JP3801801B2

JP3801801B2 - 電動車両

Info

Publication number: JP3801801B2
Application number: JP00986399A
Authority: JP
Inventors: 滋青木; 正則進
Original assignee: Honda Motor Co Ltd
Current assignee: Honda Motor Co Ltd
Priority date: 1999-01-18
Filing date: 1999-01-18
Publication date: 2006-07-26
Anticipated expiration: 2019-01-18
Also published as: US6312035B1; GB2345673A; GB2345673B; GB0001149D0; JP2000203458A; CN1159188C; CN1263844A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は電動車両の改良、特に、車両用カバー部材に設けた収納ボックス用リッドの取付構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
電動車両としては、例えば電動式車椅子など各種のものがある。電動式車椅子は、高齢者や身体障害者等の歩行困難な人でも楽に操縦できる電動乗用車であり、この種の電動乗用車としては、例えば、特開平７−２１３５６０号公報「電動車」がある。
上記従来の技術は、その公報の図１、図３、図４及び図１２によれば、車体４（番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。）の後部をリアカバー１５で覆い、このリアカバー１５内に充電器１３を収納し、リアカバー１５に開口部３８を形成し、この開口部３８をリアカバーリッド３７で開閉するようにしたものである。リアカバーリッド３７は可撓性を有する材料からなり、開閉基端に薄肉状のヒンジ３７ｊを形成し、このヒンジ３７ｊによってリアカバー１５に開閉可能に取付けたものである。
ところで、上述のような電動車両のカバーは、外観性向上等のために全体的に曲線形状にすることが多い。湾曲したカバーについて、以下に説明する。
【０００３】
図１４（ａ）〜（ｃ）は従来の電動車両用カバー及びリッドの説明図である。
（ａ）に示すカバー１００は、左右両側よりも車幅中心が外方へ膨出するとともに、車体前後方向にも外方へ膨出するように湾曲した部材であり、さらに、概ね矩形状の開口部１０１を形成し、この開口部１０１にカバー１００に沿わせた形状のリッド１０２を、車幅方向に並べた２組のヒンジ１０３，１０３にて開閉可能に取付けたものである。
リッド１０２が車幅方向に湾曲するので、リッド１０２における車幅方向の縁、すなわち、開閉基端側の縁１０４並びに開口部１０１における開閉基端側の縁１０５は、車幅方向に湾曲した端面形状を有することになる。換言すれば、リッド１０２における開閉基端側の縁１０４は、左右両側よりも車幅中央が外方へ突出する。（ｂ）や（ｃ）に示すように、カバー１００は開口部１０１に臨ませた収納ボックス１０６を有する。
【０００４】
ヒンジ１０３の構造としては、（ｂ）や（ｃ）に示すものが考えられる。
（ｂ）のヒンジ１０３は、ヒンジ中心を収納ボックス１０６の外方に配置し、リッド１０２の裏面からヒンジ中心へ延した長いヒンジアーム１１１をヒンジ軸１１２に取付けることによって、リッド１０２を開閉可能にした、送りヒンジと称するものである。
（ｃ）のヒンジ１０３は、ヒンジ中心を収納ボックス１０６の内方に配置し、リッド１０２の裏面からヒンジ中心へ延した短いヒンジアーム１１５をヒンジ軸１１６に取付けることによって、リッド１０２を開閉可能にしたものである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
