JP3802925B2 - バックグランドノイズの減少を伴う液相核酸サンドイッチアッセイ - Google Patents
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Description
本発明は、一般的に、核酸化学およびハイブリダイゼーションアッセイに関する。より詳細には、本発明は、液相サンドイッチハイブリダイゼーションアッセイにおいて、主に非特異的ハイブリダイゼーションおよび/または非特異的結合に由来するバックグランドノイズを最小限に抑えることによって、より標的依存性のシグナルを生成する方法に関する。
さらに、本発明は、バックグランドノイズを減らす一方、消失したシグナルを補う方法に関する。本発明はさらに、開示されたアッセイを実行するために必要な試薬を含むキットに関する。
背景
核酸ハイブリダイゼーションアッセイは、一般的に、遺伝学的研究、生化学的研究および臨床診断に使用される。基礎的な核酸ハイブリダイゼーションアッセイにおいて、一本鎖分析物の核酸は標識一本鎖核酸プローブとハイブリダイズし、そして得られた標識二本鎖が検出される。この基本的構成の改変が開発され、精度が高められ、異質物質から検出しようとする二本鎖の分離が容易になり、および/または検出されるシグナルが増幅されている。
本発明は、いくつかの供給源に由来する液相サンドイッチハイブリダイゼーションアッセイにおいて生じるバックグランドノイズを減少する方法に関する。一般に、現在開示されている技術が抱えているバックグランドノイズは、所定のアッセイにおいて使用される種々のポリヌクレオチド成分の所望しない相互作用、すなわち、分析物の存在または量に相当しないシグナルを生じる相互作用が原因である。本発明は、多くのアッセイ形態と結合するのに有用であり、ここで多様なハイブリダイゼーション工程が行われて、ポリヌクレオチド分析物の存在または量と相関する検出可能なシグナルが生成される。
1つのこのようなアッセイは、一般的に例示される米国特許第4,868,105号(Urdeaら)に詳細に記載されている。このアッセイは、ポリヌクレオチド分析物を固体の支持体に結合するように意図される二部捕獲システムと、検出可能な標識を検出または定量しようとするポリヌクレオチド分析物に結合するように意図された二部標識システムとの使用を包含する。二部捕獲システムは、固体の支持体に結合した捕獲プローブと、捕獲プローブのセグメントおよびポリヌクレオチド分析物のセグメントの両方にハイブリダイズする捕獲伸長分子との使用を包含する。二部標識システムは、ポリヌクレオチド分析物のセグメントにハイブリダイズする標識プローブ伸長分子と、標識プローブ伸長分子にハイブリダイズし、そして検出可能な標識を含みまたは検出可能な標識に結合する標識プローブとの使用を包含する。このようなシステムの有用性は、分析物の存在と相関する方法において、標識が検出されるためには、多くのハイブリダイゼーション工程が存在なくてはならず、この場合、2つの別のハイブリダイゼーション反応が分析物「捕獲」のために生じなければならず、同様に、2つの別のハイブリダイゼーション反応が分析物標識のために生じなければならない。しかし、検出可能なシグナルが分析物の存在または量に相関しない方法で生成され得る多くの方法が残されたままであり、これらについては以下に詳しく述べる。
本発明が有用であるアッセイの別の例は、一般的に例示される米国特許第5,124,246号(Urdeaら)に記載のシグナル増幅方法である。この方法では、シグナルは、増幅マルチマー、分析物の核酸に特異的にハイブリダイズする第1のセグメントまたは分析物に結合した核酸の鎖を含むように構築されるヌクレオチド、および標識プローブに特異的にハイブリダイズする多様な第2のセグメントの使用により増幅される。増殖の程度は、理論上、第2のセグメントの反復数に比例する。マルチマーは、直鎖状または分枝状のどちらかであり得る。分枝状マルチマーはフォークまたは櫛の形状であり得、櫛型のマルチマーが好ましい。
1つのアプローチは、ハイブリダイゼーションアッセイにおいてシグナルの標的依存性を増大することを提示しているが、このことは欧州特許公開公報第70,685号(発明者M.J.Hellerら)に記載されている。この参考文献は、近接するプローブ間でエネルギーの非放射性伝達が生じる相同的ハイブリダイゼーションアッセイについて記載しており;2つの別の事象が、産生される標的生成シグナルについて生じなければならず、これが検出の精度を増強する。分析物の存在に由来するシグナルを増強するために意図される第2のアプローチは、欧州特許公開公報第361,983号(発明者J.E.Stefano)に記載されている。本公報に記載の方法は、2つのプローブ配列(一方はミディバリアントRNA(midivariant RNA)(MDV)、他方は半リボザイム(half-ribozyme))のハイブリダイゼーションを包含し、それぞれRNA標的に存在する配列に相補的である。従って、形成されるリボザイムは、特異的にMDVプローブの末尾を切断し、MDVプローブを支持体から放出し、そしてその複製を増強する。さらに、ハイブリダイゼーションアッセイにおける特異性を増大するための第3のアプローチは、Distefanoら、J.Am Chem.Soc.(1992)114:11006-11007に記載されている。この方法は、三重ヘリックスDNAの二つの短い領域の安定性を増強するために二重ヘリックス構造の短い領域の使用を包含する。
欧州特許公開公報第552,931号(発明者Hoganら)は、標的配列の存在下においてのみ形成する二本鎖DNAの領域を検出するプローブシステムを利用する核酸ハイブリダイゼーションアッセイについて記載している。
本発明は、二本鎖領域の存在の検出に依存せず、ハイブリダイゼーションアッセイにおけるポリヌクレオチド分析物の検出および定量の精度を増大することもまた、意図される。本発明は、標的の非存在下において生じるシグナル産生の発生率を減少することによって、このようなアッセイの感受性および特異性の両方を増強し、そして現在のアッセイの構成に関連する時間またはコストのいずれの実質的な増大を包含しない。ある実施態様では、本発明は、バックグランドノイズが減少された場合、生じ得るシグナルの消失を補うことにおいても有効である。
発明の開示
サンプル中の核酸分析物を検出するための方法およびキットが提供される。一般的に、本方法は分析物を固体の支持体に結合する工程、分析物を標識する工程、および支持体上の標識の存在を検出する工程を包含する液相サンドイッチハイブリダイゼーションの改良を示す。好ましい方法は、分析物−プローブ複合体のより有意な標識の結合を可能にする増幅マルチマーの使用を包含し、アッセイの感度および特異性を増強する。
本発明の第1の局面では、2つまたはそれ以上の別の「捕獲伸長」分子が使用されるアッセイが提供され、本アッセイが検出可能なシグナルをもたらすために、それぞれの捕獲伸長分子が分析物に結合しなければならない。上記のように、捕獲伸長分子は、分析物および支持体結合「捕獲プローブ」に結合する架橋プローブである。1つの実施態様において、本アッセイが検出可能なシグナルをもたらすために、少なくとも2つの捕獲伸長分子が単一の支持体結合捕獲プローブに結合しなくてはならない。
さらに、本発明の関連する局面では、アッセイが提供され、そのアッセイにおいて分析物と支持体結合捕獲プローブとの間で形成され、2つまたはそれ以上の別の捕獲伸長分子によって媒介される複数成分の複合体の融解温度Tm1は、捕獲プローブと個々の捕獲伸長分子との間で形成されるそれぞれの2成分複合体の融解温度Tm2よりも有意に高い。この局面では、アッセイは、分析物分子が捕獲プローブに結合する、好ましい構造のハイブリッド複合体の条件で行われる。この技術は、複数成分複合体の安定性の増強を前提としており、相対的に2成分複合体は、より不安定である。分析物結合ハイブリッド複合体を容易にする好ましい方法は、Tm1とTm2との間の温度で1つまたはそれ以上のアッセイの工程を行うことを包含する。
本発明の別の局面では、アッセイが提供され、そのアッセイにおいて、2つまたはそれ以上の別の「標識伸長」分子が使用される;上記のように、標識伸長分子は、直接的に(米国特許第4,868,105号におけるように)または増幅マルチマーにより間接的に(米国特許第5,124,246号におけるように)そのいずれかによって、分析物および標識プローブに結合する架橋プローブである。複数の標識伸長因子は、陽性シグナル(サンプル中の分析物の存在を示す)が生成されるように、分析物に結合しなくてはならない。
本発明の別の関連する局面では、アッセイが提供され、そのアッセイにおいて分析物と増幅マルチマーまたは標識プローブとの間で形成され、2つまたはそれ以上の別の標識伸長分子によって媒介される複数成分複合体の融解温度Tm1は、増幅マルチマーまたは標識プローブと個々の標識伸長分子との間で形成されるそれぞれの2成分複合体の融解温度Tm2よりも有意にに高い。この局面において、このアッセイは、分析物分子が増幅マルチマーまたは標識プローブに結合する、好ましい構造のハイブリッド複合体の条件で行われる。この技術は、複数成分複合体の安定性の増強を前提としており、相対的には2成分複合体はそれ程安定ではない。分析物−増幅マルチマーハイブリッド複合体を容易にする好ましい方法は、Tm1とTm2との間の温度でアッセイの1つまたはそれ以上の工程を行うことを含む。
本発明のさらに別の局面では、1つまたはそれ以上の標識プローブによって架橋される2つの別の増幅マルチマーによって、増幅アッセイが行われる。それぞれの標識プローブは、2つの領域を含み、それぞれ約5〜40ヌクレオチドの長さであり、好ましくは10〜20のヌクレオチドの長さであり、それぞれの増幅マルチマーの相当する領域に相補的である。相補的な領域の長さは、標識プローブと単一の増幅マルチマーとの間で形成される複合体の融解温度がより低い、好ましくは2つの増幅マルチマーの間で形成され、1つまたは以上の標識プローブによって媒介される複合体の溶解温度よりも少なくとも約10℃低いことを確証するように選択される。従って、上記のアッセイのように、個々のマルチマーは、個々の標識プローブと安定なハイブリッドを形成しない;しかし、少なくとも1つの標識プローブおよび少なくとも2つのマルチマーから形成される複数成分のハイブリッド複合体は、安定である。増幅マルチマーが分析物への結合を介して近傍に配置される場合に、複数成分複合体はより形成しやすくなることから、この技術はより標的に依存するシグナルを生成する。
本発明のさらに別の局面では、上記のアッセイの改変が提供され、そのアッセイにおいて、2つの別の標識プローブが提供され、ここで、シグナルが生成されるために、2つの別の標識プローブが共に結合しなくてはならない。先述のアッセイのように、検出可能なシグナルが生成されるために、別のプローブの設定および別のハイブリダイゼーション工程が行われなくてはならず、その結果、特異性が増強される。
本発明はまた、上記のアッセイの改変を包含し、その中で、例えば、オリゴヌクレオチド競合物が、捕獲プローブに結合するようにアッセイ内に組み込まれる(従って、固体支持体上の非特異的ハイブリダイゼーションの可能性を抑える)、ここで、より短い捕獲プローブが使用される(さらに、支持体上の非特異的ハイブリダイゼーションの可能性を抑えるために)。オリゴヌクレオチド競合物も用いられ得、標識エクステンダー(extender)と増幅マルチマーとの間の結合、または標識プローブと増幅マルチマーとの間の結合を阻害する。
さらに、本発明は、バックグランドノイズを減少させるために、本明細書中で提供される種々の技術から生じ得るシグナルの消失を補う方法を包含する。これらの方法は、標識伸長分子と増幅マルチマーとの間の媒介物(intermediate moietie)として作用し、そして多くの増幅マルチマーに結合するように構築されるプリアンプリファイアー(preamplifer)分子の使用を包含する。この方法では、標識エクステンダー当たりの標識プローブの数が、大幅に増加し得る。
さらに、本発明は、上記の技術のそれぞれが組み合わされる、ハイブリダイゼーションアッセイを行なう方法を包含する。すなわち、本アッセイでは2つまたはそれ以上の別の標識伸長分子が使用され、2つまたはそれ以上の別の捕獲伸長分子が使用され、増幅マルチマーおよび標識プローブが構築されて、標識プローブが近接のマルチマーなどに架橋する。
最後に、本発明は、本明細書中および請求の範囲に記載される液相サンドイッチハイブリダイゼーションアッセイを行なうに必要な試薬を含有するキットを含む。
