JP3800716B2 - ブロー成形方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐傷付性、耐薬品性、表面外観等の表面性に優れるとともに、断熱性、制振性等の機械的特性に優れ、さらに、リサイクル性に優れた多層ブロー成形品の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック成形品は、車両内外装部材、家庭用電気製品ハウジング、OA機器ハウジング、建築用パネル、建築部材等、多くの製品に利用されている。製品の多機能化、高機能化、及び一体成形による大型化が進展するに伴い、プラスチック成形品に対する要求も、より高度なものとなってきている。
車両外装や電化製品のハウジング等の外装部品として使用されるプラスチック成形品では、外観(光沢、特殊色調)に優れるとともに、耐傷付性、耐薬品性等の表面特性に優れることが要求されている。また、省エネや、環境対策の観点から、制振性、断熱性の向上に対する要求も高まっている。このような社会の要求に対して、様々な対応が成されてきている。
例えば、製品外観を含む表面特性上の要求に対しては、一部の製品では、塗装による対応が成されている。一方、民生/産業廃棄物としてのプラスチックの増加が指摘されている。このため、廃棄物処理施設の負担を低減し、且つ、資源を有効利用する観点から、プラスチックのリサイクルの必要性が高まっている。また、環境負荷を低減するという観点から、塗装品なみの外観を持ったプラスチック成形品を無塗装で得たいという要求も増してきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、外観や表面特性、制振性、断熱性等に優れ、さらにリサイクル性にも優れたプラスチック成形品に対する需要が多い
発明は、耐傷付性、耐薬品性、表面外観等の表面特性に優れるとともに、断熱性、制振性等の機械的特性に優れ、さらにリサイクル性に優れた多層ブロー成形品の成形方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、硬度が高い表層により耐傷付性に優れ、内部の発泡層により断熱性・制振性・遮音性に優れ、表層と発泡層の間に設けた基材層(中間層)により機械的特性にも優れ、さらにリサイクル性にも優れた多層ブロー成形品の成形方法を案出した
本発明は、下記[1]〜[]のように構成される。
]構成
表層(a)と基材層(b)と内部発泡層(c)の各成形材料として相溶性のある熱可塑性樹脂(A)と(B)と(C)をそれぞれ用い、
熱可塑性樹脂(A)の層が表層であり熱可塑性樹脂(B)の層が内層である2層構造のパリソンを金型間に垂下させ、
該パリソンを内側からブロー圧力により押圧して熱可塑性樹脂(A)のビカット軟化温度(T)℃以上まで加熱した金型成形面に密着させるとともに、該パリソン内部へ発泡剤及び熱可塑性樹脂(C)を供給して前記金型成形面からの加熱で発泡させた後、冷却して固化させることにより、
結晶性を持つ表層(a)と該表層(a)の下の基材層(b)と該基材層(b)が成す中空部に充填された内部発泡層(c)とから成る多層ブロー成形品を得る、
ブロー成形方法であって、
金型間へのパリソンの垂下を、外側ダイ、内部コア、及び外側ダイと内部コアに挟まれた中間コアで形成され、外側ダイと中間コアの間隙の横断面、及び中間コアと内部コアの間隙の横断面がそれぞれ上下方向で径が単調に増加又は減少する輪形状を成し、中間コア及び/又は内部コアを上下方向に変位させることで間隙の大きさを調整可能な筒型ダイヘッドを用い、外側ダイと中間コアの間隙に溶融状態の熱可塑性樹脂(A)を供給するとともに、中間コアと内部コアの間隙に溶融状態の熱可塑性樹脂(B)を供給することによって行なう、
ことを特徴とするブロー成形方法。
]構成
構成に於いて、
金型成形面へのパリソンの押圧を、ブロー圧力に代えて又はブロー圧力とともに、発泡剤の発泡圧力によって行なう、
ことを特徴とするブロー成形方法。
]構成
構成1又は2に於いて、
前記熱可塑性樹脂(A)と(B)と(C)はそれぞれポリオレフィンである、
ことを特徴とするブロー成形方法。
