JP3786721B2 - オキシム官能性湿気硬化性ホットメルトシリコーン感圧接着剤 - Google Patents
オキシム官能性湿気硬化性ホットメルトシリコーン感圧接着剤 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、シリコーン感圧接着剤組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、周囲の湿気に暴露したとき硬化するオキシム官能性ホットメルト接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコーン感圧接着剤(PSA)は、典型的には、少なくとも2つの主要な成分、すなわち、線状シロキサンポリマーおよび粘着付与剤樹脂を含有する。この樹脂はトリオルガノシロキサン(M)単位(すなわち、R3 SiO1/2 単位、ここでRは1価の有機基を意味する)およびシリケート(Q)単位(すなわち、SiO4/2 単位)から成る。さらに、シリコーンPSA組成物は、一般に、最終の接着剤生成物の種々の性質を最適化するために、何らかの架橋手段(例えば、過酸化物またはヒドロシリル化硬化系)を有する。ポリマー成分により付与される高い粘度にかんがみて、PSA組成物は典型的には適用を容易とするために有機溶剤の中に分散される。
【0003】
先行技術は、欧州特許出願公開(EP−A2)0 529 841号;米国特許第4,143,088号;米国特許第4,865,920号;米国特許第5,013,781号;米国特許第5,091,484号;日本国特許出願公開(JP−A)第51−404,858号および日本国特許出願公開(JP−A)第04−81,487号により代表される。
【0004】
揮発性有機化合物(VOC)の放出の抑制が現在強調されており、従来のPSAの使用は支持を失いつつあり、そして溶剤をほとんどあるいはまったく含有しないPSAの需要が増大しつつある。さらに、多数の用途において、本質的に瞬間的な結合が部品の間で形成され、こうして溶剤が蒸発するか、あるいは組成物が硬化するのを待たないで、部品を輸送するか、あるいはそうでなければ操作できることが要求される。この特性は「生強度」とここにおいて定義し、そしてPSAの高い初期の接着強さにより発現される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上の要求は本発明のPSA組成物により同時に処理される。本発明の組成物は高いレベルの瞬間的粘着性および生強度を有し、ならびに本質的に溶剤不含である。さらに、ここに開示するPSAは周囲条件下に非スランプ性(non-slump)固体であるが、現在「ホットメルト」有機接着剤を施すために使用されている方法により、加熱して流動性液体状態にしそして支持体に適用することができる。さらに、本発明のPSAは、1液系として長期間貯蔵することができ、湿気に暴露された場合、硬化して本質的に非粘着性のエラストマーとなり、硬化した組成物はその対応する生強度値よりなお強い結合を与える。硬化後PSAのまま存在する組成物と異なり、本発明の組成物は硬化後取り扱うことができる。また、意図する結合区域を過剰の材料がオーバーフローしたとき、それらはあまりほこりが付着したり汚染されたりしない。このような汚染は美的観点から、ならびに組成物をエレクトロニクス用途において使用するとき、性能の観点から望ましくない。さらに、本発明の好ましいホットメルトPSAは、高温において驚くほどに高い接着性を示す、硬化した系を提供する。さらに、本発明のPSAは長い「解放時間」を有する。この用語は、接着剤を施してから支持体を結合するためにそれを使用するまでの時間であって、その間PSAの粘着性が本質的に保持される時間として定義される。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
本発明は、(i)R3 SiO1/2 シロキサン単位およびSiO4/2 シロキサン単位を含む室温で固体のヒドロキシル官能性オルガノポリシロキサン樹脂(ここでR3 SiO1/2 シロキサン単位/SiO4/2 シロキサン単位のモル比は0.5/1〜1.2/1の値を有し、Rは炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基から選択される);
