JP3793074B2 - 湿気硬化型組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、速硬化性を有し、毒性、環境汚染性の少ない触媒系を含有する湿気硬化型組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来1液型の湿気硬化型ゴム組成物としては、シリコーン系ゴム、ウレタン系ゴム、ポリサルファイド系ゴム等のものが知られている。1液型の湿気硬化型ゴム組成物は、一般に硬化が速く、2液型のものに比べ液の混合調整等の必要がない等、作業性の点で優れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、シリコーン系ゴムの硬化型組成物は、周囲への汚染の可能性、表面への塗装性の点で問題があり、ポリウレタン系ゴムのものは、貯蔵安定性、耐候性、耐発泡性、変色等の点で問題がある。さらに、ポリサルファイド系ゴムについても、硬化性、周囲への汚染の可能性の点で問題がある。
【0004】
変成シリコーン系ゴムは、ポリエーテルを主鎖とする架橋可能な加水分解性珪素官能基を有する重合体であり、硬化触媒を用いて密封下では長期間安定であるが、湿気にさらすと急速に硬化してゴム状物質に変わる1液型組成物が得られる(特公昭62−35421号公報、特開昭61−141761号公報、特開平1−58219号公報)。この重合体の硬化型組成物は、ポリウレタン系ゴムのものに比べ貯蔵安定性、耐候性、耐発泡性、変色性が良好であり、ポリサルファイド系ゴムのものに比べ、硬化性に優れ、周囲への汚染性が少なく、毒性がない。また、通常のシリコーン系ゴムのものに比べ周囲への汚染性が少なく、表面への塗装性が良好である。この加水分解性ケイ素を有する重合体の硬化触媒として、チタン酸エステル化合物、錫カルボン酸塩化合物、鉛カルボン酸塩化合物等が知られているが、有機鉛化合物は環境への負荷が大きく、有機錫化合物は内分泌撹乱物質として生体への影響が懸念されていることから使用に際しては充分な注意が必要となる。
【0005】
こうした環境汚染のおそれのある物質を使用しない硬化型組成物としては、特開平8−41358号公報で、カルボン酸とアミンの併用触媒、また特開平5−39428号公報では、安全性の問題の少ないビスマス化合物を使用することが提案されているが、充分な硬化速度が得られないという問題点がある。また、特開昭60−1611457号公報、特公昭63−42942号公報では、チタン酸エステル化合物を触媒として使用することが提案されているが、樹脂組成物中の添加剤や充填剤中に含まれる水分で容易に分解される。また、施工時の湿度により、硬化速度にばらつきが生じたり、安定した硬化物が得られない等の問題点がある。
【0006】
このことから実用的な硬化速度をもち、安定に働く硬化触媒の開発が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、毒性、環境汚染性が少なく、速硬化性を有する湿気硬化型組成物について検討し、本発明にいたった。
【0008】
すなわち本発明は、つぎの湿気硬化型組成物を提供する。
(1)分子末端または側鎖に加水分解性基と結合した珪素原子を1分子中に少なくとも1個有し、主鎖がアルキレンオキシド重合体、ポリエーテル、エーテル・エステルブロック共重合体、エチレン性不飽和化合物の重合体、ジエン系化合物の重合体のいずれかであるシリル基含有有機重合体(A)100重量部に対して、硬化触媒として、下記一般式(1):
Ti(OCOR)4 (1)
(式中、Rは炭素原子数1〜17の炭化水素基であり、4つのRは相互に同一であっても、異なっていてもよい)で表わされるチタン化合物(B)0.1〜20重量部およびアミノ基を少なくとも1個有する化合物(C)0.01〜10重量部からなる混合触媒を含有することを特徴とする湿気硬化型組成物。
(2)チタン化合物(B)が、チタンテトラ(2−エチルヘキサノアート)またはチタンテトラ(ネオデカノアート)である前記(1)に記載の湿気硬化型組成物。
(3)アミノ基を少なくとも1個有する化合物(C)が第1級アミンである前記(1)項または(2)項に記載の湿気硬化型組成物。
(4)混合触媒が、チタン化合物(B)1モルに対して、アミノ基を少なくとも1個有する化合物(C)を1〜5モル配合してなる前記(1)項〜(3)項のいずれかに記載の湿気硬化型組成物。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明においては、分子末端または側鎖に加水分解性基と結合した珪素原子を1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有有機重合体に、硬化触媒として、前記特定のチタン化合物および前記特定のアミン化合物を配合することにより、毒性、環境汚染性が少なく、しかも速硬化性を有する1液型の湿気硬化型組成物が得られることが見出された。
