JP3785514B2 - ホスホン酸ジエステル誘導体 - Google Patents
ホスホン酸ジエステル誘導体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3785514B2 JP3785514B2 JP03361697A JP3361697A JP3785514B2 JP 3785514 B2 JP3785514 B2 JP 3785514B2 JP 03361697 A JP03361697 A JP 03361697A JP 3361697 A JP3361697 A JP 3361697A JP 3785514 B2 JP3785514 B2 JP 3785514B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- hydrogen atom
- lower alkyl
- alkyl group
- halogen atom
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なホスホン酸ジエステル誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明誘導体は文献未載の新規化合物である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は医薬品として有用な化合物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記一般式(1)で表される新規な誘導体が提供される。
【0005】
【化2】
【0006】
〔式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は同一又は異なって水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基、N,N−ジ低級アルキルスルホニルアミノ基又はニトロ基を、R5 は低級アルキル基、低級アルケニル基、フェニル基又はベンゼン環上に低級アルコキシ基の1〜3個を有するフェニル低級アルキル基を、R6 及びR7 は同一又は異なって低級アルキル基を、Aはチオフェン環、ピラジン環、低級アルキレン基又は単結合をそれぞれ示す。〕
【0007】
【発明の実施の形態】
上記一般式(1)において定義される各基としては、それぞれ次の各基を例示できる。即ち、低級アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等の直鎖又は分枝鎖状低級アルキル基を例示できる。
【0008】
低級アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基等を例示できる。
【0009】
ハロゲン原子には、弗素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が包含される。
【0010】
N,N−ジ低級アルキルスルホニルアミノ基としては、N,N−ジメチルスルホニルアミノ、N,N−ジエチルスルホニルアミノ、N,N−ジプロピルスルホニルアミノ、N,N−ジブチルスルホニルアミノ、N,N−ジペンチルスルホニルアミノ、N,N−ジヘキシルスルホニルアミノ基等を例示できる。
【0011】
低級アルケニル基としては、ビニル、アリル、イソプロペニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル基等を例示できる。
【0012】
ベンゼン環上に低級アルコキシ基の1〜3個を有するフェニル低級アルキル基としては、2−メトキシベンジル、3−メトキシベンジル、4−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、3,5−ジメトキシベンジル、1−(4−メトキシフェニル)エチル、2−(4−メトキシフェニル)エチル、3−(4−メトキシフェニル)プロピル、4−(4−メトキシフェニル)ブチル、5−(4−メトキシフェニル)ペンチル、6−(4−メトキシフェニル)ヘキシル、1−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル、2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピル、4−(3,4−ジメトキシフェニル)ブチル、5−(3,4−ジメトキシフェニル)ペンチル、6−(3,4−ジメトキシフェニル)ヘキシル、2−(2,3−ジメトキシフェニル)エチル、2−(2,4−ジメトキシフェニル)エチル、2−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル、2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル基等を例示できる。
【0013】
低級アルキレン基としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン基等を例示できる。
【0014】
上記一般式(1)で表わされる本発明のホスホン酸ジエステル誘導体は、血糖降下作用を有しており、例えば代表的には糖尿病治療剤として有用である。特に本発明化合物は、公知のこの種糖尿病治療剤有効成分化合物よりも低用量で優れた効力を示す特徴を有している。
【0015】
かかる糖尿病治療剤として好ましい本発明化合物としては、前記一般式(1)中、R1 が水素原子、低級アルキル基又はハロゲン原子で、R3 が水素原子、低級アルコキシ基、ハロゲン原子又はニトロ基で、R4 が水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子であるものを例示できる。そのうちでも、R1 が水素原子で、R2 が水素原子、ハロゲン原子又はアミノ基で、R3 が水素原子、ハロゲン原子又はニトロ基で、R4 が水素原子、低級アルコキシ基又はハロゲン原子で、R5 が低級アルキル基又はベンゼン環上に低級アルコキシ基の2個を有するフェニル低級アルキル基であるものは好ましく、更にそのうちでは、R2 、R3 及びR4 の内の一つがハロゲン原子で他が水素原子又はハロゲン原子であるが好適である。
【0016】
特に好適な本発明化合物の具体例としては、ジエチル 〔7−クロロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕メチルホスホナート、ジエチル 3−〔7−クロロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕プロピルホスホナート及びジエチル 〔5−〔7−クロロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナートを例示できる。
【0017】
本発明化合物は、各種方法により製造することができる。その具体例は、下記反応工程式に示される通りである。
【0018】
【化3】
【0019】
