JPH05163072A - 多層セラミック焼結体の製造方法 - Google Patents

多層セラミック焼結体の製造方法

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JPH05163072A
JPH05163072A JP3107950A JP10795091A JPH05163072A JP H05163072 A JPH05163072 A JP H05163072A JP 3107950 A JP3107950 A JP 3107950A JP 10795091 A JP10795091 A JP 10795091A JP H05163072 A JPH05163072 A JP H05163072A
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multilayer ceramic
ceramic sintered
laminate
firing
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JP3107950A
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Hironori Kodama
弘則 児玉
Tadahiko Mitsuyoshi
忠彦 三吉
Satoru Ogiwara
覚 荻原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高寸法精度でハンドリング時の信頼性に優れる
多層セラミック焼結体を安価で容易に製造できる方法を
提供する。 【構成】一体化又は積層されたセラミック成形体を加熱
焼成して一体の多層セラミック焼結体を製造する際、焼
成中、外表面の一部に実質的にその表面の焼結収縮を生
じさせない範囲の加圧力及び/又は拘束力を加えると同
時に、材料に発生するクリープ量をコントロールして、
焼結体の加圧力及び/又は拘束力を加えない面(自由表
面)の焼成収縮量を補い、焼結体の最終外形形状をコン
トロールする。 【効果】多層セラミック焼結体の一部の表面寸法精度を
比較的簡単に向上でき、さらに得られる焼結体のハンド
リング性、特に機械的な信頼性を大幅に向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は積層セラミック焼結体に
係り、特に高寸法精度,高信頼性を確保できる多層セラ
ミック焼結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックスの多層化技術は、近年特に
電子産業部門において欠かすことのできない技術となっ
てきている。例えば、積層セラミックコンデンサ,圧電
素子等の電子セラミックデバイスの小型化,高性能化
や、半導体素子等の高密度実装に必須のセラミック多層
配線基板などへの技術が挙げられる。
【0003】現在、これらのセラミック焼結体は一般に
グリーンシート法とよばれる方法で作製されているが、
一般にセラミックスは焼結時に大きな焼成収縮を伴い、
更にこの収縮率は原料やプロセスのバラツキの影響を受
けやすいので、焼結後に得られる焼結体の寸法精度を高
く保つことは非常に難しい技術である。上記のようなセ
ラミックスの多層化技術には、焼結体に対しても高寸法
精度が要求され、特に多層配線回路基板として用いる場
合には、半導体チップを搭載し、チップとの接続を形成
しなければならないため、基板表面に形成する配線の位
置精度(表面の寸法精度)が高いことが要求される。更
にこれらのセラミック基板には、後工程でめっき、ピン
付けや薄膜層の形成等の作業が必要で、これらの作業工
程での機械的な信頼性なども重要な要件となってくる。
【0004】上記した多層のセラミック積層体の焼結方
法としては、積層体に何も荷重をかけない状態で焼成
(無加圧焼成)するのが一般的である。この方法は簡便
で、コストも安いというメリットがあるが、焼成収縮の
バラツキを避けられず、その表面寸法精度を高く安定さ
せることが非常に難しい。特に内部に複雑なパターンの
導体層を有するような場合には、その寸法精度の確保が
難しく、さらに反り,剥離,ふくれ等の発生も大きな問
題となる。
【0005】これらの問題に対して、例えば特開昭57
−32657 号公報,同62−5848号公報,同63−31754号公
報において、0.5〜20g/cm2 の範囲の小さな荷重
を焼成時に積層体に加える方法を開示している。これら
の方法では、積層体の焼成収縮を阻害しないで、焼結体
の反り,剥離,ふくれ等を低減させることができるが、
焼成収縮のバラツキをも同時に低減させることはできな
い。従って、高寸法精度を確保するための解決法とはな
っていない。
【0006】一方、例えば特開昭60−137884号公報で
は、焼結時の収縮を抑制するために、多層基板を25〜
50kg/cm2 の荷重をかけて焼結する方法が開示されて
いる。この方法では荷重が非常に大きいため、単に荷重
をかけるだけでは焼結体が大きくつぶれてしまい基板と
しての形状を保持できないことは明らかである。従って
寸法精度の良い焼結体を得るためには通常のホットプレ
ス法と同じく、焼成時に成形体の側面に枠等を設置し、
力が成形体の全面にかかるようにして焼成物のつぶれを
防止することが必須となる。しかしながら、このような
枠等を用いて焼成する場合には、焼成時に焼結体と枠と
の間にも大きな力が発生するため、焼結体と枠材とが反
応・固着して異物が生成したり、側面が不規則な形状と
なったりする。更にこれらを取り除くための研削加工が
必要となったり、枠材が使い捨てとなるためにコストや
作業性の面でも大きな問題があった。
【0007】本願発明者等の検討によれば、前記従来例
の中間の荷重領域に、焼結体のつぶれを防止しながら表
面の収縮を抑制できる範囲が存在することが確認され
た。しかしながら、上記表面の焼成収縮率をゼロに近く
限定しようとするにつれて、その条件を満たす荷重は非
常に狭い範囲に限定されてくることがわかった。従っ
て、この方法で表面の焼成寸法収縮率を制御するための
マージンはあまり大きくない。また上記条件を満たす範
囲では焼結体の加圧力を加えない面の形状が凹型となる
ため、その角部分が欠けやすい構造となっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来技
術では、無加圧若しくは低加圧力下で焼結する場合には
焼成収縮バラツキに伴う表面部分の寸法精度の低下が避
けられない。また大きな荷重をかけて焼結する場合に
は、つぶれを防止するために側面の拘束手段が必要で、
コストや作業性の面で問題があった。さらに前記の中間
の荷重領域で焼結する場合には、最適荷重範囲のマージ
ンが狭く、また側面の形状が凹型でその角部分が欠けや
すいという問題があった。
【0009】本発明は、高寸法精度でハンドリング時の
信頼性に優れる多層セラミック焼結体を安価で容易に製
造できる方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、一体化又は
積層されたセラミック成形体または積層体を加熱焼成し
て一体の多層セラミック焼結体を製造する際、焼成中、
外表面の一部に実質的にその表面の焼結収縮を生じさせ
ない範囲の加圧力及び/又は拘束力を加えると同時に、
材料に発生するクリープ(一定応力のもとでも時間とと
もに塑性変形が増加する現象)量をコントロールして、
焼結体の加圧力及び/又は拘束力を加えない面(自由表
面)の焼成収縮量を補い、焼結体の最終外形形状をコン
トロールすること、より具体的には自由表面の全体又は
一部を焼結体中心より外側に凸型に彎曲した形状とする
ことにより達成される。
【0011】
【作用】自由表面に適当な量の材料クリープを発生させ
る為の方法として、まず第1に外表面に焼結収縮を生じ
させない為に加える加圧力を同時に利用することができ
る。本発明においては、高寸法精度を要求される成形体
又は積層体の表面には、その焼成収縮を抑えるために焼
結時に成形体又は積層体の厚さに比例したある一定以上
の加圧力及び/又は拘束力が加えられる。このうち加圧
力により発生する表面収縮抑制力は、加圧される積層体
と加圧する側の材料との間に働く摩擦力によって生じる
ため、加圧力が大きくなるにつれて、その収縮抑制力も
大きくできる。図1に対向する2つの表面に加圧力を加
えながら焼成した場合の、加圧力と焼成寸法変化率(加
圧面,XY方向)との一般的な関係を示す。寸法変化
は、加圧力を加えた表面に形成されたパターンの位置、
及び焼結体のXY方向の最外寸法の変化率としてそれぞ
れ示してある。加圧力がゼロから大きくなるにつれて、
表面パターン寸法変化率,最外寸法変化率ともマイナス
の絶対値が小さくなり、ある加圧力で両方共ゼロとな
る。この範囲(図1中、Aで示す)では、焼結体の自由
表面は表面を拘束された面より焼結収縮が大きいため、
一般にはその形状が凹型となる。従って、焼結体のXY
方向の最外寸法は焼結体の加圧した表面部分の寸法で決
まる。一方、これよりさらに加圧力を大きくしていく
(図1中、Bで示す)と、最外寸法の変化率は収縮から
膨張側へ変化し、その値は加圧力の増加と共に大きくな
る。この状態は、すなわち焼結体の自由表面の焼結収縮
量より大きなクリープによる変化が生じ、自由表面の形
状が外側に凸型にわん曲した形状となっていることを示
している。このような状態は従来、焼結体のつぶれとし
てセラミック焼結体の製造、特に高精度を要求される用
途にはあまり利用されていなかった。しかしながら本願
発明者らの検討の中で、このような加圧力の大きな条件
下でも、加圧される積層体と加圧する側の材料との間に
働く摩擦力を最適化すれば表面パターン寸法変化率をあ
る加圧力範囲でゼロのまま保つことができることが見出
された。換言すれば、一部表面の寸法変化がゼロとなる
最低の加圧力を超える加圧力範囲を選ぶことにより、表
面寸法精度は非常に良く、且つ側面の形状は外に凸型の
機械的な信頼性の良い形状とできる。但し、加える加圧
力が大きすぎると焼結体が大きくつぶれて、焼結体内部
に形成した導体配線の形状,位置等が実用に適さない範
囲に変化したり、更には焼結体の形状自体が保持できな
くなってしまう。一般的には、外表面に焼結収縮を生じ
させない為に必要な加圧力の範囲と、自由表面に適当な
量の材料クリープを発生させる為に必要な加圧力の範囲
とが必ずしも一致するとは限らない。従ってこれらの条
件を満たすために、前述の加圧される積層体と加圧する
側の材料との間に働く摩擦力を最適化することが必要と
なる。これにより、外表面に焼結収縮を生じさせない為
に必要な加圧力の範囲を変更することができるので、外
表面に焼結収縮を生じさせず、かつ自由表面に適当な量
の材料クリープを発生できる加圧力の範囲を見出すこと
が可能となるのである。図2には、加圧される積層体と
加圧する側の材料との間に働く摩擦力を変えた場合の、
加圧力と焼成寸法変化率(加圧面,XY方向)との一般
的な関係を示す。また一般に必要な加圧力は、図3に示
すように焼結する積層体の厚さが厚くなるにつれて大き
くなる。このような加圧力条件は、材料の種類や、積層
体の厚さ,密度及び焼成条件等によって変化するが、一
般的には摩擦力を大きくした方が、最適な加圧力の範囲
を広く選ぶことができ、プロセスマージンが大きくでき
る。
【0012】自由表面に適当な量の材料クリープを発生
させる為の第2の方法として、外表面の一部には焼結収
縮を生じさせない為に表面拘束力を付与しながら、最適
なクリープの起こる焼成条件(温度,時間)を選ぶこと
ができる。拘束力はこれを加える面に平行な方向に発生
する力で、真空チャックや寸法安定性の基板との接合等
で与えることができる。更に加圧力も伴った形で与える
こともできる。この場合には、表面拘束力の条件を選ば
れた最適なクリープ条件下でも表面寸法精度を確保でき
るようにすればよい。但し、本方法のクリープの起こる
範囲では、クリープの起こらない範囲で表面収縮をゼロ
とできる拘束力より大きな拘束力を加えておくことが好
ましい。またプロセスマージンからも多少大きめの拘束
力を加えておくことが好ましい。この場合にも、上記最
適拘束力の条件は、材料の種類や、積層体の厚さ,密度
及び焼成条件等によって変化する。表面拘束力の範囲
は、100g/cm2以上、より好ましくは500g/cm2
以上で大きい方が好ましい。静摩擦係数の範囲は、0.
