JP3794184B2 - 易開封性容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン系樹脂を熱封着面に有する包装容器又は包装袋等として、充分な封着力を有すると共に、開封時の開封が容易、且つ剥離面の外観にも優れる易開封性容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、樹脂容器本体を樹脂フィルム状蓋材で熱封着して包装するシールパック包装が、乳製品、菓子、果汁飲料等の主に飲食品の包装に盛んに用いられており、樹脂包装袋と共に重要な地位を占めるに到っている。そして、それらのシーラントとしては、従来より溶液型接着剤やホットメルト型接着剤が用いられているが、これらは、開封時にシーラントが延性破壊を起こして糸状物を形成するため、開封が必ずしも容易ではなかったり、剥離面の外観が良くない等の易開封性に欠けるという問題や、又、耐熱性不足のために、高温下で剥離してしまう等の封着性に欠けるという問題があった。
【0003】
こうした問題を改良すべく、近年、封着性と易開封性を兼ね備えたシーラントが、種々提案され、用いられている。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体に粘着付与剤を配合した組成物があり、又、本出願人により提案された、オレフィン系樹脂を芳香族ビニル単量体で改質した改質オレフィン系樹脂を主成分とする材料(特公平1−42967号公報参照)等がある。しかしながら、これらのシーラントも、包装容器又は包装袋等として、内容物を充填してボイル等の加熱処理を施すような、内圧がかかる条件での包装形態の場合には、封着力不足により、その処理時に内容物が噴き出てしまうという問題があった。
【0004】
一方、易開封性を有すると共に、封着力不足の解消を目的として、エチレン系樹脂のシール層と、エチレン系樹脂とプロピレン系樹脂の混合物の凝集破壊層とからなる積層フィルムをシーラントとして用いる方法(例えば、特開平10−264330号公報等参照。)、或いは、ポリプロピレン樹脂のシール層と、ポリプロピレン樹脂とプロピレン−エチレン共重合体樹脂とポリエチレン樹脂の混合物、及びポリプロピレン樹脂とプロピレン−エチレン共重合体樹脂の混合物の凝集破壊層とからなる積層フィルムをシーラントとして用いる方法(例えば、特開平3−288642号公報等参照。)等が提案されている。しかしながら、本発明者等の検討によると、エチレン系樹脂を熱封着面に有する包装容器又は包装袋等において、前記積層フィルムからなるシーラントは、剥離面の外観が良くない等の問題を内在していることが判明した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、易開封性容器における前述の従来技術に鑑みてなされたものであって、従って、本発明は、エチレン系樹脂を熱封着面に有する包装容器又は包装袋等として、充分な封着力を有すると共に、開封時の開封が容易、且つ剥離面の外観にも優れる易開封性容器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定組成の改質オレフィン系樹脂を含有する樹脂組成物の層を有する積層フィルムを用いることにより前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成したもので、即ち、本発明は、オレフィン系樹脂40〜70重量%とビニル単量体60〜30重量%をグラフト反応条件に付して得られた改質オレフィン系樹脂を含有し、且つ該ビニル単量体の重合体を30〜60重量%含有する樹脂組成物の層とエチレン系樹脂の層との積層フィルムであって、該エチレン系樹脂層の厚みが1〜50μmであり、且つ該エチレン系樹脂層に対する前記樹脂組成物層の厚み比が2以上である積層フィルムの該エチレン系樹脂層と、エチレン系樹脂表面とが、熱封着されてなる熱封着構造を有することを特徴とする易開封性容器、を要旨とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、積層フィルムにおける樹脂組成物層の樹脂組成物を構成する改質オレフィン系樹脂に用いられるオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素数2〜8程度のα−オレフィンの単独重合体、それらのα−オレフィンと、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等の炭素数2〜18程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合体等が挙げられ、具体的には、例えば、低・中・高密度ポリエチレン等(分岐状又は直鎖状)のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体等のエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂、及び、1−ブテン単独重合体、1−ブテン−エチレン共重合体、1−ブテン−プロピレン共重合体等の1−ブテン系樹脂等が挙げられる。尚、本発明において、これらのオレフィン系樹脂は2種以上が併用されていてもよい。