〔式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 及びAは前記に同じ。Xはハロゲン原子を示す。〕
反応工程式−1において、まず化合物(2)と酸ハロゲン化物(3)との反応は、不活性溶媒中、脱酸剤の存在下に実施される。上記において不活性溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル等の芳香族乃至脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等の鎖状乃至環状エーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類を例示できる。また、脱酸剤としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン等の第3級アミン類を好ましく例示できる。上記反応における化合物(2)と酸ハロゲン化物(3)との使用割合は、特に限定されないが、通常前者に対して後者をほぼ等モル量〜少過剰量とするのが好適である。また脱酸剤は、通常酸ハロゲン化物に対して等モル量〜過剰量用いるのが好適である。反応は、冷却下、室温下及び加熱下のいずれでも進行するが、通常0℃〜溶媒の還流温度範囲の温度条件下に行なわれるのが良く、一般に約0.5〜10時間で終了する。
【0020】
次に、化合物(4)の環化反応は、該化合物に、不活性溶媒中、塩基の存在下、ハロゲン化トリアルキルシランを作用させることにより行われる。ここで、不活性溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル等の芳香族乃至脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類を使用できる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、N,N−ジエチルアニリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン等の3級アミンを好ましく使用し得る。また、ハロゲン化トリアルキルシランとしては、例えばクロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、クロロエチルジメチルシラン、クロロトリプロピルシラン、トリブチルクロロシラン、クロロエチルメチルプロピルシラン等のクロロトリアルキルシランを好適に使用できる。上記ハロゲン化トリアルキルシラン及び塩基の使用量は、特に限定されないが、一般に等モル量〜過剰量、好ましくは3〜20当量とするのがよく、反応は通常0〜100℃で、0.5〜20時間程度で完了する。
【0021】
尚、上記反応工程式−1において、酸ハロゲン化物(3)のうち、下記(3a)で表される化合物は新規であり、例えば下記反応工程式−2に示す方法に従い製造することができる。
【0022】
【化4】
【0023】
〔式中、R6 及びXは前記に同じ。R7aはR6 と同一であり、Yはハロゲン原子を、A’はチオフェン環又はピラジン環を示す。〕
上記反応工程式−2に示す化合物(5)のハロゲン化反応は、例えばベンゼン、四塩化炭素等の不活性溶媒中、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、tert−ブチルハイドロパーオキシド等の触媒の存在下、N−ブロムコハク酸イミド(NBS)、N−クロロコハク酸イミド(NCS)、臭素等のハロゲン化剤を用いて実施できる。ハロゲン化剤の使用量は、化合物(5)に対して通常等モル量〜約1.1倍モル量程度とされ、反応は一般に約50℃〜溶媒の沸点の加熱条件下、約5〜20時間程度を要して行い得る。
【0024】
上記で得られる化合物(6)とトリアルキルホスファイト(7)との反応は、反応に悪影響を及ぼさない溶媒、例えば低級アルコール類、芳香族乃至脂肪族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶媒中で又は無溶媒で、好ましくは無溶媒で行われる。トリアルキルホスファイト(7)の使用量は、化合物(6)に対して等モル量〜約5倍モル量程度とされ得る。反応温度は約130〜180℃程度が好ましく、反応は通常約0.5〜3時間程度で終了する。
【0025】
上記で得られる化合物(8)の引き続くハロゲン化反応は、一般に知られている酸ハロゲン化物の製法を適用して実施できる。この反応には例えば溶媒として、ジエチルエーテル、THF、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン等の不活性溶媒を、ハロゲン化剤として、五塩化リン、オキシ塩化リン、オキサリルクロリド、塩化チオニル等を使用できる。反応条件は室温〜溶媒の沸点の加熱条件下、約1〜5時間程度を採用するのがよい。
【0026】
上記各反応工程式に示す方法により得られる目的化合物乃至本発明化合物は、通常の分離手段により容易に単離精製できる。該手段としては、例えば吸着クロマトグラフィー、プレパラティブ薄層クロマトグラフィー、再結晶、溶媒抽出等を例示できる。
【0027】
本発明化合物を有効成分とする医薬製剤は、通常該有効成分化合物と共に、無毒性製剤担体を用いて一般的な医薬製剤組成物の形態とされ実用される。該製剤担体としては製剤の使用形態に応じて、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤乃至賦形剤を例示でき、之等は得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択使用される。
【0028】
上記医薬製剤の投与単位形態としては、各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表的なものとしては錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)等が挙げられる。
【0029】
錠剤の形態に成形するに際しては、上記製剤担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウム等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等の崩壊剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド等の界面活性剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。
【0030】
更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。
【0031】
丸剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
【0032】
坐剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を使用できる。
【0033】
