JP5051513B2 - 多層セラミック集合基板の製造方法 - Google Patents

多層セラミック集合基板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5051513B2
JP5051513B2 JP2007034560A JP2007034560A JP5051513B2 JP 5051513 B2 JP5051513 B2 JP 5051513B2 JP 2007034560 A JP2007034560 A JP 2007034560A JP 2007034560 A JP2007034560 A JP 2007034560A JP 5051513 B2 JP5051513 B2 JP 5051513B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
multilayer ceramic
green sheet
ceramic material
groove
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007034560A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008198904A (ja
Inventor
到 上田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP2007034560A priority Critical patent/JP5051513B2/ja
Publication of JP2008198904A publication Critical patent/JP2008198904A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5051513B2 publication Critical patent/JP5051513B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)
  • Structure Of Printed Boards (AREA)

Description

本発明は、多層セラミック基板に関するもので、特に大型の多層セラミック集合基板とその製造方法、及びその集合基板から複数個の小片に分割して得られる多層セラミック基板に関するものである。
今日、LSI・チップ部品等は小型化・軽量化が益々進んでおり、これらを実装する配線基板も小型化・軽量化が望まれている。このような要求に対して、基板内に内部電極等を配した多層セラミック基板は、要求される高密度配線が可能となり、かつ薄型化が可能なことから、多層セラミック基板は、携帯電話等の移動体通信端末機器の分野などにおいて、アンテナスイッチモジュール、PAモジュール基板、フィルタ、チップアンテナ、各種パッケージ部品等の種々の電子部品を構成するのに広く用いられている。
上記多層セラミック基板は、電子部品、半導体集積回路等を高密度に搭載すべく、低温焼成セラミック材料:LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)からなるセラミックグリーンシートにビアホールを開け、その穴に導体を充填し、シート表面には回路を構成する電極パターンを印刷形成し、これらのシートを複数枚積層し、圧着して未焼結の多層セラミック基板を形成する。その後、これを1,000℃以下の温度で焼成することにより製造されている。ところで、このような多層セラミック基板を製造する際のコスト抑制および小型基板製造のための一つの方法として、大型のセラミック集合基板を得て、それを複数個に分割する、いわゆる多数個取りと言われる方法がある。この方法は、基板用グリーンシートを積層した未焼結多層セラミック体の両面又は片面に縦方向と横方向の分割溝を交差して形成し、これを焼成して多層セラミック集合基板を作製する。その後、分割溝に沿って破断する、あるいは砥石カッター等で切断するなどして個々小片の多層セラミック基板を得るものである。
ところで、焼成工程中に軟化したガラスが緩やかに流動することで、有機成分の除去によって生じた気孔や、あるいはグリーンシートに存在していた気孔を充填する。これによって多層セラミック基板が緻密化する。しかしその一方で、基板分割用に焼成工程より前に形成した溝も、ガラスの流動によって溝が浅くなってしまい、分割のし易さが悪化する。その結果、分割時の不良が発生し易くなる。また、未焼結多層セラミック体の外周部は、製品部を含む内側の部分と比較して積層体の厚さが薄くなり易く、未焼結多層セラミック体に刃を押し当てて溝を形成して焼成する方法では、未焼結の段階で形成される外周部の溝は製品部の溝と比較して浅く、その結果外周部の分割溝が浅くなってしまうという問題がある。外周部は、分割時の起点になるため、特に分割溝の分割し易さが重要となる。
特許文献1では加圧下で焼成する際のガラスの流動によって分割用の溝が浅くなってしまう問題の対策として、分割用の溝に難焼結性の材料を挿入する方法について述べている。
特許文献2では焼結収縮開始温度が異なる異種材料を積層することにより、互いに焼結時の収縮を抑制し合い、結果として積層体のx−y方向の収縮を抑制できることを述べている。
特開平10−259063号公報 特開2001−15875号公報