【0010】
本発明に用いるシリル基含有有機重合体(A)は、分子末端または側鎖に加水分解性基と結合した珪素原子(以下、加水分解性基と結合した珪素基という場合がある)を1分子中に少なくとも1個有する有機重合体であり、その主鎖としては、アルキレンオキシド重合体ないしポリエーテル、エーテル・エステルブロック共重合体があげられる。また、エチレン性不飽和化合物やジエン系化合物の重合体があげられる。
【0011】
前記アルキレンオキシド重合体ないしポリエーテルとしては、
(CH2CH2O)n
(CHCH3CH2O)n
(CH(C2H5)CH2O)n
(CH2CH2CH2CH2O)n
等の繰り返し単位の1種または2種以上を有するものが例示される。ここでnは、2以上の整数である。これらのアルキレンオキシド重合体ないしポリエーテルは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0012】
また、エチレン性不飽和化合物やジエン系化合物の重合体としては、エチレン、プロピレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の単独重合体、またはこれらの2種以上の共重合体があげられる。より具体的には、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、ポリクロロプレン、スチレン−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン共重合体、ポリイソブチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等があげられる。これらは単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
【0013】
前記加水分解性基と結合した珪素基は、たとえば珪素原子と結合した加水分解性基を有する珪素含有基のように湿気や架橋剤の存在下、必要に応じて触媒等を使用することにより縮合反応を起こす基のことである。具体的には、ハロゲン化シリル基、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基等があげられる。ここで、シリル基の1つのケイ素原子に結合した加水分解性基の数は1〜3の範囲から選択される。珪素原子に結合した加水分解性基は1種であってもよく、複数種であってもよい。さらに加水分解性基と非加水分解性基が当該珪素原子に結合していてもよい。加水分解性基と結合した珪素基としては、取り扱いが容易である点で、とくに、アルコキシシリル基(モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基を含む)が好ましい。加水分解性基と結合した珪素基は重合体分子の末端で存在していても、側鎖に存在していてもよい。加水分解性基と結合した珪素基は、重合体の1分子当たり少なくとも1個あればよいが、硬化速度、硬化物性の点からは、1分子当たり平均1.5個以上あるのが好ましい。加水分解性基と結合した珪素基を前記主鎖重合体に結合させる方法としては公知の方法が採用できる。
【0014】
本発明で用いる有機重合体(A)の分子量はとくに制約はないが、過度に高分子量のものは高粘度であり、硬化組成物とした場合に使用上困難となるため、数平均分子量として30000以下が望ましい。このような有機重合体は、公知の方法によって製造することができるが、鐘淵化学工業(株)製のカネカMSポリマー等の市販品を使用してもよい。
【0015】
本発明で用いるチタン化合物(B)としては、一般式(1)で表わされるチタンテトラカルボキシレートの1種または2種以上が好ましく使用される。一般式(1)において、Rで示される炭素原子数1〜17の炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、1−エチルペンチル、オクチル、ノニル、1,1−ジメチルヘプチル、デシル、ウンデシル、トリデシル、ペンタデシル、ヘプタデシル等の炭素原子数1〜17の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、ヘプテニル、8−ヘプタデセニル、8,11−ヘプタデカジエニル等の炭素原子数2〜17の直鎖状または分枝鎖状の一価の不飽和脂肪族基などがあげられる。一般式(1)における4つのRは相互に同一であっても、異なっていてもよい。Rとしては、化合物の安定性、取扱い性の点から、炭素原子数4〜12のアルキル基が好ましい。
