JP4216436B2 - 平板印刷版及び平板印刷版の加工方法 - Google Patents

平板印刷版及び平板印刷版の加工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷面に付着したインクにより印刷紙面上に画像を印刷する平板印刷版及び、平板印刷版の周縁部に付着したインクによる印刷紙面の汚れを防止するための平板印刷版に対する加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感光性平板印刷版(以下、「PS版」という)は、例えば、シート状あるいはコイル状のアルミニウム等の支持体に、砂目立て、陽極酸化、シリケート処理、その他化成処理等の表面処理を単独又は適宜組み合わせて行い、次いで、感光液の塗布、乾燥処理を行った後に所望のサイズに切断されることで製造される。このPS版は、露光、現像処理、ガム引き等の製版処理が行われ、印刷機にセットされ、インクが塗布されることで、紙面に文字、画像等が印刷される。
【0003】
このようなPS版には、例えば、本願出願人が特願平10−42014号公報において提案しているように、いわゆる捨版として使用されるものも含まれる。このように捨版として使用される場合には、感光層は不要であるため、感光層が塗布されていないものも、ここでいうPS版に含まれる。また、感光層がアルミニウムの支持体の両面に塗布されているものや、フォトポリマーやサーマル等のデジタル刷版に使用されるPS版も含まれる。
【0004】
このようなPS版を用いた印刷には、印刷機を用いてPS版のサイズよりも小さな印刷紙に印刷を施す場合と、例えば新聞印刷等のように、PS版のサイズよりも大きい印刷紙に印刷する場合がある。後者の場合には、PS版の全面が印刷面として使用されるため、PS版の印刷面側の切断縁(エッジ部分)にインクが付着し、このインクが印刷紙面に付着して汚れ(インク汚れ)が生じることがある。
【0005】
上記のようなインク汚れを防止する方法として、例えば、特公昭57−46754号公報に記載されているように、アルミニウム板からなる支持体の端部のエッジをヤスリやナイフで削り取る方法や、特開平7−32758号公報に記載されているように、裁断端部を印刷面と逆側に曲がった形状にすることが提案されている。
【0006】
また、インク汚れを防止するため、PS版をスリッタ、カッタ等によって剪断するときに、剪断と同時に、いわゆる剪断だれによる切欠部を表面処理層の周縁部に形成することが有効であることが、特開平5−104871号、特開平8−11451号、特開平9−53465号、特開平9−323486号、特開平10−35130号、特開平10−100566号等の各公報に記載されている。
【0007】
すなわち、上記の各公報には、印刷時においてPS版のエッジ部分が印刷紙面から離れるように、PS版の剪断端に沿った周縁部に何らかの加工方法で傾斜面を形成することが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の各公報には、PS版の剪断端に沿った周縁部に傾斜面を効率よく形成するための加工方法ついては記載されているが、PS版の剪断端に沿った周縁部にどのような形状の形状の傾斜面を形成すれば、印刷紙面におけるインク汚れを効果的かつ確実に防止できるかについては具体的に記載されていない。すなわち、例えば、PS版の周縁部に傾斜面を形成した場合に、PS版において印刷画像が形成される印刷面と傾斜面との角度がある一定の角度とより大ききなると、印刷面と傾斜面との境界部があたかも新しいエッジ部分となって、これにインクが付着して印刷紙面にインク汚れを生じさせるおそれがあり、また印刷面と傾斜面との角度が小さすぎると、印刷時におけるPS版のエッジ部分から印刷紙面までの間隔が不足し、PS版のエッジ部分に付着したインクが印刷紙面に転移してインク汚れが生じるおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、上記事実を考慮し、剪断端に沿った周縁部に形成された特定形状の傾斜面の作用により印刷紙面のインク汚れを効果的かつ確実に防止できる平板印刷版及び、このような傾斜面を平板印刷版の剪断端に沿った周縁部に簡単に形成することを可能とする平板印刷版の加工方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の平板印刷版は、板状の製品素材が剪断されて所定の製品サイズとされる平板印刷版であって、平板印刷版の印刷面における剪断端に沿った周縁部に、剪断による塑性的な変形領域と非変形領域との境界部から前記剪断端に亘って連続する二つの面を備え、かつ前記境界部から前記剪断端へ向かって裏面側へ傾斜した傾斜面を形成し、前記傾斜面における境界部付近の前記非変形領域に対する傾斜角θAを2.5度以上〜20.0度以内とし、かつ前記傾斜面における前記境界部と剪断端とを結ぶ直線の前記非変形領域に対する傾斜角θBを傾斜角θAよりも大きくすると共に、4.0度以上〜30.0度以内としたものである。
【0011】
上記構成の平板印刷版によれば、平板印刷版の印刷面における剪断端に沿った周縁部に、剪断による塑性的な変形領域と非変形領域との境界部から剪断端に亘って連続する二つの面を備え、かつ境界部から前記剪断端へ向かって裏面側へ傾斜した傾斜面を形成したことにより、平板印刷版の印刷面における剪断端を印刷時に印刷紙面から離すことができる。
【0012】