【図面の簡単な説明】
図1は、従来技術の核酸ハイブリダイゼーションアッセイの図である。
図2〜7は、ノイズ生成ハイブリダイゼーション事象の特定の例である。
図8、9、および10は、本発明の改良した核酸ハイブリダイゼーションアッセイの例であり、ここでは固体支持体に標的に結合させるために捕獲エキステンダー分子を必要とする。図8および9は、2つの捕獲エキステンダーが、1つの捕獲プローブに結合する異なる方法を示す。
図10は、同じかあるいは異なる(プローブあたり一つ)捕獲プローブに結合する複数の捕獲エキステンダーを使用する、本発明の改良した核酸ハイブリダイゼーションアッセイの例である。
図11は、十字構造を形成する標識エキステンダー分子を使用する、本発明の改良した核酸ハイブリダイゼーションアッセイの例である。
図12は、多数の増幅マルチマーおよび架橋標識プローブを使用する、本発明の改良した核酸ハイブリダイゼーションアッセイの例である。
図13は、多数の増幅マルチマーおよび多数の架橋標識プローブを使用する、本発明の改良した核酸ハイブリダイゼーションアッセイの例である。
図14は、2時間の平衡による捕獲エキステンダー−標識された標的−捕獲プローブおよび標識された捕獲エキステンダー−捕獲プローブの融解曲線を示す。
図15は、多数の増幅マルチマーおよび多数の架橋標識プローブを使用する、本発明の改良した核酸ハイブリダイゼーションアッセイの別の例である。
図16は、本明細書中に開示したいくつかの別々の概念を組み合わせた、本発明の改良した核酸ハイブリダイゼーションアッセイの別の例である。
発明の実施態様
定義および術語:
本発明を開示し、そして詳細に記載する前に、本発明が、特定のアッセイ形式、物質、または試薬に限定されず、そしてもちろん変化し得ることを理解すべきである。本明細書中で使用した用語は、特定の実施態様のみを記載することが目的であり、そして限定されることを意図しないということもまた理解すべきである。
この明細書および以下の特許請求の範囲では、以下の意味を有すると定義される数多くの用語を参照する:
本明細書中で使用したように、用語「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」は、ポリデオキシリボヌクレオチド(2-デオキシ-D-リボースを含有する)、ポリリボヌクレオチド(D-リボースを含有する)、プリンまたはピリミジン塩基のN-グリコシドである任意の他のタイプのポリヌクレオチド、および非ヌクレオチド骨格(例えば、ペプチド核酸(PNA)およびAntivirals、Inc.(Corvallis、Oregon)からNeugeneTMポリマーとして市販されている合成の配列特異的核酸ポリマー)または非標準的な結合(これによりDNAおよびRNAに見出されるような塩基の対合または塩基のスタッキング(stacking)が可能となる形状でヌクレオチドを含有するポリマーを提供する)を含有する他のポリマーを一般にいう。用語「ポリヌクレオチド」と「オリゴヌクレオチド」との間の長さの区別を意図せず、これらの用語は交換可能に使用される。これらの用語は、分子の一次構造のみに言及する。よって、これらの用語は、2本鎖および1本鎖のDNA、および2本鎖および1本鎖のRNA、およびDNA:RNAハイブリッドを包含し、そしてまた公知のタイプの改変体(例えば、当該分野で公知の標識、メチル化、「キャップ」、1以上の天然に存在するヌクレオチドをアナログで置換)、ヌクレオチド内の改変体(例えば、非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメートなど)および荷電結合(例えば、ホスホロチオエート(phosphorothioate)、ホスホロジチオエート(phosphorodithioate)など)を有する改変体、ペンダント部分(moiety)(例えば、タンパク質(ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジンなどを包含する))を含有する改変体、挿入物(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を有する改変体、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化力のある金属など)を含有する改変体、アルキル化剤を含有する改変体、改変した結合を有する改変体(例えば、α−アノマー核酸など)、およびポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの改変しない形態を包含する。
本明細書中で使用されたように、用語「ヌクレオシド」および「ヌクレオチド」は、公知のプリン塩基およびピリミジン塩基のみならず、改変した他の複素環式の塩基もまた含有するこれらの部分を包含することが認識される。これらの改変体は、メチル化プリン、またはメチル化ピリミジン、アシル化プリン、またはアシル化ピリミジン、または他の複素環を包含する。改変したヌクレオシドまたはヌクレオチドはまた、糖部分に対する改変体(例えば、ここでは1以上の水酸基がハロゲン、脂肪基で置換され、またはエステル、アミンなどとして官能化される)を包含する。
用語「ポリヌクレオチド分析物」は、標的ヌクレオチド配列を含有する1本鎖または2本鎖の核酸分子をいう。分析物核酸は、種々の供給源(例えば、生物学的液体または生物学的固体、食料品、環境物質など)に由来し得、そして種々の手段(例えば、プロテイナーゼK/SDS、カオトロピック塩などの添加、またはフェノール/クロロホルム抽出)によりハイブリダイゼーション解析のために調製され得る。用語「ポリヌクレオチド分析物」は、本明細書中では用語「分析物」、「分析物核酸」、「標的」および「標的分子」と交換可能に使用される。
本明細書中で使用したように、用語「標的領域」または「標的ヌクレオチド配列」は、標的分子内に含有されるプローブ結合領域をいう。用語「標的配列」は、所望の条件下でプローブが安定なハイブリッドを形成する配列をいう。
本明細書中で使用したように、用語「プローブ」は、上で定義したようにポリヌクレオチドを含有する構造をいい、これは、標的分子に存在する核酸配列に相補的な核酸配列を含有する。プローブのポリヌクレオチド領域は、DNA、および/またはRNA、および/または合成ヌクレオチドアナログから形成され得る。
結合配列は、安定なハイブリッドを提供するために完全な相補性を有する必要はないことが理解される。多くの状況で、塩基の約10%未満が適合していなくても、4以上のヌクレオチドのループを無視して、安定なハイブリッドが形成される。従って、本明細書中で使用したように、用語「相補的な」は、アッセイ条件下でその「相補体」と安定な2重鎖を形成する(一般に約90%以上の相同性がある)オリゴヌクレオチドをいうことを意図する。
用語「核酸マルチマー」または「増幅マルチマー」は、本明細書中では、同じ反復1本鎖オリゴヌクレオチドセグメント、または異なる1本鎖ポリヌクレオチドセグメントの直鎖ポリマーまたは分枝鎖ポリマーをいうために使用される。これらはそれぞれ標識プローブが結合し得る領域を含有する、すなわち、標識プローブ内に含有される核酸配列に相補的な核酸配列を含有する;オリゴヌクレオチドセグメントは、RNA、DNA、改変されたヌクレオチドまたはそれらの組み合わせで構成され得る。セグメントの少なくとも1つは、標識プローブの標的配列に特異的に結合することを可能にする配列、長さ、および組成を有する;さらに、セグメントの少なくとも1つは、標識エキステンダーまたは標識プリアンプリファイアーの標的配列に特異的に結合することを可能にする配列、長さ、および組成を有する。代表的には、このようなセグメントは約15〜50、好ましくは15〜30のヌクレオチドを含有し、そして約20%〜約80%の範囲のGC含量を有する。マルチマー内のオリゴヌクレオチドセグメントの総数は、通常約3〜1000の範囲、さらに代表的には、約10〜100の範囲、そして最も代表的には約50である。マルチマーのオリゴヌクレオチドセグメントは、ホスホジエステル結合を通して、または挿入した結合物質(例えば、核酸、アミノ酸、炭水化物、またはポリオール架橋)を通して、または核酸鎖または改変核酸鎖を架橋することが可能な他の架橋物質を通してお互いに直接共有結合し得る。あるいは、マルチマーは、オリゴヌクレオチドセグメントから構成され得、これは、共有結合せず、他のいくつかの様式(例えば、ハイブリダイゼーションを通して)で結合している。このようなマルチマーは、例えば、Nilsenらの米国特許第5,175,270号に記載されている。結合部位は、セグメントの末端(通常の3'-5'方向またはランダムな方向の)、および/または鎖の1以上の内部のヌクレオチドであり得る。直鎖のマルチマーでは、個々のセグメントは、末端と末端が結合して直鎖状ポリマーを形成する。分枝マルチマーの1つのタイプでは、3以上のオリゴヌクレオチドセグメントが、起点から発して分枝状構造を形成する。起点は、別のヌクレオチドセグメント、または少なくとも3つのセグメントが共有結合し得るような多官能分子であり得る。別のタイプでは、1以上のペンダントオリゴヌクレオチドセグメントを有するオリゴヌクレオチドセグメント骨格が存在する。これらの後者のタイプのマルチマーは、「フォーク様」、「櫛様」、または「フォーク様」と「櫛様」との組み合わせの構造であり、ここでは、「櫛様」マルチマーは、本明細書において好ましいマルチマーであるが、骨格から伸びる多数の側鎖を伴なう直鎖状の骨格を有するポリヌクレオチドである。ペンダントセグメントは、通常、オリゴヌクレオチドが結合し得るか、さもなければ付着し得るに適切な官能基を有する、改変されたヌクレオチドまたは他の有機部分から垂れ下がり得る。マルチマーは、全体が直鎖状、全体が分枝状、または直鎖状の部分と分枝状の部分との組み合わせであり得る。代表的には、マルチマーには少なくとも2つの分枝点が、より好ましくは少なくとも3つの分枝点が、より好ましくは約5〜30の範囲の分枝点が存在するが、しかし、いくつかの実施態様ではより多数であり得る。マルチマーは、2本鎖配列からなる1以上のセグメントを包含し得る。マルチマー合成および特定のマルチマーの構造に関するさらなる情報は、同一出願人が所有するUrdeaらの米国特許第5,124,246号に見出される。
PCT公開第WO 92/02526号は、櫛型分枝マルチマーを記載し、これは、特にこの方法との組み合わせに好ましく、そしてこれは、直鎖状の骨格およびペンダント状側鎖で構成される;骨格は、分析物に結合する分析物核酸または核酸に特異的なハイブリダイゼーション部位を提供するセグメントを含み、一方、ペンダント状側鎖は標識されたプローブに特異的なハイブリダイゼーション部位を提供するセグメントの反復を含む。
好ましい櫛型ポリヌクレオチドマルチマーの第1のタイプは、以下の略式(I)で表され得る:
ここで、Sは少なくとも約15ヌクレオチド、好ましくは約15〜50ヌクレオチドの第1のスペーサーセグメントであり、Xは分枝部位を提供する多官能性ヌクレオチドであり、S'は0〜約15ヌクレオチド、好ましくは0〜10ヌクレオチドの分枝部位のスペンサーセグメントであり、mは15以上、好ましくは15〜100の範囲の整数であり、Rは切断可能なリンカー分子であり、nは0または1であり、S"は、約0〜10ヌクレオチド、好ましくは5〜10ヌクレオチドの第2のスペーサーセグメントであり、Aは分析物核酸または分析物に結合した核酸に特異的にハイブリダイズし得るセグメントであり、S'''は0〜10ヌクレオチドの第3のスペーサーセグメントであり、Eは5〜10ヌクレオチドのオリゴヌクレオチド伸張部であり、そしてLは標識されたオリゴヌクレオチドプローブに特異的にハイブリダイズし得るヌクレオチド配列の2〜10反復、好ましくは3〜6反復を含有するセグメントである。
これらの櫛型ポリヌクレオチドマルチマーの好ましい実施態様の第2のタイプは、以下の略式(II)で表し得る:
ここで、Aは分析物核酸または分析物に結合した核酸に特異的にハイブリダイズし得るセグメントであり、Sは少なくとも約15分子、好ましくは約15〜50分子の第1のスペーサーセグメントであり、X'は分枝部分を提供するモノマー分子であり、S'は0〜約15分子、好ましくは0〜10分子の分枝部位のスペンサーセグメントであり、mは15以上、好ましくは15〜100の範囲の整数であり、S"は、約0〜10分子、好ましくは5〜10分子の第2のスペーサーセグメントであり、Rは切断可能なリンカー分子であり、nは0または1であり、S'''は、0〜10分子の第3のスペーサーセグメントであり、Eは、5〜10ヌクレオチドのオリゴヌクレオチド伸張部であり、そしてLは標識されたオリゴヌクレオチドプローブに特異的にハイブリダイズし得るヌクレオチド配列の2〜10反復、好ましくは3〜6反復を含有するセグメントである。