【0008】
以上のオレフィン系樹脂の中で、本発明においては、エチレン系樹脂が好ましく、就中、エチレン単独重合体、又は、エチレン−1−ブテン共重合体が好ましい。
【0009】
又、改質オレフィン系樹脂に用いられるビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、ジメチルスチレン、クロロスチレン等の芳香族ビニル化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート等のアクリル酸エステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタアクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、ジメチルマレエート、ジ(2−エチルヘキシル)マレエート等の不飽和カルボン酸又はその誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の不飽和モノ又はジハライド等を挙げることができ、中で、芳香族ビニル化合物が好ましく、就中、スチレンが好ましい。尚、本発明において、これらのビニル単量体は2種以上が併用されていてもよい。
【0010】
本発明において、積層フィルムにおける樹脂組成物層の樹脂組成物を構成する改質オレフィン系樹脂は、前記オレフィン系樹脂40〜70重量%、好ましくは45〜65重量%と、前記ビニル単量体60〜30重量%、好ましくは55〜35重量%をグラフト反応条件に付して得られたものであり、ビニル単量体がこの範囲未満では、積層フィルムの樹脂組成物層として封着力が強過ぎて開封が困難となり、一方、この範囲超過では、樹脂組成物層としての均質性が損なわれ実用に供し得ない。
【0011】
又、本発明において、グラフト反応条件としては、基本的には、従来公知の溶融混練下、溶液下、水性懸濁下等での、電子線照射或いはラジカル発生剤添加等による方法を採り得るが、本発明においては、ラジカル発生剤添加での水性懸濁法によるのが好ましい。
【0012】
ラジカル発生剤添加での水性懸濁法について、具体的に述べれば、ラジカル発生剤としては、分解温度が50℃以上であって、油溶性であるものが好ましい。分解温度が50℃未満のものでは、ビニル単量体の重合が異常に進行して均質な改質樹脂が得られにくい傾向となる。尚、ここで、分解温度とは、ベンゼン1リットル中にラジカル発生剤0.1モルを添加して10時間放置したときにラジカル発生剤の50%が分解するときの放置温度である。
【0013】
本発明において、そのラジカル発生剤としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチル−ジパーオキシフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオシ)ヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。尚、本発明において、これらのラジカル発生剤は2種以上が併用されていてもよい。
【0014】
前記ラジカル発生剤の添加量は、前記ビニル単量体の使用量100重量部に対して0.01〜10重量部程度であり、この範囲より少ないと反応が円滑に進まず、この範囲より多いと改質樹脂中にゲルが発生し易くなる傾向となる。
【0015】
本発明において好適な水性懸濁グラフト反応条件としては、前記オレフィン系樹脂、前記ビニル単量体、及び前記ラジカル発生剤の所定量を含む水性懸濁液を、ラジカル発生剤の分解が実質的に起こらない温度に昇温してビニル単量体をオレフィン系樹脂に含浸させた後、更に昇温してグラフト反応を完結させた方法である。
【0016】
ここで、水性懸濁液は、オレフィン系樹脂の水性懸濁液に、ラジカル発生剤を溶存させたビニル単量体を加えて攪拌するか、ラジカル発生剤を溶存させたビニル単量体の水性懸濁液に、オレフィン系樹脂を加えて攪拌するいずれかの方法によって作製するのが好ましい。
