JP4595199B2 - 多層セラミック基板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、多層セラミック基板の製造方法に関するもので、特に、複数の多層セラミック基板を取り出すための多層集合基板の製造に際して生じ得る焼成時の不所望な変形を防止するための改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多層セラミック基板は、複数の積層されたセラミック層を備えている。このような多層セラミック基板には、種々の形態の配線導体が設けられている。配線導体としては、たとえば、多層セラミック基板の内部において、セラミック層間の特定の界面に沿って延びる内部導体膜が形成されたり、特定のセラミック層を貫通するように延びるビアホール導体が形成されたり、また、多層セラミック基板の外表面上において延びる外部導体膜が形成されたりしている。
【0003】
多層セラミック基板は、半導体チップ部品やその他のチップ部品等を搭載し、これらの電子部品を相互に配線するために用いられている。上述した配線導体は、この相互配線のための電気的経路を与えている。
【0004】
また、多層セラミック基板には、たとえばコンデンサ素子やインダクタ素子のような受動部品が内蔵されることがある。この場合には、上述した配線導体としての内部導体膜やビアホール導体の一部によって、これらの受動部品が与えられる。
【0005】
多層セラミック基板は、たとえば、移動体通信端末機器の分野において、LCR複合化高周波部品として用いられたり、コンピュータの分野において、半導体ICチップのような能動素子とコンデンサやインダクタや抵抗のような受動素子とを複合化した部品として、あるいは単なる半導体ICパッケージとして用いられたりしている。
【0006】
より具体的には、多層セラミック基板は、PAモジュール基板、RFダイオードスイッチ、フィルタ、チップアンテナ、各種パッケージ部品、複合デバイス等の種々の電子部品を構成するために広く用いられている。
【0007】
多層セラミック基板をより多機能化、高密度化、高性能化するためには、上述したような配線導体を高密度に配置することが有効である。
【0008】
しかしながら、多層セラミック基板を得るためには、必ず、焼成工程を経なければならないが、このような焼成工程においては、セラミックの焼結による収縮がX、YおよびZの3方向に生じ、この収縮は多層セラミック基板全体において均一に生じにくく、XおよびY方向には、各々、0.4〜0.6%程度の寸法誤差が生じる。そのため、外部導体膜の位置精度の低下、および内部配線導体において不所望な変形や歪みあるいは断線がもたらされることがある。このような配線導体において生じ得る不具合は、上述のような配線導体の高密度化を阻害してしまう。
【0009】
そこで、多層セラミック基板を製造するにあたって、焼成工程において多層セラミック基板の主面方向での収縮を実質的に生じさせないようにすることができる、いわゆる無収縮プロセスを適用することが提案されている。
【0010】
無収縮プロセスによる多層セラミック基板の製造方法においては、セラミック絶縁材料として、たとえば1000℃以下の温度で焼結可能な低温焼結セラミック材料粉末が用意されるとともに、上述の低温焼結セラミック材料粉末の焼結温度では焼結しない、収縮抑制用として機能する無機材料粉末が用意される。そして、焼成することによって目的とする多層セラミック基板となる生の積層体を作製するにあたっては、低温焼結セラミック材料を含み、かつ積層された、複数のセラミックグリーン層を挟むように、無機材料粉末を含む収縮抑制層が配置され、また、セラミックグリーン層に関連して、配線導体が設けられる。
【0011】
上述のようにして得られた生の積層体は、次いで、焼成される。この焼成工程において、セラミックグリーン層と収縮抑制層との界面部分に厚み2〜3μm程度の反応層が生じ、この反応層がセラミックグリーン層と収縮抑制層とを接着するように作用する。また、収縮抑制層に含まれる無機材料粉末は実質的に焼結しないため、収縮抑制層においては、収縮が実質的に生じない。このようなことから、収縮抑制層がセラミックグリーン層を拘束し、それによって、セラミックグリーン層は、Z方向すなわち厚み方向にのみ実質的に収縮するが、XおよびY方向すなわち主面方向での収縮が抑制される。その結果、生の積層体を焼成して得られた多層セラミック基板において不均一な変形がもたらされにくくなり、そのため、配線導体において前述のような不具合がもたらされにくくすることができ、配線導体の高密度化を可能にする。
【0012】
上述した収縮抑制層は、焼成後において、除去される。
【0013】
他方、多層セラミック基板を製造するに際して、その製造効率を高めるため、所定の分割線に沿って分割されることによって複数の多層セラミック基板を取り出すことができるようにされた多層集合基板を作製し、この多層集合基板を上述の分割線に沿って分割することによって、複数の多層セラミック基板を一挙に得ようとする方法、いわゆる多数個取りによる方法が採用されている。
【0014】
また、このような多数個取りによる方法において、多層集合基板の分割を能率的に行なえるようにするため、多層集合基板には、所定の分割線の位置に沿うように、切り込み溝が設けられていることが好ましい。切り込み溝が設けられていると、いわゆるチョコレートブレイク態様に基づいて多層集合基板を折り曲げるだけで、多層集合基板を所定の分割線に沿って分割することができる。
【0015】
上述した切り込み溝は、通常、多層集合基板が未焼成の状態にあるときにカッター刃または金型等を用いて形成される。
【0016】
図11は、上述のような切り込み溝1が設けられた生の多層集合基板2の一部を断面図で示したものである。なお、多層集合基板2に関連して設けられる配線導体については図示を省略している。また、図11では、厚み方向寸法が誇張されて図示されていることを指摘しておく。
【0017】
生の多層集合基板2は、複数の積層されたセラミックグリーン層3を備えており、このセラミックグリーン層3の積層方向における一方端側に位置する第1の主面4側において、所定の分割線5の位置に沿うように、切り込み溝1が設けられている。
【0018】