マルチマーの全体の骨格またはそのS〜S"(両端を含む)の部分、および、側鎖のLを除いた部分は、代表的には一体型の単位(integral unit)として、従来の自動化固相オリゴヌクレオチド合成化学および装置を使用して化学的に合成される。この点に関して、スペーサーセグメントSは、分枝部分を含有する分子の部分と固相の間に間隔を空けるのに役立つ(Sの3'末端は直接または間接的に固相の表面に結合する)。他の実施態様では、骨格全体およびLを含むペンダント状側鎖は、一体型の単位として合成され得る。
上式でXまたはX'で表される改変されたヌクレオチドまたは分枝モノマーは、多官能性ヌクレオチドであり得、ここで、1つの官能基が側鎖の伸張に使用され、そして他の官能基は骨格の結合に使用される。多官能性ヌクレオチドの例は、欧州特許出願第883096976号(米国特許出願第340,031号)に記載され、この開示は本明細書中に参考として援用されている。これらの改変ヌクレオチドは、好ましくは以下の式である:
ここで、R3は水素、メチル、I、Br、またはFであり、R4は水素またはメチルであり、Zは以下から成るグループから選択される
ここで、xおよびyは同じあるいは異なり得、そして1〜8(両端を含む)の範囲の整数である。(Z結合の「(1)」および「(2)」の表示は、Zリンカー部分の方向を示す。)
マルチマーの式Iでは、示したように、スペーサーセグメントS'は任意であり、そして所望する場合には、それぞれの分枝部位と先行/後続の隣接する分枝部位の間に、または一連の近接する分枝部位と隣接する一連の分枝部位との間に間隔を空けるために使用され得る。第2のスペーサーセグメントS"もまた、任意であり、そして(標識エキステンダーまたはプリアンプリファイアーのような1以上の中間分子を通して)分子の分枝部位と、分析物が最終的に結合するセグメントAとの間に間隔を空けるために用いられ得る。このように間隔を空けることは、分析物とマルチマーとの間の結合を改善することが見出された。同様に、第3のスペーサーセグメントS'''も任意である。これは好ましくはポリTである。
マルチマーの式IIでは、示したように、スペーサーセグメントS'は任意であり、そして所望する場合には、それぞれの分枝部位と先行/後続の隣接する分枝部位との間に、または一連の近接する分枝部位と隣接する一連の分枝部位との間に間隔を空けるために使用され得る。同様に、スペーサーセグメントS'''も任意である。S、S'、S"、およびS'''は、ヌクレオチド分子または非ヌクレオチド分子を含み得る。スペーサーセグメントに使用され得る非ヌクレオチド分子の例は、以下に記載の切断可能なリンカー分子Rである。
セグメントAは、分析物に結合する核酸(例えば、標識エキステンダーまたはプリアンプリファイアー)に特異的にそして安定的に結合することを可能にする配列および長さを有する。このような特異性および安定性を達成するためには、セグメントAは、通常15〜50、好ましくは15〜30ヌクレオチドの長さである。このセグメントの特定の長さおよび配列は、当然、それがハイブリダイズすることを意図する核酸に依存して変化する。
セグメントEは、自動化固相オリゴヌクレオチド合成装置および技術を使用して化学的に合成される側鎖伸張部分である。これは、代表的には長さが約5〜10ヌクレオチドであり、そしてセグメントLが、酵素的にまたは化学的に結合し得る部位として働く。
セグメントLは、標識されたオリゴヌクレオチドプローブに特異的におよび安定的にハイブリダイズし得るオリゴマーセグメントの反復物を包含する。これらのセグメントはまた、長さが代表的には15〜150、好ましくは15〜120ヌクレオチドである。それぞれのLセグメントは、通常セグメントの2〜10の反復物、好ましくは3〜6の反復物を含有する。いくつかの側鎖はLセグメントを含有し得ない。通常、少なくとも約50%の側鎖、好ましくは少なくとも70%の側鎖はLセグメントを含有する。
骨格および/または側鎖の切断可能リンカー分子(R)は、任意であるが、しかし好ましい。これらは選択可能な切断部位を提供するので、大きな櫛型ポリヌクレオチドのサンプルは、解析または特徴付けの目的で切断され得る。この観点で、それぞれの側鎖に切断部位があり、そして分枝部位のすぐ5'側、または最も5'側(式Iのマルチマーについては)に、または側鎖が骨格に連結する場所(式IIのマルチマーについては)に切断部位があることが好ましい。ポリヌクレオチドに組み入れ得る、切断し得るリンカー分子の例は、欧州特許出願第883096976号で開示される。
本発明のポリヌクレオチドは、PCT公開第WO 92/02526号に詳細に記載されたように、固相直接オリゴヌクレオチド合成、酵素的連結法、および液相化学合成を組み合わせて使用して組み立て得る。
上記の、「プリアンプリファイアー」分子もまた使用され得、これは、標識エキステンダー分子と増幅マルチマーとの間の架橋部分として働く。このようにして、より多くのアンプリファイアーと、従ってより多くの標識が、任意の与えられた標的−プローブ複合体に結合する。プリアンプリファイアー分子は、直鎖状または分枝状であり得、そして代表的には約30〜3000の範囲のヌクレオチドを含有し得る。本明細書中の好ましい実施態様では、プリアンプリファイアー分子は、少なくとも2つの異なる標識エキステンダー分子に結合するので、アッセイの全体の精度が増大する(すなわち、なぜなら、再び、複数のハイブリダイゼーション事象が、プローブ−標的複合体の形成に必要とされるからである)。
本明細書中で使用したように、「生物学的サンプル」は、個体から単離した組織または液体サンプルをいい、例えば、血漿、血清、髄液、精液、リンパ液、皮膚、呼吸管、腸管、および尿生殖路の外部分泌物、涙、唾液、乳、血球、腫瘍、器官、およびインビトロの細胞培養成分(constituent)のサンプル(細胞培養培地で細胞を増殖させて得られる馴化培地、おそらくウイルスに感染した細胞、組換え細胞、および細胞構成物(component)を包含するがそれに限定されない)もまた包含するが、それに限定されない。本方法の好ましい使用は、以下の核酸の検出および/または定量に使用される:(a)ウイルスの核酸、例えば、B型肝炎ウイルス(「HBV」)、C型肝炎ウイルス(「HCV」)、D型肝炎ウイルス(「HDV」)、ヒト免疫不全ウイルス(「HIV」)、およびヘルペス科のウイルス(帯状ヘルペス(水痘)、単純ヘルペスIおよびII型ウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン−バー ウイルス、および最近単離されたヘルペスVI型ウイルスを包含する)由来のウイルス核酸、および(b)細菌の核酸、例えば、クラミジア、ミコバクテリウム属結核菌などの細菌の核酸。
本明細書中で使用したように、用語「非特異的ハイブリダイゼーション」は、選択された第2のポリヌクレオチドのセグメントにハイブリダイズすることを意図した第1のポリヌクレオチドのセグメントが、代わりに第3のポリヌクレオチドにハイブリダイズするような出来事をいうために使用され、これは、誤った結果の引き金となる。すなわち、標的分子は存在しないのに標識が検出され得る状況を生じる。
本明細書中で使用したように、用語「非特異的結合」は、ここで、ポリヌクレオチドが、ハイブリダイゼーションを含まない相互作用(直接または間接のいずれでも)を通して固体支持体に結合するような出来事をいうために使用される。
ここで、図1に表した好ましい実施態様に関しては、以下の用語をそこに示したハイブリダイゼーションアッセイに適用する。
「標識エキステンダー分子(LE)」は、本明細書中で「標識エキステンダー」ともいい、分析物ポリヌクレオチドおよびアンプリファイアーマルチマー(「AMP」)に相補的な領域を含有する。プリアンプリファイアーを使用する場合(図では示さず)、標識エキステンダー分子は、アンプリファイアーマルチマーに直接よりもむしろこの中間種に結合する。プリアンプリファイアーおよびアンプリファイアーのどちらも使用しない場合、標識エキステンダー分子は、標識プローブ(「LP」)内の配列に直接結合する。従って、標識エキステンダー分子は、分析物ポリヌクレオチドの配列に相補的な第1の核酸配列L-1と、標識プローブ、アンプリファイアーマルチマーまたはプリアンプリファイアーのセグメントM-1に相補的なマルチマー認識配列L-2とを有する第2の領域を有する1本鎖ポリヌクレオチド鎖である。
「標識プローブ(LP)」は、標識エキステンダー、または増幅マルチマーをアッセイに用いる場合には、このマルチマーの反復オリゴヌクレオチドセグメントのいずれかに結合するように設計される。LPは、標識を含有するか、または標識に結合するような構造であるかのいずれかである。従って、LPは、標識プローブまたはマルチマーの反復オリゴヌクレオチドセグメント内に存在する核酸配列M-2に相補的な核酸配列L-3を包含し、そして、直接的または間接的に検出可能なシグナルを提供する標識に結合する。または結合するような構造である。
「捕獲エキステンダー分子(CE)」はまた、本明細書中で「捕獲エキステンダー」ともいい、分析物ポリヌクレオチドおよび捕獲プローブに結合し、これは次に固体支持体に結合する。従って、捕獲エキステンダー分子は、核酸配列C-1(これは、分析物の配列に相補的である)を含む第1のポリヌクレオチド配列領域と、捕獲プローブ認識配列C-2を有する第2の非相補的領域とを有する1本鎖ポリヌクレオチド鎖である。配列C-1およびL-1は、それぞれが分析物の物理的に区別される配列に相補的である、同一でない、非相補的な配列である。
「捕獲プローブ」は、捕獲エキステンダーおよび固体支持体に結合する。従って、図1に示されるように、捕獲プローブは、CEのC-2配列に相補的な核酸配列C-3を有し、そして固体支持体に共有結合(さもなければ強固に結合)する。
一般に、図1に示したシステムを使用して行われる溶液相ハイブリダイゼーションアッセイは、以下のように進行する。1本鎖分析物核酸を、捕獲エキステンダーおよび標識エキステンダーとともにハイブリダイゼーション条件下でインキュベートする。得られた生成物は、捕獲エキステンダーおよび標識エキステンダーに結合した分析物ポリヌクレオチドの核酸複合体である。続いて、この複合体を、ハイブリダイズする条件下で、その表面に捕獲プローブが結合した固相に添加し得る;しかし、本発明の好ましい実施態様では、最初のインキュベーションを、支持体に結合した捕獲プローブの存在下で実施する。得られた生成物は、捕獲エキステンダー分子および捕獲プローブを通して固相に結合した複合体を含む。次いで、結合した複合体を有する固相は、任意に、未結合の物質から分離される。次いで、増幅マルチマー、好ましくは上記のような櫛型マルチマーは、ハイブリダイゼーション条件下で任意に固相−分析物−プローブ複合体に添加されて、LEにこのマルチマーをハイブリダイズさせる;プリアンプリファイアープローブを使用する場合には、この固相−分析物−プローブ複合体を、増幅マルチマーと共に、または増幅マルチマーとのインキュベーションの前に、プリアンプリファイアーとともにインキュベートする。次いで、得られた固相複合体を、洗浄によりいずれの未結合のプリアンプリファイアーおよび/またはマルチマーからも分離する。次いで、LE、あるいは増幅マルチマーを使用した場合には、マルチマーの反復オリゴヌクレオチドセグメントにハイブリダイズし得る条件下で標識化プローブを添加する。次いで、得られた固相−標識された核酸複合体を洗浄し、未結合の標識されたオリゴヌクレオチドを除去し、そして残存する標識を測定する。図1に表した構成物は、正確な拡大率で描かれる必要はなく、そして使用する場合には、増幅マルチマーは(上で説明したように)図に示したよりもずっと多数の反復オリゴヌクレオチドセグメント(これらはそれぞれ標識プローブに結合するように設計される)を含有することに留意されたい。
