JP4308791B2 - ガラスセラミック基板の製造方法および電子部品実装基板の製造方法 - Google Patents

ガラスセラミック基板の製造方法および電子部品実装基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特に、エレクトロニクス用セラミックパッケージおよび回路基板などとして用いられるガラスセラミックス基板の製造方法に関する。
半導体装置において、ICチップやLSIチップ等の半導体素子は、基板に設けられた半導体素子搭載部に実装されて実用に供されている。アルミナ等のセラミックスは、耐熱性、耐久性、熱伝導性等に優れるため、この基板の材料として適しており、セラミック製基板は現在盛んに使用されている。
しかしながら、アルミナ基板は、比誘電率が比較的大きいため、伝送信号の遅延を生じさせ、また熱膨張係数がシリコンに比べて大きいため、部品を搭載したときの温度変化に対する信頼性を確保するのが困難であるという問題がある。さらに、アルミナの焼成温度は約1600°Cと高いため、内層の配線として融点が高くかつ電気抵抗率の大きいWまたはMoを使用する必要があり、配線を微細にした場合に、配線の電気抵抗値が大きくなるという問題があった。
このため、Ag、Cu等の低抵抗配線材料と同時焼成を行うことができる低温焼成セラミックス基板の開発が進められている。その中でも、比誘電率が比較的小さいので伝送損失が小さく、かつ熱膨張率がシリコンに近いためにフリップチップ方式による搭載が可能なガラスセラミックス基板が注目されている。このガラスセラミックス基板に用いられるガラス材料としては、ホウ珪酸系ガラス、MgO−Al−SiO系ガラス、CaO−Al−SiO系ガラス等が挙げられ、通常、これらのガラス粉末に骨材を添加した原料を用いてガラスセラミックス基板が製造される。
また、このようなガラスセラミックス基板は、基板サイズを縮小し、搭載ボードへの搭載密度を向上させ、さらに電気特性を向上させるため、一般に、複数枚のガラスセラミックスのグリーンシートを積層および焼成してガラスセラミックス多層基板が製造される。
ところで、LSI等が高速になり、高密度になるにしたがい、セラミックス基板に搭載されるLSI等とセラミックス基板に形成された配線とのボンディング法は、従来のワイヤボンディング法からマルチチップ化や高密度な搭載に適したTAB(Tape Automated Bonding)方式またはフリップチップ方式が採用されるようになってきている。
したがって、ガラスセラミックス多層基板に対する要求も基板自身の物性のみでなく、高密度な搭載に対応することができるように基板の寸法や形状等についても精密な制御技術が必要となってきている。
このようなガラスセラミックス多層基板の寸法等の制御を行う方法として、下記の特許文献1には、ガラスセラミックスグリーンシートの積層体の表裏両面にセラミックスからなる剥離層を配置し、表裏両面から加圧しながら焼成した後、剥離層を除去する方法が開示されている。前記公報においては、焼結にともなう平面収縮が低減できることが記載されている。
しかしながら、その特許文献1に開示される方法では、ガラスセラミックスグリーンシートの積層体にキャビティ部(凹部)が形成されている場合、積層体両面に重ねるセラミックスの剥離層を介して加圧するとき、キャビティ部の空隙により圧力が伝達されないため、キャビティ部周辺が焼成時に変形を起こし、回路基板として実用不可能なものとなるおそれがある。
また、下記の特許文献2においては、キャビティ部を有するガラスセラミックス積層体の焼結方法が開示されている。この方法では、キャビティ部内にガラスセラミックス積層体よりも焼結温度の高い無機成分からなる成形体層を形成し、その直上部分にキャビティ部と同一体積のガラスセラミックス成形体を配置することにより、キャビティ部とキャビティ部以外の部分とを同じ体積比の積層構造にすることで、ガラスセラミックスグリーンシート全体の焼成時の収縮挙動を均一にしている。
しかしながら、一般に、ガラスセラミックス積層体には複数のキャビティ部が形成されており、このキャビティ部内に正確に無機成分からなる成形体を形成し、さらに、このキャビティ部直上の正しい位置にガラスセラミックス成形層を配置することは複雑な工程である。このため、この特許文献2に開示される方法では、製造工数が増大し、生産性が低下するという問題があった。
また、下記の特許文献3では、ガラスセラミックスのグリーンシート積層体のキャビティ部の内部に、Al粉末を主として含有するペーストを充填する方法が開示してある。この方法では、ペーストを充填した後に、グリーンシート積層体の上下両面に、Al粉末を主として含有するAlグリーンシート4および5を配置する。その後に、グリーンシート積層体の上下面に圧力を付加しながら焼成を行う。
