JP3796975B2 - カラートナーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラートナーの製造方法、詳しくは混練・粉砕法を採用したカラートナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真技術の分野で、近年、需要が高まっているカラートナーは、混練・粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法等により製造されている。これら製造方法の中でも、製造安定性、生産性の観点から、混練・粉砕法がよく採用されている。
【0003】
混練・粉砕法とは、バインダー樹脂や着色剤等のトナー原料からなる混合物を溶融・混練し、得られた混練物を冷却した後、粉砕し、所望粒径のトナー粒子を分級してトナーを製造する方法をいう。バインダー樹脂は粒径0.3〜2mm程度に粉砕された粗粒子として使用されている。
【0004】
また、カラートナーについては、カラートナーによるOHPシート上への画像形成の需要が高まっており、カラートナーには発色性や透明性の確保が要求されている。
【0005】
しかしながら、上記の混練・粉砕法によって製造されたカラートナーにおいては着色剤の均一な分散が達成され難いため、その発色性および透明性に問題が生じている。特に、有彩色の着色剤は1次粒子として存在し難く、容易に凝集して2次粒子を形成する傾向が強いため、均一に分散され難いと考えられている。そこで、フラッシング処理やマスターバッチ処理等の前処理を施した着色剤を用い、着色剤のトナー中での分散性を向上させようとする試みもなされているが、上記問題を完全に解決するには至っていないのが現状である。
【0006】
一方、最近では、生産性のさらなる向上の観点から、混練・粉砕法における上記の分級工程で生じた粒径の比較的小さなトナー微粉や粒径の比較的大きなトナー粗大粒子を生産ラインに再度戻して、トナー原料の有効利用が図られている。具体的には、トナー微粉は混合工程に戻されて溶融・混練前の混合物と再度混合され、トナー粗大粒子は粉砕工程に戻されて再度粉砕されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、発色性および透明性に優れたカラートナーの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくともバインダー樹脂を含む微粉および着色剤を混合する第1混合工程、
得られた混合物に、着色剤以外のトナー原料を混合する第2混合工程、
得られた混合物を溶融・混練する溶融混練工程、
混練物を粉砕する粉砕工程、および
粉砕物を分級する分級工程
を含むカラートナーの製造方法に関する。
【0009】
本発明の発明者等は、予め着色剤を、少なくともバインダー樹脂を含む微粉と混合することにより、上記の目的が達成されることを見いだした。着色剤を、少なくともバインダー樹脂を含む微粉と混合することにより、当該微粉の混合に伴うストレスを利用して2次凝集着色剤の解砕を促し、解砕された1次粒子化着色剤を微粉表面に保持させて、着色剤の再凝集を防止することができると考えられる。
【0010】
本発明のカラートナーの製造方法においては、まず、少なくともバインダー樹脂を含む微粉および着色剤を混合する(第1混合工程)。少なくともバインダー樹脂を含む微粉としては、バインダー樹脂を含み、かつ体積平均粒径が1〜50μm、好ましくは2〜20μm、より好ましくは2〜7μmである微粒子であれば特に制限されるものではなく、例えば、従来からの混練・粉砕法によって上記粒径範囲になるよう製造されたトナー微粉砕物(本明細書中、単に「トナー微粉砕物」という)、トナーの製造過程における分級工程で回収された上記粒径範囲のトナー微粉(本明細書中、単に「分級トナー微粉」という)、バインダー樹脂を上記粒径範囲になるよう微粉砕した樹脂微粉砕物(本明細書中、単に「樹脂微粉砕物」という)、あるいは懸濁重合法、乳化重合法等の湿式法により調製された上記粒径範囲のトナー微粉(本明細書中、単に「湿式トナー微粉」という)等が挙げられる。本発明において当該微粉としては、トナー微粉砕物、分級トナー微粉を使用することが好ましく、トナー原料の有効利用による生産性向上の観点からは分級トナー微粉を使用することがより好ましい。
【0011】
上記微粉の体積平均粒径が1μm未満であると、微粉の分散性が悪くなり、解砕された1次粒子化着色剤が微粉表面に保持されにくくなって着色剤の再凝集を有効に防止することが困難になり、得られるトナーの発色性、透明性が低下する。一方、微粉の体積平均粒径が50μmを越えると微粉の総表面積が減少し、すべての1次粒子化着色剤が微粉表面に保持されず、着色剤の再凝集が起こるため、得られるトナーの発色性、透明性が低下する。
