JP3668756B2 - 格納式グリップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、格納式グリップに関し、さらに詳しくは、車両の車室内や鞄等に取り付けられて把持される格納式グリップに関する。
【0002】
【従来の技術】
図7及び図8には、車両の車室内に取り付けられた従来のアシストグリップ110(格納式グリップ)が示されている(実公平1−16663号参照)。
【0003】
このアシストグリップ110では、弾性金属板より成る芯材112がアシストグリップ本体114から延出されており、芯材112の端部112Aに長孔116が形成されている。端部112Aは、車体側118に取付ビス120で固定されたガイド部材122とベース部材124との間に挟まれている。長孔116には取付ビス120が挿通されており、芯材112の端部112Aはこの長孔116の範囲内で摺動する。これにより、図7に示す格納状態からアシストグリップ本体114を引き出し、図8に示すように、アシストグリップ本体114と車体側118との間に所定の隙間が形成されて把持可能となる状態(使用状態)とすることができる。
【0004】
しかし、このアシストグリップ110では、図8からも分かるように、使用状態で、アシストグリップ本体114とベース部材124との間に隙間ができているため、矢印A方向から見ると、芯材112の端部が見えてしまうことになり、見栄えが悪い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、使用状態においても芯材の端部が見えない格納式グリップを得ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、弾性材から成る芯材と、この芯材の長手方向中央部を被覆する把持部材と、を備えたグリップ本体と、前記把持部材から露出した前記芯材の端部を芯材の長手方向に沿って摺動可能に保持する保持部材と、前記保持部材及び、この保持部材に保持された前記芯材の端部を遮蔽するカバー部材と、を有し、前記保持部材に、前記芯材の端部の摺動時に把持部材を斜めに立ち上げてグリップ本体が湾曲するように案内すると共に芯材の端部が摺動してもこの芯材の端部が外部から遮蔽される形状とされた案内部が形成され、前記保持部材が、取付部材に取り付けられるクッションと、前記芯材の端部に形成された長孔に挿通されると共に、前記クッションを取付部材に固定するボルトと、で構成されていることを特徴とする。
【0007】
グリップ本体の芯材及び保持部材は、カバーによって遮蔽されているので露出せず、外部から見えないため見栄えがよい。
【0008】
把持部を引くと、芯材の端部がその長手方向に沿って摺動し、案内部によって把持部材が斜めに立ち上げられる。グリップ本体が湾曲し、把持部材を把持可能な状態(使用状態)となる。この状態においても、カバーは芯材の端部を遮蔽している。また、保持部材の案内部も、芯材の端部を遮蔽しているので、芯材の端部は外部から見えない。このため、使用状態においていずれの方向からも芯材の端部は見えず、見栄えがよい。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記保持部材に、前記カバー部材の開口縁を収容する収容部が形成され、前記保持部材及び前記カバー部材に、前記収容部に前記開口縁を収容させる動作によって係合する係合部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
このため、カバー部材の開口縁を保持部材の収容部に収容させる動作で係合部が係合して、カバー部材を保持部材に簡単に取り付けることができる。
【0013】
また、係合部の係合を解除して、カバー部材を保持部材から簡単に取り外すことができ、例えば、保持部材への芯材の端部の保持及び保持解除等のメンテナンスもしやすくなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1〜図5には、本発明の一実施の形態に係る格納式グリップ10の一部が示されている。また、図6には、この格納式グリップ10が、自動車のルーフ内面の窓枠12に取り付けられた状態が示されている。
【0015】
格納式グリップ10は、乗員が把持するためのグリップ本体14と、窓枠12に固定され、グリップ本体14の両端がそれぞれ摺動可能に、かつ離脱不能に収容された一対のホルダー16と、で構成されている。ホルダー16は、後述する開口34が対向した状態で、窓枠12に固定されている。
【0016】
グリップ本体14は、長尺平板状に形成された金属製の芯材18を有している(図5では、芯材18の図示を省略)。芯材18の中央部には、合成樹脂製の把持体20が被覆されており、乗員はこの把持体20を把持することができる。
【0017】