特許文献1で示された方法では、分割用の溝にガラスセラミックスの焼結温度では焼結しない材料を充填するため、焼成工程の後に、前記焼結しない材料を除去する工程が必要になるという問題がある。
また、特許文献2で示されている方法で作製された積層体に対して分割溝を形成する場合には、積層体自身のx−y方向の収縮が抑制されているため、分割溝が埋まることなく、形状が維持されると考えられるが、上記のような方法は、そもそも複数の材料の調整が難しい、使用できる材料の組み合わせの制約が多くなる、という問題がある。
単に、分割溝の形状を維持するためであれば、必ずしも前記の方法を採る必要はない。そこで、本発明は分割溝を形成した多層セラミック集合基板において、分割溝の下方の構成に改良を加えることで、分割溝が埋まることがなく、分割性の良好な多層セラミック集合基板とその製造方法、及びその多層セラミック集合基板から得られる多層セラミック基板を提供することを目的とする。
本発明は、セラミックを含む低温焼結材からなる基板用グリーンシートを積層した未焼結多層セラミック体の両面又は片面に分割溝を形成し、前記未焼結多層セラミック体の焼結する温度で焼成してなる多層セラミック集合基板であって、前記多層セラミック集合基板の少なくとも一つの分割溝の下方に、分割溝の形状を維持するための領域を有することを特徴とする多層セラミック集合基板である。
このような構成とすることにより、焼成工程中のガラスの軟化のため分割溝が浅くなり、その結果、分割し易さが悪化することを抑制できる。
本発明は、セラミックを含む低温焼結材からなる基板用グリーンシートを積層した未焼結多層セラミック体の両面又は片面に分割溝を形成し、前記未焼結多層セラミック体の焼結する温度で焼成してなる多層セラミック集合基板であって、前記多層セラミック集合基板の少なくとも一つの分割溝の下方に、前記セラミックと異なる成分からなる領域を有し、前記分割溝は前記領域内で開口していることを特徴とする多層セラミック集合基板である。
この基板用グリーンシートに含まれるセラミックと異なる成分からなる領域は、収縮挙動などの相違から分割溝の形状を維持することができる。
また、前記分割溝の断面形状がU字状であることが好ましい。
本発明は、分割溝の形状を維持するための領域あるいはセラミックと異なる成分からなる領域が基板外周部に形成されていることを特徴とする多層セラミック集合基板である。
基板外周部のみに形成するならば、製品部へ及ぼす影響は少ない、あるいは全くないため、用いる材料の制約は小さくなる。また、製品部の信頼性も損なわれることがないので好ましい。
本発明は、セラミックを含む低温焼結材からなる基板用グリーンシートを積層した未焼結多層セラミック体の両面又は片面に分割溝を形成し、前記未焼結多層セラミック体の焼結する温度で焼成して多層セラミック集合基板となし、当該多層セラミック集合基板を前記分割溝に沿って分割してなる多層セラミック基板であって、前記分割溝の分割跡の下方に、前記セラミックと異なる成分からなる領域を有することを特徴とする多層セラミック基板である。
基板用グリーンシートに含まれるセラミックと異なる領域があると、後に製品基板をEDX等で分析した場合に分割溝形状を維持する領域を確認することが容易であるので品質確認と管理、維持をする上で好ましい。
本発明は、第1のガラスセラミック材を含む基板用グリーンシートに導体ペーストで所望の導体パターンを形成する工程と、前記基板用グリーンシートの分割溝に対応する位置に、前記第1のガラスセラミック材と異なる組成の第2のガラスセラミック材を含有するペーストで所望のパターンを形成する工程と、前記導体パターンと前記第2のガラスセラミック材を含有するペーストのパターンを適宜形成した基板用グリーンシートを積層、圧着して、内層のうち少なくとも一層に第2のガラスセラミック材のパターンを有する未焼結多層セラミック体を作製する工程と、前記未焼結多層セラミック体の両面又は片面の縦横方向に分割溝を、平面視で前記第2のガラスセラミック材を含有するペーストのパターン上に形成する工程と、前記未焼結多層セラミック体を当該未焼結多層セラミック体の焼結する温度で焼成する工程とを具備し、前記分割溝が前記領域内で開口している多層セラミック集合基板を得ることを特徴とする多層セラミック集合基板の製造方法である。
このとき、第1のガラスセラミック材と、第2のガラスセラミック材の収縮開始温度が50℃以上異なっていることが好ましい。
本発明によれば、焼結に伴って分割溝が埋まることを抑制して、分割溝の分割し易さが低下することが抑制された多層セラミック集合基板とその製造方法を提供することができる。また、このような集合基板から分割溝に沿って分割された信頼性の高い多層セラミック基板を提供することができる。
以下、本発明の多層セラミック集合基板について製造方法を含めて説明する。図1は多層セラミック集合基板の一部を示す断面図で、(a)は焼成前、(b)は焼成後を示している。図2は多層セラミック集合基板の斜視図の一例である。但し、多層セラミック集合基板の小片数は任意である。図3は多層セラミック集合基板の分割溝部分を示す断面図である。
図1に従って、多層セラミック集合基板の一実施例について製造方法と共に説明する。尚、工程順序や材料は一例を示しただけで、必ずしも下記である制約は無く、また複数の工程を同時に実施してもよい。場合によっては、不要となる工程は実施しない場合もある。