このような生の多層集合基板2は焼成され、それによって、焼結後の多層集合基板2が得られる。そして、焼結後の多層集合基板2は、切り込み溝1に沿って分割され、それによって、複数の多層セラミック基板が取り出される。
【0019】
切り込み溝は、図12に示すような態様で設けられることもある。図12は、図11に相当する図であって、図12において、図11に示す要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
図12に示した多層集合基板2aにあっては、第1の主面4側に切り込み溝1が設けられることに加えて、第1の主面4とは逆の第2の主面6側にも切り込み溝7が設けられている。後者の切り込み溝7についても、その位置は所定の分割線5に沿うようにされる。
【0021】
図12に示した多層集合基板2aによれば、切り込み溝1および7が比較的浅く形成されても、分割線5に沿って折り曲げることによる分割をより小さい力で行なうことができる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11に示した多層集合基板2にあっては、前述したような工程を経て得られたとき、反りが発生するという問題に遭遇することがある。それは、焼成工程において、切り込み溝1の部分およびその近傍での収縮の度合いが、他の部分に比べて高いためであり、第1の主面4が凹状となるような反りが生じる。
【0023】
これに対して、図12に示した多層集合基板2aにあっては、第1および第2の主面4および6の双方に切り込み溝1および7が設けられているので、切り込み溝1による収縮と切り込み溝7による収縮とが適当にバランスされ、そのため、得られた多層集合基板2aにおいて反りを生じにくくすることができる。
【0024】
しかしながら、図12に示した多層集合基板2aの場合には、第1および第2の主面4および6の双方に切り込み溝1および7を設ける必要があるため、工程数が増加するという問題に遭遇する。また、切り込み溝1および7は、いずれも、同じ分割線5に沿う位置に設けられなければならないので、たとえば、第1の主面4側に切り込み溝1を形成した後、生の多層集合基板2aを裏返して、第2の主面6側に切り込み溝7を形成しようとするとき、後者の切り込み溝7の形成に際して、前者の切り込み溝1との間で位置合わせが必要となり、そのため、特に切り込み溝7の形成のための工程が煩雑となるという問題にも遭遇する。
【0025】
また、図11および図12に示した多層集合基板2および2aのいずれについても、前述した無収縮プロセスが適用されていないため、焼結後の多層集合基板2および2aにおいて不均一な変形がもたらされやすいという問題を残している。そのため、多数個取りによる方法に対しても、前述した無収縮プロセスを適用することが好ましい。
【0026】
これに関連して、特開平7−99263号公報には、図11に示すような未焼成の状態すなわち生の状態の多層集合基板2に対して、これを挟むように収縮抑制層を設けることが記載されている。
【0027】
しかしながら、特開平7−99263号公報に記載された方法では、切り込み溝1の形成前の段階で、生の多層集合基板2に対してプレスを実施し、次いで、多層集合基板2を挟むように収縮抑制層を配置し、さらに、全体を再びプレスすることが行なわれるが、後者のプレス工程の段階では、すでに多層集合基板2が一度プレスされた状態にあるため、この多層集合基板2と収縮抑制層との間で十分な密着強度が得られないことがある。
【0028】
その結果、焼成工程において、収縮抑制層が、生の多層集合基板2に備えるセラミックグリーン層3に対して十分な拘束力を及ぼし得ないことがあり、無収縮プロセスによる効果を十分に発揮し得ないことがある。
【0029】
そこで、この発明の目的は、上述のような問題を解消し得る、多層セラミック基板の製造方法を提供しようとすることである。
【0030】
【課題を解決するための手段】
この発明は、簡単に言えば、いわゆる無収縮プロセスおよび多数個取りの双方を適用することによって、多層セラミック基板を製造しようとするもので、無収縮プロセスのための一方の収縮抑制層を厚み方向に貫通しながら、生の多層集合基板の厚みの一部にまで届くように、多数個取りのための切り込み溝を設け、焼成後の反りの問題については、切り込み溝を設ける態様を制御することによって解決しようとすることを特徴としている。
【0031】
より詳細には、この発明は、複数の積層されたセラミック層を備える、多層セラミック基板を製造する方法に向けられ、次のような工程を備えることを特徴としている。
【0032】
まず、セラミック絶縁材料を含みかつ焼成されることによって複数のセラミック層となる複数のセラミックグリーン層を有する生の多層集合基板を備え、焼成後において互いに直交する複数の縦方向分割線および複数の横方向分割線に沿ってそれぞれ分割されることによって複数の多層セラミック基板を取り出すことができるようにされていて、セラミック絶縁材料粉末の焼結温度では焼結しない無機材料粉末を含む第1および第2の収縮抑制層が、生の多層集合基板を積層方向に挟むように配置されている、生の複合積層体が作製される。
【0033】
次いで、生の複合積層体における縦方向分割線および横方向分割線の各位置に沿い、かつ第1の収縮抑制層を厚み方向に貫通しながら生の多層集合基板の厚みの一部にまで届く深さをもって、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝がそれぞれ設けられる。
【0034】
次に、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝がそれぞれ設けられた生の複合積層体は、セラミック絶縁材料粉末が焼結するが無機材料粉末が焼結しない条件下で焼成され、それによって、第1および第2の収縮抑制層によって挟まれた焼結後の多層集合基板が得られる。
【0035】
次いで、収縮抑制層が除去され、それによって、焼結後の多層集合基板が取り出される。
【0036】
次いで、焼結後の多層集合基板を縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝に沿ってそれぞれ分割し、それによって、複数の多層セラミック基板が取り出される。
【0037】
このような多層セラミック基板の製造方法において、この発明では、前述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
