JPH09241443A - ヒートシール性樹脂組成物 - Google Patents

ヒートシール性樹脂組成物

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JPH09241443A
JPH09241443A JP5608696A JP5608696A JPH09241443A JP H09241443 A JPH09241443 A JP H09241443A JP 5608696 A JP5608696 A JP 5608696A JP 5608696 A JP5608696 A JP 5608696A JP H09241443 A JPH09241443 A JP H09241443A
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JP
Japan
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heat
ethylene
propylene
olefin
weight
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Application number
JP5608696A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Sato
裕之 佐藤
Takahiro Ozu
孝弘 小津
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱封着性(ヒートシール性)に優れ、かつ開
封する際に容器、シート基材を損傷することなく容易に
剥離可能なヒートシール性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 下記の成分(a)50〜80重量%、成
分(b)10〜40重量%及び成分(c)5〜40重量
%からなることを特徴とするヒートシール性樹脂組成
物。 成分(a):プロピレン系樹脂 成分(b):オレフィン系エラストマー 成分(c):オレフィン系重合体30〜95重量%とビ
ニル単量体70〜5重量%とをグラフト反応条件に付し
て得られる改質オレフィン系重合体

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒートシール性お
よび熱融着性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。詳
しくは熱可塑性樹脂や紙を基材とし、この表面にポリエ
チレンがコーティングされた積層物を容器、袋状とし、
これに内容物を充填後、袋口、容器入口を熱封着(ヒー
トシール)し、その後開封する際に容器、袋を損傷する
ことなく容易に剥離・開封することが可能なヒートシー
ル性樹脂組成物に関する。本発明は、又、上記容器の開
放口を蓋材で熱封着する際に蓋材のシール材として用い
られるヒートシール性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリ
オレフィンや塩化ビニル、ポリスチレン、熱可塑性ポリ
エステル等の熱可塑性樹脂は外観、機械的強度、成形
性、包装作業性、経済性等に優れ各種包装容器、袋の材
料として広く用いられている。また、ゴミ廃棄物問題の
点から容易に焼却し廃棄可能なポリエチレンがコーティ
ングされた紙製容器が近年増加している。これらの包装
容器は、乳製品、菓子、納豆、清涼飲料等の内容物を容
器内に充填し、蓋等を熱封着してかぶせた容器が主流と
なっており、これら包装容器に対する要求が多様化する
に従い、内容物の密封保護性だけでなく、使用時に容器
を損傷することなく容易に蓋等の開封が可能であること
も要求されている。
【0003】従来、容器等との熱封着材料としてはホッ
トメルト型接着剤や溶液型接着剤等のシール剤が用いら
れているが、これらは開封後にシール剤が容器側に付着
し、剥離面外観が不良となる問題があった。また、かか
るシール剤では耐熱性が不足するために高温雰囲気下で
剥離し、内容物の密封保護性の点でも問題があった。こ
うした欠点を改良するため、近年、内容物の密封保護性
と開封容易性を兼ね備えた熱封着材料が種々提案されて
いる。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体および粘
着付与剤からなる組成物が熱可塑性樹脂容器の封着剤に
一般的に用いられている(特開昭58−47038号公
報、同61−183371号公報)。
【0004】また、エチレン、酢酸ビニル共重合体を芳
香族ビニル単量体で改質した改質樹脂を主成分とする熱
封着材料がオレフィン重合体に対して開封容易性を発現
することも知られている(特公平1−42967号公
報)。しかしながら、こうした熱封着材料をポリエチレ
ンがコーティングされた紙製容器に適用した場合、熱封
着強度が紙とポリエチレンとのラミネート強度よりも強
すぎるため、開封時に容器基材の紙を破壊し、剥離外観
が悪化する欠点がある。また、酢酸ビニル含量が10〜
15重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を成分とす
ることから、得られたフィルムまたは積層体の表面が粘
着性を帯び、取扱いの点で必ずしも満足なものでなかっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱封着性
(ヒートシール性)に優れ、かつ開封する際に容器、シ
ート基材を損傷することなく容易に剥離可能なヒートシ
ール性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明のヒー
トシール性樹脂組成物は、下記の成分(a)50〜80
重量%、成分(b)10〜40重量%及び成分(c)5
〜40重量%からなることを特徴とするヒートシール性
樹脂組成物である。 成分(a):プロピレン系樹脂 成分(b):オレフィン系エラストマー 成分(c):オレフィン系重合体30〜95重量%とビ
ニル単量体70〜5重量%とをグラフト反応条件に付し
て得られる改質オレフィン系重合体
【0007】
【発明の実施の形態】
(1)成分(a):プロピレン系樹脂 本発明のヒートシール性樹脂組成物の一成分を構成する