まず、低温焼成可能なセラミック材料の粉末とガラス成分の粉末からなる第1のガラスセラミック材及び有機バインダ、可塑剤、溶剤の混合物からなるスラリーを有機キャリアフィルム(PETフィルム)上にドクターブレード法により適宜の厚さ、およそ20〜200μmに成形して、複数の基板用グリーンシート1a、1b、1c、1d、1e、1fを準備する。尚、低温焼成可能なセラミックでなるグリーンシートの作製はドクターブレード法に限定されず、例えば圧延法、印刷法等によって作製することもできる。
また、用いる低温焼成可能なセラミック材料としては、800〜1000℃で銀などの導体ペーストと同時焼成できるセラミック材料であって、所謂LTCCセラミックスなら何でも使用できる。一例としては、ガラス粉末とセラミック粉末を混合したガラスセラミック粉末であり、ガラス粉末の組成として、PbO―SiO―B―RO(R:Li、Na、Kから選ばれた少なくとも一種)系で、ガラスを構成する主成分酸化物が質量%でPbO:5〜20%、SiO:50〜80%、B:0〜20%、RO:1〜10%であり、副成分としてAl、CaO、MgO、SrO、BaO、ZnO、Biを0〜10%含むものが好ましい。セラミック粉末としては、例えばAl、SiO、ZrO、TiO単体、あるいはそれらの酸化物とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物等が挙げられる。これらのセラミック粉末種はこれらガラス粉末とセラミック粉末の混合割合は体積比で35:65から80:20の範囲が適当である。そして、有機溶剤、有機バインダからなるビヒクルと混合した後、3本ロールにて混練することによって作製できる。
また、第2のガラスセラミック材は、上記第1のガラスセラミック材と焼結収縮挙動が異なっている必要がある。一例としては、Al:10〜60質量%、SiO:25〜60質量%、SrO:7.5〜50質量%、TiO:20質量%以下(0を含む)であり、その主成分100質量部に対して、副成分として、Bi、Na、K、Coの群のうちの少なくとも1種をBi換算で0.1〜10質量%、NaO換算で0.1〜5質量%、KO換算で0.1〜5質量%、CoO換算で0.1〜5質量%含有し、更に、Cu、Mn、Agの群のうちの少なくとも1種をCuO換算で0.01〜5質量%、MnO換算で0.01〜5質量%、Agを0.01〜5質量%含有し、その他不可避不純物を含有している混合物を一旦700℃〜850℃で仮焼し、これを粉砕して平均粒径0.6〜2μmの微粉砕粒子と、少なくとも、有機溶剤、有機バインダからなるビヒクルと混合した後、3本ロールにて混練することによって作製できる。
上記基板用グリーンシート1a、1b、1c、1d、1e、1fに適宜ビアホールを作製し、ビアホールにAg等の導体ペーストでビア導体3を作製する。また所望の基板用グリーンシートの表面に同じ導体ペーストで導体パターン2を印刷により5〜35μm厚さに形成する。これらの導体パターンによりインダクタ、伝送線路、コンデンサ、グランド電極等を形成し、上記ビア導体により接続して適宜回路を構成する。尚、所望の基板用グリーンシートとは、多層セラミック集合基板の回路設計の必要に応じてビア導体3や導体パターン2を形成するグリーンシートをいう。この例では、全ての基板用グリーンシートにビア導体や導体パターンを形成した。
導体パターンを形成した後、分割溝を形成する箇所に対応する位置(平面視で分割溝と重なる位置)に、例えば上述したように第2のガラスセラミック材を含有するペーストを印刷(厚み10〜20μm程度)することでパターン4を形成した。第2のガラスセラミック材を含有するペーストは、多層セラミック集合基板を構成する内層のうちの1層だけでなく複数層に形成してもよい。しかし少なくとも分割溝の切込み部の下端よりも上方に分割溝の形状を維持する領域が形成されている必要がある。なお、このパターン形成法は、印刷法に限定されず、例えば第2のガラスセラミック材を含んだグリーンシートを該当する箇所に搭載する方法によっても形成することができる。即ち、当該グリーンシートを細長い短冊状に加工して、それを分割溝の下方の位置に配置し、圧着するなどして形成することもできる。
また、分割溝が浅くなり易く、かつ分割し易さを確保することが重要であるのは、外周部であるので、分割溝の形状を維持する領域は、外周部に相当する箇所のみに形成するだけでもよい。分割溝形状を維持する領域を外周部のみに形成する場合であれば、電気特性や信頼性の点で製品部に及ぼす影響が少ない、あるいは全くないため、全分割溝の下方に形成する場合と比較すると、第2のガラスセラミック材の材料選択の自由度が大きくなるので、より望ましい。
次に、ビア導体3及び/又は導体パターン2及び/又は分割溝に対応する位置に焼結収縮挙動が基板用グリーンシートと異なる成分を含んだパターンを形成した複数の基板用グリーンシート1a、1b、1c、1d、1e、1fをプレスによる圧着、キャリアフィルムの剥離工程を繰り返して積層し未焼結多層セラミック体8を作製する。
先ず、未焼結多層セラミック体8の表層となる基板用グリーンシート1aを、固定用フィルム上にセットし、上側の金型で所定の圧力、温度、時間でプレスし圧着する。例えば、圧力10〜50kg/cm、温度30〜60℃、時間3〜15秒である。熱圧着上下の金型はヒーターを内蔵した単純な平板形状でよい。プレスによる圧着が終わると、基板用グリーンシート1aのキャリアフィルムを剥離する。この時、グリーンシートは固定用フィルムに強固に固定されており、キャリアフィルムの剥離に際して一緒に剥離されることはない。