(ii)ケイ素に結合したヒドロキシル末端基を有しそして25℃において1,000〜500,000 mPa・s (センチポアズ)の粘度を有するジオルガノポリシロキサンポリマー(前記ポリマー(ii)に対する前記樹脂(i)の重量比は40:60〜75:25の範囲である);
(iii)式R’4-y SiXy のケトキシモシラン(ここでR’は1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基から選択され、Xは−ON=C(R'')R''' 基であり、ここでR''およびR''' は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基およびフェニル基から選択され、そしてyは3または4である)(前記ケトキシモシランの量は前記樹脂(i)及び前記ジオルガノポリシロキサン(ii)上の全ヒドロキシル基に対するX基のモル比が0.9〜3となるのに十分な量である);および
(iv)必要に応じて、前記組成物の硬化を促進するために十分な触媒、
を含み、室温において本質的に溶剤不含の非スランプ性固体であり、1ラジアン/秒で測定した場合に少なくとも107 センチポアズの最小室温動的粘度を有し、150℃以下において押出可能であり、そして硬化した場合に本質的に非粘着性エラストマーを形成する、湿気硬化性シリコーンホットメルト接着剤組成物を提供する。
【0007】
本発明の成分(i)は、R3 SiO1/2 シロキサン単位およびSiO4/2 シロキサン単位を含む可溶性のヒドロキシル官能性オルガノポリシロキサン樹脂である。用語「可溶性」とは、オルガノポリシロキサンが炭化水素液体、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびヘプタンの中に、あるいはシリコーン液体、例えば、環状または線状のポリジオルガノシロキサンの中に溶解することができることを意味する。好ましくは、樹脂は後述する成分(ii)の中に可溶性である。
【0008】
樹脂(i)についての式において、Rは炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基、好ましくは20個より少ない炭素原子を有する、最も好ましくは1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基から選択される。適当なR基の例は、アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシルおよびオクタデシル;脂環式基、例えば、シクロヘキシル;アリール基、例えばフェニル、トリル、キシリル、ベンジル、アルファ−メチルスチリルおよび2−フェニルエチル;アルケニル基、例えば、ビニル;および塩素化炭化水素基、例えば、3−クロロプロピルおよびジクロロフェニルを包含する。
【0009】
後述する成分(ii)の中への成分(i)の可溶性を増強するために、成分(i)の主要な有機基を成分(ii)の主要な有機基に合致するように選ぶことが望ましい。好ましくは、成分(i)についての式の中のR基の少なくとも1/3、より好ましくは実質的にすべてのR基はメチル基である。好ましいR3 SiO1/2 シロキサン単位の例は、Me3 SiO1/2 ,PhMe2 SiO1/2 およびPh2 MeSiO1/2 を包含し、ここでMeは以後においてメチルを意味し、そしてPhは以後においてフェニルを意味する。
【0010】
成分(i)は、R 3 SiO 1/2 シロキサン単位(すなわち、M単位)がSiO 4/2 シロキサン単位(すなわちQ単位)に結合しており、それらのQ単位の各々は少なくとも1つの他のSiO 4/2 シロキサン単位に結合している樹脂部分を含む。いくつかのSiO4/2 シロキサン単位はヒドロキシル基に結合してHOSiO3/2 単位(すなわち、TOH単位)が生じ、これによりオルガノポリシロキサンのケイ素結合ヒドロキシル含量が求められる。樹脂部分に加えて、成分(i)は式(R3 SiO)4 Siを有するネオペンタマーオルガノポリシロキサンから実質的に構成された低分子量物質を少量含有することができ、後者の物質は樹脂の製造における副生物である。
【0011】
