JP3795258B2 - 平版印刷版加工装置及び平版印刷版加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版加工装置及び平版印刷版加工方法に関し、特に、加工(特に端部の加工)によって印刷紙面の美観向上を図ることが可能な平版印刷版を得るための平版印刷版加工装置及び平版印刷版加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
感光性平版印刷版(以下、適宜「PS版」という)は、一般にシート状或いはコイル状のアルミニウム板等の支持体に、例えば、砂目立て、陽極酸化、シリケート処理、その他化成処理等の表面処理を単独又は適宜組み合わせて行い、次いで、感光液の塗布、乾燥処理を行った後に所望のサイズに切断されることで製造される。このPS版は、露光、現像処理、ガム引き等の製版処理が行われ、印刷機にセットされ、インクが塗布されることで、紙面に文字、画像等が印刷される。
【0003】
このようなPS版を用いた印刷には、一般商業印刷機を用いてPS版のサイズよりも小さな印刷紙に印刷を施す場合と、例えば新聞印刷等のように、PS版のサイズよりも大きい印刷紙に印刷する場合がある。後者においては、PS版の全面が印刷面として使用されるため、PS版の裁断辺(周囲の部分)に付着したインクが印刷紙面に印刷されて汚れとなり、印刷物の商品価値を損ねることがある。
【0004】
このようなPS版の不要なインクによる印刷紙面の汚れを防止する方法として、例えば、特公昭57−46754号公報に記載されているように、アルミニウムからなる支持体の端部の角をヤスリやナイフで削り取る方法、あるいは、特公昭62−61946号公報に記載されているように裁断面に不感脂化液を塗布する方法が知られている。
【0005】
また、特開昭62−19315に記載されているように、裁断時に発生するバリがこの汚れのひとつの原因のため、印刷面側にバリを発生させない方法がある。さらに、特開平7−32758には裁断端部を印刷面と逆側に曲がった形状にすることで、改善傾向がみられることが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の支持体の端部の角をヤスリやナイフで削り取る方法では、PS版を1枚ずつ取り出して削り取らなければならず、大量処理には不適である。また、バリやキズなどインクの付着を引き起こす欠陥があると、削り取った部分にインクが絡んでしまい、結局このインクで印刷紙面が汚れてしまうこともある。また、裁断面に不感脂液を塗布する方法も、PS版同士がくっついて取扱いが悪くなったり、現像不良を引き起こしたりする場合がある。
【0007】
また、裁断時にバリを印刷紙面側に発生させないだけでは、印刷条件により汚れ発生がみられ、また、裁断端部が下方(印刷面と逆側)に曲がった形状は、汚れは良化傾向にあるものの露光現像を行う製版機上で搬送中、引っかかる問題など、搬送不良の原因となる場合がある。
【0008】
これらに代わる改善策として、PS版をスリッタ、カッタ等によってせん断するときに、せん断と同時に、いわゆるせん断だれによる切欠を表面処理層のエッジ角部に形成することが有効であることが、特開平5−104871号、特開平8−11451号、特開平9−53465号、特開平9−323486号、特開平10−35130号、特開平10−100566号等の各公報に記載されている。
【0009】
しかし、スリッタ、カッタ等を使用したせん断加工によって、印刷紙面の汚れを防止するための有効な切欠を形成しようとすると、裏面(表面処理層が形成された面と反対の面)に、大きなバリが生じてしまうことがある。このバリが裏面から突出していると、例えば露光機内でPS版を搬送する場合にPS版が蛇行したり、バリが欠落してゴミとなってしまう等の問題が生じる。また、せん断時に、表面(表面処理層が形成されている面)に大きなクラックが発生し、印刷物に影響を及ぼすおそれもあった。
【0010】
このような不都合を解消するためには、例えば、支持体に表面処理層を形成する前段階で切欠を形成する等、コイル製造工程で加工を施すことが考えられる。しかし、このような製造方法では、PS版のサイズごとにコイル幅を設定して後処理をしなけらばならない。特に、PS版はサイズ数が多く、各サイズごとにコイル幅を設定することは困難である。また、長尺状のウエブから、その幅方向に複数枚のPS版を形成する場合があるが、上記した製造方法では、ウエブの幅方向に1枚しかPS版を製造できず、製造効率が低下する。
【0011】
本発明は、上記事実を考慮し、裏面のバリが小さく、しかも、表面に必要十分な大きさの切欠が形成された平版印刷版を、切断によって成形するための平版印刷版切断装置及び平版印刷版切断方法を得ることを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、平版印刷版を印刷側の表面から押圧して凹ませ、この表面から連続して且つ表面に対して傾斜した傾斜面を備える凹部を形成する押圧部材と、前記凹部において、前記平版印刷版を切断する切断部材と、を有することを特徴とする。
【0013】
すなわち、この平版印刷版加工装置を使用して平版印刷版を加工する場合、まず、平版印刷版を表面から押圧部材によって押圧することで、平版印刷版には、表面から連続して且つ表面に対して傾斜した傾斜面を備える凹部が形成される。そして、この凹部において、切断部材が平版印刷版を切断する。従って、押圧部材によって形成された傾斜面の一部又は全部が切断後の平版印刷版にも残り、この残された傾斜面が結果的に切欠となる。
【0014】
このように、切欠の形成と平版印刷版の切断とをそれぞれ別の部材を使用して行うので、切断時にせん断だれを発生させて切欠を形成する必要がない。従って、切断時にせん断だれが小さくなる条件でも平版印刷版を切断でき、バリを小さくする(好ましくは発生しないようにする)ことが可能となる。また、押圧部材によって確実に押圧することで、必要十分な大きさの切欠を容易に形成することも可能となる。特に、例えば陽極酸化層を含む表面処理層で覆われた平版印刷版であっても、必要十分な大きさの切欠を形成することができる。
【0015】
なお、本発明における「切断」とは、平版印刷版を所定位置で板厚方向に貫通して断ち切ることをいい、例えば、長尺状の平版印刷版のウエブを幅方向に沿って切断することに加えて、このような長尺状のウエブを長手方向に沿って切断(いわゆる裁断)することや、斜め方向に切断すること等を全て含む。
【0016】
また、切断装置による平版印刷版の切断位置は、この凹部であればよく、凹部の傾斜面に限定されない。例えば、傾斜面に連続して、平版印刷版の表面と平行な平坦面が形成されている(従ってこの平坦面も凹部を構成している)場合には、この平坦面において平版印刷版を切断してもよい。
【0017】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記押圧部材が、平版印刷版の前記表面と平行に平版印刷版を押圧する押圧部と、前記押圧部が平版印刷版を押圧すると前記傾斜面を形成するように、前記平版印刷版の表面に対して傾斜した傾斜部と、を有することを特徴とする。
【0018】
押圧部が平版印刷版を表面側から押圧することで、平版印刷版の表面を確実に凹ませて、凹部を形成できる。また、このように押圧部が平版印刷版を押圧すると、傾斜部によって平版印刷版に傾斜面が形成される。傾斜面の形状は傾斜部によって決定されるので、傾斜部の形状を変更することで、所望の形状の傾斜面、すなわち切欠を形成することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記押圧部が平版印刷版を押圧すると共に前記傾斜部が傾斜面を形成したとき、前記平版印刷版の表面に接触する接触部、を有することことを特徴とする。
【0020】