把持体20の長手方向両端からは、芯材18の端部18Aが突出しており、この端部18Aの幅方向中央に、芯材18の長手方向に沿って長孔22が形成されている。長孔22には、後述するボルト58が挿通されている。
【0018】
ホルダー16は、窓枠12に固定される合成樹脂製のクッション24を有している。クッション24を構成する略直方体状のベース26の裏面には、ベース26よりも小さな略直方体状の台座28が形成され、さらに台座28から、突起30が突設されている。この突起30を窓枠12に形成された取付孔12Aに挿入して、ベース26が窓枠12に固定されている。
【0019】
クッション24には、カバー32が取り付けられており、クッション24と一体となってホルダー16を構成する。カバー32は、略直方体の枠状で、一端側(図3右側)に開口34が、下端側に開口36が形成された(従って、隣接する2つの面が連続して開放されている)形状とされている。開口36の周縁部36Aをクッション24に接触させて取り付けると、開口36はクッション24によって閉塞され、全体として、一端側にのみ開口34が形成された略箱状のホルダー16が形成される。また、この状態で、クッション24とカバー32との間(すなわち、ホルダー16内)に、開口34から挿入されたグリップ本体14の一部が格納される格納空間38が構成される。格納空間38に格納された芯材18の端部18Aは、カバー32によって外部から遮蔽されている。
【0020】
クッション24のベース26の周囲には、開口36の周縁部36Aに対応して、収容溝40が形成されている。収容溝40の外側面には、図3〜図5にも示すように、所定の位置(ベース26の幅方向両端及び他端の位置)から、爪42が突設されている。一方、カバー32には、これらの爪42の位置に対応して、爪42が収容される係合孔44が形成されている。また、ベース26の幅方向両側には、一対の案内板46が立設されている。
【0021】
この案内板46の外面46Aに沿ってカバー32の周縁部36Aを収容溝40に当てがい、カバー32をベース26に向かって押すと、爪42の上面に形成されたテーパー面を周縁部36Aが押圧して爪42を弾性変形させると共に、カバー32の周縁部36Aの近傍も内側に弾性変形する。このため、カバー32をベース26に向かってさらに押し込むことができる。係合孔44が爪42の位置に至ると、爪42及びカバー32が弾性復元し、爪42が係合孔44に係合する。
【0022】
このように、カバー32をベース26に向かって押し込むだけで、クッション24にワンタッチで取り付けることができ、しかも、取付け後にカバー32がクッション24から不用意に離脱することがない。カバー32を取り外すときには、カバー32を内側に弾性変形させる。これにより、爪42が係合孔44から外れるので、カバー32をクッション24から容易に取り外すことができる。また、このようにカバー32をクッション24から容易に取り外せるので、クッション24のメンテナンス(例えば、後述するネジ58を緩めてグリップ本体14をクッション24から取り外すと共にクッション24を窓枠12から取り外したり、同じく後述する軸体66を軸受溝64から取り外したりする作業、及び、これらの部材を再度取り付ける作業等)を行いやすい。
【0023】
ベース26の表面(図3では上面)には、ベース26の幅方向両側に、ベース26の長手方向に沿って平行に、一対の突条48が形成されている。突条48の対向面48Aの間隔は芯材18の端部18Aの幅と等しくなっており、これら突条48の間に、芯材18の端部18Aを長手方向に摺動可能に案内する摺動部50が構成されている(従って、ベース26の上面のうち、突条48の間に位置する部分が、摺動部50の底面を構成している)。
【0024】
また、カバー32をクッション24に取り付けた状態で、クッション24の一端(開口34側の端部)が、カバー32の一端(開口34の下縁)から突出するように、クッション24の長さが決められている。
【0025】
クッション24には、長手方向一端から略中央に向かって(すなわち、ベース26に向かって)次第に裏面側に接近するテーパー面52が形成されている。芯材18の端部18Aが摺動部50を摺動するとき、把持体20の裏面の端部20Aがテーパー面52によって所定の角度で斜め方向に案内され、把持体20の摺動方向が所定の方向とされる。また、テーパー面52の幅方向両側には一対の案内壁54が形成されている。案内壁54の対向面の間隔は、把持体20の幅と等しくされている。この案内壁54によって、把持体20の幅方向へのガタつきが防止される。
【0026】
ベース26の略中央には、板厚方向にベース26及び台座28を貫通する取付孔56が形成されている。この取付孔56にボルト58が挿通され、さらにボルト58が窓枠12にねじ込まれて、クッション24が窓枠12に共締固定されている。
【0027】