上記成形方法により成形される成形品に於いて、表層(a)の肉厚は、好ましくは0.5mm以上である。
また、表層(a)の下層であるところの基材層(b)の素材の引張強度は、20℃〜75℃の使用温度領域に於いて好ましくは800Kg/cm2 以上であり、その厚さは、好ましくは表層(a)の2倍以上である。
また、基材層(b)の下層であるところの発泡(内部)層(c)の密度は、好ましくは10〜500Kg/m3 の範囲である。
【0005】
本発明の多層ブロー成形品に用い得る熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン(PA)、ABS樹脂、及びこれらのアロイ材、繊維強化材等がある。
本発明の多層ブロー成形品に用い得る熱可塑性樹脂は、好ましくは、結晶性の熱可塑性樹脂である。少なくとも表層、結晶性を有する。結晶性を有するとは、結晶化度が10%以上、好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上、特に好ましくは50%以上であることをいう。表層(a)の結晶化度の高いものほど、成形品の耐傷性、耐薬品性、耐侯性等の表面特性に優れており、また、外観も良好となる。成形品の表層の結晶化度は、表面を切り出して、X線回折法によって測定することができる。
表層(a)が結晶性を持つブロー成形品は、例えば、金型成形面の温度を(成形材料である結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度−10)℃以上に昇温させてブロー成形することにより得られる。金型成形面の温度は、パリソンの外表面が金型成形面に接触される際には、上述の温度、即ち、(成形材料である熱可塑性樹脂の結晶化温度−10)℃以上の温度であり、接触された後は、好ましくは0.5秒以上、さらに好ましくは2秒以上、特に好ましくは5秒以上に渡り、(成形材料である熱可塑性樹脂の結晶化温度−10)℃以上の温度に保持される必要がある。このように金型成形面の温度を制御すると、パリソンの外表面が金型成形面と接触する際にパリソン外表面が急冷されることが無くなるため、その結果として、表層(a)の結晶化が可能となる。表層(a)が結晶化された後は、成形サイクルを短縮する見地から、金型成形面を急冷してもよい。
表層(a)の硬度を鉛筆硬度でHB以上にする他の手段としては、例えば、強化繊維、無機物粉体等の充填材を配合する方法が挙げられる。好ましくは、上記の結晶性を持たす方法である。
【0006】
発泡層(c)を形成するための発泡成分は、発泡剤のみから成る場合と、発泡剤及び樹脂から成る場合とがある。発泡剤のみから成る場合とは、パリソンの一部を発泡させる場合である。発泡剤としては物理的発泡剤、又は化学的発泡剤が使用できる。物理的発泡剤としては、例えば、空気、炭酸ガス、窒素ガス等の無機系、ブタン、ペンタン、ヘキサン、フロン等の有機系が使用できる。また、化学的発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸塩、炭酸塩等の無機系があり、有機系としては、例えば、イソシアネート化合物、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジド化合物、ニトロソ化合物、トリアゾール化合物等がある。
発泡成分のパリソンへの供給(注入)工程は、
(1)パリソン形成後のパリソン内へ注入する方法.
(2)金型内に封じ込まれたパリソン内へ注入する方法.
(3)成形面に密着後のパリソン内へ注入する方法.
等が挙げられる。
発泡成分の注入方法としては、
(1)パリソン表面側から注入針により、パリソン表面から中空部へ貫通する孔を設け、発泡成分をパリソン中空部へ注入する方法.
(2)パリソン成形ダイ内側から注入する方法.
(3)パリソンを成形面に密着させる吹込装置を利用する方法.
(4)加熱流体を供給する装置を利用する方法.
等が挙げられる。
パリソン内部での発泡は、例えば、下記の方法が挙げられ、必要に応じて、これらの方法を組み合わせて発泡させる。即ち、
(1)加熱手段により金型成形面を加熱してビカット軟化温度(T)℃以上に昇温させ、この熱を利用して発泡させる.