このように、押圧部材が平版印刷版を押圧したときに接触部が平版印刷版の表面に接触することで、平版印刷版の浮き上がりや位置ずれ等を防止することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記押圧部材が、前記平版印刷版を支持する支持部材と、この支持部材との間で平版印刷版を挟んで前記凹部を形成する挟持部材と、で構成され、前記切断部材が、前記支持部材と、この支持部材との間で平版印刷版を切断する切断刃と、で構成されていることを特徴とする。
【0022】
すなわち、押圧部材と切断部材とが、共通の支持部材を構成要素として有している。このため、押圧部材によって形成された凹部に対して、高い位置精度で切断部材を位置させて切断することが可能となる。また、支持部材を共有することで、平版印刷版加工装置を構成する部品点数が少なくなる。
【0023】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記平版印刷版を切断可能な切断刃部と、前記切断刃部によって切断された前記平版印刷版の切断端部を押圧して前記凹部を形成する凹部形成部と、が一体的に構成された切断押圧刃を有することを特徴とする。
【0024】
従って、切断刃部が平版印刷版を切断し、さらに平版印刷版の切断端部を凹部形成部が押圧して、所望の切欠が形成された平版印刷版が得られる。すなわち、切断刃部が請求項1の切断部材として機能し、凹部形成部が請求項1の押圧部材として機能していることになる。そして、切断部材と押圧部材とが1つの切断押圧刃に構成されているので、加工時の加工精度を向上させることができると共に、加工に要する部品点数を少なくすることが可能となる。
【0025】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項5のいすれかに記載の発明において、前記押圧部材に対応して設けられ、押圧による前記平版印刷版の膨出を許容する膨出許容部、を有することを特徴とする。
【0026】
従って、押圧部材による押圧によって平版印刷版が部分的に流動し、平版印刷版の一部が膨出して膨出許容部に入り込む。このように、押圧時の平版印刷版の流動による膨出が膨出許容部によって許容されるので、押圧部材による押圧力が小さくても、平版印刷版の表面側を確実に押圧して、傾斜面を形成することができる。
【0027】
なお、請求項1〜請求項6の発明において、切断部材による平版印刷版の切断は、1つの凹部に対して複数の切断箇所で行ってもよいが、請求項7に記載のように、前記切断部材が、前記平版印刷版の1つの前記凹部に対して1箇所での平版印刷版を切断するように構成してもよい。1つの凹部に対して複数の切断箇所で切断した場合には、切断箇所の間の部分が切屑となってしまうが、平版印刷版を1つの凹部に対して1箇所で切断することで、このような切屑が発生しなくなるので、材料を無駄にすることなく平版印刷版を加工することができる。
【0028】
請求項8に記載の発明では、平版印刷版を印刷側の表面から押圧して凹ませ、この表面から連続して且つ表面に対して傾斜した傾斜面を備える凹部を形成する凹部形成工程と、前記平版印刷版を前記凹に対応する位置で切断する切断工程と、を有することを特徴とする。
【0029】
この平版印刷版加工方法において、凹部形成工程と切断工程との順序は、いずれが先であってもよい。
【0030】
凹部形成工程を先に行う場合には、凹部形成工程で平版印刷版を表面から押圧部材によって押圧し、平版印刷版に、表面から連続して且つ表面に対して傾斜した傾斜面を備えた凹部を形成する。次に、切断工程において、この凹部で平版印刷版を切断する。従って、凹部形成工程で形成された傾斜面の一部又は全部が切断後の平版印刷版にも残り、この残された傾斜面が結果的に切欠となる。
【0031】
これに対し、切断工程を先に行う場合には、まず、平版印刷版を、後の凹部形成工程で凹部が形成される位置で切断して所望のサイズとする。次に、切断された平版印刷版の切断縁部に、凹部形成工程によって凹部を形成する。従って、最終的に得られる平版印刷版の縁部に傾斜面、すなわち切欠が形成されることとなる。なお、このように切断工程を先に行う場合、例えば請求項5に記載の平版印刷版加工装置を使用し、切断工程として、切断押圧刃の切断刃部で平版印刷版を切断した直後に、凹部形成工程として、切断押圧刃の凹部形成部で凹部を形成することが可能である。
【0032】
このように、いずれの場合でも、切欠の形成と平版印刷版の切断とをそれぞれ別の工程によって行うので、切断工程においてせん断だれを発生させて切欠を形成する必要がない。従って、切断工程でせん断だれが小さくなる条件でも平版印刷版を切断でき、バリを小さくする(好ましくは発生しないようにする)ことが可能となる。また、切断工程から独立して、凹部形成工程によって傾斜面を形成するので、必要十分な大きさの切欠を容易に形成することも可能となる。特に、例えば陽極酸化層を含む表面処理層で覆われた平版印刷版であっても、必要十分な大きさの切欠を形成することができる。
【0036】
また、上記各請求項に記載した、傾斜面に対する「連続して」との条件は、傾斜面すなわち切欠と平版印刷版の表面との境界部分に付着した不要なインクによって印刷紙面にスジ状の汚れ(いわゆるエッジ汚れ)が印刷されない程度であれば、実質的に満たされる。従って、かかる観点からは、例えば平版印刷版の表面と傾斜面との間に段差や溝などが存在していても、この段差や溝に起因するエッジ汚れが印刷紙面に印刷されない程度に段差や溝が小さければ、本発明の「連続して」という条件を実質的に満たしていることになる。
【0037】
【発明の実施の形態】
図1には、本発明の第1実施形態の平版印刷版加工装置である裁断部10を備えた、PS版の加工ライン90が示されている。
【0038】
この加工ライン90の上流側(図1右上側)には、あらかじめロール状に巻かれたウエブを順次巻き出す送出機14が配設されている。送出機14から送り出された長尺状のウエブ12がレベラ15でカール矯正され、送りローラ16に至ると、合紙18が貼り合わされ、帯電により密着されて、ノッチャー20に至る。
【0039】
ノッチャー20は、ウエブ12に打ち抜き部を設け、裁断部10を構成する押圧ローラ22の上ローラ36、38、40及び下ローラ42、44、46や、同じく裁断部10を構成する裁断ローラ24の上刃48、50、52及び下刃54、56、58(いずれも図2及び図3参照)が、打ち抜き位置でウエブ12の幅方向へ移動できるようにする。これにより、ウエブ12と合紙18とをまとめて連続裁断しながら、ウエブ12のトリミング幅を変更することが可能となる。以下、単に「幅方向」というときはウエブ12の幅方向をいい、「内側」、「外側」というときは、ウエブ12の幅方向内側、外側をそれぞれいうものとする。
【0040】
このようにして、所定のトリミング幅とされたウエブ12は、測長装置26で送り長が検出され、指示されたタイミングで走間カッタ28により切断される。これにより、設定されたサイズのPS版30が製造される。
【0041】
次に、PS版30は、コンベア32によって集積部34に送られ、所定枚数積み重ねられて、集積束31が構成される。なお、集積部34では、この集積束31の上下若しくは片側に、厚紙等からなる保護シート(一般に「当てボール」と称される)を配置することも可能である。
【0042】
そして、集積束31は、搬送部35を経てパレット33に積み重ねられる。その後、ラック倉庫等の保管庫あるいは包装工程に送られ、包装材料(テープ、内装剤、外装材等)によって包装される。また、自動製版機用のスキッド(平台スキッド、縦型スキッド等)に積み重ねることも可能である。なお、これらのスキッドに積み重ねて包装する場合には、加工ライン90に、集積束31をスキッドに集積するための集積装置を設け、加工ライン90内において直接スキッドに集積するようにしてもよい。
