットワーク510はVMEバスとして構成されているものとする。いずれにしても、ホストコンピュータ504と回路部品装着装置10とは、回路部品情報を含むあらゆる情報のやり取りを行う機能を有することとなる。
【0044】
回路部品装着装置10は、ホストコンピュータ504との通信、基板搬送装置14の制御、XYZθ移動装置26の制御、吸着ノズル20による回路部品の吸着制御、SFUコントローラ530との通信、F/Dコントローラ540との通信等をM/Cコントローラ516により行う。また、回路部品装着装置10は、M/Cコントローラ516に接続されるM/Cネットワーク520とSPIDネットワーク522とを含んでいる。これらの接続形態については後述する。
2つの台車52の各々は、前述のようにそれぞれSFUコントローラ530を備えており、これによってM/Cコントローラ516との通信、F/Dコントローラ540との通信等を行う。そのSFUコントローラ530には、第1通信ネットワークとしてのSFUネットワーク534と、第2通信ネットワークとしてのFPIDネットワーク536とが接続されている。これらの接続形態については後述する。
また、フィーダ54のF/Dコントローラ540は、M/Cコントローラ516との通信、SFUコントローラ530との通信、モータ202,226の制御等を行う。
【0045】
M/Cネットワーク520とSFUネットワーク534とを用いれば、M/Cコントローラ516,各SFUコントローラ530および各F/Dコントローラ540は、互いに情報をやり取りできる。しかし、M/Cネットワーク520とSFUネットワーク534とには互いの接続位置関係を取得する手段がない。前述のように、各フィーダ54は各台車52のいずれのフィーダ保持ユニット100にも保持され得るとともに、各台車52は回路部品装着装置10の2組の合体装置(係合装置68,M/S通信部等からなる)のいずれにおいても合体させられ得るため、各SFUコントローラ530および各F/Dコントローラ540は複数の位置において互いに接続され得るが、M/Cネットワーク520とSFUネットワーク534とには、後に示す構成から明らかなように、各コントローラ相互の接続位置関係を取得する手段がないのである。つまり、M/Cコントローラ516とSFUコントローラ530のいずれかとが通信を行う場合に、M/Cコントローラ516は、通信を行っているSFUコントローラ530が、2つの合体装置のいずれに合体させられている台車52に設けられているものであるかを特定できない。同様に、各台車52に最大24個保持され得るフィーダ54が、24のフィーダ保持ユニット100のいずれに保持されているのかを特定できないのである。そこで、SPIDネットワーク522が、前者の位置を特定するために、また、FPIDネットワーク536が、後者の位置を特定するために設けられている。
【0046】
図9は、回路部品装着装置10と台車52との通信に関連する構成をさらに具体的に示す系統図である。図9において、M/Cネットワーク520は、ツイストペア線546,終端抵抗548,バスドライバ550,オプティカルリンクドライバ551,M/S通信部552の一部等により構成されている。なお、M/S通信部552は、図7に示したS/F通信部116と同じ構成を有している。つまり、M/S通信部552は、受光素子290,292,294と発光素子296とを含んでいる。M/Cネットワーク520は、それらのうち、受光素子292,294と発光素子296とを含んでいるのである。バスドライバ550は、例えばRS−485に準拠したものを使用することができ、M/Cコントローラ516をツイストペア線546に接続するために用いられる。また、オプティカルリンクドライバ551は、M/S通信部552をツイストペア線546に接続するとともに、前述の誤通信防止措置のうち、受信側の措置(処理)を行う機能を備えたものである。M/Cネットワーク520においては、ツイストペア線546のあらゆる位置にバスドライバ550およびオプティカルリンクドライバ551を配設することができる。また、バスドライバ550およびオプティカルリンクドライバ551のドライブ能力で決まる数までであれば、それらを各々任意の数、任意の位置に配設できる。
【0047】
SFUネットワーク534は、ツイストペア線560,終端抵抗562,バスドライバ564,オプティカルリンクドライバ566,568,S/M通信部130の一部,S/F通信部116の一部等により構成されている。なお、S/M通信部130は、図7に示したF/S通信部270と同じ構成を有している。つまり、S/M通信部130は、発光素子280,282,284と受光素子286とを含んでいる。SFUネットワーク534は、それらの素子のうち、発光素子282,284と受光素子286とを含んでいる。バスドライバ564としては、M/Cネットワーク520を構成するバスドライバ550と同様のものが、また、オプティカルリンクドライバ568としては、オプティカルリンクドライバ551と同様のものが使用される。また、オプティカルリンクドライバ566は、オプティカルリンクドライバ551と対を成すものであり、前述の誤通信防止措置のうち、送信側の措置(処理)を行う機能を備えている。また、SFUネットワーク534は、S/F通信部116の受光素子292,294と発光素子296とを含んでおり、これらはそれぞれ、フィーダ54に設けられているF/S通信部270の発光素子282,284と受光素子286とに対応している。F/S通信部270の発光素子282,284と受光素子286とは、オプティカルリンク570を介してF/Dコントローラ540に接続される。オプティカルリンク570は、オプティカルリンクドライバ566と同様に、前述の誤通信防止措置のうち、送信側の措置(処理)を行う機能を備えたものであるが、ツイストペア線への信号の送受信を行うための機能であるバスドライバ機能を持たないものである。
【0048】
M/Cネットワーク520やSFUネットワーク534のようなネットワークを用いたデータ通信の通信方式としては種々のものが提案されているが、本実施形態の回路部品供給システム50においては、一般によく使用されているCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)方式が採用されている。CSMA/CD方式はよく知られているため、内容の詳細な説明は省略するが、以下の説明において有用な属性のみ説明する。
【0049】
複数のノードで1つの通信線を共有するために、CSMA/CD方式においては、各ノードが自主規制を行って、同時に複数のノードがデータを送信しないようにされる。つまり、タイムシェアリングによって、データの衝突が回避されるのである。ここで、“ノード”とは、通信ネットワークへの入口を一般的に示す概念であり、本実施形態においては、M/Cコントローラ516,SFUコントローラ530,F/Dコントローラ540がこれに相当する。上述の“自主規制”は、主としてつぎの2つの内容を含む。
(i)キャリア検知に基づく送信規制
ネットワーク上に通信中の信号(キャリアと称する)が存在するか否かを各ノードが検知し、キャリアが存在しない場合にそれを検知したノードが送信できる。なお、この送信規制のみでは、キャリアが存在しないことを検知したノードが、同時に複数存在し得るため、複数の送信データがネットワーク上において衝突し得る。
(ii)衝突検知に基づく送受信規制
あるノードが送信したデータが、別のノードが送信したデータと衝突したか否かを検知し、実際に衝突を検知した場合は、送信したデータが無効であることを他のノードに報知した後に、再度データを送信する。データを受信したノードは、受信したデータが無効であることを報知された場合は、受信したデータを破棄する。
なお、送信されるデータは、基本的には、データを送信したノードを含むすべてのノードにより受信されるが、送信データには、データを受け取るべき受信側のノードを特定するアドレスデータが含まれる。アドレスデータは、各ノード毎に固有のデータであり、各ノードは、自分を含むすべてのノードのアドレスデータを予め知っている。受信側のノードは、このアドレスを検出して、自分が受信すべきデータであるか否かを判定する。
【0050】
