JP2004022637A - 多層集合基板およびその製造方法ならびに多層セラミック基板の製造方法 - Google Patents
多層集合基板およびその製造方法ならびに多層セラミック基板の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】多層集合基板をブレーク用溝に沿ってチョコレートブレーク態様で分割するとき、分割に要する力の大きさを安定化させる。
【解決手段】複数のセラミックグリーンシート2を積層することによって生の積層体3を作製するとき、生の積層体3の内部においてブレーク用溝6の両側に跨るように、焼成工程における収縮度合いがセラミックグリーンシート2よりも小さい材料からなるダミー層9を特定のセラミックグリーンシート2上に形成し、ダミー層9を分断し得る深さまでブレーク用溝6を形成し、分断されたダミー層9を、焼成工程において、セラミックグリーンシート2とダミー層9との収縮度合いの差によって、再び一体化し、多層集合基板1に設けられたブレーク用溝6の底部側の端部が、ダミー層6によって規定されるようにし、ブレーク用溝6の深さを一定にする。
【選択図】 図2
【解決手段】複数のセラミックグリーンシート2を積層することによって生の積層体3を作製するとき、生の積層体3の内部においてブレーク用溝6の両側に跨るように、焼成工程における収縮度合いがセラミックグリーンシート2よりも小さい材料からなるダミー層9を特定のセラミックグリーンシート2上に形成し、ダミー層9を分断し得る深さまでブレーク用溝6を形成し、分断されたダミー層9を、焼成工程において、セラミックグリーンシート2とダミー層9との収縮度合いの差によって、再び一体化し、多層集合基板1に設けられたブレーク用溝6の底部側の端部が、ダミー層6によって規定されるようにし、ブレーク用溝6の深さを一定にする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の多層セラミック基板を取り出すための多層集合基板およびその製造方法に関するもので、特に、複数の多層セラミック基板を取り出すための分割を容易にするためのブレーク用溝が設けられた多層集合基板およびその製造方法ならびにこの多層集合基板を用いて実施される多層セラミック基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多層セラミック基板は、その製造の能率化を図るため、しばしば、多層集合基板の状態で用意され、この多層集合基板を分割することによって、複数の多層セラミック基板を取り出すようにされる。
【0003】
多層集合基板は、複数のセラミックグリーンシートが積層された積層体を焼成することによって得られたものであり、積層された複数のセラミック層をもって構成された積層構造を有している。
【0004】
多層集合基板の主面上には、たとえば格子状に配置された複数のブレーク用溝が設けられている。これら複数のブレーク用溝によって区画された複数の領域に、得ようとする多層セラミック基板が構成されている。そして、ブレーク用溝に沿ってチョコレートブレーク態様で分割することによって、この多層集合基板から複数の多層セラミック基板を取り出すことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したブレーク用溝は、焼成によって多層集合基板となる生の積層体の段階で、たとえばカット刃を用いて、その主面にハーフカット状の切込みを入れることによって形成される。
【0006】
他方、多層集合基板をブレーク用溝に沿ってチョコレートブレーク態様で分割する際に要する力の大きさは、ブレーク用溝の形成の結果残された部分の厚みに関係し、この残された部分の厚みは、ブレーク用溝の深さに関係する。そのため、ブレーク用溝に沿う分割に必要な力の大きさを安定化させるには、ブレーク用溝の深さができるだけ一定になるように管理する必要がある。
【0007】
ブレーク用溝の深さが一定しないと、分割に要する力の大きさが安定しないので、多層集合基板の取扱い中にブレーク用溝に沿って不用意に分割されたり、あるいは、分割が困難になり、分割がブレーク用溝に沿って生じず、得ようとする多層セラミック基板が損傷したりすることがある。
【0008】
しかしながら、ブレーク用溝は、前述したように、生の積層体の主面にハーフカット状の切込みを入れることによって形成されるものであるので、その深さを一定にすることは必ずしも容易ではない。そのため、特に、低背化の要望を満たすように薄型化された多層セラミック基板を得るための多層集合基板または生の積層体にあっては、その厚みを薄くする必要があるが、このように厚みが薄くされるほど、ブレーク用溝の深さのばらつきは、分割に要する力の大きさのばらつきにより大きく影響する。
【0009】
そこで、この発明の目的は、ブレーク用溝の深さに関して、それほど厳しい管理をしなくても、分割に要する力の大きさを安定化させることができる、多層集合基板およびその製造方法ならびにこの多層集合基板を用いて実施される多層セラミック基板の製造方法を提供しようとすることである。
【0010】
この発明のより限定的な目的は、ブレーク用溝の深さを一定にすることが容易な多層集合基板の製造方法を提供しようとすることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、複数のセラミックグリーンシートが積層された生の積層体を焼成する焼成工程を経て得られたものであり、積層された複数のセラミック層をもって構成された積層構造を有し、その主面には所定の深さを有する複数のブレーク用溝が設けられ、これら複数のブレーク用溝によって区画された複数の領域に多層セラミック基板が構成されていて、ブレーク用溝に沿って分割することによって複数の多層セラミック基板を取り出すことができるようにされた、多層集合基板にまず向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
【0012】
すなわち、焼成工程における収縮度合いがセラミックグリーンシートよりも小さい材料からなるダミー層が、ブレーク用溝の両側に跨るように配置され、ブレーク用溝の深さ方向の一方端部が、ダミー層によって規定されていることを特徴としている。
【0013】
上述したダミー層は、第1の実施態様では、多層集合基板の内部に形成され、ブレーク用溝の底部側の端部が、このダミー層によって規定される。第2の実施態様では、ダミー層は、多層集合基板の主面上に形成され、ブレーク用溝の開口側の端部が、このダミー層によって規定される。
【0014】
ダミー層は、好ましくは、金属粉末の焼結体を含む。