【0038】
すなわち、上述した縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝をそれぞれ設ける工程において、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝の少なくとも一方について、その配列における両端に位置するものを除く切り込み溝の終端と当該切り込み溝の延長線上に位置する生の複合積層体の端縁との間の距離が3mm以上となるようにされることを特徴としている。
【0039】
好ましくは、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝をそれぞれ設ける工程において、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝の双方について、切り込み溝の終端と生の複合積層体の端縁との間の距離が3mm以上となるようにされる。
【0040】
また、好ましくは、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝をそれぞれ設ける工程において、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝の少なくとも一方について、切り込み溝の終端と生の複合積層体の端縁との間の距離が10mm以上とより長くなるようにされる。
【0041】
また、好ましくは、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝をそれぞれ設ける工程において、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝の双方について、切り込み溝の終端と生の複合積層体の端縁との間の距離が10mm以上とより長くなるようにされる。
【0042】
また、好ましくは、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝をそれぞれ設ける工程において、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝の少なくとも一方のすべての終端と生の複合積層体の端縁との間の距離が3mm以上となるようにされる。
【0043】
また、セラミックグリーン層は、ガラスまたは結晶化ガラスを含むことが好ましい。
【0044】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、この発明の第1の実施形態を説明するためのものであり、多層セラミック基板を製造する途中の段階で得られる複合積層体11を示している。ここで、図1は、複合積層体11の平面図であり、図2は、図1に示した複合積層体11の一部を拡大して示す断面図である。
【0045】
なお、図2は、前述した図11または図12に対応する図であって、図11および図12の場合と同様、厚み方向寸法が誇張されて図示されており、また、配線導体の図示が省略されている。また、図1においては、複合積層体11の内部に位置する配線導体の少なくとも一部としての矩形の導体膜12が破線によって示されている。
【0046】
複合積層体11から得ようとする多層セラミック基板は、複数の積層されたセラミック層を備えている。生の複合積層体11は、セラミック絶縁材料を含みかつ焼成されることによって上述の複数のセラミック層となる複数のセラミックグリーン層13を有する生の多層集合基板14を備えている。
【0047】
セラミックグリーン層13は、たとえば、セラミックグリーンシートを積層することによって得られるもので、セラミックグリーンシートは、たとえば、セラミック絶縁材料粉末にバインダ、可塑剤および溶剤等を加えて、ボールミルまたはアトラクター等によって混合することによってスラリーとし、このスラリーをドクターブレード法等の方法によってシート状に成形することによって得られる。
【0048】
上述のセラミック絶縁材料粉末としては、従来の多層セラミック基板において用いられる通常のセラミック絶縁材料粉末を用いることができる。たとえば、アルミナ硼珪酸ガラス、軟化点600〜800℃の非晶質ガラス、結晶化温度600〜1000℃の結晶化ガラス等を含んでいてもよい。また、アルミナ、ジルコン、ムライト、コージェライト、アノーサイト、シリカ等のセラミックフィラーを添加したものを用いてもよい。
【0049】
バインダとしては、たとえば、ポリビニルブチラール、メタアクリルポリマー、アクリルポリマー等を用いることができ、可塑剤としては、たとえば、フタル酸の誘導体等を用いることができる。さらに、溶剤としては、たとえば、アルコール類、ケトン類、塩素系有機溶剤等を用いることができる。
【0050】
セラミックグリーンシートは、所定の大きさに切断され、必要に応じて、前述の導体膜12のような配線導体となるべき導体膜を導電性ペーストのスクリーン印刷等によって形成したり、ビアホール導体のための貫通孔を設けたり、この貫通孔に導電性ペーストを充填したりする工程が実施される。セラミックグリーンシートの厚みについては、特に制限はないが、25〜200μm程度であることが好ましい。
【0051】
積層されたセラミックグリーン層13を備える生の多層集合基板14を得るため、上述したようなセラミックグリーンシートが積層される。この生の多層集合基板14は、焼成後において互いに直交する複数の縦方向分割線および複数の横方向分割線に沿ってそれぞれ分割されることによって複数の多層セラミック基板を取り出すことができるようにされている。これら縦方向分割線および横方向分割線のうち、図2に、縦方向分割線の位置が「15」の参照符号をもって図示されている。
【0052】
また、生の複合積層体11において、生の多層集合基板14を積層方向に挟むように、第1および第2の収縮抑制層16および17が配置されている。これら収縮抑制層16および17は、前述したセラミックグリーン層13に含まれるセラミック絶縁材料粉末の焼結温度では焼結しない無機材料粉末を含んでいる。
【0053】