当業者に認識されるように、本発明の技術は、幅広いアッセイ形式と連結して使用され得る。しかし、単純化のために、この技術は、増幅マルチマーを使用する前述の液相ハイブリダイゼーションアッセイ(これは本明細書中の好ましい実施態様を表す)に関して議論される。このようなアッセイで生じ得るバックグランドノイズの様々な供給源を図2〜7に説明した。これらそれぞれの図は、標的が存在しない固体支持体で標識が検出される状況を示していることに留意されたい。図3、4、および5では、それぞれ、アンプリファイアー分子、標識エキステンダー、および標識プローブに存在するヌクレオチド配列は、所望の配列によりもむしろ捕獲プローブに結合する。図2、6、および7では、捕獲プローブは捕獲エキステンダーに正しくハイブリダイズしているが、しかし次いで誤った分子がこの捕獲エキステンダーにハイブリダイズしている。図2では、アンプリファイアーが、標的分子の非存在下で、直接、捕獲エキステンダーに結合している。一方、図6および7では、標識プローブおよび標識エキステンダーが直接、捕獲エキステンダーにハイブリダイズしており、再び、標識が分析物の非存在下で検出される状況を生じる。しかし、他のこのような誤った(すなわち「非特異的な」)ハイブリダイゼーションおよび結合シナリオを想像し得ることが認識される。ここでは標的の非存在下でシグナルが生じる。本発明の技術は、同様にこれらの他のバックグランドノイズの潜在的供給源を扱う。
この方法の第1の焦点は、数多くのバックグランドノイズの供給源を排除することであり、これは、捕獲エキステンダーおよび標識エキステンダープローブと標的分子との相互作用を最大にすること、捕獲プローブおよび捕獲エキステンダー分子と標識プローブ、標識エキステンダー分子、およびアンプリファイアーとの相互作用を最小にすること、標識依存性のシグナルを生ずるのに必要なプローブおよび/またはハイブリダイゼーション工程の数を増加させること、および支持体に結合した捕獲プローブに、誤った部分が結合する可能性を減少させることによる。
本発明の第1の実施態様では、ハイブリダイゼーションアッセイが提供され、これは、支持体に結合した捕獲プローブから標的分子が「融解」する温度Tm1(標的分子/捕獲エキステンダー/捕獲プローブ複合体に参加する個々の捕獲プローブの50%が、もはや標的分子に結合しない温度として定義される)が、単一の捕獲プローブから個々の捕獲エキステンダー分子が「融解」する温度Tm2よりも顕著に高いように設計される。この手順は、実際には、捕獲プローブおよび捕獲エキステンダー分子が使用される任意のタイプのハイブリダイゼーションアッセイに使用される。このアッセイには、幅広い範囲の液相ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅アッセイ、フィルターハイブリダイゼーション法、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)を含むアッセイなどが含まれる。この技術が有用であるハイブリダイゼーションアッセイの1例は、Urdeaらの米国特許第4,868,105号に記載されているハイブリダイゼーションアッセイであり、または好ましくは、図1に説明され、そして上記に記載した形態と共に用いられる上記のハイブリダイゼーションアッセイである。この方法は、次のようなハイブリッド複合体の設計および構築を前提とする。つまり捕獲プローブ−捕獲エキステンダー−分析物ハイブリッドにおいて捕獲プローブから分析物が解離する融解温度Tm1が、捕獲プローブ−捕獲エキステンダーハイブリッドにおいて捕獲プローブから捕獲エキステンダーが解離する融解温度Tm2よりも、少なくとも約5℃高い、好ましくは少なくとも約10℃高いようなハイブリッド複合体である。
この安定性の違いは、Tm1複合体の形成を助力するが、Tm2複合体の形成を助力しないストリンジェンシー条件下のアッセイで、少なくとも1工程を行うことによりアッセイに活用される。ストリンジェンシーは、熱力学の変数である工程のパラメーターを変えることにより制御し得る。これらの変数は当業者に周知であり、そしてホルムアミド濃度、塩濃度、カオトロピックな塩濃度、pH(水素イオン濃度)、有機溶媒含量、および温度を包含する。「カオトロピックな塩」は、疎水結合破壊剤として作用する塩をいい、トリハロアセテート、イソチオシアネート、およびパークロレートを包含する。Hamaguchiら、J.Am.Chem.Soc.(1962)84:1329-1338。好ましいストリンジェンシー制御は温度である:少なくとも1つのアッセイ工程は、Tm1とTm2との間の温度で、より好ましくは、この2つの温度のほぼ中間で行われる。ストリンジェンシーを用いる好ましい工程は、アッセイの最初のハイブリダイゼーション工程であり、ここで、標的は捕獲エキステンダー分子、および支持体に結合した捕獲プローブとともにインキュベートされる。従って、好ましい実施態様では、最初のハイブリダイゼーション工程は、Tm2よりも高いがTm1よりも低い温度で行われる。非特異的にハイブリダイズする分子は捕獲プローブおよび捕獲エキステンダー分子を通して結合し得る(図2、6、および7に説明のように)ので、この方法はあるタイプの非特異的ハイブリダイゼーションを十分に減少させる。
Tm1とTm2との間の温度差が大きくなるほど、バックグランドノイズを除去する際のこの技術の「効率」が高くなることは当業者に容易に理解される。従って、当業者は、10℃未満の温度差(5℃未満の温度差でさえ)もまた、より少ない程度にではあるが、バックグランドノイズの減少を可能にすることを認識する。このような状況で効率を、適切なストリンジェンシー条件を利用する工程の数を増やすことにより、または単一のストリンジェント工程を繰り返すことにより増加し得る。
好ましくは、この方法は、少なくとも2つの別個の捕獲エキステンダー分子を使用して行われ、これらはそれぞれ、分析物の別個のセグメントに結合する。捕獲エキステンダー分子は、分析物のセグメントに相補的な第1のヌクレオチド配列と、捕獲プローブに相補的な第2のヌクレオチド配列とを含有する。このアッセイは、2つの主たるトポロジカルな実施態様を有する。
このアッセイ形態(ここでは、2つの別個の捕獲エキステンダー分子が使用される)の第1の実施態様は、図8および9に説明されている。この実施態様では、2つの別個の捕獲エキステンダーは、分析物の別個だが近位のセグメントに相補的な別個の第1のヌクレオチド配列を有し、そしてまた1つの捕獲プローブの別個のセグメントに相補的な別個の第2のヌクレオチド配列を有する。「CE1」および「CE2」は、この2つの別個の捕獲エキステンダー分子を表し、それぞれのエキステンダー分子が近位だが別個の標的セグメント、および1つの捕獲プローブの近位だが別個のセグメントにハイブリダイズするように十字様構造に置かれる。
図9で説明したように、捕獲プローブは以下を含有するように構築される:(1)第1のヌクレオチド配列C-1、これは第1の捕獲エキステンダーCE1中のヌクレオチド配列C-3に結合する;および(2)異なるヌクレオチド配列C-2、これは第2の捕獲エキステンダーCE2中のヌクレオチド配列C-4に結合する。次いで、CE1およびCE2を、分析物分子の別個の、重なりのないセグメントにハイブリダイズする。好ましくは、、配列C-1、C-2、C-3、およびC-4は、比較的短く、すなわち、長さが約30ヌクレオチド未満であり、そして好ましくは長さが約10〜15ヌクレオチドの範囲である。C-1およびC-2は、直接隣接するかまたはスペーサー領域によって分けられ得る。さらに、捕獲プローブと捕獲エキステンダー分子との結合(すなわち、C-1:C-3およびC-2:C-4)は比較的弱く(Tmが約55℃より小さい)、一方、捕獲エキステンダーを通しての捕獲プローブと標的との結合はずっと強い(Tmが約65℃より大きい)ことが望ましい。このことは、捕獲エキステンダー分子よりも標的分子が固体支持体と非常に大きい(100倍〜1000倍の桁で)安定性で結合することを可能にする。この方法はまた、より少ない捕獲プローブの使用を可能にし、これは次には図3、4、および5に説明したように非特異的ハイブリダイゼーションの可能性を減少させる。このアッセイは、本明細書中の実験の章で、実施例1および2で例示される。
図8に示す十字様形状は、例示する目的のみであること、および2以上の捕獲エキステンダー分子を用いる別のアッセイ形態もまた可能であることが、当業者に認識される。唯一必要なのは、このアッセイが、捕獲プローブに結合している捕獲エキステンダーの融解温度よりも高い融解温度で、標的が固体支持体に結合するように構築されることである。図9の実施態様は、C-1およびC-2が、2つの捕獲エキステンダー中の同一の配列C-3およびC-4に相補的な同一の捕獲プローブ配列である場合、同等に働くこともまた、当業者に認識される:この例では、捕獲プローブは2コピーの反復配列C-1を含有する。
このアッセイ形態(ここでは、2つの別個の捕獲エキステンダー分子が使用される)の第2の実施態様は、図10に説明されている。この実施態様では、2以上(好ましくは3以上)の別個の捕獲エキステンダーは、別個だが近位の分析物セグメントに相補的な別個の第1のヌクレオチド配列を有し、そしてまた捕獲プローブのセグメントに相補的な第2のヌクレオチド配列を有する。この実施態様では、捕獲プローブあたりただ1つの捕獲エキステンダーが結合する。このアッセイの全ての捕獲プローブが、捕獲エキステンダーに結合する単一の配列を含有する場合、捕獲エキステンダーは全て、捕獲プローブの結合セグメントに相補的な同じ第2のヌクレオチド配列を有する。あるいは、このアッセイは、捕獲エキステンダーに結合する複数の配列を含有する別個の捕獲プローブを使用し得、この場合、この捕獲エキステンダーは、別個の第2のヌクレオチド配列を有する。
従って、図10では、「CE3」、「CE4」、および「CE5」は、3つの異なる捕獲エキステンダーを表し、それぞれの捕獲エキステンダーは、標的の別個のセグメントにハイブリダイズする別個の第1のヌクレオチド配列を含有する。CE3およびCE4は、第1の捕獲プローブCP1中のヌクレオチド配列C-5に結合する第2のヌクレオチド配列C-6を含有する;一方、CE5は、第2の捕獲プローブCP2中のヌクレオチド配列C-7に結合する異なる第2のヌクレオチド配列C-8を含有する。2以上のこのような捕獲エキステンダーの任意の組み合わせが、このアッセイに使用され得ることは、容易に理解される。
この技術の別の変形は、2以上の別個の標識エキステンダー分子の使用を包含し、これらはそれぞれ、アンプリファイアープローブを結合させるために、標的に結合すべきである。このアッセイは、基本的には図1に関しては上記のように行われる;しかし留意するのは、少なくとも2つの別個の標識エキステンダー分子がこのアッセイに取り込まれる。標識エキステンダーは、分析物セグメントに相補的な第1のヌクレオチド配列、および増幅マルチマー(または以下で論ずるようなプリアンプリファイアー)に相補的な第2のヌクレオチド配列を含有する。
2つの別個の標識エキステンダーが使用されるこのアッセイ形態は、図11に説明されている。この実施態様では、2つの別個の標識エキステンダーは、分析物の別個であるが近位のセグメントに相補的な別個の第1のヌクレオチド配列を有し、そしてまた単一増幅マルチマーの別個のセグメントに相補的な別個の第2のヌクレオチド配列を有する。「LE1」および「LE2」は、2つの異なる標識エキステンダーを表し、それぞれのエキステンダー分子は近位だが別個の標的セグメント、および単一増幅マルチマーの近位だが別個のセグメントにハイブリダイズするように十字様構造に位置する。このアッセイは、本明細書中の実験の章の実施例2で例示される。
図11で説明したように、増幅マルチマーは以下を含有するように構築される:(1)第1のヌクレオチド配列C-1、これは第1の標識エキステンダーLE1中のヌクレオチド配列C-3に結合する;および(2)異なるヌクレオチド配列C-2、これは第2の標識エキステンダーLE2中のヌクレオチド配列C-4に結合する。次いで、LE1およびLE2を、分析物分子の別個の、重なりのないセグメントにハイブリダイズさせる。好ましくは、、配列C-1、C-2、C-3、およびC-4は、比較的短く、すなわち、長さが約30ヌクレオチド未満であり、そして好ましくは長さが約10〜15ヌクレオチドの範囲である。C-1およびC-2は、直接隣接するかまたはスペーサー領域によって分けられ得る。さらに、増幅マルチマーと標識エキステンダー分子との結合(すなわち、C-1:C-3およびC-2:C-4)は比較的弱く(Tmが約45℃より小さい)、一方、標識エキステンダー分子を通しての増幅マルチマーと標的との結合はずっと強い(Tmが約65℃より大きい)ことが望ましい。このことは、非常に大きい(100倍〜1000倍の桁で)安定性で標識エキステンダー分子よりも標的分子が増幅マルチマーと結合することを可能にする。さらに、少なくとも2つの捕獲エキステンダー分子を使用する先の方法と同様に、アッセイの特異性は、標的依存性のシグナルを生じさせるために必要である追加のハイブリダイゼーション工程により増加する。