6以上、より好ましくは0.8以上が良い。但し、上記
範囲はその焼成条件,材料構成で変化するため、上記範
囲に限定されるものではない。
【0013】本発明において加圧力及び/又は拘束力を
加える面の焼結収縮を生じさせない、または寸法変化が
実質的にゼロとみなせる範囲は、焼結前の寸法に比べた
変化率で±1%以内、好ましくは±0.5% 以内と考え
ることができる。特に寸法精度に厳しい場合には、±
0.3% 以内とする必要のある場合も考えられる。尚、
上記成形体又は積層体の加圧力及び/又は拘束力を加え
る面は、成形体又は積層体の複数の面のうち最も面積の
大きな面が好ましい。換言すれば、厚さは、積層体の表
面の最大長さ、すなわち直方体の場合には表面の対角線
の長さよりも小さい方が好ましい。
【0014】以上のような方法により得られる、自由表
面の全体又は一部が焼結体中心より外側に凸型に彎曲し
た形状の焼結体では、自由表面が連続的な曲面で構成さ
れるのでカドがないこと、および焼結体の角部分の断面
角度、すなわち互いに稜を共有する2面の交差角度がい
ずれも鈍角となることから、得られた焼結体にめっき、
ピン付けや薄膜層の形成等の後工程作業を行う際の機械
的な信頼性が大幅に向上する。好ましい自由表面の形状
は、その適用する用途によっても異なるが、一般的には
わん曲部の平均の曲率半径が、自由表面の対向する辺間
の距離の1/4以上、より好ましくは1/2以上である
ことが望ましい。また、最終的に側面の少なくとも一部
が平面であることが必要な場合には、側面を切断,研削
等により加工することももちろん可能である。 加圧力
は通常、焼成中、常に多層セラミック積層体の上面に対
して垂直にかかることが望ましく、加圧力が常に垂直に
かかる様な構造を備えた荷重を積層体上に積載して加圧
力を付加することが好ましい。例えば、荷重が焼成中に
積層体の厚さ方向の収縮にともなって厚さ方向に移動す
る際、その方向を規定するピストン状の構造を備えたも
のなどが有効である。積層体に直接接する材料として
は、積層体の焼成温度域まで寸法安定性が高く、前述の
ように材料表面と積層体との間の摩擦力が大きい方が好
ましい。表面粗さ(Ra)の範囲は、積層体の材料及び
焼結体の用途によってその最適な範囲が異なるが、焼成
による収縮を効果的に抑えるためには1μm以上、好ま
しくは2μm以上がよい。また、加圧力を与える側に多
孔質体を用いることも有効である。この場合には、その
平均ポアサイズを0.5μm 以上、好ましくは1μm以
上とするとよい。また加圧力を加えながら焼成される積
層体の上下面に作用する摩擦力/又は拘束力は、必ずし
も上下で同じである必要はなく、このような場合には摩
擦力/又は拘束力の小さい方の面の収縮率の方が大きく
なり、上下面の面積が異なるので、側面の形状は厚さ方
向に非対称の曲面形状とすることもできる。高い寸法精
度を必要とする面が焼成収縮を抑えられていれば問題は
ない。加圧力及び/又は拘束力を加える面に焼成後加圧
側の材料が残る場合には、これを研削,ブラスト,薬品
処理等の手段により除去することも行われる。
【0015】スルーホール又はビアホールを形成する必
要のある積層セラミック焼結体では、一般に従来の無加
圧焼結法で焼成した場合、セラミックス部分と導体ペー
ストの焼成収縮特性、すなわち焼成収縮率,収縮量等を
厳密に一致させなければ、スルーホール又はビアホール
の周囲に剥離やクラックが生じたり、スルーホール又は
ビアホールの基板表面部分に凹凸が生じるという問題が
あった。ところが、本発明の方法によれば、セラミック
ス部分の物質移動が比較的容易になるので、導体ペース
トとの焼成収縮率や収縮量の差を焼成途中の段階におい
て十分に吸収できるようになる。このため、従来法で行
っていたようなセラミックス部分と導体ペーストとの焼
成収縮特性の厳密な一致は不要となるというメリットも
ある。
【0016】本発明の方法では、焼成する際、積層体の
側面を拘束するための枠等を用いる必要がなく側面が空
いているので、通常のホットプレス法に比べて積層体に
含まれる有機物の除去(脱バインダ)が容易になる。多
層セラミック積層体に比較的多量の有機物が含まれてい
る場合には、積層体の焼結温度において寸法安定で、且
つ多孔質の板状物を該積層体の上下面に配置して、これ
を介して圧力を加えながら焼結することにより、有機物
の加熱分解・燃焼成分を上下面からも容易に外部に排出
できるので、有機物の除去(脱バインダ)に有効であ
る。この場合に用いる多孔質体の気孔率は、加圧力以上
の強度を保てる範囲で、できるだけ大きい方が好まし
く、30〜90%が好適である。また、焼成過程におい
て、積層体の焼結収縮が未だ起こらず脱バインダの為の
加熱工程が終了する温度域までは加圧力及び/または拘
束力を加えずに焼成し、その後、前記力を加えてセラミ
ックス部分の焼結を行う方法も有効である。この場合、
最終的に得たい焼結体の寸法精度に応じて、脱バインダ
のための加熱工程で起こる寸法変化をコントロールしな
ければいけない。特に寸法変化率を実質的にゼロとした
い場合には、脱バインダのための加熱工程を焼結寸法変
化の起こらない温度範囲で行う必要がある。成形体また
は積層体の絶縁体層材料にガラスが含まれる場合には、
このガラス成分の軟化温度(粘度が4.5×107poi
seの時の温度)、より好ましくは屈服点(粘度が10
11poiseの時の温度)より低い温度で行うことが好
ましい。
【0017】本願発明の多層セラミック成形体または積
層体の焼成は、酸化性,不活性,還元性雰囲気中、もし
くは真空中のいずれか又はこれらを組み合わせて行うこ
とができる。耐酸化性の小さな導体材料が使用されてい
るような場合には、脱バインダの為、O2/H2O,N2
/H2O,N2/H2/H2O などの加湿した雰囲気ガス
中での焼成工程を含むことが好ましい。また必要に応じ
て、焼結体の高密度化や脱バインダ促進のために、大気
圧よりも大きなガス圧雰囲気中で焼成する工程を含むこ
とが好ましい。
【0018】本発明の方法には枠等を用いる必要がない
ことから、製造コスト,時間の低減というメリットがあ
る。また、複数個の多層セラミック積層体を多段に積み
重ねて、一括に焼成することも可能で、量産性の向上,
製造コストの低減にはより有効である。この場合には、
表面の平滑でない板や多孔質板を積層体間に挾んで多段
に積み重ね、これらの多段積層物の最下面と最上面との
間に加圧力を加えながら、一括で焼成を行うことができ
る。表面の平滑でない板は、その表面粗さ(Ra)が1
μm以上のものが好ましい。
【0019】本発明の方法によって得られる焼結体の表
面には、焼結体に直接接していた材料の表面状態がその
まま転写される。従って、制御された表面粗さを持つ材
料を加圧力を与える側に用いることによって、製作され
る焼結体の表面粗さを制御できるので、これにより後工
程で形成する薄膜部分との接着強度を改善することなど
も可能である。ただし、加圧力及び/または拘束力を付
与する側の材料が粗すぎて焼結体表面の凹凸があまり大
きくなると、後工程で形成する薄膜表面に基板の凹凸の
影響が出たり、基板表面に半導体チップ等の部品を搭載
する場合に接合不良が起こり、歩留まりが低下するとい
う問題が発生することがある。従って、加圧力及び/ま
たは拘束力を付与する側の材料の表面粗さは、通常の電
子材料用の用途に対しては、50μm以下、好ましくは
20μm以下が良い。あるいは上記材料に多孔質体を用
いる場合には、そのポアサイズが、50μm以下、好ま
しくは20μm以下が良い。表面が平滑であることが要
求される場合には、焼結後に研削等の方法により加工す
ればよい。また、積層体に直接接する加圧力及び/また
は拘束力を付与する側の材料を、最終的に得られる焼結
体の熱膨張係数より大きな熱膨張係数を有する材料とす
ることにより、焼結体表面に圧縮応力が残った焼結体を
作製でき、これにより焼結体の強度が向上できる。
【0020】本発明の方法を用いれば、セラミック絶縁
層と導体層とを有する成形体または積層体のセラミック
絶縁層部分を異なる種類のセラミック材料の組み合わせ
で構成した多層セラミック焼結体を精度良く作製するこ
とも可能となる。従来の方法では、このような場合、異