このとき、平板印刷版の周縁部に形成された傾斜面における境界部付近の非変形領域に対する傾斜角θAを2.5度以上〜20.0度以内としたことにより、傾斜面の境界部にインクが付着することを抑制できるので、印刷時に傾斜面の境界部付近から印刷紙面にインクが転移して印刷紙面にインク汚れが生じることを防止できる。
【0013】
さらに、平板印刷版の周縁部に形成された傾斜面における非変形領域との境界部と剪断端とを結ぶ直線の非変形領域に対する傾斜角θBを、傾斜角θAよりも大きくすると共に、4.0度以上〜30.0度以内としたことにより、印刷時に平板印刷版の印刷面における剪断端、すなわち平板印刷版のエッジ部分から印刷紙面までの間隔を十分広くできるので、印刷時に平板印刷版のエッジ部分に付着したインクが印刷紙面に転移して印刷紙面にインク汚れが生じることを防止できる。
【0014】
ここで、平板印刷版の印刷面における剪断による塑性的な変形領域と非変形領域との境界部から剪断端に亘る領域が傾斜面とされるが、このような傾斜面は、製品素材への剪断加工により塑性変形した領域(変形領域)をプレス等により塑性変形させて形成しても、変形領域の一部を切削して形成してもよく、また製品素材への剪断加工を行う前に、平板印刷版の変形領域に対応する部分を予め塑性変形するように加工したり、変形領域に対応する部分の一部を切削した後に、製品素材のへの剪断加工を行うことにより形成してもよい。
【0015】
請求項2記載の平板印刷版の加工方法は、請求項1記載の平板印刷版に対する加工方法であって、平板印刷版の剪断端に沿った塑性的な変形領域を印刷面側から押圧して塑性変形させながら、平板印刷版の剪断端に沿った周縁部に前記傾斜面を形成するものである。
【0016】
上記構成の平板印刷版の加工方法によれば、平板印刷版の剪断端に沿った塑性的な変形領域を印刷面側から押圧して塑性変形させながら、平板印刷版の剪断端に沿った周縁部に前記傾斜面を形成することにより、印刷面側から押圧して塑性変形させる際に所要の形状の傾斜面を得るための加工量(塑性変形量)を減少できる。
【0017】
すなわち、平板印刷版の剪断端に沿った周縁部には剪断加工により塑性的に変形した領域(変形領域)が形成され、この平板印刷版の剪断端に沿った周縁部に形成される変形領域は、概略的には変形領域と非変形領域との境界部から剪断端に亘って連続する二つの面を備え、かつ前記境界部から剪断端へ向かって裏面側へ傾斜した傾斜面となる。従って、この既に傾斜面となっている変形領域の一部又は全部を押圧して塑性変形させれば、所要形状の傾斜面を得るために必要となる加工量(塑性変形量)を減少できるので、平板印刷版の剪断端に沿った周縁部に所要形状の傾斜面を加工する作業が簡単になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係るPS版及びその剪断加工装置について図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1には本発明の第1の実施形態に係るPS版30の裁断加工装置10を備えた製造ライン90が示されている。この製造ライン90の上流側(図1の右上側)には、あらかじめロール状に巻かれた製品素材であるウエブを順次送り出す送出機14が配設されている。送出機14から送り出された長尺状のウエブ12がレベラ15でカール矯正され、送りローラ16に至ると、合紙18が貼り合わされ、帯電により密着されて、ノッチャー20に至る。
【0020】
ノッチャー20は、ウエブ12に打ち抜き部を設け、裁断加工装置10を構成する裁断ローラ24の上刃48、50(図2参照)が、打ち抜き位置でウエブ12の幅方向へ移動できるようにする。これにより、ウエブ12と合紙18とをまとめて連続裁断しながら、ウエブ12の裁断幅を変更することが可能となる。以下、単に「幅方向」というときはウエブ12の幅方向をいい、「内側」、「外側」というときは、ウエブ12の幅方向内側、外側をそれぞれいうものとする。
【0021】
裁断加工装置10による裁断で生じた裁断屑86は、図示しないチョッパへ送られて細かく切断された後、回収コンベヤ82によって回収箱84に回収され、合紙18は吸引パイプ23で吸引処理される。
【0022】
なお、本実施形態に係る製造ライン90では、裁断加工装置10と周辺部材(図示省略)とで裁断ユニット21が構成されると共に、この裁断ユニット21が2組用意されている。これにより、刃交換等の段取作業を、ライン外の使用していない裁断ユニット21で行うことができ、製造ライン90のライン停止時間を最小限にすることが可能となっている。
【0023】
このようにして、所定の裁断幅に裁断されたウエブ12は、測長装置26で送り長が検出され、指示されたタイミングで走間カッタ28により切断される。これにより、設定されたサイズのPS版30が製造される。
【0024】
次に、PS版30は、コンベア32によって集積部34に送られ、所定枚数積み重ねられて、集積束31が構成される。なお、集積部34では、この集積束31の上下若しくは片側に、厚紙等からなる保護シート(一般に「当てボール」と称される)を配置することも可能である。
【0025】
そして、集積束31は、搬送部35を経てパレット33に積み重ねられる。その後、ラック倉庫等の保管庫あるいは包装工程に送られ、包装材料(テープ、内装材、外装材等)によって包装される。また、自動製版機用のスキッド(平台スキッド、縦型スキッド等)に積み重ねることも可能である。なお、これらのスキッドに積み重ねて包装する場合には、製造ライン90に、集積束31をスキッドに集積するための集積装置を設け、製造ライン90内において直接スキッドに集積するようにしてもよい。
【0026】