【0043】
このようにして、PS版30は包装されて出荷されるが、包装形態によっては、合紙18や、その他の包装材料を省略してもよい。
【0044】
裁断部10は、図2及び図3に示すように、ウエブ12の搬送方向(矢印F方向)上流側に設けられた押圧ローラ22と、この押圧ローラ22よりも下流側に設けられた裁断ローラ24と、で構成されている。
【0045】
押圧ローラ22は、ウエブ12の表面12A側において、ウエブ12の幅方向の所定位置に配設された上ロ―ラ36、38、40と、ウエブ12の下側において、上ローラ36、38、40に対応して配設された下ローラ42、44、46とで構成されている。なお、上ローラ及び下ローラの数は、ウエブ12の幅方向に何枚のPS版30を取るかによって決定される。本実施形態では一例として、幅方向に2枚のPS版30を取る場合を示しており、ウエブ12の幅方向略中央の上ローラ36及び下ローラ42と、幅方向端部の上ローラ38、40及び下ローラ44、46と、を示している。一般に、ウエブ12の幅方向にN枚のPS版30を取る場合、上ローラ及び下ロ−ラのユニット数はそれぞれ(N+1)となるが、ウエブ12の耳部(幅方向端部)が既に傾斜面74(図14(A)参照)を有している等の理由により、ウエブ12を幅方向端部近傍において裁断する必要がない場合には、上ローラ及び下ロ−ラのユニット数はそれぞれ(N−1)となる。なお、図4では図示の便宜上、両端の上ローラ38、40及び下ローラ44、46のうち、一方の上ローラ38及び下ローラ44のみ示しているが、これらと対称の上ローラ40及び下ローラ46が、図4左側に配設される。
【0046】
図4にも示すように、中央の上ローラ36は、全体として略円板状とされ、軸方向中央において一定の半径及び幅(軸方向の長さ)W1を有する押圧部60が形成されている。押圧部60の外周面がウエブ12の表面12Aと成す角度は適宜選択できるが、略平行とされていることが好ましい。また、材料(アルミニウム)が変形しやすくなるように、図10に示す如く、押圧部60の中央部分に、径方向外側にさらに突出した突出部61を形成する等により、押圧部60に複数の段差を設けた形状にしてもよい。
【0047】
押圧部60の軸方向両側からは、先端に向かって次第に縮径された扁平円錐状の傾斜部62が形成されている。傾斜部62の外周面は、最も下側に位置した部分がウエブ12の表面12Aに対して一定の傾斜角θで傾斜するように、所定の形状とされている。
【0048】
端部の上ローラ38、40は、中央の上ローラ36と同一形状であってもよいし、これと異なり、押圧部64と、この押圧部64から内側に向かって次第に縮径された扁平円錐状の傾斜部66と、で構成されていてもよい。この押圧部64も上ローラ36の押圧部60と同様、ウエブ12の表面12Aに対して常に平行で、一部が部分的にウエブ12の内部に達する。また、傾斜部66は傾斜部62と同様、外周面のうち最も下側に位置した部分がウエブ12の表面12Aに対して一定の傾斜角θで傾斜している。
【0049】
図3に示すように、上ローラ36、38、40それぞれシャフト78に取り付けられており、同一方向にウエブ12と同速度で回転する。
【0050】
中央の上ローラ36に対応して設けられた下ローラ42は、一定の間隔をあけて配置された2つの受けローラ68によって構成されている。これらの受けローラ68の隙間は、最終的に製造されるPS版30の形状により適宜選択できる。また、この隙間は、押圧ローラ22によって押圧されて変形したウエブ12の材料流動を許容し、材料(アルミニウム)の一部が入り込む逃げ部70となっている。
【0051】
これに対し、端部の上ローラ38、40に対応して設けられた下ローラ44、46は、上ローラ38、40よりも内側にオフセットされている。これにより、上ローラ38、40によって押圧されて変形したウエブ12の材料流動を許容し、材料の一部が入り込む逃げ部71が、下ローラ44、46の外側に構成されている。
【0052】
下ローラ42、44、46はいずれも略同一径とされており、これら下ローラ42、44、46上をウエブ12が感光層77(図3及び図4参照)を上にした状態で搬送される。そして、ウエブ12は搬送されながら押圧ローラ22によって押圧され、ウエブ12の表面12Aに、この表面12Aから連続して、かつ表面12Aに対して一定の傾斜角θで傾斜する傾斜面74と、押圧部60、64に対応した平坦面72が形成される。また、下ローラ42、44、46は、シャフト80に取り付けられており、上ローラ36、38、40と反対の方向に、ウエブ12と同速度で回転する。
【0053】
なお、シャフト78、80は各々1軸で構成してもよいし、上ローラ36、38、40及び下ローラ42、44、46ごとに幅方向(シャフト78,80の長手方向)に分割して構成してもよい。一般的には、シャフト78、80を分割した方が、上ローラ36、38、40及び下ローラ42、44、46の条件の設定が容易になる。
【0054】
裁断ローラ24は、押圧ローラ22の上ローラ36、38、40に対応して設けられた上刃48、50、52と、下ローラ42、44、46に対応して設けられた下刃54、56、58と、を有している。
【0055】
図5にも詳細に示すように、中央の上刃48は、その外周面のうち最も下側に位置する部分がウエブ12の裏面12Bよりも下方に位置するようにセットされている。また、上刃48の幅(軸方向の長さ)は、上刃48の軸方向両端が、ウエブ12の表面12Aに形成された傾斜面74に対して、この傾斜面74の幅方向略中央に位置するように、所定の幅とされている。
【0056】
これに対し、端部の上刃50、52は、中央の上刃48と同様、その外周面のうち最も下側に位置する部分がウエブ12の裏面12Bよりも下方に位置するようにセットされている。また、内側の端面が、ウエブ12の表面12Aに形成された傾斜面74に対して、この傾斜面74の幅方向略中央に位置するように、上刃50、52は所定の幅及び位置とされている。
【0057】
なお、図3に示すように、上刃48、50、52はシャフト86に取り付けられており、同一方向にウエブ12と同速度で回転する。
【0058】
図5に示すように、中央の上刃48に対応する下刃54は、一定の間隙K1をあけて配置された2つの受けローラ76で構成されている。この間隙K1は、上刃48と下刃54とで構成されるせん断機構によってウエブ12に生じるバリが少なくなる(好ましくは全く生じない)ように、上刃48の幅W1と略同じか、若しくは僅かに広くされている。
【0059】
これに対し、端部の下刃56、58は、上刃50、52とで構成されるせん断機構によってウエブ12に生じるバリが少なくなる(好ましくは全く生じない)ように、上刃50、52の内側の端面が、下刃56、58の外側の端面と同一面に位置するか、若しくは僅かに外側にオフセットされている。
【0060】
下刃54、56、58も、下ローラ42、44、46と同様に全て略同一径とされており、これら下刃54、56、58上をウエブ12が感光層77(図3及び図4参照)を上にした状態で搬送される。また、下刃54、56、58はシャフト88に取り付けられており、上刃48、50、52と反対方向にウエブ12と同速度で回転する。
【0061】
なお、シャフト86、88は各々1軸で構成してもよいし、上刃48、50、52及び下刃54、56、58ごとに幅方向(シャフト86,88の長手方向)に分割して構成してもよい。一般的には、シャフト86、88を分割した方が、上刃48、50、52及び下刃54、56、58の条件の設定が容易になる。
【0062】
次に、このような構成とされた第1実施形態の裁断部10を使用して、ウエブ12を裁断(切断)する方法を説明する。
【0063】