種セラミックス間の焼成収縮特性や熱膨張係数の違いに
より、焼結体の反り,剥離等が起こりやすく、また寸法
精度の制御もますます困難となっており、実際には各種
の組み合わせで多層セラミック焼結体を製造することは
不可能に近かった。しかしながら本発明の方法では、基
本的に成形体の焼成収縮がほとんど起こらないので、上
記のような問題を解消して良好な多層セラミック焼結体
を作製できる。例えば各種ノイズの低減等に好適な電子
機器実装用の多層基板を提供するために、低誘電率材料
から構成された多層セラミック積層体の内部や表面に高
誘電率材料からなる層を形成して同時に焼成することに
よりコンデンサを内蔵させた基板を作製する方法などに
対しても非常に有効な方法となる。この場合、コンデン
サとする材料としては、チタン酸バリウム,チタン酸鉛
系の高比誘電率材料が、また特に高周波領域で使用する
場合には比誘電率が多少低いが高周波特性の良好なマイ
クロ波誘電体材料、例えば比誘電率が20ないし200
前後の(Mg−Ca)TiO3 複合ペロブスカイト系,Ba
O−TiO2系,BaO−TiO2−WO3系,(Ba−Sr)
O−Sm23−TiO2 系を用いることが好ましい。更に
本発明の加圧力を印加する方法では、積層体の厚さ方向
の焼成収縮率が無加圧焼成時に比べて大きいので、焼結
体全体の厚さ及び各層の絶縁体厚さが通常の無加圧焼結
に比べて小さくできる。例えば、グリーンシート法で薄
い多層板を製造したい場合には、グリーンシート1層の
厚みを小さくすることもできるが、これでは途中プロセ
スでのシートのハンドリング性や寸法安定性が悪くなっ
てしまうといった問題が生じる。これに対して本発明の
方法であれば、従来通りのシートを用いて最終的な焼結
体の厚さを従来よりも薄くできる。また、特に上記のコ
ンデンサ内蔵基板や積層コンデンサチップ等を作製する
場合には、1層当たりの厚さが薄くなるので、容量の大
きなものが作製できるというメリットもある。コンデン
サを備えた基板としては、焼成した基板の上に後から小
型のチップコンデンサを取り付けたり、薄膜プロセスを
用いて、薄膜コンデンサを形成する方法でも作製するこ
とが可能で、この場合にも高い表面寸法精度を確保でき
る本発明の方法で焼成した基板が好適である。また成形
体または積層体を構成する複数の層のうち表面に近い絶
縁体層だけを他の絶縁体と異なる材料で構成した一体又
は積層された成形体または積層体とすることもできる。
この方法によれば、熱的,機械的に最も厳しい環境に置
かれる表面層を強化することが可能となる。また、前述
の脱バインダの為の加熱工程を加圧力及び/または拘束
力を加えずに行う場合において、脱バインダのための加
熱工程で表面部分の寸法変化が起こらないようにこの外
側部分の絶縁体層物質に含むガラス成分の軟化温度を、
他の内層部分に含まれるガラス成分の軟化温度より高く
しておくことも有効な手段である。またこの外側部分の
絶縁体層物質を、成形体または積層体の焼成温度におい
て実質的に焼結されない材料とすれば、加圧力及び/又
は拘束力を付与する物質との反応を抑えることができ、
さらに焼成後、これを簡単に除去することもできる。
【0021】さらに本発明の方法の応用として、セラミ
ック絶縁層と導体層とからなる一体又は積層された成形
体または積層体を構成する複数のセラミック絶縁層部分
の一部を焼成済み基板とすることができる。この焼成済
み基板は、成形体または積層体の最外層や内層部、また
は両方に配置することができる。また積層体の上下面の
両方若しくはどちらか一方でも良い。特に表面に複合す
る場合には、積層体の焼成温度で寸法安定性を有する焼
成済み基板を用いることが望ましい。本方法は、あらか
じめ積層体と焼成済み基板とを一体成形したものを加圧
力及び/または拘束力を加えながら焼成する方法のほか
に、未焼成の積層体と焼成済み基板とを積層し、焼成時
に一体化する方法も可能である。上記のような手法を用
いる際には、焼成済み基板と成形体または積層体を構成
する他の未焼成部分との境界部分の摩擦力が最適化され
ている必要がある。このためには複合化する焼結済み基
板の未焼成積層体部分に接する側の表面粗さを最適化す
ればよい。最適な焼成済み基板の表面粗さは、材料の種
類や、積層体の密度,形状及び焼成条件等によって変化
するが、ほぼ表面粗さ(Ra)を0.5μm 以上、好ま
しくは1μm以上とするのが良い。焼成済み基板を積層
体の最外層に配置する場合には、積層体の外側になる
面、すなわち積層体の未焼成部分と接しない面を、平滑
にすることができるので、後工程で薄膜を形成する必要
がある場合などには特に有効な方法である。また本方法
を多層配線回路基板に適用する場合には、表裏面間(ビ
ア)及び/又は表裏面の配線が形成された焼成済み基板
を用いて、同様な内層配線を形成した未焼成の多層セラ
ミック積層体部分と配線が互いに接続されるよう位置あ
わせして一体成形または積層して焼成する方法が有効で
ある。この場合、焼成済み基板に形成される表裏面間及
び/又は表裏面の配線が予め焼成されたものでも良い
し、複数の貫通穴を有する焼成済み基板に導体ペースト
を用いて表裏面間(ビア)及び/又は表裏面の配線を形
成した導体部分が未焼成のものでも良い。更には、焼成
済み基板に予め形成された複数の貫通穴に導体ブロック
を埋込む方法により表裏面間(ビア)の配線を形成する
方法も可能である。特にあらかじめ焼成された配線や導
体ブロックを含む上述の焼成済み基板の場合には、焼成
済み基板に形成される導体と成形体または積層体の焼成
済み基板以外の未焼成部分に形成される導体とを互いに
異なる材料とすることも有効となる。また、成形体また
は積層体の最外層に一体化又は積層する焼成済み基板に
予め複数の貫通穴を形成し、必要に応じて該焼成済み基
板の表面に導体ペーストを用いて配線を形成し、前記成
形体または積層体の焼成済み基板以外の未焼成部分に形
成された導体部分と位置合わせして積層した後、一括焼
成して表面に複数の凹部を形成する方法も以下の用途に
は好適である。焼結体の表面に形成された複数の凹部の
底部には導体部が配置されており、この凹部に半田等の
導体接合材料や導体ボール,導体ピン等を充填または挿
入して前記凹部底部の導体部との接続を形成する。これ
によれば、はんだの拡がりを凹部に限定できる、はんだ
高さを大きくできる、ピンの接合強度を向上できる等の
メリットが得られる。更に、高強度の焼成済み基板を用
いれば、焼成済み基板部分の強度をそれ以外の絶縁体部
分より大きくすることが容易にできるので、焼結体全体
の高強度化が図れる。特に焼成済み基板を多層焼結体の
最外層に配置すれば、その効果は大きい。前記の方法で
基板の強度を表面に配置した焼成済み基板部分で確保す
ることによって、内層部分にボイドを多く含む材料、一
般的に低強度の材料とすることも可能となる。この方法
によれば、内層部分の比誘電率を大幅に下げることがで
きるので特に高速信号伝送を必要とする多層回路基板等
の用途には好適である。内層部分にボイドを増やすに
は、焼結性の劣る材料組成を選ぶことのほかに、用いる
セラミック原料分の一部をシリカビーズ,アルミナビー
ズといった中空の粉末とする方法なども用いることがで
きる。この方法により焼結体の側面にボイドを多く含ん
だ面が露出する場合で特に高い信頼性を要求される用途
には、後工程で側面を低融点のガラスや金属材料、また
は有機物によりコーティングすることも行われる。一
方、熱伝導率の大きな材料からなる焼成済み基板を用い
ることにより、多層セラミック焼結体の熱伝導性を向上
させることもできる。高熱伝導性の基板としては、炭化
珪素,窒化アルミニウム,窒化ホウ素,ダイヤモンド等
を含む基板を用いることが好適である。この方法では、
焼成済み基板の積層面の面積を前記成形体または積層体
を構成する他の未焼成部分の積層面の面積と同じか、も
しくはより大きくすることが多くの場合好ましい。多層
セラミック焼結体から露出及び/又は突出した複数の高
熱伝導基板部分を、後工程により金属等の高熱伝導部材
により互いに連結すれば、実質的に全体が高熱伝導性を
有する焼結体とすることができる。また露出及び/又は
突出した高熱伝導基板の一部分を更に外部のヒートシン