このようにして、PS版30は包装されて出荷されるが、包装形態によっては、合紙18や、その他の包装材料を省略してもよい。
【0027】
裁断加工装置10は、図2に示されるように、ウエブ12を幅方向の所定位置で裁断する裁断ローラ24と、この裁断ローラ24による裁断時にウエブ12を表面12A側から押圧する押圧ローラ22、及び裁断ローラ24の間に配置された受けローラ40を有している。
【0028】
裁断ローラ24は、ウエブ12の表面12A側において、ウエブ12の幅方向端部側及び略中央にそれぞれ設けられた上刃48及び上刃50と、これらの上刃48、50に対応して、ウエブ12の裏面12B側に設けられた下刃54、56と、で構成されている。
【0029】
端部側の上刃48は、径方向に沿った断面形状が扁平台形状に形成されており、大径側の端面がウエブ12の幅方向内側に向くように配置されている。また上刃48は、図3に示されるように最も下端部がウエブ12の裏面12Bよりも下方に至るように所定の位置及び径とされており、回転によってウエブ12を裁断(トリミング)する裁断部分(切断部分)となっている。
【0030】
略中央に設けられた一対の上刃50は、それぞれ大径側の端面がウエブ12の幅方向外側へ向くように配置されている。上刃50も下端部がウエブ12の裏面12Bよりも下方に至るように所定の径とされており、回転によってウエブ12を裁断(中抜き)する裁断部分(切断部分)となっている。また、これらの上刃50は一体となって幅方向に移動可能とされている。これらの上刃50の間には皿ばね52が配設されており、皿ばね52は上刃50どうしを互いに離間する方向へ付勢している。
【0031】
上刃48、50には、図3に示されるように、中心線Cから一定の半径で、大径側(図3では左側)から小径側(図3では右側)へ向かう凹部58が形成されており、大径側の端面の実質的な面積が小さくなっている。上刃48、50を研磨して再使用する場合に、このような凹部58が形成されていないと大径側端面の全てを研磨しなければならないが、凹部58を形成したことにより、実質的な研磨領域が凹部58の外周側の部分のみとなって研磨面積が狭くなり、効率的に研磨できる
凹部58のさらに外周側には、図4に示されるように、大径側から小径側に向かって上刃48、50を部分的に薄肉とする環状の逃げ凹部62が形成されている。後述するように、裁断時に押圧ローラ22がウエブ12を押圧すると、押圧されたウエブ12の一部が逃げ凹部62に入り込んで、ウエブ12の変形流動が許容される。
【0032】
また、上刃48、50の大径側端面は、逃げ凹部62よりも径方向内側部分64(図5の上側)が径方向外側部分66(図5の下側)よりも、小径側に向かって所定のオフセット量C1でオフセットされている。
【0033】
幅方向端部側に設けられた下刃54は、図2に示されるように、一定の径を有する扁平な円筒状又は円柱状に形成されており、ウエブ12を支持しながら、上刃48との間で挟み込んで裁断する。下刃54の上刃48に対する相対位置は、この裁断時にウエブ12の裏面12Bに、剪断によって生じるバリが小さくなるように、所定の位置とされている。
【0034】
下刃54よりも幅方向端部には、全体として下刃54と略同径とされ、さらに幅方向内側に向かって次第に縮径された縮径部68を有する受けローラ42が設けられている。上刃48と下刃54とでウエブ12を挟みつけて裁断すると、図2からも分かるように、ウエブ12の端部がこの受けローラ42によって支持されつつ、縮径部68に向かって折れ曲がり、容易に裁断できるようになっている。
【0035】
これに対し、幅方向略中央に設けられた下刃56は、端部の下刃54と同一の径を有する扁平な円筒状又は円柱状のローラが所定の間隙72をあけて対向配置されることにより構成されている。そして、この間隙72に上刃50が入り込み、皿ばね52によって上刃50が互いに離間する方向へ付勢されることで、上刃50が内側から下刃56又は別途設けられた位置決め用の部材(図示省略)に接触し、2つの上刃50が一定間隔をあけて、下刃56にそれぞれ隣接した位置となる。このように、上刃50を下刃56に対して隣接した位置とすることで、裁断時にウエブ12の裏面12Bに、剪断によって生じるバリが少なくなるようになっている。また、上刃50を着脱するときには、皿ばね52の付勢力に抗して上刃50を互いに接近する方向へと移動させる。これにより、上刃50は、それぞれ下刃56から離間するので、上刃50と下刃56とが干渉して刃欠等を生じてしまうことなく、上刃50を脱着できる。
【0036】
そして、下刃56はウエブ12を支持しながら上刃50との間で挟み込んで裁断する。このとき、裁断によって打ち抜かれた部分(裁断屑86)が間隙72に入り込むので、容易に裁断できる。このようにして裁断されたウエブ12は、上刃48と上刃50の間の部分(裁断によって切り残された部分)が、最終的な製品であるPS版30となる。
【0037】
図2に示されるように、押圧ローラ22は、ウエブ12の表面12A側、且つ最終的な製品とされるPS版30の側に位置するように、上刃48、50のそれぞれに隣接して配置されている。それぞれの押圧ローラ22は、径方向に沿った断面形状が台形状に形成されており、大径側の端面が上刃48又は上刃50と密着するように取り付けられている。
【0038】
図5に示されるように、押圧ローラ22の外周面は、最も下側に位置したときウエブ12の表面12Aに対して所定の傾斜角θR1で傾斜する傾斜部70となっている。上刃48と下刃54又は上刃50と下刃56とでウエブ12を裁断したとき、傾斜部70がウエブ12に裁断縁付近を押圧して塑性的に変形させ、ウエブ12に所定の形状とされた傾斜面74が形成されるように、押圧ローラ22は所定の径とされている。