次に、第2層目の基板用グリーンシート1bを積層する。基板用グリーンシート1bには、内層に所定の内部回路を構成する導体パターン2が印刷されている。基板用グリーンシート1bの主面が第1層の基板用グリーンシート1aに当接するようにセットし、第1層の基板用グリーンシート1aの場合と同様に、プレスし圧着する。この時、プレス温度を印刷ペースト内の粘着剤が軟化固着する温度とすれば、加圧力により印刷部が相手側の基板用グリーンシートと接合する。従って、基板用グリーンシート同士は、印刷導体ペーストを介して結合される。また、電極が無くセラミック層同士が直接接触するところも、電極を介する場合と同様に軟化して固着し結合する。このときの圧着温度は粘着剤の種類にもよるが、通常40〜90℃程度の低温でよく、接合強度は加圧力を変えることにより調整できる。圧着後、基板用グリーンシート1bのキャリアフィルムを剥離する。第3層の基板用グリーンシート1c以降は、第2層目の基板用グリーンシート1bの積層で述べたものと同様な一連の作業を繰り返す。また、積層体を強力に一体化させるために、さらに圧着工程を行ってもよい。ここでは6層としているが、積層数は特定できず、回路構成によって異なり10層以上の未焼結多層セラミック体とする場合もある。
この未焼結多層セラミック体の上下面(基板表面)に、適宜Agを主体とする導体ペーストを用いて、外部電極5、外部端子電極7を印刷形成する。さらに基板表面の導体パターン5、7の周囲にはオーバーコート材6を適宜形成する。このオーバーコート材の材質としては、焼結収縮特性や熱膨張特性が未焼結多層セラミック体の素材と近似していることが望ましい。例えば、基板用シートと同材質のスラリーにコート部分の視認性を向上するような機能を付与するための添加成分を加えたものが挙げられる。表面導体パターンの周縁にオーバーコートを被覆して電極被覆領域を形成することにより、表面の導体パターンの機械的保護と、後の工程で導体パターンの上に設けた半田が流れ出して導電部と接するなどの短絡防止ができる。尚、基体表面の導体パターンとオーバコート材は必ずしも未焼結多層セラミック体の状態で設ける必要はなく、焼結後の多層セラミック体に対して形成するのでも良い。
次に、CIP装置にて、100〜400kg/cm、85℃で熱圧着し、各層が一体化した未焼結多層セラミック体8となす(図1(a))。
その後、図2に示すように、上記未焼結多層セラミック体8の表面、通常は上面と下面の両面にナイフカッター等の治具により縦方向と横方向に交差する切り込み溝を形成し、分割溝10’を形成する。この分割溝10’は、集合基板の大きさや製品基板のサイズによって分割数は異なるが、回路を構成する導体パターンに悪影響がでないように隣り合う基板同士が干渉しない位置、概ね2〜15mm程度の距離を置いて切り込み溝を入れる。また、分割溝は両面でなく、上面か下面の何れか一方でも良い。
次に、上記積層体を焼成炉内で熱処理し、バインダの脱気を適宜行いながら未焼結多層セラミック体が焼結する温度である800〜1000℃で一体焼成を行い、多層セラミック集合基板9を得る(図1(b))。
多層セラミック集合基板9の一例を図2に示す。このように大型の基板9には縦方向および横方向に分割溝10が形成されており、この分割溝に沿って破断して小片の多層セラミック基板を得ることができる。
さて、このようにして得られた多層セラミック集合基板の分割溝部分の断面図を図3に示す。図3は、本発明の実施例の一例であり、多層セラミック集合基板9の上下面に分割溝10が形成され、この分割溝10の下方に分割溝の形状を維持する領域4が形成されている。分割溝の形状を維持する領域としては、焼成工程中の焼結収縮挙動が、基板用グリーンシートと異なる材料で形成する必要があり、望ましくは基板用グリーンシートと収縮開始温度が50℃以上異なる無機材料からなる領域として形成することができる。なぜならば、基板用グリーンシートからなる領域と分割溝の形状を維持する領域の収縮開始温度が十分に離れていると、基板用グリーンシートからなる領域が収縮する温度領域では、分割溝の形状を維持する領域は収縮せず、一方、分割溝の形状を維持する領域が収縮する温度領域では、基板用グリーンシートからなる領域が収縮しないため、互いの収縮を抑制することとなる。その結果、分割溝部の収縮も抑制されるため、分割溝の下端部が埋まってしまう現象を抑制することができるからである。なお、領域としているのは複数層に亘ってパターンを設ける場合や拡散の程度がある為はっきりと区別された、またある厚みを持った層にはならない場合があるからである。分割溝の形状を維持する領域は、基板用グリーンシート中とは異なる無機成分からなっているので、例えばSEM、EPMA、EDX等により分析することで異質の成分形態を確認することが出来る。
焼成後の多層セラミック集合基板は、図1(b)に示す様に一様に収縮する(10〜25%程度)。従来、収縮挙動にともない分割溝が埋まってしまい本来の機能を果たさなくなることがあった。一方、本発明によれば、第2のガラスセラミック材を含有する分割溝の形状を維持する領域と、第1のガラスセラミック材を含有する基板用グリーンシートからなる領域の焼結収縮挙動が異なるため、基板用グリーンシートからなる領域が収縮する温度領域では、分割溝の形状を維持する領域は収縮せず、一方、分割溝の形状を維持する領域が収縮する温度領域では、基板用グリーンシートからなる領域が収縮しないため、互いの収縮を抑制することとなる。このため、分割溝の下端部が埋まってしまう現象を抑制することができる。これによって、分割溝は十分な深さが保たれ、良好な分割し易さを確保できる。