【0012】
本発明に使用可能な着色剤としては公知の平均1次粒径が0.2μm以下の顔料を使用することができる。このような平均1次粒径を有する着色顔料として、例えば、C.I.ピグメントレッド1〜19、21〜23、30〜32、37〜41、48〜55、57、60、63、64、68、81、83、87〜90、112、114、122、123、163、184、202、206、207および209等のマゼンタ着色剤、C.I.ピグメントイエロー1〜7、10〜17、23、65、73、83および180、C.I.バットイエロー1、3および20等のイエロー着色剤、C.I.ピグメントブルー2、3、15〜17等のシアン着色剤等が挙げられる。着色剤の使用量については、得られるトナーにおいて着色剤含有量がバインダー樹脂100重量部に対して1〜15重量部、好ましくは2〜10重量部となるよう使用される。本発明において上記着色剤はフラッシング処理やマスターバッチ処理等の前処理を施さなくても着色剤の微分散を達成することができるため、製造コストを低くすることができる。
【0013】
第1混合工程では、凝集着色剤が解砕され、かつ解砕された1次粒子化着色剤が微粉表面に保持され得る程度に混合することが好ましく、例えば、内容量9リットルのヘンシェルミキサーを使用した場合、撹拌羽根の先端周速が30〜50m/秒となるよう設定し、5〜20分間混合することが望ましい。
【0014】
本発明においては、第1混合工程で、無機微粒子を上記の微粉および着色剤とともに添加し、混合してもよい。本工程で無機微粒子を添加することにより、混合槽内での内壁へのトナー成分の付着を防止することができる。無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、二酸化チタン微粒子、アミルナ微粒子、フッ化マグネシウム微粒子、窒化ホウ素微粒子、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸マグネシウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子等が挙げられる。これらの微粒子は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等で疎水化処理して用いることが望ましい。
【0015】
上記無機微粒子は平均1次粒径5〜100nm、好ましくは10〜50nmのものを、上記微粉100重量部に対して0.1〜2重量部、好ましくは0.1 〜0.5重量部使用することが望ましい。当該粒径が100nmを越えると解砕された1次粒子化着色剤と同等の大きさとなり分散剤としての機能が低下する。5nm未満であると無機微粒子同士の凝集が発生し、分散剤としての機能が低下する。また、無機微粒子の使用量が微粉100重量部に対して2重量部を越えると混合物が高流動になり、混合エネルギー伝達が低下し着色剤の解析が進まなくなる。一方、0.1重量部未満では無機微粒子添加の効果が得られない。
【0016】
本発明の好ましい態様において、微粉として上記のトナー微粉砕物または分級トナー微粉を使用する場合、これら微粉は少なくとも、従来からトナー原料として使用されている公知のバインダー樹脂および着色剤からなっており、その他所望の添加剤、例えば、帯電制御剤、ワックス等が含まれていてもよい。当該微粉の組成比は特に制限されることはないが、本発明の方法で製造しようとするトナー組成比と同一であることが好ましい。
【0017】
上記微粉を構成するバインダー樹脂としては、第2混合工程で添加されるバインダー樹脂と相溶できる樹脂であれば特に制限されることはないが、好ましくは第2混合工程で添加されるバインダー樹脂と同一の樹脂が使用されている。また、微粉を構成する着色剤としては、第1混合工程で添加される上記着色剤の色彩を阻害しない着色剤が使用可能であり、好ましくは同色系の着色剤、より好ましくは同一の着色剤が使用されている。微粉を構成する帯電制御剤としては本発明の方法で製造しようとするトナーの帯電特性を阻害しない帯電制御剤が使用可能であり、好ましくは第2混合工程で添加されるものと同一の帯電制御剤が使用されている。微粉を構成するワックスとしては特に制限されることはなく、いずれのワックスも使用可能であるが、好ましくは第2混合工程で添加されるワックスが使用されている。
【0018】