ボルト58の胴部58Aは、略正方形状のリテーナ60に形成された挿通孔62に挿通されている。リテーナ60の裏面が突条48の上面に面接触して、リテーナ60は突条48に支持されており、リテーナ60の裏面とベース26の表面との間隔によって、摺動部50の高さが決められている。この高さは、芯材18の板厚よりも若干高くなっている。
【0028】
また、ボルト58の胴部58Aは、芯材18の端部18Aに形成された長孔22に挿通されている。芯材18の端部は摺動部50内に配設されて、長孔22の長さの範囲内で、摺動部50内を長手方向に摺動する。
【0029】
ベース26の表面には、クッション24の幅方向が長手方向とされた軸受溝64が形成されている。この軸受溝64には軸体66が軸支され、さらにこの軸体66の中央に円筒状のローラ68が回転可能に装着されている。芯材18の端部18Aが摺動すると、芯材18の端部18Aの裏面がローラ68に当たってローラ68が回転するため、芯材18の端部18Aの摺動抵抗が軽減される。
【0030】
取付孔56と、軸受溝64との間には凹部70が形成されており、凹部70には、ゴム等の軟質弾性体で形成されたクッション材72が埋め込まれて固定されている。摺動部50内を摺動する芯材18がクッション材72に強く当たっても、クッション材72が弾性変形して衝撃のエネルギーを吸収する。
【0031】
次に、本実施の形態に係る格納式グリップ10の作用を説明する。
図3に示す格納状態では、把持体20の裏面の端部20Aがテーパー面52の略中央に当接している。把持部20とクッション24との間は完全に閉塞されており、矢印A方向から格納空間38内を見ても、芯材18は全く見えないので見栄えがよい。
【0032】
この格納状態で、把持体20を把持して車室内側に引くと、把持体20の裏面の端部20Aがテーパー面52に沿って案内され、把持体20が斜めに立ち上がりながら摺動する。別言すれば、テーパー面52によって、把持体20の摺動方向が所定の方向に決められて案内される。これにより、把持体20はスムーズに摺動する。
【0033】
図4に示すように、把持体20の摺動に伴い、芯材18の端部18Aが摺動部50(図5参照)内を摺動しつつ、徐々に窓枠12に向かって凸に(図4では下に向かって凸に)湾曲するので、その弾性反力で、把持体20の引き出しに適度な抵抗が付与される。
【0034】
また、上記したように把持体20が斜めに立ち上がることで、グリップ本体14全体として湾曲し、その長手方向中央が車室内側に膨出する。これによって、図4からも分かるように、把持体20と窓枠12との間に十分な間隙が構成されて格納式グリップ10は使用状態となり、把持体20を強く把持することができるようになる。なお、グリップ本体14の引き出しは、長孔22の端部がボルト58の胴部に当たることで、一定の長さに制限される。
【0035】
クッション24の一端(図4右側端部)は、カバー32の一端よりも突出している。このため、使用状態では、図4からも明らかなように、把持体20の裏面の端部20Aが、テーパー面52の上部に接触している。これにより、使用状態においても、矢印A方向から格納空間38内を見ると、芯材18は全く見えず、見栄えがよい。
【0036】
把持体20から手を離すと、窓枠12側に湾曲した芯材18の弾性反力で、把持体20が窓枠12に接近する方向に付勢される。これにより、把持体20の裏面の端部20Aが、テーパー面52に沿って案内されて、クッション24の他端側(格納空間38の奥側、図3左側)に向かって移動する。すなわち、テーパー面52によって、芯材18の端部18Aが、格納空間38に格納される方向にスムーズに案内されて格納され、格納状態となる。もちろん、把持体20を窓枠12に向かって積極的に押して、格納状態としてもよい。この場合でも、把持体20の裏面の端部20Aが、テーパー面52に沿って案内されるので、スムーズに格納できる。
【0037】
なお、上記説明においては、クッション24の一端側がカバー32の一端側から突出していることで、使用状態において把持体20の裏面の端部20Aがテーパー面52の上部に接触し、格納空間38内の芯材18の端部18Aが見えないようにしたが、要するに、使用状態で芯材18の端部18Aが露出しないようになっていれば、構成は上記したものに限られない。すなわち、格納空間38内の芯材18の端部18Aからの光の進路(直線的な進路)が遮られるように、クッション24の形状が把持体24やカバー32の形状との関係において決められていればよい。また、クッション24とカバー32とを別体に形成する必要はなく、一体成形して部品点数を削減してもよい。
【0038】
案内部としては、テーパー面52に限られず、グリップ本体14の摺動方向を所望の方向として摺動を案内できる形状であればよい。テーパー面52によって芯材18の摺動方向が案内される部材及び部位も、上記した把持体20の裏面の端部20Aに限られず、グリップ本体14のどの部分であってもよい。
【0039】