たとえば、セラミックグリーン層13に含まれるセラミック絶縁材料粉末として、その焼結温度が1100℃以下のものを用いる場合には、収縮抑制層16および17に含まれる無機材料粉末としては、たとえば、アルミナ、酸化ジルコニア、窒化アルミニウム、窒化硼素、ムライト、酸化マグネシウム、炭化珪素等の粉末を用いることができる。なお、これらの無機材料粉末の粒度が粗すぎると、得られた多層セラミック基板の表面粗さが粗くなるため、平均粒径0.5〜4μm程度であることが好ましい。
【0054】
収縮抑制層16および17は、上述したような無機材料粉末を含む無機材料グリーンシート18を積層することによって得られる。無機材料グリーンシー18の作製方法は、前述したセラミックグリーン層13のためのセラミックグリーンシートの場合と実質的に同様である。また、無機材料グリーンシート18の厚みは、特に制限はないが、25〜200μm程度であることが好ましい。第1および第2の収縮抑制層16および17の各々の厚みは、積層される無機材料グリーンシート18の積層数によって調整することができる。
【0055】
このように、生の多層集合基板14を積層方向に挟むように第1および第2の収縮抑制層16および17が配置されている、生の複合積層体11を得た後、この生の複合積層体11全体が積層方向にプレスされる。このプレスに際しては、たとえば、30〜200MPaの圧力および40〜90℃の温度が適用される。
【0056】
次に、生の複合積層体11における縦方向分割線15および横方向分割線の各位置に沿って、それぞれ、縦方向切り込み溝19および横方向切り込み溝20が設けられる。これら切り込み溝19および20の形成には、たとえば、カッター刃を生の複合積層体11の表面に押し当てたり、回転刃で切り込む方法等を採用することができる。
【0057】
縦方向切り込み溝19および横方向切り込み溝20は、図1によく示されているように、格子状に配列されている。また、縦方向切り込み溝19および横方向切り込み溝20は、矩形の平面形状を有する生の複合積層体11の端縁にまで届かず、周囲にマージンを残した状態で設けられる。
【0058】
より具体的には、縦方向切り込み溝19の終端とこの縦方向切り込み溝19の延長線上に位置する生の複合積層体11の端縁との間の距離d1は、3mm以上、好ましくは10mm以上となるようにされる。他方、横方切り込み溝20の終端とこの横方向切り込み溝20の延長線上に位置する生の複合積層体11の端縁との間の距離d2についても、3mm以上、好ましくは10mm以上となるようにされる。
【0059】
また、この実施形態では、縦方向切り込み溝19の各終端は、複数の横方向切り込み溝20の配列における両端に位置する横方向切り込み溝20(a)および20(z)の各上に位置している。他方、横方向切り込み溝20の各終端についても、複数の縦方向切り込み溝19の配列における両端に位置する縦方向切り込み溝19(a)および19(z)の各上に位置している。
【0060】
これら縦方向切り込み溝19および横方向切り込み溝20は、縦方向切り込み溝19について図2に示されているように、第1の収縮抑制層16を厚み方向に貫通しかつ生の多層集合基板14の厚みの一部にまで届く深さをもって設けられる。この深さは、たとえば、生の多層集合基板14の厚みの1/10〜4/10程度にまで届くようにされる。
【0061】
次に、縦方向切り込み溝19および横方向切り込み溝20が設けられた生の複合積層体11は、焼成工程に付される。この焼成工程においては、セラミックグリーン層13に含まれるセラミック絶縁材料粉末のみが焼結し、収縮抑制層16および17に含まれる無機材料粉末が焼結しない条件が適用される。また、複合積層体11の焼成にあたっては、これをトレーに載せて焼成することが行なわれるが、トレーとしては、たとえば、通常のアルミナ板からなるものを用いることができる。また、トレーとして、通気性の良好な気孔率の高いアルミナ板からなるものを使用してもよい。
【0062】
焼成工程において、収縮抑制層16および17に含まれる無機材料粉末は実質的に焼結しないため、収縮抑制層16および17においては、収縮が実質的に生じない。そのため、収縮抑制層16および17が多層集合基板14を拘束し、それによって、生の多層集合基板14は、厚み方向にのみ実質的に収縮するが、主面方向での収縮が抑制される。その結果、焼結後の多層集合基板14において不均一な変形等がもたらされにくくなる。
【0063】
また、焼成工程において、切り込み溝19および20の部分およびその近傍において生じ得る収縮の度合いは、他の部分において生じ得る収縮の度合いより高いため、多層集合基板14において、第1の収縮抑制層16側を凹状とするような反りを生じさせる力が及ぼされるが、複合積層体11の周囲の距離d1およびd2で表わされるマージン領域については、切り込み溝19および20が形成されず、そのため、このマージン領域については、生の多層集合基板14における収縮の度合いが低くされるとともに、第1の収縮抑制層16においては収縮抑制のための剛性が高められるので、上述したような反りを有利に抑制することができ、また、歪みも低減することができる。
【0064】
このように、第1および第2の収縮抑制層16および17によって挟まれた焼結後の多層集合基板14を得た後、たとえばブラシ等を用いて、収縮抑制層16および17が除去され、それによって、焼結後の多層集合基板14が取り出される。
【0065】
次に、焼結後の多層集合基板14が、縦方向切り込み溝19および横方向切り込み溝20に沿ってそれぞれ分割され、それによって、目的とする複数の多層セラミック基板が取り出される。
【0066】
以下に、図3ないし図6を参照しながら、この発明の他の実施形態について説明する。図3ないし図6は、前述の第1の実施形態を示す図1に相当する図である。したがって、図3ないし図6において、図1に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0067】
図3に示した第2の実施形態に係る複合積層体11aでは、縦方向切り込み溝19が、両端に位置する横方向切り込み溝20(a)および20(z)を越えて延び、同様に、横方向切り込み溝20が、両端に位置する縦方向切り込み溝19(a)および19(z)を越えて延びていることを特徴としている。
【0068】
しかしながら、縦方向切り込み溝19の終端と生の複合積層体11aの端縁との間の距離d1および横方向切り込み溝20の終端と生の複合積層体11aの端縁との間の距離d2は、ともに、3mm以上、好ましくは10mm以上となるようにされることは、第1の実施形態の場合と同様である。