上記図１４（ｂ）のヒンジ１０３は、長いヒンジアーム１１１が必要なので不経済であるとともに、収納ボックス１０６の側壁にヒンジアーム１１１を貫通させるための大きい孔１１３を開ける必要があり、改良の余地がある。
一方、上記図１４（ｃ）のヒンジ１０３は、短いヒンジアーム１１５ですみ経済的であるとともに、収納ボックス１０６の側壁に孔を開けずにすむ。しかし、リッド１０２を開閉させるときに、その開閉基端側の縁１０４が、開口部１０１の縁１０５に干渉しない配慮が必要となる。
【０００６】
そこで本発明の目的は、簡単な構成によって、収納ボックスの側壁にヒンジ用の孔を開けることなく、また、リッドを開閉させるときに、その開閉基端側の縁が開口部の縁に干渉することのない、ヒンジ構造の技術を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項１は、車両用カバー部材の湾曲した面に概ね矩形状の開口部を形成し、この開口部からカバー部材の内側へ連なる収納ボックスを設け、この収納ボックスに、カバー部材の湾曲した面に沿わせた形状のリッドをヒンジにて開閉可能に取付けた電動車両において、ヒンジが、リッドの側部又は収納ボックスの側部にヒンジ軸を設け、収納ボックスの側部又はリッドの側部にヒンジ孔を設け、このヒンジ孔をヒンジ軸と直交する方向に且つリッドの延びる方向に長い孔とし、この孔にヒンジ軸を回転可能に且つ長孔方向にスライド可能に嵌合することで、リッドが開動作するときに、リッドが開閉先端側にスライド可能な構成としたことを特徴とする。
【０００８】
リッドを開閉させるときに、その開閉基端側の縁が開口部の縁に当ると、リッドには開閉先端側への押出し力が作用する。この結果、ヒンジ軸又はヒンジ孔は、リッドと共にヒンジ孔の長孔方向へスライドする。すなわち、ヒンジ中心が移動する。ヒンジ中心と共にリッドが移動するので、リッドを開閉させるときに、その開閉基端側の縁が開口部の縁に干渉することはない。さらには、収納ボックスにヒンジアームが貫通するための孔を開ける必要がない。
【０００９】
さらに請求項１は、収納ボックスの側部又はリッドの側部には貫通孔を設け、リッドの側部又は収納ボックスの側部には貫通孔に貫通するストッパアームを設け、このストッパアームにはリッドが全開したときに貫通孔からの抜け止めをなすストッパ部を設けることで、リッドの全開角度を設定するように構成したことを特徴とする。
【００１０】
リッドを開いたときに、貫通孔からストッパ部が抜けないので、リッドの開度は、所定の適切な全開角度に自動的に決まる。
【００１１】
さらに請求項１は、ストッパアームに、リッドが閉動作するときに貫通孔の縁に接するカム部を設けることで、リッドが閉動作するときに、貫通孔の縁とカム部の接触によってリッドを開閉基端側へ押出すように構成したことを特徴とする。
【００１２】
リッドを開いたときに、ヒンジ中心と共にリッドが開閉先端側へ移動した場合であっても、リッドを閉じるときに、貫通孔の縁にカム部が当ることによって、ヒンジ中心と共にリッドが開閉基端側へ押出される。従って、閉じたリッドと開口部との間に余分な隙間が生じることはない。
【００１３】
請求項２は、収納ボックスの側部又はリッドの側部に保持用係止部を開け、リッドの側部又は収納ボックスの側部に弾性変形可能な保持アームを設け、この保持アームに、リッドが開のときに保持用係止部に弾性的に当る保持部を設け、これらの保持用係止部と保持部によって、リッドの開状態を保持するように構成したことを特徴とする。
【００１４】
リッドの開状態において、保持用係止部に保持部が弾性的に当り、開状態を保持する。
