JP3797008B2 - ガラスセラミックス多層基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスセラミックス多層基板の製造方法に関し、特にエレクトロニクス用セラミックパッケージおよび回路基板として用いられるガラスセラミックス多層基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置において、ICチップやLSIチップ等の半導体素子は、基板に設けられた半導体素子搭載部に実装されて実用に供されている。アルミナ等のセラミックスは耐熱性、耐久性、熱伝導性等に優れるため、この基板の材料として適しており、セラミック製の半導体基板は現在盛んに使用されている。
【0003】
しかしながら、アルミナ基板は、比誘電率が比較的大きいため伝送信号の遅延を生じさせ、また熱膨張係数がシリコンに比べて大きいため、部品を搭載したときの温度変化に対する信頼性を確保するのが困難であるという問題があった。さらに、アルミナの焼成温度は約1600℃と高いため、内層の配線として融点が高くかつ電気抵抗率の大きいWまたはMoを使用する必要があり、配線を微細にした場合、配線の電気抵抗値が大きくなるという問題があった。
【0004】
このため、Ag、Cu等の低抵抗配線材料と同時焼成を行うことができる低温焼成セラミックス基板の開発が進められており、その中でも比誘電率が比較的小さいので伝送損失が小さく、かつ熱膨張率がシリコンに近いため、フリップチップ方式による搭載が可能なガラスを含有するガラスセラミックス基板が注目されている。このガラスセラミックス基板に用いられるガラス材料としては、ホウ珪酸系ガラス、MgO−Al2O3−SiO2系ガラス、CaO−Al2O3−SiO2系ガラス等が挙げられ、通常、これらのガラス粉末に骨材を添加した原料を用いてガラスセラミックス基板が製造される。
【0005】
また、このようなガラスセラミックス基板は、基板サイズを縮小し、搭載ボードへの搭載密度を向上させ、さらに電気特性を向上させるため、一般に複数枚のガラスセラミックスのグリーンシートを積層および焼成してガラスセラミックス多層基板が製造される。
【0006】
さて、LSI等が高速になり、高密度になるにしたがい、セラミックス基板に搭載されるLSI等とセラミックス基板に形成された配線とのボンディング法は、従来のワイヤボンディング法からマルチチップ化や高密度な搭載に適したTAB(Tape Automated Bonding) 方式またはフリップチップ方式が採用されるようになってきている。したがって、ガラスセラミックス多層基板に対する要求も基板自身の物性のみでなく、高密度な搭載に対応することができるように基板の寸法や形状等についても精密な制御技術が必要となってきている。
【0007】
このようなガラスセラミックス多層基板の寸法等の制御を行う方法として、特表平5―503498号公報には、ガラスセラミックスグリーンシートの積層体の表裏両面にセラミックスからなる剥離層を配置し、表裏両面から加圧しながら焼成した後、剥離層を除去する方法が開示されている。前記公報においては、焼結にともなう平面収縮が低減できることが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特表平5―503498号公報に開示される方法では、ガラスセラミックスグリーンシートの積層体にキャビティ部が形成されている場合、積層体両面に重ねるセラミックスの剥離層を介して加圧するとき、キャビティ部の空隙により圧力が伝達されないため、キャビティ部周辺が焼成時に変形を起こし、回路基板として実用不可能なものとなる恐れがあった。
【0009】
そこで、特開平8―245268号公報においては、キャビティ部を有するガラスセラミックス積層体の焼結方法が開示されている。この方法では、キャビティ部内にガラスセラミックス積層体よりも焼結温度の高い無機成分からなる成形体層を形成し、その直上部分にキャビティ部と同一体積のガラスセラミックス成形体を配置することにより、キャビティ部とキャビティ部以外の部分とを同じ体積比の積層構造にすることで、ガラスセラミックスグリーンシート全体の焼成時の収縮挙動を均一にしている。
【0010】