さらに図面を基に説明を加える。焼成前の未焼結多層セラミック体に形成した本発明の分割溝の一例を図4に示した。ここで、未焼結多層セラミック体8に形成した分割溝10’は、その分割溝の下方に分割溝の形状を維持する領域が設けられている。この分割溝10’は未焼結多層セラミック体8を焼成した後には、図3に示すような分割溝10となる。焼成工程にて、分割溝の形状を維持する領域を設けられている箇所は、基板用グリーンシートと分割溝の形状維持するための領域はお互いの収縮を抑制し合うが、完全に収縮を抑制するわけではなく、若干の収縮は起こる。そのため、分割溝10は、当初はV字状であるが、焼成工程中に横方向に若干広がってU字状になる。分割溝の形状を維持する領域4があることにより、基板用グリーンシートの領域の収縮が抑制され、分割溝が浅くなることが防止される。これにより、分割溝が埋まってしまうことなく、分割溝の深さが維持されることとなる。一方、分割溝形状を維持する領域より十分下方では、ガラスの流動によって分割溝が狭められるため、過度に分割溝が深くなったりすることがない。
[実施例]
PbO:16質量%、SiO:65質量%、B:5質量%、NaO:4質量%、CaO:10質量%の組成からなるガラス粉末:50質量%と、アルミナ粉末:50質量%とを混合して第1のガラスセラミック材を作製した。第1のガラスセラミック材100質量部に対して有機バインダとしてPVBを15質量部、可塑剤としてDOP(フタル酸ビス(2-エチルヘキシル))を10質量部加えて、更に溶剤として、エタノールとブタノールの混合物を使用し、ボールミルにて20時間分散した。得られたスラリーを、減圧下にて脱泡し一部溶剤を揮発させて、ドクターブレード法にてシート成形した。得られた基体用グリーンシート(厚さ:60μm)を、キャリアフィルムと一緒に所定の大きさに裁断し、所定の導体パターンをAgペーストにてスクリーン印刷して形成した。
次に、Al:48質量%、SiO:38質量%、SrO:10質量%、TiO:4質量%、さらに主成分100質量部に対して、Bi:2.5質量%、NaO:2質量%、KO:0.5質量%、CuO:0.3質量%、MnO:0.5質量%、Ag:2質量%の組成のセラミック材を800℃×2時間で仮焼きし、これを微粉砕して平均粒径約1μmの第2のガラスセラミック材を作製した。第2のガラスセラミック材100質量部に対して、ビヒクル(田中貴金属社製ビヒクルTMC−108):60質量%とを乳鉢にて混合した後、さらに3本ロールにて混練し、第2のガラスセラミック材を含有するペーストを作製した。そして、前記基体用グリーンシート上の分割溝に対応する位置に、前記ペーストを印刷して形成した。尚、積層体は9層からなり、前記ペーストはその内の表側と裏側の3層ずつに形成した。
前記基体用グリーンシートの各層を順次、位置合わせ後、約60℃、圧力40kg/cm(3.9MPa)で熱圧着し、仮圧着状態の積層体を得た。その後、表層導体パターンやオーバコート材を形成し、CIP装置にて100Kg/cm(9.8MPa)、85℃で熱圧着し、各層が一体化した未焼結多層セラミック体を得た。その後、ナイフカッターにより積層体の表面に深さ60μmの表1に示す分割溝を形成した。この積層体を脱バインダを行い、875℃で30分間保持し焼結体となし、多層セラミック集合基板を得た。尚、集合基板1枚あたりの基板の取り数は48枚である。
焼結後の多層セラミック集合基板について個々の基板に分割し、分割溝部の観察を行い、分割位置不良(所望の位置で割れない場合)や分割面の不良(欠けやクラック発生)及び分割溝の基板表面からの深さの評価を行った。以上の結果を表1に示す。試料No1に実施例と同じ条件ではあるが分割溝の形状を維持する領域を形成しない比較例を示し、試料No2に本発明の実施例を示す。なお、表1の試料No.に*を付したのは比較例であることを示す。
Figure 0005051513
表1の試料No1とNo2の比較検討を行うと、第2のガラスセラミック材を含有するペーストを印刷し、分割溝の形状を維持する領域を形成したものは、分割溝が浅くなったりすることなく分割溝を形成できることが分かる。尚、焼成後の分割溝深さは5箇所を測定した平均を取っている。
また、分割後の個々の多層セラミック基板においては、EPMA、EDX等で断面を分析し、分割溝の形状を維持するペーストに含まれる元素、例えば本実施例においては、Srを確認することで分割溝の形状を維持する領域が正常に形成できていることを確認した。さらに、分割溝の形状を維持するペーストに多く含まれている元素についてマッピングすることによって、分割溝の形状を維持する領域が形成されている位置を確認することができる。
本発明の多層セラミック集合基板の一実施例を示し、その製造過程と共に説明する図で、(a)は焼成前、(b)は焼成後を示している。 本発明の多層セラミック集合基板の一例を示す斜視図である。 本発明の多層セラミック集合基板の分割溝部分の断面図である。 本発明の未焼結多層セラミック体の分割溝用の切り込み溝部分の断面図である。
符号の説明
1a〜1f:セラミックグリーンシート
2:内部電極
3:ビアホール
4:第2のガラスセラミック材を含む組成の層
5:外部電極
6:オーバーコート層
7:外部端子電極
8:未焼結多層セラミック体
9:多層セラミック集合基板
10:分割溝
10’:焼成前の分割溝