微粉としてトナー微粉砕物または分級トナー微粉を使用する場合の当該微粉の使用量については、添加される着色剤についてのすべての1次粒子化着色剤が微粉表面に保持され得るような量である。当該使用量は微粉の粒径、すなわち微粉の総表面積に依存するが、一般には、微粉重量が着色剤重量の2.5倍以上、好ましくは5倍以上となるような量であることが望ましい。微粉使用量が着色剤使用量との関係において上記割合より少ないと、解砕されたすべての1次粒子化着色剤が微粉表面に保持されず、着色剤の再凝集が起こるため、得られるトナーの発色性、透明性が低下する。なお、トナー微粉砕物、分級トナー微粉は混合して用いられてもよく、この場合において上記の微粉使用量はこれらの合計量を意味するものとする。
【0019】
本発明においては、次いで、上記第1混合工程で得られた混合物に、着色剤以外のトナー原料を混合する(第2混合工程)。第2混合工程において混合される着色剤以外のトナー原料としては、従来からトナーの製造に使用されている公知のトナー原料、例えば、バインダー樹脂、帯電制御剤、ワックス等が挙げられる。
【0020】
バインダー樹脂としては、従来からカラートナーの製造に使用されている公知の樹脂、例えば、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、エポキシ樹脂等を単独で、または混合して使用することができ、好ましくはポリエステル樹脂が使用される。より優れた発色性および透明性を得るためには特定の溶融特性を有する樹脂を使用することが好ましい。具体的には、100℃における溶融粘度が5×104〜1×106ポイズであり、90℃における溶融粘度V1と100℃における溶融粘度V2との比V1/V2が8以上、好ましくは8〜40である樹脂を用いることが望ましい。上記V1/V2が8未満の樹脂を使用すると画像の表面平滑性が損なわれて乱反射を生じやすくなる。また、軟化点が90〜115℃のバインダー樹脂を使用することが定着性の観点から好ましい。第2混合工程で添加されるバインダー樹脂の粒径は特に制限されることはないが、溶融混練工程における作業容易性の観点から、一般には、当該バインダー樹脂は体積平均粒径0.3〜2mm程度に粉砕された粗粒子として使用されることが好ましい。
【0021】
帯電制御剤としては、無色、白色または淡色のものを使用する必要があり、トナーを正荷電制御したいときは正荷電制御剤、トナーを負荷電制御したいときは負荷電制御剤を用いることができる。本発明に使用可能な正荷電制御剤としては例えば、4級アンモニウム塩系化合物等が挙げられ、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物等が挙げられる。
【0022】
ワックスとしては、特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油ワックス、蜜ろうワックス等が使用可能である。
【0023】
第2混合工程で添加される上記のバインダー樹脂、帯電制御剤、ワックス等は第1混合工程で添加されるトナー微粉砕物または分級トナー微粉に含まれるこれらの含有量を勘案し、得られるトナーが後述のトナー組成を有するような量で使用されることが好ましい。
【0024】
第2混合工程では、第1混合工程において上記微粉表面に保持された着色剤が遊離しないよう着色剤以外のトナー原料と混合されることが好ましく、例えば、内容量9リットルのヘンシェルミキサーを使用した場合、撹拌羽根の先端周速が30〜50m/秒となるよう設定し、5〜20分間混合することが望ましい。
【0025】
本発明の別の態様において、微粉として樹脂微粉砕物を使用する場合、当該微粉はバインダー樹脂のみからなっている。バインダー樹脂としては前記態様における第2混合工程で添加されるバインダー樹脂と同様の樹脂を例示することができる。
【0026】
微粉として樹脂微粉砕物を使用する場合の当該微粉の使用量については、前記の態様における微粉使用量と同様であって、添加される着色剤についてのすべての1次粒子化着色剤が微粉表面に保持されるような量である。すなわち、当該微粉使用量は微粉重量が着色剤重量の2.5倍以上、好ましくは5倍以上となるような量が好適である。
【0027】
本発明においては、次いで、上記第1混合工程で得られた混合物に、着色剤以外のトナー原料を混合する(第2混合工程)。着色剤以外のトナー原料としては、従来からトナーの製造に使用されている公知のトナー原料、例えば、バインダー樹脂、帯電制御剤、ワックス等が挙げられる。本工程で添加されるバインダー樹脂は体積平均粒径0.3〜2mm程度まで粉砕されて使用されればよく、またその使用量は、第1混合工程で添加された樹脂微粉砕物使用量を勘案して、得られるトナーが所望のトナー組成を有するよう設定される。本工程で添加されるバインダー樹脂としては第1混合工程で使用されたバインダー樹脂を使用することが好ましいが、当該バインダー樹脂と相溶できる樹脂であれば特に制限されるものではなく、前記態様における第2混合工程で添加されるバインダー樹脂と同様の樹脂を例示することができる。
