JP3730766B2 - 車両用灰皿 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用の灰皿に関し、特に、車両への側面衝突に対して、さらに安全な機構を備えた車両用灰皿に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の、車室内のインナパネルであるインドアパネルの肘掛け部に設置される車両用灰皿は、図8に示すようなものであった。蓋101を備えた灰皿100は合成樹脂で成形され、蓋101は筐状の灰皿本体102に軸103を揺動中心として開閉可能に組付けられている。灰皿本体102の外壁部である車室側の外壁部側面には浅い弓状の窪み104が形成されている。
また、車室内のインドアパネル110には、その上面に、灰皿100を挿入するためのポケット部111が形成されている。ポケット部111の車室側の内側面には、僅かに弓状に湾曲した板ばね112が取り付けられている。
【0003】
そして、使用時には、灰皿100をインドアパネル110上面のポケット部111に押し込み、蓋101を開閉して使用する。この時、灰皿100は、その弓状の窪み104が、インドアパネル110の弓状に湾曲した板ばね112と係合し、灰皿100がインドアパネル110から抜け落ちないように軽く係止している。
【0004】
やがて、灰皿本体102の中に吸殻が満杯になると、灰皿100を手指でインドアパネル110から上方に引き出し、灰皿本体102の中の吸殻をごみ箱に棄てる。このとき、灰皿100とインドアパネル110とは、弓状に湾曲した板ばね112と弓状の窪み104との係合により軽く係止しているだけだから、簡単に手指で引き出せる。
また、吸殻を棄てて空になった灰皿100は、インドアパネル110のポケット部111に挿入し手指で軽く押し込むことにより、灰皿100をインドアパネル110に装着できる。このとき、弓状に湾曲した板ばね112と浅い弓状の窪み104とが係合するだけであるから、軽く押し込むだけで良く、操作者の脱着操作感がよいという特徴があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の灰皿100は、車両への側面衝突に対して弱いという問題点があった。車両への側面衝突(車両のドア部への衝突)では、正面衝突、オフセット衝突、後面衝突の場合のようにクラッシュ許容距離を充分に取ることができず、側面衝突時に大きな加速度(G)がインドアパネル110や灰皿100に掛かる。この加速度(G)は実車衝突試験によると200Gを超過する値にまで及ぶことがある。
このため、側面衝突時に灰皿本体102に上方向への加速度も加わり、板ばね112と浅い弓状の窪み104との係合が弱いと灰皿本体102がインドアパネル110のポケット部111から上方に飛び出し、車室内を飛び跳ねることがあることが発見された。そこで、例えば、板ばね112の弾性を強くし、板ばね112と弓状の窪み104との係合を強く設定して安全性を向上させる改善がなされていたが、灰皿本体102の脱着操作感を損なうという不都合があった。
【0006】
そこで、本発明のうち請求項1記載の発明は、平常時は灰皿本体をインドアパネル等のインナパネルから脱着する際の操作感を良好に維持しながら、灰皿本体の蓋を閉じた通常の車両運転時には、側面衝突等の車両の衝突時により過大なGが車両に加わったとしても、灰皿本体がインナパネルのポケット部から飛び出すことのない、より安全な車両用灰皿を提供することを課題とする。
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の課題を、他の構成により解決した車両用灰皿を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明のうち請求項1記載の発明は、車両のインナパネルに取り付ける車両用灰皿において、前記インナパネル若しくは車両用灰皿の灰皿本体に一端が固定され他端が自由端とされると共に、上下方向に他者を係合可能にする係合口を有する係合板ばねと、前記車両用灰皿の灰皿本体若しくはインナパネルに固着され、前記灰皿本体を前記インナパネルに装着した際に前記係合板ばねの係合口に係合可能にされた突起部材と、前記灰皿本体の蓋の後端縁部に固着され、前記灰皿本体の蓋を開けたときに前記係合板ばねの自由端側に当接して押圧し、前記係合板ばねの係合口と前記突起部材との係合を解除するように構成された係合解除部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