【0016】
前記チタンテトラカルボキシレートを具体的に例示すると、チタンテトラアセテート、チタンテトラプロピオネート、チタンテトラヘプタノアート、チタンテトラオクタノアート、チタンテトラ(2−エチルヘキサノアート)、チタンテトラ(ネオデカノアート)、チタンテトララウレート、チタンテトラステアレート、チタンテトラアクリレート、チタンテトラメタクリレート、チタンテトライソクロトネート、チタンテトラオレート、チタンテトラリノレート等があげられ、これらは単独で、または混合して使用できる。これらのうち、チタンテトラ(2−エチルヘキサノアート)、チタンテトラ(ネオデカノアート)が好ましい。このような化合物は、公知の方法によって製造することができる。
【0017】
本発明で用いるアミノ基を少なくとも1個有する化合物(以下、アミノ基含有化合物という場合がある)(C)としては、第1級アミンが好ましく使用される。第1級アミンとしては、具体的に例示すると、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、イソプロピルアルコールアミン、ブチルアミン、1−エチルブチルアミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、ネオヘプチルアミン、オクチルアミン、ネオデシルアミン、ラウリルアミン、モノエタノールアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、グアニジン、2−エチルヘキシルアミン、トリエチレンテトラミン等の炭素原子数1〜18の脂肪族第1級アミン(芳香環を有する脂肪族第1級アミンを含む)、アニリン、ニトロアニリン、フェニレンジアミン、トルイジン、トルイルアミン、キシレンジアミン、2,3−キシリジン、アニシジン、フェネチジン、ベンジジン、ナフチルアミン等の炭素原子数6〜12の芳香族第1級アミンがあげられる。これらのうちオクチルアミン、ネオデシルアミン、ラウリルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ベンジルアミン等の炭素原子数6〜12の脂肪族第1級アミンが好ましく、ラウリルアミン、2−エチルヘキシルアミンがとくに好ましい。
【0018】
本発明の湿気硬化型組成物において、チタン化合物(B)の含有量は、シリル基含有有機重合体(A)100重量部に対して0.1〜20重量部、とくに0.5〜10重量部が好ましい。アミノ基含有化合物(C)の含有量は、シリル基含有有機重合体(A)100重量部に対して0.01〜10重量部、とくに0.1〜5重量部が好ましい。チタン化合物(B)の含有量が前記範囲未満では硬化性能が不充分であり、一方前記範囲を超えると得られる硬化物の復元率、耐候性などの物性、貯蔵中の安定性が劣るようになることがある。アミノ基含有化合物(C)の含有量が前記範囲未満では樹脂が充分に硬化せず、硬度、接着性等の面で問題を生じる。一方前記範囲を超えると硬化物の物性、安定性が低下することがある。さらに、チタン化合物(B)1モルに対して、アミン基含有化合物(C)は、1〜5モルが好ましい。チタン化合物(B)に対するアミノ基含有化合物(C)の量が、前記範囲未満でも前記範囲を超過しても最適の硬化性能を得ることができず、硬化速度の低下がみられる傾向にある。
【0019】
本発明の湿気硬化型組成物には、取り扱い易さ、触媒活性をコントロールする点からカルボキシル基含有化合物を配合してもよい。このようなカルボキシル基含有化合物としては、炭素原子数2〜18の飽和または不飽和の直鎖状または分岐鎖状脂肪族カルボン酸の1種または2種以上が好ましく使用される。具体的に例示すると、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪族カルボン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸、フマル酸、マレイン酸等の飽和または不飽和脂肪族ジカルボン酸等があげられる。これらのうちオクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ラウリン酸等の炭素原子数8〜12の飽和脂肪族カルボン酸が好ましく、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸がとくに好ましい。
【0020】