SiO 4/2 シロキサン単位に対するR 3 SiO 1/2 シロキサン単位のモル比はそれぞれ0.5〜1.2である。(i)の全Qシロキサン単位に対する全Mシロキサン単位のモル比は0.6〜0.8の間であることが好ましい。上記M/Qモル比は29Si核磁気共鳴(NMR)により容易に得ることができ、この技術はM(樹脂)、M(ネオペンタマー)、Q(樹脂)、Q(ネオペンタマー)およびTOHのモル含量を定量的に決定することができる。本発明の目的で、暗黙的に前述したように、M/Q比={M(樹脂)+M(ネオペンタマー)}/{Q(樹脂)+Q(ネオペンタマー)}は、(i)の樹脂およびネオペンタマーの部分のシリケート基の合計数に対する(i)の樹脂およびネオペンタマーの部分のトリオルガノシロキシ基の合計数の比を表す。もちろん、理解されるように、M/Qモル比の上の定義は樹脂(i)の製造から生ずるネオペンタマーを考慮したものであるが、ネオペンタマーの意図的な添加を考慮したものではない。
【0012】
本発明の樹脂(i)は室温において固体でなければならない。すなわち、それは周囲温度以上、好ましくは40℃以上の軟化点をもたなくてはならない。この条件が実現されないとき、得られるPSAは、以下に定義するように、要求される非スランプ特性を示さない。
【0013】
さらに、成分(i)の樹脂部分は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定したとき、4,000〜7,500の数平均分子量(Mn )を有することが好ましく、この場合ネオペンタマーのピークは測定から排除される。この分子量の決定において、MQ樹脂の狭い画分を使用してGPC装置を目盛り定めし、画分の絶対的分子量をまず蒸気相浸透圧測定のような技術により確定する。この分子量は好ましくは3,000以上、最も好ましくは4,500〜7,500である。なぜなら、生ずる硬化した接着剤の熱ホールドは、Mn が3,000より小さくかつ樹脂のヒドロキシル含量が>1重量%であるときより有意に大きいからである。用語「熱ホールド」は、ここにおいて、高温(例えば、150℃)において硬化したPSAの接着強度として定義される。
【0014】
成分(i)はよく知られている方法により製造することができる。それは、好ましくは、米国特許第2,676,182号のシリカヒドロゾルキャッピング方法、米国特許第3,627,851号および米国特許第3,772,247号により修正されたシリカヒドロゾルキャッピング方法により製造する。これらの特許は、有機溶剤、例えば、トルエンまたはキシレンを使用し、そして樹脂が典型的には1%(樹脂固形分の重量に基く)を越えるヒドロキシル含量を有する溶液を提供し、この値は好ましくは2〜4重量%である。生ずる樹脂を本発明の組成物においてそれ以上の修正なしに使用することができるか、あるいはそれをトリアルキルシロキシ基でキャッピングしてシラノール含量を減少して使用することができる。これはよく知られている方法により、例えば、樹脂をトリメチルクロロシランまたはヘキサメチルジシラザンと反応させることによって達成することができる。
【0015】
本発明の成分(ii)はヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンポリマーである。ジオルガノポリシロキサン(ii)の反復単位はR 2 SiO 2/2 シロキシ単位であり、ここでRは成分(i)について前述したのと同一の炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基から独立に選択される。この成分は単一のポリマーまたはコポリマーであることができるか、あるいは2またはそれ以上のこのようなポリマーの混合物であることができる。本発明の目的に対して、各ポリジオルガノシロキサンポリマーは25℃において100〜500,000センチポアズ(cP)〔100〜500,000 mPa・s 〕、好ましくは500〜50,000、最も好ましくは1,000〜10,000cPの粘度を有するべきである。成分(ii)の連鎖に沿った有機基の少なくとも50%、好ましくは少なくとも85%はメチル基であることが好ましく、前記メチル基はいずれかの方法でジオルガノポリシロキサンの中に分布することができる。さらに、成分(ii)は10モル%までのシロキサン分枝部位を含むことができ、ただしそれは上記の粘度の要件を満足しなくてはならない。
【0016】