プロピレン系樹脂は、X線回折法による結晶化度が35
%以上、好ましくは40〜70%である結晶性樹脂であ
る。かかるプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独
重合体、及びプロピレン80〜99.9重量%と、エチ
レン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブ
テン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−
オクテン等の炭素数が2〜12、好ましくは2〜8程度
の他のα−オレフィン0.1〜20重量%との共重合体
樹脂、またはプロピレン80〜99.9重量%とエチレ
ン性不飽和単量体0.1〜20重量%との共重合体樹脂
を挙げることができる。共重合体はランダム、ブロック
あるいはグラフトといずれのどのような結合様式のもの
も使用できる。これらのプロピレン系樹脂は、2種以上
を混合して用いることもできる。
【0008】該プロピレン系樹脂のJIS K7210
準拠のメルトフローレート(MFR;230℃、2.1
6kg荷重)は1〜100g/10分、好ましくは2〜
50g/10分である。これらプロピレン系樹脂の具体
例としてはプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレ
ンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共
重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン
−ブテン−1−エチレン共重合体、無水マレイン酸変性
ポリプロピレン等が代表的なものである。中でも、プロ
ピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重
合体、プロピレン−ブテン−1−エチレン共重合体がフ
ィルム成形性、押出ラミネート加工性等の成形加工性並
びに耐熱性の観点から好ましい。なお、プロピレン系樹
脂の性質を損なわない範囲で他の重合体を混合使用する
こともできる。
【0009】(2)オレフィン系エラストマー 本発明のヒートシール性樹脂組成物の一成分を構成する
オレフィン系エラストマーは、X線回折法による結晶化
度が35%未満、好ましくは0〜30%の非晶性ないし
は低結晶性の重合体である。かかるオレフィン系エラス
トマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、
1−ヘキセン等のα−オレフィン相互の共重合体、ある
いはこれらと非共役ジエンとの共重合体、あるいは1−
ヘキセン等の高級α−オレフィンの単独重合体であっ
て、JIS K 6300準拠のムーニー粘度(ML
1+4 100℃)が10〜400、好ましくは20〜38
0であるエラストマー状の重合体である。ムーニー粘度
が10未満のものでは組成物の物性が低下し、400を
越えると加工性が困難となり好ましくない。また、密度
は0.84〜0.90g/cm3 、好ましくは0.85
〜0.895g/cm3 である。これらのオレフィン系
エラストマーの中では、エチレン含有量が50〜90重
量%、好ましくは30〜85重量%のエチレン系エラス
トマーが品質、安定性及び臭気の点で特に好ましい。
【0010】かかるエチレン系エラストマーの具体例を
挙げると、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレ
ン−ブテン−1共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−
ブテン−1共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共
役ジエン共重合体ゴム、エチレン−ブテン−1−非共役
ジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ブテン−
1−非共役ジエン共重合体ゴム(非共役ジエンの具体例
としては、シクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエ
ン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−
1,6−オクタジエン、1,9−デカジエン等であ
る。)等が挙げられる。これらエチレン系エラストマー
の中では、(a)成分、(c)成分との相溶性の面から
エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−ブテン
−1共重合体ゴムが好ましい。
【0011】(3)改質オレフィン系重合体 本発明のヒートシール性樹脂組成物の一成分を構成する
改質オレフィン系重合体は、オレフィン系重合体にビニ
ル単量体をグラフト反応条件に付して得られる改質重合
体である。このような改質オレフィン系重合体(以下
「改質PO」と称す)は下記の方法によって製造された
ものであることが好適である。
【0012】(I)原材料 (i)オレフィン系重合体 オレフィン系重合体としては、エチレン、プロピレン、
1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、
4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテ
ン等の炭素数が2〜12、好ましくは2〜8程度のオレ
フィンまたは2種以上のオレフィンとの共重合体、ない
しはこれらオレフィンと非共役ジエン、ビニルエステ
ル、不飽和有機酸またはその誘導体、ビニル有機シラン
等とからなる共重合体などを挙げることができる。共重
合体はランダム、ブロックあるいはグラフトといずれの
結合様式のものでもよく、結晶性の樹脂状、あるいは非
晶性又は低結晶性のエラストマー状のものであっても構
わない。これらのオレフィン系重合体は、単独で又は2
種以上を混合して用いることができる。
【0013】オレフィン系重合体の具体例を挙げれば、
エチレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共
重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチ
レン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共
重合体、エチレン−オクテン−1共重合体等のエチレン
系重合体や高、中、低密度および直鎖状低密度ポリエチ
レン;ポリプロピレン、プロピレン−エチレンブロック
共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム
共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体等のプロピ
レン系樹脂;エチレン−非共役ジエン共重合体、エチレ
ン−プロピレン−非共役ジエン共重合体(非共役ジエン
の具体例としては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘ
キサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−
メチル−1,6−オクタジエン、1,9−デカジエン等
が挙げられる。)等の共重合体;エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合
体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、エチレン−
アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチ
ル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、
エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル
酸共重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル酸メチル
共重合体、エチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチ
ル共重合体等が代表的なものである。中でも、エチレン
系樹脂、プロピレン系樹脂が熱安定性の点で好ましく、
特に、密度が0.89〜0.93g/cm3 、好ましく
は0.9〜0.925g/cm3 、JIS K7210
準拠のメルトフローレート(MFR;190℃、2.1
6kg荷重)が0.5〜30g/10分、好ましくは1
〜20g/10分である低密度ポリエチレンまたは直鎖
状低密度ポリエチレンが好ましい。
【0014】(ii)ビニル単量体 改質POを製造する際に使用されるビニル単量体は、特
に限定されるものではないが、具体的にはスチレン、2
−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルス
チレン、ジメチルスチレン、クロロスチレン等の不飽和
芳香族単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビ
ニルエステル類;メチルアクリレート、エチルアクリレ
ート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレ
ート、sec−ブチルアクリレート、ドデシルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヘキシルアク
リレート、オクチルアクリレート等のアクリル酸エステ
ル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、
n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレ
ート、デシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタ
クリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル
酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイ
ン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジ(2−エチル
ヘキシル)等の不飽和有機酸;アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル等の不飽和ニトリル類;塩化ビニル、塩
化ビニリデン等の不飽和モノないしジハライド等が挙げ
られる。これらの中でも、スチレン、メチルメタクリレ
ートが改質が容易な点および耐熱性の点で好ましい。上
記オレフィン系共重合体およびビニル単量体をグラフト
反応条件に付すに当たっては、放射線による反応以外は
通常ラジカル発生剤を用いる。
【0015】(iii)ラジカル発生剤 前記改質POを製造する際に使用されるラジカル発生剤
としては、汎用のものを使用することができるが、後に
記載する好ましいグラフト反応方法との関係で、分解温
度が50℃以上、好ましくは50〜130℃であって、
かつ油溶性であるものが好ましい。ここで「分解温度」
とは、ベンゼン1リットル中にラジカル発生剤0.1モ
ルを添加してある温度で10時間放置したときにラジカ
ル発生剤の分解率が50%となるときの温度である、い
わゆる「10時間の半減期を得るための分解温度」を意
味する。この分解温度が低いものを用いると、ビニル単
量体の重合が異常に進行してしまうことがあり、均質な
改質重合体が得られない欠点がある。しかし、逆に分解
温度が高いものと低いものを適宜組み合わせて段階的な
いし連続的に分解を行わせ、効率よくグラフト反応させ
ることもできる。
【0016】このようなラジカル発生剤としては、例え
ば、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド(分解
温度53℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(分解
温度55℃)、o−メチルベンゾイルパーオキサイド
(分解温度73℃)、ビス−3,5,5−トリメチルヘ
キサノイルパーオキサイド(分解温度59.5℃)、オ
クタノイルパーオキサイド(分解温度62℃)、ベンゾ
イルパーオキサイド(分解温度74℃)、t−ブチルパ
ーオキシ−2−エチルヘキサノエート(分解温度72.