カプセル剤は常法に従い通常本発明の有効成分化合物を上記で例示した各種の製剤担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル等に充填して調整される。
【0034】
上記液剤、乳剤、懸濁剤等の注射剤は、殺菌され且つ血液と等張であるのが好ましく、之等の形態に成形するに際しては、希釈剤として例えば水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を使用できる。尚、この場合等張性の溶液を調整するに充分な量の食塩、ブドウ糖あるいはグリセリンを本発明薬剤中に含有させてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。
【0035】
更に、上記各種形態の医薬製剤中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有させることもできる。
【0036】
上記医薬製剤の投与方法は特に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じて決定される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤は経口投与され、注射剤は単独で又はブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じ単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与され、坐剤は直腸内投与される。
【0037】
上記医薬製剤中に含有されるべき一般式(1)で表わされる本発明有効成分化合物の量は、特に限定されず広範囲より適宜選択されるが、通常医薬製剤中に約1〜70重量%程度含有されるものとするのがよい。
【0038】
上記医薬製剤の投与量は、その用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等により適宜選択されるが、通常有効成分である本発明化合物の量が1日当り体重1kg当り約0.05〜100mg程度とするのがよく、該製剤は1日に1〜4回に分けて投与することができる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を更に詳しく説明するため、本発明化合物の製造例を実施例として挙げ、次いで薬理試験例及び製剤例を挙げる。
【0040】
【実施例1】
ジエチル 2−〔7−クロロ−3−フェニル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕エチルホスホナートの製造
3−(ジエトキシホスホリル)プロピオン酸4.54gを乾燥ジクロロメタン30mlに溶解させ、室温攪拌下、この溶液中にDMF0.47g、次いで塩化チオニル3.09gを加えた。この混合物を2時間加熱還流した後、氷冷し、攪拌下この反応混合物中に、2−アミノ−4−クロロ−N−フェニルベンズアミド5.30gの乾燥ジクロロメタン20mlとピリジン30mlの混合溶液を加えた。室温で1時間攪拌した後、この混合物中に10%塩酸水溶液100mlを加え、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を水100mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=40:1で溶出)に付し、得られた粗結晶を酢酸エチル−n−ヘキサンより再結晶して、ジエチル 2−〔N−〔5−クロロ−2−(N−フェニルカルバモイル)フェニル〕カルバモイル〕エチルホスホナートの無色結晶(融点:148.5〜149.5℃)5.16gを得た。
【0041】
次に、上記で得られた結晶2.90gとトリエチルアミン4.1gを乾燥ジクロロメタン40mlに溶解させ、室温攪拌下、この溶液中にクロロトリメチルシラン2.6gを加えた。この混合物を10時間加熱還流した後、氷水50ml中に注加し、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を10%塩酸100ml、次いで水100mlで洗浄し、芒硝上で乾燥した。溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液…クロロホルム:メタノール=40:1)に付し、得られた粗結晶を酢酸エチル−n−ヘキサンより再結晶して、目的化合物の無色結晶1.79gを得た。
【0042】
得られた化合物の構造及び融点を第1表に示す。
【0043】
【実施例2〜37】
実施例1と同様にして、第1表に示す各化合物を得た。得られた化合物の構造及び融点を第1表に併記する。尚、表中、DMPEは2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル基を、DMSAはN,N−ジメチルスルホニルアミノ基を示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
更に、実施例1と同様にして、下記各化合物を合成することができる。
【0048】
・ジエチル 〔5−〔6−クロロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔7−クロロ−3−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル〕−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔6,8−ジヨード−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔3−メチル−7−ニトロ−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジメチル 〔5−〔7−フルオロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔8−メトキシ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔6−アミノ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔7−クロロ−3−フェニル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔3−アリル−7−クロロ−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔6−(N,N−ジメチルスルホニルアミノ)−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート・ジエチル 