本発明のケトキシモシラン(iii)は、式R’4-y SiXy のケトキシモシランにより表され、ここでR’は1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基から選択される。好ましくは、R’はメチル、ビニルまたはフェニルである。上の式において、yは3または4であり、そしてXは一般式−ON=C(R'')R''' のケトキシム基であり、ここで各R''およびR''' は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基およびフェニル基から選択される。好ましいシランの具体例は、メチル−トリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニル−トリス(メチルエチルケトキシモ)シランおよびテトラキス−トリス(メチルエチルケトキシモ)シランを包含する。
【0017】
湿気に暴露したときの本発明の組成物の硬化を促進するために使用する触媒(iv)は、ケトキシム基の加水分解および引き続くケイ素上のヒドロキシル基の縮合の両者を促進するためにこの分野において知られている化合物から選択することができる。適当な触媒は、カルボン酸の錫( IV )塩、例えば、ジブチル錫ジラウレートおよび有機チタン化合物、例えばチタン酸テトラブチル、並びにこれらの塩とキレート化剤、例えば、アセト酢酸エステルおよびベータージケトンとの部分的にキレート化された誘導体を包含する。
【0018】
本発明において、ジオルガノポリシロキサンポリマー( ii )に対する樹脂(i)の重量比は40:60〜75:25、好ましくは50:50〜70:30、最も好ましくは55:45〜65:35である。この比が40/60未満であるとき、この組成物は要求される非スランプ特性を示さない。この比が75:25を超えるとき、この組成物はしばしばホットメルトガンから150℃以下の温度において押し出すことができない。本発明のPSA組成物の要件を満足するために必要な正確な比は、所定の樹脂およびポリマーの組み合わせについて、本発明の開示に基づく日常的実験により確認することができる。「非スランプ」とは、材料が次の簡単な手順により決定した場合に固体であるように見えることを意味する。6mmの直径を有する組成物のU字形ビーズ(bead)を押出し、そして平らな水平面上に倒立させて、ほぼ20×20mmのアーチを形成する。この立体配置を室温(25℃)において硬化させ、そしてそれが有意に変形しない場合、固体と見なす。この非スランプ状態は、1ラジアン/秒で測定したとき、107 cP(mPa・s )程度の最小室温動的粘度(dynamic viscosity)に相関関係にあった。こうして、例えば、4×106 cP(mPa・s )の粘度において、試料は上の試験においてスランプし、そして以後「ペースト」と呼ぶ。150℃以下の温度に加熱したとき、本発明の組成物は有意な分解なしに普通のホットメルトガンから容易に押出すことができる。好ましくは、組成物の動的粘度(1ラジアン/秒において)は150℃においてほぼ2×104 cP (mPa ・s)以下である。
【0019】
ケトキシモシラン(iii)は、本発明の組成物において、前記樹脂(i)及び前記ジオルガノポリシロキサン( ii )上の全ヒドロキシル基に対するケトキシモシラン上のX基のモル比が0.9〜3となるのに十分なレベルで使用する。この比が0.9より低いとき、組成物は製造の間またはその後短時間の間に、不安定でありかつゲルである。この比が3より大きいとき、利益は得られずそして、後述するように、過剰のケトキシモシランは典型的には脱蔵の間に除去される。さらに、過剰のケトキシモシランが望ましくない壊れやすいまたは「脆い」特性をいくつかの最終の硬化した生成物に付与することが観察された。全ヒドロキシル基 に対するX基のモル比は、PSA組成物について最大の安定性を得るために1.2〜2.1であることが好ましい。
【0020】
最後に、前記組成物の硬化を促進するために十分な量の触媒(iv) を任意に添加することができる。この量は当業者により日常的実験を通して容易に決定することができ、そして一般には組成物全体の重量に基づいて0.1〜1.0重量%である。
【0021】