図10および図11は、上記2つの自主規制を具体的に実現する方法の一例を示すフローチャートであり、図10は送信側のノードが、図11は受信側のノードが行う処理の内容を示している。なお、“送信側”と“受信側”との差異は、送信すべきデータを持っているか否かの違いだけであり、個々のノードが本質的に異なっているわけではない。
まず、送信側の処理を図10に基づいて簡単に説明する。まず、ステップ10(以下、S10と略記する。他のステップについても同じ)において、通信線上にキャリアが存在するか否かを検知する。これは、信号線上の電圧の変化状態を取得することにより行われる。信号線上の電圧の変化状態がキャリアが存在しないことを示していれば送信可能であると判定され、S12において、データを通信線上に送信する。送信側のノードは、データを送信している期間中、常に通信線上のキャリアが示すデータを監視し続ける。データの送信が完了すると、S14において、自分が送信したデータと、送信中に監視したキャリアが示すデータとが一致していたか否かを判定する。一致していた場合は、データの送信が正常に完了したと見なされて送信が完了するが、一致していなかった場合は、S16において、送信したデータを無効化する処理が行われる。送信したデータが無効であることを示すデータ(無効化データと称する)を、再度送信することにより行われるのである。この無効化データは、すべての受信側ノードにより受信されるものであり、各受信側ノードは、無効化データの受信に応じて、直前に受信したデータを破棄する。
【0051】
つぎに、図11に基づいて受信側の処理を簡単に説明する。基本的に各ノードは、通信線上のキャリアをすべて受信するが、受信側ノードとは、信号線上のキャリアが自分が送信したものでないことを知っているノードである。まず、S20において正しいデータを受信した場合(無効化データを受け取らない場合)、S22において、そのデータが自分あてのデータであるか否かを、受信したデータに含まれるアドレスデータに基づいて判定する。結果がYESであれば、S24において、受信したデータを、受信データバッファに格納して受信処理を終了する。受信データバッファ内のデータは、他のプロセスによって読み込まれ、使用されることとなる。受信したデータが自分が受信すべきデータではない場合には、S22の判定結果がNOとなり、そのデータは受信データバッファに格納されず、無視される。
なお、図10および図11に示した処理は、あくまでも基本的な部分のみを抽出して例示したものであり、実際のCSMA/CD方式においては、他にも様々な処理が行われる。送信データが衝突した際の再送待ち時間の決定はその一例である。しかし、本願の発明との関連が少ないためそれらの内容の詳細な説明は省略する。以上に説明したように、M/Cコントローラ516,SFUコントローラ530およびF/Dコントローラ540は、1本の通信線を主体とするM/Cネットワーク520およびSFUネットワーク534によって接続されており、情報伝達能力の低下を回避しつつ回路部品装着装置10の構成を簡略化することができる。
【0052】
上記のように、ノードたる個々のコントローラは、自分自身に固有のアドレスデータを持つ必要がある。これらのアドレスデータを、ノードIDと総称する。また、M/Cコントローラ516,SFUコントローラ530およびF/Dコントローラ540の各々は、ノードIDとして、それぞれに固有のMID,SIDおよびFIDを持つものとする(図8参照)。これら各ノードIDは、各コントローラに内蔵された図示しない記憶装置(例えば、PROM,EPROM,E2 PROM等)に記憶される。したがって、M/Cコントローラ516,SFUコントローラ530およびF/Dコントローラ540は、互いにあらゆる組合せで通信を行うことが可能となる。その際に、M/S通信部552およびS/M通信部130の組は、M/Cネットワーク520とSFUネットワーク534とを接続するブリッジとしての機能を果たす。また、S/F通信部116およびF/S通信部270の組は、SFUネットワーク534に各フィーダ54のF/Dコントローラ540を接続する機能を果たす。また、SFUコントローラ530またはF/Dコントローラ540と、ホストコンピュータ504との間で通信が行われる場合には、M/Cコントローラ516は所謂ゲートウェイとしての機能を果たすこととなる。
なお、各フィーダ54は、それぞれに固有のフィーダ識別コードを含むようにされるのであるが、本実施形態においては、前述のFIDがフィーダ識別コードとしても使用される。したがって、F/Dコントローラ540に内蔵される図示しない記憶装置が、フィーダ識別コード保持手段あるいは識別コード記憶手段を構成することとなる。なお、本実施形態におけるフィーダ54の側板198には、FID、即ち、フィーダ識別コードの内容を示すバーコードが印刷されたフィーダバーコードシール572が張り付けられている(図5参照)。
【0053】
図9に示すように、SPIDネットワーク522は、各M/S通信部552の受光素子290と、それら受光素子290をそれぞれ独立にM/Cコントローラ516に接続する電線574とを含んでいる。受光素子290がM/Cコントローラ516にそれぞれ独立に接続されるということは、M/Cコントローラ516は、各受光素子290のそれぞれに対応して設けられたS/M通信部130の発光素子280の発光状態を、それぞれ独立に知ることができることを意味する。また、FPIDネットワーク536も、SPIDネットワーク522と同様の構成を有しており、各S/F通信部116の受光素子290と、それら受光素子290をそれぞれ独立にSFUコントローラ530に接続する電線576とを含んでいる。このことにより、SFUコントローラ530は、F/S通信部270の発光素子280の発光状態を、それぞれ独立に知ることができる。なお、SPIDネットワーク522は、電線574を2本含んでいるのに対し、FPIDネットワーク536は、1つの台車52のフィーダ保持ユニット100の数に対応して、電線576を24本含んでいる。
【0054】
図12は、FPIDネットワーク536の電線576の本数を減少させるための実施形態を示す構成図である。本実施形態のFPIDネットワーク536は、エンコーダ578を備えている。エンコーダ578の入力は、24個のフィーダ54に対応して設けられる24個のS/F通信部116の受光素子290に接続され、出力は、5本の電線576によりSFUコントローラ530に接続される。エンコーダ578は、24の入力のいずれか1つに接続されている受光素子290が光を検出した場合に、その入力の位置に対応した5bitの2進数を生成する。SFUコントローラ530は、この2進数に基づいて、光を検出した受光素子290を特定する。5bitの2進数は、10進数に変換すれば、0〜31の32個(24より大きい)の値を表現できるから、電線576は5本で済むのである。ただし、後述するように、複数の受光素子290が同時に光を検出することはないようにされている。この接続は、5本の電線576を用いるだけでよいので、エンコーダ578をフィーダ保持ユニット100に近接して設ければ、台車52内における配線の長さを全体として減少させることができる。このような構成は、1つの台車52が含むフィーダ保持ユニット100の数が多くなるほど有用になる。本実施形態においては、電線576の数の減少率は5/24であるが、フィーダ保持ユニット100の数が100個であれば7/100となる(エンコーダ578の出力は7bitだけ必要とされる)。一般に、電線576の本数をn本増やせば、2のn乗倍のフィーダ保持ユニット100に対応できることとなる。
【0055】
つぎに、以上に説明した構成を用いた回路部品装着システム500の作動を説明する。まず、つぎの手順(1) が実行される。
手順(1) :前処理
ホストコンピュータ504に、装着されるすべての回路部品の回路部品情報と、その回路部品の部品識別コード(部品バーコードシール506の内容)とを対応付けて記憶させ、回路部品データベースを作成する。この回路部品データベースは、予め作業者によって作成される必要がある。回路部品情報としては、前述の部品収容位置,部品収容ピッチ,部品残数等の情報が含まれる。したがって、回路部品データベースは、具体的には、図13にその一例を示すようなテーブルデータとして作成されることとなる。手順(1) は、後述の各手順の処理が行われる前に、必ず完了している必要がある。