(2)パリソンの中空内に加熱流体を供給することにより発泡させる.
(3)発泡成分の反応によって発泡させる.
等の方法である。
【0007】
本発明の成形方法により成形され得る多層ブロー成形品は、例えば、車両用製品、ハウジング、スポーツ用製品、遊具、家具用製品、サニタリー製品、建材用製品、厨房用製品である。
具体的には、車両用製品としては、例えば、エアースポイラー、ドアー、バンパー、グローブボックス、インパネ、フェンダー、ボンネット、サンルーフ、リアゲート、ホイールキャップ、コンソールボックス、アームレスト、ヘッドレスト、燃料タンク、運転席カバー、トランク工具ボックス等がある。ハウジングとしては、例えば、冷蔵庫前面扉、クーラーボックス、TV、オーディオ機器、プリンタ、FAX、複写機、ゲーム機、洗濯機、エアコン、冷蔵庫、掃除機、アタッシュケース、楽器ケース、工具箱、コンテナ、カメラケース等がある。スポーツ用製品としては、例えば、スイミングボード、サーフボード、ウインドサーフィン、スキー、スノーボード、スケートボード、アイスホッケースティック、カーリングボール、ゲートボールラケット、テニスラケット、カヌー、ボート等がある。遊具としては、例えば、バット、ブロック、積木、釣り具ケース、パチンコ台枠等がある。家具用製品としては、例えば、鏡台枠板、引き出し、ベッド天板・底板、机天板、げた箱板・前扉、椅子背板・底板、盆・トレー、傘立て、花瓶、薬箱、ハンガー、化粧箱、収納箱板、本立て、事務机天板、OA机天板、OAラック等がある。サニタリー製品としては、例えば、シャワーヘッド、排水パン、便座、便板、貯水槽蓋、洗面化粧台扉、浴室ドア等がある。建材用製品としては、例えば、天井板、床板、壁板、窓枠、ドア、ベンチ等がある。厨房用製品としては、例えば、まな板、キッチン扉、システムキッチンの天板、サポートバー等がある。これらは例示であり、これら以外の成形品も含まれ得る。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明者が製作した成形機の模式図である。
図示の成形機は、ポッパー6 から供給した熱可塑性樹脂のペレットを、押出機1 で混練しつつ進行させることにより溶融して円筒型ダイヘッド2 に供給し、この円筒型ダイヘッド2 に供給した溶融樹脂を、油圧シリンダ5 の押圧力により下方へパリソン9 として垂下して左右の成形用金型3 −3 間に位置せしめ、この状態で油圧シリンダ8 を駆動して可動型4bを固定型4a方向へ変位させることによりパリソン9 を成形用金型3 −3 間に挟み込み、且つ、パリソン9 を後述の如く膨らませることにより、成形用金型3,3 の成形面を転写する装置である。
本発明では、多層ブロー成形品を得るために、円筒型ダイヘッド2 は、図3に示すように3個の部材を用いて構成されている。即ち、外側ダイ21と、内部コア22と、中間コア23とで構成されている。内部コア22と中間コア23の間の隙間(横断面輪形状で下方に行くほど輪の径が大きくなる隙間)は、基材層(b)用の溶融樹脂92を通す通路である。中間コア23と外側ダイ21の間の隙間(横断面輪形状で下方に行くほど輪の径が大きくなる隙間であって基材層(b)用の隙間より横断面の径が大きい隙間)は、表層(a)用の溶融樹脂91を通す通路である。これらの隙間から垂下されるパリソン(基材層(b)用のパリソンと表層(a)用のパリソン)9 の厚さは、これらの隙間の大きさを、図示する上下方向の両矢印の如く中間コア23及び/又は内部コア22を変位させることで調整可能である。なお、図示の例では、内部コア22と中間コア23の間の隙間や、中間コア23と外側ダイ21の間の隙間は、上述のように、その横断面輪形状が下方に行くほど輪の径が大きくなっているが、これは一例である。即ち、下方に行くほど輪の径が小さくなる隙間や、輪の径が同じである隙間の場合もあり得る。
【0009】
次に、上記成形用金型3 について説明する。図2は、本発明の多層ブロー成形品を得るのに適した成形用金型の一例を示す断面模式図である。