【0039】
また、図5から分かるように、上刃48、50の径方向内側部分64は径方向外側部分66よりも小径側に向かって所定のオフセット量C1でオフセットされており、押圧ローラ22の一部が実質的に逃げ凹部58(図3参照)内に入り込んでいる。このため、押圧ローラ22がウエブ12を押圧したとき、ウエブ12が逃げ凹部58内においても上方から押え付けられることとなり、積極的に逃げ凹部58内に押し入れられるようにして入り込む。
【0040】
図2に示されるように、上刃48、50及び押圧ローラ22は、それぞれ1本のシャフト78に取り付けられており、ウエブ12の搬送方向と同方向へ同速で回転する。同様に、下刃54と受けローラ40、下刃56と受けローラ42もそれぞれ1本のシャフト80に取りつけられており、ウエブ12の搬送方向と同方向(上刃48、50及び押圧ローラ22とは逆回転方向)へ同速で回転する。また、幅方向両端のシャフト78、80は、レール44に沿ってウエブ12の幅方向へ移動する基台46に取り付けられている。
【0041】
なお、裁断ローラ24及び押圧ローラ22の数は、ウエブ12の幅方向に何枚のPS版30を取るかによって決定される。本実施形態では一例として、幅方向に2枚のPS版30を取る場合を挙げたため、ウエブ12の幅方向略中央及び幅方向端部側に設けたものを示している。一般に、ウエブ12の幅方向にN枚のPS版30を取る場合、裁断ローラ24及び押圧ローラ22の数はそれぞれ2Nとなるが、ウエブ12の耳部(幅方向両端部)が既に傾斜面74(図7参照)を有している等の理由により、ウエブ12の幅方向端部を裁断する必要がない場合には、裁断ローラ24及び押圧ローラ22の数はそれぞれ(2N−2)となる。
【0042】
次に、本実施形態の裁断加工装置10によりウエブ12を所定サイズのPS版30に裁断する方法を説明する。
【0043】
製造ライン90においてウエブ12が裁断加工装置10に搬送されてくると、このウエブ12は、図2に示されるように、下刃54、56及び受けローラ40によって支持されながらさらに下流側へ搬送される。そして、ウエブ12は、上刃48、50と下刃54、56との間で挟まれて剪断力が加えられ、図6に示されるように所定位置で裁断され、切り抜かれた部分は裁断屑86となる。裁断屑86は回収コンベア82によって搬送され、回収箱84に回収される。なお、巻取装置(図示省略)を設けて、切屑78を順次ロール状に巻き取ってもよい。
【0044】
このとき、ウエブ12の上刃48、50と下刃54、56による剪断端に沿った周縁部(以下、「剪断端部」という)には、上刃48、50及び下刃54、56により板厚方向に沿った剪断力が作用し、これと略同時に押圧ローラ22からの押圧力が作用する。これにより、ウエブ12の剪断端部は、上刃48、50及び下刃54、56からの剪断力によって、いわゆる剪断だれと呼ばれる塑性変形が生じる。
【0045】
図7(A)には、上刃48、50及び下刃54、56からの剪断力により剪断だれが生じたウエブ12の剪断端部の断面が示されている。この剪断端部の表面12A側には、剪断だれによって塑性的に変形した領域(塑性変形領域)と非変形領域との境界部94から剪断端へ向かって裏面12B側へ傾斜したスロープ状の剪断傾斜面96が形成される。
【0046】
剪断傾斜面96における境界部94付近は、表面12Aの非変形領域に対して剪断条件に応じた傾斜角θSで傾斜する略平面状となる。ここで、傾斜角θSの大きさは、例えば、上刃48、50の刃先角や上刃48、50の端面と下刃54、56の端面との軸方向に沿ったクリアランスC2(図5参照)を変更することにより、所定の範囲内において調整可能になる。
【0047】
剪断傾斜面96の剪断端付近は、剪断端に近づくほど徐々に傾斜角が大きくなるように塑性変形する。これにより、剪断傾斜面96と剪断端面とのエッジ部分は、図7(A)に示されるようにR加工されたような曲面状となる。また剪断端面の裏面12B側には、上刃48、50及び下刃54、56からの剪断力により剪断方向に沿って突出するバリ60が形成される。
【0048】
一方、上刃48又は上刃50と一体で回転する押圧ローラ22は、その傾斜部70により剪断傾斜面96の剪断端付近を押圧して塑性変形させる。これにより、剪断傾斜面96の剪断端付近には、図7(B)に示されるように表面12Aの非変形領域に対して押圧ローラ22における傾斜部70の傾斜角θR1と略等しい傾斜角θP1で傾斜する押圧傾斜面98が形成される。
【0049】
また、ウエブ12の剪断端面は、図5に示されるように押圧ローラ22からの押圧力により上刃48、50側へ膨らむように塑性変形するが、このウエブ12の剪断端面は上刃48、50に形成された逃げ凹部58に入り込む。これにより、ウエブ12の支持体の変形流動が許容されるので、押圧ローラ22の押圧力が小さくても、ウエブ12を確実に変形させることができる。
【0050】
上記のようにして、裁断加工装置10により裁断されたウエブ12は、さらに下流側へ搬送されて走間カッタ28(図1参照)により幅方向に沿って切断され、所望のサイズのPS版30が得られる。
【0051】
本実施形態に係る剪断加工装置10では、剪断傾斜面96の傾斜角θSが2.5度以上〜20.0度以内となるように上刃48、50及び下刃54、56による剪断条件が設定されている。
【0052】