【0056】
なお、本実施形態においては、XYZθ移動装置26や吸着ノズル20に供給される空気圧等の制御のためにM/Cコントローラ516により実行される制御プログラムは、プログラマにより予め作成され、ホストコンピュータ504の記憶装置に記憶されているものとする。この制御プログラムは、各種のプリント基板のそれぞれに対して、各々個別に作成されるものである。その制御プログラム内において、各回路部品の回路部品名と、その回路部品のプリント基板上における装着位置(X,Y)との対応付けがなされる。回路部品名としては、任意の名称を用いることができる。例えば、各回路部品の型式や、回路図における略記号等を用いることができる。後者においては、例えば、コンデンサはC1,C2等で表され、抵抗はR1,R2等で、また、集積回路部品はIC1,IC2等で表される。このように、制御プログラムが、回路設計者やプログラマによって理解されやすい回路部品名に基づいて作成されていることは、制御プログラムそのものの作成や、その後に行われ得るメンテナンス(制御プログラムの修正)を容易にする。
【0057】
プログラマにより作成された制御プログラム(回路部品名と、プリント基板上における装着位置とが対応付けられているもの)は、そのままの状態では各回路部品が供給される位置の情報を含まない。M/Cコントローラ516によって回路部品の装着の制御を行うためには、この位置情報が不可欠である。したがって、この状態では、制御プログラムは未完成である。制御プログラムに回路部品が供給される位置の情報を付加するために、ホストコンピュータ504によって供給位置最適化プログラムが実行される。供給位置最適化プログラムは、プリント基板上における各回路部品の装着位置(この位置は、プリント基板の種類ごとに既に決定されている)と、前述の回路部品データベースの内容とを用いて、各回路部品が供給される位置と、各回路部品を収容する部品収容リール150の部品識別コードとの対応付けを行う。その対応付けの際に、1枚のプリント基板にすべての回路部品を装着するために要する時間ができる限り短くて済むように、各回路部品が供給される位置の最適化が行われる。
【0058】
上記最適化によって、一種類の回路部品が、複数のフィーダ54により別々に供給されるように決定されることもある。このような決定は、一種類の回路部品が1枚のプリント基板に複数装着され、かつ、それら同種の回路部品のプリント基板上における位置が互いに離れている場合に、しばしばなされる。つまり、1枚のプリント基板にすべての回路部品を装着する時間を短縮するには、一般に、すべての回路部品を装着する間に、吸着ノズル20がXY移動装置24によって移動させられる距離を短縮すればよい。このような距離の短縮の結果は、概して、(i)各回路部品は、プリント基板上における装着位置が互いに近いものから順次装着され、(ii)各回路部品が装着される位置と、それら各回路部品が供給される位置とは、互いに近づけられる。つまり、各回路部品が供給される位置は、それぞれの回路部品のプリント基板上における装着位置に依存して決定されるのである。したがって、例えば、複数の同じ回路部品が、プリント基板上の比較的離間した位置に装着される場合は、それら複数の装着位置のそれぞれに近い複数のフィーダ54により回路部品が供給されることがあり得る(付言すれば、保持されるべきフィーダ54の数がフィーダ保持ユニット100の数より少ない場合は、それぞれのフィーダ54が互いに隣接するフィーダ保持ユニット100に保持されるとは限らず、飛び飛びの位置に保持されることもあり得る)。このような供給がなされる方が、1つのフィーダ54のみにより供給される場合よりも、全体として回路部品の装着時間を短縮できる場合があるのである。このことは、所謂XY型の装着機(装着機18はその一例である)が用いられる場合にも有効であるが、所謂インデックス型の装着機(例えば、後述の特開平7−15179号公報に記載の装置)が用いられる場合においては、さらに有効である(後述)。
【0059】
なお、本実施形態のフィーダ54は、2つまでの部品収容リール150を装着できるため、供給位置最適化プログラムは、フィーダ54に装着される2つの部品収容リール150の各々が、そのフィーダ54の2つの装着位置のいずれにおいて装着されるべきであるかをも決定する(その結果、それぞれのフィーダ54に2つの部品収容リール150が装着されることも、1つの部品収容リール150だけが装着されることもある)。このように、各回路部品が供給される位置は、回路部品装着装置10と各台車52との合体位置と、各台車52におけるフィーダ54の保持位置と、各フィーダ54における部品収容リール150の装着位置とによって指定できる。このように指定される各回路部品の供給位置を、単に、回路部品供給位置と称する。供給位置最適化プログラムによる最適化の結果、制御プログラムは、各回路部品供給位置と、各部品識別コードとの対応関係を知っているものとなる。作業者は、以上のようにして決定された各回路部品供給位置と、各部品識別コードとの対応関係(単に、供給位置/部品識別コード対応関係と称する)に基づいて、後述する手順(2) ないし手順(4) において、各部品収容リール150をフィーダ54に装着し、各フィーダ54を台車52の該当する保持位置に保持させ、各台車52を回路部品装着装置10に該当する位置において合体させる。この作業を、単に、装着保持合体作業と称する。本実施形態の回路部品装着システム500は、後述するように、装着保持合体作業に誤りがあった場合は、それを検出し、作業者に通報することによって、作業者に装着保持合体作業を訂正させることができるシステムである。
【0060】
上記供給位置/部品識別コード対応関係の情報を含むようにされた制御プログラムは、ホストネットワーク510を介してM/Cコントローラ516に転送される。M/Cコントローラ516は、この制御プログラムにしたがって、装着作業を行うこととなる。
なお、プログラマに作成される制御プログラムが、前記回路部品名の代わりに、前記回路部品供給位置(各回路部品が供給される位置)と、プリント基板上における装着位置とが直接対応付けられるものとされてもよい。つまり、プログラマにより、回路部品供給位置が直接入力されるのである(このようなプログラムは、従来の回路部品装着システムにおいて作成されていたプログラムに相当する)。回路部品供給位置は、上述の供給位置最適化プログラムによっても決定されるが、このように、プログラマが直接決定してもよいのである。この場合においても、作業者が前記装着保持作業を誤って行った場合に、それを検知し、通報できることは、前記回路部品名とプリント基板上における装着位置とが対応付けられる場合と同様である。
【0061】
手順(2) :部品収容リールのセット
プリント基板に装着されるべき回路部品を収容する1つまたは2つの部品収容リール150を、各フィーダ54にセットする。各部品収容リール150のセットに際して、それら部品収容リール150に張り付けられた部品バーコードシール506の内容が順次読み取られるとともに、その部品収容リール150がセットされるフィーダ54に張り付けられたフィーダバーコードシール572の内容も読み取られる。これら2つのバーコードシールの読み取りは、LTコンピュータ502に接続された図示しないバーコードリーダによって行われる。LTコンピュータ502は、このように相次いで読み取られた3つのバーコードシールの内容を、互いに対応付けるために、図14にその一例を示すようなテーブルデータを、逐次作成する。このテーブルを、回路部品/フィーダ対応テーブルと称する。
【0062】