ク等へ高熱伝導接続し、これを通して強制的に熱を放散
することもできる。この方法は、高熱伝導基板上に発熱
量の大きなLSIチップを複数個搭載した多層セラミッ
ク回路基板等の用途には特に有効である。内層部に焼成
済み基板を配置する場合で、焼成済み基板の配置の必要
性や、信頼性確保の面から焼成後完全に焼結体内部に埋
め込んだ形としたい場合などには、焼成済み基板の積層
面の面積を前記成形体または積層体を構成する他の未焼
成部分の積層面の面積より小さくすることが好ましい。
上記のように内部に焼成済み基板を配置する場合には、
多層セラミック積層体の表面ですでに全体の焼結収縮を
抑制する力を与えられているので、焼成済み基板の表面
粗さを特に大きくして表面の摩擦力を制御する必要はな
い。また上記の内蔵する焼成済み基板としては、コンデ
ンサ等の機能性部品であることが有効で、さらにチップ
コンデンサ,抵抗,コイル等の小型の部品を多数内蔵す
ることももちろん可能である。
【0022】セラミック焼結体の表面及び内部に形成さ
れる導体層を形成する材料としては、Cu,Ag,Au,
Ag/Pd,Ni,W,Mo,Pd,Ptまたはこれらの組み
合わせから選ばれる材料が好適である。上記組み合わせ
で選ばれる導体材料は、予め合金として用いても良い
し、印刷後、焼成中に反応して少なくとも一部に合金を
形成するものでも良い。また、焼成後でも実質的に互い
に反応せず、複合材として一体に存在するものでも良
い。これにより、導体材料として、焼成雰囲気,熱膨張
係数,電気伝導率(抵抗率)等を、広く選択できる。さ
らに成形体または積層体を構成する複数の導体層を異な
る材料で形成することもできる。特に積層体の絶縁体組
成が異なる場合には、それぞれの絶縁体に最適な組み合
わせの導体材料を選ぶことが好ましい。
【0023】セラミック絶縁材料としては、アルミナ,
ムライト,ジルコニア,窒化アルミニウム,窒化ホウ
素、またはこれらの混合物を主成分とするセラミックス
や、ホウケイ酸ガラス,アルミノケイ酸ガラス等の各種
ガラス,コージェライト,β−ユークリプタイト等の結
晶を含む結晶化ガラス、及びこれらとアルミナ,シリ
カ,ムライト,ジルコニア,マグネシア,シリコンカー
バイド,シリコンナイトライド,窒化アルミニウム,窒
化ホウ素,ダイヤモンド等のセラミックスフィラとの複
合材や、チタン酸バリウム,チタン酸鉛、その他の鉛を
含む複合ペロブスカイト化合物より主として構成される
コンデンサや圧電素子に好適な材料など、各種のセラミ
ックスを用いることができ、特に焼結時に液相を生成す
る組成とすることが好ましい。
【0024】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明するが、本発明
は以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】(実施例1)酸化物に換算してSiO2を6
5〜85重量%、B23を10〜30重量%、Al23
を1〜10重量%、アルカリ金属酸化物を10重量%以
下、その他を1重量%以下とする組成を有する平均粒径
2μmのホウケイ酸ガラス粉末75体積%と、平均粒径
1μmのアルミナ粉末25体積%とを混合し、更にこの
粉末にメタクリル酸系のバインダ,可塑剤及び溶剤を加
えて、ボールミルで24h湿式混合してスラリーを作製
した。次に、このスラリーを用いてドクターブレード法
によりグリーンシートを得た。これらのグリーンシート
に、パンチ法により100〜150μmφの穴をあけ、
これにCuの導体ペーストを充填してビアを形成した。
グリーンシート上にも、Cuのペーストを用いて配線を
印刷した。これらの各種の配線回路を印刷したグリーン
シートを50枚積層して、100℃,100kg/cm2
条件で加熱圧着し、配線が三次元状に形成された多層セ
ラミック積層体を作製した。得られた積層体の厚さは、
約14mmだった。
【0026】この積層体は、アルミナ質の多孔質板(気
孔率約70%,平均気孔径10μm)で上下面を挾み、
更にその上から0〜2400kg/cm2 の加圧力をそれぞ
れ加えながら、非酸化性雰囲気中、950℃で1時間焼
成した。室温から約600℃の温度までは、100℃/
h以下のゆっくりした速度で昇温を行ない脱バインダを
十分に行った。
【0027】図4に、加圧力と加圧面、すなわちXY方
向およびこれに垂直な方向、Z方向の焼成寸法変化率と
の関係を示す。XY方向の寸法変化は、加圧力を加えた
表面に形成されたパターンの位置、及び焼結体の最外寸
法の変化率をそれぞれ示してある。多層セラミック焼結
体の加圧する表面層のX,Y方向平均寸法変化率は約1
100g/cm2 の加圧力を加えた場合にゼロとなること
がわかる。またこの時のZ方向の収縮率は約45%だっ
た。しかしながらこの加圧力では、まだ焼結体の加圧し
ない面の焼結収縮量がクリープ量より大きいため形状が
わずかに凹型となっている。これよりさらに加圧力を大
きくしていくと、最外寸法の変化率は収縮から膨張側へ
変化する。まず加圧力が僅かに大きくなった時点では、
自由表面の加圧面に近い部分のみが凸型となった。さら
に加圧力を増加すると、自由表面の形状は全体が外側に
凸型にわん曲した形状となった。しかも本実験条件にお
いて、この自由表面の少なくとも一部が凸型となる加圧
力範囲でも表面パターン寸法変化率をゼロのまま保つこ
とができることが見出された。但し、加える加圧力が約
2000g/cm2 を超えると焼結体が大きくつぶれてし
まい(Z方向収縮率60%以上)、焼結体内部に形成し
た導体配線の形状,位置等が実用上問題の出る範囲にま
で変化した。本実施例で、自由表面のわん曲度合いを平
均曲率半径で2mm以上とする加圧力の範囲は1200
〜2000g/cm2 であった。
【0028】次にグリーンシートの積層数を変えて厚さ
の異なる積層体を作製し、種々の加圧力による焼成収縮
率、焼結体形状を調べた。焼結によるX,Y方向の平均
収縮率を実質的にゼロとし、側面形状を外側にわん曲し
た形状とできる最適な加圧力の範囲を積層体の厚さとの
関係で図5に斜線で示した。最適な加圧力の範囲は、積
層体厚さが厚い方が多少狭くなる傾向がみられたが、全
般に比較的広い範囲で確保できており、プロセス管理上
非常に有利な方法であることが確認できた。
【0029】なお、本実施例で1000g/cm2 を超え
る加圧力を加えながら焼成したサンプルでは、前記アル
ミナ質の多孔質板の一部がサンプル表面に残留する場合
があった。しかしながらこの場合には、サンプル表面を
軽く研磨するかブラスト処理することにより、表面パタ
ーンを損傷することなく前記残留物を取り除くことがで
きた。
【0030】(実施例2)酸化物に換算してSiO2を7
5〜85重量%、B23を10〜30重量%、Al23
を1〜10重量%、アルカリ金属酸化物を10重量%以
下、アルカリ土類金属酸化物を5重量%以下とする組成
を有する平均粒径4μmのホウケイ酸ガラス粉末65体
積%と、平均粒径3μmのアルミナ粉末35体積%の混
合粉末にアクリル樹脂系のバインダ及び可塑剤,溶剤を
加えて、ボールミルで24h湿式混合してスラリーを作
製した。以下、実施例1と同じ方法でグリーンシートと
し、これにCu導体ペーストを用いて印刷法により配線
を形成し、これらのグリーンシートを30枚積層した積
層体を作製した。この積層体を、積層体に重量の殆どか
からない耐熱性の減圧チャック装置で挾み、表面を拘束
しながら加湿窒素中、900℃から1200℃の温度で
2時間焼成した。途中、室温から約600℃の温度まで
は、50℃/h以下の非常にゆっくりした速度で昇温を
行った。焼成中、自由表面(側面)から拘束した表面を
通り、さらにチャック穴へのガス流により脱バインダを
十分に行った。この様子を図6に示す。
【0031】図7には、得られた焼結体の最外寸法変化
率と焼成温度との関係を示す。焼成温度が970℃を超
えると側面のクリープによる変化量が大きくなり、凸型
になり、最外寸法もこれに対応して増加するようにな
る。焼成温度が1150℃を超えると、Z方向の変化率
が60%を超え、つぶれ始める。
【0032】(実施例3)酸化物に換算してMgOを0.