図1に示すように、加工ライン90において搬送されてきたウエブ12は、押圧ローラ22を構成する下ローラ42、44、46によって支持されながらさらに搬送される。このとき、上ローラ36、38、40は回転して、ウエブ12を上側から押圧する。これにより、ウエブ12が部分的に変形し、ウエブ12の表面12Aには、押圧部60に対応した平坦面72と、傾斜部62に対応した傾斜面74と、を有する凹部73が形成される(凹部形成工程)。
【0064】
なお、変形したウエブ12の支持体(アルミニウム)は、下ローラ42、44、46によって構成された逃げ部70、71に入り込む。これにより、ウエブ12の支持体の変形流動が許容されるので、上ローラ36、38、40の押圧力(加工力)が小さくても、ウエブ12を確実に変形させることができる。
【0065】
このようにして表面12Aに凹部73が形成されたウエブ12は、さらに搬送され、裁断ローラ24に至る。ここでは、ウエブ12は下刃54、56、58によって支持されながら搬送される。そして、上刃48、50、52の回転により、下刃54、56、58との間で挟まれてせん断力が作用し、ウエブ12の平坦面72及びその近傍(傾斜面74の一部)が部分的に切り抜かれる。これにより、ウエブ12は幅方向の所定位置で裁断され(切断工程)、切り抜かれた部分は打抜屑78となる。このとき、上刃48、50、52は、傾斜面74の略中央の位置でウエブ12を裁断するため、押圧ローラ22によって形成された傾斜面74のうち、裁断ローラ24で切り抜かれることなく切り残された部分(ウエブ12の表面12Aと一体的に連続している部分)が、PS版30での切欠76(図14(A)参照)となる。
【0066】
また、押圧工程において支持体の一部が逃げ部70に入り込んでウエブ12の裏面12Bから突出しているが、この突出部分は全て、切断工程においてウエブ12から分離されるので、突出部分がバリとして残ってしまうことはない。
【0067】
なお、図1に示すように、加工ライン90に、切屑78を搬送するコンベア82と、このコンベア82によって搬送された切屑78を回収する回収箱84を設けてもよい。また、巻取装置(図示省略)を設けて、切屑78を順次ロール状に巻き取ってもよい。
【0068】
このようにして所定位置で裁断されたウエブ12は、さらに搬送されて走間カッタ28で切断され、所望のサイズのPS版30が得られる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の裁断部10では、ウエブ12に傾斜面74(PS版30の切欠76)を備えた凹部73を形成する工程と、ウエブ12を所望位置で裁断(切断)する工程とを、それぞれ別の装置を使用して別工程で行っており、切断工程では、いわゆるせん断だれを形成しなくても、所望の切欠76を有するPS版30が得られる。すなわち、切断工程でせん断だれを少なくする(好ましくは全く生じない)せん断条件でせん断でき、PS版30においても、裏面のバリが少なくなる(好ましくは、全く生じなくなる)。
【0070】
そして、PS版30に所望の切欠76が形成されているので、このPS版30を使用して印刷した場合に、印刷紙面に不要なインクが付着せず、印刷物の品質を高く維持できる。また、裏面のバリが少なくなっているので、例えば露光機内でPS版30を搬送する場合にPS版30が蛇行したり、バリが欠落してゴミとなってしまったりすることがなく、PS版30は取り扱いに優れる。
【0071】
図6には、本発明の第2実施形態に係る押圧ローラのうち、幅方向中央の押圧ローラ112が示されている。第2実施形態では、第1実施形態と比較して、押圧ローラの構成のみが異なっているので、この押圧ローラについてのみ説明し、他は説明を省略する。
【0072】
この押圧ローラ112を構成する上ローラ116は、第1実施形態の上ローラ36と同様の押圧部118のみを有しており、傾斜部62に相当する部分は形成されていない。そして、第1実施形態と同様、押圧部118の半径は、上ローラ116の一部が搬送中のウエブ12の内部に達するように一定の半径とされている。また、上ローラ116の幅W2(すなわち押圧部118の幅)は、ウエブ12のトリミング幅や裁断時の加工力等との関係から、一定の幅とされている。
【0073】
押圧ローラ112を構成する下ローラ120は、上ローラ116の幅W2よりも広い幅K2をあけて配置された2つの支持ローラ122で構成されている。これらの支持ローラ122の間の間隙は、変形したウエブ12の支持体が入り込む逃げ部124とされている。
【0074】
なお、幅方向中央の押圧ローラ112だけでなく、端部の押圧ローラについても、上ローラには押圧部のみが形成され、傾斜部は形成されていないような構成とされている。
【0075】
このような押圧ローラを有する第2実施形態では、搬送されてきたウエブ12を上ローラ116が回転して押圧すると、押圧部118によって直接押された部分(平坦面128)だけでなく、押圧部118の両側に対応する部分のウエブ12も変形し、結果的に、ウエブ12の表面12Aに、第1実施形態の場合と略同様の傾斜面126を有する凹部127が形成される。
【0076】
また、変形したウエブ12の支持体(アルミニウム)は、下ローラ120によって構成された逃げ部124に入り込む。これにより、ウエブ12の支持体の変形流動が許容され、ウエブ12を確実に変形させることができる。
【0077】
このように、第2実施形態では、第1実施形態と比較して、より簡単な上ローラ116により、ウエブ12の表面12Aに傾斜面126を形成することができる。
【0078】
なお、加工材料によっては、K2≧W2の条件でも、ウエブ12の表面12Aに傾斜面126を形成し、所望の形状のPS版30を得ることができる。
【0079】
図7には、本発明の第3実施形態に係る押圧ローラのうち、幅方向中央の押圧ローラ132が示されている。第3実施形態も第2実施形態と同様、押圧ローラの構成のみが異なっているので、この押圧ローラについてのみ説明し、他は説明を省略する。
【0080】
押圧ローラ132を構成する上ローラ136は、第1実施形態の上ローラ36と同様の押圧部138及び傾斜部140に加えて、この傾斜部140の軸方向両端から、一定の半径を有する円筒状の接触部142が形成されている。接触部142は、接触部142の外周面のうち最も下方に位置した部分が、搬送されてきウエブ12の表面12Aに対して押圧することなく接触するように、所定の位置とされている。
【0081】
また、押圧ローラ132を構成する下ローラ144は、その幅が上ローラ136と略同幅とされた1つのローラで構成されており、逃げ部70、124(図4及び図6参照)に相当する部分は設けられていない。もちろん、第1実施形態や第2実施形態と同様に逃げ部を設けるように構成してもよい。
【0082】
なお、幅方向中央の押圧ローラ132だけでなく、端部の押圧ローラについても、上ローラは押圧部から内側に向かって順に傾斜部及び接触部が形成され、下ローラは一定の半径を有する円筒状のローラで構成されている。
【0083】
このような押圧ローラ132を有する第3実施形態では、搬送されてきたウエブ12を上ローラ136が回転して押圧すると、第1実施形態と同様に、平坦面146及び傾斜面148を有する凹部147がウエブ12の表面12Aに形成される。また、このとき、接触部142がウエブ12の表面12Aに接触する。このため、押圧部138から作用した押圧力によって、ウエブ12のうち凹部の両側の部分に跳ね上がり力が作用しても、この部分は、接触部142によって押え付けられて、跳ね上がらない。このため、傾斜面148を高い精度で形成することができる。
【0084】
図8には、本発明の第4実施形態の平版印刷版加工装置である裁断部160が示されている。
【0085】