ここで、係合板ばねは、その一端がインナパネル若しくは灰皿本体のいずれか一方に取り付けられ、他端は自由端として弾性揺動自在とされる。一方、突起部材は、係合板ばねが取り付けられていない方の、車両用灰皿の灰皿本体若しくはインナパネルに固着される。
また、係合板ばねは金属製であることに限定されず、弾性に優れた合成樹脂で構成しても良い。係合板ばねの係合口は他者(突起部材)と上下方向にのみ係合可能であれば良く、係合口は閉じた形状の孔状のものでも良く、また、一端が開放された形状の溝状のものであっても良い。
【0009】
さらに、突起部材は灰皿本体若しくはインナパネルに固着された部材であり、係合板ばねの係合口に係合可能な部材である。突起部材は灰皿本体若しくはインナパネルに何らかの方法で固着していれば良く、例えば、突起部材を金属等で形成し、インサート成形、ビス止め、かしめ等の何らかの方法を用いて灰皿本体若しくはインナパネルに固着しても良く、また、灰皿本体若しくはインナパネルと同じ材質のものを突起部材に用いて一体に成形して固着したとしても良い。
要するに、突起部材は、係合板ばねの係合口に係合したときに、車両の衝突時に車両のインナパネルや車両用灰皿に加わる大きな加速度に耐える強度を持つものであれば良い。
【0010】
また、係合解除部材は灰皿本体の蓋と同一材質とし、蓋と一体に成形されたものでも良く、あるいは、蓋とは異なる材質、たとえば金属等で形成し蓋の後端縁部に固着しても良い。
【0011】
このように形成すると、灰皿本体を車両のインナパネルに装着し灰皿本体の蓋を閉じた通常の車両運転時に、側面衝突等の衝突事故が発生すると車両のインナパネルや灰皿本体に強い加速度が加わるが、灰皿本体に加わる加速度のうち横方向及び下方向に加わる加速度は、インナパネルの壁部により支承される。一方、灰皿本体に上方向に掛かる加速度は、突起部材と係合板ばねの係合口とのに係合により支承され、灰皿本体がインナパネルから上方に飛び出すことが無い。従って車両用灰皿の灰皿本体がインナパネルから飛び出して車室内を飛び跳ねることが無くなる。
【0012】
また、衝突事故時ではない通常時に、灰皿本体の中に吸殻が満杯になると、灰皿本体の蓋を開ければ、灰皿本体の蓋の後端縁部に固着された係合解除部材が係合板ばねの自由端側に当接して押圧し、係合板ばねの係合口と突起部材との係合を解除するので、手指で、灰皿本体をインナパネルから取り出すことが自在である。さらに、灰皿本体をインナパネルに装着する際には、手指で灰皿本体をインナパネルに押し込むだけで、突起部材が係合板ばねに当接して係合板ばねをたわませながら灰皿本体が押し込まれ、突起部材が係合口と係合した状態で装着される。
【0013】
ここで、請求項2記載の発明のように、車両のインナパネルに取り付ける車両用灰皿において、前記車両用灰皿の灰皿本体の蓋の後端縁部に後方に突出して設けられた突出部材と、前記インナパネルに固着され、前記灰皿本体をインナパネルに装着してその蓋を閉じた際に前記突出部材と干渉し係合可能とされた飛び出し抑止部材と、を備えることを特徴とすることができる。
【0014】
ここで、突出部材とは、灰皿本体の蓋と同一材質で形成され蓋と一体に成形されたものでも良く、また、異なった材質で形成し蓋の後端縁部に固着したものでも良い。
また、飛び出し抑止部材も、インナパネルと同一材質で形成されインナパネルと一体に成形されたものでも良く、あるいは、インナパネルと異なった材質、たとえば、金属で形成しインナパネルに固着して設けても良い。
【0015】