05〜25重量%、CaOを0〜25重量%、Al23
10〜35重量%、B23を20〜60重量%、SiO
2 を0〜25重量%、アルカリ金属酸化物を0〜5重量
%、ZnOを0〜5重量%、PbOを0〜20重量%と
し、総量100%となる様に選んだ結晶化ガラス組成の
ガラス粉末(平均粒径3μm)75体積%と、平均粒径
2μmのアルミナ粉末25体積%を混合し、更にこの粉
末に水溶性のアクリル系バインダ及び可塑剤、分散剤,
消泡剤及び水を含む溶剤を加えて、ボールミルで24h
湿式混合してスラリーを作製した。実施例1と同様に、
グリーンシートを作製し、Agの導体ペーストを用い
て、ビア及びグリーンシート上に配線回路や電極層を形
成した。更に積層体の最表部に配置する層には、Auの
導体ペーストを用いて、ビア及びグリーンシート上に配
線回路や電極層を形成した。これら各種の配線回路を印
刷したグリーンシートを90枚積層して加熱圧着し、配
線が三次元状に形成された多層セラミック積層体を作製
した。得られた積層体の厚さは、約20mmだった。
【0033】この積層体を、アルミナ質の多孔質板上に
載置し、上面にもアルミナ質の多孔質板を置き、更にそ
の上から4000g/cm2 の加圧力を加えながら、大気
中で室温から約600℃の温度まで、50℃/h以下の
ゆっくりした速度で昇温を行い脱バインダを十分に行っ
た。その後、引き続き大気中、950℃において0.5時
間緻密化のための焼成を行った後、800℃において3
時間、結晶化処理を行なった。得られた多層セラミック
焼結体の、表面層X,Y方向の平均収縮率はゼロで、側
面は凸型だった。
【0034】(実施例4)ムライト(3Al23・2Si
2 :平均粒径3μm)70〜80重量%と焼結助剤と
してのSiO220〜30重量%、Al230.3〜10重
量%、MgO0.3〜2重量%で、総量を100%とした
混合粉末にPVB,可塑剤及び溶剤を加えて、ボールミ
ルで24h湿式混合してスラリーを作製した。実施例1
と同様な方法でグリーンシートを作製し、Wの導体ペー
ストを用いて、ビア及びグリーンシート上に配線回路や
電極層を形成した。これらの各種の配線回路を印刷した
グリーンシートを多数枚積層して加熱圧着し、配線が三
次元状に形成された多層セラミック積層体を作製した。
この積層体を表面粗さ(Ra)が約2μmの窒化硼素板
に載置して、あらかじめ約800℃の温度まで100℃
/h以下のゆっくりした速度で昇温し、脱バインダを十
分に行った。この段階では、積層体の収縮は起こってい
なかった。その後、敷き板と同じ表面粗さ約2μmの窒
化硼素板を積層体の上面にも積載して、更にその上から
加圧力を加えながら、窒素,水素,水蒸気の混合気流中
で、1670℃で5時間焼成した。
【0035】上記の方法で、シートの積層数を変えた厚
さの異なる積層体を作製し、種々の加圧力による焼成収
縮率を調べた。焼結によるX,Y方向の平均収縮率を実
質的にゼロとし、側面の形状を外側にわん曲した形状と
できる最適な加圧力の範囲を積層体の厚さとの関係で図
8に斜線で示した。
【0036】なお、本実施例で焼成したサンプルでは、
前記BN板は全くサンプルと反応せず、従ってサンプル
表面はBN板の凹凸パターンを完全に転写していた。
【0037】(実施例5)酸化物に換算してSiO2を6
5〜85重量%、B23を10〜30重量%、Al23
を1〜10重量%、アルカリ金属酸化物を10重量%以
下、その他を1重量%以下の組成として有する平均粒径
2μmのホウケイ酸ガラス粉末60体積%と、平均粒径
1μmのアルミナ粉末20体積%,および平均粒径2μ
mのムライト粉末20体積%とを混合し、更にこの粉末
に水溶性のアクリル系バインダ及び可塑剤,分散剤,消
泡剤及び水を含む溶剤を加えて、ボールミルで24h湿
式混合してスラリーを作製した。以下、実施例1と同じ
方法でグリーンシートとし、これにCu導体ペーストを
用いて印刷法により配線を形成し、これらのグリーンシ
ートを40枚積層した積層体を2個作製した。この積層
体をそれぞれアルミナ質の多孔質板(気孔率約50%,
平均気孔径8μm,熱膨張係数7×10-6/℃)および
ムライト質の多孔質板(気孔率約40%,平均気孔径5
μm,熱膨張係数4×10-6/℃)で上下面を挾み、更
にその上から3500kg/cm2 の加圧力をそれぞれ加え
ながら、窒素,水素,水蒸気の混合気流中、950℃で
2時間焼成した。但し、室温から約650℃の温度まで
は、100℃/h以下のゆっくりした速度で昇温を行な
い、さらにガス雰囲気圧力を大気圧より高くして加湿ガ
スの積層体内部への拡散を促進することにより脱バイン
ダを十分に行った。
【0038】上記により得られた焼結体の曲げ強度を、
前記多孔質板に接して焼成された面に最大張力がかかる
方向で測定したところ、アルミナ質の多孔質板を用いた
焼結体の方が大きな強度が得られた。これはアルミナ質
多孔質板の熱膨張係数が、得られた焼結体の熱膨張係数
(3.8×10-6/℃)より大きく、焼結終了後の冷却
課程で焼結体表面に圧縮応力を発生させているためと考
えられる。
【0039】(実施例6)アルミナ粉末の平均粒径を2
μmとする以外は、実施例1で用いたのと同じ方法でグ
リーンシートを作製し、これにAg−Pd導体ペーストを
用いて印刷法により配線を形成し、これらのグリーンシ
ートを20枚積層した積層体を4個作製した。これらの
積層体の間にアルミナ質の多孔質板を挾み、更に最上下
面にもアルミナ質の多孔質板を配置して、その上から3
00g/cm2 の加圧力を加えながら、大気中、950℃
で2時間焼成した。途中、室温から約600℃の温度ま
では、50℃/h以下のゆっくりした速度で昇温を行
い、脱バインダを十分に行った。多層セラミック焼結体
表面層のX,Y方向平均寸法変化率は、いずれも±0.5
%以内で、側面は凸型曲面形状をしていた。得られた焼
結体の落下試験においてもカド部分の欠け等の問題は発
生しなかった。
【0040】(実施例7)ムライト(3Al23・2Si
2 :平均粒径3μm)70〜80重量%と焼結助剤と
してのSiO220〜30重量%、Al230.3〜10重
量%、MgO0.3〜2重量%で、総量を100%とした
混合粉末にPVB,可塑剤及び溶剤を加えて、ボールミ
ルで24h湿式混合してスラリーを作製した。さらにこ
れを用いて実施例1と同様な方法でグリーンシートを作
製した。一方、上述のムライト粉末のみ(焼結助剤を添
加しない)、アルミナ粉末(平均粒径1μm)、窒化ホ
ウ素粉末(平均粒径2μm)の3種類の粉末にそれぞれ
PVB,可塑剤及び溶剤を加えて、ボールミルで24h
湿式混合して3種類のスラリーを作製した。これらも実
施例1と同様な方法でそれぞれのグリーンシートを作製
した。上述の焼結助剤を添加したグリーンシートにはW
の導体ペーストを用いて、ビア及びグリーンシート上の
配線回路や電極層を形成し、これらの各種の配線回路を
印刷したグリーンシートを位置合わせしながら多数枚積
層した。さらに前記積層体の最上下面に、上述の焼結助
剤を添加していないムライト,アルミナ,窒化ホウ素の
グリーンシートをそれぞれ配置して、全体を一括で加熱
圧着し、配線が三次元状に形成された多層セラミック積
層体を3個作製した。これらの積層体は表面粗さ(R
a)が約1μmの2枚の炭化ケイ素板で挾んで、その上
から加圧力を加えながら窒素,水素,水蒸気の混合気流
中で、1650℃で2時間焼成した。途中約1200℃
の温度まで100℃/h以下のゆっくりした速度で昇温
し、脱バインダを十分に行った。
【0041】上記の方法では、焼成したサンプルと前記
炭化ケイ素板との固着は起こらなかった。サンプル表面
層は未焼成のまま残っており、この部分は軽く研磨する
ことで簡単に除去でき、研磨後の表面もフラットで比較
的平滑であった。一部のサンプルついては、更に表面を
平滑に研磨処理した後、ポリイミドの薄膜配線層を形成
し、LSIチップを多数個搭載して、マルチチップモジ
ュールを構成した。
【0042】(実施例8)実施例1と同様のホウケイ酸
ガラスとアルミナフィラーの複合材のグリーンシート、
及び低温焼結が可能なPb(Mg1/3Nb2/3)O3−Pb(Zn1
/3Nb2/3)O3系高誘電率材料のグリーンシートを作製し
た。これらのグリーンシートに、パンチ法により100
〜150μmφの穴をあけ、これにAgの導体ペースト
を充填してビアを形成した。ホウケイ酸ガラス/アルミ
ナフィラー複合材のグリーンシート上にはさらにAgの
ペーストを用いて配線を印刷した。
【0043】Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−Pb(Zn1/3Nb
2/3)O3系高誘電率材料のグリーンシート上には高容量
のコンデンサを形成すべく電極部を印刷形成した。これ
らの各種の配線回路,電極層を印刷したグリーンシート
を10枚積層して、100℃,100kg/cm2 の条件で
加熱圧着し、スルーホール配線及びコンデンサ部が形成
された多層セラミック積層体を作製した。得られた積層
体の厚さは、約1mmだった。
【0044】この積層体は、アルミナ質の多孔質板で上
下面を挾み、更にその上から450g/cm2 の加圧力を
加えながら、大気中において950℃で0.5 時間焼成
した。室温から約600℃の温度までは、100℃/h
以下のゆっくりした速度で昇温し、脱バインダを十分に
行った。焼結された基板は、LSIチップキャリアとし
て高密度に配置して使用するため、側面端部を一部分研
削加工により削除した。
【0045】得られた基板を−55℃〜150℃,1サ
イクル/hの条件で温度サイクル試験を行ったが、10
00サイクル経過後でも全くクラック等の発生は認めら
れなかった。さらに本実施例で得られたコンデンサ内蔵
基板の表面に微小半田ボールを用いたCCB法によりL
SIチップを搭載した。この場合、得られた基板には反
りやスルーホール部の凹凸が全くなく、且つスルーホー
ルの表面位置精度が良いため、LSIチップとの接合及
び導通で、歩留まりが非常に向上できた。
【0046】(実施例9)酸化物に換算してSiO2を6
5〜85重量%、B23を10〜30重量%、Al23
を1〜10重量%、アルカリ金属酸化物を10重量%以
下、その他を5重量%以下の組成として有する2種類の
軟化温度の異なる(800℃,900℃)ホウケイ酸ガラ