【0069】
図4に示す第3の実施形態に係る複合積層体11bでは、第2の実施形態と比較して、両端にそれぞれ位置する縦方向切り込み溝19(a)および19(z)ならびに横方向切り込み溝20(a)および20(z)が、それぞれ、より長くされ、したがって、生の複合積層体11bの端縁により近い位置まで延びていることを特徴としている。
【0070】
また、この実施形態では、両端に位置する縦方向切り込み溝19(a)および19(z)を除く縦方向切り込み溝19の終端と生の複合積層体11bの端縁との間の距離d1ならびに両端に位置する横方向切り込み溝20(a)および20(z)を除く横方向切り込み溝20と生の複合積層体11bの端縁との間の距離d2については、3mm以上、好ましくは10mm以上となるようにされる。
【0071】
図4に示した第3の実施形態によれば、距離d1およびd2が特定の長さ以上とされなければならないのは、両端に位置する縦方向切り込み溝19(a)および19(z)を除く縦方向切り込み溝19ならびに両端に位置する横方向切り込み溝20(a)および(z)を除く横方向切り込み溝20についてのみであることがわかる。
【0072】
図5に示した第4の実施形態に係る複合積層体11cでは、図4に示した第3の実施形態と比較して、両端に位置する縦方向切り込み溝19(a)および19(z)ならびに両端に位置する横方向切り込み溝20(a)および20(z)が、生の複合積層体11cの端縁にまで届くように延び、したがって、これら切り込み溝19(a)および19(z)ならびに20(a)および20(z)の各終端が、生の複合積層体11cの端縁上に位置していることを特徴としている。
【0073】
図6に示した第5の実施形態に係る複合積層体11dでは、図5に示した第4の実施形態の場合と同様、両端に位置する縦方向切り込み溝19(a)および19(z)ならびに横方向切り込み溝20(a)および20(z)の各終端が、複合積層体11dの端縁上に位置しているが、これら両端に位置する切り込み溝19(a)および19(z)ならびに20(a)および20(z)は、これらに沿う分割によってもたらされた分割面が、目的とする多層セラミック基板の一側面となるのではなく、これらに沿う分割は、目的とする多層セラミック基板の取り出しに直接寄与するものではないことを特徴としている。
【0074】
なお、図6に示した実施形態では、両端に位置する縦方向切り込み溝19(a)および19(z)を除く縦方向切り込み溝19の各終端は、両端に位置する横方向切り込み溝20(a)および20(z)上に位置し、また、両端に位置する横方向切り込み溝20(a)および20(z)を除く横方向切り込み溝20の各終端は、両端に位置する縦方向切り込み溝19(a)および19(z)上に位置している。
【0075】
以上説明した第1ないし第5の実施形態では、特定の長さ以上とされなければならない距離d1およびd2を与えるのが、縦方向切り込み溝19および横方向切り込み溝20の双方であったが、後述する実験例において参照する図9に示すように、縦方向切り込み溝19のみであっても、横方向切り込み溝20のみであってもよい。
【0076】
また、第1ないし第5の実施形態では、両端に位置する縦方向切り込み溝19(a)および19(z)が互いに同じ長さであり、また、両端に位置する横方向切り込み溝20(a)および20(z)が互いに同じ長さであったが、これらの長さは互いに異なっていてもよい。すなわち、両端にそれぞれ位置する縦方向切り込み溝19(a)および19(z)ならびに横方向切り込み溝20(a)および20(z)については、第1ないし第5の実施形態での態様を適宜組み合わせてもよい。
【0077】
また、両端に位置するものを除く縦方向切り込み溝19および横方向切り込み溝20についても、第1ないし第5の実施形態では、互いに同じ長さとされたが、互いに異ならされてもよい。
【0078】
また、縦方向切り込み溝19について図2に示されるように、切り込み溝19および20は、断面V字状の形態をなしていたが、たとえば断面U字状等の他の形態であってもよく、少なくとも焼成後に複合積層体を取り扱う際、不用意に割れが生じにくい形態であれば、どのような形態であってもよい。
【0079】
また、図示の実施形態では、複合積層体は、実質的に正方形の平面形状を有していたが、隣り合う辺の長さが互いに異なる長方形の平面形状を有していてもよい。
【0080】
次に、この発明による効果を確認するために実施した実験例について説明する。
【0081】
【実験例】
SiO2 、CaO、Al2 3 およびB2 3 の各粉末を混合したガラス粉末と、アルミナ粉末とを等重量比率で混合した。この混合粉末に対して、有機バインダとしてのポリビニルブチラールおよび溶剤としてのトルエンを添加し、混合し、ボールミルによって十分混練することによって、均一な分散状態を得た後、減圧下で脱泡処理し、スラリーを得た。
【0082】
次いで、このスラリーを、ドクターブレードを用いたキャスティング法を適用して、キャリアフィルム上でシート状に成形することによって、厚み0.1mmのセラミックグリーンシートを作製し、このセラミックグリーンシートを乾燥させた後、キャリアフィルムから剥がし、これを打ち抜いて、平面寸法が100mmの大きさを有するセラミックグリーンシートとした。
【0083】
次に、上述のセラミックグリーンシート上に、銀粉末を含む導電性ペーストを印刷し、乾燥することによって、平面寸法が1mmのパターンを有する導体膜を形成した。なお、この導体膜は、歪み確認用に形成したものであり、後述する切り込み溝によって区画される各領域に分布させた。
【0084】
他方、アルミナ粉末に対して、有機バインダとしてのポリビニルブチラールおよび溶剤としてのトルエンを添加し、混合し、ボールミルによって十分混練することによって、均一な分散状態を得た後、減圧下で脱泡処理して、スラリーを得た。
【0085】
次いで、このスラリーを、ドクターブレードを用いたキャスティング法を適用して、キャリアフィルム上でシート状に成形することによって、厚み0.1mmの無機材料グリーンシートを作製した。次いで、この無機材料グリーンシートを乾燥させた後、キャリアフィルムから剥がし、これを打ち抜いて、平面寸法が100mmの大きさを有する無機材料グリーンシートとした。
【0086】