本発明の湿気硬化型組成物には、硬化を促進し基材への密着性をよくするため、種々のアミノ基置換アルコキシシラン化合物またはその縮合物を使用することができる。具体的に例示すると、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、δ−アミノブチル(メチル)ジエトキシシラン、N,N’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミンおよびこれらの部分加水分解物等があげられる。また、基材への密着性の向上のために、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン等のビニルアルコキシシラン化合物を使用できる。
【0021】
また本発明の湿気硬化型組成物には、さらに充填剤、着色剤、可塑剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、タレ防止剤、老化防止剤、溶剤等の硬化型組成物に通常添加される添加剤を加えてもよい。
【0022】
たとえば、充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、クレー、焼成クレー、ガラス、ベントナイト、有機ベントナイト、シラスバルーン、ガラス繊維、石綿、ガラスフィラメント、粉砕石英、ケイソウ土、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、二酸化チタン等があげられる。
【0023】
着色剤としては、具体的には、酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等が使用される。
【0024】
可塑剤としては、具体的には、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジイソデシル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、ペンタエリスリトールエステル等のポリオール化合物のエステル類、リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤、塩素化パラフィン等が使用される。
【0025】
タレ防止剤としては、具体的には、水添ヒマシ油、無水ケイ酸、有機ベントナイト、コロイド状シリカ等が使用される。
【0026】
またその他の添加剤としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の接着付与剤、紫外線吸収剤、ラジカル連鎖禁止剤、過酸化物分解剤、各種の老化防止剤等が使用される。
【0027】
【実施例】
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明の範囲はこれによって限定されるものではない。
【0028】
製造例1
窒素導入管を取り付けた500mlナス型フラスコに、テトラブトキシチタン170.2g(0.5mol)、2−エチルヘキサン酸288g(2.0mol)を量り込み、マグネチックスターラーにて充分に混合した。発熱がおさまり、内温が室温付近になるまで撹拌を続けたのち、ブチルアルコールを減圧留去し、黄色液体のチタン化合物Aの296g(95%)を得た。この化合物のFT−IR分析にて、2−エチルヘキサン酸のカルボニル基の吸収(1730cm-1)が低波数側(1650cm-1、1525cm-1)にシフトしたことを確認した。また、つぎの元素分析の結果より、チタンテトラ2−エチルヘキサノアートであることを確認した。
【0029】
製造例2
窒素導入管を取り付けた500mlナス型フラスコに、テトラブトキシチタン170.2g(0.5mol)、酢酸120.1g(2.0mol)を量り込み、マグネチックスターラーにて充分に混合した。発熱がおさまり、内温が室温付近になるまで撹拌を続けたのち、ブチルアルコールを減圧留去し、黄色液体のチタン化合物Bの139g(98%)を得た。この化合物のFT−IR分析にて、酢酸のカルボニル基の吸収(1730cm-1)が低波数側(1650cm-1、1525cm-1)にシフトしたことを確認した。また、つぎの元素分析の結果より、チタンテトラアセテートであることを確認した。
【0030】
製造例3
窒素導入管を取り付けた1000mlナス型フラスコに、テトラブトキシチタン170.2g(0.5mol)、オレイン酸564.9g(2.0mol)を量り込み、マグネチックスターラーにて充分に混合した。発熱がおさまり、内温が室温付近になるまで撹拌を続けたのち、ブチルアルコールを減圧留去し、黄色液体のチタン化合物Cの575g(98%)を得た。この化合物のFT−IR分析にて、オレイン酸のカルボニル基の吸収(1730cm-1)が低波数側(1650cm-1、1525cm-1)にシフトしたことを確認した。また、つぎの元素分析の結果より、チタンテトラオレートであることを確認した。
【0031】
製造例4