【0015】
また、ダミー層は、ブレーク用溝に沿って断続的に配置されることが好ましい。
【0016】
この発明は、また、複数のブレーク用溝によって区画された複数の領域に多層セラミック基板が構成されていて、ブレーク用溝に沿って分割することによって複数の多層セラミック基板を取り出すことができるようにされた、多層集合基板を製造する方法にも向けられる。この製造方法は、複数のセラミックグリーンシートを積層することによって生の積層体を作製する、積層体作製工程と、生の積層体の主面にブレーク用溝を形成する、溝形成工程と、生の積層体を焼成する、焼成工程とを備えている。
【0017】
このような多層集合基板の製造方法において、前述した第1の実施態様による多層集合基板を得ようとする場合には、前述した技術的課題を解決するため、積層体作製工程は、生の積層体の内部においてブレーク用溝の両側に跨るように、焼成工程における収縮度合いがセラミックグリーンシートよりも小さい材料からなるダミー層を特定のセラミックグリーンシート上に形成する工程を備え、溝形成工程は、ダミー層を分断し得る深さまでブレーク用溝を形成するように実施され、分断されたダミー層を、焼成工程において、セラミックグリーンシートとダミー層との収縮度合いの差によって、再び一体化することを特徴としている。
【0018】
他方、この発明に係る多層集合基板の製造方法において、前述した第2の実施態様による多層集合基板を得ようとする場合には、前述した技術的課題を解決するため、積層体作製工程は、生の積層体の主面上においてブレーク用溝の両側に跨るように、焼成工程における収縮度合いがセラミックグリーンシートよりも小さい材料からなるダミー層を特定のセラミックグリーンシート上に形成する工程を備え、溝形成工程は、ダミー層を分断しながらブレーク用溝を形成するように実施され、分断されたダミー層を、焼成工程において、セラミックグリーンシートとダミー層との収縮度合いの差によって、再び一体化することを特徴としている。
【0019】
この発明に係る多層集合基板の製造方法に備える溝形成工程において形成されるブレーク用溝は、断面V字状であることが好ましい。
【0020】
また、積層体作製工程において、ダミー層は金属粉末を含むペーストによって形成されることが好ましい。
【0021】
また、積層体作製工程において、ダミー層は、ブレーク用溝に沿って断続的に配置されるように形成されることが好ましい。
【0022】
この発明は、また、上述のような製造方法によって得られた、多層集合基板にも向けられる。
【0023】
さらに、この発明は、上述のような多層集合基板を用いて実施される多層セラミック基板の製造方法にも向けられる。この多層セラミック基板の製造方法は、この発明に係る多層集合基板を用意する工程と、ブレーク用溝に沿って多層集合基板を分割する工程とを備えることを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、この発明の第1の実施形態を説明するためのものである。ここで、図1は、多層集合基板1を概略的に示す平面図であり、図2は、図1の線II−IIに沿う拡大断面図に相当するもので、図2(1)は焼成前の状態を示し、図2(2)は焼成後の状態を示している。したがって、図1に示した多層集合基板1の一部は、拡大断面図をもって図2(2)に示されていることになる。
【0025】
多層集合基板1は、図2(1)に示すような複数のセラミックグリーンシート2が積層された生の積層体3を焼成する焼成工程を経て得られたものであり、図2(2)に示すように、セラミックグリーンシート2の焼結によって得られた、積層された複数のセラミック層4をもって構成された積層構造を有している。
【0026】
多層集合基板1の一方主面5上には、図1によく示されているように、格子状に配置された複数のブレーク用溝6が設けられている。これら複数のブレーク用溝6によって区画された複数の領域7には、多層セラミック基板8が構成されている。なお、多層セラミック基板8は、内部、表面または裏面に設けられる回路素子または配線導体等の図示が省略された状態で示されている。
【0027】
このような多層集合基板1を、ブレーク用溝6に沿ってチョコレートブレーク態様で分割することによって、複数の多層セラミック基板8を取り出すことができる。
【0028】
この実施形態の特徴となる構成として、図2(2)に示すように、多層集合基板1の内部には、ブレーク用溝6の両側に跨るように、ダミー層9が配置されている。そして、ブレーク用溝6の底部側の端部は、このダミー層9によって規定されている。
【0029】
ダミー層9は、セラミックグリーンシート2よりも焼成工程における収縮度合いが小さい材料から構成される。言い換えると、焼成工程における焼成収縮率を、「焼成収縮率=(焼成後の寸法)/(焼成前の寸法)」と定義したとき、ダミー層9は、セラミックグリーンシートよりも焼成収縮率の大きい材料から構成される。たとえば、ダミー層9は、焼成前には金属粉末を含むペーストから形成され、焼成後には金属粉末の焼結体を含む組成をもって構成される。
【0030】
また、ダミー層9は、ブレーク用溝6に沿って連続的に延びるように配置されてもよいが、この実施形態では、図1に示すように、ブレーク用溝6に沿って断続的に配置されている。図1では、ブレーク用溝6によって区画された各領域7にある多層セラミック基板8の4辺の各々について3つのダミー層9がそれぞれ分布しているように図示されているが、その数は必要に応じて増減することができる。
【0031】
また、図1では、明瞭な図解を目的として、ダミー層9が比較的大きく図示されているが、実際には、一例として、多層セラミック基板の1つの辺の長さを3.2〜4.5mmとしたとき、ブレーク用溝6に沿う長さ方向寸法が500μm程度およびブレーク用溝6に直交する方向の幅方向寸法が100〜200μm程度の大きさのダミー層9が形成される。
【0032】
このような多層集合基板1を製造するため、次のような工程が実施される。
【0033】
図2(1)を参考にして説明すると、まず、複数のセラミックグリーンシート2が用意され、これらセラミックグリーンシート2の特定のものには、多層セラミック基板8において必要とする配線導体となるべき導電性ペーストが印刷によって付与される。ビアホール導体を設ける場合には、セラミックグリーンシート2に貫通孔が設けられ、この貫通孔に導電性ペーストを充填することが行なわれる。
【0034】
また、特定のセラミックグリーンシート2上には、ダミー層9がたとえば印刷によって形成される。このとき、ダミー層9は、たとえば、金属粉末を含むペーストすなわち導電性ペーストによって形成される。導電性ペーストに含まれる金属粉末としては、たとえば、銅、銀、銀−パラジウム合金、ニッケル、金等を含む粉末が用いられる。好ましくは、ダミー層9の形成のために、前述した配線導体の形成のための導電性ペーストと同じものが用いられる。この場合には、ダミー層9のための導電性ペーストの印刷を、配線導体のための導電性ペーストの印刷と同時に行なうことができる。
【0035】
次に、複数のセラミックグリーンシート2を積層し、圧着することによって、生の積層体3が得られる。この生の積層体3において、ダミー層9は、その内部に位置している。
【0036】
次に、生の積層体3の一方主面5に、たとえばカット刃を用いてハーフカット状の切込みを入れることによって、図2(1)に示すように、ブレーク用溝6が形成される。このブレーク用溝6は、ダミー層9を分断し得る深さまで形成されればよく、この条件を満たす限り、ブレーク用溝6の深さに関して、それほど厳しい管理をする必要はない。ブレーク用溝6は、図2に示されているように、断面V字状とされることが好ましい。
【0037】
一例として、ダミー層9が生の積層体3の主面5から100μm下方に位置しているとき、150μm程度の深さをもってブレーク用溝6が形成される。
【0038】
次に、図2(1)に示した状態にある生の積層体3を焼成する、焼成工程が実施される。この焼成工程を終えて得られた多層集合基板1におけるブレーク用溝6の部分が図2(2)に示されている。
【0039】
図2(2)に示すように、分断されたダミー層9は、焼成工程において、セラミックグリーンシート2とダミー層9との収縮度合いの差によって、再び一体化されている。
【0040】
すなわち、焼成工程において、セラミックグリーンシート2は、比較的大きく収縮し、ブレーク用溝6の幅を狭め、これに伴われて、ダミー層9の分断された各部分が互いに近づき、しかも、このとき、ダミー層9においてはそれほど収縮が生じないため、分断されたダミー層9が再び一体化される。その結果、前述したように、ブレーク用溝6の深さ方向の一方端部、より具体的には、底部側の端部が、ダミー層9によって規定された状態となる。
【0041】
したがって、ブレーク用溝6の深さは、ハーフカット状の切り込みの深さではなく、ダミー層9の位置によって決定されることになり、焼成後の多層集合基板1において、ブレーク用溝6の深さを一定にすることができる。
【0042】
焼成前の段階でブレーク用溝6の下半部を与えていたダミー層9より下側の部分は、ここにブレーク用溝6の痕跡10を残すこともあるが、セラミックグリーンシート2の焼成工程での収縮によって、完全にまたはほとんど閉じられた状態となり得る。なお、前述したように、生の積層体3に形成されるブレーク用溝6の断面形状がV字状にされると、焼成工程の結果、ブレーク用溝6のダミー層9より下側の部分が閉じられた状態をより容易に得ることができる。
【0043】
このようにして多層集合基板1が得られた後、ブレーク用溝6に沿ってチョコレートブレーク態様で多層集合基板1を分割すれば、複数の多層セラミック基板8を得ることができる。この分割に際して、ブレーク用溝6の、特にダミー層9が形成された部分での深さが一定とされているので、分割に必要な力の大きさを安定化させることができ、所定の力によって、確実に分割を行なうことができる。また、多層集合基板1を得た後、何らかの取扱い中にブレーク用溝6に沿って不用意に分割されにくくすることができる。
【0044】
図3および図4は、この発明の第2の実施形態を説明するためのものである。ここで、図3は、図1に対応するもので、多層集合基板11を概略的に示す平面図である。図4は、図2に対応するもので、図3の線IV−IVに沿う拡大断面図であり、図4(1)は焼成前の状態を示し、図4(2)は焼成後の状態を示す。
【0045】
なお、図3および図4において、図1および図2に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0046】
この実施形態では、ダミー層19が、多層集合基板11の一方主面5上に形成され、図4(2)によく示されているように、ブレーク用溝16の開口側の端部が、ダミー層19によって規定されていることを特徴としている。
【0047】
ダミー層19の材料としては、第1の実施形態におけるダミー層9の場合と同様のものを用いることができる。また、この実施形態においても、ダミー層19は、ブレーク用溝16に沿って断続的に配置されている。
【0048】
このような多層集合基板を製造するため、第1の実施形態の場合と同様、複数のセラミックグリーンシート2が積層された、図4(1)に示すような生の積層体13を作製する、積層体作製工程が実施されるが、この積層体作製工程では、生の積層体13の主面5上においてブレーク用溝16の両側に跨るように、ダミー層19を特定のセラミックグリーンシート2上に形成する工程が実施される。この場合、ダミー層19は、積層前のセラミックグリーンシート2上に形成されても、積層後のセラミックグリーンシート2すなわち生の積層体13の主面5上に形成されてもよい。
【0049】
次に、生の積層体13の主面に、図4(1)に示すように、ダミー層19を分断しながらブレーク用溝16を形成する、溝形成工程が実施される。この溝形成工程において形成されるブレーク用溝16は、図4(1)に示すように、断面V字状であることが好ましい。
【0050】
次に、生の積層体13を焼成する、焼成工程が実施される。この焼成工程の結果、図4(2)に示すように、分断されたダミー層19は、セラミックグリーンシート2とダミー層19との収縮度合いの差によって、再び一体化される。
【0051】
すなわち、焼成工程において、セラミックグリーンシート2は、比較的大きく収縮し、ブレーク用溝16の幅を狭め、これに伴われて、ダミー層19の分断された各部分が互いに近づき、しかも、このとき、ダミー層19においてはそれほど収縮が生じないため、分断されたダミー層19は再び一体化される。その結果、前述したように、ブレーク用溝16の深さ方向の一方端部、より具体的には、開口側の端部が、ダミー層19によって規定された状態となる。
【0052】
この場合、図4(1)に示した溝形成工程において形成されたブレーク用溝16の断面形状がV字状であると、図4(2)に示すように、ダミー層19が再び一体化された後においても、ブレーク用溝16を確実に残すことができる。
【0053】
このようにして得られた多層集合基板11を、ブレーク用溝16に沿ってチョコレートブレーク態様で分割すれば、複数の多層セラミック基板8を得ることができる。この分割工程において、分割に要する力の大きさを決定するのに、ブレーク用溝16の深さよりも、むしろダミー層19が支配的になるので、ブレーク用溝16の深さがばらついても、分割に要する力の大きさを安定化させることができる。
【0054】
以上、この発明を、図示した実施形態に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他、種々の変形例が可能である。
【0055】
たとえば、図示の実施形態では、ダミー層9および19は、金属粉末を含む導電性ペーストによって形成されたが、焼成工程における収縮度合いがセラミックグリーンシート2より小さい材料であれば、たとえば非導電性材料をもって形成されてもよい。
【0056】
また、ダミー層9および19は、金属粉末を含む場合、得られた多層セラミック基板8において、何らかの電気的機能を果たす配線導体の一部として用いられてもよい。
【0057】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、ブレーク用溝の両側に跨るように、ダミー層が配置され、このダミー層によって、ブレーク用溝の深さ方向の一方端部が規定されるので、ダミー層が、多層集合基板の内部に形成され、ブレーク用溝の底部側の端部が、ダミー層によって規定される場合には、ダミー層の、多層集合基板の内部での位置によって、ブレーク用溝の深さを決定することができ、他方、ダミー層が、多層集合基板の主面上に形成され、ブレーク用溝の開口側の端部が、ダミー層によって規定される場合には、ブレーク用溝に沿う分割に要する力の大きさを決定するのに、ダミー層を支配的なものとすることができる。
【0058】
このようなことから、生の積層体に形成されるブレーク用溝の深さにばらつきが生じても、このブレーク用溝に沿う分割に要する力の大きさを安定化させることができ、たとえば、多層集合基板の取扱い中にブレーク用溝に沿って不用意に分割されたり、分割が困難になり、分割によって得られた多層セラミック基板が損傷したりすることを防止することができる。
【0059】
また、生の積層体において形成されるブレーク用溝の深さに対して、それほど厳しい管理が不要となるので、多層集合基板または多層セラミック基板を製造するための製造コストの低減および歩留まりの向上を図ることができる。
【0060】
また、この発明に係る多層集合基板の製造方法によれば、ダミー層が多層集合基板の内部に形成される場合には、複数のセラミックグリーンシートを積層することによって生の積層体を作製する、積層体作製工程を実施するにあたって、生の積層体の内部においてブレーク用溝の両側に跨るように、焼成工程における収縮度合いがセラミックグリーンシートよりも小さい材料からなるダミー層を特定のセラミックグリーンシート上に形成し、ブレーク用溝を形成するにあたっては、ダミー層を分断し得る深さまでブレーク用溝を形成すれば、分断されたダミー層を、焼成工程において、セラミックグリーンシートとダミー層との収縮度合いの差によって、再び一体化させることができるので、ブレーク用溝の底部側の端部をダミー層によって規定した状態を容易に得ることができる。
【0061】
他方、ダミー層が多層集合基板の主面上に形成される場合には、積層体作製工程を実施するにあたって、生の積層体の主面上においてブレーク用溝の両側に跨るように、ダミー層を特定のセラミックグリーンシート上に形成し、溝形成工程では、ダミー層を分断しながらブレーク用溝を形成すれば、分断されたダミー層が、焼成工程において、セラミックグリーンシートとダミー層との収縮度合いの差によって、再び一体化されるので、ブレーク用溝の開口側の端部がダミー層によって規定された状態を容易に得ることができる。
【0062】
溝形成工程において形成されるブレーク用溝が、端面V字状であると、焼成工程の後、ダミー層が多層集合基板の内部に形成される場合には、ブレーク用溝のダミー層より底部側においてこれを完全にまたはほとんど閉じることができ、他方、ダミー層が多層集合基板の主面上に形成される場合には、焼成工程の後、ブレーク用溝となる隙間をダミー層の下に確実に残すことができる。
【0063】
ダミー層が、ブレーク用溝に沿って断続的に配置されると、このダミー層の分布状態によっても、ブレーク用溝に沿う分割に要する力の大きさを制御することが可能になる。
【0064】
ダミー層が金属粉末を含むペーストすなわち導電性ペーストによって形成されると、他の配線導体の形成のための導電性ペーストの印刷と同時にダミー層を形成することができ、ダミー層の形成のための特別な工程を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態を説明するためのもので、多層集合基板1を概略的に示す平面図である。
【図2】図1の線II−IIに沿う拡大断面図であり、(1)は焼成前の状態を示し、(2)は焼成後の状態を示す。
【図3】この発明の第2の実施形態を説明するためのもので、多層集合基板11を概略的に示す平面図である。
【図4】図3の線IV−IVに沿う拡大断面図であり、(1)は焼成前の状態を示し、(2)は焼成後の状態を示す。
【符号の説明】
1,11 多層集合基板
2 セラミックグリーンシート
3,13 生の積層体
4 セラミック層
5 主面
6,16 ブレーク用溝
7 ブレーク用溝によって区画された領域
8 多層セラミック基板
9,19 ダミー層
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の多層セラミック基板を取り出すための多層集合基板およびその製造方法に関するもので、特に、複数の多層セラミック基板を取り出すための分割を容易にするためのブレーク用溝が設けられた多層集合基板およびその製造方法ならびにこの多層集合基板を用いて実施される多層セラミック基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多層セラミック基板は、その製造の能率化を図るため、しばしば、多層集合基板の状態で用意され、この多層集合基板を分割することによって、複数の多層セラミック基板を取り出すようにされる。
【0003】
多層集合基板は、複数のセラミックグリーンシートが積層された積層体を焼成することによって得られたものであり、積層された複数のセラミック層をもって構成された積層構造を有している。
【0004】
多層集合基板の主面上には、たとえば格子状に配置された複数のブレーク用溝が設けられている。これら複数のブレーク用溝によって区画された複数の領域に、得ようとする多層セラミック基板が構成されている。そして、ブレーク用溝に沿ってチョコレートブレーク態様で分割することによって、この多層集合基板から複数の多層セラミック基板を取り出すことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したブレーク用溝は、焼成によって多層集合基板となる生の積層体の段階で、たとえばカット刃を用いて、その主面にハーフカット状の切込みを入れることによって形成される。
【0006】
他方、多層集合基板をブレーク用溝に沿ってチョコレートブレーク態様で分割する際に要する力の大きさは、ブレーク用溝の形成の結果残された部分の厚みに関係し、この残された部分の厚みは、ブレーク用溝の深さに関係する。そのため、ブレーク用溝に沿う分割に必要な力の大きさを安定化させるには、ブレーク用溝の深さができるだけ一定になるように管理する必要がある。
【0007】
ブレーク用溝の深さが一定しないと、分割に要する力の大きさが安定しないので、多層集合基板の取扱い中にブレーク用溝に沿って不用意に分割されたり、あるいは、分割が困難になり、分割がブレーク用溝に沿って生じず、得ようとする多層セラミック基板が損傷したりすることがある。
【0008】
しかしながら、ブレーク用溝は、前述したように、生の積層体の主面にハーフカット状の切込みを入れることによって形成されるものであるので、その深さを一定にすることは必ずしも容易ではない。そのため、特に、低背化の要望を満たすように薄型化された多層セラミック基板を得るための多層集合基板または生の積層体にあっては、その厚みを薄くする必要があるが、このように厚みが薄くされるほど、ブレーク用溝の深さのばらつきは、分割に要する力の大きさのばらつきにより大きく影響する。
【0009】
そこで、この発明の目的は、ブレーク用溝の深さに関して、それほど厳しい管理をしなくても、分割に要する力の大きさを安定化させることができる、多層集合基板およびその製造方法ならびにこの多層集合基板を用いて実施される多層セラミック基板の製造方法を提供しようとすることである。
【0010】
この発明のより限定的な目的は、ブレーク用溝の深さを一定にすることが容易な多層集合基板の製造方法を提供しようとすることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、複数のセラミックグリーンシートが積層された生の積層体を焼成する焼成工程を経て得られたものであり、積層された複数のセラミック層をもって構成された積層構造を有し、その主面には所定の深さを有する複数のブレーク用溝が設けられ、これら複数のブレーク用溝によって区画された複数の領域に多層セラミック基板が構成されていて、ブレーク用溝に沿って分割することによって複数の多層セラミック基板を取り出すことができるようにされた、多層集合基板にまず向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
【0012】
すなわち、焼成工程における収縮度合いがセラミックグリーンシートよりも小さい材料からなるダミー層が、ブレーク用溝の両側に跨るように配置され、ブレーク用溝の深さ方向の一方端部が、ダミー層によって規定されていることを特徴としている。
【0013】
上述したダミー層は、第1の実施態様では、多層集合基板の内部に形成され、ブレーク用溝の底部側の端部が、このダミー層によって規定される。第2の実施態様では、ダミー層は、多層集合基板の主面上に形成され、ブレーク用溝の開口側の端部が、このダミー層によって規定される。
【0014】
ダミー層は、好ましくは、金属粉末の焼結体を含む。
【0015】
また、ダミー層は、ブレーク用溝に沿って断続的に配置されることが好ましい。
【0016】
この発明は、また、複数のブレーク用溝によって区画された複数の領域に多層セラミック基板が構成されていて、ブレーク用溝に沿って分割することによって複数の多層セラミック基板を取り出すことができるようにされた、多層集合基板を製造する方法にも向けられる。この製造方法は、複数のセラミックグリーンシートを積層することによって生の積層体を作製する、積層体作製工程と、生の積層体の主面にブレーク用溝を形成する、溝形成工程と、生の積層体を焼成する、焼成工程とを備えている。
【0017】
このような多層集合基板の製造方法において、前述した第1の実施態様による多層集合基板を得ようとする場合には、前述した技術的課題を解決するため、積層体作製工程は、生の積層体の内部においてブレーク用溝の両側に跨るように、焼成工程における収縮度合いがセラミックグリーンシートよりも小さい材料からなるダミー層を特定のセラミックグリーンシート上に形成する工程を備え、溝形成工程は、ダミー層を分断し得る深さまでブレーク用溝を形成するように実施され、分断されたダミー層を、焼成工程において、セラミックグリーンシートとダミー層との収縮度合いの差によって、再び一体化することを特徴としている。
【0018】
他方、この発明に係る多層集合基板の製造方法において、前述した第2の実施態様による多層集合基板を得ようとする場合には、前述した技術的課題を解決するため、積層体作製工程は、生の積層体の主面上においてブレーク用溝の両側に跨るように、焼成工程における収縮度合いがセラミックグリーンシートよりも小さい材料からなるダミー層を特定のセラミックグリーンシート上に形成する工程を備え、溝形成工程は、ダミー層を分断しながらブレーク用溝を形成するように実施され、分断されたダミー層を、焼成工程において、セラミックグリーンシートとダミー層との収縮度合いの差によって、再び一体化することを特徴としている。
【0019】
この発明に係る多層集合基板の製造方法に備える溝形成工程において形成されるブレーク用溝は、断面V字状であることが好ましい。
【0020】
また、積層体作製工程において、ダミー層は金属粉末を含むペーストによって形成されることが好ましい。
【0021】
また、積層体作製工程において、ダミー層は、ブレーク用溝に沿って断続的に配置されるように形成されることが好ましい。
【0022】
この発明は、また、上述のような製造方法によって得られた、多層集合基板にも向けられる。
【0023】
さらに、この発明は、上述のような多層集合基板を用いて実施される多層セラミック基板の製造方法にも向けられる。この多層セラミック基板の製造方法は、この発明に係る多層集合基板を用意する工程と、ブレーク用溝に沿って多層集合基板を分割する工程とを備えることを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、この発明の第1の実施形態を説明するためのものである。ここで、図1は、多層集合基板1を概略的に示す平面図であり、図2は、図1の線II−IIに沿う拡大断面図に相当するもので、図2(1)は焼成前の状態を示し、図2(2)は焼成後の状態を示している。したがって、図1に示した多層集合基板1の一部は、拡大断面図をもって図2(2)に示されていることになる。
【0025】
多層集合基板1は、図2(1)に示すような複数のセラミックグリーンシート2が積層された生の積層体3を焼成する焼成工程を経て得られたものであり、図2(2)に示すように、セラミックグリーンシート2の焼結によって得られた、積層された複数のセラミック層4をもって構成された積層構造を有している。
【0026】
多層集合基板1の一方主面5上には、図1によく示されているように、格子状に配置された複数のブレーク用溝6が設けられている。これら複数のブレーク用溝6によって区画された複数の領域7には、多層セラミック基板8が構成されている。なお、多層セラミック基板8は、内部、表面または裏面に設けられる回路素子または配線導体等の図示が省略された状態で示されている。
【0027】
このような多層集合基板1を、ブレーク用溝6に沿ってチョコレートブレーク態様で分割することによって、複数の多層セラミック基板8を取り出すことができる。
【0028】
この実施形態の特徴となる構成として、図2(2)に示すように、多層集合基板1の内部には、ブレーク用溝6の両側に跨るように、ダミー層9が配置されている。そして、ブレーク用溝6の底部側の端部は、このダミー層9によって規定されている。
【0029】
ダミー層9は、セラミックグリーンシート2よりも焼成工程における収縮度合いが小さい材料から構成される。言い換えると、焼成工程における焼成収縮率を、「焼成収縮率=(焼成後の寸法)/(焼成前の寸法)」と定義したとき、ダミー層9は、セラミックグリーンシートよりも焼成収縮率の大きい材料から構成される。たとえば、ダミー層9は、焼成前には金属粉末を含むペーストから形成され、焼成後には金属粉末の焼結体を含む組成をもって構成される。
【0030】
また、ダミー層9は、ブレーク用溝6に沿って連続的に延びるように配置されてもよいが、この実施形態では、図1に示すように、ブレーク用溝6に沿って断続的に配置されている。図1では、ブレーク用溝6によって区画された各領域7にある多層セラミック基板8の4辺の各々について3つのダミー層9がそれぞれ分布しているように図示されているが、その数は必要に応じて増減することができる。
【0031】
また、図1では、明瞭な図解を目的として、ダミー層9が比較的大きく図示されているが、実際には、一例として、多層セラミック基板の1つの辺の長さを3.2〜4.5mmとしたとき、ブレーク用溝6に沿う長さ方向寸法が500μm程度およびブレーク用溝6に直交する方向の幅方向寸法が100〜200μm程度の大きさのダミー層9が形成される。
【0032】
このような多層集合基板1を製造するため、次のような工程が実施される。
【0033】
図2(1)を参考にして説明すると、まず、複数のセラミックグリーンシート2が用意され、これらセラミックグリーンシート2の特定のものには、多層セラミック基板8において必要とする配線導体となるべき導電性ペーストが印刷によって付与される。ビアホール導体を設ける場合には、セラミックグリーンシート2に貫通孔が設けられ、この貫通孔に導電性ペーストを充填することが行なわれる。
【0034】
また、特定のセラミックグリーンシート2上には、ダミー層9がたとえば印刷によって形成される。このとき、ダミー層9は、たとえば、金属粉末を含むペーストすなわち導電性ペーストによって形成される。導電性ペーストに含まれる金属粉末としては、たとえば、銅、銀、銀−パラジウム合金、ニッケル、金等を含む粉末が用いられる。好ましくは、ダミー層9の形成のために、前述した配線導体の形成のための導電性ペーストと同じものが用いられる。この場合には、ダミー層9のための導電性ペーストの印刷を、配線導体のための導電性ペーストの印刷と同時に行なうことができる。
【0035】
次に、複数のセラミックグリーンシート2を積層し、圧着することによって、生の積層体3が得られる。この生の積層体3において、ダミー層9は、その内部に位置している。
【0036】
次に、生の積層体3の一方主面5に、たとえばカット刃を用いてハーフカット状の切込みを入れることによって、図2(1)に示すように、ブレーク用溝6が形成される。このブレーク用溝6は、ダミー層9を分断し得る深さまで形成されればよく、この条件を満たす限り、ブレーク用溝6の深さに関して、それほど厳しい管理をする必要はない。ブレーク用溝6は、図2に示されているように、断面V字状とされることが好ましい。
【0037】
一例として、ダミー層9が生の積層体3の主面5から100μm下方に位置しているとき、150μm程度の深さをもってブレーク用溝6が形成される。
【0038】
次に、図2(1)に示した状態にある生の積層体3を焼成する、焼成工程が実施される。この焼成工程を終えて得られた多層集合基板1におけるブレーク用溝6の部分が図2(2)に示されている。
【0039】
図2(2)に示すように、分断されたダミー層9は、焼成工程において、セラミックグリーンシート2とダミー層9との収縮度合いの差によって、再び一体化されている。
【0040】
すなわち、焼成工程において、セラミックグリーンシート2は、比較的大きく収縮し、ブレーク用溝6の幅を狭め、これに伴われて、ダミー層9の分断された各部分が互いに近づき、しかも、このとき、ダミー層9においてはそれほど収縮が生じないため、分断されたダミー層9が再び一体化される。その結果、前述したように、ブレーク用溝6の深さ方向の一方端部、より具体的には、底部側の端部が、ダミー層9によって規定された状態となる。
【0041】
したがって、ブレーク用溝6の深さは、ハーフカット状の切り込みの深さではなく、ダミー層9の位置によって決定されることになり、焼成後の多層集合基板1において、ブレーク用溝6の深さを一定にすることができる。
【0042】
焼成前の段階でブレーク用溝6の下半部を与えていたダミー層9より下側の部分は、ここにブレーク用溝6の痕跡10を残すこともあるが、セラミックグリーンシート2の焼成工程での収縮によって、完全にまたはほとんど閉じられた状態となり得る。なお、前述したように、生の積層体3に形成されるブレーク用溝6の断面形状がV字状にされると、焼成工程の結果、ブレーク用溝6のダミー層9より下側の部分が閉じられた状態をより容易に得ることができる。
【0043】
このようにして多層集合基板1が得られた後、ブレーク用溝6に沿ってチョコレートブレーク態様で多層集合基板1を分割すれば、複数の多層セラミック基板8を得ることができる。この分割に際して、ブレーク用溝6の、特にダミー層9が形成された部分での深さが一定とされているので、分割に必要な力の大きさを安定化させることができ、所定の力によって、確実に分割を行なうことができる。また、多層集合基板1を得た後、何らかの取扱い中にブレーク用溝6に沿って不用意に分割されにくくすることができる。
【0044】
図3および図4は、この発明の第2の実施形態を説明するためのものである。ここで、図3は、図1に対応するもので、多層集合基板11を概略的に示す平面図である。図4は、図2に対応するもので、図3の線IV−IVに沿う拡大断面図であり、図4(1)は焼成前の状態を示し、図4(2)は焼成後の状態を示す。
【0045】
なお、図3および図4において、図1および図2に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0046】
この実施形態では、ダミー層19が、多層集合基板11の一方主面5上に形成され、図4(2)によく示されているように、ブレーク用溝16の開口側の端部が、ダミー層19によって規定されていることを特徴としている。
【0047】
ダミー層19の材料としては、第1の実施形態におけるダミー層9の場合と同様のものを用いることができる。また、この実施形態においても、ダミー層19は、ブレーク用溝16に沿って断続的に配置されている。
【0048】
このような多層集合基板を製造するため、第1の実施形態の場合と同様、複数のセラミックグリーンシート2が積層された、図4(1)に示すような生の積層体13を作製する、積層体作製工程が実施されるが、この積層体作製工程では、生の積層体13の主面5上においてブレーク用溝16の両側に跨るように、ダミー層19を特定のセラミックグリーンシート2上に形成する工程が実施される。この場合、ダミー層19は、積層前のセラミックグリーンシート2上に形成されても、積層後のセラミックグリーンシート2すなわち生の積層体13の主面5上に形成されてもよい。
【0049】
次に、生の積層体13の主面に、図4(1)に示すように、ダミー層19を分断しながらブレーク用溝16を形成する、溝形成工程が実施される。この溝形成工程において形成されるブレーク用溝16は、図4(1)に示すように、断面V字状であることが好ましい。
【0050】
次に、生の積層体13を焼成する、焼成工程が実施される。この焼成工程の結果、図4(2)に示すように、分断されたダミー層19は、セラミックグリーンシート2とダミー層19との収縮度合いの差によって、再び一体化される。
【0051】
すなわち、焼成工程において、セラミックグリーンシート2は、比較的大きく収縮し、ブレーク用溝16の幅を狭め、これに伴われて、ダミー層19の分断された各部分が互いに近づき、しかも、このとき、ダミー層19においてはそれほど収縮が生じないため、分断されたダミー層19は再び一体化される。その結果、前述したように、ブレーク用溝16の深さ方向の一方端部、より具体的には、開口側の端部が、ダミー層19によって規定された状態となる。
【0052】
この場合、図4(1)に示した溝形成工程において形成されたブレーク用溝16の断面形状がV字状であると、図4(2)に示すように、ダミー層19が再び一体化された後においても、ブレーク用溝16を確実に残すことができる。
【0053】
このようにして得られた多層集合基板11を、ブレーク用溝16に沿ってチョコレートブレーク態様で分割すれば、複数の多層セラミック基板8を得ることができる。この分割工程において、分割に要する力の大きさを決定するのに、ブレーク用溝16の深さよりも、むしろダミー層19が支配的になるので、ブレーク用溝16の深さがばらついても、分割に要する力の大きさを安定化させることができる。
【0054】
以上、この発明を、図示した実施形態に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他、種々の変形例が可能である。
【0055】
たとえば、図示の実施形態では、ダミー層9および19は、金属粉末を含む導電性ペーストによって形成されたが、焼成工程における収縮度合いがセラミックグリーンシート2より小さい材料であれば、たとえば非導電性材料をもって形成されてもよい。
【0056】
また、ダミー層9および19は、金属粉末を含む場合、得られた多層セラミック基板8において、何らかの電気的機能を果たす配線導体の一部として用いられてもよい。
【0057】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、ブレーク用溝の両側に跨るように、ダミー層が配置され、このダミー層によって、ブレーク用溝の深さ方向の一方端部が規定されるので、ダミー層が、多層集合基板の内部に形成され、ブレーク用溝の底部側の端部が、ダミー層によって規定される場合には、ダミー層の、多層集合基板の内部での位置によって、ブレーク用溝の深さを決定することができ、他方、ダミー層が、多層集合基板の主面上に形成され、ブレーク用溝の開口側の端部が、ダミー層によって規定される場合には、ブレーク用溝に沿う分割に要する力の大きさを決定するのに、ダミー層を支配的なものとすることができる。
【0058】
このようなことから、生の積層体に形成されるブレーク用溝の深さにばらつきが生じても、このブレーク用溝に沿う分割に要する力の大きさを安定化させることができ、たとえば、多層集合基板の取扱い中にブレーク用溝に沿って不用意に分割されたり、分割が困難になり、分割によって得られた多層セラミック基板が損傷したりすることを防止することができる。
【0059】
また、生の積層体において形成されるブレーク用溝の深さに対して、それほど厳しい管理が不要となるので、多層集合基板または多層セラミック基板を製造するための製造コストの低減および歩留まりの向上を図ることができる。
【0060】
また、この発明に係る多層集合基板の製造方法によれば、ダミー層が多層集合基板の内部に形成される場合には、複数のセラミックグリーンシートを積層することによって生の積層体を作製する、積層体作製工程を実施するにあたって、生の積層体の内部においてブレーク用溝の両側に跨るように、焼成工程における収縮度合いがセラミックグリーンシートよりも小さい材料からなるダミー層を特定のセラミックグリーンシート上に形成し、ブレーク用溝を形成するにあたっては、ダミー層を分断し得る深さまでブレーク用溝を形成すれば、分断されたダミー層を、焼成工程において、セラミックグリーンシートとダミー層との収縮度合いの差によって、再び一体化させることができるので、ブレーク用溝の底部側の端部をダミー層によって規定した状態を容易に得ることができる。
【0061】