このため、キャビティ部の内部に充填するAl粉末を含有するペーストの固形分比率をコントロールすることにより、焼成時にキャビティ部を含むガラスセラミックス積層体の全面において、均一な加圧力の負荷が可能となることが開示されている。
しかしながら、この特許文献3に記載の方法では、グリーンシート積層体を焼成後に、キャビティ部の内部に充填されたペーストが固まり、それを除去するためには、ブラスト処理などが必要となり、その作業が煩雑であるという課題を有する。また、キャビティ部の内部に充填されたペースト中の溶剤が、グリーンシート中に拡散し、シートの密度を変化させたり、シート間の剥離などを引きおこすおそれがある。
特表平5―503498号公報 特開平8―245268号公報 特開平11−177238号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、凹部(キャビティ部)を有するガラスセラミックス積層体の焼結時に、凹部周辺の変形を防ぎ、かつ製造工数を低減し、生産性を向上することができるガラスセラミックス基板の製造方法を提供することである。本発明の他の目的は、その製造方法により得られたガラスセラミック基板を利用して電子部品実装基板を製造する方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係るガラスセラミック基板の製造方法は、
ガラスセラミックスのグリーンシート積層体における少なくとも一方の表面に形成された凹部に、第1無機粉末を、粉末の状態で充填する工程と、
前記第1無機粉末が充填された凹部をカバーするように、前記グリーンシート積層体の表面に、支持板を配置した状態で、前記グリーンシート積層体を焼成する工程と、
焼成後に、前記支持板を前記グリーンシート積層体から剥がし、前記凹部から前記第1無機粉末を除去する工程と、を有する。
本発明に係るガラスセラミック基板の製造方法では、凹部が形成されたグリーンシート積層体の焼成時に、凹部には、第1無機粉末が充填されている。このために、キャビティ部周辺が焼成時に変形やクラックなどを起こすおそれが少なくなり、高精度な寸法でガラスセラミック基板を製造することができる。したがって、その後の工程において、たとえば凹部内にICチップなどの電子部品を実装するための自動作業が容易になる。
また、本発明では、凹部が形成されたグリーンシート積層体の焼成時に、凹部には、第1無機粉末が充填されているために、焼成時に凹部を含むグリーンシート積層体の全面において、均一な加圧力の付加が可能となる。したがって、均一な焼結反応が進行し、第1無機粉末除去後の凹部周辺の変形、割れを抑制することができ、凹部底部は十分に平坦となり、焼結時の水平方向の収縮を抑制することができ、良好な回路基板を得ることができる。
また、本発明では、グリーンシート積層体を焼成後には、たとえば凹部が形成された表面を下に向けるのみで、凹部から第1無機粉末が容易に脱落し、第1無機粉末を除去する作業がきわめて容易である。しかも本発明では、ペーストを凹部に充填するのではなく、粉末の状態で凹部に充填するために、ペースト中の溶剤が、グリーンシート中に拡散することもなく、シートの密度を変化させることも無いと共に、シート間の剥離などを引きおこすこともない。
すなわち、本発明の方法によれば、簡便な工程により寸法精度のよい回路基板を製造することができるので、製造工数を低減し、生産性を向上することができる。
好ましくは、前記支持板が、前記グリーンシート積層体の焼結温度よりも高い焼結温度を持つ無機成分を主成分とする成形板である。グリーンシート積層体の焼成時に、支持板が積層体に一体化しないようにするためである。
好ましくは、前記支持板が、多孔質板である。支持板が多孔板であると、グリーンシート積層体の焼成時に、グリーンシート積層体に含まれるバインダなどの有機成分を抜けやすくするためである。
好ましくは、前記支持板が、アルミナ、ムライト、ジルコニア、酸化シリコンの少なくともいずれかを主成分とする。このような材質の支持板であると、グリーンシート積層体の焼成時に、支持板が積層体に一体化せず、焼成後には容易に剥がれるからである。
本発明において、支持板は、上記の成分を含むグリーンシートであっても良いが、好ましくは、所定の剛性を持つ焼成後の平板であることが好ましい。ガラスセラミック基板となるグリーンシート積層体の焼成時に、この積層体が反り変形することなどを防止するためである。特に、ガラスセラミック基板となるグリーンシート積層体は、焼成時の収縮率が大きく、反りなどの変形が発生しやすいからである。