図示の金型は、左右の金型本体33a,33b により、各々断熱支持部材32a,32B を介して、各々型体31a,31b を支持して成る。各型体31a,31b は、各々表面側(図の中央側)に成形品の外形に応じた形状の成形面30a,30b を形成された熱の良導体(例えばステンレス鋼)である。各型体31a,31b の成形面間に中空円筒形状の2層のパリソン9 を降下させ、該パリソン9 内に流体(例えば加圧エア)を吹き込むとともに、左右の金型本体33a,33b を前述の如く油圧シリンダ8 の駆動力で接近方向に相対移動させてパリソン9 を挟み込んで型締めすることにより、ブロー成形を行う装置である。
各型体31a,31b の背後(裏面側)には、各々対応する金型本体33a,33b との間に空間34a,34b が設けられている。また、この空間34a,34b には、各々給入配管35a,35b がノズル35aa,35bb を介して連通されているとともに、排出配管36a,36b が連通されている。
【0010】
加熱過程は、前回の成形サイクルが終了した後に開始され、パリソン9 が型体31a,31b の成形面30a,30b に接触された後、所定時間(例えば5秒程度)が経過するまで継続される。この加熱過程では、給入配管35a,35b からノズル35aa,35bb を通して加熱媒体(例えば過熱蒸気)が空間34a,34b 内に供給され続ける。これにより、型体31a,31b の成形面30a,30b は、パリソン9 が型体31a,31b の成形面30a,30b に接触される際に、(パリソン9 の材料である結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度−10)℃以上の温度まで昇温されている。このため、パリソン9 の外表面が型体31a,31b の成形面30a,30b に接触されて密接される際に、パリソン9 の外表面が急冷されてしまうことが防止され、その結果、成形品の外表面が結晶性を有するようになる。また、このように加熱蒸気を成形面30a,30b の裏面側の空間34a,34b 内へ供給する手段を用いることにより、ブロー圧力と空間34a,34b 内圧力を同調させることが可能となる。
なお、加熱手段としては、上述のように給入配管35a,35b からノズル35aa,35bb を通して加熱媒体を空間34a,34b 内へ供給供給する機構以外に、例えば、成形面30a,30b を裏面側から輻射加熱する手段、誘電加熱手段、誘導加熱手段、電気ヒータ加熱手段等を使用することができる。これらの加熱手段は、単独で使用することもでき、何れか2種類以上の加熱手段を併用することもできる。また、加熱過程内に於いて温度等に応じて適宜に切り換えて使用することもできる。このような加熱手段を用いることにより、金型成形面の温度をより高温にすることが可能となる。
成形品の外表面が所望の結晶化度になるのに必要十分な時間が経過すると、加熱媒体(例えば過熱蒸気)の供給が止められて、冷却過程が開始される。この冷却過程では、給入配管35a,35b からノズル35aa,35bb を通して空間34a,34b 内へ冷却媒体(例えば冷却水+冷却エア)が供給され続ける。これにより、成形品が急冷され、成形品を取り出すまでの所要時間が短縮される。即ち、全体の成形サイクルタイムが短縮される。
【0011】
このように、図示の金型は、加熱過程と冷却過程を、比較的短時間で繰り返すものであり、成形面30a,30b を有する型体31a,31b を比較的短時間のサイクルで所望の温度に加熱/冷却するものであるため、(1)成形面30a,30b を有する型体31a,31b の熱容量が小さく、(2)型体31a,31b と金型本体33a,33b とが断熱されている、ことが必要とされる。