しかしながら、一般にガラスセラミックス積層体には複数のキャビティ部が形成されており、このキャビティ部内に正確に無機成分からなる成形体を形成し、さらにこのキャビティ部直上の正しい位置にガラスセラミックス成形層を配置するのは複雑な工程である。このため、特開平8―245268号公報に開示される方法では、製造工数が増大し、生産性が低下するという問題があった。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、キャビティ部やスルーホール部を有するガラスセラミックス積層体の焼結時にキャビティ部やスルーホール部周辺の変形を防ぎ、かつ製造工数を低減し、生産性が向上するガラスセラミックス多層基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のガラスセラミックス多層基板の製造方法によると、ガラスセラミックスよりも焼結温度の高い無機成分を主として含有する成形体にガラスセラミックスのグリーンシート積層体のキャビティ部やスルーホール部に対応する位置に穴部を形成し、グリーンシート積層体のキャビティ部やスルーホール部と上記の穴部とがそれぞれ連通するように、グリーンシート積層体の上下両面に上記の成形体を配置し、グリーンシート積層体および成形体を、グリーンシート積層体が焼結し、成形体が焼結しない温度で焼成する。
【0013】
本発明によるガラスセラミックス多層基板の製造方法においては、ガラスセラミックスの原料となるガラス粉末や骨材となるセラミックス粉末をボールミルに投入し、さらに粉砕用のボールと共に湿式媒を添加し、適当な粒径になるように湿式混合粉砕を行うことにより、ガラスセラミックスの原料粉末が得られる。この後、前記の湿式媒を除去し、得られた原料粉末にバインダ、分散剤、可塑剤、有機溶媒等を添加して湿式混合を行い、スラリーを調製する。次に、このスラリーを用いてドクターブレード法等によりガラスセラミックスグリーンシートを作製する。その後、必要によりビアホール等を形成し、前記のガラスセラミックスグリーンシートに配線用の導体ペーストを印刷し、ビアホール部分に導体ペーストを充填する。これらの工程により作製された種々のガラスセラミックスグリーンシートを積層してグリーンシート積層体を形成することができる。
【0014】
ガラスセラミックスグリーンシートは、前記のガラスセラミックスの原料粉末、有機溶媒、可塑剤およびバインダ等から構成される。ガラスセラミックスの原料粉末は、ホウ珪酸系ガラス、MgO−Al2O3−SiO2系ガラス、CaO−Al2O3−SiO2系ガラス等の粉末とAl2O3等の骨材の粉末を混合したものであり、有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、アルコール類等が挙げられ、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオキシルフタレート等が挙げられ、バインダとしては、例えばアクリル樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。これらの混合割合は、ガラスセラミックスの原料粉末100重量部に対し、有機溶媒が20〜80重量部、可塑剤が1〜5重量部、バインダが5〜20重量部が好ましい。ガラスセラミックスグリーンシート上に導体含有層を形成する場合、Ag、Cu、Au、Ag−Pd等が導体材料として用いられる。
【0015】
グリーンシート積層体の上下両面に配置するガラスセラミックスの焼結温度では焼結しない無機成分(以下、「ガラスセラミックスの焼結温度では焼結しない無機成分」を難焼結性無機成分という)を主成分とする成形体は、例えば通常のドクターブレード法等により、難焼結性無機成分のグリーンシートを作製することができる。このグリーンシートは、難焼結性無機成分の粉末、有機溶媒、可塑剤およびバインダ等から構成される。
【0016】
難焼結性無機成分としては、例えばAl2O3、AlN、MgO、ZrO2、TiO2、BeO、BN、3Al2O32SiO2等が挙げられる。有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、アルコール類等が挙げられ、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオキシルフタレート等が挙げられ、バインダとしては、例えばアクリル樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。これらの混合割合は、難焼結性無機成分の粉末100重量部に対し、有機溶媒が20〜80重量部、可塑剤が1〜5重量部、バインダが5〜20重量部が好ましい。
【0017】
