JP3796914B2 - 感光性樹脂組成物および印刷版材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は感光性樹脂組成物およびそれを用いた印刷版材に関するものであり、特に耐刷力が向上し印刷品質の向上した感光性樹脂凸版材を提供する印刷版用感光性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感光性樹脂組成物を印刷用版材として使用することは一般的に行われ、凸版、平版、凹版印刷の各分野において主流となっている。
【0003】
このような印刷版材は、ネガティブ、ポジティブの原画フィルムを感光性樹脂層に密着させ、活性光線を原画フィルムを通して照射することにより、感光性樹脂層中に溶剤に溶解する部分と溶解しない部分を形成することでレリーフ像を形成し、印刷版材として使用するものである。
【0004】
このような方法を利用した感光性樹脂凸版材は、一般にポリマ、ラジカル重合性モノマ、光重合開始剤から構成されている。現在主に使用されている感光性樹脂凸版材は、水現像できるものがほとんどであり、そのことからポリマに水溶解性または水膨潤性ポリマが用いられている。
【0005】
水溶解性ポリマとして主に用いられているのが部分鹸化ポリ酢酸ビニル重合体であり、例えば特公昭52−27561号公報、特公昭53−37213号公報、特開昭50−27602号公報などが挙げられる。
【0006】
しかし、部分鹸化ポリ酢酸ビニルは水に対して溶解性を持つが為に水現像時にレリーフが欠けたりする問題や、このような重合体の結晶化度が高いために印刷中の衝撃力に対して脆く印刷中にレリーフが欠けるなどの問題が発生している。
【0007】
解決する方法として、特開平3−274558号公報や特開平4−283749号公報にあるように部分鹸化ポリ酢酸ビニルに感光性基を導入することで上記問題を解決することが提案されている。しかしながら、この方法においても印刷中の衝撃に対するレリーフ欠けに対しては、例えば、印刷枚数が非常に多い場合や印刷圧力が高い場合には、満足できるレベルにはなく、さらに改良されることが望まれている。また、このような変性した完全鹸化または部分鹸化ポリ酢酸ビニルを含有する組成物を水現像した場合、変性しているが為にポリマの水への溶解性が低下し現像液中にポリマの沈降物が堆積する。これによって、堆積物がレリーフを形成した版の表面に付着し、印刷時に印刷物の欠点となる問題が発生している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を鑑みて、反応性基が付与された部分鹸化ポリ酢酸ビニルが配合された印刷版材の現像時および印刷時のレリーフ強靱性を高め、さらに現像廃液中の堆積物が少なく、画像再現性に優れた感光性樹脂組成物および樹脂凸版を提案することを課題をする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は
(A)部分鹸化ポリ酢酸ビニルと酸無水物とを反応させ、部分鹸化ポリ酢酸ビニルの水酸基を起点としてカルボキシル基をポリマ側鎖に導入し、そのカルボキシル基に不飽和エポキシ化合物を反応させることにより反応性基を導入した、反応性基を側鎖に有する変性部分鹸化ポリ酢酸ビニル100重量部に対して、
(B)塩基性窒素を有するポリアミド0.5〜100重量部、
(C)反応性基を有する化合物10〜200重量部、
(D)光重合開始剤0.1〜20重量部
を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物、およびそれからなる感光層を支持体上に塗設してなる印刷版材を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
感光性樹脂組成物を構成する(A)成分である反応性基を側鎖に有する変性部分鹸化ポリ酢酸ビニルにおける反応性基とは、ラジカル反応により架橋することができる官能基のことである。一般に、このような官能基としては、通常は非芳香族の不飽和炭素−炭素結合、すなわち炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合が通常使用され、ビニル基、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
【0012】
このような反応性基を部分鹸化ポリ酢酸ビニルの側鎖に導入する方法として、特開平3−274558号公報や特開平4−283749号公報にある方法により得ることができる。
【0013】
すなわち、部分鹸化ポリ酢酸ビニルと酸無水物とを反応させ、部分鹸化ポリ酢酸ビニルの水酸基を起点としてカルボキシル基をポリマ側鎖に導入し、そのカルボンキシル基に不飽和エポキシ化合物を反応させることにより反応性基を導入する方法である。
【0014】