次に、上述した6枚のセラミックグリーンシートを積層するとともに、これを挟むように、各々5枚の無機材料グリーシートを積層し、積層方向にプレスすることによって、平面寸法が100mmの大きさを有する生の複合積層体を得た。
【0087】
次に、表1に示す各条件をもって、20本の縦方向切り込み溝および10本の横方向切り込み溝を形成した。表1には、各試料について参照すべき図面が示されている。表1に示した各試料について、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝の形成態様の詳細について、図7ないし図10を参照しながら説明する。なお、図7ないし図10において、前述した図1および図3ないし図6に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0088】
【表1】
Figure 0004595199
【0089】
表1において、試料番号に「*」を付したものは、この発明の範囲外にある比較例に相当する。
【0090】
試料1は、比較例となるものである。試料1では、図10に示すように、縦方向切り込み溝19のすべておよび横方向切り込み溝20のすべてが、複合積層体11hの端縁にまで届くように形成した。したがって、表1に示すように、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝の双方について、切り込み溝の終端と複合積層体端縁との距離は0mmであり、両端の切り込み溝の終端の位置は複合積層体の端縁上である。
【0091】
試料2〜4では、図7に示すような態様で、切り込み溝19および20を形成した。すなわち、縦方向切り込み溝19の終端と複合積層体11eの端縁との間に距離d1を設け、横方向切り込み溝20の終端と複合積層体11eの端縁との間に距離d2を設け、両端に位置する縦方向切り込み溝19(a)および19(z)の各終端を両端に位置する横方向切り込み溝20(a)および20(z)上に位置させ、両端に位置する横方向切り込み溝20(a)および(z)の各終端を両端に位置する縦方向切り込み溝19(a)および19(z)上に位置させた。
【0092】
これら試料2〜4のうち、試料2が比較例となるもので、試料3および4がこの発明の範囲内の実施例となるものである。
【0093】
表1に示すように、試料2では、距離d1およびd2を、ともに1mmとし、試料3では、同じく、3mmとし、試料4では、同じく、10mmとした。
【0094】
試料5および6は、実施例となるものである。これら試料5および6では、図8に示すように、両端に位置するものを除く縦方向切り込み溝19の各終端と複合積層体11の端縁との間に距離d1を設け、両端に位置するものを除く横方向切り込み溝20の各終端と複合積層体11fの端縁との間に距離d2を設け、両端に位置する縦方向切り込み溝19(a)および19(z)ならびに横方向切り込み溝20(a)および20(z)の各終端を複合積層体11fの端縁上に位置させた。
【0095】
表1に示すように、これら試料5および6のうち、試料5では、距離d1およびd2を、ともに3mmとし、試料6では、同じく、10mmとした。
【0096】
試料7は、実施例となるものである。試料7では、図9に示すように、縦方向切り込み溝19の各終端を両端に位置する横方向切り込み溝20(a)および20(z)上に位置させるとともに、表1に示すように、縦方向切り込み溝19の各終端と複合積層体11gの端縁との間の距離d1を3mmとし、横方向切り込み溝20の各終端を複合積層体11gの端縁上に位置させた。
【0097】
次に、上述した試料1〜7の各々に係る複合積層体を、400℃の温度まで1.5℃/分の速度で昇温し、400℃の温度から900℃の温度まで5℃/分〜60℃/分の速度で昇温し、次いで、900℃の温度で1時間キープする、焼成プロファイルをもって焼成し、それによって、複合積層体における多層集合基板の部分を焼結させた。
【0098】
そして、焼結後の多層集合基板の両面にある、無機材料グリーンシートによって与えられた収縮抑制層を除去し、評価用の多層集合基板を得た。
【0099】
このようにして得られた多層集合基板の各試料について、平板の上に載せ、その表面および裏面において最大となる反り量を測定した。
【0100】
また、試料となる多層集合基板において、評価用の導体膜を任意に10点選び、X−Y測長機を用いて、多層集合基板の平面方向での重心を原点とし、導体膜の位置の設計値からの最大ずれ量を測定し、最大歪み量を求めた。
【0101】
また、収縮抑制層を除去する前の複合積層体の状態で、焼成炉から取り出した直後、これを1回ひっくり返し、その結果、収縮抑制層がマージン部において剥がれた部分の面積を測定し、マージン部全体の面積に対する剥がれた部分の面積の比率を求めた。
【0102】
以上の最大反り量、最大歪み量およびマージン部における収縮抑制層の剥がれ面積率が、表2に示されている。
【0103】
【表2】
Figure 0004595199
【0104】
表1に示したように、この発明の範囲内にある実施例3〜7では、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝の少なくとも一方について、両端に位置するものを除く切り込み溝の終端と複合積層体の端縁との間の距離が3mm以上となるようにされているので、表2からわかるように、最大反り量を0.8mm以下とし、最大歪み量を0.2mm以下とし、また、収縮抑制層の剥がれ面積率を3%以下とすることができる。
【0105】
このことから、この発明の範囲内にある試料3〜7によれば、焼成工程において、収縮抑制層による拘束力を多層集合基板に対して十分に及ぼすことができ、また、マージン部における収縮抑制層の剛性が高められ、それによって、反りや歪みを低減できることがわかる。
【0106】
これに対して、比較例となる試料1および2では、表1に示すように、切り込み溝の終端と複合積層体の端縁との間の距離が3mm未満のそれぞれ0mmおよび1mmであるため、表2に示すように、1.2mm以上の最大反り量となり、0.4mm以上の最大歪み量となっている。また、収縮抑制層の剥がれ面積率については、試料2では、12%と極めて高い。なお、試料1における収縮抑制層の剥がれ面積率については、極めて高かったため、測定しなかった。
【0107】
以下に、この発明の範囲内にある試料3〜7の間での比較を行なう。