このように形成すると、灰皿本体を車両のインナパネルに装着し灰皿本体の蓋を閉じた通常の車両運転時には、灰皿本体の蓋の後端縁部の突出部材と、インナパネルに固着された飛び出し抑止部材とが干渉して係合し、灰皿本体をインナパネルから抜き出すことができなくなる。従って、側面衝突等の衝突事故が発生しても、灰皿本体がインナパネルから上方に飛び出すことが無くなり、事故時に車両用灰皿の灰皿本体がインナパネルから飛び出して車室内を飛び跳ねるといった事態が無くなる。
【0016】
また、衝突事故時ではない通常時には、灰皿本体の蓋を開けることにより、灰皿本体の蓋の後端縁部の突出部材と、インナパネルに固着された飛び出し抑止部材との干渉や係合が外れるので、操作者が手指で、灰皿本体をインナパネルから脱着することが自在であり、灰皿本体内の吸殻を処理することが容易である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照し説明する。
図1乃至図4は第1の実施の形態に係る車両用灰皿を示し、図1は、灰皿本体の蓋を閉じ係合板ばねの係合口と灰皿本体の突起部材が係合した状態を示す斜視図であり、図2は、灰皿本体の蓋を開き係合板ばねの係合口と灰皿本体の突起部材との係合が外れた状態を示す斜視図であり、いずれも、インナパネルであるインドアパネルを透視して示している。図3は、灰皿本体をインドアパネルのポケット部に装着した状態で車外側から車室側を見た灰皿本体の背面図であり、インドアパネルのポケット部は断面で示されている。図4は、灰皿本体をインドアパネルのポケット部に装着した状態を示す横断面図(車両の進行方向に対して横方向の図)であり、蓋を開いた状態を想像線で示している。
【0018】
図4を参照し、車両のドア外板をなすアウトドア鋼板1と樹脂からなるインドアパネル2との間には、ゴムからなるウェザーストリップ3、4(シールド部材)を介してウィンドガラス5が配設されている。インドアパネル2は車両のインナパネルの一部である。
インドアパネル2の肘掛けに相当する部分に車両用灰皿6が配設されている。すなわち、インドアパネル2にポケット部7が設けられ、そのポケット部7に樹脂からなる灰皿本体8が脱着自在に装着されている。灰皿本体8の車室側の側壁には浅い弓状の窪み104が形成され、また、ポケット部7の車室側の側壁には僅かに弓状に湾曲した板ばね112が取り付けられている。そして、弓状に湾曲した板ばね112が浅い弓状の窪み104に係合して灰皿本体8をインドアパネル2のポケット部7に係止する。
【0019】
灰皿本体8には軸9を回転中心として蓋10が開閉自在に支承されている。蓋10の後端縁部近傍には軸9から下方に延出して凸状部材10aが形成されている。また、灰皿本体8の車外側の側壁の内側に板ばね11が配設されている。板ばね11はその自由端側が蓋10の凸状部材10aの側面や先端部に当接して弾性的に係合し、蓋10を開位置または閉位置に弾性的に保持する。ここまでの構成は、図8に示す従来の灰皿100と同じである。
【0020】
灰皿本体8の車外側の側壁の略中央部には、外側(車外側)に突出して突起部材20が灰皿本体8と一体に樹脂成形されて形成されている。一方、ポケット部7の車外側の側壁には、係合板ばね21が、ポケット部7の横壁部7aに下端部を巻回して保持され固定されている。、係合板ばね21はその上端部が複雑に折り曲げられているが、上端部を自由端として横方向(車室内から車外側への方向)に弾性揺動可能である。
【0021】
図3を参照し、係合板ばね21の上端付近には長方形をした係合口22が明けられている。そして、灰皿本体8の蓋10を閉じた状態では、係合板ばね21の係合口22に灰皿本体8の側壁の突起部材20が入り込み、係合板ばね21の係合口22と突起部材20が係合するようになっている。この構成について、再び図4を参照し説明する。
【0022】
図4において、灰皿本体8の蓋10の後端が軸9より後方に延出し、その延出部が係合解除部材23を構成している。蓋10が閉じた状態では、実線で示すように、蓋10の後端の係合解除部材23は係合板ばね21から離れた位置にある。このため、係合板ばね21の自由端は自らの弾性力により車室側に移動し、係合板ばね21の上端部がインドアパネル2のポケット部7の上端部7bに当接した位置にある。この位置では、係合板ばね21の係合口22に灰皿本体8の突起部材20が入り込み、ポケット部7に固定された係合板ばね21と灰皿本体8とが係合連結するようになっている。