また、傾斜面74全体の傾斜角θF1を境界部94と剪断端とを結ぶ直線(図7(B)の直線L)の非変形領域に対する傾斜角と定義すると、この傾斜角θF1は、剪断傾斜面96の傾斜角θSより大きく、かつ4.0度以上〜30.0度以内とされている。このような傾斜角θF1は、押圧傾斜面98の傾斜角θP1の大きさを適宜設定することにより実現可能になり、具体的には、傾斜角θP1を剪断傾斜面96の傾斜角θSより大きくし、かつ10度以上〜35度以内の範囲で調整すれば、傾斜角θF1を上記のような大きさに設定できる。
【0053】
以上説明した本実施形態に係る剪断加工装置10により剪断され、剪断端部が加工されたPS版30によれば、表面12Aにおける剪断端に沿った周縁部(剪断端部)に、剪断による塑性的な変形領域と非変形領域との境界部94から剪断端に亘って連続し、かつ境界部94から剪断端へ向かって裏面12B側へ傾斜した傾斜面74を形成したことにより、PS版30の表面12Aにおける剪断端を印刷時に印刷紙面から離すことができる。
【0054】
このとき、PS版30の傾斜面74における剪断傾斜面96の傾斜角θSを2.5度以上〜20.0度以内としたことにより、この境界部94にインクが付着することを抑制でき、印刷時に傾斜面74の境界部94付近から印刷紙面にインクが転移して印刷紙面にインク汚れが生じることを防止できる。
【0055】
さらに、PS版30の剪断端部に形成された傾斜面74全体の傾斜角θF1を、傾斜角θSよりも大きくすると共に、4.0度以上〜30.0度以内としたことにより、印刷時にPS版30の剪断端から印刷紙面までの間隔を十分広くできるので、印刷時にPS版30の剪断端(エッジ部分)に付着したインクが印刷紙面に転移して印刷紙面にインク汚れが生じることを防止できる。
【0056】
(第2の実施形態)
図8には本発明の第2の実施形態に係るPS版30の裁断加工装置100が示されている。なお、この裁断加工装置100は、第1の実施形態に係る裁断加工装置10と同様に、図1に示されるPS版30の製造ライン90へ適用されるものである。また、図8では第1の実施形態に係る裁断加工装置10と同一の構成及び作用を有する部材については同一の符号を付し、これらの部材の説明を省略する。
【0057】
裁断加工装置10は、図8に示されるように裁断ローラ24による裁断時にウエブ12を表面12A側から押圧する押圧ローラ102を有している。押圧ローラ102は、ウエブ12の表面12A側、且つ最終的な製品とされるPS版30の側に位置するように、上刃48、50のそれぞれに隣接して配置されている。それぞれの押圧ローラ102は、径方向に沿った断面形状が台形状に形成されており、大径側の端面が上刃48又は上刃50と密着するように取り付けられている。
【0058】
押圧ローラ102の外周面は、最も下側に位置したときウエブ12の表面12Aに対して所定の傾斜角θR2で傾斜する傾斜部104となっている。上刃48と下刃54又は上刃50と下刃56とでウエブ12を裁断したとき、傾斜部104がウエブ12に裁断縁付近を押圧して塑性的に変形させ、ウエブ12に所定の形状とされた傾斜面106が形成されるように、押圧ローラ102は所定の径とされている。
【0059】
次に、本実施形態の裁断加工装置100によりウエブ12を所定サイズのPS版30に裁断する方法を説明する。
【0060】
製造ライン90においてウエブ12が裁断加工装置100に搬送されてくると、このウエブ12は、下刃54、56及び受けローラ40によって支持されながらさらに下流側へ搬送される。そして、ウエブ12は、上刃48、50と下刃54、56との間で挟まれて剪断力が加えられて裁断され、切り抜かれた部分は裁断屑86となる。裁断屑86は回収コンベア82によって搬送される。
【0061】
このとき、ウエブ12の上刃48、50と下刃54、56による剪断端に沿った周縁部(以下、「剪断端部」という)には、上刃48、50及び下刃54、56により板厚方向に沿った剪断力が作用した後、押圧ローラ102からの押圧力が作用する。これにより、ウエブ12の剪断端部は、上刃48、50及び下刃54、56からの剪断力によって、いわゆる剪断だれと呼ばれる塑性変形が生じる。
【0062】
図9(A)には、上刃48、50及び下刃54、56からの剪断力により剪断だれが生じたウエブ12の剪断端部の断面が示されている。この剪断端部の表面12A側には、剪断だれによって塑性的に変形した領域(塑性変形領域)と非変形領域との境界部94から剪断端へ向かって裏面12B側へ傾斜したスロープ状の剪断傾斜面96が形成される。この剪断傾斜面96の形成過程及び形状は第1の実施形態の場合と同様である。
【0063】
一方、上刃48又は上刃50と一体で回転する押圧ローラ102は、その傾斜部104により剪断傾斜面96の剪断端付近を除く領域を押圧して塑性変形させる。これにより、剪断傾斜面96の剪断端付近を除く領域には、図9(B)に示されるように、押圧ローラ102の傾斜部104の傾斜角θR2と略等しい傾斜角θP2を有する押圧傾斜面108が新たに形成される。ここで、押圧傾斜面108は、その傾斜角θP2が変形前の剪断傾斜面96の傾斜角θSより大きくなるように形成され、剪断傾斜面96の剪断端付近と共に傾斜面106を構成している。
【0064】
またウエブ12の剪断端面は、図8に示されるように押圧ローラ102からの押圧力により上刃48、50側へ膨らむように塑性変形するが、このウエブ12の剪断端面は上刃48、50に形成された逃げ凹部62に入り込む。これにより、ウエブ12の支持体の変形流動が許容されるので、押圧ローラ102の押圧力が小さくても、ウエブ12を確実に変形させることができる。
【0065】