スを作製した。これらを平均粒径2μmまで粉砕した2
種類のガラス粉末それぞれ75体積%と、平均粒径1μ
mのアルミナ粉末25体積%とを混合し、更にこの粉末
に水溶性のアセタール系バインダ及び可塑剤,分散剤,
消泡剤及び水を含む溶剤を加えて、ボールミルで24h
湿式混合してスラリーを作製した。実施例1と同様に、
それぞれのグリーンシートを作製し、Cuの導体ペース
トを用いて、ビア及びグリーンシート上に配線回路や電
極層を形成した。これらの各種の配線回路を印刷したグ
リーンシートを位置合わせしながら60枚積層した。こ
の際、前記積層体のうちの上下面各2層ずつに、上述の
軟化温度の高い方のガラスを用いて作製し配線回路を形
成したグリーンシートをそれぞれ配置した。これを一括
で加熱圧着し、配線が三次元状に形成された多層セラミ
ック積層体とした。この積層体をアルミナ質の多孔質板
(気孔率約70%,平均気孔径15μm)上に載置し
て、あらかじめ約650℃の温度まで50℃/h以下の
ゆっくりした速度で昇温し、脱バインダを十分に行っ
た。この段階では、積層体の表面パターンの収縮は全く
起こっていなかった。その後、敷き板と同じ多孔質板を
積層体の上面にも積載し、更にその上から加圧力を加え
ながら、窒素,水素,水蒸気の混合気流中、950℃で
2時間焼成した。残留カーボン量の非常に少ない良好な
基板が得られた。
【0047】(実施例10)実施例2と同様のホウケイ
酸ガラスとアルミナフィラーの複合粉末に水溶性のアク
リル系バインダ及び可塑剤,分散剤,消泡剤及び水を含
む溶剤を加えて、ボールミルで24h湿式混合してスラ
リーを作製した。実施例2と同様に、グリーンシートを
作製し、金属としてCu60vol%とW40vol%
との混合粉末を含む導体ペーストを用いてビア及びグリ
ーンシート上に配線回路や電極層を形成した。前記各種
の配線回路を印刷したグリーンシートを50枚積層し、
これらの配線が三次元状に互いに接続されるよう位置合
わせして加熱圧着して多層セラミック積層体を作製し
た。この積層体を窒素,水素,水蒸気の混合気流中で約
600℃の温度まで、50℃/h以下のゆっくりした速
度で昇温を行ない脱バインダを十分に行った。
【0048】一方、Wのビア及び表面配線導体が寸法精
度良く形成された高強度のムライト焼結済み基板を2枚
準備した。この基板を前述の脱バインダが終了した積層
体の上下面に配線が三次元状に互いに接続されるよう位
置合わせをして配置し、ムライト基板面から約200g
/cm2 の加圧力を加えながら、非酸化性雰囲気中、95
0℃で2時間焼成した。前記焼成済み基板の表面粗さ
(Ra)は、積層体に接する面が約1μm、表面に露出
する面が約0.3μm である。又、その積層面サイズは
未焼成の積層体部分の面積と同じとした。
【0049】得られた多層セラミック焼結体は、完全に
一体化しており、その側面はムライト焼成済み基板以外
の部分がわずかに凸型となっていた。CuとWの混合ペ
ーストを用いた導体部は、焼成により、CuがWの周囲
を充分に濡らすため、非常に緻密であり、さらにCuと
Wとは反応しないため、Cuのマトリクス中にWが均一
に分散複合した状態の一体の導体部となっていた。ま
た、CuとWの複合導体は熱膨張係数が小さくなるた
め、表面層のW導体部及びセラミック部がともに信頼性
が高く一体化される。本実施例の焼結体では無加圧焼成
した物に比べて、強度が約280MPaで、ムライト焼
成済み基板を複合化しない場合に比べて大きく向上し
た。
【0050】(実施例11)酸化物に換算してSiO2
65〜85重量%、B23を10〜30重量%、Al2
3を1〜10重量%、アルカリ金属酸化物を10重量
%以下、その他を1重量%以下の組成として有する平均
粒径2μmのホウケイ酸ガラス粉末50体積%、平均粒
径1μmのアルミナ粉末25体積%および平均粒径1μ
mのシリカ粉末25体積%を混合し、更にこの粉末にメ
タクリル酸系のバインダ,可塑剤及び溶剤を加えて、ボ
ールミルで24h湿式混合してスラリーを作製した。実
施例1と同様の方法でグリーンシートを作製し、これに
Cuの導体ペーストを用いて、ビア及びグリーンシート
上に配線回路や電極層を形成した。一方、多数のビアを
レーザーにて形成し、これらにWの微細ブロックが充填
された高熱伝導性SiC基板を2枚準備した。前記各種
の配線回路を印刷したグリーンシートを30枚積層し、
さらにそれらの最上下面に前記SiC基板を配置して、
これらの配線が三次元状に互いに接続されるよう位置合
わせして加熱圧着して多層セラミック積層体を作製し
た。前記焼成済み基板の表面粗さ(Ra)は、積層体に
接する面が約2μm、表面に露出する面が約0.1μm
としてある。又、その積層面のサイズは未焼成の積層体
部分の面積より大きい。この積層体に前記SiC基板面
から約300g/cm2 の加圧力を加えながら、非酸化性
雰囲気中、900℃で2時間焼成した。室温から約60
0℃の温度までは、50℃/h以下のゆっくりした速度
で昇温を行い脱バインダを十分に行った。焼結時に、S
iC基板以外の部分に形成されたCu配線の一部が表面
のWブロック部分に濡れ拡がり、SiC基板にあけたビ
アとWブロック間にあった焼結前の微小な隙間は完全に
封着されていた。得られた多層セラミック基板のSiC
基板以外の部分は、側面が外に凸型となっていた。さら
にこの部分は材料自体が低誘電率材料である上に、密度
が約85%と比較的低いために比誘電率が3.7 と非常
に小さく、高速伝送を必要とする基板として非常に有利
である。多層基板全体の強度は表面に複合化されている
高強度のSiC基板で確保されているので、実用上はま
ったく問題がなかった。またLSIチップを搭載し動作
させた場合、チップの発熱を多層基板側の高熱伝導Si
Cに拡散できるので、熱放散性も向上する。
【0051】更にこの基板を高い信頼性が要求される超
大型計算機などの多層回路基板として用いようとする場
合には、側面に露出している低密度部分を気密封止し
て、更に信頼性を向上させることができる。このための
方法としても本実施例は、非常に好適であった。すなわ
ち得られた焼結体の上記2枚のSiC基板と焼結された
ガラス部分で囲まれたくぼみの部分に、更に前記焼成温
度より低い温度で軟化し、焼結できるガラスペーストを
充填し、低温焼成することにより簡単に気密封止が完了
する。図9に、本実施例で得られる多層回路基板の概念
的な断面図を示す。図中では焼結体中央部のガラス/セ
ラミックス複合材部分に形成されている配線は省略して
ある。
【0052】(実施例12)酸化物に換算してSiO2
75〜85重量%、B23を10〜30重量%、Al2
3 を1〜10重量%、アルカリ金属酸化物を10重量%
以下、アルカリ土類金属酸化物を5重量%以下の組成と
して有する平均粒径4μmのホウケイ酸ガラス粉末65
体積%、平均粒径3μmのアルミナ粉末15体積%およ
び平均粒径10μmの中空シリカビーズ20体積%の混
合粉末にアクリル樹脂系のバインダ及び可塑剤,溶剤を
加えて、ボールミルで24h湿式混合してスラリーを作
製した。以下、実施例1と同じ方法でグリーンシートと
し、これにCu導体ペーストを用いて、ビア及びグリー
ンシート上に配線回路や電極層を形成した。一方、多数
のビアを電子ビームを用いて高位置精度で形成した高熱
伝導性窒化アルミニウム焼結基板を3枚準備した。これ
ら焼成済み基板にもCu導体ペーストを用いて、ビア及
びグリーンシート上に配線回路や電極層を形成した。但
し、ここで用いたCuペーストは、前記のグリーンシー
トに対して用いたペーストよりCu粒子の充填率が大き
いものを用いた。これらのグリーンシート50枚とAl
N焼成済み基板3枚を、AlN基板が最終的な積層体の
最上下面及び中央層に配置され、さらに配線が三次元状
に互いに接続されるよう位置合わせして積層後、加熱圧
着して一体の多層セラミック積層体を作製した。前記A
lN基板の表面粗さ(Ra)は、積層体に接する面が約
1μm、表面に露出する面が約0.5μmとしてある。
さらに最上下面に配置されるAlN基板の積層面のサイ
ズは未焼成の積層体部分の面積より大きく、中央部に配
置されるAlN基板のサイズは未焼成の積層体部分の面
積と同じとした。この積層体に前記AlN基板面から約
500g/cm2 の加圧力を加えながら、非酸化性雰囲気
中、970℃で2時間焼成した。室温から約600℃の
温度までは、50℃/h以下のゆっくりした速度で昇温
を行い脱バインダを十分に行った。
【0053】得られた多層セラミック基板のAlN基板
以外の部分は、側面が外に凸型となっていた。さらにこ
の部分は比誘電率が3.9 と非常に小さく、高速伝送を
必要とする基板として非常に有利である。多層基板全体
の強度は表面に複合化されているAlN基板で確保され
ているので、実用上はまったく問題がなかった。更にこ
の多層基板全体の熱伝導を良くするために、上記最外層
の2枚のAlN基板と焼結されたガラス部分で囲まれた
側面のくぼみの部分に、はんだペーストを充填し、低温
で焼成することにより3枚の高熱伝導AlN基板を結合
し、熱のパスを形成する。これにより、LSIチップを
片側表面に搭載し動作させた場合、チップの発熱を多層
基板表面のAlN基板と、多層基板側面に形成されたは
んだとを通して多層基板の全体に拡散できるので、熱放
散性が飛躍的に向上する。図10に、本実施例で得られ
る多層回路基板の断面図を示す。図中では得られた多層
基板の内部に形成されている配線は省略してある。
【0054】(実施例13)BaTiO3系高誘電率材料
のグリーンシートを作製し、これにPtの導体ペースト
を用いてビア及び電極部を印刷形成した。これらを複数
枚積層、焼成して、複数のスルーホール配線及びコンデ
ンサ部が形成された多層セラミックコンデンサを作製し
た。一方、実施例1と同様のホウケイ酸ガラスとアルミ
ナフィラーの複合材のグリーンシートに、Ag−Pd の
導体ペーストを用いてビアおよび表面配線を印刷形成し
た。また一部のグリーンシートには、パンチ法により前
記セラミックコンデンサより大きな穴を形成した。前記
コンデンサの積層部分の面積より大きな面積にカットし
た複数枚のグリーンシートと前記焼成済みセラミックコ
ンデンサを、コンデンサが最終的な積層体の内部に配置
されるよう配置した。この際、コンデンサを積層する層