このような反応性基は、化合物(A)中、0.08〜0.72モル/kgが好ましく、さらに好ましくは0.12〜0.36モル/kgである。0.72モル/kgより大きいと、水溶解性が悪くなり、水現像性が満足するレベルを得られないことが多い。0.08モル/kgより小さいと、反応性基が反応することで改善される現像時のレリーフ欠けなどの効果が発現しなくなることが多い。
【0015】
このようにして得られた反応性基を有する部分鹸化ポリ酢酸ビニル(A)は、少なくとも次の(I)、(II)、(III )の構造単位を有する。
【化1】
【0016】
反応性基を有する部分鹸化ポリ酢酸ビニル(A)に水現像性が必要なことから、構造(I)の単位が60〜99モル%が好ましく、さらに好ましくは70〜95モル%である。(I)の構造単位が60モル%未満であると水溶解性が低下し十分な水現像性を得ることができず、99モル%より大きいと常温水に対する溶解性が低下して十分な水現像性を得ることができない。
【0017】
また、(A)成分であるポリマの平均重合度は300〜2000の範囲が好ましく、500〜1000がより好ましい。平均重合度が300未満であるとポリマの耐水性が低下し、十分な耐水性を得ることができない。平均重合度が2000を越えるとポリマの水溶解性が著しく低下し、十分な水現像性が得られない。
【0018】
本発明の(B)成分は、(A)成分の現像液中での溶解性や分散性を高め、現像液中に堆積物を発生させない働きを持つものである。さらに(A)成分の配合によって生じることの多かった現像時のレリーフ欠けや印刷時のレリーフ欠けの問題を改良できるものである。
【0019】
そこで(B)成分として塩基性窒素を有するポリアミドが使用される。ポリアミド中にある塩基性窒素が、(A)成分にある水酸基やカルボキシル基と安定なコンプレックスを形成することで、現像液中に(A)成分が安定に存在することができると考えられる。
【0020】
塩基性窒素を有するポリアミドは、主鎖または側鎖の一部分に塩基性窒素を含有する重合体である。塩基性窒素とは、アミド基でないアミノ基を構成する窒素原子である。そのようなポリアミドとしては、3級アミノ基を主鎖中に有するポリアミドを挙げることができる。
【0021】
塩基性窒素を有するポリアミドは、塩基性窒素を有する単量体を単独もしくは他の単量体とを用いて縮重合、重付加反応などを行いポリアミドを得ることができる。
【0022】
塩基性窒素としては、ピペラジンやN,N−ジアルキルアミノ基が好ましく、より好ましくはピペラジンである。
【0023】
本発明で要されるポリアミドを提供するための塩基性窒素を有する単量体とは具体的に挙げるとN,N’−ビス(アミノメチル)−ピペラジン、N,N’−ビス(β−アミノエチル)−ピペラジン、N,N’−ビス(γ−アミノベンジル)−ピペラジン、N−(β−アミノエチル)ピペラジン、N−(β−アミノプロピル)ピペラジン、N−(ω−アミノヘキシル)ピペラジン、N−(β−アミノエチル)−2,5−ジメチルピペラジン、N,N−ビス(β−アミノエチル)−ベンジルアミン、N,N−ビス(γ−アミノプロピル)−アミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス(γ−アミノプロピル)−エチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス(γ−アミノプロピル)−テトラメチレンジアミンなどのジアミン類、N,N’−ビス(カルボキシメチル)−ピペラジン、N,N’−ビス(カルボキシメチル)−メチルピペラジン、N,N’−ビス(カルボキシメチル)−2,6−ジメチルピペラジン、N,N’−ビス(β−カルボキシエチル)−ピペラジン、N,N−ビス(カルボキシメチル)−メチルアミン、N,N−ビス(β−カルボキシエチル)−エチルアミン、N,N−ビス(β−カルボキシエチル)−メチルアミン、N,N−ジ(β−カルボキシエチル)−イソプロピルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス−(カルボキシメチル)−エチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス−(β−カルボキシエチル)−エチレンジアミンなどのジカルボン酸類あるいはこれらの低級アルキルエステル、酸ハロゲン化物、N−(アミノメチル)−N’−(カルボキシメチル)−ピペラジン、N−(アミノメチル)−N’−(β−カルボキシエチル)−ピペラジン、N−(β−アミノエチル)−N’−(β−カルボキシエチル)−ピペラジン、N−カルボキシメチルピペラジン、N−(β−カルボキシエチル)ピペラジン、N−(γ−カルボキシヘキシル)ピペラジン、N−(ω−カルボキシヘキシル)ピペラジン、N−(アミノメチル)−N−(カルボキシメチル)−メチルアミン、N−(β−アミノエチル)−N−(β−カルボキシエチル)−メチルアミン、N−(アミノメチル)−N−(β−カルボキシエチル)−イソプロピルアミン、N,N’−ジメチル−N−(アミノメチル)−N’−(カルボキシメチル)−エチレンジアミンなどのω−アミノ酸などがある。またこれらの単量体のほかにジアミン、ジカルボン酸、ω−アミノ酸、ラクタムなどと併用して重合することによって本発明のポリアミドができる。