本発明のPSA組成物は、樹脂(i)の有機溶剤溶液をポリジオルガノシロキサン(ii)と、好ましくは室温においてよくブレンドすることによって製造される。使用する溶剤は、好ましくは、前述したように樹脂成分の製造に使用する溶剤であり、そして樹脂とポリジオルガノシロキサンの間の混和を達成するために十分な量で使用する。この混合物に、ケトキシモシラン(iii)を迅速に添加して均質な溶液を形成する。次いで溶剤を直ちにストリッピングして、本発明の本質的に溶剤を含まない、ホットメルトPSA組成物を形成する。必要に応じて、触媒(iv)をこのストリッピングした生成物に添加することができる。あるいは、触媒、例えば、オクタン酸第1錫をストリッピング工程直前に添加して、この樹脂とポリマーの組合わせを増粘することができる。この増粘は生ずるホットメルトPSAの生強度を改良することができることが観察された。前述のストリッピング(脱蔵)は、混合物を真空下に、例えば、120℃〜150℃に、1.3kPa より低い(<10mmHg) 圧力下に、バッチ操作において、加熱することによって効果的に達成することができる。溶剤の除去は、また、任意の既知の技術、例えば、不活性ガスの流れとの接触、蒸発、蒸留、薄膜ストリッピングなどにより達成することができる。過度に高い温度は、すべての成分を脱蔵しているとき、回避すべきである。200℃、好ましくは150℃の温度を越えるべきではない。
【0022】
もちろん、組成物の時間尚早の硬化を防止するために、上の手順は湿気の不存在下に実施すべきである。また、これは組成物のその後の貯蔵に適用される。
【0023】
一般に、少量の任意の成分を本発明の組成物に添加することができる。例えば、酸化防止剤、顔料、安定剤、充填材などを、それらがここにおいて規定する要件を大きく変更しないかぎり、添加することができる。
【0024】
本発明によるホットメルトPSA組成物は、有機ホットメルト配合物を施すのに現在使用されている技術(例えば、ホットメルトガン、噴霧、加熱された延伸バーを介する押出塗布、ドクターブレードまたはカレンダーロール)により種々の支持体に適用することができる。これらの方法における共通の因子は、組成物を適用前に流れを誘発するために十分な温度に加熱することである。周囲条件に冷却すると、本発明の組成物は、部材または支持体を互いに結合するために使用できる高い生強度の非スランプ性PSAとなる。あるいは、結合は接着剤がまだ熱い間に起こることができるが、後者は、もちろん、これらの条件下にさ程大きな応力を支えることができず、そして結合された部分はPSAが冷却するまで所定位置に保持しなくてはならない。所望の部材を本発明のPSAで結合した後、この組み合わせを湿気を含む空気に暴露して、PSAを本質的に非粘着性のエラストマーに硬化させる。「本質的に非粘着性の」とは、ここにおいて、表面が測定可能な程度の粘着性を示さず、そして触れたとき乾燥または乾燥に近い感じを受けることを示す。この硬化のプロセスの完結のために要求される時間は、触媒を使用するかどうか、触媒のタイプ、触媒の量、温度および湿度に依存して、数時間ないし数週間の範囲である。この硬化の結果、本発明の組成物の接着強さは大きく増強される。
【0025】
本発明の組成物は、現在シリコーンのPSAおよび/または有機のホットメルト接着剤が貢献しているのと同じ用途の多くにおいて、とくに自動車、エレクトロニクス、建築、医学、電気および航空のような産業において、実用性を見いだす。これらの分野の用途において、本発明のPSAは不利な環境、例えば、熱および湿気に対して抵抗性を示す。
【0026】
【実施例】
下記の実施例によって、本発明の組成物をさらに説明する。これらの実施例は本発明を限定しない。これらの実施例において、特に断わらないかぎり、すべての部および百分率は重量であり、そしてすべての測定値は25℃において得た。
【0027】
次の成分は、参照が容易であるようにアルファベット順に列挙されており、実施例において使用した。
触媒A=ジイソプロポキシジ(エトキシアセトアセチル)チタネート。
流体A=600の重合度および4,000cP(mPa・s )の粘度を有するヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン流体。
流体B=50,000cP(mPa・s )の粘度を有するヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン流体。