〔5−〔6−クロロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔7−クロロ−3−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル〕−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔6,8−ジヨード−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔3−メチル−7−ニトロ−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジメチル 〔5−〔7−フロオロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔8−メトキシ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔6−アミノ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔7−クロロ−3−フェニル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔3−アリル−7−クロロ−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔6−(N,N−ジメチルスルホニルアミノ)−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
【0049】
【薬理試験例1】
ラットにおける本発明化合物の血糖低下作用を以下の通り試験した。即ち、6週齢ウィスター系雄性ラットの1群5匹(試験群)に、デキサメタゾン(デカドロンS注射液:萬有製薬社製)0.5mg/kgを1日1回4日間腹腔内投与し、その投与直後に供試化合物100mg/kgを5%アラビアゴム溶液に溶解して毎日投与した。4日目のデキサメタゾン投与の4時間後に断頭採血し、遠心分離(3000rpm、4℃、15分)した後、得られた血清中のグルコース量をグルコースcIIテストワコー(和光純薬工業社製)を用いて測定した。ラットは自由摂餌させ、採血の24時間前より絶食させた。
【0050】
尚、対照群として供試化合物の代わりに5%アラビアゴム溶液を投与した群と、通常群として自由摂餌のみを行なわせた群とを設け、同様に、血清中のグルコース量を測定し、各群の値(平均値)より、血中グルコース低下率を下式により求めた。
【0051】
血中グルコース低下率(%)=〔(対照群値)−(試験群値)〕/〔(対照群値)−(通常群値)〕×100
得られた結果を、下記第2表に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
【製剤例1】
錠剤の調製
有効成分として実施例4で得た本発明化合物を用いて、1錠当りその250mgを含有する錠剤(2000錠)を、次の処方により調製した。
【0054】
実施例4で得た本発明化合物 500g
乳糖(日本薬局方品) 67g
コーンスターチ(日本薬局方品) 33g
カルボキシメチルセルロースカルシウム(日本薬局方品) 25g
メチルセルロース(日本薬局方品) 12g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 3g
全量 640g
即ち、上記処方に従い、実施例4で得た本発明化合物、乳糖、コーンスターチ及びカルボキシメチルセルロースカルシウムを充分混合し、メチルセルロース水溶液を用いて混合物を顆粒化し、24メッシュの篩を通し、これをステアリン酸マグネシウムと混合して、錠剤にプレスして、目的の錠剤を得た。
【0055】
【製剤例2】
カプセル剤の調製
有効成分として実施例17で得た本発明化合物を用いて、1カプセル当りその250mgを含有する硬質ゼラチンカプセル(2000錠)を、次の処方により調製した。
【0056】
実施例17で得た本発明化合物 500g
結晶セルロース(日本薬局方品) 60g
コーンスターチ(日本薬局方品) 34g
タルク(日本薬局方品) 4g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 2g
全量 600g
即ち、上記処方に従い、各成分を細かく粉末にし、均一な混合物となるように混和した後、所望の寸法を有する経口投与用ゼラチンカプセルに充填して、目的のカプセル剤を得た。
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なホスホン酸ジエステル誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明誘導体は文献未載の新規化合物である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は医薬品として有用な化合物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記一般式(1)で表される新規な誘導体が提供される。
【0005】
【化2】
【0006】
〔式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は同一又は異なって水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基、N,N−ジ低級アルキルスルホニルアミノ基又はニトロ基を、R5 は低級アルキル基、低級アルケニル基、フェニル基又はベンゼン環上に低級アルコキシ基の1〜3個を有するフェニル低級アルキル基を、R6 及びR7 は同一又は異なって低級アルキル基を、Aはチオフェン環、ピラジン環、低級アルキレン基又は単結合をそれぞれ示す。〕
【0007】
【発明の実施の形態】
上記一般式(1)において定義される各基としては、それぞれ次の各基を例示できる。即ち、低級アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等の直鎖又は分枝鎖状低級アルキル基を例示できる。
【0008】
低級アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基等を例示できる。
【0009】
ハロゲン原子には、弗素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が包含される。
【0010】
N,N−ジ低級アルキルスルホニルアミノ基としては、N,N−ジメチルスルホニルアミノ、N,N−ジエチルスルホニルアミノ、N,N−ジプロピルスルホニルアミノ、N,N−ジブチルスルホニルアミノ、N,N−ジペンチルスルホニルアミノ、N,N−ジヘキシルスルホニルアミノ基等を例示できる。
【0011】
低級アルケニル基としては、ビニル、アリル、イソプロペニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル基等を例示できる。
【0012】