第4実施形態では、押圧ローラ162を構成する上ローラ164は、第1実施形態と同一の構成とされている。同様に、裁断ローラ166を構成する上刃168も、第1実施形態と同様の構成とされている。これに対し、押圧ローラ162を構成する下ローラと裁断ローラ166を構成する下刃とは、一体的な押圧切断ローラ170として設けられており、この点において、第1実施形態と異なっている。このため、図8から分かるように、ウエブ12は押圧裁断ローラ170に支持されつつ上ローラ164と押圧裁断ローラ170との間で挟持され、第1実施形態と同様に、傾斜面74を有する凹部73(図4参照)が形成される。そしてウエブ12は、押圧裁断ローラ170に面接触した状態で湾曲されながら搬送され、上刃168と押圧裁断ローラ170との間で挟持されて、凹部73の位置で切断される。
【0086】
このように、第4実施形態の裁断部160では、押圧裁断ローラ170を設けることで、押圧ローラ162の下ローラと、裁断ローラ166の下刃とを共通の部材で構成している。このため、押圧ローラ162による押圧位置と裁断ローラ166による裁断位置との精度を高める(位置ズレを少なくする)ことが可能となる。
【0087】
また、押圧ローラ162の下ローラと、裁断ローラ166の下刃とを共通化することで、これらを別部材で構成した場合と比較して部品点数が少なくなると共に、回転させるための構成も簡単にすることが可能となる。
【0088】
さらに、第4実施形態では、ウエブ12を押圧裁断ローラ170に対して面接触させており、第1〜第3の場合と比較して接触面積が広くなっている。このため、ウエブ12と押圧裁断ローラ170との摩擦力が、点接触の場合と比較して大きくなるので、搬送時のウエブ12の蛇行やブレを防止し、ウエブ12を安定して搬送することが可能となる。
【0089】
なお、第4実施形態の裁断部160では、押圧ローラ162を構成する上ローラ164は、必ずしも第1実施形態と同様の構成とされている必要はなく、例えば第2実施形態と同様の構成(傾斜部62を有しない形状)や、第3実施形態と同様の形状(接触部142(図7参照)を有する形状)であってもよい。
【0090】
図9には、本発明の第5実施形態の平版印刷版加工装置である裁断部の切断押圧刃182が拡大して示されている。
【0091】
この切断押圧刃182は、全体として扁平円錐状に形成され、外周端が切断刃部184とされている。また、切断刃部184よりも径方向内側(図9では上側)には、内側(図9では左側)へ向かって次第に縮径された傾斜部186が形成されている。さらに、傾斜部186から連続して、切断押圧刃182を外側へと部分的に薄肉とした逃げ凹部188が形成されている。
【0092】
また、切断押圧刃182に対応して、切断刃部184との間に所定の間隙を有する下ローラ190が設けられている。
【0093】
このような構成の第5実施形態の裁断部では、切断押圧刃182によって、ウエブ12の切断と傾斜面74の形成とを連続して行う。すなわち、切断押圧刃182の回転によって、まず切断刃部184がウエブ12を所定位置で切断し、次いで、傾斜部186がウエブ12を表面側から押圧して傾斜面74を形成する。このとき、押圧されたウエブ12の変形流動は、ウエブ12を構成するアルミニウムが凹部逃げ188に入り込むことで許容され、小さな押圧力であっても傾斜面74を形成可能となっている。
【0094】
このように、第5実施形態の裁断部では、1つの切断押圧刃182及び下ローラ190によって、ウエブ12の切断と傾斜部186の形成とを行っているこのため、切断刃部184による切断位置と傾斜部186による押圧位置との精度を高める(位置ズレを少なくする)ことが可能となる。また、第1〜第4実施形態と比較してさらに部品点数が少なくなる。
【0095】
なお、上記第1〜第4実施形態では、断面視にて直線状に形成された傾斜部62(切欠76)を例として挙げたが、切欠76の形状として、本発明の平版印刷版加工装置によって形成可能な切欠の形状がこれに限定されないのはもちろんである。要するに、印刷時に不要なインクが付着しないようになっていればよく、例えば、第5実施形態(図9参照)のように、切欠76の端面が断面視にて曲線状に湾曲していたり、屈曲部(傾斜部と平坦部の境界部分)を持たない形状とされていたりしてもよい。さらに、切欠76とPS版30の表面30Aとの成す角についても特に限定されない。このような切欠76の形状変更は、例えば第1実施形態や第3実施形態の裁断部では、押圧ローラ22、136の傾斜部62、140の形状を変更することで、容易に行うことができる。また、第2実施形態の裁断部でも、ウエブ12の剛性等を考慮して押圧条件を設定することで、所望の形状の切欠76を形成することができる。また、それぞれ異なる傾斜角で傾斜した複数の傾斜面がPS版30の周囲に形成されて、これら複数の傾斜面を含んで凹部が構成されるようになっていてもよい。この場合において、複数の傾斜面の境界部分がPS版30の表面30Aに向かって凸となっていても凹となっていてもよい。また、このような複数の傾斜面を有するPS版30を製造する場合には、例えば、押圧ローラをこれら複数の傾斜面に対応して複数使用してもよいし、1種類の押圧ローラによって、複数の傾斜面を形成可能となるように構成してもよい。
【0096】
加えて、押圧ローラや裁断ローラを構成する部材の形状、押圧条件、せん断条件などを変更することで、例えば、図11(A)に示すように、PS版30の裏面にも、切断縁部に傾斜面75を形成したり、図11(B)に示すように、PS版30全体を表面に向かって凸となるように湾曲させること等が可能である。そして、PS版30をこのような形状とすることで、さらにエッジ汚れの発生を防止することが可能となる。PS版30のバリも、印刷紙面の汚れや取り扱い(搬送性等)に影響を与えない範囲であれば、生じていてもよい。
【0097】
また、本発明に係るPS版30では、PS版30の表面30Aに対する切断面30Cの角度は90°に限定されず、図11(C)に実線で示すように鋭角とされていたり、これとは逆に、二点鎖線で示すように鈍角とされていたりしてもよい。
【0098】
また、上記説明の切断工程においては、ウエブ12に形成された平坦面72及びその近傍を切り抜く(2箇所で切断する)ようにしたが、ウエブ12を切り抜くことなく、1箇所でのみ切断して、分割してもよい。例えば、図12(A)に示すように、平坦面72に対応した位置でウエブ12が分割されるように裁断することで、図12(B)に示す断面形状(平坦面72が残されている)のPS版30を形成することもできる。この場合には、平坦面72の幅方向略中央でウエブ12を切断することが好ましいが、これに限定されず、切断位置を平坦面72の範囲内で任意に選択することも可能である。また、図12(C)に示すように、凹部73の形状を、傾斜面74のみで構成される形状(平坦面を有しない形状)としておき、この凹部73の底部分(ウエブ12の肉厚が最も薄くなった位置)において切断して、図12(D)に示すPS版30を形成してもよい。いずれの裁断方法でも、ウエブ12を切り抜かないので、打抜屑78が発生せず、歩留まりがよくなる。
【0099】
加えて、ウエブ12に傾斜面62(切欠76)を形成する工程と、ウエブ12を所望の形状に切断(裁断)する工程とが別工程とされていれば、これらの順序も特に限定されず、例えば、先にウエブ12を切断(裁断)し、その後、ウエブ12に傾斜面62(切欠76)を形成してもよい。前述の第5実施形態は、このように先にウエブ12を切断する場合の一例である。
【0100】
本発明の平版印刷版加工装置の例としては、上記各実施形態として挙げた裁断部のみならず、平版印刷版を切断するあらゆる装置に適用可能である。例えば、ウエブ12を幅方向に沿って切断する走間カッタ28(図1参照)に、本発明の平版印刷版加工装置を適用してもよい。この場合には一例として、幅方向全体に渡って上記いずれかの実施形態の押圧ローラと同一の断面形状を有する押圧刃(押圧上刃及び押圧下刃)を設け、さらにその下流側に、同じく幅方向全体に渡って上記いずれかの実施形態の裁断ローラと同一の断面形状を有する切断刃(切断上刃及び切断下刃)を設ける構成とすることができる。このような構成とした場合、例えば、押圧上刃を上下させて、ウエブ12に傾斜面を有する凹部を形成し、次の工程で、切断上刃を上下させて、ウエブ12を傾斜面において幅方向に切断する方法を採ることができる。