5℃)、シクロヘキサノンパーオキサイド(分解温度9
7℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルパー
オキシヘキサン(分解温度100℃)、t−ブチルパー
オキシベンゾエート(分解温度104℃)、ジ−t−ブ
チル−ジパーオキシフタレート(分解温度107℃)、
メチルエチルケトンパーオキサイド(分解温度109
℃)、ジクルミルパーオキサイド(分解温度117
℃)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(分解温度124
℃)等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル
(分解温度79℃)、アゾビス(2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)(分解温度52℃)等のアゾ化合物等があ
る。ラジカル発生剤の使用量は、用いるビニル単量体の
量に対して0.01〜10重量%程度の範囲内で、ラジ
カル発生剤の種類、反応条件により適宜加減する。使用
量がこの量未満では反応が円滑に進まず、一方、この量
超過では改質PO中にゲルが生成しやすく本発明の効果
が発現され難くなる。
【0017】(II)改質POの製造 これら各原料成分をグラフト重合反応に付して改質PO
を製造するのであるが、以下に説明する水性懸濁グラフ
ト手法によって製造することがゲル分をコントロールす
ることが容易な点で特に好ましい方法である。すなわ
ち、オレフィン系重合体粒子、ビニル単量体及びラジカ
ル発生剤を含む水性懸濁液を、この開始剤の分解が実質
的に起こらない温度に昇温し、該ビニル単量体を該オレ
フィン系重合体粒子に含浸させた後(含浸工程)、この
水性懸濁液をさらに昇温させてビニル単量体の重合を完
結させる(重合工程)方法が好ましく、この方法につい
て説明する。
【0018】(イ)含浸工程 水性媒体中でオレフィン系重合体粒子にビニル単量体を
含浸させる代表的な好ましい方法としては、オレフィン
系重合体粒子の水性懸濁液にラジカル発生剤(及び必要
に応じてその他の添加剤)を溶解したビニル単量体を加
えて攪拌するか、または、ラジカル発生剤を溶解したビ
ニル単量体の水性分散液にオレフィン系共重合体粒子を
加えて攪拌する方法によって開始される。含浸工程で
は、工業的には上記ラジカル発生剤が実質的に分解しな
い温度に昇温して、効率よく含浸が行われるべきであ
り、一般的には室温から100℃の範囲、特に60〜9
0℃の範囲で操作するのが好ましい。
【0019】この工程で、遊離ビニル単量体の量がビニ
ル単量体使用量の20重量%以下、好ましくは5重量%
以下となるようにビニル単量体を含浸させる。オレフィ
ン系重合体はビニル単量体と比較的相溶性があるので、
重合開始前に20重量%を越えるビニル単量体が遊離し
ていても重合中にこれらビニル単量体はオレフィン系重
合体粒子に含浸するので、これらビニル単量体を重合し
て得られる重合体粒子が改質されたオレフィン系重合体
粒子と独立してポリ(ビニル単量体)の重合体粒子が析
出することはない。含浸時間は2〜8時間程度が普通で
ある。水性分散液中のオレフィン系重合体及びビニル単
量体の含量は、水100重量部に対して合計5〜100
重量部程度である。
【0020】このような水性分散液は単に攪拌を十分に
行うだけでも安定に分散状態に維持することができる
が、適当な懸濁安定剤を使用すればより容易かつ安定に
懸濁分散液を調製することができる。この場合の懸濁安
定剤としては、例えばポリビニルアルコール、メチルセ
ルロース、ヒドロキシセルロース等の水溶性高分子;ア
ルキルベンゼンスルホネート等のような陰イオン性界面
活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イ
オン性界面活性剤;あるいは酸化マグネシウム、リン酸
カルシウム等の水不溶性の無機塩等が単独であるいは混
合して、水100重量部に対して0.01〜10重量部
程度の量で使用される。オレフィン系重合体粒子にビニ
ル単量体(及びラジカル発生剤等)を含浸させる際に、
可塑剤、滑剤、酸化防止剤等の補助資材を同時に含浸さ
せることができる。なお、これらの補助資材はオレフィ
ン系重合体に既に添加されている場合もあり、またグラ
フト重合反応後に配合することもできる。
【0021】(ロ)グラフト重合工程 このようにして調製した水性懸濁液を昇温して、使用し
たラジカル発生剤が適当な速度で分解する温度以上にす
れば、含浸されたビニル単量体はグラフト重合反応条件
に付され、改質PO粒子が生成する。グラフト重合進行
中の水性懸濁液は、適当に攪拌することが好ましい。重
合温度はビニル単量体が重合し、オレフィン系重合体粒
子が溶解しない温度、例えば50〜150℃の範囲で適
宜選択すべきであるが、グラフト重合工程を通じて一定
である必要はない。例えば二段階、三段階に温度を上
昇、重合を行う。重合反応時間は2〜10時間程度であ
るのが普通である。重合反応圧力は常圧〜10kg/c
2 程度が普通である。
【0022】重合後、通常のビニル単量体(例えばスチ
レン)の水性懸濁重合の後処理と同様の後処理を行え
ば、使用したオレフィン系重合体粒子の形状がほぼその
まま保持されていて直ちに成形用材料として使用するこ
とができる改質PO粒子が得られる。従って、改質前に
用いるオレフィン系重合体は、粉末状でもよいが、その
後の成形加工時のハンドリングを考慮すると粒子状であ
る方が便利である。すなわち、粒子寸法は、通常成形材
料として用いられる程度のものである方が生成される改
質POをそのまま成形材料に用いることができるので好
ましく、一般には平均粒径1〜8mm、好ましくは3〜
7mm程度である。なお、その寸法は改質処理前後でさ
して変化が認められない。
【0023】(3)組成物の配合割合 本発明の組成物の配合割合は成分(a)のプロピレン系
樹脂が50〜80重量%、好ましくは52〜78重量
%、特に好ましくは55〜75重量%、成分(b)のオ
レフィン系エラストマーが10〜40重量%、好ましく
は12〜38重量%、特に好ましくは14〜36重量
%、成分(c)の改質POが5〜40重量、好ましくは
7〜38重量%、特に好ましくは9〜36重量%であ
る。成分(a)のプロピレン系樹脂の含量が上記範囲以
外では、適正なヒートシール強度を得る点で不十分であ
る。一方、成分(b)のオレフィン系エラストマーが上
記範囲未満では、成分(a)と成分(c)との相溶性が
不十分であり、均一なフィルム、ないし積層体を得る点
で不満足である。一方、上記範囲超過ではヒートシール
強度が大きすぎ、本目的を達し得ない。また、改質PO
含量が上記範囲未満ではヒートシール強度を制御する上
で不十分であり、一方上記範囲超過では成形加工性が低
下し好ましくない。
【0024】(4)付加的成分 本発明の組成物には、上記の必須成分の他に付加的成分
を発明の効果を損なわない範囲の量添加することができ
る。付加的成分としては、例えば、他の熱可塑性樹脂、
ゴム物質、無機フィラー、顔料、可塑剤、各種安定剤
(酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、アンチブロッキ
ング剤、滑剤)等である。
【0025】(5)組成物の製造 上記の成分をドライブレンドして直接成形しても得られ
るが、一般には予めロール、バンバリーミキサー、押出
機等通常の混練機で混練して組成物とした後成形に供さ
れる。成形は、射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成
形等いずれの方法も取ることができる。
【0026】(6)本組成物の適用対象 本発明のヒートシール性樹脂組成物は、ヒートシールす
る被着材がエチレン系重合体である場合に、封着性と容
易剥離・開封性とのバランスが最も好ましく発現する。
かかる被着のエチレン系重合体はエチレン単独重合体エ
チレンと炭素数が3〜12のα−オレフィンとの共重合
体等エチレンを主成分とするエチレン系重合体から広く
選ぶことができるが、特に密度が0.89〜0.93g
/cm3、JIS K−7210準拠のメルトフローレ
ート(190℃、2.16kg荷重)0.5〜30g/
10分の低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエ
チレンが好適である。
【0027】
【実施例】
実施例1改質PO粒子の製造工程 50リットル容量のオートクレーブ内に、水20kg、
懸濁助剤の第三リン酸カルシウム0.6kg、および懸
濁剤のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6g
を混入して水性媒質とし、これに粒径3〜4mmの低密
度ポリエチレン(三菱ポリエチ−LD;密度:0.91
7g/cm3 、MFR:45g/10分)6kgを加
え、攪拌して懸濁させた。別に3,5,5−トリメチル
ヘキサノイルパーオキサイド15.6g、及びベンゾイ
ルパーオキサイド9gをスチレンモノマー6kgに溶解
し、これを先の懸濁系に添加し、オートクレーブ内に窒
素を導入して系内を0.5kg/cm2 に加圧した。更
にオートクレーブ内を55℃に昇温し、この温度で攪拌
しながら5時間放置して重合開始剤を含むスチレンモノ
マーを全量低密度ポリエチレン粒子中に含浸させた。次
にこの懸濁液を85℃に昇温し、この温度で攪拌しなが
ら7時間放置して重合を行い、更に110℃に昇温して
3.5時間維持して重合を完結した。冷却後、内容固形
物を取り出して水洗し、改質低密度ポリエチレン粒子1
2kgを得た。得られた改質低密度ポリエチレンのMF
Rは2.5g/10分であった。
【0028】熱可塑性樹脂組成物の製造 結晶性エチレン−プロピレンランダム共重合体樹脂(三
菱ポリプロ;密度:0.90g/cm3 、MFR:23
g/10分、結晶化度:40%)を75重量部、エチレ
ン−ブテン−1共重合体(密度:0.88g/cm3