ベンゼン環上に低級アルコキシ基の1〜3個を有するフェニル低級アルキル基としては、2−メトキシベンジル、3−メトキシベンジル、4−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、3,5−ジメトキシベンジル、1−(4−メトキシフェニル)エチル、2−(4−メトキシフェニル)エチル、3−(4−メトキシフェニル)プロピル、4−(4−メトキシフェニル)ブチル、5−(4−メトキシフェニル)ペンチル、6−(4−メトキシフェニル)ヘキシル、1−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル、2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピル、4−(3,4−ジメトキシフェニル)ブチル、5−(3,4−ジメトキシフェニル)ペンチル、6−(3,4−ジメトキシフェニル)ヘキシル、2−(2,3−ジメトキシフェニル)エチル、2−(2,4−ジメトキシフェニル)エチル、2−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル、2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル基等を例示できる。
【0013】
低級アルキレン基としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン基等を例示できる。
【0014】
上記一般式(1)で表わされる本発明のホスホン酸ジエステル誘導体は、血糖降下作用を有しており、例えば代表的には糖尿病治療剤として有用である。特に本発明化合物は、公知のこの種糖尿病治療剤有効成分化合物よりも低用量で優れた効力を示す特徴を有している。
【0015】
かかる糖尿病治療剤として好ましい本発明化合物としては、前記一般式(1)中、R1 が水素原子、低級アルキル基又はハロゲン原子で、R3 が水素原子、低級アルコキシ基、ハロゲン原子又はニトロ基で、R4 が水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子であるものを例示できる。そのうちでも、R1 が水素原子で、R2 が水素原子、ハロゲン原子又はアミノ基で、R3 が水素原子、ハロゲン原子又はニトロ基で、R4 が水素原子、低級アルコキシ基又はハロゲン原子で、R5 が低級アルキル基又はベンゼン環上に低級アルコキシ基の2個を有するフェニル低級アルキル基であるものは好ましく、更にそのうちでは、R2 、R3 及びR4 の内の一つがハロゲン原子で他が水素原子又はハロゲン原子であるが好適である。
【0016】
特に好適な本発明化合物の具体例としては、ジエチル 〔7−クロロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕メチルホスホナート、ジエチル 3−〔7−クロロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕プロピルホスホナート及びジエチル 〔5−〔7−クロロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナートを例示できる。
【0017】
本発明化合物は、各種方法により製造することができる。その具体例は、下記反応工程式に示される通りである。
【0018】
【化3】
【0019】
〔式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 及びAは前記に同じ。Xはハロゲン原子を示す。〕
反応工程式−1において、まず化合物(2)と酸ハロゲン化物(3)との反応は、不活性溶媒中、脱酸剤の存在下に実施される。上記において不活性溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル等の芳香族乃至脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等の鎖状乃至環状エーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類を例示できる。また、脱酸剤としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン等の第3級アミン類を好ましく例示できる。上記反応における化合物(2)と酸ハロゲン化物(3)との使用割合は、特に限定されないが、通常前者に対して後者をほぼ等モル量〜少過剰量とするのが好適である。また脱酸剤は、通常酸ハロゲン化物に対して等モル量〜過剰量用いるのが好適である。反応は、冷却下、室温下及び加熱下のいずれでも進行するが、通常0℃〜溶媒の還流温度範囲の温度条件下に行なわれるのが良く、一般に約0.5〜10時間で終了する。
【0020】
次に、化合物(4)の環化反応は、該化合物に、不活性溶媒中、塩基の存在下、ハロゲン化トリアルキルシランを作用させることにより行われる。ここで、不活性溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル等の芳香族乃至脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類を使用できる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、N,N−ジエチルアニリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン等の3級アミンを好ましく使用し得る。また、ハロゲン化トリアルキルシランとしては、例えばクロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、クロロエチルジメチルシラン、クロロトリプロピルシラン、トリブチルクロロシラン、クロロエチルメチルプロピルシラン等のクロロトリアルキルシランを好適に使用できる。上記ハロゲン化トリアルキルシラン及び塩基の使用量は、特に限定されないが、一般に等モル量〜過剰量、好ましくは3〜20当量とするのがよく、反応は通常0〜100℃で、0.5〜20時間程度で完了する。
【0021】
尚、上記反応工程式−1において、酸ハロゲン化物(3)のうち、下記(3a)で表される化合物は新規であり、例えば下記反応工程式−2に示す方法に従い製造することができる。
【0022】
【化4】
【0023】
〔式中、R6 及びXは前記に同じ。R7aはR6 と同一であり、Yはハロゲン原子を、A’はチオフェン環又はピラジン環を示す。〕
上記反応工程式−2に示す化合物(5)のハロゲン化反応は、例えばベンゼン、四塩化炭素等の不活性溶媒中、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、tert−ブチルハイドロパーオキシド等の触媒の存在下、N−ブロムコハク酸イミド(NBS)、N−クロロコハク酸イミド(NCS)、臭素等のハロゲン化剤を用いて実施できる。ハロゲン化剤の使用量は、化合物(5)に対して通常等モル量〜約1.1倍モル量程度とされ、反応は一般に約50℃〜溶媒の沸点の加熱条件下、約5〜20時間程度を要して行い得る。
【0024】