グリーンシート積層体の上下両面に難焼結性無機成分を主成分とする成形体を配置して焼成することにより、グリーンシート積層体の平面方向にほとんど収縮しない、寸法精度の良い焼結体が得られる。このとき、グリーンシート積層体のキャビティ部やスルーホール部と上記の成形体に形成した穴部とがそれぞれ連通するように配置することにより、キャビティ部やスルーホール部近傍に伝達される荷重が比較的小さくなり、平面方向に変形する量が限定される。したがって、キャビティ部やスルーホール部の変形量が比較的小さくなり、キャビティ部やスルーホール部の形状を高精度に確保することができる。なお、スルーホール部では、上下両面に配置する上記の成形体の片面にのみ穴部を形成しても、高精度の形状を確保することができる。
【0018】
この結果、キャビティ部やスルーホール部周辺の変形やキャビティ部底部のクラックの発生を防止することができ、焼結状態および形状の安定したキャビティ部やスルーホール部を有する良好な回路基板を得ることができる。さらに、簡便な工程により寸法精度のよい回路基板を製造することができるので、製造工数を低減し、生産性を向上することができる。
【0019】
焼成後、ガラスセラミックス積層体の表面の難焼結性無機粉末は、例えば、微細なガラス粉末を用いる一般のショットブラスト処理により、簡便に除去することができる。
【0020】
本発明の請求項2記載のガラスセラミックス多層基板の製造方法によると、難焼結性無機成分を主成分とする成形体に形成する穴部の内径は、グリーンシート積層体のキャビティ部やスルーホール部の内径と同等、あるいはグリーンシート積層体のキャビティ部やスルーホール部の内径よりも小さいので、キャビティ部やスルーホール部の内壁の傾斜を防止し、キャビティ部やスルーホール部とキャビティ部やスルーホール部以外の部分との焼成後における厚みがほぼ同一となるように制御することができる。上記の成形体に形成する穴部の内径がグリーンシート積層体のキャビティ部やスルーホール部の内径よりも大きいと、焼成時にキャビティ部やスルーホール部近傍が上記の穴部内に盛上がり、ガラスセラミックス積層体の表面を平坦にすることができない恐れがある。
【0021】
本発明の請求項3記載のガラスセラミックス多層基板の製造方法によると、焼成時にグリーンシート積層体の上下面に圧力を負荷するので、キャビティ部やスルーホール部の変形量がさらに小さくなる。したがって、キャビティ部やスルーホール部の形状をさらに高精度に確保することができ、ガラスセラミックス積層体の表面を平坦にすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複数の実施例を図面に基づいて説明する。
CaO−Al2O3−SiO2系ガラスを用いたガラスセラミックス多層基板の製造方法に本発明を適用した一実施例について、図1および図2を用いて説明する。
【0023】
まず、ガラスセラミックスのグリーンシート積層体の作製方法について述べる。ここで、ガラスセラミックスの原料粉末は、CaO−Al2O3−SiO2−B2O3系のガラス粉末60wt%とAl2O3粉末40wt%とを混合した粉体状のセラミックスであり、平均粒径は約3.5μmである。
【0024】
(1) ガラスセラミックス粉体にジオキシルフタレートの可塑剤と、アクリル樹脂のバインダと、例えばトルエン、キシレン、アルコール類等の溶剤とを加え、十分に混練して粘度2000〜40000cpsのスラリーを作製し、ドクターブレード法によって0.3mm厚の3枚のガラスセラミックスグリーンシートを形成する。
【0025】
(2) 打ち抜き型やパンチングマシーン等を用いて、ガラスセラミックスグリーンシートを所望の形状に加工し、また、複数の所定位置に例えば0.3mmφのビアホールを打ち抜き形成し、各ビアホールにAg系導体材料を充填する。また、ガラスセラミックスグリーンシートの表面あるいは裏面に内部配線用のAg、Ag−Pd、Ag−Pt、Ag−Pd−Pt、Cu等の導体ペーストをスクリーン印刷する。
【0026】
(3) それぞれのガラスセラミックスグリーンシートを積層して得られたガラスセラミックスのグリーンシート積層体を110℃、100kg/cm2の条件で熱圧着して一体化する。
【0027】
上記の(1)〜(3)の工程により、図2に示すガラスセラミックスのグリーンシート積層体1が得られる。図2において、グリーンシート積層体1はガラスセラミックスグリーンシート1a、1bおよび1cの積層体であり、キャビティ部11および12と、スルーホール部21、22、23および24と、配線層3とを有している。キャビティ部11の内径寸法D11=1.0mmφであり、キャビティ部12の内径寸法D12=0.6mmφである。また、スルーホール部21の内径寸法D21=0.6mmφであり、スルーホール部22の内径寸法D22=1.0mmφであり、スルーホール部23の内径寸法D23=1.0mmφであり、スルーホール部24の内径寸法D24=0.6mmφである。