LTコンピュータ502には、図8に示すインターフェース600が接続されており、そのインターフェース600と、各台車52のSFUネットワーク534に接続されたインターフェース602とが接続されることにより、LTコンピュータ502が各台車52のSFUネットワーク522にそれぞれ独立に接続される。なお、インターフェース600と2つのインターフェース602との接続は、図示しないルータを介して行われる。ただし、回路部品装着装置10との合体がなされていない台車52に対しては、上記ルータを介さずに、直接インターフェース600とその台車52のインターフェース602とが接続される場合もある。これらの構成により、回路部品/フィーダ対応テーブル(図14参照)の内容が、各SFUコントローラ530に送信可能となる。各SFUコントローラ530は、受信した回路部品/フィーダ対応テーブルの内容を、内蔵の記憶装置(例えば、RAM)に記憶する。したがって、台車52が回路部品装着装置10と合体させられていない状態においても、各SFUコントローラ530は、自分自身を含む台車52に保持されるフィーダ54と、そのフィーダ54に装着された部品収容リール150の部品識別コードとの関係を予め知ることができ、全体として、準備作業を効率よく行うことができる。本実施形態においては、LTコンピュータ502の回路部品/フィーダ対応テーブルを記憶している部分、または、SFUコントローラ530に内蔵される記憶装置によって、部品/フィーダ記憶手段が構成されていることになる。
【0063】
図14に示す回路部品/フィーダ対応テーブルには、フィーダ54が2つまでの部品収容リール150を装着できることに対応して、各FIDに対応する2つの部品識別コードが含まれる。これら2つの部品識別コードを、部品識別コード1および部品識別コード2とし、部品識別コード1は、フィーダ54の駆動装置200により供給される回路部品に対応させられ、部品識別コード2は、駆動装置201により供給される回路部品に対応させられる。2つの部品収容リール150の部品バーコードシール506の内容が、部品識別コード1と部品識別コード2とのいずれとされるかは、本実施形態においては2つの部品バーコードシール506の読取順で決まるのであるが、他の形態としてもよい。なお、本実施形態において、バーコードリーダによる読取りの順番に間違いがあった場合には、再度バーコードリーダで読み取り直す、LTコンピュータ502を直接操作して回路部品/フィーダ対応テーブルの内容を直接変更する等の措置により、LTコンピュータ502に記憶される回路部品/フィーダ対応テーブルの内容を修正することができる。
【0064】
手順(3) :フィーダのセット
手順(2) の処理を経たフィーダ54を、予め定められたフィーダ保持ユニット100に保持させる。フィーダ保持装置64において各フィーダ54が保持される際の配置は、回路部品の供給順序、すなわち装着順序と関連し、プリント基板1枚に対する装着作業に要する時間に大きな影響を与える。したがって、上述のように、各フィーダ54が保持されるべきフィーダ保持ユニット100が装着順序に基づいて予め決定されており、各フィーダ保持ユニット100に予定通りのフィーダ54が保持させられる。なお、各フィーダ54が、予定通りのフィーダ保持ユニット100に保持されているか否かは、後述するように、SFUコントローラ530によって検出できる。この検出結果(訂正の内容を含む)は、後述するように、LTコンピュータ502や台車52に設けられる図示しないディスプレイ等に表示させることができ、作業者はそのディスプレイ画面の内容にしたがって、誤った位置に保持されたフィーダを、正しい位置に保持させるように修正を行う。
従来は、回路部品装着装置10に相当する装置において、必ずこの予め定められた配置に基づいて回路部品の装着作業が行われていたため、各フィーダ54の配置に間違いが生じれば、回路部品の装着が正しく行われなかった。各フィーダ54が予定通りのフィーダ保持ユニット100に保持させられることは、本実施形態の回路部品供給システム50においても望ましいのであるが、不可欠ではない。万一、一部のフィーダ54の保持位置が予定通りではない場合でも、後述の理由で装着作業が正しく行われ得るため、装着時間に大きく影響しない場合には、フィーダ54の配置に間違いが存在しても、それを修正することは不可欠ではないのである。
【0065】
手順(4) :回路部品供給装置と回路部品装着装置との合体
回路部品供給装置8(直接的には台車52)と回路部品装着装置10とを合体させる。2つの台車52が正しい位置において回路部品装着装置10と合体させられているか否かは、後述するように、M/Cコントローラ516により検出される。その検出結果は、回路部品装着装置10に設けられる図示しないディスプレイに表示される。誤った位置に合体させられている場合は、作業者はそのディスプレイの表示内容にしたがって、正しい位置において各台車52と回路部品装着装置10とが合体させられるように訂正できる。さらに、後述の理由で、このような訂正の必要がないようにすることもできる。
なお、手順(3) と手順(4) との処理は、どちらが先に行われてもよい。また、手順(3) と手順(4) との一方の処理の途中で、他方の処理が行われてもよい。
【0066】
手順(5) :台車/合体装置対応テーブル作成
M/Cコントローラ516は、図15にその一例を示す台車/合体装置対応テーブルを作成する。これは、1つまたは2つの台車52が、前述の2つの合体装置のいずれによって回路部品装着装置10に合体させられているかを示すテーブルである。このテーブルは、SPIDネットワーク522を使用して、例えば以下のようにして作成される。(i)各台車52に設けられているSFUコントローラ530は、合体により電力の供給が開始されると、まず最初に、M/Cコントローラ516に、起動した旨の信号を送信する。(ii)M/Cコントローラ516は、その起動を示す信号を送信したSFUコントローラ530に(そのSFUコントローラ530のSIDを付して)命令を発する。その命令は、“S/M通信部130の発光素子280を発光させよ”というものである。(iii)命令を受信したSFUコントローラ530は、S/M通信部130の発光素子280を発光させる。(iv)M/Cコントローラ516は、2つの合体装置に属する2つのM/S通信部552の受光素子290の状態をそれぞれ検知する。そして、光を検出した受光素子290を含むM/S通信部552が属する方の合体装置により回路部品装着装置10に合体させられている台車52が、(ii)において起動した旨の信号を送信したSFUコントローラ530を備えたものであると特定する。各受光素子290は、SPIDネットワーク522により、それぞれ独立にM/Cコントローラ516に接続されているので、このことが可能なのである。M/Cコントローラ516はこの特定結果に基づいて、図15に示した台車/合体装置対応テーブルを作成する。
【0067】
また、以下のようにしてテーブルが作成されるようにしてもよい。(i)M/Cコントローラ516は、M/Cネットワーク520上に、定期的にある命令を発する。その命令は、回路部品装着装置10と合体させられる可能性がある台車52に含まれるSFUコントローラ530のSIDを付して順次発信される。そして、その命令の内容は上述の手順と同様であり、“S/M通信部130の発光素子280を発光させよ”というものである。(ii)この命令が、合体させられた台車52に属するSFUコントローラ530に受信されると、そのSFUコントローラ530は命令に付されているSIDが自己のSIDと一致しているか否かを調べ、一致していればS/M通信部130の発光素子280を発光させる。しかし、そのようなSFUコントローラ530を含む台車52が合体させられていない場合は、何も起こらない。(iii)M/Cコントローラ516は、2つの合体装置に対応して設けられているM/S通信部552の受光素子290の状態をそれぞれ検知する。いずれかのM/S通信部552の受光素子290により光が検出された場合は、光を検出した受光素子290を含むM/S通信部552に対応する合体装置により、直前に命令を発光した先のSFUコントローラ530を備えた台車52が合体させられたと特定する。
【0068】
手順(6) :フィーダ/保持ユニット対応テーブル作成
各SFUコントローラ530は、図16にその一例を示すフィーダ/保持ユニット対応テーブルをそれぞれ作成する。これは、フィーダ54の各々が、前述の24個のフィーダ保持ユニット100のいずれに保持されているか、すなわち、複数のフィーダ54の保持位置を示すテーブルである。このテーブルを作成するために、FPIDネットワーク536が使用される。このテーブルは、例えば、手順(5) において説明した台車/合体装置対応テーブルを作成する2つの手順のいずれかと同様の手順を用いて作成できる。なお、台車/合体装置対応テーブルとフィーダ/保持ユニットテーブルとでは、含まれるデータの件数が違う。この違いは、台車52の数と、各台車52に保持され得るフィーダ54の数との違いである。このように、位置を見い出すべき対象物の数は異なるが、SPIDネットワーク522とFPIDネットワーク536とを用いることによって、複数の対象物の各々の位置を特定することができるのである。