【0024】
これら塩基性窒素を含有する単量体成分は全ポリアミド構成成分、すなわちアミノカルボン酸単位(原料としてラクタムの場合を含む)、ジカルボン酸単位およびジアミン構造単位の和に対して、10〜100モル%、さらに10〜80モル%であることが好ましい。10モル%未満であると水溶性が低く(A)成分との相溶性が低下することが多い。
【0025】
本発明の(C)成分である反応性基を有する化合物は、(A)成分、(B)成分との相溶性が良好なものであれば特に限定されるものではない。
【0026】
反応性基を有する化合物は、ラジカル重合により重合可能な化合物である。
【0027】
一般的に使用される反応性基を有する化合物としては、従来公知の化合物が全て含まれる。具体例としては、次のようなものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0028】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシ−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロプロピル(メタ)アクリレート等のハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングレコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドのような(メタ)アクリルアミド類、2、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3ークロロー2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、などのエチレン性不飽和結合を1個だけ有する化合物、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメリロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルに不飽和カルボン酸や不飽和アルコールなどのエチレン性不飽和結合と活性水素を持つ化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和エポキシ化合物とカルボン酸やアミンのような活性水素を有する化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどの多価(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼンなどの多価ビニル化合物、などの2つ以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物、などが挙げられる。
【0029】
これら(C)成分の含有量は(A)成分100重量部に対して10〜200重量部である。10重量部より少ないと画像再現性が不足することが多い。200重量部より多いとできたレリーフが脆いものになりやすい。
【0030】
また、感光性樹脂組成物中に(D)成分である光重合開始剤を加える。光重合開始剤としては、光によって重合性の炭素−炭素不飽和基を重合させることができるものであれば全て使用できる。なかでも、光吸収によって、自己分解や水素引き抜きによってラジカルを生成する機能を有するものが好ましく用いられる。例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、ベンジル類、アセトフェノン類、ジアセチル類などがある。光重合開始剤の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲である。
【0031】
本発明の感光性樹脂組成物に相溶性、柔軟性を高めるための相溶助剤としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類を添加することも可能である。これらの多価アルコールは、感光性樹脂組成物全体に対して、30重量%以下であることか好ましい。
【0032】
本発明の感光性樹脂組成物の熱安定性を上げる為に、従来公知の重合禁止剤を添加することができる。好ましい重合禁止剤としては、フェノール類、ハイドロキノン類、カテコール類などが挙げられる。これらの配合量は、全感光性樹脂組成物に対して、0.001〜5重量%の範囲で使用することが一般的である。
【0033】