【0028】
次に、上記の(1)〜(3)で作製されたグリーンシート積層体1の焼結方法について説明する。
(4) 予め、Al2O3粉末に有機溶媒、アクリルバインダ、可塑剤、分散剤を添加し、ボールミルにて混合してスラリーとし、このスラリーを用いてドクターブレード法によりAl2O3グリーンシートを形成しておく。そして図1に示すように、上記のAl2O3グリーンシートにグリーンシート積層体1の上下両面のキャビティ部11、12およびスルーホール部21、22、23、24に対応する位置に穴部31、32、41、42、43、44、51、52、53および54を打ち抜き型やパンチングマシーン等を用いて形成し、Al2O3グリーンシート4および5を作製する。図1において、穴部31の内径寸法d11=0.8mmφであり、穴部32の内径寸法d12=0.4mmφであり、穴部41および51の内径寸法d21=0.4mmφであり、穴部42および52の内径寸法d22=0.8mmφであり、穴部43および53の内径寸法d23=0.8mmφであり、穴部44および54の内径寸法d24=0.4mmφである。したがって、穴部31、32、41、42、43、44、51、52、53および54の内径は、キャビティ部11、12およびスルーホール部21、22、23、24の内径よりもそれぞれ0.2mmだけ小さい。
【0029】
(5) 図1に示すように、キャビティ部11、12およびスルーホール部21、22、23、24と穴部31、32、41、42、43、44、51、52、53および54とがそれぞれ連通するように、グリーンシート積層体1の上下両面にAl2O3グリーンシート4および5を配置する。ここで、Al2O3グリーンシート4および5は、特許請求の範囲に記載された「ガラスセラミックスよりも焼結温度の高い無機成分を主として含有する成形体」に相当する。
【0030】
(6) 図1に示すように、グリーンシート積層体1の上下両面にAl2O3グリーンシート4および5を配置した後、グリーンシート積層体1の上下面に6kg/cm2の圧力を負荷しながらグリーンシート積層体1、Al2O3グリーンシート4および5を電気式連続ベルト炉を使用して、空気中で900℃、20分の保持条件で焼成する。なお、導体ペーストがCuの場合は還元または中性雰囲気で焼成する。
(7) 焼成後、ガラスセラミックス積層体の表面のAl2O3粉末をガラスビーズのブラスト処理等により除去する。
【0031】
次に、上記の(1)〜(7)で作製されたガラスセラミックス多層基板のキャビティ部およびスルーホール部の焼結による寸法変化率を表1に示す。表1において、ガラスセラミックス多層基板の検体数n=10であり、寸法変化率Rは以下に示す式▲1▼により算出された。
R(%)=(D0−D1)/D0×100 ・・・ ▲1▼
ここに、D0は成形時の初期内径であり、D1は焼成後の内径である。
【0032】
【表1】
【0033】
本実施例においては、表1に示すように、寸法変化率は8〜14%であり、キャビティ部およびスルーホール部の寸法変化率は比較的小さい。また、キャビティ部およびスルーホール部の形状は良好であり、キャビティ部およびスルーホール部の内壁が傾斜するなどの異常変形はなく、キャビティ部の底部は十分に平坦である。また、スルーホール部24上に、グリーンシート4または5の一方に穴部44または54を配置した場合の寸法変化率は10〜13%である。
【0034】
次に、比較例によるガラスセラミックス多層基板の製造方法を図3を用いて説明する。本実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付す。
比較例においては、本実施例で用いたのと同一のCaO−Al2O3−SiO2系ガラスを用いたガラスセラミックスのグリーンシート1a、1bおよび1cによりキャビティ部11、12およびスルーホール部21、22、23、24を有するグリーンシート積層体1を作製した。グリーンシート積層体1の上下面には、難焼結性のAl2O3粉末を主として含有し、穴部を形成していないAl2O3グリーンシート40および50を配置し、他は本実施例と同一の焼成方法、条件で焼成した後、本実施例と同一の方法で表面のAl2O3粉末を除去した。その結果得られた比較例のガラスセラミックス多層基板のキャビティ部およびスルーホール部の焼結による寸法変化率を表1に示す。表1において、ガラスセラミックス多層基板の検体数n=10であり、寸法変化率Rは上記の式▲1▼により算出された。
【0035】
比較例においては、表1に示すように、寸法変化率は23〜100%であり、キャビティ部およびスルーホール部の寸法変化率は比較的大きい。また、キャビティ部およびスルーホール部の変形量が比較的大きく、実用不可能な焼結体となっている。