ここで、ポケット部7、灰皿本体8、蓋10、板ばね11、突起部材20、係合板ばね21、係合口22、係合解除部材23等により車両用灰皿6を構成している。
【0023】
蓋10を開いた状態では、想像線で示すように、蓋10の後端の係合解除部材23が係合板ばね21の自由端に当接して押圧し、その結果、係合板ばね21はその付勢力に抗して車外側に屈曲させられる。このため、係合板ばね21の係合口22は灰皿本体8の突起部材20から外れ、ポケット部7に固定された係合板ばね21と灰皿本体8との係合が解除された状態になる。
【0024】
すなわち、図1に示すように、蓋10が閉じた状態では、係合板ばね21の自由端が車室側に移動して係合口22に突起部材20が入り込み、インドアパネル2のポケット部7に下端部が固定された係合板ばね21と灰皿本体8とが係合する。一方、図2に示すように、蓋10が開いた状態では、蓋10の後端部の係合解除部材23が係合板ばね21に当接して押圧し、係合板ばね21の自由端が車外側に移動して係合口22が突起部材20から外れる。このため、係合板ばね21と灰皿本体8との係合が解除される。
【0025】
以上の構成に基づき、作動について説明する。通常の運転時には、従来の灰皿と同様に、蓋10を開閉して車両用灰皿6を使用する。灰皿本体8内に吸殻が満杯になれば、蓋10を開けて灰皿本体8をインドアパネル2のポケット部7から抜き出し、吸殻を棄てる。蓋10を開けた状態では、前述したように、係合板ばね21の自由端が車外側に移動して係合口22が突起部材20から外れ、係合板ばね21と灰皿本体8との係合が解除されている。それ故、灰皿本体8をポケット部7に係止するものは弓状に湾曲した板ばね112と浅い弓状の窪み104との係合のみであるから、手指で灰皿本体8をポケット部7から抜き出すことは容易である。また、手指で灰皿本体8をポケット部7から抜き出す際に何かつかむ部分が必要だから、蓋10を開けて引き出すのは自然な動作である。
【0026】
吸殻を棄てた後、灰皿本体8をポケット部7に挿入するには、手指で灰皿本体8をポケット部7に押し込めば良い。弓状に湾曲した板ばね112は灰皿本体8の車室側の側壁に押されて撓み、浅い弓状の窪み104と係合する位置におさまる。
【0027】
一方、係合板ばね21については、蓋10を開けた状態で灰皿本体8をポケット部7に押し込めば、蓋10の後端の係合解除部材23が係合板ばね21の自由端に当接して押圧し、係合板ばね21が車外側に撓んだ状態で灰皿本体8がポケット部7に押し込まれる。このため、係合板ばね21の係合口22は灰皿本体8の突起部材20から外れて係合板ばね21と灰皿本体8との係合が解除された状態で灰皿本体8がポケット部7に押し込まれるので何ら問題はない。
また、蓋10を閉じた状態で灰皿本体8をポケット部7に押し込めば、灰皿本体8の車外側の側壁の突起部材20が係合板ばね21に当接し、係合板ばね21を車外側に撓ませながら灰皿本体8が押し込まれる。そして、突起部材20が係合板ばね21の係合口22に入り込み係合板ばね21の自由端が車室側に移動して係合板ばね21と突起部材20が係合し、灰皿本体8がポケット部7におさまる。
すなわち、灰皿本体8をポケット部7に挿入するには、蓋10を開けた状態でも閉じた状態でもどちらでも良い。
【0028】
不幸にして事故に遭遇し、車両の衝突、特に側面衝突が発生すると、車両用灰皿6やインナパネルであるインドアパネル2に大きな加速度(G)が加わる。加速度(G)の方向は主としては衝突された方向であるが、車両の変形やクラッシュによって種々の方向の加速度が灰皿本体8に加わることがある。仮に、灰皿本体8に上方向の加速度が掛かったとしても、蓋10を閉じていれば、前述のように灰皿本体8の突起部材20が係合板ばね21の係合口22に係合しているから、板ばね112の係合力に打ち勝って灰皿本体8がポケット部7から上方に飛び出すことがない。従って、車両のパッシブセーフティの程度がより高いものになる。
【0029】