【００１５】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従い、Ｆｒは前側、Ｒｒは後側、Ｌは左側、Ｒは右側、ＣＬは車幅中心を示す。また、図面は符号の向きに見るものとする。
図１は本発明に係る電動車両の側面図であり、前後各２輪の４輪車形式の電動車両１を示す。
【００１６】
電動車両１は、車体フレーム２と、車体フレーム２の前部に回転可能に取付けたステアリングシャフト３と、ステアリングシャフト３の上端に連結した操作ハンドル４と、左右の前輪５，５（この図では左のみ示す。以下同じ。）と、車体フレーム２の後部に取付けた後輪駆動用モータ６と、モータ６に連結した減速機７と、減速機７に連結した差動装置８と、差動装置８に連結した左右の後輪駆動軸９，９と、後輪駆動軸９，９に連結した左右の後輪１１，１１と、車体フレーム２の後部に搭載したバッテリ１２と、バッテリ１２の上に搭載したコントローラ１３と、車体フレーム２の後部上部に取付けたシート１４と、車体フレーム２を覆うボディカバー２０とからなる、電動式車椅子である。図中、１５はヘッドランプである。
【００１７】
ボディカバー（カバー部材）２０は、車体２の前部を覆うフロントカバー２１と、操作ハンドル４周りに被せるハンドルカバー２２と、前輪５，５の上部に被せるフロントフェンダ２３，２３と、運転者の足を載せる低床式のステップフロア２４と、ステップフロア２４から後方へ延びてモータ６、減速機７、差動装置８、バッテリ１２並びにコントローラ１３を覆うリヤカバー３０とからなる。リヤカバー３０は、後部に収納ボックス４０を備える。以下、リヤカバー３０について、詳細に説明する。
【００１８】
図２は本発明に係るリヤカバーの後部斜視図である。
リヤカバー３０は、左右両側よりも車幅中央（車幅中心ＣＬ）が外方へ膨出するように湾曲するとともに、車体前後方向にも外方へ膨出するように湾曲したカバー部材であり、さらに、車幅方向に長い平面視略矩形状の開口部３１を形成し、この開口部３１にリヤカバー３０に沿わせた形状のリッド５０を、左右２組のヒンジ７１，７１にて、前後開閉可能に取付けたものである。
【００１９】
リヤカバー３０が車幅方向に湾曲するので、リッド５０における車幅方向の縁、すなわち、リッド５０の開閉基端側の縁５１並びに開口部３１における開閉基端側の縁３２は、車幅方向に湾曲した端面形状を有することになる。換言すれば、リッド５０における開閉基端側の縁５１は、左右両側よりも車幅中央が外方へ膨出する。
また、リヤカバー３０は、リッド５０の全開角度を設定する左右２組のストッパ機構７２，７２と、リッド５０の開状態を保持する左右２組の保持機構７３，７３とを備える。
【００２０】
図３は本発明に係るリヤカバー並びにリッドの車幅中央の側面断面図であり、開口部３１に臨ませた収納ボックス４０を、樹脂製品のリヤカバー３０に一体に形成したことを示す。すなわち、開口部３１からリヤカバー３０の内側へ連なる収納ボックス４０を設け、この収納ボックス４０の開口をリッド５０で開閉する。
樹脂製品のリッド５０は、開閉先端部５２に弾性片からなるノブ５３を一体に形成し、ノブ５３の先端の鈎部５４を、リヤカバー３０の掛止め部３３に弾性を有して、すなわち、スナップフィットにて掛止めしたものである。この結果、リッド５０の先端ををリヤカバー３０に止めることができる。
【００２１】
図４は本発明に係るリヤカバー並びにリッドの左側部の側面断面図であり、リヤカバー３０を側面から見たときに、車幅中央における上縁の陵線Ｓ１が、左右側部における上縁の陵線Ｓ２よりも外方へ、膨出していることを示す。
また、この図は、バッテリ１２（図１参照）に充電するときに使用する差込みプラグ８１を収納ボックス４０内に収納したことを示す。詳しくは、上記バッテリ１２は、充電式バッテリであり、図示せぬ充電器並びに電気コード８２を介して、差込みプラグ８１に接続したものである。