また、係合部としては、必ずしも上記した爪42がクッション24に形成され、係合孔44がカバー32に形成されている必要はなく、周縁部36Aを収容溝40に収容させる動作によって係合するものであれば、ワンタッチで取付けできる。例えば、カバー32に突起を形成し、クッション24にこの突起が係合する係合孔を形成してもよい。
【0040】
芯材18の端部18Aを摺動可能に保持する構造も、上記したものに限られず、例えば、芯材18の端部18Aにピンを突設し、このピンが収容される長孔をクッション24に形成してもよい。
【0041】
グリップ本体14の芯材18を構成する材料としても、金属に限定されるものではなく、要するに、使用状態で所定の弾性を有して、弾性反力によりグリップ本体14を格納する方向に付勢するものであればよい。例えば、このような所定の弾性を有するように形成された合成樹脂であってもよい。
【0042】
また、上記説明においては、格納式グリップ10が自動車のルーフ内面の窓枠12に取り付けられた場合を例として説明したが、格納式グリップ10の取付け部材、取付部位としてはこれに限られず、人が把持する部材、部位ならばどのような部材、部位でも適用可能である。例えば、鞄等に取り付けてもよい。
【0043】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明では、保持部材が、芯材の端部が摺動してもこの芯材の端部が外部から遮蔽される形状とされているので、使用状態において芯材の端部が見えず、見栄えがよい。
【0045】
請求項2に記載の発明では、保持部材に、カバー部材の開口縁を収容する収容部が形成され、保持部材及びカバー部材に、収容部に開口縁を収容させる動作によって係合する係合部が形成されているので、カバー部材に保持部材を簡単に取り付けることができる。また、係合部の係合を解除して、カバー部材を保持部材から簡単に取り外すことができ、例えば、保持部材への芯材の端部の保持及び保持解除等のメンテナンスもしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る格納式グリップの一部を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る格納式グリップの一部を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る格納式グリップの一部を示す縦断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る格納式グリップの使用状態を示す縦断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る格納式グリップの一部を示す図3のX−X線断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る格納式グリップが取り付けられた車室内の斜視図である。
【図7】従来のアシストグリップ(格納式グリップ)を示す断面図である。
【図8】従来のアシストグリップ(格納式グリップ)の使用状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 格納式グリップ
14 グリップ本体
18 芯材
18A 芯材の端部
20 把持体(把持部材)
24 クッション(保持部材)
32 カバー(カバー部材)
36A 周縁部(開口縁)
40 収容溝(収容部)
42 爪(係合部)
44 係合孔(係合部)
52 テーパー面(案内部)
58 ボルト(保持部材)

Claims (2)

  1. 弾性材から成る芯材と、この芯材の長手方向中央部を被覆する把持部材と、を備えたグリップ本体と、
    前記把持部材から露出した前記芯材の端部を芯材の長手方向に沿って摺動可能に保持する保持部材と、
    前記保持部材及び、この保持部材に保持された前記芯材の端部を遮蔽するカバー部材と、
    を有し、
    前記保持部材に、前記芯材の端部の摺動時に把持部材を斜めに立ち上げてグリップ本体が湾曲するように案内すると共に芯材の端部が摺動してもこの芯材の端部が外部から遮蔽される形状とされた案内部が形成され、
    前記保持部材が、
    取付部材に取り付けられるクッションと、
    前記芯材の端部に形成された長孔に挿通されると共に、前記クッションを取付部材に固定するボルトと、
    で構成されていることを特徴とする格納式グリップ。
  2. 前記保持部材に、前記カバー部材の開口縁を収容する収容部が形成され、
    前記保持部材及び前記カバー部材に、前記収容部に前記開口縁を収容させる動作によって係合する係合部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の格納式グリップ。
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