部分には同時に前記コンデンサより大きな穴をあらかじ
め形成したグリーンシートを配置した。さらにコンデン
サの電極及びスルーホール配線が他の積層体の配線と三
次元状に互いに接続されるよう位置合わせして積層し
た。これを加熱圧着して一体の多層セラミック積層体を
作製した。前記積層コンデンサの表面粗さ(Ra)は約
0.3μm であった。この積層体は、アルミナ質の多孔
質板で上下面を挾み、更にその上から加圧力を加えなが
ら、大気中において900℃で1時間焼成した。
【0055】本実施例で得られたコンデンサ内蔵基板の
表面に、微小半田ボールを用いたCCB法によりLSI
チップを搭載した。この場合、得られた基板には反りや
スルーホール部の凹凸が全くなく、且つスルーホールの
表面位置精度が良いため、LSIチップとの接合及び導
通で、歩留まりが非常に向上できた。また内蔵されたコ
ンデンサにより、LSIチップの動作ノイズを大幅に低
減できた。図11に本実施例で得られる多層回路基板の
断面図を示す。
【0056】(実施例14)酸化物に換算してSiO2
65〜85重量%、B23を10〜30重量%、Al2
3 を1〜10重量%、アルカリ金属酸化物を10重量%
以下、その他を1重量%以下の組成として有する平均粒
径2μmのホウケイ酸ガラス粉末75体積%と、平均粒
径1μmのアルミナ粉末25体積%とを混合し、更にこ
の粉末に水溶性のアクリル系バインダ及び可塑剤,分散
剤,消泡剤及び水を含む溶剤を加えて、ボールミルで2
4h湿式混合してスラリーを作製した。以下、実施例1
と同じ方法でグリーンシートとし、これにCu導体ペー
ストを用いて、ビア及びグリーンシート上に配線回路や
電極層を形成した。一方、予め複数の貫通穴をCO
レーザーを用いて高位置精度で形成したアルミナ焼結基
板を準備した。この基板には必要に応じて表面に導体ペ
ーストを用いて配線を形成しておくこともできる。これ
らのグリーンシート50枚とアルミナ基板とを、アルミ
ナ基板が最終的な積層体の最下層及び最上層に配置され
るよう積層した。この際、グリーンシートに形成した配
線が三次元状に互いに接続されるよう位置合わせし、さ
らにアルミナ基板に形成した穴位置を前記グリーンシー
ト上に形成された導体部分と位置合わせした。アルミナ
基板の表面粗さ(Ra)は、積層体に接する面が約2μ
m、表面に露出する面が約0.5μm としてある。さ
らに基板の積層面のサイズは未焼成の積層体部分の面積
と同じとした。この積層体の前記アルミナ基板面をアル
ミナ質の多孔質板(気孔率約70%,平均気孔径10μ
m)で挾み、約1400g/cm2 の加圧力を加えなが
ら、非酸化性雰囲気中、900℃で1時間焼成した。室
温から約600℃の温度までは、50℃/h以下のゆっ
くりした速度で昇温を行い脱バインダを十分に行った。
これにより、アルミナ基板以外の側面部分が外に凸型
で、アルミナ基板側表面に複数の凹部を有する多層セラ
ミック回路基板が製造できた。
【0057】次に、焼結体上面に形成された複数の凹部
穴には、少量のはんだを印刷した後、各凹みにひとつず
つCuまたはAuの微小ボールを充填し、加熱してはん
だで固定した。これにより多数のLSI接続用バンプを
精度良くしかも簡単に形成できた。焼結体下面に形成さ
れた複数の凹部にはI/Oピンを挿入し、はんだで固着
して前記凹部底部の導体部とピンとの接続を形成した。
この方法で形成したI/Oピンの前記多層基板への接合
強度は通常の層入部分を持たないピンに比べて約2倍に
向上した。図12に、本実施例で得られる多層回路基板
の断面の一部を示す。
【0058】(実施例15)平均粒径0.8μm のチタ
ン酸バリウム粉末,メタクリル酸系のバインダ,可塑剤
及び溶剤を用いて、実施例1と同様の方法で、厚さ0.
1mm のグリーンシートを作製した。Pdの導体ペー
ストを用いて、グリーンシート上に電極層をスクリーン
印刷により形成した。これらのグリーンシート29枚及
び最上層に印刷されていないグリーンシートを1枚、合
計で30枚積層して加熱圧着し、多層セラミック積層体
を作製した。得られた積層体の厚さは、約3mmだっ
た。
【0059】この積層体は、表面粗さが5μmのSiC
基板で上下面を挾み、更にその上から20000g/cm
2 の加圧力を加えながら、大気中、1500℃で3時間
焼成した。室温から約1000℃の温度までは、バイン
ダ除去のため、100℃/h以下のゆっくりした速度で
昇温した。得られた多層セラミック焼結体の、表面層の
X,Y方向の平均収縮率はほぼゼロで、側面は凸型にわ
ん曲していた。Z方向の収縮率は約45%で、無加圧焼
成した場合のZ方向収縮率約20%に比べて非常に大き
く、従って誘電体層部分の厚さは非常に薄くなってい
た。
【0060】(実施例16)平均粒径0.6μm のあら
かじめ仮焼して得たPbZrO3−PbTiO3系の粉末と、
メタクリル酸系のバインダ,可塑剤及び溶剤を用いて、
実施例1と同様の方法にて、厚さ0.15mm のグリー
ンシートを作製した。Ag−Pdの導体ペーストを用い
て、グリーンシート上に内部電極層をスクリーン印刷に
より形成した。これらのグリーンシート19枚及び最上
層に印刷されていないグリーンシートを1枚、合計で2
0枚積層して加熱圧着し、多層セラミック積層体を作製
した。得られた積層体の厚さは、約2mmだった。
【0061】この積層体を、アルミナの多孔質基板で上
下面を挾み、更にその上から5000g/cm2 の加圧力を加
えながら、大気中、1050℃で2時間焼成した。室温
から約600℃の温度までは、バインダ除去のため、5
0℃/h以下のゆっくりした速度で昇温した。得られた
積層セラミック焼結体の、表面層のX,Y方向の平均収
縮率はほぼゼロで、側面は凸型だった。この焼結体の側
面に、外部電極を焼き付け、積層セラミックス駆動素子
とした。これを−55℃〜150℃、1サイクル/hの
条件で温度サイクル試験を行った。本実施例の焼結体で
は、1000サイクル経過後でも全く外部電極接合部や
素子にクラック等の欠陥は発生せず、特性の劣化も認め
られなかった。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、一体化又は積層された
セラミック成形体または積層体を加熱焼成して一体の多
層セラミック焼結体を製造する際、外表面の一部を実質
的に焼結収縮を生じさせないで焼結ができるので、この
面の表面寸法精度を比較的簡単に向上できる。また上記
の焼結収縮を生じさせない面以外の焼結体表面は、その
全体又は一部が焼結体中心より外側に凸型に彎曲した形
状となるので、この焼結体を後工程で取り扱う場合のハ
ンドリング性、特に機械的な信頼性を大幅に向上でき
る。
【0063】また本発明によりえられる多層セラミック
焼結体は、各種電子機器に用いられる多層セラミック部
品,電子計算機のLSI実装用多層配線基板や高機能性
構造材料等、広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】対向する2つの表面に加圧力を加えながら焼成
した場合の、加圧力と焼成寸法変化率(加圧面,XY方
向)との一般的な関係を示す図である。
【図2】加圧される積層体と加圧する側の材料との間に
働く摩擦力を変えた場合の、加圧力と焼成寸法変化率
(加圧面,XY方向)との一般的な関係を示す図であ
る。
【図3】焼結する積層体厚さと加圧する面の焼成寸法変
化率とをゼロとするのに必要な最低の加圧力の一般的な
関係を示す図である。
【図4】加圧力と加圧面方向およびこれに垂直な方向の
焼成寸法変化率との関係を示す図である。
【図5】焼結によるX,Y方向の平均収縮率を実質的に
ゼロとし、側面の形状を外側にわん曲した形状とできる
最適な加圧力の範囲を積層体の厚さとの関係で示す図で
ある。
【図6】表面拘束力を与える減圧チャック装置を用いた
積層体の焼成方法の概略を示す図である。
【図7】焼結体の最外寸法変化率及び側面形状と焼成温
度との関係を示す図である。
【図8】焼結によるX,Y方向の平均収縮率を実質的に
ゼロとし、側面の形状を外側にわん曲した形状とできる
最適な加圧力の範囲を積層体の厚さとの関係で示した図
である。
【図9】焼成済み基板を複合化した多層セラミック焼結
体の実施例を示す断面図である。
【図10】焼成済み基板を複合化した多層セラミック焼
結体の実施例を示す断面図である。
【図11】焼成済み基板を複合化した多層セラミック焼
結体の実施例を示す断面図である。
【図12】焼成済み基板を複合化した多層セラミック焼
結体の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…多層セラミック成形体、2…減圧チャック装置、3
…吸引口、4…圧力補正機構、5…台、6…ガラス/セ
ラミックス複合焼結体、7…SiC基板、8…封止ガラ
ス、9…W導体部、10…ボイド、11…AlN基板、
12…中空ビーズ、13…はんだ、14…LSIチッ
プ、15…はんだボール、16…I/Oピン、17…ビ
アホール、スルーホール、18…内層配線、19…多層
セラミックコンデンサ、20…多層セラミックコンデン
サの内部電極、21…多層セラミックコンデンサのスル
ーホール、22…アルミナ基板、23…小穴、24,2
5…はんだ、26…挿入接合型I/Oピン、27…金属
微小ボール。

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミック絶縁層を有し、少なくとも表面
    及び内部のいずれかに導体層が形成された積層体の外表
    面の少なくとも一部に、加圧力を加えながら加熱焼成し
    て、多層セラミック焼結体を製造する方法であって、前
    記加圧力を加えない面のクリープによる外形寸法変化量
    が、焼結に伴う収縮変化量より大きくなる加圧力を加え
    ることを特徴とする多層セラミック焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】セラミック絶縁層を有し、少なくとも表面
    及び内部のいずれかに導体層が形成された積層体の外表
    面の少なくとも一部に、加圧力を加えながら加熱焼成し
    て、多層セラミック焼結体を製造する方法であって、前
    記加圧力が、該加圧力の加わる面の焼成寸法収縮量を少