上記(1)の要請を満たすためには、型体31a,31b は十分に薄く(例えばオーステナイト系ステンレス鋼で10mm程度以下)構成されるのが好ましい。しかし、前述のように、型体31a,31b には、成形面30a,30b 側からパリソン9 のブロー圧力が加わる。このため、成形面30a,30b を上述のように十分に薄く構成すると、パリソン9 のブロー圧力によって成形面が撓んだり変形したりする恐れがある。このため、本金型では、加熱過程に於いて空間34a,34b 内へ供給される加熱媒体(過熱蒸気等)の圧力をブロー圧力と均衡させることにより、成形面30a,30b の撓みや変形を防止している。加熱媒体の圧力とブロー圧力を均衡させる方法としては、例えば、ブロー圧力のための配管と、加熱媒体供給用の配管とを必要に応じて逆止弁を介して連通させたり、シリンダ−ピストン機構を介して両配管を結合することで両配管内の圧力を同調させる等の方法がある。
【0012】
上記(2)の要請を満たすために、図示の金型では、金型本体33a,33b によって型体31a,31b を支持する部分に、断熱支持部材32a,32b を介在させている。断熱支持部材32a,32b は、型体31a,31b と金型本体33a,33b とを十分に断熱することができ、且つ、金型本体33a,33b によって型体31a,31b を、成形の全過程に渡って支持できるものであればよい。
このような断熱支持部材は、熱伝導率が、0.001〜1[kcal/mh℃] 、好ましくは0.005〜0.8[kcal/mh℃] 、更に好ましくは0.01〜0.5[kcal/mh℃] で、且つ、縦弾性係数が、0.1×104 〜100×104[kg/cm2] 、好ましくは0.2×104 〜40×104[kg/cm2] 、更に好ましくは1×104 〜20×104[kg/cm2] の材料を用いて構成することができる。また、断熱支持部材は、熱伝導率が、0.001〜1[kcal/mh℃] 、好ましくは0.005〜0.8[kcal/mh℃] 、更に好ましくは0.01〜0.5[kcal/mh℃] の材料と、縦弾性係数が、0.1×104 〜100×104[kg/cm2] 、好ましくは0.2×104 〜40×104[kg/cm2] 、更に好ましくは1×104 〜20×104[kg/cm2] の材料を用いた積層構造として構成することもできる。つまり、型体31a,31b と金型本体33a,33b とを断熱状態で支持でき、且つ、型体31a,31b 側から金型本体33a,33b 側へ加わる押圧力に抗して、型体31a,31b を金型本体33a,33b によってガタつき無く確実に支持できればよい。なお、断熱支持部材の熱伝導率として上述の範囲が示されている理由は、熱伝導率が0.001[kcal/mh℃] 未満では特殊な材料が必要となって実用的で無くなり、1[kcal/mh℃] を越えると所望の断熱効果が得られないためである。また、断熱支持部材の縦弾性係数として上述の範囲が示されている理由は、縦弾性係数が0.1×104[kg/cm2] 未満では剛性が不足してシールが十分で無くなり、100×104[kg/cm2] を越えると断熱支持部の加工が困難となるためである。断熱支持部材に要求される上記性能、即ち、熱伝導率が0.001〜1[kcal/mh℃] で、縦弾性係数が0.1×104 〜100×104[kg/cm2] の材料は、例えば、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンオキサイド、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリアミド、アセタール樹脂、四フッ化エチレン系樹脂、セラミックス、PC、フェノール樹脂、ユリア、メラミン、ガラス、不飽和ポリエステル等である。好ましくはフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン、不飽和ポリエステルであり、更に好ましくはフェノール樹脂である。
【0013】
次に、成形過程について説明する。
図2に示すように、パリソン9 が成形面30a −成形面30b 間に垂下されて中空部を密閉された後、不図示のエア供給源からエアを供給されることにより膨らまされて成形面30a,30b にパリソン9 の外表面が押圧されるとともに、発泡ビーズ供給装置7 から発泡ビーズを供給される。さらに、成形面30a,30b の裏面側の空間34a,35b に各々開口されたノズル35aa,35bb から加熱蒸気が成形面30a,30b の裏面側の空間34a,35b 内へ噴射される。
これにより、パリソン9 がビカット軟化温度(T)℃以上まで加熱されるるとともに、パリソン9 の中空内の発泡ビーズが発泡して、パリソン9 の中空内全体に拡がる。
次に、成形面30a,30b の裏面側の空間34a,35b 内の加熱蒸気が排出配管36a,36b を通して排出されるとともに、冷却水+冷却空気が配管35a,35b からノズル35aa,35bb を介して成形面30a,30b の裏面側の空間34a,35b 内へ噴射される。これにより、パリソン9 が(ビカット軟化温度(T)−10)℃以下まで速やかに冷却される。
冷却後、金型が開かれて成形品が取り出されて、所望の成形品を得る。
上記では、パリソン9 の外表面を成形面30a,30b に押圧する力、即ち、パリソン9 を膨らませる力を、不図示のエア供給源から救急されるエアによって与えているが、このエアに代えて、或いは、このエアとともに、発泡ビーズの発泡の圧力を利用してパリソン9 を膨らませてもよい。
また、上記では、発泡ビーズの発泡を、成形面30a,30b の裏面側の空間34a,35b 内に供給される加熱蒸気による加熱で行っているが、この加熱に代えて、或いは、この加熱とともに、発泡ビーズの反応を利用して発泡させてもよい。
【0014】
【実施例】
次に、実施例を説明する。図1・図2に示す成形機及び成形用金型として下記性能・形状の成形機及び成形用金型を用いた。
即ち、成形機としては、外層用の押出機が30mmφのスクリュー押出機、内層用の押出機が55mmφのスクリュー押出機、射出容量が最大値で2000cc、パリソン径が100mmφ、型締力が50Tonのものを用いた。また、成形用金型の形状(成形面30a,30b の内形状)としては、250mm(幅)×600mm(長さ)×50mm(深さ)D×3mm(厚さ)のものを用いた。
かかる成形機及び成形用金型を用いて、前述のような成形過程により、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2の各多層ブロー成形品を製造した。各成形品の製造時の成形条件を各々表1に示す。
【表1】
Figure 0003800716
【0015】
また、得られた各成形品について、表面光沢度(Gloss)、表面粗さ、表面硬度(鉛筆硬度)、断熱性、密着強度(リサイクル前後)を測定した。
表面光沢度は、ASTM−D523法によって試験した。表面粗さは、JSR法(レーザ変位計LC−2400;キーエンス社製)により測定した。表面硬度は、JIS−K5401−1969を満たす塗膜用鉛筆引かき試験機によって鉛筆硬度を測定した。断熱性は、JIS−A1412によって測定した。密着強度は、成形品から幅1cm、長さ13cmの試験片を切り出して、層間にナイフで切込みを入れて剥がし、この部分を掴持して引張試験機により反対方向(180°の方向)へ引っ張って剥がれ出す時の力を測定して評価した。リサイクル性の評価指標としては、密着強度を用いた。即ち、成形品を帯ノコ盤で切断し、この切断片を粉砕機により5mm角以下の大きさにカットした後、単軸の押出機により再ペレット化し、これを、基材層(b)の素材として再使用して、これにより得た成形品の密着強度(リサイクル後の密着強度)を、リサイクル前の密着強度と比較することによって評価した。各成形品の試験結果・評価結果を表2に示す。また、実施例品の模式的断面構造を図4に示す。
【表2】
Figure 0003800716
【0016】
(1)実施例1.
表層(a)用として高結晶性PP樹脂(SH152/トクヤマ(株)製)、中間の基材層(b)用として通常ブロー用PP樹脂(EC9E/日本ポリケム(株)製)を用いてブロー成形し、型閉状態でPP発泡ビーズを成形品中に供給して加熱して発泡させた後、冷却して成形品を取り出した。
(2)実施例2.