上記で得られる化合物(6)とトリアルキルホスファイト(7)との反応は、反応に悪影響を及ぼさない溶媒、例えば低級アルコール類、芳香族乃至脂肪族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶媒中で又は無溶媒で、好ましくは無溶媒で行われる。トリアルキルホスファイト(7)の使用量は、化合物(6)に対して等モル量〜約5倍モル量程度とされ得る。反応温度は約130〜180℃程度が好ましく、反応は通常約0.5〜3時間程度で終了する。
【0025】
上記で得られる化合物(8)の引き続くハロゲン化反応は、一般に知られている酸ハロゲン化物の製法を適用して実施できる。この反応には例えば溶媒として、ジエチルエーテル、THF、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン等の不活性溶媒を、ハロゲン化剤として、五塩化リン、オキシ塩化リン、オキサリルクロリド、塩化チオニル等を使用できる。反応条件は室温〜溶媒の沸点の加熱条件下、約1〜5時間程度を採用するのがよい。
【0026】
上記各反応工程式に示す方法により得られる目的化合物乃至本発明化合物は、通常の分離手段により容易に単離精製できる。該手段としては、例えば吸着クロマトグラフィー、プレパラティブ薄層クロマトグラフィー、再結晶、溶媒抽出等を例示できる。
【0027】
本発明化合物を有効成分とする医薬製剤は、通常該有効成分化合物と共に、無毒性製剤担体を用いて一般的な医薬製剤組成物の形態とされ実用される。該製剤担体としては製剤の使用形態に応じて、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤乃至賦形剤を例示でき、之等は得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択使用される。
【0028】
上記医薬製剤の投与単位形態としては、各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表的なものとしては錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)等が挙げられる。
【0029】
錠剤の形態に成形するに際しては、上記製剤担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウム等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等の崩壊剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド等の界面活性剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。
【0030】
更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。
【0031】
丸剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
【0032】
坐剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を使用できる。
【0033】
カプセル剤は常法に従い通常本発明の有効成分化合物を上記で例示した各種の製剤担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル等に充填して調整される。
【0034】
上記液剤、乳剤、懸濁剤等の注射剤は、殺菌され且つ血液と等張であるのが好ましく、之等の形態に成形するに際しては、希釈剤として例えば水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を使用できる。尚、この場合等張性の溶液を調整するに充分な量の食塩、ブドウ糖あるいはグリセリンを本発明薬剤中に含有させてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。
【0035】
更に、上記各種形態の医薬製剤中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有させることもできる。
【0036】
上記医薬製剤の投与方法は特に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じて決定される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤は経口投与され、注射剤は単独で又はブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じ単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与され、坐剤は直腸内投与される。
【0037】
上記医薬製剤中に含有されるべき一般式(1)で表わされる本発明有効成分化合物の量は、特に限定されず広範囲より適宜選択されるが、通常医薬製剤中に約1〜70重量%程度含有されるものとするのがよい。
【0038】
上記医薬製剤の投与量は、その用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等により適宜選択されるが、通常有効成分である本発明化合物の量が1日当り体重1kg当り約0.05〜100mg程度とするのがよく、該製剤は1日に1〜4回に分けて投与することができる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を更に詳しく説明するため、本発明化合物の製造例を実施例として挙げ、次いで薬理試験例及び製剤例を挙げる。
【0040】
【実施例1】
ジエチル 2−〔7−クロロ−3−フェニル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕エチルホスホナートの製造
3−(ジエトキシホスホリル)プロピオン酸4.54gを乾燥ジクロロメタン30mlに溶解させ、室温攪拌下、この溶液中にDMF0.47g、次いで塩化チオニル3.09gを加えた。この混合物を2時間加熱還流した後、氷冷し、攪拌下この反応混合物中に、2−アミノ−4−クロロ−N−フェニルベンズアミド5.30gの乾燥ジクロロメタン20mlとピリジン30mlの混合溶液を加えた。室温で1時間攪拌した後、この混合物中に10%塩酸水溶液100mlを加え、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を水100mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=40:1で溶出)に付し、得られた粗結晶を酢酸エチル−n−ヘキサンより再結晶して、ジエチル 2−〔N−〔5−クロロ−2−(N−フェニルカルバモイル)フェニル〕カルバモイル〕エチルホスホナートの無色結晶(融点:148.5〜149.5℃)5.16gを得た。
【0041】