【0036】
一方、本実施例においては、グリーンシート積層体1のキャビティ部11、12およびスルーホール部21、22、23、24と、Al2O3グリーンシート4および5の穴部31、32、41、42、43、44、51、52、53および54とがそれぞれ連通するように、グリーンシート積層体1の上下両面にAl2O3グリーンシート4および5を配置し、圧力を負荷しながら焼成することにより、キャビティ部11、12およびスルーホール部21、22、23、24近傍に伝達される荷重が比較的小さくなり、平面方向に変形する量が限定される。したがって、キャビティ部およびスルーホール部の変形量が比較的小さくなり、キャビティ部およびスルーホール部の形状を高精度に確保することができる。
【0037】
以上説明した本発明の一実施例においては、焼結時の水平方向の収縮を抑制するので、キャビティ部およびスルーホール部周辺の変形やキャビティ部底部のクラックの発生を防止することができ、焼結状態および形状の安定したキャビティ部およびスルーホール部を有する良好な回路基板を得ることができる。さらに、簡便な工程により寸法精度のよい回路基板を製造することができるので、製造工数を低減し、生産性を向上することができる。
【0038】
本実施例においては、キャビティ部11および12が一段である場合を示したが、本発明においては、何らこれに限定されるものではなく、キャビティ部が複数段形成されている場合であっても、本実施例と同様に焼結させることができる。この場合、難焼結性無機成分を主成分とする成形体に形成する穴部の内径は、キャビティ部の開口部の内径と同等、あるいはキャビティ部の開口部の内径よりも小さいことが好ましい。
【0039】
本実施例では、キャビティ部およびスルーホール部の形状を丸穴形状としたが、本発明では、角穴形状等、回路基板で用いられる形状のキャビティ部およびスルーホール部を有するガラスセラミックス多層基板を製造可能なことはいうまでもない。また、キャビティ部あるいはスルーホール部のいずれか一方のみを有するガラスセラミックス多層基板を製造することも可能である。
また本実施例では、圧力を負荷しながら焼成を行ったが、本発明では、圧力を負荷せずに焼成を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるガラスセラミックス多層基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【図2】本発明の一実施例によるガラスセラミックス多層基板の製造方法を説明するためのものであって、グリーンシート積層体を示す模式的断面図である。
【図3】比較例によるガラスセラミックス多層基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【符号の説明】
1 グリーンシート積層体
1a、1b、1c グリーンシート
3 配線層
4、5 Al2O3グリーンシート
11、12 キャビティ部
21、22、23、24 スルーホール部
31、32、41、42、43、44、51、52、53、54 穴部
Claims (3)
- ガラスセラミックスのグリーンシートを積層して低温焼成工程によって製造されるキャビティ部および/またはスルーホール部を有するガラスセラミックス多層基板を製造する方法であって、
前記ガラスセラミックスよりも焼結温度の高い無機成分を主として含有する成形体に前記ガラスセラミックスのグリーンシート積層体のキャビティ部および/またはスルーホール部に対応する位置に穴部を形成する工程と、
前記グリーンシート積層体のキャビティ部および/またはスルーホール部と前記穴部とがそれぞれ連通するように、前記グリーンシート積層体の上下両面に前記成形体を配置する工程と、
前記グリーンシート積層体および前記成形体を、前記グリーンシート積層体が焼結し、前記成形体が焼結しない温度で焼成する工程と、
を含むことを特徴とするガラスセラミックス多層基板の製造方法。 - 前記穴部の内径は、前記グリーンシート積層体のキャビティ部および/またはスルーホール部の内径と同等、あるいは前記グリーンシート積層体のキャビティ部および/またはスルーホール部の内径よりも小さいことを特徴とする請求項1記載のガラスセラミックス多層基板の製造方法。
- 前記焼成する工程において、前記グリーンシート積層体の上下面に圧力を負荷することを特徴とする請求項1または2記載のガラスセラミックス多層基板の製造方法。
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