【0101】
また、第1〜第3実施形態の裁断部では、ウエブ12が常に平面状に搬送される構成のものを例として挙げたが、これらの実施形態において、第4実施形態と同様、ウエブ12が搬送方向に沿って湾曲して搬送されるようになっていてもよい。特に、例えば図13に示すように、押圧ローラ22よりも上流側及び、裁断ローラ24よりも下流側をそれぞれ下方に湾曲させると、下ローラ42、44、46や、下刃54、56、58(図3参照)との接触面積が増大する。このため、ウエブ12と下ローラ42、44、46や、下刃54、56、58との摩擦力が大きくなるので、搬送時のウエブ12の蛇行やブレを防止し、ウエブ12を安定して搬送することが可能となる。同様に、第5実施形態においても、第4実施形態と同様にウエブ12を湾曲させて、下ローラ190に面接触させてもよい。
【0102】
また、ウエブ12の搬送速度と同じ移動速度で移動しながら、ウエブ12を保持するベルトや、フィンガー、リングスペーサ等の保持部材をこの加工ライン90に設け、これによってウエブ12をさらに安定的に搬送してもよい。
【0103】
さらに、上記したような、感光層が塗布されてコイル状に巻き取られたウエブを順次巻き出して加工する加工ラインだけでなく、感光層が塗布された後、巻き取ることなく連続して加工する加工ラインや、加工後にコイル状に巻き取る加工ライン等、種々の工程を組み入れた加工ラインに、また、マスターシートに切断後、最終出荷形態の寸法となるようシート状に裁断する加工に、本発明の平版印刷版加工装置及び平版印刷版加工方法を適用することができる。ウエブ12の搬送形態としても、必ずしも感光層77を上にして搬送する加工ラインだけでなく、感光層77を下にして搬送する加工ラインや、さらにはウエブ12をその幅方向が上下方向となるように縦位置で搬送する加工ライン等でもよく、要するにウエブ12の搬送形態は特に限定されない。
【0104】
加えて、本発明の平版印刷版加工装置及び平版印刷版加工方法を、表面処理前のアルミコイルに適用してもよい。また、本願のPS版30の製版前後に不感化処理を施してもよい。
【0105】
本発明に係るPS版30としては、例えば、特開平10−100556号に記載されているように、一般的な印刷(商業印刷や新聞印刷等)に使用されるものが含まれるのはもちろんであるが、これ以外にも、例えば、本願出願人が特願平10−42014号において提案しているように、いわゆる捨版として使用されるものも含まれる。このように捨版として使用される場合には、感光層77は不要若しくは無いほうが好ましいため、感光層77が塗布されていないものも本発明のPS版30に含まれる。また、感光層77がアルミニウムの支持体の両面に塗布されているものであってもよい。このように、支持体の両面に感光層77が塗布されているPS版30では、例えば図11(A)に示す断面形状とすることで、いずれの面を使用して印刷した場合でもエッジ汚れを解消することが可能となる。さらに、フォトポリマーやサーマル等のデジタル刷版に使用されるPS版も、本発明のPS版30に含まれる。
【0106】
【実施例】
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
【0107】
図14(B)には、本発明の第1〜第5実施形態の裁断部及び、従来の裁断部(スリッタ)を使用してウエブ12を裁断したときの、裁断部及び断面形状の具体的数値と、エッジ汚れ(印刷紙面に転写された不要なインクによる汚れ)の程度が示されている。従来の裁断部とは、本発明のようにウエブ12に対する押圧工程と切断工程とを別工程として行うことなく、裁断と同時にせん断だれを生じさせてPS版30に切欠76を形成するように構成された裁断部である。また、この表の第1〜第5実施例は、それぞれ本発明の第1〜第5実施形態に対応する。
【0108】
この表の押込量Pとは、図4、図6及び図7に示すように、凹部形成工程において上ローラの最も下方に位置した部分(ウエブ12の内部に入り込んだ部分)とウエブ12の表面12Aとの距離をいう。また、凹部形成工程でのクリアランスC1とは、上ローラの押圧部の端面と下ローラで構成される逃げ部の端面との幅方向の距離をいい、図6に示すように隙間が生じている場合をプラスとしている。なお、本願発明の第3実施形態(第3実施例)では、前述のように逃げ部を設けていないため(図7参照)、このクリアランスも設定されていない。また、本願の第5実施形態(第5実施例)では、1つの切断押圧刃182によってウエブ12の切断(切断工程)と凹部73の形成(凹部形成工程)とを行っており、凹部形成工程での各数値は切断工程での各数値と同じなので、凹部形成工程での数値を省略している。さらに、従来の裁断部(スリッタ)では押圧工程がないので、押圧工程の各数値を挙げていない。
【0109】
また、この表のかみ込みとは、図5及び図9に示すように、切断工程において上刃の最も下方に位置した部分とウエブ12の裏面12Bとの距離をいう。また、切断工程でのクリアランスとは、上刃の端面と下刃の端面との幅方向の距離をいう。なお、本願発明の第4実施形態(第4実施例)では、下ローラと下刃とが一体的な押圧切断ローラ170によって設けられているため、切断工程での下刃径は、凹部形成工程での下ローラ径と同じである。
【0110】
この表におけるX及びYはそれぞれ、図14(A)にも示すように、裁断されたPS版30の切欠76の幅及び深さを示し、BはPS版30の裏面12Bからのバリ78の突出量を示す。また、この表における各々の「スリッタ条件」とは、裁断部での各条件を適切に設定することにより、切欠76の幅X及び深さYが、表中の数値となるように切断した場合を示す。
【0111】
また、表中の「○」、「△」、「○△」及び「×」はそれぞれ、
○:エッジ汚れが全く発生しなかったもの
△:エッジ汚れが弱く又は部分的に発生したもの
○△:エッジ汚れの長さ又は強さが上記○と△の中間程度であったもの
×:エッジ汚れが印刷紙面の全周囲にわたって線状にはっきりあらわれたものであることを示す。
【0112】
本実施例の評価材としては、以下のPS版を作成し、使用した。99.5重量%アルミニウムに、銅を0.01重量%、チタンを0.03重量%、鉄を0.3重量%、ケイ素を0.1重量%含有するJIS―A1050アルミニウム材の厚み0.30mm圧延板を、400メッシュのパミストン(共立窯業製)の20重量%水性懸濁液と、回転ナイロンブラシ(6,10−ナイロン)とを用いてその表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。
【0113】
これを15重量%水酸化ナトリウム水溶液(アルミニウム4.5重量%含有)に浸漬してアルミニウムの溶解量が5g/m2 になるようにエッチングした後、流水で水洗した。さらに、1重量%硝酸で中和し、次に0.7重量%硝酸水溶液(アルミニウム0.5重量%含有)中で、陽極時電圧10.5ボルト、陰極時電圧9.3ボルトの矩形波交番波形電圧(電流比r=0.90、特公昭58−5796号公報実施例に記載されている電流波形)を用いて160クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。水洗後、35℃の10重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、アルミニウム溶解量が1g/m2 になるようにエッチングした後、水洗した。次に、50℃30重量%の硫酸水溶液中に浸漬し、デスマットした後、水洗した。
【0114】