好ましくは、前記第1無機粉末が、前記グリーンシート積層体の焼結温度よりも高い焼結温度を持ち、前記グリーンシート積層体の焼成後に当該積層体から容易に脱落する材質である。焼成後の積層体の凹部から、第1無機粉末が容易に脱落することで、その除去作業が容易になる。
好ましくは、前記第1無機粉末が、BN(窒化ボロン),SiC(炭化シリコン),SiN(窒化シリコン),AlN(窒化アルミニウム)のうちの少なくとも一つを含み、特に好ましくは、BNが良い。これらは、グリーンシートとの反応性が無く、自己潤滑性があることから、焼成後に取り除きやすく、特に好ましい。特に、BNは、滑りやすく、取り除きやすく、再利用も容易であり、好ましい。アルミナ粉や石英粉などでは、再利用するためには、分級処理などが必要と考えられる。
好ましくは、前記支持板と前記グリーンシート積層体との間には、第2無機粉末が散布してある。焼成時にグリーンシート積層体と支持板との間の平面方向の滑りが良くないと、熱収縮の相違から、両者間に摩擦が生じる。このため、積層体の表面に形成してある電極層などの剥がれが生じるおそれがあるが、第2無機粉末が散布してあることで、滑りが良くなり、それを防止することができる。特に、支持板として、多孔板を用いる場合には、グリーンシート積層体と支持板との間の平面方向の摩擦が大きくなる傾向にあるが、第2無機粉末が散布してあることで、滑りが良くなるので好ましい。
第2無機粉末としては、特に限定されないが、好ましくは、第1無機粉末と同一種類である。第2無機粉末として第1無機粉末と同じものを用いることで、作業性が向上する。なお、第2無機粉末の平均粒径も、第1無機粉末と同じで良い。
好ましくは、前記グリーンシート積層体における積層方向の上下両面に、前記支持板を配置した後、前記グリーンシート積層体の上下面に圧力を付加しながら焼成を行う。焼成中において、グリーンシート積層体の上下面に圧力を付加することで、グリーンシート積層体の反りなどの変形を効果的に抑制することができる。
本発明において、ガラスセラミックスのグリーンシート積層体における少なくとも一方の表面に凹部を形成するための方法は、特に限定されず、たとえば以下の工程を含む方法が例示される。
すなわち、この方法は、
少なくとも一つのガラスセラミックスの第1グリーンシートを準備する工程と、
前記第1グリーンシートに表裏面を貫通する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔が形成された第1グリーンシートを他のグリーンシートに積層して、前記グリーンシート積層体を形成する工程とを有する。
本発明に係る製造方法により得られたガラスセラミック基板は、たとえばサーマルビア付き回路基板、エレクトロニクス用セラミックパッケージ、アンテナスイッチモジュール、トランシーバーモジュール、フロントエンドモジュール、レーザーダイオードモジュール、パワーアンプモジュール、SAWディプレクサーなどとして、そのまま用いても良い。あるいは、本発明に係る製造方法により得られたガラスセラミック基板は、その基板の表面に形成された一カ所以上の凹部に、ICチップやLSIチップ等の電子部品を組み込み、電子部品実装基板として用いても良い。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るガラスセラミック多層基板の概略断面図、
図2(A)および図2(B)はグリーンシートに貫通孔を形成する工程を説明する概略図、
図3(A)〜図3(D)は本発明の一実施形態に係るガラスセラミック多層基板の製造方法を示す概略図、
図4は図3(D)の後工程を示す概略図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るガラスセラミック多層基板2は、基板2の内部に、一層または複層の内部電極層4が配置してある。この多層基板2の表面には、1以上の凹部(キャビティ)6が形成してある。各凹部6には、たとえばICチップ10などの電子部品が実装され、電子部品実装基板が構成される。
図1に示すガラスセラミック多層基板2を製造するための製造方法を次に説明する。
図2(A)および図3(A)に示すように、本実施形態では、ガラスセラミック多層基板2の一部を構成することになる第1グリーンシート2aおよび第2グリーンシート2bを形成する。これらのグリーンシート2aおよび2bは、たとえば次のようにして製造される。