Claims (1)

  1. 第1のガラスセラミック材を含む基板用グリーンシートに導体ペーストで所望の導体パターンを形成する工程と、前記基板用グリーンシートの分割溝に対応する位置に前記第1のガラスセラミック材と異なる組成の第2のガラスセラミック材を含有するペーストで所望のパターンを形成する工程と、前記導体パターンと前記第2のガラスセラミック材を含有するペーストのパターンを適宜形成した基板用グリーンシートを積層、圧着して、内層のうち少なくとも一層に第2のガラスセラミック材のパターンを有する未焼結多層セラミック体を作製する工程と、前記未焼結多層セラミック体の両面又は片面の縦横方向に分割溝を、平面視で前記第2のガラスセラミック材を含有するペーストのパターン上に形成する工程と、前記未焼結多層セラミック体を当該未焼結多層セラミック体の焼結する温度で焼成する工程とを具備し、前記第1のガラスセラミック材と、前記第2のガラスセラミック材の収縮開始温度が50℃以上異なっており、前記分割溝が前記領域内で開口している多層セラミック集合基板を得ることを特徴とする多層セラミック集合基板の製造方法。
JP2007034560A 2007-02-15 2007-02-15 多層セラミック集合基板の製造方法 Active JP5051513B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007034560A JP5051513B2 (ja) 2007-02-15 2007-02-15 多層セラミック集合基板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007034560A JP5051513B2 (ja) 2007-02-15 2007-02-15 多層セラミック集合基板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008198904A JP2008198904A (ja) 2008-08-28
JP5051513B2 true JP5051513B2 (ja) 2012-10-17