【0028】
第2混合工程において添加される帯電制御剤、ワックス等の添加剤については、前記の態様における第2混合工程で添加される帯電制御剤、ワックスと同様の具体例を例示することができる。第2混合工程で添加される帯電制御剤、ワックス等の添加剤は、得られるトナーが所望のトナー組成比を有するような量で使用されることが好ましい。
【0029】
本発明のさらに別の態様において、微粉として前記のトナー微粉砕物または/および分級トナー微粉と上記樹脂微粉微粉砕物を併用して使用することもできる。この場合において、これら微粉の使用量、トナー原料の使用量については、すべての1次粒子化着色剤が微粉表面に保持され、得られるトナーの組成比が所望のトナー組成比となるよう使用されれば、特に限定的でなく、上記の態様に準じて適宜設定されてよい。
【0030】
また、本発明のさらに別の態様において、微粉として湿式トナー微粉を使用する場合、すべての条件は、微粉としてトナー微粉砕物、分級トナー微粉が使用される態様に準じて適宜設定されてよい。
【0031】
本発明においては、さらに、上記のような様々な態様で得られた混合物を溶融・混練する工程、冷却した混練物を粉砕する工程、および粉砕物を分級する工程を経て、体積平均粒径が5〜10μmであり、着色剤が均一に微分散されたトナーを得ることができる。このようにして得られたトナーは優れた発色性および透明性を有する。
【0032】
本発明においては、粉砕物の分級工程で回収された体積平均粒径3〜7μm程度のトナー微粉を、第1混合工程において微粉として使用することによりトナー原料の有効利用を図ることができ、生産性を向上させることができる。また、分級工程で回収された体積平均粒径8〜20μm程度のトナー粗大粒子を粉砕工程に戻して再度粉砕することによっても生産性の向上を図ることができる。
【0033】
また本発明の方法で得られたカラートナーは、キャリアと混合して用いる二成分現像剤用トナーとして、またキャリアを使用しない一成分トナーとして使用可能である。
【0034】
【実施例】
(ポリエステル樹脂Aの製造)
2リットルの4つ口フラスコに還流冷却器、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計、撹拌装置を取り付け、マントルヒーターに設置した。このフラスコにポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(PO)、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(EO)およびテレフタル酸(TPA)を、モル比3:7:9となるように仕込み、フラスコ内に窒素を導入しながら加熱、撹拌して反応させた。酸価を測定しながら反応の進行を追跡し、所定の酸価に達した時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂Aを得た。なお、以下の実施例および比較例では、ポリエステル樹脂Aは体積平均粒径1.0mmに粉砕したものを用いた。
【0035】
(初期マゼンタ微粉の製造)
・ポリエステル樹脂A 100重量部
・マゼンタ顔料 4.0重量部
(C.I.ピグメントレッド184;クライアント社製)
・ワックス(カルナバワックス;加藤洋行社製) 2.0重量部
・帯電制御剤 1.5重量部
(サリチル酸亜鉛錯体E−84;オリエント化学社製)
上記原料を内容積9リットルのヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)に入れ、撹拌羽根の先端周速を40m/秒に設定して15分間混合した。この混合物を2軸押出混練機で溶融混練し、混練物を充分に冷却した後、フェザーミルにて粉砕し、粗粉砕物を得た。粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、トナー微粉砕物として体積平均粒径6.4μmの初期マゼンタ微粉を得た。
【0036】
(初期シアン微粉および初期イエロー微粉の製造)
マゼンタ顔料の代わりに、それぞれシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15−3;大日本インキ社製)4.0重量部、イエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー180;大日本インキ社製)4.0重量部を用いたこと以外、初期マゼンタ微粉の製造方法と同様にして、トナー微粉砕物として体積平均粒径がそれぞれ6.6μm、6.8μmの初期シアン微粉、初期イエロー微粉を得た。
【0037】
実施例1
・上記初期マゼンタ微粉 100重量部
・マゼンタ顔料 8.0重量部