ガラスセラミックスの原料となるガラス粉末や骨材となるセラミックス粉末をボールミルに投入し、さらに粉砕用のボールと共に湿式媒(たとえばトルエン、アルコール)を添加し、適当な粒径になるように湿式混合粉砕を行う。これにより、ガラスセラミックスの原料粉末が得られる。
この後、前記の湿式媒を除去し、得られた原料粉末に、バインダ、分散剤、可塑剤、有機溶媒等を添加して湿式混合を行い、スラリーを調製する。次に、このスラリーを用いてドクターブレード法等により、ガラスセラミックスのグリーンシート2aおよび2bを作製する。
各グリーンシート2aまたは2bの厚みは、特に限定されないが、好ましくは20〜200μmである。
ガラスセラミックスのグリーンシート2aおよび2bは、ガラスセラミックスの原料粉末、有機溶媒、可塑剤およびバインダ等から構成される。ガラスセラミックスの原料粉末は、特に限定されないが、たとえばホウ珪酸系ガラス、MgO−Al−SiO系ガラス、CaO−Al−SiO系ガラス等の粉末と、Al等の骨材の粉末を混合したものである。ガラスセラミックスの原料粉末中のAl粉末などの骨材の含有割合は、特に限定されないが、たとえば50〜70重量%程度である。
有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、アルコール類等が挙げられ、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオキシルフタレート等が挙げられ、バインダとしては、例えばアクリル樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。
これらの混合割合は、ガラスセラミックスの原料粉末100重量部に対し、有機溶媒が20〜80重量部、可塑剤が1〜5重量部、バインダが5〜20重量部が好ましい。グリーンシートを形成するためのペーストは、十分に混練して粘度2000〜40000cpsのスラリーとされ、ドクターブレード法によってシート化される。
このようにして形成されたグリーンシート2aおよび2bは、少なくとも二層以上積層される。グリーンシートの積層前に、必要により、複数の所定位置に例えば直径0.3mm程度のビアホール等が形成され、グリーンシート上に配線用の導体ペーストを印刷し、ビアホール部分に導体ペーストを充填する。導体ペーストに含まれる導体成分としては、特に限定されないが、Ag、Cu、Au、Ag−Pd、Ag−Pt、Ag−Pd−Pt等が例示される。これらの導体ペーストにより形成される導体ペースト層が、焼成後に、図1に示す内部電極層4となる。導体ペースト層は、積層体2cの表面にも形成しても良く、スクリーン印刷法などで形成される。
本実施形態では、図2(A)および図2(B)に示すように、このようにして形成された単一層のグリーンシート2aまたはグリーンシートの予備積層体を、パンチ台20の上に置き、打ち抜き加工用パンチ22により、一つ以上の貫通孔6aを、単一層のグリーンシート2aまたはグリーンシートの予備積層体に形成する。貫通孔6aのサイズは、特に限定されないが、たとえば0.7〜2.0μm角程度である。なお、貫通孔6aは、その他の打ち抜き型やパンチングマシーン等を用いて形成しても良い。
次に、図3(A)に示すように、単一層のグリーンシート2aまたはグリーンシートの予備積層体を、別の単一層のグリーンシート2bまたはグリーンシートの予備積層体と積層し、ガラスセラミックスのグリーンシート積層体2cを得る。なお、グリーンシート積層体2cにおいては、グリーンシート2bの他に、さらに別のグリーンシートを積層しても良い。
積層時には、仮スタック圧力を印加する。仮スタック圧力は、グリーンシート相互が付着して積層される程度の圧力であれば良く、特に限定されないが、好ましくは1M〜10MPa程度である。また、仮スタック時には、40〜100°C程度の温度が印加されることが好ましい。
次に、貫通孔6aが形成してあるグリーンシート2aを、貫通孔6aが形成されていない別のグリーンシート2bに対して積層した結果として得られる凹部6内に、図3(B)に示すように、第1無機粉30を、粉の状態で充填する。充填する際には、凹部6から無機粉30が一部はみ出る程度に充填する。
第1無機粉としては、ガラスセラミックスの焼結温度では焼結しない無機粉が用いられ、特に限定されないが、たとえばAl(アルミナ)、AlN(窒化アルミニウム)、MgO(酸化マグネシウム)、ZrO(酸化ジルコン)、TiO2 (酸化チタン)、BeO(酸化ベリリウム)、BN(窒化ボロン)、SiC(炭化シリコン)、SiN(窒化シリコン)、3Al・2SiO(ムライト)等が挙げられる。