【0069】
手順(7) :回路部品/保持ユニット対応テーブル作成
LTコンピュータ502を、インターフェイス600,602(および図示しないルータ)を用いて、2つの台車52の各々のSFUネットワーク534に接続し、手順(2) で作成されたそれぞれの回路部品/フィーダ対応テーブルの内容を、各々のSFUコントローラ530に送信する。LTコンピュータ502は、各SFUネットワーク534に接続された状態で1つのノードとして機能し、そのためのアドレスデータを有している。各SFUコントローラは530は、受信した回路部品/フィーダ対応テーブルの内容(図14参照)と、手順(6) の処理で作成した各台車52に固有のフィーダ/保持ユニット対応テーブルの内容(図16参照)とを記憶する記憶手段を備えており、その記憶手段の記憶内容に基づいて、図17にその一例を示す回路部品/保持ユニット対応テーブルをそれぞれ作成する。回路部品/フィーダ対応テーブルとフィーダ/保持ユニット対応テーブルとの内容には、共にFIDのデータが含まれており、これら2つの対応テーブルの内容のうち、同じFIDを持つ回路部品とフィーダ保持ユニット100とが対応付けられて、回路部品/保持ユニット対応テーブルが作成されるのである。この回路部品/保持ユニット対応テーブルは、どの回路部品がどのフィーダ保持ユニット100の位置から供給されるかを示すテーブルである。
【0070】
手順(8) :回路部品/部品残数対応テーブル作成
各SFUコントローラ530は、手順(7) で作成した回路部品/保持ユニット対応テーブルの内容を、それぞれM/Cコントローラ516に送信する。M/Cコントローラ516は、受信した2つの回路部品/保持ユニット対応テーブル(図17参照)の内容のそれぞれと、ホストコンピュータ504の回路部品データベースに記憶されている図13に示した内容とから、図18にその一例を示す回路部品/部品残数対応テーブルを、各台車52ごとにそれぞれ作成する。なお、回路部品データベースの内容(図13参照)は、ホストネットワーク510を介して取得される。このとき、回路部品データベースの内容のすべてが取得されるのではなく、各SFUコントローラ530より受信した2つの回路部品/保持ユニット対応テーブルに含まれる部品識別コードに相当する回路部品のデータのみが取得されて、通信に要する時間が短縮されて、回路部品/部品残数対応テーブルが効率よく作成される。なお、M/Cコントローラ516の記憶容量が十分にあれば、M/Cコントローラ516に回路部品データベースの内容が予めすべて取得されるようにしてもよい。
【0071】
ここにおいて、M/Cコントローラ516は、装着されるすべての回路部品と、各回路部品を供給するフィーダ54が保持されているフィーダ保持ユニット100の位置とを、この回路部品/部品残数対応テーブルの内容と、図15に示した台車/合体装置対応テーブルの内容とに基づいて得ることができるのである。また、部品収容位置と部品残数との値を知ることもできる。これらの内容に基づいて、装着機18が制御される。部品収容テープ156内における各回路部品の位置を示す部品収容位置を参酌することにより、吸着ノズル20による回路部品の吸着位置を制御することができる。さらに、M/Cコントローラ516は、各台車52ごとに作成された2つの回路部品/部品残数対応テーブルを、対応するSFUコントローラ530に送信する。SFUコントローラ530においては、回路部品/部品残数対応テーブルの部品残数の値が、後述するように装着作業中に変更される。
【0072】
手順(9) :部品収容ピッチ・部品残数教示
各フィーダ54には、前述のようにいくつかの操作スイッチが設けられており、その一部のものの操作によって回路部品を1つ供給するごとのモータ202,226の回転角度(部品収容ピッチに対応する)を入力することが可能であり、F/Dコントローラ540はその入力情報に基づいてモータ202,226を制御することができる。つまり、F/Dコントローラ540は独自にフィーダ54を制御することが可能なのであるが、その上、部品収容ピッチ等の情報がSFUコントローラ530からも教示され得るようになっており、ユーザはいずれかを任意に利用し得る。後者が利用される場合には、各SFUコントローラ530は、手順(8) でM/Cコントローラ516から送信された回路部品/部品残数対応テーブルの内容に基づいて、自分自身が設けられている台車52に保持されているフィーダ54のそれぞれに、対応する部品収容ピッチと部品残数とを教示する。各フィーダ54のF/Dコントローラ540は、それらの内容を、図19に示すピッチ・残数テーブルとして記憶する。したがって、F/Dコントローラ540は、部品収容ピッチに基づく部品収容テープ156の送り量(モータ202,226の回転角度)の決定や、部品残数の自己監視等の処理を、M/Cコントローラ516から送信された情報に基づいて行うことができる。本実施形態においては、M/Cコントローラ516から送信された回路部品/部品残数対応テーブルの内容がF/Dコントローラ540に記憶された場合には、そのテーブルの情報が操作スイッチの操作により入力された情報より優先するようになっている。
【0073】
部品残数テーブルの部品残数は1個の回路部品が供給されるごとにF/Dコントローラ540により1ずつ減少させられる。この部品残数は、例えば、各フィーダ54に2組の7セグメントのLED表示器やLCD表示器等を設け、F/Dコントローラ540に各部品収容テープ156の部品残数をそれらの表示器に表示させたり、あるいは、F/Dコントローラ540により制御可能な機械的なカウンタ表示機や、消費電力の少ないLCD表示器と蓄電池等を設けて、フィーダ54に電源が供給されない状態においても各フィーダ54に装着されている部品収容テープ156の部品残数を表示させたりして利用することができる。また、F/Dコントローラ540の回路部品/部品残数対応テーブルを記憶する記憶手段を、E2 PROM等の不揮発性メモリとすれば、フィーダ54が台車52から、あるいは台車52が部品装着装置10から外された状態で、各フィーダ54に収容されている回路部品の残数をLTコンピュータ502等により読み出し、表示器に表示させることによって利用することもできる。
【0074】
以上の手順の各処理がすべて終了することにより、準備処理が完了する。上記各手順(6) ないし手順(9) は、すべてのフィーダ54が台車52に保持され、2つの台車52が共に回路部品装着装置10と合体させられた後に作成されることが望ましい。そのようにすれば、図14ないし図19に示した各テーブルの作成が、1回ずつで済むからである。しかし、このことは必須の事項ではなく、これらのテーブルの更新が必要とされる場合には、上記手順(6) ないし手順(9) の処理が繰り返し行われるようにしてもよい。
【0075】
このように、本実施形態の回路部品装着システム500においては、前述の台車/合体装置対応テーブルやフィーダ/保持ユニット対応テーブルが、前記装着保持合体作業の後に作成されるので、リファレンスとしての前記供給位置/部品識別コード対応関係との比較によって、前記装着保持合体作業に誤りがあったか否かを把握できる。誤りがあった場合は、誤りがあったことおよびその誤りの内容を、回路部品装着装置10に設けられる図示しないディスプレイに表示し、作業者に通報する。なお、この表示は、ホストコンピュータ504や台車52に設けられるディスプレイに行わせることもできる。このようにして、装着保持合体作業の誤りの訂正を促すことができる。なお、上記誤りの内容に基づいて、前記制御プログラムそのものを、作業者による装着保持合体作業が、あたかも正しく行われたかのように修正することも可能である。つまり、前記供給位置/部品識別コード対応関係を、台車/合体装置対応テーブルやフィーダ/保持ユニット対応テーブルの内容に基づいて修正し、その修正された供給位置/部品識別コード対応関係の情報を含むように制御プログラムを書き換えるのである。この書換えは全く自動的に行われるようにすることも、また、装着保持合体作業の誤りがディスプレイに表示されたのに応じて、作業者が書換え指令用操作部材の操作を行った場合にのみ行われるようにすることも可能である。いずれにしても、作業者による誤りの訂正作業が行われなくとも、装着作業に支障がないこととなる。この場合についてさらに付言すれば、プリント基板に装着されるべき回路部品が供給され得る状態でありさえすればよく、装着作業に要する時間が長くなることを厭わないのであれば、それら回路部品の位置は任意であることとなる。