MFR:3.6g/10分)10重量部、上記製造工程
で得られた改質低密度ポリエチレン15重量部を混合
し、単軸押出機(L/D=23)を用い、樹脂温度18
0℃で、溶融混合して熱可塑性樹脂組成物ペレットを得
た。かかる組成物のMFRは、7g/10分であった。
【0029】熱可塑性樹脂フィルムの製造および評価 上記で得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを35m
m径のTダイ成形機(プラコー社製Tダイ成形機)を用
い、成形温度230℃の条件で30μmのフィルムを作
成した。本フィルムと厚み12μmのポリエチレンテレ
フタレートフィルムとをポリエチレン20μmを介して
サンドイッチラミネーションして貼り合わせ、熱可塑性
樹脂組成物層/ポリエチレン層/PET層の順に積層さ
れた3層フィルムとした。本積層フィルムの熱可塑性樹
脂組成物層を接着面として、厚さ15μmの低密度ポリ
エチレン(密度0.924g/cm3 、MFR4g/1
0分)、がコーティングされた紙(坪量250g)のポ
リエチレン層とヒートシールした。加熱接着条件は、熱
板式ヒートシーラーを用い、接着面5mm幅、接着圧力
2kg/cm2 、時間0.5秒、接着温度140〜18
0℃である。
【0030】(1)剥離強度の評価 剥離強度は、インストロン型引張試験機(島津製作所製
オートグラフ)を用い、サンプル幅15mm、引張速度
300mm/分で180度剥離強度を23℃で測定し
た。結果を表−1に示す。 (2)剥離界面の評価 被着基材を損傷することなく剥離できたものを「良
好」、それ以外を「不良」とした。(3)フィルム外観
の評価 均一なフィルム外観が得られたものを「良好」、それ以
外を「不良」とした。
【0031】実施例2〜4 表−1に示される熱可塑性樹脂組成物につき、各成分の
配合量のみ変え、他は実施例1と同様にして評価した。
結果を表−1に示す。 比較例1〜5 表−1に示される熱可塑性樹脂組成物につき、各成分の
配合量のみ変え、実施例1と同様にして評価した。結果
を表−1に示す。 比較例6 被着材を厚さ15μmのポリプロピレン(MFR20g
/10分、密度0.90g/cm3 )がコーティングさ
れた紙(坪量250g)に替えポリプロピレン層とヒー
トシール(ヒートシール条件は実施例1と同様)した以
外は、実施例1と同様にして評価した。結果を表−1に
示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリエ
チレンがコーティングされた紙製容器やシート等と蓋等
との熱封着材(ヒートシール材)として使用した場合
に、良好なヒートシール性、内容物の密封性を有し、か
つ容器を損傷せずに剥離できるので開封時の外観が良好
な性質を有する。さらに、良好な成形加工性を示し、極
めて実用性の優れたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23:02 51:06)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の成分(a)50〜80重量%、成
    分(b)10〜40重量%及び成分(c)5〜40重量
    %からなることを特徴とするヒートシール性樹脂組成
    物。 成分(a):プロピレン系樹脂 成分(b):オレフィン系エラストマー 成分(c):オレフィン系重合体30〜95重量%とビ
    ニル単量体70〜5重量%とをグラフト反応条件に付し
    て得られる改質オレフィン系重合体
  2. 【請求項2】 成分(c)が、オレフィン系重合体粒
    子、ビニル単量体およびラジカル発生剤を含む水性懸濁
    液を、該ラジカル発生剤の分解が起こらない温度に昇温
    し、該ビニル単量体を前記オレフィン系重合体粒子に含
    浸させた後、該水性懸濁液をさらに昇温してグラフト反
    応を完結させる方法によって得られたものである、請求
    項1記載のヒートシール性樹脂組成物。
JP5608696A 1996-03-13 1996-03-13 ヒートシール性樹脂組成物 Pending JPH09241443A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007515542A (ja) * 2003-12-22 2007-06-14 ノバ・ケミカルズ・インコーポレイテツド インターポリマー樹脂粒子
WO2023238847A1 (ja) * 2022-06-08 2023-12-14 東洋紡エムシー株式会社 樹脂組成物およびホットメルト接着剤組成物

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JP2007515542A (ja) * 2003-12-22 2007-06-14 ノバ・ケミカルズ・インコーポレイテツド インターポリマー樹脂粒子
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