上記のようにして、裁断加工装置100により裁断されたウエブ12は、さらに下流側へ搬送されて走間カッタ28(図1参照)により幅方向に沿って切断され、所望のサイズのPS版30が得られる。
【0066】
本実施形態に係る剪断加工装置100では、押圧傾斜面108の傾斜角θP2が2.5度以上〜20.0度以内となるように押圧ローラ102の傾斜角θR2の大きさが設定されている。また傾斜面106全体の傾斜角θF2を境界部94と剪断端とを結ぶ直線(図7(B)の直線L)の非変形領域に対する傾斜角と定義すると、この傾斜角θF2は、押圧傾斜面108の傾斜角θP2より大きく、かつ4.0度以上〜30.0度以内とされている。このような傾斜角θF2は、剪断傾斜面96の傾斜角θSの大きさを考慮して、押圧傾斜面98の傾斜角θP2の大きさを適宜設定することにより実現可能になる。
【0067】
以上説明した本実施形態に係る剪断加工装置100により剪断され、剪断端部が加工されたPS版30によれば、第1の実施形態に係る剪断加工装置10により剪断され、剪断端部が加工されたものと同様の作用を奏するので、印刷時に傾斜面106付近に付着したインクが転移して印刷紙面にインク汚れが生じることを防止できる。
【0068】
なお、上記した実施形態に係る記載では、PS版30の製造ラインにおいてウエブ12の印刷面が上向きとなるようにウエブ12が搬送される場合のみを説明したが、印刷面が下向きとなるようにウエブ12が搬送される場合でも、上刃48、50や下刃54、56等の相対的な位置関係を上下反転すれば、ウエブ12の剪断端部の形状として、印刷面が上向きとなるようにウエブ12が搬送される場合と同一形状となることは言うまでもない。
【0069】
また上記した実施形態に係る記載では、ウエブ12を剪断加工装置10、100により剪断し、ウエブ12(PS版30)の剪断端部に傾斜面74、104を加工する場合のみを説明したが、製造ライン90において剪断加工装置10、100の下流側に配置される走間カッタ28にも剪断加工装置10、100の構造を適用し、ウエブ12を幅方向に沿って剪断すると共に剪断端に沿って傾斜面74、104と同一形状の傾斜面を形成することも可能である。
【0070】
また、第1及び第2の実施形態に係る剪断加工装置10、100では、上刃48の端面に逃げ凹部62を形成し、これにより、押圧ローラ22、102により押し潰されたウエブ12の剪断端部が側方へ突出するような塑性変形を許容していたが、図10に示されるように上刃48の径方向内側部分66(端面)を平面状として、押圧ローラ202の傾斜部204によりウエブ12の剪断端部に押圧傾斜面208が形成された際に、上刃48の径方向内側部分66によりウエブ12の剪断端部が側方へ突出するような塑性変形を制限し、これにより、ウエブ12の剪断端部の端面を平面状に加工するようにしてもよい。
【0071】
【実施例】
以下、剪断加工装置10、100を用いて剪断し、剪断端部に傾斜面74、104を加工したPS版30の実施例について説明する。
【0072】
先ず、第1の実施形態に係るPS版30における傾斜面74の形状と印刷紙面のインク汚れとの関係を図7(B)及び(表1)に基づいて説明する。
【0073】
【表1】
Figure 0004216436
【0074】
(表1)には、図7(B)に示されるPS版30の傾斜面74において剪断傾斜面96の傾斜角θSをクリアランスC2等の剪断条件を調整して2.0度〜25.0度まで段階的に変化させると共に、押圧傾斜面98の傾斜角θP1の大きさを調整して傾斜面74全体の傾斜角θF1を3.0度から30.0度まで段階的に変化させた際の印刷紙面における傾斜面74(剪断端部)に対応する領域でのインク汚れの評価が示されている。なお、(表1)に示されるNo.1〜No.8の実施例では、θSが傾斜面74における境界部94付近の傾斜角となり、θF1が傾斜面74全体の傾斜角となる。
【0075】
ここで、表中の「○」、「△」、及び「×」はそれぞれ、
○:インク汚れが傾斜面74に対応する領域に発生しなかったもの
△:インク汚れが傾斜面74に対応する領域に弱く又は部分的に発生したもの×:エッジ汚れが傾斜面74に対応する領域全体に線状にはっきりあらわれたもの、であることを示す。なお、「△」と評価されたインク汚れは、印刷画像について特に厳しい画質が要求される場合を除けば、実用上問題ない程度のインク汚れである。
【0076】
(表1)からは、No.2、No.3、No.4、No.5及びNo.7の何れかの実施例(PS版30)により印刷を行えば、印刷紙面におけるインク汚れを実用上問題無い程度又はインク汚れを防止することができ、またNo.3、No.4及びNo.7の何れかのPS版30により印刷を行えば、印刷紙面におけるインク汚れを確実に防止することができることが解る。
【0077】
次に、第2の実施形態に係るPS版30における傾斜面106の形状と印刷紙面のインク汚れとの関係を図9(B)及び(表1)に基づいて説明する。
【0078】
【表2】
Figure 0004216436
【0079】
(表2)には、図9(B)に示されるPS版30の傾斜面106において剪断傾斜面96の傾斜角θSをクリアランスC2等の剪断条件を調整して15.0度〜35.0度まで段階的に変化させると共に、押圧傾斜面108の傾斜角θP2の大きさを15.0度から35.0度の間で段階的に調整して傾斜面106全体の傾斜角θF2を20.0度から35.0度まで段階的に変化させた際の印刷紙面における傾斜面106(剪断端部)に対応する領域でのインク汚れの評価が示されている。なお、(表2)に示されるNo.9〜No.13の実施例では、θP2が傾斜面96における境界部94付近の傾斜角となり、θF2が傾斜面96全体の傾斜角となる。