(C.I.ピグメントレッド184;クライアント社製)
上記成分を内容積9リットルのヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)に入れ、撹拌羽根の先端周速を40m/秒に設定して10分間混合した。この混合物に、下記成分;
・ポリエステル樹脂A 200重量部
・ワックス(カルナバワックス;加藤洋行社製) 4.0重量部
・帯電制御剤 3.0重量部
(サリチル酸亜鉛錯体E−84;オリエント化学社製)
を添加し、撹拌羽根の先端周速を40m/秒に設定して5分間混合した。その後混合物を2軸押出混練機で溶融混練し、混練物を充分に冷却した後、フェザーミルにて粉砕し、粗粉砕物を得た。粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、気流式分級機にて分級して、体積平均粒径が8.3μmのマゼンタトナー母粒子と体積平均粒径が4.7μmのマゼンタ分級微粉を得た。得られたマゼンタトナー母粒子をトナーM1とする。
【0038】
実施例2および3
初期マゼンタ微粉の代わりにそれぞれ初期シアン微粉、初期イエロー微粉を用いたこと、およびマゼンタ顔料の代わりにそれぞれシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15−3;大日本インキ社製)8.0重量部、イエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー180;大日本インキ社製)8.0重量部を用いたこと以外、実施例1と同様にして、それぞれ、体積平均粒径が8.6μmのシアントナー母粒子と体積平均粒径が5.2μmのシアン分級微粉、体積平均粒径が8.7μmのイエロートナー母粒子と体積平均粒径が5.3μmのイエロー分級微粉を得た。得られたシアントナー母粒子、イエロートナー母粒子を、それぞれトナーC1、トナーY1とする。
【0039】
実施例4
初期マゼンタ微粉の代わりに実施例1で得られたマゼンタ分級微粉(分級トナー微粉)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、体積平均粒径が8.3μmのマゼンタトナー母粒子と体積平均粒径が4.9μmのマゼンタ分級微粉を得た。得られたマゼンタトナー母粒子をトナーM2とする。
【0040】
実施例5および6
初期シアン微粉、初期イエロー微粉の代わりにそれぞれ実施例2、3で得られたシアン分級微粉(分級トナー微粉)、イエロー分級微粉(分級トナー微粉)を用いたこと以外、それぞれ実施例2、3と同様にして、それぞれ、体積平均粒径が8.5μmのシアントナー母粒子と体積平均粒径が5.0μmのシアン分級微粉、体積平均粒径が8.3μmのイエロートナー母粒子と体積平均粒径が4.7μmのイエロー分級微粉を得た。得られたシアントナー母粒子、イエロートナー母粒子をそれぞれトナーC2、トナーY2とする。
【0041】
実施例7〜9
実施例4〜6において、分級トナー微粉と着色顔料との混合時に疎水性シリカ(H−2000;クライアント社製、平均1次粒径14nm)0.6重量部をさらに添加したこと以外、それぞれ実施例4〜6と同様にして、それぞれ、体積平均粒径が8.0μmのマゼンタトナー母粒子と体積平均粒径が5.1μmのマゼンタ分級微粉、体積平均粒径が8.4μmのシアントナー母粒子と体積平均粒径が5.7μmのシアン分級微粉、体積平均粒径が8.2μmのイエロートナー母粒子と体積平均粒径が5.4μmのイエロー分級微粉を得た。得られたマゼンタトナー母粒子、シアントナー母粒子、イエロートナー母粒子をそれぞれトナーM3、トナーC3、トナーY3とする。
【0042】
比較例1
・ポリエステル樹脂A 100重量部
・マゼンタ顔料 4.0重量部
(C.I.ピグメントレッド184;クライアント社製)
・ワックス(カルナバワックス;加藤洋行社製) 2.0重量部
・帯電制御剤 1.5重量部
(サリチル酸亜鉛錯体E−84;オリエント化学社製)
上記成分を内容積9リットルのヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)に入れ、撹拌羽根の先端周速を40m/秒に設定して15分間一括混合した。その後混合物を2軸押出混練機で溶融混練し、混練物を充分に冷却した後、フェザーミルにて粉砕し、粗粉砕物を得た。粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、気流式分級機にて分級して、体積平均粒径が8.3μmのマゼンタトナー母粒子を得た。得られたマゼンタトナー母粒子をトナーM4とする。
【0043】
比較例2および3