また、他の成分として、染料、顔料、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤、香料などを添加することができる。
【0034】
本発明の感光性樹脂組成物を製造する方法としては、(A)成分の反応性基を持つ部分鹸化ポリ酢酸ビニルと(B)成分であるポリアミドを水/アルコールの混合溶媒に加熱溶解した後に、(C)成分である反応性基を有する化合物、(D)成分である光重合開始剤やその他の成分を添加し、十分攪拌することで感光性樹脂組成物溶液を得ることができる。この溶液から溶剤を蒸留除去した後、接着剤を塗布した基板上に、溶融押し出しし、粘着防止層を塗布したカバーフィルムを感光層上に密着させることで印刷版用感光性樹脂版を得ることができる。また、乾式製膜により感光性樹脂シートを作成し、基板とカバーフィルムを感光性樹脂シートに挟み込み印刷版用感光性樹脂版を得ることができる。基板としてはスチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属やポリエステルなどのプラスチックシート、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴムシートが使用される。感光層の厚みは0.01〜10mmの厚さに形成することが好ましい。
【0035】
このようにして得られた感光性樹脂版に印刷用のレリーフ像を形成するためには、まず、カバーフィルムを剥離した感光層上にネガティブまたはポジティブの原画フィルムを密着させ通常300〜400nmの波長を照射できる高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、カーボンアーク灯、ケミカル灯により紫外線照射し、光重合によって光硬化を行わせる。
【0036】
次に、未重合部分を中性水使用のスプレー式現像装置やブラシ式洗い出し機により溶出させることにより基板上にレリーフ像を形成することができる。これを必要であれば、乾燥後大気中、ないし真空中で活性光線処理して印刷版材を得ることができる。
【0037】
本発明の感光性樹脂組成物は、凸版印刷用に用いることが最も適しているが、平版印刷用、凹版印刷用、孔版印刷用、フォトレジストとして使用することも可能である。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例で詳細に説明する。
【0039】
反応性基を有する部分鹸化ポリ酢酸ビニルを次のようにして合成した。
【0040】
(合成例1)
重合度650、鹸化度75モル%の部分鹸化ポリ酢酸ビニルをN,N−ジメチルホルムアミド(以下DMFと略)中に膨潤させ無水コハク酸1モル%を添加し反応させカルボキシル基を付加させた。このポリマを精製し未反応の無水コハク酸を除去し、酸価を測定したところ酸価は7であった。このポリマ100重量部をエタノール/水=30/70(重量比)の混合溶媒200重量部に80℃で溶解した。ここにグリシジルメタクリレートを6重量部添加して部分鹸化ポリ酢酸ビニル中に反応性基を導入した。電位差滴定法による分析結果からポリマ中のカルボキシル基がグリシジルメタクリレートのエポキシ基と反応しポリマ側鎖中にメタクロイル基が導入されたこを確認した。
【0041】
よって、反応性基はカルボキシル基変性の部分鹸化ポリ酢酸ビニルの酸価の値から0.13モル/kgであることがわかった。
【0042】
(合成例2)
重合度650、鹸化度80モル%の部分鹸化ポリ酢酸ビニルをDMF中に膨潤させ無水フタル酸1.5モル%を添加し反応させカルボキシル基を付加させた。このポリマを精製し未反応の無水フタル酸を除去し、酸価を測定したところ酸価は12であった。このポリマ100重量部をエタノール/水=30/70(重量比)の混合溶媒200重量部に80℃で溶解した。ここにグリシジルメタクリレートを6重量部添加して部分鹸化ポリ酢酸ビニル中に反応性基を導入した。電位差滴定法による分析結果からポリマ中のカルボキシル基がグリシジルメタクリレートのエポキシ基と反応しポリマ側鎖中にメタクロイル基が導入されたこを確認した。
【0043】
よって、反応性基はカルボキシル基変性の部分鹸化ポリ酢酸ビニルの酸価の値から0.21モル/kgであることがわかった。
【0044】
(合成例3)
重合度1000、鹸化度80モル%の部分鹸化ポリ酢酸ビニルをアセトン中に膨潤させ無水マレイン酸1.5モル%を添加し反応させカルボキシル基を付加させた。このポリマを精製し未反応の無水マレイン酸を除去し、酸価を測定したところ酸価は11であった。このポリマ100重量部をエタノール/水=30/70(重量比)の混合溶媒200重量部に80℃で溶解した。ここにグリシジルメタクリレートを6重量部添加して部分鹸化ポリ酢酸ビニル中に反応性基を導入した。電位差滴定法による分析結果からポリマ中のカルボキシル基がグリシジルメタクリレートのエポキシ基と反応しポリマ側鎖中にメタクロイル基が導入されたこを確認した。