    なくともゼロとする力より大きいことを特徴とする多層
    セラミック焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】セラミック絶縁層を有し、少なくとも表面
    及び内部のいずれかに導体層が形成された積層体の外表
    面の少なくとも一部に、面方向の拘束力を加えながら加
    熱焼成して、多層セラミック焼結体を製造する方法であ
    って、前記積層体の前記拘束力の加わる面の焼成寸法変
    化量が実質的にゼロで、かつクリープによる前記拘束力
    の加わらない面の外形寸法変化量が焼結に伴う収縮量よ
    り大きくなる温度,時間条件で加熱焼結を行なうことを
    特徴とする多層セラミック焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】セラミック絶縁層を有し、少なくとも表面
    及び内部のいずれかに導体層が形成された積層体の外表
    面の少なくとも一部に、面方向の拘束力を加えながら加
    熱焼成して、多層セラミック焼結体を製造する方法であ
    って、前記拘束力が前記積層体の焼成時の最外寸法変化
    量をゼロとする力よりも大きいことを特徴とする多層セ
    ラミック焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】前記加圧力及び拘束力の少なくとも一方を
    付与するために前記積層体と接する面の表面粗さ(R
    a)を1μm以上とすることを特徴とする請求項1乃至
    4記載の多層セラミック焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記加圧力及び拘束力の少なくとも一方を
    付与するために前記積層体と接する部分を、前記積層体
    の焼成温度において寸法安定で且つ多孔質な材料とする
    ことを特徴とする請求項1乃至5記載の多層セラミック
    焼結体の製造方法。
  7. 【請求項7】前記加圧力及び拘束力の少なくとも一方を
    付与するために前記積層体と接する部分の熱膨張係数
    を、前記積層体を焼成して得られる焼結体の平均熱膨張
    係数より大きくすることを特徴とする請求項1乃至6記
    載の多層セラミック焼結体の製造方法。
  8. 【請求項8】セラミック絶縁層を有し、少なくとも表面
    及び内部のいずれかに導体層が形成された積層体の外表
    面の少なくとも一部に、加圧力及び拘束力のうちのいず
    れかを加えながら加熱焼成して多層セラミック焼結体を
    製造する方法であって、前記絶縁層の少なくとも1層を
    焼成済み基板とすることを特徴とする多層セラミック焼
    結体の製造方法。
  9. 【請求項9】前記焼成済み基板を、前記積層体の最外層
    に配置することを特徴とする請求項8記載の多層セラミ
    ック焼結体の製造方法。
  10. 【請求項10】前記焼成済み基板の積層面の面積を、前
    記積層体の未焼成部分の積層面の面積以上の大きさとす
    ることを特徴とする請求項9記載の多層セラミック焼結
    体の製造方法。
  11. 【請求項11】前記焼成済み基板が、前記積層体の焼成
    温度において寸法安定で、且つ前記未焼成部分に接する
    面の表面粗さを他の面より大きくすることを特徴とする
    請求項9または10記載の多層セラミック焼結体の製造
    方法。
  12. 【請求項12】前記焼成済み基板を、前記積層体の内層
    部に配置することを特徴とする請求項8乃至11記載の
    多層セラミック焼結体の製造方法。
  13. 【請求項13】前記焼成済み基板の積層面の面積を、前
    記積層体の未焼成部分の積層面の面積以下の大きさとす
    ることを特徴とする請求項12記載の多層セラミック焼
    結体の製造方法。
  14. 【請求項14】前記焼成済み基板の前記積層体の未焼成
    部分に接する面の表面粗さ(Ra)が0.5μm 以上で
    あることを特徴とする請求項9乃至11記載の多層セラ
    ミック焼結体の製造方法。
  15. 【請求項15】セラミック絶縁層を有し、少なくとも表
    面及び内部のいずれかに導体層が形成された積層体の外
    表面の少なくとも一部に、加圧力及び拘束力のうちのい
    ずれかを加えながら加熱焼成して多層セラミック焼結体
    を製造する方法であって、前記絶縁層の少なくとも1層
    を焼成済み基板とし、該焼成済み基板の少なくとも表面
    に予め焼成した配線を形成し、該配線が前記積層体の未
    焼成部分に形成された導体部分と接続するように位置合
    わせをし、その後焼成することを特徴とする多層セラミ
    ック焼結体の製造方法。
  16. 【請求項16】セラミック絶縁層を有し、少なくとも表
    面及び内部のいずれかに導体層が形成された積層体の外
    表面の少なくとも一部に、加圧力及び拘束力のうちのい
    ずれかを加えながら加熱焼成して多層セラミック焼結体
    を製造する方法であって、前記絶縁層の少なくとも1層
    を焼成済み基板とし、該焼成済み基板に予め複数の貫通
    穴を形成し、該貫通穴に導体ペーストを充填するかまた
    は導体ブロックを埋込み、さらに必要に応じて前記焼成
    済み基板の少なくとも表面に配線を形成し、該配線が前
    記積層体の未焼成部分に形成された導体部分と接続する
    ように位置合わせをし、その後焼成することを特徴とす
    る多層セラミック焼結体の製造方法。
  17. 【請求項17】セラミック絶縁層を有し、少なくとも表
    面及び内部のいずれかに導体層が形成された積層体の外
    表面の少なくとも一部に、加圧力及び拘束力のうちのい
    ずれかを加えながら加熱焼成して多層セラミック焼結体
    を製造する方法であって、前記絶縁層の少なくとも1層
    を焼成済み基板とし、該焼成済み基板に予め複数の貫通
    穴を形成し、必要に応じて前記焼成済み基板の少なくと
    も表面に配線を形成し、該配線が前記積層体の未焼成部
    分に形成された導体部分と接続するように位置合わせを
    し、その後焼成して焼結体の表面に複数の凹部を形成す
    ることを特徴とする多層セラミック焼結体の製造方法。
  18. 【請求項18】前記焼成済み基板を形成する材料を、前
    記積層体の他の絶縁部分の焼成後における熱伝導率,比
    誘電率,強度のうちの少なくとも1つよりも大きい材料
    とすることを特徴とする請求項15乃至17記載の多層
    セラミック焼結体の製造方法。
  19. 【請求項19】前記焼成済み基板の気孔率が、前記積層
    体の他の絶縁部分の焼成後における気孔率よりも小さい
    ことを特徴とする請求項15乃至18記載の多層セラミ
    ック焼結体の製造方法。
  20. 【請求項20】請求項1ないし19記載の多層セラミツ
    ク焼結体の製造方法において、複数の前記成形体または
    積層体を積み重ねて焼成を行うことを特徴とするの多層
    セラミツク焼結体の製造方法。
  21. 【請求項21】請求項20記載の多層セラミツク焼結体
    の製造方法において、前記複数の成形体または積層体
    が、表面粗さ(Ra)1μm以上の板及び/又は多孔質板
    を介して積み重ねられていることを特徴とする多層セラ
    ミック焼結体の製造方法。
  22. 【請求項22】請求項1ないし21記載の多層セラミッ
    ク焼結体の製造方法において、前記成形体または積層体
    表面の加圧力及び表面の拘束力のうちの少なくとも一方
    の印加を、脱バインダのための加熱工程終了後行うこと
    を特徴とする多層セラミック焼結体の製造方法。
  23. 【請求項23】前記脱バインダのための加熱工程を、焼
    結寸法変化の起こらない温度範囲で行うことを特徴とす
    る請求項22記載の多層セラミック焼結体の製造方法。
  24. 【請求項24】前記脱バインダのための加熱工程を、前
    記積層体に含まれるガラス成分の軟化温度より低い温度
    で行うことを特徴とする請求項22記載の多層セラミッ
    ク焼結体の製造方法。
  25. 【請求項25】セラミック絶縁層を有し、少なくとも表
    面及び内部のいずれかに導体層が形成された積層体の外
    表面の少なくとも一部に、加圧力及び拘束力のうちのい
    ずれかを加えながら加熱焼成して多層セラミック焼結体
    を製造する方法であって、前記加熱焼成工程の少なくと
    も一部を、大気圧より大きな雰囲気ガス圧中で行うこと
    を特徴とする請求項1乃至24記載の多層セラミック焼
    結体の製造方法。
  26. 【請求項26】前記セラミック絶縁層は、アルミナ,ム
    ライト,窒化アルミニウム及び窒化ホウ素のうちから選
    ばれる少なくとも一種を材料とし、且つ前記焼結時に液
    相を生成する焼結助剤を、少なくとも一種添加すること
    を特徴とする請求項1乃至25記載の多層セラミック焼
    結体の製造方法。
  27. 【請求項27】前記セラミック絶縁層は、ガラス,結晶
    化ガラス及びこれらの少なくとも一方とセラミックスフ
    イラとの複合材のうちから選ばれる少なくとも一種を材
    料とすることを特徴とする請求項1乃至25記載の多層
    セラミック焼結体の製造方法。
  28. 【請求項28】前記セラミック絶縁層は、チタン酸バリ
    ウム及び鉛のうちの少なくとも1種を含む複合ペロブス
    カイト化合物を材料とすることを特徴とする請求項1乃
    至25記載の多層セラミック焼結体の製造方法。
  29. 【請求項29】前記導体層を、Cu,Ag,Au,Ag/P
    d,Ag/Pt,Ni,Pt,W,Mo,Pd及びこれらの組
    み合わせから選ばれる少なくとも1種の導体材料で形成
    することを特徴とする請求項1乃至28記載の多層セラ
    ミック焼結体の製造方法。
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