電気コード８２は、収納ボックス４０の前方に設けた図示せぬ巻き取りリールに、巻き取り自在に巻いた状態で保管されるコードである。この電気コード８２は一端を、収納ボックス４０の前壁４６に開けた貫通孔４７を通して、収納ボックス４０内に挿入し、その挿入先端に差込みプラグ８１を接続したものである。先端の差込みプラグ８１を摘んで収納ボックス４０から引き出し、外部の電源に差込むことで、バッテリ１２に充電可能である。
【００２２】
図５は図４の５−５線断面図であり、左のヒンジ７１の断面構成を示す。
ヒンジ７１は、収納ボックス４０内に延びるリッド５０の側壁（側部）５５にヒンジ軸５６を設け、収納ボックス４０の側壁（側部）４１にヒンジ孔４２を設け、ヒンジ孔４２にヒンジ軸５６を回転可能に嵌合したものである。
収納ボックス４０の側壁４１に、小さいヒンジ孔４２を開けただけであり、従来のような送りヒンジ（上記図１４（ｂ）参照）の構成に比べて、単純な孔形状ですみ、リヤカバー３０の樹脂成形時において、スライド型などを用いることなく、単純な成形用型で容易に成形することができる。
【００２３】
図６は図４の６−６線断面図であり、左のストッパ機構７２の断面構成を示す。
ストッパ機構７２は、収納ボックス４０の内側部に段差部４３を形成し、段差部４３の水平板４４に上下貫通した貫通孔４５を開け、一方、リッド５０の側壁５５から貫通孔４５を貫通するようにストッパアーム５７を延ばし、ストッパアーム５７の先端に背面視略Ｌ字状のストッパ部５８を形成し、ストッパ部５８が水平板４４の裏面に当ることによって、ストッパアーム５７の抜け止めをなすようにしたものである。
換言すれば、ストッパ機構７２は、収納ボックス４０の側部にストップ用係止部としての水平板４４を設け、リッド５０の側部にストッパアーム５７を設け、ストッパアーム５７にストッパ部５８を設けることによって、リッド５０が全開したときに、水平板４４の裏面にストッパ部５８が当るものである。水平板４４の裏面にストッパ部５８が当ることで、リッド５０の全開角度を設定することができる。リッド５０の全開角度は、水平板４４の裏面からストッパ部５８までの距離Ｌによって定まる。
【００２４】
図７は図４の７−７線断面図であり、左の保持機構７３の断面構成を示す。
保持機構７３は、リッド５０の側壁５５から上記貫通孔４５を貫通するように保持アーム６１を延ばし、保持アーム６１の先端に背面視略く字状の保持部６２を形成し、保持部６２の突出部分を貫通孔４５の縁に引っ掛けることによって、リッド５０の開状態を保持するようにしたものである。保持アーム６１は、保持部６２が貫通孔４５の縁に引っ掛かる方向に弾発するように、弾性変形可能な板状アームである。
換言すれば、収納ボックス４０の側部に保持用係止部としての貫通孔４５を設け、リッド５０の側部に弾性変形可能な保持アーム６１を設け、保持アーム６１に保持部６２を設けることによって、リッド５０が開のときに保持用係止部、すなわち、貫通孔４５の縁に保持部６２が弾性的に当るものである。貫通孔４５の縁に保持部６２が弾性的に当ることで、リッド５０の開状態を保持することができる。
【００２５】
一旦、図４に戻って説明を続けると、ヒンジ７１は収納ボックス４０内の上部に設けたものである。想像線にて示すヒンジ孔４２は、ヒンジ軸５６と直交する方向に且つリッド５０の延びる方向（リッド５０の開閉先端方向）に長い孔である。従って、ヒンジ軸５６はヒンジ孔４２に、長孔方向にスライド可能に嵌合することになる。
【００２６】
ストッパ機構７２と保持機構７３は、ヒンジ７１の近傍に設けたものである。貫通孔４５は、ストッパアーム５７並びに保持アーム６１が貫通するように、前後に細長い孔である。ストッパアーム５７並びに保持アーム６１は、リッド５０の開閉方向に概ね沿うように傾きつつ延びたものである。