次に、上記で得られた結晶2.90gとトリエチルアミン4.1gを乾燥ジクロロメタン40mlに溶解させ、室温攪拌下、この溶液中にクロロトリメチルシラン2.6gを加えた。この混合物を10時間加熱還流した後、氷水50ml中に注加し、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を10%塩酸100ml、次いで水100mlで洗浄し、芒硝上で乾燥した。溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液…クロロホルム:メタノール=40:1)に付し、得られた粗結晶を酢酸エチル−n−ヘキサンより再結晶して、目的化合物の無色結晶1.79gを得た。
【0042】
得られた化合物の構造及び融点を第1表に示す。
【0043】
【実施例2〜37】
実施例1と同様にして、第1表に示す各化合物を得た。得られた化合物の構造及び融点を第1表に併記する。尚、表中、DMPEは2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル基を、DMSAはN,N−ジメチルスルホニルアミノ基を示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
更に、実施例1と同様にして、下記各化合物を合成することができる。
【0048】
・ジエチル 〔5−〔6−クロロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔7−クロロ−3−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル〕−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔6,8−ジヨード−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔3−メチル−7−ニトロ−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジメチル 〔5−〔7−フルオロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔8−メトキシ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔6−アミノ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔7−クロロ−3−フェニル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔3−アリル−7−クロロ−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔6−(N,N−ジメチルスルホニルアミノ)−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナート・ジエチル 〔5−〔6−クロロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔7−クロロ−3−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル〕−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔6,8−ジヨード−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔3−メチル−7−ニトロ−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジメチル 〔5−〔7−フロオロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔8−メトキシ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔6−アミノ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔7−クロロ−3−フェニル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔3−アリル−7−クロロ−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
・ジエチル 〔5−〔6−(N,N−ジメチルスルホニルアミノ)−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−ピラジニル〕メチルホスホナート
【0049】
【薬理試験例1】
ラットにおける本発明化合物の血糖低下作用を以下の通り試験した。即ち、6週齢ウィスター系雄性ラットの1群5匹(試験群)に、デキサメタゾン(デカドロンS注射液:萬有製薬社製)0.5mg/kgを1日1回4日間腹腔内投与し、その投与直後に供試化合物100mg/kgを5%アラビアゴム溶液に溶解して毎日投与した。4日目のデキサメタゾン投与の4時間後に断頭採血し、遠心分離(3000rpm、4℃、15分)した後、得られた血清中のグルコース量をグルコースcIIテストワコー(和光純薬工業社製)を用いて測定した。ラットは自由摂餌させ、採血の24時間前より絶食させた。
【0050】
尚、対照群として供試化合物の代わりに5%アラビアゴム溶液を投与した群と、通常群として自由摂餌のみを行なわせた群とを設け、同様に、血清中のグルコース量を測定し、各群の値(平均値)より、血中グルコース低下率を下式により求めた。
【0051】
血中グルコース低下率(%)=〔(対照群値)−(試験群値)〕/〔(対照群値)−(通常群値)〕×100
得られた結果を、下記第2表に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
【製剤例1】
錠剤の調製
有効成分として実施例4で得た本発明化合物を用いて、1錠当りその250mgを含有する錠剤(2000錠)を、次の処方により調製した。
【0054】
実施例4で得た本発明化合物 500g
乳糖(日本薬局方品) 67g
コーンスターチ(日本薬局方品) 33g
カルボキシメチルセルロースカルシウム(日本薬局方品) 25g
メチルセルロース(日本薬局方品) 12g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 3g
全量 640g
即ち、上記処方に従い、実施例4で得た本発明化合物、乳糖、コーンスターチ及びカルボキシメチルセルロースカルシウムを充分混合し、メチルセルロース水溶液を用いて混合物を顆粒化し、24メッシュの篩を通し、これをステアリン酸マグネシウムと混合して、錠剤にプレスして、目的の錠剤を得た。
【0055】
【製剤例2】
カプセル剤の調製
有効成分として実施例17で得た本発明化合物を用いて、1カプセル当りその250mgを含有する硬質ゼラチンカプセル(2000錠)を、次の処方により調製した。
【0056】
実施例17で得た本発明化合物 500g
結晶セルロース(日本薬局方品) 60g
コーンスターチ(日本薬局方品) 34g
タルク(日本薬局方品) 4g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 2g