窒素導入管を取り付けた1000mlナス型フラスコに、テトラブトキシチタン170.2g(0.5mol)、ネオデカン酸344g(2.0mol)を量り込み、マグネチックスターラーにて充分に混合した。発熱がおさまり、内温が室温付近になるまで撹拌を続けたのち、ブチルアルコールを減圧留去し、黄色液体のチタン化合物Dの359g(98%)を得た。この化合物のFT−IR分析にて、ネオデカン酸のカルボニル基の吸収(1730cm-1)が低波数側(1650cm-1、1525cm-1)にシフトしたことを確認した。また、つぎの元素分析の結果より、チタンテトラネオデカノアートであることを確認した。
【0032】
実施例1〜8
シリル基含有有機重合体(鐘淵化学工業(株)製MSポリマーS303)100重量部に対して、製造例1、2、3および4で得られたチタン化合物A、B、CまたはD、および各種添加剤を表1に示される重量部数配合し、混練して硬化型組成物を得、これについてスナップタイム(半ゲル化し流動性のなくなるまでの時間)およびタックフリータイム(表面タックのなくなるまでの時間)を測定した。なお、混合、混練から硬化までの操作は、25℃、60%RHの雰囲気下で行った。結果を表1に示す。
【0033】
比較例1〜4
シリル基含有有機重合体(鐘淵化学工業(株)製MSポリマーS303)100重量部に対して、製造例1、2、3および4で得られたチタン化合物A、B、CまたはD、および各種添加剤を表1に示される重量部数配合し(ただし、ラウリルアミン、2−エチルヘキシルアミンを配合せず)、混練して硬化型組成物を得、実施例1〜8と同様にスナップタイムおよびタックフリータイムを測定した。結果を表1に示す。
【0034】
比較例5〜10
シリル基含有有機重合体(鐘淵化学工業(株)製MSポリマーS303)100重量部に対して、変成シリコーンの硬化剤として用いられている従来の錫化合物としてジブチル錫ジラウレートを、チタン化合物として、テトライソプロポキシチタンおよび各種添加剤を表1に示される重量部数配合し、混練して硬化型組成物を得、実施例1〜8と同様にしてスナップタイムおよびタックフリータイムを測定した。結果を表2に示す。
【0035】
表1、2に示す材料の詳細はつぎの通りである。
MSポリマーS303:加水分解性珪素含有基を含む重合体(鐘淵化学工業株式会社製)
ノクラックNS−6:老化防止剤(大内新興化学工業株式会社製)
スモイルP−350:流動パラフィン(村松石油株式会社製)
A−171:ビニルアルコキシシラン化合物(日本ユニカー株式会社製)
A−1100:アミノ基置換アルコキシシラン化合物(日本ユニカー株式会社製)
ネオスタンU−100:ジブチル錫ジラウレート(日東化成株式会社製)
テトライソプロポキシチタン:東京化成(株)社製 特級試薬
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】
表1から明らかなように本発明の湿気硬化型組成物を用いると、従来の湿気硬化型組成物に比べアミンを併用することで早く硬化した。また表1と表2の対比から明らかなように、従来の錫系触媒、チタン系触媒と比較しても充分な硬化速度であることが確認された。
【0039】
さらに本発明の湿気硬化型組成物は、錫化合物を硬化触媒として使用しないため内分泌撹乱物質による生体への影響、環境への影響の心配のない硬化型組成物である。このような湿気硬化型組成物は、シーリング剤、コーティング剤、弾性接着剤として有用である。
Claims (4)
- 分子末端または側鎖に加水分解性基と結合した珪素原子を1分子中に少なくとも1個有し、主鎖がアルキレンオキシド重合体、ポリエーテル、エーテル・エステルブロック共重合体、エチレン性不飽和化合物の重合体、ジエン系化合物の重合体のいずれかであるシリル基含有有機重合体(A)100重量部に対して、硬化触媒として、下記一般式(1):
Ti(OCOR)4 (1)
(式中、Rは炭素原子数1〜17の炭化水素基であり、4つのRは相互に同一であっても、異なっていてもよい)で表わされるチタン化合物(B)0.1〜20重量部およびアミノ基を少なくとも1個有する化合物(C)0.01〜10重量部からなる混合触媒を含有することを特徴とする湿気硬化型組成物。 - チタン化合物(B)が、チタンテトラ(2−エチルヘキサノアート)またはチタンテトラ(ネオデカノアート)である請求項1に記載の湿気硬化型組成物。
- アミノ基を少なくとも1個有する化合物(C)が第1級アミンである請求項1または2に記載の湿気硬化型組成物。
- 混合触媒が、チタン化合物(B)1モルに対して、アミノ基を少なくとも1個有する化合物(C)を1〜5モル配合してなる請求項1〜3のいずれかに記載の湿気硬化型組成物。
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