図11に示す十字型形状は、例示する目的のみであり、そして2以上の標識エキステンダー分子を用いる別のアッセイもまた可能であることが、当業者に認識される。唯一必要なのは、このアッセイが、増幅マルチマーに結合している標識エキステンダーの融解温度よりも高い融解温度で、標的が増幅マルチマーに結合するように構築されることである。この実施態様は、C-1およびC-2が、2つの標識エキステンダー中の同一の配列C-3およびC-4に相補的な同一の増幅マルチマー配列である場合、同等に働くこともまた、当業者に認識される:この例では、この増幅マルチマーは2コピーの反復配列C-1を含有する。前述のことをプリアンプリファイアーとともに利用し得ること(以下に議論するように)がさらに認識される。ここで、標識エキステンダーは、直接増幅マルチマーとよりも十字構造でプリアンプリファイアーと相互作用する。
本発明の別の実施態様では、標的に依存しないシグナル生成現象は、隣接のアンプリファイアー分子を、アッセイのバックグランドの実質的に全ての主な供給源が減少するように架橋させることにより扱われ、標識エキステンダー分子と捕獲プローブおよび捕獲エキステンダー分子との非特異的ハイブリダイゼーション、増幅マルチマーと捕獲プローブおよび捕獲エキステンダー分子との非特異的ハイブリダイゼーション、およびアンプリファイアーの非特異的結合を包含する。この実施態様では、図12でAMP1およびAMP2と表される2つの別個のアンプリファイアーマルチマー、およびLE1およびLE2と表される2つの別個の標識エキステンダー分子が使用される。AMP1およびAMP2のどちらも、それらがお互いの架橋距離内に存在しない場合には、標識を保持しない、従って、標識化が生ずる前にアンプリファイアーが実際に標的分子に結合するという、より大きな可能性がある。これは、以下を含有する標識プローブを提供することにより達成される:(1)第1の核酸配列L-1、これはAMP1の反復オリゴヌクレオチドサブユニット中の領域に相補的な核酸配列を含有する;(2)第2の核酸配列L-2、これはAMP2の反復オリゴヌクレオチドサブユニット中の領域に相補的な核酸配列を含有する;および(3)それらの間の検出可能な標識。L−1、L-2およびアンプリファイアープローブ中の対応する相補配列を選択し、アンプリファイアープローブと標識プローブとの両方から形成される複合体の融解温度は、好ましくは、標識プローブと単一アンプリファイアーマルチマーとの間で形成される複合体の融解温度よりも少なくとも10℃高い。このような形態が、複数のプローブの使用およびそれに続くさらなるハイブリダイゼーション工程(検出可能なシグナルを生成するために必要とされる)に関して上で議論した利点を生ずることもまた認識される。
本実施態様の変形では、2つまたはそれ以上の別個の標識プローブを使用し得、それぞれは図13に示すように2つの異なるタイプの標識を含有するか、または標識の不活性なセグメント(これは次いで隣接のアンプリファイアー分子の標識プローブと結合して活性化される)を含有する。このマルチアンプリファイアー、複標識(multi-label)プローブの実施態様の例は、隣接の標識プローブが以下を含有する実施態様を包含する:(a)β−ガラクトシダーゼのような酵素の個々のサブユニット、メンバー、または部分;(b)酵素および対応する補酵素(例えば、フラビン酵素とFADH、またはNADリンクデヒドロゲナーゼ(NAD-linked dehydrogenase)とNADH);または(c)ある酵素の生成物が第2の酵素の基質であるチャンネリング系またはカスケード系(例えば、脂肪酸合成系)の一部を形成する酵素。それぞれの場合、2つの標識プローブは別個の部分を含有し、この部分は標的の存在による結合でなく、従ってアンプリファイアーが架橋しない場合には、検出可能な生成物を生成しない。
上記の実施態様全ての変形では、プリアンプリファイアー分子は、シグナルを増加させるために上記の全ての実施態様で使用され得る。プリアンプリファイアーは、増幅マルチマーの添加と同時またはその前にアッセイ反応液に添加される。
以前に暗示したように、バックグランドノイズ(すなわち、標的分子と独立して生成および検出されるシグナル)の主たる原因は、支持体に結合した捕獲プローブに起因し、そして捕獲エキステンダー分子以外のポリヌクレオチドが、この捕獲プローブに結合し得るという事実に起因する。本発明の別の実施態様は、この認識による。第1に、前述のようなハイブリダイゼーションアッセイに使用される固体支持体は、捕獲プローブがより短く、代表的には約20ntよりも少なく、そしてさらに代表的には約15ntであるように作られる。第2に、図1で説明されたようなC-2と同一である配列を含有するオリゴヌクレオチドが、アッセイに導入される;このようなオリゴヌクレオチドは、捕獲プローブの競合物として機能し、従って、捕獲プローブのハイブリダイゼーション部位(図1のC-3)の利用可能な数が減少する。これは実施例1で説明される。
実験
本発明の実施には、別に示す以外は、当該分野の技術範囲内である、合成有機化学、生化学、分子生物学などの従来技術を使用する。このような技術は文献に詳細に説明されている。例えば、Sambrook、FritschおよびManiatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版(1989);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Nucleic Acid Hybridization(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編、1984);およびシリーズ、Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.)を参照のこと。本明細書に記載される(上記および下記の両方)すべての特許、特許出願、および刊行物は、本明細書中で参考として援用される。
本発明は、その好ましい特定の実施態様と共に記述されるが、上記記述および以下の実施例は、本発明の範囲を説明することを意図し、そして本発明の範囲を限定しないということが理解されるべきである。本発明の範囲内の他の局面、利点および改変は、本発明が属する分野の当業者に明らかである。
以下の実施例において、使用した数(例えば、量、温度など)に関して正確さを確保するために努力がなされたが、いくつかの実験誤差および偏差を示すのが当然である。別に示す以外は、温度は℃であり、そして圧力は大気圧であるかほぼ大気圧である。
実施例1
「十字形」フォーマットにおいて異なる捕獲エキステンダーを用いる
増幅アッセイ
この実施例は、図8に示すように、2つまたはそれ以上の異なる捕獲エキステンダーを用いるハイブリダイゼーションアッセイを記述する。この実験研究の目標は、固体支持体に結合する捕獲エキステンダープローブにより引き起こされるバックグラウンドシグナルを減少させることであった。捕獲エキステンダープローブが支持体に結合する能力を減少させることにより、標的ポリヌクレオチドを、固体表面に安定に結合させるために、複数の捕獲エキステンダープローブを通して結合させる。このことが、捕獲エキステンダープローブなしで行われるアッセイと同じぐらい低いアッセイバックグラウンドを生じる(すなわち、なぜなら、実質的に捕獲エキステンダー分子が支持体に結合しないからである)。この実施例に要約された実験研究はまた、固定化捕獲プローブに競合的に結合し得る分子が加えられる場合、バックグラウンドをよりさらに減少させることが可能であることを示す。なぜなら、標識エキステンダー分子または標識プローブが固定化捕獲プローブを通して支持体に結合する可能性が顕著に減少するからである。
CP2と命名された捕獲プローブを、固体支持体に付着させた。HCV捕獲エキステンダー分子の2つのペアを設計した。各々のペアの第1の部分は、捕獲プローブCP2の最後16ntに相補的な5'配列を有し、そして各々のペアの第2の部分は、CP2の最初の13ntに相補的な3'配列を有した。エキステンダーは、それ故図8に示すように、固体支持体に結合し得た。それらは、隣接するCP2分子に架橋し得る(CE3、4および5を通して2つの異なるCP分子に捕獲される、図10の標的のように)か、またはそれらは1つのCP2と十字形を形成し得る(CE1および2を通して同一のCP分子に結合している、図9の標的のように)。プローブは十字形を形成するように最適に設計され、そして捕獲プローブ濃度は低く保たれるので、十字形は、2つの隣接するCP2分子の架橋よりも運動論的に非常に好ましく、そして十字形は平衡分布において優勢であると考えられる。
シグナル増幅液相核酸サンドイッチハイブリダイゼーションアッセイフォーマットをこの実施例において使用した。シグナル増幅は分枝DNAマルチマー(アンプリファイアー)を通して生じ、このマルチマーは、標識エキステンダープローブのセグメントにハイブリダイズする第1のセグメント(E')、およびセグメント(F)の15までの反復を有する。ここで、セグメントFは、3つの標識されたオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする。標的核酸を、固定化捕獲プローブ、および捕獲プローブと標的との両方にハイブリダイズする捕獲エキステンダープローブを通して固体支持体に結合する。アンプリファイアーマルチマーを、標識とアンプリファイアーマルチマーとの両方にハイブリダイズする標識エキステンダープローブを通して固定化標的に結合させる。2つの競合物プローブもまた、バックグラウンド減少のために使用した。これらのプローブは、捕獲プローブに結合する。
このアッセイに使用したような捕獲エキステンダープローブ、標識エキステンダープローブ、および競合物プローブは、以下の通りであった。
配列(5'-->3')捕獲エキステンダープローブ(固定化捕獲プローブに結合するセグメントに下線を付す):
使用した標識エキステンダープローブ(アンプリファイアーマルチマーにハイブリダイズする配列に下線を付す):
競合物プローブ(これらの配列は固定化捕獲プローブにハイブリダイズする):
アッセイに用いたプレートを、以下のようにコートした:White Microlite lremovawell strips(ポリスチレンマイクロタイタープレート、96ウェル/プレート)をDynatech Inc.から購入した。
各々のウェルを250μlの1N HClで満たし、そして室温で15〜20分間インキュベートした。プレートを、次いで1×PBSで1回洗浄し、そしてウェルを吸引して液体を除去した。ウェルを、次いで250μlの1N NaOHで満たし、そして室温で15〜20分間インキュベートした。プレートを再び1×PBSで3回洗浄し、そしてウェルを吸引して液体を除去した。
ポリ(phe-lys)をSigma Chemicals,Inc.から購入した。このポリペプチドは1:1のphe:lysモル比および47,900gm/moleの平均分子量を有する。これは、309アミノ酸の平均長を有し、そして155アミン/分子を含む。ポリペプチドを、2M NaCl/1×PBSと混合して、最終濃度を0.1mg/mL(pH6.0)とした。200μlのこの溶液を各々のウェルに加えた。プレートをプラスチックで覆い、乾燥を防ぎ、そして30℃で一晩インキュベートした。プレートを、次いで1×PBSで3回洗浄し、そしてウェルを吸引して液体を除去した。
50mMリン酸ナトリウムpH7.8中の250 OD260ユニット/mlの以下のオリゴヌクレオチド(捕獲プローブCP2)に180mgのビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS3)を加えた:5'−XGTCCCAGAGCCGAGAACACCTGATTGCTG−3'(配列番号20)(Xは、長鎖アミン改変ヌクレオチド(5−メチルシチジンのN4−(6−アミノカプロイル−2−アミノエチル)誘導体))。混合物をボルテックスし、そして室温で30分間インキュベートした。10mMリン酸ナトリウムpH6.5で平衡化したゲルろ過カラム(Pharmacia Sephadex G-25,NAP-25)を使用して、活性化オリゴヌクレオチドを精製した。活性化オリゴヌクレオチド反応混合物をカラムに付与し、そしてろ過した。溶出液を回収し、そして次の工程に使用するために保存した。溶出液の濃度を、50mMリン酸ナトリウムpH7.8を希釈のために用いて3.7×10-2OD260ユニット/mlに調整した。