全量 600g
即ち、上記処方に従い、各成分を細かく粉末にし、均一な混合物となるように混和した後、所望の寸法を有する経口投与用ゼラチンカプセルに充填して、目的のカプセル剤を得た。
Claims (6)
- 一般式中、R1 が水素原子、低級アルキル基又はハロゲン原子で、R3 が水素原子、低級アルコキシ基、ハロゲン原子又はニトロ基で、R4 が水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子である請求項1に記載のホスホン酸ジエステル誘導体。
- 一般式中、R1 が水素原子で、R2 が水素原子、ハロゲン原子又はアミノ基で、R3 が水素原子、ハロゲン原子又はニトロ基で、R4 が水素原子、低級アルコキシ基又はハロゲン原子で、R5 が低級アルキル基又はベンゼン環上に低級アルコキシ基の2個を有するフェニル低級アルキル基である請求項2に記載のホスホン酸ジエステル誘導体。
- 一般式中、R2 、R3 及びR4 の内の一つがハロゲン原子で他が水素原子又はハロゲン原子である請求項3に記載のホスホン酸ジエステル誘導体。
- ジエチル 〔7−クロロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕メチルホスホナート、ジエチル 3−〔7−クロロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕プロピルホスホナート及びジエチル 〔5−〔7−クロロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕−2−チエニル〕メチルホスホナートから選ばれる請求項4に記載のホスホン酸ジエステル誘導体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のホスホン酸ジエステル誘導体を有効成分として含有することを特徴とする糖尿病治療剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03361697A JP3785514B2 (ja) | 1996-02-20 | 1997-02-18 | ホスホン酸ジエステル誘導体 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3201096 | 1996-02-20 | ||
JP8-32010 | 1996-02-20 | ||
JP03361697A JP3785514B2 (ja) | 1996-02-20 | 1997-02-18 | ホスホン酸ジエステル誘導体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09286792A JPH09286792A (ja) | 1997-11-04 |
JP3785514B2 true JP3785514B2 (ja) | 2006-06-14 |
Family
ID=26370523
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03361697A Expired - Fee Related JP3785514B2 (ja) | 1996-02-20 | 1997-02-18 | ホスホン酸ジエステル誘導体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3785514B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4032193B2 (ja) * | 1998-04-24 | 2008-01-16 | 株式会社大塚製薬工場 | ホスホン酸ジエステル誘導体 |
-
1997
- 1997-02-18 JP JP03361697A patent/JP3785514B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09286792A (ja) | 1997-11-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3500468B2 (ja) | ホスホン酸ジエステル誘導体 | |
JP2759228B2 (ja) | ホスホン酸ジエステル誘導体 | |
JP2926273B2 (ja) | ホスホン酸ジエステル誘導体 | |
US5798344A (en) | Phosphonic ester derivatives of quinazolinones | |
JP4164645B2 (ja) | Dgat阻害剤 | |
JP3972163B2 (ja) | ホスホン酸ジエステル誘導体 | |
JP3785514B2 (ja) | ホスホン酸ジエステル誘導体 | |
JP4032193B2 (ja) | ホスホン酸ジエステル誘導体 | |
JP2584336B2 (ja) | カルボン酸アミド誘導体 | |
JP3972167B2 (ja) | ホスホン酸ジエステル誘導体 | |
IE913277A1 (en) | Heteroarylmethylbenzenes | |
JP3533542B2 (ja) | ホスホン酸ジエステル誘導体 | |
JP3985121B2 (ja) | ジヒドロキノリン誘導体 | |
JPH0745508B2 (ja) | カルボン酸アミド誘導体 | |
JP3074332B2 (ja) | ホスホン酸ジエステル誘導体 | |
JP3972166B2 (ja) | ホスホン酸ジエステル誘導体 | |
JPH0340025B2 (ja) | ||
JP2518736B2 (ja) | カルボン酸アミド誘導体 | |
JP2926274B2 (ja) | ホスホン酸ジエステル誘導体 | |
JP3985117B2 (ja) | ジヒドロキノリン誘導体 | |
JPH10298189A (ja) | クロム錯体 | |
JP4011780B2 (ja) | ジヒドロキノリン誘導体 | |
JPS61200985A (ja) | 新規なジフエニルピロリルチアゾ−ル誘導体、その製造法およびそれを有効成分とする医薬組成物 | |
JPS61280488A (ja) | オクテン酸誘導体、その製造法およびこの誘導体を含有する肺および血管疾病を治療する医薬組成物 | |
JPH0128022B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060222 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060306 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090331 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120331 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |