JP4391284B2 - 多層基板の製造方法 - Google Patents

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本発明は多層基板の製造方法に関し、特にマイクロ波回路およびミリ波回路の形成に使用されるセラミック接合による多層基板の製造方法に関する。
高度な情報通信を支える技術として、同時焼成セラミック多層基板が実用化されている。同時焼成セラミック多層基板は、グリーンシートのビア穴の加工やビアの充填が容易であり、高密度な実装基板が要求される用途での利用価値が高い。
ここで、同時焼成セラミック多層基板は、その焼成温度で2種類に大別できる。
1つは、アルミナを主成分とするグリーンシート上に、モリブデンやタングステンなどの高融点金属ペーストで回路パターンを形成し、還元雰囲気中、1500℃程度で焼成する、高温同時焼成セラミック多層基板(以後、HTCCと略記)と呼称される基板である。
もう1つは、ガラス−アルミナ系のグリーンシート上に、銀や銅など高伝導性を有する金属ペーストで回路パターンを形成し、1000℃以下の温度で焼成する低温同時焼成セラミック多層基板(以後、LTCCと略記)と呼称される基板である。
製造コストの面で両者を比較すれば、焼成温度が低い点や導体に銀を使用する場合には大気焼成が可能である点でLTCCが優位である。
性能面で比較すれば、高周波デジタル用途では、セラミック基板の誘電率が5〜7程度にできるLTCCの方が、誘電率が約10となるHTCCより信号伝送の遅延が小さくなる点で優位である。
しかし、近年、市場拡大するマイクロ波回路用途およびミリ波回路用途では、信号伝送の損失におけるセラミック基板の誘電正接による部分が、導体回路パターンの体積抵抗率による部分を上回って増加するので、誘電正接が小さい純度96%以上のアルミナ基板を使うHTCCが優位である。
しかし、現状は製造コストを優先し、マイクロ波回路用途やミリ波回路用途であってもLTCCを選択する機器が増えており、市場におけるLTCCの占有は拡大している。
マイクロ波回路用途やミリ波回路用途では、共振器やフィルターを基板内に構成するので、形状精度が高い平面回路パターンを形成する製造技術も要求される。
一般的なLTCC用グリーンシートはガラス−アルミナ系であり、ガラスの軟化に伴う速やかな緻密化が焼結過程の要因である。従って、回路パターンの形成面内(または積層面内を指し、以下、単に面内と呼称)における焼結体の面積をグリーン体の面積で割って求める面積率として、約75%におよぶ比較的大きな焼成収縮がガラス軟化点以上で急速に生じる。
グリーンシートと導体ペーストとの焼成収縮挙動の差は基板の反り、回路パターン変形、ビア導通不良の原因となるので、同時焼成用導体ペーストは、この速やかな焼成収縮を考慮して選択しなければならない。
しかし、わずかな不一致は残り、面内の収縮は通常1%程度のばらつきを伴い、同時焼成する平面回路パターンにもこれ以上の精度は要求できないのが現状である。
基板表面に限れば、焼成後に高精度な回路パターンを形成することもできるが、低損失かつ低温焼成可能なガラス組成の探索を伴う素材性能の改善は容易ではない。
特許文献1には、LTCCとアルミナ基板を接合して得られるミリ波回路用途のマルチチップモジュール用基板とその製造方法が示されている。
具体的な製造方法として、アルミナ系のグリーンシートにビアホールを加工してタングステン等の高融点金属をビアホールに充填した後に1300℃以上で焼成する工程と、焼成済みアルミナ基板の両面に薄膜導体の回路パターンを形成する工程と、LTCC用グリーンシートにビアを穴加工して銀等の高伝導度な金属をビアに充填する工程と、回路パターンを形成したアルミナ基板を表面に出すようにビア充填済みのLTCC用グリーンシートを交互に挟んで積層する工程と、アルミナ基板とLTCC基板の交互積層体を低温焼成して層間を接合する工程が開示されている。
また、特許文献2では、焼成済みLTCC表面の抵抗体等の回路素子をトリミングした後、同種のグリーンシートを積層し、低温焼成することで調整済み回路素子を内蔵する多層基板を製造する方法が示されている。
何れも、LTCC部分に元から含有するガラスが、その軟化に伴い、アルミナないしガラス−アルミナの表面組織と結合して一体となる効果で多層基板を得ている。
特開平10−065092号公報(図2) 特開平11−233942号公報(図1)
特許文献1および2に開示される方法を大量生産ラインに適用し、高い歩留まりで生産するには、少なくとも焼成済みアルミナ基板が、ハンドリングできる厚みを有していなければならない。
特許文献1および2にはその限度値は示されていないが、大きさが50mm角程度の焼成済みアルミナ基板を用いて発明者等が試行した際の経験値としては、焼成済みアルミナ基板をハンドリングできる厚みの下限値は200μm程度であった。
この厚み以下では、ハンドリング中や、積層工程および薄膜形成工程において、割れや欠けが頻繁に発生し、大量生産ラインに適用できないという結果を得た。
また、アルミナ系のグリーンシートを焼成する工程においても、当初のグリーンシートの厚みが200μm以下では、得られるアルミナ基板に波打つような反りが入りやすく、歩留まり低下の要因となった。
更に、アルミナ系グリーンシートの焼成収縮のばらつきが原因で、LTCC用グリーンシートに形成した直径150μm程度のビアホールでは、ビアホールを介した接続が不可能な場合もあった。
以上から、面積が大きく、厚みが薄いアルミナ基板に特許文献1および2に開示される方法を適用することは難しいという結論に達した。
ここで、マイクロ波回路やミリ波回路の回路設計に際して、アルミナ基板の厚みに係わらず、特性インピーダンスが同じなら、アルミナ基板が厚いほど、回路パターン中のマイクロストリップライン型伝送線路やストリップライン型伝送線路の幅は太くする必要が生じ、基板の実装密度は低くなるという問題がある。
そうかと言って、回路パターンに、マイクロストリップライン型伝送線路やストリップライン型伝送線路を使用しないとすれば、設計上の制約が多くなり、設計費用や設計時間の増大を招くことになる。
また特許文献1および2に開示される構造では、実用的な多層基板に必要な抗折強度をLTCC部に担わせることで、アルミナ基板の焼成温度はHTCCより低めに設定している。
このため、同等な設計精度で多層基板を作製する場合、コストの面でもHTCCより優位にできる可能性がある。しかし、コスト面の優位を出すために、アルミナ基板の焼成温度を低くすれば焼成密度が低下して、大気の湿度や温度履歴によりアルミナ基板の電気特性が劣化する可能性が高い。
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、薄いアルミナ系グリーンシートを反りなく焼成し、ハンドリング中や、導体膜の形成工程やLTCC用グリーンシートとの積層工程および低温焼成工程に際して、割れや欠けなどの欠損を生じにくく、製造歩留まりを向上した多層基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る請求項1記載の多層基板の製造方法は、第1のグリーンシートを複数枚と、前記第1のグリーンシートより多い枚数の第2のグリーンシートとを準備する工程(a)と、前記第1および第2のグリーンシートを交互に積層し、一体化して第1のグリーン体を形成する工程(b)と、前記第1および第2のグリーンシートよりも低温で焼成可能な第3のグリーンシートを複数枚積層し、一体化して第2のグリーン体を形成する工程(c)と、前記第1のグリーン体を焼成して第1の焼成体を形成する工程(d)と、前記第2のグリーン体の少なくとも1方の主面上に前記第1の焼成体を積層し、その状態で、前記第3のグリーンシートを焼成する温度で焼成し、前記第2のグリーン体に相当する部分が第2の焼成体になるとともに、前記第2の焼成体が前記第1の焼成体に接合した低温焼成体を形成する工程(e)と、前記第2の焼成体の主面に前記第2のグリーンシートに対応する焼成層が残るように、当該焼成層より上層の前記第1の焼成体の不要部分を剥離除去する工程(f)と、前記焼成層の表面に印刷法により回路パターンを形成する工程(g)とを備えている。
本発明に係る請求項1記載の多層基板の製造方法によれば、第1の焼成体を多層で構成しているので、ハンドリング性が向上し、ハンドリングに起因して割れや欠けを生ずることなく、第2のグリーン体上に積層することができる。そして、第2のグリーン体の焼成後に、第2の焼成体の主面に第2のグリーンシートに対応する焼成層を残し、当該焼成層に回路パターンを形成するので、焼成層の誘電正接が小さく伝送損失が小さくなるように第2のグリーンシートの材質を選択することで、従来のLTCCやHTCC以上にミリ波回路やマイクロ波回路の基板として適した構成を比較的容易に得ることができる。
<A.実施の形態1>
まず、実施の形態1の多層基板の製造方法の概略について説明する。
実施の形態1の製造方法では、粒子の粗い第1のグリーンシートと、第1のグリーンシートより粒子が細かく、焼成によりアルミナ基板を得るための第2のグリーンシートとを準備し、両者を交互に積層して、静水圧プレスで一体化し、それを焼成して焼成体を形成する。そして当該焼成体の状態でハンドリングして、第3のグリーンシートを複数枚積層し一体化したグリーン体に接合した後に、第1および第2のグリーンシートの積層体の焼成体のうち、不要な部分を剥離除去することで、LTCCと割れや欠けを有さない薄いアルミナ基板との接合多層基板を得る。
なお、以下の説明における多層基板は、各層に回路パターンやビアホールを有しており、多層型半導体装置とも呼称できるが、説明においては単に多層基板と呼称する。
<A−1.製造方法>
以下、図1〜図7を用いて本発明に係る実施の形態1の多層基板の製造方法について説明する。
図1は、実施の形態1の多層基板の全製造工程を一図に示したものであり、各工程は図1(a)〜図1(j)として示されている。なお、以下においては、図1を中心として、図2〜図7を参照しつつ説明を行う。
<A−1−1.グリーンシートの準備工程>
まず、アルミナ系のグリーンシート、LTCC用グリーンシートの準備工程について説明する。
<A−1−1−1.グリーンシート1の準備>
純度99%以上で平均粒径2μm程度のアルミナ粉末を母材とし、これにポリビニルブチラール樹脂やアクリル系樹脂などの有機バインダーと、可塑剤および分散剤を添加して、例えばトルエンとエタノールの混合有機溶媒中で混合分散して調整したスラリーを得る。次に当該スラリーからドクターブレード法により、厚み約100μmのアルミナ系のグリーンシート1(第1のグリーンシート)を作製する。
なお、ドクターブレード法とは、ドクターブレードと呼称される金属刃の隙間にスラリーを通すことで成形する手法であり、得られたグリーンシートは可塑性を有して軟らかである。
<A−1−1−2.グリーンシート2の準備>
純度99%以上で平均粒径0.3μm程度の低ソーダ易焼結性アルミナ粉末に、SiO2とB23とRO(ただしRはアルカリ土類金属元素)を2〜3%添加したものを母材とし、他はグリーンシート1と同じ有機バインダー、可塑剤、分散剤および混合有機溶媒を用いてスラリーに調整し、厚み約200μmのアルミナ系のグリーンシート2(第2のグリーンシート)を作製する。なお、上記配合により、グリーンシート2に含まれる易焼結性アルミナ粉末の比率は96%以上となり、誘電率や誘電正接を低減したアルミナ基板を作製できる。
このような材質を選択することで、グリーンシート1と2とで焼結に必要な温度を変えることができる。
<A−1−1−3.LTCC用グリーンシート4の準備>
ガラスの組成をSiO2−ZrO2−Al23−B23−R†O(ただしR†=Ba,Ca,Mg)系材料とし、平均粒径2μm程度のガラス粉末と平均粒径2μm程度のアルミナ粉末を等重量で混合したスラリーをグリーンシート1と同じ手法で調製し、アルミナ系グリーンシートと同様に厚み約100μmのLTCC用グリーンシート4を作製する。ここで、R†=Ba,Ca,Mgとは、Ba、Ca,Mgのうち少なくとも1つを使用することを意味する。なお、各グリーンシートは50mm×50mmの大きさに切り揃えた。