好ましくは、第1無機粉としては、BN,SiC,SiN,AlNのうちの少なくとも一つを含み、特に好ましくは、BNが良い。これらは、グリーンシートとの反応性が無く、自己潤滑性があることから、焼成後に取り除きやすく、特に好ましい。特に、BNは、滑りやすく、取り除きやすく、再利用も容易であり、好ましい。アルミナ粉や石英粉などでは、再利用するためには、分級処理などが必要と考えられる。
なお、第1無機粉末の平均粒径は、特に限定されず、好ましくは0.5〜20μm程度である。
次に、本実施形態では、図3(C)に示すように、プレス金型32を、グリーンシート積層体2cにおける積層方向の両面に配置し、本プレスを行う。本プレスに際しては、金型32を用いることなく、静水圧を利用した水圧プレスであっても良い。本プレスの加圧力は、特に限定されないが、好ましくは10〜200Pa程度である。本プレスに際しては、凹部6内に、無機粉30が充填された状態で行われ、無機粉30にも本プレス圧が作用する。
次に、図3(D)に示すように、プレス金型32を取り除き、代わりに、支持板40を、グリーンシート積層体2cにおける積層方向の両面に配置し、その状態で、焼成処理を行う。焼成条件は、グリーンシート積層体2cの材質にもよるが、たとえば空気中において、700〜1000°Cおよび0.5〜10時間の条件である。焼成は、たとえば電気式連続ベルト炉などの焼成炉で行われる。なお、導体ペーストがCuの場合は還元または中性雰囲気で焼成する。
焼成に際しては、支持板40の上から均一な荷重をかけ、積層体2cは、均一な圧力が作用した状態で焼結が行われるようにする。焼成に際して、積層体2cに印加されることが好ましい圧力としては、特に限定されないが、好ましくは50〜100000Paである。
支持板40としては、グリーンシート積層体2cの焼結温度よりも高い焼結温度を持つ無機成分を主成分とする成形板が用いられる。具体的には、支持板40は、アルミナ、ムライト、ジルコニア、酸化シリコンの少なくともいずれかを主成分とする多孔質板で構成される。支持板40が多孔板であると、グリーンシート積層体2cの焼成時に、グリーンシート積層体2cに含まれるバインダなどの有機成分が抜けやすくなる。
支持板は、上記の成分を含むグリーンシートであっても良いが、好ましくは、所定の剛性を持つ焼成後の平板であることが好ましい。ガラスセラミック基板となるグリーンシート積層体2cの焼成時に、この積層体が反り変形することなどを防止するためである。特に、ガラスセラミック基板となるグリーンシート積層体2cは、焼成時の収縮率が大きく、反りなどの変形が発生しやすいからである。
各支持板40の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.3〜5.0mmである。各支持板40の厚みが薄すぎると、焼成時におけるグリーンシート積層体の変形を抑制することが困難になる傾向にある。支持板40が厚すぎる場合には、取り扱い作業性が悪くなる傾向にある。
なお、支持板40を、グリーンシート積層体2cにおける積層方向の両面に配置する前には、支持板40の表面には、第2無機粉末を粉のままの状態で散布しておいても良い。あるいは、第2無機粉末は、グリーンシート積層体2cの両面に散布しておいても良い。第2無機粉末の材質および平均粒径は、第1無機粉末と同様なものでよい。
焼成後には、支持板40を取り除き、図4に示すように、積層体2cを焼結して得られたガラスセラミック多層基板2の凹部6を下に向けて、自由落下により、第1無機粉30を凹部6から脱落させればよい。なお、第1無機粉30を凹部6から脱落させやすいように、基板2に対して振動などを加えても良い。あるいは、微細なガラス粉末を吹き付けて処理するショットブラスト処理や、ブラッシング、真空吸引などの処理を行って、第1無機粉30を凹部6から除去しても良い。
本実施形態の方法によれば、凹部6が形成されたグリーンシート積層体2cの焼成時に、凹部6には、第1無機粉末30が充填されている。このために、凹部6周辺が焼成時に変形やクラックなどを起こすおそれが少なくなり、高精度な寸法でガラスセラミック基板2を製造することができる。したがって、その後の工程において、たとえば凹部6内にICチップなどの電子部品を実装するための自動作業が容易になる。
また、本実施形態では、凹部6が形成されたグリーンシート積層体2cの焼成時に、凹部6には、第1無機粉末30が充填されているために、焼成時に凹部6を含むグリーンシート積層体2cの全面において、均一な加圧力の付加が可能となる。したがって、均一な焼結反応が進行し、第1無機粉末30の除去後の凹部周辺の変形、割れを抑制することができ、凹部底部は十分に平坦となり、焼結時の水平方向の収縮を抑制することができ、良好な回路基板を得ることができる。