Family

ID=39757564

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007034560A Active JP5051513B2 (ja) 2007-02-15 2007-02-15 多層セラミック集合基板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5051513B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN117292869B (zh) * 2023-10-10 2024-10-29 江苏飞特尔通信有限公司 一种应用于5g ltcc滤波器的外电极材料、5g ltcc滤波器及其制备方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004022637A (ja) * 2002-06-13 2004-01-22 Murata Mfg Co Ltd 多層集合基板およびその製造方法ならびに多層セラミック基板の製造方法
JP2004063501A (ja) * 2002-07-24 2004-02-26 Kyocera Corp 多数個取りセラミック基板およびその製造方法
JP2004146766A (ja) * 2002-08-27 2004-05-20 Kyocera Corp 多数個取り多層配線基板

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008198904A (ja) 2008-08-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5645136B2 (ja) 誘電体磁器組成物、多層誘電体基板、電子部品、及び誘電体磁器組成物の製造方法
JP4507012B2 (ja) 多層セラミック基板
JPH0992983A (ja) セラミック多層基板の製造方法
JP4867276B2 (ja) セラミック基板の製造方法
US6942833B2 (en) Ceramic multilayer substrate manufacturing method and unfired composite multilayer body
US20030062111A1 (en) Method of manufacturing glass ceramic multilayer substrate
KR101175412B1 (ko) 적층형 세라믹 전자부품의 제조방법
JP7309666B2 (ja) 多層セラミック基板及び電子装置
JP4110536B2 (ja) 多層セラミック集合基板および多層セラミック集合基板の製造方法
JP5051513B2 (ja) 多層セラミック集合基板の製造方法
KR100439677B1 (ko) 다층 기판 및 그의 제조방법
JP2008041828A (ja) 積層電子部品
JP4565383B2 (ja) キャビティを備えた多層セラミック基板およびその製造方法
WO2009119198A1 (ja) セラミック基板の製造方法
JP3955389B2 (ja) コンデンサ内蔵基板およびその製造方法
JP4496529B2 (ja) 多層セラミック基板の製造方法及び多層セラミック基板
JP4645962B2 (ja) 多層セラミック基板
JP4595199B2 (ja) 多層セラミック基板の製造方法
JP2006108483A (ja) キャビティを備えた多層セラミック基板およびその製造方法
JP2007221115A (ja) 導体ペースト及び多層セラミック基板の製造方法
KR100289959B1 (ko) 저온동시소성세라믹의 내장 커패시터 제조방법
JP2008186909A (ja) セラミック多層基板
JP2008124108A (ja) 多層セラミック集合基板および多層セラミック基板並びに多層セラミック集合基板の製造方法
JP4817855B2 (ja) コンデンサ内蔵配線基板およびその製造方法
JP2010278117A (ja) 配線基板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100113

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110225

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110922

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111021

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120413

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120605

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120629

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120712

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5051513

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150803

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350