表層(a)用としてブロー成形用AS樹脂(RC804/テクノポリマー(株)製)を用い、中間の基材層にブロー成形用ABS樹脂(#88K4/テクノポリマー(株)製)を用いて、型閉状態でABS発泡ビーズを成形品中に供給して加熱して発泡させた後、冷却して成形品を取り出した。
(3)比較例1.
成形材料を実施例1と同じとし、成形条件を実施例1とは異ならせて成形品を得た。即ち、表1に示すように、実施例1では金型の最高温度が150℃であるのに対して、比較例1では80℃である。
(4)比較例2.
実施例2に於いて、表層(a)用のパリソンを用いず、基材層(b)のみのパリソンを用いて、他の条件は実施例2と同じとして成形品を得た。その後、表面を塗装アクリル系の熱硬化タイプの塗料で塗装した。
表2に示すように、比較例1では、表面光沢度、表面粗さ、表面硬度に関して所望の特性を得ることができなかった。また、比較例2では、リサイクル性に関して所望の特性を得ることができなかった。
【0017】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、より外観品質に優れ、リサイクル性に優れた多層ブロー成形品を得ることができる。
また、このようなプラスチック製品は製品全体が均一な性質を有し、プラスチック製品の利用範囲を数多くの産業分野に於いて拡げるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例品と比較例品を成形した成形機の概要を示す模式図。
【図2】実施例品と比較例品を成形した成形装置にセットされる成形用金型の断面模式図。
【図3】多層ブロー成形用のパリソンを垂下させるための円筒型ダイと金型の配置関係を示す模式的斜視図(a)と、(a)のB−B線の模式的断面図(b)。
【図4】実施例品の断面模式図。
【符号の説明】
1 押出機
2 円筒型ダイ
3 成形用金型
4a 型締装置(固定側)
4b 型締装置(可動側)
5 油圧シリンダ
7 発泡ビーズ供給装置
8 油圧シリンダ
9 パリソン

Claims (3)

  1. 表層(a)と基材層(b)と内部発泡層(c)の各成形材料として相溶性のある熱可塑性樹脂(A)と(B)と(C)をそれぞれ用い、
    熱可塑性樹脂(A)の層が表層であり熱可塑性樹脂(B)の層が内層である2層構造のパリソンを金型間に垂下させ、
    該パリソンを内側からブロー圧力により押圧して熱可塑性樹脂(A)のビカット軟化温度(T)℃以上まで加熱した金型成形面に密着させるとともに、該パリソン内部へ発泡剤及び熱可塑性樹脂(C)を供給して前記金型成形面からの加熱で発泡させた後、冷却して固化させることにより、
    結晶性を持つ表層(a)と該表層(a)の下の基材層(b)と該基材層(b)が成す中空部に充填された内部発泡層(c)とから成る多層ブロー成形品を得る、
    ブロー成形方法であって、
    金型間へのパリソンの垂下を、外側ダイ、内部コア、及び外側ダイと内部コアに挟まれた中間コアで形成され、外側ダイと中間コアの間隙の横断面、及び中間コアと内部コアの間隙の横断面がそれぞれ上下方向で径が単調に増加又は減少する輪形状を成し、中間コア及び/又は内部コアを上下方向に変位させることで間隙の大きさを調整可能な筒型ダイヘッドを用い、外側ダイと中間コアの間隙に溶融状態の熱可塑性樹脂(A)を供給するとともに、中間コアと内部コアの間隙に溶融状態の熱可塑性樹脂(B)を供給することによって行なう、
    ことを特徴とするブロー成形方法。
  2. 請求項に於いて、
    金型成形面へのパリソンの押圧を、ブロー圧力に代えて又はブロー圧力とともに、発泡剤の発泡圧力によって行なう、
    ことを特徴とするブロー成形方法。
  3. 請求項1又は請求項に於いて、
    前記熱可塑性樹脂(A)と(B)と(C)はそれぞれポリオレフィンである、
    ことを特徴とするブロー成形方法。
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