ストッパアーム５７は、リッド５０が閉動作するときに、貫通孔４５の縁に接するカム部５９を設けたものである。貫通孔４５の縁とカム部５９の接触によって、リッド５０が閉動作するときにリッド５０を開閉基端側へ押出すことができる。
なお、右のヒンジ７１も左のヒンジ７１と左右対称形の構成であり、右のストッパ機構７２も左のストッパ機構７２と左右対称形の構成であり、右の保持機構７３も左の右の保持機構７３と左右対称形の構成であり、同じ作用をなすので、これら右の各機構７１，７２，７３についての説明を省略する。
【００２７】
次に、上記構成のヒンジ７１、ストッパ機構７２、保持機構７３の作用を説明する。
図８は本発明に係るリッド並びにヒンジの作用説明図（その１）であり、リッド５０が全閉状態にあることを示す。このときのヒンジ７１は、ヒンジ孔４２の前端側（リッド５０の開閉基端側）にヒンジ軸５６がある。
この状態からリッド５０を開くときに、その開閉基端側の縁５１が開口部３１の縁３２に当るので、リッド５０には後方へ、すなわち、開閉先端側への押出し力が作用する。この結果、ヒンジ軸５６は、リッド５０と共にヒンジ孔４２の長孔方向へスライドする。すなわち、ヒンジ中心Ｏが移動する。
【００２８】
図９は本発明に係るリッド並びにヒンジの作用説明図（その２）であり、リッド５０が全開状態にあることを示す。ヒンジ中心Ｏが移動しているので、このときのヒンジ７１は、ヒンジ孔４２の後端側（リッド５０の開閉先端側）にヒンジ軸５６がある。このように、ヒンジ中心Ｏと共にリッド５０が移動可能なので、リッド５０を開くときに、その開閉基端側の縁５１が開口部３１の縁３２に干渉することはない。
【００２９】
図１０は本発明に係るリッド並びにヒンジの作用説明図（その３）であり、リッド５０の閉動作中の状態を示す。
リッド５０を開いたときに、ヒンジ中心Ｏと共にリッド５０が開閉先端側へ移動した場合であっても、リッド５０を閉じるときに、貫通孔４５の縁にカム部５９が当ることによって、ヒンジ中心Ｏと共にリッド５０が開閉基端側へ押出される。従って、閉じたリッド５０と開口部３１との間に、余分な隙間が生じることはない。
【００３０】
図１１（ａ）〜（ｃ）は本発明に係るリッド、ストッパ機構並びに保持機構の作用説明図（その１）である。
（ａ）はリッド５０が全閉状態にあることを示す。このとき、（ｂ）に示す保持機構７３は、貫通孔４５の下方に保持部６２がある。また、（ｃ）に示すストッパ機構７２は、貫通孔４５の下方にストッパ部５８がある。
【００３１】
図１２（ａ）〜（ｃ）は本発明に係るリッド、ストッパ機構並びに保持機構の作用説明図（その２）である。
（ａ）はリッド５０が全開状態にあることを示す。このとき、（ｂ）に示す保持機構７３は、貫通孔４５の上方に保持部６２がある。また、（ｃ）に示すストッパ機構７２は、水平板４４の裏面にストッパ部５８が当る。この結果、リッド５０の全開角度は（ａ）に示す角度である。
【００３２】
図１３（ａ）〜（ｃ）は本発明に係るリッド、ストッパ機構並びに保持機構の作用説明図（その３）である。
（ａ）はリッド５０がほぼ全開状態に近い開状態を保持していることを示す。このとき、（ｂ）に示す保持機構７３は、貫通孔４５の縁の上端に、保持部６２が弾性的に当っている。この結果、リッド５０は開状態を維持する。従って、収納ボックス４０に物を出し入れするのが容易である。また、リッド５０を開けた状態にして、収納ボックス４０を通じて電気コード８２を引出し、外部の電源からバッテリに充電する場合に、電気コード８２がリッド５０に触れることはない。なお、（ｃ）に示すストッパ機構７２は、貫通孔４５の若干下方にストッパ部５８がある。
この状態で、リッド５０の開閉先端側を手で押し下げれば、保持アーム６１が弾性変形することによって、保持部６２が貫通孔４５の縁から外れて貫通孔４５の下方へ移動すので、リッド５０を閉じることができる。