以上説明した実施の形態では、係合口22を有する係合板ばね21をインナパネルであるインドアパネル2のポケット部7に取り付け、突起部材20を灰皿本体8に固着するようにしたが、係合板ばねを灰皿本体に取り付け、突起部材をインドアパネルのポケット部に固着するようにしてもよい。以下説明する。
【0030】
図5は、第2の実施の形態を示し、灰皿本体をインドアパネルのポケット部に装着した状態を示す横断面図であり、蓋を開いた状態を想像線で示している。図4と同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。
この実施の形態では、ポケット部31の車外側の側壁の上部に突起部材32が車室側に突出して設けられている。突起部材32はポケット部31と一体に樹脂成形されている。灰皿本体33の車外側の側壁の外面には、係合板ばね34が下端部をビス35により固定され取り付けられている。係合板ばね34の上方の自由端は車外側に向かうように付勢されている。係合板ばね34の上部には長方形をした係合口36が明けられている。係合板ばね34の自由状態では係合板ばね34がポケット部31の側壁に当接し、係合口36に突起部材32が入り込んだ状態となり、灰皿本体33に固定された係合板ばね34とポケット部31の突起部材32が係合連結した状態となる。
【0031】
灰皿本体33には軸37により蓋38が開閉自在に支承されている。蓋38の後端が軸37より後方に延出し、延出部が係合解除部材39を構成している。蓋38が閉じた状態では、実線で示すように、係合解除部材39は係合板ばね34から離れた位置にある。このため、係合板ばね34の自由端は自らの弾性力により車外側に移動してポケット部31の車外側の側壁の上部に当接し、係合口36がポケット部31の突起部材32と係合する。
また、蓋38の軸37近傍の部分が下方に延出し、凸状部材38aを構成している。凸状部材38aは蓋38の開閉を制御する板ばね11に当接するようになっている。
ここで、ポケット部31、灰皿本体33、蓋38、板ばね11、突起部材32、係合板ばね34、係合口36、係合解除部材39等により車両用灰皿40を構成している。
【0032】
蓋38を開いた状態では、想像線で示すように、蓋38の後端に延出した係合解除部材39が係合板ばね34の自由端に当接して押圧し、その結果、係合板ばね34はその付勢力に抗して車室側に屈曲させられる。このため、係合板ばね34の係合口36はポケット部31の突起部材32から外れ、灰皿本体33に固定された係合板ばね34とポケット部31との係合が解除された状態になる。
【0033】
以上の構成に基づき、作動について説明する。通常の運転時には、従来の灰皿と同様に、蓋38を開閉して車両用灰皿40を使用する。灰皿本体33内に吸殻が満杯になれば、蓋38を開けて係合板ばね34とポケット部31の突起部材32との係合を解除し、灰皿本体33をポケット部31から抜き出して、吸殻を棄てる。
吸殻を棄てた後、灰皿本体33をポケット部31に挿入するには、手指で灰皿本体33をポケット部31に押し込めば良い。弓状に湾曲した板ばね112は灰皿本体33の車室側の側壁に押されて撓み、浅い弓状の窪み104と係合する位置におさまる。
【0034】
一方、係合板ばね34については、蓋38を開けた状態で灰皿本体33をポケット部31に押し込めば、蓋38の後端の係合解除部材39が係合板ばね34の自由端の車外側に当接して押圧し、係合板ばね34が車室側に撓んだ状態で灰皿本体33がポケット部31に押し込まれる。このため、係合板ばね34の係合口36は突起部材32から外れて係合板ばね34とポケット部31との係合が解除された状態で灰皿本体33がポケット部31に押し込まれるので何ら問題はない。
また、蓋38を閉じた状態で灰皿本体33をポケット部31に押し込めば、係合板ばね34の車外側の面が突起部材32に当接して押圧され、係合板ばね34を車室側に撓ませて、灰皿本体33がポケット部31に押し込まれる。そして、係合板ばね34の係合口36は突起部材32と係合する。
【0035】