【0076】
このことは、回路部品装着装置が、本実施形態における回路部品装着装置8のように、吸着ノズル20がXY移動装置24により移動させられ、回路部品を1個ずつ回路部品供給装置8から受け取ってプリント基板16に装着するものである場合に特によく当てはまる。回路部品装着装置が、複数の部品保持具が共通の旋回軸線まわりに旋回させられ、各吸着ノズルが旋回軌跡上に設定された一定の部品受取位置で部品供給装置から回路部品を受け取る形式のもの(前記特開平7−15179号公報に記載の装置はその一例である)等、他の形式の回路部品装着装置である場合にもある程度当てはまるのであるが、この場合には、フィーダ保持部材へのフィーダの装着位置が、回路部品の供給のために要するフィーダ保持部材の移動距離をできる限り小さくするように決定されるのが普通であるため、フィーダが予定の位置に装着されなければ、部品供給に要する時間が長くなる。したがって、この時間の延長が余りに大きい場合には、フィーダ54の装着位置を変更することが望ましい。
【0077】
つぎに、装着作業に伴う情報交換について説明する。M/Cコントローラ516は、前述の制御プログラムを記憶している。その制御プログラムには、M/Cコントローラ516に、前記供給位置/部品識別コード対応関係に基づいて回路部品の装着作業を行わせるための命令が含まれている。
まず、(i)M/Cコントローラ516は、装着すべき回路部品を、装着機18を制御して吸着ノズル20に吸着させ、その吸着した回路部品を供給しているフィーダ54に、供給命令を発する。この命令には、吸着した回路部品を収容する部品収容リール150の部品識別コードが含まれる。これは、1つのフィーダ54に、2つの部品収容リールを装着できるため、それらのいずれに収容されている回路部品を供給するかを特定する必要があるためである。(ii)命令を受信したF/Dコントローラ540は、受信した部品識別コードに基づいて、駆動装置200と駆動装置201とのいずれか一方により、部品収容テープ156を送り、つぎの回路部品の吸着に備える。(iii)F/Dコントローラ540は、SFUコントローラ530に対して、回路部品の供給を行ったことを、その回路部品を収容する部品収容リールの部品識別コードを付して通報する。(iv)SFUコントローラ530は、各F/Dコントローラ540からの報告に基づいて、自身が記憶する回路部品/部品残数対応テーブルの部品残数の値を更新する。
【0078】
このようにして、装着作業中において、各SFUコントローラ530は、自身を含む台車52に保持されているフィーダ54内の回路部品の部品残数を、常に把握できるのである。また、2つの台車52の各々のSFUコントローラ530に記憶されている回路部品/部品残数テーブルの内容は、各SFUコントローラ530により、インターフェース600,602(および図示しないルータ)を介してLTコンピュータ502に随時送信することができる。LTコンピュータ502は、その受信内容に基づいて、装着作業中の回路部品に関する状況を図示しないディスプレイに表示し、作業者に知らせることができる。
【0079】
一方、各SFUコントローラ530は、回路部品/部品残数テーブルの内容を、M/Cネットワーク520を介して、M/Cコントローラ516にも随時送信できる。さらにM/Cコントローラ516は、その内容を、ホストネットワーク510を介して、ホストコンピュータ504に送信できる。そして、ホストコンピュータ504は、その受信内容に基づいて、装着作業中の部品収容リール150の部品残数を、回路部品データベースに随時反映させることができる。さらに、ホストコンピュータ504は、ホストネットワーク510に複数の回路部品装着装置10が接続されれば、それら複数の回路部品装着装置10によって装着されている回路部品の部品残数を随時把握することができ、その部品残数に基づいて回路部品データベースの内容を更新することができる。台車52,回路部品装着装置10およびホストコンピュータ504は、それらに設けられる図示しないディスプレイに、以上に説明した通信に基づいて得た各情報を表示させることができる。
【0080】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、LTコンピュータ502,ホストコンピュータ504,ホストネットワーク510,M/Cコントローラ516,M/Cネットワーク520,SPIDネットワーク522,SFUコントローラ530,SFUネットワーク534,FPIDネットワーク536,F/Dコントローラ540等により、供給管理装置が構成されている。また、SFUコントローラ530,SFUネットワーク534,FPIDネットワーク536,F/Dコントローラ540等により、フィーダ保持部特定手段が構成されており、それらのうち、SFUコントローラ530,F/Dコントローラ540等により特定制御手段が構成されている。また、SFUコントローラ530により回路部品決定手段が構成されている。
【0081】
本実施形態の回路部品装着システム200においては、各フィーダ54がそれぞれ固有のフィーダ識別コードたるFIDを持っているので、そのFIDと、各回路部品を収容する部品収容リール150に固有の部品識別コードとを予め対応付けることが容易である。つまり、図14に示した回路部品/フィーダ対応テーブルを、単に、各フィーダ54と部品収容リール150とに張り付けられたフィーダバーコードシール572と部品バーコードシール506とを、バーコードリーダで相次いで読み込ませるだけの容易な手順で作成することができる。そして、この回路部品/フィーダ対応テーブルの内容に基づいて、前述のように回路部品の供給管理が行われる。
【0082】
各フィーダ54がそれぞれ固有のフィーダ識別コードたるFIDを持つことを利用すれば、装着作業に使用されているフィーダだけでなく、装着作業に使用されていないフィーダをも含めた管理を行うこともできる。例えば、生産計画の作成が容易になる。(i)装着作業に使用されているフィーダのフィーダ識別コードと、装着されている部品収容リールの部品識別コードとの対応関係、(ii)部品収容リールが装着された状態で待機しているフィーダのフィーダ識別コードと、その部品収容リールの部品識別コードとの対応関係、(iii)部品収容リールが装着されていない状態で待機しているフィーダのフィーダ識別コード群、(iv)フィーダに装着されていない部品収容リールの部品識別コード群、(v)部品収容リールが装着されていない状態で待機しているフィーダのフィーダ識別コードと、各フィーダに装着可能な部品収容リールの部品識別コードとの対応関係、(vi)(i)ないし(iv)の各フィーダや部品収容リールの工場内における位置等、各フィーダや部品収容リールの状態に関するさまざまな情報に基づいて生産計画を作成すれば、その作成が容易になるのである。例えば、つぎのプリント基板の装着作業に必要な回路部品を収容している部品収容リールが既に装着されているフィーダがある場合は、そのフィーダの保管場所や、つぎのプリント基板の装着作業に必要な回路部品を収容している部品収容リールを装着しているフィーダはないが、そのような部品収容リールを装着可能なフィーダの有無とその保管場所等の情報を利用することが可能となるのである。それに対して、各フィーダがフィーダ識別コードを持たない場合は、部品収容リールを装着せずに待機しているフィーダを特定することができない。したがって、そのようなフィーダと、それらの工場内における位置との対応関係を管理できないこととなる。フィーダ識別コードを利用した生産計画に従えば、一般に比較的高価であり、1つの台車52に対して数多く必要とされるが、装着される可能性がある回路部品の種類に比べれば数少ないフィーダ54を、全体として効率よく利用できることになる。また、種類の異なる複数のプリント基板に、順次回路部品の装着作業を行う際には、段取り換えが行われるが、その段取り換え時の各フィーダへの部品収容リールの着脱回数をできる限り少なくするように生産計画の立案を行うことも可能になる。