流体C=13,500cP(mPa・s )の粘度を有するヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン流体。
流体D=80cP(mPa・s )の粘度を有するヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン流体。
流体E=750cP(mPa・s )の粘度を有するヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン流体。
流体F=1,000,000cP(mPa・s )の粘度を有するヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン流体。
MTO=式MeSi(ON=C(Et)Me)3 のメチル−トリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ここでEtはエチル基を意味する。
【0028】
樹脂1=0.63:1のモル比のトリメチルシロキシ単位およびSiO4/2 単位を含み、そして3.7重量%のケイ素結合ヒドロキシル含量および5,000の数平均分子量(Mn )を有する固体のMQ樹脂の72%キシレン溶液。
樹脂2=樹脂1の62%キシレン溶液、ここでこの樹脂はトリメチルシロキシ基でキャッピングして残留ケイ素結合ヒドロキシル含量を0.5重量%としてある。
樹脂3=トリメチルシロキシ単位およびSiO 4/2 単位を含み、3.4重量%のケイ素結合ヒドロキシル含量および4,100のM n を有する固体MQ樹脂の71%キシレン溶液。
樹脂4=モル比1.1:1のトリメチルシロキシ単位およびSiO4/2 単位を含み、そして3.2重量%のケイ素結合ヒドロキシル含量および2,700のMn を有する固体MQ樹脂の81%キシレン溶液。
【0029】
前述の樹脂の数平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により、バリアン(Varian) TSK4000+2500カラムを35℃において使用し、クロロホルムの移動相を1mL/分で使用し、そしてSi−O−Siを検出するために9.1マイクロメートルにセットしたIR検出器を使用して決定した。GPCは標準として同様な樹脂の狭い画分を使用して目盛り定めした。ここにおいて報告したMn 値は、樹脂成分の中に存在するネオペンタマー(Me3 SiO)4 Siを排除してある。
【0030】
樹脂のトリメチルシロキシ/SiO4/2 比は29SiのNMRにより決定し、そしてこの場合において、報告した結果は樹脂の中に存在するネオペンタマー成分を含む。樹脂のヒドロキシル含量はFTIR分析により決定した。
【0031】
PSA組成物の接着強さは、周囲条件下にプラスチックボックスの構造体を使用して硬化時間の関数として決定した。ボックスの構成は、4つの一体的に形成された側壁および分離可能な形態適合性底部プレートからなっていた。このボックスは、巾3.5 cm ×長さ6 cm の概して長方形の断面を有し、1.5cmの壁高さを有し、そして5mmの壁厚さを有した。各側壁はその底内部のへりに沿って幅3mmのくぼみの段を有して、前記底部プレートを受容し、こうして後者の外表面は前記段に座したとき前記へりと同一平面となった。
【0032】
典型的な接着の評価において、プレートを分離し、そして溶融したPSAの薄いビーズを加熱した金属のカートリッジ(ほぼ150℃)から幅3mmの段に沿って押出した。底部プレートを所定位置にプレスして、前記段上の接着剤と接触し、これにより開いた上部を有するボックスを形成した。このボックスはさらに外部の突起をその対向する壁の2つの中に有し、これによりボックスを特別のジグの中に拘束すると同時に底部プレートをアーバプレス(arbor press)装置のラム(ram)で押出すことができるようにし、ここでこの装置は加えた力を測定できるように修正されていた。周囲条件下に少なくとも7日間貯蔵した後、底部を壁区画の中から外に押し出すために必要な力を記録して、接着およびその硬化による改良を評価した。
【0033】
例1〜30