【0108】
試料3と試料4との間、あるいは試料5と試料6との間で比較すると、表1に示すように、距離d1およびd2について、試料3および5が3mmであり、試料4および6が10mmである。その結果、表2に示すように、最大反り量、最大歪み量および収縮抑制層の剥がれ面積率については、試料3および5に比べて、試料4および6の方がそれぞれ低減されている。このことから、距離d1およびd2は、より長くされること、具体的には、10mm以上となるようにされることが好ましいことがわかる。
【0109】
次に、試料3および7の間で比較すると、表1に示すように、試料3では、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝の双方について、切り込み溝の終端と複合積層体の端縁との間の距離が3mmであるのに対し、試料7では、縦方向切り込み溝についてのみ、切り込み溝の終端と複合積層体の端縁との間の距離が3mmであり、横方向切り込み溝については、その各終端が複合積層体の端縁上に位置している。そして、表2に示すように、最大反り量および収縮抑制層の剥がれ面積率に関して、試料3は、試料7より優れた結果を示している。このことから、試料3のように、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝の双方について、切り込み溝の終端と複合積層体の端縁との間の距離が3mm以上となるようにされることがより好ましいと言える。
【0110】
次に、試料3および5の間で比較すると、表1に示すように、試料3では、縦方向切り込み溝のすべておよび横方向切り込み溝のすべての各終端と複合積層体の端縁との間の距離が3mmであるのに対し、試料5では、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝の各々の両端に位置するものを除いて、各切り込み溝の終端と複合積層体の端縁との間の距離が3mmとされている。そのため、表2に示すように、最大反り量に関して、試料3の方が、試料5より優れた結果を示している。このことから、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝の少なくとも一方のすべての終端と複合積層体の端縁との間の距離が3mm以上となるようにされることが好ましいと言える。
【0111】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、生の多層集合基板ならびにこれを挟むように配置されている第1および第2の収縮抑制層を備える、生の複合積層体において、複数の多層セラミック基板を取り出すように分割される互いに直交する複数の縦方向分割線および複数の横方向分割線の各位置に沿って、第1の収縮抑制層を厚み方向に貫通しながら生の多層集合基板の厚みの一部にまで届く深さをもって、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝をそれぞれ設けるにあたって、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝の少なくとも一方については、その配列における両端に位置するものを除く切り込み溝の終端と当該切り込み溝の延長線上に位置する生の複合積層体の端縁との間の距離が3mm以上となるようにされている。
【0112】
したがって、焼成工程において、生の複合積層体において収縮抑制層による拘束力を多層集合基板に対して及ぼすに際して、収縮抑制層のマージン部における剛性を高く維持することができる。
【0113】
また、生の複合積層体には、第1の収縮抑制層を厚み方向に貫通しかつ生の多層集合基板の厚みの一部にまで届く深さをもって、分割のための切り込み溝が形成されるので、この生の複合積層体全体を積層方向に十分にプレスした後、切り込み溝を形成する工程を実施できる。したがって、生の多層集合基板と第1および第2の収縮抑制層との間の密着強度を十分に高めることが容易であり、そのため、収縮抑制層により収縮抑制作用が十分に及ぼされた状態で焼成工程を実施することができる。
【0114】
これらのことから、焼結後の多層集合基板において、不所望な反りや変形や歪み等を生じにくくすることができ、得ようとする多層セラミック基板の配線導体の高密度化を問題なく図ることができるようになるとともに、得られた多層集合基板の反り等による歩留まりの低下を防止することができ、そのため、多層集合基板の大面積化を図ることが可能となり、その結果、多層セラミック基板の生産効率を高めることができる。
【0115】
また、第1の収縮抑制層側にのみ切り込み溝が設けられても、上述のように、切り込み溝の設ける態様を制御することによって反りが抑制されるので、このような反りを抑制するため、あえて第2の収縮抑制層側にも切り込み溝を設ける必要はない。そのため、第1および第2の収縮抑制層のいずれの側にも切り込み溝を設ける場合に遭遇する、互いの間での厳密な位置合わせを必要とするといった問題を回避でき、また、切り込み溝を設けるための工程数が増えるという問題も解消することができる。
【0116】
この発明において、以下のような条件を満たすようにされると、このような条件を満たさないものに比べて、反りおよび/または歪みの抑制効果がより高められる。
【0117】
すなわち、第1に、切り込み溝の終端と生の複合積層体の端縁との間の距離が10mm以上となるようにされることである。第2に、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝の双方について、切り込み溝の終端と生の複合積層体の端縁との間の距離が3mm以上、より好ましくは10mm以上となるようにされることである。第3に、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝の少なくとも一方のすべての終端と生の複合積層体の端縁との間の距離が3mm以上となるようにされることである。
【0118】
また、この発明において、生の多層集合基板に備えるセラミックグリーン層が、ガラスまたは結晶化ガラスを含むとき、比較的低温での焼結が可能であるので、収縮抑制層に含まれる無機材料粉末の選択の幅を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態による製造方法を実施して多層セラミック基板を製造する途中の段階で得られる複合積層体11を示す平面図である。