さらに、35℃の硫酸20重量%水溶液(アルミニウム0.8重量%含有)中で直流電流を用いて、多孔性陽極酸化皮膜形成処理を行った。すなわち電流密度13A/dm2 で電解を行い、電解時間の調節により陽極酸化皮膜重量2.7g/m2 とした。ジアゾ樹脂と結合剤を用いたネガ型感光性平版印刷版を作成する為に、この支持体を水洗後、70℃のケイ酸ナトリウムの3重量%水溶液に30秒間浸漬処理し、水洗乾燥した。
【0115】
以上のようにして得られたアルミニウム支持体は、マクベスRD920反射濃度計で測定した反射濃度は0.30で、JIS B00601に規定する中心線平均粗さRaは0.58μmであった。次に上記支持体にメチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(平均分子量約6万)(モル比50/30/20)の1.0重量%水溶液をロールコーターにより乾燥後の塗布量が0.05g/m2 になるように塗布した。
【0116】
さらに、下記感光液−1をバーコーターを用いて塗布し、110℃で45秒間乾燥させた。乾燥塗布量は2.0g/m2 であった。
感光液−1
ジアゾ樹脂−1 0.50g
結合剤−1 5.00g
スチライトHS−2(大同工業(株)製)0.10g
ビクトリアピュアブルーBOH 0.15g
トリクレジルホスフェート 0.50g
ジピコリン酸 0.20g
FC−430(3M社製界面活性剤) 0.05g
溶剤
1−メトキシ−2−プロパノール 25.00g
乳酸メチル 12.00g
メタノール 30.00g
メチルエチルケトン 30.00g
水 3.00g
上記のジアゾ樹脂―1は、次ぎのようにして得たものである。まず、4−ジアゾジフェニルアミン硫酸塩(純度99.5%)29.4gを25℃にて、96%硫酸70mlに徐々に添加し、かつ20分間攪拌した。これに、パラホルムアルデヒド(純度92%)3.26gを約10分かけて徐々に添加し、該混合物を30℃にて、4時間攪拌し、縮合反応を進行させた。なお、上記ジアゾ化合物とホルムアルデヒドとの縮合モル比は1:1である。この反応生成物を攪拌しつつ氷水2リットル中に注ぎ込み、塩化ナトリウム130gを溶解した冷濃厚水溶液で処理した。この沈澱物を吸引濾過により回収し、部分的に乾燥した固体を1リットルの水に溶解し、濾過し、氷で冷却し、かつ、ヘキサフルオロリン酸カリ23gを溶解した水溶液で処理した。最後に、この沈澱物を濾過して回収し、かつ風乾して、ジアゾ樹脂−1gを得た。
【0117】
結合剤−1は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリロニトリル/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(重量比50/20/26/4、平均分子量75,000、酸含量0.4meq/g)の水不溶性、アルカリ水可溶性の皮膜形成性高分子である。
【0118】
スチライトHS−2(大同工業(株)製)は、結合剤よりも感脂性の高い高分子化合物であって、スチレン/マレイン酸モノ−4−メチル−2−ペンチルエステル=50/50(モル比)の共重合体であり、平均分子量は約100,000であった。このようにして作成した感光層の表面に下記の様にしてマット層形成用樹脂液を吹き付けてマット層を設けた。
【0119】
マット層形成用樹脂液としてメチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(仕込重量比65:20:15)共重合体の一部をナトリウム塩とした12%水溶液を準備し、回転霧化静電塗装機で霧化頭回転数25,000rpm、樹脂液の送液量は4.0ml/分、霧化頭への印加電圧は−90kV、塗布時の周囲温度は25℃、相対湿度は50%とし、塗布液2.5秒で塗布面に蒸気を吹き付けて湿潤させ、ついで湿潤した3秒後に温度60℃、湿度10%の温風を5秒間吹き付けて乾燥させた。マットの高さは平均約6μm、大きさは平均約30μm、塗布量は150mg/m2 であった。
【0120】
このようにして得られた板厚0.3mm、幅820mmのコイル状のウエブを幅400mmとなるように、加工ラインにてにて数種の条件で加工し、カット長1100mmのシート状のPS版を得た。
【0121】
印刷評価を行うにあたり、製造したシートに画像を露光し、800H(富士写真フイルム(株)製自動現像機)で、DN−3C(富士写真フイルム(株)製アルカリ水溶系現像液)を水で1:1に希釈した液にて現像した。フィニッシャにはGN(富士写真フイルム(株)製ガム)を使用し、これを水で1:1に希釈した液を現像後ただちに塗布、乾燥して製版を終了した。この印刷版をクラック汚れの出やすいマゼンタインクを用いてオフセット輪転印刷機にて、10万枚/時のスピードで2万枚印刷し、端部の汚れを評価した。
【0122】
この表から分かるように、従来の裁断部では、例えば、バリ78を無くすような条件で切断した場合(スリッタ条件1)には、必然的に切欠76の幅X及び深さYを小さくせざるを得ないため、エッジ汚れが発生してしまっている。また、切欠76の幅X及び深さYが大きくなるような条件で切断した場合(スリッタ条件2)では、エッジ汚れはスリッタ条件1の場合より解消されるが、バリ78の突出量Bが大きくなってしまっている。さらに切欠76の深さを深くした場合(スリッタ条件3)では、PS版30の表面12A(表面処理層)にクラックが生じて、エッジ汚れが発生してしまっている。また、バリ78の突出量Bもさらに大きくなっている。
【0123】
これに対し、本発明の第1実施例の場合では、切欠76の幅X及び深さYとして十分な大きさを得ることで、エッジ汚れが実際上問題のない程度に解消されると共に、裏面12Bからバリが全く生じていない。また、第2実施例および第3実施例の場合では、切欠76の幅X及び深さYとしてさらに十分な大きさを得ることで、エッジ汚れが全く解消されており、しかも、裏面12Bからもバリの吐出量Bも実際上問題のない程度に小さくなっている。さらに、第4実施例の場合には、切欠76の幅X及び深さYとして第1実施例と同様の大きさが得られており、しかも、エッジ汚れも全く発生していない。第5実施例では、エッジ汚れが実際上問題のない程度に解消され、バリの突出量も従来の裁断部(スリッタ)よりも小さくなっている。
【0124】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明では、平版印刷版を印刷側の表面から押圧して凹ませ、この表面から連続して且つ表面に対して傾斜した傾斜面を備える凹部を形成する押圧部材とと、前記凹部において、前記平版印刷版を切断する切断部材と、を有するので、バリを小さくする(好ましくは発生しないようにする)と共に、必要十分な大きさの切欠を容易に形成することが可能となる。
【0125】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記押圧部材が、平版印刷版の前記表面と平行に平版印刷版を押圧する押圧部と、前記押圧部が平版印刷版を押圧すると前記傾斜面を形成するように、前記平版印刷版の表面に対して傾斜した傾斜部と、を有するので、所望の形状の傾斜面、すなわち切欠を形成することができる。
【0126】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記押圧部が平版印刷版を押圧すると共に前記傾斜部が傾斜面を形成したとき、前記平版印刷版の表面に接触する接触部、を有するので、平版印刷版の浮き上がりや位置ずれ等を防止することができる。
【0127】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記押圧部材が、前記平版印刷版を支持する支持部材と、この支持部材との間で平版印刷版を挟んで前記凹部を形成する挟持部材と、で構成され、前記切断部材が、前記支持部材と、この支持部材との間で平版印刷版を切断する切断刃と、で構成されているので、押圧部材によって形成された凹部に対して、高い位置精度で切断部材を位置させて切断することが可能となる。また、支持部材を共有することで、平版印刷版加工装置を構成する部品点数が少なくなる。