【0017】
又、その水性懸濁液中のオレフィン系樹脂及びビニル単量体の含有量は、水100重量部に対して5〜100重量部程度であり、安定な分散状態を保つために、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース等の水溶性高分子、アルキルベンゼンスルホネート等の陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤、或いは、酸化マグネシウム、燐酸カルシウム等の水不溶性の無機塩等の懸濁安定剤を、単独で又は併用して、水に対して0.001〜10重量%程度用いることが好ましい。
【0018】
オレフィン系樹脂へのビニル単量体の含浸は、攪拌下、一般的には室温〜100℃、好ましくは60〜90℃で、遊離のビニル単量体がビニル単量体全量の80重量%以下となる程度まで、通常は2〜8時間程度でなされる。オレフィン系樹脂はビニル単量体と比較的相溶性があるので、反応開始前にこの程度のビニル単量体が遊離していても、反応中にこれらのビニル単量体はオレフィン系樹脂に含浸し、均質な改質樹脂が得られる。
【0019】
グラフト反応は、一般的には、攪拌下、50〜150℃程度の温度、常圧〜10kg/cm2 程度の圧力で、2〜10時間程度でなされるが、その間の温度及び圧力は、一定である必要はない。尚、反応に用いられるオレフィン系樹脂は、粉粒状で用いられるが、平均粒径が1〜8mm、特には3〜7mmの粒子状であるのが好ましい。
【0020】
以上の方法によって得られた改質オレフィン系樹脂は、通常、ビニル単量体がグラフトしたオレフィン系樹脂と、ビニル単量体の重合体との混合物であるが、本発明における積層フィルムの樹脂組成物層を構成する樹脂組成物としては、後述する、必要により配合される未改質オレフィン系樹脂及び/又はビニル単量体の重合体との合計量に対して、ビニル単量体の重合体の全含有量が30〜60重量%であることが必須であり、全含有量が35〜55重量%であるのが好ましい。ビニル単量体の重合体の全含有量がこの範囲未満では、積層フィルムの樹脂組成物層として封着力が強過ぎて開封が困難となり、一方、この範囲超過では、樹脂組成物層としての均質性が損なわれ実用に供し得ない。
【0021】
従って、本発明における積層フィルムの樹脂組成物層を構成する樹脂組成物としては、改質オレフィン系樹脂中のビニル単量体の重合体の含有量がこの範囲を満足する場合には、改質オレフィン系樹脂をそのまま用いることができるが、この範囲を満足する場合であっても用途に応じて封着性や開封性を調整する場合、或いは、この範囲を満足しない場合には、改質オレフィン系樹脂に未改質オレフィン系樹脂及び/又はビニル単量体の重合体を配合して樹脂組成物とする。
【0022】
そのときの未改質オレフィン系樹脂としては、前記改質オレフィン系樹脂において挙げたオレフィン系樹脂、例えば、好ましくは、エチレン単独重合体、エチレン−1−ブテン共重合体等が挙げられ、又、ビニル単量体の重合体としては、前記改質オレフィン系樹脂において挙げたビニル単量体の重合体、例えば、好ましくは、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂等が挙げられる。尚、改質に用いたと同じオレフィン系樹脂、又、改質に用いたと同じビニル単量体の重合体を配合するのが好ましい。
【0023】
尚、本発明における積層フィルムの樹脂組成物層を構成する樹脂組成物には、前記改質オレフィン系樹脂、前記未改質オレフィン系樹脂及び/又は前記ビニル単量体の重合体の外に、本発明の効果を損なわない範囲で、これら以外の熱可塑性樹脂やゴム、及び、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、滑剤、可塑剤、顔料等の添加剤、充填材等が配合されていてもよい。これらの配合は、改質に供するオレフィン系樹脂に予め加えておくとか、未改質オレフィン系樹脂やビニル単量体重合体に加えておくとか、樹脂組成物の製造時に加えるとかの外、改質オレフィン系樹脂の製造時に、例えば、スチレンモノマーにラジカル発生剤と共に加える等の方法によってもよい。
【0024】
又、本発明において、積層フィルムにおけるエチレン系樹脂層を構成するエチレン系樹脂としては、前記樹脂組成物層を構成する改質オレフィン系樹脂において挙げたエチレン系樹脂と同様のものが挙げられる。
【0025】
本発明における積層フィルムは、前記樹脂組成物の層と前記エチレン系樹脂の層とを含んでなり、その積層方法は、特に限定されるものではないが、公知のTダイ又は環状ダイ等を用いた両層の共押出によるのが好ましい。