【0083】
なお、図8に示した構成におけるSFUコントローラ530の数を、1つから複数に増すこともできる。それに伴って、M/Cネットワーク520,M/S通信部552,S/M通信部130,SFUネットワーク534,FPIDネットワーク536等の数も増されることとなる。増されたSFUネットワーク534,FPIDネットワーク536等は、それぞれ別のフィーダ保持ユニット100に接続される。例えば、SFUコントローラ530を2つとし、一方のSFUコントローラ530には、第1,第2フィーダ保持ユニット群102に保持されるフィーダ54が接続され、他方のSFUコントローラ530には、第3,第4フィーダ保持ユニット群102に保持されるフィーダ54が接続されるようにしたり、また、SFUコントローラ530を4つとし、それぞれのSFUコントローラ530に、第1ないし第4フィーダ保持ユニット群102の各々に保持されるフィーダ54(各6つ)が接続されるようにしてもよい。各SFUコントローラ530は、それぞれが管理を担当するフィーダ54の数を減少させることができるので、それぞれに対応するSFUネットワーク534上の通信トラフィックに余裕ができ、通信速度を高速化でき、回路部品供給の高速化に繋がる。このことは、吸着ノズル20による回路部品の吸着の頻度が高くなるほど有効である。
【0084】
また、本実施形態においては、2つの台車52と回路部品装着装置10との合体の位置が不定であるため、SPIDネットワーク522を用いた合体位置の特定が行われるのであるが、例えば、各台車の合体可能位置が一義的に決まっている場合や、合体位置のデータが作業者等によって入力される場合等には、SPIDネットワーク522、およびそれを用いた合体位置の特定手段を省略することができる。
【0085】
図20は、別の実施形態である回路部品供給システムを含む回路部品装着システムを示す系統図である。本実施形態の回路部品装着システム500は、前述の実施形態と同様に、回路部品装着装置10と台車52とを含んでいる。ただし、本実施形態の回路部品装着装置10は、SPIDネットワーク522に相当するものを含まず、また、台車52は、FPIDネットワーク536に相当するものを含まない。なお、図20には、前述の実施形態に含まれるLTコンピュータ502と、LTコンピュータ502とSFUネットワーク534とを接続するためのインターフェース600,602とに相当するものが示されていないが、本実施形態においてもこれらが使用されてもよい。本実施形態の回路部品装着装置10は、3つのM/Cコントローラ516を含んでいる。図20には、それらのうち2つが図示されている。それら3つのM/Cコントローラ516のうちの1つは、ホストネットワーク510とM/Cネットワーク520とにそれぞれ独立に接続され、他の2つはM/Cネットワーク520に接続される。前者の1つのM/Cコントローラ516を、第1のM/Cコントローラ516と称する。後者の2つのM/Cコントローラ516の各々を、第2のM/Cコントローラ516と称する。
【0086】
第1のM/Cコントローラ516は、前述の実施形態のM/Cコントローラ516と同様に、基板搬送装置14や装着機18の制御等の処理をも行うが、2つの第2のM/Cコントローラ516は、専ら、2つの台車52との情報交換に使用される。2つの第2のM/Cコントローラ516は、2つのM/S通信部552と、それぞれ1対1に接続される。ただし、本実施形態におけるM/S通信部552は、受光素子290を含まなくてもよい。また、各台車52の各々は、24個のSFUコントローラ530をそれぞれ含んでおり、それらはSFUネットワーク534に接続されている。そして、24個のSFUコントローラ530の各々は、24個のS/F通信部116と1対1に接続される。なお、本実施形態におけるS/F通信部116は、受光素子290を含まなくてもよい。また、SFUネットワーク534は、S/M通信部130を含んでいるが、そのS/M通信部130は、本実施形態においては発光素子280を含まなくてもよい。また、各フィーダ54のそれぞれは、F/S通信部270に接続されたF/Dコントローラ540を含んでいるが、本実施形態のF/S通信部270は、発光素子280を含まなくてもよい。
【0087】
3つのM/Cコントローラ516,24個のSFUコントローラ530および各F/Dコントローラ540は、前述の実施形態と同様に、それぞれに固有のアドレスデータ(MID,SIDおよびFID)を含んでいる。さらに本実施形態においては、3つのM/Cコントローラ516の、回路部品装着装置10内における位置が決まっている。また、24個のSFUコントローラ530の、台車52内における位置が決まっている。これらの位置関係(ノードIDとして各SIDを有するSFUコントローラ530がそれぞれどの位置に設けられているかを表す情報)を、第1のM/Cコントローラ516に予め記憶させておくことにより、回路部品の装着の制御を行う第1のM/Cコントローラ516により、目的とする回路部品が供給されるフィーダ54が保持されている位置を特定できるのである。つまり、前述の実施形態におけるSPIDネットワーク522とFPIDネットワーク536とによる位置の特定手段を省略する代わりに、M/Cコントローラ516とSFUコントローラ530との数を多くし、それらのノードIDに基づく位置の特定手段を有するものなのである。したがって、回路部品装着装置10と台車52とは、それらの構成は複雑になるきらいがあるが、目的とする回路部品が供給されるフィーダ54の位置を特定するための手順を簡単化できるという利点がある。
【0088】
図8に示した実施形態の回路部品装着システム500は、SPIDネットワーク522とFPIDネットワーク536とを用いて、また、図20に示した実施形態の回路部品装着システム500においては、それらSPIDネットワーク522とFPIDネットワーク536とを使用する代わりに、M/Cコントローラ516およびSFUコントローラ530の数を増やすことによって、回路部品装着装置10と各台車52との合体位置や、台車52におけるフィーダ54の保持位置を特定していた。このことは、図21にその系統図を示すさらに別の形態でも実施できる。
図21において、610は、回路部品装着装置10の2つの合体装置に固有の標識たるカルラコードを示す符号である。このカルラコード610は、回路部品装着装置10と台車52とが合体させられた状態において、台車52に設けられる標識識別手段たるカルラコードリーダ612により読み取られるようにされている。カルラコードリーダ612は、SFUコントローラ530に接続されている。結局、各SFUコントローラ530は、自分自身を含む台車52が2つの合体装置のいずれにより合体させられているかを、カルラコード610の内容に基づいて知ることができる。
さらに、カルラコード610は、各回路部品供給装置10の複数のフィーダ保持ユニット100のそれぞれにも設けられる。これらのカルラコード610は、フィーダ54に設けられるカルラコードリーダ612によって読み取られる。これによって、各F/Dコントローラ540は、自分自身を含むフィーダ54が保持されているフィーダ保持ユニット100の位置を特定できる。
【0089】
以上の構成によれば、各SFUコントローラ530と各F/Dコントローラ540とが、自分自身の位置を把握できる。そして、各コントローラが、M/Cコントローラ516に対して、それぞれの位置を通報することにより、M/Cコントローラ516は、目的とするフィーダ54の位置を特定できることとなる。なお本実施形態においては、標識としてカルラコード610が用いられているが、バーコード,IDチップ等の他の標識が用いられる形態としてもよい。
【0090】
以上に述べた各実施形態においては、回路部品装着システム500に含まれる回路部品装着装置10は1つであり、台車52は2つであったが、これらの数は任意である。また、各台車52に保持されるフィーダ54の数も任意である。