活性化オリゴヌクレオチドを含む100μlの溶出液を各々のウェルに加え、そしてウェルを4℃で12〜18時間インキュベートした。プレートを、次いで1×PBSで2回洗浄し、そしてウェルを吸引して液体を除去した。
0.1重量%のSDSを含む250μlの0.2N NaOHを各々のウェルに加えた。プレートをプラスチックで覆い、そして65℃で60分間インキュベートした。プレートを次いで1×PBSで3回洗浄し、そしてウェルを吸引して液体を除去した。
0.4mg/mlのBS3を含む100μlの50mMリン酸ナトリウムpH7.8を各々のウェルに加え、そしてプレートを12〜18時間インキュベートした。プレートを、次いで1×PBSで2回、そして水で1回洗浄した。プレートを、乾燥剤を備えたプラスチック容器に4℃で保存した。アンプリファイアーマルチマーを以下のように調製した:
オリゴヌクレオチドのすべての化学合成を、自動DNA合成機(Applied Biosystems,Inc.,(ABI)モデル380 B)で行った。PHOSTELTM試薬(DMT-O-CH2CH2-(SO2)-CH2CH2-O-P(N(iPr)2)(-O-CH2CH2CN)、ここで、DMTは、ジメトキシトリチルであり、そしてiPrは、イソプロピルである)を使用した5'−ホスホリル化を含むβ−シアノエチルタイプのホスホルアミダイト化学を使用した。示される以外は、標準ABIプロトコルを使用した。ある倍数のサイクル(例えば、1.2サイクル)を使用したことが示された場合には、ABIにより推奨されるアミダイトの標準量のその倍数を特定のサイクルにおいて使用した。
以下の構造の櫛主部を最初に調製した:
ここで、X'は分枝モノマーであり、そしてpはホスフェートである。
最初に、櫛主部から14(TTX')反復までの部分を、33.8mgのアミノプロピル誘導チミジン制御細孔ガラス(CPG)(2000Å、1グラムの支持体当たり7.4マイクロモルのチミジン)を用いて1.2サイクルプロトコルで合成した。分枝部位ヌクレオチドは、以下の式であった:
櫛主部(側鎖伸張部を含まない)の合成に関して、β−シアノエチルホスホルアミダイトモノマーの濃度は、A、C、G、およびTに関しては0.1Mであり、そして分枝部位モノマーX'に関しては0.15Mであった。脱トリチル化を、脱保護の持続期間中ステップフロースルー(stepped flowthrough)を用いて塩化メチレン中、3%トリクロロ酢酸で行った。
式3'-GTCAGTpの6塩基側鎖伸長部を、以下のように各々の分枝モノマー部位で合成した。2つの側鎖伸長部を、末端X'分枝部位上に合成した。レブリニル基を除去するために、0.5Mヒドラジン水和物のピリジン/氷酢酸(1:1 v/v)溶液を導入し、そして15分ごとに液体を更新しながら90分間CPG支持体と接触するように維持し、続いてピリジン/氷酢酸(1:1 v/v)で大規模に洗浄(extensive washing)し、そして次いでアセトニトリルで洗浄した。脱保護後、6塩基側鎖伸長部を6.4サイクルを用いて加えた。
これらの合成において、ホスホルアミダイトの濃度は0.1M(0.2M PhostelTMホスホリル化試薬を除く)であった。
脱トリチル化を、連続フロースルーを用いて3%トリクロロ酢酸の塩化メチレン溶液で行い、次いでトルエン/クロロメタン(1:1 v/v)の溶液でリンスした。分枝ポリヌクレオチド鎖を、DNA合成機において固体支持体から自動的に取りはずした。水酸化アンモニウム溶液を、4mlのねじぶた式のWheatonバイアルに集め、そして60℃で12時間加熱してすべての塩基保護基を除去した。室温まで冷却した後、溶媒をSpeed-Vacエバポレーター中で除去し、そして残渣を100μlの水に溶解した。以下の構造の側鎖および結合テンプレート/リンカーもまた、自動合成基を用いて作成した:
側鎖:
3'−GATGCG(TTCATGCTGTTGGTGTAG)3−5'(p)(配列番号21)
側鎖伸長部を連結するための結合テンプレート:
3'−CGCATCACTGAC−5'(p)(配列番号22)
粗製櫛主部を標準ポリアクリルアミドゲル(7M尿素および1×TBEランニング緩衝液を用いた7%)法により精製した。
側鎖を以下のように櫛主部に結合した。櫛主部(4pmole/μl)、側鎖(93.75pmole/μl)、および側鎖連結テンプレート(75pmole/μl)を1mM ATP/5mM DTT/50mM Tris-HCl,pH8.0/10mM MgCl2/2mMスペルミジン中で合わせた。混合物を水浴で95℃まで加熱し、次いで1時間かけて35℃より下までゆっくりと冷却した。混合物の成分の濃度を2mM ATP、10mM DTT、14%ポリエチレングリコールに調整し、次いで0.2ユニット/μl T4 DNAリガーゼを加えた。混合物を23℃で16〜24時間インキュベートした。DNAをNaCl/エタノール中で沈殿させ、そして水に再懸濁した。結合生成物を次いでポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製した。
ハイブリダイゼーションアッセイを以下のように行った:
標的として、合成615ヌクレオチド転写物を、HCV J1クローンのヌクレオチド54位〜668位およびSP6 RNAポリメラーゼを含むpGEM(Promega)ベクターを用いて調製した。ネガティブコントロールは標的なしであった。
サンプル調製は、0.07M Tris-HCl,pH8.0/0.7M LiCl/0.06Mリン酸ナトリウム/0.06M EDTA,pH7.0/0.7% SDS/50fmole捕獲エキステンダープローブ(各(each))/200fmole標識エキステンダープローブ(各)/5000fmole競合物プローブ(各)中の2mg/mlプロテイナーゼKの200μlを、各々のウェルに供給することから成っていた。異なるコントロール実験は、下記の結果の表に示すようにプローブの様々な組み合わせを包含した。プレートを、撹拌してウェルの内容物を混合し、覆い、そして63℃で16時間インキュベートした。
室温でさらなる10分間後、各々のウェルの内容物を吸引して、すべての流体を除去し、そしてウェルを洗浄緩衝液(0.1% SDS/0.015M NaCl/0.0015Mクエン酸ナトリウム)で2×洗浄した。アンプリファイアーマルチマーを、次いで各々のウェルに加えた(0.48M NaCl/0.048Mクエン酸ナトリウム/0.1% SDS/0.5%ジエチルピロカーボネート処理した「ブロッキング試薬」(乾燥乳粉の精製画分、Boehringer Mannheim、カタログ番号1096 176)中の0.7fmole/μl溶液の50μl)。プレートを覆い、そして撹拌してウェルの内容物を混合した後、プレートを45℃で30分間インキュベートした。
室温でさらなる1分間後、ウェルを上記のように洗浄した。
EP 883096976に開示されるアルカリ性ホスファターゼ標識プローブを、次いで各々のウェルに加えた(2.66fmole/μlの50μl/ウェル)。45℃で15分間、そして室温で1分間インキュベートした後、ウェルを上記のように3回、次いで0.015M NaCl/0.0015Mクエン酸ナトリウムで3回洗浄した。
Lumigen, Inc.から入手した酵素誘発ジオキセタン(Schaapら、Tet. Lett. 28:1159-1162(1987)およびEPA公開第0254051号)を使用した。50μl Lumiphos530(Lumigen)を各々のウェルに加えた。試薬が底部に落下するようにウェルを軽くたたき、そして穏やかに回転させて試薬が底部を覆って均等に分布するようにした。ウェルを覆い、そして37℃で20〜40分間インキュベートした。
プレートを、次いでDynatech ML1000ルミノメーターで読み取った。出力を、250msの測定期間中に生じた光の全積分(full integral)として得た。
非十字形エキステンダーを用いると、代表的には、「捕獲エキステンダーなし」のコントロールは、捕獲エキステンダーを含むコントロールサンプルよりも約2倍低いバックグラウンドを有する。これは、分子(LE、AMP、および標識)がCEに結合するからである。しかし、列1と列2との比較は、十字形捕獲エキステンダーを用いたバックグラウンドが、十字形捕獲エキステンダーを用いないバックグラウンドと同じであることを示す。列1、2および3の比較は、競合物を用いると、バックグラウンドを捕獲エキステンダーなしのコントロールのレベルより下に減少させることが可能であることを示す。おそらく、これは捕獲プローブに標識エキステンダーが結合することを阻止することに帰因する。列4と5との比較は、競合物が標的結合と競合しないことを示す。標的結合は、競合物に影響されない。なぜなら、標的は複数のCEを通してよりずっと堅固に結合し、これは個々のエキステンダープローブまたは個々の競合物の結合よりもずっと堅固であるからである。
実施例2
「十字形」フォーマットの多重標識エキステンダーを用いる増幅アッセイ
本実施例は、図11に示すように、2つの異なる標識エキステンダーを用いるハイブリダイゼーションアッセイについて記載する。本実験研究の目的は、固体支持体、あるいは捕獲エキステンダーまたは捕獲プローブ分子に結合する標識エキステンダーにより引き起こされるバックグラウンドシグナル(すなわち、ある程度標識エキステンダーが支持体に結合する場合に生成されるこの種のバックグラウンドは、標的にって媒介されることはない)を減少することであった。標識エキステンダーが結合されると、プリアンプリファイアー、アンプリファイアーマルチマー、および標識プローブ(本実験では、アルカリ性ホスファターゼ標識プローブを使用した)が結合し得、そして標的の存在に依存しないシグナルを発生する。個々にアンプリファイアーマルチマーに結合するための標識エキステンダープローブの能力を低減することにより、プリアンプリファイアーは、表面に安定に結合されるために多重標識エキステンダープローブを介して結合する。プリアンプリファイアーは、アッセイのハイブリダイゼーション条件の間、単一の標識エキステンダーとの結合を存続しないようである。標識エキステンダーを、それらが標的配列に結合したとき、アンプリファイアーマルチマーの結合を容易にするのに必要な2つの標識エキステンダーが互いに近位に位置するように設計する。単一のハイブリダイズされた標識エキステンダーは、反応条件下でプリアンプリファイアーを有効的に結合しない。このように、プリアンプリファイアーの結合は、標的の存在下でのみ好ましい。
PSCP(配列#41を参照のこと)と呼ばれる合成オリゴヌクレオチド捕獲プローブをプレートに取り付けた。HCV標識エキステンダープローブのセットを設計した。各々の標識エキステンダーは、プリアンプリファイアープローブに結合する1つまたは2つの付加配列(配列A、B、C、またはDから選択される)に加え、標識に相補的な配列(T)を含む。このプリアンプリファイアーは、LEに結合する配列(A'、B'、C'、およびD')と、アンプリファイアーマルチマーに結合する配列(E')の8つの反復とを含む。
シグナル増幅液相核酸サンドイッチハイブリダイゼーションアッセイのフォーマットを、本実施例において使用した。シグナル増幅は、プリアンプリファイアー(E')のセグメントにハイブリダイズする第1のセグメント(E)とセグメント(F)の15個までの反復(ここで、セグメントFは、3つまでのアルカリ性ホスファターゼ標識オリゴヌクレオチドとハイブリダイズする)とを有するように設計された分枝DNAマルチマー(アンプリファイアー)を介して生成される。標的核酸を、捕獲プローブおよび、捕獲プローブと標的との両方にハイブリダイズする多数の捕獲エキステンダーを介して固体支持体に結合する。このアッセイに使用した捕獲エキステンダープローブ、標識エキステンダープローブ、およびプリアンプリファイアープローブは、以下の通りであった。
配列(5'-->3')捕獲エキステンダープローブ(固定化捕獲プローブに結合するセグメントに下線を付す):
使用した標識エキステンダープローブ(標的にハイブリダイズする配列に下線を付し、上記省略記号の配列を括弧で囲む):
25:(A−T)(配列番号28)