不幸にして事故に遭遇し、車両の衝突、特に側面衝突が発生すると、車両用灰皿40やインナパネルであるインドアパネル2に大きな加速度(G)が加わる。加速度(G)の方向は主としては衝突された方向であるが、車両の変形やクラッシュによって種々の方向の加速度が灰皿本体33に加わることがある。仮に、灰皿本体33に上方向の加速度が掛かったとしても、蓋38を閉じていれば、前述のように突起部材32が係合板ばね34の係合口36に係合しているから、板ばね112の係合力に打ち勝って灰皿本体33がポケット部31から上方に飛び出すことがない。従って、車両のパッシブセーフティの程度がより高いものになる。
【0036】
以上述べた2つの実施の形態では、いづれも、係合板ばね21、34の係合口22、36と突起部材20、32との係合により、蓋10、38を閉じたときに、灰皿本体8、33とインドアパネル2のポケット部7、31とを係合連結させて、車両の衝突時に灰皿本体8、33がポケット部7、31から飛び出すことを防止するようにしたものであるが、蓋を閉じたときに蓋の一部の部材がポケット部の部材と干渉し係合するような構成とし、車両の衝突時の灰皿本体の飛び出しを防止するようにしても良い。以下説明する。
【0037】
図6および図7は、第3の実施の形態を示し、第2の発明を示している。
図6は灰皿本体の蓋を示す斜視図である。蓋51の回動軸52より後方の後端縁部にさらに後方に突出して延出された突出部材53が蓋51と一体に設けられている。
【0038】
図7は、灰皿本体をインドアパネルのポケット部に装着した状態を示す横断面図(車両の進行方向に対して横方向の図)であり、蓋を開いた状態を想像線で示している。
インドアパネル2の肘掛けに相当する部分に車両用灰皿54が配設されている。すなわち、インドアパネル2にポケット部55が設けられ、そのポケット部55に樹脂からなる灰皿本体56が脱着自在に装着されている。灰皿本体56の車室側の側壁には浅い弓状の窪み104が形成され、また、ポケット部55の車室側の側壁には僅かに弓状に湾曲した板ばね112が取り付けられている。そして、弓状に湾曲した板ばね112が浅い弓状の窪み104に係合して灰皿本体56をポケット部55に係止する。
【0039】
灰皿本体56には軸52を回転中心として蓋51が開閉自在に支承されている。蓋51の後端縁部近傍には、軸52から後方に延出して突出部材53が設けられ、また、軸52から下方に延出して凸状部材51aが形成されている。蓋51と突出部材53と凸状部材51aとは樹脂にて一体に成形されている。そして、灰皿本体56の車外側の側壁の内側に板ばね11が配設されている。板ばね11はその自由端側が蓋51の凸状部材51aの側面や先端部に当接して弾性的に係合し、蓋51を開位置または閉位置に弾性的に保持する。
【0040】
一方、インドアパネル2のポケット部55の車外側の側壁55aは、その上端部が僅かに車室側に延出し、その延出部が飛び出し抑止部材57を構成している。飛び出し抑止部材57は、実線で示す蓋51が閉じた状態で、蓋51後端の突出部材53と干渉し係合するようにされている。なお、破線で示す蓋51が開いた状態では、突出部材53は下方に振られるので飛び出し抑止部材57と干渉しない。
ここで、ポケット部55、灰皿本体56、蓋51、突出部材53、飛び出し抑止部材57等により車両用灰皿54を構成している。
【0041】
以上の構成に基づき、作動について説明する。通常の運転時には、従来の灰皿と同様に、蓋51を開閉して車両用灰皿54を使用する。灰皿本体56内に吸殻が満杯になれば、蓋51を開けて突出部材53と飛び出し抑止部材57との干渉係合を解除し、灰皿本体56をポケット部55から抜き出して、吸殻を棄てる。吸殻を棄てた後、灰皿本体56をポケット部55に挿入するには、蓋51を開けた状態で、手指で灰皿本体56をポケット部55に押し込めば良い。灰皿本体56をポケット部55に押し込んだ後、蓋51を閉めれば通常の運転状態になる。
【0042】
不幸にして事故に遭遇し、車両の衝突、特に側面衝突が発生すると、車両用灰皿54やインナパネルであるインドアパネル2に大きな加速度(G)が加わる。加速度(G)の方向は主としては衝突された方向であるが、車両の変形やクラッシュによって種々の方向の加速度が灰皿本体56に加わることがある。仮に、灰皿本体56に上方向の加速度が掛かったとしても、蓋51を閉じていれば、前述のようにポケット部55の飛び出し抑止部材57が蓋51の突出部材53と干渉し係合するため、灰皿本体56がポケット部55から上方に飛び出すことがない。従って、車両のパッシブセーフティの程度がより高いものになる。