マゼンタ顔料の代わりにそれぞれシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15−3;大日本インキ社製)4.0重量部、イエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー180;大日本インキ社製)4.0重量部を用いたこと以外、比較例1と同様にして、それぞれ、体積平均粒径が8.4μmのシアントナー母粒子、体積平均粒径が8.7μmのイエロートナー母粒子を得た。得られたシアントナー母粒子、イエロートナー母粒子を、それぞれトナーC4、トナーY4とする。
【0044】
比較例4〜6
比較例1〜3において混合時間を30分間にしたこと以外、それぞれ比較例1〜3と同様にして、それぞれ体積平均粒径が8.1μmのマゼンタトナー母粒子体積平均粒径が8.4μmのシアントナー母粒子、体積平均粒径が8.3μmのイエロートナー母粒子を得た。得られたマゼンタトナー母粒子、シアントナー母粒子、イエロートナー母粒子を、それぞれトナーM5、トナーC5、トナーY5とする。
【0045】
比較例7〜9
比較例1〜3において混合時間を30分間にし、得られた混合物に実施例1〜3で得られた分級微粉をそれぞれ50重量部添加し、撹拌羽根の先端周速を40m/秒に設定してさらに5分間混合して混合物を得たこと以外、それぞれ比較例1〜3と同様にして、それぞれ体積平均粒径が8.7μmのマゼンタトナー母粒子体積平均粒径が8.5μmのシアントナー母粒子、体積平均粒径が8.2μmのイエロートナー母粒子を得た。得られたマゼンタトナー母粒子、シアントナー母粒子、イエロートナー母粒子を、それぞれトナーM6、トナーC6、トナーY6とする。
【0046】
上記の実施例および比較例で得られたトナー100重量部に、解砕した疎水性シリカ(TS−500;キャボット社製)0.6重量部を添加し、内容積9リットルのヘンシェルミキサーで撹拌羽根周速20m/秒にて2分間混合して得られたトナーを以下の評価で使用した。
【0047】
(評価)
以上のようにして得られたトナーを一成分現像方式フルカラープリンター(NCL3001;ミノルタ社製)に搭載し、OHPシート上にカラー画像(マゼンタ色、シアン色、イエロー色、3色のパッチパターン;トナー量0.6mg/cm2)を形成させ、OHPにて投影した画像の発色性および透明性を目視評価した。なお、上記プリンターにはM、C、Y、3色のトナーを搭載し、対応する色毎に評価を行った。
【0048】
発色性
◎;充分な色再現性があった;
〇;色再現性はやや劣るものの、実用上問題はなかった;
△;色再現性は劣るものの色の識別は可能であるが、実用上問題があった;
×;色の識別が不可能であった。
【0049】
透明性
◎;充分明るかった;
〇;明るく実用上問題なかった;
△;やや暗く、実用上問題があった;
×;暗かった。
【0050】
付着状態
また、それぞれの実施例および比較例において使用した混合機(ヘンシェルミキサー)の混合槽内壁を目視により観察し、評価した。
〇;内壁の地が明確に見え、トナー成分は内壁に微量しか付着していなかった;
△;トナー成分が内壁の地色を完全に被覆しており、実用上問題なかった;
×;トナー成分が塊状で内壁に付着しており、実用上問題があった。
【0051】
以上の評価結果を、混合工程における諸条件とともにまとめて表1に示した。
【表1】
【0052】
(体積平均粒径)
本明細書中、トナーの体積平均粒径はコールターマルチサイザー(コールター社製)により100μmのアパチャーチューブを用いて測定した値を用いている。
【0053】
【発明の効果】
本発明の方法により、発色性および透明性に優れたカラートナーを容易に製造することができる。また、微粉として分級トナー微粉を使用することにより、トナー原料の有効利用を図ることができ、本発明の方法は生産性にも優れている。また、本発明の方法において第1混合工程で小粒径のシリカを微量添加することにより、混合槽内壁のトナー成分付着が顕著に防止されるため、発色性および透明性に優れたカラートナーを、作業効率を向上させつつ製造することができる。
Claims (2)
- 少なくともバインダー樹脂を含むトナー原料を混練、粉砕するトナー製造工程で生成した体積平均粒径1〜50μmの微粉および着色剤を混合する第1混合工程、
得られた混合物に、着色剤以外のトナー原料を混合する第2混合工程、
得られた混合物を溶融・混練する溶融混練工程、
混練物を粉砕する粉砕工程、および
粉砕物を分級する分級工程
を含むカラートナーの製造方法。 - 第1混合工程で用いられる微粉がトナー原料からなるトナー微粉砕物または分級トナー微粉であることを特徴とする請求項1に記載のカラートナーの製造方法。
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