コントロール実験のために使用した標識エキステンダプローブは以下のとおりであった(標的にハイブリダイズする配列に下線を付す):
使用したプリアンプリファイアープローブ(配列E’に下線を付し、A'、B'、C'およびD'について開始および終止位置を小文字で示し、残りの配列はスペースにしてある):
アッセイに使用したプレートを、DNA配列CP2の代わりに配列PSCPをプレートに取り付けたこと以外は、上記のようにコートした。
アンプリファイアーマルチマーを上記のように調製した。ハイブリダイゼーションアッセイを以下のように行った:
HCVの標準曲線を、高力価C型肝炎ウィルスサンプルをHCV陰性ヒト血清中に希釈し、そして上記のように調製したマイクロタイターディッシュのウェルに1,500〜19,500ウィルス当量の範囲に相当する希釈液の50μlアリコートを送達することにより調製した。
サンプルの調製は、150μlのP-K緩衝液(58mM Tris-HCl中3.3mg/mlのプロテイナーゼK、pH8.0/0.6M NaCl/0.06Mクエン酸ナトリウム/12mM EDTA、pH8.0/1.3% SDS/16μg/ml音波処理サケ精子DNA/7%ホルムアミド/100fmole捕獲エキステンダープローブ/400fmole標識エキステンダープローブ)を各々のウェルに送達することから成った。対照実験では、同様の緩衝液中の50fmole/ウェル捕獲エキステンダープローブ、160fmole/ウェル標識エキステンダープローブを使用した。プレートを、撹拌してウェルの内容物を混合し、覆い、そして63℃で16時間インキュベートした。対照実験を「前増幅」工程の間、63℃に保った。
室温でさらなる10分間後、各々のウェルの内容物を吸引してすべての流体を除去し、そしてウェルを洗浄緩衝液(0.1% SDS/0.015M NaCl/0.0015Mクエン酸ナトリウム)で2×洗浄した。次いで、プリアンプリファイアープローブを各々のウェルに加えた(50μlの0.75M NaCl/0.075Mクエン酸ナトリウム/0.1% SDS/0.5%ブロッキング試薬(上記、Boehringer Mannheim、カタログ番号1096 176)中の100fmole)(対照を除く)。プレートを撹拌し、覆い、そして53℃で30分間インキュベートした。
次いで、プレートを冷却し、そして上記のように洗浄した。次いで、アンプリファイアーマルチマーを各々のウェルに加えた(プリアンプリファイアープローブに使用したのと同様の緩衝液中の85fmol)。対照実験は、同様の緩衝液中の30fmol/ウェルアンプリファイアーマルチマーを使用した。プレートを覆い、そして撹拌してウェルの内容物を混合した後、プレートを53℃で30分間インキュベートした。
室温でさらなる10分間後、ウェルを上記のように洗浄した。
EP883096976に開示されているアルカリ性ホスファターゼ標識プローブを、次いで各々のウェルに加えた(50μlの0.75M NaCl/0.075Mクエン酸ナトリウム/0.1% SDS/0.5%ブロッキング試薬(上記、Boehringer Mannheim、カタログ番号1096 176)中の125fmol)。53℃で15分間、そして室温で10分間のインキュベーション後、ウェルを上記のように2回、次いで0.015M NaCl/0.0015Mクエン酸ナトリウムで3×洗浄した。
Lumigen、Inc.から入手した酵素誘発ジオキセタン(Schaapら、Tet.Lett.(1987)28:1159-1162およびEPA公開公報第0254051号)を発光物質として使用した。50μl Lumiphos530(Lumigen)を各々のウェルに加えた。ウェルを覆い、30秒間撹拌し、そして37℃で25分間インキュベートした。
プレートを、次いでDynatech ML1000ルミノメーターで読み取った。出力を、250ミリ秒の読み取り時間中に生じた光の全積分として得た。
結果を以下の表に示す。
プリアンプリファイアープローブを用いたアッセイランは、プリアンプリファイアープローブを用いないアッセイランと比較して、分析物濃度の各々に対してシグナルマイナスノイズのより高い値を有した。
実施例3
多歯捕獲
本実施例では、捕獲プローブxt1*(本明細書のはじめに引用されたPCT公開公報第WO 92/02526号、およびEPA883096976を参照のこと)を含むマイクロウェル上で、Tm測定を行った。捕獲エキステンダーおよびxt1*捕獲プローブは以下の通りであった:
xt1−末端化HCV捕獲エキステンダー(5'-->3';プローブの機能性ドメインをピリオドによって分離する):
捕獲エキステンダープローブおよびHCV標的RNAをP-32を用いて標識した。捕獲エキステンダー−捕獲プローブTm決定のために、標識された捕獲エキステンダーを、様々な温度で、または様々なレベルの変性剤ホルムアミド存在下で、xt1*のウェルを用いて平衡化した。2時間の平衡化または一晩の平衡化のどちらかを使用した。捕獲エキステンダー−標的−捕獲プローブTm決定のために、捕獲エキステンダーをP-32標識標的にハイブリダイズした。捕獲エキステンダー−標的複合体を、次いで、様々な温度で2時間または一晩、捕獲プローブのウェルを用いて平衡化した。サンプルを決定された温度および結合パーセントでミクロウェルから取り出した。TmまたはCmを、温度またはホルムアミドパーセントに対してプロットした結合パーセントを用いて曲線の中点として決定した。Cm(ホルムアミド)をTm(ホルムアミドなし)に変換するために、1ホルムアミドパーセント毎にTmが0.7℃だけ低下するという事実を用いた。
2時間の平衡化を用いた捕獲エキステンダー−標識標的−xt1*捕獲プローブおよび標識捕獲エキステンダー−xt1*捕獲プローブの融解曲線を図14に示す。20%ホルムアミドおよび0.6M LiCl中での融解温度は:捕獲エキステンダー−xt1*に対して50℃であり、そして捕獲エキステンダー−標的−xt1*に対して60℃である。これらの数字は、ホルムアミド非存在下での64℃および74℃のTm値に相当する。図14は、36%の標的およびわずか2%の捕獲エキステンダーが、20%ホルムアミド中、55℃で結合していることを示す。これは18×の差であり、多重捕獲エキステンダーを介した標的捕獲に基づいている。
当業者は、標的−捕獲エキステンダー−捕獲プローブ複合体と捕獲エキステンダー−捕獲プローブ複合体との間のTmの差が、10℃を越えて増加し得ることを理解する。捕獲エキステンダー−捕獲プローブTmを低下させることにより、多歯結合の効果を拡大する。
実施例4
2つのアンプリファイアーを用いるハイブリダイゼーションアッセイ
前記実施例から、プローブを、アッセイの条件下で安定な複合体を達成するために多重(2またはそれ以上)相互作用が必要とされるように設計し得ることが明らかである。用語「多重相互作用」は、いかなる限定も意図しない。2つのタイプの多重相互作用について説明する:それらは、十字形(4方向分枝)接合を形成する多重プローブおよび固体支持体上で多重捕獲プローブに同時に結合する多重捕獲エキステンダーであり、単一の捕獲エキステンダー−捕獲プローブハイブリッドのTmよりも10℃〜20℃高い標的−固体支持体Tmを生じる。
同様の概念は多重アンプリファイアーにも当てはまる。作用し得るプローブ設計を図15に示す。この場合、2つの分枝DNAアンプリファイアーが2つの標識エキステンダーに結合する。Amplが、安定なハイブリッド配列Xを介して標識エキステンダーLE1に結合する。Amp2が、安定なハイブリッド配列Yを介して標識エキステンダーLE2に結合する。LE1およびLE2は、接触する必要はないが、両方とも同一標的分子の非重複領域に結合されなければならない。AMP1は分枝配列BおよびFを含有し、そしてamp2は分枝配列DおよびGを含有する。この実施例において、酵素標識プローブは配列BcおよびDcを含有するが、活性化物質プローブは配列FcおよびGcを含有する。図15において、標識エキステンダーは、標的およびそれらのそれぞれのアンプリファイアーと安定なハイブリッドを形成する。示した他のすべてのハイブリッド(B、D、F、Gを含む)は、弱すぎてハイブリダイゼーションの温度で安定なハイブリッドを形成することができないように設計する。弱いハイブリッドを、アッセイハイブリダイゼーション温度より約10℃〜20℃低い融解温度を有するように設計する。アッセイ温度より5℃低い融解温度を有する設計もまた受容可能である。好ましい差は10℃〜20℃である。なぜなら、これは標的特異的結合を100倍〜1000倍に増加し得るからである。
このようにして、例えば、酵素標識プローブが配列Bに結合するとき、その上配列Dが近くになければそれは素早く解離する。プローブがAMP1とAMP2の両方に結合すると、構造が空間においてより固定化し、次の結合事象が速度論的に好まれる。活性化物質プローブは独立して標識プローブに結合するが、同じ様式においてである。活性化物質プローブの結合は、標識プローブのAMP1およびAMP2の結合により熱力学的ではなく速度論的に促進され、そして標識プローブAMP1およびAMP2の結合は、速度論的に活性化物質プローブの結合により促進される。
活性化物質プローブは多くの形状をとり得る。それらは、(1)酵素を直接活性化し得るか、または(2)阻害を軽減することにより酵素を間接的に活性化し得るか、または(3)それらは酵素反応の生成物の検出を活性化し得る。方法(3)の例のように、酵素標識プローブ中の酵素は、アルカリ性ホスファターゼであり得、そして活性化物質は、組成物および構造においてSchaapら、Clinical Chemistry 35:1863-1864(1989)により開示されるのと類似のフルオレセイン化(fluoresceinated)ポリマーであり得た。このポリマーの存在下で、脱ホスホリル化したジオキセタンからの光出力は、400倍に増加した。理想的には、酵素により放出されたジオキセタンが、有効標的依存光放射のためのフルオレセインまたは他の発光促進剤への転移エネルギーの高い確率を有するように、発光活性化物質は酵素標識プローブをサンドイッチする。検出工程のために選択される条件は、ジオキセタンの非常に短い寿命を好み、促進剤−標識標的の非存在下でジオキセタンの検出の効率を低減する。バルク(bulk)ホスホリル化ジオキセタン物質混合物からフルオレセインポリマーまたは他の発光促進剤を除去することにより、シグナルがより標的依存的となる。ホスホリル化ジオキセタンを開裂する固体支持体に非特異的に結合するアルカリ性ホスファターゼでさえ、それが標的に拡散するのに十分に長く残存しなければ、ほとんど検出されないようである。この方法により、バックグラウンドでさえ、シグナルのタイプに変換される(すなわち、大部分のノイズを見分けるために標的の存在を必要とする)。
活性化物質プローブはまた、酵素阻害を軽減する酵素−活性化物質または部分であり得た。酵素は2つまたはそれ以上のサブユニットを有し得た。理想的には、それを、サブユニットの天然親和性を低減または除去するように設計する。天然の結合に起因するアミノ酸の代わりに、非常に短いオリゴヌクレオチド配列(サブユニット上の配列H、および他のサブユニット上の相補的な配列Hc)であってもよく、それらは、自身により安定なハイブリッドを形成し得ないが、図15のように2つの異なるアンプリファイアーの異なる分枝に対する両方のサブユニットへの標的分子の結合によりサブユニットが互いに近くに保たれる場合、2つの不活性サブユニットを会合し得、それ故、活性複合体を形成し得る。
酵素阻害を軽減することによる活性化の例は以下のとおりである。標識オリゴヌクレオチドを、アルカリ性ホスファターゼおよびセオフィリンの両方、または他の非競合酵素インヒビターに共有結合した。活性化物質プローブは、アルカリ性ホスファターゼに対して1/Kiのセオフィリンよりもより高いKaを有する抗セオフィリン抗体を含む。抗セオフィリン抗体を含むオリゴプローブを、活性化物質が酵素インヒビターと結合しないように、有効な可逆性変性剤存在下で加える。このような可逆性変性剤の例は、ホルムアミドおよび尿素を含み、アルカリ性ホスファターゼはこれらに非常に耐性である。洗浄工程は、過剰の活性化物質および標識プローブと共に変性剤を除去する。このとき、標的結合抗セオフィリン抗体は、その接近により、セオフィリンと結合する。なぜなら、KA>>1/Kiであり、それ故アルカリ性ホスファターゼの阻害を軽減するからである。固体支持体結合アルカリ性ホスファターゼは、標識プローブに結合したセオフィリンにより阻害されたままである。なぜなら、非特異的に結合した抗セオフィリン抗体は、阻害を軽減するのに十分に密接していないからである。