【００３３】
なお、上記本発明の実施の形態において、（１）電動車両１は電動式車椅子に限定するものではなく、電動モータで駆動する乗用車両や歩行式車両に適用することができる。
（２）カバー部材は、リヤカバー３０に限定するものではなく、任意のカバーに適用することができる。
（３）リッド５０の開閉方向は任意である。
（４）ヒンジ７１、ストッパ機構７２、保持機構７３は、左右２組の構成に限定するものではなく、１個のリッド５０に少なくとも１組ずつ有ればよい。
（５）ヒンジ７１は、収納ボックス４０の側部にヒンジ軸５６を設け、リッド５０の側部にヒンジ孔４２を設けたものでもよい。さらには、ヒンジ軸５６は、収納ボックス４０やリッド５０と別部材であってもよい。また、ヒンジ７１を左右２組備えた場合に、１本の長い軸で左右のヒンジ軸５６を兼ねてもよい。
（６）ストッパ機構７２は、リッド５０の側部にストップ用係止部（水平板）４４を設け、収納ボックス４０の側部にストッパアーム５７を設けたものでもよい。
（７）保持機構７３は、リッド５０の側部に保持用係止部（貫通孔）４５を設け、収納ボックス４０の側部に保持アーム６１を設けたものでもよい。
【００３４】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項１は、リッドの側部又は収納ボックスの側部にヒンジ軸を設け、収納ボックスの側部又はリッドの側部にヒンジ孔を設け、このヒンジ孔をヒンジ軸と直交する方向に且つリッドの延びる方向に長い孔とし、この孔にヒンジ軸を回転可能に且つ長孔方向にスライド可能に嵌合することによって、ヒンジを構成し、リッドが開動作するときに、リッドが開閉先端側にスライド可能な構成としたので、リッドを開閉させるときに、その開閉基端側の縁が開口部の縁に当り、リッドに開閉先端側への押出し力が作用すると、ヒンジ軸又はヒンジ孔が、リッドと共にヒンジ孔の長孔方向へスライドする。すなわち、ヒンジ中心が移動する。ヒンジ中心と共にリッドが移動するので、リッドを開閉させるときに、その開閉基端側の縁が開口部の縁に干渉することはない。
さらには、ヒンジがヒンジ軸と、ヒンジ軸に直交する方向に且つリッドの延びる方向に長いヒンジ孔との組合せ構造からなる、極めて簡単な構成である。
また、従来の送りヒンジのように、リッドから長いヒンジアームを延す必要がないので経済的であり、しかも、収納ボックスにヒンジアームが貫通するための孔を開ける必要もない。
さらにまた、リッドの形状がヒンジの構造の制約を受けず、車両用カバー部材の湾曲した面に沿わせた形状に自由に設定することができるので、全体的に調和のとれた、優れた外観性を有する電動車両にすることができる。
【００３５】
さらに請求項１は、収納ボックスの側部又はリッドの側部には貫通孔を設け、リッドの側部又は収納ボックスの側部には貫通孔に貫通するストッパアームを設け、このストッパアームにはリッドが全開したときに貫通孔からの抜け止めをなすストッパ部を設けることで、リッドの全開角度を設定するようにしたので、リッドを開いたときに、貫通孔からストッパ部が抜けないので、リッドの開度を、所定の適切な全開角度に自動的に設定することができる。
【００３６】
さらに請求項１は、ストッパアームに、リッドが閉動作するときに貫通孔の縁に接するカム部を設けることで、リッドが閉動作するときに、貫通孔の縁とカム部の接触によってリッドを開閉基端側へ押出すようにしたので、リッドを開いたときに、ヒンジ中心と共にリッドが開閉先端側へ移動した場合であっても、リッドを閉じるときに、貫通孔の縁にカム部が当ることによって、ヒンジ中心と共にリッドが開閉基端側へ押出される。従って、閉じたリッドと開口部との間に余分な隙間が生じないので、外観性が高まる。
【００３７】