以上、本願の各発明の実施形態をいくつか説明したが、本願の発明はこれらの他にも、特許請求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態である回路部品供給システムの回路部品供給装置と、回路部品装着装置との一部を示す正面図である。
【図2】 上記回路部品供給装置を示す正面図である。
【図3】 上記回路部品供給装置の左側面図である。
【図4】 上記回路部品供給装置の右側面図である。
【図5】 本発明の一実施形態であり、前記回路部品供給装置の構成要素であるフィーダを示す正面図である。
【図6】 上記フィーダの構成の一部を拡大して示す要部正面図である。
【図7】 前記回路部品供給装置のフィーダ保持ユニットに上記フィーダが保持されている状態の一部を拡大して示す正面図(一部断面図)である。
【図8】 前記回路部品供給システムと、前記回路部品装着装置とを含む回路部品装着システムの電気系統図である。
【図9】 図8に示した回路部品装着装置と回路部品供給装置との電気系統をさらに具体的に示す系統図である。
【図10】 前記回路部品装着装置に設けられたM/Cネットワークと、前記回路部品供給装置に設けられたSFUネットワークとを用いて行われる通信の送信側の処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】 前記回路部品装着装置に設けられたM/Cネットワークと、前記回路部品供給装置に設けられたSFUネットワークとを用いて行われる通信の受信側の処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】 図9のFPIDネットワークとは別のFPIDネットワークを示す系統図である。
【図13】 前記回路部品装着システムのホストコンピュータに記憶される回路部品データベースの内容の一例を示す図表である。
【図14】 前記回路部品供給システムのLTコンピュータによって記憶され、前記回路部品供給装置に設けられたSFUコントローラに送信される回路部品/フィーダ対応テーブルの内容の一例を示す図表である。
【図15】 前記回路部品装着装置に含まれるM/Cコントローラにより作成される台車/合体装置対応テーブルの内容の一例を示す図表である。
【図16】 前記SFUコントローラにより作成されるフィーダ/保持ユニット対応テーブルの内容の一例を示す図表である。
【図17】 前記回路部品/フィーダ対応テーブルと前記フィーダ/保持ユニット対応テーブルとの内容に基づいて前記SFUコントローラにより作成され、前記M/Cコントローラにその内容が送信される回路部品/保持ユニット対応テーブルの内容の一例を示す図表である。
【図18】 前記回路部品/保持ユニット対応テーブルと前記回路部品データベースとの内容に基づいて前記M/Cコントローラにより作成され、前記SFUコントローラにその内容が送信される回路部品/部品残数対応テーブルの内容の一例を示す図表である。
【図19】 前記フィーダに設けられたF/Dコントローラにより記憶されるピッチ/残数テーブルの内容の一例を示す図表である。
【図20】 本発明の別の実施形態である回路部品装着システムを示す系統図である。
【図21】 さらに別の実施形態である回路部品供給システムを含む回路部品装着システムを示す系統図である。
【符号の説明】
10:回路部品装着装置 14:基板搬送装置 16:プリント基板
20:吸着ノズル 26:XYZθ移動装置 32:カメラ 50:回路部品供給システム 52:回路部品供給台車 54:フィーダ 64:フィーダ保持装置 66:係合部 68:係合装置 70:係合突起 71:丸穴部 72:切欠 74:ガイドテーパスリーブ 80:ガイド機構 93:合体検出用突起 100:フィーダ保持ユニット 102:フィーダ保持ユニット群 112:空気供給部 114:電力供給部 116:S/F通信部 125:係合溝 126:係合部材 128:レバー 130:S/M通信部 132:電力被供給部 134:空気被供給部 150:部品収容リール 156:部品収容テープ 160:テープガイド 162:裁断機 164:切断片収容器 200,201:駆動装置 202,226:モータ 214:スプロケット 220,222,240,242:ピンチローラ 246:パイプ 248:空気ノズル
256:リンク機構 270:F/S通信部 272:空気被供給部 274:電力被供給部 280,282,284,296:発光素子 290,292,294,286:受光素子 500:回路部品装着システム 502:ラップトップコンピュータ(LTコンピュータ) 504:ホストコンピュータ 506:部品バーコードシール 510:ホストネットワーク
516:M/Cコントローラ 520:M/Cネットワーク 522:SPIDネットワーク 530:SFUコントローラ 534:SFUネットワーク 536:FPIDネットワーク 540:F/Dコントローラ
546,560:ツイストペア線 548,562:終端抵抗 550,564:バスドライバ 551,566,568:オプティカルリンクドライバ 552:M/S通信部 570:オプティカルリンク 572:フィーダバーコードシール 574,576:電線 578:エンコーダ 600,602:インターフェース 610:カルラコード 612:カルラコードリーダ
Claims (7)
- 少なくとも一種類の回路部品を複数個ずつ収容し、各種類ごとに1個ずつ順次供給するフィーダであって、
そのフィーダに固有のフィーダ識別コードを読み出し可能な状態で記憶している識別コード記憶手段と、その識別コード記憶手段から前記フィーダ識別コードを読み出す識別コード読出手段とを内蔵していることを特徴とするフィーダ。 - 前記識別コード読出手段と接続された通信部を備え、その通信部が、当該フィーダがフィーダ保持部に保持された状態で、その通信部と対向する状態となる別の通信部との通信により前記フィーダ識別コードをその別の通信部に供給することを特徴とする請求項1に記載のフィーダ。
- 当該フィーダによる前記回路部品の供給を制御するコントローラを含み、そのコントローラが、そのコントローラ自身の識別コードを記憶している記憶装置を内蔵しており、そのコントローラ自身の識別コードを前記フィーダ識別コードとして読み出し、前記識別コード読出手段として機能することを特徴とする請求項1または2に記載のフィーダ。
- 各々少なくとも一種類ずつの回路部品を複数個ずつ収容し、各種類ごとに1個ずつ順次供給する複数のフィーダと、その複数のフィーダの各々を1つずつ保持するフィーダ保持部を複数備えたフィーダ保持部材と、前記複数のフィーダの各々による回路部品の供給を管理する供給管理装置とを含む回路部品供給システムであって、
前記複数のフィーダの各々が、少なくとも各フィーダに固有のフィーダ識別コードを記憶している識別コード記憶手段と、その識別コード記憶手段から前記フィーダ識別コードを読み出す識別コード読出手段とを内蔵しており、かつ、前記供給管理装置が、前記フィーダ識別コードに基づいて前記回路部品の供給を管理するものであることを特徴とする回路部品供給システム。 - 前記供給管理装置が、前記複数のフィーダの各々の前記回路部品の供給ミスに関する情報であるミスフィード情報と前記複数のフィーダの各々のメンテナンスに関する情報であるメンテナンス情報との少なくとも一方を各フィーダの前記フィーダ識別コードと関連付けて管理する部分を含むことを特徴とする請求項4に記載の回路部品供給システム。
- 前記供給管理装置が、前記フィーダ識別コードを拠り所として前記回路部品の在庫管理を行う部分を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の回路部品供給システム。
- 前記供給管理装置が、前記フィーダ識別コードに基づいて前記複数のフィーダの各々を特定することにより、それら各フィーダによって供給される回路部品の種類の特定を間接的に行う部分を含むことを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の回路部品供給システム。
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