<A−1−2.アルミナ系のグリーンシートの積層工程>
まず、図1(a)に示すように、2枚のグリーンシート1および3枚のグリーンシート2を、1層ごと交互に平坦な金属プレート7(第2のプレート)上に積層する。その後、グリーンシートの積層体を金属プレート7ごと市販のラミネートバッグ(図示せず)に入れて真空パックする。
次に、静水圧プレス装置により80℃の温水中で、30MPa(メガパスカル)の静水圧をかけて30分間保持し、有機バインダーの結着力で一体化させて図1(b)に示すように、グリーン体AG1(第1のグリーン体)を得る。
なお、グリーンシート1および2を金属プレート7上に積層するに際しては、金属プレート7の四隅に設けた位置決めピン8が、グリーンシート1および2の四隅に予め設けられたガイド穴を貫通するようにグリーンシート1および2を重ね合わせる。
ここで、図2にはグリーンシート2の平面図を、図3には、金属プレート7の平面図および側面図を示す。なお、グリーンシート1の平面構成も同様である。
図2に示すように、グリーンシート2の4隅にはガイド穴21(グリーンシート1ではガイド穴11)が設けられ、また、ガイド穴21よりも内側には直径約150μmのビアホールが複数個設けられている。なおビアホールのうち、外周配列を構成する12個のビアホールに符号231(グリーンシート1では符号131)を付し、それらに囲まれるように配設された複数のビアホールに符号232(グリーンシート1では符号132)を付している。ビアホール232は2個ずつが近接して配設されて対をなしており、各対は互いに間隔を開けて配設されている。これらの機能については後に説明する。
また、図3に示すように、金属プレート7の上主面(グリーンシートの搭載面)の四隅においては位置決めピン8が突出するように配設されている。なお、位置決めピン8は、図3の側面図(一部断面図として表されている)に示されるように、金属プレート7の内部にその一方端部が挿入され、他方の端部が主面に垂直に突出するように配設されている。
<A−1−3.アルミナ系のグリーン体の焼成工程>
グリーン体AG1は、周辺部でシートの積層ずれを生じている部分を切り落とした後、焼成して図1(c)に示すアルミナ焼成体AG10(第1の焼成体)を得た。なお、焼成体AG10は、グリーンシート1に対応するアルミナ焼成層B1とグリーンシート2に対応するアルミナ焼成層B2とで構成される。
この焼成は大気中で行い、温度500℃程度で数時間保持する脱バインダー過程と、それに引き続いて、温度を1500℃まで上げて2時間保持(高温保持)してグリーンシートを焼結させる過程とを経て、室温まで炉内で冷却する温度パターンを標準条件とし、当該標準条件で作製された試料を試料1とする。
また、これ以外の条件として、高温保持の時間は1時間として、焼結温度を1400℃および1300℃に設定した試料2および3も作製した。
また、比較のために1枚のグリーンシート2だけで構成され、焼結温度1500℃、1時間保持の温度パターン条件で焼成した比較試料も作製した。なお、各試料の作製条件および性能を下記の表1にまとめて示す。
Figure 0004391284
表1に示されるように、1枚のグリーンシート2だけで焼成した比較試料は、周辺に波打つような変形が見られ、後述する多層基板の製造工程には適用することができない状態であった。
一方、試料1ないし3に対応する焼成体の場合、焼結したグリーンシート2の部分を、それより焼結が進んでいないグリーンシート1の部分で慎重に剥離させると、多層基板の製造に適した平坦な薄いアルミナ基板が得られた。
また、表1には各試料について得られる薄いアルミナ基板の吸水率も示しており、1500℃で焼成した試料1および比較試料については、焼結密度は真密度の約98%以上で、吸水率も測定限界の0.01%以下であった。従って、標準条件で焼成体を作製すれば、セラミックの特性上は実用に十分な耐環境性があり、デバイス実装部のみを樹脂等で封止すれば済みむので、コスト的に安価となる。
しかし、標準条件より低い温度で焼成した試料2および3では、吸水率が数%より大きく、高信頼性や長寿命が要求されれば、多層基板全体を覆うように封止することになり、コスト的に廉価であるという要求を満足し難い。
従って以下においては、標準条件(1500℃)で焼成したアルミナ焼成体AG10を用いて多層基板を製造するものとする。
ただし、焼成温度1300℃および1400℃で焼成した試料2および3でも吸水率以外の性能は1500℃のものに遜色はないので、現実の製品においては1300℃〜1500℃がアルミナ系のグリーン体の焼成温度範囲となる。
<A−1−4.LTCC用グリーンシートの積層工程>
図1(d)に示すように、6枚(この枚数に限定されるものではない)のLTCC用グリーンシート4(第3のグリーンシート)を準備し、それぞれのシートについて、同時焼成用に調整した銀ペーストを用いてスクリーン印刷の方法でビアホールを充填すると共に所定の回路パターンを形成し、平坦な金属プレート7上に積層する。その後、グリーンシートの積層体を金属プレート7ごと市販のラミネートバッグ(図示せず)に入れて真空パックする。
次に、静水圧プレス装置により80℃の温水中で、15MPaの静水圧をかけて30分間保持し、有機バインダーの結着力で一体化させて図1(e)に示すように、LTCC用グリーン体LG1(第2のグリーン体)を得る。
次に、図4にLTCC用グリーンシート4の平面図を示す。図4に示すように、グリーンシート4の4隅には直径約3.0mmのガイド穴41が設けられ、また、ガイド穴41よりも内側には直径約150μmのビアホール431が12個、矩形ループを描くように配設されている。
なお、図2を用いて説明したグリーンシート2(グリーンシート1も同じ構造)に設けるガイド穴21は、焼成に伴う面積収縮でそれらの中心の位置関係および直径が変化するので、焼成後の位置関係および直径が、LTCC用グリーンシート4のガイド穴41の中心の位置関係および直径と略一致するように設定されている。
具体的には、グリーンシート2(および1)は、面積率で約90%の大きさに収縮するので、この数値に基づいてガイド穴21の中心の位置関係および直径を設定する。
また、グリーンシート2に示したビアホール231の中心の位置関係および直径も同様に変化するので、LTCC用グリーンシート4のビアホール431の中心の位置関係および直径と略一致するように設定されている。
最上層のLTCC用グリーンシート4に形成する回路パターンとしては、図5に示すようにマイクロ波およびミリ波特性評価用のマイクロストリップ型伝送線路を構成する20mm×20mmの矩形状導体印刷領域44と、層間ビアホール配線用の直径約500μmの円形ランド部10とを有している。それらパターンの厚みは平均で約15μmとした。 なお、円形ランド部10の周囲はリング状非印刷領域9となっており、矩形状導体印刷領域44の周囲は非印刷領域45となっている。
なお、円形ランド部10は、図4に示す12個のビアホール431(銀ペースト充填済み)の上に形成され、後の工程でアルミナ焼成体AG10を積層する際に生じる誤差と、LTCC用グリーン体LG1の焼成時の収縮によりアルミナ焼成体AG10との間に生ずるビアホールの相対位置のずれを吸収するための構成であり、面積が大きい基板になるほど、製造歩留まりの向上に欠かせない構成となる。
また、中間の各層では回路パターンを形成せずに、図4に示すLTCC用グリーンシート4のビアホール431に銀ペーストを充填しただけの状態を保っている。従って、中間の各層では上下のビアホール431どうしが直線的に繋がることになる。
最下層のLTCC用グリーンシート4に形成する回路パターンとしては、図6に示すように並列する2つのビアホール(図示せず)間を面内で接続する太さ約200μmの直線状導体印刷領域42を6本設けたパターンとし、それ以外のLTCC用グリーンシート4の表面は非印刷領域43とした。なお、直線状導体印刷領域42どうしは連続することなく間隔を開けて配設されるパターンとし、それらパターンの厚みは平均で約15μmとした。
<A−1−5.アルミナ焼成体とLTCC用グリーン体との積層、成形工程>
次に、図1(f)に示す工程において、金属プレート7上に積層された状態にあるLTCC用グリーン体LG1の上に、アルミナ焼成体AG10を積層する。その後、金属プレート7ごと市販のラミネートバッグ(図示せず)に入れて真空パックする。
次に、静水圧プレス装置により80℃の温水中で、30MPaの静水圧をかけて30分間保持し、LTCC用グリーン体LG1に含まれる有機バインダーの結着力により、アルミナ焼成体AG10との貼り合わせを行って、成形体を得る。
<A−1−6.成形体の低温焼成工程>
次に、図1(g)に示す工程において、成形体を金属プレート7から外して低温焼成を行う。ここでの焼成は、温度500℃程度で数時間保持する脱バインダー過程と、それに引き続き温度を900℃まで上げて1時間保持して、LTCC用グリーン体LG1の低温同時焼成過程およびアルミナとガラスを介した接合の形成過程を経て、室温まで炉内で冷却する温度パターンを採用した。なお、この工程によって得られる低温焼成体LBは、LTCC用グリーン体の焼成体であるLTCC部LP(第2の焼成体)と、アルミナ部APとで構成され、アルミナ部APはアルミナ焼成層B1とアルミナ焼成層B2とで構成される。
なお、低温焼成体LBの面積は、焼成前の成形体と略一致しており、LTCC用グリーン体LG1をアルミナ焼成体AG10に接合することで、LTCC部LPの焼成収縮は面内で抑制されたものと考えられる。
<A−1−7.低温焼成体の剥離工程>
次に、図1(h)に示す工程において、アルミナ部APのアルミナ焼成層B1以上の層を不要層DUとして機械的に剥離する。
アルミナ焼成層B1は、粒度が粗く、アルミナ焼成層B2との焼結が未焼結(もしくは焼結不十分)であるので、両者の間に薄刃のナイフ等を差し入れることで容易に剥離できる。すなわち、この剥離工程を容易にするためにグリーンシート1と2とを交互に積層したのである。
ここで、剥離するアルミナ焼成層B1は、LTCC部LPの真上に位置するアルミナ焼成層B2上の層であり、この工程により6層構造のLTCC部LPに1層分のアルミナ焼成層B2が接合した接合体BBを得る。
<A−1−8.低温焼成体の洗浄工程>
次に、図1(i)に示す工程において、接合体BBの剥離面を超音波洗浄して表面やビアホール内に付着するアルミナ粉末を除去する。
<A−1−9.導体層の形成工程>
次に、図1(j)に示す工程において、接合体BBのアルミナ焼成層B2に対して、スクリーン印刷法により銀ペーストでビアホールを充填し、表面に厚み約15μmの回路パターンを形成する。
アルミナ焼成層B2に形成する回路パターンとしては、図7に示すようにマイクロ波とミリ波特性評価用のマイクロストリップ型伝送線路を構成する太さ170μm程度の、長さが異なる複数の直線状導体印刷領域24と、評価プローブ用のパッド領域25とを有したパターンとし、それ以外のアルミナ焼成層B2の表面は非印刷領域26とした。なお、複数の直線状導体印刷領域24を囲む複数のビアホール231内には銀ペーストが充填されている。
ここで、パッド領域25は直線状導体印刷領域24の両端部に接続され、それぞれ2個ずつ対になるように近接して設けられるが、この位置は図2を用いて説明したグリーンシート2に設けた複数のビアホール232の形成位置に略対応する。「略」としたのは、グリーンシート2は焼成により面積率で約90%の大きさに収縮するので、ビアホール232の位置も変化し、そこに銀ペーストを充填してその上にパッド領域25を設けるからである。
なお、直線状導体印刷領域24は、特性インピーダンスが50Ωとなるようにビアホール232の対と対との間に設けられ、その長さはビアホール対間の距離に応じて3種類の長さに設定されている。
回路パターンの印刷後、温度800℃で15分間保持することで銀ペーストを焼き付けて、接合多層基板100を得た。なお、接合多層基板は評価のために同じ構造のものを複数製作した。
以上の工程を経て得られた接合多層基板100は、最上層のアルミナ焼成層B2のビアホール231(図7)内に充填された銀ペーストを焼き付けることで形成された配線(ビア配線と呼称)が、その下のLTCC用グリーンシート4を焼成して得られた層の円形ランド部10(図5)に接続され、それ以下の各層のビアホール内に形成されたビア配線を介して最下層の直線状導体印刷領域42(図6)に電気的に接続された構造となる。
従って、最上層のアルミナ焼成層B2のビアホール231にテスターあるいはインピーダンスメーターを接続することで、当該ビアホール231に繋がる一連の電気回路の導通不良や絶縁不良の有無を検知できる。
<A−2.評価>
得られた複数の接合多層基板は、ビアホール内に形成されたビア配線の接続状態を、テスターおよびインピーダンスメーターで調べたが、導通不良や絶縁不良は検知されなかった。
電気計測を行って、電気的不良が存在しないことを確認した複数の接合多層基板の1つについて断面観察を行い、各層間のビアホールのずれ量を測定した。
測定の結果、ずれ量は50mmの長さの範囲内で最大300μm程度であった。このずれは、主にアルミナ焼成体形成時の焼成収縮のばらつきや、積層時の位置ずれによって生じていると考えられる。
また、電気計測済みの他の接合多層基板を用いて、マイクロストリップ型伝送線路の伝送損失を測定した。ここでは、複数の線路(図7に示す長さが異なる複数の直線状導体印刷領域24)についての測定を行いの結果、得られる複数の特性を利用して評価プローブ用のパッド領域25の影響を差し引き、線路の単位長さ当たりの損失に換算した値を図8に示す。
図8においては、横軸を測定周波数(GHz)とし、縦軸を伝送損失(dB/mm)とし、接合多層基板の伝送損失特性を特性C1として示す。
なお、図8中には、比較例として別に用意したHTCCとLTCC上の伝送線路における伝送損失特性を、それぞれ特性C2およびC4として示す。
ここで使用したHTCCは、図2を用いて説明したグリーンシート2に、同時焼成用のタングステンペーストを用いて伝送線路を印刷したものを使用し、LTCCは、図4を用いて説明したLTCC用グリーンシート4に、同時焼成用の銀ペーストを用いて伝送線路を印刷したものを使用した。
また、比較例の作製においては、それぞれ伝送線路の特性インピーダンスが50Ωで、線路の太さが170μm程度になるように、グリーンシートの厚みを調整している。
すなわち、マイクロストリップ型伝送線路の特性インピーダンスは、基板の誘電率、線路幅(太さ)および基板厚みの関数で規定される。そして、各比較例では基板の種類が異なるので誘電率が異なり、同じ線路幅(170μm)で特性インピーダンスを50Ωに揃えるために、各基板、すなわちグリーンシートの厚みを変えている。
図8に示すように伝送損失は、測定周波数が高い領域、例えば測定周波数40GHz以上の領域に着目した場合、LTCC(特性C4)、HTCC(特性C2)、接合多層基板(特性C1)の順に小さくなっている。
一般的に伝送損失は、セラミック素材の誘電正接が小さく、線路導体の伝導度が大きいほど小さくなる。従って、図8に示される大小関係は、LTCCはHTCCより誘電正接が大きいことを反映していることになる。
また、接合多層基板の誘電正接はHTCCと同様に小さく、線路導体である銀がタングステンより高伝導度であることを反映して、接合多層基板の伝送損失はHTCCに比べて更に小さくなっている。
<A−3.効果>
以上説明した実施の形態1の多層基板の製造方法を用いることで、誘電正接が小さく伝送損失がHTCCに比べて更に小さい接合多層基板を得ることができる。また、接合多層基板の最上面にある薄いアルミナ焼成層B2(アルミナ基板)にはHTCCの製造プロセスでは使用できない高伝導な銀を使用できるので、ミリ波回路やマイクロ波回路を、アルミナ基板に集積する構成を採用することで、従来のLTCCやHTCC以上の性能を示す多層基板や半導体パッケージを比較的容易に得ることができる。
また、図1(c)を用いて説明したように、グリーン体AG1を焼成することで得られる焼成体AG10は、2枚のグリーンシート1と3枚のグリーンシート2を積層した厚みを有しているので、ハンドリング性が向上し、ハンドリングに起因して割れや欠けを生ずることを防止できる。
<A−4.変形例1>
以上説明した実施の形態1の多層基板の製造方法では、図1(a)を用いて説明したように、2枚のグリーンシート1と3枚のグリーンシート2を交互に積層したグリーン体AG1を焼成した焼成体AG10をハンドリングして、LTCC用グリーン体LG1の上に積層する例を示したが、1枚のグリーンシート1と2枚のグリーンシート2を交互に積層したグリーン体を焼成した焼成体をLTCC用グリーン体LG1の上に積層するようにしても良い。
この場合も、1枚のグリーンシート2だけで焼成したアルミナ基板に比べて、ハンドリング性が向上し、割れや欠けを生ずることを防止できる。
<A−5.変形例2>
以上説明した実施の形態1の多層基板の製造方法では、図1(f)を用いて説明したように、金属プレート7上に積層された状態にあるLTCC用グリーン体LG1の上に、アルミナ焼成体AG10を積層する例を示したが、ここは図9に示すような構成としても良い。
すなわち、金属プレート7上にアルミナ焼成体AG10を搭載し、その上にLTCC用グリーン体LG1を積層する。そして、LTCC用グリーン体LG1の上に、更にアルミナ焼成体AG10を積層する構成としても良い。
このような構成を採用する場合も、静水圧プレスによりLTCC用グリーン体LG1とアルミナ焼成体AG10との貼り合わせを行って成形体を得る工程、および図1(g)を用いて説明した成形体の低温焼成工程は同じであるが、図1(h)を用いて説明した低温焼成体LBの剥離工程は、図10に示すような工程となる。
すなわち、図10に示すように、低温焼成体LBの上下両面におけるグリーンシート1に対応するアルミナ焼成層B1以上の層を不要層DUとして機械的に剥離する。
この結果、LTCC部LPの上下両面には、それぞれアルミナ焼成層B2(アルミナ基板)が残り、LTCC部LPがアルミナ焼成層B2で挟まれた構成となる。
このように、LTCC部LPの上下両面にアルミナ基板を設けることで、当該多層基板に作り込む集積回路の多様性を増すことができる。
<B.実施の形態2>
実施の形態1においては、最上面が薄いアルミナ基板で構成された接合多層基板を製造する方法を説明したが、実施の形態2においては、上記アルミナ基板の代わりに、ガラス−アルミナ系焼結体基板を形成した構成について説明する。
<B−1.製造方法>
実施の形態2に係る製造方法は、基本的には、図1を用いて説明した実施の形態1の製造方法と同じであるので重複する説明は簡略化し、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
まず、グリーンシート1とグリーンシート3とを準備する。グリーンシート1ついては説明済みなので、グリーンシート3についてのみ準備工程を説明する。
<B−1−1.グリーンシート3の準備>
グリーンシート3を形成するためのガラス材料の原料配合比は、重量%で、x・SiO2−y・B23−z・Al23−α・CaO−β・MgO−γ・R2O(R=Na,K)−δ・TiO2と表される。ここで、R=Na,Kとは、NaおよびKのうち少なくとも1つを使用することを意味する。
そして、比率を表すx、y、z、α、β、γおよびδの値は、52≦x≦56、15≦y≦20、10≦z≦15、0≦α≦10、0≦β≦5、0≦γ≦1、0.5≦δ≦5で表される。
以上の構成を有するガラス材料を、平均粒径2μm程度まで粉砕して得たガラス粉末と、純度99%以上で平均粒径2μm程度のアルミナ粉末を上記ガラス粉末と等重量(1対1)で混合したものを母材とし、母材にグリーンシート1と同じ有機バインダー、可塑剤、分散剤および混合有機溶媒を混ぜてスラリーに調整し、厚み約200μmのガラス−アルミナ系のグリーンシート3(第2のグリーンシート)を作製する。
<B−1−2.ガラス−アルミナ系のグリーンシートの積層工程>
次に、図11(a)に示すように、2枚のグリーンシート1と3枚のグリーンシート3を、1層ごと交互に平坦なセラミックプレート17(第1のプレート)上に積層する。その後、グリーンシートの積層体をセラミックプレート17ごと市販のラミネートバッグ(図示せず)に入れて真空パックする。
次に、静水圧プレス装置により80℃の温水中で、30MPa(メガパスカル)の静水圧をかけて30分間保持し、有機バインダーの結着力で一体化させて図11(b)に示すように、グリーン体AGG1を得る。
なお、グリーンシート1および3をセラミックプレート17上に積層するに際しては、セラミックプレート17の四隅に設けた位置決めピン18が、グリーンシート1および3の四隅に予め設けられたガイド穴を貫通するようにグリーンシート1および3を重ね合わせる。
ここで、図12には、セラミックプレート17の平面図および側面図を示す。
図12に示すように、セラミックプレート17の上主面(グリーンシートの搭載面)の四隅においては、セラミックプレート17を厚さ方向に貫通するピン挿入穴HLが設けられており、当該ピン挿入穴HLに位置決めピン18を挿入する構成となっている。
位置決めピン18は、図12の側面図(一部断面図として表されている)に示されるように、ピン挿入穴HLに挿入される部分と、ピン挿入穴HLよりも直径が大きく、セラミックプレート17の主面から突出する部分とで構成されており、グリーンシート1および3のガイド穴には、この突出部分が係合する。なお、位置決めピン18は金属で構成しても良い。
なお、ピン挿入穴HLの直径は、図3を用いて説明した金属プレート7の位置決めピン8の直径とほぼ等しく、位置決めピン8を挿入することができる大きさとなっている。
ここで、グリーンシート3の平面構成は図2を用いて説明したグリーンシート2と基本的に同じであるが、ガイド穴の大きさが位置決めピン18の大きさに適合するように大きくなる。これはグリーンシート1のガイド穴11についても同じである。なお、図11(a)ではグリーンシート3のガイド穴31を示している。
<B−1−3.ガラス−アルミナ系のグリーン体の焼成工程>
グリーン体AGG1は、周辺部でシートの積層ずれを生じている部分を切り落とした後、位置決めピン18を取り外し、セラミックプレート17に搭載した状態で焼成し、図11(c)に示すガラス−アルミナ焼成体AGG10(第1の焼成体)を得た。
焼成体AGG10は、グリーンシート1に対応するアルミナ焼成層B1とグリーンシート3に対応するガラス−アルミナ焼成層B3とで構成される。
この焼成は大気中で行い、温度500℃程度で数時間保持する脱バインダー過程と、それに引き続いて、温度を1100℃まで上げて1時間保持してグリーンシートを焼結させる過程とを経て、室温まで炉内で冷却する温度パターンの条件で行った。
こうして得られた焼成体AGG10は、面内の焼成収縮が抑制されて、面積率が99%以上となって優れた寸法精度を示し、また、ハンドリングに対しても十分な強度でセラミックプレート17に貼り付いていた。
なお、グリーン体AGG1の搭載プレートにセラミックを使用することで、焼成に際して熱膨張係数の違いに起因する不具合の発生を防止できる。
<B−1−4.LTCC用グリーンシートの積層工程>
図11(d)〜図11(e)に示すLTCC用グリーンシートの積層工程は、図1(d)〜図1(e)に示す工程と基本的には同じであるが、最上層のLTCC用グリーンシート4に形成する回路パターンには、図5に示すような円形ランド部10は設けていない。
<B−1−5.ガラス−アルミナ焼成体とLTCC用グリーン体との積層、成形工程>
次に、図11(f)に示す工程において、金属プレート7上に積層された状態にあるLTCC用グリーン体LG1の上に、セラミックプレート17上で焼成された状態にあるガラス−アルミナ焼成体AGG10を積層する。
このとき、LTCC用グリーン体LG1にガラス−アルミナ焼成体AGG10が対面するように、セラミックプレート17を上側にして積層し、セラミックプレート17のピン挿入穴HL(図示せず)に、金属プレート7の位置決めピン8が挿入されるように位置決めを行う。
すなわち、ガラス−アルミナ焼成体AGG10の四隅には、セラミックプレート17の表面に達するガイド穴が形成されており、その直径は位置決めピン8の直径より大きいので、位置決めピン8をスムーズに挿入できる。そして、当該ガイド穴の底部にはセラミックプレート17のピン挿入穴HL(図示せず)が存在するので、そこに位置決めピン8を挿入することでLTCC用グリーン体LG1とガラス−アルミナ焼成体AGG10との重ね合わせの位置決めが完了する。
なお、セラミックプレート17のピン挿入穴HLは精度良く形成されているので、LTCC用グリーン体LG1とガラス−アルミナ焼成体AGG10との重ね合わせの位置決めに使用することで、両者の重ね合わせ精度を飛躍的に高めることができる。
その後、金属プレート7およびセラミックプレート17ごと市販のラミネートバッグ(図示せず)に入れて真空パックする。
次に、静水圧プレス装置により80℃の温水中で、30MPaの静水圧をかけて30分間保持し、LTCC用グリーン体LG1に含まれる有機バインダーの結着力により、ガラス−アルミナ焼成体AGG10との貼り合わせを行って、成形体を得る。
<B−1−6.成形体の低温焼成工程>
次に、図11(g)に示す工程において、成形体を金属プレート7から外して低温焼成を行う。ここでの焼成は、温度500℃程度で数時間保持する脱バインダー過程と、それに引き続き温度を900℃まで上げて1時間保持して、LTCC用グリーン体LG1の低温同時焼成過程およびアルミナとガラスを介した接合の形成過程を経て、室温まで炉内で冷却する温度パターンを採用した。なお、この工程によって得られる低温焼成体LBXは、LTCC部LPと、アルミナ部APとで構成され、アルミナ部APはアルミナ焼成層B1とガラス−アルミナ焼成層B3(ガラス−アルミナ基板)とで構成される。また、この段階ではセラミックプレート17も一体化している。
<B−1−7.低温焼成体の剥離工程>
次に、図11(h)に示す工程において、アルミナ部APのアルミナ焼成層B1以上のセラミックプレート17を含む部分を不要層DUとして機械的に剥離する。アルミナ焼成層B1は、粒度が粗く、ガラス−アルミナ焼成層B3との焼結が未焼結(もしくは焼結不十分)であるので、両者の間に薄刃のナイフ等を差し入れることで容易に剥離できる。すなわち、この剥離工程のためにグリーンシート1と3とを交互に積層したのである。
ここで、剥離するアルミナ焼成層B1は、LTCC部LPの真上に位置するガラス−アルミナ焼成層B3上の層であり、この工程により6層構造のLTCC部LPに1層分のガラス−アルミナ焼成層B3が接合した接合体BBXを得る。
<B−1−8.低温焼成体の洗浄工程>
次に、図11(i)に示す工程において、接合体BBXの剥離面を超音波洗浄して表面やビアホール内に付着するアルミナ粉末を除去する。
<B−1−9.導体層の形成工程>
次に、図11(j)に示す工程において、接合体BBXのガラス−アルミナ焼成層B3に対して、スクリーン印刷法により銀ペーストでビアホールを充填し、表面に厚み約15μmの回路パターンを形成し、銀ペーストを焼き付けることで接合多層基板200を得た。
なお、この回路パターンとしては、図7に示す構成と同じであり、形成条件等も同じであるので説明は省略する。
<B−2.評価>
得られた接合多層基板200は、ビアホール内に形成されたビア配線の接続状態を、テスターおよびインピーダンスメーターで調べたが、導通不良や絶縁不良は検知されなかった。
このことは、最上層のLTCC用グリーンシート4に形成する回路パターンに、図5に示すような円形ランド部10を設けずとも、ガラス−アルミナ焼成層B3に設けたビア配線と、LTCC部LPのビア配線との位置ずれが極力抑制されていることを意味する。
すなわち、実施の形態1では、LTCC部LPとアルミナ焼成層B2とのビア配線のずれを、LTCC部LP側に形成する円形ランド部10によって吸収する構成としているが、これがなくてもビア配線の断線が起きないことを意味している。
また、図8において、接合多層基板200の伝送損失特性を特性C3として示す。
図8に示すように、特性C3は、HTCCの特性C2にほぼ一致し、優れた特性を示している。これは、用いたガラスの誘電率と誘電正接が小さいことを反映している。なお、誘電率は7程度であった。
<B−3.効果>
円形ランド部10が不要であることは以下の利点を有している。すなわち、ビア配線を低周波帯域で使用するのであれば、円形ランド部10等を用いることに問題はないが、高周波帯域で使用する場合、ランドおよびビア配線の配置の仕方で、そこに生ずる寄生容量が異なる値となって、基板に構成する回路の回路定数がばらつく可能性がある。
その結果、多層基板の表面に精度の良い回路パターンを形成しても、ビア配線が原因で回路定数がばらつき、製造後の多層基板にたいして回路パターンをトリミングする等の修正が必要となる。
しかし、上述した製造方法に従って、ガラス−アルミナ系の焼結体基板を形成すれば、ガラス−アルミナ焼成層B3の面積率で99%以上の優れた寸法精度を活かして、LTCC用グリーン体LG1とガラス−アルミナ焼成体AGG10との重ね合わせを精度良く行うことができ、円形ランド部などの位置ずれ吸収のための構成を設けずに済みむので、回路定数がばらつきが抑制でき、回路パターンのトリミング等が不要となって、製造コストを低減できる。
また、ガラス−アルミナ焼成層B3の焼成温度は1100℃と、アルミナに比べて焼成温度が低いので製造コストの面で有利であり、また緻密なために湿度の影響を受けにくい。また誘電率がLTCC並の7程度であり、しかも誘電正接はLTCCより小さいために、マイクロ波やミリ波帯において性能面でも優れた多層基板を得ることができる。
本発明に係る実施の形態1の多層基板の製造工程を説明する断面図である。 アルミナ系のグリーンシートの構成を説明する図である。 金属プレートの構成を説明する図である。 LTCC用のグリーンシートの構成を説明する図である。 最上層のLTCC用のグリーンシートに形成する回路パターンを説明する図である。 最下層のLTCC用のグリーンシートに形成する回路パターンを説明する図である。 アルミナ焼成層に形成する回路パターンを説明する図である。 各種基板の伝送損失特性を示す図である。 本発明に係る実施の形態1の変形例の製造工程を説明する断面図である。 本発明に係る実施の形態1の変形例の製造工程を説明する断面図である。 本発明に係る実施の形態2の多層基板の製造工程を説明する断面図である。 セラミックプレートの構成を説明する図である。
符号の説明
1,2,3 グリーンシート、4 LTCC用グリーンシート、7 金属プレート、8,18 位置決めピン、10 円形ランド部、17 セラミックプレート、AG1 グリーン体、AG10 アルミナ焼成体、LG1 LTCC用グリーン体、21,41 ガイド穴。

Claims (7)

  1. (a)第1のグリーンシートを複数枚と、前記第1のグリーンシートより多い枚数の第2のグリーンシートとを準備する工程と、
    (b)前記第1および第2のグリーンシートを交互に積層し、一体化して第1のグリーン体を形成する工程と、
    (c)前記第1および第2のグリーンシートよりも低温で焼成可能な第3のグリーンシートを複数枚積層し、一体化して第2のグリーン体を形成する工程と、
    (d)前記第1のグリーン体を焼成して第1の焼成体を形成する工程と、
    (e)前記第2のグリーン体の少なくとも1方の主面上に前記第1の焼成体を積層し、その状態で、前記第3のグリーンシートを焼成する温度で焼成し、前記第2のグリーン体に相当する部分が第2の焼成体になるとともに、前記第2の焼成体が前記第1の焼成体に接合した低温焼成体を形成する工程と、
    (f)前記第2の焼成体の主面に前記第2のグリーンシートに対応する焼成層が残るように、当該焼成層より上層の前記第1の焼成体の不要部分を剥離除去する工程と、
    (g)前記焼成層の表面に印刷法により回路パターンを形成する工程と、を備える多層基板の製造方法。
  2. 前記工程(a)は、
    (a−1)前記第1のグリーンシートの母材として、粒子が比較的粗いアルミナ粉末を選択し、前記第2のグリーンシートの母材として、前記第1のグリーンシートと比較して母材の粒子が細かいアルミナ粉末を選択する工程を含み、
    前記工程(d)は、
    (d−1)前記第1のグリーンシートが未焼結となるように焼成条件を設定する工程を含み、
    前記工程(f)は、
    前記第2のグリーン体において、前記焼成層の上の未焼結の前記第1のグリーンシートの部分から上層を剥離する工程を含む、請求項1記載の多層基板の製造方法。
  3. 前記工程(a)は、
    前記第2のグリーンシートに、前記回路パターンに応じて予めビアホールを形成する工程を含み、
    前記工程(g)は、
    前記回路パターンを銀ペーストで形成するとともに、前記焼成層の前記ビアホールに、前記銀ペーストを充填する工程を含む、請求項1記載の多層基板の製造方法。
  4. 前記工程(e)は、
    前記第2のグリーン体の両方の主面上に前記第1の焼成体を積層する工程を含む、請求項1記載の多層基板の製造方法。
  5. 前記工程(a)は、
    前記第1のグリーンシートの母材として、平均粒径2μmのアルミナ粉末を選択し、
    前記第2のグリーンシートの母材として、平均粒径2μmのガラス粉末と、平均粒径2μmのアルミナ粉末とを等重量で混合したものを選択し、
    前記ガラス粉末として、原料配合比が重量%で、
    x・SiO2−y・B23−z・Al23−α・CaO−β・MgO−γ・R2O(R=Na,K)−δ・TiO2として表され、
    比率を表す前記x、y、z、α、β、γおよびδの値は、
    52≦x≦56、15≦y≦20、10≦z≦15、0≦α≦10、0≦β≦5、0≦γ≦1、0.5≦δ≦5で表されるものを選択する工程を含む、請求項1記載の多層基板の製造方法。
  6. 前記工程(a)は、
    前記第1および第2のグリーンシートに、それぞれの主面を貫通する複数の第1のガイド穴を設ける工程を含み、
    前記工程(b)は、
    (b−1)前記第1および第2のグリーンシートを積層した場合に、前記複数の第1のガイド穴に対応する位置に、その主面に垂直に突出する抜き差し可能な複数の第1の位置決めピンを有する第1のプレートを準備する工程と、
    (b−2)前記第1のプレートの前記複数の第1の位置決めピンが、前記第1および第2のグリーンシートのそれぞれの前記複数の第1のガイド穴に挿入されるように、前記第1および第2のグリーンシートを積層して前記第1のグリーン体を形成する工程とを含み、
    前記工程(c)は、
    (c−1) 前記第3のグリーンシートを貫通する複数の第2のガイド穴を設ける工程と、
    (c−2) 前記第3のグリーンシートを積層した場合に、前記複数の第2のガイド穴に対応する位置に、その主面に垂直に突出する複数の第2の位置決めピンを有する第2のプレートを準備する工程と、
    (c−) 前記第2のプレートの前記複数の第2の位置決めピンが、前記第3のグリーンシートの前記複数の第2のガイド穴に挿入されるように、前記第3のグリーンシートを積層する工程とを含み、
    前記工程(d)は、
    (d−1)前記複数の第1の位置決めピンを抜き取り、前記第1のプレートに前記第1のグリーン体を搭載した状態で前記第1のグリーン体を焼成する工程を含み、
    前記工程(e)は、
    前記第2のプレートに搭載された前記第2のグリーン体の1方の主面に前記第1の焼成体が対面するように、前記第1の焼成体および前記第1のプレートを積層し、前記第2のプレートの前記複数の第2の位置決めピンを、前記第1のプレートの前記複数の第1の位置決めピンを抜き取った後のピン挿入穴に挿入することで位置合わせを行う工程を含み、 前記工程(f)は、
    前記第1のプレートを含むように前記第1の焼成体の前記不要部分を剥離除去する工程を含む、請求項5記載の多層基板の製造方法。
  7. 前記工程(b−1)は、
    前記第1のプレートとしてセラミックプレートを選択する工程を含む、請求項6記載の多層基板の製造方法。
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