【0043】
この実施の形態は、前記の実施の形態のように係合板ばね21、34を必要とせず、ポケット部55の一部と蓋51の一部を延出するのみで良いから、構造が簡単で安価に製造できるという利点がある。
【0044】
【発明の効果】
本発明のうち請求項1に記載の発明は、車両の衝突時、特に車両に過酷な側面衝突等の衝突時にも、灰皿本体がインナパネルから飛び出すことを防止でき、より安全な車両を提供できるという優れた効果がある。
さらに、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明の効果に加え、構造が簡単で安価に製造できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示し、灰皿本体の蓋を閉じ係合板ばねの係合口と灰皿本体の突起部材が係合した状態を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態を示し、灰皿本体の蓋を開き係合板ばねの係合口と灰皿本体の突起部材との係合が外れた状態を示す斜視図である。
【図3】第1の実施の形態を示し、灰皿本体をインドアパネルのポケット部に装着した状態で車外側から車室側を見た灰皿本体の背面図である。
【図4】第1の実施の形態を示し、灰皿本体をインドアパネルのポケット部に装着した状態を示す横断面図である。
【図5】第2の実施の形態を示し、灰皿本体をインドアパネルのポケット部に装着した状態を示す横断面図である。
【図6】第3の実施の形態を示し、灰皿本体の蓋を示す斜視図である。
【図7】第3の実施の形態を示し、灰皿本体をインドアパネルのポケット部に装着した状態を示す横断面図である。
【図8】従来の車両用灰皿を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 アウトドア鋼板
2 インドアパネル
5 ウィンドガラス
6 車両用灰皿
7 ポケット部
8 灰皿本体
9 軸
10 蓋
11 板ばね
20 突起部材
21 係合板ばね
22 係合口
23 係合解除部材
Claims (1)
- 車両のインナパネルに取り付ける車両用灰皿において、
前記インナパネル若しくは車両用灰皿の灰皿本体に一端が固定され他端が自由端とされると共に、上下方向に他者を係合可能とする係合口を有する係合板ばねと、
前記車両用灰皿の灰皿本体若しくはインナパネルに固着され、前記灰皿本体を前記インナパネルに装着した際に前記係合板ばねの係合口に係合可能にされた突起部材と、
前記灰皿本体の蓋の後端縁部に固着され、前記灰皿本体の蓋を開けたときに前記係合板ばねの自由端側に当接して押圧し、前記係合板ばねの係合口と前記突起部材との係合を解除するように構成された係合解除部材と、
を備えることを特徴とする車両用灰皿。
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JP26501897A JP3730766B2 (ja) | 1997-09-11 | 1997-09-11 | 車両用灰皿 |
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JPH1178650A JPH1178650A (ja) | 1999-03-23 |
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-
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- 1997-09-11 JP JP26501897A patent/JP3730766B2/ja not_active Expired - Fee Related
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