【0080】
ここで、表中の「○」、「△」、及び「×」はそれぞれ、
○:インク汚れが傾斜面106に対応する領域に発生しなかったもの
△:インク汚れが傾斜面106に対応する領域に弱く又は部分的に発生したもの
×:エッジ汚れが傾斜面106に対応する領域全体に線状にはっきりあらわれたもの、であることを示す。なお、「△」と評価されたインク汚れは、印刷画像について特に厳しい画質が要求される場合を除けば、実用上問題ない程度のインク汚れである。
【0081】
(表2)からは、No.9及びNo.10の何れかの実施例(PS版30)により印刷を行えば、印刷紙面におけるインク汚れをを確実に防止することができることが解る。
【0082】
従って、No.1〜No.8の実施例及びNo.9〜No.13の実施例よるインク汚れの評価を総合的に勘案すると、傾斜面74、106の境界部94付近の傾斜角が2.5度以上〜20.0度以内の範囲にあり、かつ傾斜面74、106全体の傾斜角が傾斜面74、106の境界部94付近の傾斜角より大きくなると共に4.0度以上〜30.0度以内の範囲にあれば、印刷紙面における傾斜面74、106に対応する領域のインク汚れを実用上問題程度にすることができることが明かになる。
【0083】
本実施例の評価材としては、以下のようにしてPS版30を作成し、使用した。99.5重量%アルミニウムに、銅を0.01重量%、チタンを0.03重量%、鉄を0.3重量%、ケイ素を0.1重量%含有するJIS―A1050アルミニウム材の厚み0.30mm圧延板を、400メッシュのパミストン(共立窯業製)の20重量%水性懸濁液と、回転ナイロンブラシ(6,10−ナイロン)とを用いてその表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。
【0084】
これを15重量%水酸化ナトリウム水溶液(アルミニウム4.5重量%含有)に浸漬してアルミニウムの溶解量が5g/m2 になるようにエッチングした後、流水で水洗した。さらに、1重量%硝酸で中和し、次に0.7重量%硝酸水溶液(アルミニウム0.5重量%含有)中で、陽極時電圧10.5ボルト、陰極時電圧9.3ボルトの矩形波交番波形電圧(電流比r=0.90、特公昭58−5796号公報実施例に記載されている電流波形)を用いて160クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。水洗後、35℃の10重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、アルミニウム溶解量が1g/m2 になるようにエッチングした後、水洗した。次に、50℃30重量%の硫酸水溶液中に浸漬し、デスマットした後、水洗した。
【0085】
さらに、35℃の硫酸20重量%水溶液(アルミニウム0.8重量%含有)中で直流電流を用いて、多孔性陽極酸化皮膜形成処理を行った。すなわち電流密度13A/dm2 で電解を行い、電解時間の調節により陽極酸化皮膜重量2.7g/m2 とした。ジアゾ樹脂と結合剤を用いたネガ型感光性平版印刷版を作成する為に、この支持体を水洗後、70℃のケイ酸ナトリウムの3重量%水溶液に30秒間浸漬処理し、水洗乾燥した。
【0086】
以上のようにして得られたアルミニウム支持体は、マクベスRD920反射濃度計で測定した反射濃度は0.30で、JIS B00601に規定する中心線平均粗さRaは0.58μmであった。次に上記支持体にメチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(平均分子量約6万)(モル比50/30/20)の1.0重量%水溶液をロールコーターにより乾燥後の塗布量が0.05g/m2 になるように塗布した。
【0087】
さらに、下記感光液−1をバーコーターによって塗布し、110℃で45秒間乾燥させた。乾燥塗布量は2.0g/m2 であった。
感光液−1
ジアゾ樹脂−1 0.50g
結合剤−1 5.00g
スチライトHS−2(大同工業(株)製) 0.10g
ビクトリアピュアブルーBOH 0.15g
トリクレジルホスフェート 0.50g
ジピコリン酸 0.20g
FC−430(3M社製界面活性剤) 0.05g
溶剤
1−メトキシ−2−プロパノール 25.00g
乳酸メチル 12.00g
メタノール 30.00g
メチルエチルケトン 30.00g
水 3.00g
上記のジアゾ樹脂―1は、次のようにして得たものである。まず、4−ジアゾジフェニルアミン硫酸塩(純度99.5%)29.4gを25℃にて、96%硫酸70mlに徐々に添加し、かつ20分間攪拌した。これに、パラホルムアルデヒド(純度92%)3.26gを約10分かけて徐々に添加し、該混合物を30℃にて、4時間攪拌し、縮合反応を進行させた。なお、上記ジアゾ化合物とホルムアルデヒドとの縮合モル比は1:1である。この反応生成物を攪拌しつつ氷水2リットル中に注ぎ込み、塩化ナトリウム130gを溶解した冷濃厚水溶液で処理した。この沈澱物を吸引濾過により回収し、部分的に乾燥した固体を1リットルの水に溶解し、濾過し、氷で冷却し、かつ、ヘキサフルオロリン酸カリ23gを溶解した水溶液で処理した。最後に、この沈澱物を濾過して回収し、かつ風乾して、ジアゾ樹脂−1gを得た。
【0088】