【0026】
又、実用上は、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂等の各種熱可塑性樹脂のフィルム、アルミニウム箔、紙等の基材に押出ラミネートしたラミネートフィルムとして、或いは前記各種熱可塑性樹脂との共押出フィルムとして、作製される。尚、本発明における「フィルム」とは、通常のフィルムのみならず、シートをも包含するものとする。
【0027】
本発明における積層フィルムの前記樹脂組成物層の厚みは、5〜100μm程度、前記エチレン系樹脂層の厚みは1〜50μm程度であるのが好ましく、又、易開封性容器としての開封時の易開封性、特に開封時にエチレン系樹脂層のフィルム残りを生じさせない等の面から、前記エチレン系樹脂層に対する前記樹脂組成物層の厚み比が2以上であるのが好ましく、2.5以上であるのが特に好ましい。
【0028】
本発明の易開封性容器は、前記積層フィルムのエチレン系樹脂層と、エチレン系樹脂表面とが、熱封着されてなる熱封着構造を有するものであり、ここで、前記積層フィルムの被熱封着体としてのエチレン系樹脂表面とは、前記積層フィルムにおいて挙げたと同様のエチレン系樹脂が被熱封着体表面を形成しているものであれば、単層或いは積層状態のいずれでも構わない。
【0029】
本発明において、具体的な易開封性容器の形態としては、例えば、(1)容器本体と蓋材からなる包装容器として、(a)積層フィルムを蓋材側に用いた場合であって、エチレン系樹脂を熱封着面に有する容器本体と、積層フィルムを、そのエチレン系樹脂層を熱封着面として有する蓋材とからなる易開封性容器、(b)積層フィルムを容器本体側に用いた場合であって、積層フィルムを、そのエチレン系樹脂層を熱封着面として有する容器本体と、エチレン系樹脂を熱封着面に有する蓋材とからなる易開封性容器、(2)包装袋として、(a)積層フィルムを袋の両面に用いた場合であって、積層フィルムを熱封着面として有するそのエチレン系樹脂層同士を対向させて熱封着した袋体である易開封性容器、及び、(b)積層フィルムを袋の一方の面に用い、他方の面にエチレン系樹脂を熱封着面に有する袋部材を用いた場合であって、積層フィルムのエチレン系樹脂層と、エチレン系樹脂表面とを熱封着した袋体である易開封性容器、等が挙げられる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例に用いた改質オレフィン系樹脂を以下に示す。
【0031】
改質オレフィン系樹脂の製造
製造例A
50リットル容量のオートクレーブに、水20kgと、懸濁剤として第三燐酸カルシウム0.4kgとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6gとを入れて水性媒体とし、これに平均粒径3〜4mmの分岐状エチレン単独重合体樹脂(密度0.917g/cm3 、190℃、荷重2.16kgでのメルトフローレート45g/10分)粒子7kgを加え、攪拌して水性懸濁液とした。この水性懸濁液に、ラジカル発生剤として3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド18.2gとベンゾイルパーオキサイド10.5gを溶解したスチレンモノマー7kgを加え、オートクレーブ内に窒素を導入して系内を0.5kg/cm2 に加圧した後、オートクレーブ内を55℃に昇温し、この温度で5時間攪拌して、ラジカル発生剤を含むスチレンモノマーの全量をエチレン単独重合体樹脂粒子中に含浸させた。引き続いて、オートクレーブ内を65℃に昇温し、この温度で7時間攪拌してグラフト反応を行い、更に110℃に昇温し、この温度で3.5時間攪拌して反応を完結させた。冷却後、反応固形物を取り出して水洗し、粒子状の改質エチレン単独重合体樹脂14kgを得た。得られた改質樹脂(改質オレフィン系樹脂Aとする。)は、ポリスチレン50重量%を含有し、同上条件でのメルトフローレートは2.5g/10分であった。
【0032】
製造例B
分岐状エチレン単独重合体樹脂粒子の量を8.4kg、スチレンモノマーの量を5.6kgとした外は、製造例Aと同様にして改質エチレン単独重合体樹脂を得た。得られた改質樹脂(改質オレフィン系樹脂Bとする。)は、ポリスチレン40重量%を含有し、同上条件でのメルトフローレートは6.0g/10分であった。
【0033】
製造例C
分岐状エチレン単独重合体樹脂粒子の量を4.9kg、スチレンモノマーの量を9.1kgとした外は、製造例Aと同様にして改質エチレン単独重合体樹脂を得た。得られた改質樹脂(改質オレフィン系樹脂Cとする。)は、ポリスチレン65重量%を含有するものであった。
【0034】
実施例1〜5、比較例1〜4
改質オレフィン系樹脂と、前記改質に用いたと同じ分岐状エチレン単独重合体樹脂、及び/又は、ポリスチレン樹脂(200℃、荷重5kgでのメルトフローレート16g/10分)とを、表1に示す割合でドライブレンドした後、径40mmの単軸押出機を用いて200℃で溶融混練して樹脂組成物を作製し、該樹脂組成物と前記改質に用いたと同じ分岐状エチレン単独重合体樹脂とを、それぞれ、Tダイを装備した径35mmの共押出フィルム成形機に供給して、230℃で共押出して、樹脂組成物層とエチレン単独重合体樹脂層とからなる表1に示す厚みの積層フィルムを成形し、該積層フィルムの樹脂組成物層側表面にコロナ放電処理を施した後、基材としての厚み15μmのポリアミド樹脂フィルムをドライラミネート接着剤を介して貼り合わせて複合フィルムを作製した。
【0035】
一方、分岐状エチレン単独重合体樹脂のシートから熱成形して作製した角形の容器本体のフランジ部に、前記の複合フィルムを蓋材として用い、そのエチレン単独重合体樹脂層を接着面として熱封着し、易開封性容器を作製した。
得られた易開封性容器について、以下の方法で、熱封着性能を評価し、結果を表1に示した。
【0036】
剥離強度
熱板式ヒートシーラーを用い、温度160℃、180℃、及び200℃、圧力2kg/cm2 、時間1秒で、蓋材を容器本体フランジ部に5mm幅で熱圧着し、その接着部を15mm長さでサンプリングし、インストロン型引張試験機を用い、23℃で、接着幅方向に引張速度300mm/分で剥離することにより180度剥離強度を測定した。
【0037】
開封性
剥離強度測定後の試験片の剥離面におけるフィルム残りの有無を目視観察し、フィルム残りがないものを○、フィルム残りがあるものを×として、開封性を評価した。
【0038】
実施例6〜8、比較例5〜6
実施例1〜3、及び比較例1〜2と同様にして、成形した積層フィルムとポリアミド樹脂フィルムとを貼り合わせ作製した複合フィルムを用い、そのエチレン単独重合体樹脂層同士を対向させて熱封着した袋体とした易開封性容器を作製し、得られた袋体の易開封性容器について、前記と同様の方法で、熱封着性能を評価し、結果を表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、エチレン系樹脂を熱封着面に有する包装容器又は包装袋等として、充分な封着力を有すると共に、開封時の開封が容易、且つ剥離面の外観にも優れる易開封性容器を提供することができる。
Claims (7)
- オレフィン系樹脂40〜70重量%とビニル単量体60〜30重量%をグラフト反応条件に付して得られた改質オレフィン系樹脂を含有し、且つ該ビニル単量体の重合体を30〜60重量%含有する樹脂組成物の層とエチレン系樹脂の層との積層フィルムであって、該エチレン系樹脂層の厚みが1〜50μmであり、且つ該エチレン系樹脂層に対する前記樹脂組成物層の厚み比が2以上である積層フィルムの該エチレン系樹脂層と、エチレン系樹脂表面とが、熱封着されてなる熱封着構造を有することを特徴とする易開封性容器。
- 積層フィルムにおける樹脂組成物層の樹脂組成物を構成する改質オレフィン系樹脂のグラフト反応条件が、オレフィン系樹脂、ビニル単量体、及びラジカル発生剤を含む水性懸濁液を、ラジカル発生剤の分解が実質的に起こらない温度に昇温してビニル単量体をオレフィン系樹脂に含浸させた後、更に昇温してグラフト反応を完結させてなるものである請求項1に記載の易開封性容器。
- 積層フィルムにおける樹脂組成物層の樹脂組成物を構成する改質オレフィン系樹脂のオレフィン系樹脂が、エチレン系樹脂である請求項1又は2に記載の易開封性容器。
- 積層フィルムにおける樹脂組成物層の樹脂組成物を構成する改質オレフィン系樹脂のビニル単量体が、芳香族ビニル化合物である請求項1乃至3のいずれかに記載の易開封性容器。
- 易開封性容器が、エチレン系樹脂を熱封着面に有する容器本体と、積層フィルムを、そのエチレン系樹脂層を熱封着面として有する蓋材とからなる請求項1乃至4のいずれかに記載の易開封性容器。
- 易開封性容器が、積層フィルムを、そのエチレン系樹脂層を熱封着面として有する容器本体と、エチレン系樹脂を熱封着面に有する蓋材とからなる請求項1乃至4のいずれかに記載の易開封性容器。
- 易開封性容器が、積層フィルムを熱封着面として有するそのエチレン系樹脂層同士を対向させて熱封着した袋体である請求項1乃至4のいずれかに記載の易開封性容器。
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