【図2】図1に示した複合積層体11の一部を拡大して図解的に示す断面図である。
【図3】この発明の第2の実施形態による製造方法を実施して多層セラミック基板を製造する途中の段階で得られる複合積層体11aを示す、図1に相当する平面図である。
【図4】この発明の第3の実施形態による製造方法を実施して多層セラミック基板を製造する途中の段階で得られる複合積層体11bを示す、図1に相当する平面図である。
【図5】この発明の第4の実施形態による製造方法を実施して多層セラミック基板を製造する途中の段階で得られる複合積層体11cを示す、図1に相当する平面図である。
【図6】この発明の第5の実施形態による製造方法を実施して多層セラミック基板を製造する途中の段階で得られる複合積層体11dを示す、図1に相当する平面図である。
【図7】実験例において試料2〜4として作製した複合積層体11eを示す平面図である。
【図8】実験例において試料5および6として作製した複合積層体11fを示す平面図である。
【図9】実験例において試料7として作製した複合積層体11gを示す平面図である。
【図10】実験例において試料1として作製した複合積層体11hを示す平面図である。
【図11】この発明にとって興味ある従来の多層集合基板2を示す、図2に相当する断面図である。
【図12】この発明にとって興味ある従来の他の多層集合基板2aを示す、図2に相当する断面図である。
【符号の説明】
11,11a,11b,11c,11d,11e,11f,11g,11h 複合積層体
12 導体膜
13 セラミックグリーン層
14 多層集合基板
15 縦方向分割線
16 第1の収縮抑制層
17 第2の収縮抑制層
18 無機材料グリーンシート
19 縦方向切り込み溝
20 横方向切り込み溝

Claims (6)

  1. 複数の積層されたセラミック層を備える、多層セラミック基板を製造する方法であって、
    セラミック絶縁材料粉末を含みかつ焼成されることによって複数の前記セラミック層となる複数のセラミックグリーン層を有する生の多層集合基板を備え、焼成後において互いに直交する複数の縦方向分割線および複数の横方向分割線に沿ってそれぞれ分割されることによって複数の前記多層セラミック基板を取り出すことができるようにされていて、前記セラミック絶縁材料粉末の焼結温度では焼結しない無機材料粉末を含む第1および第2の収縮抑制層が、前記生の多層集合基板を積層方向に挟むように配置されている、生の複合積層体を作製する工程と、
    前記生の複合積層体における前記縦方向分割線および前記横方向分割線の各位置に沿い、かつ前記第1の収縮抑制層を厚み方向に貫通しながら前記生の多層集合基板の厚みの一部にまで届く深さをもって、縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝をそれぞれ設ける工程と、
    前記縦方向切り込み溝および前記横方向切り込み溝がそれぞれ設けられた前記生の複合積層体を、前記セラミック絶縁材料粉末が焼結するが前記無機材料粉末が焼結しない条件下で焼成し、それによって、前記第1および第2の収縮抑制層によって挟まれた焼結後の前記多層集合基板を得る工程と、次いで、
    前記第1および第2の収縮抑制層を除去し、それによって、焼結後の前記多層集合基板を取り出す工程と、
    焼結後の前記多層集合基板を前記縦方向切り込み溝および前記横方向切り込み溝に沿ってそれぞれ分割し、それによって、複数の前記多層セラミック基板を取り出す工程と
    を備え、
    前記縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝をそれぞれ設ける工程において、前記縦方向切り込み溝および前記横方向切り込み溝の少なくとも一方について、その配列における両端に位置するものを除く切り込み溝の終端と当該切り込み溝の延長線上に位置する前記生の複合積層体の端縁との間の距離が3mm以上となるようにされることを特徴とする、多層セラミック基板の製造方法。
  2. 前記縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝をそれぞれ設ける工程において、前記縦方向切り込み溝および前記横方向切り込み溝の双方について、前記切り込み溝の終端と前記生の複合積層体の端縁との間の距離が3mm以上となるようにされることを特徴とする、請求項1に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  3. 前記縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝をそれぞれ設ける工程において、前記縦方向切り込み溝および前記横方向切り込み溝の少なくとも一方について、前記切り込み溝の終端と前記生の複合積層体の端縁との間の距離が10mm以上となるようにされることを特徴とする、請求項1または2に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  4. 前記縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝をそれぞれ設ける工程において、前記縦方向切り込み溝および前記横方向切り込み溝の双方について、前記切り込み溝の終端と前記生の複合積層体の端縁との間の距離が10mm以上となるようにされることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の多層セラミック基板の製造方法。
  5. 前記縦方向切り込み溝および横方向切り込み溝をそれぞれ設ける工程において、前記縦方向切り込み溝および前記横方向切り込み溝の少なくとも一方のすべての終端と前記生の複合積層体の端縁との間の距離が3mm以上となるようにされることを特徴とする、請求項1または2に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  6. 前記セラミックグリーン層は、ガラスまたは結晶化ガラスを含む、請求項1ないし5のいずれかに記載の多層セラミック基板の製造方法。
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