結合剤−1は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリロニトリル/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(重量比50/20/26/4、平均分子量75,000、酸含量0.4meq/g)の水不溶性、アルカリ水可溶性の皮膜形成性高分子である。
【0089】
スチライトHS−2(大同工業(株)製)は、結合剤よりも感脂性の高い高分子化合物であって、スチレン/マレイン酸モノ−4−メチル−2−ペンチルエステル=50/50(モル比)の共重合体であり、平均分子量は約100,000であった。このようにして作成した感光層の表面に下記の様にしてマット層形成用樹脂液を吹き付けてマット層を設けた。
【0090】
マット層形成用樹脂液としてメチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(仕込重量比65:20:15)共重合体の一部をナトリウム塩とした12%水溶液を準備し、回転霧化静電塗装機で霧化頭回転数25,000rpm、樹脂液の送液量は4.0ml/分、霧化頭への印加電圧は−90kV、塗布時の周囲温度は25℃、相対湿度は50%とし、塗布液2.5秒で塗布面に蒸気を吹き付けて湿潤させ、ついで湿潤した3秒後に温度60℃、湿度10%の温風を5秒間吹き付けて乾燥させた。マットの高さは平均約6μm、大きさは平均約30μm、塗布量は150mg/m2 であった。
【0091】
このようにして得られた板厚0.3mm、幅820mmのコイル状のウエブを幅400mmとなるように、加工ラインにて上記した数種の条件で加工し、カット長1100mmのシート状のPS版を得た。
【0092】
印刷評価を行うにあたり、製造したPS版に画像を露光し、800H(富士写真フイルム(株)製自動現像機)で、DN−3C(富士写真フイルム(株)製アルカリ水溶系現像液)を水で1:1に希釈した液にて現像した。フィニッシャにはGN−B(富士写真フイルム(株)製ガム)を使用し、これを水で1:3に希釈した液を現像後ただちに塗布、乾燥して製版を終了した。この印刷版をクラック汚れの出やすいマゼンタインクを用いてオフセット輪転印刷機にて、10万枚/時のスピードで2万枚印刷し、印刷紙面のインク汚れを評価した。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の平板印刷版によれば、剪断端に沿った周縁部に形成された特定形状の傾斜面の作用により印刷紙面のインク汚れを効果的かつ確実に防止できる。
【0094】
また本発明の平板印刷版の加工方法によれば、剪断端に沿った周縁部に印刷紙面のインク汚れを防止するための特定形状の傾斜面に簡単に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係るPS版の剪断加工装置を有する製造ラインを示す斜視図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態に係るPS版の剪断加工装置を示す側面図である。
【図3】 図2に示される剪断加工装置における裁断ローラの上刃を示す断面図である。
【図4】 図3に示される裁断ローラの刃先部分を拡大して示す断面図である。
【図5】 図2に示される剪断加工装置に用いられる上刃、下刃及び押圧ローラを示す断面図である。
【図6】 本発明の第1の実施形態に係るPS版の製品素材となるウエブが剪断加工装置によって裁断される際の状態を示す断面図である。
【図7】 本発明の第1の実施形態に係るPS版の剪断端に沿った周縁部に形成される傾斜面の加工工程を説明するための断面図である。
【図8】 本発明の第2の実施形態に係るPS版の剪断加工装置に用いられる上刃、下刃及び押圧ローラを示す断面図である。
【図9】 本発明の第2の実施形態に係るPS版の剪断端に沿った周縁部に形成される傾斜面の加工工程を説明するための断面図である。
【図10】 本発明の第1及び第2の実施形態とは形状が異なる上刃を有するPS版の剪断加工装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
10 剪断加工装置
12 ウエブ(製品素材)
12A 表面(印刷面)
21 裁断ユニット
22 押圧ローラ
24 裁断ローラ
30 PS版(平板印刷版)
48、50 上刃
54、56 下刃
74 傾斜面
90 製造ライン
94 境界部
96 剪断傾斜面(傾斜面)
98 押圧傾斜面(傾斜面)
100 裁断加工装置
102 押圧ローラ
106 傾斜面
108 押圧傾斜面(傾斜面)

Claims (2)

  1. 板状の製品素材が剪断されて所定の製品サイズとされる平板印刷版であって、
    平板印刷版の印刷面における剪断端に沿った周縁部に、剪断による塑性的な変形領域と非変形領域との境界部から前記剪断端に亘って連続する二つの面を備え、かつ前記境界部から前記剪断端へ向かって裏面側へ傾斜する傾斜面を形成し、
    前記傾斜面における境界部付近の前記非変形領域に対する傾斜角θAを2.5度以上〜20.0度以内とし、かつ前記傾斜面における前記境界部と剪断端とを結ぶ直線の前記非変形領域に対する傾斜角θBを傾斜角θAよりも大きくすると共に、4.0度以上〜30.0度以内としたことを特徴とする平板印刷版。
  2. 請求項1記載の平板印刷版に対する加工方法であって、
    平板印刷版の剪断端に沿った塑性的な変形領域を印刷面側から押圧して塑性変形させながら、平板印刷版の剪断端に沿った周縁部に前記傾斜面を形成することを特徴とする平板印刷版の加工方法。
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