また、グリーンシート積層体2cを焼成後には、たとえば凹部6が形成された表面を下に向けるのみで、凹部6から第1無機粉末30が容易に脱落し、第1無機粉末30を除去する作業がきわめて容易である。しかも実施形態では、ペーストを凹部に充填するのではなく、粉末の状態で凹部に充填するために、ペースト中の溶剤が、グリーンシート中に拡散することもなく、シートの密度を変化させることも無いと共に、シート間の剥離などを引きおこすこともない。
すなわち、本実施形態の方法によれば、簡便な工程により寸法精度のよい回路基板を製造することができるので、製造工数を低減し、生産性を向上することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、グリーンシート積層体2cの表面に形成される凹部6は、単一ではなく、複数形成しても良く、しかも、積層体2cの裏面にも形成しても良い。
図1は本発明の一実施形態に係るガラスセラミック多層基板の概略断面図である。 図2(A)および図2(B)はグリーンシートに貫通孔を形成する工程を説明する概略図である。 図3(A)〜図3(D)は本発明の一実施形態に係るガラスセラミック多層基板の製造方法を示す概略図である。 図4は図3(D)の後工程を示す概略図である。
符号の説明
2… ガラスセラミック多層基板
2a… 第1グリーンシート
2b… 第2グリーンシート
2c… グリーンシート積層体
4… 内部電極層
6… 凹部
10… ICチップ
30… 第1無機粉末
40… 支持板

Claims (11)

  1. ガラスセラミックスのグリーンシート積層体における少なくとも一方の表面に形成された凹部に、第1無機粉末を、粉末の状態で充填する工程と、
    前記第1無機粉末が充填された凹部をカバーするように、前記グリーンシート積層体の表面に、焼成済みで剛性を持つ支持板を配置した状態で、前記グリーンシート積層体を焼成する工程と、
    焼成後に、前記支持板を前記グリーンシート積層体から剥がし、前記凹部から前記第1無機粉末を除去する工程と、を有するガラスセラミック基板の製造方法。
  2. 前記支持板が、前記グリーンシート積層体の焼結温度よりも高い焼結温度を持つ無機成分を主成分とする成形板である請求項1に記載のガラスセラミック基板の製造方法。
  3. 前記支持板が、多孔質板である請求項1または2に記載のガラスセラミック基板の製造方法。
  4. 前記支持板が、アルミナ、ムライト、ジルコニア、酸化シリコンの少なくともいずれかを主成分とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラスセラミック基板の製造方法。
  5. 前記第1無機粉末が、前記グリーンシート積層体の焼結温度よりも高い焼結温度を持ち、前記グリーンシート積層体の焼成後に当該積層体から容易に脱落する材質である請求項1〜3のいずれかに記載のガラスセラミック基板の製造方法。
  6. 前記第1無機粉末が、BN,SiC,SiN,AlNのうちの少なくとも一つを含む請求項1〜5のいずれかに記載のガラスセラミック基板の製造方法。
  7. 前記支持板と前記グリーンシート積層体との間には、第2無機粉末が散布してある請求項1〜6のいずれかに記載のガラスセラミック基板の製造方法。
  8. 前記第2無機粉末が、前記第1無機粉末と同一種類である請求項7に記載のガラスセラミック基板の製造方法。
  9. 少なくとも一つのガラスセラミックスの第1グリーンシートを準備する工程と、
    前記第1グリーンシートに表裏面を貫通する貫通孔を形成する工程と、
    前記貫通孔が形成された第1グリーンシートを他のグリーンシートに積層して、前記グリーンシート積層体を形成する工程とを有する請求項1〜8のいずれかに記載のガラスセラミック基板の製造方法。
  10. 前記グリーンシート積層体における積層方向の上下両面に、前記支持板を配置した後、前記グリーンシート積層体の上下面に圧力を付加しながら焼成を行う請求項1〜9のいずれかに記載のガラスセラミック基板の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のガラスセラミック基板の製造方法により得られたガラスセラミック基板の凹部に、電子部品を組み込むことを特徴とする電子部品実装基板の製造方法。
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