三部システムがまた構築され得、ここで、分枝DNAアンプリファイアーは少なくとも3つの短い配列を有し、そして2つの酵素サブユニット(これらのお互いに対する天然の親和性が低減または除去される)が接近し、そしてそれらが次に発光活性化物質に取り囲まれる。さらに、酵素の1つのサブユニットを伴う分枝DNAアンプリファイアーおよび他のサブユニットまたは活性化物質を伴う他の分枝DNAアンプリファイアー(別の標識エキステンダーに結合した)を使用し得る。さらに、架橋分子を支持するために多数の異なる連続的な配列を含む直鎖のアンプリファイアーを使用することも同様に可能である。このような直鎖のアンプリファイアーを、前記で考察したように結合により容易に作製し得る。
実施例5
概念を組み合わせるハイブリダイゼーションアッセイ
本発明の目的は、ハイブリダイゼーションアッセイのバックグラウンドノイズを減少することである。固体支持体への捕獲エキステンダーの結合を徹底的に減少することにより、捕獲エキステンダーに結合する分子によるバックグラウンドを減少する。2つの標識エキステンダーを介してアンプリファイアーを結合することにより、バックグラウンドを減少する。なぜなら、固体支持体または固体支持体に結合した任意の分子に結合する標識エキステンダー(捕獲プローブおよび捕獲エキステンダーを含む)は、有効的に標識されないからである。同様に、標的の非存在下で支持体に結合するアンプリファイアーは、それがアッセイ温度よりも10℃〜20℃低いTmを有する標識されたプローブとハイブリッドを形成する場合、有効に標識されない。また、固体支持体または固体支持体に結合した任意の分子に結合する標識ざれたプローブは、その標識されたプローブがその補因子または他のサブユニットにより活性化されない場合、有効に検出されない。発光の活性化物質は、光出力を100倍より大きく増加し得る(Schaapら、上記)。活性化物質を物質の溶液から除去し、そして代わりに標的に結合する場合、ハイブリダイゼーションアッセイのノイズ減少のための重要な機会がある。
本実施例は、単一のアッセイにおいてこれらの概念をどのようにして利用するかについて記述している。任意の1つの概念を利用すると、バックグラウンドの検出可能な低減を生じる。これらのすべてを利用すると、原則として、バックグラウンドは検出され得ず、より強力なシグナル増幅の使用を可能にして感度を増加させる。これらの概念を組み合わせる作用し得るプローブ設計を図16に示す。捕獲エキステンダーおよび標識エキステンダーを、十字形において標的に同時にハイブリダイズするように設計し得る。エキステンダーの標的結合領域のTmを、配列VおよびWおよびXおよびYを含むハイブリッドよりも約10℃、より安定であるように設計する。捕獲−−標的複合体のTmを、捕獲エキステンダー−−捕獲プローブ複合体よりも約10℃またはそれ以上、より安定であるように設計する。ハイブリダイゼーションの間は、配列「V」および「W」の莫大なモル過剰量が含まれ得、固体支持体に結合する捕獲エキステンダーをさらに低減する(特に、冷却工程がハイブリダイゼーション後に含まれる場合)。上記のように、「V」および「W」配列は、標的結合において効果を有しない。
捕獲完了後、必要に応じた洗浄サイクルを、過剰のプローブを除去するために行なう。次いで、図16に示すように、短い配列BcとDcとを含む酵素−標識プローブ、および配列FcとGcとを含む必要に応じた活性化物質プローブを加え、そして配列B、D、F、Gを含むハイブリッドのTmよりも約20℃高い温度で、ハイブリダイゼーションを行なう。例えば、配列B、D、F、およびGのTmを、35℃に設計し得たが、ハイブリダイゼーション温度は50℃であり得、そしてAMP1およびAMP2と共に形成した複合体のTmは、55℃〜60℃であり得た。あるいは、(1)活性化物質と酵素との会合を低減または有効に妨害するために、そして(2)ただ1つのアンプリファイアーへの標識プローブおよび/または活性化物質の結合を低減または有効に妨害するため(すなわち、有効なハイブリダイゼーション温度を約50℃まで増加するため)に、ハイブリダイゼーションを、有効なタンパク質変質剤存在下で約37℃で行い得た。好ましくは、タンパク質工学を使用して、酵素と酵素活性化物質との間の相互作用を最小にした。最後に、固体支持体を洗浄し、そして検出を行う。好ましい物質は、ホスホリル化ジオキセタンであろう。促進剤はこの物質混合物中に存在しないであろう。なぜなら、理想的には、促進剤は標的に結合するからである。すなわち、図16の活性化物質がそれ自身発光活性化物質であるか、または発光活性化物質が、酵素活性化物質および酵素標識オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションに含まれるかのいずれかである。
Claims (10)
- サンプル中の核酸分析物を検出するためのサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイであって:(a)該分析物を間接的に固体支持体に結合させる工程;(b)該分析物を標識する工程;(c)該支持体上の標識の存在を検出する工程;および(d)該支持体上の該標識の存在を該サンプル中の核酸分析物の存在と相関させる工程を包含し、
改良点として、第1の捕獲エキステンダー分子および別の第2の捕獲エキステンダー分子をアッセイ内に組み込む工程であって、両方の捕獲エキステンダー分子は該アッセイのために該分析物にハイブリダイズし、検出可能なシグナルを生じなければならず、該第1のおよび第2の捕獲エキステンダー分子が、それぞれ、該分析物中に存在する核酸配列にハイブリダイズし得る分析物結合セグメント、および固体支持体に結合する捕獲プローブ内に存在する核酸配列にハイブリダイズし得る支持体結合セグメントを含有するポリヌクレオチドを含む工程、を包含し、
ここで、該第1の捕獲エキステンダー分子の該分析物結合セグメントが、該第2の捕獲エキステンダー分子の該分析物結合セグメントと区別され、さらにここで、2つの別の捕獲エキステンダー分子が単一の捕獲プローブに結合し得るように、該捕獲プローブが、該第1の捕獲エキステンダー分子の該支持体結合セグメントにハイブリダイズし得る第1の捕獲エキステンダー結合配列と、該第2の捕獲エキステンダー分子の該支持体結合セグメントにハイブリダイズし得る第2の捕獲エキステンダー結合配列とを含む、アッセイ。 - 請求項1に記載のアッセイであって、前記核酸分析物が、前記捕獲プローブと、捕獲エキステンダー分子と、核酸分析物との間で形成されるハイブリッド複合体の該捕獲プローブから解離する融解温度Tm1が、該捕獲プローブと捕獲エキステンダー分子との間で形成されるハイブリッド複合体の融解温度Tm2よりも少なくとも5℃高い、アッセイ。
- 請求項2に記載のアッセイであって、少なくとも1つの工程が、Tm1複合体形成には好ましいが、Tm2複合体形成には好ましくないストリンジェンシー条件下で行われる、アッセイ。
- 請求項3に記載のアッセイであって、ストリンジェンシーが、ホルムアミド濃度、カオトロピックな塩濃度、塩濃度、pH(水素イオン濃度)、有機溶媒含量、および温度からなる群より選択される、少なくとも1つの工程のパラメーターを制御することによって制御される、アッセイ。
- 請求項4に記載のアッセイであって、前記少なくとも1つの工程がTm2よりも高くかつTm1よりも低い温度で行われる、アッセイ。
- 請求項3に記載のアッセイであって、前記少なくとも1つの工程が工程(a)を包含する、アッセイ。
- サンプル中の核酸分析物の存在を検出するサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイであって:
(a)固体支持体上に捕獲プローブを有する固体支持体と、該分析物中に存在する核酸配列にハイブリダイズし得る分析物結合セグメントおよび該捕獲プローブ内に存在する核酸配列にハイブリダイズし得る支持体結合セグメントを含むポリヌクレオチドを含有する第1の捕獲エキステンダー分子と、該分析物中に存在する核酸配列にハイブリダイズし得る分析物結合セグメントおよび該捕獲プローブ内に存在する核酸配列にハイブリダイズし得る支持体結合セグメントを含むポリヌクレオチドを含有する別の第2の捕獲エキステンダー分子と、該分析物中の核酸配列にハイブリダイズし得る第1のセグメントL−1および第2のセグメントL−2を有する標識エキステンダー分子と、L−2にハイブリダイズし得る核酸配列M−1および核酸配列M−2を含む多数の同一なオリゴヌクレオチドサブユニットを含有する増幅マルチマーと、M−2にハイブリダイズし得、そして直接的または間接的に、検出可能なシグナルを生じさせる配列L−3を含む標識プローブとを提供する工程であって、ここで該第1の捕獲エキステンダー分子および該第2の捕獲エキステンダー分子は、単一の捕獲プローブに結合する、工程;
(b)該固体支持体上で、同時にまたは任意の順序で連続して、該捕獲エキステンダー分子、標識エキステンダー分子、および該捕獲プローブと共に、ハイブリダイゼーション条件下で該核酸分析物をインキュベートして、支持体に結合した第1のハイブリッド複合体を形成する工程;
(c)次いで、該固体支持体に結合しない物質を分離する工程;
(d)ハイブリダイゼーション条件下で該支持体に結合した第1のハイブリッド複合体と該増幅マルチマーとを接触させて、支持体に結合した第2のハイブリッド複合体を生成する工程;
(e)次いで、該固体支持体に結合しない物質を分離する工程;
(f)ハイブリダイズする条件下で、該支持体に結合した第2のハイブリッド複合体と該標識プローブとを接触させて、標識された、支持体に結合した第3のハイブリッド複合体を生成する工程;
(g)次いで、該固体支持体に結合しない物質を分離する工程;
(h)該支持体に結合した第3のハイブリッド複合体における標識の存在を検出する工程;ならびに
(i)該支持体に結合した第3のハイブリッド複合体の該標識の存在を該サンプル中の該核酸分析物の存在と相関させる工程、を包含し、
ここで、第1のおよび第2の捕獲エキステンダー分子の両方が該分析物に結合している場合にのみ、工程(d)の該支持体に結合した第2のハイブリッド複合体が形成するように、該捕獲エキステンダー分子が構成される、アッセイ。 - 請求項7に記載のアッセイであって、前記捕獲プローブが、前記第1の捕獲エキステンダー分子の支持体結合セグメントにハイブリダイズし得る第1の捕獲エキステンダー結合配列と、前記第2の捕獲エキステンダー分子の支持体結合セグメントにハイブリダイズし得る第2の捕獲エキステンダー結合配列とを含有し、その結果、2つの捕獲エキステンダー分子が単一の捕獲プローブに結合し得る、アッセイ。
- サンプル中の核酸分析物を検出するためのキットであって:
(a)固体支持体に結合した捕獲プローブを有する固体支持体;
(b)該捕獲プローブと、該核酸分析物の予め定められたセグメントとハイブリダイズし得る第1の捕獲エキステンダー分子;
(c)該第1の捕獲エキステンダー分子が結合する該捕獲プローブおよび該セグメントとは異なる該核酸分析物の該捕獲プローブおよびセグメントにハイブリダイズし得る別の第2の捕獲エキステンダー分子;
ここで該第1の捕獲エキステンダー分子および該第2の捕獲エキステンダー分子は、単一の捕獲プローブに結合し、
(d)該第1のおよび第2の捕獲エキステンダー分子が結合するセグメントとは異なる該核酸分析物のセグメントにハイブリダイズし得る標識エキステンダー分子;
(e)該標識エキステンダー分子にハイブリダイズし得る核酸配列を含有し、そして、直接的または間接的に、検出可能なシグナルを提供する、標識プローブシステムを含むキットであって、
ここで、該捕獲プローブが、該第1の捕獲エキステンダー分子にハイブリダイズし得る第1の捕獲エキステンダー結合配列と、該第2の捕獲エキステンダー分子にハイブリダイズし得る第2の捕獲エキステンダー結合配列とを有するプローブを含む、キット。 - 請求項9に記載のキットであって、前記標識プローブシステムが、(f)前記標識エキステンダー分子および多数の同一なオリゴヌクレオチドサブユニットにハイブリダイズし得る核酸配列を含む増幅マルチマー;ならびに
(g)該同一なオリゴヌクレオチドサブユニットにハイブリダイズし、そして直接的または間接的に、検出可能なシグナルを提供するように設計された標識プローブ;
を含む、キット。
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