流体Aおよび樹脂1を、3口反応フラスコの中で、表1の見出し「R/P」の下に示した重量比率でよく混合した。この表および引き続く表において、このR/P比は固形分を基準として報告する。各混合物に、樹脂およびポリマーの成分の合計のシラノール含量に基づいてMTOを添加し、そしてこのケトキシモシランを混合物の中に分散させた。ケトキシモシラン/シラノールのモル比を、見出し「MTO/SiOH」の下に表1に示す。理解されるように、モル比はケトキシム基/ヒドロキシルの比の値の1/3である。なぜなら、MTOは3つのケトキシム基を含有するからである。これらの系の各々を合計の固形分に基づいて0.3%の触媒Aで触媒し、次いで各混合物を0.67〜1.3kPa(5〜10mmHg) の圧力および150℃の温度において45〜60分間同時に攪拌しかつ脱蔵した。いったん脱蔵すると、各系を大気圧に戻した。これらの組成物を金属カートリッジに移し、ボックス構造体に適用し、そして7日の硬化サイクル後に前述したように試験した。さらに、PSAのいくつかをASTM C 1135に従い4週間の硬化サイクル後にガラスへの引張り接着について試験した。両者の試験の結果を表1に表す。
【0034】
【0035】
上および以後の表において、次のコードを使用して生ずるPSA組成物のコンシステンシーを表示する;
G=混合物は調製の間またはその後短時間の間にゲル化した。
F=混合物は流動性であった。
P=混合物は流動性のペースト(すなわち、液体マトリックス中の固体粒子の懸濁液)であった。
H=混合物はホットメルトPSAであった(すなわち、25℃において非スランプ性固体、150℃においてホットメルトガンから容易に押出され、そして周囲の湿気を含む空気に暴露したとき非粘着性のエラストマーに硬化した)。
S=混合物は150℃において押出すことができない固体であった。
【0036】
上の例は、所定の樹脂/ポリマーの比についてホットメルトPSAを得るために要求される、正確なケトキシモシラン/SiOHのモル比を決定するために日常的実験の必要性を説明している。理解されるように、80:20程度に高い樹脂/ポリマーの比でもホットメルトPSAを提供することができるが、そのように高い樹脂含量は劣った接着性を有する系を生ずる。
【0037】
例31〜37
組成物を例1におけるように調製しそして試験したが、ただし流体Bを流体Aの代わりに使用した。この系列の実験についての配合および試験結果を表2に示す。
【0038】
【0039】
例38〜40
組成物を例1におけるように調製しそして試験したが、ただし流体Cを流体Aの代わりに使用した。この系列の実験についての配合および試験結果を表3に示す。
【0040】
【0041】
例41〜42
組成物を例1におけるように調製しそして試験したが、ただし樹脂2を樹脂1の代わりに使用した。この系列の実験についての配合および試験結果を表4に示す。
【0042】
【0043】
例43〜44
組成物を例1におけるように調製しそして試験したが、ただし樹脂3を樹脂1の代わりに使用した。この系列の実験についての配合および試験結果を表5に示す。
【0044】
【0045】
例44は、再び、高過ぎるMTO/SiOHを使用してホットメルトが得られるが、この比は本発明の一般的要件の範囲内であることを示している。
【0046】
例45〜47
組成物を例1におけるように調製したが、ただし流体Dを流体Aの代わりに使用した。この系列の実験についての配合を表6に示す。
【0047】
【0048】
これらの配合物は好ましい範囲の比で樹脂とポリマーを含有したが、ホットメルトPSAを形成せず、そして少なくとも100cP(mPa・s )の粘度を有するポリマーを使用することが必要であることを示す。
【0049】
例48
組成物を例45におけるように調製したが、ただし流体Fを流体Dの代わりに使用した。この配合物は、200℃においてさえホットメルトガンで押出すことができない固体であった。再び、これは500,000cP(mPa・s )より大きくない粘度を有するポリマーを使用することが必要であることを示す。
【0050】
例49
例47の組成物を調製したが、ただし流体Eを流体Dの代わりに使用しそしてMTO/SiOHのモル比を0.45に変化させた。この配合物は本発明によるホットメルトPSAを生成した。
【0051】
例50