請求項２は、収納ボックスの側部又はリッドの側部に保持用係止部を開け、リッドの側部又は収納ボックスの側部に弾性変形可能な保持アームを設け、この保持アームにリッドが開のときに保持用係止部に弾性的に当る保持部を設けたので、リッドの開状態において、保持用係止部に保持部が弾性的に当り、開状態を保持することができる。従って、収納ボックスに物を出し入れするのが容易である。また、例えばリッドを開けた状態にして、収納ボックスを通じて電気コードを引出し、外部の電源からバッテリに充電する場合などに、電気コードがリッドに触れることがない。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る電動車両の側面図
【図２】本発明に係るリヤカバーの後部斜視図
【図３】本発明に係るリヤカバー並びにリッドの車幅中央の側面断面図
【図４】本発明に係るリヤカバー並びにリッドの左側部の側面断面図
【図５】図４の５−５線断面図
【図６】図４の６−６線断面図
【図７】図４の７−７線断面図
【図８】本発明に係るリッド並びにヒンジの作用説明図（その１）
【図９】本発明に係るリッド並びにヒンジの作用説明図（その２）
【図１０】本発明に係るリッド並びにヒンジの作用説明図（その３）
【図１１】本発明に係るリッド、ストッパ機構並びに保持機構の作用説明図（その１）
【図１２】本発明に係るリッド、ストッパ機構並びに保持機構の作用説明図（その２）
【図１３】本発明に係るリッド、ストッパ機構並びに保持機構の作用説明図（その３）
【図１４】従来の電動車両用カバー及びリッドの説明図
【符号の説明】
１…電動車両、３０…車両用カバー部材（リヤカバー）、３１…開口部、３２…開閉基端側の縁、４０…収納ボックス、４１…収納ボックスの側部（側壁）、４２…ヒンジ孔、４３…段差部、４４…ストップ用係止部としての水平板、４５…保持用係止部としての貫通孔、５０…リッド、５１…開閉基端側の縁、５５…リッドの側部（側壁）、５６…ヒンジ軸、５７…ストッパアーム、５８…ストッパ部、５９…カム部、６１…保持アーム、６２…保持部、７１…ヒンジ、７２…ストッパ機構、７３…保持機構、８１…差込みプラグ、８２…電気コード、ＣＬ…車幅中心、Ｏ…ヒンジ中心。

Claims

車両用カバー部材の湾曲した面に概ね矩形状の開口部を形成し、この開口部からカバー部材の内側へ連なる収納ボックスを設け、この収納ボックスに、前記カバー部材の湾曲した面に沿わせた形状のリッドをヒンジにて開閉可能に取付けた電動車両において、
前記ヒンジは、前記リッドの側部又は前記収納ボックスの側部にヒンジ軸を設け、収納ボックスの側部又はリッドの側部にヒンジ孔を設け、このヒンジ孔をヒンジ軸と直交する方向に且つリッドの延びる方向に長い孔とし、この孔にヒンジ軸を回転可能に且つ長孔方向にスライド可能に嵌合することで、前記リッドが開動作するときに、リッドが開閉先端側にスライド可能な構成とし、
前記収納ボックスの側部又は前記リッドの側部には貫通孔を設け、リッドの側部又は収納ボックスの側部には前記貫通孔に貫通するストッパアームを設け、このストッパアームには前記リッドが全開したときに貫通孔からの抜け止めをなすストッパ部を設けることで、リッドの全開角度を設定するように構成し、
前記ストッパアームに、前記リッドが閉動作するときに前記貫通孔の縁に接するカム部を設けることで、リッドが閉動作するときに、貫通孔の縁とカム部の接触によってリッドを開閉基端側へ押出すように構成したことを特徴とした電動車両。
前記収納ボックスの側部又は前記リッドの側部に保持用係止部を開け、リッドの側部又は収納ボックスの側部に弾性変形可能な保持アームを設け、この保持アームに、前記リッドが開のときに保持用係止部に弾性的に当る保持部を設け、これらの保持用係止部と保持部によって、リッドの開状態を保持するように構成したことを特徴とする請求項１記載の電動車両。