【0045】
よって、反応性基はカルボキシル基変性の部分鹸化ポリ酢酸ビニルの酸価の値から0.20モル/kgであることがわかった。
【0046】
ポリアミドとして表1のものを使用した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
実施例1
合成例1のポリマ100重量部をエタノール/水=30/70(重量比)の混合溶媒200重量部に80℃で溶解した。この溶液中に表1のポリアミド1を10部添加し溶解した。その後、反応性基を有する化合物としてプロピレングリコールジグリシジルエーテル1モルとアクリル酸2モルの付加反応によって得られた不飽和エポキシエステル化合物20部、グリシジルメタクリレート1モルとアクリル酸の付加反応物30部を添加し、さらにグリセリン25部を添加し、光重合開始剤としてジメチルベンジルケタール3.0部、熱重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.05部を加え十分攪拌した。感光性樹脂溶液の状況を目視で観察したところ透明な原液となっていることを確認した。
【0050】
このようにして得られた感光性樹脂溶液をあらかじめポリエステル系接着剤を塗布してある厚さ200μmのポリエステルフィルム上に乾燥後の膜厚が950μmとなるように流延し、60℃の熱風オーブンに5時間入れて溶剤を除去した。
【0051】
このようにして得られた感光性樹脂シートの感光層上に、水/エタノール=50/50の溶液を薄く塗布し、マット化された100μmのポリエステルフィルム上にポリビニルアルコール系ポリマの粘着防止層を持つカバーフィルムを圧着してカバーフィルムを付けた。
【0052】
この印刷版用感光性樹脂版を10日間暗所に保管した後、カバーフィルムを剥離し、感度測定用グレースケールネガフィルムおよび画像再現性評価用ネガフィルム(133線の3%網点、200μmの独立点を持つ)を真空密着させ、ケミカル灯露光機で2分間露光した。次いで30℃の中性水を入れたブラシ式現像装置を使用して現像したところ4分間で未露光部分が水中に溶出し、レリーフ像を得ることができた。現像装置中にある現像液を目視で観察した結果、現像液中に浮遊物や沈澱物のないことを確認した。得られたレリーフ像を評価した結果、グレースケールは17ステップであり、画線部の3%網点、200μm独立点が再現していることがわかった。
【0053】
このようにして得られた印刷版材で印刷テストをしたところ画線の太りがなくシャープな仕上がりの印刷物が得られた。また、50万枚の印刷を行ったがレリーフ剥がれや欠けの問題など発生しなかった。
【0054】
実施例2〜4、比較例1、2
表3の組成により、実施例1と同様の方法で感光性樹脂組成物溶液、印刷版用感光性樹脂版および印刷版材を得た。感光性樹脂組成物溶液(原液)の状態、グレースケール17ステップ時の画像再現性、現像液の沈澱物の状況、50万枚印刷テスト結果を表4にまとめる。
【0055】
この結果から、塩基性窒素を有するポリアミドを、反応性基を側鎖に有する部分ケン化ポリ酢酸ビニルを含有する組成物中に配合することで、現像廃液中の沈澱物が減少し、耐刷力の向上した印刷版材となることがわかる。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の構成、特に反応性基を含有する部分鹸化ポリ酢酸ビニルと塩基性窒素を有するポリアミドとを組み合わせた感光性樹脂組成物とすることで、それから得られる印刷版は画像再現性に優れ、また耐刷力が向上し、現像液中に発生する沈降物を押さえることができる。
Claims (3)
- (A)部分鹸化ポリ酢酸ビニルと酸無水物とを反応させ、部分鹸化ポリ酢酸ビニルの水酸基を起点としてカルボキシル基をポリマ側鎖に導入し、そのカルボキシル基に不飽和エポキシ化合物を反応させることにより反応性基を導入した、反応性基を側鎖に有する変性部分鹸化ポリ酢酸ビニル100重量部に対して、
(B)塩基性窒素を有するポリアミド0.5〜100重量部、
(C)反応性基を有する化合物10〜200重量部、
(D)光重合開始剤0.1〜20重量部
を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。 - (B)成分である塩基性窒素を有するポリアミドがピペラジン環を持つことを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- 支持体上に、請求項1または2記載の感光性樹脂組成物からなる感光層を塗設して構成される印刷版材。
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Cited By (1)
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