流体Aおよび樹脂1を使用して、63/37のR/P比および0.44のMTO/OH比を有するホットメルトPSAを調製した。試料Aを例1に記載した方法に従い調製したが、触媒を添加しなかった。試料Bを同様な方法で調製したが、0.25%(樹脂とポリマーの全固形分に基づく)のオクタン酸第1錫触媒をこの樹脂/ポリマーの溶液に添加した後、この組み合わせをストリッピングした。生じたPSAをボックス構造体について試験し、ここで初期の接着力(すなわち、生強度)及び部分的硬化(24時間)後の接着力を測定し、これらの値を表7に示す。
【0052】
【0053】
この例は、本発明の組成物の高い生強度およびこの性質が溶剤のストリッピング前に触媒を添加することによりどれ程増強されるかを示す。
【0054】
異なるR/P比における樹脂1、樹脂3または樹脂4と組み合わせて流体Aを使用する多数の追加の調製物は、モル比MTO/SiOHが0.3未満であるとき、調製の間、あるいはその短時間後にゲルを生じた。
Claims (8)
- (i)R3 SiO1/2 シロキサン単位およびSiO4/2 シロキサン単位を含む室温で固体のヒドロキシル官能性オルガノポリシロキサン樹脂(ここでR3 SiO1/2 シロキサン単位/SiO4/2 シロキサン単位のモル比は0.5/1〜1.2/1の値を有し、Rは炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基から選択される);
(ii)ケイ素に結合したヒドロキシル末端基を有しそして25℃において1,000〜500,000センチポアズの粘度を有するジオルガノポリシロキサンポリマー(前記ポリマー(ii)に対する前記樹脂(i)の重量比は40:60〜75:25の範囲である);
(iii)式R’4-y SiXy のケトキシモシラン(ここでR’は1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基から選択され、Xは−ON=C(R'')R''' 基であり、ここでR''およびR''' は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基およびフェニル基から選択され、そしてyは3または4であり、前記ケトキシモシランの量は前記樹脂(i)及び前記ジオルガノポリシロキサン(ii)上の全ヒドロキシル基に対するX基のモル比が0.9〜3となるのに十分な量である);および
(iv)必要に応じて、前記組成物の硬化を促進するために十分な触媒、
を含み、室温において溶剤不含の非スランプ性固体であり、1ラジアン/秒で測定した場合に少なくとも107 センチポアズの最小室温動的粘度を有し、150℃以下において押出可能であり、そして硬化した場合に本質的に非粘着性エラストマーを形成する、湿気硬化性シリコーンホットメルト接着剤組成物。 - 前記樹脂(i)のRがメチルであり、そして前記ポリジオルガノシロキサン(ii)がポリジメチルシロキサンである、請求項1記載の組成物。
- 前記ポリジオルガノシロキサン(ii)の粘度が25℃において500〜50,000センチポアズである、請求項1又は2に記載の組成物。
- 前記樹脂(i)及び前記ポリジオルガノシロキサン(ii)上の全ヒドロキシル基に対する前記ケトキシモシラン(iii)のケトキシモ基のモル比が1.2〜2.1である、請求項1,2又は3に記載の組成物。
- yが3であり、R’がメチル、ビニルおよびフェニルから選択され、そしてR''およびR''' の各々が1〜8個の炭素原子を有するアルキルから選択されるように、前記ケトキシモシラン(iii)が選択される請求項1,2,3又は4に記載の組成物。
- 前記ポリジオルガノシロキサン(ii)に対する前記樹脂(i)の重量比が55/45〜65/35である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記樹脂(i)のヒドロキシル含量が2〜4重量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
- 請求項1記載の湿気硬化性シリコーンホットメルト接着剤組成物を製造する方法であって、
(A)まず成分(i)および(ii)の有機溶剤溶液を混合し;
(B)(i)および(ii)の混合物を成分(iii)とよくブレンドし;そして
(C)前記有機溶剤をストリッピングして組成物を形成する;
ことを含む方法。
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