【0128】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記平版印刷版を切断可能な切断刃部と、前記切断刃部によって切断された前記平版印刷版の切断端部を押圧して前記凹部を形成する凹部形成部と、が一体的に構成された切断押圧刃を有するので、加工時の加工精度を向上させることができると共に、加工に要する部品点数を少なくすることが可能となる。
【0129】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項5のいすれかに記載の発明において、前記押圧部材に対応して設けられ、押圧による前記平版印刷版の膨出を許容する膨出許容部、を有するので、押圧部材による押圧力が小さくても、平版印刷版の表面側を確実に押圧して、傾斜面を形成することができる。
【0130】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記切断部材が、前記平版印刷版の1つの前記凹部に対して1箇所で平版印刷版を切断するので、切屑が発生しなくなり、材料を無駄にすることなく平版印刷版を加工することができる。
【0131】
請求項8に記載の発明では、平版印刷版を印刷側の表面から押圧して凹ませ、この表面から連続して且つ表面に対して傾斜した傾斜面を備える凹部を形成する凹部形成工程と、前記平版印刷版を前記凹部に対応する位置で切断する切断工程と、を有するので、バリを小さくする(好ましくは発生しないようにする)と共に、必要十分な大きさの切欠を容易に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の裁断部を有するPS版の加工ラインを示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の裁断部を示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の裁断部を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態の裁断部を構成する押圧ローラを示す正面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の裁断部を構成する裁断ローラを示す正面図である。
【図6】本発明の第2実施形態の裁断部を構成する押圧ローラを示す正面図である。
【図7】本発明の第3実施形態の裁断部を構成する押圧ローラを示す正面図である。
【図8】本発明の第4実施形態の裁断部を示す側面図である。
【図9】本発明の第5実施形態の裁断部を示す正面図である。
【図10】本発明の第1実施形態の押圧部材の図4に示したものとは異なる例を示す正面図である。
【図11】(A)〜(C)は、本発明によって得られる平版印刷版の断面形状の別の例を示す断面図である。
【図12】本発明の裁断部においてウエブの1箇所の凹部に対し1箇所でのみ切断する場合を示し、(A)は平坦面を有する凹部が形成されたウエブの断面図、(B)は(A)に示すウエブを切断することにより得られた平版印刷版の断面図、(C)は平坦面を有しない凹部が形成されたウエブの断面図、(D)は(C)に示すウエブを切断することにより得られた平版印刷版の断面図である。
【図13】本発明の裁断部の別の例を示す側面図である。
【図14】(A)は、本発明の裁断部によって得られたPS版の形状を拡大して示す説明図であり、(B)は、本発明と従来の裁断部においてPS版の形状とエッジ汚れの関係とを示す表である。
【符号の説明】
10 裁断部(平版印刷版切断装置)
22 押圧ローラ(押圧部材)
24 裁断ローラ(裁断部材)
36 上ローラ(押圧ローラ、押圧部材)
38 上ローラ(押圧ローラ、押圧部材)
40 上ローラ(押圧ローラ、押圧部材)
42 下ローラ(押圧ローラ、押圧部材)
44 下ローラ(押圧ローラ、押圧部材)
46 下ローラ(押圧ローラ、押圧部材)
48 上刃(裁断ローラ、裁断部材)
50 上刃(裁断ローラ、裁断部材)
52 上刃(裁断ローラ、裁断部材)
54 下刃(裁断ローラ、裁断部材)
56 下刃(裁断ローラ、裁断部材)
58 下刃(裁断ローラ、裁断部材)
60 押圧部
62 傾斜部
64 押圧部
66 傾斜部
70 逃げ部(膨出許容部)
71 逃げ部(膨出許容部)
73 凹部
74 傾斜面
112 押圧ローラ(押圧部材)
116 上ローラ(押圧ローラ、押圧部材)
118 押圧部
120 下ローラ(押圧ローラ、押圧部材)
124 逃げ部(膨出許容部)
126 傾斜面
127 凹部
132 押圧ローラ(押圧部材)
136 上ローラ(押圧ローラ、押圧部材)
138 押圧部
140 傾斜部
142 接触部
144 下ローラ(押圧ローラ、押圧部材)
147 凹部
160 裁断部(平版印刷版切断装置)
162 押圧ローラ(押圧部材)
164 上ローラ(押圧ローラ、挟持部材、押圧部材)
166 裁断ローラ(切断部材)
168 上刃(裁断ローラ、切断刃、切断部材)
170 押圧裁断ローラ(支持部材)
182 切断押圧刃
184 切断刃部
186 傾斜部(凹部形成部)
188 逃げ凹部(膨出許容部)
Claims (8)
- 平版印刷版を印刷側の表面から押圧して凹ませ、この表面から連続して且つ表面に対して傾斜した傾斜面を備える凹部を形成する押圧部材と、
前記凹部において、前記平版印刷版を切断する切断部材と、
を有することを特徴とする平版印刷版加工装置。 - 前記押圧部材が、
平版印刷版の前記表面と平行に平版印刷版を押圧する押圧部と、
前記押圧部が前記平版印刷版を押圧すると前記傾斜面を形成するように、平版印刷版の表面に対して傾斜した傾斜部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版加工装置。 - 前記押圧部が平版印刷版を押圧すると共に前記傾斜部が傾斜面を形成したとき、前記平版印刷版の表面に接触する接触部、
を有することを特徴とする請求項2に記載の平版印刷版加工装置。 - 前記押圧部材が、
前記平版印刷版を支持する支持部材と、この支持部材との間で平版印刷版を挟んで前記凹部を形成する挟持部材と、で構成され、
前記切断部材が、
前記支持部材と、この支持部材との間で平版印刷版を切断する切断刃と、で構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の平版印刷版加工装置。 - 前記平版印刷版を切断可能な切断刃部と、
前記切断刃部によって切断された前記平版印刷版の切断端部を押圧して前記凹部を形成する凹部形成部と、
が一体的に構成された切断押圧刃を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の平版印刷版加工装置。 - 前記押圧部材に対応して設けられ、押圧による前記平版印刷版の膨出を許容する膨出許容部、
を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の平版印刷版加工装置。 - 前記切断部材が、前記平版印刷版の1つの前記凹部に対して1箇所で平版印刷版を切断することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の平版印刷版加工装置。
- 平版印刷版を印刷側の表面から押圧して凹ませ、この表面から連続して且つ表面に対して傾斜した傾斜面を備える凹部を形成する凹部形成工程と、
前記平版印刷版を前記凹部に対応する位置で切断する切断工程と、
を有することを特徴とする平版印刷版加工方法。
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