他方、ダミー層が多層集合基板の主面上に形成される場合には、積層体作製工程を実施するにあたって、生の積層体の主面上においてブレーク用溝の両側に跨るように、ダミー層を特定のセラミックグリーンシート上に形成し、溝形成工程では、ダミー層を分断しながらブレーク用溝を形成すれば、分断されたダミー層が、焼成工程において、セラミックグリーンシートとダミー層との収縮度合いの差によって、再び一体化されるので、ブレーク用溝の開口側の端部がダミー層によって規定された状態を容易に得ることができる。
【0062】
溝形成工程において形成されるブレーク用溝が、端面V字状であると、焼成工程の後、ダミー層が多層集合基板の内部に形成される場合には、ブレーク用溝のダミー層より底部側においてこれを完全にまたはほとんど閉じることができ、他方、ダミー層が多層集合基板の主面上に形成される場合には、焼成工程の後、ブレーク用溝となる隙間をダミー層の下に確実に残すことができる。
【0063】
ダミー層が、ブレーク用溝に沿って断続的に配置されると、このダミー層の分布状態によっても、ブレーク用溝に沿う分割に要する力の大きさを制御することが可能になる。
【0064】
ダミー層が金属粉末を含むペーストすなわち導電性ペーストによって形成されると、他の配線導体の形成のための導電性ペーストの印刷と同時にダミー層を形成することができ、ダミー層の形成のための特別な工程を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態を説明するためのもので、多層集合基板1を概略的に示す平面図である。
【図2】図1の線II−IIに沿う拡大断面図であり、(1)は焼成前の状態を示し、(2)は焼成後の状態を示す。
【図3】この発明の第2の実施形態を説明するためのもので、多層集合基板11を概略的に示す平面図である。
【図4】図3の線IV−IVに沿う拡大断面図であり、(1)は焼成前の状態を示し、(2)は焼成後の状態を示す。
【符号の説明】
1,11 多層集合基板
2 セラミックグリーンシート
3,13 生の積層体
4 セラミック層
5 主面
6,16 ブレーク用溝
7 ブレーク用溝によって区画された領域
8 多層セラミック基板
9,19 ダミー層
Claims (12)
- 複数のセラミックグリーンシートが積層された生の積層体を焼成する焼成工程を経て得られたものであり、積層された複数のセラミック層をもって構成された積層構造を有し、その主面には所定に深さを有する複数のブレーク用溝が設けられ、前記複数のブレーク用溝によって区画された複数の領域に多層セラミック基板が構成されていて、前記ブレーク用溝に沿って分割することによって複数の多層セラミック基板を取り出すことができるようにされた、多層集合基板であって、
前記焼成工程における収縮度合いが前記セラミックグリーンシートよりも小さい材料からなるダミー層が、前記ブレーク用溝の両側に跨るように配置され、前記ブレーク用溝の深さ方向の一方端部が、前記ダミー層によって規定されていることを特徴とする、多層集合基板。 - 前記ダミー層は、当該多層集合基板の内部に形成され、前記ブレーク用溝の底部側の端部が、前記ダミー層によって規定されている、請求項1に記載の多層集合基板。
- 前記ダミー層は、当該多層集合基板の主面上に形成され、前記ブレーク用溝の開口側の端部が、前記ダミー層によって規定されている、請求項1に記載の多層集合基板。
- 前記ダミー層は金属粉末の焼結体を含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の多層集合基板。
- 前記ダミー層は、前記ブレーク用溝に沿って断続的に配置されている、請求項1ないし4のいずれかに記載の多層集合基板。
- 複数のブレーク用溝によって区画された複数の領域に多層セラミック基板が構成されていて、前記ブレーク用溝に沿って分割することによって複数の多層セラミック基板を取り出すことができるようにされた、多層集合基板を製造する方法であって、
複数のセラミックグリーンシートを積層することによって生の積層体を作製する、積層体作製工程と、
前記生の積層体の主面に前記ブレーク用溝を形成する、溝形成工程と、
前記生の積層体を焼成する、焼成工程と
を備え、
前記積層体作製工程は、前記生の積層体の内部において前記ブレーク用溝の両側に跨がるように、前記焼成工程における収縮度合いが前記セラミックグリーンシートよりも小さい材料からなるダミー層を特定の前記セラミックグリーンシート上に形成する工程を備え、
前記溝形成工程は、前記ダミー層を分断し得る深さまで前記ブレーク用溝を形成するように実施され、
分断された前記ダミー層を、前記焼成工程において、前記セラミックグリーンシートと前記ダミー層との収縮度合いの差によって、再び一体化することを特徴とする、多層集合基板の製造方法。 - 複数のブレーク用溝によって区画された複数の領域に多層セラミック基板が構成されていて、前記ブレーク用溝に沿って分割することによって複数の多層セラミック基板を取り出すことができるようにされた、多層集合基板を製造する方法であって、
複数のセラミックグリーンシートが積層された生の積層体を作製する、積層体作製工程と、
前記生の積層体の主面に前記ブレーク用溝を形成する、溝形成工程と、
前記生の積層体を焼成する、焼成工程と
を備え、
前記積層体作製工程は、前記生の積層体の主面上において前記ブレーク用溝の両側に跨がるように、前記焼成工程における収縮度合いが前記セラミックグリーンシートよりも小さい材料からなるダミー層を特定の前記セラミックグリーンシート上に形成する工程を備え、
前記溝形成工程は、前記ダミー層を分断しながら前記ブレーク用溝を形成するように実施され、
分断された前記ダミー層を、前記焼成工程において、前記セラミックグリーンシートと前記ダミー層との収縮度合いの差によって、再び一体化することを特徴とする、多層集合基板の製造方法。 - 前記溝形成工程において形成される前記ブレーク用溝は、断面V字状である、請求項6または7に記載の多層集合基板の製造方法。
- 前記積層体作製工程において、前記ダミー層は金属粉末を含むペーストによって形成される、請求項6ないし8のいずれかに記載の多層集合基板の製造方法。
- 前記積層体作製工程において、前記ダミー層は、前記ブレーク用溝に沿って断続的に配置されるように形成される、請求項6ないし9のいずれかに記載の多層集合基板の製造方法。
- 請求項6ないし10のいずれかに記載の製造方法によって得られた、多層集合基板。
- 請求項1ないし5のいずれかまたは請求項11に記載の多層集合基板を用意する工程と、前記ブレーク用溝に沿って前記多層集合基板を分割する工程とを備える、多層セラミック基板の製造方法。
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